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課題・解決手段

微生物細胞を含むサンプルの前処理のための方法及びデバイスが提供される。いくつかの実施形態では、このサンプルの前処理は、サンプル前処理容器内非微生物細胞(例えば血球)の初期選択的溶解、及び生じたデブリを除去し、微生物細胞を濃縮するためのサンプルのその後の遠心分離的分離を介して実施される。不混和で高密度緩衝用液体が、前処理容器の遠心分離の際に緩衝用液体によって形成される液体界面に隣接して微生物細胞を収集するために含まれ得る。実質的な量の上清の除去、収集された微生物細胞の再懸濁、及び緩衝用液体界面の再確立の後、残留懸濁物の少なくとも一部分は、緩衝用液体を実質的に取り出すことなく取り出され得る。1回以上の中間洗浄サイクルが、残留懸濁物の抽出の前に実施され得、これが、「前処理された」サンプルを提供する。

概要

背景

薬物耐性病原体出現は、一般的な感染性疾患をこれまで以上に強力な抗生物質処置することを医師に強いる、世界的な医療危機である。その原因は主として、攻撃している細菌の同定における複雑性とそれにかかる時間にあることから、培養標本における高い陰性率の知見があっても医師は経験的に処方することを強いられる。最終的に、不必要な広域スペクトルの抗生物質の摂取に伴う副作用リスクが増加するために、耐性株出現の顕著な増加、処置費用の高騰、及び回復サイクルの長期化という結果に陥る。

広域スペクトルの抗生物質は一般に、敗血症又は敗血症性ショックの症状を示している患者を処置する場合に処方される。これらの状態の重篤度を考慮して、医師は、1種以上の広域スペクトルの抗生物質を直ちに処方する場合が多く、薬物の十分な効果が評価できるか、又は微生物学的な結果が入手できるまで、処置レジメンが変更される可能性は低い。例えば、文書「Surviving Sepsis Campaign Guideline」(SSCG)は、存在し得る細菌/真菌病原体に対する1種以上の広域スペクトルの薬剤からなる静脈内抗生物質は、重症の敗血症及び敗血症性ショックが認識されてから1時間以内に開始されるべきであるという処置プロトコール推奨している[R. P. Dellingerら、Crit. Care Med 2008]。この処置プロトコールは、抗微生物レジメン毎日再評価しなければならないこと、及び病原体が明らかになったら、処置を適正化するために、より適切な狭域スペクトル抗微生物薬物を投与しなければならないことを述べている。

残念ながら、現行の臨床細菌学的方法は、典型的に病原体同定情報を提供するが、その時点では患者の転帰に影響を与えるには遅すぎる可能性がある。これは、標本収集から病原体の同定及び感受性試験の結果を報告するまでの2〜3日のタイムラグに起因する。このタイムラグの原因には、専門の臨床細菌学者配属された臨床実験室に標本を輸送する必要性、及び血液培養とそれに続く固体培養培地上に標本をプレーティングした後のコロニー形成に必要とされる時間とが含まれる。通常の業務時間後に臨床微生物学実験室に到着する標本は、典型的には次の日に職員が到着するまで一晩保持される。(陽性血液培養を得てから)2日目に固体寒天上に標本をプレーティングすると、コロニー形成にさらに8〜12時間を要する。プレート試験し、コロニー計数し、同定及び感受性試験のために適切なコロニーを選択する。このプロセスはさらに分析及び解釈を要し、その後、典型的には3日目に報告がリリースされるが、この報告は、抗生物質の選択及び患者転帰に対して有意義な影響を与えるには遅すぎる可能性がある。

臨床微生物学実験室のワークフローの多くの局面は自動化されているが、臨床細菌学は未だに極めて多大な労働力を要する。多くの実験室は現在、Vitek(Biomerieux)機器又はPhoenix(Becton-Dickenson)機器のいずれかを使用して、同定及び感受性試験を自動化している。しかし、これらのシステム、及び質量分析に基づくより新たなシステムも、専門職員による寒天プレート上での一晩増殖物からの適切なコロニーの選択に依存する。

概要

微生物細胞を含むサンプルの前処理のための方法及びデバイスが提供される。いくつかの実施形態では、このサンプルの前処理は、サンプル前処理容器内非微生物細胞(例えば血球)の初期選択的溶解、及び生じたデブリを除去し、微生物細胞を濃縮するためのサンプルのその後の遠心分離的分離を介して実施される。不混和で高密度緩衝用液体が、前処理容器の遠心分離の際に緩衝用液体によって形成される液体界面に隣接して微生物細胞を収集するために含まれ得る。実質的な量の上清の除去、収集された微生物細胞の再懸濁、及び緩衝用液体界面の再確立の後、残留懸濁物の少なくとも一部分は、緩衝用液体を実質的に取り出すことなく取り出され得る。1回以上の中間洗浄サイクルが、残留懸濁物の抽出の前に実施され得、これが、「前処理された」サンプルを提供する。

目的

残念ながら、現行の臨床細菌学的方法は、典型的に病原体同定情報を提供する

効果

実績

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請求項1

全血サンプルから微生物細胞を抽出する方法であって、該方法は:全血サンプルを前処理容器に添加するステップであり、ここで前処理容器は前処理混合物を含み、前処理混合物は、血球溶解試薬と、全血サンプル及び血球溶解試薬の密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体とを含む、ステップ、前処理容器の内容物を撹拌するステップ、緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成するように前処理容器を遠心分離するステップであり、ここで全血サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集される、ステップ、収集された微生物細胞を取り出すことなく、実質的な量の上清を引き出すステップ、前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるステップ、並びに実質的な部分の緩衝用液体を抽出することなく、懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物を取得するステップを含む、方法。

請求項2

抽出懸濁物が、緩衝用液体を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。

請求項3

前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるステップの前に、以下の洗浄ステップ:前処理容器に所定体積洗浄緩衝液を添加するステップ、前処理容器の内容物を撹拌するステップ、緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成し、微生物細胞が液体界面に輸送されそこで収集されるように、前処理容器を遠心分離するステップ、及び収集された微生物細胞を抽出することなく、実質的な量の上清を引き出すステップが実施される、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

洗浄ステップを追加で1回以上実施するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。

請求項5

遠心分離後、前処理容器の側方部分上に液体界面が形成され、ここで該方法は、液体界面が実質的に水平になるように前処理容器を再度方向合わせするステップをさらに含み、前処理容器の再度方向合わせは、実質的な量の微生物細胞が液体界面に収集された状態を保つように実施される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

緩衝用液体の体積が、およそ2.5マイクロリットルから100マイクロリットルの間である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

緩衝用液体の体積が、およそ5マイクロリットルから15マイクロリットルの間である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

緩衝用液体の体積が、前処理容器の体積のおよそ0.1%から10%の間である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

緩衝用液体によって湿潤した前処理容器の表面が、少なくとも、緩衝用液体の非存在下で遠心分離下により微生物細胞が沈降すると予想される前処理容器表面の領域を覆うように、緩衝用液体の体積が提供される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物に関して表して、およそ1.5mg/mlから80mg/mlの間の範囲の量のサポニン及びおよそ0.5mg/mlから20mg/mlの間の範囲の量のポリアネトールスルホン酸ナトリウムを含む水溶液である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物に関して表して、およそ10mg/mlから30mg/mlの間の範囲の量のサポニン及びおよそ2.5mg/mlから10mg/mlの間の範囲の量のポリアネトールスルホン酸ナトリウムを含む水溶液である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物に関して表して、およそ0.05%から2.5%の間の範囲の量のTriton X-100及びおよそ5mg/mlから10mg/mlの間の範囲の量のポリアネトールスルホン酸ナトリウムを含む水溶液である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

血球溶解試薬のpHが、およそ5から11の間である、請求項12に記載の方法。

請求項14

血球溶解試薬のpHが、およそ9から11の間である、請求項12に記載の方法。

請求項15

Triton X-100が、およそ0.5%から1.5%の間の範囲の量で提供される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

血球溶解試薬が消泡剤をさらに含む、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

消泡剤がポリ(プロピレングリコール)である、請求項16に記載の方法。

請求項18

抽出懸濁物中の微生物細胞を溶解させて、溶解物を取得するステップ、及び少なくとも1つのアッセイを実施して、溶解物中に存在し得る少なくとも1種の分析物を検出するステップをさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。

請求項19

微生物細胞を溶解させるステップが、電気的に実施される、請求項18に記載の方法。

請求項20

電気的溶解が:マイクロ流体デバイスを提供するステップであって、マイクロ流体デバイスは:上部チャネル表面、下部チャネル表面、側壁、及びミリメートル未満尺度の厚さを有する流体チャネル、上部チャネル表面上の上部電極、並びに下部チャネル表面上の下部電極を含み、ここで該チャネルは、該電極への電圧パルス適用下で、抽出懸濁物の急速加熱を支持するように適合されている、ステップ、抽出懸濁物を、該チャネル中に流すステップ、並びに上部電極と下部電極との間に一連バイポーラ電圧パルスを適用するステップであり、ここで該電圧パルスの振幅パルス幅及び持続時間が、抽出懸濁物を急速加熱して微生物細胞を溶解させることによって微生物細胞から巨大分子を放出させるのに十分である、ステップに従って実施される、請求項19に記載の方法。

請求項21

抽出懸濁物のジュール加熱が少なくともおよそ250度/秒の速度で発生するように、電圧パルスが適用される、請求項20に記載の方法。

請求項22

電圧パルス適用下で、抽出懸濁物が、チャネルからの熱拡散時間尺度よりも速く加熱される、請求項20又は21に記載の方法。

請求項23

適用された電圧パルスに応答して、抽出懸濁物のジュール加熱が少なくともおよそ2000度/秒の速度で発生するように、チャネル表面の熱特性が選択される、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項24

アッセイのうち少なくとも1つが、ポリメラーゼ連鎖反応によって実施される、請求項18〜23のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

アッセイのうち少なくとも1つが、少なくとも部分的に、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によって実施される、請求項18〜24のいずれか一項に記載の方法。

請求項26

分析物のうち少なくとも1種がrRNAである、請求項18〜25のいずれか一項に記載の方法。

請求項27

微生物細胞が、細菌細胞及び/又は真菌細胞である、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。

請求項28

全血サンプルから微生物細胞を抽出するための前処理容器であって、前処理容器は:内部体積を規定する容器本体及び容器本体を密封するための閉鎖機構であり、ここで容器本体は、遠心分離デバイス中で使用されるように設計されている、容器本体及び閉鎖機構を含み、ここで容器本体は:血球溶解試薬を含む前処理混合物、及び全血サンプル及び血球溶解試薬の密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体であり、ここで緩衝用液体は、全血サンプル内の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集されるように、前記容器本体の遠心分離の際に上清の下に液体界面を形成する、疎水性緩衝用液体を含み、前記容器本体の遠位部分は、円錐形の形状である、前処理容器。

請求項29

緩衝用液体の体積が、およそ2.5マイクロリットルから100マイクロリットルの間である、請求項28に記載の前処理容器。

請求項30

緩衝用液体の体積が、およそ5マイクロリットルから15マイクロリットルの間である、請求項28に記載の前処理容器。

請求項31

緩衝用液体の体積が、前処理容器の体積のおよそ0.1%から10%の間である、請求項28に記載の前処理容器。

請求項32

遠心分離下で、緩衝用液体によって湿潤した前処理容器の表面が、少なくとも、緩衝用液体の非存在下で遠心分離下により微生物細胞が沈降すると予想される前処理容器表面の領域を覆うように、緩衝用液体の体積が提供される、請求項28に記載の前処理容器。

請求項33

前記容器本体の内部表面が疎水性である、請求項28〜32のいずれか一項に記載の前処理容器。

請求項34

前記容器本体の内部表面がシリコン処理されている、請求項28〜32のいずれか一項に記載の前処理容器。

請求項35

前記容器本体の遠位部分が、底部が丸形末端になっている円錐形形状を有する、請求項28〜34のいずれか一項に記載の前処理容器。

請求項36

前記丸形末端が半球形末端である、請求項35に記載の前処理容器。

請求項37

予め選択されたサンプル体積の全血を処理するように設計されており、血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物に関して表して、およそ1.5mg/mlから80mg/mlの間の範囲の量のサポニン及びおよそ0.5mg/mlから20mg/mlの間の範囲の量のポリアネトールスルホン酸ナトリウムを含む水溶液である、請求項28〜36のいずれか一項に記載の前処理容器。

請求項38

予め選択されたサンプル体積の全血を処理するように設計されており、血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物に関して表して、およそ10mg/mlから30mg/mlの間の範囲の量のサポニン及びおよそ2.5mg/mlから10mg/mlの間の範囲の量のポリアネトールスルホン酸ナトリウムを含む水溶液である、請求項28〜36のいずれか一項に記載の前処理容器。

請求項39

予め選択されたサンプル体積の全血を処理するように設計されており、血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物に関して表して、およそ0.05%から2.5%の間の範囲の量のTriton X-100及びおよそ5mg/mlから10mg/mlの間の範囲の量のポリアネトールスルホン酸ナトリウムを含む水溶液である、請求項28〜36のいずれか一項に記載の方法。

請求項40

血球溶解試薬のpHが、およそ5から11の間である、請求項39に記載の前処理容器。

請求項41

血球溶解試薬のpHが、およそ9から11の間である、請求項39に記載の前処理容器。

請求項42

Triton X-100が、およそ0.5%から1.5%の間の範囲の量で提供される、請求項39〜41のいずれか一項に記載の前処理容器。

請求項43

血球溶解試薬が消泡剤をさらに含む、請求項37〜42のいずれか一項に記載の前処理容器。

請求項44

消泡剤がポリ(プロピレングリコール)である、請求項43に記載の前処理容器。

請求項45

液体サンプルから微生物細胞を抽出する方法であって、該方法は:液体サンプルを前処理容器に添加するステップであり、ここで前処理容器は前処理混合物を含み、前処理混合物は、液体サンプルの密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体を含む、ステップ、前処理容器の内容物を撹拌するステップ、緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成するように前処理容器を遠心分離するステップであり、ここで液体サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集される、ステップ、収集された微生物細胞を取り出すことなく、実質的な量の上清を引き出すステップ、前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるステップ、並びに実質的な部分の緩衝用液体を抽出することなく、懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物を取得するステップを含む、方法。

請求項46

前処理容器が、液体サンプルが添加される緩衝液をさらに含む、請求項45に記載の方法。

請求項47

緩衝液が、液体サンプル内の1種以上の非微生物学細胞の溶解のために有効な試薬を含む、請求項46に記載の方法。

請求項48

液体サンプルが、サンプル、脳脊髄液サンプル、尿サンプル及び均質化された便サンプルからなる群より選択される、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。

請求項49

液体サンプルが、食品サンプル及び均質化された食品サンプルのうち1種である、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。

請求項50

液体サンプルが環境サンプルである、請求項45〜47のいずれか一項に記載の方法。

請求項51

緩衝用液体の体積が、およそ2.5マイクロリットルから100マイクロリットルの間である、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。

請求項52

緩衝用液体の体積が、およそ5マイクロリットルから15マイクロリットルの間である、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。

請求項53

緩衝用液体の体積が、前処理容器の体積のおよそ0.1%から10%の間である、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。

請求項54

緩衝用液体によって湿潤した前処理容器の表面が、少なくとも、緩衝用液体の非存在下で遠心分離下により微生物細胞が沈降すると予想される前処理容器表面の領域を覆うように、緩衝用液体の体積が提供される、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。

請求項55

前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるステップの前に、以下の洗浄ステップ:前処理容器に所定体積の洗浄緩衝液を添加するステップ、前処理容器の内容物を撹拌するステップ、緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成し、微生物細胞が液体界面に輸送されそこで収集されるように、前処理容器を遠心分離するステップ、及び収集された微生物細胞を抽出することなく、実質的な量の上清を引き出すステップが実施される、請求項45〜54のいずれか一項に記載の方法。

請求項56

洗浄ステップを追加で1回以上実施するステップをさらに含む、請求項55に記載の方法。

請求項57

遠心分離後、前処理容器の側方部分上に液体界面が形成され、ここで該方法は、液体界面が実質的に水平になるように前処理容器を再度方向合わせするステップをさらに含み、前処理容器の再度方向合わせは、実質的な量の微生物細胞が液体界面に収集された状態を保つように実施される、請求項45〜56のいずれか一項に記載の方法。

請求項58

抽出懸濁物中の微生物細胞を溶解させて、溶解物を取得するステップ、及び少なくとも1つのアッセイを実施して、溶解物中に存在し得る少なくとも1種の分析物を検出するステップをさらに含む、請求項45〜57のいずれか一項に記載の方法。

請求項59

微生物細胞を溶解させるステップが、電気的に実施される、請求項58に記載の方法。

請求項60

電気的溶解が:マイクロ流体デバイスを提供するステップであって、マイクロ流体デバイスは:上部チャネル表面、下部チャネル表面、側壁、及びミリメートル未満の尺度の厚さを有する流体チャネル、上部チャネル表面上の上部電極、並びに下部チャネル表面上の下部電極を含み、ここで該チャネルは、該電極への電圧パルス適用下で、抽出懸濁物の急速加熱を支持するように適合されている、ステップ、抽出懸濁物を、該チャネル中に流すステップ、並びに上部電極と下部電極との間に一連のバイポーラ電圧パルスを適用するステップであり、ここで該電圧パルスの振幅、パルス幅及び持続時間が、抽出懸濁物を急速加熱して微生物細胞を溶解させることによって微生物細胞から巨大分子を放出させるのに十分である、ステップに従って実施される、請求項59に記載の方法。

請求項61

抽出懸濁物のジュール加熱が少なくともおよそ250度/秒の速度で発生するように、電圧パルスが適用される、請求項60に記載の方法。

請求項62

電圧パルス適用下で、抽出懸濁物が、チャネルからの熱拡散の時間尺度よりも速く加熱される、請求項60又は61に記載の方法。

請求項63

適用された電圧パルスに応答して、抽出懸濁物のジュール加熱が少なくともおよそ2000度/秒の速度で発生するように、チャネル表面の熱特性が選択される、請求項60〜62のいずれか一項に記載の方法。

請求項64

アッセイのうち少なくとも1つが、ポリメラーゼ連鎖反応によって実施される、請求項58〜63のいずれか一項に記載の方法。

請求項65

アッセイのうち少なくとも1つが、少なくとも部分的に、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によって実施される、請求項58〜64のいずれか一項に記載の方法。

