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技術 ニトロキシル供与体を含む医薬組成物

出願人 カルディオキシルファーマシューティカルズ,インク.
発明者 カリシュ,ヴィンセントヤコブリアドン,ジョンブルックフィールド,フレデリックアーサーコートニー,ステファンマーティンフロスト,リサマリエトスカノ,ジョン,ピー.
出願日 2014年1月17日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2015-553858
公開日 2016年2月18日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2016-505044
状態 特許登録済
技術分野 医薬品製剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬
主要キーワード 残留値 自動タイマー インパルス発生器 乾燥ブロック 順行方向 水圧式 容積データ 例示的実施
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課題・解決手段

本開示は、N−置換ヒドロキシルアミン誘導体を含む、ニトロキシル供与性医薬組成物を提供する。本組成物は、心血管疾患(例えば、心不全)を処置する際に非常に有効であり、適切な毒性学的プロファイルを有しており、静脈内または経口投与に対して十分安定である。

概要

背景

概要

本開示は、N−置換ヒドロキシルアミン誘導体を含む、ニトロキシル供与性医薬組成物を提供する。本組成物は、心血管疾患(例えば、心不全)を処置する際に非常に有効であり、適切な毒性学的プロファイルを有しており、静脈内または経口投与に対して十分安定である。

目的

したがって、本開示は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水PBS溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約10分を超える半減期を有する、N−ヒドロキシスルホンアミドニトロキシル供与体を含む医薬組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

心不全処置する方法であって、ヒト患者ニトロキシル供与体組成物投与するステップを含み、前記組成物が、実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、およびシクロデキストリンを含む、方法。

請求項2

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記シクロデキストリンが、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホn−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

前記シクロデキストリンが、CAPTISOL(登録商標)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.02:1〜約2:1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記組成物が、非経口投与に適している、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

前記組成物が、静脈内投与に適している、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記組成物が、pH約4〜約6で製剤化される、請求項10または請求項11に記載の方法。

請求項13

前記組成物が、pH約5〜約6で製剤化される、請求項10または請求項11に記載の方法。

請求項14

前記組成物が、pH約5.5〜約6で製剤化される、請求項10または請求項11に記載の方法。

請求項15

前記心不全が、急性非代償性心不全である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

心不全を処置する方法であって、ヒト患者に、実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を含むニトロキシル供与体組成物を投与するステップを含み、前記組成物がpH約5〜約6.5で非経口投与される、方法。

請求項19

前記組成物が、静脈内投与される、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記組成物が、pH約5.5〜約6で投与される、請求項18または請求項19に記載の方法。

請求項21

前記組成物が、pH約6で投与される、請求項18または請求項19に記載の方法。

請求項22

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。

請求項23

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。

請求項24

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

前記組成物が、安定化剤をさらに含む、請求項18から24のいずれか一項に記載の方法。

請求項26

前記安定化剤がシクロデキストリンである、請求項25に記載の方法。

請求項27

前記シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである、請求項26に記載の方法。

請求項28

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物である、請求項18から27のいずれか一項に記載の方法。

請求項29

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物である、請求項18から27のいずれか一項に記載の方法。

請求項30

実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、および水性緩衝液を含み、約5〜約6のpHを有する、医薬組成物

請求項31

前記水性緩衝液が、前記組成物に約5.5〜約6.2のpHをもたらす、請求項30に記載の医薬組成物。

請求項32

前記水性緩衝液が、前記組成物に約6のpHをもたらす、請求項30に記載の医薬組成物。

請求項33

前記緩衝液が、リン酸または酢酸緩衝液である、請求項30から32のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項34

前記緩衝液が、リン酸カリウム緩衝液である、請求項33に記載の医薬組成物。

請求項35

前記緩衝液が、酢酸カリウム緩衝液である、請求項33に記載の医薬組成物。

請求項36

安定化剤をさらに含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項37

前記安定化剤がシクロデキストリンである、請求項36に記載の医薬組成物。

請求項38

前記シクロデキストリンが、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホ−n−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である、請求項37に記載の医薬組成物。

請求項39

前記シクロデキストリンが、CAPTISOL(登録商標)である、請求項37または請求項38に記載の医薬組成物。

請求項40

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.02:1〜約2:1である、請求項37から39のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項41

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、請求項37から39のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項42

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、請求項37から39のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項43

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、請求項30から42のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項44

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、請求項30から42のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項45

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、請求項30から42のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項46

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物である、請求項30から42のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項47

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物である、請求項30から42のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項48

(i)実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、および(ii)シクロデキストリンを含む医薬組成物。

請求項49

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、請求項48に記載の医薬組成物。

請求項50

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、請求項48に記載の医薬組成物。

請求項51

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、請求項48に記載の医薬組成物。

請求項52

前記シクロデキストリンが、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホ−n−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である、請求項48から51のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項53

前記シクロデキストリンが、CAPTISOL(登録商標)である、請求項48から51のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項54

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.02:1〜約2:1である、請求項48から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項55

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、請求項48から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項56

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、請求項48から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項57

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物である、請求項48から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項58

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物である、請求項48から53のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項59

実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、およびシクロデキストリンを含み、組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が約0.02:1〜約2:1である、混合物

請求項60

凍結乾燥により形成される、請求項59に記載の混合物。

請求項61

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、請求項59または請求項60に記載の混合物。

請求項62

前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、請求項61に記載の混合物。

請求項63

緩衝化剤をさらに含む、請求項59から62のいずれか一項に記載の混合物。

請求項64

前記緩衝化剤が酢酸カリウムである、請求項63に記載の混合物。

請求項65

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物である、請求項59から64のいずれか一項に記載の混合物。

請求項66

前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物である、請求項59から64のいずれか一項に記載の混合物。

請求項67

心血管疾患を処置するのに有用な医薬品を製造するための、請求項30から58のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。

請求項68

心不全を処置するのに有用な医薬品を製造するための、請求項30から58のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。

請求項69

急性非代償性心不全を処置するのに有用な医薬品を製造するための、請求項30から58のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。

請求項70

心不全の処置に使用するための、請求項30から58のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項71

急性非代償性心不全の処置に使用するための、請求項30から58のいずれか一項に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

[背景技術]
ニトロキシル(HNO)は、不全心臓のin vitroおよびin vivoモデルにおける、正の心血管作用を有することが示されている。しかし、生理的pHでは、HNOは二量化して次亜硝酸になり、続いて、脱水して亜酸化窒素になる。このメタ定性のために、治療的に使用するためのHNOは、in situで供与体化合物から発生させなければならない。ニトロキシルを供与することができる様々な化合物が記載されており、ニトロキシルに応答することが知られているか、またはそれに応答すると思われる障害処置する際に使用することが提案されている。例えば、米国特許第6,936,639号、同第7,696,373号、同第8,030,356号、同第8,268,890号、同第8,227,639号、および同第8,318,705号、および米国付与前公表第2009/0281067号、同第2009/0298795号、同第2011/0136827号、および同第2011/0144067号を参照されたい。これらの化合物はすべて、ニトロキシルを供与することができるが、様々な物理化学特性に違いがあり、依然として、特定の投与経路による特定の臨床状態を処置するのに最適の物理化学特性を有するニトロキシル供与体を特定する必要がある。

0002

米国特許第8,030,056号には、生理的条件下で、ニトロキシルを供与することができ、心不全および虚血再灌流傷害を処置する際に有用である、ピロティ酸型化合物誘導体の合成が記載されている。ニトロキシル供与体CXL−1020(N−ヒドロキシ2−メタンスルホニルベンゼン−1スルホンアミド)は、多数の病院で行われている、健常な志願者における第I相安全性研究、および第IIa相のプラセボ対照二重盲検用量漸増研究において評価された。Sabbah et al., “Nitroxyl (HNO) a novel approach for the acute treatment of heart failure”,Circ Heart Fail., published online October 9, 2013 (Online ISSN: 1941-3297, Print ISSN: 1941-3289)。この研究により、収縮期心不全患者では、CXL−1020は、pH=4の水溶液として静脈内投与した場合、心係数および1回拍出量係数を向上しながら、左心および右心充満圧の両方、ならびに全末梢血管抵抗を低下させることが実証された。こうして、この研究により、CXL−1020は心不全を患っているヒト患者における心筋機能を増強することが実証された。しかし、血行動態作用を生じさせるために必要なCXL−1020の閾値用量では、この化合物は、静脈内挿入部位およびその遠位部に許容できないレベル炎症性刺激を含めた副作用を誘発することが見いだされており、この著者らは、こうした副作用のため、この化合物は、ヒト治療薬に対する実現可能な候補にはならないだろうと報告している。

発明が解決しようとする課題

0003

したがって、心不全の処置に有用であり、適切な毒性学的プロファイルを有する、新規ニトロキシル供与性化合物(本明細書では、ニトロキシル供与体と呼ぶ)および組成物を開発することが必要とされている。こうした化合物の開発には、ニトロキシル供与に関係する薬物動態プロファイル、および毒性学的プロファイルに影響を及ぼす要因を理解することが必要である。こうした要因を理解できないことが、臨床使用のためのニトロキシル供与体の開発の妨げとなっている。

0004

さらに、ニトロキシル供与体の製剤化は、かなりの難題であることが分かっている。現在のニトロキシル供与体の多くは、水溶液に不溶であり、かつ/または安定性が不十分である。溶解度および安定性の課題は、非経口および/または経口投与向け医薬組成物における、こうした化合物の使用の妨げとなることが多い。したがって、非経口および/または経口投与するために十分な濃度でニトロキシル供与体を含有する組成物であって、十分に安定であり、かつ有利な薬理学的および毒性学的プロファイルを有する組成物を開発する必要性がある。

0005

本出願のセクション1におけるいかなる参照文献の引用も、こうした参照文献が本出願に対する先行技術であるということを承認するものとして解釈すべきではない。

課題を解決するための手段

0006

本開示は、心血管疾患(例えば、心不全)を処置する際に非常に有効であり、適切な毒性学的プロファイルを有しており、静脈内または経口投与に対して十分安定であるニトロキシル供与性組成物発見に関する。

0007

生理的条件下で、十分に長い半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の毒性学的プロファイルは、より短い半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体(例えば、CXL−1020)の毒性学的プロファイルよりも有意に良好であることが発見された。特に、実施例2(セクション5.2中)において記載されている手順に従って、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水PBS溶液中、または血漿(例えば、ヒト血漿)中で測定すると、短い半減期(すなわち、10分以下)を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、非経口(例えば、静脈内)投与した場合、望ましくない毒性を有することが発見された。用語「N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体」には、遊離スルホンアミドヒドロキシル基を有する化合物(例えば、セクション4.2の表1および2に図示されている化合物)と、以下に図示されている、スルホンアミドのN−ヒドロキシ基エステル化されている化合物

0008

(式中、

0009

は、本化合物の芳香族性複素芳香族性または多環式部分を表す(Rの定義に関しては、セクション4.2を参照されたい))
の両方が含まれることが理解されよう。

0010

本開示によれば、PBSまたはヒト血漿中で測定すると、10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、心血管疾患(例えば、心不全)の処置において、高いレベルの効力を維持しながら、10分未満の半減期を有する、CXL−1020などのN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と比べて、毒性学的プロファイルの有意な改善を示す。

0011

ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物(すなわち、ニトロキシル供与性組成物)に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、実施例2において指定されている条件下、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中で測定すると、10分を超える半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、実施例2において指定されている条件下、pH7.4の通気済みPBS溶液中で測定すると、約12分〜約150分の半減期を有する。具体的な実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、実施例2において指定されている条件下、pH7.4の通気済みPBS溶液中で測定すると、約15分〜約70分の半減期を有する。本開示のこうした化合物の具体例は、表1および2(セクション4.2を参照されたい)において列挙されている。

0012

ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、実施例2において指定されている条件下、抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、10分を超える半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、10分超〜約85分の半減期を有する。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する。本開示のこうした化合物の具体例は、表1および2において列挙されている。

0013

特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、式(1)の化合物

0014

である。

0015

別の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、式(2)の化合物

0016

である。

0017

pH約5以上で製剤化したN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を含む組成物は、第I相および第IIa相臨床試験において評価されたCXL−1020組成物などの、より酸性のpHレベルで製剤化されたN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を含む組成物と比べて、有意に改善されている毒性学的プロファイルを有することがさらに発見された。したがって、様々な実施形態では、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、pH約5〜約6(例えば、pH約5、約5.5または約6)の非経口注射向けに製剤化され得る。このpH範囲内での製剤化は、より酸性な組成物と比べて、望ましくない潜在的な副作用を軽減(例えば、静脈刺激の低減)する。驚くべきことに、ニトロキシル供与体の安定性に及ぼす悪影響なしに、pH約5〜約6の範囲内のpHでN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の製剤化を実現することができる。

0018

さらに、特定の添加剤を使用して、本開示の組成物に有用なニトロキシル供与体を安定化する、および/または可溶化することができることを発見した。様々な実施形態では、少なくとも1種のこうした薬学的に許容される添加剤は、少なくとも1つのシクロデキストリン種を含む。こうした一実施形態では、添加剤はβ−シクロデキストリンである。好ましいβ−シクロデキストリンの1つは、CAPTISOL(登録商標)である。

0019

開示されている医薬組成物中で、シクロデキストリン(例えば、CAPTISOL(登録商標))が、添加剤として働く実施形態では、組成物中のシクロデキストリンの量は、ニトロキシル供与体の溶解度および/または安定性に依存することになろう。例えば、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.02:1〜約2:1とすることができる。特定の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.05:1〜約1.5:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.1:1〜約1:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.5:1〜約1:1とすることができる。

