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課題・解決手段

本発明は、付着依存性細胞(例えば、hUTC)をアミノ酸類ビタミン類塩類ヌクレオシド類インスリントランスフェリンエタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムを含む培養培地内で増殖させる方法であって、該培養培地は、血清が補充されている、方法を提供する。該方法は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムを含む無血清培養液を添加することを更に含む。本発明はまた、付着依存性細胞を増殖させるための培養培地及び無血清培養液を提供する。

概要

背景

同種細胞療法(allogeneic cell therapy)用製品のために、細胞又は組織ドナーから採取され、採取物患者への投与の前に更に処理される。一般的に、非相同性細胞療法(non-homologous cell therapy)用製品の製造プロセスは、以下の、細胞バンクバイアル解凍し、細胞を増殖させて生産容器接種する工程と、生産容器内で細胞を産生する工程と、血清及びトリプシンなど、細胞の産生中に使用される不要な不純物を除去する工程と、細胞を濃縮する工程と、細胞を最終処方緩衝液内へ処方する工程と、細胞を凍結させる工程と、を含む。かかる製造プロセスは、大変複雑で費用が高い。例えば、細胞療法用途の細胞は、一般的に、血清が補充された増殖培地において培養及び増殖される。プロセスにおいて使用される血清、培地、及びその他の消耗品高コストであるために細胞療法の製品のコストは非常に高い。栄養的な制約、培養中の細胞副産物蓄積物理的環境などを含む多様な因子により、細胞が高密度に増殖することが制限される場合がある。したがって、細胞を高細胞密度に増殖することによって生産容器から産生される細胞の体積を増加させることが望まれている。

以前、例えば、ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)などの付着依存性細胞は、15%のウシ胎児血清(FBS)を含有する細胞増殖培地連続稼動第3日目に交換することによって高細胞密度に増殖されることが示された。しかしながら、かかる培地交換は、血清が高コストであることと、産生のために血清を多量に使用することと、操作処置が追加されることと、により望ましくない。したがって、培地交換のあるプロセスは、商業的に実現可能ではない。

細胞増殖培地の交換が不要であり、商業的に実現可能である、細胞を増殖する新しい方法が必要とされている。

概要

本発明は、付着依存性細胞(例えば、hUTC)をアミノ酸類ビタミン類塩類ヌクレオシド類インスリントランスフェリンエタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムを含む培養培地内で増殖させる方法であって、該培養培地は、血清が補充されている、方法を提供する。該方法は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムを含む無血清培養液を添加することを更に含む。本発明はまた、付着依存性細胞を増殖させるための培養培地及び無血清培養液を提供する。

目的

したがって、細胞を高細胞密度に増殖することによって生産容器から産生される細胞の体積を増加させることが望まれている

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請求項1

請求項2

前記培養培地は、少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム水和物(Na2HPO4・7H2O)と、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む、請求項1に記載の培養培地。

請求項3

アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための無血清培養液

請求項4

単離された臍帯組織由来細胞を培養する方法であって、a.アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウムを含む培養培地におけるマイクロキャリア上に播種された臍帯組織由来細胞を増殖させる工程であって、該培養培地は、該細胞が所望の初期個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって、血清が補充される、工程と、b.該細胞が該所望の初期個体群密度に達した後、無血清培養液を添加する工程であって、該無血清培養液は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、亜セレン酸ナトリウムを含む、工程と、c.該細胞が所望の最終個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって該細胞を増殖させる工程と、を含み、該臍帯組織由来細胞は、実質的に血液を含んでいないヒト臍帯組織から単離され、培養中の自己再生及び自己増殖が可能であり、分化する潜在能力を有し、CD13、CD90、HLA−ABCを発現し、CD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない、方法。

請求項5

前記方法は、前記マイクロキャリア上に前記細胞を播種する工程を更に含む、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記方法は、工程cの後に前記細胞を単離する工程を更に含む、請求項4に記載の方法。

請求項7

前記方法は、培地交換を必要としない、請求項4に記載の方法。

請求項8

前記方法は、スピナーフラスコ培養システムにおいて行われる、請求項4に記載の方法。

請求項9

培養の前及び後の前記細胞の特性は、実質的に同じである、請求項4に記載の方法。

請求項10

培養の前及び後の前記細胞の特性は、同じである、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記所望の初期個体群密度は、3〜4日後に達成される、請求項4に記載の方法。

請求項12

前記マイクロキャリアは、アミン処理された表面を有する、請求項4に記載の方法。

請求項13

前記培養培地は、アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、請求項4に記載の方法。

請求項14

前記1種又は2種以上のエネルギー源は、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムである、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記培養培地は、少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na2HPO4・7H2O)と、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む、請求項13に記載の方法。

請求項16

前記培養培地は、2〜20%のFBSが補充されている、請求項13に記載の方法。

請求項17

前記培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%のFBSが補充されている、請求項13に記載の方法。

請求項18

前記培養培地は、プトレシン安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含む、請求項13に記載の方法。

請求項19

前記無血清培養液は、アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、微量のミネラル類である硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)と、ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、請求項4に記載の方法。

請求項20

前記無血清溶液は、プトレシン、安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含む、請求項19に記載の方法。

技術分野

0001

本出願は、例えば、臍帯組織由来細胞などの付着依存性細胞の増殖のための栄養強化培地に関する。

背景技術

0002

同種細胞療法(allogeneic cell therapy)用製品のために、細胞又は組織ドナーから採取され、採取物患者への投与の前に更に処理される。一般的に、非相同性細胞療法(non-homologous cell therapy)用製品の製造プロセスは、以下の、細胞バンクバイアル解凍し、細胞を増殖させて生産容器接種する工程と、生産容器内で細胞を産生する工程と、血清及びトリプシンなど、細胞の産生中に使用される不要な不純物を除去する工程と、細胞を濃縮する工程と、細胞を最終処方緩衝液内へ処方する工程と、細胞を凍結させる工程と、を含む。かかる製造プロセスは、大変複雑で費用が高い。例えば、細胞療法用途の細胞は、一般的に、血清が補充された増殖培地において培養及び増殖される。プロセスにおいて使用される血清、培地、及びその他の消耗品高コストであるために細胞療法の製品のコストは非常に高い。栄養的な制約、培養中の細胞副産物蓄積物理的環境などを含む多様な因子により、細胞が高密度に増殖することが制限される場合がある。したがって、細胞を高細胞密度に増殖することによって生産容器から産生される細胞の体積を増加させることが望まれている。

0003

以前、例えば、ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)などの付着依存性細胞は、15%のウシ胎児血清(FBS)を含有する細胞増殖培地連続稼動第3日目に交換することによって高細胞密度に増殖されることが示された。しかしながら、かかる培地交換は、血清が高コストであることと、産生のために血清を多量に使用することと、操作処置が追加されることと、により望ましくない。したがって、培地交換のあるプロセスは、商業的に実現可能ではない。

0004

細胞増殖培地の交換が不要であり、商業的に実現可能である、細胞を増殖する新しい方法が必要とされている。

課題を解決するための手段

0005

本発明の一実施形態は、(1)アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミングリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、(2)ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム塩化コリン葉酸、I−イノシトールナイアシンアミドピリドキサルリボフラビンチアミン、d−ビオチンピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、(3)塩類である塩化カルシウム塩化カリウム硫酸マグネシウム塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、(4)ヌクレオシド類であるチミジンアデノシンシチジンウリジン、及びグアノシンと、(5)インスリンと、(6)トランスフェリンと、(7)リポ酸チオクト酸と、(8)エタノールアミンと、(9)亜セレン酸ナトリウムと、1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための培養培地である。

0006

一実施形態において、培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム水和物(Na2HPO4・7H2O)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む。

0007

本発明の別の実施形態は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む、付着依存性細胞を増殖させるための無血清培養液である。

0008

本発明はまた、付着依存性細胞を増殖させるためのキットを提供する。キットは、培養培地及び/又は無血清培養液を含む。培養培地、無血清溶液、及びキットは、(例えば、臍帯組織由来細胞などの)付着依存性細胞を増殖させる方法において使用することができる。

0009

したがって、本発明の別の実施形態は、単離された臍帯組織由来細胞を培養する方法であって、
アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウムを含む培養培地におけるマイクロキャリア上に播種された臍帯組織由来細胞を増殖させる工程であって、該培養培地は、該細胞が所望の初期個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって、血清が補充される、工程と、
該細胞が該所望の初期個体群密度に達した後、無血清培養液を添加する工程であって、該無血清培養液は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、亜セレン酸ナトリウムを含む、工程と、
該細胞が所望の最終個体群密度に達することが可能な十分な期間にわたって該細胞を増殖させる工程と、を含む。

0010

方法は、追加の工程を更に含んでもよい。一実施形態において、方法は、マイクロキャリア上に細胞を播種する工程を更に含む。別の実地形態では、方法は、培養後に細胞を単離する工程を更に含む。一実施形態において、所望の初期個体群密度は、3〜4日後に達成される。方法は、培地交換を必要としない。方法は、ローラーボトル培養システムにおいて実施することができ、マイクロキャリアは、アミン処理された表面を有してもよい。

0011

本方法において使用される臍帯組織由来細胞は、実質的に血液を含んでいないヒト臍帯組織から単離され、培養中の自己再生及び自己増殖が可能であり、分化する潜在能力を有し、CD13、CD90、HLA−ABCを発現し、CD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない。一実施形態において、細胞は、hTert又はテロメラーゼを発現しない。培養の前及び後の細胞の特性は実質的に同じである。一実施形態において、培養の前及び後の細胞の特性は同じある。

0012

一実施形態において、本方法において使用される培養培地は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、リポ酸/チオクト酸、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、及び1種又は2種以上のエネルギー源(例えば、D−グルコース、及びピルビン酸ナトリウムなど)と、を含む。

0013

別の実施形態において、本方法において使用される培養培地は、
少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンと、
それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類と、
少なくとも約0.05g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na2HPO4・7H2O)と、
少なくとも約0.0001g/Lのチミジン並びにそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
少なくとも0.003g/Lのインスリン、少なくとも0.05g/Lのトランスフェリン、少なくとも約5×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸、少なくとも0.05g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムと、を含む。

0014

本方法において使用される培養培地は、2〜20%のFBSが補充されている。一実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%のFBSが補充されている。

0015

一実施形態において、本方法において使用される無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物と、
微量のミネラル類である硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)と、
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、リポ酸/チオクト酸、及び亜セレン酸ナトリウムと、を含む。

0016

培養培地及び無血清培養液はまた、更なる成分を含有してもよい。例えば、培養培地及び/又は無血清培養液は、プトレシン安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含んでもよい。

0017

本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。

0018

以下の例示的実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付図面が参照されている。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践できるように十分に詳細に説明されおり、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、他の実施形態を用いることができること、及び論理構造的、機械的、電気的及び化学的変更がなされ得ることが理解されよう。当業者が本明細書に記載された実施形態を実践するために必要でない詳細な説明を避けるために、当業者に既知の特定の情報の説明が省略されている場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。

0019

一態様において、本発明は、血清含有培地内のマイクロキャリアに付着した、例えば、ヒト臍帯組織由来細胞(「hUTC」)などの付着依存性細胞を、連続稼動の途中で無血清培養液による流加培養によって培地交換をせずに高細胞密度に増殖させるプロセスを提供する。本プロセスによって、細胞は、細胞の生物学的機能に影響を与えること無く、高細胞密度に増殖することができる。本発明により、産生バイオリアクターからの収量が増加するので、経済的及び商業的利点がもたらされる。

0020

別の態様では、本発明は、付着依存性細胞を、好ましくは培地交換の必要性なしにスピナーフラスコ内で増殖させるのに好適である培養培地及び培養液を提供する。

0021

一実施形態において、本発明は、培地交換なしでスピナーフラスコ内でhUTCを高密度に増殖させるための栄養強化培地及び濃縮された無血清培養液の組成を開示する。この方法により、血清の使用量が減少し、体積生産性が増加し、製造コストが低下する。特に、本方法は、培地交換によって倍加を増大させることができる。

0022

別の実施形態において、本発明は、アミノ酸類(培養中に消費されたアミノ酸を補充するため)、ビタミン類、塩類(培養中の浸透圧バランスを維持するため)、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、並びに任意追加的にであるが好ましくはエタノールアミン及び亜セレン酸ナトリウムを含む、無血清培養液を提供する。本発明により、本プロセスは、大規模バイオリアクター拡張することができる。更に別の実施形態において、本発明は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、並びに任意追加的にではあるが好ましくはエタノールアミン及び亜セレン酸ナトリウムを含む、培養培地を提供する。使用前に、この培養培地は、血清が補充されてもよい。

0023

本発明の別の態様は、スピナーフラスコ内の懸濁培養において血清含有増殖培地を栄養強化することによって、マイクロキャリアに付着したhUTCを高細胞密度に増殖させる方法であり、培養物に無血清の栄養物を供給する工程も開示される。本方法により、培地交換が排除され、hUTCを高密度に増殖させることができる。

0024

本明細書及び特許請求の範囲を通して様々な用語が使用される。これらの用語には、別途記載のない限り、当該技術分野における通常の意味が与えられるものとする。他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される定義と一致する様式で解釈される。

0025

一実施形態において、本発明に使用される細胞は、一般的に分娩後細胞(postpartum cell)又は分娩後由来細胞(postpartum-derived cell)(PPDC)と称される。これらの細胞は、より具体的には、「臍由来細胞」若しくは「臍帯由来細胞」(UDC)、又は「臍帯組織由来細胞」(UTC)である。更には、該細胞は、幹細胞又は前駆細胞であるとして説明することができ、後者の用語は広義に使用される。「由来する」という用語は、その細胞が、それらの生物学的起源から得られ、インビトロで、増殖されているか又は他の方法で操作されている(例えば、増殖培地中で培養されて、その個体群を増殖させ、かつ/又は細胞株を産生する)ことを示すために使用される。幹細胞のインビトロ操作、及び本発明の臍由来細胞の独自の特徴が、以下で詳細に説明される。