請求項66

分析物のうち少なくとも1種がrRNAである、請求項58〜65のいずれか一項に記載の方法。

請求項67

微生物細胞が、細菌細胞及び/又は真菌細胞である、請求項58〜66のいずれか一項に記載の方法。

請求項68

全血サンプルから微生物細胞を抽出する方法であって、該方法は:全血サンプルを前処理容器に添加するステップであり、ここで前処理容器は前処理混合物を含み、前処理混合物は血球溶解試薬を含む、ステップ、前処理容器の内容物を撹拌するステップ、全血サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて前処理容器の遠位表面に隣接して収集されるように、前処理容器を遠心分離するステップ、収集された微生物細胞を取り出すことなく、実質的な量の上清を引き出すステップ、少なくとも1つの一連の洗浄ステップを実施するステップであり、ここで各一連の洗浄ステップは:前処理容器に所定体積の洗浄緩衝液を添加するステップ、前処理容器の内容物を撹拌するステップ、微生物細胞が懸濁物から取り出されて前処理容器の遠位表面に隣接して収集されるように、前処理容器を遠心分離するステップ、及び収集された微生物細胞を抽出することなく、実質的な量の上清を引き出すステップを含む、ステップ、及び前処理容器の内容物を撹拌して、微生物細胞を含む懸濁物を取得するステップ、並びに該懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物を取得するステップを含む、方法。

請求項69

血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物1ミリリットル当たりおよそ1.5ミリグラムから80ミリグラムの間の範囲の量のサポニンを含む水溶液である、請求項68に記載の方法。

請求項70

血球溶解試薬が、全血及び血球溶解試薬の混合物1ミリリットル当たりおよそ0.5mgから20mgの間の範囲の量のポリアネトールスルホン酸ナトリウムをさらに含む、請求項69に記載の方法。

請求項71

血球溶解試薬が消泡剤をさらに含む、請求項70に記載の方法。

請求項72

消泡剤がポリ(プロピレングリコール)である、請求項71に記載の方法。

請求項73

抽出懸濁物中の微生物細胞を溶解させて、溶解物を取得するステップ、及び少なくとも1つのアッセイを実施して、溶解物中に存在し得る少なくとも1種の分析物を検出するステップをさらに含む、請求項68〜72のいずれか一項に記載の方法。

請求項74

微生物細胞を溶解させるステップが、電気的に実施される、請求項73に記載の方法。

請求項75

電気的溶解が:マイクロ流体デバイスを提供するステップであって、マイクロ流体デバイスは:上部チャネル表面、下部チャネル表面、側壁、及びミリメートル未満の尺度の厚さを有する流体チャネル、上部チャネル表面上の上部電極、並びに下部チャネル表面上の下部電極を含み、ここで該チャネルは、該電極への電圧パルス適用下で、抽出懸濁物の急速加熱を支持するように適合されている、ステップ、抽出懸濁物を、該チャネル中に流すステップ、並びに上部電極と下部電極との間に一連のバイポーラ電圧パルスを適用するステップであり、ここで該電圧パルスの振幅、パルス幅及び持続時間が、抽出懸濁物を急速加熱して微生物細胞を溶解させることによって微生物細胞から巨大分子を放出させるのに十分である、ステップに従って実施される、請求項74に記載の方法。

請求項76

抽出懸濁物のジュール加熱が少なくともおよそ250度/秒の速度で発生するように、電圧パルスが適用される、請求項75に記載の方法。

請求項77

電圧パルス適用下で、抽出懸濁物が、チャネルからの熱拡散の時間尺度よりも速く加熱される、請求項75又は76に記載の方法。

請求項78

適用された電圧パルスに応答して、抽出懸濁物のジュール加熱が少なくともおよそ2000度/秒の速度で発生するように、チャネル表面の熱特性が選択される、請求項74〜77のいずれか一項に記載の方法。

請求項79

アッセイのうち少なくとも1つが、ポリメラーゼ連鎖反応によって実施される、請求項73〜78のいずれか一項に記載の方法。

請求項80

アッセイのうち少なくとも1つが、少なくとも部分的に、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によって実施される、請求項73〜79のいずれか一項に記載の方法。

請求項81

分析物のうち少なくとも1種がrRNAである、請求項73〜80のいずれか一項に記載の方法。

請求項82

微生物細胞が、細菌細胞及び/又は真菌細胞である、請求項68〜81のいずれか一項に記載の方法。

請求項83

微生物細胞を含むサンプルを前処理して、微生物細胞を含む懸濁物を取得するステップ、該懸濁物中の微生物細胞を溶解させて、溶解物を取得するステップ、並びに溶解物に対して多重化された分子アッセイのセットを実施するステップであり、ここで多重化された分子アッセイのセットが:サンプル中に存在する微生物細胞の界を同定するための少なくとも1つの一次rRNAベースの分子アッセイ、サンプル中に存在する微生物細胞のグラム状況を同定するための少なくとも1つの二次rRNAベースの分子アッセイ、及び真菌グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の各々についての属、種レベルにおける少なくとも1つの三次rRNAベースの分子アッセイを含む、ステップを含む方法であって、ここで真菌、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の各々についての少なくとも1つの三次rRNAベースの分子アッセイは、その結果に基づく抗微生物治療の段階的縮小に適切である、方法。

請求項84

真菌、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の各々についての少なくとも1つの三次rRNAベースの分子アッセイが、耐性記録に基づいて選択される、請求項83に記載の方法。

請求項85

多重化された分子アッセイのセットが、追加で少なくとも1つの、株レベルにおけるgDNAベースの分子アッセイをさらに含む、請求項83又は84に記載の方法。

請求項86

多重化された分子アッセイのセットが、真菌、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌のうち1つ以上についての単一の三次rRNAベースの分子アッセイを含む、請求項83〜85のいずれか一項に記載の方法。

請求項87

多重化された分子アッセイのセットが、真菌、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の各々についての単一の三次rRNAベースの分子アッセイを含む、請求項83〜85のいずれか一項に記載の方法。

請求項88

サンプルが未培養のサンプルである、請求項83〜87のいずれか一項に記載の方法。

請求項89

サンプルが全血サンプルである、請求項88に記載の方法。

請求項90

サンプルが、陽性血液培養サンプルである、請求項83〜87のいずれか一項に記載の方法。

請求項91

多重化された分子アッセイのセットが、事前核酸抽出ステップを行わずに実施される、請求項83〜90のいずれか一項に記載の方法。

請求項92

抗生物質と、多重化された分子アッセイのセットで得られた結果とを関連付けるステップをさらに含む、請求項83〜90のいずれか一項に記載の方法。

請求項93

グラム陽性細菌についての属、種又は株レベルにおける少なくとも1つのrRNAベースの分子アッセイが、連鎖球菌についての属レベルのrRNAアッセイを含む、請求項83〜92のいずれか一項に記載の方法。

請求項94

グラム陽性細菌についての属、種又は株レベルにおける少なくとも1つのrRNAベースの分子アッセイが、肺炎連鎖球菌についての種レベルのrRNAアッセイをさらに含む、請求項93に記載の方法。

請求項95

グラム陽性細菌についての属、種又は株レベルにおける少なくとも1つのrRNAベースの分子アッセイが、ブドウ球菌についての属レベルのrRNAアッセイを含む、請求項83〜94のいずれか一項に記載の方法。

請求項96

グラム陽性細菌についての属、種又は株レベルにおける少なくとも1つのrRNAベースの分子アッセイが、黄色ブドウ球菌についての種レベルのrRNAアッセイをさらに含む、請求項95に記載の方法。

請求項97

真菌についての属、種又は株レベルにおける少なくとも1つのrRNAベースの分子アッセイが、カンジダ属(Candida)及び/又はアスペルギルス属についての属レベルのrRNAアッセイを含む、請求項83〜96のいずれか一項に記載の方法。

請求項98

グラム陰性細菌についての属、種又は株レベルにおける少なくとも1つのrRNAベースの分子アッセイが、腸内細菌についての属レベルのrRNAアッセイを含む、請求項83〜97のいずれか一項に記載の方法。

請求項99

グラム陰性細菌についての属、種又は株レベルにおける少なくとも1つのrRNAベースの分子アッセイが、緑膿菌についての種レベルのrRNAアッセイをさらに含む、請求項98に記載の方法。

請求項100

サンプルから微生物細胞を抽出するための装置であって、該装置は:モーター、モーターによって駆動されるローターであり、ここでローターは、前記ローターの回転中に前処理容器の内容物に遠心力が適用されるように前処理容器を支持するように設計されており、モーターは、懸濁物から微生物細胞を取り出し、前処理容器の遠位表面近傍で微生物細胞を収集するのに十分な速度でローターを回転させるように設計されている、ローター、回転部分及び非回転部分を含む回転ユニオンであり、ここで前記回転部分は、前記ローターと調和して回転する、回転ユニオン、前記回転ユニオンの前記回転部分から前処理容器上に提供されたキャップを介して前処理容器中に延びる吸引管であり、ここで前記吸引管は、前処理容器の遠位表面近傍に配置された遠位吸引オリフィスを有する、吸引管、前記回転ユニオンの前記回転部分から前記キャップを介して前処理容器中に延びる分配管であり、ここで前記分配管は、前処理容器の遠位表面近傍に配置された遠位分配オリフィスを有する、分配管、前記回転ユニオンの前記非回転部分に接続された固定入口管であり、ここで前記固定入口管は、前記ローターの回転中に前記分配管と流体連絡するようになっている、固定入口管、前記回転ユニオンの前記非回転部分に接続された固定出口管であり、ここで前記固定出口管は、前記ローターの回転中に前記吸引管と流体連絡するようになっている、固定出口管、並びに流体分配及び吸引するために、前記固定入口管及び前記固定出口管と流体連絡した、ポンプ機構を含む、装置。

請求項101

前処理容器内で沈降物再懸濁し、流体を混合するのに十分な振動力が適用されるように設計された振動機構をさらに含む、請求項100に記載の装置。

請求項102

前記遠位吸引オリフィスが、前記遠位分配オリフィスよりも、前記前処理容器の遠位表面により接近して配置される、請求項100に記載の装置。

請求項103

前記遠位吸引オリフィスが、前処理容器の遠心分離中に上清と緩衝用液体との液体界面に収集される微生物細胞の撹乱を回避するように配置される、請求項100〜102のいずれか一項に記載の装置。

請求項104

処理ハードウェアをさらに含み、処理ハードウェアは:前処理容器を撹拌するように設計されており、ここで前処理容器は、全血サンプル及び前処理混合物を含み、前処理混合物は、血球溶解試薬と、全血サンプル及び血球溶解試薬の密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体とを含み、緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成するように、前記ローターを回転させ、前処理容器を遠心分離するように前記モーターを制御するように設計されており、ここで全血サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集され、収集された微生物細胞を取り出すことなく、前記吸引管を介して実質的な量の上清を引き出すように前記ポンプ機構を制御するように設計されており、前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるように前記モーター又は振動機構を制御するように設計されており、及び実質的な部分の緩衝用液体を抽出することなく、吸引管を介して懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物が取得されるように、前記ポンプ機構を制御するように設計されている、請求項100〜103のいずれか一項に記載の装置。

請求項105

前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させる前に、前記処理ハードウェアが、さらに、前記分配管を介して、所定体積の洗浄緩衝液を前処理容器に添加するようにポンプ機構を制御するように設計されており、前処理容器の内容物を撹拌するように前記モーター又は振動機構を制御するように設計されており、緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成し、微生物細胞が液体界面に輸送されそこで収集されるように、前記ローターを回転させ、前処理容器を遠心分離するように前記モーターを制御するように設計されており、及び収集された微生物細胞を抽出することなく、前記吸引管を介して実質的な量の上清を引き出すように前記ポンプ機構を制御するように設計されていることによって一連の洗浄ステップが実施される、請求項104に記載の装置。

請求項106

前記処理ハードウェアが、洗浄ステップを追加で1回以上実施するようにさらに設計されている、請求項105に記載の方法。

請求項107

処理ハードウェアをさらに含み、処理ハードウェアは:前処理容器を撹拌するように設計されており、ここで前処理容器は、全血サンプル及び前処理混合物を含み、前処理混合物は血球溶解試薬を含み、前記全血サンプル由来の前記微生物細胞を懸濁物から取り出し、前処理容器の遠位表面に隣接して収集されるように、前記ローターを回転させ、前処理容器を遠心分離するように前記モーターを制御するように設計されており、収集された微生物細胞を取り出すことなく、前記吸引管を介して実質的な量の上清を引き出すように前記ポンプ機構を制御するように設計されており、前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を再懸濁するようにモーター又は振動機構を制御するように設計されており、及び前記吸引管を介して懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物が取得されるように、ポンプ機構を制御するように設計されている、請求項100〜103のいずれか一項に記載の装置。

請求項108

前処理容器の内容物を撹拌して微生物細胞を再懸濁する前に、前記処理ハードウェアがさらに、前記分配管を介して、所定体積の洗浄緩衝液を前処理容器に添加するように前記ポンプ機構を制御するように設計されており、前処理容器の内容物を撹拌するように前記モーター又は振動機構を制御するように設計されており、微生物細胞が前処理容器の遠位表面に輸送されその近傍で収集されるように、前記ローターを回転させ、前処理容器を遠心分離するように前記モーターを制御するように設計されており、及び収集された微生物細胞を抽出することなく、前記吸引管を介して実質的な量の上清を引き出すように前記ポンプ機構を制御するように設計されていることによって一連の洗浄ステップが実施される、請求項107に記載の装置。

請求項109

前記処理ハードウェアが、洗浄ステップを追加で1回以上実施するようにさらに設計されている、請求項108に記載の装置。

請求項110

前記ローターが、1つ以上の追加の前処理容器を支持するように設計されており、前記装置は、追加の前処理容器ごとに:前記回転ユニオンの前記回転部分から追加の前処理容器上に提供されるキャップを介して追加の前処理容器中に延びる追加の吸引管であり、ここで前記追加の吸引管は、追加の前処理容器の遠位表面近傍に配置された遠位吸引オリフィスを有する、追加の吸引管、前記回転ユニオンの前記回転部分から前記キャップを介して追加の前処理容器中に延びる追加の分配管であり、ここで前記追加の分配管は、追加の前処理容器の遠位表面近傍に配置された遠位分配オリフィスを有する、追加の分配管、をさらに含み、ここで前記回転ユニオンの回転部分は、前記ローターの回転中に、各吸引管を前記固定出口管と流体連絡させるように設計され、各分配管を前記固定入口管と流体連絡させるように設計されたマニホルドを含む、請求項100〜109のいずれか一項に記載の装置。

請求項111

全血サンプルから微生物細胞を抽出する方法であって、該方法は:全血サンプルを前処理容器に添加するステップであり、ここで前処理容器は前処理混合物を含み、該前処理混合物は、血球溶解試薬と、全血サンプル及び血球溶解試薬の密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体とを含む、ステップ、前処理容器の内容物を撹拌するステップ、緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成するように前処理容器を遠心分離するステップであり、ここで全血サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集される、ステップ、収集された微生物細胞を取り出すことなく、実質的な量の上清を引き出すステップ、前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるステップ、及び懸濁物及び緩衝用液体を抽出するステップ、及び懸濁物を緩衝用液体から外的に分離することによって、微生物細胞を含む抽出懸濁物を取得するステップを含む、方法。

請求項112

懸濁物及び緩衝用液体の抽出、並びに外的分離が:吸引容器を使用して懸濁物及び緩衝用液体を吸引するステップ、緩衝用液体を、吸引容器の下部オリフィスに隣接して沈降させるステップ、並びに吸引容器から緩衝用液体を分配するステップによって実施される、請求項111に記載の方法。

請求項113

吸引容器がピペットチップである、請求項112に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願に対する相互参照
本願は、その全内容が参照によって本明細書に組み込まれる2012年11月30日出願の米国特許仮出願第61/731,809号、表題APPARATUS AND METHODFOR PRE-TREATMENTOFMICROBIAL SAMPLES」、その全内容が参照によって本明細書に組み込まれる2013年1月8日出願の米国特許仮出願第61/750,242号、表題「APPARATUS AND METHOD FOR PRE-TREATMENT OF MICROBIAL SAMPLES」、及びその全内容が参照によって本明細書に組み込まれる、2013年3月15日出願の米国特許出願第13/833,872号、表題「APPARATUS AND METHOD FOR PRE-TREATMENT OF MICROBIAL SAMPLES」に基づく優先権を主張する。

0002

本開示は、サンプル中の微生物の存在及び素性を検出する方法に関する。

背景技術

0003

薬物耐性病原体出現は、一般的な感染性疾患をこれまで以上に強力な抗生物質処置することを医師に強いる、世界的な医療危機である。その原因は主として、攻撃している細菌の同定における複雑性とそれにかかる時間にあることから、培養標本における高い陰性率の知見があっても医師は経験的に処方することを強いられる。最終的に、不必要な広域スペクトルの抗生物質の摂取に伴う副作用リスクが増加するために、耐性株出現の顕著な増加、処置費用の高騰、及び回復サイクルの長期化という結果に陥る。

0004

広域スペクトルの抗生物質は一般に、敗血症又は敗血症性ショックの症状を示している患者を処置する場合に処方される。これらの状態の重篤度を考慮して、医師は、1種以上の広域スペクトルの抗生物質を直ちに処方する場合が多く、薬物の十分な効果が評価できるか、又は微生物学的な結果が入手できるまで、処置レジメンが変更される可能性は低い。例えば、文書「Surviving Sepsis Campaign Guideline」(SSCG)は、存在し得る細菌/真菌病原体に対する1種以上の広域スペクトルの薬剤からなる静脈内抗生物質は、重症の敗血症及び敗血症性ショックが認識されてから1時間以内に開始されるべきであるという処置プロトコール推奨している[R. P. Dellingerら、Crit. Care Med 2008]。この処置プロトコールは、抗微生物レジメン毎日再評価しなければならないこと、及び病原体が明らかになったら、処置を適正化するために、より適切な狭域スペクトル抗微生物薬物を投与しなければならないことを述べている。

0005

残念ながら、現行の臨床細菌学的方法は、典型的に病原体同定情報を提供するが、その時点では患者の転帰に影響を与えるには遅すぎる可能性がある。これは、標本収集から病原体の同定及び感受性試験の結果を報告するまでの2〜3日のタイムラグに起因する。このタイムラグの原因には、専門の臨床細菌学者配属された臨床実験室に標本を輸送する必要性、及び血液培養とそれに続く固体培養培地上に標本をプレーティングした後のコロニー形成に必要とされる時間とが含まれる。通常の業務時間後に臨床微生物学実験室に到着する標本は、典型的には次の日に職員が到着するまで一晩保持される。(陽性血液培養を得てから)2日目に固体寒天上に標本をプレーティングすると、コロニー形成にさらに8〜12時間を要する。プレート試験し、コロニー計数し、同定及び感受性試験のために適切なコロニーを選択する。このプロセスはさらに分析及び解釈を要し、その後、典型的には3日目に報告がリリースされるが、この報告は、抗生物質の選択及び患者転帰に対して有意義な影響を与えるには遅すぎる可能性がある。

0006

臨床微生物学実験室のワークフローの多くの局面は自動化されているが、臨床細菌学は未だに極めて多大な労働力を要する。多くの実験室は現在、Vitek(Biomerieux)機器又はPhoenix(Becton-Dickenson)機器のいずれかを使用して、同定及び感受性試験を自動化している。しかし、これらのシステム、及び質量分析に基づくより新たなシステムも、専門職員による寒天プレート上での一晩増殖物からの適切なコロニーの選択に依存する。

