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課題・解決手段
概要
背景
さまざまな特性を示す多成分繊維(multi-component fiber)は、多くの開発を受け、幅広い用途を見出している。それらの重要な用途は、編み物又は織物である。不織布とは対照的に、編み物又は織物は、最終製品が、耐久性を有し、且つこれらの製品を使用する、又は身に付ける対象に容易に適合するように、比較的高い弾性及び回復性を有している。
現在、多成分又は複合繊維は、通常、溶液紡糸プロセスによって製造される。しかしながら、このプロセスは、最終の繊維中に、繊維の機械的特性若しくは耐久性、又は人の健康に負の影響を与える、溶媒、モノマー、及びオリゴマー等の不純物を包含させることにつながる。例えば、DMF(ジメチルホルミド)は、一般に、溶液紡糸プロセスにおいて、溶媒として使用されるが、その最終の繊維中の包含は、健康上の懸念を高めるだろう。溶融紡糸プロセスは、衣類製造において用途を見出し得る、ポリエステル、ナイロン、及びポリオレフィン繊維の製造に一般に使用されるが、熱可塑性ポリウレタンからなる繊維を製造するためにはほとんど使用されない。多様な編み物又は織物製品に対する増加する需要のため、ゼロの溶媒含有量、並びに低いモノマー及びオリゴマー含有量で、女性の下着又はパンティーストッキング等の編み物又は織物製品を製造するための高弾性繊維を開発する、持続的な要求が存在する。
US2011/0275262は、横断面の少なくとも1領域にポリウレタン尿素組成物を含む複合スパンデックスを開示する。それは、衣類、水着、及び靴下類等の製品における使用を見出している。そこで開示される複合スパンデックスは、溶液紡糸技術によって製造される。
US6,773,810B2は、コア/シース(core/sheath)構造を有する弾性複合材料、特にシースを形成するポリマーが、コアを形成するポリマーより低い融点を有する繊維を開示する。それはまた、コアが、熱可塑性エラストマー、好ましくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、シースが均一に分岐したポリオレフィンを含むことを開示する。
US7,740,777B2は、多数のポリマー成分を含むポリマー繊維及び不織布を製造するための方法及び装置を開示する。
EP1,944,396A1は、伸縮性衣類用の溶融紡糸プロセスによるエラストマー性コア−シースコンジュゲート繊維であり、コア及びシースの両方の材料が、TPUであり得る繊維を開示する。しかしながら、それは、繊維を製造する際に架橋剤を使用することを開示していない。
概要
本発明は、i)第1の熱可塑性ポリウレタン成分、及びii)成分i)と同じか、又は異なっていてもよい第2の熱可塑性ポリウレタン成分を含む複合繊維であって、成分i)及びii)の少なくとも1種が、架橋剤によって架橋され、ポリマーi)及びポリマーii)の少なくとも1種のポリマーを形成し、ポリマーi)は、ポリマーii)より、少なくとも10℃高い融点を有し、且つ繊維サイズが、8及び300デニールの間であり、好ましくは10及び100デニールの間である複合繊維。本発明の複合繊維は、熱接着挙動及び回復性に優れ、且つ可染性、及び耐化学性であり得る。
目的
本発明の目的は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)成分を含み、熱可塑性ウレタンプレポリマーによって少なくとも部分的に架橋された複合繊維であり、高回復性、熱接着挙動(heat-bonding behavior)、可染性、及び耐化学性に優れる前記繊維を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
複合繊維であって、i)第1の熱可塑性ポリウレタン成分、及びii)成分i)と同じであるか、又は異なっていてもよい第2の熱可塑性ポリウレタン成分を含み、成分i)及びii)の少なくとも1種が、架橋剤によって架橋され、ポリマーi)及びポリマーii)の少なくとも1種のポリマーを形成し、ポリマーi)は、ポリマーii)より、少なくとも10℃高い融点を有し、且つ前記繊維サイズが、8及び300デニールの間であり、さらに好ましくは10及び100デニールの間である複合繊維。
請求項2
ポリマーi)が、ポリマーii)より、少なくとも15℃、さらに好ましくは少なくとも20℃高い融点を有する請求項1に記載の複合繊維。
請求項3
前記ポリマーi)が、ポリマーii)より、最大で80℃まで、さらに好ましくは最大で60℃まで高い融点を有する請求項1又は2に記載の複合繊維。
請求項4