0026

幹細胞は、単一細胞の、自己再生する能力、並びに自己再生前駆細胞、非自己再生前駆細胞、及び最終分化細胞を含めた子孫細胞を産生するために分化する能力の双方によって定義される、未分化細胞である。幹細胞はまた、インビトロで、複数の胚葉内胚葉中胚葉、及び外胚葉)から、様々な細胞系統の機能的細胞へと分化する能力によって、並びに、植え込み後に、複数の胚葉の組織を生じさせる能力、及び胚盤胞内への注射後に、全てではないが殆どの組織に実質的に寄与する能力によって特徴付けられる。

0027

幹細胞は、その発達能によって、(1)分化全能性、(2)多能性、(3)多分化能性、(4)少能性、及び(5)分化単能性として分類される。分化全能性細胞は、全ての胚細胞型及び胚体細胞型を生じさせることが可能である。多能性細胞は、全ての胚細胞型を生じさせることが可能である。多分化能性細胞は、細胞系統の小集団で、特定の組織、臓器、又は生理系内の全てを生じさせることが可能であるものを含む。例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSC(自己再生)、血球限定の少能性前駆細胞、並びに血液の正常構成要素である全ての細胞型及び成分(例えば、血小板)を含む後代を産生することができる。少能性細胞は、多分化能性幹細胞より多くの制限された細胞系統小集団を生じさせることができる。分化単能性細胞は、単一細胞系統(例えば、精子形成幹細胞)を生じさせる能力がある。

0028

幹細胞はまた、それらの幹細胞を得ることができる供給源に基づいて分類される。成体幹細胞は、全般的には、複数の分化細胞型を含む組織内に見出される、多分化能の未分化細胞である。成体幹細胞は、自己再生することができる。通常の状況下では、成体幹細胞はまた、その細胞が起源とする組織の、特殊化した細胞型、また恐らくは他の組織型を産生するように、分化することもできる。胚幹細胞は、胚盤胞期内部細胞塊からの、多能性細胞である。胎生幹細胞は、胎児組織又は胎膜を起源とする幹細胞である。分娩後幹細胞は、出産後入手可能な胚体外組織、すなわち、臍帯を実質的に起源とする、多分化能性若しくは多能性の細胞である。これらの細胞は、迅速な増殖、及び多くの細胞系統への分化に関する潜在能力を含む、多能性幹細胞固有の特徴を保有することが分かっている。分娩後幹細胞は、血液由来の(例えば、臍帯血から得られる幹細胞のような)又は非血液由来(例えば、臍帯及び胎盤の非血液組織から得られるような)ものとすることができる。

0029

培養中の細胞を説明するうえで様々な用語が用いられる。「細胞培養物」は、一般的には、生存生物から取り出され、管理された条件下で増殖する(「培養中の」又は「培養される」)細胞を指す。「初代細胞培養物」は、最初の継代培養前に、(複数の)生体から直接取り出された細胞、組織、又は臓器の培養物である。細胞は、細胞の増殖及び/又は分裂を促進する条件下で、増殖培地内に置かれると、培養中「増殖」して、より大きな細胞集団を形成する。細胞を培養中増殖させる場合、細胞増殖の速度は、細胞の数が倍加するのに必要な時間の量によってしばしば測定される。これは「倍加時間」と呼ばれる。

0030

用語「細胞株」とは、一般的に初代細胞培養の1つ又は2つ以上の継代培養物によって形成される細胞集団を指す。継代培養の各回は、継代数と呼ばれる。細胞は、継代培養される時、「継代された」と呼ばれる。細胞の特定の母集団又は細胞株は、継代された回数でよばれたり、特徴付けられたりする場合がある。例えば、10回継代された培養細胞集団はP10培養物と呼ばれる場合がある。初代培養、すなわち、組織から細胞を単離した後の最初の培養はP0と称される。最初の継代培養の後、細胞は、2次培養(P1又は継代数1)といわれる。2回目の継代培養の後では、細胞は、3次培養(P2又は継代数2)となる、といった具合である。継代の期間中には、多くの集団倍加が存在し得るため、培養物の集団倍加の数は、継代の数よりも大きいことが、当業者には理解されるであろう。それぞれの継代間の期間における細胞の増殖(すなわち、集団倍加数)は、播種密度基質、培地、増殖条件、及び継代間の時間等を含むがこれらに限定されない多くの因子に依存する。

0031

「分化」は、機能特化していない(「傾倒していない」)又は機能特化されていない細胞が、例えば、神経細胞又は筋肉細胞などの機能特化した細胞の特徴を取得するプロセスである。「分化した」細胞とは、細胞の系統内でより機能特化した(傾倒した)状態にある細胞である。分化のプロセスに用いられる際の用語「傾倒した」は、通常の環境下で特定の細胞型又は細胞型の小集合に分化し続ける分化経路地点に進行しており、通常の環境下で異なる細胞型に分化することができない、又はより分化されていない細胞型に戻ることができない細胞を指す。「脱分化」とは、細胞が細胞の系統内においてより機能特化(又は傾倒)していない状態に戻るプロセスを指す。本明細書で使用する際、細胞の「系統」とは、細胞の遺伝、すなわち、その細胞がどの細胞に由来し、どのような細胞を発生させることができるかを定義する。細胞の系統により、発生及び分化の遺伝体系内に細胞を位置付けることができる。

0032

広義では、「前駆細胞」は、それ自身よりも分化した後代を産生する能力を有し、かつ、前駆体のプールを補充する能力も保持する細胞である。その定義によれば、幹細胞自体もまた、最終分化細胞へより近い前駆体であるため、前駆細胞である。以下でより詳細に説明されるように、本発明の細胞に言及する場合、この広い意味での前駆細胞の定義を使用することができる。より狭義には、前駆細胞は、分化経路での中間体である細胞として定義される場合が多く、すなわち、前駆細胞は、幹細胞から生じるものであり、成熟細胞型又は細胞型の小集団を産生する際の中間体である。このタイプの前駆細胞は、一般的に自己再生が不可能である。したがって、本明細書でこのタイプの細胞が言及される場合には、その細胞は「非再生前駆細胞」、又は「中間的前駆体若しくは前駆体細胞」と称される。

0033

一般的に、「栄養因子」は、細胞の生存成長、増殖、及び/又は成熟を促進するか、あるいは細胞の活性の増大を刺激する物質として定義される。

0034

本明細書で使用される用語「標準増殖条件」は、5%のCO2を含み、約100%の相対湿度に維持された標準大気において、37℃で細胞を培養することを指す。前述の条件は、培養にとって有用であるが、そのような条件は、細胞を培養するために当該技術分野において利用可能な選択肢を認識する当業者によって、変更することが可能である点を理解されたい。

0035

本明細書で使用される用語「単離する」は、一般に、その自然環境から分離されている細胞を指す。この用語は、その自然環境からの全体的な物理的分離、例えばドナー動物からの除去を含む。好ましい実施形態において、単離細胞は組織内に存在しない。すなわち、単離細胞は、その細胞が通常は接触している近隣細胞から分離又は切り離されている。好ましくは、細胞は細胞懸濁液として投与される。本明細書で使用される語句「細胞懸濁液」は、培地に接触していて、かつ、例えば、組織片を穏やかな粉砕にかけることによって、切り離されている細胞を含む。

0036

本発明の一実施形態は、単離された付着依存性細胞を本発明の培養培地及び無血清培養液を利用して培養する方法である。単離された付着依存性細胞(例えば、臍帯組織由来細胞など)を培養する方法は、少なくとも1種のキャリア粒子、例えばマイクロキャリア上で細胞を培養する工程を提供する。マイクロキャリアは、天然又は合成的に誘導された材料からなってもよい。例としては、コラーゲン系のマイクロキャリア、デキストラン系のマイクロキャリア、又はセルロース系のマイクロキャリア、並びにガラスセラミックスポリマーポリスチレンなど)、又は金属が挙げられる。マイクロキャリアは、タンパク質を含まなくてもよく、又は例えばコラーゲンによってタンパク質コーティングされてもよい。更なる態様において、マイクロキャリアは、マイクロキャリアへの細胞の結合性を高め、かつマイクロキャリアからの細胞の放出を高める化合物から構成されてもよく、又はその化合物でコーティングされてもよく、それらの化合物としては、ヒアルロン酸ナトリウム、(ポリモノステアロイルグリセリド・コ−コハク酸)、ポリ−D、L−ラクチド−コ−グリコリドフィブロネクチンラミニンエラスチンリジン、n−イソプロピルアクリルアミドビトロネクチン、及びコラーゲンが挙げられるが、それらに限定されない。更なる例として、低レベル生物学的に適切な電気を生じる、亜鉛と銅の微粒子ガルバニ対(particulate galvanic couple)を有するマイクロキャリアのような微少電流を有するマイクロキャリア、又は常磁性アルギン酸カルシウムマイクロキャリアのような常磁性のマクロキャリアが挙げられる。本方法は、ローラーボトルシステムにおいて実施することができる。

0037

本発明は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的システムに限定されるものではなく、これらは無論のこと変更可能であることは理解されるはずである。また、本明細書において使用される用語は、あくまで特定の実施形態を説明することを目的としたものに過ぎず、限定的なものではない点も理解されるはずである。本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について特に明らかに断らないかぎり、複数の指示対象を含むものである。したがって、例えば、「a cell」と言う場合には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせなどを含む。

0038

「マイクロキャリア」は、培養中の付着依存性細胞の付着及び増殖に有用な粒子ビーズ、又はペレットを指す。マイクロキャリアは以下の特性を有する。(a)(マイクロキャリア又は細胞に有意なせん断損傷を引き起こさない撹拌速度での)懸濁培養において使用可能な程度に十分に小さい、(b)中実である、あるいは表面に多孔質コーティングを有する中実コアを有している、及び(c)表面(多孔質キャリアの場合は外側表面及び内側表面)は、正又は負に帯電していてもよい。一態様では、マイクロキャリアは、全般的に、約150〜350μmの粒子直径を有し、約0.8〜2.0meq/gの正電荷密度を有する。代表的な有用なマイクロキャリアとして、Cytodex(登録商標)1、Cytodex(登録商標)2、又はCytodex(登録商標)3(GE Healthcare Life Sciences)が挙げられる。

0039

別の態様では、マイクロキャリアは中実キャリアである。中実キャリアは、接着性細胞(例えば、付着依存性細胞)に特に好適である。キャリアの粒子はまた、多孔性マイクロキャリアであってもよい。例としては、例えば、低レベルの生物学的に適切な電気を生じる、亜鉛と銅の微粒子ガルバニ対を有するマイクロキャリアのような微少電流を有するマイクロキャリア、又は常磁性のアルギン酸カルシウムマイクロキャリアのような常磁性のマクロキャリアが更に挙げられる。

0040

「多孔性マイクロキャリア」は、培養中の付着依存性細胞の付着及び増殖に有用な粒子を指す。多孔性マイクロキャリアは以下の特性を有する。(a)(マイクロキャリア又は細胞に有意なせん断損傷を引き起こさない撹拌速度での)懸濁培養において使用可能な程度に十分小さい、(b)細胞を粒子の内部空間へと遊走させるのに十分な大きさの孔と内部空間とを有する、及び(c)(外側及び内側)表面が、正又は負に帯電していてもよい。一連の実施形態において、キャリアは(a)全般的に約150〜350μmの粒子直径を有し、(b)約15μm〜約40μmの平均孔開口直径を有する孔を有し、(c)約0.8〜2.0meq/gの正電荷密度を有する。幾つかの実施形態において、DEAE(N,N−ジエチルアミノエチル)基により正電荷がもたらされる。有用な多孔性マイクロキャリアとして、Cytopore 1(登録商標)及びCytopore 2(登録商標)(GE Healthcare Life Sciences(Piscataway N.J.))が挙げられるがこれらに限定されない。

0041

「付着依存性細胞」は、組織培養で複製するために、表面(例えば、組織培養フラスコ表面又はマイクロキャリア粒子表面)に付着する必要のある、哺乳類細胞を含む細胞である。

0042

本明細書において使用される、量、時間の長さなどの測定可能な値を指す際の用語「約」は、具体的に示された値から±20%又は±10%、より好ましくは±5%、更により好ましくは±1%、いっそうより好ましくは±0.1%の変動を含むことを意味するが、かかる変動は開示される方法を実施するうえで適切なものである。

0043

I.培養培地及び無血清の栄養供給溶液
本発明により、栄養強化培地及び無血清の濃縮栄養供給溶液が提供される。その培地及び無血清培養液を使用して高密度に細胞を増殖させることができる。好ましい実施形態において、その培地及び無血清培養液を使用して、例えば、hUTCなどの付着依存性細胞を、スピナーフラスコ中でより低い血清消費量で高密度に増殖することができる。

0044

一実施形態において、培養培地及び無血清培養液は、臍帯組織由来細胞の増殖用に使用される。別の実施形態において、培養培地及び無血清培養液は、前駆細胞の増殖に好適であり、その前駆細胞として、間葉系幹細胞骨髄由来幹細胞胎盤組織由来細胞、例えば、脂肪組織筋肉組織内乳動脈由来細胞を含む血管、歯の歯髄由来細胞、羊水由来細胞、及び新生児包皮線維芽細胞を含む線維芽細胞などの非骨髄組織由来接着性細胞が挙げられるがそれらに限定されない。