0020

本開示の化合物および/または組成物は、ニトロキシル療法に応答する、様々な状態を処置するために使用することができる。例えば、本開示の化合物および/または組成物は、心血管疾患の発生を処置するまたは予防するために使用することができる。ある種の実施形態では、本開示のニトロキシル供与性組成物は、心血管疾患、虚血/再灌流傷害、肺高血圧症、またはニトロキシル療法に応答する別の状態を処置するために使用することができる。特定の実施形態では、本開示のニトロキシル供与性組成物は、心不全を処置するために使用することができる。特定の実施形態では、本開示の化合物および/または組成物は、非代償性心不全(例えば、急性非代償性心不全)を処置するために使用することができる。ある種の実施形態では、本開示の化合物および/または組成物は、収縮期心不全を処置するために使用することができる。特定の実施形態では、本開示の化合物および/または組成物は、拡張期心不全を処置するために使用することができる。

0021

一態様では、本開示の化合物および/または組成物は、非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内または皮内)投与により投与することができる。ヒト対象に非経口(例えば、静脈内)投与した場合、例えば本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約5μg/kg/分〜約100μg/kg/分の量で投与することができる。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約10μg/kg/分〜約70μg/kg/分の量で、ヒト対象に投与することができる。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約15μg/kg/分〜約50μg/kg/分の量で、ヒト対象に投与することができる。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約20μg/kg/分〜約30μg/kg/分の量で、ヒト対象に投与することができる。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約10μg/kg/分〜約20μg/kg/分の量で、ヒト対象に投与することができる。

0022

別の実施形態では、本開示の化合物および/または組成物は、経口投与向けに製剤化することができる。経口投与向け化合物は、液体または固形剤形として製剤化することができる。ニトロキシル供与体が経口液体剤形として製剤化される特定の実施形態では、ポリエチレングリコール300(PEG300)が、例示的な添加剤として働き得る。

図面の簡単な説明

0023

心不全のイヌ頻拍ペーシングモデルを使用する、CXL−1020および本開示の医薬組成物に有用な5種の化合物(式(1)、(2)、(83)、(84)および(85)の化合物)の血行動態プロファイル(実施例3を参照されたい)を示すグラフである。各化合物は、100μg/kg/分の量で静脈内投与した。血行動態パラメータは、各化合物の投与後、180分で得た。
イヌ末梢静脈毒性モデルを使用する、多回用量で24時間注入後の、CXL−1020および本開示の医薬組成物に有用な化合物(式(1)、(2)、(83)、(84)、(85)および(86)の化合物)の毒性学的プロファイルの評価を示す図である(実施例5を参照されたい)。測定された鍵となる炎症マーカーには、白血球(WBC)、フィブリノゲン、およびC反応性タンパク質CRP)が含まれる。
CXL−1020および本開示の医薬組成物に有用な4種の化合物(式(1)、(2)、(83)および(84)の化合物)の様々な用量を使用する、中心カテーテルを72時間埋め込んだイヌのモデルを使用して観察した、炎症の測定を示す図である(実施例5を参照されたい)。表中に示されているスコアは、カテーテル先端およびその周辺、ならびにカテーテル先端の近位部において観察された、浮腫出血血管炎症および血管周囲炎の顕微鏡法による病理学的知見に基づいている。
3μg/kg/分の量で24時間注入後の、CXL−1020、およびpH4または6で製剤化した本開示の2種の化合物(式(2)および(86)の化合物)の毒性学的プロファイルの評価を示す図である。

0024

本発明は、以下を含む。

0025

(1.)心不全を処置する方法であって、ヒト患者にニトロキシル供与体組成物を投与するステップを含み、前記組成物が、実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、およびシクロデキストリンを含む、方法。

0026

(2.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、上記(1.)に記載の方法。

0027

(3.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、上記(1.)に記載の方法。

0028

(4.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、上記(1.)に記載の方法。

0029

(5.)前記シクロデキストリンが、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホn−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である、上記(1.)から(4.)のいずれか1つに記載の方法。

0030

(6.)前記シクロデキストリンが、CAPTISOL(登録商標)である、上記(1.)から(4.)のいずれか1つに記載の方法。

0031

(7.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.02:1〜約2:1である、上記(1.)から(6.)のいずれか1つに記載の方法。

0032

(8.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、上記(1.)から(6.)のいずれか1つに記載の方法。

0033

(9.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、上記(1.)から(6.)のいずれか1つに記載の方法。

0034

(10.)前記組成物が、非経口投与に適している、上記(1.)から(9.)のいずれか1つに記載の方法。

0035

(11.)前記組成物が、静脈内投与に適している、上記(10.)に記載の方法。

0036

(12.)前記組成物が、pH約4〜約6で製剤化される、上記(10.)または上記(11.)に記載の方法。

0037

(13.)前記組成物が、pH約5〜約6で製剤化される、上記(10.)または上記(11.)に記載の方法。

0038

(14.)前記組成物が、pH約5.5〜約6で製剤化される、上記(10.)または上記(11.)に記載の方法。

0039

(15.)前記心不全が、急性非代償性心不全である、上記(1.)から(14.)のいずれか1つに記載の方法。

0040

(16.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物

0041

である、上記(1.)から(15.)のいずれか1つに記載の方法。

0042

(17.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物

0043

である、上記(1.)から(15.)のいずれか1つに記載の方法。

0044

(18.)心不全を処置する方法であって、ヒト患者に、実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を含むニトロキシル供与体組成物を投与するステップを含み、前記組成物がpH約5〜約6.5で非経口投与される、方法。

0045

(19.)前記組成物が、静脈内投与される、上記(18.)に記載の方法。

0046

(20.)前記組成物が、pH約5.5〜約6で投与される、上記(18.)または上記(19.)に記載の方法。

0047

(21.)前記組成物が、pH約6で投与される、上記(18.)または上記(19.)に記載の方法。

0048

(22.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、上記(18.)から(21.)のいずれか1つに記載の方法。

0049

(23.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、上記(18.)から(21.)のいずれか1つに記載の方法。

0050

(24.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、上記(18.)から(21.)のいずれか1つに記載の方法。

0051

(25.)前記組成物が、安定化剤をさらに含む、上記(18.)から(24.)のいずれか1つに記載の方法。

0052

(26.)前記安定化剤がシクロデキストリンである、上記(25.)に記載の方法。

0053

(27.)前記シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである、上記(26.)に記載の方法。

0054

(28.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物

0055

である、上記(18.)から(27.)のいずれか1つに記載の方法。

0056

(29.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物

0057

である、上記(18.)から(27.)のいずれか1つに記載の方法。

0058

(30.)実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、および水性緩衝液を含み、約5〜約6のpHを有する、医薬組成物。

0059

(31.)前記水性緩衝液が、前記組成物に約5.5〜約6.2のpHをもたらす、上記(30.)に記載の医薬組成物。

0060

(32.)前記水性緩衝液が、前記組成物に約6のpHをもたらす、上記(30.)に記載の医薬組成物。

0061

(33.)前記緩衝液が、リン酸または酢酸緩衝液である、上記(30.)から(32.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0062

(34.)前記緩衝液が、リン酸カリウム緩衝液である、上記(33.)に記載の医薬組成物。

0063

(35.)前記緩衝液が、酢酸カリウム緩衝液である、上記(33.)に記載の医薬組成物。

0064

(36.)安定化剤をさらに含む、上記(30.)から(35.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0065

(37.)前記安定化剤がシクロデキストリンである、上記(36.)に記載の医薬組成物。

0066

(38.)前記シクロデキストリンが、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホ−n−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である、上記(37.)に記載の医薬組成物。

0067

(39.)前記シクロデキストリンが、CAPTISOL(登録商標)である、上記(37.)または上記(38.)に記載の医薬組成物。

0068

(40.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.02:1〜約2:1である、上記(37.)から(39.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0069

(41.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、上記(37.)から(39.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0070

(42.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、上記(37.)から(39.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0071

(43.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、上記(30.)から(42.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0072

(44.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、上記(30.)から(42.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0073

(45.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、上記(30.)から(42.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0074

(46.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物

0075

である、上記(30.)から(42.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0076

(47.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物

0077

である、上記(30.)から(42.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0078

(48.)(i)実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、および(ii)シクロデキストリンを含む医薬組成物。

0079

(49.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の半減期を有する、上記(48.)に記載の医薬組成物。

0080

(50.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する、上記(48.)に記載の医薬組成物。

0081

(51.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、実施例2において指定されている条件下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、95分未満の半減期を有する、上記(48.)に記載の医薬組成物。

0082

(52.)前記シクロデキストリンが、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホ−n−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である、上記(48.)から(51.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0083

(53.)前記シクロデキストリンが、CAPTISOL(登録商標)である、上記(48.)から(51.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0084

(54.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.02:1〜約2:1である、上記(48.)から(53.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0085

(55.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、上記(48.)から(53.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0086

(56.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、上記(48.)から(53.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0087

(57.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物

0088

である、上記(48.)から(53.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0089

(58.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物

0090

である、上記(48.)から(53.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0091

(59.)実施例2において記載されている手順によってpH7.4のヒト血漿中で測定すると10分を超える半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、およびシクロデキストリンを含み、組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が約0.02:1〜約2:1である、混合物

0092

(60.)凍結乾燥により形成される、上記(59.)に記載の混合物。

0093

(61.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.05:1〜約1.5:1である、上記(59.)または上記(60.)に記載の混合物。

0094

(62.)前記組成物中に存在する前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と前記シクロデキストリンとの間のモル比が、約0.5:1〜約1:1である、上記(61.)に記載の混合物。

0095

(63.)緩衝化剤をさらに含む、上記(59.)から(62.)のいずれか1つに記載の混合物。

0096

(64.)前記緩衝化剤が酢酸カリウムである、上記(63.)に記載の混合物。

0097

(65.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(1)の化合物

0098

である、上記(59.)から(64.)のいずれか1つに記載の混合物。

0099

(66.)前記N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、式(2)の化合物

0100

である、上記(59.)から(64.)のいずれか1つに記載の混合物。

0101

(67.)心血管疾患を処置するのに有用な医薬品を製造するための、上記(30.)から(58.)のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。

0102

(68.)心不全を処置するのに有用な医薬品を製造するための、上記(30.)から(58.)のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。

0103

(69.)急性非代償性心不全を処置するのに有用な医薬品を製造するための、上記(30.)から(58.)のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用。

0104

(70.)心血管疾患の処置に使用するための、上記(30.)から(58.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0105

(71.)心不全の処置に使用するための、上記(30.)から(58.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0106

(72.)急性非代償性心不全の処置に使用するための、上記(30.)から(58.)のいずれか1つに記載の医薬組成物。

0107

4.1.定義
特に明確に示さない限り、本明細書で使用する以下の用語は、以下に示されている意味を有する。

0108

「薬学的に許容される塩」とは、本明細書において開示されている任意の治療剤の塩を指し、その塩は、当分野で公知の様々な有機および無機対イオンのいずれかを含むことができ、その塩は薬学的に許容されるものである。治療剤が酸性官能基を含有する場合、対イオンの様々な例示的実施形態は、ナトリウムカリウムカルシウムマグネシウムアンモニウムテトラアルキルアンモニウムなどである。治療剤が塩基性官能基を含有する場合、薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸臭化水素酸酒石酸、メシル酸、酢酸マレイン酸シュウ酸などの有機酸または無機酸を、対イオンとして含むことができる。例示的な塩には、以下に限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩酢酸塩塩化物臭化物ヨウ化物硝酸塩重硫酸塩リン酸塩酸性リン酸塩乳酸塩サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩オレイン酸塩タンニン酸塩パントテン酸塩酒石酸水素塩アスコルビン酸塩コハク酸塩マレイン酸塩ベシル酸塩フマル酸塩グルコン酸塩グルカロネート(glucaronate)、サッカリン酸塩ギ酸塩安息香酸塩グルタミン酸塩メタンスルホン酸塩エタンスルホン酸塩ベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩が含まれる。したがって、塩は、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する、本明細書において開示されている式のいずれか1つの化合物および薬学的に許容される無機塩基または有機塩基から調製することができる。適切な塩基には、以下に限定されないが、ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属水酸化物、カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物アルミニウムおよび亜鉛などの他の金属の水酸化物アンモニア、ならびに無置換またはヒドロキシ置換されているモノ、ジもしくはトリアルキルアミンなどの有機アミンジシクロヘキシルアミントリブチルアミンピリジン、N−メチル−N−エチルアミンジエチルアミントリエチルアミン、モノ−、ビス−もしくはトリス−(2−ヒドロキシエチルアミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、もしくはトリス−(ヒドロキシメチルメチルアミンなどのモノ−、ビス−またはトリス−(2−ヒドロキシ−低級−アルキルアミン)、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンもしくはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N−ジ−低級−アルキル−N−(ヒドロキシ−低級−アルキル)−アミン、N−メチル−D−グルカミン、およびアルギニンリシンなどのアミノ酸などが含まれる。塩はまた、アミノ官能基などの塩基性官能基を有する、本明細書において開示されている式のいずれか1つの化合物および薬学的に許容される無機酸または有機酸から調製することもできる。適切な酸には、硫化水素塩クエン酸、酢酸、塩酸(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、硝酸、リン酸、乳酸サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸グルコン酸、グルカロン酸ギ酸安息香酸グルタミン酸メタンスルホン酸エタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が含まれる。

