図面 (/)

技術 アミロイドβ富化動態の解析を用いるアミロイド病態の診断方法

出願人 ワシントン・ユニバーシティ
発明者 ランドール・ベイトマンブルース・ダブリュー・パターソンドナルド・エル・エルバート
出願日 2013年11月20日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2015-543139
公開日 2016年3月3日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-506491
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 近接度合 平均データ値 計数逓減率 数学的組み合わせ 運動量方程式 速度因子 不動部分 流動モデル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

少なくとも1種のアミロイドβイソ型富化動態の測定を用いる、患者中枢神経系におけるアミロイド病態の診断方法が提供される。加えて、少なくとも1種のアミロイドβイソ型の富化動態を予測するためのモデル、該モデルの較正方法、及び患者の中枢神経系におけるアミロイド病態を診断するための上記モデルの使用方法が提供される。

概要

背景

アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease)(AD)は認知症の最も一般的な原因であり、ますます増加する公衆衛生上の問題である。ADは他の中枢神経系(central nervous system)(CNS変性疾患と同様に、タンパク質の生成、蓄積、及びクリアランス障害により特徴付けられる。ADにおいては、タンパク質アミロイドβ(amyloid−bata)(Aβ)の代謝における調節不全が、当該疾患を有する患者の脳におけるこのたんぱく質の多量の蓄積によって示される。その重症度及びますます増加する人口に対する当該疾患の有病率により、より好適な治療法が開発されることが急がれる。

アルツハイマー病の発症原因は完全には解明されておらず、そのことは、一部、ヒトにおいて認知症をもたらすステップを証明することの困難さに起因する。希ではあるが、常染色体優性AD(autosomal dominant AD)(ADAD)は、プレセニリン(presenilin)1(PSEN1)、プレセニリン2(PSEN2)、又はアミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein)(APP)における特定の変異を有する個人において、100%近い確度予測することができる。最近の知見は、一連のADADの病態生理学的変化が臨床上の認知症が現れる数十年前に脳に起こることを示唆している。しかしながら、これらの変異がADの病態生理をもたらす機序はよく解明されていない。

アミロイド仮説は、ADは脳におけるAβ生成の増加又はAβクリアランスの低下によって引き起こされ、アミロイド症器官又は組織中へのアミロイドタンパク質沈着)及びADの病理学的な顕著な特徴であるアミロイド・プラークをもたらすと予測し、該アミロイド・プラークは主としてAβ42からなる。Aβの生成を低下させるAPP変異はADに対する強力な保護効果関与する一方、APPの複製又はAβ若しくはAβ42を増加させると考えられる変異は、優性遺伝性ADを引き起こす。Aβはγ−セクレターゼ酵素成分であるPSEN1及びPSEN2によって、APPのC末端断片(C99)から開裂される。細胞培養及び血漿中においては、PSEN変異はAβ42:Aβ40比の増加と関連付けられており、Aβ42:Aβ40比の増加は、アミロイド症の危険性を増加させると仮定されている。しかしながら、他の研究者は、インビトロでは、Aβ42:Aβ40比及びAβ42の濃度のいずれも増加しないことを見出している。更に、ADAD患者における脳脊髄液(cerebrospinal fluid)(CSF)のAβ42濃度が逆に減少するとの知見は、優性遺伝性ADにおける病因機序として予測されたAβ42生成の増加を直接的に支持するものとは思われない。

散発性ADは、安定同位体標識動態(stable isotope labeling kinetics)(SILK)によって測定されたAβのクリアランスの低下によって特徴付けることができる。散発性AD及びADADは共に、より低いCSFのAβ42濃度及びAβ42:Aβ40比と関連付けられる。しかしながら、ヒトにおけるAβ42生成の増加の直接的な証拠報告されてはいないものの、PSEN ADAD変異はAβ42生成の増加を引き起こすと仮定される。

従って、イン・ビボでのAβ動態のモデル化方法に対するニーズが存在する。特に、例えば、ADにおけるAβの代謝などの、イン・ビボでの、神経変性疾患に関連するタンパク質の合成速度及び該タンパク質のクリアランス速度モデル化に対する方法が必要とされている。かかるモデルは、ADの根底をなす過程の特徴付け及び治療に向けた研究の有用なツールとして役立つことができる。

概要

少なくとも1種のアミロイドβイソ型富化動態の測定を用いる、患者の中枢神経系におけるアミロイド病態の診断方法が提供される。加えて、少なくとも1種のアミロイドβイソ型の富化動態を予測するためのモデル、該モデルの較正方法、及び患者の中枢神経系におけるアミロイド病態を診断するための上記モデルの使用方法が提供される。

目的

本開示は、定常状態における代謝動態パラメータを求める及び予測することによるモデルの構築方法を更に提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

(i)Aβ42及び少なくとも1種のその他のAβペプチドの、1又は複数の動態学パラメータを測定すること、及び(ii)前記Aβ42の動態学的パラメータと、第2のAβ測定対象に関する前記と同一の動態学的パラメータとを比較すること、及び(iii)前記2つの動態学的パラメータ間差異に基づいて、被験者アミロイド病態を有するか否かを決定することを含む、患者中枢神経系中のアミロイド病態の検知方法

請求項2

前記動態学的パラメータが合成速度ピーク時間、ピーク富化初期下降一指勾配末期単一指数勾配、及びそれらの組み合わせよりなる群より選択される、請求項1に記載の方法。

請求項3

2以上の動態学的パラメータが測定される、請求項1に記載の方法。

請求項4

3以上の動態学的パラメータが測定される、請求項1に記載の方法。

請求項5

4以上の動態学的パラメータが測定される、請求項1に記載の方法。

請求項6

少なくとも5の動態学的パラメータが測定される、請求項1に記載の方法。

請求項7

(i)前記動態学的パラメータが合成速度であり、Aβ42の合成速度が前記第2のAβ測定対象に関する合成速度よりも速い、(ii)前記動態学的パラメータがピーク時間であり、Aβ42のピーク時間が前記第2のAβ測定対象に関するピーク時間よりも早い、(iii)前記動態学的パラメータがピーク富化であり、Aβ42のピーク富化が前記第2のAβ測定対象に関するピーク富化よりも低い、(iv)前記動態学的パラメータが初期下降単一指数勾配であり、Aβ42の該初期勾配が前記第2のAβ測定対象に関する該初期勾配よりも急である、又は(v)前記動態学的パラメータが末期下降単一指数勾配であり、Aβ42の該末期勾配が前記第2のAβ測定対象に関する該末期勾配よりも緩やかである、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記1又は複数の動態学的パラメータが安定同位体標識動態によって測定される、請求項1に記載の方法。

請求項9

標識化アミノ酸が、6〜12時間、6〜9時間、及び9〜12時間からなる群より選択される期間、1時間毎に被験者に投与される、請求項8に記載の方法。

請求項10

標識ペプチドの量及び非標識化ペプチドの量が質量分光分析法、タンデム質量分光分析法、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される手段によって検知される、請求項8に記載の方法。

請求項11

前記1又は複数の動態学的パラメータがAβの富化動態のための数学的モデルを用いて求められる、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記標識化アミノ酸の患者への投与後の単一の時点において、前記第2のAβ測定対象と比較したAβ42の同位体富化を計算することを更に含む、請求項8に記載の方法。

請求項13

前記第2のAβ測定対象がAβ42以外のAβペプチド及び全Aβからなる群より選択される、請求項1又は12に記載の方法。

請求項14

前記Aβ42以外のAβペプチドがAβ38又はAβ40である、請求項13に記載の方法。

請求項15

(i)前記Aβ42の動態学的パラメータと、前記第2のAβ測定対象に関する前記と同一の動態学的パラメータとの間の比を計算すること、及び(ii)(i)において計算された前記比を閾値と比較することを更に含み、前記閾値より低い値は当該患者がアミロイドプラークを有することを示す、請求項1に記載の方法。

請求項16

(i)1組のモデル・パラメータを含む、Aβの定常状態での動態に関する数学的モデルであって、該1組のモデル・パラメータが、Aβ42の不可逆消失に関する速度定数であるkex42、及びAβ40の不可逆的消失に関する速度定数を含む前記モデルを創出すること、(ii)kex42を10倍し、それをFTR比に加える計算を行うこと、但し、kex42がAβ42の交換コンパートメント内への進入速度を表わし、FTR比が、Aβ42対Aβ40に対する不可逆的消失に関する速度定数の比である、及び(iii)(ii)からの値を閾値と比較することを含み、前記閾値より低い値は被験者がアルツハイマー病を有することを示す、患者のアミロイド病態の診断方法

請求項17

前記アミロイド病態がアミロイド・プラーク、異常Aβ動態、及びアルツハイマー病からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。

請求項18

少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化推定するためのモデルの較正方法であって、a)患者に導入された標識化残基の量に関するデータ値を時間の関数として得ること、但し、前記少なくとも1種のAβイソ型の断片が標識化残基を含む、b)得られたデータ値に基づく前記モデルにより、前記少なくとも1種のAβイソ型の代謝経路モデル化し、1組のモデル・パラメータ及び推定される前記少なくとも1種のアミロイドの富化動態の経時変化を計算すること、及びc)前記推定される前記少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を、当該患者から得られた、実測された前記少なくとも1種のアミロイドの富化動態の経時変化と比較すること、d)前記推定される富化動態の経時変化が前記実測された富化動態の経時変化と一致する場合には、前記コンパートメント・モデルは較正されていると決定すること、e)前記推定される富化動態の経時変化が前記実測された富化動態の経時変化と一致しない場合には、i)前記1組のモデル・パラメータの少なくとも1を変更すること、及びii)該変更されたモデル・パラメータを用いてAβペプチドの代謝経路を再モデル化し、前記少なくとも1種のアミロイドの富化の、新しい推定される経時変化を計算すること、及びf)前記コンパートメント・モデルが較正されるまでc)〜e)を繰り返すことを含む、前記モデルの較正方法。

請求項19

a)少なくとも1のプロセッサ、及びb)前記少なくとも1のプロセッサ上で実行可能な複数のモジュールを備えるアミロイド動態アプリケーションを含むCRMを備え、前記複数のモジュールは、i)患者の血漿中への標識化残基の注入を表わし、且つ患者の血液脳関門(bloodbrainbarrier)(BBB)を通過する前記標識化残基の輸送を表す血漿モジュール、ii)前記標識化残基のAPP中への取り込み及びC99の生成を表す脳組織モジュール、iii)少なくとも1種のAβイソ型を生成するC99の開裂、及びそれに続く、患者の脳内での前記少なくとも1種のAβイソ型の動態を表すアミロイド動態モジュール、iv)患者のCSF内への前記少なくとも1種のAβイソ型の輸送を表すCSFモジュール、v)患者における前記少なくとも1種のAβイソ型の予測富化動態と実測富化動態との間の一致を最適化するために、前記血漿モジュールに入力された血漿ロイシン富化の時間履歴に対する当該モデルの動的応答を規定する1組のモデル・パラメータを反復して調節するモデル調整モジュール、及びvi)当該システムへの入力を受け取り、当該システムからの出力を伝達するために用いられる1又は複数のフォームを作成するGUIモジュールを備える、少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を推定するためのアミロイド動態モデル化システム。

請求項20

前記血漿モジュールが少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを備え、前記少なくとも1種のアミノ酸の前記血漿濃度が患者への標識化アミノ酸の注入の時間履歴を含む入力を用いて求められる、請求項19に記載のシステム。

請求項21

前記脳組織モジュールが、a)APPの合計量を含むAPPコンパートメント、b)前記血漿アミノ酸コンパートメントから前記APPコンパートメント中のAPP分子中への前記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度、c)C99C末端断片の合計量を含むC99コンパートメント、d)前記C99コンパートメントにおける、前記APP分子からの前記C99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度、及びe)前記C99コンパートメントからの前記C99C末端断片の消失速度を含むC99クリアランス速度を備える、請求項19に記載のシステム。

請求項22

前記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性Aβ42イソ型の量を含む可溶性Aβ42イソ型コンパートメント、b)前記C99C末端断片からの可溶性Aβ42イソ型の生成速度を含むAβ42イソ型生成速度、c)前記可溶性AβコンパートメントからのAβ42イソ型の消失速度を含むAβ42イソ型のクリアランス速度、d)前記可溶性Aβ42イソ型の、取り込まれたAβ42イソ型への変換速度を含むAβ42取り込み速度、及びe)取り込まれたAβ42イソ型の合計量を含む循環Aβ42コンパートメントを備える、請求項19に記載のシステム。

請求項23

前記CSFモジュールが、a)CSFAβ42イソ型の合計量を含むCSFAβ42コンパートメント、b)前記可溶性Aβ42コンパートメントから前記CSFAβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含むCSFAβ42移動速度、及びc)CSFAβ42プールからのCSFAβ42の消失速度を含むCSFAβ42クリアランス速度を備える、請求項19に記載のシステム。

請求項24

前記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性比較Aβイソ型の量を含む可溶性比較Aβイソ型コンパートメント、b)前記C99C末端断片からの可溶性比較Aβイソ型の生成速度を含む比較Aβイソ型生成速度、及びc)前記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントからの可溶性比較Aβイソ型の消失速度を含む比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備える、請求項22に記載のシステム。

請求項25

前記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択される、請求項24に記載のシステム。

請求項26

前記CSFモジュールが、a)CSF比較Aβイソ型の合計量を含むCSF比較Aβイソ型コンパートメント、b)前記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントから前記CSF比較Aβイソ型コンパートメントへの可溶性比較Aβイソ型の移動速度を含むCSF比較Aβイソ型移動速度、及びc)前記CSF比較Aβイソ型コンパートメントからのCSF比較Aβイソ型の消失速度を含むCSF比較Aβイソ型クリアランス速度を備える、請求項23に記載のシステム。

請求項27

前記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択される、請求項26に記載のシステム。

請求項28

少なくとも1のプロセッサ、及び前記少なくとも1のプロセッサを用いて実行可能な複数のモジュールを備えるCNSAβ動態モデル・アプリケーションを備え、前記モジュールが、a)少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを推定するための血漿アミノ酸モジュール、b)前記血漿アミノ酸コンパートメントからAPPコンパートメント中のAPP分子中への前記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度を推定するためのAPP取り込みモジュール、c)APP分子の合計量を含む前記APPコンパートメントを推定するためのAPPモジュール、d)C99コンパートメントにおける、前記APP分子からのC99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度を推定するためのC99生成モジュール、e)前記C99コンパートメントからの前記C99C末端断片の消失速度を含む、C99クリアランス速度を推定するためのC99クリアランスモジュール、e)前記C99C末端断片の合計量を含む前記C99コンパートメントを推定するためのC99モジュール、f)少なくとも1種の遊離Aβイソ型生成速度を推定するための遊離Aβ生成モジュールであって、但し、各遊離Aβイソ型生成速度は遊離Aβコンパートメント中の前記C99C末端断片からの遊離Aβイソ型の生成速度を含む前記モジュール、g)少なくとも1種の遊離Aβイソ型クリアランス速度を推定するための遊離Aβクリアランスモジュールであって、但し、各遊離Aβイソ型クリアランス速度は前記遊離Aβコンパートメントからの前記遊離Aβイソ型の1種の消失速度を含む前記モジュール、h)全ての遊離Aβイソ型の合計量を含む前記遊離Aβコンパートメントを推定するための遊離Aβモジュール、i)遊離Aβ循環モジュールであって、少なくとも1種の遊離Aβの取り込み速度、但し、各遊離Aβの取り込み速度は、遊離Aβイソ型の循環Aβコンパートメント中の取り込まれたAβイソ型への変換速度を含む、及び少なくとも1種のAβの循環速度、但し、各Aβの循環速度は、前記循環Aβコンパートメント中の取り込まれたAβイソ型の、前記遊離Aβコンパートメント中の遊離Aβイソ型へと戻る循環速度を含むを推定するための前記モジュール、j)少なくとも1種のCSFAβの移動速度を推定するためのCSFAβ移動モジュールであって、但し、各Aβの移動速度は前記遊離AβコンパートメントからCSFAβコンパートメントへの1種の遊離Aβイソ型の移動速度を含む前記モジュール、k)少なくとも1種のCSFAβのクリアランス速度を推定するためのCSFAβクリアランスモジュールであって、但し、各CSFAβのクリアランス速度は前記CSFAβコンパートメントからの1種のCSFAβイソ型の消失速度を含む前記モジュール、並びにl)前記CSFAβイソ型の合計量を含む前記CSFAβコンパートメントを推定するためのCSFAβモジュールを備える、患者のCNS中のアミロイドβ(Aβ)の動態推定システム

請求項29

前記Aβイソ型がAβ38、Aβ40、及びAβ42より選択される、請求項28に記載のシステム。

請求項30

前記血漿アミノ酸コンパートメントの少なくとも一部が少なくとも1種の標識化アミノ酸の血漿濃度を含み、前記APPコンパートメントの少なくとも一部が前記少なくとも1種の標識化アミノ酸を取り込む富化されたAPP分子の量を含み、前記C99コンパートメントの少なくとも一部がある量の富化されたAPP分子から生成する富化されたC99C末端断片の該量を更に含み、前記Aβイソ型の少なくとも一部がある量の富化されたC99C末端断片から生成する富化されたAβイソ型の該量を更に含む、請求項28に記載のシステム。

請求項31

CSFAβ移動モジュールが少なくとも1種のCSFAβの遅延を更に推定する、請求項28に記載のシステムであって、但し、各CSFAβの遅延は、前記遊離Aβコンパートメントから前記CSFAβコンパートメントへの、1種の遊離Aβイソ型の移動の遅延を含む、前記システム。

請求項32

前記少なくとも1種のCSFAβの移動速度が脳内のISF流体流動により表される、請求項28に記載の方法。

請求項33

患者から、患者に注入された標識化残基の濃度の経時変化を含む実測Aβ富化動態データ、実測された当該患者のCSF中のAβ42富化動態の経時変化、及び実測された、当該患者における少なくとも1種のその他の比較Aβイソ型の富化動態の経時変化を得ること、前記実測Aβ富化動態データをモデルに入力すること、但し、前記モデルはAβ42及び前記少なくとも1種のその他の比較Aβイソ型の富化動態を表す、当該モデルから1組のモデル・パラメータを得ること、当該モデルからの少なくとも2のモデル・パラメータの数学的組み合わせを含むモデル・インデックスを計算すること、前記モデル・インデックスを予め選択された閾値範囲と比較すること、及び前記モデル・インデックスが前記閾値範囲から外れる場合に、当該患者の病態識別することを含む、アミロイドβ(Aβ)イソ型富化動態のモデルの使用方法

請求項34

前記モデル・インデックスが前記閾値範囲から外れる場合に、前記病態がアルツハイマー病と識別される、請求項33に記載の方法。

請求項35

前記モデル・インデックスを、予め選択された前記病態の前記モデル・インデックスに対する相関関係と比較することにより病態の重症度が識別される、請求項33に記載の方法。

