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技術 熱反応性熱可塑性中間体生成物及びその製造方法

出願人 ストラエンソオーワイジェイ
発明者 ガロフ、ニクラスアレスコフ、ディミトリゲレルステッド、ゲランヴァルター、ステファンマンヴィ、パヴァンクマールセイデ、グンナーグリース、トマス
出願日 2013年11月7日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2015-541277
公開日 2016年2月12日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-504428
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物 合成繊維 無機繊維
主要キーワード 熱的プロセス 未溶解状態 化学パルプ化 リグニン分子 リグニン抽出 溶媒回収装置 分子内力 炭素製品
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図面 (3)

課題・解決手段

本開示は、成形体の形態の熱反応性熱可塑性中間体生成物に関し、該中間体組成物を含み、該組成物が精製された又は任意に未精製の針葉樹リグニン及び少なくとも第1添加剤を含む。

概要

背景

世界的な炭素市場規模は今や約420億ユーロである。アルミニウム生産用炭素電極は190億ユーロを占め、電気炉用の黒鉛電極は60億ユーロを占め、炭素繊維は約10億ユーロを占める。他の主要な炭素製品には、カーボンブラック(110億ユーロ)及び活性炭(20億ユーロ)が含まれる。炭素及び黒鉛電極並びに炭素繊維の製造には、油系原料及びエネルギー集約型製造プロセスを使用するため、コストがかかり、二酸化炭素フットプリントが多くなる。炭素及び黒鉛電極は、約1000℃で約2週間炭素化処理される、所謂「生電極」(か焼コークスからなる)から作られる。黒鉛電極を製造する場合には、炭素化工程の後に、3000℃での黒鉛化工程がある。炭素及び黒鉛電極は、高い電気伝導率、即ち低い抵抗率であることが必要である。市販の黒鉛電極の抵抗率は約500μΩcm(www.sglgroup.com)である。炭素繊維に関しては、その価格が高いので、特に、自動車船舶風力エネルギー、及び建設の分野等の大量市場域での使用に対する、市場への更なる浸透が大いに妨げられている。炭素繊維の生産は、高価な原料(ポリアクリロニトリル、PAN)及びエネルギー集約型製造プロセスを使用するため、コストがかかるプロセスである。

リグニンは、入手可能性が高いと見込まれること、炭素含量が高い(> 60%)こと、そして、製造コストがより低いと予想されることから、炭素電極、黒鉛電極、及び炭素繊維に対する代替的な原料になり得る。更に、リグニンは再生可能な材料である。

化学パルプ化の間に、セルロース繊維は、紙、厚紙、及びティッシュペーパー製品へ向けて更に処理するため、針葉樹軟材)、広葉樹硬材)、及び一年生植物バイオマスから分離される。クラフトパルプ化は、主要な化学パルプ化プロセスである。他のプロセスには、ソーダパルプ化、亜硫酸パルプ化及び有機溶剤蒸解法(organosolv process)が含まれる。アルカリパルプ化(即ち、クラフトパルプ化及びソーダパルプ化)では、多量のリグニンが、黒液として知られるアルカリ性パルプ化液(これは、使用済蒸解液、可溶性木本リグニン、炭水化物及び有機酸を含有する高アルカリ性複合混合物である。)中に溶解する。その後、リグニンは、更に処理されて、一部を蒸発させた黒液の燃焼により得られるエネルギーにされるか、その代わりに、酸を添加して得られる固体形態で単離される。その後、単離されたリグニンは、バイオ燃料として、又は炭素繊維等の材料又は化学物質の原料として使用され得る。リグニンを、炭素及び黒鉛電極、並びに炭素繊維の原料として使用することについては、幾つかの利点がある。即ち、リグニンは、コスト効率の高い原料であること、再生可能であること、そして、パルプ工場から出る工業上の黒液中に多量に存在することである。

リグニンから炭素電極、黒鉛電極、及び炭素繊維を製造するためには、リグニンが、溶融押出等により、中間体生成物(それぞれ生電極又は繊維前駆体)に成形できることが必要である。この中間体は、炭素-炭素結合を形成でき、炭素含量がその後の高温処理工程で増加するように、熱可塑性且つ熱反応性であることが必要である。具体的には、炭素繊維前駆体は、製造プロセスの安定化工程において熱反応性であることが必要である。安定化の目的は、熱可塑性前駆体繊維熱硬化性に変えることである。さもなければ、前駆体繊維が、炭素化の間に高温に付された際、溶融するからである。溶融押出をするためには、リグニンが、そのガラス転移温度より上で且つその分解温度より下の一定温度範囲内で溶融可能であることが必要である。即ち、リグニンは熱可塑性でなければならない。針葉樹リグニンは広葉樹リグニンより熱反応性が高いが、針葉樹リグニンは溶融押出がより困難であることが分かっており、その理由は、針葉樹リグニンは架橋の割合が高いためと考えられる。針葉樹リグニンの溶融紡糸を容易にするために、リグニンを変性すること、及び/又は可塑剤を添加することが必要である。米国特許第20080317661号では、針葉樹リグニンが完全にアセチル化され、溶融押出されてリグニン繊維になる。 WO / EP第2010/ 050185号では、リグニン誘導体が開示されており、ここでは、リグニンの遊離ヒドロキシ基は、一価酸無水物と共に、二価酸塩化物等を使用して、完全に誘導体化された。得られたリグニン誘導体は、熱可塑性であり、紡糸してフィラメントにできる。しかし、遊離ヒドロキシ基が無い場合、リグニン誘導体の熱反応性は低くなる。国際公開第2012/038259号パンフレットには、炭素繊維を製造するために針葉樹リグニンを溶融可能にする方法が開示されている。この方法は、溶媒抽出されたリグニン分画を使用し、その分画を高温で脱気することに基づいている。針葉樹リグニンから得られる炭素繊維に関する例は挙げられていない。更に、この技術は、抽出率が低い(通常、25%)ため、コストが高くなり、溶媒回収装置のための資本支出が多くなる。分画された広葉樹リグニンは、その後に炭素繊維を製造するための、針葉樹リグニンに対する可塑剤として説明されている(YlvaNorstromら、Nordic Wood Biorefinery Conference 、2011年、ストックホルム)。この技術の欠点は、高額な資本支出となる2つの資本集約型リグニン抽出プラント(針葉樹のためのプラントと広葉樹のためのプラント)が必要なことである。

