図面 (/)

技術 トランスジェニック動物におけるヒト抗体産生のための複合染色体工学

出願人 エスエービー,エルエルシー
発明者 黒岩義巳松下裕昭佐野暁子
出願日 2013年8月5日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2015-525643
公開日 2016年2月12日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2016-504012
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 動物の育種及び生殖細胞操作による繁殖 微生物による化合物の製造
主要キーワード 分離パネル 選別プロセス I領域 カモシカ 生体組織片 信頼水準 ミクロセル スイッチ領域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年2月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、血清中の完全ヒトIgGが10g/Lを上回るほどの高産生で、かつヒトIgG1サブクラス優勢である、トランスジェニック動物によるヒト抗体の大規模産生に関する。本発明は、非マウス哺乳動物種における複雑な遺伝学的研究のための複合染色体工学実現可能性も支持する。

概要

背景

静脈内免疫グロブリン(IVIG)としても知られるヒト抗体は、特定抗原の免疫の有無を問わず献血されたヒト血漿から得られ、長年にわたり治療に使用されている。しかし、ヒト血漿由来のIVIGは、主に、チェックできていないヒト集団からの自発的な献血という性質により、かなりの課題および制限も伴う。特に、ヒトの免疫寛容により、癌細胞などのヒトから生じた抗原に対するヒト血漿由来のIVIGを確実に生成することは困難である。したがって、ヒト抗体を得るための改良されたシステムが必要とされている。

概要

本発明は、血清中の完全ヒトIgGが10g/Lを上回るほどの高産生で、かつヒトIgG1サブクラス優勢である、トランスジェニック動物によるヒト抗体の大規模産生に関する。本発明は、非マウス哺乳動物種における複雑な遺伝学的研究のための複合染色体工学実現可能性も支持する。なし

目的

本発明は、本発明の第1の態様の任意の実施形態または実施形態の組み合せに係るHAベクターを含むトランスジェニック有蹄動物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

(a)抗体重鎖をコードする各遺伝子が、クラススイッチ調節エレメント作動可能に連結されている1以上のヒト抗体重鎖と、(b)1以上のヒト抗体軽鎖と、(c)1以上のヒト抗体代替軽鎖、および/または有蹄動物由来するIgM重鎖定常領域と、をコードする遺伝子を含むヒト人工染色体HAC)ベクターであって、前記1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つのクラススイッチ調節エレメントが、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されているHACベクター。

請求項2

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgG抗体重鎖を含む、請求項1に記載のHAC。

請求項3

前記IgG重鎖がIgG1抗体重鎖を含む、請求項2に記載のHACベクター。

請求項4

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgA抗体重鎖を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項5

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgM抗体重鎖を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項6

前記1以上のヒト抗体重鎖が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgEおよびIgDヒト抗体重鎖を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項7

前記HACベクターが、有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子を含み、前記有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域が、ヒトIgM重鎖可変領域とのキメラとして発現する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項8

前記有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域が、ウシ由来のIgM重鎖定常領域である、請求項7に記載のHACベクター。

請求項9

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgG抗体重鎖を含み、前記ヒトIgG抗体重鎖定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞ドメインが、有蹄動物に由来するIgG抗体重鎖定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインで置換されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のHAC。

請求項10

前記ヒトIgG抗体重鎖がヒトIgG1抗体重鎖を含む、請求項9に記載のHACベクター。

請求項11

前記有蹄動物に由来するIgG抗体重鎖定常領域が、ウシ由来のIgG抗体重鎖定常領域を含む、請求項9〜10のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項12

前記有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントが、Iγ−Sγクラススイッチ調節エレメントを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項13

前記Iγ−Sγクラススイッチ調節エレメントがIγ1−Sγ1を含む、請求項12に記載のHACベクター。

請求項14

前記1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の各クラススイッチ調節エレメントが、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項15

前記有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントが、ウシ由来のクラススイッチ調節エレメントである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項16

前記HACベクターが、VpreB1、VpreB3およびλ5ヒト抗体代替軽鎖からなる群から選択されるヒト抗体代替軽鎖をコードする1以上の遺伝子を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項17

さらに、前記1以上のヒト抗体重鎖をコードする1以上の遺伝子と作動可能に連結されている有蹄動物に由来するエンハンサーを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のHACベクター。

請求項18

前記エンハンサーが3’Eαエンハンサーを含む、請求項17に記載のHACベクター。

請求項19

請求項1〜18のいずれかに記載のHACベクターを含むトランスジェニック有蹄動物

請求項20

前記トランスジェニック有蹄動物がトランスジェニックウシである、請求項19に記載のトランスジェニック有蹄動物。

請求項21

ゲノムに組み込まれ、(a)抗体重鎖をコードする各遺伝子が、クラススイッチ調節エレメントに作動可能に連結されている1以上のヒト抗体重鎖と、(b)1以上のヒト抗体軽鎖と、(c)1以上のヒト抗体代替軽鎖、および/または有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域と、をコードする遺伝子を含むトランスジェニック有蹄動物であって、前記1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つのクラススイッチ調節エレメントが、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されているトランスジェニック有蹄動物。

請求項22

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgG抗体重鎖を含む、請求項21に記載のトランスジェニック有蹄動物。

請求項23

前記IgG重鎖がIgG1抗体重鎖を含む、請求項22に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項24

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgA抗体重鎖を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項25

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgM抗体重鎖を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項26

前記1以上のヒト抗体重鎖が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgEおよびIgDヒト抗体重鎖を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項27

前記HACベクターが、有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子を含み、前記有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域が、ヒトIgM重鎖可変領域とのキメラとして発現する、請求項21〜26のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項28

前記有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域が、ウシ由来のIgM重鎖定常領域である、請求項27に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項29

前記1以上のヒト抗体重鎖がヒトIgG抗体重鎖を含み、前記ヒトIgG抗体重鎖定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインが、有蹄動物に由来するIgG抗体重鎖定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインで置換されている、請求項21〜28のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物。

請求項30

前記ヒトIgG抗体重鎖がヒトIgG1抗体重鎖を含む、請求項29に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項31

前記有蹄動物に由来するIgG抗体重鎖定常領域が、ウシ由来のIgG抗体重鎖定常領域を含む、請求項29〜30のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項32

前記有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントが、Iγ−Sγクラススイッチ調節エレメントを含む、請求項21〜31のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項33

前記Iγ−Sγクラススイッチ調節エレメントがIγ1−Sγ1を含む、請求項32に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項34

前記1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の各クラススイッチ調節エレメントが、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている、請求項21〜33のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項35

前記有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントが、ウシ由来のクラススイッチ調節エレメントである、請求項21〜34のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項36

前記HACベクターが、VpreB1、VpreB3およびλ5ヒト抗体代替軽鎖からなる群から選択されるヒト抗体代替軽鎖をコードする1以上の遺伝子を含む、請求項21〜35のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項37

さらに、ゲノムに組み込まれ、前記1以上のヒト抗体重鎖をコードする1以上の遺伝子と作動可能に連結されている有蹄動物に由来するエンハンサーを含む、請求項21〜36のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項38

前記エンハンサーが3’Eαエンハンサーを含む、請求項37に記載のトランスジェニック有蹄動物用ベクター。

請求項39

(a)前記有蹄動物の血清または血漿中に標的抗原に特異的なヒト抗体を産生および蓄積するために、請求項19〜38のいずれか一項に記載のトランスジェニック有蹄動物に標的抗原を投与することと、(b)前記有蹄動物の血清または血漿から前記標的抗原に特異的なヒト抗体を回収することと、を含む、ヒト抗体を産生する方法。

請求項40

前記回収が、(i)前記トランスジェニック有蹄動物からリンパ球を単離することと、(ii)前記リンパ球からヒトモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製することと、(iii)前記標的抗原に特異的なヒトモノクローナル抗体を前記ハイブリドーマから回収することと、を含む、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記トランスジェニック有蹄動物のリンパ球が、前記トランスジェニック有蹄動物のリンパ節から単離される、請求項40に記載の方法。

請求項42

前記トランスジェニック有蹄動物が前記標的抗原で過免疫される、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。

請求項43

請求項39〜42のいずれか一項に記載の方法によって産生されるヒト抗体を含む組成物

技術分野

0001

関連出願
本願は、2012年8月3日出願の米国仮特許出願第61/679,288号の優先権を主張し、同出願の開示が参照により援用される。

0002

本明細書と共に提出される配列表は、参照によりその全体が援用される。

背景技術

0003

静脈内免疫グロブリン(IVIG)としても知られるヒト抗体は、特定抗原の免疫の有無を問わず献血されたヒト血漿から得られ、長年にわたり治療に使用されている。しかし、ヒト血漿由来のIVIGは、主に、チェックできていないヒト集団からの自発的な献血という性質により、かなりの課題および制限も伴う。特に、ヒトの免疫寛容により、癌細胞などのヒトから生じた抗原に対するヒト血漿由来のIVIGを確実に生成することは困難である。したがって、ヒト抗体を得るための改良されたシステムが必要とされている。

0004

第一の態様において、本発明は、
(a)抗体重鎖をコードする各遺伝子が、クラススイッチ調節エレメント作動可能に連結されている1以上のヒト抗体重鎖と、
(b)1以上のヒト抗体軽鎖と、
(c)1以上のヒト抗体代替軽鎖、および/または有蹄動物由来するIgM重鎖定常領域と、
をコードする遺伝子を含むヒト人工染色体HAC)ベクターを提供し、1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つのクラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている。

0005

一実施形態において、1以上のヒト抗体重鎖は、ヒトIgG抗体重鎖を含む。別の実施形態において、IgG重鎖はIgG1抗体重鎖を含む。さらなる実施形態において、1以上のヒト抗体重鎖は、ヒトIgA抗体重鎖を含む。別の実施形態において、1以上のヒト抗体重鎖は、ヒトIgM抗体重鎖を含む。さらなる実施形態において、1以上のヒト抗体重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgEおよびIgDのヒト抗体重鎖を含む。

0006

一実施形態において、HACベクターは、有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子を含み、この有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域は、ヒトIgM重鎖可変領域を有するキメラとして発現する。別の実施形態において、この有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域は、ウシ由来のIgM重鎖定常領域である。

0007

さらなる実施形態において、1以上のヒト抗体重鎖は、ヒトIgG抗体重鎖定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞ドメインが、有蹄動物に由来するIgG抗体重鎖定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインで置換されているヒトIgG抗体重鎖を含む。別の実施形態において、ヒトIgG抗体重鎖は、ヒトIgG1抗体重鎖を含む。さらなる実施形態において、有蹄動物に由来するIgG抗体重鎖定常領域は、ウシ由来のIgG抗体重鎖定常領域を含む。

0008

一実施形態において、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントは、Ιγ−Sγクラススイッチ調節エレメントを含む。別の実施形態において、Ιγ−Sγクラススイッチ調節エレメントはΙγ1−Sγ1を含む。さらなる実施形態において、1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の各クラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている。別の実施形態において、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントは、ウシ由来のクラススイッチ調節エレメントである。

0009

一実施形態において、HACベクターは、VpreB1、VpreB3およびλ5ヒト抗体代替軽鎖からなる群から選択されるヒト抗体代替軽鎖をコードする1以上の遺伝子を含む。

0010

別の実施形態において、このHACは、さらに1以上のヒト抗体重鎖をコードする1以上の遺伝子に作動可能に連結されている有蹄動物に由来するエンハンサーを含む。一実施形態において、エンハンサーは3’Eαエンハンサーを含む。

0011

第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の任意の実施形態または実施形態の組み合せに係るHACベクターを含むトランスジェニック有蹄動物を提供する。一実施形態において、このトランスジェニック有蹄動物は、トランスジェニックウシである。

0012

第3の態様において、本発明は、ゲノムに組み込まれ、
(a)抗体重鎖をコードする各遺伝子が、クラススイッチ調節エレメントに作動可能に連結されている1以上のヒト抗体重鎖と、
(b)1以上のヒト抗体軽鎖と、
(c)1以上のヒト抗体代替軽鎖、および/または有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域と、
をコードする遺伝子を含むトランスジェニック有蹄動物を提供し、1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つのクラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている。

0013

本発明の第3の態様の当該トランスジェニック有蹄動物は、本発明の第1の態様のHACについて記載したような遺伝子、クラススイッチ調節エレメントおよび/またはエンハンサーの任意の実施形態または実施形態の組み合せを含んでもよいが、これらの遺伝子、クラススイッチ調節エレメント、および/またはエンハンサーは、そのゲノムに組み込まれている。

0014

第4の態様において、本発明は、
(a)有蹄動物の血清または血漿中に標的抗原に特異的なヒト抗体を産生および蓄積するために、本発明の第2および第3の態様の任意の実施形態または実施形態の組み合わせのトランスジェニック有蹄動物に標的抗原を投与することと、
(b)有蹄動物の血清または血漿から標的抗原に特異的なヒト抗体を回収することと、
を含む、ヒト抗体を産生する方法を提供する。

0015

一実施形態において、この回収は、
(i)トランスジェニック有蹄動物からリンパ球を単離することと、
(ii)このリンパ球からヒトモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製することと、
(iii)この標的抗原に特異的なヒトモノクローナル抗体をこのハイブリドーマから回収することと、
を含む。

0016

さらなる実施形態において、トランスジェニック有蹄動物のリンパ球は、トランスジェニック有蹄動物のリンパ節から単離される。さらなる実施形態において、トランスジェニック有蹄動物は標的抗原で過免疫される。