請求項36

前記病態の前記相関関係がある範囲の病態の患者の母集団から得られる、前記モデル・インデックスのPIBイメージング値に対する相関関係である、請求項35に記載の方法。

請求項37

前記患者から実測Aβ富化動態データがSILK法によって得られる、請求項33に記載の方法。

請求項38

前記標識化残基が標識化ロイシンである、請求項33に記載の方法。

請求項39

前記少なくとも1種のその他の比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択される、請求項33に記載の方法。

請求項40

前記モデル・パラメータがAβイソ型の濃度、移動速度、不可逆的消失速度、交換速度、遅延速度、及びそれらの組み合わせより選択される、請求項33に記載の方法。

請求項41

前記モデル・インデックスがAβ42の不可逆的消失速度及びAβ42の移動速度を用いて計算される、請求項33に記載の方法。

請求項42

前記モデル・パラメータが推定Aβ富化動態の実測Aβ富化動態に対する最適な合致が得られるまで、該モデル・パラメータを反復して変化させることによって得られる、請求項33に記載の方法。

請求項43

a)少なくとも1のプロセッサ、及びb)前記少なくとも1のプロセッサ上で実行可能な複数のモジュールを備えるアミロイド動態アプリケーションを含むCRMを備え、前記複数のモジュールは、i)患者の血漿中への標識化残基の注入を表わし、且つ患者の血液脳関門(BBB)を通過する前記標識化残基の輸送を表す血漿モジュール、ii)前記標識化残基のAPP中への取り込み及びC99の生成を表す脳組織モジュール、iii)少なくとも1種のAβイソ型を生成するC99の開裂、及びそれに続く、患者の脳内での前記少なくとも1種のAβイソ型の動態を表すアミロイド動態モジュール、iv)患者のCSF内への前記少なくとも1種のAβイソ型の輸送を表すCSFモジュール、v)前記少なくとも1種のAβイソ型の、患者の血液内への輸送を表す血液富化モジュール、v)患者における前記少なくとも1種のAβイソ型の予測富化動態と実測富化動態との間の一致を最適化するために、前記血漿モジュールに入力された血漿ロイシン富化の時間履歴に対する当該モデルの動的応答を規定する1組のモデル・パラメータを反復して調節するモデル調整モジュール、及びvi)当該システムへの入力を受け取り、当該システムからの出力を伝達するために用いられる1又は複数のフォームを作成するGUIモジュールを備える、少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を推定するためのアミロイド動態モデル化システム。

請求項44

前記血漿モジュールが少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを備え、前記少なくとも1種のアミノ酸の前記血漿濃度が患者への標識化アミノ酸の注入の時間履歴を含む入力を用いて求められる、請求項43に記載のシステム。

請求項45

前記脳組織モジュールが、a)APPの合計量を含むAPPコンパートメント、b)前記血漿アミノ酸コンパートメントから前記APPコンパートメント中のAPP分子中への前記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度、c)C99C末端断片の合計量を含むC99コンパートメント、d)前記C99コンパートメントにおける、前記APP分子からの前記C99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度、及びe)前記C99コンパートメントからの前記C99C末端断片の消失速度を含むC99クリアランス速度を備える、請求項43に記載のシステム。

請求項46

前記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性Aβ42イソ型の量を含む可溶性Aβ42イソ型コンパートメント、b)前記C99C末端断片からの可溶性Aβ42イソ型の生成速度を含むAβ42イソ型生成速度、c)前記可溶性AβコンパートメントからのAβ42イソ型の消失速度を含むAβ42イソ型のクリアランス速度、d)前記可溶性Aβ42イソ型の、取り込まれたAβ42イソ型への変換速度を含むAβ42取り込み速度、及びe)取り込まれたAβ42イソ型の合計量を含む循環Aβ42コンパートメントを備える、請求項43に記載のシステム。

請求項47

前記CSFモジュールが、a)CSFAβ42イソ型の合計量を含むCSFAβ42コンパートメント、b)前記可溶性Aβ42コンパートメントから前記CSFAβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含むCSFAβ42移動速度、及びc)CSFAβ42プールからのCSFAβ42の消失速度を含むCSFAβ42クリアランス速度を備える、請求項43に記載のシステム。

請求項48

前記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性比較Aβイソ型の量を含む可溶性比較Aβイソ型コンパートメント、b)前記C99C末端断片からの可溶性比較Aβイソ型の生成速度を含む比較Aβイソ型生成速度、及びc)前記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントからの可溶性比較Aβイソ型の消失速度を含む比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備える、請求項46に記載のシステム。

請求項49

前記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択される、請求項48に記載のシステム。

請求項50

前記CSFモジュールが、a)CSF比較Aβイソ型の合計量を含むCSF比較Aβイソ型コンパートメント、b)前記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントから前記CSF比較Aβイソ型コンパートメントへの可溶性比較Aβイソ型の移動速度を含むCSF比較Aβイソ型移動速度、及びc)前記CSF比較Aβイソ型コンパートメントからのCSF比較Aβイソ型の消失速度を含むCSF比較Aβイソ型クリアランス速度を備える、請求項47に記載のシステム。

請求項51

前記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択される、請求項50に記載のシステム。

請求項52

前記血液富化モジュールが、a)血液Aβ42イソ型の合計量を含む血液Aβ42コンパートメント、b)前記可溶性Aβ42コンパートメントから前記血液Aβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含む血液Aβ42移動速度、及びc)血液Aβ42プールからの血液Aβ42の消失速度を含む血液Aβ42クリアランス速度を備える、請求項43に記載のシステム。

請求項53

a)少なくとも1のプロセッサ、及びb)前記少なくとも1のプロセッサ上で実行可能な複数のモジュールを備えるアミロイド動態アプリケーションを含むCRMを備え、前記複数のモジュールは、i)患者の血漿中への標識化残基の注入を表わし、且つ患者の血液脳関門(BBB)を通過する前記標識化残基の輸送を表す血漿モジュール、ii)前記標識化残基のAPP中への取り込み及びC99の生成を表す脳組織モジュール、iii)少なくとも1種のAβイソ型を生成するC99の開裂、及びそれに続く、患者の脳内での前記少なくとも1種のAβイソ型の動態を表すアミロイド動態モジュール、v)前記少なくとも1種のAβイソ型の、患者の血液内への輸送を表す血液富化モジュール、v)患者における前記少なくとも1種のAβイソ型の予測富化動態と実測富化動態との間の一致を最適化するために、前記血漿モジュールに入力された血漿ロイシン富化の時間履歴に対する当該モデルの動的応答を規定する1組のモデル・パラメータを反復して調節するモデル調整モジュール、及びvi)当該システムへの入力を受け取り、当該システムからの出力を伝達するために用いられる1又は複数のフォームを作成するGUIモジュールを備える、少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を推定するためのアミロイド動態モデル化システム。

請求項54

前記血漿モジュールが少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを備え、前記少なくとも1種のアミノ酸の前記血漿濃度が患者への標識化アミノ酸の注入の時間履歴を含む入力を用いて求められる、請求項53に記載のシステム。

請求項55

前記脳組織モジュールが、a)APPの合計量を含むAPPコンパートメント、b)前記血漿アミノ酸コンパートメントから前記APPコンパートメント中のAPP分子中への前記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度、c)C99C末端断片の合計量を含むC99コンパートメント、d)前記C99コンパートメントにおける、前記APP分子からの前記C99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度、及びe)前記C99コンパートメントからの前記C99C末端断片の消失速度を含むC99クリアランス速度を備える、請求項53に記載のシステム。

請求項56

前記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性Aβ42イソ型の量を含む可溶性Aβ42イソ型コンパートメント、b)前記C99C末端断片からの可溶性Aβ42イソ型の生成速度を含むAβ42イソ型生成速度、c)前記可溶性AβコンパートメントからのAβ42イソ型の消失速度を含むAβ42イソ型のクリアランス速度、d)前記可溶性Aβ42イソ型の、取り込まれたAβ42イソ型への変換速度を含むAβ42取り込み速度、及びe)取り込まれたAβ42イソ型の合計量を含む循環Aβ42コンパートメントを備える、請求項53に記載のシステム。

請求項57

前記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性比較Aβイソ型の量を含む可溶性比較Aβイソ型コンパートメント、b)前記C99C末端断片からの可溶性比較Aβイソ型の生成速度を含む比較Aβイソ型生成速度、及びc)前記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントからの可溶性比較Aβイソ型の消失速度を含む比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備える、請求項56に記載のシステム。

請求項58

前記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択される、請求項57に記載のシステム。

請求項59

前記血液富化モジュールが、a)血液Aβ42イソ型の合計量を含む血液Aβ42コンパートメント、b)前記可溶性Aβ42コンパートメントから前記血液Aβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含む血液Aβ42移動速度、及びc)血液Aβ42プールからの血液Aβ42の消失速度を含む血液Aβ42クリアランス速度を備える、請求項53に記載のシステム。

技術分野

0001

発明における政府権利
本発明は、米国国立老化研究所により授与された5P01AG026276−S1及び米国国立衛生研究所により授与されたR−01−NS065667に基づく政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。

0002

関連出願の参照
本願は、2012年11月20日出願の、「METHODS OF DIAGNOSINGAMYLOID PATHOLOGIESUSING ANALYSIS OF AMYLOID—BETA ENRICHMENTKINETICS」を発明の名称とする米国特許仮出願第61/728,692号の優先権を主張し、該出願は、これにより、その全てが参照により本願に組み込まれる。

0003

本開示は、概括的には、少なくとも1種のアミロイドβイソ型富化動態の測定を用いる、患者中枢神経系におけるアミロイド病態の診断方法に関する。加えて、本開示は、少なくとも1種のアミロイドβイソ型の富化動態を予測するための数学的モデル構築方法及び使用方法、並びに該モデルを用いた、患者の中枢神経系におけるアミロイド病態の診断方法に関する。

背景技術

0004

アルツハイマー病(Alzheimer’s Disease)(AD)は認知症の最も一般的な原因であり、ますます増加する公衆衛生上の問題である。ADは他の中枢神経系(central nervous system)(CNS変性疾患と同様に、タンパク質の生成、蓄積、及びクリアランス障害により特徴付けられる。ADにおいては、タンパク質アミロイドβ(amyloid−bata)(Aβ)の代謝における調節不全が、当該疾患を有する患者の脳におけるこのたんぱく質の多量の蓄積によって示される。その重症度及びますます増加する人口に対する当該疾患の有病率により、より好適な治療法が開発されることが急がれる。

0005

アルツハイマー病の発症原因は完全には解明されておらず、そのことは、一部、ヒトにおいて認知症をもたらすステップを証明することの困難さに起因する。希ではあるが、常染色体優性AD(autosomal dominant AD)(ADAD)は、プレセニリン(presenilin)1(PSEN1)、プレセニリン2(PSEN2)、又はアミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein)(APP)における特定の変異を有する個人において、100%近い確度で予測することができる。最近の知見は、一連のADADの病態生理学的変化が臨床上の認知症が現れる数十年前に脳に起こることを示唆している。しかしながら、これらの変異がADの病態生理をもたらす機序はよく解明されていない。

0006

アミロイド仮説は、ADは脳におけるAβ生成の増加又はAβクリアランスの低下によって引き起こされ、アミロイド症器官又は組織中へのアミロイドタンパク質沈着)及びADの病理学的な顕著な特徴であるアミロイド・プラークをもたらすと予測し、該アミロイド・プラークは主としてAβ42からなる。Aβの生成を低下させるAPP変異はADに対する強力な保護効果関与する一方、APPの複製又はAβ若しくはAβ42を増加させると考えられる変異は、優性遺伝性ADを引き起こす。Aβはγ−セクレターゼ酵素成分であるPSEN1及びPSEN2によって、APPのC末端断片(C99)から開裂される。細胞培養及び血漿中においては、PSEN変異はAβ42:Aβ40比の増加と関連付けられており、Aβ42:Aβ40比の増加は、アミロイド症の危険性を増加させると仮定されている。しかしながら、他の研究者は、インビトロでは、Aβ42:Aβ40比及びAβ42の濃度のいずれも増加しないことを見出している。更に、ADAD患者における脳脊髄液(cerebrospinal fluid)(CSF)のAβ42濃度が逆に減少するとの知見は、優性遺伝性ADにおける病因機序として予測されたAβ42生成の増加を直接的に支持するものとは思われない。

0007

散発性ADは、安定同位体標識動態(stable isotope labeling kinetics)(SILK)によって測定されたAβのクリアランスの低下によって特徴付けることができる。散発性AD及びADADは共に、より低いCSFのAβ42濃度及びAβ42:Aβ40比と関連付けられる。しかしながら、ヒトにおけるAβ42生成の増加の直接的な証拠報告されてはいないものの、PSEN ADAD変異はAβ42生成の増加を引き起こすと仮定される。

0008

従って、イン・ビボでのAβ動態のモデル化方法に対するニーズが存在する。特に、例えば、ADにおけるAβの代謝などの、イン・ビボでの、神経変性疾患に関連するタンパク質の合成速度及び該タンパク質のクリアランス速度モデル化に対する方法が必要とされている。かかるモデルは、ADの根底をなす過程の特徴付け及び治療に向けた研究の有用なツールとして役立つことができる。

0009

本開示は、概括的には、患者におけるCNS生体分子の代謝及び輸送に関するモデル化システム及び方法、並びにモデルの較正システム及び方法に関する。

0010

一態様において、生体分子の定常状態での動態に関するコンパートメント・モデルの較正方法は、患者における標識化残基の濃度に関するデータ値を時間の関数として取得することを含む。上記生体分子の一部分が上記標識化残基である。上記方法は、生体分子の代謝経路を、標識化残基に関して得られたデータ値に基づくコンパートメント・モデルによりモデル化すること、該コンパートメント・モデルの結果をプロットすること、及び上記結果のプロットを実測データ値の別なプロットと比較することを含む。モデルの結果のプロットが実測データ値の他のプロットと一致する場合は、該モデルは十分に較正されている。これに対して、モデルの結果のプロットが実測データ値の他のプロットと一致しない場合は、コンパートメント・モデルの少なくとも1の速度定数が変更される。当該生体分子の代謝経路は、上記少なくとも1の変更された速度定数を用いて再モデル化される。コンパートメント・モデルの再モデル化の結果がプロットされ、実測データ値の他のプロットと比較される。比較及び少なくとも1の速度定数の変更の操作が必要に応じて繰り返され、実測データ値のプロットと一致するプロットを作り出す。

0011

種々の他の態様において、上記方法は1又は複数のコンピュータ処理装置上で実施することができる。上記コンピュータ処理装置は、ネットワークを介して配置されていてもよく、又は独立した装置であってもよい。一態様において、コンピュータ処理装置は、ユーザーが、同時に且つリアルタイムに近い形でプロットを変更及び比較することができるように用いられてもよい。

0012

第2の態様において、患者の中枢神経系中のアミロイド病態の検知方法は、(i)Aβ42及び少なくとも1種のその他のAβペプチドの、1又は複数の動態学パラメータを測定すること、(ii)上記Aβ42の動態学的パラメータと、第2のAβ測定対象に関する上記と同一の動態学的パラメータとを比較すること、及び(iii)上記2つの動態学的パラメータ間差異に基づいて、被験者がアミロイド病態を有するか否かを決定することを含む。上記動態学的パラメータが、合成速度、ピーク時間、ピーク富化、初期下降一指勾配末期単一指数勾配、及びそれらの組み合わせよりなる群より選択されてもよい。2以上の動態学的パラメータが測定されてもよく、3以上の動態学的パラメータが測定されてもよく、4以上の動態学的パラメータが測定されてもよく、あるいは、少なくとも5の動態学的パラメータが測定されてもよい。上記動態学的パラメータが合成速度であり、Aβ42の合成速度が上記第2のAβ測定対象に関する合成速度よりも速くてもよく、上記動態学的パラメータがピーク時間であり、Aβ42のピーク時間が上記第2のAβ測定対象に関するピーク時間よりも早くてもよく、上記動態学的パラメータがピーク富化であり、Aβ42のピーク富化が上記第2のAβ測定対象に関するピーク富化よりも低くてもよく、上記動態学的パラメータが初期下降単一指数勾配であり、Aβ42の該初期勾配が上記第2のAβ測定対象に関する該初期勾配よりも急であってもよく、あるいは、上記動態学的パラメータが末期単一指数勾配であり、Aβ42の該末期勾配が上記第2のAβ測定対象に関する該末期勾配よりも緩やかであってもよい。上記1又は複数の動態学的パラメータが安定同位体標識動態によって測定されてもよい。標識化アミノ酸が、6〜12時間、6〜9時間、及び9〜12時間からなる群より選択される期間に、1時間毎に被験者に投与されてもよい。標識化ペプチドの量及び非標識化ペプチドの量は質量分光分析法、タンデム質量分光分析法、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される手段によって検知されてもよい。上記1又は複数の動態学的パラメータがAβ富化動態に関する数学的モデルを用いて求められてもよい。上記方法が、上記標識化アミノ酸の患者への投与後の単一の時点において、上記第2のAβ測定対象と比較したAβ42の同位体富化を計算することを更に含んでもよい。上記第2のAβ測定対象がAβ42以外のAβペプチド及び全Aβからなる群より選択されてもよい。上記Aβ42以外のAβペプチドがAβ38又はAβ40であってもよい。上記方法が、(i)上記Aβ42の動態学的パラメータと、上記第2のAβ測定対象に関する上記と同一の動態学的パラメータとの間の比を計算すること、及び(ii)(i)において計算された上記比を閾値と比較することを更に含んでもよく、閾値よりも低い値は当該患者がアミロイド・プラークを有することを示す。

0013

第3の態様においては、患者のアミロイド病態の診断方法が提供される。該方法は、(i)1組のモデル・パラメータを含む、Aβの定常状態での動態に関する数学的モデルを創出すること、(ii)kex42を10倍し、それをFTR比に加える計算を行うこと、及び(iii)(ii)からの値を閾値と比較することを含み、上記閾値よりも低い値は被験者がアルツハイマー病を有することを示す。上記1組のモデル・パラメータは、Aβ42の不可逆消失に関する速度定数であるkex42、及びAβ40の不可逆的消失に関する速度定数を含む。kex42はAβ42の交換コンパートメント内への進入速度記述し、FTR比はAβ42対Aβ40に対する不可逆的消失に関する速度定数の比である。上記アミロイド病態がアミロイド・プラーク、異常Aβ動態、及びアルツハイマー病からなる群より選択されてもよい。

0014

第4の態様において、少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化推定するためのモデルの較正方法が提供される。該方法は、a)患者に導入された標識化残基の量に関するデータ値を時間の関数として得ること、但し、上記少なくとも1種のAβイソ型の一部分が標識化残基を含む、b)得られたデータ値に基づく上記モデルにより、上記少なくとも1種のAβイソ型の代謝経路をモデル化し、1組のモデル・パラメータ及び推定される上記少なくとも1種のアミロイドの富化動態の経時変化を計算すること、及びc)上記推定される上記少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を、当該患者から得られた、実測された上記少なくとも1種のアミロイドの富化動態の経時変化と比較することを含む。上記推定される富化動態の経時変化が上記実測された富化動態の経時変化と一致する場合には、上記モデルは上記コンパートメント・モデルが較正されていると決定する。上記推定される富化動態の経時変化が上記実測された富化動態の経時変化と一致しない場合には、上記モデルは上記1組のモデル・パラメータの少なくとも1を変更し、該変更されたモデル・パラメータを用いてAβペプチドの代謝経路を再モデル化し、上記少なくとも1種のアミロイドの富化の、新たな推定される経時変化を計算してもよく、これらのステップは、上記コンパートメント・モデルが較正されるまで繰り返されてもよい。