0045

A.培養培地
本発明の一態様は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、亜セレン酸ナトリウム、D−グルコース、及びピルビン酸ナトリウムを含む培養培地である。

0046

一実施形態において、培養培地は、共通のL−アミノ酸類を含む。別の実施形態において、培養培地は、以下のアミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、並びに任意追加的にL−システイン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、それぞれが約0.0006g/L〜約0.1g/Lのアミノ酸を含む。

0047

更に別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.1g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.05g/LのL−シスチン、少なくとも約0.3g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.02g/Lのグリシン、少なくとも約0.03g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.08g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.08g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.1g/LのL−リシン、少なくとも約0.1g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.01g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.09g/LのL−チロシン、少なくとも約0.07g/LのL−バリン、及び任意追加的に少なくとも約0.007g/LのL−システイン、少なくとも約0.0005g/LのL−アラニン、少なくとも約0.02g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.01g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0006g/LのL−タウリンを含む。

0048

代替の実施形態において、培養培地は、約0.09705g/LのL−アルギニン、約0.06779g/LのL−シスチン、約0.009224g/LのL−システイン、約0.584g/LのL−グルタミン、約0.031125g/Lのグリシン、約0.048288g/LのL−ヒスチジン、約0.163713g/LのL−イソロイシン、約0.163713g/LのL−ロイシン、約0.16807g/LのL−リシン、約0.036748g/LのL−メチオニン、約0.073695g/LのL−フェニルアラニン、約0.05145g/LのL−セリン、約0.108609g/LのL−トレオニン、約0.018457g/LのL−トリプトファン、約0.121813g/LのL−チロシン、約0.111105g/LのL−バリン、約0.000668g/LのL−アラニン、約0.031978g/LのL−アスパラギン、約0.0080g/LのL−アスパラギン酸、約0.054728g/LのL−グルタミン酸、約0.02403g/LのL−プロリン、及び約0.000844g/LのL−タウリンを含む。

0049

培養培地は、1種又は2種以上のビタミン類を更に含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも以下のビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、並びに任意追加的にd−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。培地は、ビタミンC及びビタミンAを更に含んでもよい。別の実施形態において、培養培地は、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類を含む。一実施形態において、培養培地は、約0.004338g/LのD−パントテン酸カルシウム、約0.006094g/Lの塩化コリン、約0.004302g/Lの葉酸、約0.009568g/LのI−イノシトール、約0.004302g/Lのナイアシンアミド、約0.004153g/Lのピリドキサル、約0.000431g/Lのリボフラビン、約0.004304g/Lのチアミン、約3.75E−05g/Lのd−ビオチン、約1.85E−05g/Lのピリドキシン、及び約0.000102g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。

0050

培養培地は、1種又は2種以上の無機塩類を更に含む。一実施形態において、培養培地は、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩を含む。別の実施形態において、培養培地は、無水塩化カルシウム、塩化カリウム、無水硫酸マグネシウム、第一リン酸ナトリウム、H2O、及び任意追加的に第二リン酸ナトリウム7水和物(Na2HPO4・7H2O)を含む。使用される塩に応じて、培養培地は、少なくとも約0.005g/L〜最少で約7g/Lの塩類を含んでもよい。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.01g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.08g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、及び任意追加的に少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na2HPO4・7H2O)を含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.2g/Lの無水塩化カルシウム、約0.4g/Lの塩化カリウム、約0.9767g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.13g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、約6.4g/Lの塩化ナトリウム、及び任意追加的に少なくとも約0.002g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na2HPO4・7H2O)を含む。

0051

培養培地は、ヌクレオシド類を更に含む。一実施形態において、培養培地は、核酸誘導体(ヌクレオシド類)チミヂン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。代替の実施形態において、培地は、それぞれ少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.02g/Lのヌクレオシド類を含む。一実施形態において、培地は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれ最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。別の実施形態において、培地は、約0.00045g/Lのチミジン、それぞれが約0.015g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。

0052

一実施形態において、培養培地は、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、及びセレン酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.003g/Lのインスリンを含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.01g/Lのインスリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.05g/Lのトランスフェリンを含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.055g/Lのトランスフェリンを含む。更に別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.01g/Lのエタノールアミンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、約0.02g/Lのエタノールアミンを含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、培養培地は、約0.000067g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。更に別の実施形態において、培養培地は、インスリン、トランスフェリン、及びエタノールアミンを更に含まない。

0053

本発明の一実施形態は、
アミノ酸類:L−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、ビタミン類:D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類:塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、ヌクレオシド類(核酸誘導体):チミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、インスリンと、トランスフェリンと、エタノールアミンと、亜セレン酸ナトリウムと、1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む、培養培地である。一実施形態において、この培養培地は、それぞれが約0.0006g/L〜約0.1g/Lのアミノ酸類を含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類を含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.005g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約02g/Lの硫酸マグネシウム、少なくとも約0.1g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、及び少なくとも約0.0005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na2HPO4・7H2O)を含む。別の実施形態において、培地は、それぞれが少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.02g/Lのヌクレオシド類を含む。一実施形態において、培地は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも0.005g/Lのインスリン、及び少なくとも0.03g/Lのトランスフェリン、少なくとも0.01g/Lのエタノールアミン、及び少なくとも約0.00004g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。1種又は2種以上のエネルギー源は、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムであってもよい。

0054

別の実施形態において、培養培地は、(1)アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、(2)ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、(3)塩類である塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、(4)ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、(5)インスリンと、(6)トランスフェリンと、(7)リポ酸/チオクト酸と、(8)エタノールアミンと、(9)亜セレン酸ナトリウムと、(10)1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む。

0055

本発明の一実施形態は、培養培地は、アミノ酸類:L−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、ビタミン類:D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類:塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、及び1種又は2種以上のリン酸ナトリウム塩と、ヌクレオシド類(核酸誘導体):チミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、リポ酸/チオクト酸と、微量のミネラル類である硝酸鉄(III)、硫酸銅、硫酸亜鉛と、1種又は2種以上のエネルギー源と、を含む。一実施形態において、培養培地は、それぞれが約0.0006g/L〜約0.1g/Lのアミノ酸を含む。別の実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.05g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.02g/LのL−シスチン、少なくとも約0.2g/LのL−グルタミン、少なくとも約0.01g/Lのグリシン、少なくとも約0.02g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.09g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.09g/LのL−リシン、少なくとも約0.02g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.05g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.03g/LのL−セリン、少なくとも約0.08g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.009g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.08g/LのL−チロシン、少なくとも約0.08g/LのL−バリン、少なくとも約0.005g/LのL−システイン、少なくとも約0.0004g/LのL−アラニン、少なくとも約0.01g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.006g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも0.03g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.005g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.0003g/LのL−タウリンを含む。代替の実施形態において、培養培地は、それぞれが約5×10−6g/L〜約0.015g/Lのビタミン類を含む。一実施形態において、培養培地は、少なくとも約0.01g/Lの無水塩化カルシウム、少なくとも約0.1g/Lの塩化カリウム、少なくとも約0.2g/Lの硫酸マグネシウム(無水)、少なくとも約0.1g/Lの第一リン酸ナトリウム、H2O、及び少なくとも約0.005g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物(Na2HPO4・7H2O)を含む。別の実施形態において、培地は、それぞれが少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.02g/Lのヌクレオシド類を含む。一実施形態において、培地は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシンを含む。1種又は2種以上のエネルギー源は、D−グルコース及びピルビン酸ナトリウムであってもよい。

0056

微量のミネラルの亜セレン酸ナトリウムに加えて、特定の実施形態において、培養培地は、1種又は2種以上の追加的な微量のミネラル類を更に含む。一実施形態において、培地は、硝酸鉄(III)、硫酸銅、及び硫酸亜鉛を更に含む。一実施形態において、培地は、硝酸鉄(III)(9H2O)、硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)、及び硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)を更に含む。微量のミネラル類は、それぞれの微量のミネラル類が約5×10−8g/L〜約3×10−4g/Lgの範囲の量で存在してもよい。代替の実施形態において、培地は、約0.001g/Lの硝酸鉄(III)(9H2O)、約9.33E−08g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)、及び3.24E−05g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)を更に含む。

0057

更に、培地は、培養液の少なくとも約5×10−6g/Lを含んでもよいリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。一実施形態において、培地は、約0.000015g/Lのリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。

0058

任意追加的に、培地は、プトレシン、アルブミン、安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含んでもよい。一実施形態において、アルブミンは、ウシ血清アルブミンである。一実施形態において、ウシ血清アルブミンは、脂質の多いウシ血清アルブミンである、市販のAlbuMAX(登録商標)I(Gibco(商標)Cell Culture,Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))の形態で提供される。別の実施形態において、培地は、市販の安定化剤/消泡剤Pluronic(登録商標)F68(Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))を更に含む。

0059

培養培地の代表的な好適な実施形態は以下の表に示される。

0060

0061

0062

これらの培地は、ウシ血清アルブミン(BSA)、プトレシン、及びPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。具体的には、実施形態Aについては、培地は、3.02E−05g/Lのプトレシン、2.5g/LのBSA、及び0.015g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。同様に実施形態Bについては、無血清培養液は、少なくとも約1E−05g/Lのプトレシン、1g/LのBSA、及び少なくとも0.005g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。一実施形態において、培地は、例えば、3.02E−05g/Lのプトレシン、2.5g/LのBSA、及び0.015g/LのPluronic(登録商標)F68のようなプトレシン及びPluronic(登録商標)F68を更に含む。

0063

本発明の培養培地は、少なくとも0.8g/LのD−グルコース及び少なくとも0.1g/Lのピルビン酸ナトリウムを更に含んでもよい。一実施形態において、本発明の培養培地は、約1g/LのD−グルコース及び約0.11g/Lのピルビン酸ナトリウムを更に含む。

0064

本発明の一実施形態において、培養培地は、例えば、ウシ胎児血清(FBS)又は新生仔ウシ血清NCS)などの血清が補充されている。血清含量は、培地の全容積の0(無血清培地)〜20%の濃度の範囲に及んでもよい。一実施形態において、培地は、培地の調製中、血清(例えば、FBSなど)で補充されている。別の実施形態において、培地は、(例えば、血清(例えば、FBS)を含む溶液の添加によってなど)使用直前に補充されている。一実施形態において、培養培地は、好ましくは、約2〜15%(v/v)のFBS、あるいは約2〜約10%、あるいは約3〜約12%、あるいは約5〜約15%、あるいは約4〜約10%のFBSが補充されている。選択された実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%(v/v)のFBSが補充されている。

0065

B.無血清培養液
本発明の別の態様は、アミノ酸類と、ビタミン類と、塩類と、ヌクレオシド類と、インスリンと、トランスフェリンと、エタノールアミンと、亜セレン酸ナトリウムと、を含む、無血清培養液である。本明細書で使用される場合、培養液に関連して、用語「無血清の」は、培養培地に添加する前、培養液が血清を含有しないことを意味する。別途記載のない限り、無血清培養液の成分に関して開示された量は、無血清培養液が培養物に添加された後のそれぞれの成分の重量の増加分の測定に基づいている。

0066

一実施形態において、無血清培養液は、一般的な20種のL−アミノ酸類を含む。別の実施形態において、無血清培養液は、アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、並びに任意追加的にL−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンを含む。一実施形態において、培養液は、それぞれが少なくとも約0.0001g/L〜少なくとも約0.03g/Lのこれらのアミノ酸を含む。別の実施形態において、無血清培養液は、少なくとも約0.005g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.002g/LのL−シスチン、少なくとも約0.0003g/LのL−システイン、少なくとも約0.0005g/Lのグリシン、少なくとも約0.002g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.01g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.01g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.008g/LのL−リシン、少なくとも約0.002g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.002g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.002g/LのL−セリン、少なくとも約0.003g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.0008g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.005g/LのL−チロシン、少なくとも約0.005g/LのL−バリン、少なくとも約0.0001g/LのL−アラニン、少なくとも約0.005g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.002g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも約0.01g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.008g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.008g/LのL−タウリンを含む。

0067

代替の実施形態において、無血清培養液は、約0.013g/LのL−アルギニン、HCl、約0.005g/LのL−シスチン、2HCl、約0.009g/LのL−システイン、HCl、H2O、約0.001g/Lのグリシン、約0.006g/LのL−ヒスチジン、HCl、H2O、約0.059g/LのL−イソロイシン、約0.059g/LのL−ロイシン、約0.022g/LのL−リシン、HCl、約0.007g/LのL−メチオニン、約0.008g/LのL−フェニルアラニン、約0.009g/LのL−セリン、約0.013g/LのL−トレオニン、約0.002g/LのL−トリプトファン、約0.018g/LのL−チロシン、2Na、2H2O、約0.018g/LのL−バリン、約0.001g/LのL−アラニン、約0.032g/LのL−アスパラギン、H2O、約0.008g/LのL−アスパラギン酸、約0.055g/LのL−グルタミン酸、約0.024g/LのL−プロリン、及び約0.0008のL−タウリンを含む。アミノ酸類は、培養中に消費されたアミノ酸を補充させると考えられる。