従って、再生可能であり、製造のためのコスト効率が高く、そして、その後の利用及び処理に容易に使用可能な熱反応性熱可塑性中間体生成物が必要である。

概要

本開示は、成形体の形態の熱反応性熱可塑性中間体生成物に関し、該中間体が組成物を含み、該組成物が精製された又は任意に未精製の針葉樹リグニン及び少なくとも第1添加剤を含む。

目的

即ち、リグニンは、コスト効率の高い原料であること、再生可能であること、そして、パルプ工場から出る工業上の黒液中に多量に存在することである

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

成形体の形態の熱反応性熱可塑性中間体生成物であって、該中間体組成物を含み、該組成物が精製された針葉樹軟材リグニン及び少なくとも添加剤を含む、上記中間体生成物。

請求項2

成形体の形態の熱反応性熱可塑性中間体生成物であって、該中間体が組成物を含み、該組成物が未精製の針葉樹リグニン及び少なくとも1種の添加剤を含む、上記中間体生成物。

請求項3

前記組成物における少なくとも第1又は1種の添加剤がリグニン溶媒である、請求項1又は2記載の中間体生成物。

請求項4

前記リグニン溶媒が、ジメチルホルムアミドDMF)又はジメチルアセトアミドDMAc)等の脂肪族アミドN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)等の第三級アミンオキシド、ジメチルスルホキシドDMSO)、エチレングリコールジエチレングリコール、等の非プロトン性極性溶媒;又は、イオン液体;又は該溶媒及び液体のいずれかの組合せである、請求項3記載の中間体生成物。

請求項5

前記リグニン溶媒が、150〜20.000g/molの分子量を有する低分子量ポリエチレングリコール(PEG)等の非プロトン性極性溶媒である、請求項4記載の中間体生成物。

請求項6

前記組成物が、少なくとも第2添加剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の中間体生成物。

請求項7

前記組成物が、第3添加剤を更に含む、請求項6記載の中間体生成物。

請求項8

前記第2又は第3添加剤が、反応性ブロッキング剤である、請求項6又は7記載の中間体生成物。

請求項9

前記第2又は第3添加剤が、配向剤である、請求項6又は7記載の中間体生成物。

請求項10

前記第2添加剤が反応性ブロッキング剤であり、前記第3添加剤が配向剤である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の中間体生成物。

請求項11

前記精製された針葉樹リグニンに存在する遊離ヒドロキシ基のうち、少なくとも1%、好ましくは少なくとも50%、及び最も好ましくは少なくとも95%が影響を受けないまま残存する、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の中間体生成物。

請求項12

前記生成物が、再溶融可能である、請求項1〜11のうちいずれか一項に記載の中間体生成物。

請求項13

精製された針葉樹リグニンを乾燥粉末として供給する工程;少なくとも第1添加剤を該針葉樹リグニンに、該針葉樹リグニンが実質的に固体状態のまま残存するように添加する工程;を含む、熱反応性である熱可塑性中間体生成物を製造する方法であって、該第1添加剤が、該リグニンの構造を開裂できるリグニン溶媒である、上記製造方法。

請求項14

未精製の針葉樹リグニンを乾燥粉末として供給する工程;少なくとも第1添加剤を該針葉樹リグニンに、該針葉樹リグニンが実質的に固体状態のまま残存するように添加する工程;を含む、熱反応性である熱可塑性中間体生成物を製造する方法であって、該第1添加剤が、該リグニンの構造を開裂できるリグニン溶媒である、上記製造方法。

請求項15

前記リグニン溶媒が、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド(DMAc)等の脂肪族アミド、N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)等の第三級アミンオキシド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、等の非プロトン性極性溶媒;又は、イオン液体;又は該溶媒及び液体のいずれかの組合せである、請求項13又は14記載の製造方法。

請求項16

前記リグニン溶媒が、分子量150〜20.000g/molを有する低分子量ポリエチレングリコール(PEG)等の非プロトン性極性溶媒である、請求項15記載の製造方法。

請求項17

少なくとも第2添加剤を添加する工程を更に含む、請求項13〜16のうちいずれか一項に記載の製造方法。

請求項18

少なくとも第3添加剤を添加する工程を更に含む、請求項13〜17のうちいずれか一項に記載の製造方法。

請求項19

前記第2又は第3添加剤が反応性ブロッキング剤である、請求項17又は18記載の製造方法。

請求項20

前記第2又は第3添加剤が配向剤である、請求項17又は18記載の製造方法。

請求項21

前記第2添加剤が前記反応性ブロッキング剤であり、且つ、前記第3添加剤が前記配向剤である、請求項17〜20のうちいずれか一項に記載の製造方法。

請求項22

前記第2添加剤が、前記第1添加剤の添加からある処置期間後に添加される、請求項17〜21のうちいずれか一項に記載の製造方法。

請求項23

前記反応性ブロッキング剤が、インサイツ(in−situ)でリグニンと溶融押出の間に反応可能である、請求項17〜22のうちいずれか一項に記載の製造方法。

請求項24

請求項13〜23のうちいずれか一項に記載の方法により得ることができる、熱反応性熱可塑性中間体生成物。

請求項25

炭素製品を形成するための、請求項1〜12又は24記載の前記熱反応性熱可塑性中間体生成物の使用。

請求項26

前記炭素製品が炭素繊維である、請求項25記載の使用。

請求項27

前記炭素製品が炭素又は黒鉛電極である、請求項25記載の使用。

技術分野

0001

本明細書は、熱反応性熱可塑性中間体生成物に関する。特に、本開示は、精製された又は任意に未精製の針葉樹軟材リグニン及び少なくとも第1添加剤を含有する組成物から生成される中間体生成物に関する。本明細書は更に、前記中間体の製造方法及び当該中間体の使用に関する。