0015

第5の態様においては、少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を推定するためのアミロイド動態モデル化システムが提供される。該システムは、a)少なくとも1のプロセッサ、及びb)上記少なくとも1のプロセッサ上で実行可能な複数のモジュールを備えるアミロイド動態アプリケーションを含むCRMを備えていてもよい。上記複数のモジュールは、i)患者の血漿中への標識化残基の注入を表わし、且つ患者の血液脳関門(blood brain barrier)(BBB)を通過する標識化残基の輸送を表す血漿モジュール、ii)標識化残基のAPP中への取り込み及びC99の生成を表す脳組織モジュール、iii)少なくとも1種のAβイソ型を生成するC99の開裂、及びそれに続く、患者の脳内での上記少なくとも1種のAβイソ型の動態を表すアミロイド動態モジュール、iv)患者のCSF内への上記少なくとも1種のAβイソ型の輸送を表すCSFモジュール、v)患者における上記少なくとも1種のAβイソ型の予測富化動態と実測富化動態との間の一致を最適化するために、上記血漿モジュールに入力された血漿ロイシン富化の時間履歴に対する当該モデルの動的応答を規定する1組のモデル・パラメータを反復して調節するモデル調整モジュール、及びvi)当該システムへの入力を受け取り、当該システムからの出力を伝達するために用いられる1又は複数のフォームを作成するGUIモジュールを備えていてもよい。上記血漿モジュールが少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを備え、上記少なくとも1種のアミノ酸の上記血漿濃度が患者への標識化アミノ酸の注入の時間履歴を含む入力を用いて求められてもよい。上記脳組織モジュールは、a)APPの合計量を含むAPPコンパートメント、b)上記血漿アミノ酸コンパートメントから上記APPコンパートメント中のAPP分子中への上記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度、c)C99C末端断片の合計量を含むC99コンパートメント、d)上記C99コンパートメント中の、上記APP分子からの上記C99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度、及びe)上記C99コンパートメントからの上記C99C末端断片の消失速度を含むC99クリアランス速度を備える。上記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性Aβ42イソ型の量を含む可溶性Aβ42イソ型コンパートメント、b)上記C99C末端断片からの可溶性Aβ42イソ型の生成速度を含むAβ42イソ型生成速度、c)上記可溶性AβコンパートメントからのAβ42イソ型の消失速度を含むAβ42イソ型のクリアランス速度、d)上記可溶性Aβ42イソ型の、取り込まれたAβ42イソ型への変換速度を含むAβ42取り込み速度、及びe)取り込まれたAβ42イソ型の合計量を含む循環Aβ42コンパートメントを備える。上記CSFモジュールが、a)CSF Aβ42イソ型の合計量を含むCSF Aβ42コンパートメント、b)上記可溶性Aβ42コンパートメントから上記CSF Aβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含むCSF Aβ42移動速度、及びc)CSF Aβ42プールからのCSF Aβ42の消失速度を含むCSF Aβ42クリアランス速度を備える。上記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性比較Aβイソ型の量を含む可溶性比較Aβイソ型コンパートメント、b)上記C99C末端断片からの可溶性比較Aβイソ型の生成速度を含む比較Aβイソ型生成速度、及びc)上記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントからの可溶性比較Aβイソ型の消失速度を含む比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備えていてもよい。上記CSFモジュールが、a)CSF比較Aβイソ型の合計量を含むCSF比較Aβイソ型コンパートメント、b)上記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントから上記CSF比較Aβイソ型コンパートメントへの可溶性比較Aβイソ型の移動速度を含むCSF比較Aβイソ型移動速度、及びc)上記CSF比較Aβイソ型コンパートメントからのCSF比較Aβイソ型の消失速度を含むCSF比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備えていてもよい。上記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択されてもよい。

0016

第6の態様においては、患者のCNS中のアミロイドβ(Aβ)の動態推定システムが開示され、該システムは、少なくとも1のプロセッサ、及び上記少なくとも1のプロセッサを用いて実行可能な複数のモジュールを備える、CNS Aβ動態モデル・アプリケーションを備える。上記モジュールが、a)少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを推定するための血漿アミノ酸モジュール、b)上記血漿アミノ酸コンパートメントからAPPコンパートメント中のAPP分子中への上記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度を推定するためのAPP取り込みモジュール、c)APP分子の合計量を含む上記APPコンパートメントを推定するためのAPPモジュール、d)C99コンパートメント中の、上記APP分子からのC99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度を推定するためのC99生成モジュール、e)上記C99コンパートメントからの上記C99C末端断片の消失速度を含む、C99クリアランス速度を推定するためのC99クリアランスモジュール、e)上記C99C末端断片の合計量を含む上記C99コンパートメントを推定するためのC99モジュール、f)少なくとも1種の遊離Aβイソ型生成速度を推定するための遊離Aβ生成モジュールであって、但し、各遊離Aβイソ型生成速度は遊離Aβコンパートメント中の上記C99C末端断片からの遊離Aβイソ型の生成速度を含む上記モジュール、g)少なくとも1種の遊離Aβイソ型クリアランス速度を推定するための遊離Aβクリアランスモジュールであって、但し、各遊離Aβイソ型クリアランス速度は上記遊離Aβコンパートメントからの上記遊離Aβイソ型の1種の消失速度を含む上記モジュール、h)全ての遊離Aβイソ型の合計量を含む上記遊離Aβコンパートメントを推定するための遊離Aβモジュール、i)遊離Aβ循環モジュールであって、少なくとも1種の遊離Aβの取り込み速度、但し、各遊離Aβの取り込み速度は、遊離Aβイソ型の循環Aβコンパートメント中の取り込まれたAβイソ型への変換速度を含む、及び少なくとも1種のAβの循環速度、但し、各Aβの循環速度は、上記循環Aβコンパートメント中の取り込まれたAβイソ型の、上記遊離Aβコンパートメント中の遊離Aβイソ型へと戻る循環速度を含む、を推定するための上記モジュール、j)少なくとも1種のCSFAβの移動速度を推定するためのCSF Aβ移動モジュールであって、但し、各Aβの移動速度は上記遊離AβコンパートメントからCSF Aβコンパートメントへの1種の遊離Aβイソ型の移動速度を含む上記モジュール、k)少なくとも1種のCSF Aβのクリアランス速度を推定するためのCSF Aβクリアランスモジュールであって、但し、各CSF Aβのクリアランス速度は上記CSF Aβコンパートメントからの1種のCSF Aβイソ型の消失速度を含む上記モジュール、並びに、l)上記CSF Aβイソ型の合計量を含む上記CSF Aβコンパートメントを推定するためのCSF Aβモジュールを備えていてもよい。上記Aβイソ型がAβ38、Aβ40、及びAβ42より選択されてもよい。上記血漿アミノ酸コンパートメントの少なくとも一部が少なくとも1種の標識化アミノ酸の血漿濃度を含んでもよい。上記APPコンパートメントの少なくとも一部が上記少なくとも1種の標識化アミノ酸を取り込む富化されたAPP分子の量を含んでもよい。上記C99コンパートメントの少なくとも一部がある量の富化されたAPP分子から生成する富化されたC99C末端断片の該量を更に含んでもよい。上記Aβイソ型の少なくとも一部がある量の富化されたC99C末端断片から生成する富化されたAβイソ型の該量を更に含んでもよい。上記CSF Aβ移動モジュールが少なくとも1種のCSF Aβの遅延を更に推定してもよく、但し、各CSF Aβの遅延は、上記遊離Aβコンパートメントから上記CSF Aβコンパートメントへの、1種の遊離Aβイソ型の移動の遅延を含む。上記少なくとも1種のCSF Aβの移動速度が脳内のISF流体流動により表されてもよい。

0017

第7の態様においては、アミロイドβ(Aβ)イソ型富化動態のモデルの使用方法が提供され、該方法は、a)患者から、患者に注入された標識化残基の濃度の経時変化を含む実測されたAβ富化動態データ、実測された当該患者のCSF中のAβ42富化動態の経時変化、及び実測された、当該患者における少なくとも1種のその他の比較Aβイソ型の富化動態の経時変化を得ること、b)上記実測されたAβ富化動態データをモデルに入力すること、但し、上記モデルはAβ42及び上記少なくとも1種のその他の比較Aβイソ型の富化動態を表す、c)当該モデルから1組のモデル・パラメータを得ること、d)当該モデルからの少なくとも2つのモデル・パラメータの数学的組み合わせを含むモデル・インデックスを計算すること、e)上記モデル・インデックスを予め選択された閾値範囲と比較すること、及びf)上記モデル・インデックスが上記閾値範囲から外れる場合に、当該患者の病態を識別することを含む。上記モデル・インデックスが上記閾値範囲から外れる場合に、上記病態がアルツハイマー病と識別されてもよい。上記モデル・インデックスを、予め選択された上記病態のモデル・インデックスに対する相関関係と比較することにより病態の重症度が識別されてもよい。上記病態の上記相関関係がある範囲の病態の患者の母集団から得られる、上記モデル・インデックスのPIBイメージング値に対する相関関係であってもよい。上記患者から実測Aβ富化動態データがSILK法によって得られてもよい。上記標識化残基が標識化ロイシンであってもよい。上記少なくとも1種のその他の比較Aβイソ型はAβ38及びAβ40より選択されてもよい。上記モデル・パラメータがAβイソ型の濃度、移動速度、不可逆的消失速度、交換速度、遅延速度、及びそれらの組み合わせより選択されてもよい。上記モデル・インデックスがAβ42の不可逆的消失速度及びAβ42の移動速度を用いて計算されてもよい。上記モデル・パラメータが、推定Aβ富化動態の実測Aβ富化動態に対する最適な合致が得られるまで、該モデル・パラメータを反復して変化させることによって得られてもよい。

0018

第8の態様においては、少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を推定するためのアミロイド動態モデル化システムが提供され、該システムは、a)少なくとも1のプロセッサ、及びb)上記少なくとも1のプロセッサ上で実行可能な複数のモジュールを備えるアミロイド動態アプリケーションを含むCRMを備える。上記複数のモジュールは、i)患者の血漿中への標識化残基の注入を表わし、且つ患者の血液脳関門(BBB)を通過する上記標識化残基の輸送を表す血漿モジュール、ii)上記標識化残基のAPP中への取り込み及びC99の生成を表す脳組織モジュール、iii)少なくとも1種のAβイソ型を生成するC99の開裂、及びそれに続く、患者の脳内での上記少なくとも1種のAβイソ型の動態を表すアミロイド動態モジュール、iv)患者のCSF内への上記少なくとも1種のAβイソ型の輸送を表すCSFモジュール、v)上記少なくとも1種のAβイソ型の、患者の血液内への輸送を表す血液富化モジュール、v)患者における上記少なくとも1種のAβイソ型の予測富化動態と実測富化動態との間の一致を最適化するために、上記血漿モジュールに入力された血漿ロイシン富化の時間履歴に対する当該モデルの動的応答を規定する1組のモデル・パラメータを反復して調節するモデル調整モジュール、及びvi)当該システムへの入力を受け取り、当該システムからの出力を伝達するために用いられる1又は複数のフォームを作成するGUIモジュールを備えていてもよい。上記血漿モジュールが少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを備え、上記少なくとも1種のアミノ酸の上記血漿濃度が患者への標識化アミノ酸の注入の時間履歴を含む入力を用いて求められてもよい。上記脳組織モジュールが、a)APPの合計量を含むAPPコンパートメント、b)上記血漿アミノ酸コンパートメントから上記APPコンパートメント中のAPP分子中への上記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度、c)C99C末端断片の合計量を含むC99コンパートメント、d)上記C99コンパートメント中の、上記APP分子からの上記C99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度、及びe)上記C99コンパートメントからの上記C99C末端断片の消失速度を含むC99クリアランス速度を備える。上記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性Aβ42イソ型の量を含む可溶性Aβ42イソ型コンパートメント、b)上記C99C末端断片からの可溶性Aβ42イソ型の生成速度を含むAβ42イソ型生成速度、c)上記可溶性AβコンパートメントからのAβ42イソ型の消失速度を含むAβ42イソ型のクリアランス速度、d)上記可溶性Aβ42イソ型の、取り込まれたAβ42イソ型への変換速度を含むAβ42取り込み速度、及びe)取り込まれたAβ42イソ型の合計量を含む循環Aβ42コンパートメントを備える。上記CSFモジュールが、a)CSF Aβ42イソ型の合計量を含むCSF Aβ42コンパートメント、b)上記可溶性Aβ42コンパートメントから上記CSF Aβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含むCSF Aβ42移動速度、及び c)CSF Aβ42プールからのCSF Aβ42の消失速度を含むCSF Aβ42クリアランス速度を備える。上記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性比較Aβイソ型の量を含む可溶性比較Aβイソ型コンパートメント、b)上記C99C末端断片からの可溶性比較Aβイソ型の生成速度を含む比較Aβイソ型生成速度、及びc)上記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントからの可溶性比較Aβイソ型の消失速度を含む比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備えていてもよい。上記CSFモジュールが、a)CSF比較Aβイソ型の合計量を含むCSF比較Aβイソ型コンパートメント、b)上記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントから上記CSF比較Aβイソ型コンパートメントへの可溶性比較Aβイソ型の移動速度を含むCSF比較Aβイソ型移動速度、及びc)上記CSF比較Aβイソ型コンパートメントからのCSF比較Aβイソ型の消失速度を含むCSF比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備えていてもよい。上記血液富化モジュールが、a)血液Aβ42イソ型の合計量を含む血液Aβ42コンパートメント、b)上記可溶性Aβ42コンパートメントから上記血液Aβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含む血液Aβ42移動速度、及びc)血液Aβ42プールからの血液Aβ42の消失速度を含む血液Aβ42クリアランス速度を備える。上記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択されてもよい。

0019

第9の態様においては、少なくとも1種のAβイソ型の富化動態の経時変化を推定するためのアミロイド動態モデル化システムが提供され、該システムは、a)少なくとも1のプロセッサ、及びb)上記少なくとも1のプロセッサ上で実行可能な複数のモジュールを備えるアミロイド動態アプリケーションを含むCRMを備えていてもよい。上記複数のモジュールは、i)患者の血漿中への標識化残基の注入を表わし、且つ患者の血液脳関門(BBB)を通過する上記標識化残基の輸送を表す血漿モジュール、ii)上記標識化残基のAPP中への取り込み及びC99の生成を表す脳組織モジュール、iii)少なくとも1種のAβイソ型を生成するC99の開裂、及びそれに続く、患者の脳内での上記少なくとも1種のAβイソ型の動態を表すアミロイド動態モジュール、v)上記少なくとも1種のAβイソ型の、患者の血液内への輸送を表す血液富化モジュール、v)患者における上記少なくとも1種のAβイソ型の予測富化動態と実測富化動態との間の一致を最適化するために、上記血漿モジュールに入力された血漿ロイシン富化の時間履歴に対する当該モデルの動的応答を規定する1組のモデル・パラメータを反復して調節するモデル調整モジュール、及びvi)当該システムへの入力を受け取り、当該システムからの出力を伝達するために用いられる1又は複数のフォームを作成するGUIモジュールを備えていてもよい。上記血漿モジュールが少なくとも1種のアミノ酸の血漿濃度を含む血漿アミノ酸コンパートメントを備え、上記少なくとも1種のアミノ酸の上記血漿濃度が患者への標識化アミノ酸の注入の時間履歴を含む入力を用いて求められてもよい。上記脳組織モジュールが、a)APPの合計量を含むAPPコンパートメント、b)上記血漿アミノ酸コンパートメントから上記APPコンパートメント中のAPP分子中への上記少なくとも1種のアミノ酸の取り込み速度を含むAPP取り込み速度、c)C99C末端断片の合計量を含むC99コンパートメント、d)上記C99コンパートメント中の、上記APP分子からの上記C99C末端断片の生成速度を含むC99生成速度、及びe)上記C99コンパートメントからの上記C99C末端断片の消失速度を含むC99クリアランス速度を備える。上記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性Aβ42イソ型の量を含む可溶性Aβ42イソ型コンパートメント、b)上記C99C末端断片からの可溶性Aβ42イソ型の生成速度を含むAβ42イソ型生成速度、c)上記可溶性AβコンパートメントからのAβ42イソ型の消失速度を含むAβ42イソ型のクリアランス速度、d)上記可溶性Aβ42イソ型の、取り込まれたAβ42イソ型への変換速度を含むAβ42取り込み速度、及びe)取り込まれたAβ42イソ型の合計量を含む循環Aβ42コンパートメントを備える。上記アミロイド動態モジュールが、a)可溶性比較Aβイソ型の量を含む可溶性比較Aβイソ型コンパートメント、b)上記C99C末端断片からの可溶性比較Aβイソ型の生成速度を含む比較Aβイソ型生成速度、及びc)上記可溶性比較Aβイソ型コンパートメントからの可溶性比較Aβイソ型の消失速度を含む比較Aβイソ型クリアランス速度を更に備えていてもよい。上記血液富化モジュールが、a)血液Aβ42イソ型の合計量を含む血液Aβ42コンパートメント、b)上記可溶性Aβ42コンパートメントから上記血液Aβ42コンパートメントへの可溶性Aβ42イソ型の移動速度を含む血液Aβ42移動速度、及びc)血液Aβ42プールからの血液Aβ42の消失速度を含む血液Aβ42クリアランス速度を備える。上記比較Aβイソ型がAβ38及びAβ40より選択されてもよい。