発明が解決しようとする課題

0007

近年、臨床細菌学に関するいくつかの核酸増幅アプローチが市販されている。しかし、これらのほとんどは、種の同定のための予備分析プロセスの一部として、3時間よりも長くかかり得る核酸の抽出及び精製ステップを含むサンプル調製プロセスをなおも必要とする。これらのプロセスは、核酸アッセイに、阻害薬及び混入物を含まないサンプルを提供するために必要とされる。結果として、PCRなどの分子方法は、その特異性及び感度にもかかわらず、臨床微生物学実験室における最先端の試験としてかなり遅い標準的な微生物培養ベースの技術の代用にはなっておらず、臨床微生物学試験の結果の提供は未だに、患者転帰に実質的に影響を与えるには遅すぎるままである。

課題を解決するための手段

0008

微生物細胞を含むサンプルの前処理のための方法及びデバイスが提供される。いくつかの実施形態では、このサンプルの前処理は、サンプル前処理容器内非微生物細胞(例えば血球)の初期選択的溶解、及び生じたデブリを除去し、続いて微生物細胞を濃縮するためのサンプルの遠心分離的分離を介して実施される。不混和で高密度緩衝用液体が、前処理容器の遠心分離の際に緩衝用液体によって形成される液体界面に隣接して微生物細胞を収集するために含まれ得る。実質的な量の上清の除去、収集された微生物細胞の再懸濁、及び緩衝用液体界面の再確立の後、残留懸濁物の少なくとも一部分は、緩衝用液体を実質的に取り出すことなく取り出すことが可能である。1回以上の中間洗浄サイクルが、残留懸濁物の抽出の前に実施され得、これが、「前処理された」サンプルを提供する。

0009

本明細書に記載される方法は、標的核酸懸濁物の調製のために異なるアプローチを取ることによって、微生物細胞の同定のための核アッセイの結果までの時間を減少させることにおいて、有用であり得る。全血サンプルを含む本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、全血サンプル中の血球は、選択的に溶解され、生じたデブリは洗浄して除かれるが、微生物細胞は無傷で維持され、収集される。それによって、細胞懸濁物は、分子アッセイの妨害物及び阻害薬を実質的に含まないようにされる。引き続いて、これらの微生物細胞は、溶解試薬を必要としない方法を用いて溶解させることができ、分子アッセイの妨害物及び阻害薬を実質的に含まないようにされた溶解物は、核酸の抽出及び精製なしに、直接アッセイすることが可能である。

0010

従って、一態様では、全血サンプルから微生物細胞を抽出する方法が提供され、該方法は:
全血サンプルを前処理容器に添加するステップであり、ここで前処理容器は前処理混合物を含み、前処理混合物は、血球溶解試薬と、全血サンプル及び血球溶解試薬の密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体とを含む、ステップ、
前処理容器の内容物を撹拌するステップ、
緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成するように前処理容器を遠心分離するステップであり、ここで全血サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集される、ステップ、
収集された微生物細胞を取り出すことなく、実質的な量の上清を引き出すステップ、
前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるステップ、並びに
実質的な部分の緩衝用液体を抽出することなく、懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物を取得するステップ
を含む。

0011

別の態様では、全血サンプルから微生物細胞を抽出するための前処理容器が提供され、この前処理容器は、以下:
内部体積を規定する容器本体及び容器本体を密封するための閉鎖機構であり、ここで容器本体は、遠心分離デバイス中で使用されるように設計されている、容器本体及び閉鎖機構
を含み、
ここで容器本体は:
血球溶解試薬を含む前処理混合物、及び
全血サンプル及び血球溶解試薬の密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体であり、ここで緩衝用液体は、全血サンプル内の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集されるように、前記容器本体の遠心分離の際に上清の下に液体界面を形成する、疎水性緩衝用液体
を含み、
前記容器本体の遠位部分は、円錐形の形状である。

0012

別の態様では、液体サンプルから微生物細胞を抽出する方法が提供され、該方法は:
液体サンプルを前処理容器に添加するステップであり、ここで前処理容器は前処理混合物を含み、前処理混合物は、液体サンプルの密度よりも高い密度を有する疎水性緩衝用液体を含む、ステップ、
前処理容器の内容物を撹拌するステップ、
緩衝用液体が上清の下に液体界面を形成するように前処理容器を遠心分離するステップであり、ここで液体サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて液体界面に隣接して収集される、ステップ、
収集された微生物細胞を取り出すことなく、実質的な量の上清を引き出すステップ、
前処理容器の内容物を撹拌し、微生物細胞を含む懸濁物の下に緩衝用液体によって液体界面を再度確立させるステップ、並びに
実質的な部分の緩衝用液体を抽出することなく、懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物を取得するステップ
を含む。

0013

別の態様では、全血サンプルから微生物細胞を抽出する方法が提供され、該方法は:
全血サンプルを前処理容器に添加するステップであり、ここで前処理容器は前処理混合物を含み、前処理混合物は血球溶解試薬を含む、ステップ、
前処理容器の内容物を撹拌するステップ、
全血サンプル由来の微生物細胞が懸濁物から取り出されて前処理容器の遠位表面に隣接して収集されるように、前処理容器を遠心分離するステップ、
収集された微生物細胞を取り出すことなく、実質的な量の上清を引き出すステップ、
少なくとも1つの一連洗浄ステップを実施するステップであり、ここで各一連の洗浄ステップは:
前処理容器に所定体積洗浄緩衝液を添加するステップ、
前処理容器の内容物を撹拌するステップ、
微生物細胞が懸濁物から取り出されて前処理容器の遠位表面に隣接して収集されるように、前処理容器を遠心分離するステップ、及び
収集された微生物細胞を抽出することなく、実質的な量の上清を引き出すステップ
を含む、ステップ、及び
前処理容器の内容物を撹拌して、微生物細胞を含む懸濁物を取得するステップ、並びに
該懸濁物の少なくとも一部分を抽出することによって微生物細胞を含む抽出懸濁物を取得するステップ
を含む。

0014

別の態様では、
微生物細胞を含むサンプルを前処理して、微生物細胞を含む懸濁物を取得するステップ、
該懸濁物中の微生物細胞を溶解させて、溶解物を取得するステップ、並びに
溶解物に対して多重化された分子アッセイのセットを実施するステップであり、ここで多重化された分子アッセイのセットが:
サンプル中に存在する微生物細胞の界を同定するための少なくとも1つの一次rRNAベースの分子アッセイ、
サンプル中に存在する微生物細胞のグラム状況を同定するための少なくとも1つの二次rRNAベースの分子アッセイ、及び
真菌グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の各々についての属、種レベルにおける少なくとも1つの三次rRNAベースの分子アッセイ
を含む、ステップ
を含む方法が提供され、
ここで真菌、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の各々についての少なくとも1つの三次rRNAベースの分子アッセイは、その結果に基づく抗微生物治療の段階的縮小に適切である。

0015

別の態様では、サンプルから微生物細胞を抽出するための装置が提供され、この装置は:
モーター
モーターによって駆動されるローターであり、ここでローターは、前記ローターの回転中に前処理容器の内容物に遠心力が適用されるように前処理容器を支持するように設計されており、モーターは、懸濁物から微生物細胞を取り出し、前処理容器の遠位表面近傍で微生物細胞を収集するのに十分な速度でローターを回転させるように設計されている、ローター、
回転部分及び非回転部分を含む回転ユニオンであり、ここで前記回転部分は、前記ローターと調和して回転する、回転ユニオン、
前記回転ユニオンの前記回転部分から前処理容器上に提供されたキャップを介して前処理容器中に延びる吸引管であり、ここで前記吸引管は、前処理容器の遠位表面近傍に配置された遠位吸引オリフィスを有する、吸引管、
前記回転ユニオンの前記回転部分から前記キャップを介して前処理容器中に延びる分配管であり、ここで前記分配管は、前処理容器の遠位表面近傍に配置された遠位分配オリフィスを有する、分配管、
前記回転ユニオンの前記非回転部分に接続された固定入口管であり、ここで前記固定入口管は、前記ローターの回転中に前記分配管と流体連絡するようになっている、固定入口管、
前記回転ユニオンの前記非回転部分に接続された固定出口管であり、ここで前記固定出口管は、前記ローターの回転中に前記吸引管と流体連絡するようになっている、固定出口管、並びに
流体分配及び吸引するために、前記固定入口管及び前記固定出口管と流体連絡した、ポンプ機構
を含む。

0016

本開示の機能的態様及び有利な態様のさらなる理解は、以下の詳細な説明及び図面を参照して実現され得る。

0017

実施形態は、図面を参照して、例のみとしてここに記載される。

図面の簡単な説明

0018

サンプル前処理中の異なる段階での、例示的なサンプル前処理容器及びその内容物を示す図である。
図1a〜fの続きである。
全血以外のサンプルに対して前処理を実施するための代替的な例示的実施形態を示す図である。
全血以外のサンプルに対して前処理を実施するための別の代替的な例示的実施形態を示す図である。
角度付き遠心分離機中の3つの例示的な前処理容器及びそのそれぞれの沈降ゾーンを模式的に示す図である。
図4a〜bの続きである。
遠心分離の間に前処理容器表面に達した粒子に対して作用する遠心力を模式的に示す図である。
サンプル前処理方法を自動化するための例示的実施形態を模式的に示す図である。
図5aの続きである。
例示的な制御及び処理システムを示す図である。
サンプル前処理方法の自動化のための代替的な例示的実施形態を示す図である。
図6aの続きである。
図6bの続きである。
図6cの続きである。
図6dの続きである。
図6eの続きである。
電気細胞処理、rRNA逆転写、PCR及びアンプリコン検出を実施するための例示的な流体デバイスを模式的に示す図である。
図7(a)の電気チャンバ52の横断面A-Aを模式的に示し、この電気チャンバへの電圧パルス適用を示す図である。
全血サンプル中の微生物細胞を検出及び同定する例示的な方法を示すフローチャートを示す図である。
抗生物質治療の段階的縮小のための例示的な迅速同定パネルを示す図である。
対応する例示的抗生物質選択と共に、図9(a)に示される迅速同定パネルからの結果に基づく例示的な生物同定を示す図である。
広域スペクトルの抗生物質からより狭域スペクトルの抗生物質への抗生物質治療の段階的縮小のための、3つの例示的な迅速同定パネルを示す図である。
洗浄サイクルの上清中のアンプリコンの蛍光シグナルを示す図であり、溶解させた血液中のデブリの消光作用、及び洗浄サイクルが如何にして消光を軽減するために使用され得るかを示す。
洗浄サイクルが遠心分離なしに使用されるサンプル前処理手順の上清中の細胞溶解物リアルタイム逆転写PCR(リアルタイムRT-PCR)アッセイの間に測定された、蛍光シグナル対PCRサイクル数を示す図である。図11(b)は、4回目の洗浄サイクルの上清中の細胞溶解物アッセイシグナルを示し、図11(c)は、5回目の洗浄サイクルの上清中の細胞溶解物アッセイシグナルを示し、洗浄ステップの数及び細胞溶解方法に対するアッセイシグナルの依存性を示す。
図11bの続きである。
例示的なサンプル前処理手順を使用した、洗浄サイクルの上清中の細胞溶解物についてのリアルタイムRT-PCRアッセイの間に測定された蛍光シグナル対PCRサイクル数を示す図であり、洗浄ステップの数及び電気的処理に対するアッセイシグナルの依存性を示す。
リアルタイムPCRアッセイの間に測定された蛍光シグナル対PCRサイクル数を示す図であり、(a)サポニンの濃度及び(b)ポリアネトールスルホン酸ナトリウム(sodium polyanetholesulfonate)(SPS)の濃度に対するアッセイシグナルの依存性を示す。
図12aの続きである。
リアルタイムPCRアッセイの間に測定された蛍光シグナル対PCRサイクル数を示す図であり、異なる型の抗凝固剤を用いたヒト全血からの微生物細胞の回収を示す。
リアルタイムRT-PCRアッセイの間に測定された蛍光シグナル対PCRサイクル数を示す図であり、(a)2mL及び(b)1.7mLの微小遠心管におけるFluorinert(商標)の体積に対するアッセイシグナルの依存性を示す。
図14aの続きである。
リアルタイムRT-PCRアッセイの間に測定された蛍光シグナル対PCRサイクル数を示す図であり、前処理容器表面に対するアッセイシグナルの依存性を示す。
液サンプル中のカンジダアルビカンス(Candida albicans)の検出限界を示す図である。カンジダ・アルビカンスの18S rRNA断片のRT-PCR増幅された産物を、アガロースゲル電気泳動での分離の後に可視化し、1及び10個のカンジダ・アルビカンス細胞の検出が示される。
RT-PCR増幅された18S rRNAに対する分子ビーコンハイブリダイゼーションによって検出された、血液サンプル中のカンジダ・アルビカンスの検出のために得られた蛍光強度値を示す表である。
血液サンプル中の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)の検出限界を示す図である。肺炎連鎖球菌の16S rRNA断片のRT-PCR増幅された産物を、アガロースゲル電気泳動での分離の後に可視化し、1及び10個の肺炎連鎖球菌細胞の検出が示される。
RT-PCR増幅された16S rRNAに対する分子ビーコンのハイブリダイゼーションによって検出された、血液サンプル中の肺炎連鎖球菌の検出のために得られた蛍光強度値を示す表である。
血液サンプル中の大腸菌(Escherichia coli)の検出限界を示す図である。大腸菌の16S rRNA断片のRT-PCR増幅された産物を、アガロースゲル電気泳動での分離の後に可視化し、1及び10個の大腸菌細胞の検出が示される。
RT-PCR増幅された16S rRNAに対する分子ビーコンのハイブリダイゼーションによって検出された、血液サンプル中の大腸菌の検出のための蛍光強度値を示す表である。
検出方法再現性を示すために試験した微生物細胞を記載する表を示す図である。
検出方法の再現性を示す、図25〜27に記載されるRT-PCRアッセイに使用したプライマーを記載する表を示す図である。
典型的なリアルタイムRT-PCRアッセイの間に測定された蛍光シグナルを示す図である。
血液サンプル中の単一細胞の異なるグラム陽性細菌種のリアルタイムRT-PCR検出のためのCT値を示す図である。
血液サンプル中の単一細胞の異なるグラム陰性細菌種のリアルタイムRT-PCR検出のためのCT値を示す図である。
血液サンプル中の単一細胞の異なる真菌種のリアルタイムRT-PCR検出のためのCT値を示す図である。

0019

本開示の種々の実施形態及び態様が、以下の詳細な議論を参照して記載される。以下の説明及び図面は、本開示の例示であり、本開示を限定すると解釈すべきではない。多数の具体的詳細が、本開示の種々の実施形態の完全な理解を提供するために記載される。しかし、特定の例では、周知又は従来の詳細は、本開示の実施形態の正確な議論を提供するために、記載されていない。本明細書に開示される方法のステップの順序は、それらの方法が作動可能であり続ける限り、重要ではないと理解すべきである。

0020

本明細書で使用する場合、用語「含む」及び「含むこと」は、包括的でオープンエンドであると解釈すべきであり、排他的ではない。具体的には、本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、用語「含む」及び「含むこと」並びにそれらの変化形は、特定された特徴、ステップ又は構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ又は構成要素の存在を排除すると解釈すべきではない。

0021

本明細書で使用する場合、用語「例示的(exemplary)」は、「例えば(example)、例として(instance)又は例示(illustration)として機能すること」を意味し、本明細書に開示される他の構成よりも好ましい又は有利であると解釈すべきではない。

0022

本明細書で使用する場合、用語「約」及び「およそ」は、粒子の寸法の範囲、混合物組成、又は他の物理的特性若しくは特徴と併せて使用される場合、平均して寸法のほとんどが満足されるが、寸法が統計的にこの領域の外側に存在し得る実施形態を排除しないように、寸法の範囲の下限及び上限に存在し得る僅かな変動をカバーすることを意味する。本開示からこれらなどの実施形態を排除する意図はない。いくつかの実施形態では、語句「約」及び「およそ」は、述べられた値のプラス又はマイナス25%の範囲を指す。

0023

以下に開示する実施形態では、方法及びデバイスが、サンプル中の微生物細胞の高感度の検出及び同定のために提供される。いくつかの実施形態では、サンプルの前処理は、非微生物細胞(例えば血球)の初期選択的溶解、及び生じたデブリを除去し、続いて微生物細胞を濃縮するための遠心分離及び任意選択の洗浄サイクルを介して実施され、微生物細胞は引き続いて再懸濁される。得られた微生物細胞懸濁物は、本明細書で、「前処理された細胞懸濁物」と称される。

0024

緩衝用液体を使用したサンプル前処理
培養及び検出の目的のために血液サンプルを溶解させ、微生物病原体を濃縮するための方法は、例えば、米国特許第5,070,014号、米国特許第4,131,512号、米国特許第4,212,948号、米国特許第4,693,972号及び米国特許第5,108,927号において、Dornによって開示された。Dornは、サポニン及びポリアネトールスルホン酸ナトリウム(SPS)を含む血液溶解剤、並びに高密度液体フッ素化炭化水素などの緩衝用液体を含む、サンプル収集管の使用を教示している。所定体積の全血がサンプル収集管に添加され、サポニンが、サンプル中の血球を溶解させる。緩衝用液体は、サンプル収集管の底部において明瞭な液体層を形成し、管が遠心分離される場合にその液体界面において微生物細胞を収集するために提供され、得られたペレットにおける衝撃又は圧縮力によって他の方式で損傷され得る微生物細胞の生存度を保持する。上清の大部分の除去後、Dornは、任意の残留上清及び全ての緩衝用液体を含む、管中残留液体の全ての取り出しを教示している。

0025

Dornの方法は、自動化血液培養システムの出現前に商業的成功を享受していたが、これは、Dornの方法が、容易に培養され得る形態で微生物細胞を調製するために適切であったからである。本発明者らは、取得された濃縮細胞懸濁物に混入物及び阻害物質が含まれるので、残念ながらDornのサンプル調製方法は多くの他の適用、例えば分子アッセイには適切ではないことを見出した。

0026

細胞懸濁物の調製のために血液溶解剤を使用し、その後微生物溶解ステップを使用する、又はサンプルを調製するために血球及び微生物細胞の両方を溶解させる非選択的溶解方法を使用する、多くの他の公知の方法もまた、下流の分子アッセイと不適合であるが、これは、これらの方法が、混入物又は阻害物質の適切な除去を提供せず、従って、分子アッセイの前に核酸の抽出及び精製方法の使用を必要とするからである(Nierhaus, A.ら「Comparison of three different commercialPCRassays for the detection of pathogens in critically ill sepsis patients.」Medizinische Klinik-Intensivmedizin und Notfallmedizin (2013): 1-8)。

0027

従って、本開示のいくつかの実施形態では、液体サンプルからの微生物細胞の分離及び濃縮のためのデバイス及び方法が提供され、該デバイス及び方法では、緩衝用液体が、前処理サンプルを抽出する場合には緩衝用液体を実質的に移行させずに、遠心分離ステップの間に微生物細胞を収集するために任意選択で使用される。さらに、いくつかの実施形態では、1回以上の洗浄手順が、前処理サンプル中に存在し得る溶解された血球デブリ並びに他の望ましくない構成要素及び物質の濃度を低減させるために、前処理サンプルの抽出前に実施される。前処理サンプル中のこれらの物質の濃度における低減は、分子アッセイに対する酵素阻害を回避することにおいて有益であり得、非標的巨大分子の存在を低減させ、標的巨大分子の分解を防止する。

