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技術 津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法

出願人 公益財団法人鉄道総合技術研究所伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
発明者 津野靖士藤原了是永眞理子橋本紀彦
出願日 2015年6月2日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2015-111808
公開日 2016年12月28日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2016-223956
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 水工学 伝播関数 予測波形 入射波形 近傍地点 観測記録 水位上昇量 m格子
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

海域観測された津波入射波形事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、海域での津波波形入射直後に沿岸近傍の津波波形と沿岸の最大津波水位を早期に予測する、津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法を提供する。

解決手段

津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、(a)海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、沿岸近傍の津波波形を予測する第1のステップと、(b)前記第1のステップ(a)で予測した沿岸近傍の津波波形を用いて、沿岸近傍から沿岸の対象地点を含めた小規模な2次元津波シミュレーションを行うことにより、沿岸の津波波形と波高を予測する第2のステップとを施す。

概要

背景

従来、津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法については、提案されていないのが現状である。

概要

海域観測された津波入射波形事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、海域での津波波形入射直後に沿岸近傍の津波波形と沿岸の最大津波水位を早期に予測する、津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法を提供する。津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、(a)海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、沿岸近傍の津波波形を予測する第1のステップと、(b)前記第1のステップ(a)で予測した沿岸近傍の津波波形を用いて、沿岸近傍から沿岸の対象地点を含めた小規模な2次元津波シミュレーションを行うことにより、沿岸の津波波形と波高を予測する第2のステップとを施す。

目的

本発明は、上記状況に鑑みて、海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、海域での津波波形入射直後に沿岸近傍の津波波形と沿岸の最大津波水位を早期に予測する、津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

(a)海域観測された津波入射波形事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、沿岸近傍の津波波形予測する第1のステップと、(b)前記第1のステップ(a)で予測した沿岸近傍の津波波形を用いて、沿岸近傍から沿岸の対象地点を含めた小規模な2次元津波シミュレーションを行うことにより、沿岸の津波波形と波高を予測する第2のステップとを施すことを特徴とする津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法

請求項2

請求項1記載の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、前記第1のステップの津波伝播特性G2(τ)は、小断層すべりに対する海域入射地点シミュレーション波形S2(t)と沿岸近傍予測地点のシミュレーション波形X2(t)を周波数領域でデコンボリューションすることにより算出し、前記津波伝播特性G2(τ)と全断層すべりに対する海域入射地点の観測津波波形S1(t)をコンボリューションすることを特徴とする津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法。

請求項3

請求項1記載の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、前記第2のステップは、小規模の2次元津波シミュレーションを利用した沿岸の津波波形と波高予測を行うことを特徴とする津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法。

請求項4

請求項1記載の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、近距離地点の津波入射波形と長時間の津波入射波形を利用した際は、沿岸の津波波形と波高の予測精度向上が期待されることを特徴とする津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法。

技術分野

0001

本発明は、津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法については、提案されていないのが現状である。

