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技術 樹脂製すべり軸受及びこれに対するグリース注入方法

出願人 株式会社ニックス
発明者 海老川慎高橋徹
出願日 2015年6月3日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2015-113183
公開日 2016年12月28日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-223611
状態 特許登録済
技術分野 すべり軸受
主要キーワード ニュートンの粘性法則 漏れ出し量 耐久財 ポリスライダー グリース供給口 グリース切れ 床下換気扇 回転距離
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月28日)のものです。
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図面 (14)

課題

安価にして、製品寿命のばらつきが小さく、利用が容易な樹脂すべり軸受と、これに対するグリース注入方法とを提供する。

解決手段

軸受本体1の中心部に回転軸保持孔3を開設する。また、回転軸保持孔3の外周部分に、一端が回転軸保持孔3に連通するグリース溜め部4を形成する。グリース溜め部4は、回転軸保持孔3の回転軸摺動面3aからこれに対向する軸受本体1の外周面1aに貫通する貫通孔をもって構成し、その形状は、回転軸摺動面3a側の開口面積よりも軸受本体1の外周面1a側の開口面積が大きい円錐形に形成する。グリース溜め部4内に、グリース溜め部の容積に満たない量のグリース5を注入すると共に、回転軸摺動面3aにグリースを付着させる。

概要

背景

従来、グリース潤滑材として用いる樹脂製の軸受が知られている(例えば、特許文献1の要約書参照。)。この特許文献1に記載の軸受は、軸受の内周面にグリースを入れるための油溝部を形成したもので、油溝部内に入れられたグリースが軸受の内周面と回転軸外周面との間に継続的に供給されるので、油溝部を有しない軸受の内周面にグリースを塗布した場合に比べて、軸受の耐久性を高めることができる。

しかしながら、特許文献1に記載の軸受は、軸受の内周面に形成された浅い油溝部内に少量のグリースを入れる構成であるため、無給油で10年以上の耐久性が要求される、例えばルームエアコンカーエアコンファンヒータ空気清浄器床下換気扇等の耐久財には適用し難い。

ルームエアコン等の耐久財にも適用可能な樹脂製すべり軸受としては、図13に示すように、軸孔101の外周に、正面形状が袋状で、軸受本体102の表面にグリース溜め部103を凹設したものが従来市場に提供されている(株式会社旭ポリスライダー社製の軸受SAB参照。)。なお、軸受本体102の表面には、グリースの流出を防止するための図示しないカバー部材被着される。本構成の樹脂製すべり軸受100は、グリース溜め部103内に大量のグリースを貯えることができ、このグリース溜め部103内のグリースを、軸孔101内に挿入された回転軸104の回転に伴って、軸孔101と回転軸104との間に自動的に供給できるので、長期間の使用が可能で、ルームエアコン等の耐久財にも適用することができる。

概要

安価にして、製品寿命のばらつきが小さく、利用が容易な樹脂製すべり軸受と、これに対するグリースの注入方法とを提供する。軸受本体1の中心部に回転軸保持孔3を開設する。また、回転軸保持孔3の外周部分に、一端が回転軸保持孔3に連通するグリース溜め部4を形成する。グリース溜め部4は、回転軸保持孔3の回転軸摺動面3aからこれに対向する軸受本体1の外周面1aに貫通する貫通孔をもって構成し、その形状は、回転軸摺動面3a側の開口面積よりも軸受本体1の外周面1a側の開口面積が大きい円錐形に形成する。グリース溜め部4内に、グリース溜め部の容積に満たない量のグリース5を注入すると共に、回転軸摺動面3aにグリースを付着させる。

目的

本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価にして、製品寿命のばらつきが小さく、利用が容易な樹脂製すべり軸受と、これに対するグリースの注入方法とを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