背景技術

0002

世界的な炭素市場規模は今や約420億ユーロである。アルミニウム生産用炭素電極は190億ユーロを占め、電気炉用の黒鉛電極は60億ユーロを占め、炭素繊維は約10億ユーロを占める。他の主要な炭素製品には、カーボンブラック(110億ユーロ)及び活性炭(20億ユーロ)が含まれる。炭素及び黒鉛電極並びに炭素繊維の製造には、油系原料及びエネルギー集約型製造プロセスを使用するため、コストがかかり、二酸化炭素フットプリントが多くなる。炭素及び黒鉛電極は、約1000℃で約2週間炭素化処理される、所謂「生電極」(か焼コークスからなる)から作られる。黒鉛電極を製造する場合には、炭素化工程の後に、3000℃での黒鉛化工程がある。炭素及び黒鉛電極は、高い電気伝導率、即ち低い抵抗率であることが必要である。市販の黒鉛電極の抵抗率は約500μΩcm(www.sglgroup.com)である。炭素繊維に関しては、その価格が高いので、特に、自動車船舶風力エネルギー、及び建設の分野等の大量市場域での使用に対する、市場への更なる浸透が大いに妨げられている。炭素繊維の生産は、高価な原料(ポリアクリロニトリル、PAN)及びエネルギー集約型製造プロセスを使用するため、コストがかかるプロセスである。

0003

リグニンは、入手可能性が高いと見込まれること、炭素含量が高い(> 60%)こと、そして、製造コストがより低いと予想されることから、炭素電極、黒鉛電極、及び炭素繊維に対する代替的な原料になり得る。更に、リグニンは再生可能な材料である。

0004

化学パルプ化の間に、セルロース繊維は、紙、厚紙、及びティッシュペーパー製品へ向けて更に処理するため、針葉樹(軟材)、広葉樹硬材)、及び一年生植物バイオマスから分離される。クラフトパルプ化は、主要な化学パルプ化プロセスである。他のプロセスには、ソーダパルプ化、亜硫酸パルプ化及び有機溶剤蒸解法(organosolv process)が含まれる。アルカリパルプ化(即ち、クラフトパルプ化及びソーダパルプ化)では、多量のリグニンが、黒液として知られるアルカリ性パルプ化液(これは、使用済蒸解液、可溶性木本リグニン、炭水化物及び有機酸を含有する高アルカリ性複合混合物である。)中に溶解する。その後、リグニンは、更に処理されて、一部を蒸発させた黒液の燃焼により得られるエネルギーにされるか、その代わりに、酸を添加して得られる固体形態で単離される。その後、単離されたリグニンは、バイオ燃料として、又は炭素繊維等の材料又は化学物質の原料として使用され得る。リグニンを、炭素及び黒鉛電極、並びに炭素繊維の原料として使用することについては、幾つかの利点がある。即ち、リグニンは、コスト効率の高い原料であること、再生可能であること、そして、パルプ工場から出る工業上の黒液中に多量に存在することである。

0005

リグニンから炭素電極、黒鉛電極、及び炭素繊維を製造するためには、リグニンが、溶融押出等により、中間体生成物(それぞれ生電極又は繊維前駆体)に成形できることが必要である。この中間体は、炭素-炭素結合を形成でき、炭素含量がその後の高温処理工程で増加するように、熱可塑性且つ熱反応性であることが必要である。具体的には、炭素繊維前駆体は、製造プロセスの安定化工程において熱反応性であることが必要である。安定化の目的は、熱可塑性前駆体繊維熱硬化性に変えることである。さもなければ、前駆体繊維が、炭素化の間に高温に付された際、溶融するからである。溶融押出をするためには、リグニンが、そのガラス転移温度より上で且つその分解温度より下の一定温度範囲内で溶融可能であることが必要である。即ち、リグニンは熱可塑性でなければならない。針葉樹リグニンは広葉樹リグニンより熱反応性が高いが、針葉樹リグニンは溶融押出がより困難であることが分かっており、その理由は、針葉樹リグニンは架橋の割合が高いためと考えられる。針葉樹リグニンの溶融紡糸を容易にするために、リグニンを変性すること、及び/又は可塑剤を添加することが必要である。米国特許第20080317661号では、針葉樹リグニンが完全にアセチル化され、溶融押出されてリグニン繊維になる。 WO / EP第2010/ 050185号では、リグニン誘導体が開示されており、ここでは、リグニンの遊離ヒドロキシ基は、一価酸無水物と共に、二価酸塩化物等を使用して、完全に誘導体化された。得られたリグニン誘導体は、熱可塑性であり、紡糸してフィラメントにできる。しかし、遊離ヒドロキシ基が無い場合、リグニン誘導体の熱反応性は低くなる。国際公開第2012/038259号パンフレットには、炭素繊維を製造するために針葉樹リグニンを溶融可能にする方法が開示されている。この方法は、溶媒抽出されたリグニン分画を使用し、その分画を高温で脱気することに基づいている。針葉樹リグニンから得られる炭素繊維に関する例は挙げられていない。更に、この技術は、抽出率が低い(通常、25%)ため、コストが高くなり、溶媒回収装置のための資本支出が多くなる。分画された広葉樹リグニンは、その後に炭素繊維を製造するための、針葉樹リグニンに対する可塑剤として説明されている(YlvaNorstromら、Nordic Wood Biorefinery Conference 、2011年、ストックホルム)。この技術の欠点は、高額な資本支出となる2つの資本集約型リグニン抽出プラント(針葉樹のためのプラントと広葉樹のためのプラント)が必要なことである。