0068

無血清培養液は、1種又は2種以上のビタミン類を更に含む。一実施形態において、無血清培養液は、少なくとも以下のビタミン類:D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。培養液は、ビタミンC及びビタミンAを更に含んでもよい。一実施形態において、培養液は、それぞれが約5×10−6g/L〜0.001g/Lの1種又は2種以上のビタミン類を含む。一実施形態において、無血清培養液は、少なくとも約0.0001g/LのD−パントテン酸カルシウム、少なくとも約0.0008g/Lの塩化コリン、少なくとも約0.0001g/Lの葉酸、少なくとも約0.0008g/LのI−イノシトール、少なくとも約0.0001g/Lのナイアシンアミド、少なくとも約0.00005g/Lのピリドキサル、少なくとも約1×10−5g/Lのリボフラビン、少なくとも約0.00001g/Lのチアミン、少なくとも約1×10−5g/Lのd−ビオチン、少なくとも約1×10−5g/Lのピリドキシン、及び少なくとも約1×10−5g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。一実施形態において、無血清培養液は、約0.000338g/LのD−パントテン酸カルシウム、約0.002094g/Lの塩化コリン、約0.000302g/Lの葉酸、約0.002568g/LのI−イノシトール、約0.000302g/Lのナイアシンアミド、約0.000153g/Lのピリドキサル、HCl、約3.11E−05g/Lのリボフラビン、約0.000304g/Lのチアミン、HCl、約3.75E−05g/Lのd−ビオチン、約1.85E−05g/Lのピリドキシン、HCl、及び約0.000102g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を含む。

0069

更に、無血清培養液は、1種又は2種以上の塩類を含む。別の実施形態において、培養液は、約0.0005g/L〜約0.001g/Lのリン酸塩を含む。代替の実施形態において、培養液は、第一リン酸ナトリウム及び第二リン酸ナトリウム7水和物などのリン酸ナトリウムを含む。更に別の実施形態において、培養液は、少なくとも約0.005g/Lの第一リン酸ナトリウム及び少なくとも約0.001g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物を含む。代替の実施形態において、培養液は、約0.008g/Lの第一リン酸ナトリウム及び約0.002g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物を含む。

0070

無血清培養液は、ヌクレオシド類を更に含む。一実施形態において、無血清培養液は、核酸誘導体のチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。代替の実施形態において、培養液は、それぞれが約0.0001g/L〜少なくとも約0.005g/Lのヌクオレシド類を含む。一実施形態において、培養液は、少なくとも約0.0001g/Lのチミジン、それぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシンを含む。別の実施形態において、培養液は、約0.0005g/Lのチミジン、それぞれが約0.015g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンを含む。

0071

無血清培養液は、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、及び亜セレン酸ナトリウムを更に含む。一実施形態において、培養液は、少なくとも0.002g/L、あるいは約0.01g/Lのインスリンを含む。別の実施形態において、培養液は、少なくとも約0.01g/L、あるいは約0.06g/Lのトランスフェリンを含む。代替の実施形態において、培養液は、少なくとも約0.005g/L、あるいは約0.02g/Lのエタノールアミンを含む。更に別の実施形態において、培養液は、少なくとも約2×10−5g/L、あるいは約7×10−5g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。

0072

微量のミネラルの亜セレン酸ナトリウムに加えて、特定の実施形態において、無血清培養液は、1種又は2種以上の追加的な微量のミネラル類を更に含む。一実施形態において、培養液は、それぞれが約3×10−8g/L〜約2×10−5g/Lの1種又は2種以上の追加的な微量のミネラル類を含む。一実施形態において、培養液は、硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)及び硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)を更に含む。別の実施形態において、培養液は、少なくとも約3×10−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)及び少なくとも約5×10−6g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)を更に含む。代替の実施形態において、培養液は、約9×10−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)及び約3×10−5g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)を更に含む。

0073

更に、脂質エタノールアミンに加えて、無血清培養液は、培養液の少なくとも約1×10−5g/Lを含んでもよいリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。

0074

本発明の一実施形態において、無血清培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、
塩類である第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム7水和物と
ヌクレオシド類であるアデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、
インスリンと、トランスフェリンと、エタノールアミンと、亜セレン酸ナトリウムと、を含む。

0075

この無血清溶液は、任意追加的に硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)及び硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)を更に含む。更に、無血清溶液は、任意追加的にリポ酸/チオクト酸を更に含んでもよい。一実施形態において、溶液は、(1)それぞれが約0.0001g/L〜約0.03g/Lのアミノ酸類、(2)それぞれが約0.00001g/L〜約0.001g/Lのビタミン類、(3)少なくとも約5×10−6g/Lの第一リン酸ナトリウム、及び0.001g/Lの第二リン酸ナトリウム7水和物、(4)少なくとも約0.0001g/Lのチミジン及びそれぞれが最少で約0.005g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシン、(5)少なくとも0.002g/Lのインスリン、(6)少なくとも約0.03g/Lのトランスフェリン、(7)少なくとも約0.005g/Lのエタノールアミン、並びに(8)少なくとも約5×10−5g/Lの亜セレン酸ナトリウムを含む。任意追加的に、この溶液は、(9)少なくとも約7×10−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)、(10)少なくとも約5×10−6g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)、及び(11)少なくとも約1×10−6g/Lのリポ酸/チオクト酸を更に含む。

0076

本発明の別の実施形態において、無血清培養液は、アミノ酸類、ビタミン類、塩類、ヌクレオシド類、硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)、及びリポ酸/チオクト酸を含む。その実施形態において、培養液は、
アミノ酸類であるL−アルギニン、L−シスチン、L−システイン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リシン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−プロリン、及びL−タウリンと、
ビタミン類であるD−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、I−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキサル、リボフラビン、チアミン、d−ビオチン、ピリドキシン、及びビタミンB12(シアノコバラミン)と、塩類であるリン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム7水和物と、
ヌクレオシド類であるチミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、及びグアノシンと、を含む。

0077

一実施形態において、この無血清培養液は、少なくとも約0.005g/LのL−アルギニン、少なくとも約0.002g/LのL−シスチン、少なくとも約0.0003g/LのL−システイン、少なくとも約0.0005g/Lのグリシン、少なくとも約0.002g/LのL−ヒスチジン、少なくとも約0.01g/LのL−イソロイシン、少なくとも約0.01g/LのL−ロイシン、少なくとも約0.008g/LのL−リシン、少なくとも約0.002g/LのL−メチオニン、少なくとも約0.002g/LのL−フェニルアラニン、少なくとも約0.002g/LのL−セリン、少なくとも約0.003g/LのL−トレオニン、少なくとも約0.0008g/LのL−トリプトファン、少なくとも約0.005g/LのL−チロシン、少なくとも約0.005g/LのL−バリン、少なくとも約0.0001g/LのL−アラニン、少なくとも約0.005g/LのL−アスパラギン、少なくとも約0.002g/LのL−アスパラギン酸、少なくとも約0.01g/LのL−グルタミン酸、少なくとも約0.008g/LのL−プロリン、及び少なくとも約0.008g/LのL−タウリンを含む。別の実施形態において、この無血清培養液は、少なくとも約0.0001g/LのD−パントテン酸カルシウム、少なくとも約0.0008g/Lの塩化コリン、少なくとも約0.0001g/Lの葉酸、少なくとも約0.0008g/LのI−イノシトール、少なくとも約0.0001g/Lのナイアシンアミド、少なくとも約0.00005g/Lのピリドキサル、少なくとも約1×10−5g/Lのリボフラビン、少なくとも約0.00001g/Lのチアミン、少なくとも約1×10−5g/Lのd−ビオチン、少なくとも約1×10−5g/Lのピリドキシン、及び少なくとも約1×10−5g/LのビタミンB12(シアノコバラミン)を更に含む。代替の実施形態において、この培養液は、少なくとも約0.0001g/Lのチミヂン、それぞれが最少で0.01g/Lのアデノシン、シチジン、ウリジン及びグアノシンを更に含む。別の実施形態において、この培養液は、少なくとも約3×−8g/Lの硫酸銅(II)5水和物(CuSO4・5H2O)、約5×10−5g/Lの硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)、及び約2×10−5g/Lのリポ酸/チオクト酸を更に含む。

0078

任意追加的に、無血清培養液は、プトレシン、ウシ血清アルブミン、安定化剤、及び/又は発泡剤を更に含んでもよい。一実施形態において、ウシ血清アルブミンは、脂質の多いウシ血清アルブミンである市販のAlbuMAX(登録商標)I(Gibco(商標)Cell Culture,Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))の形態で提供される。別の実施形態において、無血清培養液は、市販の安定化剤/消泡剤のPluronic(登録商標)F68(Invitrogen Corporation(Carlsbad,CA))を含む。

0079

無血清培養液の例示的な好適な実施形態は、以下の表において示される。

0080

0081

これらの無血清培養液は、ウシ血清アルブミン(BSA)、プトレシン、及びPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。具体的には、実施形態Aについては、無血清培養液は、3.02×E−05g/Lのプトレシン、2.5g/LのBSA、及び0.015g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。同様に、実施形態Bについては、無血清培養液は、少なくとも約1E−05g/Lのプトレシン、1g/LのBSA、及び少なくとも0.005g/LのPluronic(登録商標)F68を更に含んでもよい。一つの好ましい実施形態において、無血清培養液は、プトレシン及びPluronic(登録商標)F68を更に含む。

0082

実施形態において、無血清培養液は、セレン酸ナトリウム、エタノールアミン、インスリン、トランスフェリン、チミジン、アデノシン、シチジン、ウリジン、グアノシン、及び血清アルブミン(すなわち、ウシ血清アルブミン)を含む。

0083

任意追加的に、無血清培養液は、例えば、グルコース及び/又はピルビン酸塩などの1種又は2種以上のエネルギー基質を更に含んでもよい。

0084

本発明の一実施形態において、培養培地及び/又は無血清培養液は、未分化細胞の増殖を促進する、外因的に付加される因子を含有しない。一つの好ましい実施形態において、培養培地及び/又は無血清培養液は、例えば、塩基性FGF又はFGF−4などの線維芽細胞増殖因子を含まない。

0085

II.ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)
本発明の特定の実施形態で上述されたように、培養培地及び無血清培養液を使用して単離されたヒト臍帯組織由来細胞(「hUTC」又は「UTC」)を増殖させることができる。本発明の培養培地、無血清培養液、キット、及び方法での使用に好適なUTC及びUTC個体群は、以下の詳細にわたる本明細書、並びに米国特許第7,510,873号、同第7,524,489号、及び米国特許出願公開第2005/005863号(これらの特許は、hUTCの説明、単離及び特性評価に関連しているので、その全体が参照により組み込まれている)において詳細に説明されている。

0086

A.臍帯組織由来細胞の単離及び増殖
本明細書で説明される方法によれば、哺乳類の臍帯は、満期産若しくは早期産のいずれかの終了時に、又はその直後に、例えば、出産後の圧出の後に採取される。この分娩後組織は、出産場所から、実験室へと、フラスコビーカー培養皿、又は袋などの滅菌容器に入れて移送することができる。この容器は、溶液又は培地を有してもよく、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地DMEM)(ダルベッコ最小必須培地としても知られる)若しくはリン酸緩衝生理食塩水PBS)などの食塩水、又はウィスコシン大学溶液若しくはパーフルオロケミカル溶液などの、移植に使用される器官の移送のために使用される任意の溶液が挙げられるが、これらに限定されない。限定するものではないが、ペニシリンストレプトマイシンアンホテリシンBゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの1種又は2種以上の抗生物質及び/又は抗真菌剤を、培地又は緩衝液に添加することができる。分娩後組織は、ヘパリン含有溶液などの抗凝固溶液ですすぐことができる。UTCの抽出の前にこの組織を約4〜10℃で保つことが好ましい。この組織は、UTCの抽出前に凍結させないことが、更により好ましい。

0087

UTCの単離は、好ましくは、無菌環境内で実施される。臍帯は、当該技術分野において既知の手段によって胎盤から分離することができる。あるいは、臍帯及び胎盤は、分離することなく使用される。血液及び残渣は、UTCの単離前に、分娩後組織から除去することが好ましい。例えば、この分娩後組織は、緩衝溶液(リン酸緩衝生理食塩水を含むがこれに限定されない)で洗浄することができる。この洗浄緩衝液はまた、1種又は2種以上の抗真菌剤及び/又は抗生物質(例えばペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンを含むがこれらに限定されない)も含み得る。

0088

臍帯又はその断片若しくは切片を含む分娩後組織は、機械的な力(細断力又は剪断力)によって脱凝集される。現時点で好ましい実施形態において、この単離手順はまた、酵素消化プロセスも利用する。多くの酵素が、培養下での増殖を促進するための、複合組織マトリックスからの個々の細胞の単離に関して有用であることは、当該技術分野において既知である。消化酵素は、弱い消化性(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ、及び中性プロテアーゼであるディスパーゼ)から、強い消化性(例えば、パパイン及びトリプシン)まで様々であり、市販されている。本明細書に適合する酵素の非網羅的なリストとしては、粘液溶解酵素活性メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、又はエラスターゼなど)、及びデオキシリボヌクレアーゼが挙げられる。メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、及び粘液溶解活性から選択される酵素活性が、現時点で好ましい。例えば、コラゲナーゼは、組織から様々な細胞を単離するために有用であることが既知である。デオキシリボヌクレアーゼは、一本鎖DNA消化することができ、単離中の細胞凝集を最小限に抑えることができる。好ましい方法には、例えばコラゲナーゼ及びディスパーゼで、又はコラゲナーゼ、ディスパーゼ及びヒアルロニダーゼで、酵素処置することを含む。特定の実施形態において、コラゲナーゼと中性プロテアーゼディスパーゼの混合物が、この分離する工程において使用される。より具体的な実施形態において、Clostridium histolyticum由来の少なくとも1種のコラゲナーゼ、並びにプロテアーゼ活性のディスパーゼ、及びサーモリシンのいずれかの存在下での消化を採用する。更に別の実施形態において、コラゲナーゼとディスパーゼ両方の酵素活性での消化を採用する。また、コラゲナーゼ活性及びディスパーゼ活性に加えて、ヒアルロニダーゼ活性での消化を含む方法も利用される。様々な組織源から細胞を単離するための、そのような多くの酵素処理が、当該技術分野において既知であることが、当業者には理解されるであろう。例えば、商品名LIBERASE(Roche(Indianapolis,Ind.))で販売される組織解離用酵素混合物が本方法での使用に好適である。他の酵素の供給源が既知であり、当業者はまた、そのような酵素を、それらの天然源から直接取得することもできる。当業者はまた、本発明の細胞を単離する際の有用性に関して、新たな、又は追加的な酵素若しくは酵素の組み合せを評価するための設備も、十分に備えている。好ましい酵素処理は、0.5時間、1時間、1.5時間、又は2時間以上の長さである。他の好ましい実施形態において、解離工程の酵素処理の間、組織を37℃でインキュベートする。