図面の簡単な説明

0020

細胞内でのアミロイド前駆体タンパク質(APP)[配列番号1]のアミロイドβ(Aβ)へのプロセッシング図解する概略図である。
Aβのプロセッシング及びAβイソ型がイン・ビボでとり得る経路を図解する概略図である。
Aβの代謝及び輸送に関するコンパートメント・モデルの全体構成を図解する簡略図である。
CSFにおける実測Aβ濃度を有する、Aβの代謝及び輸送に関するコンパートメント・モデルの詳細構成を図解する詳細図である。
標識化ロイシン注入中及び注入後における、富化のプラトー規格化された血漿ロイシン富化の経時変化をまとめたグラフである。
非変異保有者のCSFにおける平均的なAβ等方性動態の経時変化プロフィールを、等方性富化比として(図6A)、及び血漿ロイシン富化のプラトーに規格化された富化として、モデル適合曲線図6B)と共に図解する図である。
PIB陰性の変異保持者のCSFにおける平均的なAβ等方性動態の経時変化プロフィールを、等方性富化比率として(図6C)、及び血漿ロイシン富化のプラトーに規格化された富化として、モデル適合曲線(図6D)と共に図解する図である。
PIB陽性の変異保持者のCSFにおける平均的なAβ等方性動態の経時変化プロフィールを、等方性富化比率として(図6E)、及び血漿ロイシン富化のプラトーに規格化された富化として、モデル適合曲線(図6F)と共に図解する図である。
一実施形態に係るコンパートメント・モデルの較正及び実行のためのコンピュータ処理環境を図解するブロック図である。
一実施形態に係るコンパートメント・モデルの較正及び実行のためのコンピュータ処理装置を図解するブロック図である。
一実施形態に係るコンパートメント・モデルを較正及び実行する場合に用いることができるデータソースを図解するブロック図である。
一実施形態に係るコンパートメント・モデルの較正及び実行のためのコンピュータ処理装置を図解するブロック図である。
一実施形態に係るコンパートメント・モデルの一較正方法を図解するフローチャートである。
一態様におけるAβの代謝及び輸送に関するコンパートメント・モデルの変更された構成を図解する図である。
脳室から脳表面/CSFへのAβ42の流動を図解する図である。
脳室から脳表面/CSFへの圧力(図14A)及び流速(図14B)をまとめたグラフである。
患者の病態を識別するための動態モデルの使用方法を図解するフローチャートである。
一態様におけるアミロイド動態モデル化システムのモジュールを図解するブロック図である。
一態様における流動モデルノードを図解する概略図である。
一態様における流動モデルの単一のノードの詳細構成を図解する概略図である。
Aβ42に関する動態追跡子曲線の後端の下降する富化に適合する単一指数勾配を示す2つのグラフである。
ピークの後端全体が、経時変化の終点(36時間)に向かって単一指数的であることを図解する図である。
対照的に、第2のより緩やかな指数的な、ピークに対する尾部の形跡が存在することを図解する図であり、これらの場合、上記のより緩やかな尾部を目視で除外した、初期の急な勾配が選択される。これらのグラフは、富化の自然対数対時間を示し、単一指数勾配FCRは上記勾配の負数である。
動態追跡子曲線の後端上の中間点付近の同位体富化の比較が、非常に顕著にPIB群を識別することができることを示す3つのグラフである。
y軸上でグラフに記入された、23時間におけるAβ42の標識化パーセント/Aβ40の標識化パーセントの比、及びx軸上でグラフに記入されたPIB染色を表す。0.9の閾値比が破線で示される。
y軸上でグラフに記入された、23時間及び24時間におけるAβ42の標識化パーセント/Aβ40の標識化パーセントの比の平均、及びx軸上でグラフに記入されたPIB染色を表す。0.9の閾値比が破線で示される。
PIB染色の関数としてプロットされた、kex42を10倍したものをAβ42対Aβ40に対する不可逆的消失に関する速度定数の比に加えた計算値(10×kex42+FTR比)を示す。1.75の閾値比が破線で示される。MC+=PETによりPIB陽性であるPSEN1又はPSEN2変異を有する患者、MC−=PETによりPIB陰性であるPSEN1又はPSEN2変異を有する患者、NC=非変異保有者である兄弟姉妹の比較対照者である。
血液における実測Aβ濃度を有する、Aβの代謝及び輸送に関するコンパートメント・モデルの詳細構成を図解する詳細図である。 同一の参照符号及び参照ラベルは図面の各図間で同一の要素を示す。図中に用いられる標題は、特許請求の範囲の範囲を限定すると解釈されるべきではない。

0021

本願において提供されるのは、CNS生体分子、特に1種又は複数種のアミロイドβ(Aβ)イソ型のイン・ビボでの動態及び代謝のモデル化方法である。本願において用いられる用語「CNS生体分子」とは、中枢神経系(CNS)中で合成される生体分子を指す。当業者は、生体分子はCNS中で合成され得る一方、該生体分子は体内の他のコンパートメントへと移送されることができ、該生体分子はCNS中、末梢神経系、又は神経系外(例えば血液中)において検知され得ることを認識しよう。上記動態モデルは、それらに限定されるものではないが、患者の血液及び/又は脳脊髄液(CSF)を始めとする、患者からの実測データを利用して構築する及び/又は較正することができる。本願において定義される血液とは、全血、血漿、血清、及び本技術分野において公知の任意の他の血液画分を指すことができる。本開示は、定常状態における代謝動態パラメータを求める及び予測することによるモデルの構築方法を更に提供する。加えて、本開示は更に、種々の状態におけるAβイソ型の濃度、1種又は複数種のAβイソ型の代謝回転速度、及び1種又は複数種のAβイソ型の生成速度を求めるための、1種又は複数種のAβイソ型のイン・ビボ代謝のモデル化方法を提供する。その上提供されるのは、患者の病態を識別し、患者の体内のAβイソ型の富化動態及び/又は濃度の状況を予測するための、上記モデルの使用方法である。特に、本開示は動態モデルにおけるAβの代謝回転動態のモデル化方法に関する。一態様において、上記動態モデルは、定常状態のコンパートメント・モデル、流動モデル、又は限定されないそれらの組み合わせであってよい。一態様において、上記動態モデルは任意のCNS生体分子の代謝をモデル化するために用いられてもよい。

0022

上記モデルの構築方法は、それに限定されるものではないが、患者に導入された標識化残基の濃度をある期間にわたって測定することを含んでもよい。上記標識化残基は当該患者の体内のAβ前駆体中に取り込まれ得る。上記方法は、生物学的試料中の、患者の体内において上記標識化残基を取り込むAβイソ型の濃度を実測すること、及び上記実測データを公知の又は仮定された関係及び/又は代謝過程に取り込むことを更に含んでもよい。一態様において、上記モデルは実測値を予測することができる。上記モデルは、予測値を実測値に対して較正すること、及びCNS中における1種又は複数種のAβイソ型の予測富化動態の、当該患者からの実測動態に対する最適な適合を与える1組のモデル・パラメータを調整することにより構築されてもよい。一態様において、上記モデルは各患者に特異なモデル・パラメータを出力することができる。

0023

脳内の、上記1種又は複数種のAβ前駆体及び/又は1種又は複数種のAβイソ型の濃度、及び関連する代謝過程を当該モデル内に表すことができる。一態様において、当該モデル内のこの表現としては、コンパートメント、速度定数、流動方程式、及び/又は本技術分野で公知の、限定されない任意の他の数学的表現を挙げることができる。一態様において、コンパートメントにおける上記濃度は、その前のコンパートメントにおける当該濃度に、上記2のコンパートメント間の移動速度定数を乗じ、全ての不可逆的消失を減じることによって計算することができる。上記モデルの別な態様は、異なる数のコンパートメント又は異なる種類のコンパートメント、コンパートメントの順序、Aβイソ型の輸送及び流動を決定する式、モデル化されるべきAβイソ型、又はCNS生体分子の代謝をモデル化するための任意の他の態様によって差別化することができる。

0024

別の態様において、上記動態モデルは、脳内の可溶性Aβイソ型の移動を、脳室から脳表面への、並びにCSF及び/又は血液中への流動として表してもよい。一態様において、脳間質液(interstitial fluid)(ISF)中のAβイソ型の上記移動は、少なくとも1の流体流動方程式によって表すことができる。別な態様において、上記Aβイソ型の流動は、空間的に分布したノードとAβイソ型がISF及び脳表面に進入することができる点との間の移動として表されてもよい。

0025

一態様において、CSF及び/又は血液中の標識化残基濃度及び実測標識化Aβイソ型濃度が、標識化Aβの代謝のモデルを構築するため、及び各コンパートメント又は流動方程式に関連した速度定数を求めるために用いられてもよい。加えて、上記モデルは、CSF中、脳内、血液中、又は患者における他の任意の位置におけるAβイソ型の予測濃度を計算するために用いられてもよい。イン・ビボAβ代謝のモデルの可能な用い方の非限定的な例としては、患者の病態の識別、患者から取得した実測データの曲線近似、代謝の予測、処理、及び/又は患者におけるAβ及びそのイソ型の濃度、医薬設計の支援及びCNS疾患の理解のための微細経路成分の識別、及び治験薬によって誘起され得るイソ型の動態の変化の調査が挙げられる。

0026

Aβのイン・ビボ代謝のモデル化方法の種々の態様の詳細な記載が、本願の以下に提示される。

0027

I.Aβのイン・ビボ代謝のモデルの構築方法
種々の態様において、1又は複数の患者において、イン・ビボでの中枢神経系における1種又は複数種のAβイソ型の合成を表わすための、及び1種又は複数種のAβイソ型の代謝回転速度及び生成速度を予測するためのモデルの構築方法が提供される。標識化残基の量の経時変化及び少なくとも1種のAβイソ型の濃度を始めとする患者からのデータを、当該モデルの構築に用いることができる。

0028

(a)変性疾患
種々の態様において、上記モデルは、患者における少なくとも1種のAβイソ型の代謝回転速度及び生成速度を予測するために用いることができる。一態様において、上記モデルは、Aβアミロイド症を有する被験者における、Aβイソ型の代謝回転速度及び生成速度の調節不全の影響を予測するために用いることができる。用語「Aβアミロイド症」とは、特異な代謝(例えば、生成の増加、クリアランスの低下、又はその両者)に起因し得る、被験者におけるAβの沈着を指す。Aβアミロイド症は、臨床的には、アミロイド像(例えばPiB PET)又は脳脊髄液(CSF)のAβ42若しくはAβ42/40比の減少のいずれかによる、脳内のAβ沈着の形跡として定義される。例えば、それぞれがこれにより、参照によりその全てが組み入れられる、Klunk WEら、Ann Neurol 55(3) 2004、及びFagan AMら、Ann Neurol 59(3) 2006を参照されたい。Aβアミロイド症を有する被験者は、Aβアミロイド症に関連する疾患も発症する危険性が高い。Aβアミロイド症に関連する疾患としては、それらに限定されるものではないが、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイド血管症、レビー小体型認知症、及び封入体筋炎が挙げられる。Aβアミロイド症に関連する症状の非限定的な例としては、認知機能障害、変化した行動、異常な言語機能、感情の調節不全、発作痴呆、及び神経系の構造又は機能障害を挙げることができる。

0029

別な態様において、上記モデルは、患者における変性疾患に起因するAβイソ型の代謝回転速度及び生成速度の調節不全の影響を予測するために用いることができる。それに限定されるものではないが、少なくとも1種のAβイソ型を始めとする任意のCNS生体分子の代謝回転速度及び生成速度の調節不全によって特徴付けられる任意の変性疾患が、限定されることなく、上記モデルを用いて予測され得る。非限定的な例として、アルツハイマー病(AD)は、Aβタンパク質の生成の増加、クリアランスの低下、又は生成の増加とクリアランスの低下の組み合わせに起因する、中枢神経系におけるアミロイド・プラークの蓄積によって特徴付けられる衰弱性疾患である。ADは、本開示の種々の態様によって診断又は監視することができる代表的な疾患ではあるが、本開示はADに限定されるものではない。上記方法は、それらに限定されるものではないが、AD、パーキンソン病、脳卒中、前頭側頭型認知症(frontal temporal dementias)(FTD)、ハンチントン病進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy)(PSP)、大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)(CBD)、老化関連障害及び認知症、多発性硬化症プリオン病(例えば、クロイツフェルトヤコブ病牛海綿状脳症すなわち狂病、及びスクラピー)、レビー小体病、及び筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis)(ALSすなわちルーゲーリック病)を始めとするいくつかの神経学的及び神経変性の疾患、障害、又は症状経過の動態のモデル化、診断、及び治療の有効性の評価に用いることができることが想定される。上記CNS疾患のイン・ビボ動態のモデル化方法は、CNSの正常な生理機能、代謝、及び機能を研究するために用いることができることもまた想定される。

0030

少なくとも1種のAβイソ型又はその他のCNS生体分子のイン・ビボ代謝は、限定されることなく、任意のヒトの患者においてモデル化することができる。一態様において、ヒトの患者は、それらに限定されるものではないが、約85を超えるヒトの患者を始めとする高齢であってもよい。あるいは、CNS生体分子のイン・ビボ代謝は、限定されることなく、他の哺乳動物の患者においてモデル化することができる。別の態様において、患者はなどの伴侶動物であってもよい。更に別の態様において、患者はウシブタウマヒツジ又はヤギなどの家畜動物であってもよい。更に別の実施形態において、患者は動物園動物であってもよい。別の態様では、患者は非ヒト霊長類又は齧歯類などの研究用動物であってもよい。

0031

(b)Aβ代謝及び標識化の概要
種々の態様において、上記モデルの構成は、限定されることなく、任意の公知の又は仮定される、Aβ生体代謝の経路及び/又は機序を用いて構築することができる。

0032

如何なる特定の理論に限定されるものではないが、標識化アミノ酸を含むアミノ酸は、神経細胞内のアミロイド前駆体タンパク質(APP)中に取り込まれ得る。アミロイド前駆体タンパク質(APP)は、多くの細胞で発現される膜貫通タンパク質であり、神経細胞及び神経シナプス中で濃縮され得る。APPは、α−、β−、及び/又はγ−セクレターゼにより処理されて、それに限定されるものではないが、Aβを始めとする種々の長さのペプチドを生み出すことができる。C99はAPPのC末端断片を形成し、β−セクレターゼの作用によって開裂される。AβはAPPの膜貫通ドメイン内に位置する36〜43のアミノ酸のペプチドである。Aβは、一般的には、β−及びγ−セクレターゼによる連続的なAPPの開裂により、又はγ−セクレターゼによるC99の開裂により形成される。γ−セクレターゼは酵素成分PSEN1及びPSEN2を含む。多様なAβのイソ型(例えば、Aβ38、Aβ40、Aβ42)が、小胞体トランスゴルジ網、又はポスト・プロセッシングの他の領域における更なるプロセッシング及び開裂によって生成し得る。図1は細胞内におけるAPPのAβへのプロセッシングを図解する概略図を示し、セクレターゼがAPPを開裂させる位置を示す。Aβのアミノ酸配列(配列番号1)を下部に示す。

0033

APP及びC99は細胞随伴性タンパク質であるため、これらのタンパク質は可溶性とは見なされず、また、流動機構を介して脳内に移送されない。しかし、γ−セクレターゼによる開裂後に、Aβペプチドは脳間質液(ISF)内に流入することができる。図2に図解するように、Aβペプチドは脳内で分解され、可逆的高次構造(例えば、ミセル)中に取り込まれ、不可逆的にプラークに取り込まれ、血液脳関門を通過して血流へ輸送され得る、及び/又は、ISFがCSFと合流する際に脳外に輸送され得る。分解及び血液脳関門からの退出は、可溶性Aβイソ型モノマーの少なくとも一部を脳から不可逆的に除去し得る一方で、可溶性Aβイソ型モノマーを伴う何がしかの高次構造及びプラークの循環が存在し得る。脳内のISFは脳毛細血管及び脳室に由来し得る。如何なる特定の理論に限定されるものではないが、脳室内の圧力は一般的にCSF内の圧力よりも高く、従って、脳室から脳表面へ、そしてCSFへの外側に向かう流体の流動を誘起する。

0034

イン・ビボでのAβの形成及び動態を追跡するために、タンパク質生成の間に標識化残基を組み込むことによって、新たに形成されるAPPを標識化することができる。標識化APPは、その後、標識化Aβイソ型へと開裂され得る。一態様において、上記標識化残基は、炭素窒素の安定同位体、又はタンパク質生成の間にアミノ酸中に取り込まれ得る任意の他の安定同位体を有するアミノ酸であってよい。ロイシンは他のアミノ酸に比較してより容易に血液脳関門を通過可能であるため、ロイシンはCNS生体分子及びAβへの使用に対してより好適であり得る。図1を再度参照すると、Aβ内の標識化ロイシン(L)は黒で示される。

0035

(c)CNS生体分子
上記モデルの構築方法は、それに限定されるものではないが、少なくとも1種のAβイソ型を始めとするイン・ビボのCNSに由来する任意の生体分子の代謝を表わすことを含むことができる。上記CNS生体分子としては、それらに限定されるものではないが、タンパク質、脂質、核酸炭水化物、又は本技術分野で公知の任意のCNS生体分子を挙げることができる。当該CNS生体分子がイン・ビボ合成の間に標識化し得るものであり、当該CNS生体分子の代謝を測定し得る試料採取し得る限りにおいて、任意のCNS生体分子を表すことができる。一態様において、上記CNS生体分子はCNS中で合成されたタンパク質である。モデル化されることが好適なタンパク質の非限定的な例としては、アミロイドβ(Aβ)、Aβイソ型及び他の変種、可溶性アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アポリポタンパク質E(イソ型2、3、又は4)、アポリポタンパク質J(クラステリンとも呼ばれる)、タウ(ADに関連する別のタンパク質)、グリア線維性酸性タンパク質、α−2マクログロブリンシヌクレイン、S100B、(多発性硬化症に関与する)ミエリン塩基性タンパク質プリオンインターロイキン、TDP−43、スーパーオキシドジスムターゼ−1、ハンチンチン、及び腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)(TNF)が挙げられる。標的とすることができる更なるCNS生体分子としては、GABA作動性神経細胞、ノルアドレナリン作動性神経細胞、ヒスタミン作動性神経細胞、セロトニン作動性神経細胞ドーパミン作動性神経細胞コリン作動性神経細胞、及びグルタミン作動性神経細胞の生成物、又はこれらと相互作用するタンパク質又はペプチドが挙げられる。

0036

一態様において、上記方法はAPPの代謝をモデル化し得る。更なる態様において、イン・ビボ代謝がモデル化される上記CNS生体分子は、アミロイドβ(Aβ)タンパク質であってよい。別な態様において、Aβのイソ型(例えば、Aβ40、Aβ42、Aβ38及び/又はその他)がモデル化されてもよい。更なる態様において、Aβの消化生成物(例えば、Aβ6−16、Aβ17−28)がモデル化されてもよい。一態様において、上記モデルは、同時に1種を超えるCNS生体分子の代謝を表わしてもよい。一態様において、上記CNS生体分子としては、それらに限定されるものではないが、C99、APP、Aβ38、Aβ40、Aβ42、及び任意の他のAβイソ型を挙げることができる。

0037

(d)標識化残基
一態様において、標識化残基血漿濃度が上記モデルに入力されてもよい。一態様において、上記標識化残基の血漿濃度は、モデルを構築するため及びモデル・パラメータを決定するために用いられてもよい。

0038

上記方法がタンパク質の代謝をモデル化するために用いられる場合、上記標識化残基はアミノ酸とすることができる。当業者は、CNS生体分子の標識を提供するために、少なくとも数種のアミノ酸を用いることができることを認識しよう。一般的にアミノ酸の選択は、(1)上記アミノ酸は、一般的に、着目するタンパク質又はペプチドの少なくとも1の残基中に存在する、(2)上記アミノ酸は、一般的に、速やかにタンパク質合成イトに到達することができ、速やかに血液脳関門を挟んで平衡化することができる、(3)上記アミノ酸は、より高い標識化のパーセントが得られるように、理想的には(体内で生成されない)必須アミノ酸であってよい、(4)上記アミノ酸標識は、一般的に、着目するタンパク質の代謝に影響しない(例えば、非常に多量のロイシンの投与は筋肉の代謝に影響を与える場合がある。)、及び(5)所望のアミノ酸の比較的広い入手容易性(すなわち、一部のアミノ酸は他のアミノ酸よりも大幅に高価又は製造が困難である。)などの多様な因子に基づく。