0109

「薬学的に許容される添加剤」とは、患者に治療剤を送達するために、担体賦形剤アジュバント結合剤、および/もしくはビヒクルとして使用されるか、あるいはその取り扱い特性もしくは保管特性を改善するために医薬組成物に加えられるか、あるいは化合物もしくは医薬組成物の投与向け単位剤形への形成を可能にするかまたは容易にする、それ自体が治療剤ではない、任意の物質を指す。薬学的に許容される添加剤は、医薬分野では公知であり、例えば、Gennaro, Ed., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20thEd. (Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2000) and Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association, Washington, D.C.(例えば、第1版、第2版および第3版は、それぞれ1986年、1994年および2000年)において開示されている。当業者に公知の通り、薬学的に許容される添加剤は、様々な機能をもたらすことができ、湿潤剤、緩衝化剤、懸濁化剤滑沢剤乳化剤崩壊剤吸収剤保存剤界面活性剤着色剤着香剤、および甘味剤として記載することができる。薬学的に許容される添加剤の例には、非限定的に、(1)ラクトースグルコースおよびスクロースなどの糖、(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウムエチルセルロース酢酸セルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)ココアバターおよび座剤用ワックスなどの添加剤、(9)ラッカセイ油綿実油ベニバナ油ゴマ油オリーブ油トウモロコシ油およびダイズ油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリンソルビトールマンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝化剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質含水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステルポリカーボネートおよび/またはポリ無水物、ならびに(22)医薬製剤において使用される、他の非毒性の適合性物質が含まれる。

0110

「単位剤形」とは、ヒトまたは動物向けの単位投与量として適している物理的に個別の単位を指す。各単位剤形は、所望の効果を生み出すために計算された所定量の治療剤を含有することができる。

0111

特に明確に示さない限り、「患者」とは、以下に限定されないが、ヒトを含む、哺乳動物などの動物を指す。したがって、本明細書において開示されている方法は、ヒトの療法および獣医学的用途に有用となり得る。特定の実施形態では、患者は哺乳動物である。ある種の実施形態では、患者はヒトである。

0112

「有効量」とは、その効力パラメータおよび潜在的毒性と組み合わせて、および開業専門医の知識に基づいて、所与の治療形態において有効となるべき、治療剤または薬学的に許容されるその塩のこうした量を指す。当分野で理解される通り、有効量は、1つまたは複数の用量で投与することができる。

0113

「処置」、「処置する」などは、臨床的な結果を含めた、有益な結果または所望の結果を得るための手法である。本開示の目的に関すると、有益な結果または所望の結果には、以下に限定されないが、ある状態の発症および/もしくは発生の阻害ならびに/または抑制、あるいはその状態に関連する症状の数および/もしくは重症度の軽減などのこうした状態の重症度の軽減、その状態を患っているヒトの生活の質の向上、その状態を処置するために必要な他の医薬の用量の低減、その状態のために患者が服用している別の医薬の効果の増強、ならびに/あるいはその状態を有する患者の生存延長が含まれる。

0114

「予防する」、「予防」などは、ある状態を有してはいないが、それが発生するリスクのある患者における、状態が発生する可能性を低減することを指す。「リスクのある」患者は、検出可能な状態を有していてもよく、または有していなくてもよく、本明細書において開示されている処置方法の前に、検出可能な状態を示したことがあるか、または示したことがなくてもよい。「リスクのある」とは、患者が、ある状態の発生と相関があり、かつ当分野で公知の測定可能なパラメータである、1種または複数のいわゆるリスク要因を有することを意味する。これらのリスク要因の1種または複数を有する患者は、こうしたリスク要因のない患者よりも、状態が発生する可能性が高い。

0115

陽性変力体(positive inotrope)」とは、心筋収縮機能の向上を引き起こす作用剤を指す。例示的な陽性変力体は、ベータアドレナリン作動性受容体アゴニストホスホジエステラーゼ活性阻害剤、およびカルシウム増感剤である。ベータ−アドレナリン作動性受容体アゴニストには、とりわけ、ドーパミンドブタミンテルブタリン、およびイソプロテレノールが含まれる。こうした化合物のアナログおよび誘導体も意図される。例えば、米国特許第4,663,351号は、経口投与され得るドブタミンプロドラッグを開示している。

0116

「ニトロキシル療法に応答する」状態には、生理的条件下、有効量のニトロキシルを供与する化合物の投与により、それらの用語が本明細書において定義されている状態が処置および/または予防される任意の状態が含まれる。その症状が、ニトロキシル供与体の投与時に、抑制されるかまたは軽減される状態は、ニトロキシル療法に応答する状態である。

0117

「肺高血圧症」または「PH」とは、肺動脈圧が上昇する状態を指す。PHの現在の血行動態的な定義は、25mgHg以上の安静時における、平均肺動脈血圧(MPAP)である。Badesch et al., J. Amer. Coll. Cardiol. 54(Suppl.):S55-S66 (2009)。

0118

「N/A」とは、未評価を意味する。

0119

「(C1〜C6)アルキル」とは、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する、線状および分岐飽和炭化水素構造を指す。特定の炭素数を有するアルキル残基が命名される場合、その炭素数を有する幾何異性体のすべてが包含されているものと意図される。したがって、例えば、「プロピル」には、n−プロピルおよびイソ−プロピルが含まれ、「ブチル」には、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルおよびtert−ブチルが含まれる。(C1〜C6)アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどが含まれる。

0120

「(C1〜C4)アルキル」とは、1個、2個、3個または4個の炭素原子を有する、線状および分岐の飽和炭化水素構造を指す。(C1〜C4)アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、およびtert−ブチルが含まれる。

0121

「(C3〜C5)アルキル」とは、3個、4個または5個の炭素原子を有する、線状および分岐の飽和炭化水素構造を指す。特定の炭素数を有するアルキル残基が命名される場合、その炭素数を有する幾何異性体のすべてが包含されているものと意図される。したがって、例えば、「プロピル」には、n−プロピルおよびイソ−プロピルが含まれ、「ブチル」には、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、およびtert−ブチルが含まれる。(C3〜C5)アルキル基の例には、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルなどが含まれる。

0122

「(C2〜C4)アルケニル」とは、2個、3個または4個の炭素原子、および任意の位置に二重結合を有する、直鎖または分岐の不飽和炭化水素基、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチルエテニル、1−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニルなどを指す。

0123

「(C2〜C3)アルキニル」とは、2個または3個の炭素原子を有しており、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含む、直鎖の非環式炭化水素を指す。(C2〜C3)アルケニルの例には、−ビニル、−アリルおよび1−プロパ−1−エニルが含まれる。

0124

「(C5〜C7)ヘテロシクロアルキル」とは、1個、2個、3個または4個の環ヘテロ原子を含有する、5員、6員または7員の飽和または不飽和の、架橋単環式または二環式複素環を指し、環ヘテロ原子の各々は、窒素酸素および硫黄から独立して選択される。(C5〜C7)ヘテロシクロアルキル基の例には、ピラゾリルピロリジニルピペリジニルピペラジニルテトラヒドロオキサニルテトラヒドロフランチオラン、ジチオランピロリンピロリジンピラゾリンピラゾリジンイミダゾリンイミダゾリジンテトラゾールピペリジンピリダジンピリミジンピラジン、テトラヒドロフラノンγ−ブチロラクトン、α−ピラン、γ−ピラン、ジオキソランテトラヒドロピランジオキサンジヒドロチオフェンピペラジントリアジンテトラジンモルホリンチオモルホリンジアゼパンオキサジン、テトラヒドロ−オキサジニル、イソチアゾール、ピラゾリジンなどが含まれる。

0125

「(5員または6員の)ヘテロアリール」とは、5員または6員の単環式芳香族複素環を指し、すなわち、単環式芳香族環は、少なくとも1個の環ヘテロ原子、例えば1個、2個、3個または4個の環ヘテロ原子を含んでおり、環ヘテロ原子の各々は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される。(5員または6員の)ヘテロアリールの例には、ピリジルピロリル、フリルイミダゾリルオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリルイソオキサゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリルピリダジニルピリミジルピラジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,5−トリアジニル、およびチオフェニルが含まれる。

0126

ハロ」とは、−F、−Cl、−Brまたは−Iを指す。

0127

「β−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体」とは、その水素原子が、−(CH2)4−S(O)2−OHまたは−(CH2)4−S(O)2−O−Z+により置きかえられて、それぞれ−O−(CH2)4−S(O)2−OHまたは−O−(CH2)4−S(O)2−O−Z+基を与えることにより誘導体化される、少なくとも1つの−OH基を有するβ−シクロデキストリンを指し、ここで、Z+は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの陽イオンである。一実施形態では、各Zは、ナトリウムである。

0128

4.2 N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体
生理的条件下で、十分に長い半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、より短い半減期を有するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体(例えば、CXL−1020)と比べて、有意に良好な毒性学的プロファイルを有することが発見された。これらの半減期のより長いニトロキシル供与体は、静脈内投与した場合、CXL−1020と類似した効力レベルを実現するが、副作用の有意な軽減を示す(例えば、刺激および/または炎症)(実施例4〜6を参照されたい)。さらに、これらのニトロキシル供与体は、1時間以内に、臨床的に望ましい、血行動態作用の発現をもたらす。

0129

理論に拘するものではないが、本開示の実施例において報告されている実験により、PBSまたはヒト血漿中で測定すると(実施例2を参照されたい)、半減期が10分より実質的に短い、CXL−1020などのニトロキシル供与体により、投与時にニトロキシルの高い局所濃度が生じること、およびそのニトロキシルの高い局所濃度は、観察される副作用の原因であることが示唆される。高濃度でニトロキシルは二量化し、ヒドロキシルラジカルを生成することができる、次亜硝酸を形成する。あるいは、またはさらには、白血球から発散されるペルオキシドがニトロキシルと反応して、ヒドロキシルラジカルを形成することができる。ヒドロキシルラジカルは、内皮細胞に毒性があり、炎症または不耐性をもたらし得る。より長い半減期を有するニトロキシル化合物は、理論的には、類似のメカニズムにより、ヒドロキシルラジカルを生成することができるが、こうしたラジカルの形成は、ニトロキシルが低濃度であるために、低下することが予期され、こうして、ニトロキシルが二量化するかまたはペルオキシドと反応する能力が低下する。したがって、非常に長い半減期(例えば、実施例2において記載されている方法に従って、ヒト血漿中で測定すると、95分を超える)を有する化合物は、有利な毒性学的プロファイルを有することが予期される。しかし、これらの化合物は、実質的なニトロキシルの形成前に、循環からクリアランスされ、かつ/または希釈されると思われるので、こうした化合物の効力は低いことが予期される。

0130

したがって、本開示は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約10分を超える半減期を有する、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、本開示は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約17分を超える半減期を有する、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を含む医薬組成物を提供する。

0131

それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約12分〜約85分の範囲内の半減期を有する、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、より短い半減期を有する化合物と比べて、有利な効力および改善された毒性学的プロファイルを有することが見いだされた。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約15分〜約80分の半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なニトロキシル供与体は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約75分の半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なニトロキシル供与体は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約25分〜約60分の半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なニトロキシル供与体は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約35分〜約60分の半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なニトロキシル供与体は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で測定すると、約35分〜約50分の半減期を有する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なニトロキシル供与体は、それぞれ実施例2において記載されている手順に従い、pH7.4の通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、または抗凝固剤(例えば、ヘパリンまたはクエン酸ナトリウム)の存在下、pH7.4のヒト血漿中で、約40分〜約50分の半減期を有する。

0132

本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、生理的pH(すなわち、pH約7.4)および生理的温度(すなわち、温度約37℃)(一緒にして、「生理的条件」)において、ニトロキシルを供与することができる。ニトロキシル供与能のレベルは、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の理論的な化学量論量の最大値の割合として表すことができる。「有意なニトロキシルのレベル」を供与する化合物とは、様々な実施形態では、生理的条件下、そのニトロキシルの理論最大量の約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約95%以上を供与する、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を意味する。特定の実施形態では、医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、そのニトロキシルの理論最大量の約70%〜約90%を供与する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、そのニトロキシルの理論最大量の約85%〜約95%を供与する。特定の実施形態では、医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、そのニトロキシルの理論最大量の約90%〜約95%を供与する。そのニトロキシルの理論最大量の約40%未満または約50%未満を供与する化合物は、依然として、ニトロキシル供与体であり、開示されている方法において使用することができる。そのニトロキシルの理論量の約50%未満を供与する、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、開示されている方法において使用することができるが、より高いレベルのニトロキシルを供与するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体と比べて、高い投与量レベルを必要とすることがある。

0133

本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体はまた、ニトロキシル供与量一酸化窒素の供与量を超える限り、限定量の一酸化窒素を供与することもできることが理解されよう。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、生理的条件下で、約25モル%以下の一酸化窒素を供与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、生理的条件下で、約20モル%以下の一酸化窒素を供与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、生理的条件下で、約15モル%以下の一酸化窒素を供与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体である供与性化合物は、生理的条件下で、約10モル%以下の一酸化窒素を供与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、生理的条件下で、約5モル%以下の一酸化窒素を供与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、生理的条件下で、約2モル%以下の一酸化窒素を供与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、生理的条件下で、わずかな量(例えば、約1モル%以下)の一酸化窒素を供与することができる。

