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技術 吸音構造および防音室

出願人 大和ハウス工業株式会社
発明者 玄晴夫
出願日 2015年6月2日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-112272
公開日 2016年12月28日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-224333
状態 特許登録済
技術分野 建築環境 居住または事務用建築物 防音、遮音、音の減衰
主要キーワード 横方向一方 所定方向一方 コントロール部材 最大開口幅 移動壁 吸音領域 略三角柱形状 オーディオルーム
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月28日)のものです。
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図面 (11)

課題

簡易な構造で吸音性能を向上可能であり、かつ、意匠性を低下させることなく音響を可変とすること。

解決手段

吸音構造(1)は、所定方向に長さを有する後方面部(21)と、後方面部(21)と平行かつ後方面部(21)から前方に離れて配置された前方面部(22)と、前方面部(22)内に位置し、所定方向に開口幅を有する音取入れ口(23)と、音取入れ口(23)を介して入射する音を吸収する吸音材(3)とを備える。吸音材(3)は、後方面部材(21)と前方面部材(22)との間の領域(24)内において前方面部(22)の所定方向一方端部から他方端部に沿って配置されている。吸音構造(1)は、開口幅調整部材(5)をさらに備えており、開口幅調整部材(5)によって音取入れ口(23)の開口幅(Dx)が調整可能である。

概要

背景

ピアノなどの楽器演奏したり、音楽を聴いたりすることを主目的とした部屋(オーディオルーム)では、防音性のみならず良い音の響き(音響)が求められる。良い音響を作り出すための手法の一つに「吸音」があり、従来から、吸音天井材吸音壁材、および、壁掛け式または置き型の吸音パネルなどが存在する。

たとえば、特開2014−141822号公報(特許文献1)では、防音室コーナー部に、略三角柱形状吸音体を配置し、厚みの厚い部分で低音域の音を吸収し、厚みの薄い部分で高音域の音を吸収する技術が提案されている。また、当該文献では、音響を可変とするために、吸音体の吸音面(表面)の露出面積を可変とする可変機構を付加することも提案されている。

音響可変に関しては、実開平5−42421号公報(特許文献2)において、多目的ホール二重壁内の一部に吸音材を設けて、吸音材の前面に配置された移動壁を上下させることにより、吸音材の露出面積を調整する技術も開示されている。

概要

簡易な構造で吸音性能を向上可能であり、かつ、意匠性を低下させることなく音響を可変とすること。吸音構造(1)は、所定方向に長さを有する後方面部(21)と、後方面部(21)と平行かつ後方面部(21)から前方に離れて配置された前方面部(22)と、前方面部(22)内に位置し、所定方向に開口幅を有する音取入れ口(23)と、音取入れ口(23)を介して入射する音を吸収する吸音材(3)とを備える。吸音材(3)は、後方面部材(21)と前方面部材(22)との間の領域(24)内において前方面部(22)の所定方向一方端部から他方端部に沿って配置されている。吸音構造(1)は、開口幅調整部材(5)をさらに備えており、開口幅調整部材(5)によって音取入れ口(23)の開口幅(Dx)が調整可能である。

目的

ピアノなどの楽器を演奏したり、音楽を聴いたりすることを主目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

音を吸収するための吸音構造であって、所定方向に長さを有する後方面部と、前記後方面部と平行かつ前記後方面部から前方に離れて配置された前方面部と、前記前方面部内に位置し、前記所定方向に開口幅を有する音取入れ口と、前記後方面部と前記前方面部との間の領域内において前記前方面部の前記所定方向一方端部から他方端部に沿って配置され、前記音取入れ口を介して入射する音を吸収するための吸音材と、前記開口幅を調整可能に設けられた開口幅調整部材とを備える、吸音構造。

請求項2

前記開口幅調整部材は、前記所定方向にスライド移動可能である、請求項1に記載の吸音構造。

請求項3

前記音取入れ口は、前記前方面部の前記所定方向一方端部に位置し、前記開口幅調整部材は、前記音取入れ口の前記所定方向他方側に配置される、請求項1または2に記載の吸音構造。

請求項4

前記開口幅調整部材が全開状態のときの前記音取入れ口の開口幅は、前記領域の厚み寸法よりも大きい、請求項1〜3のいずれかに記載の吸音構造。

請求項5

前記開口幅調整部材が全開状態のときの前記音取入れ口の開口幅は、前記領域の厚み寸法よりも大きく、前記開口幅調整部材のスライド移動により、前記開口幅が特定の寸法となったことを報知するための報知手段をさらに備える、請求項2または3に記載の吸音構造。