0089

本発明のいくつかの実施形態において、分娩後組織は、例えば、胎盤の、新生児、新生児/母体、及び母体の態様などの、様々な組織の態様を含む切片へと分離される。次いで、分離された切片は、本明細書で説明される方法に従って、機械的解離及び/又は酵素的解離によって解離される。新生児系統又は母体系統の細胞は、当該技術分野において既知の任意の手段によって、例えば、Y染色体に関して核型分析又は原位置ハイブリダイゼーションによって、同定することができる。

0090

単離された細胞又はUTCが由来する臍帯組織は、細胞培養を開始又は播種するのに使用することができる。細胞外マトリックス又はリガンド、例えば、ラミニン、コラーゲン(ネイティブ変性、又は架橋)、ゼラチン、フィブロネクチン、及びその他の細胞外マトリックスタンパク質を用いてコーティングしてある又はコーティングしてない組織培養用滅菌容器に単離細胞を移入する。本明細書に開示される培養培地に加えて、UTCは、細胞の増殖を維持することができる任意の培養培地において培養することができ、これには例えば、DMEM(高グルコース又は低グルコース)、進化型DMEM、DMEM/MCDB 201、イーグル基本培地ハムF10培地(F10)、ハムF12培地(F12)、イスコフ改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞増殖培地MSCGM)、DMEM/F12、RPMI1640、及び商品名CELL−GRO−FREE(Mediatech,Inc.(Herndon,VA))として販売される、無血清培地(serum/media free medium)などが挙げられるがこれらに限定されない。この培養培地は、例えば、好ましくは約2〜15%(v/v)のウシ胎児血清(FBS)、ウマ血清ES)、ヒト血清(HS)、好ましくは約0.001%(v/v)のβ−メルカプトエタノール(BME又は2−ME)、1種又は2種以上の増殖因子、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子VEGF)、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、白血球阻止因子(LIF)、及びエリスロポエチン(EPO)、L−バリンを含むアミノ酸、例えば、単独若しくは組み合せでの、ペニシリンG硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、微生物汚染を制御するための、1種又は2種以上の抗生物質並びに/あるいは抗真菌剤を含めた、1種又は2種以上の構成成分を添加することができる。培養培地は、実施例で定義される増殖培地を含んでもよい。

0091

細胞は、細胞増殖を可能にする密度で、培養容器中に播種される。好ましい実施形態において、細胞は、空気中、CO2が約0〜約5体積%で培養される。幾つかの好ましい実施形態において、細胞は、空気中、O2が約2〜約25%、好ましくは、空気中、O2が約5〜約20%で培養される。細胞は、好ましくは、約25〜約40℃の温度で培養され、より好ましくは、37℃で培養される。細胞は、好ましくは、インキュベーター内で培養される。培養容器内の培地は、静置状態であってもよく、又は例えば、バイオリアクターを使用して撹拌されてもよい。UTCは、好ましくは、低酸ストレス下で(例えば、グルタチオン、ビタミンC、カタラーゼビタミンE、N−アセチルシステインを添加して)増殖される。「低酸化ストレス」とは、培養される細胞に対するフリーラジカルによる損傷が無い又は最少である状態を指す。

0092

最も適切な細胞培地、培地調製、及び細胞培養技術の選択方法は、当該技術分野において周知であり、Doyleら(編)、1995年、「Cell & Tissue Culture:Laboratory Procedures」、John Wiley & Sons(Chichester)、Ho及びWang(編)、1991年、「Animal Cell Bioreactors」、Butterworth−Heinemann(Boston)を含む様々な出典に説明されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。

0093

単離された細胞又は組織断片を、十分な期間にわたって培養した後に、分娩後組織からの遊走、若しくは細胞分裂のいずれか、又は双方の結果として、UTCが増殖することとなる。本発明の幾つかの実施形態において、UTCは、継代され、又は、最初に使用されたものと同じタイプ、若しくは異なるタイプの新鮮培地を入れた、別個の培養容器に取り出され、そこにおいてその細胞の個体群は有糸分裂的に増殖することができる。本発明の細胞は、継代数0と老化との間の任意の時点で使用することができる。この細胞は、好ましくは、約3回〜約25回継代され、より好ましくは、約4回〜約12回継代され、好ましくは、10回又は11回継代される。クローニング及び/又はサブクローニングを実行することにより、細胞のクローン集団が単離されていることを確認することができる。

0094

特定の実施形態において、分娩後組織に存在する多種の細胞が、亜集団分画され、これらの亜集団からUTCを単離することができる。分画又は選択は、細胞分離のための標準的技術を使用して達成することができ、それらの標準的技術としては、分娩後組織をその構成細胞へと解離する酵素処理、その後の特定の細胞型のクローニング及び選択、例えば、形態学マーカー及び/又は生化学的マーカーに基づく選択、所望される細胞の選択的増殖(正の選択)、不必要な細胞の選択的破壊(負の選択)、例えば大豆凝集素を使用するような、混合集団中での示差的な細胞凝集能に基づく分離、凍結−解凍手順、混合集団中での示差的な細胞付着特性、濾過、従来の遠心分離法及びゾーン遠心分離法遠心溶出法対向流遠心分離法)、単位重力分離法、向流分布法、電気泳動、及び蛍光活性細胞選別法(FACS)が挙げられるが、これらに限定されない。クローン選択及び細胞分離技術の概説に関しては、参照により本明細書に組み込まれる、Freshney,1994年,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Techniques,3rd Ed.(Wiley−Liss,Inc.,New York)を参照されたい。

0095

培養培地は、必要に応じて、例えばピペットで皿から培地を慎重吸引し、かつ新鮮培地を補充することによって交換される。インキュベーションは、十分な数又は密度の細胞が皿内に蓄積するまで継続される。標準的技術を使用して、又はセルスクレーパーを使用して、元の外移植組織の切片を除去し、残余の細胞をトリプシン処理することができる。トリプシン処理の後、細胞を回収して、新鮮培地に除去し、上記のようにインキュベートする。いくつかの実施形態において、培地は、トリプシン処理の約24時間後に、少なくとも1回交換して、あらゆる浮遊細胞を除去する。培養物に残存する細胞が、UTCであると考えられる。

0096

UTCは、凍結保存することができる。したがって、自家移入に関する(母又は子のいずれかに関する)UTCは、子供の誕生後に適切な分娩後組織から誘導して、次いで、それらのUTCが後に移植に必要とされる事象で利用可能となるように、凍結保存することができる。

0097

B.臍帯組織由来細胞の特性
UTCは、例えば、増殖特性(例えば、集団倍加能力、倍加時間、老化までの継代数)、核型分析(例えば、正常核型;母体系統又は新生児系統)、フローサイトメトリー(例えば、FACS分析)、免疫組織化学及び/又は免疫細胞化学(例えば、エピトープの検出に関する)、遺伝子発現プロファイリング(例えば、遺伝子チップアレイポリメラーゼ連鎖反応(例えば、逆転写酵素PCRリアルタイムPCR、及び従来のPCR))、タンパク質アレイタンパク質分泌(例えば、血漿凝固アッセイ又はPDC−馴化培地の分析によるもの、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によるもの)、混合リンパ球反応(例えば、PBMCの刺激の尺度として)、及び/又は当技術分野において既知の他の方法によって、特徴付けることができる。

0098

組織由来の好適なUTCの例は、2004年6月10日に、American Type Culture Collection(10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110)に寄託されており、以下のATCCアクセッション番号が割り当てられている。(1)菌株表示UMB 022803(P7)は、アクセッション番号PTA−6067が割り当てられ、(2)菌株表示UMB 022803(P17)は、アクセッション番号PTA−6068が割り当てられている。

0099

様々な実施形態において、UTCは、1つ又は2つ以上の以下の増殖の特徴を有する。(1)培養下での増殖のためにL−バリンを必要とする、(2)約5%〜少なくとも約20%の酸素を含有する大気中での増殖が可能である、(3)老化に到達する前に、培養下で少なくとも約40回倍加する潜在能力を有する、(4)コーティングされた、若しくはコーティングされていない組織培養容器上に付着して増殖し、このコーティングされた組織培養容器は、ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチン、又はフィブロネクチンのコーティングを含む。

0100

特定の実施形態において、UTCは、その細胞が継代される際に維持される、正常核型を有する。核型分析に関する方法は、当業者に利用可能であり、既知である。

0101

他の実施形態において、UTCは、(1)組織因子ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンのうちの少なくとも1つの産生;(2)フローサイトメトリーによって検出されるような、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、PD−L2、及びHLA−A、B、C細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生を含む、特定のタンパク質の産生によって特徴付けることができる。他の実施形態において、UTCは、フローサイトメトリーによって検出されるような、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7−H2、HLA−G、及びHLA−DR、DPDQ細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生の欠如によって、特徴付けることができる。組織因子、ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンのうちの少なくとも2つを産生する細胞が、特に好ましい。タンパク質組織因子、ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンの3つ全てを産生するような細胞が、より好ましい。

0102

その他の実施形態において、UTCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞である、ヒト細胞と比べて、インターロイキン8、レチクロン1、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(黒色腫増殖刺激活性、α)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(顆粒球走化性タンパク質2)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド3、腫瘍壊死因子、及びα−誘導タンパク質3のうちの、少なくとも1つをコードする遺伝子に関して増大する、遺伝子の発現によって特徴付けることができる。

0103

更に他の実施形態において、UTCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞である、ヒト細胞と比べて、低身長ホメオボックス2、熱ショック27kDaタンパク質2、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド12(ストロマ細胞由来因子1)、エラスチン(大動脈弁狭窄症ウィリアムズ−ビューレン症候群)、ホモサピエンスmRNAcDNADKFZp586M2022(クローンDKFZp586M2022由来)、間葉ホメオボックス2(増殖停止特異的ホメオボックス)、sine oculisホメオボックスホモログ1(ドロソフィラ)、クリスタリン、αB、形態形成のdisheveled関連アクチベータ2、DKFZP586B2420タンパク質、ニューリン1の類似体テトラネクチンプラスミノゲン結合タンパク質)、src相同性3(SH3)及びシステイン豊富ドメインコレステロール25−ヒドロキシラーゼ、runt関連転写因子3、インターロイキン11受容体α、プロコラーゲンC−エンドペプチダーゼエンハンサー、frizzledホモログ7(ドロソフィラ)、仮定的遺伝子BC008967、コラーゲン、VIII型、α1、テネイシンC(ヘキサブラオン)、iroquoisホメオボックスタンパク質5、へファエスチンインテグリンβ8、シナプス小胞糖タンパク質2、神経芽腫腫瘍形成抑制1、インスリン様増殖因子結合タンパク質2、36kDa、ホモサピエンスcDNAFLJ12280fis、クローンMAMMA1001744、サイトカイン受容体様因子1、カリウム中間体/低コンダクタンスカルシウム活性化チャネルサブファミリーN、メンバー4、インテグリン、β7、PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ、sine oculisホメオボックスホモログ2(ドロソフィラ)、KIAA1034タンパク質、小胞関連膜タンパク質5(ミオブレビン)、EGF含有フィビュリン様細胞マトリックスタンパク質1、初期成長応答3、distal−lessホメオボックス5、仮定的タンパク質FLJ20373、アルド−ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC3(3αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼII型)、バイグリカン、PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ、フィブロネクチン1、プロエンケファリン、インテグリン、β様1(EGF様リピートドメインを有する)、ホモサピエンスmRNA完全長インサートcDNAクローンEUROIMAGE 1968422、EphA3、KIAA0367タンパク質、ナトリウム利尿ペプチド受容体C/グアニル酸シクラーゼC(心房ナトリウム利尿ペプチド受容体C)、仮定的タンパク質FLJ14054、ホモサピエンスmRNA、cDNA DKFZp564B222(クローンDKFZp564B222由来)、BCL2/アデノウイルスE1B 19kDa相互作用タンパク質3様、AE結合タンパク質1、シトクロムcオキシダーゼサブユニットVIIaポリペプチド1(筋肉)のうちの、少なくとも1つをコードする遺伝子に関して減少する、遺伝子の発現によって特徴付けることができる。

0104

その他の実施形態において、UTCは、MCP−1、IL−6、IL−8、GCP−2、HGF、KGF、FGF、HB−EGF、BDNF、TPO、MIP1b、I309、MDC RANTES、及びTIMP1のうちの少なくとも一つの分泌物によって培養される場合に特徴付けることができる。加えて、UTCは、ELISAによって検出されるように、TGF−β2、ANG2、PDGFbb、MIP1A、及びVEGFのうちの少なくとも一つの分泌物が欠如して培養される場合に特徴付けることができる。

0105

幾つかの実施形態において、UTCは、実質的に血液を含まないで臍帯組織から誘導され、培養下で自己再生及び増殖が可能であり、増殖のためにL−バリンを必要とし、少なくとも約5%の酸素中で増殖可能であり、かつ、次の特性のうち少なくとも1つを含む。培養下で少なくとも約40回倍加する潜在能力を有する、コーティングされた又はコーティングされていない組織培養容器(ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチン、又はフィブロネクチンのコーティングを含む)上に付着して増殖する、ビメンチン及びα−平滑筋アクチンの産生、CD10、CD13、CD44、CD73、及びCD90の産生、並びに、遺伝子の発現が、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞であるヒト細胞と比べて、インターロイキン8及びレチクロン1をコードする遺伝子に関して増大する。幾つかの実施形態において、そのようなUTCは、CD45及びCD117を産生しない。