0039

一態様において、アミノ酸ロイシンがCNS中で合成されるタンパク質を標識化するために用いられてもよい。非必須アミノ酸を用いてもよいが、測定の正確性がより低下し得る。一態様において、6の13C原子を含有する13C6−フェニルアラニンが、神経由来のタンパク質を標識化するために用いられてもよい。一態様において、13C6−ロイシンが、神経由来のタンパク質を標識化するために用いられてもよい。代表的な態様において、13C6−ロイシンがアミロイドβを標識化するために用いられてもよい。

0040

非放射性同位体及び放射性同位体の両方を含む、標識化アミノ酸の多数の市販の供給源がある。一般的に、標識化アミノ酸は生物学的に又は合成的にのいずれかによって製造することができる。生物学的に製造されたアミノ酸は、13C、15N、又は、当該生物がタンパク質を産生する際にアミノ酸中に組み込まれる別な同位体の濃縮混合物中で増殖させた生物(例えば、海藻である昆布)から得ることができる。その後、アミノ酸が分離され精製される。あるいは、アミノ酸は、任意の公知の合成化学的方法を用いて製造することができる。標識化残基は、当技術分野で公知の少なくともいくつかの方法のいずれかを使用して患者に投与することができる。好適な投与方法の非限定的な例としては、静脈内投与動脈内投与、皮下投与腹腔内投与筋肉内投与、及び経口投与が挙げられる。一態様において、標識化残基は静脈内注入を用いて患者に投与される。

0041

標識化残基は、選択される解析形式(例えば、定常状態又は大量瞬時投与)に応じて、ある期間にわたってゆっくりと投与されてもよく、あるいは多量の一回の投薬として投与されてもよい。標識化CNS生体分子の定常状態濃度に到達させるためには、標識化時間は、一般的に、標識化CNS生体分子が信頼性をもって定量化することができるように、十分な継続期間とすべきである。血液試料中の標識化Aβの定常状態濃度の信頼性のある定量化のための十分な標識化時間は、一般的には、CSF試料中のAβの定常状態濃度の信頼性のある定量化のために必要な時間よりも短い。例えば、US7,892,845及びUS13/669,497を参照されたく、これらのそれぞれは、これにより、参照によりその全てが組み入れられる。この継続期間は、当該CNS生体分子の合成に関連する生化学的経路飽和に達するために十分となるように選択することができる。一態様において、上記継続期間は、それらに限定されるものではないが、APP合成、C99及び上記少なくとも1種のAβイソ型の開裂、上記少なくとも1種のAβイソ型のCSFへの輸送、及び上記少なくとも1種のAβイソ型の血液への輸送を始めとする、患者の脳内の少なくとも1種のAβイソ型の合成及び動態に関連する生化学的経路が飽和に達するために十分なものとすることができる。別な態様において、上記生化学的経路の飽和は、患者において測定されるCSF及び/又は血液中の上記少なくとも1種のAβイソ型の安定化した濃度を検知することによって示すことができる。

0042

一態様において、標識化残基は、血液中又はCSF中でのAβの半減期よりも短い時間の間、静脈内注入で投与される。他の態様において、標識化残基は、血液中又はCSF中でのAβの半減期よりも長い時間の間、静脈内注入で投与される。例えば、標識化残基は、それらに限定されるものではないが、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1.0時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2.0時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3.0時間、少なくとも3.5時間、少なくとも4.0時間、少なくとも4.5時間、少なくとも5.0時間、少なくとも5.5時間、少なくとも6.0時間、少なくとも6.5時間、少なくとも7.0時間、少なくとも7.5時間、少なくとも8.0時間、少なくとも8.5時間、少なくとも9.0時間、少なくとも9.5時間、少なくとも10.0時間、少なくとも10.5時間、少なくとも1.0時間、少なくとも11.5時間、又は少なくとも12時間を始めとする、分乃至時間の継続時間にわたって静脈内注入で投与することができる。別な態様において、標識化残基は約6時間〜約18時間の範囲の期間にわたって静脈内注入で投与されてもよい。別な態様において、標識化残基は約9時間の期間にわたって静脈内注入で投与されてもよい。別な態様において、標識化残基は約3時間の期間にわたって静脈内注入で投与されてもよい。更に別な態様において、標識化残基は経口投与により多数回の投薬として投与されてもよい。上記多数回の投薬は連続的に投与されてもよく、又は各投薬の間にある時間が経過してもよい。上記各投薬の間の時間は数秒、数分、又は数時間であってよい。上記の各実施形態において、標識化残基は標識化ロイシン、標識化フェニルアラニン、又は任意の他の血液脳関門を通過可能な標識化アミノ酸とすることができる。

0043

当業者は、標識化残基の量(すなわち投与量)は変わり得る、且つ変わることとなることを認識しよう。一般的に、上記量は以下の因子に依存する(及び以下の因子により見積もられる)。(1)所望の解析形式。例えば、血漿中、約15%の標識化ロイシンの定常状態に到達させるためには、初期の10分間にわたる約3mg/kgの大量瞬時投与の後に、9時間にわたる約2mg/kg/hrの投与を必要とする。これに対して、定常状態を必要としない場合は、標識化ロイシンの大量瞬時投与(例えば、約400mg〜800mgの標識化ロイシン)を与えることができる。(2)分析中のAβの変種。例えば、Aβの変種が速やかに生成している場合、より短い標識化時間を必要とすることができ、また、より少量、恐らく、大量瞬時投与として100mg以下程度の少量、の標識を必要とすることができる。(3)標識を検知するための技術の感度。例えば、標識検知感度の向上に伴い、必要とされる標識の量が減少し得る。

0044

別な態様において、標識化残基は単回大量瞬時投与として経口投与される。別な態様において、標識化残基は単回大量瞬時投与として静脈内投与される。更に別な態様において、標識化残基は約1時間の注入として静脈内投与される。3種の投与方法(経口大量瞬時投与、静脈内大量瞬時投与、及び静脈内注入)の全ては、アミロイドβ代謝の信頼性のある測定を提供するとの観点から、等しく良好に作用する。標識化残基の静脈内大量瞬時投与及び標識化残基の経口大量瞬時投与は、静脈内注入よりも投与がより容易であり、また、より早い時点(標識化ロイシンに関して、それぞれ約5分〜約10分、及び約30分〜約60分)で遊離の標識の最大濃度をもたらす。上記実施形態のそれぞれにおいて、標識化残基は標識化ロイシン、標識化フェニルアラニン、又は任意のその他の、血液脳関門を通過可能な標識化アミノ酸とすることができる。

0045

(e)生物学的試料
上記モデルの上記構築方法は、標識化CNS生体分子のイン・ビボ代謝が測定できるように、患者から生物学的試料を得ることを含んでもよい。患者の生物学的試料からの情報は、CNS生体分子のイン・ビボ代謝のモデルの構築方法及び/又は較正方法における入力として用いることができる。

0046

好適な生物学的試料としては、それらに限定されるものではないが、脳脊髄液(CSF)、血漿、血清、尿、唾液、及びが挙げられる。一態様において、生物学的試料はCSFから採取されてもよい。別な態様において、生物学的試料は尿から採取されてもよい。別な態様において、生物学的試料は血液から採取されてもよい。

0047

脳脊髄液は、留置CSFカテーテルの有無に拘わらず、腰椎穿刺によって得ることができる(多数の採取が時間をかけて行われる場合、カテーテルが好ましい。)。血液は、静脈内カテーテルの有無に拘わらず、静脈穿刺により採取することができる。尿は、単純な尿採取、又は、より厳密には、カテーテルにより採取することができる。唾液及び涙は、標準的な優良医薬品製造基準GMP)法を用いて、直接採取により採取することができる。

0048

一般的に、CNS生体分子がタンパク質である場合、上記モデルの上記構築方法及び/又は較正方法は、当該患者に関するベースラインを提供するために、標識化残基の投与の前に患者から採取される最初の生物学的試料を得ることを含んでもよい。一般的には、標識化アミノ酸又はタンパク質の投与後に、1又は複数の試料が患者から採取されてもよい。当業者が理解するであろうように、試料の数及び該試料がいつ採取されるかは、一般的に、分析の形式、投与の形式、着目するタンパク質、代謝速度、検知の形式などの多くの要因に依存する。

0049

一般的に、標識化段階中に得られる試料は、Aβ変種の合成速度を求めるために用いることができ、クリアランス段階の間に採取された試料は、Aβ変種のクリアランス速度を求めるために用いることができる。標識化Aβは標識化の間に増加し、その後、標識化の停止後に減少する。一態様において、CNS生体分子は、それらに限定されるものではないが、少なくとも1種のAβイソ型を始めとするタンパク質であってよく、CSFの1又は複数の試料は、36時間の間に毎時間採取されてもよい。あるいは、試料は1時間おきに、又は更に少ない頻度で採取されてもよい。一般的には、試料採取の最初の12時間(すなわち、標識化の開始(静脈内大量瞬時投与又は静脈内注入)の12時間後)の間に得られた生物学的試料は、タンパク質の合成速度を求めるために用いることができ、試料採取の最後の12時間(すなわち、初期の標識化残基の注入後24〜36時間後)に採取された生物学的試料は、タンパク質のクリアランス速度を求めるために用いることができる。別の態様において、12時間といったある期間の標識化の後に単一の試料を採取して合成速度を推定することができるが、これは多数の試料よりも正確性がより低い場合がある。別の態様において、CNS生体分子は、それらに限定されるものではないが、少なくとも1種のAβイソ型を始めとするタンパク質であってもよく、1又は複数の血液試料が24時間の間に毎時採取されてもよい。あるいは、試料は1時間おきに、又は更に少ない頻度で採取されてもよい。一般的には、試料採取の最初の4時間の間(すなわち、静脈内又は経口大量瞬時投与後約1分〜約4時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約10分〜約4時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約30分〜約4時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約1分〜約3時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約10分〜約3時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約30分〜約3時間)に得られる血液試料は、タンパク質の合成速度を求めるために用いることができ、静脈内又は経口大量瞬時投与後の最後の20時間の間(すなわち、静脈内又は経口大量瞬時投与後約4時間〜約12時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約12時間〜約24時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約18時間〜約24時間、静脈内又は経口大量瞬時投与後約4時間〜約24時間)に得られる血液試料は、タンパク質のクリアランス速度を求めるために用いることができる。別の態様において、約3時間といった静脈内又は経口大量瞬時投与の後に一回の試料を採取して合成速度を推定することができるが、これは多数の試料よりも正確性がより低い場合がある。更に別の態様において、タンパク質の合成速度及びクリアランス速度に応じて、1時間〜数日、あるいは数週も経てから試料が採取されてもよい。

0050

(f)モデルの構築
上記動態モデルの構築方法は、公知の分子生物学及び生理学的構造整合した手法で、実験結果に適合し得るモデルを構築することを含んでもよい。一態様において、上記動態モデルは、該モデル内の速度定数を求めるための、追跡子動態を用いる包括的な定常状態コンパートメント・モデルであってよい。別の態様において、上記モデルは、イン・ビボでの少なくとも1種のAβイソ型の経時変化を考慮してもよい。更に別の態様において、上記モデルは、脳内の可溶性Aβイソ型の脳室からCSF及び/又は血液への一次元流動を数学的に表してもよい。この態様においては、上記流動は脳室と脳表面との間の圧力差に起因し得る。

0051

図16は、一態様におけるアミロイド動態モデル化システム1600のブロック図である。アミロイド動態モデル化システム1600は、1又は複数のプロセッサ1602及びアミロイド動態アプリケーション1606を含むコンピュータ可読媒体(computer−readable medium)(CRM)1604を備えていてもよい。アミロイド動態アプリケーション1606は、1又は複数のプロセッサ1602上で実行可能な複数のモジュールを備える。

0052

血漿モジュール1608は、患者の血漿中への標識化残基の注入及び血液脳関門(BBB)を通過する標識化残基の輸送を表わす。脳組織モジュール1610は、APPへの標識化残基の取り込み及びC99の形成を表わす。アミロイド動態モジュール1612は、少なくとも1種のAβイソ型を形成するC99の開裂、及びそれに続く、脳内の上記少なくとも1種のAβイソ型の、それらに限定されるものではないが、循環、代謝回転、プラーク中への取り込み、血液脳関門(BBB)を通過する輸送、及び上記少なくとも1種のAβイソ型の分解を始めとする動態を表わす。CSFモジュール1614は、上記少なくとも1種のAβイソ型のCSF中への輸送を表わす。モデル調整モジュール1616は、患者における上記少なくとも1種のAβイソ型の、予測CSF富化動態と実測CSF富化動態との間の一致を最適化するために、血漿モジュール1608へ入力される血漿ロイシン富化の時間履歴に対する上記モデルの動的応答を規定する1組のパラメータを反復して調整してもよい。

0053

一態様において、アミロイド動態アプリケーション1606は、血液富化モジュール(図示省略)を更に備えていてもよい。血液富化モジュールは上記少なくとも1種のAβイソ型の血液中への輸送を表わす。更なる態様において、アミロイド動態アプリケーション1606はCSFモジュール1614に代えて上記血液富化モジュールを備えていてもよい。

0054

GUIモジュール1618は、このような血漿ロイシン富化の時間履歴及び患者における少なくとも1種のAβイソ型の実測CSF富化動態などのシステム1600への入力を受け取る1又は複数のフォームを作成することができる。GUIモジュール1618は、当該モデルの動的応答を規定するパラメータのための規定された範囲、及びシステム1600の動作を指定するために用いられる他の値などの追加のユーザー入力を更に受け取ってもよい。GUIモジュール1618は、それらに限定されるものではないが、上記少なくとも1種のAβイソ型の予測CSF富化動態のグラフ、モデル・パラメータの一覧表、患者の病態の予測、及び任意のその他の関連する出力を始めとする、アプリケーション1606の出力を表示するために用いられる1又は複数のフォームも、また作成することができる。

0055

いずれのモデル化方法も、限定されることなく、モジュール1608〜1614の任意の1又は複数を用いて実装することができる。好適なモデル化方法の非限定的な例としては、コンパートメント・モデル、流動モデル、数式、流体力学流動方程式、拡散方程式、本技術分野で公知の任意のその他の好適なモデル化方法が挙げられる。一態様において、モジュール1608〜1614はコンパートメント・モデルを用いて実装することができる。別な態様において、モジュール1608〜1614はコンパートメント・モデルと流動モデルとの組み合せを用いて実装することができる。

0056

(i)コンパートメント・モデル
図3は、一態様におけるコンパートメント・モデルを用いたAβ動態のモデル10の全体構成を示す概略図である。図4は別な態様におけるコンパートメント・モデルを用いた、Aβ動態のモデル20の全構成の図である。この他の態様においては、モデル20は、コンパートメント間の標識種の移動を記述する1次速度定数を有する、相互接続された一連のコンパートメントを備えていてもよい。上記コンパートメントは、異なる形態のAβ又は代謝経路に沿ったAβイソ型の異なる位置を表すことができる。図21は一態様におけるコンパートメント・モデルを用いた、Aβ動態の更なるモデル50の全体的な構成を示す概略図である。

0057

上記動態モデルは、一態様において、Aβ38、Aβ40、及びAβ42富化及びそれらのCSF濃度の全経時変化を考慮してもよい。一態様において、上記モデルは、それらに限定されるものではないが、生成、可逆的交換、及び不可逆的消失を始めとするAβ動態に影響する基礎的な過程を記述してもよく、これらの過程の動態のAβのCSF濃度への影響を考慮してもよい。

0058

上記モデルは、限定されることなく、任意のソフトウェア又は装置上に実装することができる。一態様において、モデル化はSAAM IIソフトウェア(動態解析リソース(Resource for Kinetic Analysis)、ワシトン大学、シアトル)を用いて実施することができる。種々の態様において、コンパートメントの数、順序、及び位置が変化し得る。種々の他の態様において、種々のコンパートメント間の相互接続が変化し得る。種々の更なる態様において、1次速度定数以外の関数は、一つのコンパートメントから別のコンパートメントへの量の移動を表すために用いられてもよい。好適な関数の非限定的な例としては、線形関数指数関数微分方程式対数方程式、及び当技術分野で公知の任意のその他の動態及び/又は速度方程式が挙げられる。上記関数は、モデル内の他の変数に関して一定であってもよく、又は上記関数は、該モデル内で生じる他の変数を含んでもよい。例えば、一態様において、Aβイソ型の合成速度は既に生成した可溶性Aβイソ型の濃度によって影響され得る。

0059

上記動態モデルは標識化残基の濃度に関するコンパートメントを備えていてもよい。一態様において、上記動態モデルは標識化血漿ロイシンに関するコンパートメントを備えていてもよい。別な態様において、上記動態モデルは少なくとも1のAPPに関するコンパートメントを備えていてもよい。他の態様において、上記動態モデルはiAPP及びmAPPに関するコンパートメントを備えていてもよい。更に別な態様において、上記動態モデルはC99に関するコンパートメントを備えていてもよい。上記動態モデルは異なるCNS生体分子又はAβイソ型に関する並列腕を備えていてもよい。一態様において、上記動態モデルは、図4に図解されるように、対応するコンパートメントを有する、各Aβイソ型(Aβ42、Aβ40、Aβ38)に対して1の、3の平行腕を備えていてもよい。別な態様において、上記動態モデルは少なくとも1種のAβイソ型に関する可逆的交換コンパートメントを備えていてもよい。一態様において、上記動態モデルはAβ42に関する可逆的交換コンパートメントを備えていてもよい。他の態様において、上記動態モデルは少なくとも1の、脳からCSFへのAβイソ型の輸送に関する遅延コンパートメントを備えていてもよい。上記コンパートメントは、一つのコンパートメントから次のコンパートメントへの移動速度に関する速度定数によって結合することができる。更に別な態様において、上記モデルは、CSF中に回収することができない、C99及び各可溶性Aβイソ型の不可逆的消失を考慮してもよい。

0060

上記動態モデルの上記構築方法は、様々な患者からデータを得て、モデルの構築に入力することを含んでもよい。一態様において、標識化残基及び標識化Aβイソ型ペプチドの富化は、頻繁な時間間隔で測定してもよい(図3図4、及び21において中黒三角形で示す。)。一態様において、標識化残基は血漿13C6−ロイシンとすることができる。別の態様において、各患者に関する測定値は、各患者に関するモデルのパラメータを最適化するために用いることができる。モデル・パラメータ値は、それらに限定されるものではないが、非変異保有者/比較対照者(NC)、変異保有者(MC)PIB−、変異保有者PIB+、及び他の神経学的疾患病態を始めとする各患者の類型又は病態に関して、平均をとってもよい。