請求項6

前記報知手段は、前記開口幅が前記特定の寸法となったときに前記開口幅調整部材のスライド移動を停止させる停止機構を含む、請求項5に記載の吸音構造。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の吸音構造を備えた、防音室

技術分野

0001

本発明は、吸音構造および防音室に関し、特に、オーディオルームに適した吸音構造、および、これを備えた防音室に関する。

背景技術

0002

ピアノなどの楽器演奏したり、音楽を聴いたりすることを主目的とした部屋(オーディオルーム)では、防音性のみならず良い音の響き(音響)が求められる。良い音響を作り出すための手法の一つに「吸音」があり、従来から、吸音天井材吸音壁材、および、壁掛け式または置き型の吸音パネルなどが存在する。

0003

たとえば、特開2014−141822号公報(特許文献1)では、防音室のコーナー部に、略三角柱形状吸音体を配置し、厚みの厚い部分で低音域の音を吸収し、厚みの薄い部分で高音域の音を吸収する技術が提案されている。また、当該文献では、音響を可変とするために、吸音体の吸音面(表面)の露出面積を可変とする可変機構を付加することも提案されている。

0004

音響可変に関しては、実開平5−42421号公報(特許文献2)において、多目的ホール二重壁内の一部に吸音材を設けて、吸音材の前面に配置された移動壁を上下させることにより、吸音材の露出面積を調整する技術も開示されている。

先行技術

0005

特開2014−141822号公報
実開平5−42421号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記特許文献1のように、コーナー部に設置された略三角柱形状の吸音体の吸音性能を高めるためには、吸音体の寸法を大きくすればよい。しかし、コーナー部の吸音体の寸法をあまり大きくすると、部屋内の空間が狭くなるだけでなく、意匠上も望ましくないため、実用性に乏しい。

0007

また、特許文献2の音響可変機構においては、内壁に設けられた開口の背後部分にしか吸音材が設けられていないため、吸音材の厚み(すなわち二重壁の厚み)を大きくしなければ低音域の音まで十分に吸音することができない。また、特許文献2の二重壁において移動壁によって吸音材の露出面積を変更したとしても、音全体の吸音率が変化するに過ぎず、より効果的な音響可変方法が望まれていた。

0008

本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構造で吸音性能を向上可能であり、かつ、意匠性を低下させることなく効果的に音響を可変とすることのできる吸音構造および防音室を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

この発明のある局面に従う吸音構造は、音を吸収するための吸音構造であって、後方面部と、前方面部と、音取入れ口と、吸音材と、開口幅調整部材とを備える。後方面部は、所定方向に長さを有する。前方面部は、後方面部と平行かつ後方面部から前方に離れて配置される。音取入れ口は、前方面部内に位置し、所定方向に開口幅を有する。吸音材は、後方面部と前方面部との間の領域内において前方面部の所定方向一方端部から他方端部に沿って配置され、音取入れ口を介して入射する音を吸収する。開口幅調整部材は、音取入れ口の開口幅を調整可能に設けられる。

0010

好ましくは、開口幅調整部材は、所定方向にスライド移動可能である。

0011

音取入れ口は、前方面部の所定方向一方端部に位置することが望ましい。この場合、開口幅調整部材は、音取入れ口の所定方向他方側に配置されることが望ましい。

0012

好ましくは、開口幅調整部材が全開状態のときの音取入れ口の開口幅は、領域の厚み寸法よりも大きい。

0013

この場合、吸音構造は、開口幅調整部材のスライド移動により、開口幅が特定の寸法となったことを報知するための報知手段をさらに備えることが望ましい。なお、特定の寸法は、厚み寸法と同じ寸法を含む。