0134

本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の特定の実施形態が、表1および表2に提示されている。表1に列挙されている化合物は、本開示の目的の1つに従い、ニトロキシル供与体の半減期および毒性学的プロファイルを最適化するよう開発された。表2に列挙されている化合物は、既に記載されている(例えば、その内容の全体が参照により明細書に組み込まれている、米国特許第8,030,356号を参照されたい)。表1および表2に列挙されている化合物は、一般に、通気済みリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中、および/または血漿中で測定すると(セクション5.2中の表4を参照されたい)、10分を超える半減期を有する。

0135

0136

0137

ある種の実施形態では、表1および表2に列挙されているニトロキシル供与体は、薬学的に許容されるそれらの塩に変換することができる。例示的な塩には、以下に限定されないが、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、グルタミン酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチアニン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルコロネート(glucoronate)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩が含まれる。

0138

一部の実施形態では、表1および2に列挙されている化合物のN−ヒドロキシル基をエステル化して、以下に示されている、一般式(99)の化合物

0139

(式中、

0140

は、表1および2に図示されている化合物の芳香族、複素芳香族または多環式部分を表し(存在する場合、表1および2に図示されている置換基を含む)、Rは、水素、−(C1〜C6)アルキル、−(C2〜C4)アルケニル、フェニル、ベンジルシクロペンチルシクロヘキシル、−(C5〜C7)ヘテロシクロアルキル、ベンジルオキシ、−O−(C1〜C6)アルキル、−NH2、−NH−(C1〜C4)アルキル、または−N((C1〜C4)アルキル)2であり、前記−(C1〜C6)アルキル、−(C2〜C4)アルケニル、フェニル、ベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−(C5〜C7)ヘテロシクロアルキル、ベンジルオキシ、−O−(C1〜C6)アルキル、−NH−(C1〜C4)アルキルまたは−N((C1〜C4)アルキル)2は、無置換とすることができるか、またはハロ、−(C1〜C6)アルキル、−(C2〜C4)アルケニル、−(C2〜C3)アルキニル、−(5員または6員の)ヘテロアリール、−O−(C1〜C6)アルキル、−S−(C1〜C6)アルキル、−C(ハロ)3、−CH(ハロ)2、−CH2(ハロ)、−CN、−NO2、−NH2、−NH−(C1〜C4)アルキル、−N(−(C1〜C4)アルキル)2、−C(=O)(C1〜C4)アルキル、−C(=O)O(C1〜C4)アルキル、−OC(=O)(C1〜C4)アルキル、−OC(=O)NH2、−S(=O)(C1〜C4)アルキル、もしくは−S(=O)2(C1〜C4)アルキルから選択される1つまたは複数の置換基により置換され得る)を生成することができる。特定の実施形態では、Rは、メチル、エチル、ベンジルまたはフェニルである。特定の実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。特定の実施形態では、Rはメチルである。特定の実施形態では、Rはエチルである。特定の実施形態では、Rは、ベンジルまたはフェニルである。特定の実施形態では、Rはベンジルである。特定の実施形態では、Rはフェニルである。

0141

4.3ニトロキシル供与能の測定
化合物は、日常的な実験によりニトロキシル供与について容易に試験される。ニトロキシルが供与されるかどうかを直接測定することは、通常、現実的ではないので、化合物がニトロキシルを供与するかどうかを決定するために適切なプロキシ(proxy)として、いくつかの分析的手法が受け入れられている。例えば、対象とする化合物は、密封した容器内で、溶液中、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中またはpH約7.4のリン酸緩衝溶液中に入れることができる。数分〜数時間などの、解離するのに十分な時間が経過した後、ヘッドスペースガス抜き取りガスクロマトグラフィーおよび/または質量分析法などにより分析してその組成を決定する。N2Oガスが形成されると(HNOの二量化により起こる)、試験はニトロキシル供与に陽性であり、この化合物は、ニトロキシル供与体とみなされる。

0142

N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体のN−ヒドロキシル基がエステル化されている化合物の場合、ヘッドスペース分析を行うために使用する保存溶液に、ブタ肝臓エステラーゼPLE)を加えることができる。

0143

所望の場合、ニトロキシル供与は、試験化合物メトミオグロビン(Mb3+)に曝露することにより検出することもできる。Bazylinski et al., J. Amer. Chem. Soc. 107(26):7982-7986 (1985)を参照されたい。ニトロキシルはMb3+と反応して、Mb2+−NO錯体を形成し、これを紫外線可視光スペクトルの変化により、または電子常磁性共鳴EPR)により検出することができる。Mb2+−NO錯体は、g値約2を中心とするEPRシグナルを有する。一方、一酸化窒素は、Mb3+と反応して、Mb3+−NO錯体を形成し、この錯体は、もしあれば、ごく小さなEPRシグナルを有する。したがって、ある化合物がMb3+と反応して、紫外線/可視光またはEPRなどの一般的な方法により検出可能な錯体を形成する場合、この試験は、ニトロキシル供与に陽性である。

0144

4.4医薬組成物
本開示は、ニトロキシル供与体および少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を包含する。薬学的に許容される添加剤の例には、担体、表面活性剤増粘剤または乳化剤、固体結合剤、分散または懸濁助剤可溶化剤、着色剤、着香剤、コーティング剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、保存剤、等張剤、およびそれらの任意の組合せなどの、上記のものが含まれる。薬学的に許容される添加剤の選択および使用は、例えば、Troy, Ed., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed. (Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2005)において教示されている。

0145

本医薬組成物は、以下:(1)例えば、ドレンチ剤(例えば、水性または非水性溶液剤または懸濁液剤)、錠剤(例えば、頬側下および全身性吸収向けのもの)、カプレット剤、ボーラス剤、散剤顆粒剤、舌への適用向けペースト剤硬質ゼラチンカプセル剤、軟質ゼラチンカプセル剤、口腔用スプレー剤トローチ剤ロゼンジ剤ペレット剤シロップ剤、懸濁液剤、エリキシル剤、液剤、エマルション剤およびマイクロエマルション剤としての経口投与向け、または(2)例えば、滅菌液剤または懸濁液剤として、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または硬膜外への注射による非経口投与向けに適応させたものを含めた、固体または液体形態で投与するために製剤化され得る。本医薬組成物は、即時放出持続放出または制御放出用とすることができる。

0146

本明細書において開示されている化合物および医薬組成物は、カプセル剤サシェ剤、錠剤、散剤、顆粒剤、液剤、水性液体中の懸濁液剤、非水性液体中の懸濁液剤、水中油型液状エマルション剤、油中水型液状エマルション剤、リポソーム剤またはボーラス剤などの、任意の適切な単位剤形として調製することができる。

0147

4.4.1非経口投与向け組成物
本開示は、非経口(例えば、静脈内)投与向けのニトロキシル供与性組成物を提供する。一実施形態では、本医薬組成物は、連続注入による静脈内投与用に製剤化される。

0148

非経口投与に適した医薬組成物の様々な実施形態には、非限定的に、水性注射用滅菌液剤か非水性注射用滅菌液剤のどちらか(それぞれ、例えば、抗酸化剤緩衝剤静菌剤、および意図されるレシピエントの血液との等張性を製剤に付与する溶質剤を含有する)、ならびに水性滅菌懸濁液剤および非水性滅菌懸濁液剤(それぞれ、例えば、懸濁化剤および増粘剤を含有する)が含まれる。製剤は、単位用量または多回用量用容器、例えば密封アンプルまたはバイアル中で提供することができ、使用直前に水などの滅菌液体担体の添加しか必要としないフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管することができる。あるいは、本製剤は、液体形態とすることができる。

0149

非経口投与される医薬組成物は、酸性、中性、または塩基性溶液中で投与することができる。一実施形態では、ニトロキシル供与体を含む医薬組成物は、pH約4〜約5、例えば、pH約4、約4.5、約4.8または約5(それらの間の値を含む)を有する酸性溶液中で製剤化することができる。供与体の適度な安定性を実現するために、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を製剤化するには、pH約4が一般に最適と考えられているが、こうした酸性条件下での製剤化は、非経口投与後に、潜在的に静脈刺激を引き起こすか、または悪化させる恐れがあることが発見された。刺激の量は、酸性のより低い媒体中にN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を製剤化することにより、弱めることができる(実施例6および図4を参照されたい)。

0150

したがって、ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、一部の実施形態では、pH約5〜約6.5、一部の実施形態では約5〜約6、一部の実施形態では約5.5〜約6、一部の実施形態では約5〜約5.5、一部の実施形態では約5.2〜約6.2、一部の実施形態では約5.5〜約6.2、一部の実施形態では約5.8〜約6.2で、および特定の実施形態ではpH約6で、非経口の注射用に製剤化される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、pH約5で、非経口の注射用に製剤化される。

0151

医薬組成物の所望のpHを実現するために、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、水性緩衝液中に製剤化することができる。例えば、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、リン酸または酢酸緩衝液中で製剤化することができる。特定の実施形態では、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、リン酸カリウムまたはリン酸ナトリウム緩衝液中で製剤化される。他の実施形態では、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、リン酸カリウム緩衝液またはリン酸ナトリウム緩衝液中で製剤化される。他の実施形態では、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、クエン酸カリウム緩衝液またはクエン酸ナトリウム緩衝液中で製剤化される。

0152

水性緩衝液は、適度なモル浸透圧濃度を維持するために、適切な糖を含むこともできる。例えば、本医薬組成物は、適量のデキストロースを含むことができる。本開示の実施例において例示されている医薬組成物は、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、場合によりシクロデキストリン(セクション4.4.3を参照されたい)、および適切な緩衝液を含む濃縮物を、5%デキストロース(D5W)または2.5%デキストロース(D2.5W)を含む水溶液に希釈することによって一般に調製された。

0153

4.4.2経口投与向け組成物
N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を含む医薬組成物は、経口投与用に製剤化することができる。経口投与向け化合物は、液体または固形剤形として製剤化することができる。ニトロキシル供与体が経口液体剤形として製剤化される特定の実施形態では、ポリエチレングリコール300(PEG300)が、添加剤として有用に働き得る。

0154

経口投与用錠剤は、場合により、1種または複数の副成分と共に、圧縮または成形により作製することができる。圧縮錠剤は、適切な機械で、場合により、結合剤、滑沢剤、不活性賦形剤、保存剤、表面活性剤または分散化剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態の治療剤(単数または複数)を圧縮することにより調製することができる。成形された錠剤は、適切な機械で、不活性液状賦形剤により湿潤させた粉末化合物の混合物を成形することにより作製することができる。錠剤は、場合によりコーティングするか、または切れ目を入れることができ、この中の活性成分遅延または制御放出をもたらすよう、製剤化することができる。本明細書における治療剤および当分野で公知の他の化合物などの、薬学的に活性な成分のこうした遅延または制御放出組成物を製剤化する方法は、当分野で公知であり、交付されている米国特許において開示されており、それらの一部は、以下に限定されないが、米国特許第4,369,174号、同第4,842,866号、およびそこで引用されている参照文献を含む。化合物を腸に送達するために、コーティング剤を使用することができる(例えば、米国特許第6,638,534号、同第5,217,720号、同第6,569,457号、およびそこで引用されている参照文献を参照されたい)。熟練者であれば、活性成分の遅延または制御放出をもたらすために、錠剤の他に、他の剤形に製剤化することができることを認識するであろう。こうした剤形には、以下に限定されないが、カプセル剤、造粒剤、およびゲルキャップ剤が含まれる。

0155

4.4.3 安定化および溶解度増強剤
N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、非経口および経口投与用に製剤化した場合、安定性の問題があり得ることが発見された。特に、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、本医薬組成物中で、ニトロキシルおよび少なくとも1つの副生成物を徐々に放出し、このことは該組成物の効力および安全性を損なう恐れがある。例えば、式(1)および式(2)の化合物は、以下のスキームに従って、ニトロキシルおよびスルフィン酸副生成物(それぞれ、式(100)および式(101)の化合物)を放出する。

0156

0157

さらに、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、経口または非経口用剤形でのその使用を限定する、または妨害する溶解度問題も有する恐れがある。したがって、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の安定性および溶解度の向上は、供与体が療法的用途に使用することができる以前に、重要となり得る。

0158

本開示の一態様によれば、シクロデキストリンは、N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の安定性および/または溶解度を劇的に増強するために使用することができることが見いだされた。具体的には、シクロデキストリンは、患者に投与する前の保管中、医薬組成物中でのニトロキシルおよびスルフィン酸副生成物(例えば、式(100)および(101)の化合物)の形成を低減するか、またはなくすことができる。シクロデキストリンの存在は、一部のN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体を、より高いpH(例えば、pH5〜6の間)において安定させることも可能にし、これにより、セクション4.4.2において考察した理由のために、毒性学的プロファイルの改善した組成物が製造される。

0159

様々な実施形態では、少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤は、少なくとも1つのシクロデキストリン種を含む。特定の実施形態では、シクロデキストリンは、α(1−4)連結により連結されているグルコース単位を有する環式構造である。別の実施形態では、シクロデキストリンは、β−シクロデキストリン、すなわちα(1−4)連結により連結されている7つのグルコース単位を有する環式構造である。別の実施形態では、シクロデキストリンは、その各グルコピラノース単位の3つの利用可能なヒドロキシル基の任意の組合せを誘導体化することにより、化学修飾されている。