0028

前処理サンプル中に存在する保持された微生物細胞は、溶解させることができ、任意選択で細胞内核酸巨大分子(例えば、リボソームRNA(rRNA)及びDNA)をその後の分子分析のために利用可能なものにするための処理プロセス(例示的処理プロセスは、以下にさらに記載される)に供され得る。いくつかの実施形態では、その後の増幅及び検出のステップが、微生物細胞の同定のために使用され得る。例えば、増幅及び検出のステップは、一般的な核酸の抽出及び精製技術を使用しなくても、前処理され溶解されたサンプルに対して直接実施され得る。そのような状況においては、特に、増幅及び検出を他の方式で妨害する試薬を使用しない溶解技術(例えば、電気的溶解、熱的溶解及び機械的溶解などの溶解技術)が使用され得る。

0029

サンプルが、微生物細胞を潜在的に含むことに加えて、血球(例えば赤血球及び白血球)を含む血液サンプルであるいくつかの実施形態では、このサンプルは、血球を溶解させるために前処理され得る。

0030

サンプル前処理を実施した後に分子アッセイを実施することを含む本開示の実施形態では、細胞溶解試薬の組成は、Dornによって開示された組成とは異なるように選択され得るが、これは、その後の分析のために細胞の生存を要するDornによって開示された方法とは異なり、分子的方法には細胞の生存が必ずしも必要ではない可能性があることから、このような分子方法に関して受容可能な細胞傷害閾値が、Dornのプロトコールの閾値よりも高い可能性があるためである。

0031

血液サンプルの前処理を含むいくつかの実施形態では、血液溶解試薬の編成は、標的核酸の実質的な喪失なしに洗浄サイクルの効率を改善するために、Dornによって開示されたものと比較して改変されている。例えば、改善された血球溶解試薬は、サポニン及びSPSの適切な濃度を選択することによって提供され得る。さらに、以下に記載するように、例えば、培養方法に関して細胞増殖阻害し得るTriton X-100などの他の血液溶解試薬が、本明細書に開示される方法のいくつかにおいて使用され得る。このような血液溶解試薬の例は、以下に詳細に記載される。

0032

いくつかの実施形態では、サンプル前処理方法の態様は、元のサンプル中に存在する実質的なパーセンテージ(例えば、10%、25%、50%、75%又は95%より高い)の微生物細胞が、前処理された細胞懸濁物に移行するように、微生物細胞の高い回収が得られるように制御又は指示され、回収された微生物細胞が、実質的なパーセンテージ(例えば、10%、25%、50%、75%又は95%よりも高い)の標的rRNA若しくはmRNA又は100%の標的DNAを保つように、感知可能な傷害が微生物細胞に課されないように制御又は指示され、前処理された細胞懸濁液体が、その後の核酸アッセイにとって有害であるか又はそのような核酸アッセイを阻害する混入物及び物質を実質的に含まないように制御又は指示される(例えば、いくつかの適用では、このような混入物及び/又は妨害物は、およそ0.1%を下回る濃度を有するべきであることが見出されている)。以下にさらに記載するように、本明細書に記載される方法の種々の態様は、自動化された方法及びデバイスとして実施されるのに適切である。

0033

図1(a)〜(m)は、緩衝用液体が使用される全血サンプルの前処理のために使用され得る、本開示の一実施形態に従う前処理デバイス及び方法の例示的実行を示す。図1(a)を参照すると、所定体積の血球溶解試薬22及び所定体積の緩衝用液体21を含む前処理容器20が提供される。

0034

前処理容器20は、遠心分離に適切な容器、例えば、微小遠心管である。いくつかの実施形態では、この遠心管は、円錐形の底部形状及び滑らかな内部表面を有し、遠心分離の間の微生物細胞の吸着又は捕捉を最小化する。いくつかの実施形態では、前処理容器20は、貫通可能なストッパーシリンジ27の針によって貫通された場合に適切な体積のサンプルが引き出されるように排出され得る注入可能な閉鎖部材、例えば貫通可能なストッパー25(例えば、ゴムストッパー)、又は別の適切な密封機構を含む。

0035

いくつかの実施形態では、前処理容器20は、予め充填された血液管、例えば別の血液収集管から、選択された体積の血液を取得するために使用される。いくつかの実施形態では、前処理容器20は、サンプル収集デバイスとして使用され得る。例えば、前処理容器20は、Vacutainer(登録商標)型の針及びホルダーデバイスとの使用のために設計された貫通可能なストッパーを含み得る。

0036

緩衝用液体21は、微生物が遠心分離の間にその上に沈む液体表面32を形成するように機能する、高密度で水不混和の液体である。図1(a)に示されるように、緩衝用液体21は、重力の影響下で前処理容器20の底部に沈むような密度を有する。用語「高密度」は、緩衝用液体21に関して本明細書で使用する場合、主流の遠心力下で標的微生物細胞が緩衝用液体を実質的に貫入しないような十分に高い密度を意味すると理解される。従って、緩衝用液体21の密度は、微生物細胞及び他の液体の両方よりも高くなるように選択される。この緩衝用液体は、前処理プロセスを通じて明瞭な液体相を保持するように、全血、血球溶解試薬22及び洗浄液体(以下に記載される)が含まれるがこれらに限定されない他の液体中にも不混和である。

0037

血球溶解試薬22は、血球を溶解させるために選択される1種以上の物質を含む水性液体である。いくつかの実施形態では、血球溶解試薬の組成は、微生物細胞の完全性に実質的に影響を与えることなく血球が溶解されるように選択される。血球溶解試薬22の適切な組成の例は、以下に提供される。

0038

図1(b)は、前処理容器20への所定体積の血液サンプル26の添加を示し、血液溶解試薬22と血液サンプル26との混合は、図1(c)に示されるように、混合物30を形成する。前処理容器に(例えば、貫通可能なゴムストッパー25を介して)サンプルを提供した後、前処理容器20は、図1(c)に示されるように、サンプルと血球溶解試薬22とのさらなる混合を生じるように撹拌してもよい。例えば、前処理容器20は、穏やかな混合を提供するために、1回以上手動で反転させてもよい。代替的な一例では、前処理容器20は、低速でボルテックス混合してもよい。適切な低いボルテックス速度の非限定的な例は、4.9mm軌道ボルテックスミキサーの場合、およそ300rpmに近い速度である。数サイクルで液体が吸引及び分配される代替的な混合方法が使用できる。

0039

上述のように、混合物30中の血球溶解試薬22の存在は、血球の選択的溶解を引き起こす。1つの例示的な実行では、血球溶解試薬22は、少なくとも以下の構成要素:サポニン、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム(ポリアネトールスルホン酸のナトリウム塩、SPSとしても公知)及び消泡剤、例えばポリ(プロピレングリコール)(PPG、例えば、およそ2000の分子量を有する)を含む水性液体であり得る。いくつかの実施形態では、このサポニンは精製サポニンである。サポニンを精製するための例示的な方法は、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,883,425号、表題「Detoxification of Saponins」中に開示されている。サポニン精製をしない場合、血球溶解はあまり効率的でなく、遠心分離の際にゲル様物質が形成されることが見出されている。

0040

1つの例示的な実行では、およそ1mLの全血当たりの血球溶解試薬の組成は、以下のように提供され得る:およそ75mg/mLのサポニン(84510、Sigma)、およそ15mg/mLのポリアネトールスルホン酸ナトリウム(SPS)(P2008、Sigma)及びおよそ1体積%のポリ(プロピレングリコール)(PPG)MW 2000(202339、Sigma)の濃度を有する、およそ500μLの体積を有する水溶液。血液溶解試薬と全血サンプルとを混合すると、サポニン、SPS及びPPGの最終濃度は、それぞれおよそ25mg/ml、5mg/ml及び0.3%である。

0041

1つの例示的な実行では、全血及び血液溶解試薬を混合した際のサポニン及びSPSの濃度は、それぞれ、およそ1.5〜80mg/mL及び0.5〜20mg/mLの範囲内であり得る。別の例示的な実行では、サポニン及びSPSの濃度は、それぞれ、およそ10〜30mg/mL及び2.5〜10mg/mLの範囲内であり得る。

0042

SPSは、抗凝固剤かつ抗食作用剤であり、抗微生物剤を阻害することが公知である(Sullivan, N. M.、Sutter, V. L.及びFinegold, S. M. (1975). Practical aerobic membrane filtration blood culture technique: development of procedure. Journal of clinical microbiology、1(1)、30-36)。SPSが血球溶解を補助する機構は、十分には理解されていない。理論によって限定されることは意図しないが、SPSは、血球溶解の間に微生物に対していくらかのレベルの保護をもたらし、細胞デブリ中の細菌の捕捉の発生率を低減させ、及び/又は他の場合では沈降物中に存在し得る凝固した構成要素の量を低減させることが可能であると考えられる。

0043

SPSは公知のPCR阻害薬であることに留意されたい。最終抽出サンプル中で低い濃度のSPSが望ましい適用の場合、より高い濃度のSPSでは、過剰のSPSを除去するためにより多くの洗浄サイクルが使用される場合がある。米国特許第8,481,265号が、SPSの使用も緩衝用流体の使用もなしの、溶解試薬としての40〜100mg/mlの範囲内の濃度(最終濃度)を有するサポニンの使用を記載していることにも留意されたい。しかし、そのようなアプローチは、遠心分離の間の微生物細胞のペレット化、及びペレット化した微生物細胞を再懸濁する際に困難が生じる。実際、米国特許第8,481,265号に記載された実施例では、管壁からの微生物の回収のために機械的手段が必要とされ、これは自動化されにくい。

0044

消泡剤PPGの添加は、混合物の適切な粘度を維持することを補助する。PPGを含めることなしには、この混合物は、粘度が高くなり得るか、及び/又は粘着性になり得ることが見出されている。

0045

別の例示的な実行では、およそ1mLの全血を溶解させるための血球溶解試薬の組成は、以下のように提供され得る:5〜11の範囲のpHの緩衝液中、およそ1.5体積%のTriton X-100(X-100、Sigma)、およそ18mg/mLのポリアネトールスルホン酸ナトリウム(SPS)(P2008、Sigma)及びおよそ1体積%のポリ(プロピレングリコール)(PPG)MW 2000(202339、Sigma)の濃度を有する、およそ500μLの体積を有する水溶液。血液溶解試薬と全血サンプルとを混合すると、Triton X-100、SPS及びPPGの最終濃度は、それぞれおよそ0.5%、6mg/ml及び0.3%である。1つの例示的な実行では、溶解試薬及び全血サンプルを混合すると、Triton X-100及びSPSの濃度は、それぞれおよそ0.5〜1.5%及び5〜10mg/mLの範囲内であり得る。別の例示的な実行では、およそ1mLの全血を溶解させるための血球溶解試薬の組成は、以下のように提供され得る:およそ1mLの体積を有し、9〜11の範囲のpHの緩衝液中、およそ1%のTriton X-100(X-100、Sigma)の濃度を有する水溶液。1つの例示的な実行では、溶解試薬及び全血サンプルを混合すると、Triton X-100の濃度は、およそ0.05〜2.5%の範囲内であり得る。

0046

混合物30を形成し、前処理容器20を撹拌した後に、前処理容器20は、図1(d)に示されるように遠心分離される。前処理容器20は、図1(d)に示されるように、混合物30中の微生物細胞が懸濁物から排出され、緩衝用液体21と上清33との間の界面32に集合するのに適切な速度において適切な時間にわたって遠心分離される。

0047

微生物細胞の沈降をもたらすのに必要とされる遠心分離の時間及び速度は、遠心分離半径、サンプルの粘度及び密度、並びに沈降路程に依存し、当業者によって容易に決定され得ることが理解される。例えば、およそ1mlの血液体積が2mlの前処理容器(上に開示された適切な量の血液溶解試薬22及び緩衝用液体21を含む)中に注入され、固定角遠心分離機中に置かれる例示的な一実施形態では、およそ10000gの遠心力及びおよそ1分の遠心分離時間が、目的の微生物細胞を沈降させるのに十分である。時間、速度及びサンプル体積の他の組み合わせが、緩衝用表面32における微生物細胞の完全な収集を達成するために選択され得ることが理解される。

0048

上述のように、緩衝用液体21は、混合物30の密度よりも高い密度を有し、界面32が形成されるように、混合物30とは不混和である。これは、遠心力下で、緩衝用液体21が、沈降領域34に迅速に移動し、上清33を置き換え、それによって、前処理容器20の沈降領域34中に明瞭な流体相を形成することを確実にする。緩衝用液体21は、前処理プロセス中の微生物細胞の喪失を防止する。そのような喪失は、沈降領域34内又はその近傍の前処理容器20の表面上での微生物細胞の吸着及び捕捉に起因して他の方式で発生する可能性があるが、この実施形態では、微生物細胞が集合する液体界面32の存在に起因して実質的に防止される。緩衝用液体の密度は細胞の密度よりも高いので、この緩衝用液体は、細胞が容器壁と密接に接触すること、又は他の方式で前記細胞を捕捉する可能性がある壁中の空洞に細胞が入り込むことを防止する。

0049

緩衝用液体としては、約300〜850の範囲の分子量を有するフッ素化炭化水素が適切である。その例は、FC-40、FC-43、FC-70及びFC-77である。本開示中に記載される実施例には、Fluorinert(商標)FC-40(F9755、Sigma)を使用した。緩衝用液体の体積は、全ての標的沈殿物がその表面上に集合するように適切に大きい沈降表面を提供するのに、十分に大きくなければならない。有効な微生物細胞回収に適切な緩衝用液体の体積は、遠心分離条件と集合的に称される前処理容器の形状、前処理容器の表面状態、遠心分離角、遠心力及び標的細胞沈降係数を含むいくつかの要因に依存する。

0050

緩衝用液体体積の体積を決定するための1つの指針は、緩衝用液体によって湿潤した前処理容器の表面が、少なくとも、緩衝用液体の非存在下で微生物細胞が沈降すると予想される前処理容器表面の領域を覆うような体積にすべきであるということである。遠心分離中、懸濁された細胞は中心から放射方向に移動し、前処理容器壁に到達したら、これらの細胞は、好ましい移動の方向での遠心力の成分が不十分になって細胞の動き対抗する浮力摩擦力を克服できなくなるまで、最も遠い放射位置に向かって壁に沿って移動し続ける。緩衝用液体の非存在下では、遠心分離条件を反映した形状を有する沈降領域中に、細胞が静止する。この領域を覆う緩衝用液体を提供することによって、細胞は、その表面又はその外縁のいずれか上で直接、緩衝用液体と接触するようになる。

0051

例示として、図4(a)、(b)及び(c)は、45度角の遠心分離機中の、それぞれ3つの異なる前処理容器の底部角の形状を示す。各場合において、前処理容器は、(i)の場合は(ローター半径に沿った)放射断面で示され、(ii)の場合は前処理容器軸に対して垂直の方向でのローター軸からの図で示される。図4(a)では、前処理容器120は、およそ25度の底部円錐角を有し、標的微生物細胞が最初に懸濁される流体121を含む。この流体の表面は、図4(a)(i)及び(ii)中に125として示される。緩衝用液体の非存在下では、適切な速度における十分な持続時間にわたる遠心分離の後、細胞は、この場合には前処理容器の円柱形部分円錐形部分との間の交差部分にある、前処理容器の半径方向に最も外側の部分122又はその近傍に静止する。沈降領域126は、最遠の半径方向位置に向かって壁に沿って移動する沈降する細胞の移動の方向で減少していく正味の力に起因して、図4(a)(ii)に示されるように、前処理容器の半径方向に最も外側の点のどちらの側にも、円周方向に距離を延ばし得る。

0052

緩衝用液体が最初から前処理容器中に存在し、遠心分離がその存在下で実施される場合、その表面123は、垂直平面を近似的に形成し、緩衝用液体は、図4(a)(ii)において近似的に示される領域127内の前処理容器表面を湿潤させる。前処理容器表面上に静止する前に沈降する細胞が緩衝用液体と接触することを確実にするために、緩衝用液体は、沈降が緩衝用液体の非存在下で発生した領域126を完全に覆うべきである。

0053

同様に、図4(b)中で130として示される、この例における遠心分離角と一致する45度の底部円錐角を有する前処理容器では、緩衝用液体は、図4(b)(i)に示されるように、表面131を形成する。緩衝用液体の非存在下での沈降ゾーン132は一般に、図4(b)(ii)に示すように、円錐に沿って分布する。緩衝用液体によって湿潤した前処理容器の表面領域133は、少なくとも沈降ゾーン132を覆うべきである。

0054

図4(c)に示されるように、前処理容器の底部円錐角が遠心分離角よりも大きい場合、沈降ゾーンは、円錐の尖部に存在し、緩衝用液体143は、沈降ゾーン142を覆うべきである。

0055

これらの例から、緩衝用液体の最小体積は、主流の形状条件及び沈降条件に依存することが明らかである。スイングするバケツ又は水平方向に方向合わせされた遠心分離機も同じように解釈でき、一般に、前処理容器の尖部において緩衝用液体によって覆われるべき沈降領域を有する。

0056

他の沈降容器及び遠心分離条件も、最小の緩衝用液体の体積を決定するために同様に考慮できる。

0057

遠心分離条件における変動性は、最大の回収を確実にするために、上記のように決定された最小よりも幾分多い緩衝用液体体積を必要とする場合があることに留意されたい。

0058

緩衝用液体の非存在下で主流であり、上に開示した選択された実施形態に従って緩衝用液体によって湿潤した前処理容器の表面上の沈降領域は、実験的に決定され得る。実験的方法の一例は、緩衝用流体の非存在下での前処理プロセスにおいて予測されたものと同じ遠心分離条件下での、選択された前処理容器の表面上の沈降した細胞のペレットの観察である。これは、沈降した細胞の光学検出を増強するために細胞に適用される蛍光色素又は他の色素によって補助され得る。この測定された領域を覆うのに適切な緩衝用流体の体積は、同じ遠心分離条件下で前処理容器の表面上の緩衝用流体の湿潤した領域の程度を観察し、この湿潤した領域が以前に観察された沈降領域を少なくとも超えて延びることを確実にすることによって(例えば、緩衝用液体の数回の実験を実施し、測定された領域を十分に湿潤させる体積を選択することによって)、決定され得る。代替的に、本明細書に記載される方法によって取得される最終懸濁物における細胞の回収は、種々の手段、例えば、培養及びコロニーの数え上げ、並びに適切な(例えば、最大の)細胞回収を提供する体積を選択することによって実験的に決定される緩衝用液体の適切な体積などによって測定され得る。

0059

緩衝用液体の体積は、遠心分離の間の沈降する粒子と前処理容器の内部表面との間の相互作用を考慮することによっても、又は代替的に、概算され得る。遠心分離の間に、その密度が懸濁物流体の密度よりも高い粒子は、前処理容器の表面に到達するまで、大きさ