0017

第5の態様において、本発明は、本発明の第4の態様の任意の実施形態、または実施形態の組み合わせの方法により産生されたヒト抗体を含む組成物を提供する。

図面の簡単な説明

0018

ウシIGLJ−IGLC遺伝子クラスターの構造およびそのクラスター欠失手法を示す。(A)ウシIGLJ−IGLC遺伝子クラスターのゲノム構成。(B)ターゲティングベクターの構造およびクラスター欠失手法。プラスミドpCλ1CAGzeoPuroloxPDTは、それぞれ長腕および短腕としての9.9kbおよび3.1kbのゲノムDNA、loxP配列CAGプロモーター駆動ゼオシン耐性遺伝子(zeo)、DT−Aならびにプロモーターのないピューロマイシン耐性遺伝子(puro)で構成されるIGLJ1遺伝子の5’方向外側にloxP部位を配置するための第1のノックアウト(KO)ベクターであった。プラスミドpCλ5CAGloxPneoDTは、それぞれ長腕および短腕としての8.7kbおよび1.5kbのゲノムDNA、loxP配列、ニワトリβ−アクチンプロモーター駆動ネオマイシン耐性遺伝子(neo)、DT−A、SV40ポリAならびにCAGプロモーターで構成されるIGLC5遺伝子の3’方向外側に別のloxP部位を配置するための第2のKOベクターであった。この第2のKOベクターは、クラスターを欠失させるためにCre発現プラスミドと同時トランスフェクトされ、CAGプロモーター駆動puro遺伝子を再構成する。
オスおよびメスのウシのIGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−(トリプルノックアウト、「TKO」)細胞株の作製を示す。(A)TKO細胞株を樹立するための育種系統。オスの細胞株6939およびメスの細胞株3427を順次標的化し、育種の最初のラウンドでそれぞれIGHM−/+IGHML1−/−およびIGHM−/−動物を得、オスとメスの両方のIGHM−/−IGHML1−/+細胞株を作製した。これらの細胞をクラスター欠失に供して、育種の第2のラウンドでIGHM−/−IGHML1−/+IGL−/+動物を作製し、オスおよびメスのTKO細胞株を樹立した。(B)オスおよびメスのIGHM−/−IGHML1−/+細胞株の作製。細胞株6939由来のオスの細胞株IGHM−/+IGHML1−/−において、2つのIGHML1アレルのUおよびu、ならびに1つのIGHMアレルAYを、それぞれターゲティングベクターpBCμΔNKOneo、pBCμΔKOpuroおよびpbCμAYKObsrによりノックアウトした。細胞株3427由来のメスの細胞株IGHM−/−において、2つのIGHMアレルの10AYおよび7AYJを、それぞれターゲティングベクターpbCμAYKObsrおよびpbCμ7AYJKOhygによりノックアウトした。オスのIGHM−/+IGHML1−/−およびメスのIGHM−/−動物間の育種後、各胎仔をゲノムPCR(AYKObsr−F2R2、ayKOhyg−F2R2、Neo−F2R2またはPuro−F2R2)に供し、遺伝子型IGHM−/−IGHML1−/+を識別し、オスおよびメスのそれぞれの細胞株J481およびH412を樹立した。H412についてAYKObsr−F2R2を用いたゲノムPCRにおいて、アレルAYおよび10AYの両方が破壊されたことを確認するために配列解析を行った。(C)細胞株J481におけるターゲティングベクターpCλ1CAGzeoPuroloxPDTによるIGLJ1遺伝子の5’方向外側へのloxP配列の組み込み。相同組み換えの発生を、陽性PCRとしてCL1puro−F2F2を用いて、ゲノムPCRにより確認した。さらに、R−F2×R−R1を用いて、野生型アレルからのみ増幅することができる陰性PCRを行い、相同組み換えを再確認した。J481は、アレルAおよびDの両方から増幅されるので、二重ピーク(アレルDについてはTおよびアレルDについてはG)を示す。コロニー27は「G」のみを示し、アレルAが特異的にノックアウトされたことが示され、コロニー22は「T」のみを示し、アレルDが特異的にノックアウトされたことが示された。コロニー27から、CL1puro−F2R2を用いて陽性であった胎仔細胞株K655−1を樹立した。(D)細胞株K655−1におけるターゲティングベクターpCλ5(A)CAGloxPneoDTによるIGLC5遺伝子の3’方向外側へのloxP配列の組み込み。相同組み換えの発生を、陽性PCRとしてCL5CAG−F2F2を用いて、ゲノムPCRにより確認した。さらに、クラスター欠失により得られたCAGプロモーター駆動puro遺伝子の再構成も、CAGpuro−F3R3を用いたゲノムPCRにより確認した。細胞株G054を用いて、育種用の子ウシを作製した。(E)オスおよびメスのIGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−(TKO)細胞株の作製。オスおよびメスのIGHM−/−IGHML1−/+IGL−/+動物を、育種の第2ラウンドに供した。各胎仔を、(IGLC遺伝子を増幅するために)L001−F1×L002×R2、(IGHMまたはIGHML1定常領域を増幅するために)BCμ−f2r2、(標的化IGHMまたはIGHML1遺伝子を増幅するために)クラスター欠失特異的CAGpuro−F3R3およびBCμKO−F14R14を用いる一連のゲノムPCRにより調べた。表に示すように5頭の胎仔の細胞株E024A−2、A596A−1、A332A、C970およびA114Aの遺伝子型を同定し、IGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−であることが証明された。
KcHACΔおよびcKSL−HACΔベクターの概念ならびに構成を示す。(A)KcHACΔおよびcKSL−HACΔベクターの構造。KcHACΔベクターは、元のκHACに由来し、hIGHM遺伝子定常領域の一部のCH1からTMドメインが、ウシ由来の配列でウシ化されている。この修飾のため、KcHACΔベクターは、preB/B細胞表面上でウシ化キメラIgM{cIgM(CH1)}タンパク質を発現する。ウシ化CH1ドメインを介して、cIgM(CH1)は、ウシ代替軽鎖(bSLC)/軽鎖(bLC)と良好なペアを組む。さらに、ウシ化TM1−TM2ドメインは、良好なpreBCR/BCRシグナル伝達のためのウシIg−α/β複合体(bIg−α/β)とより効率的に相互作用する。cKSL−HACΔベクターは、ヒトIGL全体および代替軽鎖(hVPREB1およびhIGLL1)遺伝子座を含む、3つの異なるヒト染色体(hChr)断片のhChr14(14D)、hChr2およびhChr22で構成されている。このベクターでは、hIGHM遺伝子定常領域の一部のCH2からTMドメインが、cIgM(CH2)タンパク質を発現するようにウシ化されている。preB細胞段階において、このcIgM(CH2)は、ヒトpreBCRを模倣するためにヒト代替軽鎖(hSLC、hVPREB1/hIGLL1)と優先的にペアを組むが、ウシ化TM1−TM2ドメインは、preBCRシグナル伝達のためにbIg−α/βと良好に相互作用する。(B)ニワトリDT40細胞におけるcKSL−HACΔベクターの構築。hChr22断片をhChr2断片に移動させたSLKH断片を含むDT40クローンのSLKH18を、cIgM(CH2)−ウシ化14Dベクターを保持する別のDT40クローンのCH2D4と融合し、DT40ハイブリッドクローンcKSLD22を作製した。2つのhChr断片の存在を、ヒトCOT1 DNA蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)によって確認した。Cre発現プラスミドを導入することによって、2つのhChr断片間の染色体転座誘導し、cKSL−HACΔベクターを作製した。3色−FISHは、cKSL−HACΔベクター上にhIGH、hIGKおよびhIGL遺伝子座の存在を示す。(C)ニワトリDT40細胞におけるKcHACΔベクターの構築。
κHAC、cKSL−HACΔおよびKcHAC IGHM−/−IGHML1−/−ダブルノックアウト(DKO)子ウシの特性評価を示す。(A)新生児段階における一連のHAC/DKO子ウシからの末梢血単核球(PBMC)の代表的なフローサイトメトリー分析。IgM検出のために、抗hIgMまたは抗bIgM抗体を、それぞれκHACおよびcKSL−HACΔ/DKO子ウシまたはKcHAC/DKO子ウシのために使用した。左のパネルから右のパネルに向かって、PBMCを、IgM単独、IgM/bCD21、IgM/bIgλ、IgM/bIgκおよびIgM/hIgκについて染色した。各太字の番号は、Q1(IgM単独)またはQ2(IgM/bCD21、IgM/bIgλ、IgM/bIgκおよびIgM/hIgκ)の中の細胞の割合を表している。NA;適用されない(その時点で、抗bIgκ抗体が利用できなかったため)。(B、C)生後5〜6ヶ月の時点での一連のHAC/DKO子ウシにおける(B)全hIgG(μg/ml)および(C)完全hIgG/hIgκ(μg/ml)の血清濃度。nは、各遺伝子型について分析した動物の個体数。各遺伝子型について、最小値、第一四分位数中央値、第三四分位数および最大値を計算し、各グラフプロットした。子ウシ468の値を破線の円で示した。(D、E)生後5〜6ヶ月の時点での一連のHAC/DKO子ウシにおける血清中の(D)全hIgGに対する完全hIgG/hIgκ(%)および(E)hIgG1/hIgG2比。nは、各遺伝子型について分析した動物の個体数。各遺伝子型について、最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数および最大値を計算し、左のグラフにプロットした。
isHAC(isKcHACΔ)およびistHACの構成を示す。cKSL−HACΔまたはKcHACΔベクターのいずれかにおいて、hIλ1−hSλ1クラススイッチ調節エレメントをウシ化して、それぞれisHACまたはisKcHACΔベクターを構築した。istHACベクターは、hIGHG1遺伝子の膜貫通細胞質ドメインもウシ化されたisHACベクターに由来する。
isHAC/TKO、istHAC/TKOおよびisKcHACΔ/TKO子ウシの特性評価を示す。(A)HAC/TKO子ウシにおけるbIGL発現の欠如新生時段階の5頭のKcHACΔ/TKO子ウシ(子ウシ1〜5)からのPBMCをRT−PCRに供し、bIGL発現の欠如を確認した。bIgL−Ld−F1×bIgL−C−RおよびL003−F2×L004−R2のプライマーペアは、それぞれVJ−再配列bIGLおよび定常領域IGLC(bCλ)遺伝子を増幅するためのものである。プライマーペアのbIgκ−FRは、VJ再配列bIGK遺伝子を増幅するためのものである。Nは陰性対照であり、Pは陽性対照である。(B)新生児段階における一連のHAC/TKO子ウシからのPBMCの代表的なフローサイトメトリー分析。IgM検出のために、抗hIgMまたは抗bIgM抗体を、それぞれisHAC、istHACおよびcKSL−HACΔ/TKO子ウシのために、またはisKcHACΔおよびKcHACΔ/TKO子ウシのために使用した。左のパネルから右のパネルに向かって、PBMCを、IgM単独、IgM/bCD21、IgM/bIgλ、IgM/bIgκおよびIgM/hIgκについて染色した。各太字の番号は、Q1(IgM単独)またはQ2(IgM/bCD21、IgM/bIgλ、IgM/bIgκおよびIgM/hIgκ)の中の細胞の割合を表す。(C)生後5〜6ヶ月の時点の一連のHAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシにおける全hIgG(g/l)の血清濃度の箱ひげ図(Box−whisker plot)。A、cKSL−HACΔ/TKO(n=8);B、isHAC/TKO(n=12);C、istHAC/TKO(n=8);D、KcHACΔ/TKO(n=8);E、isKcHACΔ/TKO(n=12);F、cKSL−HACΔ/DKO(n=33);G、KcHAC/DKO(n=12);H、κHAC/DKO(n=8)。ドット異常値を表す。子ウシ468の値を矢印で示した。各遺伝子型について、最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数および最大値を計算し、各グラフにプロットした。(D)パネルは、各ペアの比較における95%ファミリーワイズ(family−wise)の信頼水準を示す。(E)生後5〜6ヶ月の時点の一連のHAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシにおける完全hIgG/hIgκ(g/l)の血清濃度の箱ひげ図。A、cKSL−HACΔ/TKO(n=8);B、isHAC/TKO(n=12);C、istHAC/TKO(n=8);D、KcHACΔ/TKO(n=8);E、isKcHACΔ/TKO(n=12);F、cKSL−HACΔ/DKO(n=33);G、KcHAC/DKO(n=12);H、κHAC/DKO(n=8)。ドットは異常値を表す。子ウシ468の値を矢印で示した。各遺伝子型について、最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数および最大値を計算し、各グラフにプロットした。(F)パネルは、各ペアの比較における95%ファミリーワイズの信頼水準を示す。(G)生後5〜6ヶ月の時点の一連のHAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシにおける血清中の全hIgGに対する完全hIgG/hIgκ(%)の箱ひげ図。ドットは異常値を表す。子ウシ468の値を矢印で示した。各遺伝子型について、最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数および最大値を計算し、各グラフにプロットした。(H)パネルは、各ペアの比較における95%ファミリーワイズの信頼水準を示す。nは、各遺伝子型について分析した動物の個体数である。(I)生後5〜6ヶ月の時点での一連のHAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシにおけるhIgG1/hIgG2比の箱ひげ図。ドットは異常値を表す。A、cKSL−HACΔ/TKO(n=8);B、isHAC/TKO(n=12);C、istHAC/TKO(n=8);D、KcHACΔ/TKO(n=8);E、isKcHACΔ/TKO(n=12);F、cKSL−HACΔ/DKO(n=33);G、KcHAC/DKO(n=12);H、κHAC/DKO(n=8)。各遺伝子型について、最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数および最大値を計算し、左のグラフにプロットした。(J)パネルは、hIgG1−優性の割合の差の各ペアの比較における95%ファミリーワイズの信頼水準を示す。(K)表は、各遺伝子型の実際の値を示す。(L)ヒト口腔扁平上皮癌の2回の予防接種(V2)後の一連のHAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシにおける抗ヒト癌hIgG/hIgκ応答。太字の矩形領域の割合は、V2後9〜10日目における各動物の血清由来のhIgGおよびhIgκで2重陽性であるヒト癌細胞の割合を示し、血清希釈率は1:1280である。「V1D0」としてラベルした分離パネルは、V1後0日目(V1D0)におけるistHAC/TKO子ウシ2の血清で染色したヒト癌細胞のフローサイトメトリーの結果であり、血清希釈率は1:1280である。
κHAC/IGHM−/−IGHML1−/−(DKO)胎仔および子ウシ468由来の線維芽細胞上の比較ゲノムハイブリダイゼーションCGH)分析を示す。子ウシ468を作製した細胞株に存在するκHACベクターに関するCGH分析を用いた子ウシ468のより広範な分析は、いくつかの明確な構造変化を示した。A254−2は、子ウシ468を作製した胎仔の線維芽細胞株である。A254−2、G827−1、K439−1およびK439−2を、CHO細胞株κC1−1からDKO細胞株へのκHACベクターの独立したMMCイベントを介して作製した。胎仔細胞株K439−1からのDNAを基準として使用した。A254−2および子ウシ468のみが、hChr14上の3’Eα2領域周辺に明確なCGHパターンを示した(破線の円)。
ウシIIGLJ2−IGLC2およびIGLJ3−IGLC3遺伝子間DNA配列アラインメントを示す。(A)ウシIGLJ2−IGLC2およびIGLJ3−IGLC3遺伝子間のイントロンDNA配列アラインメント。「JL2−CL2」(配列番号147)および「JL3−CL3」(配列番号148)は、それぞれIGLJ2−IGLC2およびIGLJ3−IGLC3遺伝子のイントロン配列に対応する。(B)ウシIGLC2およびIGLC3遺伝子間の3’UTR DNA配列アラインメント。「bCL2」(配列番号149)および「bCL3」(配列番号150)は、それぞれIGLC2およびIGLC3遺伝子の3’UTR配列に対応する。
bChr21上のウシIGH遺伝子クラスター推定構造を示す。BACクローン227−A16は、IGH可変領域の一部およびIGHML1からCγ1領域を含むように思われた。BACクローン517−B22は、IGHMからCα領域をカバーするように思われた。BACクローン382−F19は、Cγ2から3’Eα領域を含むように思われる。3つのBACクローンコンティグのサイズは、約380kb長であると推定される。
IGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−(TKO)細胞株の遺伝子型を示す。IGHM−/−IGHML1−/−(DKO)遺伝子型を確認するために、KOカセットの存在が増幅を阻害するので、BCμ−f2r2を用いた陰性PCRを行った。陽性PCRとしては、BCμKO−F14R14を用いて行った。IGL−/−遺伝子型には、L001−F×L002−Rを用いた陰性PCRを行い、IGLC遺伝子の非存在を確認した。同時に、クラスター欠失に特異的なCAGpuro−F3R3を用いた陽性PCRを行った。
ヒト、ウシおよびマウスの(A)IgM(ヒト配列番号151、ウシ配列番号152およびマウス配列番号153)、(B)VpreBl(ヒト配列番号154、ウシ配列番号155およびマウス配列番号156)、(C)λ5(ヒト配列番号157、ウシ配列番号158およびマウス配列番号159)、(D)Ig−α(ヒト配列番号160、ウシ配列番号161およびマウス配列番号162)および(E)Ig−β(ヒト配列番号163、ウシ配列番号164およびマウス配列番号165)アミノ酸配列アラインメントを示す。それぞれの割合は相同性を示す。hはヒト、bはウシ、mはマウスを示す。網掛けアミノ酸は、ヒトとは異なるアミノ酸を示す。
cKSL−HACΔおよびKcHACΔベクターの遺伝子型解析、ならびにcKSL−HACΔ/DKO子ウシの特性評価を示す。(A)cKSL−HACΔベクターの遺伝子型解析のための大規模ゲノムPCR。各ゲノムPCRプライマーペアの位置は、cKSL−HACΔベクター構造に関連して示されている。(B)KcHACΔベクターの遺伝子型解析のための大規模ゲノムPCR。各ゲノムPCRプライマーペアの位置は、KcHACΔベクター構造に関連して示されている。(C)cKSL−HACΔ、KcHACΔまたはKcHACベクターのいずれかを含むCHOクローンに関するCGH分析。上のパネルでは、CHOクローン(cKSLDC6、15、23)を含むcKSL−HACΔを、κHACを含むκC1−1およびKcHACベクターを含むKCF4と比較した。SC20ベースのHAC、κHACおよびKcHACに固有の3’Eα2領域(破線の円)周辺におけるDNAの潜在的ないくつかの増幅を除き、全てのHAC間で明らかな構造上の違いは無かった。cKSLDC15からのDNAを基準として使用した。下のパネルは、KcHACΔベクターを含む3種類の異なるCHOクローン間のCGHパターンを示しており、KCDC1からのDNAを基準として使用した。3種類の細胞株のうちKcHACΔの明らかな構造上の違いはなかった。(D)cKSL−HACΔ/DKO子ウシにおけるヒトIGL、VPREB1およびIGLL1遺伝子の転写。新生児の段階での3頭のcKSL−HACΔ/DKO子ウシ(子ウシ1〜3)からのPBMCをRT−PCRに供し、ヒトIGL、VPREB1およびIGLL1遺伝子の発現を確認した。Nは陰性対照、Pは陽性対照を示す。
ウシおよびヒトの間でのIgG1クラススイッチ調節ならびに分泌に関連する配列のアラインメントを示す。(A)Iγ1のDNA配列のアラインメント(ヒトIγ1 配列番号166、ウシIγ1 配列番号167)、Iγ2(ヒトIγ2 配列番号168、ウシIγ2 配列番号169)およびIγ3(ヒトIγ3 配列番号170、ウシIγ3 配列番号171)、ヒトおよびウシの間のECS(進化的に保存された配列)エレメント。網掛けのヌクレオチド塩基は、ヒトIγ1配列とは異なるものを示す。KB3(κB3)、KB4(κB4)、KB5(κB5)、ISRE(インターフェロン刺激性応答エレメント)、C−EBP(CCAATエンハンサー結合タンパク質)、BSAP(B細胞系統特異的活性化タンパク質)およびGAS(ガンマインターフェロン活性部位)を長方形で示す。(B)ヒトおよびウシのSγ1配列間のドットプロットアライメント。(C)ヒト(配列番号172)およびウシ(配列番号173)の間のIgG1膜貫通/細胞質ドメインのアミノ酸配列アラインメント。網掛けのアミノ酸は、ヒトとは異なるものを示す。
生後5〜6ヶ月の時点での一連のHAC/TKO子ウシの完全hIgG/hIgκの血清濃度(g/L)を示す。nは、それぞれの遺伝子型について分析した動物の個体数を示す。それぞれの遺伝子型について、使用したTKO細胞株に基づいて、個々の値をプロットした。
生後5〜6ヶ月の時点での一連のHAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシの血清中の全hIgGに対する完全hIgG/bIgκ(%)を示す。nは、それぞれの遺伝子型について分析した動物の個体数を示す。それぞれの遺伝子型について、最小値、第一四分位数、中央値、第三四分位数および最大値を計算し、左のグラフにプロットした。
ヒト口腔扁平上皮癌の2回の予防接種(V2)後の一連のHAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシにおける抗ヒト癌hIgG/hIgκ反応を示す。示された血清希釈率でのV2後9〜10日目における各免疫動物のhIgG/hIgκ二重陽性ヒト癌細胞の割合をプロットした。
14Dベクターの構築を示す。(A)14Dベクター構築の流れ。第1のlox511をインタクトなhChr14上のAL512355に組み込み、I355−2を作製した。次いで、第2のlox511をAL391156にセットし、I156−10を作製した。Creの導入は、染色体上の大きなDNA欠失を引き起こし、D8を作製した。14D1は、RNR2遺伝子座にloxPを組み込むことによって構築した。その後、cIgM(CH1)またはcIgM(CH2)のウシ化によりCH1D2またはCH2D4を作製し、それぞれ、KcHACΔまたはcKSL−HACΔベクター構築のために使用した。(B)14Dベクター構築の詳細な方法。ターゲティングベクターpSC355CAGlox511hisDDTは、それぞれ長腕および短腕としての8.2kbおよび2.0kbのゲノムDNA、CAGプロモーター、lox511、SV40ポリAシグナル、ニワトリβ−アクチンプロモーター駆動hisD遺伝子およびDT−A遺伝子からなり、これを使用して、IGHA2遺伝子座に対して約300kbセントロメアのAL512355にlox511配列を組み込んだ。別のターゲティングベクターのp14CEN(FR)hygpurolox511DTは、それぞれ長腕および短腕としての8.2kbおよび1.8kbのゲノムDNA、プロモーターのないpuro遺伝子、lox511、ニワトリβ−アクチンプロモーター駆動hyg遺伝子およびDT−A遺伝子で構成され、これを使用して、AL391156にlox511配列を組み込んだ。Creの導入は、2つのlox511部位の間に大きなDNA欠失(約85Mb)を引き起こし、14Dを作製した。この大きな欠失の結果、CAGプロモーター駆動puro遺伝子が再構成され、ピューロマイシンで選択した。ピューロマイシン耐性細胞を、CAGpuro−F3R3を用いたゲノムPCRに供し、分子レベルでの欠失を確認した。これらの細胞は、欠失によりハイグロマイシンBまたはヒスチジノールにも感受性を示した。(C)CH1DおよびCH2DのためのIgMウシ化。ウシ化ベクターpCH1CAGzeo(R)DT(F)は、それぞれ長腕および短腕としての7.4kbおよび1.7kbのヒトゲノムDNA、loxP導入CAGプロモーター駆動zeo遺伝子カセットがCH4およびTM1イントロンの間に組み込まれている、CH1からTM2ドメインをカバーする6kbのウシIGHM定常領域ゲノムDNA、ならびにDT−A遺伝子を含む。相同組み換え後、hIGHM定常領域の一部であるCH1からTM2ドメインは、CH1D上でウシ化された。別のウシ化ベクターpCH2CAGzeoDT(F)は、それぞれ長腕および短腕としての7.2kbおよび1.7kbのヒトゲノムDNA、loxP導入CAGプロモーター駆動zeo遺伝子カセットがCH4およびTM1イントロンの間に組み込まれている、CH2からTM2ドメインをカバーする5.4kbのウシIGHM定常領域ゲノムDNA、ならびにDT−A遺伝子を含む。相同組み換え後、hIGHM定常領域の一部であるCH2からTM2ドメインは、CH2D上でウシ化された。(D)それぞれの標的化事象の遺伝子型解析。AL512355において、KOカセットの存在によって妨げられる355N−FRを用いた陰性PCRと共に、SC355KO−F2R2を、相同組み換えに特異的な陽性PCRとして使用した。AL391156において、KOカセットの存在によって妨げられる14CEN(N)−F2R2を用いた陰性PCRと共に、14CENKO−F3R3を、相同組み換えに特異的な陽性PCRとして使用した。CH1Dの改変(例えば、cIgM(CH1)ウシ化)には、ヒト配列およびウシ配列間の結合配列を調べるためのCH1 5’−FRおよびcHAC3’−FRと共に、cHAC−F3F3を、相同組み換えに特異的な陽性PCRとして使用した。同様に、CH2Dの改変(例えば、cIgM(CH2)ウシ化)には、ヒト配列およびウシ配列の間の結合配列を調べるためのCH2 5’−FRおよびcHAC3’−FRと共に、cHAC−F3F3を、相同組み換えに特異的な陽性PCRとして使用した。(E)インタクトなhChr14および短縮されたhChr14断片間のヒトCOT−1 FISH。
hChr2断片の改変を示す。(A)クローンκZ7の作製。クローンκTL1をターゲティングベクターpTELCAGzeoCD8Aでトランスフェクションし、puroカセットをzeoカセットで置換した。標的化事象を、CD8AKO−F2R2を用いてゲノムPCRにより確認した。(B)クローンK53を作製するためのhChr2断片の切断。相同アームとしての7.4kbのゲノムDNA、プロモーターのないpuro遺伝子、lox2272、ニワトリβ−アクチンプロモーター駆動hisD遺伝子およびヒトテロメア反復配列(TEL)で構成されているターゲティングベクターpTEL’hisDpurolox2272F9R9でクローンκTL1をトランスフェクションし、hChr2断片を切断し、AC104134にlox2272を組み込んだ。
hChr22断片の改変を示す。(A)クローンSTL54の作製。クローン52−18に保持されているインタクトなhChr22を、標的切断ベクターpTELCAGzeoSLFRによってAP000350で切断し、ST13を作製した。その後、lox2272配列を、ターゲティングベクターp553CAGlox2272bsrDTによってAP000553に組み込み、STL54を作製した。(B)AP000350でのhChr22の切断。遺伝子座AP000350は、hVPREB3遺伝子座に対して約70kbテロメア側に位置している。切断ベクターpTELCAGzeoSLFRは、相同アームとしての7.4kbのゲノムDNA、CAGプロモーター駆動zeo遺伝子およびヒトテロメア反復配列(TEL)からなる。相同組み換え後、hChr22をAP000350で切断した。(C)AP000553でのlox2272部位の組み込み。ターゲティングベクターp553CAGlox2272bsrDTは、長腕および短腕としての6.9kbおよび2.8kbのゲノムDNA、CAGプロモーター、lox2272、SV40ポリAシグナル、ニワトリβ−アクチンプロモーター駆動bsr遺伝子ならびにDT−A遺伝子を含む。KOカセットの存在によって妨げられる553−F4R4を用いた陰性PCRと共に、553KO−F3R3を相同組み換えに特異的な陽性PCRとして使用した。
SLKH断片の構築を示す。(A)SLKH断片の作製の流れ。2種類のDT40クローンのK53およびSTL54を全細胞融合に供し、DT40ハイブリッドクローンSLK2を作製した。次いで、Creリコンビナーゼを導入して、SLKH断片を構築する2つのhChr断片間の染色体転座を誘導した。染色体転座の結果として、CAGプロモーター駆動puro遺伝子を再構成し、ピューロマイシンで選択した。さらに、転座の発生を、CAGpuro−F3R3を用いてゲノムPCRにより確認した。DT40ハイブリッドクローンのSLKH6から、SLKH断片をMMCTによってプレーンなDT40細胞に移し、SLKD18を作製した。(B)SLK2、SLKH6およびSLKD18上のマルチカラーFISH。SLK2は、ヒトCOT−1プローブで単に染色し、より長いhChr2断片およびより短いhChr22断片の存在を確認した。SLKH6およびSLKD18については、2色FISHを行った。SLKH6では、2つの相互に転位したhChr断片が見られ、長い方はSLKH断片であった。SLKD18では、単一SLKH断片が存在していた。
CH2D上での染色体反転の発生を示す。RNR2遺伝子座のloxPおよび欠失結合部位AP3911561/AP512355のlox511の間でのリーキーな組み換えにより、CAGプロモーター駆動GFP遺伝子も再構成する反転が生じ、cKSL−HACΔベクターからのPGKプロモーター駆動GFP遺伝子より高いGFP発現を引き起こした。この反転を、STOPpuro−F2R2およびGFP2×CAGpuro−F3を用いてゲノムPCRにより確認した。
isHACおよびisKcHACΔベクターの構築を示す。(A)isHACおよびisKcHACΔベクター構築の流れ。ウシ化ベクターpCC1BAC−isHACは、それぞれ長腕および短腕としての10.5kbおよび2kbのゲノムDNA、ウシIγ1−Sγ1をカバーする9.7kbのウシゲノムDNA、ヒトの対応する6.8kbのIγ1−Sγ1領域を置換するためのその周辺領域、FRT配列が隣接するニワトリβ−アクチンプロモーター駆動neo遺伝子ならびにDT−A遺伝子からなるBACベース(骨格がpCC1BACベクターである)ベクターである。標的ウシ化後、neoカセットをFLP導入によって除去する。(B)ターゲティングベクターpCC1BAC−isHACの詳細情報。短腕および長腕のための2kbのAfe I−Bam HI断片および10.5kのApa I−Hpa I断片を、ヒトIγ1−Sγ1領域周辺のプローブを使用してスクリーニングすることにより、それぞれ、κHACを含むCHO細胞から構築されたλファージゲノムライブラリー由来のクローンh10およびクローンh18/h20から得た。9.7kb断片(5’末端からBsu36 I)を、λファージウシゲノムライブラリー由来のクローンb42から得た。(C)ウシ化Ιγ1−Sγ1領域の遺伝子型解析。基本的には、示したように、5セットのゲノムPCRを行った。iscont1−F1/R1は、相同組み換えに特異的な陽性PCRである。iscont1−F1×hIgG1−R10は、neoカセットの存在によって妨げられる陰性PCRである。isHAC−Sw−dig−F5/R3およびisHAC−TM−dig−F3/R2は、それらの対応する領域の構造的完全性を調べるためのものであり、それぞれをBam HI+Pvu IIおよびAge I、Sma IまたはPvu IIで消化した。bNeo 5’−R×bIgG1−5’−seq−R6は、FRT配列の存在を確認するためのものである。(D)neoカセットのFLP−FRT欠失後の遺伝子型解析。(E)isHACベクターの遺伝子型解析のための大規模ゲノムPCR。各ゲノムPCRプライマーペアの位置を、isHACベクター構造に関連して示す。(F)isHACベクターを含む3種類の異なるCHOクローン間のCGH分析。isC1−133のDNAを基準として使用した。3種類の細胞株間においてisHACの明らかな構造上の違いはなかった。(G)isKcHACΔベクターの遺伝子型解析のための大規模ゲノムPCR。各ゲノムPCRプライマーペアの位置をisKcHACΔベクター構造に関連して示す。(H)isKcHACΔベクターを含む3種類の異なるCHOクローン間のCGH分析。isKCDC15−8からのDNAを基準として使用した。3種類の細胞株間においてisKcHACΔの明らかな構造上の違いはなかった。
istHACベクターの構築を示す。(A)istHACベクター構築の流れ。attP配列を、ターゲティングベクターphIγ1FRTCAGattPhisDDTおよびphγ1TMNeoattPDTによって、それぞれhIγ1エクソン1の5’側およびhIGHG1 TM2の3’側に組み込む。次いで、置換ベクターpBAC−istHACをφC31リコンビナーゼで導入し、attP/attB組み換えを引き起こし、隣接領域を置換した。置換が成功すると、再構成されるCAGプロモーター駆動DsRed遺伝子が、選別のための赤色蛍光を発する。最後に、DsRedカセットを、FLP発現により除去する。(B)hIGHG1 TM2の3’側でのattP配列の組み込み。ターゲティングベクターphγ1TMNeoattPDTは、長腕および短腕としての6.3kbおよび1.2kbのゲノムDNA、ニワトリβ−アクチンプロモーター駆動neo遺伝子、attPならびにDT−A遺伝子からなる。hg1TMneoattP−F1/R1を、KOカセットの存在によって妨げられるhIgGl−F25/R23およびhg1TMneg−F3/R3を用いる陰性PCRと共に、相同組み換えに特異的な陽性PCRとして使用した。Sma IまたはAge I消化後のhIgG1TM−dig−F1/R2を、対応する領域の構造的な完全性を調べるために使用した。(C)hIγ1エクソン1の5’側でのattP配列の組み込み。ターゲティングベクターphIγ1FRTCAGattPhisDDTは、長腕および短腕としての9.6kbおよび1.8kbのゲノムDNA、ニワトリβ−アクチンプロモーター駆動hisD遺伝子、attP、CAGプロモーター、FRTならびにDT−A遺伝子を含む。hg1FRTCAGattPhisD−F1/R1を、KOカセットの存在によって妨げられるiscont1−F1×hIgG1−R10を用いた陰性PCRと共に、相同組み換えに特異的な陽性PCRとして使用した。(D)attP−attB組み換えによって媒介される大きなDNA置換。置換ベクターpBACistHACは、18.1kbのキメラゲノムDNA(bIγ1−bSγ1+hIGHG1のCH1からCH3+bIGHG1のTM1−TM2)、プロモーターのないDsRed、FRTおよび隣接する2つのattB配列で構成されている。ΦC31発現によるDNA置換を、DsRed発現ならびにCAGDsRed−F2/R2およびbIgG1−3’−SeqF3×hIgG1−R15を用いたゲノムPCRにより確認し、それぞれattRおよびattLの生成を調べた。(E)DsRedカセットのFLP−FRT欠失後の遺伝子型解析。(F)istHACベクターの遺伝子型解析のための大規模ゲノムPCR。各ゲノムPCRプライマーペアの位置を、istHACベクター構造に関して示す。(G)istHACベクターを含む3種類の異なるCHOクローン間のCGH分析。istC1−6からのDNAを基準として使用した。3種類の細胞株間でistHACの明らかな構造上の違いはなかった。
推定cKSL−HACΔベクター配列に基づいて、CGH用のプローブ設計を示す。hChr14、hChr2およびhChr22断片配列については、AB019437〜AL512355、AC113612〜AC104134、およびAP000553〜AP000350を、それぞれアセンブルし、人工NNN...N」で結合し、推定cKSL−HACΔベクター配列として4,932,030bpのDNA配列を作製した。
TcウシB細胞における2つのレベルでの種間不適合性モデルを示す。1つは、preBCR/BCR構造(例えば、ヒトIgMおよびウシ代替オーソドックス軽鎖間の対形成、ヒトIgM/IgG1およびウシIg−α/β間の相互作用)などのタンパク質−タンパク質相互作用である。もう1つは、ヒトIγ1−Sγ1 DNA配列およびウシのサイトカイン活性化因子誘導性ウシDNA結合タンパク質などのDNA−タンパク質相互作用である。前者は、KcHAC(Δ)およびcKSL−HACΔによって(isHAC、istHACおよびisKcHACΔによっても)対処される。後者は、isHAC、istHACおよびisKcHACΔによって対処される。
ウシ(配列番号182)、ウマ(配列番号185)およびブタ(配列番号186)のIγ1−Sγ1の分析結果を示す。(A)ウシおよびブタのIγ1−Sγ1間の比較は、ウシおよびブタのIγ1領域(楕円形)間で若干の相同性があることを示し、(B)に潜在的ECSを丸で示す。(C)ウシおよびウマのIγ1−Sγ1間の比較は、ウシおよびウマのIγ1領域(楕円形)間で若干の相同性があることを示す。(D)ウマおよびブタのIγ1−Sγ1間の比較は、ウマおよびブタのIγ1領域(楕円形)間で若干の相同性があることを示す。
Iγ1領域のECSがよく保存されていることを示す。(A)ヒト(配列番166)、ウシ(配列番号187)、ブタ(配列番号189)およびウマ(配列番号188)におけるΙγ1のECSの多重配列アラインメント。(B)有蹄動物におけるΙγ1のECSの多重配列アラインメント。
有蹄動物におけるIgMの多重配列アラインメントを示す。ヒツジ(配列番号174)、ウシ(配列番号152)、ブタ(配列番号175)およびウマ(配列番号176)。
ウシIg重鎖3’エンハンサーによるHACのウシ化を示す。(A)ヒト、ウシおよびマウス3’E−αエンハンサー間の構造上の保存。(B)HAC上の3’E−α1のウシ化のために使用したウシ3’Eを含む領域を示す。(C)HAC上の3’α1のウシ化のために使用したウシゲノム断片。(D)μ−HACの構造を示す。(E)HACの構造的完全性をattP/attBの組み換え後に確認した。
有蹄動物およびヒトにおけるIgG1のアミノ酸配列の多重配列アラインメントを示す。ウシ(配列番号196)、ウマ(配列番号197)、ブタ(配列番号198)およびヒト(配列番号199)。
ヒト−ウシキメラIgM抗体(CH−TM2ウシ化IgM)−cIgM(CH2)配列(配列番号200)を示す。