先行技術

0003

金沢敏彦:日本海溝海底地震津波観測網について、地震ジャーナル、Vol. 55、No. 6、pp. 28−33、2013
野英治、呉長江、是永眞理子、根本信、岩渕洋子、蛯沢勝三:原子力イトにおける2011東地震津波の検証、日本地震工学論文集、 13 、2(特集号)、pp. 2−21 、2013
Satake, K., Fujii, Y., Harada, T. and Namegaya, Y. : Time and Space Distribution of Coseismic Slip of the 2011 Tohoku Earthquake as Inferred from Tsunami Waveform Data, Bull. Seismol. Soc. Am.,103, pp. 1473−1492, 2013
府:トラフ巨大地震モデル検討会、第12回会合参考資料、http;//www. bousai. go. jp/jishin/chubou/nankai_trough/12/sub_1. pdf、2012
海上保安庁海底地形デジタルデータ「M7000シリーズ
長谷川賢一、鈴木孝夫、稲、首伸夫:津波数値実験における格子間隔と時間積分間隔に関する研究、土木学会論文集、第381号/II−7、No. 2、pp. 111−120、1987
国土地理院:「5mメッシュ標高データ」、http;//www. gsi. go. jp/
Okada, Y. : Internal Deformation due to Shear and Tensile Faults in a Half−Space, Bull. Seismol. Soc. Am.,Vol. 82, No. 2, pp. 1018−1040, 1992
Imamura, F., Shuto, N. and Goto, C. : Numerical Simulations of the Transoceanic Propagation of Tsunamis, 6th CongressAPD−IAHR, pp. 265−272, 1988
後藤智明:津波数値計算、1986年度(第22回)水工学に関する夏期研修講義集Bコース、土木学会水理委員会、B−3−1〜B−3−21、1986
ナウファス国土交通省港湾局全国港湾海洋波浪情報網、http;//www. mlit. go. jp/kowan/nowphas/
藤原了、田貴洋、是永真理子、橋本紀彦:津波波源モデルの違いによる津波波力差異の評価、日本地震学会2013年度大会、2013
江原義郎:デジタル信号処理、東京電機大学出版局、p. 38、1991
相田勇:三の古い津波のシミュレーション、地震研究所彙報、52、pp. 71−101、1977

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、上記状況に鑑みて、海域観測された津波入射波形事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、海域での津波波形入射直後に沿岸近傍の津波波形と沿岸の最大津波水位を早期に予測する、津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、
(a)海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、沿岸近傍の津波波形を予測する第1のステップと、(b)前記第1のステップ(a)で予測した沿岸近傍の津波波形を用いて、沿岸近傍から沿岸の対象地点を含めた小規模な2次元津波シミュレーションを行うことにより、沿岸の津波波形と波高を予測する第2のステップとを施すことを特徴とする。

0006

〔2〕上記〔1〕記載の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、前記第1のステップの津波伝播特性G2(τ)は、小断層すべりに対する海域入射地点シミュレーション波形S2(t)と沿岸近傍予測地点のシミュレーション波形X2(t)を周波数領域でデコンボリューションすることにより算出し、前記津波伝播特性G2(τ)と全断層すべりに対する海域入射地点の観測津波波形S1(t)をコンボリューションすることを特徴とする。

0007

〔3〕上記〔1〕記載の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、前記第2のステップは、小規模の2次元津波シミュレーションを利用した沿岸の津波波形と波高予測を行うことを特徴とする。

0008

〔4〕上記〔1〕記載の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法において、近距離地点の津波入射波形と長時間の津波入射波形を利用した際は、沿岸の津波波形と波高の予測精度向上が期待されることを特徴とする。

発明の効果

0009

本発明によれば、次のような効果を奏することができる。

0010

事前に海域入射地点と沿岸近傍予測地点(線形理論が成立する水深50m以上)の津波伝播特性を準備しておくことにより、津波発生後海域の地点に津波入射波形が収録された際に、対象とした沿岸近傍地点での津波波形の即時予測が可能である。

0011

更に、予測した沿岸近傍地点の津波波形を利用して、小規模の2次元津波シミュレーション(非線形理論を用いる水深50m未満)を実施することにより、海岸線汀線の詳細な津波波高分布を即時予測することができる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法の模式図である。
東北地方太平洋沖地震の断層すべりを示す図である。
海底地形モデルを示す図である。
中部沖における観測津波波形と線形長波理論を用いた計算津波波形の比較を示す図である。
本発明の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法の模式図(図1)の計算手順を示す図である。
本発明にかかる津波シミュレーションの評価地点(●は約10km間隔)と主要断層すべり領域(□)を示す図である。
海域入射地点(846,895)の津波波形を示す図である。
沿岸近傍予測地点(893)の津波波形を示す図である。
鹿半島汀線での最大津波水位上昇量の比較を示す図である。
海域地点846の津波入射波形から予測された沿岸近傍4地点(944,919,893,866)の津波波形を示す図である。
異なる海域入射地点に対する沿岸近傍予測地点919の最大津波水位の誤差評価を示す図である。
異なる海域入射地点に対する牡鹿半島汀線での最大津波水位上昇量の比較を示す図である。
海域入射波形(地点846)の異なるデータ長に対する沿岸近傍予測地点919の最大津波水位の誤差評価を示す図である。
海域入射波形(地点846)の異なるデータ長に対する牡鹿半島汀線での最大津波水位上昇量の比較を示す図である。