0014

報知手段は、開口幅が特定の寸法となったときに開口幅調整部材のスライド移動を停止させる停止機構を含んでもよい。

0015

この発明の他の局面に従う防音室は、上記いずれかの吸音構造を備える。

発明の効果

0016

本発明によれば、簡易な構造で吸音性能を向上可能である。また、吸音材の厚みを大きくしなくてもよいため、実用性を向上させることもできる。さらに、意匠性を低下させることなく効果的に音響を可変とすることもできる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施の形態に係る吸音構造を備えた防音室を模式的に示す断面図である。
図1に示す防音室を室内側から(図1の矢印IIの方向から)見た図である。
本発明の実施の形態に係る吸音構造を模式的に示す断面図である。
125Hzの音波を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る基本状態の吸音構造と他の壁構造とを比較した、低音域の音の吸音性能についての実験結果を示すグラフである。
(A)〜(E)は、試験体としての吸音構造に対して開口幅を5段階に分けて調整した状態を模式的に示す図である。
図6(A)〜(E)それぞれに対する音域別の吸音率の計測結果を示すグラフである。
(A),(B)は、本発明の実施の形態において、音取入れ口の開口幅と低音の吸音率との関係を概念的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る吸音構造が備える報知手段の一例を模式的に示す図である。
比較例の吸音構造を模式的に示す断面図である。

実施例

0018

本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。

0019

(吸音構造の概要について)
はじめに、本実施の形態に係る吸音構造の概要について説明する。吸音構造は、たとえば住宅の防音室に備えられる。なお、本実施の形態において、音の発生源に近い側(部屋の中心側)を「前方」、遠い側を「後方」という。

0020

図1および図2を参照して、防音室9は、床91、側壁92〜95、および天井96によって囲まれた部屋である。本実施の形態では、たとえば1つの側壁92が、室内で発生した音を吸収するための吸音構造1を有している。図中矢印A1は、側壁92の横方向(左右方向)を示し、矢印A2は、側壁92の厚み方向(奥行き方向)を示している。

0021

吸音構造1は、後方面部21と、前方面部22と、前方面部22内に位置する音取入れ口23と、音を吸収するための吸音材3とを備えている。なお、図1および図2には、基本状態の吸音構造1が示されている。ここでの「基本状態」とは、低音域の音から高音域の音まで略均一に吸音可能な状態である。

0022

後方面部21は、矩形形状であり、上下方向および横方向に長さを有している。後方面部21は、防音室9の側壁93,95と直交している。後方面部21は、剛性を有する面材により構成されている。

0023

前方面部22は、後方面部21と平行かつ後方面部21から前方に離れて配置されている。前方面部22も、矩形形状であり、上下方向および横方向に長さを有している。前方面部22の一部に音取入れ口23が設けられているため、前方面部22は、音取入れ口23において音を通過させ、それ以外の壁部分(以下「前壁部」という)220において音を反射する。前壁部220もまた、剛性を有する面材により構成される。

0024

本実施の形態では、後方面部21と前方面部22の前壁部220との両方が、側壁92を構成している。つまり、防音室9の側壁92は、二重壁となっている。

0025

音取入れ口23は、紙面上、前方面部22の左端部(横方向一方端部)に位置している。音取入れ口23は、横方向に開口幅(Dx)を有し、かつ、上下方向に延在している。本実施の形態のように、音取入れ口23が前方面部22の上端位置から下端位置にまで延在している場合、前壁部220を構成する面材自体の横幅を後方面部21よりも短くすることによって、音取入れ口23が形成される。なお、音取入れ口23は、前壁部220を構成する面材に部分的に設けられた開口であってもよい。

0026

吸音材3は、後方面部21と前方面部22との間の領域24において、前方面部22の横方向一方端部から他方端部に沿って配置されている。本実施の形態では、領域24の略全体に吸音材3が充填されていることから、領域24を吸音領域24という。基本状態において、吸音領域24は、音取入れ口23の背後に位置する領域(以下「第1領域」という)25と、それ以外の領域(以下「第2領域」という)26とにより構成される。

0027

吸音材3は、グラスウールロックウールなど一般的な吸音体で構成されてもよいし、複数の層部材からなる層状の吸音体で構成されてもよい。取扱い性の観点などから、吸音材3は前方面部22の横方向一方端部から他方端部にまで延在していなくてもよく、適宜分断されていてもよい。

0028

吸音構造1は、第1領域25において中音域から高音域の音(以下、単に「中高音」ともいう)を吸収し、低音域の音(以下、単に「低音」ともいう)を第2領域26に回折させて吸収する構法を採用している。したがって、吸音領域24の厚み(二重壁の厚み)を抑えたままで、低音を効率よく吸音することができる。なお、後方面部21と前壁部220とを支持する下地部材4(図3参照)は、少なくとも一部において吸音材3を横方向に連続的に配置できるように構成されているものとする。