0160

薬学的に許容される添加剤が少なくとも1つのシクロデキストリン種を含む、一部の実施形態では、シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンのスルホ(C1〜C6)アルキルエーテル誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり約6つ〜約7つのスルホ(C1〜C6)アルキルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ(C1〜C6)アルキルエーテル誘導体である。様々な実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり平均が約6つ〜約7つのスルホ(C1〜C6)アルキルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ(C1〜C6)アルキルエーテル誘導体である。別のこうした実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホ(C1〜C6)アルキルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ(C1〜C6)アルキルエーテル誘導体である。

0161

薬学的に許容される添加剤が少なくとも1つのシクロデキストリン種を含む、一連の特定の実施形態では、シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンのスルホ(C3〜C5)アルキルエーテル誘導体である。こうした一実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり約6つ〜約7つのスルホ(C3〜C5)アルキルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ(C3〜C5)アルキルエーテル誘導体である。様々なこうした実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり平均が約6つ〜約7つのスルホ(C3〜C5)アルキルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ(C3〜C5)アルキルエーテル誘導体である。別のこうした実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホ(C3〜C5)アルキルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ(C3〜C5)アルキルエーテル誘導体である。

0162

薬学的に許容される添加剤が少なくとも1つのシクロデキストリン種を含む、特定の実施形態では、シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体である。これらの実施形態のいくつかでは、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり約6つ〜約7つのスルホブチルエーテル基を有する、β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体である。別のこうした実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり平均が約6つ〜約7つのスルホブチルエーテル基を有する、β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体である。別のこうした実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホブチルエーテル基を有する、β−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体である。

0163

薬学的に許容される添加剤が少なくとも1つのシクロデキストリン種を含む、ある種の実施形態では、シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である。こうした一実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり約6つ〜約7つのスルホ−n−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である。別のこうした実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり平均が約6つ〜約7つのスルホ−n−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である。別のこうした実施形態では、シクロデキストリンは、シクロデキストリン1分子あたり6つまたは7つのスルホ−n−ブチルエーテル基を有するβ−シクロデキストリンのスルホ−n−ブチルエーテル誘導体である。

0164

薬学的に許容される添加剤が少なくとも1つのシクロデキストリン種を含む、様々な特定の実施形態では、シクロデキストリンは、生理的に適合可能なpH値において、例えば、一部の実施形態ではpH約5.0〜約6.8、一部の実施形態では約5.5〜約6.5、一部の実施形態では約5.7〜約6.3、一部の実施形態では約5.8〜約6.2、一部の実施形態では約5.9〜約6.1、および特定の実施形態では約6.0において、複数の負電荷を含む。こうした一実施形態では、少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤は、CAPTISOL(登録商標)シクロデキストリン(Ligand Pharmaceuticals、La Jolla、CA)を含む。

0165

組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.02:1〜約2:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.05:1〜約1.5:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.1:1〜約1:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.5:1〜約1:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.7:1〜約1:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.1:1〜約0.8:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.1:1〜約0.6:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.2:1〜約1:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.2:1〜約0.8:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.4:1〜約0.8:1とすることができる。ある種の実施形態では、組成物中に存在するN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体とシクロデキストリンとの間のモル比は、約0.4:1〜約0.6:1とすることができる。特定の実施形態では、シクロデキストリンは、CAPTISOL(登録商標)である。モル量を計算するために、CAPTISOL(登録商標)は、2163g/molの平均分子量(MW)を有すると仮定される。

0166

N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体が、水性組成物として非経口的(例えば、静脈内)に投与される実施形態では、シクロデキストリンは、約0.001%シクロデキストリン(w/v)〜約10%シクロデキストリン(w/v)の範囲内で、該組成物中に存在することができる。一部の実施形態では、シクロデキストリンは、約0.005%シクロデキストリン(w/v)〜約8%シクロデキストリン(w/v)の範囲内で、該組成物中に存在することができる。ある種の実施形態では、シクロデキストリンは、約0.010%シクロデキストリン(w/v)〜約6%シクロデキストリン(w/v)の範囲内で、該組成物中に存在することができる。ある種の実施形態では、シクロデキストリンは、約0.5%シクロデキストリン(w/v)〜約8%シクロデキストリン(w/v)の範囲内で、該組成物中に存在することができる。ある種の実施形態では、シクロデキストリンは、約1%シクロデキストリン(w/v)〜約8%シクロデキストリン(w/v)の範囲内で、該組成物中に存在することができる。ある種の実施形態では、シクロデキストリンは、約2%シクロデキストリン(w/v)〜約8%シクロデキストリン(w/v)の範囲内で、該組成物中に存在することができる。ある種の実施形態では、シクロデキストリンは、約2%シクロデキストリン(w/v)〜約6%シクロデキストリン(w/v)の範囲内で、該組成物中に存在することができる。特定の実施形態では、シクロデキストリンは、CAPTISOL(登録商標)である。

0167

実施例7において記載されている通り、ニトロキシル供与体およびシクロデキストリンを含む組成物は、特定のpHにおいて濃縮物として調製することができる。こうした濃縮物は、特定のpH(例えば、pH4)において、ニトロキシル供与体をシクロデキストリン水溶液に加えることにより調製することができる。次に、この濃縮物を適切な水溶液(例えば、緩衝液)に希釈して、患者に投与することができる。あるいは、ニトロキシル供与体およびシクロデキストリンを含む濃縮物を凍結乾燥して、粉末を形成することができる。凍結乾燥粉末は、投与前に、適切な水性ビヒクル中再構成することができる。

0168

4.5 本開示の化合物および医薬組成物を使用する方法
一態様では、本開示は、in vivoでのニトロキシルレベルを向上する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の本明細書において開示されている化合物または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。様々な実施形態では、患者は、ニトロキシル療法に応答する状態を有している、その状態を有していることが疑われる、またはその状態を有するか発生するリスクがある。

0169

特定の実施形態では、本開示は、ある状態の発症および/もしくは発生を処置する、予防する、または遅延させる方法であって、患者(こうした処置、予防または遅延の必要があると特定された患者を含む)に、有効量の本明細書において開示されている化合物または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。それを必要とする患者の特定は、医師臨床スタッフ救急救命士または他のヘルスケア専門医の判断にあるとすることができ、主観的(例えば、意見)、または客観的(例えば、試験または診断方法により測定可能)とすることができる。

0170

本明細書において開示されている方法により包含される特定の状態には、非限定的に、心血管疾患、虚血/再灌流傷害、および肺高血圧症(PH)が含まれる。

0171

4.5.1心血管疾患
一実施形態では、本開示は、心血管疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の本明細書において開示されている化合物または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。

0172

本明細書において開示されている化合物および組成物により有用に処置することができる心血管疾患および症状の例には、ニトロキシル療法に応答する心血管疾患、冠動脈閉塞冠動脈疾患CAD)、狭心症心臓発作心筋梗塞高血圧虚血性心筋症および梗塞肺うっ血肺浮腫心臓線維症心臓弁膜症心膜疾患、うっ血性循環状態末梢性浮腫、腹水症シャーガス病心室肥大心臓弁疾患(heart valve disease)、心不全、拡張期心不全、収縮期心不全、うっ血性心不全急性うっ血性心不全、急性非代償性心不全、および心臓肥大が含まれる。

0173

4.5.1.1心不全
本開示のニトロキシル供与性組成物は、心不全を患う患者を処置するために使用することができる。心不全は、本明細書において開示されているどのような心不全も含めた、任意のタイプまたは形態とすることができる。心不全の非限定例には、早期段階の心不全、クラスI、II、IIIおよびIVの心不全、急性心不全、うっ血性心不全(CHF)、および急性うっ血性心不全が含まれる。一実施形態では、本開示の化合物および組成物は、急性非代償性心不全を処置するために使用することができる。

0174

本開示のニトロキシル供与性組成物が、心不全を患う患者を処置するために使用される実施形態では、心不全を処置する別の活性剤を投与することもできる。こうした一実施形態では、ニトロキシル供与体は、ベータ−アゴニストなどの陽性変力体と組み合わせて投与することができる。ベータ−アゴニストの例には、非限定的に、ドーパミン、ドブタミン、イソプロテレノール、こうした化合物のアナログ、およびこうした化合物の誘導体が含まれる。別の実施形態では、ニトロキシル供与体は、ベータ−アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト(本明細書では、ベータ−アンタゴニストまたはベータ−遮断薬とも呼ばれる)と組み合わせて投与することができる。ベータ−アンタゴニストの例には、非限定的に、プロプラノロールメトプロロールビソプロロールブシンドロール、およびカルベジロールが含まれる。

0175

実施例3に記載されている通り、半減期のより長いニトロキシル供与体のいくつかを含む組成物の血行動態プロファイルを評価するために、心不全のモデルを使用した。実施例3において考察した図1において示されている通り、本開示の組成物は、変力作用および心筋弛緩の有意な増強、ならびに頻拍を伴わない血圧の適度な低下を生じさせた。さらに、有意な血行動態作用の発現は、迅速(例えば、1時間以内)であり、すべての組成物について、ほぼ最大の作用が2時間以内に達成された。

0176

本開示の組成物の血行動態活性は、静脈内投与した場合、ニトロキシル供与体CXL−1020を含む組成物に類似しているが、CXL−1020よりも半減期が長いN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の毒性学的プロファイルは、CXL−1020を含む組成物と比べて、有意に改善される(実施例5および6、ならびに図2〜4を参照されたい)。例えば、本開示の組成物に有用なニトロキシル供与体の「無毒性量」(No Observed Adverse Effect Levels:NOAEL)は、CXL−1020に関するNOAELよりも実質的に高かった(NOAEL決定の説明に関しては、実施例5を参照されたい)。特に、式(1)の化合物は、これまで試験されたすべてのN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体のなかで、最も有利な毒性学的プロファイルを有しており、少なくとも30μg/kg/分という高い濃度で静脈内投与した場合、炎症の臨床マーカーに対して有害作用を示さない(図2)。対照的に、CXL−1020は、0.3μg/kg/分という低い濃度において、望ましくない副作用を示し始める。

0177

4.5.1.2虚血/再灌流傷害
別の実施形態では、開示されている主題は、虚血/再灌流傷害の発症および/または発生を処置する、予防する、または遅延させる方法であって、それを必要としている対象に、有効量の本明細書において開示されている化合物または医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。

0178

特定の実施形態では、本方法は、虚血/再灌流傷害を予防するためのものである。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、虚血の発症前に投与される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、心筋虚血が起こる恐れがある手順、例えば、冠状動脈バイパス移植手術などの血管形成術または手術の前に投与される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、虚血後であるが、再灌流前に投与される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、虚血および再灌流後に投与される。

0179

別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、虚血事象に関するリスクのある患者に投与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、将来の虚血事象に関するリスクのある患者ではあるが、虚血のエビデンスが現在ない患者に投与される。虚血事象に関するリスクのある患者であるかどうかの決定は、患者または患者の医療歴を調べることによるなどの当分野で公知の任意の方法により行うことができる。特定の実施形態では、患者は、以前に虚血事象を有している。したがって、その患者は、最初または後続する虚血事象のリスクがある恐れがある。虚血事象に関するリスクのある患者の例には、公知の高コレステロール血症、虚血(例えば、適切な臨床状況における、T波の増高もしくは逆転、またはST部の上昇もしくは降下)を伴うEKG変化、活動中の虚血に関連しない異常なEKG、CKMBの上昇、虚血の臨床的エビデンス(例えば、圧迫する胸骨胸痛または腕の疼痛息切れ、および/または多汗)、心筋梗塞の既歴、血清コレステロールの上昇、セデンタリーライフスタイル、部分的な冠動脈閉塞の血管造影によるエビデンス、心筋損傷の心エコーによるエビデンス、または将来の虚血事象に関するリスクの任意の他のエビデンスを有する患者が含まれる。虚血事象の例には、非限定的に、心筋梗塞(MI)、および脳血管発作CVA)などの神経血管性虚血が含まれる。

0180

別の実施形態では、処置の対象は、移植される臓器である。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、移植レシピエントにおける臓器の再灌流前に投与することができる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、ドナーからの臓器の取り出し前に、例えば、臓器の取り出し過程において使用される灌流カニューレにより、投与することができる。臓器ドナーが、生存ドナー、例えば腎臓のドナーである場合、本開示の化合物または医薬組成物は、臓器ドナーに投与することができる。特定の実施形態では、本開示の化合物または医薬組成物は、本化合物または医薬組成物を含む溶液中で臓器を保管することにより投与される。例えば、本開示の化合物または医薬組成物は、エチレングリコールエチレンクロロヒドリンおよびアセトンが実質的に不含のヒドロキシエチルデンプンを含む溶液である、University of Wisconsinの「UW」溶液(米国特許第4,798,824号を参照されたい)などの臓器保存用溶液中に含ませることができる。特定の実施形態では、投与される本開示の医薬組成物により、移植臓器のレシピエントにおいて再灌流する際に、臓器組織への虚血/再灌流傷害が低減される。特定の実施形態では、本方法は、リスクのある組織における組織の壊死(梗塞のサイズ)を低減する。