0061

図4を参照し、上記モデルは、それらに限定されるものではないが、血漿ロイシン、APP、C99、Aβ38、Aβ40、Aβ42、CSF/遅延、循環に関するコンパートメント、及びAβの代謝をモデル化するために必要であり得る任意のその他のコンパートメントを備えていてもよい。一態様において、実測血漿試料間の13C6−ロイシン富化の線形補間を用いて、「強制機能」を血漿13C6−ロイシン富化の経時変化を記述するために用いてもよい。各Aβイソ型は、1又は複数のサブコンパートメントを備えていてもよい長時間遅延と結合された単一の代謝回転コンパートメントによって至適に記述することができる。一態様において、APP及びC99ペプチドを表す遅延コンパートメントが、脳の「可溶性」Aβペプチドを表すコンパートメントの前面に配置されてもよい。如何なる特定の理論に限定されるものではないが、マウスにおけるイン・ビボでの追跡子の研究において、APP及びC99が比較的長い半減期(約3時間)を有することが示され、これが、腰椎の試料採取箇所において標識化Aβが検出されるまでの全体的な時間遅延に寄与しているに違いないことから、これらの遅延コンパートメントが追加されてもよい。脳組織を通る標識化ペプチドの灌流、ISF内の流動、及び不均質CSF流輸送過程を表わすために、「可溶性」Aβコンパートメントの後に他のコンパートメントが配置されてもよい。予備的なモデル化が、単一の時間遅延過程はデータ内で識別することができることを示しているため、一態様において、APP、C99、及び3つのCSF遅延コンパートメントの各々に関する代謝回転速度を、全体的な時間遅延に影響を与える、単一の調整可能なパラメータに設定することができる。

0062

上記動態モデルは、一態様において、C99及び可溶性Aβペプチドの一部が、CSF試料採取箇所に出現するAβペプチド以外の最終生成物に代謝され得ることを考慮に入れることができる。如何なる特定の理論に限定されるものではないが、可溶性Aβペプチドに関するこれらのその他の消失の生理学的性質現時点で不明といえる。しかし、上記モデルは、可溶性ペプチドを不可逆的に除去する全ての過程、例えばプラークとなっての沈着、細胞への取り込み、タンパク質分解、及び/又は血液中への移動を備えることができる。一態様において、上記モデルは、CSF中に回収されない各可溶性Aβイソ型の不可逆的消失を備えることができる。

0063

一態様において、富化ピーク後のCSFのAβ富化経時変化のS字形状に最適に適合させるために、「可溶性」Aβペプチドとの交換で、可逆的交換コンパートメントを上記モデルに追加してもよい。上記可逆的交換は、プラークへの及び/又はプラークからの考えられるAβイソ型の循環、標識化Aβの非標識化Aβとの交換、高次Aβ構造の循環、又は任意のその他のAβの可逆的交換を表わすことができる。一態様において、可逆的交換コンパートメントはAβ42に関して備えられてもよい。一態様において、上記交換過程は、該過程が、SAAM IIソフトウェアによって提供されるような、適合の赤池情報量基準(Akaike Information Criteria)(AIC)を改善する場合にのみ、イソ型に関して加えられてもよい。

0064

別な態様において、動態モデルが最初に構築された後に、計数逓減率(scaling factor)(SF)が、AICを改善するのであれば、それぞれのAβイソ型富化に対して適用されてもよい。如何なる特定の理論に限定されるものではないが、上記SFは血漿ロイシンと生合成前駆体プールとの間の僅かな同位体の希釈(一般的には約5%未満)を考慮してもよく、又は、血漿ロイシン及び/又はAβペプチドの同位体富化の測定における小さな較正の誤差(一般的には約10%未満)を補正してもよい。上記モデルにより得られる一つの基本パラメータは、「可溶性」Aβペプチドの代謝回転速度(プール/h)、すなわち、これらのコンパートメントのCSFへの消失及び当該システムからの他の消失の速度の合計である。CSFのAβ富化の経時変化の形状及び大きさを記述する較正された動態パラメータに基づいて、上記モデルは、各Aβペプチドイソ型の、それらの共通のC99前駆体からの生成の速度定数(プール/h)を求め、実測されたCSFのAβペプチド濃度のベースラインを正確に予想することができる。上記モデルは、各Aβイソ型に関する全てのコンパートメント内の定常状態の量(ng)及び全てのコンパートメント間の流動速度(ng/h)を予想することができる。

0065

上記モデルにおけるコンパートメント間の移動速度定数は、標識化残基の経時変化及び実測された生物学的試料中のAβイソ型の経時変化を利用することによって、各患者について較正することができる。較正されるべきモデル・パラメータとしては、それらに限定されるものではないが、APP、C99、Aβ38、Aβ40、及びAβ42に関する移動速度定数、C99、Aβ38、Aβ40、Aβ42、及びCSFに関する不可逆的消失の速度定数、Aβ38、Aβ40、及びAβ42に関する交換速度定数、復帰速度定数、遅延速度定数、及び計数逓減率を挙げることができる。別な態様において、図9に関連して以下に示され記載されるデータソースと類似し、1又は複数の最適な速度定数を含むデータベースを作成することができる。一態様において、較正された速度定数は、ある病態を有する各患者に対する最適なモデルを構築することによって得ることができる。上記データベースは、また、正常な及び種々の病態の両方に対する特定のCNS生体分子又はAβイソ型に関する、必要な全てのその他のモデル・パラメータの値を備えることができる。一態様において、本明細書の以下に記載するように、上記モデル・パラメータ及びデータベースは、それぞれ、モデル・インデックス及び閾値を計算するために用いることができる。従って、本明細書の以下に記載するように、上記データベース内の値は、患者の病態を識別するため、又は、将来の患者における所望のCNS生体分子の動態モデルを予測及び/若しくは較正するために用いることができる。

0066

図21を参照すると、別な態様において、脳内のAβイソ型の少なくとも一部分は、一般的には血液脳関門(BBB)を通過して血流へと移動し得る。この別な態様において、V38、V40及びV42によって表される脳からのクリアランスは分解及びCSFへの移動を含み得る一方、vBBB38、vBBB40及びvBBB42はそれぞれAβ38、Aβ40及びAβ42の血液又は血漿へのクリアランスを表わす。CSFより収取されたAβ同位体の同位体富化データを適合させるために、CSFの数学的モデルが用いられる場合に用いられるものと同様の方法論を用いて、血液/血漿数学モデル50を、血液/血漿から収取されたAβイソ型の同位体富化データに適合させることができる。

0067

一態様において、上記モデルは脳内のAβイソ型の少なくとも一部分のCSFへの移動の表現を備えていてもよい。一態様において、上記モデルは脳内のAβイソ型の少なくとも一部分の血液への移動の表現を備えていてもよい。更なる態様において、上記モデルは脳内のAβイソ型の少なくとも一部分のCSFへの移動の表現、並びに、脳内のAβイソ型の少なくとも更なる一部分の血液への移動の表現を備えていてもよい。

0068

種々の態様において、上記モデルの構成は上述したような種々の患者からの実測データを用いて構築することができる。数、順序、位置及び/又はコンパートメント間の結合が異なることがある代替モデル構成の結果を、性能指数を用いて比較することができ、また、最も有利な性能指数に関連するモデル構成を選択することができる。好適な性能指数の非限定的な例としては、赤池情報量基準、ベイズ情報量基準、偏差情報量基準、集中情報量基準、ハナンクイン情報量基準、及び本技術分野において公知の、任意のその他の好適な性能指数が挙げられる。

0069

当業者は、線形モデルにおけるコンパートメントの順序は、求められるパラメータのデータ又は値の適合性には影響しないことを認識しよう。当業者は、また、個々のパラメータがデータによって確認することができない、又は不十分にしか確認できない一部の場合には、これらの数学的モデルにおける一部の別個の速度定数が同一の値に設定されてもよいことも認識しよう。モデルの構造に対するこれらの小さな変更が速度定数の値に与える影響は、一般的には小さいと考えられる。

0070

(ii)流動モデル
一態様において、動態モデルは流動モデルであってもよい。図12は、一態様における、流動モデルを用いたAβ動態のモデルの構成図である。一態様において、上記流動モデルは任意のコンパートメント又は上述のコンパートメント・モデルからの移動速度を備えていてもよい。別な態様において、上記流動モデルは上記コンパートメント・モデルとの組み合わせで用いられてもよい。

0071

上記動態モデルは、図13及び14Aに図解されるように、脳のISF中のAβイソ型の、圧力差による脳室から脳表面及びCSF内への一次元流動を考慮してもよい。一態様において、上記流動モデルにおけるAβイソ型の流動をモデル化するために、脳内のISFの連続方程式及び運動収支が用いられてもよい。別な態様において、脳内のAβの定常状態流が計算されてもよい。更なる態様において、Aβの流動は本明細書に後述される実施例4中の式によって記述することができる。更に別な態様において、三次元構造MRIデータを用いて、完全な三次元流動モデルの実装を構築することができる。

0072

図17に図解される一態様において、上記動態モデルはAβイソ型の脳室から脳表面への移動を表わすノードを備えていてもよい。各ノードは、ISFの局所域に関連する、脳室(x=0)から脳表面又はCSF(x=1)までの距離xに位置することができる。ISFは、図14Bの一態様にまとめた、コンピュータ処理された速度プロファイルによって規定される速度で各局所域を通って移動し得る。図18に図解する各局所域内において、Aβは交換又は不可逆的消失によって除去され、且つAβは、当該ノード内の不動部分中のISFと接触する組織による合成によって追加され得る。一態様において、上記動態モデルは各Aβイソ型に対して約100のノードを備えることができる。上記流動モデルは、図18に図解されるように、血漿ロイシン・コンパートメントによって表すことができ、該コンパートメントは更にそれぞれのノードに分割される。

0073

各ノードは不動部分及び可動部分に分割することができ、該不動部分は脳内の当該位置に留まり、該可動部分は、図14Bの一態様にまとめたコンピュータ処理された速度に由来し得る速度で、脳表面へ向かって移動する。図18を再度参照して、上記不動部分は、ロイシン、APP、iAPP、mAPP、C99、又は交換コンパートメント中の任意のAβイソ型に関するコンパートメント及び移動速度を備えることができる。上記可動部分は、少なくとも1種の可溶性Aβイソ型に関する濃度、不可逆的消失、及び流動速度を備えることができる。

0074

上記各Aβイソ型の不可逆的消失は、ISF中の当該Aβイソ型の流動に伴って同時に起こり得る。ISF内の任意のノード、すなわち位置におけるAβイソ型の移動は流動及び反応によって記述され得る。反応は、C99からのAβイソ型の生成、Aβイソ型の分解(不可逆的消失)、及びAβイソ型のAβイソ型の不動形態との交換によって定義することができる。一態様において、各Aβイソ型は一次元で空間的に追跡することができ、Aβイソ型の追加及び除去は各x位置において考慮することができる。

0075

別の態様において、上記流動はコンパートメント・モデル内のコンパートメント又は速度定数に組み込むことができる。一態様において、上記動態モデルはAβの三次元流動を考慮してもよい。

0076

II.Aβのイン・ビボ代謝のモデル化方法
種々の態様において、少なくとも1種のCNS生体分子のイン・ビボ代謝のモデル化方法は、1又は複数のプロセッサを有する1又は複数の処理システム上で実施することができる。一態様において、上記CNS分子はAβ又はAβイソ型であってよい。一態様において、Aβモデル化較正システムは、ユーザーが、Aβの代謝経路中の種々の時点における特定のAβイソ型又は標識化タンパク質セグメントの量又は濃度を識別する、追跡する、及び推定するためのモデル化システムを選択的に較正することを可能にする、1又は複数のグラフィカル・ユーザー・インターフェースを提供する。分解、高次構造の形成及び不溶性のプラークの形成によって失われるAβの量、又は他の方法で血液又はCSFへ輸送されるAβの量を推定するための動態モデルを精緻化及び較正するために、上記Aβモデル化較正システムが用いられてもよい。そのため、上記Aβモデル化較正システムは、「可溶性」Aβペプチドの代謝回転速度(プール/h)の決定及び予測のためのモデルを較正するために用いられてもよい。特に、モデル由来のデータを、メモリ内、データベース内、又は任意の他のデータ保存媒体中に保存された既知のデータ値と比較することにより、システム100は、これもメモリ中に保存されている、実測されたベースラインCSF Aβペプチド濃度に基づくAβペプチドの代謝に関する種々の速度定数を予測するための動態パラメータを較正するために用いられてもよい。前述したように、上記CNS Aβモデル化較正システム100は、生物学的試料中の、実測標識化残基濃度と実測Aβイソ型濃度とを比較することにより、動態モデル10、20、及び50中の種々のコンパートメント間の移動に関する最適な速度定数を較正するために用いられてもよい。更に、システム100は、図3、4、及び20に示される各Aβイソ型に関する、当該モデルのコンパートメント内の定常状態の量(ng)及び該コンパートメント間の流動速度(ng/h)を決定又は予測することができる。

0077

上記Aβモデル化較正システムの他の態様は、ユーザーが、最適化された速度定数値、予測された代謝回転速度、又は一部の実施形態においては、動態モデル自体を閲覧する及び較正するために、1又は複数のグラフィカル・ユーザー・インターフェースに接することを可能にする。上記Aβモデル化較正システム100は、ユーザーが、動態モデルの1又は複数の入力値又は速度定数値を選択し、手動で又は自動的に調整又は変更することを可能にする。

0078

図7は、本開示の態様に係るAβモデル化較正システム(modeling calibration system)(MCS)100を備える代表的なコンピュータ処理環境30のブロック図である。MCS100はAβモデル化アプリケーション(modeling application)(MCA)104及びデータソース106を備えるコンピュータ処理装置102を備える。MCS100は単一のコンピュータ処理装置102上に位置することができる。あるいは、MCS100は複数のコンピュータ処理装置間に分配されてもよく、又はサーバーとして構成され、通信網110を介して1又は複数のクライアント・コンピュータ処理装置(クライアント)108と通信するコンピュータ処理装置上に位置してもよい。データソース106はコンピュータ処理装置102上に、102に、又は102内に位置するように示されるが、データソース106は、コンピュータ処理環境30の1又は複数のその他のコンピュータ処理装置中に、コンピュータ処理装置102から離れて位置することができることが企図される。例えば、データソース106は、少なくとも1のプロセッサ並びに揮発及び/又は不揮発メモリを有する別のコンピュータ処理装置又はシステムのデータベース上に、該データベースに、又は該データベース内に位置することができる。

0079

図7、8、及び10に示すように、コンピュータ処理装置102は、動態モデル20の種々の値及び定数を識別、決定、較正、及び/又は予測するためのMCA104を実行する、1又は複数のプロセッサ112及びメモリ114を備えるコンピュータ又は処理装置である。図10に示すように、コンピュータ処理装置102は、また、コンピュータ・モニタなどの、データ及び/又はMCA104のGUIモジュール300によって作成されるグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を表示するための表示装置116を備えていてもよい。コンピュータ処理装置102は、また、キーボード又は指示装置(例えば、マウス、トラックボールペン、又はタッチスクリーン)などの、データを種々のグラフィカル・ユーザー・インターフェースに入力する、又は他の方法で種々のグラフィカル・ユーザー・インターフェースに接するための入力装置120を備えていてもよい。

0080

各処理装置102又は108は、また、1又は複数のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(複数可)120をディスプレイ114上に作成するための、独立版又は分配版のMCAアプリケーション104を備えていてもよい。グラフィカル・ユーザー・インターフェース120は、処理装置102又は108のユーザーが、実際の実験データ、予測データ、及び入力装置116を用いて相互に入力された、又は他の方法でデータソース106中に保存された他のデータを閲覧することを可能にする。グラフィカル・ユーザー・インターフェース120は、また、処理装置102又は108のユーザーが、保存されたデータ並びに任意の求められた又は予測されたデータ値を閲覧する及び変更することを可能にする。別な態様によれば、グラフィカル・ユーザー・インターフェース120は、MCSシステム100のユーザーが、それらに限定されるものではないが、ユーザー名、パスワード又は、MCS100の任意の制限された機能にアクセスするための他のユーザーデータを始めとする認証データ又はその他のデータを入力するための種々のデータ入力フォームに接することを可能にする。

0081

一態様によれば、処理装置102はMCA104により構成されるコンピュータ可読媒体(computer readable medium)(「CRM」)122を備える。CRM122はプロセッサ(複数可)112によって実行可能な命令又はモジュールを備える。CRM122は揮発媒体、不揮発媒体、取外し可能な媒体、取外し不能な媒体、及び/又はコンピュータ処理装置122によってアクセスすることができる別な利用可能な媒体を備えていてもよい。例として且つ限定するものではなく、CRM122はコンピュータ保存媒体及び通信媒体を備える。コンピュータ保存媒体としては非一時メモリ、揮発媒体、不揮発媒体、取外し可能媒体、及び/又は、コンピュータ可読な命令、データ構造プログラム・モジュール、又はその他のデータなどの、情報の保存方法若しくは技術において実装される非取外し可能媒体が挙げられる。通信媒体としては、コンピュータ可読な命令、データ構造、プログラム・モジュール、又はその他のデータなどが例示され、情報配信媒体又はシステムを含む。データソース106は、それらに限定されるものではないが、MCSユーザーデータ、患者データモデルデータ、又は任意のその他のデータを始めとするデータのデータベース又はその他の一般的なリポジトリであってよい。データソース106又はデータベースは、情報又は要求を受け取る、処理する、問い合わせる、及び送るためのメモリ及び1又は複数のプロセッサ若しくは処理システムを備え、かかるデータを保存及び/又は引き出してもよい。別の態様において、上記データベースはデータベース・サーバーであってもよい。

0082

同様に、ローカル又はクライアント・コンピュータ処理装置108は、処理装置102と同様な処理装置、1又は複数のサーバー、パーソナルコンピュータモバイルコンピュータ、及びその他のコンピュータ処理装置であってよい。種々の態様において、ローカル・コンピュータ処理装置108は1又は複数のプロセッサ及び揮発及び/若しくは不揮発メモリを備え、無線及び/又は有線の通信を介した通信網112上で通信を行うように構成されていてもよい。

0083

コンピュータ処理装置102は、クライアント108又は通信網112を通じた遠隔データソースを始めとするその他のコンピュータ処理装置からのデータ及び/若しくは情報を受け取るように、並びに/又は、クライアント108又は上記その他のコンピュータ処理装置への一時データ及び/若しくは情報を送るように構成されていてもよい。通信網112はインターネットイントラネット、並びに/又は別な有線及び/若しくは無線通信網とすることができる。一態様において、コンピュータ処理装置102、クライアント108、及び/又はデータソース106は、パケット化データ、メッセージ、又は、ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext Transfer Protocol)(HTTP)若しくは無線アプリケーションプロトコル(Wireless Application Protocol)(WAP)などのプロトコルを用いたその他の情報を通信する。通信プロトコルの他の例も存在する。

0084

図9はMCS100の一態様に係るデータソース106の代表的な実施形態を表わす。データソース106はローカル・データベースとすることができ、又は通信網212を介してコンピュータ処理装置102と通信する別なサーバー(図示省略)とすることができる。一態様によれば、データソース106は患者データ200、実測データ値202、予測された又は求められたデータ値204、その他の関連するデータ206、及びMCSユーザーデータ208を保存する。MCS100は単一のデータソース106を備えるように描かれているが、MCS100は、他の態様において、多重のデータソースを備えていてもよいことが企図される。