前記ポリマーii)が、前記複合繊維の総質量に基づいて、5〜80質量%、好ましくは8〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合繊維。
請求項5
前記成分i)又はii)が、65〜98、好ましくは70〜95、さらに好ましくは75〜90の、DIN53505に従って測定されたショアA硬度を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合繊維。
請求項6
前記成分i)又はii)が、互いに独立しており、1.5〜3の官能価、及びプレポリマーの3質量%〜20質量%のNCO含有量を有するNCO末端プレポリマーによって架橋されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合繊維。
請求項7
前記プレポリマーが、ポリウレタンである請求項6に記載の複合繊維。
請求項8
請求項9
前記ポリマーii)用の架橋剤が、前記TPU成分ii)の0質量%〜15質量%,好ましくは1質量%〜10質量%、さらに好ましくは2質量%〜8質量%であり、且つ前記ポリマーi)用の架橋剤が、前記TPU成分i)の5質量%〜25質量%,好ましくは8質量%〜20質量%、さらに好ましくは10質量%〜15質量%である請求項1に記載の複合繊維。
請求項10
前記シース−コア型繊維におけるポリマーi)がコア用であり、前記シース−コア型繊維におけるポリマーii)がシース用である請求項8に記載の複合繊維。
請求項11
前記繊維が、DIN53835に従って、80%を超える300%回復性を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合繊維。
請求項12
請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合繊維を製造する方法であって、以下の工程:(1)成分i)及びii)を、異なる押出機中で、160℃〜230℃の温度で溶融する工程、(2)溶融プロセス(1)の間に、TPUのどちらか一方又は両方に架橋剤を添加する工程、(3)成分i)及びii)の溶融物を、160℃〜230℃で加熱される2個以上のノズルを有する紡糸ヘッドで押し出し、複合繊維を得る工程、(4)100m/分〜1000m/分の紡糸速度で、ローラによって繊維を巻き上げる工程、を含む方法。
請求項13
前記ローラの紡糸速度が、300m/分〜700m/分である請求項12に記載の方法。
請求項14
請求項15
請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合繊維、又は請求項13に従って製造された複合繊維の、女性用下着及びパンティーストッキングを製造するために使用される編み物又は織物の製造のための使用方法。
技術分野
背景技術
0002
さまざまな特性を示す多成分繊維(multi-component fiber)は、多くの開発を受け、幅広い用途を見出している。それらの重要な用途は、編み物又は織物である。不織布とは対照的に、編み物又は織物は、最終製品が、耐久性を有し、且つこれらの製品を使用する、又は身に付ける対象に容易に適合するように、比較的高い弾性及び回復性を有している。
0003
現在、多成分又は複合繊維は、通常、溶液紡糸プロセスによって製造される。しかしながら、このプロセスは、最終の繊維中に、繊維の機械的特性若しくは耐久性、又は人の健康に負の影響を与える、溶媒、モノマー、及びオリゴマー等の不純物を包含させることにつながる。例えば、DMF(ジメチルホルミド)は、一般に、溶液紡糸プロセスにおいて、溶媒として使用されるが、その最終の繊維中の包含は、健康上の懸念を高めるだろう。溶融紡糸プロセスは、衣類製造において用途を見出し得る、ポリエステル、ナイロン、及びポリオレフィン繊維の製造に一般に使用されるが、熱可塑性ポリウレタンからなる繊維を製造するためにはほとんど使用されない。多様な編み物又は織物製品に対する増加する需要のため、ゼロの溶媒含有量、並びに低いモノマー及びオリゴマー含有量で、女性の下着又はパンティーストッキング等の編み物又は織物製品を製造するための高弾性繊維を開発する、持続的な要求が存在する。
0004
US2011/0275262は、横断面の少なくとも1領域にポリウレタン尿素組成物を含む複合スパンデックスを開示する。それは、衣類、水着、及び靴下類等の製品における使用を見出している。そこで開示される複合スパンデックスは、溶液紡糸技術によって製造される。
0005
US6,773,810B2は、コア/シース(core/sheath)構造を有する弾性複合材料、特にシースを形成するポリマーが、コアを形成するポリマーより低い融点を有する繊維を開示する。それはまた、コアが、熱可塑性エラストマー、好ましくは熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、シースが均一に分岐したポリオレフィンを含むことを開示する。