0181

虚血/再灌流傷害は、心筋の組織以外の組織を損傷する恐れがあり、開示されている主題は、こうした損傷を処置または予防する方法を包含する。様々な実施形態では、虚血/再灌流傷害は、非心筋性である。特定の実施形態では、本方法は、脳、肝臓消化管、腎臓、腸、または心筋以外の身体の任意の部分の組織における虚血/再灌流に起因する損傷を低減する。別の実施形態では、患者は、こうした損傷に関するリスクがある。非心筋性虚血に関するリスクのあるヒトの選択には、心筋性虚血に関するリスクを評価するために使用される指標の決定が含まれ得る。しかし、他の要因が、他の組織における虚血/再灌流に関するリスクを示し得る。例えば、手術患者は、手術に関連する虚血を経験することが多い。したがって、手術の予定がある患者は、虚血事象に関するリスクがあるとみなし得る。発作に関する以下のリスク要因(または、これらのリスク要因の部分集合)は、脳組織の虚血に関する患者のリスク、高血圧症喫煙頸動脈狭窄、身体不活動、糖尿病高脂血症一過性脳虚血発作心房細動、冠動脈疾患、うっ血性心不全、過去の心筋梗塞、壁在血栓による左心室機能不全、および僧帽弁狭窄を実証し得る。Ingall, Postgrad. Med. 107(6):34-50 (2000)。さらに、老齢者未処置伝染性下痢合併症は、心筋性、腎性脳血管性、および腸の虚血を含み得る。Slotwiner-Nie et al., Gastroenterol. Clin. N. Amer. 30(3):625-635 (2001)。あるいは、患者は、虚血性の腸、腎臓および/または肝臓疾患に関するリスク要因に基づいて選択することができる。例えば、処置は、低血圧エピソード(手術による血液喪失など)のリスクのある老齢患者において始められると思われる。したがって、こうした適応症を示す患者は、虚血事象に関するリスクがあるとみなされると思われる。別の実施形態では、患者は、糖尿病および高血圧症などの、本明細書で列挙されている1つまたは複数の任意の状態を有する。脳動静脈奇形など、虚血をもたらす恐れがある他の状態が、虚血事象に関する患者のリスクを実証し得る。

0182

4.5.2肺高血圧症
別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、肺高血圧症の発症および/または発生を予防するかまたは遅延させるために使用することができる。こうした一実施形態では、本開示の医薬組成物は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の発症および/または発生を予防するかまたは遅延させるために使用することができる。

0183

別の実施形態では、本開示は、平均肺動脈血圧(MPAP)を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、有効量の本明細書において開示されている化合物または医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。別の実施形態では、MPAPは最大約50%低下する。別の実施形態では、MPAPは最大約25%低下する。別の実施形態では、MPAPは最大約20%低下する。別の実施形態では、MPAPは最大約15%低下する。別の実施形態では、MPAPは最大10%低下する。別の実施形態では、MPAPは最大約5%低下する。別の実施形態では、MPAPは、約12mmHg〜約16mmHgに低下する。別の実施形態では、MPAPは、約15mmHgに低下する。

0184

4.6投与形式、レジメン、および用量レベル
本開示の化合物および医薬組成物は、非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または皮内)投与により投与することができる。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、静脈内注入により投与される。他の実施形態では、本開示の化合物および医薬組成物は、経口投与により投与することができる。

0185

本開示の化合物を含む医薬組成物を投与する場合、投与量は、活性な医薬成分の量、すなわち本医薬組成物中に存在する、本開示のニトロキシル供与体化合物の量に基づいて表される。

0186

静脈内投与の場合、用量は、有用なことに、単位時間あたりの固定量として、または単位時間あたりの重量を基準とする量のどちらかとして、単位時間あたりで表すことができる。

0187

様々な実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、少なくとも約0.1μg/kg/分、少なくとも約0.2μg/kg/分、少なくとも約0.3μg/kg/分、少なくとも約0.4μg/kg/分、少なくとも約0.5μg/kg/分、少なくとも約1μg/kg/分、少なくとも約2.5μg/kg/分、少なくとも約5μg/kg/分、少なくとも約7.5μg/kg/分、少なくとも約10μg/kg/分、少なくとも約11μg/kg/分、少なくとも約12μg/kg/分、少なくとも約13μg/kg/分、少なくとも約14μg/kg/分、少なくとも約15μg/kg/分、少なくとも約16μg/kg/分、少なくとも約17μg/kg/分、少なくとも約18μg/kg/分、少なくとも約19μg/kg/分、少なくとも約20μg/kg/分、少なくとも約21μg/kg/分、少なくとも約22μg/kg/分、少なくとも約23μg/kg/分、少なくとも約24μg/kg/分、少なくとも約25μg/kg/分、少なくとも約26μg/kg/分、少なくとも約27μg/kg/分、少なくとも約28μg/kg/分、少なくとも約29μg/kg/分、少なくとも約30μg/kg/分、少なくとも約31μg/kg/分、少なくとも約32μg/kg/分、少なくとも約33μg/kg/分、少なくとも約34μg/kg/分、少なくとも約35μg/kg/分、少なくとも約36μg/kg/分、少なくとも約37μg/kg/分、少なくとも約38μg/kg/分、少なくとも約39μg/kg/分、または少なくとも約40μg/kg/分の量で、静脈内投与される。

0188

様々な実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約100μg/kg/分以下、約90μg/kg/分以下、約80μg/kg/分以下、約70μg/kg/分以下、約60μg/kg/分以下、約50μg/kg/分以下、約49μg/kg/分以下、約48μg/kg/分以下、約47μg/kg/分以下、約46μg/kg/分以下、約45μg/kg/分以下、約44μg/kg/分以下、約43μg/kg/分以下、約42μg/kg/分以下、約41μg/kg/分以下、約40μg/kg/分以下、約39μg/kg/分以下、約38μg/kg/分以下、約37μg/kg/分以下、約36μg/kg/分以下、約35μg/kg/分以下、約34μg/kg/分以下、約33μg/kg/分以下、約32μg/kg/分以下、約31μg/kg/分以下、または約30μg/kg/分以下の量で、静脈内投与される。

0189

一部の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約0.1μg/kg/分〜約100μg/kg/分、約1μg/kg/分〜約100μg/kg/分、約2.5μg/kg/分〜約100μg/kg/分、約5μg/kg/分〜約100μg/kg/分、約10μg/kg/分〜約100μg/kg/分、約1.0μg/kg/分〜約80μg/kg/分、約10.0μg/kg/分〜約70μg/kg/分、約20μg/kg/分〜約60μg/kg/分、約15μg/kg/分〜約50μg/kg/分、約0.01μg/kg/分〜約1.0μg/kg/分、約0.01μg/kg/分〜約10μg/kg/分、約0.1μg/kg/分〜約1.0μg/kg/分、約0.1μg/kg/分〜約10μg/kg/分、約1.0μg/kg/分〜約5μg/kg/分、約70μg/kg/分〜約100μg/kg/分、または約80μg/kg/分〜約90μg/kg/分の範囲の量で、静脈内投与される。

0190

特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約10μg/kg/分〜約50μg/kg/分、約20μg/kg/分〜約40μg/kg/分、約25μg/kg/分〜約35μg/kg/分、または約30μg/kg/分〜約40μg/kg/分の範囲の量で静脈内投与される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約20μg/kg/分〜約30μg/kg/分の量で、静脈内投与される。

0191

様々な経口投与の実施形態を含めた、様々な実施形態では、本開示の化合物または医薬組成物は、単回1日用量(QD)として、または例えば、1日2回(BID)、1日3回(TID)もしくは1日4回(QID)で投与される多回分割用量のどちらで、重量を基準とする1日投与レジメンに従って、投与される。

0192

ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なニトロキシル供与性N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、少なくとも約0.5mg/kg/d、少なくとも約0.75mg/kg/d、少なくとも約1.0mg/kg/d、少なくとも約1.5mg/kg/d、少なくとも約2mg/kg/d、少なくとも約2.5mg/kg/d、少なくとも約3mg/kg/d、少なくとも約4mg/kg/d、少なくとも約5mg/kg/d、少なくとも約7.5mg/kg/d、少なくとも約10mg/kg/d、少なくとも約12.5mg/kg/d、少なくとも約15mg/kg/d、少なくとも約17.5mg/kg/d、少なくとも約20mg/kg/d、少なくとも約25mg/kg/d、少なくとも約30mg/kg/d、少なくとも約35mg/kg/d、少なくとも約40mg/kg/d、少なくとも約45mg/kg/d、少なくとも約50mg/kg/d、少なくとも約60mg/kg/d、少なくとも約70mg/kg/d、少なくとも約80mg/kg/d、少なくとも約90mg/kg/d、または少なくとも約100mg/kg/dの用量で投与される。

0193

ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なニトロキシル供与性N−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約100mg/kg/d以下、約100mg/kg/d以下、約90mg/kg/d以下、約80mg/kg/d以下、約80mg/kg/d以下、約75mg/kg/d以下、約70mg/kg/d以下、約60mg/kg/d以下、約50mg/kg/d以下、約45mg/kg/d以下、約40mg/kg/d以下、約35mg/kg/d以下、約30mg/kg/d以下の用量で投与される。

0194

様々な実施形態では、用量は、約0.001mg/kg/d〜約10,000mg/kg/dである。ある種の実施形態では、用量は、約0.01mg/kg/d〜約1,000mg/kg/dである。ある種の実施形態では、用量は、約0.01mg/kg/d〜約100mg/kg/dである。ある種の実施形態では、用量は、約0.01mg/kg/d〜約10mg/kg/dである。ある種の実施形態では、用量は、約0.1mg/kg/d〜約1mg/kg/dである。ある種の実施形態では、用量は、約1g/kg/d未満である。

0195

ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、範囲の下端が、約0.1mg/kg/日〜約90mg/kg/日の任意の量であり、範囲の上端が、約1mg/kg/日〜約100mg/kg/日(例えば、一連の実施形態では約0.5mg/kg/日〜約2mg/kg/日、別の一連の実施形態では、約5mg/kg/日〜約20mg/kg/日)の任意の量である、用量範囲で投与される。

0196

特定の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、1日1回(QD)から1日3回(TID)で投与される、約3〜約30mg/kgの用量範囲で投与される。

0197

ある種の実施形態では、本開示の化合物または医薬組成物は、単回1日用量(QD)として、または例えば、1日2回(BID)、1日3回(TID)もしくは1日4回(QID)で投与される多回分割用量のどちらかで、一定(すなわち、非重量基準)投与レジメンに従って投与される。

0198

様々な実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、少なくとも約0.01グラム/日(g/d)、少なくとも約0.05g/d、少なくとも約0.1g/d、少なくとも約0.5g/d、少なくとも約1g/d、少なくとも約1.5g/d、少なくとも約2.0g/d、少なくとも約2.5g/d、少なくとも約3.0g/d、または少なくとも約3.5g/dの用量で投与される。

0199

様々な実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約5g/d以下、約4.5g/d以下、約4g/d以下、約3.5g/d以下、約3g/d以下、約2.5g/d以下、または約2g/d以下の用量で投与される。

0200

ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、1日あたり約0.01グラム〜1日あたり約4.0グラムの用量で投与される。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、範囲の下端が約0.1mg/日〜約400mg/日の任意の量であり、範囲の上端が約1mg/日〜約4000mg/日の任意の量である、用量で投与することができる。ある種の実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約5mg/日〜約100mg/日の用量で投与される。様々な実施形態では、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、約150mg/日〜約500mg/日の用量で投与される。

0201

非経口または経口投与に関する投与間隔は、患者の必要性に応じて調整することができる。投与の間がより長い間隔である場合、徐放放出またはデポー製剤を使用することができる。

0202

本明細書において開示されている本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、追加の治療剤の投与前、実質的にそれと同時に、またはその後に投与することができる。この投与レジメンは、追加の治療剤による予備処置および/または共投与を含み得る。こうした場合、本開示の医薬組成物に有用なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体、および追加の治療剤は、同時、個別、または逐次投与することができる。

0203

投与レジメンの例には、非限定的に、各化合物、医薬組成物または治療剤の逐次投与、および各化合物、医薬組成物もしくは治療剤の実質的に同時(例えば、単一単位剤形中として)の共投与、または各化合物、医薬組成物もしくは治療剤についての多回個別単位剤形での共投与が含まれる。

0204

「有効量」または「用量」(「用量レベル」)は、選択される特定の投与形式、投与レジメン、化合物および医薬組成物、ならびに処置される特定の状態および患者などの様々な要因に依存することになることは、当業者により理解されよう。例えば、適切な用量レベルは、使用される本開示の医薬組成物に有用な具体的なN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体の活性、排出速度および潜在毒性、処置される患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与頻度、共投与される他の治療剤、ならびに状態のタイプおよび重症度に応じて、様々となり得る。

0205

4.7化合物または医薬組成物を含むキット
本開示物は、本明細書において開示されている化合物または医薬組成物を含む、キットを提供する。特定の実施形態では、本キットは、各々が乾燥形態にある、本明細書において開示されている化合物または医薬組成物、および薬学的に許容される液状賦形剤を含む。

0206

乾燥形態の化合物または乾燥形態の医薬組成物のどちらか一方は、約2.0重量%以下の水、約1.5重量%以下の水、約1.0重量%以下の水、約0.5重量%以下の水、約0.3重量%以下の水、約0.2重量%以下の水、約0.1重量%以下の水、約0.05重量%以下の水、約0.03重量%以下の水、または約0.01重量%以下の水を含有する。

0207

薬学的に許容される液状賦形剤は、当分野で公知であり、以下に限定されないが、滅菌水生理食塩溶液、水性デキストロース、グリセロール、グリセロール溶液などを含む。適切な液状賦形剤の他の例は、Nairn, "Solutions, Emulsions, Suspensions and Extracts," pp. 721-752 in Gennaro, Ed., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed. (Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2000)により開示されている。