実施例

0019

引用される全ての引用文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。特に明記しない限り、本願において利用される技術は、分子クローニング実験室マニュアルサムルックら、1989、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス)、遺伝子発現技術(酵素学の方法、185巻、D.Goeddel(編)、1991、アカミックプレス社、カリフォルニアサンディエゴ)、酵素学の方法の中の「タンパク質精製ガイド」(M.P.Deutshcer(編)、(1990)アカデミックプレス社);PCRプロトコル:方法および応用へのガイド(Innisら、1990、アカデミックプレス社、カリフォルニア州サンディエゴ)、動物細胞培養:基本技術のマニュアル、第2版、(R.I.Freshney.1987、Liss社、ニューヨーク州ニューヨーク)、遺伝子導入および発現プロトコル、109〜128ページ、E.J.Murray(編)、The Humana Press社、ニュージャージークリフトン)、ならびにAmbion社の1998カタログ(Ambion社、テキサス州オースティン)などのいくつかの周知の引用文献のいずれかに見出すことができる。

0020

文脈が特に明確に示さない限り、本明細書で使用される単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される「および」は、特に明記しない限り、「または」と互換的に使用される。

0021

文脈が特に明確に示さない限り、本発明の任意の態様の全ての実施形態は、組み合わせて使用することができる。

0022

文脈が特に明確に要求しない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたり、「含む(comprise)」および「含む(comprising)」などの用語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に包括的な意味、すなわち、「〜を含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数または複数で使用される単語も、それぞれ、複数および単数を含む。さらに、「本明細書」、「上記」、「下記」および類似の意味の用語は、本願において使用される場合に、本願の任意の特定の部分ではなく、本願全体を指す。

0023

本開示の実施形態の説明は、網羅的でもなければ、本開示を開示される正確な形態に限定するものでもない。本開示の特定の実施形態および例は、例示の目的のために本明細書に記載されているが、当業者が認識するように、様々な同等の変更が本開示の範囲内で可能である。

0024

第一の態様において、本発明は、
(a)抗体重鎖をコードする各遺伝子が、クラススイッチ調節エレメントに作動可能に連結されている1以上のヒト抗体重鎖と、
(b)1以上のヒト抗体軽鎖と、
(c)1以上のヒト抗体代替軽鎖、および/または有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域と、
をコードする遺伝子を含むヒト人工染色体(HAC)ベクターを提供し、1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つのクラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている。