0006
US7,740,777B2は、多数のポリマー成分を含むポリマー繊維及び不織布を製造するための方法及び装置を開示する。
0007
EP1,944,396A1は、伸縮性衣類用の溶融紡糸プロセスによるエラストマー性コア−シースコンジュゲート繊維であり、コア及びシースの両方の材料が、TPUであり得る繊維を開示する。しかしながら、それは、繊維を製造する際に架橋剤を使用することを開示していない。
先行技術
0008
US2011/0275262
US6,773,810B2
US7,740,777B2
EP1,944,396A1
発明が解決しようとする課題
0009
したがって、本発明の目的は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)成分を含み、熱可塑性ウレタンプレポリマーによって少なくとも部分的に架橋された複合繊維であり、高回復性、熱接着挙動(heat-bonding behavior)、可染性、及び耐化学性に優れる前記繊維を提供することである。
課題を解決するための手段
0010
具体的には、本発明に従う複合繊維は、
i)第1の熱可塑性ポリウレタン成分、及び
ii)成分i)と同じであるか、又は異なっていてもよい第2の熱可塑性ポリウレタン成分を含み、
成分i)及びii)の少なくとも1種が、架橋剤によって架橋され、ポリマーi)及びポリマーii)の少なくとも1種のポリマーを形成し、ポリマーi)は、ポリマーii)より、少なくとも10℃高い融点を有し、且つ
前記繊維サイズが、8及び300デニール(denier)の間であり、さらに好ましくは10及び100デニールの間である複合繊維である。
0011
具体的な実施形態において、成分i)は成分ii)と同じである。
0012
本発明の第2の態様によれば、前記複合繊維は、架橋剤が、TPU成分i)及びii)の溶融物のどちらか一方又は両方に、独立して添加される溶融紡糸プロセスによって製造される。
0013
本発明のさらなる態様によれば、本発明の複合繊維を使用することによって製造された優れた弾性伸展性を有する編み物又は織物が提供され、したがって、女性用下着、ストッキング及びパンティーストッキング等の洗練された、高いサポート性の伸縮自在の衣類用材料を提供する。
0014
本発明のさらなる態様は、編み物又は織物の製造における本発明の繊維の使用方法に関する。
図面の簡単な説明
0015
図1は、本発明に従う方法の一実施形態を示す概略図である。
図2aは、本発明の一実施形態に従う、コア−シース複合繊維であって、ポリマーi)がコア用であり、ポリマーii)がシース用である繊維の概略図である。
図2bは、本発明の一実施形態に従う、サイド−バイ−サイド(side-by-side)複合繊維の概略図である。
図3は、保安発明野位置実施形態に従う、コア−シース(50%/50%)複合繊維の顕微鏡写真である。繊維サイズは、30デニールである。
0016
第1の態様において、本発明は、複合繊維であって、
i)第1の熱可塑性ポリウレタン成分、及び
ii)成分i)と同じであるか、又は異なっていてもよい第2の熱可塑性ポリウレタン成分を含み、
成分i)及びii)の少なくとも1種が、架橋剤によって架橋され、ポリマーi)及びポリマーii)の少なくとも1種のポリマーを形成し、ポリマーi)は、ポリマーii)より、少なくとも10℃高い融点を有し、且つ
前記繊維サイズが、8及び300デニールの間であり、さらに好ましくは10及び100デニールの間である複合繊維を提供する。
0017
本明細書で使用される、「複合繊維」は、少なくとも2種の成分を含む、すなわち少なくとも2種のはっきり区別できるポリマー領域を有する繊維を意味する。単純化するために、本発明の複合繊維は、コア/シース構造として表現され得るが、しかしながら、前記繊維はまた、対称な(同心の)コア/シース、非対称な(偏心の)コア/シース、サイド−バイ−サイド、パイ断面(pie-section)、三日月形(crescent moon)等の形状の任意の1種の構造を有し得る。好ましくは、本発明の複合繊維は、同一又は異なる架橋剤によって少なくとも部分的に架橋されているそれぞれ同一又は異なるTPU成分由来の2種のポリマーからなり、それらのポリマーは、少なくとも10℃の溶融温度(melting temperature)の差を有するという条件を有する。好ましくは、溶融温度の差は少なくとも15℃である。
0018