0060

の遠心力ベクトル

0061

の影響下で外向きに半径方向に移動する。ここでVp、ρp、ρm、ω、rは、それぞれ、粒子の体積、粒子の密度、粒子懸濁媒体の密度、角速度、及び粒子から回転の軸までの半径方向距離を示す。

0062

粒子151がこの表面150に達すると、表面への単位外向き法線ベクトルは図4(d)に示されるような

0063

であり、粒子路は、前処理容器壁の存在に起因して変更される。次いで、粒子の軌跡は、関係

0064

によって与えられる、粒子位置における接平面における遠心力のベクトル成分

0065

の方向で、前処理容器の内部表面に沿う。

0066

この力に直接対抗するものは、その大きさがストークス方程式Fs=6πηγνによって最先端において一般に示される流体抵抗であり、式中、η及びνは、それぞれ懸濁媒体の流体粘度及び粒子の速度であり、壁摩擦力Fwは、他の主流の力と比較して十分な大きさのものである場合、考慮される前処理容器表面の特定の状態、粒子及び懸濁物流体のために含められ決定されるべきである。

0067

従って、粒子は、力平衡

0068

によって示されるように達成される場合、制限速度又は最終速度に達する。安定な沈降物の形成を規定する条件は、ν=0又は十分に小さい値のνによって規定され得、それによって、上記方程式は、粒子が効率的に静止する前処理容器表面上の点の地点を規定するために使用され得る。点のこの地点は、上で議論した原理に従って緩衝用流体によって湿潤させるべき前処理容器の内部表面上の沈降領域を規定する。上におけるいくつかのパラメーターは、幾分かの量の変動又は不確実性にさらされるので、結果を実験的に確認することが一般に推奨される。

0069

緩衝用液体表面は、遠心分離的分離ステップの間の上清の吸引の間に沈降した細胞の喪失を引き起こすほど大きくあるべきではないことも、理解すべきである。

0070

これに関して、考慮事項は、遠心分離の間の沈降ゾーンの場所である。一般に、収集された細胞のうちいくらかは、緩衝用液体の外縁(以下で「外縁収集領域」と呼ぶ)上に沈み、そのような細胞のいくらかは、前処理容器が吸引のために再度方向合わせされる場合であっても、前処理容器壁上に留まり得る。これらの細胞は、緩衝用液体の存在に対して容易に再懸濁されるので、細胞の喪失を防ぐために、対流撹乱でこの領域を撹乱しないように、注意払うべきである。このような対流撹乱は、上清の吸引に起因して発生し得る。

0071

いくつかの実施形態では、前処理容器の形状及び/又は緩衝用流体の体積は、この外縁収集領域が吸引デバイスから離れた状態を保つように選択すべきである。さらに、いくつかの実施形態では、前処理容器の形状及び/又は緩衝用流体の体積は、外縁収集領域が上清の吸引の間に残留液体中に浸されたままであるように選択され得る。

0072

例えば、円錐形又は丸形(例えば、半球形)の底部(又はそれらの組み合わせ、例えば、半球形若しくは他の形式で底部が丸形の円錐形先細側壁)を有する前処理容器(例えば、遠心管)は、吸引デバイスから遠位にある場所に前処理容器の底部に沈降物を残留させることから、上清の除去中に撹乱されないようにするために使用され得る。これは、所望の残留流体体積が減少される場合にはより重要になる。

0073

それによって、緩衝用液体の適切な最大体積は、所望の残留流体体積、前処理容器の形状、遠心分離角及び吸引方法などのいくつかの要因に関連する。上清の吸引の間の吸引チップと緩衝用流体との間の距離は、少なくとも1mm、好ましくは3mm〜5mm又はそれ以上であるべきである。

0074

緩衝用液体21の例示的体積は、6000gで動作している角遠心分離機中の2mLの前処理容器についておよそ10μLである。別の例示的な一実施形態では、緩衝用液体の体積は、およそ5μlから15μlの間の範囲であり得る。別の例示的な一実施形態では、緩衝用液体の体積は、およそ2.5μlから100μlの間の範囲であり得る。

0075

遠心分離後、前処理容器20は、重力に起因して緩衝用液体21が前処理容器20の底部に移動し、そこに留まるように、例えば図1(e)に示されるような垂直方向などの、その後の吸引及び分配操作に適した位置で、再度方向合わせされ得る。このステップは、微生物細胞のほとんど又は全てが再懸濁されるのを防止するように、液体中の対流撹乱が最小化されるように、十分ゆっくり実施され得る。沈降した微生物細胞は、沈降領域の場所に対して近位の容器の表面上に堆積され得るか、又は一部の細胞は、重力下で再場所決めされる場合、緩衝用液体と共に移動し得る。

0076

細胞の再懸濁の防止は、図1(f)に示されるように、保持された微生物細胞を含む残留上清がほんのわずかしか残らないように、上清のほとんどの除去を可能にする。例えば、シリンジが、実質的な部分の上清を除去するために使用され得る。保持された微生物細胞の濃縮を達成するため及び下流のプロセスを妨害し得る物質を除去するために、吸引物中の微生物細胞の取り出しが実質的に回避されるように、十分な体積の上清を残しつつ可能な限り多くの上清を除去することが有益である。このような実施形態は、その後の洗浄段階への、及び最終前処理サンプルへの、血球デブリ及び溶解試薬の移行を低減させることにおいて有効である。いくつかの実施形態では、ステップ(e)及びステップ(f)は、前処理容器及び吸引デバイスの異なる方向及び位置で実施され得ることを理解すべきである。例えば、ステップ(e)では、前処理容器は、ステップ(d)の方向のままであり得るが、今度は沈降領域が角度付き前処理容器の底部に場所決めされるように、そのホルダー中で穏やかに180度回転され得る。これは、沈降領域を撹乱されないままにしつつ、より多くの量の上清の吸引を可能にする。

0077

一実施形態では、除去される上清の量は、上清の総量の80%から95%の間である。上記例に記載されるものに従う量を使用する例示的な実行では、適切な吸引物体積はおよそ1.35mLである。

0078

図1(g)〜(k)に示されるように、1回以上の洗浄サイクルが、上清を精製するため、並びに前処理サンプル中に存在する血球デブリ及び血球溶解試薬の濃度を低減させるために、任意選択で実施され得る。図1(g)を参照すると、洗浄液体35の体積が、サンプル前処理容器20に添加され得る。洗浄液体35の添加後、この溶液は、遠心分離の間に容器壁に沈降又は吸着されている可能性があるデブリを再懸濁するために混合される。これは、図1(h)に示されるように、ボルテックスによって達成され得る。図1(i)〜(k)に示すように、前処理容器20は、図1(d)〜(f)について記載された様式と類似して、引き続いて遠心分離及び再度方向合わせされ、実質的な部分の上清が除去される。

0079

1つの例示的な実行では、洗浄液体35は、任意の低イオン強度水性媒体、例えば塩溶液又は緩衝液であり得る。より低いイオン強度の選択は、イオンバランスステップを必要とすることなしに、分子アッセイのための電気的又は機械的な細胞溶解後に、微生物細胞溶解物を使用することを可能にする。

0080

以下に記載するように、微生物細胞は、前処理サンプルが前処理容器20から抽出される場合、残留洗浄液体37中に懸濁される。従って、サンプルの下流の処理のために適切な組成を有することが、洗浄液体35にとって有益であり得る。1つの例示的な実行では、洗浄液体35は、保持された微生物細胞の生存度を保つために、1種以上の試薬又は媒体を含み得る。例えば、洗浄液体35は、一価塩溶液、例えば塩化カリウム又は塩化ナトリウムを含み得る。別の例では、この洗浄液体は、緩衝液、例えばリン酸塩緩衝液pH7.4、Tris緩衝液pH8.0である。別の例では、この洗浄液体は、下流の核酸増幅反応適合性の緩衝液である。電気的溶解が前処理サンプルの抽出に引き続いて実施される実施形態(以下に記載される)では、洗浄液体のイオン強度は、電気的溶解方法作業パラメーターと適合するように選択すべきである。例えば、電気的方法を介して微生物細胞を溶解させる場合、洗浄液体35のイオン強度は、およそ0.1mMから1mMの間であり得る。

0081

サンプル前処理の間に使用される洗浄サイクルの数は、残留上清36の所望のレベルの希釈などの、種々の要因に依存し得る。例えば、サンプルが血液サンプルであり、血液溶解試薬がSPSを含む一実施形態では、SPSの残留濃度がおよそ0.01μg/mL未満になるように、上清36を希釈することが有用であり得る。

0082

1つの例示的な実行では、この洗浄手順は、処理されたサンプルの抽出前には実施されない。この実施形態は、意図した核酸アッセイが阻害薬耐性PCR試薬を使用する場合に特に適しており、その例は、A. T. Hallら(「Evaluation of Inhibitor-Resistant Real-Time PCR Methodsfor Diagnostics in Clinical and Environmental Samples.」PloS one 8.9 (2013): e73845)によって記載されている。懸濁物中に残った高いレベルのヘモグロビンは、リアルタイムPCRアッセイをモニタリングするために典型的に使用される蛍光シグナルを消光することが公知である。阻害薬耐性PCR試薬は、迅速なサイクル時間を提供しない場合が多く、従って、洗浄サイクルは、速い検出時間が必要とされる場合に望まれ得ることが理解される。

0083

別の一実施形態では、1回の洗浄サイクルが使用され得る。他の実施形態では、2回以上の洗浄サイクルが使用され得る。一例では、上に開示された例示的パラメーターに基づいて、4回の洗浄サイクルが、下流の処理のための、サンプルからの混入物及び阻害物質の有効な除去を提供することが見出された。

0084

(任意選択の)洗浄サイクルを実施した後に、前処理容器20は、保持された微生物細胞が残留上清37中に再懸濁されるように、図1(l)に示されるように撹拌され得る。例えば、前処理容器20は、上記のように、低速でおよそ5〜20秒間にわたってボルテックスされ得る。

0085

撹拌後、緩衝用液体21は、前処理容器20が緩衝用液体21の上の保持された微生物細胞の残留懸濁物を含むように、図1(m)に示すように、前処理容器20の底部に沈められる。この残留懸濁物は、次いで、前処理サンプル38と呼ばれる抽出されたサンプルを取得するために取り出され得る。

0086

一実施形態では、緩衝用液体21がほとんど又は全く取り出されないように、実質的な体積の残留懸濁物が取り出される。そのような一実施形態は、緩衝用液体21による混入を回避しつつ、保持された微生物細胞のほとんどを取り出す際に有益である。例えば、選択された体積の残留懸濁物の制御された取り出しは、貫通可能なゴムストッパー25を介して挿入され得る、較正された長さを有するシリンジの挿入を介して達成され得、緩衝用液体21を後に残す。

0087

いくつかの実施形態では、取り出される懸濁物の部分は、緩衝用液体を含まない。別の一実施形態では、取り出される懸濁物の部分は、任意の緩衝用液体の存在がその後のアッセイの実施に対して影響を有さないように、緩衝用液体を実質的に含まない。別の一実施形態では、全ての残留懸濁物が取り出され、これは、少量の緩衝用液体21、例えば、<1%、<2%、<5%又は<10%などをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、引き出され得る受容可能な量の緩衝用液体は、その後のアッセイにおける緩衝用液体の受容可能な濃度の知識に基づいて決定され得る(即ち、アッセイ性能が悪化しないように)。いくつかの実施形態では、緩衝用液体の一部分が取り出され得、このとき、取り出される緩衝用液体の体積は、予め選択されたレベルを下回ってその後のアッセイの性能を低減させる量よりも少ない。例えば、リアルタイムPCRを含む下流のアッセイの場合、所与の標準的な分析物濃度について予め選択された閾値(例えば、1回未満のサイクルが不足した性能)を下回ってサイクル数を低減させることなしに取り出され得る緩衝用液体の体積を決定するために、実験が実施され得る。他のアッセイ形式では、検出限界及びシグナル強度と関連する閾値などの他の適切な評価基準が使用され得る。

0088

1回以上の任意選択の洗浄サイクルが実施されるなお別の一実施形態では、残留懸濁物及び実質的な部分の緩衝用液体の両方が取り出され得、緩衝用液体は、残留懸濁物から外的に分離され得る。例えば、一実施形態では、残留懸濁物及び実質的な部分の緩衝用液体の両方が、吸引容器、例えばピペットチップによって取り出され得る。この場合、緩衝用液体は、吸引容器(例えば、ピペットチップ)の下部オリフィスに隣接してこの緩衝用液体を沈ませ、吸引容器のオリフィスから引き続いて分配させること、又は残留懸濁物の喪失なしに吸引容器のオリフィスから滴らせることによって、残留懸濁物から分離され得る。別の例示的な一実施形態では、外部濾過が、緩衝用液体から懸濁物を分離するために使用され得る。

0089

先行する例示的実施形態は、サンプルマトリックスとしての全血の処理に関連するが、本明細書に開示される方法は、広範な種々の標本の前処理のために適合され得ることを理解すべきである。適切な標本には、尿、脳脊髄液綿棒組織サンプル、膣サンプル及び生物学的起源の他のサンプル型、並びに微生物細胞を含み得る非生物学的サンプルが含まれるがこれらに限定されない。サンプルは、(例えば、均質化などのプロセスを使用して)液体サンプルを生成するために、固体又は部分的に固体のサンプルを処理することによって提供され得る。他のサンプル型の例には、微生物細胞を含み得る他の液体サンプル、例えば、環境水サンプル、液体食品サンプル及び均質化された食品サンプルが含まれる。初期サンプルは、前処理容器中への導入の前に、試薬、緩衝液又は他の媒体と組み合わされ得る。

0090

図2及び3は、生物学的サンプルの前処理のための2つのさらなる例示的実施形態を示す。図2及び図3は共に、代替的なサンプル前処理実施形態の初期ステップを示し、残りのステップは、図1に示される残りのステップ(図面のまた貸しによる)に従って実施される。

0091

図2には、サンプル前処理容器20が、血球溶解試薬を含んでも含まなくてもよい前処理緩衝液、試薬又は液体100を含む一実施形態が示される。例えば、液体100は、全血サンプル以外のサンプル、例えば痰を安定化する際に有用であり得る。サンプルは、ステップ(b)において添加され、前処理容器20は、ステップ(c)において撹拌され、ステップの残りは、図1(a)〜(m)に関連して上記したように実施される。

0092

同様に、図3は、サンプル前処理容器20が緩衝用液体21を最初から含み、サンプル、又は緩衝液、試薬若しくは他の液体と組み合わされたサンプルがステップ(b)においてそれに添加される、例示的な一実施形態を示す。ステップの残りは、図1(a)〜(m)に関連して上記したように実施される。このような実施形態は、例えば尿サンプルの前処理のために有用であり得る。代替的に、尿サンプルの前処理は、図2に開示される方法と類似の方法に従って実施され得、このとき、液体100は、尿サンプル中に存在し得る血球の溶解のための血球溶解試薬を含む。

0093

緩衝用液体なしのサンプル前処理
先行する方法及びデバイスは、緩衝用液体を含む前処理容器の使用を採用している。緩衝用液体は、前処理容器の壁への微生物細胞の接着に起因して(緩衝用液体の非存在下で)他の方式で発生する、細胞回収(又は下流の分子アッセイの場合にはアッセイシグナル)における喪失を防止する。

0094

例えば、図14(a)に示されるように、かつ以下の実施例4.4に記載されるように、シリコン処理プラスチック微小遠心管中に10μLのFluorinert(商標)を含めることで、緩衝用液体なしの前処理容器と比較して、4回のPCRサイクルの利得を生じた。この結果は、シリコン処理によって処理した場合であっても、プラスチック微小遠心管の本質的に粗い又は吸着性の表面が、緩衝用液体が使用されない場合、回収における実質的な低減を生じることを示唆している。従って、プラスチック前処理容器の場合、緩衝用液体の使用及び容器表面疎水性処理の両方が、抽出懸濁物中の微生物細胞の高い回収を可能にすることにおいて、顕著な役割を果たすようである。

0095

しかし、他の実行では、前処理容器は、上記プラスチック微小遠心管よりも滑らかな表面を有する材料から形成され得、このより滑らかな表面は、緩衝用液体の非存在下での適切な又は受容可能な回収を可能にし得る。例えば、シリコン処理表面を有するガラス遠心管が、高い回収値を可能にしつつ、緩衝用液体の非存在下での前処理に適切であり得ることが、Dornによって米国特許第4,164,449号において示されている。しかし、Dornによって報告された回収値は、1000個の微生物細胞の接種に基づいており、その回収はより低い接種数については顕著により低い可能性があることに留意されたい。Dornの方法は、単回の遠心分離ステップ後の上清の大部分の引き出しと、その後の残留上清中での保持された微生物細胞の再懸濁とを含んだことにも留意されたい。このような方法は、懸濁物を形成するために使用される残留上清内に存在する妨害物に起因して、下流の分子アッセイと適合性ではない。

0096

従って、一実施形態では、前処理方法は、緩衝用液体は使用しないが上記実施形態に従って実施され得、但し、前処理容器は、疎水性表面処理を有する滑らかな内部表面を有する(例えば、シリコン処理表面を有するガラス遠心管)。その後の増殖分析に適切であったDornによって開示された方法とは異なり、この実施形態に従う方法は、微生物細胞の最終懸濁物の引き出しの前に、1回以上の中間洗浄ステップを使用する。この1回以上の中間ステップは、本開示に記載される洗浄方法のいずれかに従って実施され得る。この1回以上の中間洗浄ステップは、より高い純度の微生物懸濁物を生じ、その後の(下流の)分子アッセイを他の方式で阻害又は禁止する妨害物の実質的に低減された濃度を有する。このような純度は、初期遠心分離ステップの後に溶解させた血液サンプルの上清中に存在する妨害物に対して感受性の分子アッセイとは反対に、懸濁物が増殖目的のために使用されるDornの方法にとっては重要ではなかった。従って、緩衝用液体が存在しない前処理方法で1回以上の中間洗浄ステップが使用されるこの実施形態は、懸濁物がその後の分子アッセイにとって適切になるように、劇的に低下した濃度の妨害物もまた有しつつ、微生物細胞の高い回収を有する懸濁物を提供するために使用され得る。

0097

いくつかの実施形態では、前処理方法は、緩衝用液体を使用することなしに実施され得、このとき、滑らかな疎水性処理された内部表面を有する前処理容器が使用され(例えば、シリコン処理表面を有するガラス遠心管)、前処理容器の遠位部分は、およそ100μl未満、又はおよそ50μl未満の残留体積を残しつつの(遠心分離後の)上清の抽出に適切な円錐形又は丸形(例えば、半球形)形状を有する。このような実施形態は、分子方法を実施するために適切な濃縮微生物細胞懸濁物(任意選択の洗浄ステップによって精製された)を生じる。これは、低体積の濃縮懸濁物を必要とすることも使用することもなしに最終懸濁物がその後の増殖分析のために使用されるDornの方法とは全く対照的である。