0025

本発明のHACベクターは、例えば、本発明の方法について記載したように、トランスジェニック動物による完全なヒト抗体の大規模生産のために使用することができる。以下の実施例に示すように、HACベクターを用いて、以前のHACと比較して、有蹄動物において予想外高レベルの抗原特異的ポリクローナル抗体を産生することができる。

0026

本発明において、「HACベクター」という用語は、少なくともヒト染色体由来のセントロメア配列テロメア配列、および複製起点を含むベクターを意味し、所与の用途に望まれる任意の他の配列を含んでもよい。宿主細胞に存在する場合には、HACベクターは、宿主細胞の核内染色体とは独立して存在する。任意の適切な方法を用いて、以下の実施例に記載のものを含むがこれらに限定されないHACベクターを調製し、そのHACに目的の核酸を挿入することができる。HACベクターは、当業者に知られているように、二本鎖DNAベクターである。

0027

本発明のHACベクターは、ヒト抗体重鎖をコードする1以上の遺伝子を含む。任意のヒト抗体重鎖またはヒト抗体重鎖の組み合わせは、HAC上の1以上の核酸によってコードされてもよい。様々な実施形態において、ヒト抗体重鎖のIgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgEおよびIgDのうちの1、2、3、4、5、6、7、8、または全9種類は、1以上のコピー数でHAC上にコードされていてもよい。一実施形態において、HACは、単独で、または1、2、3、4、5、6、7、または他の8種類のヒト抗体鎖をコードする遺伝子と組み合わせて、ヒトIgM抗体重鎖をコードする遺伝子を含む。好ましい一実施形態において、HACは、少なくともヒトIgG1抗体重鎖をコードする遺伝子を含む。この実施形態において、HACが、ヒトIgM抗体重鎖をコードする遺伝子または有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域(ウシ重鎖定常領域など)をコードするようにキメラ化されたヒトIgM抗体重鎖をコードする遺伝子を含むことがさらに好ましい。別の実施形態において、HACは、少なくともヒトIgA抗体重鎖をコードする遺伝子を含む。この実施形態において、HACが、ヒトIgM抗体重鎖をコードする遺伝子または有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域(ウシ重鎖定常領域など)をコードするようにキメラ化されたヒトIgM抗体重鎖をコードする遺伝子を含むことがさらに好ましい。別の好ましい実施形態において、HACは、全9種類の抗体重鎖をコードする遺伝子を含み、ヒトIgM抗体重鎖をコードする遺伝子は、有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域をコードするようにキメラ化されていることがより好ましい。別の実施形態において、HACは、ヒト抗体重鎖をコードするヒト染色体14の一部を含んでもよい。ヒト抗体重鎖の可変領域遺伝子および定常領域遺伝子はクラスターを形成し、ヒト重鎖遺伝子座は、ヒト14番染色体上の14q32に位置している。一実施形態において、HACに挿入されたヒト14番染色体の領域は、ヒト14番染色体の14q32領域のヒト抗体重鎖の可変領域および定常領域を含む。

0028

本発明のHACベクターにおいて、ヒト抗体重鎖をコードする核酸の少なくとも1つのクラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている。このクラススイッチ調節エレメントは、抗体重鎖定常領域の5’側にある核酸を指す。各重鎖定常領域遺伝子は、独自のスイッチ領域と作動可能に連結されており(すなわち、その制御下にあり)、独自のI−エクソンとも結合している。クラススイッチ調節エレメントは、クラススイッチ組み換えを調節し、Ig重鎖のアイソタイプを決定する。各重鎖アイソタイプの生殖系列転写は、I−エクソンのちょうど5’側に位置するプロモーター/エンハンサーエレメントによって駆動され、それらのエレメントはサイトカインまたは他の活性化因子応答性である。クラススイッチの単純なモデルにおいて、特定の活性化因子および/またはサイトカインは、そのクラススイッチ調節エレメント(すなわち、活性化因子/サイトカイン応答性プロモーターおよび/またはエンハンサー)の各重鎖アイソタイプの生殖系列転写を誘導する。クラススイッチは、各Ig重鎖(IGH)遺伝子座に関連するスイッチ領域からのI−エクソンの転写によって先行される。各重鎖定常領域遺伝子は、それ自身のスイッチ領域に連結されている。

0029

任意の適切な有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントを使用することができる。本明細書で使用する「有蹄動物」は、ウシ、ブタ、ウマ、ロバシマウマシカオウシ、ヤギ、ヒツジ、およびカモシカを含むがこれらに限定されない任意の適切な有蹄動物であってよい。例えば、以下に記載するヒト重鎖遺伝子アイソタイプは、
IgM:Iμ−Sμ
IgG1:Iγ1−Sγ1
IgG2:Iγ2−Sγ2
IgG3:Iγ3−Sγ3
IgG4:Iγ4−Sγ4
IgA1:Iα1−Sα1
IgA2:Iα2−Sα2
IgE:Iε−Sε
のクラススイッチ調節エレメントを有する。

0030

様々な実施形態において、HAC上のヒト抗体重鎖遺伝子のうちの1、1以上、または全ては、有蹄動物のIμ−Sμ、Iγ−Sγ、Iα−Sα、またはIε−Sεのクラススイッチ調節エレメントを含むがこれらに限定されない有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されているクラススイッチ調節エレメントを有する。一実施形態において、(配列番号183の中のものなどの)HAC上のヒトIgG1重鎖をコードする核酸のIγ1−Sγ1ヒトクラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物のIγ1−Sγ1クラススイッチ調節エレメントで置換される。代表的な有蹄動物のIγ1−Sγ1クラススイッチ調節エレメントには、ウシIgG1のIγ1−Sγ1クラススイッチ調節エレメント(配列番号182)、ウマIγ1−Sγ1クラススイッチ調節エレメント(配列番号185)、およびブタのIγ1−Sγ1クラススイッチ調節エレメント(配列番号186)が含まれる。しかし、対応する重鎖アイソタイプの有蹄動物クラススイッチ調節エレメントでヒトクラススイッチ調節エレメントを置換する必要はない。したがって、例えば、HAC上のヒトIgG3重鎖をコードする核酸のIγ3−Sγ3ヒトクラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物Iγ1−Sγ1クラススイッチ調節エレメントで置換することができる。本明細書の教示に基づいて当業者に明らかであるように、任意のこのような組み合せは、本発明のHACに使用することができる。

0031

別の実施形態において、HACは、HAC上の1以上のヒト抗体重鎖定常領域をコードする核酸と関連するエンハンサーエレメントを置換するための少なくとも1つの有蹄動物エンハンサーエレメントを含む。ヒト抗体重鎖遺伝子に関連する2つの3’エンハンサー領域アルファ1およびアルファ2)がある。エンハンサーエレメントは、重鎖定常領域の3’側にあり、クラススイッチを調節するのにも役立つ。3’Eαエンハンサーを含むがこれに限定されない任意の適切な有蹄動物エンハンサーを使用することができる。使用することができる3’Eαエンハンサーの非限定的な例としては、3’Eα、3’Eα1、および3’Eα2が挙げられる。HACに使用でき、ヒトエンハンサーを置換することができるウシの代表的な3’Eαエンハンサーエレメントには、ウシHS3エンハンサー(配列番号190)、ウシHS12エンハンサー(配列番号191)、およびウシエンハンサーHS4が含まれるがこれらに限定されない。この実施形態は、HACが、ヒト14番染色体の14q32領域のヒト抗体重鎖の可変領域および定常領域を含む実施形態において特に好ましい。

0032

本発明のHACベクターは、ヒト抗体軽鎖をコードする1以上の遺伝子を含んでもよい。任意の適切なヒト抗体軽鎖をコードする遺伝子は、本発明のHACベクター中で使用することができる。ヒト抗体軽鎖は、2種類の遺伝子、すなわち、カッパκ鎖遺伝子およびラムダλ鎖遺伝子を含む。一実施形態において、HACは、1以上のコピー数でカッパおよびラムダの両方をコードする遺伝子を含む。カッパ鎖の可変領域および定常領域は、ヒト2番染色体の2p11.2−2p12に位置しており、ラムダ鎖は、ヒト22番染色体の22q11.2に位置するクラスターを形成する。したがって、一実施形態において、本発明のHACベクターは、2p11.2−2p12領域のカッパ鎖遺伝子クラスターを含むヒト2番染色体断片を含む。別の実施形態において、本発明のHACベクターは、22q11.2領域のラムダ鎖遺伝子クラスターを含むヒト22番染色体断片を含む。

0033

別の実施形態において、HACベクターは、ヒト抗体代替軽鎖をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。ヒト抗体代替軽鎖をコードする遺伝子は、pre−B細胞受容体(preBCR)を構成するヒトpro−B細胞において遺伝子再構成により産生される抗体重鎖に関連付けられた仮想抗体軽鎖をコードする遺伝子を指す。VpreB1(配列番号154)、VpreB3(配列番号178)およびλ5(IgLL1としても知られる、配列番号157)ヒト抗体代替軽鎖、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切なヒト抗体代替軽鎖をコードする遺伝子を使用することができる。VpreB遺伝子およびλ5遺伝子は、ヒト22番染色体の22q11.2のヒト抗体ラムダ鎖遺伝子座内に位置している。したがって、一実施形態において、HACは、VpreB遺伝子およびλ5遺伝子を含むヒト22番染色体の22q11.2領域を含んでもよい。本発明のヒトVpreB遺伝子は、VpreB1遺伝子(配列番号154)およびVpreB3遺伝子(配列番号178)のいずれかまたは両方を提供し、一実施形態において、VpreB1遺伝子およびVpreB3遺伝子の両方を提供する。

0034

さらに別の実施形態において、HACベクターは、有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子を含む。この実施形態において、IgM重鎖定常領域は、ヒトIgM抗体重鎖可変領域を有するキメラとして発現する。ウシIgM(配列番号152)、ウマIgM(配列番号176)、ヒツジIgM(配列番号174)、およびブタIgM(配列番号175)を含むがこれらに限定されない任意の適切な有蹄動物IgM重鎖抗体の定常領域をコードする核酸を使用することができる。一実施形態において、キメラIgMは、配列番号200の配列を含む。IgM重鎖分子を介するpre−BCR/BCRシグナル伝達は、B細胞膜分子のIg−α/Ig−βと相互作用し、細胞内でのシグナル伝達を引き起こすことによって、B細胞の増殖および発達を促進する。IgMの膜貫通領域および/または他の定常領域は、シグナル伝達のためのIg−α/Ig−βとの相互作用に重要な役割を担うと考えられる。IgM重鎖定常領域の例としては、CH1、CH2、CH3、およびCH4などの定常領域ドメイン、ならびにTM1およびTM2などのB細胞の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインをコードする核酸を含む。本発明のヒト人工染色体ベクターに含まれる有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域をコードする核酸は、上記のIgM重鎖定常領域中の領域が、B細胞受容体のシグナルまたはB細胞増殖/発達を十分に誘導し得る範囲内にあるかぎり、特に限定されるものではない。一実施形態において、有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域をコードする核酸は、有蹄動物に由来する膜貫通および細胞質のTM1ドメインならびにTM2ドメインを提供し、他の実施形態において、有蹄動物に由来するCH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、TM1ドメイン、およびTM2ドメインまたは有蹄動物に由来するCH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、CH4ドメイン、TM1ドメイン、およびTM2ドメインをコードする。

0035

一実施形態において、ウシのIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子は、ウシ内因性IgM重鎖遺伝子が位置するIGHM領域に含まれるウシIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子(IGHM由来)、またはIGHML1領域中のウシIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子(IGHML1由来)である。別の実施形態において、ウシIgM重鎖定常領域をコードする遺伝子は、IGHM領域に含まれる。

0036

さらなる実施形態において、HACは、ヒト重鎖(例えば、IgG1重鎖などのヒトIgG重鎖)をコードする遺伝子を含むヒト抗体重鎖をコードする遺伝子を含み、ヒト重鎖遺伝子の定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインは、有蹄動物に由来する重鎖(例えば、IgG1重鎖などの有蹄動物IgG重鎖)定常領域遺伝子の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインで置換されている。一実施形態において、(ウシなどの)有蹄動物に由来する(IgG1などの)IgG重鎖定常領域の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインをコードする遺伝子を用いて、ヒトIgG重鎖遺伝子の対応する領域を置換する。別の実施形態において、(ウシなどの)有蹄動物に由来する(IgG1などの)IgG重鎖定常領域のTM1およびTM2ドメインをコードする遺伝子を用いて、ヒトIgG重鎖遺伝子の対応する領域を置換する。別の実施形態において、(ウシなどの)有蹄動物に由来する(IgG1などの)IgG重鎖定常領域のCH1−CH4ドメインならびに/またはTM1およびTM2ドメインの1以上をコードする遺伝子を用いて、ヒトIgG重鎖遺伝子の対応する領域を置換する。

0037

第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の任意の実施形態または実施形態の組み合せに従って、HACベクターを含むトランスジェニック有蹄動物を提供する。本発明のHACベクターを含むトランスジェニック有蹄動物は、本発明のヒト人工染色体ベクターが導入された動物を指す。本発明のHACを有するトランスジェニック有蹄動物は、その動物が、ヒト人工染色体断片をその細胞に導入することのできるトランスジェニック有蹄動物であるかぎり、特に限定されるものではなく、任意の非ヒト動物、例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、およびブタなどの有蹄動物を使用してもよい。一態様において、このトランスジェニック有蹄動物はウシある。本発明のHACベクターを有するトランスジェニック有蹄動物は、本明細書に記載のものなどの任意の適切な技術を用いて、例えば、宿主動物卵母細胞に本発明のHACベクターを導入することによって作製することができる。本発明のHACベクターは、例えば、マイクロセル融合法によって宿主有蹄動物に由来する体細胞に導入してもよい。その後、HACベクターを有する動物は、細胞の核またはクロマチン凝集体を卵母細胞に移植し、この卵母細胞またはこの卵母細胞から形成される出産させる宿主動物の子宮に移植することによって作製することができる。上記の方法で作製した動物が本発明のヒト人工染色体ベクターを有するか否かは、Kuroiwaら(Kuroiwa et al.,Nature Biotechnology,18,1086−1090,2000およびKuroiwa et al.,Nature Biotechnology,20,889−894)の方法により確認することができる。

0038

第3の態様において、本発明は、ゲノムに導入され、
(a)抗体重鎖をコードする各遺伝子が、クラススイッチ調節エレメントに作動可能に連結されている1以上のヒト抗体重鎖と、
(b)1以上のヒト抗体軽鎖と、
(c)1以上のヒト抗体代替軽鎖、および/または有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域と、
をコードする遺伝子を含むトランスジェニック有蹄動物を提供し、1以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つのクラススイッチ調節エレメントは、有蹄動物に由来するクラススイッチ調節エレメントで置換されている。

0039

この第3の態様において、HACについて本明細書に記載したように、トランスジェニック有蹄動物は、核酸の任意の実施形態または実施形態の組み合せを含んでもよいが、核酸は、HAC中に存在するというよりも、有蹄動物の染色体に組み込まれている。

0040

第4の態様において、本発明は、ヒト抗体を産生する方法であって、(a)本発明の任意の実施形態または実施形態の組み合わせのトランスジェニック有蹄動物に標的抗原を投与し、有蹄動物の血清または血漿中に標的抗原に特異的なヒト抗体を産生および蓄積させることと、(b)この有蹄動物の血清または血漿からこの標的抗原に特異的なヒト抗体を回収することと、を含む方法を提供する。一実施形態において、抗体を回収することは、(i)トランスジェニック有蹄動物からリンパ球を単離することと、(ii)このリンパ球からヒトモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作製することと、(iii)この標的抗原に特異的なヒトモノクローナル抗体をこのハイブリドーマから回収することと、を含む。別の実施形態において、このトランスジェニック有蹄動物のリンパ球は、このトランスジェニック有蹄動物のリンパ節から単離される。さらなる実施形態において、このトランスジェニック有蹄動物を標的抗原で過免疫する。

0041

標的抗原に特異的なヒト抗体は、本発明のHACベクターを有するトランスジェニック有蹄動物を所望の標的抗原で免疫し、トランスジェニック有蹄動物の血清中で標的抗原特異的ヒト抗体を産生させ、この標的抗原特異的ヒト抗体をトランスジェニック有蹄動物の血清から回収することによって生成することができる。本発明のHACベクターを有するトランスジェニック有蹄動物を免疫化するための標的抗原は、特に限定されないが、例としては、腫瘍関連抗原アレルギーまたは炎症に関連する抗原、循環器疾患に関連する抗原、自己免疫疾患に関連する抗原、神経変性疾患に関連する抗原、およびウイルスまたは細菌感染に関連する抗原が挙げられる。