TPU成分i)及びTPU成分ii)は、同一又は異なっていてもよく、(a)イソシアネートの、(b)イソシアネートに対して反応性であり、400g/モル〜8000g/モルの数平均分子量を有する化合物、及び(c)50g/モル〜500g/モルの数平均分子量を有する鎖延長剤との、任意に(d)触媒、及び/又は(e)慣例の助剤、及び/又は(f)添加剤の存在下での反応によって調製される。
0019
使用され得る有機イソシアネート(a)は、一般に知られる脂肪族、脂環式、芳香脂肪族(araliphatic)及び/又は芳香族イソシアネート、好ましくはジイソシアネート、例えば、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、及び/又はオクタ−メチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4−テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート、及び/又はジシクロヘキシルメタン4,4’−、2、4’−及び2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、3,3’−ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネート、又はそれらの混合物である。
0020
特に好ましい実施形態において、有機イソシアネートは、少なくとも90質量%、さらに好ましくは少なくとも95質量%、特に好ましくは99質量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含むイソシアネートである。
0021
一般に知られているイソシアネートに対して反応性の化合物は、例えば、通常、用語「ポリオール(b1)」の下で要約され、400〜8000g/モル、好ましくは500g/モル〜6000g/モル、特に1000g/モル〜4000g/モルの数平均分子量、及び好ましくは1.8〜2.3、好ましくは1.9〜2.2、特に2の平均官能価を有する、ポリエステルオール、ポリエーテルオール及び/又はポリカーボネートジオール等のポリヒドロキシ化合物(b)として使用され得る。ポリオール(b1)の混合物を使用することも可能である。
0022
ポリオール(b1)は、当技術分野で一般に知られ、「Polyurethane Handbook, 2nd Edit. Gunter Oertel」、Carl Hanser Verlag, Munich 1994 in chapter 3.1.に記載されている。
0023
使用される鎖延長剤(c)は、一般に知られている、50〜500の分子量を有する脂肪族、芳香族、及び/又は脂環式化合物であり、好ましくは二官能化合物、例えば、ジアミン、及び/又はアルキレン基中に2〜10個の炭素原子を有するアルカンジオール、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び/又は3〜8個の炭素原子を有するジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、ノナ−及び/又はデカアルキレングリコールであり、好ましくは対応するオリゴ−及び/又はポリプロピレングリコールであり、鎖延長剤の混合物を使用することも可能である。特に好ましい鎖延長剤は、1,4−ブタンジオールである。
0024
特にジイソシアネート(a)のNCO基と、化合物(b)及び(c)のヒドロキシル基及び/又はアミノ基との間の反応を促進する適切な触媒(d)は、先行技術により知られている慣例の、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチル−モルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ−(2,2,2)オクタン等の第三級アミン、及びチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート等、スズ化合物、例えばスズジアセテート、スズジオクタノエート、スズジラウレート又はジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等の脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩等の金属化合物である。触媒は、通常、ポリヒドロキシ化合物(b)の100質量部に対して、0.0001〜0.1質量部の量で使用される。
0025