0106

好ましい実施形態では、その細胞は、上記の増殖特性、タンパク質/表面マーカーの産生特性、遺伝子発現特性、又は物質分泌特性のうちの2つ以上を含む。これらの特性のうちの3つ、4つ、5つ又はそれ以上を含む細胞が、より好ましい。それらの特性のうちの6つ、7つ、8つ又はそれ以上を含むUTCが、更により好ましい。上記特性の全てを含む細胞が、現時点で更により好ましい。

0107

幾つかの態様で本発明と共に使用するために、現時点で好ましい細胞は、とりわけ、上述の特性を有する分娩後細胞であり、より具体的には、それらの細胞が、正常核型を有し、継代で正常核型を維持する場合であり、更には、それらの細胞が、マーカーCD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cのそれぞれを発現する場合であり、それらの細胞が、列記されたマーカーに対応する、免疫学的に検出可能なタンパク質を産生する場合である。前述に加えて、フローサイトメトリーによって検出されるような、マーカーCD31、CD34、CD45、CD117、CD141、又はHLA−DR、DP、DQのいずれに対応するタンパク質も産生しないような細胞が、更により好ましい。

0108

一実施形態において、UTCは、実質的に血液が含まれないヒト臍帯組織由来細胞から単離され、培養下で自己再生及び増殖が可能であり、分化をする潜在能力を有し、CD117又はCD45の産生が欠如しており、hTERT又はテロメラーゼを発現しない。これらのUTCは、任意追加的に、酸化低比重リポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/若しくは顆粒球走化性タンパク質を任意追加的に発現し、並びに/又は、CD31若しくはCD34を発現せず、並びに/又は、ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、若しくは腸骨稜骨髄細胞に比べて、インターロイキン8若しくはレチクロン1の濃度上昇を発現し、並びに/又はCD10、CD13、CD44、CD73、及びCD90を発現する。

0109

別の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在力を有し、CD13及びCD90を発現し、かつCD34及びCD117を発現しない。任意追加的に、これらの細胞はhTERT又はテロメラーゼを発現しない。更に別の実施形態において、細胞はまた、CD10、CD44、及びCD43を発現しない。代替の実施形態において、細胞はまた、CD45及びCD31を発現しない。これらのUTCは任意追加的に、(i)酸化された低密度リポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/又は顆粒球走化性タンパク質を発現する、及び/又は(ii)ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞に対して、インターロイキン8又はレチクロン1の増加したレベルを発現する。

0110

別の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在能力を有し、CD13及びCD90を発現し、かつCD34、CD117、及びHLA−DRを発現しない。任意追加的に、これらの細胞は、hTERT又はテロメラーゼを発現しない。一実施形態において、細胞はまた、CD10、CD44、及びCD43を発現する。代替の実施形態において、細胞はまた、CD45及びCD31を発現しない。これらのUTCは任意追加的に、(i)酸化された低密度リポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/又は顆粒球走化性タンパク質を発現する、及び/又は(ii)ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞に対して、インターロイキン8又はレチクロン1の増加したレベルを発現する。

0111

代替の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在能力を有し、かつ以下の特性を有する。(1)CD10、CD13、CD44、CD90、及びHLA−ABCを発現する、(2)CD31、CD34、CD45、HLA−DR及びCD117を発現しない、並びに(3)hTert及びテロメラーゼを発現しない。別の実施形態において、実質的に血液を含まないヒト臍帯組織から単離されたUTCは、培養中に自己再生及び自己増殖することができ、分化する潜在能力を有し、かつ以下の特性を有する。(1)CD10、CD13、CD44、CD90、及びHLA−ABCを発現する、(2)CD31、CD34、CD45、HLA−DR及びCD117を発現しない、(3)hTert及びテロメラーゼを発現しない、(4)酸化された低密度リポタンパク質受容体1、レチクロン、ケモカイン受容体リガンド3、及び/又は顆粒球走化性タンパク質を発現する、並びに(4)ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜の骨髄細胞に対して、インターロイキン8又はレチクロン1の増加したレベルを発現する。

0112

一実施形態において、hUTCは、細胞集団として提供され、これらは同種であってもよい。いくつかの実施形態において、細胞集団は、異種であってもよい。本発明の異種の細胞集団は、本発明のUTCを少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%含み得る。本発明の異種の細胞集団は更に、幹細胞又はその他の前駆細胞(例えば筋芽細胞又はその他の筋肉前駆細胞、血管芽細胞、又は血管前駆細胞)を含んでもよく、あるいは更に、完全に分化した骨格筋細胞平滑筋細胞周細胞、又は血管内皮細胞を含んでもよい。いくつかの実施形態において、この集団は、実質的に同種であり、すなわち、実質的にUTCのみ(好ましくは、少なくとも約96%、97%、98%、99%以上のUTC)を含む。本発明の同種の細胞集団は、臍由来細胞からなる。臍由来細胞の同種の集団は、好ましくは、母体系統の細胞を含まない。細胞集団の同種化は当業界で既知の任意の方法、例えば、細胞選別法(例えばフローサイトメトリー)又は既知の方法に従ったクローン増殖によって達成することができる。同種のUTC集団は、分娩後由来細胞のクローン細胞株を含んでもよい。

0113

一実施形態において、培養後のhUTCは、実質的に培養前のhUTCと同一の特性(例えば、マーカープロファイル、及び/又は遺伝子発現プロファイル)を有する。代替の実施形態において、培養後のhUTCは、培養前のhUTCと同一の特性(例えば、マーカープロファイル、及び/又は遺伝子発現プロファイル)を有する。一実施形態において、培養後のhUTCは、少なくともCD13、CD34、CD90、及びCD117に関して、培養前のhUTCと同一の特性を有する。

0114

III.その他の好適な細胞
上述のように、本発明の特定の実施形態において、培養培地及び無血清培養液を使用して単離したヒト臍帯組織由来細胞(「hUTC」又は「UTC」)を増殖させることができる。加えて、培養培地及び無血清培養液を使用して他の付着依存性細胞を増殖させることができる。

0115

本発明の一実施形態において、培養培地及び無血清培養液を利用して、胎盤由来細胞などの他の付着依存性細胞を増殖させる。他の付着依存性細胞の例としては、限定するものではないが、骨髄由来の間葉系幹細胞、骨髄由来の間葉系幹細胞の前駆細胞、非骨髄組織由来細胞(脂肪組織、筋組織、内乳動脈由来細胞を含む血管など)、歯の歯髄由来細胞が挙げられる。更に、羊水は、付着依存性幹細胞が非常に豊富な供給源であることが示されている。付着依存性細胞の別の例は、新生児包皮線維芽細胞を含む線維芽細胞である。

0116

IV.培養の方法
本発明の別の実施態様は、本発明の馴化培地及び無血清培養液の使用を含む、細胞を培養する方法である。本方法は、ローラーボトル、スピナーフラスコ、及び/又はマイクロキャリアを利用することができる。好ましい実施形態において、本方法を使用して、例えばhUTC細胞などの付着依存性細胞を培養し、マイクロキャリアを必要とする。

0117

好ましい実施形態において、本方法は、本発明の馴化培地及び無血清培養液で、血清交換を必要としないhUTCを培養することを含む。上述のように、UTCは、様々な培養培地において増殖することができる。本発明の方法により、任意追加的に血清の使用が減少し、体積生産性が増加し、hUTCなどの付着依存性細胞を含む組成物を製造するコストが削減される。更に、本方法により、培地の交換なしに細胞(例えばhUTC)の増殖が可能である。

0118

ローラーボトル及びマイクロキャリアにおいて細胞を増殖させる例示的な方法は、それらが、ローラーボトル、マイクロキャリア、並びにローラーボトル及びマイクロキャリア上での培養の記述に関連しているので、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願第2007/0141700号及び同第2008/0166328号にそれぞれ開示されている。例示的な好適なローラーボトル、スピナースラスコ、マイクロキャリア、それらの特性、及び好適な培養パラメーターが以下で考察される。

0119

A.ローラーボトル
ローラーボトル培養システムは、細胞培養の分野では既知である。本明細書で使用されるように、ローラーボトル培養システムは、少なくとも、対象となる細胞株と、増殖培地と、ローラーボトルと、そのボトルを回転させる装置と、細胞を採取する手段と、を含む。

0120

ローラーボトル培養システムは典型的に、インキュベーション中の温度を制御する手段、並びに、例えば細胞のボトルへの初期播種中、又はその後の移行中、培養物を無菌的に取り扱う手段を更に含む。細胞の採取は、トリプシン、トリプシン−EDTA、ディスパーゼ、及びコラゲナーゼ、若しくは他の酵素又は他の成分を有する又は有しない酵素の組み合わせを用いるなどの酵素処理によってなされる。TrypLE(商標)Express(Gibco,Inc)などの(それには限定されないが)他の市販品が利用されてもよい。細胞はまた、例えば、回分式遠心分離を含む手動操作によって採取されてもよく、又は採取は自動化されてもよい。

0121

一実施形態において、ボトルは、約100〜300mLの増殖培地で充填され、他の実施形態において、約100〜200mLが使用される。代替の実施形態において、約100〜120mLが、又は更には105〜115mLがボトル内に入れられる。他の実施形態において、ボトルは、約112mLの増殖培地で充填され、最大の集団倍加を得ることができる。一実施形態において、ボトルは、約2,500〜約10,000細胞/cm2播種される。一実施形態において、その範囲の下端が使用され、例えば、1平方センチメートルあたり約3000未満の細胞が播種される。播種用ボトルは、付着及び増殖中に回転される。回転速度は、約0.5〜1rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約0.75〜1rpmである。より好ましくは、ボトルは、約0.8〜1rpmで回転される。

0122

別の実施形態において、ローラーボトルは、約100〜300mLの増殖培地で充填され、好ましくは約300mLが使用される。ボトルは、1平方センチメートルあたり約2,500〜約10,000の細胞が播種される。一実施形態において、その範囲の下端が使用され、例えば、1平方センチメートルあたり約3000未満の細胞が播種される。播種が、約2500細胞/cm2である実施形態が更により好ましい。播種されたボトルは付着及び増殖中に回転される。回転速度は、約0.5〜1rpmに設定される。好ましくは回転は、約0.75〜1rpmである。より好ましくは、ボトルは、約0.8〜1rpmで回転される。現時点ではほぼ又は約0.9〜1.0rpmの回転が好ましい。

0123

充填及び播種されたローラーボトルは、約5〜7日間回転及びインキュベートされ、最高の倍加が達成される。現時点では、約5.5〜6.5日のインキュベーション時間が好ましい。

0124

ローラーボトルは、細胞がローラーボトルの内面に付着することを補助する、ゼラチン、細胞外マトリックス分子(例えば、ゼラチン、ラミニン、ビドロネクチン、フィブロネクチン、コラーゲンI、IV、及びVI型)などの薬剤でコーティングされてもよい。かかる市販のコーティングされたボトルの一例は、CellBind(Corningからカタログ番号3907として入手可能)でコーティングされたものである。様々なコーティング剤が、本明細書に提供される方法に従う細胞の付着及び増殖用に受け入れ可能であると想定される。

0125

B.スピナーフラスコ
スピナーフラスコ培養システムもまた、細胞培養の技術分野において既知である。本明細書で用いられる際、スピナーフラスコ培養システムは、少なくとも、対象となる細胞株と、増殖培地と、1つ又は2つ以上のスピナーフラスコと、1つ又は2つ以上のフラスコを回転させる手段と、細胞を採取する手段と、を含む。

0126

スピナーフラスコ培養システムは典型的に、インキュベーション中の温度を制御する手段、並びに例えばフラスコ内への初期の細胞の播種中、又はその後の移行中、培養物を無菌的に取り扱う手段を更に含む。細胞の採取は、トリプシン、トリプシン−EDTA、ディスパーゼ、及びコラゲナーゼ、若しくはその他の酵素又は他の成分を有する又は有しない酵素の組み合わせによるなどの酵素処理によってなされる。それに限定されないが、TrypLE(商標)Express(Gibco,Inc.)などのその他の市販品が利用できる。細胞はまた、例えば回分式遠心分離を含む手動操作によって採取されてもよく、又は採取は自動化されてもよい。

0127

一実施形態において、回転速度は、約35〜約65rpm、あるいは約35〜約45rpm、あるいは約40〜約50rpm、あるいは約45〜約55rpm、あるいは約55〜約65rpm、あるいは約50〜約60rpmに設定される。好ましい実施形態において、約40rpm又は60rpmの回転速度が維持される。

0128

一実施形態において、3Lスピナーフラスコが使用され、該フラスコは、およそ3Lの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を充填することができる。その実施形態において、回転速度は、約35〜45rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約40rpmである。

0129

別の実施形態において、125mLフラスコが使用される。これらのフラスコは、増殖培地と、FBSと、無血清培養液と、マイクロキャリアと、細胞と、を含む、およそ100mLの溶液で充填され得る。一実施形態において、フラスコは、およそ85mL〜115mLの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を含有する。その実施形態において、回転速度は、約55〜65rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約50rpmである。

0130

更に別の実施形態において、500mLスピナーフラスコが使用される。これらのフラスコは、増殖培地と、FBSと、無血清培養液と、マイクロキャリアと、細胞と、を含む、およそ500mLの溶液が充填され得る。一実施形態において、フラスコは、およそ450mL〜500mLの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を含有する。その実施形態において、回転速度は、55〜65rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約50rpmである。