0029

本実施の形態に係る吸音構造1は、音取入れ口23の開口幅Dxを調整するための引き戸5を備えている。開口幅Dxが調整されることで、音取入れ口23から露出する吸音面30の露出面積が可変となる。なお、吸音材3のうち、音取入れ口23から露出する部分の表面には、化粧パネル(図示せず)が取り付けられていてもよい。

0030

引き戸5は、横方向(左右方向)に沿ってスライド移動可能なスライド部材である。図3には、引き戸5により音取入れ口23全体が閉鎖された状態(全閉状態)が示されている。図1の基本状態は、たとえば、引き戸5が全開の状態である。この場合、基本状態における音取入れ口23の開口幅Dxは、最大開口幅Dmaxを示す。なお、全開状態のときの最大開口幅Dmaxは、基本状態のときの開口幅よりも大きくてもよい。

0031

引き戸5が全閉状態と全開状態との間でスライド移動させられることにより、音取入れ口23の開口幅が変化し、それに伴って、第1領域25と第2領域26との大きさ(体積)の比率が変化する。本実施の形態では、引き戸5は前方面部22の前に配置されるため、第2領域26は、引き戸5と前壁部220とで構成される反射壁部27によって隠される領域である。防音室9の床91および天井96には、引き戸5用のレール51,52がそれぞれ設けられていてもよい。

0032

ここで、吸音構造1が基本状態であるときの、各種寸法の一例について説明する。上述のように、本実施の形態では、基本状態のときの開口幅Dxは最大開口幅Dmaxである。

0033

吸音領域24の厚み寸法(以下「壁間厚み」という)Daは、少なくとも100mmあればよい。

0034

音取入れ口23の最大開口幅Dmaxは、たとえば0.5Pであり、このときの反射壁部27の横幅寸法(以下「反射壁寸法」という)Dyは、1.5P以上であることが望ましい。1Pは、建物の設計上の1モジュールを表わしており、910mmまたは1000mmを示す。反射壁寸法Dyの下限値は、低音域(125Hz)の音波の1/2波長に略等しい。図4には、その長さ(1/2波長)W1が示されている。

0035

すなわち、壁間厚みDaが100mmであるとすると、最大開口幅Dmaxと反射壁寸法Dyとの比率は、たとえば1:3である。なお、壁間厚みDaが100mmよりも十分に大きい場合には、反射壁寸法Dyは1.5P以下であってもよい。最大開口幅Dmaxは、少なくとも壁間厚みDaよりも大きく、たとえば壁間厚みDaの2倍以上である。また、基本状態において、反射壁寸法Dyは、少なくとも最大開口幅Dmaxよりも大きく、たとえば最大開口幅Dmaxの2倍以上である。

0036

なお、音取入れ口23の開口幅(Dx)は、第1領域25の横幅寸法(所定方向における第1領域25の長さ寸法)と読み替え、反射壁寸法(Dy)は、第2領域26の横幅寸法(所定方向における第2領域26の長さ寸法)と読み替えてもよい。

0037

基本状態のときの吸音構造1の吸音性能について、図5に示す実験結果のグラフを参照して説明する。実験では、基本状態の吸音構造1と同じ「1/4吸音」の壁構造(開口幅0.5P)と、反射壁部27がなく、吸音材3の表面全てが露出している「全吸音」の壁構造(開口幅2P)とを比較し、低音から中音(125〜1000Hz)の音響の大きさを測定した。図5では、音響の大きさが音圧レベル(単位:dB)として示されている。

0038

図5から明らかなように、「全吸音」の壁構造では、低音の吸音率が中音の吸音率よりもかなり低い。これに対し、「1/4吸音」の壁構造では、中音の吸音率が低下し、低音の吸音率が上昇しているため、低音の吸音率は中音の吸音率と同程度となっている。このことから、音取入れ口23から第1領域25内の吸音材3に入射した全音域のうち、中高音が第1領域25において吸収され、低音が第2領域26において吸収されることが分かる。また、基本状態の吸音構造1によれば、低音から高音までほぼ均一に吸音できることが分かる。