0098

サンプル前処理の自動化方法
いくつかの実施形態では、上に開示されたサンプル前処理プロセス(緩衝用液体を用いる又は用いない)又はそれらの改変法は、操作者関与を低減させるため、並びに細胞の収集及び洗浄の有効性を改善するために、自動化され得る。例えば、自動化洗浄ステップを実施する能力を有するように設計された遠心分離機が、この目的のために使用され得る。

0099

図5(a)〜(c)は、洗浄機構一体化された遠心分離機構を含む、サンプル前処理における使用のための自動化デバイスの例示的実行を示す。図5(a)は、閉鎖された吸引物路を有する遠心分離機の直径断面図を示す。この遠心分離機は、上記実施形態に記載される速度及び遠心力を達成することが可能なモーターによって動力供給される。

0100

ローター40は、複数の前処理管41のためのレセプタクルを含む。分配管42及び吸引管43は、前処理管の貫通可能な上端キャップを貫通することによって、前処理管41中に挿入される。分配管42及び吸引管43は、図5に示されるように、いくつかの異なる構成に従って、例えば、同心円状に、又は並行/隣接構成で、提供され得る。分配管及び吸引管、又は同時前処理のための複数の前処理管の場合には複数の分配管及び吸引管は、回転ユニオン45に流体接続されたマニホルド44で終わる。回転ユニオン45は、ローター回転の、固定にあるそれぞれ入口管46及び出口管47への分配路及び吸引路の間の流体接続を可能にするために提供される。このような回転ユニオンは、市販されており、本明細書に開示される回転速度のために設計され得る。

0101

入口管46及び出口管47は、それぞれ分配流体供給源及び廃棄物貯蔵容器に接続され得、これら各々に、独立して流体を分配及び吸引するための分配機構(例えば、蠕動ポンプ又はシリンジポンプ)が提供される。ボルテックス、分配及び吸引の動作は、手動様式の代わりに自動化様式で、図1(a)〜(m)に概説されるステップの1つ以上に従って、予めプログラムされた処理プロトコールに従って、デバイスによって独立して制御され得る。ボルテックスは、例えば、回転速度、回転の停止/開始サイクル、迅速な互い違いの回転方向サイクル、及びローター40の他の適切な動きを変動させることによって、達成され得る。代替的に、振動機構が、沈降物を再懸濁するために必要な力を適用し、記載される前処理プロセスによって必要とされる場合には流体を混合するために、停止中のローターに適用され得るか、又はローター上に場所決めされ得る。例えば、遠心管は、モーター付き軌道機構によって直接ボルテックスされ得る。代替的に、圧電駆動型振動器、又はモーター及びその回転シャフト上の偏心質量を含むモーター付き振動器が、これに関して使用され得る。沈降ステップの後、沈降した微生物細胞の撹乱を防止し、緩衝用液体又は微生物細胞の吸引を回避するように配置された吸引管によって、緩衝用液体及び細胞が沈降領域中に保持される速度でローター40が回転しながら、吸引が実施され得る。吸引管の適切な配置によって、洗浄効率を次に増加させ得る小さい残留流体体積が達成され得る。例えば、100μl、50μl又は25μlの残留体積が達成され得る。例えば、図5(b)は、吸引がローター回転の間に発生する場合に、沈降した細胞及び緩衝用流体を撹乱することなしに達成され得る吸引管配置48及び残留流体体積49を示す。

0102

前処理プロトコールは、以下の様式で、自動化遠心分離洗浄器によって実施され得る。図1を参照すると、サンプル挿入ステップ(b)は手動で実施され得、そうして準備された前処理管は、遠心分離洗浄器中に配置される。分配管及び吸引管は、上記のように前処理管中に挿入され、マニホルド接続が形成される。遠心分離洗浄器は、サンプル前処理及び洗浄動作を実施するために、図1(c)〜(l)のステップと類似したその後の一連のボルテックス、遠心分離、吸引及び分配のステップについて望ましいパラメーターに従って、予めプログラミング及び操作される。図1(c)〜(l)に示されるステップのいくつか又は全ては、前処理管を再度方向合わせすることなしに自動化され得ることを理解すべきである。次いで、前処理管は、遠心分離洗浄器から取り出され、図1(m)の吸引ステップが手動で実施される。

0103

図5(c)に示すように、遠心分離機構270及び液体分配機構280は、本明細書に開示されるサンプル前処理方法に従って液体分配機構及び遠心分離機構の動作を制御するための、制御及び処理ユニット225に接続され得る、又は接続可能であり得る。制御及び処理ユニット225は、コンピューター又は処理ハードウェア、例えば1つ以上のプロセッサ230(例えば、CPU/マイクロプロセッサ)、バス232、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はリードオンリーメモリ(ROM)を含み得るメモリ235、1つ以上の内部記憶デバイス240(例えば、ハードディスクドライブコンパクトディスクドライブ又は内部フラッシュメモリ)、パワーサプライ245、1つより多い通信インターフェイス250、外部記憶255、ディスプレイ260並びに種々のインプット/アウトプットデバイス及び/又はインターフェイス255を含み得る。

0104

各構成要素のうち1つだけが図5(c)中に示されるが、任意の数の各構成要素が、制御及び処理ユニット225中に含まれ得る。例えば、コンピューターは、典型的には、いくつかの異なるデータ記憶媒体を含む。さらに、バス232は、全ての構成要素間の単一の接続として示されるが、バス232は、2つ以上の構成要素を連結する1つ以上の回路、デバイス又は通信チャネルを示し得ることが理解される。例えば、パーソナルコンピューターでは、バス232は、マザーボードを含むか又はマザーボードである場合が多い。

0105

一実施形態では、制御及び処理ユニット225は、汎用コンピューター若しくは任意の他のハードウェア等価物であり得る、又はこれらを含み得る。制御及び処理ユニット225は、1つ以上の通信チャネル又はインターフェイスを介してプロセッサ230に連結された1つ以上の物理的デバイスとしても実装され得る。例えば、制御及び処理ユニット225は、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実装され得る。代替的に、制御及び処理ユニット225は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実装され得、このとき、ソフトウェアは、メモリからプロセッサ中に、又はネットワーク接続を通じてロードされる。

0106

制御及び処理ユニット225は、プロセッサ中で実行された場合に本開示中に記載された1つ以上の方法をシステムに実施させる指示のセットを用いてプログラミングされ得る。制御及び処理ユニット225は、示されるものよりも多い又は少ない構成要素を含み得る。

0107

図6(a)〜(e)は、前処理プロセスのいくつかのステップの自動化を可能にする代替的デバイスを示す。図6(a)は、向流遠心水簸の原理に従って操作される水簸デバイス300を描写する。この水簸デバイスは、インレット管301、流体フローの方向で開口する円錐形収集チャンバ302、並びに出口円錐303及びアウトレット管304からなる。この水簸デバイスは、遠心力305又はその十分な成分が水簸デバイスの軸に沿って方向付けられるように、遠心分離機のローター中に配置され、回転される。流体懸濁物は、収集チャンバ302を介してインレット管301から流れ、アウトレット管304を介して出て、このデバイスを通過する。収集チャンバを通過しながら、チャンバアウトレット304を介して流体が外側に流れる際に、所定の大きさ未満の沈降係数を有する粒子が収集チャンバから流れ出るのを防止するように、粒子は、フロー方向と対抗する遠心力に供される。収集チャンバ内の収集ゾーン306は、その両方が位置によって変動し、適切なチャンバ寸法及び遠心分離動作速度を選択することによって予め決定され得る遠心力及びフロー速度に依存する。

0108

本開示の文脈では、図1(a)〜(c)の初期前処理ステップは、別々の前処理容器中で完了され、前処理流体/サンプル混合物は、上記のように水簸デバイスを通過する。それによって、細胞は、前処理流体混合物の全体積がチャンバを通過する間、収集チャンバ中に懸濁されたままである。さらなる体積の洗浄緩衝液が、前処理流体を置き換え、清澄化細胞懸濁物を生成するように、このチャンバを通過し、こうして、その後のサンプル処理にとって有害であり得る任意の混入物を排除する。この実施形態では、緩衝用液体の存在は、遠心分離プロセスを通じて細胞が懸濁して保持される場合には必要とされず、従って、チャンバ表面上での捕捉又は吸着に起因する細胞の喪失は発生しない。最終的な前処理された細胞懸濁物は、遠心分離速度を低下させ、及び/又は流速を増加させ、それによって、細胞懸濁物がアウトレット管304を介して前処理サンプル収集デバイスへと出ていくことを可能にすることによって取得される。代替的に、この細胞懸濁物は、流れを逆転させ、遠心分離の回転を停止させる間又は停止させた後のいずれかに、インレット管301を介してチャンバから流体を取り出すことによって、取り出され得る。

0109

元のサンプルよりも小さい流体体積中に細胞を濃縮することもまた一般に必要であるので、水簸チャンバは、所望の前処理サンプル体積中への懸濁された細胞の抽出を可能にするのに適切なサイズのものであるべきである。従って、水簸チャンバの体積は、最終サンプルと類似のサイズであり得る。例えば、本明細書の例において使用される前処理流体/サンプル体積は、およそ1.5mlであり、好ましい最終的な清澄化細胞懸濁物の体積は、いくつかの適用のためにはおよそ50μlである。およそ50μlの体積及び典型的な卓上遠心分離機パラメーターを有する典型的な水簸チャンバ形状について、水簸流速は、総水簸時間がおよそ30分間の処理時間になる、およそ1μl/秒に限定される。この処理時間は、濃縮された前処理流体/サンプル体積を取得するために、図1のステップ(a)〜(f)を最初に実施し、その後ステップ(l)及び(m)を実施し、低減された体積を有する流れ水簸デバイスにおいて洗浄ステップを実施することによって、実質的に低減され得る。

0110

図6(a)の水簸デバイスと機能において類似しているが、いくつかの態様において異なる代替的前処理デバイス310が、図6(b)に示される。この場合、水簸チャンバは、閉鎖底部311を有し、インレット管312は、流入してくる流体が、管の底部に近いがそこから所定の距離離れて分配されるように、アウトレット管313を介して挿入される。流出していく流体は、インレット管及びアウトレット管によって創出された輪状アウトレット314から流れる。このデバイスの動作は、上記水簸デバイスの動作と類似であるが、その設計は、デバイスの一端からのチャンバインレット及びアウトレットの両方へのアクセスを可能にする。水簸チャンバ320が遠心管321に不可欠であり、水簸チャンバアウトレット管322が隔離された廃棄物チャンバ324へと出ていく関連の実施形態が、図6(c)に示される。類似の実施形態が、図6(a)のフロースルー実施形態について想定され得る。廃棄物チャンバは、外部廃棄物流路の混入を防止し、潜在的に有害なサンプル流体の安全な操作及び処分のために有利なデバイス内に、全ての流体廃棄物を保持する。この実施形態のために、操作の間の流体フローと反対方向でインレット管323を介してチャンバから流体を引き出すことによって、細胞懸濁物を取り出すことが好ましい。アウトレット管322は、洗浄が完了する場合に主流の条件下で、廃棄物流体の表面を越えて延び、清澄化細胞懸濁物が水簸チャンバから取り出される。

0111

図6(d)に示すような、遠心管である第1の部品330、並びに水簸出口円錐332、インレット管333、アウトレット管334及び廃棄物チャンバ335を含む第2の部品331からなる2部品デバイスへと図6(c)の概念拡張するさらなる実施形態が、図6(d)及び6(e)に示される。第2の部品331の本体は、円柱形外表面336を有し、第1の部品の円柱形部分340中に挿入可能であり、図6(e)に示されるように、第2の部品の底部部分336が第1の部品の底部部分341と係合するまで、前記第1の部品中に押し込まれ得る。第2の部品の底部部分の最遠部は、第1の部品と第2の部品との間の密封が得られ、従って、インレット管333及びアウトレット管334を有する隔離されたチャンバ345を形成するように、第2の部品の底部部分の最遠部が第1の部品の底部部分と密接に据え付けられるように形成される。変形可能な部分又は材料、例えばゴムガスケットが、適切な密封を提供するために、第2の部品の最遠部337において提供され得る。

0112

緩衝用流体を含む前処理流体/サンプル混合物342は、最初に第1の部品330中に分配され、微生物細胞が、管の底部尖部において緩衝用流体346の表面及び外縁上に沈降するように、遠心分離に供される。任意選択で、第1の部品330は、以前に記載したように、所定体積の血液溶解試薬及び緩衝用液体を含み、サンプルが挿入され、その後混合物を提供し、血球の溶解をもたらすように混合され、引き続いて遠心分離に供される。

0113

微生物細胞の沈降後、第2の部品331は、図6(e)に示されるように、そうして置き換えられた上清がアウトレット管を介して廃棄物チャンバ中へと流れさせるために十分ゆっくり、第1の部品330の底部中に挿入され、この底部に向けて押されて、部品の係合された位置を生じる。このように、上清347の大きい部分がチャンバ345から分離され、洗浄ステップが、より小さいチャンバ体積内で進行し得る。従って、洗浄機能は、洗浄流体をインレット管を介してチャンバ中に流しながら、係合した管アセンブリを回転させることによって進行し得る。チャンバの底部において緩衝用液体上に沈降した細胞は、流入する流れによって撹乱され得るが、制御された流速に起因する細胞に対するフロー誘導された力を超える遠心力に起因して、チャンバ中に保持される。洗浄流体は、前処理流体及び非沈降粒子を置き換えて、チャンバ中にきれいな流体を生成する。

0114

洗浄効率を改善するために、チャンバ中の流体は、チャンバ壁に付着し得る粒状物を再懸濁し、相対的停滞流体ゾーンを希釈するために、断続的に振動又はボルテックスによって混合され得る。さらに、洗浄流体の密度は、チャンバからの前処理流体/サンプル混合物のより有効な置き換えを提供するために、例えばトレハロースの添加によって、前処理流体/サンプル混合物の密度を超えるレベルまで増加され得る。図6(f)は、デバイスの操作前に第1の部品350中に第2の部品331が挿入された代替的一実施形態を示す。任意選択で、インレット管333は、管の上端における貫通可能な膜351を介して挿入される別々のデバイスであり得る。インレット管333は、任意選択で、サンプル又は前処理流体/サンプル混合物を管中に挿入するためにも使用され得る。

0115

サンプル前処理と下流の分子処理との一体化
いくつかの実施形態では、先行する実施形態は、微生物細胞の初期抽出及び濃縮のために使用され得、その後に、逆転写-PCR(RT-PCR)(相補的DNA(cDNA)へのrRNAの逆転写と、その後のPCRによるcDNAの増幅及び検出)を使用して微生物細胞を同定するための下流の方法が続く。cDNAの増幅は、任意選択で、ゲノムDNAの増幅と同時に又は連続的に実施され得、このとき、cDNA及びgDNAは、微生物細胞の異なる遺伝子型分類群を同定するために使用される。gDNAは、rRNAと同じ溶解物から取得され得る。

0116

本開示の実施形態に従って同定され得る微生物細胞には、細菌及び真菌が含まれる。いくつかの実施形態では、微生物細胞由来のrRNAが放出され、逆転写ステップがcDNAを取得するために実施され、このとき、このcDNAは、第1の遺伝子型分類群レベルを示し、このcDNAは、存在する場合、微生物細胞の第1の遺伝子型分類群レベルを同定するために、引き続いて増幅及び検出される。同時に又は連続して、微生物細胞から放出されたgDNAの増幅及び検出は、第2のレベルの微生物細胞の第2の遺伝子型分類群を同定するために使用され、このとき、この第2のレベルは、第1のレベルよりも低いレベルである。別の一実施形態では、mRNAが、微生物同定のための標的として使用され得、逆転写ステップがcDNAを取得するために使用され、このcDNAは、存在する場合、微生物細胞の第2の遺伝子型分類群レベルを同定するために、引き続いて増幅及び検出される。この実施形態は、微生物の生存度についての情報が望まれる場合に好まれる場合がある。当業界公知のように、微生物のmRNA含量は、細胞死後に低下する。

0117

電気的処理、rRNAの逆転写、PCR及びアンプリコン検出を実施するための例示的モジュールが、図7(a)中に模式的に提示される。電気チャネル52は、流体サンプル及び他の流体がそこを通って導入され得るインレットポート51を含む。電気チャネル52は、下流の加熱チャンバ54と流体連絡したアウトレットポート53もまた含み、この加熱チャンバ54において、rRNA及びPCRの逆転写が実施され得る。電気チャネル52に沿った流れは、インレットポート51とアウトレットポート53との間の圧力差によって提供される。

0118

このデバイスは、ポート51及び53を開口及び閉鎖させるための弁などの、さらなる流体特徴を含み得る。例えば、弁57及び58が、任意選択で、電気チャネル52のインレットポート51及びアウトレットポート53において提供され得、弁59が、任意選択で、加熱チャンバ54のアウトレットにおいて提供される。弁57、58及び59は、ピンチ弁ボール弁ディスク弁プラグ弁が含まれるがこれらに限定されない、マイクロ流体チャネルと適合性の任意の適切な弁調節機構を使用し得る。弁57及び58は、電気的溶解及び処理の間の液体の蒸発を制御することを助けるため、並びに電場及び熱的効果への流体の曝露を制御するために、提供され得る。例えば、弁57及び58は、十分に高い温度が、十分な及び/又は効率的な電気的溶解のために達成されることを確実にすることにおいて、有用であり得る(例えば、ある種の生物、例えば真菌は、効率的な溶解のために、より高い温度及び/又は温度変化速度を必要とし得る)。

0119

ここで図7(b)を参照すると、図7(a)の電気チャンバ52の横断面A-Aが、電気チャンバに電圧パルスを適用するための回路と共に示される。処理されたサンプルの電気的処理は、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2012年7月25日出願の同時係属中のPCT出願番号PCT/CA2012/000698、表題「METHODS AND DEVICESFOR ELECTRICAL SAMPLE PREPARATION」中に開示される方法に従って実施され得る。このデバイスは、上端プレート61、上部電極63によって一方の側上に規定され、基部プレート62及び下部電極64によって反対側上に規定される、薄いチャネルを含む。上部部分及び下部部分は、チャネル空洞を形成するために材料が除去された薄いスペーサーによって分離される。このスペーサーは、適用される締め付け圧の下で僅かに変形可能であり得る、又はチャネル空洞の上部表面及び下部表面に結合される、誘電性材料から製造され得る。従って、このスペーサーは、チャネルの側壁を規定し、流体密封を提供し、互いから上端電極及び底部電極を電気的に絶縁する。

0120

下部電極64及び上部電極63は、下部及び上部の電気的に絶縁性の層によって、基部プレート及び上端プレート(基材)から電気的に隔離される。熱的要件に従って、電気的に絶縁性の材料とは別々であり得る又は電気的に絶縁性の材料の適切な選択であり得る、熱絶縁層もまた提供され得る。このチャネルは、以下の例において試験のために使用した1つの例示的な実行では0.2×6.4×15mm3であった、寸法H×W×Lを有する。2つの電極63及び64は、イオン電流の確立を生じる、チャネルを横断する電場を誘導するために意図される。