0042

腫瘍関連抗原の例としては、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD9、CD10、CD13、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD28、CD30、CD32、CD33、CD38、CD40、CD40リガンド(CD40L)、CD44、CD45、CD46、CD47、CD52、CD54、CD55、CD55、CD59、CD63、CD64、CD66b、CD69、CD70、CD74、CD80、CD89、CD95、CD98、CD105、CD134、CD137、CD138、CD147、CD158、CD160、CD162、CD164、CD200、CD227、アドレノメデュリンアンジオポエチン関連タンパク質4(ARP4)、オーロラ、B7−H1、B7−DC、インテグリン骨髄間質抗原2(BST2)、CA125、CA19.9、炭酸脱水酵素9(CA9)、カドヘリン、cc−ケモカイン受容体CCR)4、CCR7、癌胎児性抗原CEA)、システインリッチ線維芽細胞増殖因子受容体1(CFR−1)、c−Met、c−Myc、コラーゲン、CTA、結合組織増殖因子(CTGF)、CTLA−4、サイトケラチン−18、DF3、E−カセリン(catherin)、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRvIII、EGFR2(HER2)、EGFR3(HER3)、EGFR4(HER4)、エンドグリン上皮細胞接着分子(EpCAM)、内皮プロテインC受容体(EPCR)、エフリン、エフリン受容体(Eph)、EphA2、エンドセリアーゼ(endotheliase)−2(ET2)、FAM3D、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、Fc受容体ホモログ1(FcRH1)、フェリチン線維芽細胞増殖因子−8(FGF−8)、FGF8受容体、塩基性FGF(bFGF)、bFGF受容体、FGF受容体(FGFR)3、FGFR4、FLT1、FLT3、葉酸受容体、frizzledホモログ10(FZD10)、frizzled受容体4(FZD−4)、G250、G−CSF受容体ガングリオシド(GD2、GD3、GM2、およびGM3など)、グロボH、gp75、gp88、GPR−9−6、ヘパラナーゼI、肝細胞増殖因子HGF)、HGF受容体、HLA抗原HLA−DRなど)、HM1.24、ヒト乳脂肪球(HMFG)、hRS7、熱ショックタンパク質90(hsp90)、イディオタイプエピトープインスリン様成長因子(IGF)、IGF受容体(IGFR)、インターロイキンIL−6、およびIL−15など)、インターロイキン受容体(IL−6R、およびIL−15Rなど)、インテグリン、免疫受容体転座関連−4(IRTA−4)、カリクレイン1、KDR、KIR2DL1、KIR2DL2/3、KS1/4、ランプ1、ランプ2、ラミニン5、ルイスy、シアリルルイスx、リンホトキシンβ受容体LTBR)、LUNX、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、メソセリンMICA、ミューラー阻害物質II型受容体MISIIR)、ムチン神経細胞接着分子NCAM)、Necl−5、ノッチ1、オステオポンチン血小板由来増殖因子(PDGF)、PDGF受容体、血小板因子4(PF−4)、ホスファチジルセリン前立腺特異抗原(PSA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、副甲状腺ホルモン関連タンパク質/ペプチドPTHrP)、NF−κBリガンドの受容体活性因子(RANKL)、ヒアルロン酸を介した運動性受容体(RHAMM)、ROBO1、SART3、セマフォリン4B(SEMA4B)、分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤(SLPI)、SM5−1、スフィンゴシン−1−リン酸塩腫瘍関連糖タンパク質−72(TAG−72)、トランスフェリン受容体(TfR)、TGF−β、Thy−1、Tie1、Tie2受容体、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン1(TIM−1)、ヒト組織因子(hTF)、Tn抗原、腫瘍壊死因子(TNF)、トムセン−フリーデンライヒ抗原(TF抗原)、TNF受容体、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、TRAIL受容体(DR4、およびDRS)、システムASCアミノ酸トランスポーター2(ASCT2)、trkC、TROP−2、TWEAK受容体Fn14、IV型コラゲナーゼウロキナーゼ受容体血管内皮増殖因子VEGF)、VEGF受容体(VEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3)、ビメンチン、ならびにVLA−4が挙げられる。

0043

アレルギーまたはフレアに関連する抗原の例としては、IL−6、IL−6R、IL−5、IL−5R、IL−4、IL−4R、TNF、TNF受容体、CCR4、ケモカイン、およびケモカイン受容体などが挙げられる。循環器疾患に関連する抗原の例としては、GPIIb/IIIa、PDGF、PDGF受容体、血液凝固因子、およびIgEなどが挙げられる。ウイルスまたは細菌感染に関連する抗原の例としては、gp120、CD4、CCR5、ベロ毒素炭疽菌防御抗原メチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSA)抗原、B型肝炎ウイルスHBV)抗原、サイトメガロウイルス(CMV)抗原、狂犬病抗原、および水痘帯状疱疹抗原などが挙げられる。その他の例としては、T細胞表面膜タンパク質合物、Rh(D)抗原、ガラガラヘビ毒、およびジゴキシンなどが挙げられる。

0044

トランスジェニック有蹄動物に、例えば、完全フロイントアジュバントまたは水酸化アルミニウムゲルなどの適切なアジュバント、および百日咳菌ワクチンと共に標的抗原を皮下、静脈内、または腹腔内投与することにより免疫を行う。一実施形態において、免疫は、抗原に対する保護力価を動物に単に与えることを上回る予防接種を指す過免疫を含む。例えば、保護力価が1:120である場合、免疫の受動伝達に保護力価を与えるために、これらの力価を生物学的治療薬生成中希釈することができるように1:10,240まで動物に過免疫することができる。本発明のHACベクターを有するトランスジェニック有蹄動物に標的抗原を投与する形態の例としては、ペプチド、タンパク質、細菌、ウイルス、細胞、および生体組織片などが挙げられる。標的抗原が部分ペプチドである場合には、コンジュゲートは、ウシ血清アルブミン(BSA)、またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの担体タンパク質を用いて生成され、免疫原として使用される。最初の投与後1〜4週間ごとに、標的抗原を1〜10回投与する。各投与から1〜14日後に、血清中の抗体価を測定するために、血液を動物から採取する。

0045

血清中に含まれる標的抗原特異的なヒト抗体を検出および測定するための方法の例としては、酵素結合免疫吸着アッセイによる結合アッセイなどが挙げられる。血清中のヒト抗体の結合量は、抗原を発現する細胞と共にヒト抗体を含む血清をインキュベートし、次いで、ヒト抗体を特異的に認識する抗体を用いることによって測定してもよい。

0046

さらに、これらの方法に加えて、抗体は、当該分野で公知の方法に従って、抗体の標的抗原を同定することによって選択してもよい。血清からヒト抗体を回収する方法の例としては、プロテインA担体プロテインG担体、またはヒト免疫グロブリンに特異的な抗体が担持された担体上にヒト抗体を吸着させることによって精製する方法が挙げられる。ゲル濾過イオン交換クロマトグラフィー、および限外濾過などのタンパク質の精製に使用される方法を組み合わせてもよい。

0047

上記の方法によって産生されるヒト抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってよい。様々な種類の抗体を調製および利用する方法は、当業者によく知られており、本発明を実施するのに適する(例えば、Harlow,et al.Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988;Kohler and Milstein,Nature,256:495(1975)参照)。ハイブリドーマの調製方法の例は、以下の工程を含む:(1)標的抗原でトランスジェニック有蹄動物を免疫する工程、(2)このトランスジェニック有蹄動物から(すなわち、リンパ節から)抗体産生細胞を回収する工程、(3)抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合する工程、(4)上記工程で得られた融合細胞から、標的抗原と反応するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを選択する工程、(5)選択したハイブリドーマから、標的抗原と反応するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを選択する工程。

0048

実施例
方法
全ての動物の処置は、Hematechのガイドライン遵守して実施され、プロトコルは施設内動物管理使用委員会によって承認された。

0049

ゲノムライブラリー
ゲノムDNAを、κHACベクター(κC1−1)を含むCHO細胞またはウシ線維芽細胞株6939および3427のいずれかから抽出し、それぞれκHACまたはウシゲノムライブラリーを構築した。各λファージベースのゲノムライブラリーは、カスタムライブラリー構築サービス(Lofstrand Labs株式会社)を介してλFIX IIベクターを用いて構築した。ライブラリースクリーニングおよびλファージDNA抽出/精製を先に報告された5ように行った。ウシのゲノムBACライブラリー(CHORI−240)を、小児病院オークランド研究所から購入し、取扱説明書に従ってスクリーニングを行った。

0050

ターゲティングベクターの構築
各ベクターの構築を、以下に記載のいくつかの変更を加えて、先に報告された5、12、20、21ように行った。

0051

pTEL’hisDpurolox2272F9R9
相同アームのためのゲノムDNA断片を、10秒間98℃および9分間68℃の40サイクルで、PCRプライマーペアのkD−F9およびkD−R9を用いることによって増幅した。このPCR産物を、プラスミドpTEL’hisDpurolox2272のBam HI部位にサブクローニングし、以下のように構築した。オリゴDNAを含む改変lox2272(オリゴDNAペア1;下記の表1参照)を、アニーリング後、プラスミドpPUR(BD Bioscience Clontech社)のHind IIIにクローニングし、プラスミドpPURlox2272を作製した。一方、別のプラスミドpTEL’hisDPmを、前述のプラスミドpTELpuroを改変することによって構築し、その際、puro遺伝子はhisD遺伝子で置換され、EcoRI部位はSrf Iで置換され、Spe I部位はPme I部位に変換された。次いで、pPURlox2272からのBam HI断片を、平滑化した後、pTEL’hisDPmのPme I部位にクローニングし、pTEL’hisDpurolox2272F9R9を作製した。

0052

pTELCAGzeoSLF2R2
プラスミドpTELpuroを、さらにEcoRI部位をSrf I、次いで、Pme Iに変換し、puro遺伝子をCAGzeo遺伝子{pTELCAGzeo(Sr)Pm}に置換することによって改変した。一方、相同アームのためのゲノムDNA断片を、PCRプライマーペアのSL−F2およびSL−R2を用いて、10秒間98℃および9分間68℃の40サイクルで増幅した。このPCR産物を、プラスミドpTELCAGzeo(Sr)PmのBam HI部位にサブクローニングし、pTELCAGzeoSLF2R2を作製した。

0053

p553CAGlox2272BsrDT
HCF2遺伝子の相同性アームの配列をAP000553の配列で置換することによって前述のターゲティングベクターpHCF21oxPHygを改変し、これを、PCRプライマーペアの553−F3および553−R3を用いて、10秒間98℃および15分間68℃の40サイクルで増幅し、p5531oxPHyg(F)を作製した。このプラスミドを、Not Iで消化し、自己連結させ、その後、Srf I部位にDT−A断片をクローニングした。一方、pDRIVE−CAG(InvivoGen社)を以下のように改変した。lacZ断片(BsrGI−EcoRI)を、アニーリング後に、loxP配列を含むオリゴDNA(オリゴDNAペア2、下記表1参照)で置換し、次いで、Sda I−Swa I断片をPst I/Sma Iで消化したpBluescriptSK−(Stratagene社)にクローニングし、pCAGloxPを作製した。loxP配列を、さらに、2つのオリゴDNA(オリゴDNAペア3、下記表1参照)をアニーリングした後に生成したlox2272含有配列で置換した。次いで、bsr遺伝子をSpe I部位に付加し、pCAGloxP2272bsrを作製した。最後に、Not I−Kpn I断片(CAG−lox2272−ポリA−bsr)をNot I部位にクローニングし、p553CAGlox2272BsrDTを得た。

0054

pSC355CAGlox511hisDDT
相同アームのためのゲノムDNA断片を、PCRプライマーペア、SC355−F3およびSC355−R3を用いて、10秒間98℃および15分間68℃の40サイクルで増幅した。このPCR産物を、Kpn I部位をSrf I部位に変換したプラスミドpBluescriptのSpe I部位にサブクローニングし、pSC355F3R3を作製した。loxP配列を、2つのオリゴDNA(オリゴDNAペア4、下記の表1参照)をアニーリングした後に生成したlox511含有配列とさらに置換することによって、pCAGloxPプラスミドを同様に改変した。次いで、hisD遺伝子をSpe I部位に付加し、pCAGlox511hisDを作製した。Not I−Kpn I断片(CAG−lox511−ポリA−hisD)をpSC355F3R3のEcoRV部位にクローニングした。最後に、DT−AカセットをNot Iにサブクローニングし、pSC355CAGlox511hisDDTを得た。

0055

p14CEN(FR)hygpurolox511DT
相同アームのためのゲノムDNA断片を、PCRプライマーペアの14CEN−Fおよび14CEN−Rを用いて、10秒間98℃および15分間68℃の40サイクルで増幅した。このPCR産物を、Kpn I部位をPme I部位に変換したプラスミドpBluescriptのBam HI部位にサブクローニングし、p14CEN(FR)を作製した。この改変lox511含有オリゴDNA(オリゴDNAペア5、下記表1参照)を、アニーリング後に、プラスミドpPUR(BD Bioscience Clontech社)のHind III部位にクローニングし、プラスミドpPURlox511を作製した。pPURlox511のBam HI断片を、pBluescriptSK−(Stratagene社)のBam HI部位にクローニングし、hyg遺伝子をEcoRVにクローニングした後、pHygPurolox511を作製した。Not I−Kpn I断片を、p14CEN(FR)のHpa I部位にクローニングした。最後に、DT−Aカセットを、Pme Iにサブクローニングし、p14CEN(FR)hygpurolox511DTを得た。

0056

pRNR2loxPbsrDT
単にDT−Aカセットを付加することによって、前述のベクターpRNR2loxPbsr(Ref.20)を改変し、pRNR2loxPbsrDTを構築した。

0057

pCH1CAGzeo(R)DT(F)
ゲノムλファージライブラリーを、カスタムライブラリー構築サービス(Lofstrand社)を介してλFIX IIベクターを用いてκHACを含むCHO細胞から構築した。このゲノムライブラリーを、PCRペアのhCμ−FRを用いて増幅したPCR産物であるプローブを用いてhIGHM定常領域についてスクリーニングし、次いで、クローン#1、#4、および#7を単離した。クローン#4から、1.7kbのPml I断片をpBluescriptのSma I部位にサブクローニングし、pCH1S(F)を作製した。Sal I−ウシIGHMゲノム断片がpBluescriptにクローニングされたプラスミドpBCμAY37−95からの1kbのSac I−Pml I断片を、pCH1S(F)のPst I部位にサブクローニングし、pCH1SSP(F)を作製した。上記クローン#1からの7.4kbのSma I−EcoRI断片を、EcoRV/Eco RIで消化したpCH1SSP(F)にクローニングし、pCH1SLを作製した。一方、プラスミドpBCμAY37−95から、3.5kbのSac I断片をpBluescriptにサブクローニングし、次いで、loxP導入CAGzeo(CAGzeo断片をpBS246(Gibco社)のEco RV部位にサブクローニングした)のXho I断片を、Van91 I部位にクローニングし、pmAYSazeo(F)を作製した。pmAYSazeo(F)からのSac I断片を、さらにpCH1SLの平滑末端のEco RI部位にサブクローニングし、pCH1zeo(F)を作製した。最終ステップとして、DT−Aカセットを、pCH1zeo(F)のNot I部位にサブクローニングし、pCH1CAGzeo(R)DT(F)を得た。

0058

pCH2CAGzeoDT
アニーリングしたオリゴDNA対のSeSpを、pBluescriptの平滑末端のPst I部位にクローニングした。pBCμAY37−95から、2kbのSph I−Bam HI断片を、Sph I−Bam HI部位にサブクローニングし、pmAYSpBを作製した。同様に、pBCμAY37−95からの2kbのBam HI−Pml I断片を、(元のSpe I部位を変換した)Bam HI−Pme I部位にサブクローニングし、pmAYSpBPmlを作製した。上記のクローン#1からの0.6kbのEcoRI−SexAI断片を、pmAYSpBPmlのEco RI−Sex AI部位にサブクローニングし、pRISeを作製した。次いで、loxP導入CAGzeoを、pRISeのVan91 I部位にサブクローニングし、pRISeCAGzeo(R)を作製し、そのNot I部位をEco RI部位に変換し、pRISeCAGzeoEを作製した。一方、上記のクローン#4からの1.7kbのPml I断片をpBluescriptのSma I部位にサブクローニングし、そのEcoRV部位をMlu I部位に変換して、pCH2S(F)を作製した。上記クローン#1からの6.6kbのMlu I−Eco RI断片を、pCH2(F)のMlu I−Eco RIにクローニングし、pCH2LSを作製した。次いで、pRISeCAGzeoEからのEco RI断片をpCH2LSのEco RI部位にサブクローニングし、pCH2CAGzeo(F)を作製した。最終ステップとして、DT−AカセットをpCH2CAGzeo(F)のNot I部位にサブクローニングし、pCH2CAGzeoDTを得た。

0059

pCC1BAC−isHAC
κHACを含むCHO細胞から構築されるゲノムλファージライブラリーをスクリーニングし、PCRペアのg1(g2)−FRを用いて増幅したPCR産物であるプローブを用いることによって、ヒトIγ1−SγI領域、続いてhIGHG1定常領域をカバーするゲノムDNA断片を単離し、次いで、クローン#h10および#h18/h20を同定した。クローン#h10から、2kbのAfe I−Bam HI断片を短腕として使用するために回収し、10.5kbのApa I−Hpa I断片を、長腕のためにクローン#h18/h20から得た。一方、ウシゲノムλファージライブラリーをスクリーニングして、PCRペアのbIgG1−FRを用いて増幅したPCR産物であるプローブを用いることによって、ウシIγ1−SγI領域、続いてbIGHG1定常領域をカバーするゲノムDNA断片を単離し、次いで、クローン#b42を同定し、その9.7kb断片(5’末端からBsu36 I)を、6.8kbのヒトIγ1−SγI領域を置換するためにアセンブルした。Bsu36 I−Apa Iリンカーを用いて、ウシIγ1−SγI領域の3’末端およびhIGHG1定常領域の5’末端を結合させた。図22Bに示すように、FRTおよびDT−A遺伝子が隣接するneo遺伝子を挿入した。上記の全てのアセンブルを、BACベースの骨格を有するベクターpCC1BAC(EPICENTRE)上で行った。

0060

phIγ1FRTCAGattPhisDDT
クローンh10からの11.4kbのKpn I−Not Iゲノム断片を、クローン#h10から単離し、pBluescriptSK(−)ベクターにサブクローニングした。次いで、FRT−CAGプロモーター−attP−ポリA−hisDカセットを、Kpn I部位から1.8kb下流にある5’Bam HI部位に挿入した。最後に、DT−A遺伝子をNot I部位にクローニングした。