0039

(開口幅に応じた音響の変化について)
ここで、音取入れ口23の開口幅Dxに応じた音響の変化(吸音率の変化)について、実験結果に基づき説明する。図6は、試験体としての吸音構造10に対して開口幅Dxを5段階に分けて調整した状態を模式的に示す図である。吸音構造10の基本的な仕様は、本実施の形態に係る吸音構造1と同様であるものとする。図6(A)には、開口幅Dxがゼロである全閉状態が示され、図6(B)には、開口幅Dxが壁間厚みDaの半分の状態が示され、図6(C)には、開口幅Dxが壁間厚みDaと同じの状態が示されている。また、図6(D)には、開口幅Dxが、壁間厚みDaを超えて、最大開口幅Dmaxの3/4程度である状態が示されている。図6(E)には、開口幅Dxが最大開口幅Dmaxの状態が示されている。

0040

これらの状態それぞれにおいて、開口幅Dx以外の条件を同じにして音域別の吸音率を計測した結果が、図7に示される。図6(A)〜(C)で示されるように、開口幅Dxが壁間厚みDa以下の条件においては、中高音の吸音率の変化はそれほど大きくないのに対し、低音の吸音率は大きく変化している。逆に、図6(D),(E)で示されるように、開口幅Dxが壁間厚みDaを超えると、低音の吸音率はほとんど変化せず、中高音の吸音率が大きく変化している。

0041

このような現象から、吸音構造1においても、引き戸5によって、低音の音響だけを重点的に変更することが可能であるといえる。つまり、図8(A)に示すように、引き戸5によって開口幅Dxを壁間厚みDa以下の範囲で調整することで、中高音の吸音率をそれほど変えずに、低音の吸音率だけを大きく変化させることができる。

0042

これに対し、図8(B)に示すように、引き戸5によって開口幅Dxを壁間厚みDa超えの範囲で調整した場合、低音の吸音率を殆ど変化させずに、中高音の吸音率を大きく変化させることができる。

0043

上記のように、引き戸5を用いた音域別の音響可変を実現するためには、引き戸5のスライド移動の際に、開口幅Dxが壁間厚みDaとなったことをユーザ(視聴者)に報知する報知手段が設けられていることが望ましい。報知手段の一例が図9に示される。報知手段は、たとえば、レール51,52に設けられ、かつ、引き戸5が壁間厚みDaとなったときに自動的に停止する停止機構6である。

0044

なお、報知手段は、開口幅Dxが壁間厚みDaとなったことを報知するだけでなく、他の特定の寸法となったことを報知してもよい。たとえば、音取入れ口23の最大開口幅Dmaxが基本状態のときの開口幅よりも大きい場合には、他の特定の寸法は、基本状態のときの開口幅を含んでもよい。

0045

また、報知手段は、引き戸5が壁間厚みDaとなったときに音を発生する音発生部であってもよいし、単純に、たとえばレール51,52に設けられた目印マーク)であってもよい。

0046

上述のように、本実施の形態の吸音構造1は、音取入れ口23から露出する吸音面30に入射した音のうち、中高音は音取入れ口23の背後の第1領域25において吸収させ、低音は反射壁部27に隠される第2領域26において吸収させる構法を採用している。したがって、壁間厚み(Da)を必要以上に大きくする必要がなく、防音室9内の空間を広く使用することができるため、従来よりも実用性および意匠性を向上させることができる。また、簡易な構造で、優れた吸音性能を実現することができる。

0047

さらに、本実施の形態では、音取入れ口23の開口幅Dxの調整が、引き戸5により行われるため、意匠性を低下させることなく、簡易な方法で効果的に音響調整を行うことができる。その結果、吸音構造1を備えた防音室9において、心地良い音響を作り出すことができるため、防音室9を快適なオーディオルームとして提供することができる。

0048

(比較例)
ここで、吸音構造1の比較例について説明する。

0049

図10を参照して、比較例の吸音構造100は、引き戸5を備えておらず、全音コントロール部材151と低音コントロール部材152とを備えている。前方面部22の左端部には、所定の開口幅の開口部123が設けられている。全音コントロール部材151は、たとえば、開口部123を全開状態または全閉状態に調整可能な開き扉により構成される。