0121

PCT出願番号PCT/CA2012/000698に開示される方法によれば、適切な振幅の適用は、2つの電極上の外部電圧供給源68による電気パルス列モジュレートし、電気チャンバ中に電場を確立する。電場は、イオン電流及び液体のジュール加熱を生じる。電気パルス列の持続時間、及び結果として付随するジュール加熱は短時間であるので、加熱のこの機構は、急速加熱として公知である。細胞に対して作用する電場と液体の急速加熱とを組み合わせた効果により、微生物細胞の溶解が起こり、タンパク質及び核酸などの細胞内分子が細胞から放出される。この溶解プロセスは、微生物の細胞膜不可逆的に透過性にし、細胞の中及び外における分子交換を容易に支持する。

0122

チャネルの熱特性は、多くの異なるチャネルパラメーターに依存する。例えば、チャネルの伝導率及び熱容量は、金属電極の形状及び/又は厚さに従って制御され得る。ほとんどの電極は、高い熱伝導率を有するが、チャネルの熱特性は、適切な熱容量及びその上に電極が支持される適切な(例えば、熱的に絶縁性の)基材を提供するために、適切な電極厚さを選択することによって、誂えられ得る。

0123

従って、チャネル電極のうち1つ以上は、電気的処理後の迅速な冷却を促進するために、チャネル中の流体の総体積に対して高い熱伝導率及び/又は高い熱容量を有する金属箔又はコーティングとして提供され得るが、同時に、電圧パルス適用中に急速加熱がチャネル内での迅速な温度上昇(例えば、およそ250℃/秒よりも速い温度上昇)を生じ得るように、十分に小さい熱容量を提供する。

0124

一般的に言えば、以下の範囲が、微生物細胞の電気的処理のために使用され得る。電圧パルス適用によって生じるチャネル内の電場強度は、処理される細胞の型及び望まれる電気的処理の程度に依存して、およそ200V/cm微生物の溶解及び放出された核酸に対して診断試験を実施するために溶解物を使用するために、好まれ得る。

0125

異なる例示的実行によって、個々の電圧パルスのパルス幅は、処理される細胞の型及び望まれる電気的処理の程度に依存して、およそ1μsミリ秒の間の範囲であり得る。およそtp<1ミリ秒の範囲が、ブロッキング電極の場合には誘電性コーティングの電気的分解を回避するため、非ブロッキング電極の場合には電気化学的生成物蓄積を最小化するために、好まれ得る。およそtp>10μsの範囲が、駆動エレクトロニクスの高い周波数要求を低下させるために好まれる。

0126

他の例示的実行によれば、電圧パルスが適用される持続時間は、処理される細胞の型及び望まれる電気的処理の程度に依存して、約5秒未満であり得る。いくつかの場合、例えば、標的巨大分子の熱誘導された分解を最小化し、駆動エレクトロニクスの電力要求を減少させるために、電気的処理のための有効な持続時間は、約100ミリ秒未満であり得る。

0127

他の例示的実行によれば、細胞含有液体のイオン強度は、処理される初期サンプルのイオン組成及び望まれる電気的処理の程度に依存して、およそ0.1mM濾過が使用され流体交換が可能になるいくつかの場合、イオン強度についてのより適切な範囲は、およそ0.1mM

0128

他の例示的実行によれば、電圧パルス適用中のチャネル内の液体のピーク温度は、処理される細胞の型及び望まれる電気的処理の程度に依存して、およそ30℃微生物の溶解及び放出された核酸に対して診断試験を実施するために溶解物を使用することなどのいくつかの適用では、およそ80℃温度範囲が好まれ得る。

0129

電気的処理のための液体の加熱速度は、処理される細胞の型及び望まれる電気的処理の程度に依存して、およそ250℃/秒よりも速くてもよい。グラム陽性細菌、真菌及び胞子の溶解などのいくつかの場合、適切な範囲は、約2000℃/秒よりも速い速度を含み得る。

0130

電気的処理後の液体の冷却時間は、標的巨大分子の熱感度に依存して、およそ1秒未満であり得る。標的巨大分子が特に高感度である場合などのいくつかの場合、好ましい範囲は、約100ミリ秒を下回る時間を含み得る。

0131

細胞の巨大分子内容物は、電場のスイッチオンと液体の冷却との間の期間に、変形を受け得る。「E-処理」と呼ばれるこのプロセスは、rRNA及びgDNAなどの核酸を、酵素に対してよりアクセス可能にし、従って、次の核酸の逆転写及び増幅プロセスの効率を改善し得る。さらに、E-処理は、微生物細胞から放出される又は残留血球デブリからチャネル中に残された酵素のほとんどを不活性化する際に有効であり得る。従って、その後のプロセスにおけるそのような酵素の有害な阻害作用が最小化され得る。トランスクリプターゼ及び/又はポリメラーゼ活性を妨害する他の阻害薬もまた、E-処理を介して、あまり有効でなくされ得るか、又は良性にされ得る。

0132

図7(a)を再度参照すると、1つの例示的実行によれば、加熱チャンバ54は、rRNAの逆転写とその後のPCR(例えば、1ステップRT-PCR)とを実施するために、提供される。RT-PCRマスターミックスは、液体形態で導入され得るか、又はサンプルの導入前に乾燥形式でチャンバ中に存在し得る。処理されたサンプルの加熱チャンバ54中への導入及びRT-PCRマスターミックスとの混合の後、得られた混合物は、rRNAの逆転写を実施するためにインキュベートされ、PCRを実施するために熱的にサイクルされる。1つの例示的実施形態では、加熱及び冷却の操作は、Peltierデバイス上にデバイスを配置することによって提供され得る。他の実施形態では、加熱は、電気抵抗接触ヒーター、放射加熱又は対流ヒーターによって提供され得、冷却は、循環流体強制空気流及び他の適切な方法によって提供され得る。

0133

この例示的実行によれば、rRNAの核酸配列は、相補的DNA(cDNA)へと逆転写される。逆転写のための試薬は典型的に、逆転写酵素デオキシヌクレオチド三リン酸混合物(dNTPs)、マグネシウム又はマンガン補因子を有する適切な緩衝液、及び任意選択でRNase阻害薬を含む。逆転写は、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV)逆転写、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写及び高度好熱菌(Thermus thermophilus)(Tth)DNAポリメラーゼなどの、当業界公知の任意のRNA依存性DNAポリメラーゼ酵素であり得る。

0134

プライマーは、非特異的ランダムプライマー又は遺伝子特異的プライマーであり得る。いくつかの実施形態では、500塩基以下の核酸配列が、遺伝子特異的プライマーを使用して、cDNAに逆転写される。特異的プライマーは、プライマーセット又は縮重プライマーであり得る。1種以上の微生物の1つ以上の標的核酸配列が、同時に逆転写される。

0135

一実施形態では、それぞれグラム陽性グラム陰性及び真菌のrRNAを標的化する3つのセットのプライマーが、同時に使用される(多重化される)。逆転写は、酵素及びプライマーアニーリング温度に依存して、適切な温度で起こる(例えば、10分間以下にわたって)。さらに、反応混合物は、TaqDNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド三リン酸混合物(dNTPs)を含む、PCRを実施するための成分を含み得る。任意選択で、RNase阻害薬、ホットスタートのためのTaqDNAポリメラーゼ抗体、PCR阻害薬を阻害するためのアジュバント(例えば、ウシ血清アルブミン)又はPCR性能を増強するためのアジュバント(例えば、ベタイン)が含められ得る。

0136

PCRサイクルは、第1段階からの逆転写酵素を不活性化するため、及びPCRのためにDNAポリメラーゼを活性化するための、2〜5分間にわたる94〜98℃での初期インキュベーションと、その後の2ステップ又は3ステップの熱サイクリングとを含み得る。加熱チャンバは、1種以上の特異的プライマーセット又は縮重プライマーを含み得る。プライマーに加えて、PCR試薬の1つ以上の構成要素もまた、フリーズドライ試薬又は適切な安定剤を使用する周囲温度乾燥試薬などの乾燥形式で、チャンバ中に提供され得る。

0137

図7(a)に示される例示的実行では、PCRの間に生成されたアンプリコンの多重化検出を実施するために、加熱チャンバ54の内容物が、チャネル55を介して複数のウェル56中に移行される。各ウェルは、任意選択で乾燥形式で、適切な核酸検出試薬で予め充填され得る。従って、空間的に多重化された検出が実施され得る。一実施形態では、空間的に多重化された検出は、シグナル生成のために分子ビーコンを使用して実施され得る。他の実施形態では、多重化検出は、二本鎖DNA色素で染色されたアンプリコンの融解曲線分析、又は異なる発光波長を有するフルオロフォアを使用することによって、実施され得る。

0138

一実施形態では、この検出は、分子ビーコンを使用して実施される。分子ビーコンは、ステム-ループ構造を有し、そのループ部分は、一本鎖DNA標的に対して相補的であるが、ステムは、2つの相補的アーム配列由来の6〜8ヌクレオチドによって形成される。フルオロフォア(例えばフルオレセイン(6-FAM)であるがこれに限定されない)は、一方のアーム末端に結合され、消光剤(例えばダブシルスクシンイミジル(succinimidul)エステルであるがこれに限定されない)は、他方のアームに結合される。特異的標的の非存在下では、分子ビーコンは、「暗黒」状態のままである。特異的標的の存在下では、フルオロフォア及び消光剤は分離され、適切なスペクトルを有する光による励起から生じる蛍光発光が、光学系によって検出され得る。好ましい一実施形態では、励起及び検出は、LED光源を利用し得る落射蛍光顕微鏡対物レンズを使用して実施される。いくつかの実施形態では、この分子ビーコンは、溶液中で又は乾燥形式で、ウェル56中に貯蔵され得る。

0139

1つの例示的実行によれば、全ての細菌16SrRNA遺伝子を検出するためのプライマー対は、標的細菌種の高頻度可変性領域(参照として大腸菌O104:H4 str. 2011C-3493を使用し、ヌクレオチド504〜697)を標的化する、CGGCTAACTCCGTGCCAGCAG(配列番号1)及びATCTCTACGCATTTCACCGCTACAC(配列番号2)であり得る。標的真菌種を検出するためのプライマー対は、真核生物18SrRNAの可変性領域(参照としてカンジダ・アルビカンスAB013586を使用し、ヌクレオチド436〜622)を標的化する、AGGGGGAGGTAGTGACAATAAAT(配列番号3)及びCAAAGTTCAACTACGAGCTT(配列番号4)であり得る。これらの分子ビーコンは、目的の病原体間を識別するために、この増幅された領域内の特異的ヌクレオチドパターンを同定するために、引き続いて使用され得る。例えば、標的グラム陰性種を検出するために設計された分子ビーコンは、全てのグラム陰性細菌において保存された16S rRNA遺伝子の領域(参照として大腸菌O104:H4 str. 2011C-3493を使用し、ヌクレオチド541〜569)を標的化する、6-FAM-5'-CCGAGCGGTGCAAGCGTTAATCGGAATTACTGGGCGCTCGG-3'-ダブシル(配列番号5)であり得る。代替的に、標的真菌病原体を検出するために設計された分子ビーコンは、全ての真菌において保存された18S rRNA遺伝子の領域(参照としてカンジダ・アルビカンスAB013586を使用し、ヌクレオチド539〜564)を標的化する、6-FAM-5'-CCGAGCTCTGGTGCCAGCAGCCGCGGTAATTCGCTCGG-3'-ダブシル(配列番号6)であり得る。この戦略を使用して、標的の細菌及び真菌の血液病原体は、少数のプライマー対及び数種の分子ビーコンを使用して同定され得る。これらの分子ビーコンは、最終的に多重化されてもよく、単一チャンバ中での複数の細菌病原体及び/又は真菌病原体の同定を可能にする。

0140

別の例示的な一実施形態では、微生物細胞は、2ステップRT-PCRによって同定され得る。図7(a)中の加熱チャンバ54は、rRNAの逆転写を実施するために提供される。RT-PCRマスターミックスは、液体形態で導入され得るか、又はサンプルの導入前に乾燥形式でチャンバ中に存在し得る。処理されたサンプルの加熱チャンバ54中への導入及びRT-PCRマスターミックスとの混合の後、得られた混合物は、rRNAの逆転写を実施するためにインキュベートされる。標的の多重化検出を実施するために、PCRに必要とされるcDNA及びマスターミックスを含む加熱チャンバ54の内容物が、チャネル55を介して複数のウェル56中に移行される。各ウェルは、任意選択で乾燥形式で、適切な特異的プライマーセットで予め充填され得る。二本鎖DNA色素などの核酸検出試薬は、RT-PCRマスターミックス中に提供され得、空間的に多重化された検出が、検出ウェル56においてリアルタイムPCRによって実施され得る。

0141

別の例示的な一実施形態では、図7(a)中の加熱チャンバ54は、液体形態で導入され得るか又はサンプルの導入前に乾燥形式でチャンバ中に存在し得るRT-PCRマスターミックスの導入のために提供され得る。処理されたサンプルの加熱チャンバ54中への導入及びRT-PCRマスターミックスとの混合の後、得られた混合物は、この混合物の適切な混合を確実にするためにインキュベートされる。この例示的実施形態では、微生物細胞は、リアルタイム1ステップRT-PCRによって同定され得る。標的の多重化検出を実施するために、RT-PCRに必要とされる細胞溶解物及びマスターミックスを含む加熱チャンバ54の内容物が、チャネル55を介して複数のウェル56中に移行される。各ウェルは、任意選択で乾燥形式で、適切な特異的プライマーセットで予め充填され得る。二本鎖DNA色素などの核酸検出試薬は、RT-PCRマスターミックス中に提供され得、空間的に多重化された検出が、リアルタイム1ステップRT-PCRによって実施され得る。ここで図8を参照すると、一実施形態(例えば、分子ビーコンを使用するシグナル検出が後に続くRT-PCRを使用する)に従う微生物の分類及び/又は同定を実施する例示的な方法を示すフローチャートが提供される。ステップ10において、サンプル前処理が、先行する実施形態に従って実施される。その結果は、その後のサンプル処理ステップ及び核酸増幅ステップに適切な所望の組成を有する液体中の細胞懸濁物である。サンプル前処理ステップは、感染した患者からサンプルを採取する間に導入され得る死んだ微生物由来DNA断片の存在を実質的に低減又は排除するためにも有用であり得る。

0142

微生物細胞が溶解され、細胞内rRNA及びゲノムDNAが外部酵素作用のためにアクセス可能になる電気的処理は、上記のようにステップ11において実施される。このステップにおける電気的処理は、その後の増幅及び検出にとって阻害的な酵素又は因子の影響を不活性化又は低減させることもできる。ステップ12において、前処理され溶解されたサンプルが、加熱チャンバ中で適切なマスターミックスと混合され、rRNAの標的化された領域が、対応するcDNAへと逆転写される。このマスターミックスは、ステップ13に示されるように、cDNA、又はgDNAの特異的領域に対するPCR増幅のサイクルを実施するための構成要素を含む。

0143

開示される方法及び実施形態において、3つの先行するステップ、即ち11、12及び13が、標的分子の数における喪失を防止又は低減させるために、単一デバイスにおいて流体配列で実施され得る。このような喪失は、サンプルの抽出及び/又は調製のために一般に使用される方法における、液体の交換及び移動に関連する。従って、効率的なサンプル前処理ステップ10に沿った本発明の方法のこの態様は、サンプル中の数個の微生物細胞まで検出限界を下げることを潜在的に可能にする。

0144

gDNAとは反対に、一次様式の検出としてrRNAに基づくアッセイを実施することは、2つの理由のために増強された感度を提供し得る。第1に、rRNAは、gDNAほど安定ではなく、従って、外来rRNAは、主要な混入構成要素として加熱チャンバ中に導入されるかなり小さい機会を有する。第2に、単一細胞についてさえ、ステップ11の電気的処理後に利用可能になるrRNA分子の数は、104の範囲内であり、これは一般に、本明細書に開示される方法によれば、混入物背景分子の量を超える。

0145

ステップ13の完了後、液体は、各ウェルが統計的に有意な数の標的分子を受容するような様式で、複数のアリコートに分割される及び複数のウェル中に送達されるのに十分なcDNA及び/又はアンプリコンを含む。

0146

直接サンプルの処理に基づく抗微生物治療の迅速な段階的縮小のための試験パネル
いくつかの実施形態では、rRNA試験のパネルが、1種以上の広域スペクトルの抗生物質から1種以上の狭域スペクトルの抗生物質への抗生物質治療の迅速な段階的縮小を可能にするために選択され得る。狭域スペクトルの抗微生物薬物を使用することは、費用低減の観点から利益を提供するだけでなく、薬物耐性微生物の重複感染及び発生などの有害作用の可能性もまた制限する。上記のように、この実施形態は、医療専門家意思決定プロセスを改善し得、より早い時点で狭域スペクトルの抗微生物薬物を医療専門家が投与することを助け得る、感染性因子の迅速な検出及び/又は同定を可能にする。これは、耐性の発生を予防し得、毒性を低減させ得、医療費用を実質的に低減させ得る。

0147

Septifastシステムなどの包括的な種レベルの試験パネルに基づく、種レベルにおける生物の標的化された同定に焦点を当てた公知の分子方法とは異なり、本明細書に記載される選択された実施形態は、全ての予測された病原体について完全な種及び/又は属レベルの同定を提供する必要なしに、抗微生物治療の迅速な段階的縮小のための十分な情報を提供する。多くの生物は、一般的な狭域スペクトルの抗生物質に応答するので、本明細書に記載された低減されたパネルは、抗微生物処置の有効で迅速な再方向転換に適切であり、その結果、この試験パネルは、予測された病原体の各々及び全ての属及び/又は種を同定する必要がなく、その代り、その存在又は非存在が抗微生物治療に影響を与え、適切な狭域スペクトルの抗生物質の選択を導く生物又は生物の群を同定する必要があるだけである。本明細書に提供される実施形態の多くにおいて、試験パネルは、属又は種レベルに限定されないが、その代りに界、グラム状況、属及び種レベルにおけるrRNA試験結果の組み合わせを含む情報を提供するために、選択される。

0148

従って、いくつかの実施形態では、抗微生物治療の迅速な段階的縮小のための試験パネルは、最低でも以下を含む:
(a)生物が細菌であるか真菌生物であるかを決定するための、界レベルにおける1つ以上の一次rRNA試験、
(b)細菌である場合、生物のグラム状況を同定するための、1つ以上の二次試験、並びに
(c)生物の少なくとも1つの属又は種を同定するための、真菌、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の各々についての1つ以上の三次rRNA試験であって、この三次試験の結果は、適切な狭域スペクトルの抗生物質を選択するのに適切である。

0149

いくつかの実施形態では、rRNA三次試験のうち1つ以上は、株レベルの試験によって置き換え及び/又は補強が可能であり、この株レベルの試験は、選択された株の同定に適切なgDNA試験であり得る。

0150

このような試験パネルは、特に富化又は培養の前に直接非富化サンプルに対して試験が実施される場合、広域スペクトルの抗生物質から狭域スペクトルの抗生物質への抗微生物治療を迅速に段階的縮小するのに十分であることが見出されている。