0208

一実施形態では、本キットは、本化合物または医薬組成物を使用するための指示書をさらに含む。この指示書は、文書形態または電子形態などの任意の適切な形態にすることができる。別の実施形態では、この指示書は、文書の指示書とすることができる。別の実施形態では、この指示書は、電子保存媒体(例えば、磁気ディスケットまたは光学ディスク)に入っている。別の実施形態では、この指示書には、本化合物または医薬組成物および本化合物または医薬組成物の患者への投与方法に関する情報が含まれている。別の実施形態では、この指示書は、本明細書において開示されている使用方法(例えば、心血管疾患、虚血/再灌流傷害、肺高血圧症、およびニトロキシル療法に応答する他の状態から選択される状態の発症および/または発生の処置、予防および/または遅延)に関する。

0209

別の実施形態では、本キットは、適切な包装をさらに含む。本キットが、2つ以上の化合物または医薬組成物を含む場合、該化合物または医薬組成物は、個別の容器中に、または交差反応性および貯蔵寿命が許される場合、1つの容器中に一緒にして、患者ごとに(patiently)包装することができる。
(実施例)

0210

以下の実施例は、例示の目的で提示されており、開示されている主題の範囲を限定するように働くべきではない。

0211

5.1 実施例1:N2Oを定量することにより決定したHNO生成
亜酸化窒素(N2O)は、HNOの二量化および脱水により生成し、ニトロキシル生成の最も一般的なマーカーである(Fukuto et al., Chem. Res. Toxicol. 18:790-801 (2005))。しかし、ニトロキシルはまた、酸素により一部失活し、N2Oを生成しない生成物も与えることができる(Mincione et al., J. Enzyme Inhibition 13:267-284 (1998)およびScozzafava et al., J. Med. Chem. 43:3677-3687 (2000)を参照されたい)。標準品として、亜酸化窒素ガスまたはアンジェリ塩(AS)のどちらかを使用し、本開示の化合物から放出されるN2Oの相対量を、ガスクロマトグラフィー(GC)ヘッドスペース分析により検査した。

0212

本開示の化合物から放出されるN2Oの相対量を決定する手順は、以下の通りである。GCは、スプリット注入器スプリット比10:1)、マイクロ電子捕獲検出器、およびHP−MOLSIV 30m×0.32mm×25μmモレキュラーシーブキャピラリーカラム装備した、Agilentガスクロマトグラフで行った。ヘリウムを担体(4mL/分)ガスとして使用し、窒素をメイクアップ(20mL/分)ガスとして使用した。注入器オーブンおよび検出器オーブンは、それぞれ200℃および325℃に維持した。すべての亜酸化窒素の分析は、一定温度200℃に保持したカラムオーブンで実施した。

0213

ガス注入はすべて、自動ヘッドスペース分析器を使用して行った。バイアルの加圧は、15psiとした。分析器サンプル用オーブン、サンプリングバルブ、および移送ラインは、それぞれ、40℃、45℃および50℃に維持した。オーブンの安定化、バイアルの加圧、ループ充填、ループの平衡化、およびサンプルの注入時間は、それぞれ、1.00分、0.20分、0.20分、0.05分および1.00分とした。

0214

決定はすべて、サンプルの均質性について、事前に測定した体積を有する、一回分の名目上20mLのヘッドスペースバイアルを使用した(実際のバイアル体積は相対標準偏差≦2.0%で変動した(n=6))。この回分に関する平均バイアル体積は、無作為に選択した6個のバイアルから、脱イオン水既知密度を使用し、キャップをして密封した空(すなわち空気充填)のバイアルとキャップをして密封した脱イオン水充填バイアルとの間の重量差を計算し、次に、平均をとることにより決定した。ブランクは、2個のバイアルを密封してキャップをし、次に穏やかなアルゴン気流により、各々を20秒間、パージすることによって調製した。ニトロキシル標準品は、4個のバイアルを密封してキャップをし、次に、ガスシリンダーから、3000ppmのニトロキシル標準品の穏やかな気流を用いて、各々1分間パージすることにより調製した。

0215

CXL−1020(N−ヒドロキシ−2−メタンスルホニルベンゼン−1−スルホンアミド)「標準品」は、2回反復で、CXL−1020 10±0.5mgを正確に量して、これを各4mLバイアルに加えることにより調製した。オートピペットを使用し、アルゴンパージした無水DMF(Sigma−Aldrich)1mLを各4mLバイアルに加えて、各サンプルに関するCXL−1020保存溶液をつくり、これらのバイアルにキャップをして、振とうおよび/または音波処理して、目視観察時に、完全な溶解を確実にした。オートピペットを使用し、20mLバイアルにPBS5mL(使用前に、少なくとも30分間、アルゴンによりパージした)を投入し、少なくとも20秒間アルゴンによりパージし、ラバーセプタムを用いて密封した。50μLシリンジを使用し、PBS含有20mLバイアルの各々に、CXL−1020保存溶液50μLを注入した。

0216

サンプルは以下の通り、調製した。2回反復で、各サンプル18±1mgを正確に秤量して、各4mLバイアルに入れた。オートピペットを使用し、アルゴンパージした無水DMF1mLを各4mLバイアルに加えて、各サンプルに関するサンプルの保存溶液をつくり、これらのバイアルにキャップをして振とうおよび/または音波処理して、目視観察時に、サンプルの完全な溶解を確実にした。オートピペットを使用し、20mLバイアルにPBS5mL(使用前に、少なくとも30分間、アルゴンによりパージした)を投入し、少なくとも20秒間アルゴンによりパージし、ラバーセプタムを用いて密封した。これらのバイアルを37℃で少なくとも10分間、乾燥ブロックヒーター中平衡にした。その後、50μLシリンジを使用し、PBS含有20mLバイアルの各々に、サンプルの保存溶液50μLを注入した。次に、これらのバイアルを乾燥ブロックヒーター中、37℃で、この乾燥ブロックヒーター中で費やした時間とサンプル注入前の自動ヘッドスペース分析器オーブン中で費やした時間の合計が、所望の温置時間に等しくなる時間、保持した。

0217

動注入の順序は、以下の通りであった。ブランクの反復1、ブランクの反復2、N2O標準品の反復1、N2Oの標準品の反復2、CXL−1020標準品の反復1、CXL−1020標準品の反復2、サンプル1の反復1、サンプル1の反復2、サンプル2の反復1、サンプル2の反復2など、終わりにN2Oの標準品の反復3、およびN2Oの標準品の反復4。こうして決定したデータを入力して、各サンプルについて、相対N2O収率を各温置時間に対する百分率で算出するため、EXCELスプレッドシートを使用する。得られた結果が表3に示されている。「−」とは、結果を求めなかったことを示している。

0218

0219

式(99)の化合物に関して、決定は、酵素により活性化したサンプルをやはり以下の通り調製した以外、上記の通りである。(i)ブタ肝臓エステラーゼ(PLE、E3019−20KU、粗製品、Sigma−Aldrich)50mgを正確に秤量して、20mLのヘッドスペースバイアルに入れる、(ii)オートピペットを使用し、アルゴンパージした無水PBS5mLを加え、PLE保存溶液をつくる、(iii)このバイアルにキャップをして振とうし、目視観察時に、完全な溶解を確実にする、(iv)ニトロキシル供与体のサンプルを、PBSを5mLの代わりに4.75mLを加える以外、上記の開示通り調製する、および(v)次に、オートピペットを使用し、サンプルの添加前に、20mLバイアルにPLE保存溶液250μmLを投入する。自動注入の順序は、以下の通りである。ブランクの反復1、ブランクの反復2、N2O標準品の反復1、N2Oの標準品の反復2、CXL−1020標準品の反復1、CXL−1020標準品の反復2、サンプル1(PLEなし)の反復1、サンプル1(PLEなし)の反復2、サンプル1(PLE含有)の反復1、サンプル1(PLE含有)の反復2、サンプル2(PLEなし)の反復1、サンプル2(PLEなし)の反復2、サンプル2(PLE含有)の反復1、サンプル2(PLE含有)の反復2など、終わりにN2Oの標準品の反復3、およびN2Oの標準品の反復4。

0220

本開示の化合物から放出されるN2Oの相対量を決定する別の手順は、以下の通りである。GCは、1041マニュアル注入器、電子捕獲検出器、および25m 5Åモレキュラーシーブキャピラリーカラムを装備した、Varian CP−3800機器で行う。グレード5.0の窒素を、担体(8mL/分)とメイクアップ(22mL/分)ガスの両方として使用する。注入器オーブンおよび検出器オーブンは、それぞれ200℃および300℃に維持する。亜酸化窒素の分析はすべて、一定温度150℃に保持したカラムオーブンで実施する。ガス注入はすべて、サンプルロック付き100μLガスタイトシリンジを使用して行う。サンプルの均質性に関して、事前に測定した体積(実際のバイアル体積は、15.19〜15.20mLの範囲である)を有する、こはく色の15mLのヘッドスペースバイアル中でサンプルを調製する。バイアルに、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)を含有するPBS5mLを投入し、アルゴンによりパージしてラバーセプタムにより密封した。これらのバイアルを37℃で少なくとも10分間、乾燥ブロックヒーター中で平衡にする。ASの保存溶液10mMを10mM水酸化ナトリウム中で調製し、アセトニトリルまたはメタノール中のどちらかでニトロキシル供与体の溶液を調製し、調製後、直ちに使用する。これらの保存溶液から50μLを、サンプルロック付き100μLガスタイトシリンジを使用して、個々に熱平衡化したヘッドスペースバイアルに導入し、最終基質濃度0.1mMを得る。次に、基質を90分間または360分間、温置する。次に、ヘッドスペース(60μL)をサンプリングし、サンプルロック付きガスタイトシリンジを使用して、5回連続してGC装置に注入する。この手順を供与体あたり、2個以上のバイアルについて繰り返す。

0221

5.2 実施例2:血漿中のニトロキシル供与体のin vitro安定性
表1および2からのある化合物、ならびにCXL−1020を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)および血漿中で、それらの安定性について試験した。アッセイ系は、(i)pH7.4のPBS、またはラット、イヌもしくはヒト由来の血漿(少なくとも、3つの雄のドナーであり、貯留したもの)、および(ii)血漿中で実施する試験の場合、抗凝固剤(ヘパリンナトリウムまたはクエン酸ナトリウム)を含んだ。各試験化合物(5μM)を、振とうしながら、PBSまたは血漿中、37℃で、THERMOMIXER(登録商標)で温置した。7回のサンプリング時間点:0、10、30、60、90、180および360分のそれぞれで、3つのサンプル(n=3)を採取した。サンプルを、反応を終わらせるための1%ギ酸および内部標準を含有しているアセトニトリル3体積(すなわち、PBSまたは血漿の3倍体積)と直ちに混合した。試験化合物のAB SCIEAPI 3000 LC−MS/MS分析を、標準曲線なしで行った。ピーク面積の応答比を使用して残留値百分率のグラフから、試験化合物の半減期(T1/2)を求めた。求めた半減期が表4に示されている。複数回試験した化合物の場合、表中に提示されている値は、反復アッセイの平均である。

0222

0223

式(99)の化合物の半減期を測定する場合、ブタ肝臓エステラーゼ(PLE)の保存溶液を、前記化合物の添加前に、PBSまたは血漿に加える。

0224

5.3 実施例3:正常および心不全のイヌにおけるニトロキシル供与体の血行動態効力(頻拍ペーシングモデル)
5.3.1 材料および方法
ニトロキシル供与体の心血管作用は、ひもにより抑制した意識のあるビーグル犬において、圧−容積PV曲線(ループ)分析により検査した。動物は、標準的な実験室条件下、飲水および市販のイヌ用自由摂取することができた。1日あたりおよそ12時間、自動タイマーにより、蛍光照明を与えた。時々、研究に関連する作業のために、暗周期断続的に中断した。温度および湿度モニタリングして毎日記録し、それぞれ64°F〜84°Fの間、および30%〜70%の間で最大限、維持した。イヌは、手術前の少なくとも1週間の期間、慣れさせた。手術および回復後、動物は、最大4.5時間、ひもによる抑制に慣れさせた。動物は、手術前に、一晩、断食させた。

0225

手術手順
麻酔
麻酔薬の投与のために、留置静脈カテーテルを末梢静脈(例えば、橈側皮)に入れた。ブプレノルフィン(約0.015mg/kg)を静脈内(ボーラス投与)に、次いでプロポホール(約6mg/kg)の静脈内ボーラス投与により、全身麻酔を誘発した。さらに、予防用の抗生剤セファゾリン20〜50mg/kgをi.v.により)を誘発時に与えた。生理的な範囲内にPaCO2値を維持するため、カフ付き気管チューブを入れて、動物用従量式人工呼吸装置を介して100%O2により機械的に肺換気1回換気量約12.5mL/kgを伴う約12呼吸/分)させるために使用した。イソフルラン(1%〜3%)の吸入により麻酔を維持した。

0226

心血管用機器の設置
麻酔の安定(手術の)水準確立すると、左開胸術を行い(厳密な無菌条件下)、各動物にソノ−マイクロメータ結晶を長期にわたり設置し、左心室(LV)の寸法/容積を得た。さらに、圧をモニタリングするために、液体充填カテーテルおよびソリッドステートマノメータ(solid-state monometer)を左心室に取り付けた。圧モニタリング/試験品投与のために、液体充填カテーテルを右心室RV)および大動脈(Ao)に入れた。異尺性自己調節の間、LV圧−容積曲線を作製するためのその狭窄制御を可能にするため、下大静脈(IVC)の周辺に、水圧式(In−Vivo Metrics)オクルダーを設置/固定した。カテーテル/ワイヤを、肩甲骨の間に無菌で貫通させて、外に出した。血餅形成および細菌の増殖の両方を予防するため、研究の間、液体充填カテーテルを定期的(少なくとも1週間に1回)に、ロッキング溶液により洗い流した(タウロリジンクエン酸溶液2〜3mL、TCS−04;Access Technologies)。