0006

従って、再生可能であり、製造のためのコスト効率が高く、そして、その後の利用及び処理に容易に使用可能な熱反応性熱可塑性中間体生成物が必要である。

0007

本開示の目的は、先行技術による生成物の少なくとも幾つかの欠点を無くすか又は軽減する、精製された又は任意に未精製のリグニンから得られる、改良された又は代替的な熱反応性熱可塑性中間体生成物を提供することである。

0008

針葉樹リグニンから、その後の処理に使用できるより有用な中間体が得られるという理解に基づいて、炭素電極、黒鉛電極又は炭素繊維等の炭素製品へ転化するための熱反応性熱可塑性中間体を提供する。

0009

より具体的な目的には、前記熱反応性熱可塑性中間体を製造するための、針葉樹リグニンを含む組成物を提供することが含まれる。

0010

本発明は、添付の独立クレームによって規定される。実施態様は、添付の従属クレーム並びに以下の説明及び図面において説明される。

0011

第1の観点から、成形体の形態の熱反応性熱可塑性中間体生成物であって、前記中間体が組成物を含み、前記組成物が精製された針葉樹リグニン及び少なくとも第1添加剤を含む中間体生成物を提供する。

0012

「精製された」は、リグニン又はこれに対応する黒液(例えばアルカリパルプ化プロセスから得られる)が、濾過により粒子を除去され、洗浄により無機物含量を低減されたことを意味する。一実施態様では、黒液を、50kDaのカットオフ値を有する膜フィルターを用いて濾過した。膜濾過は、コスト効率が高い方法で工業的規模にて行うことができ、更に、この方法は、溶媒を過剰に使用する必要がないという点で、環境に優しい。

0013

第2の観点から、成形体の形態の熱反応性熱可塑性中間体生成物であって、前記中間体が組成物を含み、前記組成物が未精製の針葉樹リグニン及び少なくとも第1添加剤を含む中間体生成物を提供する。

0014

「炭素製品」は、例えば、炭素電極、黒鉛電極及び炭素繊維を意味する。
「成形体」は、繊維前駆体又は生電極又はペレット等の溶融押出された溶融押出体を意味するが、これらに限定されない。
「熱可塑性中間体」は、中間体が溶融可能であり、これにより、溶融押出、射出成形等の技術により、更に処理して新たな成形体を形成可能であることを意味する。

0015

「熱反応性」は、中間体のリグニン構造に、遊離ヒドロキシ基等の反応性部位がなお含まれていることにより、更に処理して、例えば、炭素繊維製造のための安定化前駆体繊維にすることができ、又は更に炭素化して、炭素電極又は黒鉛電極を形成することができる中間体生成物を提供できることを意味する。

0016

更に、組成物の粘度は、リグニンに混合される添加剤の量を制御することによって制御できる。

0017

従って、この中間体生成物は、過剰量の溶媒を使用する溶媒押出とは対照的に、溶融押出を用いてコスト効率の高い方法で製造される点、及び熱反応性が高いのでコスト効率が高い方法で炭素製品に転化できる点の両方で、コスト効率が高い製品である。針葉樹リグニンを使用することにより、再生可能であり、且つ、炭素電極、黒鉛電極又は炭素繊維等の炭素製品の原料として使用するのに環境的に優しい材料を更に提供する。中間体生成物は、熱反応性であるので、種々のタイプの熱的プロセス等のその後のプロセスにおいて処理できる中間体材料を更に提供し、当該中間体生成物は、炭素又は黒鉛電極へ又は炭素繊維の製造において安定化された繊維へと変化する。これは、安定化前駆体フィラメントを、中間体生成物から形成でき、今度はこの安定化前駆体フィラメントが高反応性であり、且つ容易に炭素化して炭素繊維にし得ることを意味する。

0018

上記実施態様によると、組成物中の添加剤により、前記組成物のレオロジー特性を変化させることができる。当業者は、種々の量で添加することにより、種々の程度で粘度に影響を与え、従って、中間体生成物の使用目的に応じて粘度を調整できることを理解するであろう。

0019

第1及び第2の観点の一実施態様によると、前記組成物中の少なくとも第1添加剤は、リグニン溶媒であり得る。
「リグニン溶媒」は、リグニンの構造が開裂して他の添加剤がそのリグニンの構造と反応又は相互作用できるように、ファンデルワールス結合及び水素結合等の分子間又は分子内結合を切断できる溶媒を意味する。

0020

リグニン溶媒を添加することにより、組成物の加工性、及びそれによる流動性、及び従って粘度をも変化させる方法を提供する。リグニン溶媒の添加により、元のリグニンと比較してこのブレンド物ガラス転移点が下がる。リグニン溶媒は、好ましくは針葉樹リグニンの重量割合に対応する量で添加される。従って、リグニン溶媒は、リグニンを溶解させる目的で添加されるのではなく、単に分子構造が部分的に開裂する程度に添加される。針葉樹リグニンは、例えば、粉末であってもよく、よって、リグニン溶媒は、リグニンが固体状態のまま残存するような少ない量で添加されてもよい。実際に、リグニンを溶解するように過剰量の溶媒を必要とする溶媒紡糸とは反対に、例えば溶融紡糸により組成物を押出できるようにリグニン溶媒を添加した組成物が得られる。