0013

本発明の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法は、(a)海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、沿岸近傍の津波波形を予測する第1のステップと、(b)前記第1のステップ(a)で予測した沿岸近傍の津波波形を用いて、沿岸近傍から沿岸の対象地点を含めた小規模な2次元津波シミュレーションを行うことにより、沿岸の津波波形と波高を予測する第2のステップとを施す。

0014

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。

0015

2011年東北地方太平洋沖地震による東日本太平洋沿岸の壊滅的な津波被害の経験を受けて、海域で発生した地震直後に適切な地震と津波の予測を行うことを目的に、日本海溝海底地震津波観測網(Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis along the Japan Trench:S−net)(上記非特許文献1参照)が東日本の太平洋沖で整備されつつある。今後、沿岸から遠く離れた海域で津波が地震発生直後に観測されるため、震源域マグニチュードに対応した海底面変位還元せず、海域で観測された津波記録を利用した沿岸での津波波形・波高の直接的な予測手法の開発が期待される。

0016

そこで、本発明では、海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、海域での津波波形入射直後に即時的な沿岸近傍の津波波形と沿岸の津波波高を予測する方法を開発した。

0017

図1は本発明の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法の模式図である。

0018

具体的には、図1に示した2つのステップにより、沿岸の即時的な津波波形・波高の予測を行う。
(1)震源断層面1での地殻変動により、海域2で観測された津波入射波形3と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、沿岸近傍4の津波波形5を予測する(1st step:津波伝播特性を用いた直接的予測)。
(2)1st stepで予測した沿岸近傍4の津波波形5を用いて、沿岸近傍4から沿岸6の対象地点を含めた小規模な2次元津波シミュレーション7を行うことにより、沿岸の津波波形8と波高9を予測する(2nd step:小規模な数値計算)。

0019

以下、1st stepと2nd stepについてその詳細を説明する。
(津波伝播特性を利用した沿岸近傍の波形予測)
(1)2011年東北地方太平洋沖地震の2次元津波シミュレーション
2011年東北地方太平洋沖地震の津波波源モデルについては、地震発生後、幾つかのモデル(上記非特許文献〔2〕,〔3〕,〔4〕参照)が提案されているが、各波源モデルによる線形の津波波形の差異は小さく、どの波源モデルを用いても2次元津波シミュレーション結果より観測記録を概ね説明できる。

0020

図2は東北地方太平洋沖地震の断層すべり(上記非特許文献〔4〕参照)を示す図であり、□は主要断層すべり領域を示している。

0021

ここでは、その中でも波源モデルが最も詳細に表現されている内閣府の津波波源モデル(上記非特許文献〔4〕参照)である図2を用いることにした。

0022

図3は海底地形モデル(上記非特許文献〔5〕参照)(格子間隔1215m、等深線間隔500m)を示す図である。

0023

本発明では、図3に示すように、有限差分法より2次元津波シミュレーションを行い、メッシュサイズ(格子間隔)は海域から内陸に向かって段階的に小さくなるように設定した(4段階:1215m,405m,135m,45m格子間隔) 。津波の1波長に対して20程度の格子を配置し(上記非特許文献〔6〕参照)、時間刻みは線形理論で0.81秒、非線形理論で0.09秒とした。各領域の格子中心に、水深・標高データを割り付け地形モデルを作成した。水深データについては海上保安庁の海底地形デジタルデータ「M7000シリーズ」(上記非特許文献〔5〕参照)、標高データについては国土地理院の「5mメッシュ標高データ」(上記非特許文献〔7〕参照)を用いた。津波の初期水位については、半無限弾性体中での鉛直成分の地殻変動(上記非特許文献〔8〕参照)より計算した。下記に、津波シミュレーション(上記非特許文献〔9〕参照)で用いる非線形浅水長波理論式を示す。