0227

ペースメーカーの埋め込み
心血管用機器の設置後、右頸静脈注意深くむきだしにして、双極ペーシングリード/カテーテル(CAPSUREFIX(登録商標)Novus;Medtronic)でカニューレ処置した。蛍光透視下、このペーシングリード順行方向で右心室に入れ、心内膜の先端に能動的に取り付けた(ねじ込み)。このリードの近位端部をペーシング装置に固定した(Kappa900;Medtronic)。続いて、ペースメーカーを頸部の皮下ポケットに設置/固定した。

0228

心臓が開胸によりむき出しになっていることを考慮し、双極ペーシングワイヤを右心室の心筋中央部に固定した。このペーシングリードを肩甲骨の間に貫通させ/外に出し、外部インパルス発生器/ペースメーカーと接続して使用した。埋め込んだ心内膜のペースメーカーは、外部/心外膜ペースメーカーへのバックアップとして使用した。

0229

回復
開胸からを閉じる前に、手術手順から蓄積する任意の液体および/またはガスを排出するための胸腔チューブを取り付けた。除去される液体の量が、およそ24時間後の吸引1回あたり35mL未満になるまで、このチューブを1日2回、吸引した。次に、この胸腔チューブを除去した。

0230

動物すべてに、予防用の抗生剤(セファゾリン20〜50mg/kgをi.v.により)および疼痛用医薬(約0.2mg/kgのメロキシカムをi.v.により)を投与した。必要に応じて、追加の麻酔薬も投与し、これは、フェンタニルパッチ(25〜50mcg/時間)を含んだ。手術の切開部はすべて、重ねて閉じた。下層筋肉組織吸収性縫合糸により閉じ、皮膚をステープルにより閉じた。

0231

手術後、動物は、少なくとも14日間、回復させた。手術後、セファレキシン(20〜50mg/kg)をBIDで少なくとも7日間、経口投与し、メロキシカム(0.1mg/kg)をSIDで少なくとも2日間、経口または皮下投与した。回復期全体を通して、回復の日常的な徴候に関して毎日、動物を観察し、感染可能性のなんらかの徴候について、傷の部位を観察した。疼痛、苦痛および/または感染を受けている動物には、選任獣医師および研究責任者の注意を向けた。皮膚切開部のステープルは、手術後、少なくとも7日間、除去しなかった。

0232

心不全の誘発
手術からの回復および/またはニトロキシル供与体による投与からの十分なウオッシュアウト期間の後、動物に、心不全症候群と一致する左心室機能不全/リモデリングを引き起こすことを目的とした、3週間の高頻度駆動ぺ一シング(210ppm)プロトコルを施した。手短に言うと、埋込みペースメーカー右心室リードを介して、心室を、非同期かつ継続的に1分あたり210拍(bpm)でペーシングした。およそ3週間のペーシング後、左心室リモデリング(および心不全誘発)は、心エコー(例えば、駆出率EFは、約60%から目標とする約35%に低下する。左心室LVの拡張)および神経液(例えば、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチドNTproBNP)が上昇して、ベースライン約300pM/Lから1800pM/Lを超える)の変化の両方により確認した。ペーシングの非存在下で、心エコー図および血液サンプル収集した(少なくとも15分間)。

0233

5.3.2 結果
血行動態効力の評価
動物(正常または心不全)は、ビヒクル(対照)およびニトロキシル供与体(CXL−1020、または式(1)、(2)、(83)、(84)もしくは(85)の化合物のいずれか)の両方により処置している間に研究した。各投与期間に、ひもで抑制した意識のある動物を、最大2〜3時間、連続的にモニタリングした。血行動態の安定化後、ビヒクルの注入を開始した。その直後に、圧−容積曲線/ループのファミリーを発生させるために、左心室の前負荷を短時間の大静脈閉塞(血管オクルダーの一過性拡張)により急激に低下させた。最大3回の閉塞を行い、各試験間に血行動態を回復させた。ビヒクルの注入を継続し、30分後、別の(ベースライン)の血行動態データ一式を収集した。ベースラインの血行動態データを収集後、試験するニトロキシル供与体化合物の注入を開始し、ビヒクル/試験化合物の注入の開始後の30、60、90、120および180分時から選択される最大4つの時間点で、血行動態タイプ/機能パラメータを得た/実施した。プラセボまたは時間対照処置群の場合、各動物に、最大180分間、適切なプラセボの注入を行った。すべての場合において、試験化合物を、一定の静脈内注入速度1mL/kg/時で送達し、モル当量またはモル当量用量のおよそ3分の2で比較した。

0234

心筋の収縮期状態とエネルギー状態を表す関係を発生させるために、得られた左心室圧および容積データ解析した。収縮期血圧SAP)、拡張期血圧(DAP)、および平均動脈血圧MAP)を収集した。圧(ESP、EDP、dP/dt最大/分、弛緩の時定数タウ[非ゼロ漸近線を伴う単一指関数減衰に基づく])および容積(収縮末期容積(ESV)、拡張末期容積(EDV)、1回心拍出量SV))のシグナルから、左心室の機械的および/または幾何的指標を得た。さらに、以下の測定値は、短期間の前負荷低下の間に生じる左心室の圧−容積データ(PVループ)からのタイプであった。圧容積面積(PVA)および1回心仕事量(SW)、収縮末期血圧容積関係(ESPVR)および拡張末期血圧容積関係(EDPVR)、ならびに収縮末期血圧と1回心拍出量の関係(大動脈弾性率(Ea))。正常イヌおよび心不全イヌの研究から得られた代表的なデータが、表5および表6に示されている。心不全イヌに関する代表的なデータは、図1にも示されている。SVR(全末梢血管抵抗)の低下は、血管拡張相関関係がある。

0235

0236

0237

例えば、図1における結果により、式(1)、(2)、(83)、(84)および(85)の化合物は、正常および不全イヌモデルの両方において、CXL−1020と同等の血行動態活性を有することが実証される。

0238

5.4ニトロキシル供与体による毒性学研究

0239

5.4.1 実施例4:CXL−1020によるin vivo試験
ニトロキシル供与体であるCXL−1020(N−ヒドロキシ−2−メタンスルホニルベンゼン−1−スルホンアミド)のin vivo試験の間に、最大90μg/kg/分の用量のCXL−1020を連続注入することにより処置したイヌにおける耐容性を評価する、14日間の研究を実施した。この最初の研究により、CXL−1020は、60μg/kg/分の用量で投与した場合、耐容性があることが見いだされた。しかし、予想外なことに、用量60μg/kg/分において、炎症の臨床病理学的マーカーの変化に反映される、炎症過程と一致する臨床病理学的変化が観察された。この望ましくない副作用をさらに調査するため、イヌにおいて、14日間の追跡研究を開始した。この追跡研究は、他の望ましくない副作用の出現により、わずか4日後に終了する必要があった:正常な脚の機能を時として妨げる、注入カテーテルを手術により埋め込んだイヌの後脚におけるかなりの腫れおよび炎症という予想外の発生;そけい部の皮膚の退色;活動の低下;食欲不振(inappetance);および最高用量群では、触ると冷たい皮膚。

0240

炎症および後脚の腫れの原因を決定するため、一連の72時間連続注入の探索的研究を、次の6か月にわたり実施した。それらの研究の結果により、CXL−1020は、5%デキストロース水溶液に希釈した、CXL−1020:CAPTISOL(登録商標)のモル比1:1のpH4の製剤中で投与すると、イヌにおいて、0.03μg/kg/分以上の用量における炎症過程と一致する臨床病理学的変化を引き起こすことが示された。大腿静脈(カテーテル先端から15cm上流)へのカテーテルの挿入部位周辺、カテーテル先端、およびカテーテル先端から下流において、血管炎症が観察された。炎症の最初の部位である、カテーテル挿入部位は、イヌの後脚の腫れ、および早期に終了した追跡研究において観察された炎症を引き起こした。注入物のpHを4から6に増加させると、炎症が軽減し、炎症プロファイルがおよそ3倍改善された(図4を参照されたい)。しかし、CXL−1020をイヌにおいて3μg/kg/分以上の用量で投与した場合、かなり望ましくない副作用が依然として実証された。

0241

カテーテル挿入部位に関連する副作用を回避し、かつ血管炎症が、埋込みカテーテルの設計によるものかどうかを評価するため、イヌにおいて、末梢(橈側皮)静脈に入れた経皮カテーテルを使用して、24時間の連続注入研究を実施した。注入の6時間後、カテーテル先端から下流の、前肢の上部にかなりの浮腫が観察された。注入の24時間後、埋込み中心カテーテルを使用した、先の研究において観察されたものと類似した臨床病理学的変化が検出された。同様に、カテーテル先端における重症血栓性静脈炎を示し、カテーテル先端から下流に重症度の軽減勾配が進んだ顕微鏡病理も検出された。

0242

より長期間の投与時に、局所静脈炎がヒトに起こるかどうかを決定するため、より長期間の研究を健常志願者で実施した。より長期間の研究は、10名の志願者のコホートに、各コホート間の安全性評価を含めた、用量10、20および30μg/kg/分でCXL−1020の24時間連続注入が逐次行われることになる、用量漸増研究を含んだ。各コホートは、1名の能動的処置および1名のプラセボ処置センチネルペアを含む、2名のプラセボおよび8名の能動的処置、その後に、1名のプラセボおよび7名の能動的処置の主群からなった。注入は、前腕の静脈に挿入した経皮カテーテルを介した。このカテーテルを注入の12時間後、反対側の腕に変更した。24時間の用量10μg/kg/分は、十分耐容性があることがわかった。24時間、用量20μg/kg/分を投与した第2のコホートでは、2名のプラセボ処置志願者において有害知見はなかったが、8名の対象すべてにおいて、注入部位の静脈炎と一致する、軽度の知見(臨床徴候および/または臨床病理の変化)があった。これらの結果に基づき、より長期間の安全性研究は停止した。

0243

より多いが、依然として臨床的に望ましい用量のCXL−1020の望ましくない副作用の原因を決定するため、探索的研究を継続した。ニトロキシル供与後に残留する部分である、CXL−1020の副生成物を用いて行った研究は陰性であり、CXL−1020の副作用は、親化合物であるCXL−1020またはそこから生成したHNOのいずれかに起因することが示された。CXL−1020とは構造的に無関係であるが、ニトロキシル供与について類似する半減期(約2分の半減期)を有する代わりのニトロキシル供与体を用いて研究を実施した。すべての場合において、カテーテル先端における、血管の局所副作用が観察された。これらの結果は、炎症は、短い半減期のニトロキシル供与体から急速に放出されるニトロキシルにより引き起こされることを示唆した。

0244

5.4.2 実施例5:より長い半減期のN−ヒドロキシスルホンアミド型ニトロキシル供与体は、CXL−1020と比べて、毒性学的プロファイルが改善される
雄および雌のビーグル犬において、研究を実施した。動物は、標準的な実験室条件下、飲水および市販のイヌ用餌を自由摂取することができた。研究プロトコルにより示された時点で、血液サンプルの収集前に動物に断食させた。1日あたりおよそ12時間、自動タイマーにより、蛍光照明を与えた。時々、研究に関連する活動のために、暗周期を断続的に中断した。温度および湿度をモニタリングして毎日記録して、それぞれ64°F〜84°Fの間、および30%〜70%の間で最大限、維持した。イヌは、少なくとも1週間の期間、慣れさせた。この期間の間に、動物を毎週秤量し、一般的健康および疾患のなんらかの徴候について観察した。これらの動物は、用量投与前に、少なくとも3日間、ジャケット着用に慣れさせた。さらに、これらの動物は、ジャケット着用の慣れ期間の間に、エリザベスカラー(e−カラー)を着用することにも慣れさせた。

0245

手術手順および投与手順
動物は、用量投与前の当日に、カテーテル処置した。経皮カテーテルを、の遠位部の橈側皮静脈に入れた(無菌技法および滅菌包帯法を使用)。連続注入用量投与の間、ケージ中で、これらの動物に自由運動させた。連続注入用量投与を容易にするため、末梢カテーテルをイヌのジャケット下に通じる拡張装置につなげ、次に、テザー注入系につなげた。動物が、末梢に入れた経皮カテーテルに触る/外すのを防止するため、カテーテル処置部位をVet Wrapを用いて包帯処置し、処置の間(すなわち、カテーテル処置期間)、e−カラーを動物に取り付けた。予備処置期間の間、注射用の0.9%塩化ナトリウム、米国薬局方(生理食塩水)を、およそ2〜4mL/時の速度で、静脈カテーテルに連続的に注入して、カテーテルの開通性を維持した。投与前に、この注入系を事前に各投与溶液により充填(ゆっくりとしたボーラス注入)して、注入用ポンプが開始したら直ちに投与が開始するのを確実とした。注入ラインを、対照または試験化合物を含有するレザバーに連結し、注入を開始した。試験組成物を、所定の一定注入速度(1または2mL/kg/時)で24時間、連続的に注入し、モル当量用量で比較した。

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