0061

phγ1TMNeoattPDT
クローンh20からの7.5kbのSac IIゲノム断片をpBluescriptSK(−)ベクターにサブクローニングした。次に、neo−attPカセットをHind III部位に挿入し、その後、Not I部位にDT−A遺伝子をクローニングした。

0062

pBAC−istHAC
ウシTM1−TM2ドメインを含む7.3kbのBmg BI−Sph Iウシゲノム断片をクローン#b66から入手し、その5’部分を、リンカーpNsiI−bG1−hG1−BmgBIによって、isHACからの9.5kbのウシIγ1−SγI断片(#b42由来)および1.6kbのhIGHG1遺伝子(#h10由来)の3’部分と結合させた。attB−DsRed−FRTカセットを9.5kbのウシIγ1−SγI断片(#b42由来)の5’側に挿入し、別のattB配列を、クローン#b66から得られたウシTM1/TM2ドメインを含む7.3kbのBmg BI−Sph Iウシゲノム断片の3’側に入れた。上記の全てのアセンブルをBACベースの骨格を有するベクターpCC1BAC(EPICENTRE)上で行った。

0063

pCλ1CAGzeoPuroloxPDT
プライマーペアのbCLR−FRによって増幅したプローブを用いて、IGLJ1−IGLC1遺伝子の5’側をカバーするいくつかのλファージクローンを同定した。13kbのNde I−Hin dIIIゲノム断片をpBluescriptSK(−)ベクターにサブクローニングし、CAGzeo/loxP/プロモーターレスpuroカセットをゲノム断片に存在するAfe I部位に挿入した。最後に、DT−A遺伝子をNot I部位に挿入した。このベクターをアレルAおよびBから構築した。

0064

pCλ5CAGloxPneoDT
プライマーペアのbCLL−FRによって増幅したプローブを用いて、IGLJ5−IGLC5遺伝子の3’側をカバーするいくつかのλファージクローンを同定した。10kbのSac II−Nsi Iゲノム断片をpBluescriptSK(−)ベクターにサブクローニングし、CAGプロモーター/loxP/ポリA/neoカセットをゲノム断片に存在するHin dIII部位に挿入した。最後に、DT−A遺伝子をNot I部位に挿入した。このベクターを、アレルAおよびBから構築した。

0065

ニワトリDT40細胞内でのヒト14番染色体断片の改変
構造が定義されたhChr14ベクターを使用し、できるだけ多くの無関係のヒト遺伝子を除去するために、インタクトなhChr14を改変し、その後、IgMをウシ化した(図17A)。インタクトなhChr14を保持するニワトリDT40細胞を、ターゲティングベクターpSC355CAGlox511hisDDTを用いてエレクトロポレーションし、hIGH遺伝子座に対して約300kbセントロメア側にある遺伝子座AL512355にlox511およびCAGプロモーターを組み込んだ。コロニーをヒスチジノールで選択し、ゲノムPCRスクリーニングに供し、陽性PCRとしてプライマーSC355KO−F2/R2を用い、陰性PCRとしてプライマー355N−F/Rも用いて、相同組み換えの発生を確認した(図17D)。クローンI355−2を良好な標的化クローンとして同定した。

0066

I355−2を、ターゲティングベクターp14CEN(FR)hygpurolox511DTでトランスフェクションし、AL512355に対して約85Mbセントロメア側にある遺伝子座AL391156に別のlox511およびプロモーターのないpuro遺伝子を組み込んだ。コロニーをハイグロマイシンBで選択し、PCRスクリーニングに供し、陽性PCRとしてプライマー14CENKO−F3/R3(下記表1参照)を用い、陰性PCRとしてプライマー14CEN(N)−F2/R2(下記表1参照)も用いて相同組み換えの発生を確認した(図17D)。クローンI156−10を良好な標的化クローンとして同定した。

0067

I156−10を、一方が遺伝子座AL512355で、他方がAL391156である2つのlox511部位間での部位特異的組み換えを媒介するためにCre発現プラスミドでトランスフェクションし、それらの間の約85Mbの配列を欠失させ、hChr14を106Mbから約21Mbまで短くした。ピューロマイシン耐性が、組み換え部位で再構成されたCAGプロモーターlox511−puroカセットによって付与されるので、大きな欠失が生じた細胞をピューロマイシンで選択した。このカセットの再構成を、bIGLクラスター欠失の欄に記載のように、プライマーCAGpuro−F3/R3(下記表1参照)を用いてPCRによって確認した。hisDおよびhygカセットの両方がこの85Mbの欠失の結果として除去されるので、ヒスチジノールおよびハイグロマイシンB感受性も確認した(図17B)。最後に、プローブとしてヒトCOT−1 DNAを用いる蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)により、hChr14の短縮を確認した(図17E)。クローンD8を良好な短縮クローンとして同定した。連続して、クローンD8をターゲティングベクターpRNR21oxPbsrDTで改変し、先に報告された21、22ように、RNR2遺伝子座にloxP配列およびGFP遺伝子を組み込んだ。クローン14D1を、最終IgMウシ化ステップのために選択した(CH1DおよびCH2D)。

0068

クローン14D1を、最終的にターゲティングベクターpCH1CAGzeo(R)DT(F)でウシ化し、hIGHM遺伝子のCH1ドメインからTM2ドメインをウシのIGHM遺伝子のCH1ドメインからTM2ドメインで置換し、cIgM(CH1)タンパク質を作製した。コロニーをゼオシンで選択し、ゲノムPCRスクリーニングに供し、陽性PCRとしてプライマー(下記表1参照)cHAC−F3/R3を用いて相同組み換えの発生を確認し、またプライマーCH1 5’−F/RおよびcHAC 3’−F/Rを用いて、ヒトおよびウシ間の結合配列が正確であることを確認した(図17D)。クローンCH1D2を、KcHACΔ構築物のためのCH1D断片を保持する陽性クローンとして同定した。同様に、クローン14D1をターゲティングベクターpCH2CAGzeoDT(F)でウシ化し、hIGHM遺伝子のCH2ドメインからTM2ドメインをウシのIGHM遺伝子のCH2ドメインからTM2ドメインで置換し、cIgM(CH2)タンパク質を作製し、次いで、クローンCH2D4をcKSL−HACΔ構築物のために選択した。

0069

ニワトリDT40細胞内でのヒト2番染色体断片の改変
κTL1は、hIGK遺伝子座をカバーするhChr2断片を含むDT40クローンである。ゼオシン選択は、通常、後の工程でウシ線維芽細胞においてより良好に動作するため、この細胞株を、ベクターpTELCAGzeoCD8Aでトランスフェクションし、PGKpuroカセットをCAGzeoで単純置換した。ゼオシン選択後、相同組み換えに特異的なCD8AKO−F2R2(図18A)を用いてゲノムPCRを行い、クローンκZ7を同定して、そのピューロマイシン感受性を確認し、その後、CH1D2を用いたKcHACΔ構築のために用いた。

0070

一方、κTL1もターゲティングベクターpTEL’hisDpurolox2272F9R9でエレクトロポレーションし、hChr2断片を切断し、hIGK定常領域Cκ遺伝子のIGKCに対して約300kbテロメア側にある遺伝子座AC104134にlox2272およびプロモーターのないpuro遺伝子を組み込んだ。切断が成功すると、CD8A遺伝子座のpuroカセットが欠失するので、コロニーをヒスチジノールで選択し、次いで、ピューロマイシン感受性を確認した。ゲノムDNAをピューロマイシン感受性コロニーから抽出し、κTL1に存在するが標的クローンには存在しないFABP1遺伝子座を増幅するプライマーのFABP1−Fを用いたPCRスクリーニングに供した(図18B)。クローンK53を同定し、cKSL−HACΔ構築のために使用した。

0071

ニワトリDT40細胞におけるヒト22番染色体断片の改変
概要図19Aに示す。インタクトなhChr22を保持するDT40細胞株の52−18を、ターゲティングベクターpTELCAGzeoSLFRでエレクトロポレーションし、hChr22がΔΔHACベクターのために切断されるAP000344遺伝子座に対して約450kbテロメア側であるAP000350遺伝子座においてhChr22を切断した(図19B)。コロニーをゼオシンで選択し、それらのゲノムDNAを、52−18に存在するが標的クローンに存在しないAP000350遺伝子座を増幅するプライマー(下記表1参照)350T−FRを用いるPCRスクリーニングに供した。クローンST13を、切断が成功したクローンとして同定した。

0072

ST13をターゲティングベクターp553CAGlox2272bsrDTで改変し、遺伝子座AP000553にlox2272およびCAGプロモーターを組み込んだ。コロニーをブラストサイジンSで選択し、PCRスクリーニングに供し、陽性PCRとしてプライマー553KO−FRを用い、陰性PCRとしてプライマー553−F4R4も用いて相同組み換えの発生を確認した(図19C)。クローンSTL54を標的化が成功したクローンとして同定した。

0073

ニワトリDT40細胞内でSLKH断片を作製するための、ヒト22番染色体断片のヒト2番染色体断片への転座
SLKH断片を、染色体クローニングシステムを用いて、DT40ハイブリッド細胞内で構築した(図20A)。hygカセットを有するhChr22断片を保持するクローンK53およびbsrカセットを有するhChr2断片を保持するクローンSTL54を融合(全細胞融合、WCF)して、DT40ハイブリッド細胞を作製した。コロニーをハイグロマイシンBおよびブラストサイジンSで維持し、両方のhChr断片を保持する細胞を選択し、hChr2断片については以下のプライマー(下記表1参照)のIGKC−F/R、IGKV−F/R、RPIA−F/R、EIF2AK3−F/Rおよびcos138KO−F/Rを用い、hChr22断片については別のプライマーセットの553P−F/R、hVpreB1−F/R、hVpreB3−F/R、IgL−F/R、344−F/R、hL5−F/R、350P−F/Rおよび553KO−F/Rを用いてゲノムPCRにより確認した。プローブとしてヒトCOT−1 DNAを用いたFISHにより、2つのヒト染色体断片の存在を確認した(図20B)。クローンSLK2を陽性クローンとして同定した。SLK2を、一方がhChr2断片上の遺伝子座AC104134に存在し、もう一方がhChr22断片上の遺伝子座AP000553に存在する2つlox2272部位間の部位特異的組み換えを媒介するためのCre発現プラスミドでトランスフェクションした。ピューロマイシン耐性が転座部位におけるCAGプロモーター−lox2272−puroカセットの再構成によって付与されるので、組み換え体をピューロマイシンによって選択した。これも、CAGpuro−F3R3を用いるゲノムPCRにより確認し、その後、PCR産物の直接配列決定を行った。SLKH6を、SLKH断片を保持する、転座に成功したクローンとして同定した(図20A、20B)。

0074

SLKH断片を、MMCTによりDT40ハイブリッド細胞株SLKH6からプレーンDT40細胞に移した。DT40細胞へのSLKH断片の移動の成功により、bsrカセットの損失を引き起こすので、選択をピューロマイシンで行い、次いで、コロニーをブラストサイジンS感受性について調べた(図20A)。ブラストサイジンS感受性およびピューロマイシン耐性コロニーからゲノムDNAを抽出し、SLKH断片保持をPCRプライマー(下記表1参照)のIGKC−F/R、IGKV−F/R、RPIA−F/R、EIF2AK3−F/R、cos138KO−F/R、CAGpuro−F3/R3、553P−F/R、hVpreB1−F/R、hVpreB3-F/R、IgL−F/R、344−F/R、hL5−F/R、350P−F/R、および553KO−F/Rによって確認した。ローダミンで直接標識したhChr2塗布プローブおよびフルオレセインで直接標識したhChr22塗布プローブを用いる2色FISHにより、SLKH断片の存在を確認した(図20B)。SLKD18を陽性クローンと同定した。

0075

ニワトリDT40細胞内でのcKSL−HACΔおよびKcHACΔベクターの構築
図3B概説するように、染色体クローニングシステムを用いて、cKSL−HACΔベクターをDT40ハイブリッド細胞内で構築した。hChr22断片と転座させたhChr2断片を含み、hygカセットを有するSLKD18、ならびにbsrカセットを有するhChr14断片(14D)およびcIgM(CH2)−ウシ化hIGH遺伝子座を含むCH2D4を融合させ、DT40ハイブリッドクローンcKSLD22を作製し、ハイグロマイシンBおよびブラストサイジンSで選択した。hChr22については第1のPCRプライマーセット(下記表1参照)の553P−F/R、hVpreB1−F/R、hVpreB3−F/R、IgL−F/R、344−F/R、hL5−F/R、350P−F/R、および553KO−F/Rを用い、hChr2については、第2のプライマーセットのIGKC−F/R、IGKV−F/R、RPIA−F/R、EIF2AK3−F/R、cos138KO−F/R、CAGpuro−F3/R3(hChr2とhChr22間の接合部)を用い、hChr14については第3のプライマーセット(下記表1参照)のRNR2−1×STOP−3、VH3−F/R、g1(g2)−F/R、14CENKO−F3/R3、CH2 5’−F/R、cHAC−F3/R3およびSC355F3R3KO−F/2R2を用いて大規模ゲノムPCRを行った。さらに、ヒトCOT−1 DNAを用いたFISHにより、2つのヒト染色体断片の存在も確認した。

0076

一方がSLKH断片上のCOS138遺伝子座にあり、もう一方がCH2D断片上のRNR2遺伝子座にある2つのloxP部位間での部位特異的組み換えを媒介し、cIgM(CH2)ドメイン内のloxP導入CAGプロモーター−zeoカセットを欠失させるために、cKSLD22をCre発現プラスミドでエレクトロポレーションした。GFP発現が、転座部位でのPGKプロモーター−loxP−GFPカセットの再構成によって付与されるので、組み換え体をGFP陽性細胞の選別により濃縮した。選別を2回行い、異なる発現レベルを有する2つの異なるGFP陽性集団をもたらした。より低いGFP集団は、PCRプライマー(下記表1参照)のPGK2×GFP2によって決定された、転座に成功したcKSL−HACΔを含み、PCRプライマーCreCAGzeo−F3/R3を用いて、cIgM(CH2)部位におけるCAGプロモーターzeoカセット欠失を確認した。より高いGFP集団は、リーキーなCre媒介組み換えによって、RNR2遺伝子座のloxPおよび遺伝子座AL512355/AL391156のlox511の間に反転されたCH2D断片を含んでおり、このことは、PCRプライマー(下記表1参照)のCAGpuro−F3×GFP2およびSTOPpuro−F2×STOPpuro−R、およびその後の直接配列決定によって確認された(図21)。cKSLDH22(2L)を、最終的にcKSL−HACΔを保持するDT40ハイブリッド細胞株として同定し、大規模なゲノムPCRおよび3色FISHに供した(図12A)。図3Cに概説するように、KcHACΔベクターを、DT40細胞内で同様に構築した。クローンKCDH1を、大規模ゲノムPCRおよび2色FISHに供した(図12B)。同様に、hChr2断片(κTL1)を、ウシ化cIgM(CH1)を有するSC20断片に移動させたKcHACも構築した。

0077

ニワトリDT40細胞内でのisHACおよびisKcHACΔベクターの構築
isHAC(isKcHACΔ)構築の概略を図22Aに示す。ターゲティングベクターpCC1BAC−isHACを構築し(図22B)、これを用いて、cKSL−HACΔまたはKcHACΔ上のIγ1−SγI領域をウシ化した。cKSLDH22(2L)からMMCTによって得られたcKSL−HACΔを保持するニワトリDT40細胞株のクローンcKSLDD1を、ターゲティングベクターpCC1BAC−isHACでエレクトロポレーションした。コロニーをG418で選択し、それらのゲノムDNAを、プライマーのiscont1−F1R1を用いてPCRスクリーニングに供し、相同組み換えの発生を確認した。さらに、追加の診断PCRも行い、構造的完全性を確認した(図22C)。1種類のクローンis1−11を、FLP発現プラスミドの導入によって、その後のneoカセット欠失のために選択した。このis1−11を、FLP発現プラスミドおよびDsRed発現プラスミドで同時トランスフェクションした。DsRed陽性細胞を選別し、単コロニー分離に供した。neoカセットがFRT−FLP組み換えによって欠失したG418感受性コロニーを、iscont1−F3/R6(下記表1参照)を含むゲノムPCRについて試験した(図22D)。最後に、isH11−S2およびisH9−3を選択し、次いで、それらをCHO細胞に移して、それぞれマスター細胞バンクisC1−133、isC10−2およびisC10−18を樹立し、大規模ゲノムPCRおよびCGHを行って、構造的完全性を確認した(図22E、22F)。isKcHACΔをDT40細胞で構築し、isHACと同様に、2種類のクローンのisKCDH17、isKCDH30を選択し、次いで、CHO細胞に移して、それぞれマスター細胞バンクのisKCDC8およびisKCDC38を樹立し、大規模ゲノムPCRおよびCGHを行って、構造的完全性を確認した(図22G、22H)。

0078

ニワトリDT40細胞内でのistHACベクターの構築
istHACの構築スキーム図23Aに示す。クローンcKSLDD1を、順次、2つのターゲティングベクターphλ1TMNeoattPDT(図23B)およびphIγ1FRTCAGattPhisDDT(図23C)で標的化し、それぞれhIGHG1 TM2ドメインの3’側およびヒトIγ1領域の5’側にattP配列を組み込み、2種類のクローンist1−5およびist1−21を作製した。大きなDNA置換を引き起こすために、それらをpBAC−istHACおよびφC31−発現ベクターと共に同時エレクトロポレーションした。図23Dに示すように、attPおよびattB間の予想される組み換えは、フローサイトメトリーによって検出することができるCAGプロモーター−DsRed遺伝子発現を再構成させるはずである。したがって、DsRed陽性細胞を選別した。DsRed陽性細胞の純度が95%を上回るまで、この選別プロセスを2〜3回繰り返した。その後、細胞を単コロニー単離に供し、3種類の診断ゲノムPCR(下記表1参照)のCAGDsRed−F2/R2(陽性)、bIgG1−3’−SeqF3×hIgG1−R15(陽性)およびbIgG1−3’−SeqF3×attPPuro−R3(陰性)によって調べた。結果として、ist1−5からistH5−S16およびist1−21からistH21H−S10を選択した。