0050

低音コントロール部材152は、開口部123の背後に位置する第1領域125と前壁部220の背後に位置する第2領域126との境界部に配置される仕切り部材である。低音コントロール部材152によって、第1領域125から第2領域126内へ向かう低音域の音の通路開口面積(以下「通路面積」という)が調整される。低音コントロール部材152は、前壁部220の左端部(開口部123の近傍)に設けられた挿入孔221を介して前方から抜き差しされる。全音コントロール部材151が開状態のときに、低音コントロール部材152が吸音材3を分断するように挿入された場合、第2領域126への入り口が塞がれるため、中高音の吸音率を変えずに低音の吸音率だけが小さくなる。

0051

このような吸音構造100においては、全音コントロール部材151と低音コントロール部材152とが個別に設けられているため、低音の音響だけを狙い通りに調整することが可能となる反面、開口部123の高さと同等の高さのある低音コントロール部材152を手で抜き差しするのは難しい。また、低音を十分に吸音させたい場合には、低音コントロール部材152が部屋側に引き出された状態となるため、意匠性が低下するおそれもある。

0052

これに対し、本実施の形態に係る吸音構造1においては、引き戸5一つで、全音コントロール部材151と低音コントロール部材152との両機能を実現可能であることから、操作性と意匠性との双方を向上させることができる。

0053

(変形例)
なお、本実施の形態では、横幅2Pの側壁を有する防音室9を例に説明したが、それ以外の横幅の側壁に囲まれた防音室にも、上記した吸音構造1を適用可能である。たとえば横幅4Pの側壁には、吸音構造1を1ユニットとし、横方向に2つの吸音構造1が並べられてもよい。この場合、ユニット間には、音の通過を遮断するための仕切り材が設けられてもよい。あるいは、音取入れ口23が防音室のコーナー部付近に配置されるように、2つの吸音構造1が左右対称となるように並べられてもよい。いずれの場合においても、後方面部21を構成する面材は一続きであってよい。

0054

また、本実施の形態では、音取入れ口23の開口幅Dxを調整するための開口幅調整部材は、スライド部材によって構成されることとしたが、限定的ではない。たとえば、開口幅調整部材は、伸縮可能な蛇腹状の部材により構成されてもよい。ただし、この場合においても、開口幅調整部材は、音取入れ口23の右側(前壁部220の左端部)に配置されることが望ましい。

0055

また、本実施の形態では、前方面部22の横方向一方端部に音取入れ口23を設けることとしたが、音取入れ口23は前方面部22の上下方向一方端部に設けられてもよい。この場合、音取入れ口23の開口幅を調整するスライド部材は、上下方向にスライド移動可能となるように設けられればよい。

0056

また、本実施の形態では、吸音領域24全体に吸音材3が設けられていることとしたが、吸音領域24は、部分的に吸音材3のない空洞部や隙間を有していてもよい。

0057

また、吸音構造1の後方面部21および前方面部22の前壁部220は、防音室9の側壁92を構成することとしたが、これらは防音室の床91あるいは天井96を構成してもよい。つまり、吸音構造1の後方面部21および前壁部220は、防音室の側壁92〜95、床91および天井96のうちの少なくともいずれかを構成していればよい。

0058

あるいは、吸音構造1の後方面部21のみが、防音室9の側壁92〜95、床91および天井96のうちの少なくともいずれかを構成してもよい。つまり、前方面部22の前壁部220は、防音室9の構成面(後方面部21)の前方に、単に反射パネルとして配置されてもよい。

0059

あるいは、上記した吸音構造1は、防音室に予め組み込まれていなくてもよい。つまり、吸音構造1は、可搬式吸音装置として実現されてもよい。この場合、後方面部21および前方面部22の前壁部220は、吸音装置の筐体の一部を構成する。吸音装置は、後方面部21および前壁部220の他、吸音材3の上端面、下端面、および両側面をそれぞれ塞ぐ面部材によって囲まれていてもよい。

0060

このような吸音装置を部屋内の所望の位置に設置することで、その部屋をオーディオルームのように使用することができる。また、吸音装置は、音域別に音響を変更することもできるため、オーディオチューンとしても機能させることができる。

0061

以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記各実施の形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。

0062

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0063

1,10,100吸音構造、3吸音材、4下地部材、5引き戸、6停止機構、9防音室、21後方面部、22 前方面部、23音取入れ口、24吸音領域、25,125 第1領域、26,126 第2領域、27反射壁部、30吸音面、51,52レール、91 床、92〜95側壁、96天井、123 開口部、151全音コントロール部材、152低音コントロール部材、220前壁部、221挿入孔。

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