0131

代替の実施形態において、500mLスピナーフラスコが使用される。これらのフラスコは、増殖培地と、FBSと、無血清培養液と、マイクロキャリアと、細胞と、を含む、およそ500mLの溶液で充填され得る。一実施形態において、フラスコは、およそ450mL〜500mLの、増殖培地、FBS、無血清培養液、マイクロキャリア、及び細胞を含有する。その実施形態において、回転速度は、約35〜45rpmに設定されてもよい。好ましくは、回転は、約40rpmである。

0132

フラスコは、約2,500〜約10,000細胞/cm2で播種される。細胞は、フラスコ内へ直接播種されてもよく、フラスコの表面上に又はフラスコ内に配置されたマイクロキャリア上に播種されてもよい。好ましい実施形態において、播種は、約3,000〜約7,500、あるいは約3,000〜約7,000、あるいは約4,000〜約7,000、約3,000〜約5,000、あるいは約5,000〜約7,000、あるいは約3,500〜約5,000、あるいは約4,500〜約7,500、あるいは約3,500〜約5,500細胞/cm2で実施される。フラスコは、付着及び増殖中、回転される。一実施形態において、集団倍加速度を最大にするために、充填及び播種されたフラスコは回転され、約5〜7日間インキュベートされるが、約5〜約6日のインキュベーション時間が好ましい。

0133

C.マイクロキャリア
マイクロキャリア培養は、例えば、付着依存性分娩後細胞などの付着依存性細胞の培養の実用的な高収率培養を可能にする技術である。マイクロキャリアは、哺乳類の分娩後細胞など、培養容積が数ミリリットルから1000リットル超までの範囲に及ぶ細胞の培養用に特別に開発された。マイクロキャリアは、生物学的に不活性であり、撹拌式マイクロキャリア培養に対して強度があるが非剛性である基質を提供する。マイクロキャリアは、透明であってもよく、付着した細胞の顕微鏡検査が可能である。Cytodex(登録商標)3(GE Healthcare Life Sciences(Piscataway N.J.))は、架橋デキストランのマトリックスに化学的に連結した変性コラーゲン薄層からなる。Cytodex(登録商標)3の変性コラーゲン層は、トリプシン及びコラゲナーゼを含む、種々のプロテアーゼにより消化されやすく、最大の細胞生存率、機能及び、完全性を維持しながらマイクロキャリアから細胞を除去することができる。

0134

タンパク質を含まないマイクロキャリアを使用して細胞を培養することができる。例えば、商品名HILLEX(登録商標)(SoloHill Engineering,Inc.(Ann Arbor,MI))で販売されている、製造及び研究又は調査で使用されるマイクロキャリアビーズは、表面に、マイクロキャリアに正電荷表面をもたらすカチオン性トリメチルアンモニウムが付着している、改質ポリスチレンビーズである。ビーズの直径は、直径約90〜約200μmの範囲に及んでもよい。

0135

マイクロキャリアに基づく細胞培養法により、多くの用途において後処理加工のし易さを含む多くの利点がもたらされている。マイクロキャリアは典型的には、ほぼ球状形状であり、多孔性であるか又は中実であるかのいずれかであり得る。細胞付着用のマイクロキャリア使用により、付着依存性細胞の増殖用の撹拌槽及び関連するリアクターの使用が容易になる。細胞は、容易に懸濁されるマイクロ粒子に付着する。懸濁可能である必要があることから、マイクロキャリアの物理的パラメーターは制限されるしたがって、マイクロキャリアは通例、50〜2000μmの範囲の平均直径を有する。幾つかの用途では、中実型のマイクロキャリアは、約100〜約200μmの範囲であり、一方、多孔質型のマイクロキャリアビーズは、約250〜約2500μmの範囲である。これらのサイズ範囲は、多くの付着依存性の細胞を収容するのに十分な程度に大きく、かつ撹拌型リアクター内での使用に好適な特性を有する懸濁液を形成するのに十分小さいマイクロキャリアの選別を可能にする。

0136

マイクロビーズなどの使用の際に考慮される因子として、付着効率免疫原性生物適合性生分解能コンフルエンスに達する時間、単位表面積あたりの最大到達密度を含む付着細胞の増殖パラメーター、必要とされる箇所での脱着技術及び脱着効率、培養条件拡張性、並びに規模が拡大された条件下での培養均質性、規模が拡大した脱離手順を成功裏に実施する能力、及びビーズが移植に使用できるかどうか、がある。これらの検討事項はマイクロキャリアビーズの表面特性、並びにマイクロキャリアの多孔性、直径、密度、及び取り扱い性によって影響され得る。

0137

例えば、マイクロキャリア粒子又はビーズの密度は、検討事項である。密度が過剰だと、マイクロキャリア粒子又はビーズが懸濁液から沈殿する場合があり、あるいは培養容器の底に完全に沈殿したままである傾向があり、それ故リアクター内で混合する細胞、培養培地、及び気相の大容量性が乏しくなる場合がある。一方、密度が低すぎる場合、マイクロキャリアに過剰に浮揚する場合がある。多くのマイクロキャリアビーズの密度は、典型的には1.02〜1.15g/cm3である。

0138

リアクターに添加されるマイクロキャリア粒子の直径及び粒子の体積が小さいことにより、マイクロキャリアは、ローラーボトル又は付着依存性細胞を増殖させる他の方法(例えばプレート法)に見られる実質表面積よりはるかに大きい実質表面積をもたらすことができる。多孔性マイクロキャリアにより、単位体積又は単位重量あたり更に大きい表面積がもたらされる。これらの多孔性マイクロキャリアは、付着依存性細胞の増殖に利用できる大きい空洞を有している。これらの空洞により、表面積が大幅に増加し、例えば、混合又はガス吹込によるせん断応力などの有害な機械的影響から細胞を保護することができる。

0139

マイクロキャリアの表面は、細胞の付着及増殖を高めるためにテクスチャ加工されてもよい。マイクロキャリアの表面のテクスチャは、限定するものではないが、型成形鋳造リーチング、及びエッチングを含む手法によってなされる。テクスチャ加工された表面の形体解像度(resolution)は、ナノスケールであり得る。テクスチャ加工された表面を使用してマイクロキャリア表面上に特異的な細胞配列を誘導することができる。多孔性マイクロキャリア内部の孔の表面もまた、テクスチャ加工され、細胞付着性及び細胞増殖性を高めることができる。孔表面のテクスチャ加工は、限定するものではないが、例えば、型成形、鋳造、リーチング、及びエッチングなどの手法によりなされる。

0140

マイクロキャリアの表面は、プラズマコーティングしてマイクロキャリア表面に特異的な電荷を付与することができる。これらの電荷は、細胞付着性と細胞増殖性を高めることができる。

0141

その他の実施形態において、マイクロキャリアは、例えば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドなどの熱応答性ポリマーを含む、若しくはそれでコーティングされるか、又は電気機械特性を有する。マイクロキャリアはまた、低レベルの生物学的に適切な電気を生成する銅と亜鉛の微粒子のガルバニ対を有するマイクロキャリアなど微小電流を有してもよい。マイクロキャリアは、常磁性アルギン酸カルシウムのマイクロキャリアのように常磁性であってもよい。

0142

多孔型と中実型の両方の微粒子キャリアが市販されている。市販されている中実型マイクロキャリアの例として、Cytodex(登録商標)1及びCytodex(登録商標)3が挙げられ、その両者ともGE Healthcare Life Sciences製のデキストラン系マイクロキャリアである。市販されている好適な多孔性マイクロキャリアとしては、GE Healthcare Life Sciences製のCitoline(商標)及びCytopore(商標)、Biosilon(NUNC)、及びCultispher(登録商標)(Percell Biolytical)が挙げられる。

0143

特定の実施形態において、本発明の方法及びキットは約60〜90μmのおよその粒子サイズ及び25℃において約1.03g/cm3の密度を有するデキストランビーズマイクロキャリアを利用する。その他の実施形態において、本発明の方法及びキットは、約114〜198μmのおよその粒子サイズ及び25℃において約1.04g/cm3の密度を有するデキストランビーズマイクロキャリアを利用する。更に別の実施形態において、本発明の方法及びキットは、約60〜87μmのおよその粒子サイズ及び25℃において約1.04g/cm3の密度を有するデキストランビーズマイクロキャリアを利用する。代替の実施形態において、本発明の方法及びキットは、多孔性マイクロキャリアを利用する。これらの多孔性マイクロキャリアは、約200〜280μmの粒子直径、約1.1m2/gの有効表面面積、及び約30μmの平均孔径開口部を有することができる。別の実施形態において、本発明の方法及びキットは、アミン処理した表面を有するマイクロキャリアを利用する。好ましい実施形態において、アミン処理した表面を有するマイクロキャリアは、約160〜200μmの粒子サイズ、約1.090〜1.150の相対密度範囲、約515cm2/gの表面積を有する。かかるマイクロキャリアは、5.5×105マイクロキャリア/gを含有する溶液において提供され得る。

0144

キャリア粒子はまた、生物活性剤を含有してもよい。キャリア粒子はまた、細胞の増殖若しくは機能又は組織環境を調節することができる生物活性剤又は生物活性因子を有してもよい。好適な因子としては、限定するものではないが、線維芽細胞増殖因子、エリスロポエチン、脈管内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、骨形態形成タンパク質形質転換増殖因子、腫瘍壊死因子、上皮増殖因子、及びインスリン様増殖因子が挙げられる。完全な因子、模倣体、又はそれらの活性フラグメントを使用することができる。

0145

D.方法
本発明の方法は、概ね、血清(例えば、FBS)が補充された、本発明の培養培地において細胞を培養する(例えば、増殖させる)工程を含む。細胞が、所望の密度に増殖された(例えば、約3〜4日の期間など)後、無血清培養液が添加される。細胞は、付着依存性細胞であってもよく、細胞は、マイクロキャリア上に播種されてもよい。培養は、ローラーボトル培養システム又はスピナーフラスコ培養システムにおいて実施することができる。好ましくは、付着依存性細胞がマイクロキャリア上に播種される際に、スピナーフラスコ培養システムが使用される。所望の時間は、例えば、所望の個体群密度、所望の集団倍加数又は時間などのかかるパラメーターによって決定される。特定の実施形態において、細胞は、4〜7日間培養され、約3日目に無血清培養液が添加される。その他の実施形態において、細胞は、1〜2日若しくは集団倍加の間、又は所望の初期個体群密度が得られるまで増殖された後、無血清培養液が添加される。上述のように、本方法は、培地の交換なしに細胞(例えば、hUTC)を増殖することができる。

0146

1.単離された付着依存性細胞を培養する方法
本発明の一実施形態は、付着依存性細胞を培養する(例えば、増殖させる)方法である。本方法は、血清が補充されている本発明の培養培地における組織フラスコ(tissue flask)の表面上又は好ましくはマイクロキャリア上に播種された単離された付着依存性細胞を培養する工程と、所望の初期個体群密度を可能にするに十分な時間、細胞を増殖させた後、無血清培養液を添加する工程と、を含む。一実施形態において、細胞は、約3〜約7日、あるいは約3〜5日、あるいは約4〜5日、増殖された後、無血清培養液が添加される。一実施形態において、細胞は、約3日増殖された後、無血清培養液が添加される。別の実施形態において、細胞は、少なくとも1又は2回の集団倍加を可能にするように増殖された後、無血清培養液が添加される。好ましい実施形態において、細胞は、本明細書に開示された任意のマイクロキャリア上に播種され、上述した条件下でスピナーフラスコにおいて増殖される。一実施形態において、本方法は、これらの細胞を含有する細胞バンクバイアルを解凍し、細胞を増殖させ、生産容器にインキュベートする工程を含む。別の実施形態は、細胞を最初に単離し、次いで単離された細胞を播種する工程を含む。

0147

考察したように、これらの方法で使用される培地を含む培地は、約2%〜約20%の血清(例えば、FBS)が補充されてもよい。一実施形態において、培地は、その培地の調製中、血清(例えば、FBSなど)が補充されている。別の実施形態において、培地は、使用直前に補充される(血清(例えばFBS)を含む溶液の添加によるなど)。別の実施形態において、培地は、好ましくは約2〜15%(v/v)、あるいは約2〜約10%、あるいは約3〜約12%、あるいは約3〜約12%、あるいは約5〜約15%、あるいは約4〜約10%(v/v)のFBSが補充されている。選択された実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%又は約15%(v/v)のFBSが補充されている。

0148

別の実施形態において、本方法はまた、付着依存性細胞を播種する工程を包含する。目標播種密度は、変化し得るが、特定の実施形態において、約5,000〜約8,000、あるいは約5,500〜約7,500、あるいは約6,000〜約8,000、あるいは約6,500〜約7,500の生存細胞/cm2が、約12〜約30、あるいは約12〜約20、約18〜約25、約15〜約23g/Lのマイクロキャリア濃度で播種される。

0149

2.単離された臍帯組織由来細胞を培養する方法
本発明の一実施形態は臍帯組織由来細胞を培養する方法である。この方法は概ね、上記で考察した単離された付着依存性細胞を培養する方法の工程を含み、幾つかの変形例があり得る。したがって、本発明の一実施形態は、マイクロキャリアに付着した、単離した付着依存性hUTCをスピナーフラスコ内の懸濁培養において、無血清培養液を用いて増殖培地を高栄養化することによって、高細胞密度に培養する方法である。最適なことに、この方法により、(例えば、3日目の)培地交換の必要性がなくなり、一貫して20,000細胞/cm2超の細胞を増殖させることができる。更に、この方法により、hUTCの継代のための堅牢性強化される。この方法は、本発明の培養培地及び無血清培養液を利用する。