0024

0025

0026

0027

ここで、x・y水平方向座標、z:鉛直方向座標、t:時間、g:重力加速度、η:水位、h:水深、M・N:流量、D=(h+η):全水深、である。

0028

線形長波理論を用いた2次元津波シミュレーションより、海域から沿岸近傍(水深50m程度)(上記非特許文献〔10〕参照)の津波波形を計算した。線形解析では、上記(2)・(3)式において移流項(第2項と第3項)と海底摩擦項(第5項)を考慮しない。線形波動場では、津波はc=√ghで表現される深さ依存の波速伝播する。一方、非線形浅水長波理論を用いた2次元津波シミュレーションより、沿岸近傍から沿岸の津波波形を計算した。非線形波動場では、津波はc=√g(h+η)で表現される波速で伝播する。

0029

図4は宮城県中部沖における観測津波波形と線形長波理論を用いた計算津波波形の比較を示す図である。

0030

図4に、一例として、宮城県中部沖での計算された津波波形とGPS波浪計(上記非特許文献〔11〕参照)(国土交通省)により観測された津波波形を比較した(上記非特許文献〔12〕参照)。計算された津波波形は観測波形を良く再現することから、本発明で用いた2次元津波シミュレーションの妥当性が分かる。
(2)津波入射波形と津波伝播特性による沿岸近傍の波形予測
本発明の1st stepでは、海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、沿岸近傍の津波波形を予測する方法を開発する。津波入射波形は上記した2011年東北地方太平洋沖地震の全断層すべりによる2次元津波シミュレーション結果を利用した。海底地形による津波伝播特性については、なるべく小さな断層領域を対象とした海域入射地点と沿岸近傍予測地点{図2図6(後述)}の津波伝播特性を抽出する必要がある。そこで、2011年東北地方太平洋沖地震の主要断層すべりによる2次元津波シミュレーションを上記した線形理論より行い、その結果を用いて海域入射地点と沿岸近傍予測地点の津波伝播特性を事前に準備した。本発明の計算手順を図5に示す。

0031

図5は本発明の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法の模式図(図1)の計算手順を示す図、図6は本発明にかかる津波シミュレーションの評価地点(●は約10km間隔)と主要断層すべり領域(□)を示す図である。

0032

本発明の検証では、全断層すべりを用いた2次元津波シミュレーション結果を正解とし、本発明による計算結果比較対象とした。

0033

津波伝播特性G2(τ)は、主要断層すべりに対する海域入射地点のシミュレーション波形S2(t)と沿岸近傍予測地点のシミュレーション波形X2(t)を周波数領域でデコンボリューションすることにより算出した(式[4])。その津波伝播特性G2(τ)と全断層すべりに対する海域入射地点のシミュレーション波形S1(t)をコンボリューションする(式[5])ことにより沿岸近傍予測地点の津波波形Y(t)を簡便にかつ即時的に算出することができる。

0034

G2(ω)=X2(ω)/S2(ω) ・・・(4)
Y(ω)=S1(ω)×G2(ω) ・・・(5)
入射波形と出力波形、津波伝播関数には、以下のデータ処理(参考文献〔13〕参照)を施した。
入力波形には、移動平均によるローパスフィルタ(180秒のタイムウィンドウ)を施し、後続波を除外するためにデータ長を主要動含む48分程度に短縮化した後、コサインテーパーを施した。
・以下の式より、7分間以下の高周波信号遮断した。

0035

M=0.443×fs/fc ・・・(6)
ここで、fs:サンプリング周波数(1Hz)、M:サンプル数、fc:遮断周波数である。
・出力される合成波形、津波伝達関数については、移動平均によるローパスフィルタを施した。移動平均の際のタイム・ウィンドウは、合成波形に対しては60秒、津波伝播関数に対しては200秒とした。