0079

2種類のクローンのistH5−S16およびistH21H−S10を、最終的にFLP発現ベクターでトランスフェクションした。図23Eに示すように、FLP発現により、フローサイトメトリーによって検出することができるCAG−DsRed遺伝子発現の除去が生じるはずである。したがって、DsRed陰性細胞を選別し、その結果DsRed−陰性細胞の純度が95%を上回った。その後、細胞を、単コロニー単離に供し、3種類の診断ゲノムPCR(下記表1参照)のCAGDsRed−F2/R2(陰性)、bIgG1−3’−SeqF3×hIgG1−R15(陽性)およびhIgG1−F10×bIgG1−5’−Seq−R10(陽性)によって調べた。結果として、istH5−S16からistHD16LおよびistH21H−S10からistHD10Lを選択し、次いで、CHO細胞に移し、それぞれマスター細胞バンクのistC1−49およびistC1−6を樹立して、大規模ゲノムPCRおよびCGHを行い、構造的完全性を調べた(図23F、23G)。

0080

HACベクター構築のためのニワトリDT40細胞のトランスフェクション
先に報告された5,20,21ように、HACベクター構築を行った。簡単に説明すると、各hChr断片を含むDT40細胞を、各ターゲティングベクター約25μgでエレクトロポレーションした(550V、25μF)。コロニーを、2週間、各薬剤;G418(2mg/ml)、ピューロマイシン(0.5μg/ml)、ハイグロマイシンB(1.5mg/ml)、ブラストサイジンS(15μg/ml)、ヒスチジノール(0.5mg/ml)、またはゼオシン(1mg/ml)で選択し、示したように、それらのDNAをPCRスクリーニングに供した。

0081

ウシIGLJ−IGLC遺伝子クラスターの欠失およびミクロセル媒介染色体移入(MMCT)のためのウシ線維芽細胞のトランスフェクション
先に報告された5、12、21ように、ウシ胎仔線維芽細胞を培養し、トランスフェクションした。簡単に説明すると、550Vおよび50μFにて、線維芽細胞を各ターゲティングベクター約30μgでエレクトロポレーションした。48時間後、これらの細胞を適切な薬物;ゼオシン(0.4mg/ml)またはピューロマイシン(1μg/ml)の下で2週間選択し、耐性コロニーをピックアップして、レプリカプレートに移した。一方は、ゲノムDNA抽出のためのものであり、他方は胚クローニングのためのものであった。先に報告された5、20、21ように、各HACベクターを用いてMMCTを行った。

0082

ゲノムPCRおよびRT−PCR分析
先に報告された5、12、20、21ように、これらの分析を行った。全てのPCR産物を、0.8%アガロースゲル泳動した。プライマー配列は下記表1から利用可能である。

0083

0084

CGH分析
CGH分析のためのアレイプローブを、cKSL−HACΔベクターの推定配列に基づいて、Roche NimbleGenが設計した(図24を参照)。実験およびデータ分析をRoche NIMBLEGEN(商標)が行った。

0085

FISH分析
先に報告された5、20、21ように、ヒトCOT−1 FISHおよびhChr特異的な多色FISHを行った。hIGH、hIGKおよびhIGL遺伝子座を特異的に染色するために、プローブを、それぞれBACクローンRP11−417P24、RP11−316G9およびRP11−22M5由来のDNAから合成した。

0086

フローサイトメトリー分析
新生児トランスジェニック(Tc)子ウシにおけるB細胞の発生に関するフローサイトメトリー分析を、以下のように変更して、先に報告された5ように行った。TcウシB細胞上の表面hIgGを検出するために、AF488で直接標識したヤギ抗hIgG(Life Technologies社)を用いた。TcウシB細胞上の表面hIgκまたはhIgλを標識するために、PE(Biolegend社)で直接標識したマウス抗hIgκ抗体またはPE(Southern Biotech社)で直接標識したマウス抗hIgλ抗体を使用した。B細胞上の表面bIgλまたはbIgκを標識するために、マウスモノクローナル抗bIgλ(インハウスクローン132D7)またはマウスモノクローナル抗bIgκ(インハウスクローン132B10)、続いて、ゼノンマウスIgG1PE標識(Life Technologies社)を使用した。染色を標準的なプロトコルによって行い、その後、FACSRIA(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences社)によって分析した。

0087

ELISA
先に報告された5ように、全hIgGELISAアッセイを行った。完全hIgG/hIgκまたはhIgG/hIgλ検出のために、捕捉抗体としてアフィニティー精製されたヤギ抗hIgκまたはアフィニティー精製されたヤギ抗hIgλ(Bethyl社)および検出抗体としてヤギ抗hIgG Fc−HRP(Bethyl社)を用いた。hIgG/bIgκ検出のために、捕捉抗体としてマウスモノクローナル抗bIgκ(インハウスクローン132B10)および検出抗体としてマウス抗hIgG Fcγ−HRP(Jackson社)を使用した。hIgG1またはhIgG2の検出のために、捕捉抗体としてマウス抗hIgG1 Fcまたはマウス抗hIgG2 Fc(Hybridoma Reagent Laboratory)、および検出抗体としてマウス抗hIgG HRP(Southern Biotech社)を用いた。

0088

HAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシへのヒト口腔扁平上皮癌の免疫
油中水型エマルジョンとしてのモンタニド(Montanide)ISA25アジュバント(Seppic社)+免疫刺激剤としてのQuil A(Accurate Chemical & Scientific Corp)で製剤化された、2×108細胞/用量のX線照射ヒト口腔扁平上皮癌(DSMZ)抗原を、HAC/TKOおよびHAC/DKO子ウシに免疫した。Tc子ウシを3週間の間隔で2回免疫した(初回免疫の3週間後に追加免疫を行った)。ワクチンを、頸部筋肉内注射により投与した。先に報告された5ように、抗体価の分析のために、各免疫前(V1およびV2)ならびに各免疫後10日および14日の時点で血清試料を採取した。抗ヒト口腔扁平上皮癌の抗体価を、フローサイトメトリー分析により決定した。

0089

フローサイトメトリーによるTc動物の血清中の抗ヒト癌細胞hIgG/hIgκ力価の測定
ヒト癌細胞で免疫したTcウシから採取した血清を、ヒト癌細胞を染色するための一次抗体として使用した。免疫前のTcウシ血清(V1D0)を陰性対照として使用した。AF488結合ヤギ抗hIgG Fc(Invitrogen社)を1:80希釈し、PE結合マウス抗hIgκ(Biolegend社)を1:8希釈して用い、結合したhIgG/hIgκ抗体を検出した。このアッセイを、4%ウマ血清、0.1%アジ化ナトリウムおよび2mMEDTAを補充したPBS中で行った。FACSARIA(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences社)によって測定し、結果を、染色したヒト癌細胞の割合(%)および平均蛍光強度(MFI)として表した。

0090

体細胞核移植
先に報告された5,12,20,21ように、クローン化した胎仔および子ウシを、クロマチン転送手順を用いて生成した。

0091

結果
実施例1.ウシIGL遺伝子クラスターの欠失
1つの仮説は、ウシIg軽鎖の不活性化が、bIgH破壊に加えて、ウシにおける完全ヒトIgGの高い生産性を支持するというものである。ヒトおよびマウスとは異なり、ウシは、主にIgκを上回るIgλ軽鎖を発現するので、bIGL遺伝子が不活性化された。しかし、本発明者らがこの研究を始めた時には、ウシゲノム中のbIGL遺伝子構造について公表された情報はほとんどなかったので、その周辺領域を含むbIGL遺伝子配列を決定した。そのために、ウシBAC(細菌人工染色体)ゲノムライブラリーをスクリーニングし、次いで、ショットガンアプローチによって、1種類のBACクローンの完全な配列決定を行った。5つのIGLJ−IGLC遺伝子(IGLJ1−IGLC1からIGLJ5−IGLC5)で構成される遺伝子クラスターを同定し、そのうちの3つ(IGLJ2−IGLC2からIGLJ4−IGLC4)は、その推定アミノ酸配列から判断すると機能的であると思われた(図1A)。IGLJ1−IGLC1およびIGLJ5−IGLC5遺伝子の両方は、未熟終止コドン変異を含み、疑遺伝子の可能性を示す。IGLJ5−IGLC5遺伝子の約13kb下流に、潜在的なエンハンサーエレメント3’Eλが見られ、ヒト3’Eλ(HSS−3)エンハンサー配列と約60%のDNA配列相同性を示した。Chenらは、4つのIGLJ−IGLC遺伝子をウシで同定したことを報告した。本発明者らの分析において、IGLJ2−IGLC2およびIGLJ3−IGLC3エクソン配列が同定されたが、イントロンおよび3’非翻訳領域(UTR)などのそれらの周辺配列はわずかではあるが異なっており、IGLJ2−IGLC2およびIGLJ3−IGLC3は異なる遺伝子であると結論付けた(図8A、8B)。

0092

bIGL遺伝子は遺伝子クラスターを形成するので、単一遺伝子構造の代わりに、Cre/loxP媒介部位特異的組み換えを用いることによって、IGLJ−IGLC遺伝子クラスター全体を欠失するために体細胞における新規システムを開発する計画を立てた(図1b)。相同組み換えによって、各loxP配列を、それぞれターゲティングベクターpCλ1CAGzeoPuroloxPDTによってIGLJ1遺伝子の5’方向外側および別のターゲティングベクターpCλ5CAGloxPneoDTによってIGLC5遺伝子の3’方向外側に組み込み、その後、Creを導入した。このステップは、蓄積したエピジェネティックエラーのために動物の発生を損なわせ得る半接合性クラスター欠失のために、3ラウンドのトランスフェクションおよび体細胞核移植(SCNT)を必要とした。したがって、Cre発現ベクターおよび第2のノックアウト(KO)ベクターを一緒にトランスフェクションすることによって、トランスフェクションおよびSCNTの数を減らす計画を立て、2ラウンドのトランスフェクション(第1のKOおよび、その後、第2のKO+Cre)によりクラスター欠失を完了することができた。本発明者らが知る限りでは、このような大きなDNA欠失(長さ27kbの欠失)は、これまで体細胞で達成されておらず、その実現可能性は不明だった。したがって、ピューロマイシン耐性遺伝子(puro)はクラスター欠失が生じた時にのみ再構成することができ、細胞培養物中のピューロマイシンの存在下での選択を可能にすることができるような欠失のための強力な陽性選択を用いた。このクラスター欠失は、実用的効率で、2段階で行うことができる。トランスフェクションした5×106個の体細胞からの21個のコロニー全ては、予想される欠失を示し、ウシ線維芽細胞において予想外に高効率の、Cre/loxPに媒介される大きなDNA欠失(本研究では27kb)および相同組み換えの第2の事象(第2のKO)を示した。重要なことに、体細胞内で2段階の大きなDNA欠失を行うことにより、繁殖力のある健康なクローン動物を生じさせる細胞の能力が支持された。本発明者らの知る限りでは、これは、ES細胞を使用しない、体細胞内での複数の遺伝子の部位特異的な大きなDNA欠失の最初の報告であり、したがって、体細胞線維芽細胞が利用可能である非マウス種における一対一の単一遺伝子改変よりもダイナミックなゲノム工学の実行可能性を支持する。

0093

実施例2.オスおよびメスのウシIGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−細胞株の樹立
体細胞における複数ラウンドの遺伝子改変、その後のSCNTは、潜在的に蓄積した不可逆的なエピジェネティックエラーのために、動物の発生を損なわせ得る。図2Aにまとめたように、SCNTのラウンド数を減らすために、逐次的遺伝子ターゲティング動物育種と組み合わせた。

0094

IGHML1遺伝子座はbChr11にマッピングされたという報告が以前になされているが、本研究のデータにより、IGHMおよびIGHML1遺伝子座の両方が、予想外にもウシChr21に位置することが示された(図9)。そこで、この新しい驚くべき発見に基づいて本研究を行った。オスの初代ホルスタイン線維芽細胞株6939から始め、IGHMおよびIGHML1アレルをそれぞれAY/ayおよびU/uと命名し(図2B)、IGHMおよびIGHML1遺伝子座をアレル特異的に順次ノックアウトし、それぞれアレルU、uおよびAY用のターゲティングベクターpBCμΔNKOneo、pBCμΔKOpuroおよびpbCμAYKObsrを用いることによって、IGHM−/+IGHML1−/−細胞株を樹立した。IGHMおよびIGHML1アレルをそれぞれ10AY/7AYJおよび8U/5uと命名し(図2B)、メスの初代ホルスタイン×ジャージ雑種(HoJo)の線維芽細胞株3427を用いて、アレル10AYおよび7AYJ用のターゲティングベクターpbCμAYKObsrおよびpbCμ7AYJKOhygを用いることによってIGHM−/−細胞株を作製した。オスのIGHM−/+IGHML1−/−細胞株およびメスのIGHM−/−細胞株のそれぞれからクローンウシを作製し、次いで、互いに約18〜20ヶ月齢まで飼育した。妊娠の約40日目に、18頭の胎仔を収集し、遺伝子型を決定した。7頭の胎仔(39%)の遺伝子型は、IGHM−/−IGHML1−/+であった。全7頭の胎仔において、Uの位置にneoKOカセット、AYの位置にbsrカセットが常に連結しており、IGHMおよびIGHML1遺伝子座の両方が予想外にもウシChr21上に位置していることをデータによって裏付けられた。1種類のオスの細胞株J481およびメスの細胞株H412のそれぞれを、bIGL遺伝子クラスター欠失について選択した(図2B)。

0095

図2Cに示すように、本発明者らがbIGLアレルをAおよびDと命名したオスの細胞株J481(IGHM−/−IGHML1−/+)を、アレルAに特異的なpCλ1(A)CAGzeoPuroloxPDTベクターでトランスフェクションし、ゼオシン下で選択し、次いで、プライマーペアのCL1puro−F2R2を用いるゲノムPCRによって、相同組み換えの発生についてスクリーニングした。PCR産物の配列を決定することにより陽性コロニー(18%)を同定し、そのうちのいくつかを、さらに、PCRペアR−R1×R−F2を用いて別のゲノムPCRに供し、その後、配列を決定した(図2C)。細胞株J481は、bIGL遺伝子座についてアレルAおよびDを含むため、このPCRにより、2つのアレル間に1つの多型部位(アレルAについてはT、アレルDについてはG)が増幅される。例えば、コロニー27では、Gのみが検出され、R−R1およびR−F2のプライマーアニーリング部位間へのCAGzeo/loxP/プロモーターレスピューロカセットの挿入により、アレルAが破壊されたことを示す。コロニー27をSCNTに使用し、40日齢の胎仔を作製して、それらから細胞株K655−1 IGHM−/−IGHML1−/+IGL1−/+を樹立した。

0096

その後、細胞株K655−1を、アレルA特異的pCλ5(A)CAGloxPneoDTベクターおよびCre発現プラスミドで同時トランスフェクションし、クラスター欠失を引き起こし、ピューロマイシンによって選択した。21個のピューロマイシン耐性コロニーが得られ、図2Dに示すように、CL5CAG−F2R2およびCAGpuro−F3R3を用いて2種類のゲノムPCRに供した。前者は、IGLC5遺伝子の3’側に相同組み換えの発生を特定するためのものであり、後者は、クラスター欠失の発生を検出するためのものであった。配列決定解析により、全てのPCR産物が正しいことが確認された。二重陽性のコロニーをクローニングのために用い、細胞株G054 IGHM−/−IGHML1−/+IGL−/+を樹立し、さらにこれを用いて子ウシを作製した。同様に、本発明者らがbIGLアレルをBおよびCと命名したメスの細胞株H412(IGHM−/−IGHML1−/+)を、アレルB上での2段階のクラスター欠失に供して、子ウシを作製した。最後に、オスおよびメスのIGHM−/−IGHML1−/+IGL−/+動物を、互いに約18〜20ヶ月齢まで飼育した。妊娠約40日に、58頭の胎仔を回収し、遺伝子型を決定した。5頭の胎仔(8.62%)の遺伝子型は、IGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−であり、次いで、5つのIGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−トリプルノックアウト(TKO)細胞株を樹立した(図2Eおよび図10)。

0097

実施例3.cKSL−HACΔおよびKcHACΔベクターの構築
ウシにおける完全hIgGの高生産を阻害し得る、ヒトおよびウシ間のいくつかの種不適合性がある可能性がある。そのような種不適合性の1つとして、IgMベースのpreBCR/BCR機能を対処した。免疫グロブリン重鎖(IgH)クラスの中で、IgM重鎖が発現する最初のものであり、最終的にIgGを分泌させることはB細胞の発生に重要である。Tcウシの状態で、hIgMをウシB細胞表面上で発現させ、その後のB細胞の発生に重要であるpreBCR/BCR媒介性シグナル伝達のために、ウシ代替軽鎖、続いて、正統なウシ軽鎖、およびウシIg−α/Ig−β分子と相互作用させる。ウシ代替軽鎖、正統なウシ軽鎖およびウシIg−α/Ig−β分子と相互作用するhIgMタンパク質に種不適合性がある可能性がある(図11A〜図11D)。この仮説に対処するために、KcHACΔおよびcKSL−HACΔの2種類のHACベクターを構築した(図3A)。KcHACΔにおいて、このようなキメラIgM{cIgM(CH1)}タンパク質が、良好なpreBCR/BCRシグナル伝達のために、ウシ代替軽鎖、正統な軽鎖およびIg−α/Ig−β分子と相互作用することができるように、hIGHM定常領域遺伝子の一部(CH1〜TM2ドメイン)をウシ化した。cKSL−HACΔにおいて、良好なpreBCR/BCRシグナル伝達のために、このようなキメラIgM(「cIgM(CH2)」;配列番号200)タンパク質が、ヒト代替軽鎖とペアを組み、ウシIg−α/Ig−β分子とも相互作用することができるように、hIGHM定常領域遺伝子の一部(CH2からTM2ドメイン)を別にウシ化し、さらに、ヒト代替軽鎖hVPREB1およびhIGLL1(マウスではλ5)遺伝子をhChr22断片と共に導入した。hIgM、cIgM(CH1)およびcIgM(CH2)タンパク質の可変領域および定常領域の種特異的な異なる配列により、各HACベクターにおけるpreBCR/BCR機能/シグナル伝達(例えば、それぞれκHAC、KcHACΔ、cKSL−HACΔ)は、B細胞の発生運命、最終的には、hIgG産生プロファイルに別々に影響を与え得る。