0021

このように、少量の溶媒を添加する本方法により、溶融押出により成形体にできる組成物を提供する。驚くべきことに、少量の溶媒を添加することにより、針葉樹リグニンの溶融押出は可能であったが、同様の溶媒における溶媒紡糸は、可能であっても、非常に困難である。

0022

リグニン溶媒は、非プロトン性極性溶媒、例えばジメチルホルムアミドDMF)又はジメチルアセトアミドDMAc)等の脂肪族アミドN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)等の第三級アミンオキシド、ジメチルスルホキシドDMSO)、エチレングリコールジエチレングリコール、分子量150〜20.000g/molを有する低分子量ポリエチレングリコール(PEG);又はイオン液体;又は前記溶媒及び液体のいずれかの組合せであってもよい。

0023

別の実施態様によると、前記組成物は更に、少なくとも第2添加剤を含む。
更に別の実施態様によると、前記組成物は更に第3添加剤を含むことができる。
第2又は第3添加剤は、反応性ブロッキング剤であり得る。

0024

「反応性ブロッキング剤」は、溶融押出の間にリグニン分子ヒドロキシ基共有結合を形成でき、且つファンデルワールス結合及び水素結合等のリグニン巨大分子における強い分子間及び分子内力ブロックできる薬剤を意味する。これにより、押出機において組成物の加工性、これにより流動性及び従って更に粘度を調整できる。しかし、この薬剤は、中間体生成物の熱反応性が維持されるように、遊離ヒドロキシ基がリグニン分子中に残存する程度に添加されるのが好ましい。

0025

第2又は第3添加剤は、配向剤であり得る。
「配向剤」は、針葉樹リグニンと混和でき、繊維方向である主たる方向に沿ってより配列するようにリグニン巨大分子と相互作用でき、押出及び紡糸プロセスの間に溶融組成物変形挙動を非常に高める薬剤を意味する。

0026

第1の観点の一実施態様によると、第2添加剤は、反応性ブロッキング試薬であり得、第3添加剤は、配向剤であり得る。この実施態様によると、反応性且つブロッキング剤は、配向添加剤の前に添加される。

0027

別の態様によると、分画された針葉樹リグニン中に存在する遊離ヒドロキシ基のうち少なくとも1%、好ましくは少なくとも50%、及び最も好ましくは少なくとも95%の遊離ヒドロキシ基が影響を受けないまま残存する。
リグニン中に影響を受けない遊離ヒドロキシ基が多く存在することにより、熱反応性を有する中間体を提供できる。
第1の観点の一実施態様によると、前記生成物は再溶融性を有する。

0028

第3の観点に従って、精製された針葉樹リグニンを乾燥粉末として供給する工程;少なくとも第1添加剤を前記針葉樹リグニンに、前記針葉樹リグニンが実質的に固体状態のまま残存するように添加する工程;を含む、熱反応性である熱可塑性中間体生成物を製造する方法であって、前記第1添加剤が、前記リグニンの構造を開裂できるリグニン溶媒である、上記製造方法を提供する。第4の観点に従って、未精製の針葉樹リグニンを乾燥粉末として供給する工程;少なくとも第1添加剤を前記針葉樹リグニンに、前記針葉樹リグニンが実質的に固体状態のまま残存するように添加する工程;を含む、熱反応性である熱可塑性中間体生成物を製造する方法であって、前記第1添加剤が、前記リグニンの構造を開裂できるリグニン溶媒である、上記製造方法を提供する。

0029

「実質的に固体状態のまま残存する」は、リグニン溶媒は、リグニンを溶解するための過剰量では添加されないことを意味する。
「リグニン構造を開裂できる」は、リグニン溶媒が、組成物の粘度を減少させ、他の添加剤がリグニン分子と相互作用又は反応できるように、リグニンの構造を僅かに開裂できることを意味する。リグニン溶媒を添加することにより、炭素又は黒鉛電極のための生電極又は炭素繊維のための繊維前駆体を製造する等、溶融押出により、それ自体で部材に成形できる組成物を更に提供する。驚くべきことに、少量の溶媒の添加により、溶融押出は改善されるが、同様の溶媒における溶媒紡糸は、たとえ可能であっても、非常に困難である。

0030

一実施態様によると、熱可塑性組成物から繊維前駆体を成形するための処理温度は、好ましくは、250℃未満、より好ましくは200℃未満に維持される。これより高温では、針葉樹リグニンが架橋し始めるためである。これに対応する処理時間は、好ましくは、30分未満に維持される。

0031

本実施態様によると、リグニン溶媒は、このように、リグニン構造は開裂するが、リグニンが溶媒に溶解しないように添加される。
リグニン溶媒は、非プロトン性極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド(DMAc)等の脂肪族アミド、N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)等の第三級アミンオキシド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、分子量150〜20.000g/molを有する低分子量ポリエチレングリコール(PEG);又はイオン液体;又は前記溶媒及び液体のいずれかの組合せであり得る。

0032

第2の観点の一実施態様によると、本方法は更に、少なくとも第2添加剤を添加する工程を含み得る。
更に別の実施態様によると、本方法は少なくとも第3添加剤を添加する工程を含み得る。
第2又は第3添加剤は、反応性ブロッキング剤又は配向剤であり得る。
従って、反応性ブロッキング剤又は配向添加剤の形態における第2(第3)添加剤は、組成物を溶融押出等のその後の処理に付することを意図する場合、この添加剤はこれらのタイプの目的及びプロセスのための中間体の製造におけるレオロジー特性を改善するので、熱可塑性組成物に添加されると好ましい。