0036

図7は海域入射地点(846,895)の津波波形を示す図、図8は沿岸近傍予測地点(893)の津波波形を示す図である。

0037

東北地方太平洋沖地震の全断層すべりを用いた2次元津波シミュレーションにより計算された海域入射地点846と895の2地点の津波波形(本発明では、観測された津波入射波形を模擬) を図7に示す。最大振幅に顕著な差は見られないものの、最大振幅が出現する時間が異なっていることが分かる。一方で、本発明の1st stepにより計算された沿岸近傍地点893の予測波形図8参照)については、海域入射地点846と895を利用した2つの予測波形の最大振幅出現時間に顕著な差はなく、このことは海域入射地点と沿岸近傍予測地点の津波伝播特性が適切に評価されていることによる。また、波形全体については、沿岸近傍予測地点と海域入射地点が近距離に位置する方(海域入射地点895)が、予測結果と正解の整合性が高く、津波が沿岸に近づいてきた際には本発明の予測精度が向上することが示唆される。

0038

本発明の結果は、2011年東北地方太平洋沖地震により発生した津波については、主要断層すべり領域と内陸を結んだある測線上に海域入射地点と沿岸近傍予測地点がある場合には、本発明より簡便かつ適切に津波の振幅位相を予測することができることを示している。
(小規模の津波シミュレーションを利用した沿岸の波高予測)
図9は牡鹿半島汀線での最大津波水位上昇量の比較を示す図であり、図9(a)は小規模の2次元津波シミュレーションの計算領域を示す図であり、図9(b)は最大津波水位上昇量を示している。図10は海域地点846の津波入射波形から予測された沿岸近傍4地点(944,919,893,866)の津波波形を示す図である。

0039

牡鹿半島汀線{図9(b)中、太線}において、沿岸の最大津波波高を予測した。図1図5に示した2nd stepでは、東側境界面(図9中、点線)に対して1st stepで算出された沿岸近傍地点の予測津波波形を入射する。その4地点の予測波形が振幅と位相ともに同程度あることから、2nd stepの東側境界面(図9中、点線)への入射波形として、1st stepで算出された沿岸近傍地点919の予測津波波形を利用した。解析領域北側、南側、西側の境界面を解放境界とし、それら3境界では津波が入射せず、東側の境界面では入射波により励起される津波波動場の流出入が自由な状態とした。本津波シミュレーションは、非線形浅水長波理論に基づき、45m格子間隔、0.09秒時間刻みで行った。
入射波形として沿岸近傍地点の予測津波波形(海域入射地点846からの予測津波波形)を利用した小規模の2次元津波シミュレーションより牡鹿半島汀線での最大津波水位上昇量を算出した。その結果を図9(b)に示す。全断層すべりを用いた2次元津波シミュレーション結果(本発明では正解)と比較して、本発明による結果は最大津波水位上昇量に差は認められるものの、その形状は概ね一致し空間分布の傾向を概ね捉えていることが分かる。北側の境界面付近の整合性が低いことは、解析範囲外から回折等してくる津波の寄与を本発明の条件(東側境界面のみの入射)では考慮していないためである。ある断層モデルによる津波痕跡高と計算値の空間的な適合度を表す指標(上記非特許文献〔14〕参照)として、幾何平均Kと幾何標準偏差k(K,kとも1が完全調和) があり、参考までに本ケースで得られた値はK=1.6,k=2.3である。本発明は、海域で入射された津波波形を利用し、沿岸での10mを超える最大津波水位上昇量を予測しており、即時的な沿岸の津波波高予測としての利用価値は高い。
(津波推定の精度)
(1)津波入射距離による精度検討
図11は異なる海域入射地点に対する沿岸近傍予測地点919の最大津波水位上昇量の誤差評価を示す図、図12は異なる海域入射地点に対する牡鹿半島汀線での最大津波水位上昇量の比較を示す図である。