0151

種又は属レベルにおける1つ以上の三次試験の選択は、いくつかの要因、例えば、耐性記録性質及び適切な抗生物質の入手可能性に依存する。試験パネルの非限定的な例は、以下に記載される。例えば、グラム陰性細菌について適切な属又は種レベルの三次試験は、病原体有病率における変化、抗生物質耐性における変化、及び/又は新たな抗生物質の入手可能性に起因して、経時的に変化し得る。

0152

いくつかの実施形態では、低減された試験パネルは、入手可能な抗生物質を、最も高いレベルの病原体分類群と関連する情報に対してマッピングすることによって選択され、この試験パネルは、これらの最も高いレベルについての試験を含むように選択される。例えば、試験パネルは、グラム陽性、グラム陰性又は真菌のうち1つに対して真陽性なサンプルを単離するための、高いレベルの3つの多重試験を含み得る。これは、上述のように、他の全ての排除のために、全てのグラム陽性細菌に属するリボソームの特定の領域を単離することによって達成され得、例えば、真のグラム陽性サンプルを同定することが可能になる。この同じ手順が他の全ての排除のために全てのグラム陰性細菌について反復される場合、真のグラム陰性サンプルを同定することが可能になる。第3の試験は、真の真菌サンプルを単離及び同定する。

0153

この低減原理は、抗微生物治療を段階的に縮小するために必要とされる試験のセットを決定するために、階層的形式(例えば、決定樹又はフローチャート)で反復され得る。これは、抗微生物薬の再方向転換に適した試験のサブセットまで、全ての可能な生物についての非常に多数の試験を効率的に低減させる。

0154

例えば、適切な試験パネルは、細菌対真菌生物についての界ベースの一次試験、グラム状況二次試験、及び連鎖球菌(Streptococcus)の属についての三次試験、並びにさらなる種レベルの三次試験を含み得るが、但し、種レベルの試験は、さらなる抗微生物薬の段階的縮小を可能にする。例えば、肺炎連鎖球菌についての種レベルの三次試験は、現在入手可能な抗生物質に基づいた、さらなる段階的縮小を可能にする。

0155

別の例では、適切な三次試験は、ブドウ球菌(Staphylococcus)の属についてのものであり得、この試験パネルは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の種についてのさらなる種レベルの三次試験を含み得る。これらの三次試験の両方について陽性のサンプル試験は、黄色ブドウ球菌を含むと考えられ、医師は、引き続いて、潜在的なメチシリン耐性気づきに起因して、抗生物質治療をバンコマイシン(Vancomyacin)及びオキサシリンに段階的に縮小することを決定し得る。他方、サンプルがグラム陽性及びブドウ球菌に対して陽性であるが、黄色ブドウ球菌に対して陰性であることが見出された場合、医師は、攻撃している生物がおそらく、黄色ブドウ球菌以外のブドウ球菌であり、最もおそらくは、処置が保証されないと医師に決定させ得る混入物であることを、決定できる。

0156

この原理は、図9(a)及び9(b)に示される。図9(a)では、階層的パネル略図が、血液感染に対する抗微生物治療の過程を決定する試験の数が9まで低減されたことが示される。図9(b)は、適切な抗生物質の対応する決定と共に、異なる可能なパネル試験結果に基づく生物同定の一例を示す。このようなパネルは、少なくとも2つの点において重要である。第1に、試験の数が、種レベルの試験パネルと比較して、顕著に低減される。例えば、細菌又は真菌感染の、100を優に超える可能な供給源が存在し、各々及び全てについての試験は、困難かつ複雑な仕事であり、迅速な診断及び標的化された処置を困難にする。第2に、パネル樹中の各階層的レベルとの信頼の程度が増加され、リアルタイム基礎での処置決定におそらく影響を与え得る。このアプローチは、事実上、信頼区間を改善するビルトイン制御を有する。

0157

図10(a)〜(c)に、3つのさらなる例示的パネルを示す。図10(a)に示されるパネルは、以下の情報を提供する:病原体の界分類(細菌又は真菌)の指標、細菌のグラム状況、並びに選択された属及び/又は種レベルのさらなる同定。上述のように、科及び/又は属レベルにおける病原体の同定は、抗微生物薬物の選択及び必要に応じたさらなる試験のための意志決定を補助し得る。この例示的パネルでは、種レベルにおける選択された病原体の同定は、抗微生物処置の段階的縮小に関連する特定の情報及びさらなる試験を保証し得る情報を、医師に提供する。例えば、種レベルにおける黄色ブドウ球菌の同定は、MRSAについてのさらなる試験が保証されることを、医師に示し得る。また、例えば、種レベルにおける肺炎連鎖球菌の同定は、増加していくアンピシリン耐性株の肺炎連鎖球菌について、医師に警告し得る。さらに、種レベルにおける緑膿菌(P. aeruginosa)の同定は、緑膿菌に対してより選択的な、より標的化された狭域スペクトルの抗微生物薬物へと、抗微生物治療を変更する決定を支持し得る。同様に、アスペルギルス属(Aspergillus)の同定は、より適切な狭域スペクトルの処置についての意志決定を補助し得るが、他の真菌は一般に、より広域スペクトルの抗真菌剤に対して感受性を有する。

0158

図10(b)に示されるパネルでは、病原体情報が、狭域スペクトルの適切に標的化された抗微生物治療の選択と相関するより選択的な様式で、科、属及び/又は種レベルにおいて提供される。このパネルは、黄色ブドウ球菌以外で、類似の抗生物質が他のグラム陽性細菌について考慮され得るという評価に基づいて編成される。結果として、黄色ブドウ球菌の種レベルの試験は、病原体がグラム陽性であると見出された場合、抗生物質治療の段階的縮小のための適切な情報を提供するのに十分である。さらに、黄色ブドウ球菌が同定されると、医師は、病原体がMRSAであるか否かを決定するために、mecA遺伝子について公知の試験を要求し得る。上述のように、図10(a)及び10(b)に示されるパネルについての検出及び同定は、病原体のrRNA内の特異的核酸配列を検出することによって実施され得る。

0159

図10(c)に示される例示的パネルでは、mecA遺伝子の株レベルの試験が、MRSAの検出のために提供され、これが、黄色ブドウ球菌についての種レベルの試験を不要にする。mecA遺伝子についての試験は、ゲノムDNAの検出に基づいて実施され得る。病原体がグラム陽性であるがMRSAではないことが見出された場合、全てのグラム陽性病原体をカバーし得る適切な他の抗生物質が、処置のために考慮され得る。

0160

上述の迅速なサンプル前処理及びrRNAベースの試験プロトコールは、上記の迅速な段階的縮小試験パネルと組み合わせた場合、適切な狭域スペクトルの抗生物質の迅速かつ有効な選択、又は適切な抗生物質の適切な初期選択を可能にし、それによって、治療決定を可能にするために必要とされる試験の数及び医学問診の複雑性を劇的に低減させる。特に、サンプル前処理及び迅速なrRNA逆転写PCRの上述の方法が、そのような迅速な段階的縮小パネルに従って試験を実施するために使用される場合、結果は、患者転帰に影響を与えるための適切な時間尺度で、抗微生物治療の段階的縮小を導くための十分な情報を提供する。

0161

上述のように、この実施形態は、富化ステップを必要とせず、抗微生物処置に影響を与える結果を迅速に提供することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、前処理期の開始と試験結果の入手可能性との間の時間遅延は、およそ30分未満であり得る。試験結果の迅速な入手可能性は、臨床的に適切な有効な時間尺度で、抗微生物処置の段階的縮小を可能にし、又は初期の狭域スペクトルの抗生物質を処方するために、重要である。

0162

これは、以下に起因して幅広い臨床的有用性を見出せない既存の分子方法とは対照的である:(1)複雑で時間のかかる手動サンプル調製ステップの要求、(2)直接非富化サンプルに基づくサンプル調製を実施する場合の微生物細胞の不充分な回収、及び(3)抗微生物薬管理における適切な意志決定を明確に情報提供することができない過度に複雑な試験結果。

0163

以下の実施例は、当業者が本開示の実施形態を理解及び実行することを可能にするために提示される。これらは、本発明の実施形態の範囲に対する限定として解釈すべきではなく、それらの例示及び代表としてのみ解釈すべきである。

0164

以下の実施例では、グラム陰性細菌細胞を、LB寒天プレート上で増殖させ、単一コロニーの細胞を、LBブロス中で37℃で一晩培養した。グラム陽性細菌及び真菌細胞を、5%ヒツジ血液を含むトリプシンダイズ寒天上で増殖させ、単一コロニーの細胞を、トリプシンダイズブロス中で37℃で一晩培養した。これらの細胞を、7000rpmで5分間遠心分離した。細胞ペレットを、0.2μmフィルターを通して予め濾過した0.8mMリン酸塩緩衝液pH7.4中で2回洗浄し、再懸濁した。

0165

血液サンプル前処理が必要とされたときには、血球溶解試薬を使用した。血球溶解試薬は、サポニン(84510、Sigma)、ポリアネトールスルホン酸ナトリウム(SPS)(P2008、Sigma)及びポリ(プロピレングリコール)(PPG)MW 2000(202339、Sigma)の混合物からなる。サポニンを、試薬グレードの水中に溶解し、0.2μmのPESシリンジフィルターを介して濾過し、Amicon Ultra-15 10K MWカットオフ(Z706345、Sigma)を使用して精製した。SPSを、試薬水中に溶解し、0.2μmのPESシリンジフィルターを介して濾過した。PPG MW 2000(202339、Sigma)を、元の瓶から直接使用した。さらに、Fluorinert(商標)FC-40(F9755、Sigma)を添加して、緩衝用液体として機能させた。

0166

いずれかの変更が指定されない限り、血球溶解ステップとその後の4回の洗浄サイクルとを含む以下の例示的前処理手順を、血液サンプルの前処理を必要とする実験において実施した。10μLのFluorinert(商標)を、2mLのシリコン処理微小遠心管(T3531、Sigma)に添加し、その後500μLの血球溶解試薬を添加した。血球溶解試薬は、75mg/mLサポニン、15mg/mLSPS及び1%PPGからなっていた。微生物細胞でスパイクしたクエン酸ナトリウム処理したヒト全血(Bioreclemation Inc.)1mLを、血球溶解試薬及びFluorinert(商標)を含む管に添加し、10回反転させ、10秒間低速でボルテックス混合することによって混合した。混合物中の構成要素の最終濃度は、25mg/mLサポニン、5mg/mL SPS及び0.33%PPGであった。これらの管を、12,000rpmで1分間遠心分離し、1.35mLの上清を除去し、150μLの液体上清、Fluorinert(商標)及び沈降した微生物細胞を残した。1回目の洗浄サイクルを、1.35mLの0.8mMリン酸塩緩衝液を上記のように150μLの残留液体上清に添加し、10秒間低速でボルテックス混合することによって混合し、12,000rpmで1分間遠心分離し、1.35mLの上清を除去し、150μLの液体上清、Fluorinert(商標)及び沈降した微生物を残すことによって、実施した。残留洗浄サイクルを、0.75mLの0.8mMリン酸塩緩衝液を150μLの残留液体上清に添加し、10秒間低速でボルテックス混合することによって混合し、12,000rpmで1分間遠心分離し、0.75mLの上清を除去し、150μLの液体上清、Fluorinert(商標)及び沈降した微生物を残すことによって、実施した。最後の洗浄後、沈降した微生物細胞を、残留液体中に再懸濁し、その体積は100〜300μlの範囲内であった。陽性対照サンプルは、それぞれの実験における前処理サンプルの名目濃度と同じ濃度のそれぞれの微生物細胞で0.8mMリン酸塩緩衝液pH7.4をスパイクすることによって調製する。

0167

電気的細胞溶解を使用した実施例では、前処理サンプル及び陽性対照サンプルを、10μL/10秒の段階で電気チャンバを通過させ、50μsの持続時間及び190Vの振幅を有するn=250のバイポーラ方形パルスを適用した。この電気チャンバは、6.4×15×0.2mm3の寸法を有し、インレットポート及びアウトレットポートは、限定的な型のものであった。

0168

以下の実施例では、リアルタイム逆転写PCR(リアルタイムRT-PCR)アッセイを実施して、それぞれの微生物細胞型の16S又は18SrRNA中の特異的標的領域を検出した。プライマーを、配列アラインメントソフトウェア(Bioedit、Ibis Biosciences、USA)及びプライマー設計ソフトウェア(Primer3、National Institutes of Health)によって設計した。電気的溶解後の前処理サンプル及びスパイク対照の細胞溶解物を、リアルタイムRT-PCRに供した。これらのサンプルに加えて、以下の陰性対照をリアルタイムRT-PCRに供した:細胞懸濁に使用される予め濾過されたリン酸塩緩衝液(陰性対照、緩衝液)、並びにスパイクされた血液サンプルと同じ前処理及び電気的溶解プロトコールに供されるスパイクされていない血液(陰性対照、血液)。

0169

いずれかの変更が指定されない限り、20μL体積のRT-PCR反応を、5μLのサンプル、10μLのKapa 2G Robust Hotstart 2×PCR反応ミックス(kk5515、KAPA Biosystems)、1.2μLの逆転写酵素(GoScript、A5004 Promega)、1μLのフォワードプライマー(10μM)、1μLのリバースプライマー(10μM)、1μlのSYTO-9(100nM、S34854、Invitrogen)及び0.8μLの無RNAase水を混合することによって調製した。1ステップリアルタイムRT-PCRを、二本鎖DNA結合蛍光色素SYTO-9を使用して、Eco Real Time PCRシステム(illumina)において55℃で5分間の逆転写、95℃で2分間の逆転写の不活性化、その後の35サイクルのcDNA増幅(95℃で3秒間の変性、それぞれの温度で3秒間のアニーリング及び72℃で3秒間の伸長)によって実施した。

0170

[実施例1]
蛍光シグナルによるアンプリコン検出に対する溶解させた血液中のデブリの消光作用の低減に対する洗浄の影響
この実施例に示す実験を、前処理及び増幅の例示的方法に従って実施して、溶解させた血液中のデブリの蛍光シグナルに対する消光作用を低減させ、効率的なリアルタイムRT-PCRアッセイを可能にする、洗浄サイクルの影響を決定した。

0171

pH7.4の0.8mMリン酸塩緩衝液中、2000CFU/mLの緑膿菌細胞の懸濁物を、電気的に溶解させた。この溶解物をリアルタイムRT-PCRに供して、この実施例における実験のために十分な体積のアンプリコンを調製した。RT-PCRに使用したフォワードプライマー及びリバースプライマーは、それぞれ、GGGCAGTAAGTTAATACCTTGC(配列番号25)及びTCTACGCATTTCACCGCTACAC(配列番号26)であった。緑膿菌の保存された領域における251塩基対の16SrRNA遺伝子断片(参照として緑膿菌D77Pを使用し、ヌクレオチド438〜689)を増幅した。クエン酸ナトリウム抗凝固剤を含む収集管中に引き出したヒト全血を、上記のような4回の洗浄サイクル(遠心分離を含む)と共に、上記例示的なサンプル前処理手順に供した。各洗浄サイクルの最後に、取り出した上清を貯蔵した。上記のように調製した5μL体積のアンプリコンを、各洗浄サイクルの貯蔵された上清5μLに添加した。蛍光シグナルを、Illumina機械において読み取った。シグナルを、きれいなリン酸塩緩衝液に添加されたアンプリコン(amlicon)のシグナルに対して標準化した。3つの異なる実施の結果を図11(a)に示した。観察されるように、デブリの蛍光消光作用は、最大3回の洗浄で顕著であり、これは500倍希釈に相当する。

0172

[実施例2]
分子アッセイに対する希釈ベースの洗浄ステップ及び微生物細胞溶解方法の影響
この実施例に示す実験を実施して、洗浄ステップの数及び微生物細胞溶解方法が、下流の分子アッセイに対する溶解させた血液中のデブリの阻害作用に如何にして影響を与えるかを実証した。

0173

緑膿菌細胞を使用し、細胞懸濁物を上記のように調製した。ヒト全血を、以下の例外を除き、上記した通りにサンプル前処理手順に供した。洗浄サイクルを、それぞれの体積の0.8mMリン酸塩緩衝液を150μLの残留液体上清に添加し、ボルテックス混合も遠心分離もなしに10回反転させることによって混合することによって、実施した。従って、これらのサンプルは単に、元々溶解させた血液の連続希釈物である。希釈ベースの洗浄サイクルを、洗浄する場合に遠心分離を使用する上記例示的なサンプル前処理手順に従って、4回の代わりに5回実施した。各洗浄サイクルの取り出された上清を、3つのアリコートに分割し、緑膿菌細胞でスパイクした。75μLの各アリコートは、名目上30個の微生物細胞を含んだ。1つのアリコートを、電気的に溶解させ、1つのアリコートを、95℃で10分間懸濁物を加熱することによって、熱溶解させた。第3のアリコートを、ガラスビーズ(GB)を使用した機械的溶解に供した。GB溶解を実施するために、等体積のガラスビーズ(<106μm、G4649 Sigma)を、75μLの細胞懸濁物に添加し、高速で2分間ボルテックス混合することによって、機械的に溶解させた。このGB細胞溶解物を、14,000rpmで1分間遠心分離してビーズを分離し、上清をアッセイのために収集した。

0174

2つの溶解された微生物細胞の等価物を各々が含む5μLの全ての溶解物を、陰性対照(緩衝液)及び陽性対照(微生物細胞でスパイクし、電気的に溶解させた緩衝液)と共にリアルタイムRT-PCRでアッセイした。RT-PCRに使用したフォワードプライマー及びリバースプライマーは、それぞれ、GGGCAGTAAGTTAATACCTTGC(配列番号25)及びTCTACGCATTTCACCGCTACAC(配列番号26)であった。緑膿菌の保存された領域における251塩基対の16SrRNA遺伝子断片(参照として緑膿菌D77Pを使用し、ヌクレオチド438〜689)を増幅した。得られたシグナル対リアルタイムPCRサイクル数のプロットを、4回目の洗浄サイクルの溶解物については図11(b)に、5回目の洗浄サイクルの溶解物については図11(c)に示す。図11(b)で観察されるように、電気的溶解及び熱溶解は、4回目の洗浄サイクルの上清中に存在する血液中のデブリの阻害作用を大いに低減させる。しかし、図11(c)で観察されるように、遠心分離の非存在下では、5回の洗浄サイクルと等価な希釈が、これらの実験と類似した試薬及び条件を使用した場合のRT-PCRアッセイの性能に対する血液中のデブリの阻害作用を排除するために必要とされる。

0175

[実施例3]
分子アッセイに対する溶解させた血液中のデブリの阻害作用を低減させることに対する、例示的なサンプル前処理手順の間の洗浄の影響
この実施例に示す実験を実施して、洗浄サイクル及び電気的処理が下流の分子アッセイに対する溶解させた血液中のデブリの阻害作用を如何にして低減させるかを実証した。例示的なサンプル前処理の間の洗浄サイクルの数に対する典型的RT-PCRアッセイの依存性を試験した。

0176

緑膿菌細胞を使用し、細胞懸濁物を上記のように調製した。

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