0033

第2添加剤は、前記反応性ブロッキング剤であり得、及び第3添加剤は、前記配向剤である得る。
本実施態様によると、反応性ブロッキング剤は、このように、配向剤の前に添加される。
第2の観点の一実施態様によると、第1、第2及び第3添加剤は、インサイツ(in−situ)で押出機等の既存の装置に添加することができる。これは、本方法は、既存の生産において、いかなる変更もすることなく実施できることを意味する。これにより、更にコスト効率の高い方法が提供される。

0034

一実施態様によると、前記第2添加剤は、前記第1添加剤の添加からある処理期間後に添加される。従って、この実施態様では、第2添加剤を添加する前にリグニン構造が僅かに緩むか又は開裂し、粘度が目標値まで低下するように、第1添加剤、即ち、リグニン溶媒がリグニンの構造と相互作用することができる。

0035

一実施態様によると、反応性ブロッキング剤は、インサイツでリグニンと溶融押出の間に反応し得る。
第5の観点に従って、第3又は第4の観点に係る方法により得ることができる熱反応性熱可塑性中間体生成物を提供する。

0036

第6の観点に従って、炭素製品を形成するため、第1、第2及び第5の観点に係る熱反応性熱可塑性中間体生成物の使用を提供する。
炭素製品は、炭素繊維であり得る。
このような繊維は、安定化及び炭素化等の従来の方法によって後に処理し得る。
別の一実施態様によると、炭素製品は炭素又は黒鉛電極であり得る。

図面の簡単な説明

0037

本発明の課題解決のための実施態様を、添付の模式図を参照して例により説明する。
は、針葉樹リグニン及び無水マレイン酸等の無水物との間の反応を示す。
は、例1のリグニン及び例7のリグニン繊維のFTIRスペクトルをそれぞれ示す。

0038

一実施態様に従って、熱可塑性熱反応性中間体生成物の製造方法を提供する。この方法では、精製された又は任意に未精製の針葉樹リグニンは、乾燥粉末として提供され、これは、リグニン中の水分含量が10重量%未満であることを意味する。この方法では、第1添加剤は、乾燥粉末リグニンに添加される。添加剤の量は、添加剤が乾燥粉末リグニンを溶解せず、乾燥粉末リグニンを実質的に固体の状態のまま残存させる量で行われる。

0039

別の一実施態様に従って、熱可塑性熱反応性中間体生成物の製造方法を提供する。この方法では、未精製の針葉樹リグニンは乾燥粉末として提供され、これは、リグニン中の水分含量が10重量%未満であることを意味する。この方法では、第1添加剤は、乾燥粉末リグニンに添加される。添加剤の量は、添加剤が乾燥粉末リグニンを溶解せず、実質的に固体の状態のまま残存させる量でなされる。

0040

一実施態様によると、第1添加剤は、乾燥粉末リグニンの1〜20重量%の量で添加し得る。
第1添加剤は、リグニン構造を開裂できるリグニン溶媒であり得る。
このようなリグニン溶媒の例としては、非プロトン性極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド(DMAc)等の脂肪族アミド、N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)等の第三級アミンオキシド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、分子量150〜20.000g/molを有する低分子量ポリエチレングリコール(PEG);又はイオン液体;又は前記溶媒及び液体のいずれかの組合せが挙げられる。

0041

別の一実施態様によると、リグニンは、50%の水と、50%の、水より高い沸点を有する水溶性のリグニン溶媒を含む溶液含浸される。8部のリグニンを、2部の前記溶液に添加し得る。リグニンを依然として未溶解状態のままで含む混合物を、凍結乾燥又は風乾により、穏やかに水を除去し、その結果、溶媒含浸リグニンを得る。この方法により、溶媒はリグニン中に均一に分配される。

0042

この方法では更に、第2若しくは第3添加剤、又は第2及び第3添加剤の両方を添加することが提供される。第2又は第3添加剤は、反応性ブロッキング剤又は配向剤のいずれであってもよい。これは、リグニン溶媒の添加後、反応性ブロッキング剤又は配向剤のいずれを添加してもよいことを意味する。別の実施態様では、反応性ブロッキング剤と配向剤の両方を添加してもよく、そしていかなる順番で添加してもよい。しかし、好ましい実施態様では、反応性ブロッキング剤を、配向添加剤の前に添加する。

0043

一実施態様では、反応性ブロッキング剤は、無水フタル酸等の無水物であり得る。別の実施態様では、無水物は無水マレイン酸である。驚くべきことに、反応性ブロッキング剤は、インサイツでリグニンと押出プロセスの間に反応する。即ち、紡糸プロセスは、実際、反応性紡糸プロセスである。驚くべきことに、中間体は、再溶融し、前駆体繊維等の新たな成形体を形成できる。これは、実際、中間体が熱可塑性中間体であることを示す。

0044

図1に、リグニンと無水物との間の反応を示す。無水マレイン酸を用いるフェノール性ヒドロキシ基オキシアルキル化により、フェノール性及び脂肪族性ヒドロキシ基の数が減少し、カルボキシ性ヒドロキシ基が増加する。
一実施態様によると、配向剤は、20.000g/molより大きい分子量を有する高分子量ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。別の実施態様によると、このような配向剤は、ポリエチレンオキシド(PEO)であり得る。配向剤を添加するのは、リグニン分子が分子嵩の低い非線形高分子であり、そのため紡糸の間に配向(conformity)させるのが困難になり、その結果、溶融紡糸が困難になるという知見に基づく。配向剤との相互作用によって、紡糸性能は高まる。