触媒(d)に加えて、慣例の助剤(e)及び/又は添加剤(f)もまた化合物(a)〜(c)に添加され得、これらは界面活性剤、無機及び又は有機フィラー、強化剤、可塑剤、防炎剤、核形成剤、酸化安定剤、滑剤及び離型剤、染料、及び顔料、適切な場合、本発明に従う安定剤混合物に加えて、さらなる安定剤、例えば、加水分解、光、又は熱安定剤、又は変色を防止する安定剤等を含む。好ましい実施形態において、成分(e)はまた、例えば高分子及び低分子量カルボジイミド等の加水分解安定剤を含む。成分(f)は、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリスチレン(PS)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)等の他の熱可塑性樹脂を含み得る。
0026
上記の成分(a)、(b)及び(c)、並びに適切な場合(d)、(e)及び(f)に加えて、通常31〜499の分子量を有する鎖調節剤(chain regulator)もまた使用され得る。そのような鎖調節剤は、例えば単官能アルコール、単官能アミン、及び/又は単官能ポリオール等の、イソシアネートに対して反応性の官能基を1個のみ有する化合物である。そのような鎖調節剤によって、特にTPUの場合、制御された方法で、流動性を確立することが可能である。鎖調節剤は、一般に、成分(b)の100質量部に基づいて、0〜5質量部好ましくは0.1〜1質量部の量で使用され得、定義により成分(c)の下に含まれる。
0027
本明細書において言及される全ての分子量は、別段に定義される以外は、g/モルの測定単位で示される。
0028
別法として、本発明において使用されるTPUの調製方法は、EP1078944B1に見出され得る。本発明の一実施形態によれば、使用されるTPUは20,000〜1,000,000、好ましくは40,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜300,000の重量平均分子量を有し得る。いくつかの市販品、例えばBASF社製のElastollan(登録商標)の商標を有するTPU等が、本発明において、TPU成分として使用され得る。最も好ましくは、BASF社製Elastollan(登録商標)2200、1100又は600シリーズが使用される。
0029
本発明において使用されるTPUは、互いに独立して、2種のTPU成分が異なっているか、又は同じであり得る、好ましくは65ショアA〜98ショアA、さらに好ましくは70ショアA〜95ショアA、さらにいっそう好ましくは75ショアA〜90ショアAの、DIN53505に従って測定されたショアA硬度を有する。上記硬度が低過ぎる場合は、繊維が非常に低い強度を有し、一方で、上記硬度が高過ぎる場合は、繊維が非常に低い弾性を有することになる。
0030
本発明によれば、複合繊維の機械的特性を改善するため、架橋剤が、TPUの少なくとも1種に添加される。本発明の一実施形態において、架橋剤が、複合繊維に高い回復性を提供するためのポリマーi)を形成し得る、TPU成分i)にのみ添加される。本発明の別の実施形態において、1種以上の架橋剤が、それぞれポリマーi)及びポリマーii)を生成するTPU成分i)及びii)の両方に添加される。
0031
コア−シース型複合繊維において、図2(a)に示されるように、より高い融点を有するポリマーi)がコア用であり、より低い融点を有するポリマーii)がシース用である。図2(b)に示されるように、サイド−バイ−サイド型複合繊維のために、より高い融点を有するポリマーi)が、圧接特性(crimpingproperty)を有する繊維を供給し得、より低い融点を有するポリマーii)が、熱接着特性(heat bonding property)を有する繊維を供給する。
0032
本発明の繊維の製造方法において、以下に定義するように、架橋剤が、溶融した成分i)及びii)のどちらか一方又は両方に添加される。添加される場合、架橋剤は、ポリマーii)用のTPUの約0質量%〜約15質量%、好ましくは1質量%〜10質量%、さらに好ましくは2質量%〜8質量%の量で添加され、ポリマーi)用のTPUの約5質量%〜25質量%、好ましくは8質量%〜20質量%、さらに好ましくは10質量%〜15質量%の量で添加される。
0033
本発明において使用される架橋剤は、1.5〜3、好ましくは1.5〜2.5、さらに好ましくは1.6〜2.1の官能価を有するNCO末端プレポリマーである。本発明の一実施形態において、使用される架橋剤は、3質量%〜20質量%、好ましくは4質量%〜10質量%、さらに好ましくは5質量%〜8質量%のNCO含有量を有するプレポリマーである。架橋剤は、イソシアネートの、イソシアネートに対して反応性であり、200g/モル〜10000g/モル、好ましくは250g/モル〜8000g/モル、さらに好ましくは500g/モル〜6000g/モルの数平均分子量を有する化合物との反応によって調製され得る。
0034