0085

図10はMCA104の代表的な実施形態を有するコンピュータ処理装置102を表わす。同図に示されるように、MCA104は、後により詳細に説明する、様々な機能を実行するための多数のモジュール300〜310を備える。種々の態様において、各モジュール300〜310に帰属される機能が1又は複数の他のモジュールによって実行されてもよく、あるいは、単一のモジュールが上記の機能の一部又は全てを実行してもよい。

0086

III.Aβのイン・ビボ代謝モデルの使用方法
本開示はCNS生体分子又はAβのイン・ビボ代謝モデルの使用方法を提供する。上記モデルは、一態様において、CNS内の合成速度及びクリアランス速度などの代謝パラメータを計算するために用いることができる。一態様において、動態モデルは、モデル・パラメータから計算される指標を予め選択された閾値と比較することによって、患者の病態を識別するために用いることができる。別な態様において、動態モデルは患者におけるイン・ビボでのAβ又はその種々のイソ型の代謝及び/又は濃度を予測するために用いることができる。一態様において、上記モデルは患者における各Aβイソ型の経時変化に適合する曲線を作成するために用いることができる。更に別な態様において、医薬設計の支援又はCNS疾患の理解のために、微細な経路成分を識別するために用いることができる。更に別な態様において、上記モデルは治験薬によって誘起され得るイソ型の動態の変化を調べるために用いることができる。一態様において、上記モデルは様々な患者におけるAβを特徴付けるために用いることができる。

0087

(a)患者の病態の識別
図15は患者の病態を識別するための動態モデルの使用方法の図解である。モデル1500の使用方法は、ステップ1502に示されるように、患者のCSFからAβ富化動態データを得ること、ステップ1504に示されるように、標識化残基からの経時変化データ、CSF中のAβ42富化動態、及びCSF中の少なくとも1種のその他のAβイソ型の富化動態を動態モデルに入力すること、ステップ1506に示されるように、動態モデルから1組のモデル・パラメータを得ること、ステップ1508に示されるように、動態モデルからの少なくとも1のモデル・パラメータを用いる数学的計算を含むモデル・インデックスの計算を行うこと、ステップ1510に示されるように、上記モデル・インデックスを予め選択された閾値と比較すること、及びステップ1512に示されるように、患者の病態を識別することを含んでもよい。

0088

一態様において、動態モデルはAβ42及び少なくとも1種のその他のAβイソ型の富化動態を表わしてもよい。この態様において、標識化残基は血漿ロイシンとすることができる。患者からのAβ富化動態データはSILK法により得ることができ、CSF中のAβ42、Aβ40、及び/又はAβ38に関する経時変化データを含んでもよい。一態様において、動態モデルに入力される上記データは、CSF中のAβ42の経時変化及びCSF中のAβ40の経時変化を含んでもよい。別な態様において、動態モデルに入力される上記データは、CSF中のAβ42の経時変化及びCSF中のAβ38の経時変化を含んでもよい。更に別な態様において、動態モデルに入力される上記データは、CSF中のAβ42の経時変化、CSF中のAβ40の経時変化、及びCSF中のAβ38の経時変化を含んでもよい。一態様において、標識化血漿ロイシンの経時変化データが動態モデルに入力されてもよい。

0089

動態モデルへデータを入力することにより、当該患者に関する1組のモデル・パラメータが作成される。動態モデルから得られる上記モデル・パラメータとしては、それらに限定されるものではないが、Aβイソ型の濃度、移動速度(例えば、kAPP、kC99、kAb42、kAb40、kAb38)、不可逆的消失速度(例えば、vC99、v42、v40、v38)、交換速度(例えば、kex42、kre1)、遅延速度(例えば、kdelay)、又は動態モデルにおいて用い得る任意のパラメータを挙げることができる。モデル・インデッスクは少なくとも1のモデル・パラメータを用いて計算することができる。モデル・インデッスクは、それらに限定されるものではないが、乗算除算加算、減算、対数、又は任意のその他の数学的演算子を始めとする任意の数学的演算子を、少なくとも1のモデル・パラメータと共に用いて計算することができる。一態様において、モデル・インデッスクはAβ42の不可逆的消失速度及びAβ42の移動速度に関するモデル・パラメータを用いて計算することができる。一態様において、モデル・インデッスクは以下の数式(I)に示す計算を用いて計算することができる。

0090

別なモデル指標を記述するその他の態様は、本明細書に後述する実施例に記載される。

0091

予め選択された閾値は、モデル・インデックスと同様の方法で、既知の病態を有する他の患者のモデル・パラメータ又は該他の患者のモデル・パラメータの平均を用いて計算することができる。患者の病態を識別するための動態モデルの使用方法は、患者におけるアルツハイマー病の識別を含み得る。一態様において、モデル・インデックスがアルツハイマー病に関して予め選択された閾値を超える場合には、病態がアルツハイマー病と識別することができる。別な態様において、病態の重症度はモデル・インデックスを予め選択された当該病態の相関関係と比較することにより識別することができる。一態様において、上記病態の相関関係はPIB像によって識別することができる。

0092

(b)実測データに適合する曲線の作成
上記動態モデルは、患者における各Aβイソ型の経時変化に適合する曲線を作成するために用いることができる。一態様において、患者からの限定されたデータがモデルに入力されてもよく、モデルは、提供されたデータから、各Aβイソ型の経時変化に適合する曲線を作成することができる。該適合する曲線はAβの未知の代謝を予測するため、及びその後の経時変化を予想するために用いることができる。

0093

(c)代謝又は濃度の予測
患者におけるAβの代謝及び/又は濃度を予測するために、上記動態モデルを用いることができる。一態様において、患者の遺伝子型又は表現型に最も近似して合致する、データベースからの1組のパラメータを用いることによって、本明細書に上述したパラメータのデータベースが、当該モデル内において、患者におけるAβイソ型の代謝を予測するために用いることができる。別な態様において、該モデルは体内の異なる位置及び/又は異なる時点における異なるAβイソ型の濃度を予測するために用いることができる。別な態様において、該モデルは該モデル内の代謝パラメータを計算するために用いることができる。

0094

(d)微細な経路の識別
医薬設計を支援するため又はCNS疾患を理解するために、上記動態モデルを微細な経路成分を識別するために用いることができる。一態様において、Aβイソ型の濃度及び速度定数の影響を観察するために、コンパートメントを付け加える又は取り去ってもよい。一態様において、コンパートメントの付け加え又は取り去りにより、経路内の微細な領域を示すことができ、また、潜在的な薬剤作用に関する領域を示すことができる。別な態様において、Aβイソ型の濃度及びその他の速度定数の効果を観察するために、モデル内の速度定数を増加又は減少させることができる。一態様において、速度定数の調整が経路内の微細な領域を示すことができ、潜在的な薬剤作用に関する領域を示すことができる。

0095

(e)薬剤作用の模擬実験
CNS内での薬剤作用を模擬実験するために上記モデルを操作することができる。一態様において、治験薬により誘起され得るAβイソ型の動態変化を調べるために、上記モデルを用いることができる。一態様において、患者に対するイン・ビボでの薬効を最もよく表すようにモデル・パラメータを調整することができる。別な態様において、少なくとも1種のAβイソ型のCSF濃度を予測するために、上記モデルを用いることができる。

0096

(f)Aβの特徴付け
様々な患者においてAβ動態を特徴付けるために、上記モデルを用いることができる。一態様において、他の患者におけるAβの動態を予測するために、データベース中のパラメータを用いることができる。一態様において、データベース中の非変異保有者に関するパラメータを用いて、CSF中のAβイソ型の濃度を測定する必要なしに、非変異保有患者をモデル化することができる。一態様において、データベース中のMC PIB−に関するパラメータを用いて、CSF中のAβイソ型の濃度を測定する必要なしに、MC PIB−患者をモデル化することができる。一態様において、データベース中のMC PIB+に関するパラメータを用いて、CSF中のAβイソ型の濃度を測定する必要なしに、MC PIB+患者をモデル化することができる。

0097

実施例
以下の実施例は本発明の好ましい実施形態を例証するために加えられる。この後に続く実施例中に開示される技法は、発明者らによって発見された技法を代表して本発明の実施においてよく機能し、従って、本発明の実施のための好ましい形態を構成すると見なすことができることが、当業者により認識されるべきである。但し、当業者は、本開示を考慮すれば、開示される特定の実施形態において、多くの変更を行うことができ、尚且つ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様の又は類似の結果を得ることができることを認識すべきである。

0098

変異及びアミロイド沈着が微分Aβイソ型動態によりモデル化された。
次の実験は、SILKの検討からのデータを用いた、イン・ビボでのAβの輸送のモデルの構築を評価した。

0099

上記モデルは以下の構造及びパラメータから構成された。APP生成速度は、ゼロ次速度定数kAPPと同位体標識化ロイシンの分率との積により決定した。「濃度」の単位はCSFのmL当たりのngであり、従って、明示的に脳コンパートメントの容積を考慮していない。APPの分解生成物C99は、速度定数



とAPPの濃度との積により決定される速度にて生成させた。C99は更に、C99の濃度と、それぞれの速度定数







及び



との積により決定される速度にて、3種のAβペプチド、Aβ38、Aβ40及びAβ42へと処理された。C99はまた、速度定数



とC99濃度との積に律せられて不可逆的に分解し、他の生成物を生成することができる。脳内で起こる全ての不可逆的なクリアランス過程(分解、脈管構造への輸送及びプラークとなっての沈着)は、速度定数







又は



に、可溶性のAβ38、Aβ40及びAβ42の脳濃度をそれぞれ乗じた積によって記述することができる。CSFの腰椎腔への輸送は、3つの、等しい進入及び退出に関する速度定数(



)を有するCSF遅延コンパートメントとしてモデル化することができる。第3の遅延コンパートメント中の予測される標識化Aβペプチドの濃度を、実測されたCSF中のAβペプチドの合計の濃度と比較し、予測される標識化率を計算した。パラメータをAβペプチドの実測標識化率に対して最適化した。

0100

ADAD変異を有する参加者及び非変異保有者である兄弟姉妹の比較対照者におけるイン・ビボでのSILKの検討を行った。Aβ動態パラメータを、PSEN変異及びPiB−PETにより測定した不溶性のアミロイド沈着の有無により比較した。

0101

SILKの検討は、23名の患者(11名がPSEN1又はPSEN2における変異を有し、12名が非変異保有者である兄弟姉妹の比較対照者)において、プライミングを行った、13C6ロイシンの9時間の持続注入を用いて実施した。7名の変異保有者がPiB PETによるプラークの形跡を有し、残りの変異保有者及び全ての非変異保有者はPiB陰性であった。4名の変異保有者が認識力に関して症状を示し、残りの全ての患者は認識力に関して正常であった。CSFのAβ38、Aβ40、及びAβ42濃度及び同位体富化を、36時間にわたって1時間間隔で測定した。

0102

13C6ロイシンの注入の間、血漿ロイシン富化は一定のプラトーに近似され、その後、注入を停止した後に急速に減少した(図5)。Aβイソ型代謝動態、変異の状態、及びアミロイド沈着(PIB+は、ピッツバーグ化合物Bを用いたPETによる測定での原線維性アミロイド沈着を示す。)の間の相関性に取り組むために、アミロイド症を有する又は有しない変異保有者、及び非保有者間において、Aβ38、Aβ40、及びAβ42の13C6ロイシン同位体富化を比較した。

0103

Aβイソ型動態を比較するために、比が1であることがAβイソ型間で同一の同位体富化及び動態を表わすように、CSF中での標識化Aβイソ型富化の比をプロットした。Aβ38:40の標識化比は全ての患者群において概略1で経時的に一定であり(図6A)、これはAβ38とAβ40との間で同様の動態であることを示していた。同様に、Aβ42:40及びAβ42:38の標識化比は、非変異保有者においてほぼ1で経時的に一定であった。しかし、PIB−及びPIB+変異保有者の両方において、Aβ42:40及びAβ42:38の標識化比が早期の時点で上昇し、後期の時点で減少した(図6A)。上記Aβイソ型富化の不整合は、アミロイド沈着を有する参加者(PIB+)においてより顕著であり、これはAβ38及びAβ40に比較して、Aβ42のより早く且つより低いピーク及びより平坦な尾部(図6B)に起因した。各Aβイソ型における13C−標識化のピークに到達するまでの時間を、各患者に対して測定した。Aβ38:Aβ40ピーク時間比は、変異保有者の群と非保有者の群の間とで違いはない(それぞれ、1.01±0.01対1.00±0.01)。これに対して、非保有者の群においては、Aβ42はAβ40と同様の時間にピークを迎えた(Aβ42:Aβ40ピーク時間比=1.01±0.03)一方で、変異群においては、Aβ42はAβ40よりも顕著に早くピークを迎えた(ピーク時間比=0.93±0.05、変異効果に関してp=0.015、PIBスコアに関してp<0.001)。

0104

定常状態のAβイソ型動態パラメータを定量化するために、本明細書において上述したモデルと同様の、包括的なコンパートメント・モデルを構築した。該モデルは、各患者に関する血漿ロイシン及びAβ富化の経時変化プロファイル及びCSFAβイソ型濃度を組み込んだ(図3の概略図)。図4は当該モデルの詳細図である。図6Bは、血漿ロイシンに規格化された富化としての平均のAβイソ型経時変化プロファイルに対する、上記モデルからの曲線の適合を示す。多数の標識化曲線、特にPIB+参加者におけるAβ42の標識化曲線のS字状の減衰をモデル化するために、可逆的交換コンパートメントを組み込んだ。上記モデルは、CSF中に回収されない、それぞれの可溶性Aβイソ型の不可逆的消失を含めた。各患者に関する実測値を用いて、モデル中のコンパートメント間の移動に関する速度定数を較正した。各パラメータに関する平均値を以下の表1にまとめる。

0105

この実験の結果は、Aβイソ型に特異的な差異を考慮した生物学的機序及び患者のデータを、Aβイソ型動態のモデルを構築するために用いることができること、及び該モデルが、変異及びアミロイド沈着状態の両方によって、Aβペプチドの代謝動態に関する見通しを提供することができることを実証した。

0106

Aβ動態曲線を適合させるために交換過程が必要であった。
上記モデルの非標識化Aβペプチドとの交換を考慮する能力を実証するために、以下の実験を行った。

0107

実施例1において構築したモデルを用いて、当該モデルを更に発展させるために追加のコンパートメントを付加した。Aβイソ型富化の経時変化の形状及びピークの大きさを最適に適合させるためには、図3に示すように、新たに合成された標識化Aβペプチドの先在する非標識化Aβのプールとの可逆的交換をモデル化するために、コンパートメントが必要とされた。非変異保有者においては、上記交換過程は最小の大きさであり、該過程において、新たに合成されたAβ38、40又は42の流動の僅か約10%が交換を受けた(表2)。交換を受けたAβ38及びAβ40のパーセントは変異保有者と非保有者の間で顕著に異なることはなかった。しかし、Aβ42に関する交換は、保有者においては非保有者に比較して顕著に大きかった(それぞれ、流動の51±58%対6±12%、変異効果に対してp=0.004、PIB状態に対してp=0.001)(表2)。Aβ42に関する交換過程は、より速いAβ42の代謝回転速度と組み合わされて、アミロイド沈着を有する変異保有者を含む全ての群において、Aβ42富化の経時変化の全体の形状に対して優れた適合を付与した(全ての参加者に関する平均のR2が、Aβ38、Aβ40及びAβ42に対してそれぞれ、0.994、0.995、及び0.987)。

0108

この実験の結果は、特に変異保有者群において、Aβ42の交換をモデル化するために、標識化Aβペプチドの非標識化ペプチドとの交換に関するコンパートメントが必要であることを実証した。

0109

アミロイド沈着におけるより大きなAβ42の不可逆的消失を評価した。
上記モデルの不可逆的消失を考慮する能力を評価するために、以下の実験を実施した。実施例1及び2のモデルを用い、モデルを更に発展させるために、追加のコンパートメントを付加した。可溶性Aβの代謝回転速度(fractional turnover rate)(FTR、プール/h)は可溶性Aβの永久消失に関する速度定数であり、可逆的交換とは動態学的に異なる。当該系の生理学は、図2に示すように、FTRがCSR又は血流への不可逆的消失、分解、及びアミロイド・プラークとなっての沈着を含むことを示唆する。上記モデルを、種々のイソ型及び各患者の類型に対する代謝回転速度、又は不可逆的消失速度を備えるように調整した。Aβ40のFTRはPIB−参加者に比較してPIB+参加者において顕著に遅く(PIBの影響に関してp=0.024)、Aβ38が大きい傾向であったが(PIBの影響に関してp=0.054)、変異状態は何に対しても影響を与えなかった(表2)。従って、低い代謝回転速度はPIBにより検出可能なアミロイド・プラークの存在と関連していた。これに対して、Aβ42のFTRは、アミロイド負荷には依存せずに変異保有者において増加傾向であった(変異効果に関してp=0.065)(表2)。Aβ38:Aβ40のFTR比は非保有者群と変異保有者群との間で顕著に異なることはなかったが、Aβ42:Aβ40のFTR比は変異保有者において65%高かった(変異状態及びPIBスコアの両方に関してp<0.002)(表2)。CSFAβイソ型の実測濃度を変異状態及びPIBスコアによって比較した(表2)。Aβ42のCSF濃度及びAβ42:Aβ40のCSF濃度比はアミロイド沈着に伴って顕著に低下した(PIBスコアに関してp=0.003、変異状態によるものは顕著ではない)一方で、CSF Aβ38、Aβ40、又はAβ38:Aβ40の濃度比に関して、群間における差異はなかった。この実験結果は、上記モデルが各イソ型の不可逆的消失を考慮するように適応できることを確認した。

0110

脳内におけるAβの一次元流動をモデル化した。
同位体標識化動態を記述するために一次元流動モデルを用いることの実用可能性を評価するために、以下の実験を実施した。

0111

脳間質液(ISF)からCSFへのAβの一次元流動を、実施例1及び2に記載されたモードと類似のモデル中に組み込んだ。該モデルを図12の概略図にまとめるが、構造及びパラメータにおける以下の変更が組み込まれる。APPコンパートメントを未完成(immature)APPコンパートメント及び完成(mature)APPコンパートメントに分割した。iAPPの生成速度はゼロ次速度定数



と同位体標識化ロイシンの分率との積により決定した。未完成APPは処理(グリコシル化)されて完成APPを生成すると想定した。mAPPの生成速度は1次速度定数



とiAPPの「濃度」との積により決定した。APPの分解生成物C99は、速度定数



とmAPPの濃度との積により決定される速度で生成させた。

0112

脳間質液と共に流動する3種のペプチドの全て及び除去されることなく脳表面に輸送された任意のAβペプチドは、その後CSFの一部となる。Aβ42は、また、可逆的交換コンパートメントに進入することができ、このAβ42はAβ38又はAβ40よりも大幅に交換されることが以前より判っていた。交換コンパートメント内のAβ42は流動には供せられない。可溶性Aβ42の脳中の濃度は交換コンパートメント内のAβ42の量を含まない。CSFの腰椎腔への輸送を、進入及び退出に関する等しい速度定数(