0045

一実施態様によると、第2添加剤は、ある処理期間の後に添加されるが、その処理期間とは、後に添加される添加剤がリグニン分子と容易に相互作用及び/又は反応できるように、リグニン溶媒がリグニン構造と相互作用して、リグニン構造を開裂するための期間である。その処理期間の長さは、使用される押出装置次第であり、例えば、スクリューセグメントの形状、スクリュー回転速度、及び添加ポイントを変更すること等、当業者が知っている幾つかの方法で調節することができる。処理期間は、好ましくは、押出の間にリグニンが架橋することを防止するように最適化される。

0046

上述の方法により熱反応性熱可塑性中間体生成物が成形体の形態で提供される。中間体生成物は、炭素製品を形成又は製造するために使用することができる。ここで、前記中間体は、精製された針葉樹リグニンを含み、そして、前記中間体は前記精製された針葉樹リグニン及び少なくとも第1添加剤を含有する組成物から製造される。

0047

熱反応性熱可塑性中間体生成物は、炭素繊維製造法等の炭素製品形成のための既知の方法により、引続いて処理することができる。更に、このような方法は、以下の例において説明され、このような方法には、組成物を溶融紡糸して炭素繊維にする工程、前記繊維を安定化する工程、及び最終的に前記繊維を炭素化する工程を含み、これらは当業者には既知である。

0048

上記方法により得られる中間体生成物は、中間体のリグニン構造が依然として遊離ヒドロキシ基等の反応性部位を含んだままであることを意味する「熱反応性」を有するので、熱処理に特に適している。これらの遊離ヒドロキシ基によって、例えば、炭素繊維製造のための安定化前駆体繊維等へ更に処理でき、又は、炭素若しくは黒鉛電極を形成するために更に炭素化することができる中間体生成物が提供される。

0049

本発明の各観点の好ましい特徴に必要な変更を加えることにより、他の態様の各々に当て嵌められる。本明細書で言及した先行技術文献を、法律により許容される最大限の範囲で取り込む。本発明を、以下の例において更に説明するが、それらの例によって、いかなる点においても本発明の範囲は制限されない。記載された本発明の実施態様は、実施態様における例により、より詳細に説明されるが、その目的は、発明を説明することのみであり、如何なる点においても、発明の範囲を限定する意図はない。

0050

以下に、本発明を限定することのない例を説明する。
例1
工業上の黒液を、50kDaのカットオフ値を有するセラミック膜を使用して濾過した。その後、その透過分画を使用して、二酸化炭素により酸性化し、リグニンを沈殿させた。固体の粗リグニンを、希硫酸で2回洗浄し、乾燥させて95%の乾燥固体を得た。2回の洗浄により、灰分は、乾燥リグニンの0.42重量%から0.08重量%に減少した。

0051

例2
工業上の黒液を使用して、二酸化炭素により酸性化し、リグニンを沈殿させた。固体の粗リグニンを、希硫酸で2回洗浄し、乾燥させて95%の乾燥固体を得た。

0052

例3
例1で得た精製針葉樹リグニンを、フィラメントを製造するために、二軸スクリュー小型押出機(DSMXplore micro−compounder)に供給した。温度は、スクリューにおいて180℃、ノズル出口において200℃であった。溶融物の粘度が高すぎるため、フィラメントを紡糸することができなかった。

0053

例4
例1で得た精製針葉樹リグニンを、4%のジメチルスルホキシド(DMSO)と混合し、この混合物を、180℃で50m/minの最大巻取速度にて溶融紡糸した。例4から、少量のリグニン溶媒を添加することにより、それ自体では溶融押出できない針葉樹リグニンを溶融押出できることがわかる。得られたリグニン繊維(中間体生成物)を、空気中で安定化した。安定化された繊維についてガラス転移点は観察されず、安定化が完了したことがわかる。この安定化繊維を、窒素雰囲気中で炭素化して炭素繊維にした。

0054

例5
例1で得た精製針葉樹リグニンを、10%のジメチルスルホキシド(DMSO)と混合し、この混合物を、170℃のスクリュー温度、180℃のノズル出口温度、200m/minの最大巻取速度で溶融紡糸した。この巻取速度は、使用した装置の最大巻取速度である。この溶融物の粘度は、例4の場合よりも低かった。例5から、リグニン溶媒をより多く添加することにより、粘度が低下し、紡糸速度が改善されることがわかる。得られたリグニン繊維(中間体生成物)を安定化し、炭素化して炭素繊維にした。

0055

例6
例1で得た精製針葉樹リグニンを、5%のジメチルスルホキシド(DMSO)と混合し、その後10%の無水マレイン酸(MAA)、即ち反応性ブロッキング剤と混合した。得られた混合物を、180℃のスクリュー温度、190℃のノズル出口温度、及び80m/minの最大巻取速度で溶融紡糸した。生産されたリグニン繊維(中間体生成物)は容易に延伸可能であった。例6から、MAAが、紡糸性能及び繊維の延伸性を改善することがわかる。

0056

例7
例1で得た精製針葉樹リグニンを、7%のジメチルスルホキシド(DMSO)と混合し、続いて7%の無水フタル酸(PAA)と混合した。得られた混合物を、180℃のスクリュー温度、190℃のノズル出口温度、及び200m/minの最大巻取速度で溶融紡糸した。例7から、PAAが紡糸性能を改善することがわかる。得られたリグニン繊維(中間体生成物)を安定化し、炭素化して炭素繊維にした。