本発明のいくつかの実施形態において、架橋剤は、TPU成分の溶融物へ添加される。いくつかの別の実施形態において、架橋剤は、溶融する前のTPU成分へ添加される。プレポリマーを添加するための時期について制限は無く、実際のプロセスに従い、当業者によって決定され得る。架橋剤は、固体又は液体状態のどちらかであり得る。
0035
適切な架橋剤、及びそれらの製造及び処理についても、例えばEP2139934A1に記載されている。架橋剤は、脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、好ましくは芳香族イソシアネートに基づき得る。好ましくは、本発明において使用される架橋剤は例えばBASF社製のElastollan(登録商標)の商標を有するプレポリマーのような市販品であり得る。最も好ましくは、BASF社製、typePLP9302又はCR−1が使用され得る。
0036
本発明の一実施形態において、ポリマーi)は、ポリマーii)より、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも15℃、さらに好ましくは少なくとも20℃高い融点を有する。好ましくは、本発明の複合繊維において、ポリマーi)は、ポリマーii)より、最大で80℃まで、さらに好ましくは最大で60℃まで、さらにいっそう好ましくは最大で40℃まで高い融点を有する。
0037
複合繊維において、シース用等のポリマーii)は、複合繊維の総質量に基づいて、5〜80質量%、好ましくは8質量%〜50質量%、さらに好ましくは10質量%〜40質量%の量で存在する。
0038
複合繊維は、シース−コア型(同心の、又は偏心の)、又はサイド−バイ−サイド型の断面を有し得る。シース−コア型(同心の、又は偏心の)構造が好ましい。好ましくは、シース/コア構造において、繊維は、コア用にポリマーi)、及びシース用にポリマーii)を有し、ポリマーi)は、170℃を超える等のより高い融点を有し、ポリマーii)は、170℃未満、さらに好ましくは160℃未満、さらにいっそう好ましくは150℃未満等のより低い融点を有する。一方で、ポリマーi)は通常、ポリマーii)よりも高い弾性を有し、結果として、80%を超える300%回復性を有する最終の繊維が得られる。300%回復性は、DIN53835に従って試験された。この場合、繊維は、優れた弾性、及び熱接着特性を同時に有し、特に女性の下着、パンティーストッキング等を製造するために適切である。
0039
他の実施形態において、繊維はさらに、2種の成分の1種又は両方中に添加剤を含み得る。例えば、コア−シース型繊維において、シースが、繊維の耐化学性又は可染性を改善するための添加剤を含む。
0040
驚くべきことに、繊維中の2種の成分が両方ともTPUであるので、本発明に従う2種のポリマーの相溶性が、異なる種類のポリマーから作られている従来の複合繊維と比較して改善され得ることが見出されている。したがって、DIN53835に基づいて、何度も繰り返した伸長の後でさえ、本発明に従う複合繊維はまだ、極めて優れた回復性、たとえば、75%を超える、さらに好ましくは80%を越える、さらにいっそう好ましくは88%を超える、300%回復性を有する。
0041
本発明の第2の態様において、複合繊維は、以下の工程、
(1)成分i)及びii)を、異なる押出機中で、160℃〜230℃の温度で溶融する工程、
(2)溶融プロセス(1)の間に、TPUのどちらか一方又は両方に架橋剤を添加する工程、
(3)成分i)及びii)の溶融物を、160℃〜230℃で加熱される2個以上のノズルを有する紡糸ヘッド(spin head)で押し出し、複合繊維を得る工程、
(4)100m/分〜1000m/分の紡糸速度で、ローラによって繊維を巻き上げる工程、を含む方法から製造される。
0042
当業者は、2個以上のノズルを有する紡糸ヘッドが、製造される複合繊維が、コア/シース構造を有する、又は対称な(同心の)コア/シース、非対称な(偏心の)コア/シース、サイド−バイ−サイド、パイ断面、三日月形等の形状の任意の1種の構造を有するような形状を有することを理解するであろう。
0043
繊維は、1個以上のゴデットローラ(godet roller)を介して伸長状態で巻き上げられ、巻き取り機の回転によってボビン(bobbin)に巻き上げられる。好ましくは、巻き上げを容易にするため、繊維上に、シリコーン系油又は鉱物油等の紡糸油(spin oil)が塗布、好ましくは噴霧される。
0044
本発明の方法において、上記で定義したプレポリマーが、溶融した成分i)及びii)のどちらか一方、又は両方に、架橋剤として添加される。本発明の一実施形態において、プレポリマーは、ポリマーii)用のTPUの約0質量%〜約15質量%、好ましくは1質量%〜10質量%、さらに好ましくは2質量%〜8質量%の量で添加され、ポリマーi)用のTPUの約5質量%〜25質量%、好ましくは8質量%〜20質量%、さらに好ましくは10質量%〜15質量%の量で添加される。