0040

異なる海域入射地点に対して、沿岸近傍予測地点と牡鹿半島汀線の最大津波水位上昇量を比較検討し、津波入射距離による予測精度を検討した。沿岸近傍予測地点919の最大津波水位上昇量(1st stepによる本発明の結果)は距離が遠いほど誤差が増す傾向にあるが、100km以上離れた海域地点で津波入射を行った場合でも50%以内の精度で予測可能である。また、牡鹿半島汀線での最大津波水位上昇量(2nd stepによる本発明の結果)に対しても同様の傾向が認められた。沿岸近傍予測地点から20km程度離れた地点を海域津波入射とすれば20%程度の精度で予測ができており、沿岸近傍予測地点と海域入射地点の距離が近いほど、津波予測結果の精度が向上することを確認した。
(2)津波入射時間による精度検討
図13は海域入射波形(地点846)の異なるデータ長に対する沿岸近傍予測地点919の最大津波水位上昇量の誤差評価を示す図、図14は海域入射波形(地点846)の異なるデータ長に対する牡鹿半島汀線での最大津波水位上昇量の比較を示す図である。

0041

海域入射波形のデータ長に対して、沿岸近傍予測地点と牡鹿半島汀線の最大津波水位上昇量を比較検討し、津波入射時間による予測精度を検討した。データ長が短いほど誤差が増す傾向にあるが、15分程度の津波主要動(図7参照)が入射されれば全波形を用いた場合と同程度の精度で最大津波水位上昇量を予測できることを確認した。

0042

本発明の特徴あるいは利点としては、事前に海域入射地点と沿岸近傍予測地点(線形理論が成立する水深50m以上)の津波伝播特性を準備しておくことにより、津波発生後海域の地点に津波入射波形が収録された際に、対象とした沿岸近傍地点での津波波形の即時予測が可能であることにある。更に、予測した沿岸近傍地点の津波波形を利用して、小規模の2次元津波シミュレーション(非線形理論を用いる水深50m未満)を実施することにより、海岸線汀線の詳細な津波波高分布を即時予測することができる。実際に本発明より沿岸近傍地点から海岸線汀線の津波波高を算出する(2nd step)までに掛かった時間は、45m格子間隔で約20分の時刻歴波形出力に対して、8コアによる並列計算機を用いて約20分であった。仮にコア数が現状の10倍程度(80〜100コア)に増える場合、小規模の2次元津波シミュレーションに要する計算時間は、飛躍的に短縮化されることが期待される。また、今回の津波予測地点である牡鹿半島沿岸は複雑な地形をしているため、詳細な格子間隔での計算が必要であったが、比較的海岸線が一様である仙台平野などでは格子間隔を粗くするなどの検討より、計算時間短縮化の工夫をすることは即時予測(可能であれば、津波検知後5分以内)を行う上で重要である。

0043

本発明では、津波波形・波高の即時予測方法として、津波伝播特性を利用した沿岸近傍での津波波形予測方法と小規模の津波シミュレーションを利用した沿岸の津波波高予測方法を開発した。2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の全断層すべりによる2次元津波シミュレーション結果と比較検討し、本発明の有効性を確認した。また、津波入射の距離と時間に対する津波推定の精度を検討し、100km離れた地点と半分のデータ長の津波入射波形を利用した場合でも50%以内の精度で即時予測が可能であることを示した。したがって、本発明による沿岸近傍及び海岸線汀線の津波波形と津波波高の即時予測は、避難行動を取る際の余裕時間や津波波高の程度を把握する上で非常に有効である。

実施例

0044

なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。

0045

本発明の津波伝播特性を利用した沿岸の早期津波予測方法は、海域で観測された津波入射波形と事前に準備した海底地形による津波伝播特性を利用することにより、海域での津波波形入射直後に沿岸近傍の津波波形と沿岸の最大津波水位を早期に予測する早期津波予測方法として利用可能である。

0046

1震源断層面
2海域入射地点
3 海域で観測された津波入射波形
4沿岸近傍地点
5 沿岸近傍の予測津波波形
6 沿岸地点
7 沿岸から沿岸近傍
8 沿岸の予測津波波形
9 沿岸の予測津波波高

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