0057

例8a、8b及び8c
以下の実験は、オキシアルキル化が、溶融押出機に存する条件下でリグニンと無水物との間で生じ得るかどうかを確認するために行った。
例8a
例1で得た乾燥精製針葉樹リグニンを、DMSOに、0.25g/リットルの濃度で溶解した。この混合物に、無水マレイン酸を、リグニン乾燥重量の7%となる量で添加した。この混合容器窒素飽和し、蓋をして、180℃に過熱し、5分間、反応させた。
反応終了後、リグニンを、脱イオン水中で沈殿させ、濾過し、充分に洗浄し、80℃で一晩、真空乾燥した。オキシアルキル化リグニンを、31 P−NMRを用いて分析した。脂肪族ヒドロキシ基は、1.9mmol/gから1.2mmol/gに減少し、カルボキシ性ヒドロキシ基は0.4mmol/gから0.7mmol/gに増加した。これらの変化は有意であり、この変化から、実際に、無水マレイン酸が、溶融押出機に存する温度および反応時間で、針葉樹リグニンと反応することがわかる。

0058

例8b
例1で得た乾燥精製針葉樹リグニンを、例8aに記載の手順と同様の手順に従って、無水フタル酸を用いて処理した。 31 P−NMRから、脂肪族ヒドロキシ基が1.9mmol/gから1.4mmol/gに減少し、カルボキシ性ヒドロキシ基が0.4mmol/gから0.8mmol/gに増加したことがわかる。これらの変化は有意であり、この変化から、実際に、無水フタル酸が、溶融押出機に存する温度および反応時間で、針葉樹リグニンと反応することがわかる。

0059

例8c
例1で得たリグニン及び例7で得たリグニン繊維を、FTIRを使用して分析し、結果を図2に示した。リグニン及びリグニン繊維は共に、3677〜3042 cm−1に有意な吸収を示し、これは、芳香族及び脂肪族ヒドロキシ基の伸縮振動に対応する。この区間内のリグニン繊維のピーク面積は、リグニンのピーク面積よりも15%だけ小さく、これより、ヒドロキシ基の85%が、押出後にも無傷のまま残存することがわかる。このことから、リグニン繊維は、依然として熱反応性であること、即ち、中間体生成物が実際に反応性中間体生成物であることが証明される。リグニン繊維の場合、カルボニル基の伸縮振動に対応する1750〜1650 cm−1で吸収がより高く、これは、リグニンが無水フタル酸と反応して、カルボキシ基が導入されたためである。

0060

例9
例1で得た精製針葉樹リグニンを、5%のジメチルスルホキシド(DMSO)と混合し、続いて7%の無水フタル酸と混合した。得られた混合物を、180℃のスクリュー温度、190℃のノズル出口温度、及び100rpmの最大巻取速度にて溶融紡糸した。得られたリグニン繊維を、粉砕して粉末にし、この粉末を溶融押出機に供給した。フィラメントを、180℃のスクリュー温度、190℃のノズル出口温度、及び200rpmの最大巻取速度で紡糸することができた。例9及び10から、中間体生成物が、実際に熱反応性且つ熱可塑性中間体生成物であることが明確にわかる。

0061

例10
例1で得た精製針葉樹リグニンを、5%のジメチルスルホキシド(DMSO)と混合し、続いて10%のポリエチレンオキシド即ち配向剤と混合した。得られた混合物を、180℃のスクリュー温度、190℃のノズル出口温度、及び200rpmの最大巻取速度で溶融紡糸した。例10から、配向剤により紡糸性能が改善されることがわかる。

0062

例11
例2で得た針葉樹リグニンを、10%のPEG(平均分子量400)と混合した。得られた混合物を、180℃のスクリュー温度、190℃のノズル出口温度、及び200rpmの最大巻取速度で溶融紡糸した。例11から、未精製のリグニンを押出に使用できることがわかる。得られたリグニン繊維を安定化し、炭素化して炭素繊維にした。

0063

例12
例2で得た針葉樹リグニンを、10%のPEG(平均分子量400g/mol)と混合した。得られた混合物を、180℃のスクリュー温度及び190℃のノズル出口温度で、ドイツ、デュースブルグにあるBrabender GmbH & CO.KG社製のLab−CompounderKEDSE20/40”を用いて、複数のフィラメントに溶融紡糸した。紡糸口金孔数は62であり、孔径は0.8mmであった。得られたリグニン繊維を、ボビン最高巻取速度350 m/minで首尾よく巻取った。得られたフィラメントの直径は約35μmであった。

0064

例13
例11で得た炭素繊維の電気抵抗率を、LCRメータを用いて測定した。測定された抵抗率は0.6μΩ・cmであった。比較のため、市販の炭素繊維の抵抗率も測定したところ、1.6μΩ・cmの値であった。驚くべきことに、例11で得た炭素繊維の測定抵抗率は、市販の炭素繊維よりも低く、市販の黒鉛電極よりもかなり低かった(約500μΩ・cm、www.Sglggroup.com)。例13から、実際に、熱反応性熱可塑性中間体生成物に由来する炭素化生成物は、優れた電気伝導性を有し、炭素又は黒鉛電極として機能できることがわかる。

実施例

0065

図2は、例1で得たリグニン及び例6で得たリグニン繊維のFTIRスペクトルをそれぞれ示す。
本発明の様々の実施態様を上に説明したが、当業者には、これに小さい変更を加えられることがわかり、それは本発明の範囲内に入るであろう。
本発明の幅と範囲は、上記の代表的な実施態様のいずれによっても限定されるべきではなく、以下のクレーム及びその等価物と一致するようにのみ画されるべきである。例えば、上記方法及び組成物のいずれも、他の既知の方法及び組成物と組み合わせることができる。本発明の範囲内の、他の観点、利点及び変更は、発明が属する技術分野の当業者には明らかであろう。

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