0150

方法は、血清(例えば、FBS)が補充された本発明の培養培地におけるマイクロキャリア上に播種された単離したhUTCを、細胞が所望の初期個体群密度に達することができるような十分な時間培養する工程を含む。特定の実施形態において、実施形態A、B、又はCの培養培地が使用される。特定の実施形態において、細胞は、ローラーボトルにおいて培養され、培養は、ローラーボトルシステム上で実施される。好ましい実施形態において、細胞は、マイクロキャリア上に播種され、スピナーフラスコ内で培養され、培養は、スピナーフラスコシステム内で実施される。一実施形態において、細胞は、およそ37℃で10% CO2雰囲気下でインキュベートされる。

0151

別の実施形態において、フラスコは、約55〜約65rpm、あるいは約55〜約60rpm、あるいは約58〜約61rpmの速度で回転される。別の実施形態において、フラスコは、約35〜約45rpm、あるいは約38〜約42rpm、あるいは約40〜約43rpm、あるいは約36〜約45rpmの速度で回転される。別の実施形態において、培地内のマイクロキャリアの密度は、約11.0〜約13.0g/Lである。

0152

一実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO2雰囲気下で125mLのフラスコ内で培養され、フラスコは、約55rpm〜約65rpm(好ましくは約60rpm)の範囲のrpmで回転される。更に別の実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO2雰囲気下で500mLフラスコ内で培養され、フラスコは、約55rpm〜約65rpm(好ましくは約60rpm)の範囲のrpmで回転される。別の実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO2雰囲気下で500mLフラスコ内で培養され、フラスコは、約35rpm〜約45rpm(好ましくは約40rpm)の範囲のrpmで回転される。別の実施形態において、hUTCは、およそ37℃で10% CO2雰囲気下で3Lのフラスコ内で培養され、フラスコは、約35rpm〜約45rpm(好ましくは約40rpm)の範囲のrpmで回転される。これらの実施形態において、フラスコは、培地内で約11.0〜約13.0g/L(好ましくは12g/L)のマイクロキャリアを含有することができる。

0153

個体群密度を最大化するため、hUTCを含有する、充填及び播種されたフラスコ又はローラーボトルは、回転され、少なくとも約5〜7日間、インキュベートされるが、インキュベート時間は約5〜約6日が好ましい。インキュベーションのおよそ半分の時点で(すなわち、約2.5〜約3.5日(好ましくは、3日)後)、又は細胞が所望の初期細胞密度に達した際に、本発明の無血清培養液がhUTC培養物に添加される特定の実施形態において、実施形態A、B、又はCの無血清培養液が使用される。

0154

好ましい実施形態において、細胞は、細胞が所望の初期個体群密度に達することができるような十分な時間増殖された後、無血清培養液が添加される。

0155

したがって、一実施形態において、本方法は、マイクロキャリア上に播種された臍帯組織由来細胞を、本発明の培養培地において、細胞が所望の初期個体群密度に達することができるような十分な時間増殖させる工程と、細胞が所望の初期個体群密度に達した後に本発明の無血清培養液を添加する工程と、細胞が所望の最終個体群密度に達するのに十分な時間細胞を増殖させる工程と、を含む。

0156

別の実施形態において、実施形態Aの培養培地及び実施形態Aの無血清培養液が使用される。別の実施形態において、実施形態Bの培養培地及び実施形態Bの無血清培養液が使用される。一実施形態において、実施形態Cの培養培地及び実施形態Cの無血清培養液が使用される。

0157

一実施形態において、本方法は、培養する前にマイクロキャリアにhUTCを播種する工程を含む。マイクロキャリアは、上述のマイクロキャリアのうちのいずれか一つであってもよい。特定の実施形態において、マイクロキャリアは、アミン処理された表面を有する。好ましい実施形態において、アミン処理された表面を有するマイクロキャリアは、約160〜200μmの粒子サイズ、約1.090〜1.150の相対密度範囲、約515cm2/gの表面積を有する。一実施形態において、マイクロキャリアは、Hillex(登録商標)II Ultraである。

0158

目標播種密度は、変化し得るが、特定の実施形態において、約5,000〜約8,000、あるいは約5,500〜約7,500、あるいは約6,000〜約8,000、あるいは約6,500〜約7,500の生存細胞/cm2が、約15〜約30、あるいは約18〜約25、あるいは約15〜約23g/Lのマイクロキャリア濃度で播種される。播種された細胞は、フラスコに添加される。あるいは、播種は、フラスコ内で実施される。一実施形態において、播種する工程は、凍結保存されたhUTCを解凍する工程を含む。一実施形態において、本方法は、凍結保存されたhUTCを解凍し、細胞を増殖させた後、マイクロキャリアに播種する工程を更に含む。一実施形態において、細胞の増殖は、マイクロキャリア上で実施される。

0159

一実施形態において、hUTCを増殖するために本方法で使用される培養培地は、約2%〜約20%の血清(例えばFBS)が補充されている。一実施形態において、培地は、培地の調製中に血清(例えば、FBSなど)が補充される。別の実施形態において、培地は、使用直前に(血清(例えば、FBS)を含む溶液の添加によるなどで)補充される。一実施形態において、培養培地は、好ましくは約2〜15%(v/v)、あるいは約2〜約10%、あるいは約3〜約12%、あるいは約5〜約15%、あるいは約4〜約10%、あるいは約8〜約15%、あるいは約10〜約15%のFBSが補充されている。選択された実施形態において、培養培地は、約7.5%、約10%、又は約15%(v/v)のFBSが補充されている。

0160

3.本発明の方法のその他の特徴
スピナーフラスコ培養又はローラーボトル培養において培地の交換の必要なしに達成でき、集団倍加数を最大化するために使用される本発明の方法において、回転速度、ボトル内への細胞の播種密度、マイクロキャリアの量、インキュベーションの時間、培養培地の種類、無血清培養液の種類、及びボトル内に配置される培地の容積は、独立変数である。当業者は、試験された範囲外の他の値が同じ方法論を使用して普通に試験され、これらの値により集団倍加数に漸増した利益がもたらされると分かる可能性があることを認識するであろう。従属変数の最大応答、ここでは得られた集団倍加の数は、これらのパラメーターの関数として求められ、本明細書で具体的に例示されていない実施形態は、本開示の一部分として想到される。

0161

提供された方法により培養される細胞(例えば、hUTCなど)は、開始細胞と実質的に同一の細胞表面マーカープロファイル又は遺伝子発現プロファイルを有するとして特徴付けられる。一実施形態において、提供された方法により培養された細胞は、開始細胞と同一の細胞表面マーカープロファイル又は遺伝子発現プロファイルを有するとして特徴付けられる。細胞療法の多くの用途にとって、量的な増加のために培養条件の規模を拡大する際に細胞の特性が変化しないことは重要である。例えば、治療用細胞識別又は示す、形態、細胞表面マーカー、及びホールマーク遺伝子(hallmark genes)の発現では、同じではないにしても、実質的に変化しないままであることが望ましい。本発明によって提供される細胞、及び本発明において教示される方法によって提供される細胞は、かかる特性が、実質的に変化しないか、又は、好ましくは、実験室での条件及び実験室での規模で成長した同一の細胞と同一である。

0162

V.培養培地及び無血清培養液を含むキット
本発明の別の実施形態は、本発明の培養培地及び無血清培養液を含む細胞増殖用のキットである。一実施形態において、キットは、細胞を更に含む。好ましい一実施形態において、キットは、ヒト臍帯組織由来細胞を含む。キットは、使用説明書を更に含む。任意追加的に、キットは、マイクロキャリア及びウシ胎児血清などの血清を更に含む。代替の実施形態において、キットはまた、ローラーボトルシステムを更に含む。

0163

更なる説明を行わずとも、当業者であれば、上記の説明及び以下の例示的な実施例を利用することで、本発明を行いかつ利用し、特許請求される方法を実施することが可能であるものと考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘するものであって、本開示の残りの記載をいかなる意味においても限定するものとして解釈されるべきではない。

0164

(実施例1)
栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内のマイクロキャリア上でのhUTCの増殖及び採取
本実施例では、各種栄養強化培地を有するスピナーフラスコ内のマイクロキャリア上でのhUTCの増殖及び採取が調査された。本実施例での研究のために、臍帯組織由来細胞を接種材料から増殖させ、次いで各種様々な増殖条件(条件1〜9)で増殖させ、それぞれの条件は以下に略述した様に様々な培養培地を使用した。

0165

本研究で使用したマイクロキャリアは、515cm2/gの表面積を有する、Hillex(登録商標)Ultra(Solohill Engineering(Ann Arbor,MI))であった。

0166

本実施例で使用される際、用語「継代」は、別の容器からのコンフルエントのマイクロキャリアを有する新しいマイクロキャリアを含有する容器をインキュベートすることとして定義される。更に、本実施例で使用される際、用語「集団倍加」は所与の時間にわたって細胞の集団が倍加された回数として定義され以下のように計算される。

0167

0168

細胞計数の手順
各種条件で必要とされるような細胞計数は以下の手順によって実施された。10mLのサンプルを無菌的に培養物から取り出し、15mL円錐遠心管に移した。次いで、サンプルを1600RPMで5分間遠心分離した。マイクロキャリアを確実に一切除去しないようにしながら、上清注意深く除去した。次いで、37℃に事前に加温された5〜10mLのTrypLE(商標)Select(Gibco(登録商標))をマイクロキャリアに添加し、回転機上で15〜30分間撹拌した。次いで、遠心管の内容物を、マイクロキャリアを除去しかつ脱着した細胞だけを通過させる40μmフィルタを通過させて50mL円錐遠心管内へ移した。フィルタを通過させて1×PBSで2回の洗浄を行った。次いで、50mL円錐遠心管を1600RPMで5分間遠心分離した。管内に約1〜2mLの上清が残るまで、細胞ペレットを掻き乱さないように上清を注意深く除去した。ピペットを使用して残った物の体積を測定し、細胞は、この体積中で再懸濁された。得られた細胞懸濁液は、トリパンブルー排除法を使用するCEDEX(Innovatis)細胞計数装置を使用して計数された。CEDEX細胞計数に基づいて、培養容器中の細胞濃度が以下のように計算された。

0169

0170

細胞培養手順
凍結されたhUTCのバイアルを解凍し、新鮮培地で洗浄した。細胞懸濁液を、培地及びマイクロキャリアを含有する125mLガラス製スピナーフラスコ内へ移した。これらの解凍した細胞を使用して接種材料を調製した。

0171

接種材料用の細胞の調製
接種材料を、種々のサイズ(125mL,500mL、及び3L)のガラス製スピナーフラスコ(Corning(NY))内の12g/L濃度のマイクロキャリアを有するDMEM及び15% v/vのFBSからなる管理培地において複数の継代にわたって増殖させた。接種材料内の細胞の集団倍加の累計は、35未満であった。接種材料の増殖中の継代に対する基準及び培養条件は、以下の表において一覧表にした。継代の目標日に、細胞計数を行い、継代の目標密度が達成された場合、細胞は、新容器内の目標播種密度に基づく新容器内へ継代された。継代の目標密度が達成されていない場合、80%の培地を交換し翌日に細胞計数した。培地交換のために、容器をスピナープラットフォームから除いて、マイクロキャリアを5分間重力で沈殿させ、培地の80%を無菌的に除去し(マイクロキャリアを除去しないで)、等量の新鮮培地を添加し、容器をインキュベーター内のスピナープラットフォーム上に戻した。

0172

接種材料を調製するための連続継代の間の増殖条件及びパラメーターを表1−1において以下に概述する。

0173

0174

本実施例で使用された様々な増殖条件
条件1〜9のそれぞれに関して、接種の日は0日目と見なされる。更にそれぞれの条件に関して、細胞計数は、接種時に行われた。

0175

条件1(対照):この条件の目標播種密度は、約18g/Lのマイクロキャリア濃度において、約6000の生存細胞/cm2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内では最終重量が約9gのマイクロキャリアが得られた。DMEMと15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10%CO2のインキュベーターにおいて60RPMでスピナープラットフォーム上に設置した。3日目に、DMEM+15% FBSを使用して80%培地交換を実施した。上述した手順を用いて周期的に細胞計数を行った。3日目及び5日目にそれぞれ3mL及び2.5mLのグルコースをフラスコに添加した。3日目に2.5mLの200mMのL−グルタミン溶液を添加した。

0176

条件2:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度で、約6000生存細胞/cm2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M5基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO2のインキュベーター内の60RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF5を添加した。培地交換は行わなかった。更に、3日目に2.5mLのグルコースを添加した。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。5日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。

0177

条件3:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm2であった。接種材料の細胞計数に基づいて、所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M1基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し、容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF1を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコースを添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。

0178

条件4:この条件の目標播種密度は、約20g/Lのマイクロキャリア濃度において、約7000生存細胞/cm2であった。接種材料の細胞計数に基づいて所望の体積の接種材料を、高圧滅菌した新しいガラス製500mLスピナーフラスコに添加した。マイクロキャリアは、重力により沈殿させた。接種材料からの培地は、約100mLがフラスコ内に残るまで除去された。次いで、新しいマイクロキャリアを添加し、フラスコ内には最終重量が約10gのマイクロキャリアが得られた。M2基本培地と15%(v/v)のFBSからなる新鮮培地を添加し容積を500mLにした。フラスコを37℃で10% CO2のインキュベーター内の45RPMのスピナープラットフォーム上に設置した。3日目にフィードF2を添加した。培地交換は行わなかった。細胞計数の部分で説明した通り周期的な細胞計数を行った。3日目に2.5mLのグルコース(220g/Lのデキストロース1水和物の水溶液)を添加した。4日目に5mLの200mMのL−グルタミンをフラスコに添加した。

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