0045
本発明者らは、高い回復性及び弾性、並びに心地良い肌感覚を要求する、女性用の下着、又はパンティーストッキング用等の特定の用途のための繊維の場合、繊維を引き込むローラが、好ましくは200m/分〜800m/分、さらにいっそう好ましくは300m/分〜700m/分の速度を有することを見出している。
0046
好ましくは、2〜5個のゴデットローラが使用され、さらに好ましくは2〜4個の、最も好ましくは3個のゴデットローラが使用される。本発明の一実施形態において、300m/分〜700m/分の速度で繊維を引き込むために2〜4個のゴデットローラが使用され、それにより適切なサイズ及び高い回復性の間の優れたバランスを有する繊維を製造する。
0047
本発明に従って製造された複合繊維は、織物又は編み物の製造用である。シース−コア構造の繊維において、コアポリマーが、高い回復性を有する繊維を提供するのに対して、比較的低い融点を有するシースポリマーが、良好な接着能力(bonding ability)を有する。編まれて製品を形成した後、2繊維が接続する所で接着部位が形成されるように、部分的に溶融したシースポリマーを与える、さらなる加熱工程が製品に適用され得る。そうすることによって、高い弾性繊維から作られた製品での伝線問題(running problem)が回避される。これは、女性の下着又はパンティーストッキングを製造する際に、特に有利である。
0048
以下の方法及び基準は、各パラメータの測定及び評価に使用する。
0049
引張強度
引張強度は、DIN53834に従って測定する。
0050
破断点伸び
破断点伸びは、DIN53834に従って測定する。
0051
300%回復性
300%回復性は、DIN53835に従って測定し、100mm/分の伸長速度で、300%の伸び率で、5回連続負荷−回復サイクル後の回復性を試験する。以下の基準は、結果を評価するために提供する(「+」は、「良い」を意味し、「−」は、「劣っている」を意味する)。
0052
0053
融点Tm
30kg重(kg force)、1mmダイ内径(die ID)、10mmダイ長さ、3℃/分の加熱速度の条件下で、キャピラリーレオメータによって試験した流動開始温度(Flow Beginning Temperature)(FBT)を、Tmと見なす。以下の基準は、試験結果を評価するために提供する(「+」は、「良い」を意味し、「−」は、「劣っている」を意味する)。
0054
0055
繊維サイズは、顕微鏡で測定する。
0056
[実施例1]
2種の市販のTPU、E1180A及びE2280A(BASF社から入手、両方とも80AのショアA硬度を有し、重量平均分子量は、それぞれ130,000及び210,000である)を、単成分繊維(monocomponent fiber)を調製するために使用する。市販のプレポリマーPLP9302(BASF社から入手、約2500の分子量を有する)を架橋剤として使用する(PLP9302の官能価は、2.0であり、NCO%は、約5.3である)。
0057
0058
E1180A、E2280A及びPLP302を、複合繊維の調製にも使用する。具体的には、繊維を、以下の工程によって調製する:
(1)E1180A及びE2280Aを、異なる押出機中で、それぞれ200℃及び210℃の温度で溶融する、
(2)PLP9302を、溶融したE1180A及びE2280A中へ、それぞれ、各ベースTPUの2%及び10%の量で混合する、
(3)2種の溶融物を、成分i)及びii)の溶融物を、210℃で加熱する、同心配置の2個のノズルを有する紡糸ヘッドで押し出し、コア−シース構造の複合繊維を得る、
(4)繊維を、Takemoto Oil&Fat社から入手した紡糸油の噴霧を通した後、3個のゴデットローラを介して巻き上げ、300m/分の紡糸速度で、巻き上げる。
0059
0060
表1から分かるように、架橋剤の添加で、単成分繊維の回復性はより高くなり、最終の用途のために有利であり、繊維の熱接着温度(Tm)もまた、より高くなり、最終の用途のために不利である。言い換えると、単成分繊維を使用することによっては、良好な回復性、及び熱接着挙動を同時に達成することは困難である。
実施例
0061
表2から分かるように、コア−シース複合繊維については、シース用に相当な量のポリマーii)を使用しても、繊維はまだ、良好な回復性を示す。シースによって提供された良好な熱接着挙動とともに、このように形成された繊維は、最終の用途に有利である。
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