)を有する2つの遅延コンパートメントとしてモデル化した。

0113

脳室から脳表面への距離は3cm又は7cmとした。7cmとの値は上述のISF流動のモデルにおいて採用したが、3cmの方がより現実的と考えた。一次元流動モデルを図13に更にまとめる。一次元流動モデルは、イン・ビボAβ標識化動態をモデル化するために、図12に示したコンパートメント・モデルと一体化した。

0114

図13長方形で表される脳を図解し、左側が脳室、右側が脳表面である。C99を脳室からの一次元距離xに沿って脳コンパートメント内に均一に分布させ、脳に結合するものとして表した。C99はISF流動には供しなかった。各位置はAβを生成するC99源を有する。C99の酵素による開裂に際して、Aβペプチドは放出され流動するISFと共に輸送される。各位置から放出されたAβはISF流動中で合流する。Aβペプチドは流動中で除去及び/又は分解されてもよく(図13において、細くなっていく線として濃度の減少を表している。)、x=1である脳表面に到達したAβペプチドは全て、その後CSFの一部となる。

0115

脳室から脳表面への一次元流動モデルを構築するために、数式(II)に示す連続方程式を用い、また、数式(III)に示す一次元運動量収支を用いた。






式中、Fvは毛細血管による、流体の単位容積当たりの流体の速度又は生成、vは流体の速度、xは規格化された脳室からの距離である。数式(I)は、毛細血管からの新しい流体の導入のみに起因するものとしての流体の速度変化を表わす。更に流体が追加されるため、水の非圧縮性により、流体速度は増加しなければならない。

0116

脈管構造中のより高い圧力による毛細血管からの流体の導入は、数式(IV)に示すスターリングの法則に従うと仮定する。

0117

普遍性のための無次元化連続方程式は以下のようになる。



式中、Lpは透水係数、S/Vは脳容積当たりの毛細血管表面積、σは反射係数、P及びπは圧力、vsは脳表面における速度、Piは以下の数式(VI)により表される。

0118

運動量収支方程式を無次元化し、高次項を無視した後、上記運動量方程式を数式(VII)へ約す(Arifinら、2009、Pharma. Research、26:2289)。

0119

無次元の連続方程式及び運動量方程式を結合し、数式(VIII)へ約す。



式中、α及びβは数式(IX)及び(X)で表すことができる。

0120

これは、上記流動が、多孔性のみに起因するもの以外の実質的な粘性損失のない、圧力により駆動される流動であることを示している。上記速度は既知の下記の圧力プロファイルから計算することができる。



式中、A及びBは数式(XII)及び(XIII)で表すことができる。

0121

数式(VIII)及び(XI)を用いると、圧力及び速度が図13に示すような脳を横断するプロファイルをもつ。図13は脳室表面(x=0)から脳表面(x=1)への圧力及び流体速度の変化を図解する。

0122

Aβペプチドの輸送に関して、物質収支は(Pによる拡散を無視して)以下のようになる。



式中、kC99はC99の生成速度、



はAβの不可逆的消失速度である。

0123

定常状態方程式を部分的に無次元化した後には、実質的な誤差を持ち込むことなく、拡散及び時間依存項の影響を無視することができ、以下の定常状態方程式が得られる。

0124

数式(XI)において計算されたxの関数としての速度式を数式(XV)に挿入し、



との境界条件で積分することにより、以下のAβ定常状態方程式が得られた。

0125

「脳」を100の等間隔のノードに分割し、非定常系の微分方程式を、iAPP、mAPP、脳内で不動化したC99、間質液及びCSF中のAβ38、Aβ40、及びAβ42、並びに交換コンパートメント中のAβ42について、数値解法により解いた(705の方程式)。

0126

この実験の結果は脳内のAβの一次元流動をモデル化できることを実証した。

0127

一次元流動モデルを評価した。
脳内のAβの一次元流動のモデルを評価するために、以下の実験を実施した。実施例1及び4のモデルを用い、正常な比較対照者(NC)並びにPIB陽性(MC+)及びPIB陰性(MC−)の両方のPSEN1又はPSEN2変異保有者である患者をモデル化した。

0128

標識化iAPPの生成速度は速度定数kiAPPとロイシンアミノ酸の標識化分率との積とした。この値は全ての患者に対して25h−1と設定した。mAPP及びC99の生成速度定数に関しては、PETで検知可能なプラークを有する患者の一名に対してデータを適合させつつ、種々の値を調査した。実施例2において、データに最適に適合させるためには、プラークを有する7名の患者の内の6名がAβ42の交換を必要とし、多くの患者が多量の交換を必要とした。これは特徴的な曲線の形状に起因する(図13)。Aβペプチドのクリアランス速度(例えば、








又は



)が約0.25h−1未満である場合には、交換過程のみが標識化曲線に対して実質的な影響を与えた。mAPP及びC99の代謝回転が比較的高い場合には、Aβペプチドの代謝回転のみが十分に遅くなることができる。データはそれぞれ独立にkmAPP及びkC99に関する僅かな情報しか有していないように思われたため、これらの2つのパラメータを同一に設定した。曲線適合しながら、kmAPP及びkC99に関する速度定数を系統的に変更し、プラークを有する患者について、L=3cmに対しては1.2h−1、L=7cmに対しては1.6h−1の最適値に至った。その他のパラメータ値の範囲は上述のモデルの知見に基づいて固定し、最適化されたパラメータが所定の限界に達した場合は、当該範囲を拡大した。表3及び4は一次元流動モデル中で用いたパラメータの値を示す。

0129

MC−群及びMC+群の両方を正常な比較対照者(NC)と比較した場合、Aβ42の生成に関する速度定数のAβ40の生成に関する速度定数に対する比が非常に大きかった。但し、MC−群及びMC+群は互いに異なることはなかった。

0130

MC−群及びMC+群の両方を正常な比較対照者と比較した場合、Aβ42の永久消失に関する速度定数(



)のAβ40の永久消失に関する速度定数(



)に対する比もまた非常に大きかった。MC+群のみがAβ40に対してAβ42の消失の増加を示すであろうことが予想されたが、MC−群の一部の患者がプラークの沈着を開始しつつある可能性があり、但し、該プラークの沈着は未だPIBによって検出可能にはなっていなかった。このことはMC−群における交換速度定数の顕著な増加によって支持されるが(p=0.19)、但し、MC−群における交換速度定数の平均はMC+群におけるものよりも約1/4近く小さかった。MC+群における永久消失に関する速度定数はMC−群に比較すると33%高く、この差異は大きくなる傾向にあった(p=0.057)。興味深いことに、MC+群における



比の増加は、



の増加よりもむしろ



の顕著な減少に起因するように思われた。この結果は、実施例1及び2のデータの純粋なコンパートメント・モデルの知見と一致する。しかし、このモデルでは、Aβ38のクリアランスに関する速度定数(



)もまた、MC+群において顕著に低い。これはプラークの存在下における脳からのクリアランスの一般的な低下を表わしているかも知れず、それは恐らく脳の生理機能の変化に起因する。

0131

実施例1及び2におけるモデルと比較すると、実施例2のモデルでは、13名/23名の患者においてAICがより低く、現モデルでは、10名/23名の患者においてAICがより低かった。しかし、AICは非常に類似しており、全ての患者の合計のAICが、前述のモデルに関して−25,818.2であり、現モデルに関して−25,729.7であった。

0132

現モデルにおいては、Aβ42の交換のみが許容され、このパラメータを全ての患者において変更することが許容される。実施例2のモデルにおいては、AICを向上させる場合にのみ、患者においてAβペプチドを交換することが許容される。現モデルは交換速度定数を連続的な変数として扱い、このことがこのパラメータの他のアルツハイマー病の尺度との比較を容易にする。特に、交換速度定数とPIBスコアとの相関が提示される。r=0.851の相関係数は、上記2つの尺度間の高い相関性を示している。これに対して、予測されたAβ42の脳プールの大きさと交換速度定数との間の相関係数はr=−0.441であった。これは、これらの変数の間に多少の相関性があることを表わしている。

0133

この実験結果は、上記モデルが脳内のAβの一次元流動を表わすことができることを実証している。

0134

微分Aβイソ型動態モデルの較正方法
一実施形態において、コンピュータ処理装置102又はクライアント108は、ユーザーからのモデル化要求に応えてMCA104を実行する。ユーザーは入力装置120及び1又は複数のGUIモジュール300によって作成されるGUIを用いて、Aβモデル化が較正されることとなる対象である、1名又は複数名の患者を識別する。

0135

GUIモジュール300は種々の他のモジュール302〜310、入力装置120、及び/又はデータソース106からデータを受け取り、表示装置116上に1又は複数の表示を作成する。GUIモジュールにより作成された表示としては、入力フォーム、チャート、グラフ、表示、表、及びその他のMCS100のユーザーによる閲覧用のデータが挙げられる。

0136

応答において、患者データモジュール302は患者データを引き出す要求を作成する。一実施形態において、上記要求はデータソース106に送られて患者データを引き出す。患者データとしては、識別された患者の生い立ちのデータ並びに医療データを挙げることができる。患者データは、また、患者の病態を識別してもよい。患者データとしては、更に、患者の血液、CSF内の1種又は複数種の成分濃度に関するベースラインデータ値、又はその他の着目するベースラインデータが挙げられる。あるいは、MCA104が同時に新規の患者について実行中であるならば、患者データに対する要求はGUIモジュール302に送られ、該モジュールにおいて、ユーザーがベースライン値を入力するための、表示装置116上での表示のための1又は複数のGUI及びデータ入力フィールドが作成され、該ベースライン値は、患者データモジュール302において受け取られる。

0137

患者に関するベースライン値が納められたならば、MCA104は当該患者に関する血漿ロイシン富化値を求める。血漿ロイシン富化値は、図5に示すように、時間の関数としての既知データの富化値を参照し、該既知データを、患者データモジュール302において得られた患者データと比較することによって計算される。

0138

前述したように、モデルの時間依存性の遅延コンパートメントは、APPによる標識化血漿ロイシンの取り込み、及びそれに続く、C99ペプチドを開裂することによるAβイソ型の生成を表わすために用いられる。従って、MCA104は、開裂後の各Aβイソ型の濃度を求めるAβイソ型モジュール304を備え、該開裂後の各Aβイソ型は標識化ロイシンを取り込む。Aβイソ型モジュール304は、初めに、求められた血漿標識化ロイシン濃度に、表1に識別された未較正のAPP定数(kAPP)を乗じることにより、各標識化イソ型並びに各イソ型のそれぞれの富化水準に関する量又は値を求め、未較正の富化C99ペプチド濃度を得る。データソース106に保存された平均データ値の表から、代表的な未較正のAPP定数を引き出す。同様に、Aβイソ型モジュール304は、富化C99ペプチドの較正濃度にC99ペプチドから開裂した各それぞれのイソ型に関する平均移動速度値を乗じることにより、CSFに進入する各Aβイソ型に関する代表的な濃度を求める。この算出はまた、代表的なC99の不可逆的消失定数(VC99)を用いることにより、消失しAβイソ型に転化されない、ある濃度のC99ペプチドも考慮する。

0139

一実施形態において、イソ型の状態−状態動態を較正及び定量するためにAβイソ型モジュール304を用いてもよい。例えば、Aβ38、Aβ40、及びAβ42イソ型の動態をモデル化するために上記モデルを用いてもよい。

0140

一態様において、「可溶性」ペプチドの動態をモデル化するためには交換コンパートメントが必要であるかどうかを決定するために、Aβイソ型モジュール304を用いてもよい。モジュール304は、追加した交換過程が曲線適合に関して赤池情報量基準(AIC)を向上させるとの決定に応答して、交換コンパートメントを作成することにより当該モデルを最適化する。例えば、SAAM IIソフトウェアを用いて実施した代表的なモデル化からのデータをデータソース106に保存してもよい。特に、ユーザー又はMCA104が、1又は複数の交換コンパートメントを代表的なモデルに自動的に組み込んで、データソース106のデータと比較して、CSF内の富化したAβイソ型の時間に対するS字形状の間の一致を較正及び向上させることができる。

0141

交換コンパートメントを用いる場合、Aβイソ型モジュール304が、以前に計算したイソ型濃度に代表的な交換速度(Kex)及び代表的な戻り速度(Kret)を乗じる。考えられるアミロイド・プラークへの及び/又はアミロイド・プラークからのAβイソ型の循環、標識化Aβの非標識化Aβとの交換、高次Aβ構造の循環、及びその他の、現時点までに未知であるそれぞれのイソ型の濃度に対する得失を表わすために、交換コンパートメント並びに速度因子Kex及びKretを用いる。加えて、血漿ロイシンと生合成前駆体プールとの間の僅かな同位体の希釈(一般的に<5%)を考慮するために、又は、血漿ロイシン及び/又はAβペプチドの同位体富化の測定における小さな較正の誤差(一般的には<10%)を補正するために、Aβイソ型モジュール304は計算したイソ型濃度に1又は複数の計数逓減率を乗じてもよい。

0142

CSFイソ型モジュール306はCSF内の各それぞれのイソ型の濃度に関係するデータを受け取る。一態様において、CSFイソ型モジュール306は、C99ペプチドからの開裂後の実測又は計算イソ型濃度、及び/又は1又は複数の任意選択の交換コンパートメントから計算された濃度に関するデータを受け取る。加えて、受け取ったデータに代表的な遅延因子(Kdelay)を乗じることにより、CSFイソ型モジュール306を、CSF内の各イソ型の濃度を時間の関数として予測するために用いることができる。動態モデル20に示すように、種々の脳組織及び不均質なCSF流体輸送過程を経る標識化ペプチドの灌流を表わすために、Kdelayを用いることができる。

0143

結果モジュール308は、データソース106並びに/又は1若しくは複数のその他のモジュール300〜306及び310から送られたデータを処理して、動態モデル20によって作成された結果の表示を作成する。一例において、結果モジュール308はデータ値のチャート又はその他の図表示を作成してもよく、一方、GUIモジュール302は画像の表示を作成する。

0144

較正モジュール310では、ユーザーが、1若しくは複数の速度定数又は動態モデル20に用いられるその他の定数を変更することができる。一態様において、較正モジュール310は、GUIモジュール300及び/又は結果モジュール308と併せて、ユーザーが、当該モデルのパラメータ、当該モデルによって作成されたデータ値、及び/又はデータ値の図表示を変更するために接することができる1又は複数のGUIを作成する。例として且つ限定するものではなく、較正モジュール310は入力装置120を用いてGUIに入力されたデータを受け取り、動態モデル20の定数値を変更することができる。結果モジュール308によって作成された1又は複数の図表示を変更するために、この入力データを用いることができる。従って、ユーザーは動態モデル20によって作成されたデータ値を変えることができ、それにより、モデルデータ値を実測データ値に対して較正するために、当該データ図表示が同時に変わる。

0145

図11は、一実施形態に係る、図3、4、及び21に示す動態モデル10、20、又は50の較正方法400を図解するフローチャートである。402において、上述のように、1名又は複数名の患者に関して、ロイシン富化及び標識化イソ型濃度のデータ値を収取しプロットする。あるいは、以前に収取されプロットされたデータをデータソースから引き出してもよい。404においては、既知の又は実測ロイシン富化データ及びデータソースに保存された速度定数を用いて、コンパートメント・モデルを実行する。406においては、モデル結果のプロットを作成し、408においては、作成されたプロットを以前に引き出された又は402で作成されたプロットと比較する。

0146

410において、実測データのプロットとモデルによって作成されたプロットとの間の適合又は適合の近接度合に関する決定を行う。モデル作成のプロットが実測データのプロットに十分に適合すると決定される場合には、当該モデルは較正されたと判断することができ、412における他の検討におけるツールとして用いることができる。これに対して、モデル作成のプロットが実測データのプロットに適合しない場合には、414において1又は複数の速度定数値を変更することができ、416において該モデルを再度実行することができる。408において行われる比較と同様に、418において、変更した速度定数(複数可)を用いたモデルによって作成されたプロットを402からの実測データのプロットと比較する。410において、「変更した速度定数」のプロットが実測データのプロットに十分に適合するかを決定する、再度の決定を行う。410〜418における過程は、ユーザーがモデルの較正に満足するまで、必要により繰り返すことができる。種々の実施形態において、414において、同一の速度定数、異なる速度定数、又はそれらの組み合わせを変更することができる。

0147

上記は本開示の技法を具体的に表現した、例としてのシステム、方法、技法、命令シーケンス、及び/又はコンピュータ・プログラム製品を含む。しかしながら、記載した開示はこれらの具体的な詳細なしで実施することができることが理解される。本開示において、開示される方法は装置によって可読の命令又はソフトウェアの組み合わせとして実施することができる。更に、開示される方法におけるステップの特定の順又は階層は例としての手法の実例であることが理解される。設計の選択に基づき、該方法におけるステップの特定の順又は階層は、開示する発明の主題の範囲内に留まりつつ、再編成することができることが理解される。添付の方法の特許請求の範囲は、見本としての順における種々のステップの要素を提示し、必ずしも提示する特定の順又は階層に限定されることを意味しない。

0148

記載される開示はコンピュータ・プログラム製品、又はソフトウェアとして提供することができ、これらは、機械可読の媒体であって、該媒体上に保存された、コンピュータ・システム(又はその他の電子装置)をプログラムするために用いて、本開示に係る過程を実施することができる命令を有する上記媒体を備えることができる。機械可読の媒体は、機械(例えば、コンピュータ)により可読なある形態(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)中に情報を保存するための任意の機構を備える。上記機械可読の媒体としては、それらに限定されるものではないが、磁気的保存媒体(例えば、フロッピーディスク)、光学的保存媒体(例えば、CD−ROM)、磁気的−光学的保存媒体、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、消去プログラム可能なメモリ(例えば、EPROM及びEEPROM)、フラッシュ・メモリ、又はその他の形式の電子的命令の保存に好適な媒体を挙げることができる。

0149

本開示及びそれに付随する利点の多くは上記によって理解され、また、開示される発明の主題を逸脱しない限り、又はその重要な利点の全てを犠牲にしない限りにおいて、構成要素の形態、構造及び配置の種々の変更を行い得ることが明らかであろうと考える。記載される形態は単に例示的なものであり、後述の特許請求の範囲は、かかる変更を含みまた包含することを意図するものである。

0150

生データにおいて明らかな結果は、該データを記述するために用い得るであろう数学的モデルの形式には依らない。
ある患者母集団に対して、Aβ42に関する動態追跡子曲線が、他の指標となるペプチド(例えば、Aβ38及びAβ40)と比較して異なることが知られている。該データはPIBスコアによって証明されるプラークの関与を反映する。実験的に測定されたデータから動態パラメータを抽出する1方法として、コンパートメント・モデルが構築された。データを記述するために多数のモデルを用いることができ、かかる全てのモデルが、データに対して良好な適合を示す場合には、Aβ42動態における相違を明らかにするであろうことが予測される。以下は、データを記述するために用いることができるであろうコンパートメント・モデル又は非コンパートメント・モデルの形式には依存せず、生データ自体において明らかな結果をまとめたものであり、SILK追跡子動態プロトコルが、プラークの診断に役立つこととなるAβ42動態の相違を明らかにすることを実証する。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