0098

定義されたヒト染色体領域を、部位特異的染色体転座によりクローン化(染色体クローニング)することができる開始HACベクターとして、hChr14断片SC20を使用した。SC20は、マイクロセル媒介性染色体移入(MMCT)中に天然に存在する断片であり、したがって、その構造は定義されていなかった。構造が定義されたhChr14ベクターを使用し、できるだけ多くの無関係なヒト遺伝子を除去するために、インタクトなhChr14を改変し、その後、IgMをウシ化し、KcHACΔおよびcKSL−HACΔベクターの構築のために、それぞれ新しいhChr14ベースのベクターのCH1D2およびCH2D4を作製した。

0099

図3Bに概説するように、cKSL−HACΔベクターを、ニワトリDT40細胞内で構築した(方法の欄も参照されたい)。全hIGLおよび代替軽鎖hVPREB1/hIGLL1遺伝子座をカバーするhChr22断片を、hIGK遺伝子座を有するhChr2断片に転座させることによって、SLKH断片を含むクローンSLKD18を作製し、hChr14断片(14D)を含むクローンCH2D4とcIgM(CH2)−ウシ化hIGH遺伝子座とを融合し、DT40ハイブリッドクローンcKSLD22を作製した。一方がSLKH断片上のCos 138遺伝子座およびもう一方がCH2D断片上のRNR2遺伝子座である2つのloxP部位間で部位特異的組み換えを媒介し、cIgM(CH2)ドメイン内のloxP導入CAGプロモーターzeoカセットも欠失させるために、Cre発現プラスミドを導入した。GFP発現が、転座部位でのPGKプロモーター−loxP−GFPカセットの再構成によって付与されるので、組み換え体をGFP陽性細胞の選別により濃縮した。これが、構造的に定義された、3つの異なる染色体断片(例えば、hChr2、hChr14およびhChr22)で構成される人工染色体の構築の最初の報告である。

0100

図3Cに概説するように、KcHACΔベクターを、同様にDT40細胞内で構築した(方法の欄も参照されたい)。同様に、hChr2断片(κTL1)をウシ化IgM{cIgM(CH1)}配列を有するSC20断片に転座させたKcHACベクターを構築した。

0101

実施例4.一連のHAC/IGHM−/−IGHML1−/−(DKO)カセットにおけるヒトIgG産生
cKSL−HACΔ、KcHACΔおよびKcHACベクターを、MMCTによりチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に移して、それぞれCHOベースのマスター細胞バンクcKSLDC6、15、23、KCDC15およびCKF4を樹立し、大規模ゲノムPCRおよびCGHにより確認した(図12A−12C)。次いで、3種類のHACベクターのcKSL−HACΔ、KcHACおよびκHACを、このCHO細胞株から、育種して得たIGHM−/−IGHML1−/−(DKO)細胞株へ移し、cKSL−HACΔ/DKO、KcHAC/DKOおよびκHAC/DKO子ウシを作製した。cKSL−HACΔおよびKcHACベクターの目的は、B細胞の発生のためのIgM媒介性preBCR/BCR機能におけるヒトおよびウシ間の種不適合性を解決することであり、したがって、B細胞の発生プロファイルを、新生児段階でのこれらの動物の末梢血単核細胞(PBMC)において調べた(図4A)。KcHAC/DKO動物におけるIgM検出のために、そのウシ化CH1ドメインにより抗bIgM抗体を用いたが、抗hIgM抗体は、なおcKSL−HACΔベクターからのcIgM(CH2)タンパク質を認識することができる。κHAC/DKO動物と比較すると、cKSL−HACΔ/DKOおよびKcHAC/DKO子ウシの両方は、より高い割合のIgM単一陽性細胞およびIgM/CD21二重陽性B細胞を示した。驚くべきことに、IgM/bIgλ、IgM/bIgκおよびIgM/hIgκ二重陽性B細胞は、KcHAC/DKO動物でのみ検出された。cKSL−HACΔ/DKO子ウシでは、hIgM/bIgλ、hIgM/bIgκ、hIgM/hIgκまたはhIgM/hIgλ二重陽性B細胞のいずれも、これらの転写物はRT−PCRでは検出されたが、hIgM/CD21二重陽性B細胞の割合が増加したにもかかわらず、フローサイトメトリーでは検出できなかった(図12D)。

0102

約5〜6ヶ月齢の時点で、hIgκ/λまたはbIgλ/κのいずれかとペアになった血清中の全hIgG、ならびに完全hIgG/hIgκの濃度を測定した(図4B)。子ウシ468を除くκHAC/DKO動物と比較して、cKSL−HACΔベクターと共に全hIgGの血清濃度は大幅に増加し、特にほとんどがhIgG1優勢であった(hIgG1/hIgG2比が1をうわまわった)が、KcHAC/DKO動物は、かなり高いhIgG2優勢を示した(図4C)。cKSL−HACΔ/DKO子ウシは、KcHAC/DKO子ウシよりも実質的に多量の全hIgGを産生し、完全hIgG/hIgκの割合はより低いように思われ(図4B、4C)、完全hIgG/hIgλは完全hIgG/hIgκの5〜10%であった。

0103

これらのデータは、IgMのpreBCR/BCR機能における潜在的な種不適合性を示唆しており、ヒト代替軽鎖の有無に関わらず、別々にウシ化されたcIgM(CH1)およびcIgM(CH2)タンパク質間でB細胞発生およびhIgG産生プロファイルにかなりの違いをもたらした。これは、最終的に完全hIgG産生プロファイルに影響を与えるIgMのpreBCR/BCR機能における種不適合性の新たな証拠である。

0104

実施例5.isHAC、istHACおよびisKcHACΔベクターの構築
次の方法は、cKSL−HACΔおよびKcHACΔベクター上のhIGHG1遺伝子クラススイッチ調節エレメントの直接的なウシ化により、hIgG、特にhIgG1へのクラススイッチの効率を直接変えることであった。hIGHG1遺伝子の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインも、ウシの環境下で、潜在的に良好なhIgG1 BCR媒介性シグナル伝達のためにウシ化した。

0105

IgGサブクラスのクラススイッチ組み換えの決定は、生殖細胞の転写物と呼ばれる各免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子座に関連したスイッチ領域(SH)からの転写が先行する。各IGH定常領域(CH)遺伝子は、独自のIHエクソンとも関連している独自のSH領域と連結している。生殖細胞系列転写物IH−SH−CH(最終的にはスプライシングされてIH−CHに成熟する)は、IHエクソンのちょうど5’側に位置するプロモーター/エンハンサーエレメントによって促進され、これらのエレメントは、サイトカインまたは他の活性化因子応答性である。クラススイッチの単純なモデルでは、特定の活性化因子および/またはサイトカインは、その活性化因子/サイトカイン応答性IHプロモーター/エンハンサーからの生殖細胞系列転写物を誘導する。3’Eαエレメントは、さらにIH−SH−CH配列の転写を増強する。この転写は、別のSH領域との融合を引き起こし、クラススイッチを引き起こす酵素活性化誘導性シチジンデアミナーゼ(AID)によって標的化することができるように、スイッチ領域を緩める。例えば、hIGHG1遺伝子と連結した(ヒトIgG1由来の)hIγ1−hSγ1調節エレメントは、種特異的な配列の違いにより、hIgG1へのクラススイッチを効率的に誘導するために、このようなウシ活性化因子/サイトカイン誘導性タンパク質と若干不適合であるという仮説を立てた(図13A図13B)。このことは、多くのTcウシはhIgG2優勢を示したが、hIgG1がヒトにおける主要なサブクラスであることによるものであり得る。

0106

上記の仮説に基づき、cKSL−HACΔベクター上のhCγ1(ヒト重鎖IgG1)領域の上流にbIγ1−bSγ1配列を有するisHACベクターを構築するために、hIγ1−hSγ1クラススイッチ調節エレメントをbIGHG1遺伝子のクラススイッチ調節エレメントでウシ化した(図5、方法の欄も参照されたい)。さらに、isHAC上のhIGHG1遺伝子の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを、bIGHG1遺伝子の膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインでさらにウシ化して、種特異的配列の違いと考えられるistHAC(図13C)を作製した(図5、方法の欄も参照されたい)。DKOの背景に見られるように、cKSL−HACΔおよびKcHACΔベクターは、潜在的に機能的な違いを有する可能性があるので、これらの2種類のHACが、bIGL発現を欠くTKO背景においてどのように作用するのかは不確かであり、KcHACΔベクターもウシ化して、KcHACΔ上のhCγ1領域の上流にbIγ1−bSγ1配列を有するisKcHACΔベクターを構築した(図5、方法の欄も参照されたい)。

0107

実施例6.一連のHAC/IGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−(TKO)ウシ内でのヒトIgG産生
isHAC、istHAC、isKcHACΔ、KcHACΔおよびcKSL−HACΔベクターを、MMCTによりCHOマスター細胞バンクからIGHM−/−IGHML1−/−IGL−/−(TKO)細胞株に移し、一連のHAC/TKO子ウシを作製した。妊娠270日目の分娩効率は、移植されたレシピエントのうちの約7%であり、そのうちの60〜70%が誕生後少なくとも5〜6ヶ月まで生き残った(表2)。最初に、bIGLが発現していないことを、新生児の段階でRT−PCRによって確認した(図6A)。その後、B細胞発生におけるbIGL発現の除去の影響に対処するために、新生児の段階でHAC/TKO子ウシの5種類の遺伝子型についてフローサイトメトリーを行った(図6B)。DKO背景と比較して、cKSL−HACΔシリーズ(例えば、isHAC、istHACおよびcKSL−HACΔそれ自体)において、hIgM/hIgκ(またはhIgM/bIgκ)二重陽性B細胞の割合が増加したことを除いて、hIgM単一陽性B細胞およびhIgM/CD21二重陽性B細胞の割合は低いように思われ、hIgG/hIgλ二重陽性B細胞は検出できなかった。逆に、bIgM単一陽性B細胞およびbIgM/CD21二重陽性B細胞の割合は、KcHACΔシリーズ(例えば、isKcHACΔおよびKcHACΔそれ自体)において、DKO背景のものとかなり類似しているように思われ、bIgM/hIgκ(またはbIgM/bIgκ)二重陽性B細胞の割合は実質的に増加した。

0108

0109

0110

0111

0112

isHAC、istHACおよびisKcHACΔベクター構築のための理論的根拠は、ウシの生理的条件下で、hIGHG1遺伝子クラススイッチ調節エレメントをウシ化することにより、hIgG、特にhIgG1へのクラススイッチの効率を直接変えることだったので、完全hIgG/hIgκの血清濃度およびhIgGサブクラス分布を、約5〜6ヶ月齢の一連のHAC/TKO子ウシにおいて測定した(図6C〜6H、図14)。全体的に、5種類のHAC/TKO遺伝子型において、完全hIgG/hIgκの濃度および割合の両方は、以前のユニークな子ウシ468を含むHAC/DKO動物のものと比較して大幅に増加し、したがって、bIGLクラスター欠失は、完全hIgG/hIgκの高産生に驚くほど効果的であることが証明された。完全hIgG/hIgλは、hIgG/hIgκの約5%であり、残りはキメラhIgG/bIgκであった(図15)。驚くべきことに、isHAC/TKO、特にistHAC/TKO子ウシは、元のcKSL−HACΔ/DKOおよびcKSL−HACΔ/TKO動物と比較して、全hIgGおよび完全hIgG/hIgκ産生の両方を大幅に増加させた(図6Eおよび表4)。特に注目すべきことは、hIgG1/hIgG2比は、isHAC/TKOおよびistHAC/TKO子ウシの両方において大幅に増加したが、cKSL−HACΔ/TKO動物は、cKSL−HACΔ/DKO動物においてhIgG1優勢からhIgG2優勢に変わった(図6I)。この観察は、一貫してisKcHACΔ/TKO、KcHACΔ/TKOおよびKcHAC/DKO子ウシとの比較においても見られ(図6C〜6F)、完全hIgG/hIgκ産生が、元のKcHACΔ/TKOおよびKcHAC/DKO子ウシにおけるhIgG2優勢からisKcHACΔ/TKO動物におけるhIgG1優勢への転換に伴って実質的に増加した。

0113

これらのデータから、Iγ1−Sγ1クラススイッチ調節エレメントは種特異的に制御されていることが示された。ウシ化Iγ1−Sγ1配列の効果は特に興味深い。ヒト肝細胞のhChr21から観察される転写因子結合部位転写開始ランドマーク、および結果的に生じる遺伝子発現の実質的に全ては、マウス肝細胞核のhChr21全体にわたって再現されたと報告されている。このことは、ヒト特異的な遺伝子発現プロファイルが、非ヒト種の状況下でさえ、単にヒトDNA一次配列によって提供され得ることを意味する。この考えをTcウシ状況に適用すると、ウシ化していないHACは、ウシの環境中のhIgG1優勢などのヒト様hIgG発現プロファイルを提供するのに十分であるはずだったが、そうではなかった。したがって、驚くべきことに、hIγ1−hSγ1配列のウシ化が、Tcウシ状況においてhIgG2優勢からhIgG1優勢への十分な転換を引き起こしたという発見は、2種間のIgG1クラススイッチ調節における種不適合性を示唆している。クラススイッチを含む免疫グロブリン遺伝子の構成および多様化は、種間で明確に進化していると考えられているので、このような種不適合性に対処することは、一般的に、非ヒト種においてヒト抗体を発現するのに有用であろう。完全hIgG血清濃度に対する種特異的効果は、別にウシ化されたcIgMタンパク質{cIgM(CH1)対cIgM(CH2)}間で異なるように思われる。cIgM(CH1)背景のIγ1−Sγ1エレメントのウシ化は、これを著しく改善した(すなわち、isKcHACΔ対KcHACΔ)が、cIgM(CH2)背景においては改善しなかった(すなわち、isHAC対cKSL−HACΔ)。cIgM(CH2)背景において、さらに、IgG1膜貫通/細胞質ドメインのウシ化は、完全hIgG/hIgκ産生を著しく改善するのに必要であった(すなわち、isHAC対cKSL−HACΔ)。cIgM(CH1)およびcIgM(CH2)背景の両方において、ウシ化Iγ1−Sγ1配列は、hIgG1サブクラス優勢を大幅に変更した。

0114

最後に、このような複合染色体工学を受けたHAC/TKO子ウシが、抗原免疫に応答して完全hIgG/hIgκポリクローナル抗体を機能的に産生することを示すために、いくつかのHAC/TKO動物をヒト口腔扁平上皮癌で過免疫し、HAC/DKO遺伝子型のcKSL−HACΔ/DKOと比較して、抗原特異的な完全hIgG/hIgκ免疫応答を調べた。全てのHAC/TKO免疫子ウシは、堅牢な抗ヒト癌の完全hIgG/hIgκ応答を開始したが(hIgGおよびhIgκの両方について28.45〜80.36%陽性)、2頭のcKSL−HACΔ/DKO動物は、hIgGおよびhIgκの両方について0.73〜1.54%のみ陽性であり、hIgG応答のみを示した(図6L、図16)。このデータは、HAC/TKO遺伝子型が、抗原特異的な完全hIgG/hIgκポリクローナル抗体の高生産性に重要であることを示しており、これはさらにウシ化したHACベクターのistHACおよびisKcHACΔにより増強された。

0115

本発明は、大規模農場動物種の血清中で大量の(新規遺伝子型、すなわちisHAC/TKO、istHAC/TKOおよびisKcHACΔ/TKOにおいて平均値/中央値が5g/lを上回る)完全hIgG/hIgκを産生することができる。完全hIgG/hIgκのこの血清濃度は、本発明者らの知る限りでは、完全hIgGを産生する任意の他のトランスジェニックマウス系で最も高く(典型的には約0.5g/l)、健康なヒトの濃度に最も近い。さらに、isHAC/TKO、istHAC/TKOおよびisKcHACΔ/TKO子ウシで産生されたhIgGサブクラスは、健康なヒトの主要なサブクラスであり、開発中および市販されている治療用hIgG組み換え抗体のサブクラスでもあるhIgG1優勢になるように調節することができる。重要なことは、試験した全てのHAC/TKO子ウシが、免疫したヒト由来の抗原に対する完全hIgG/hIgκポリクローナル抗体を機能的に産生したことであり、これは、ヒト免疫寛容が原因で従来のヒト血漿由来のIVIGによって達成することが困難であった。これは、複合ヒト染色体工学、ならびに内因性ウシ染色体工学(部位特異的、大きなDNAの欠失)を通じて、いくつかの主要な構成要素(preBCR/BCR機構およびIγ1−Sγ1調節エレメント)の潜在的な種不適合性に対処する新たな方法を使用して達成された。いくつかの調節エレメントのDNA配列がヒトとはかなり異なっている場合に、種不適合性のこの新しい概念は、トランスジェニック動物における複雑に調節されたヒト遺伝子の高発現についても考慮され得る。重要なことには、この複合染色体工学は、ES細胞を使用する必要性を軽減するために体細胞で行われた。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