中心部に回転軸保持孔が開設されると共に、前記回転軸保持孔に連通するグリース溜め部が前記回転軸保持孔の外周部分に形成された軸受本体をもって構成され、前記グリース溜め部内にグリース注入してなる樹脂すべり軸受において、前記グリース溜め部は、前記回転軸保持孔の回転軸摺動面からこれに対向する前記軸受本体の外周面に貫通する貫通孔をもって構成され、その形状は、前記回転軸摺動面側開口面積よりも前記軸受本体の外周面側の開口面積が大きい円錐形に形成され、前記グリース溜め部内には、前記グリース溜め部の容積に満たない量のグリースが注入され、かつ前記回転軸摺動面には、グリースが付着されていることを特徴とする樹脂製すべり軸受。

請求項2

回転軸摺動面のグリース表面量をS、グリース供給口の開口部投影水平幅をr、グリース供給口の開口部投影垂直幅をd、回転軸摺動面の幅をw、使用するグリースの比重をρ、使用するグリースの粘度をη、回転軸の回転速度をv、回転軸の直径をR、回転軸から受ける荷重をTとしたとき、下記の式1で算出されるグリース表面量Sが、50[μg/cm2]<S<800[μg/cm2]の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製すべり軸受。

請求項3

樹脂本体に形成される1つ当たりのグリース溜め部の容積をZ、製品寿命を全うするに必要なグリース消費量をYとしたとき、樹脂本体に形成されるグリース溜め部の容積Zが、下記の式2で表される不等式を満たすことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の樹脂製すべり軸受。

請求項4

安全率をG、樹脂本体に形成される1つ当たりのグリース溜め部の容積をZ、樹脂本体に形成されるグリース溜め部の個数をn、樹脂本体に形成される1つ当たりのグリース溜め部から消費されるグリース消費量をYとしたとき、下記の式3で求められる安全率Gの範囲を、下記の式4に示される範囲に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の樹脂製すべり軸受。

請求項5

前記回転軸保持孔の外周部分に、複数の前記グリース溜め部を等間隔に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂製すべり軸受。

請求項6

前記軸受本体の外周面に、補強用リブを形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂製すべり軸受。

請求項7

中心部に回転軸保持孔が開設されると共に、前記回転軸保持孔に連通するグリース溜め部が前記回転軸保持孔の外周部分に形成された軸受本体をもって構成され、前記グリース溜め部が、前記回転軸保持孔の回転軸摺動面からこれに対向する前記軸受本体の外周面に貫通する貫通孔をもって構成された樹脂製すべり軸受の前記グリース溜め部にグリースを注入するに際し、前記回転軸保持孔の一端を遮閉部材にて遮閉した状態で、前記回転軸保持孔の他端側からグリース注入ノズルを挿入すると共に、当該回転軸保持孔の他端側を遮閉部材にて遮閉し、しかる後に、前記グリース注入ノズルからグリースを吐出して、前記回転軸摺動面にグリースを付着させると共に、前記グリース溜め部内に、前記グリース溜め部の容積に満たない量のグリースを注入することを特徴とする樹脂製すべり軸受に対するグリース注入方法

技術分野

0001

本発明は、樹脂すべり軸受及びこれに対するグリース注入方法係り、特に、樹脂製すべり軸受に形成されるグリース溜め部の構成と、グリース溜め部内へのグリース注入及び回転軸摺動面へのグリースの塗布を一動作で行う方法とに関する。

背景技術

0002

従来、グリースを潤滑材として用いる樹脂製の軸受が知られている(例えば、特許文献1の要約書参照。)。この特許文献1に記載の軸受は、軸受の内周面にグリースを入れるための油溝部を形成したもので、油溝部内に入れられたグリースが軸受の内周面と回転軸の外周面との間に継続的に供給されるので、油溝部を有しない軸受の内周面にグリースを塗布した場合に比べて、軸受の耐久性を高めることができる。

0003

しかしながら、特許文献1に記載の軸受は、軸受の内周面に形成された浅い油溝部内に少量のグリースを入れる構成であるため、無給油で10年以上の耐久性が要求される、例えばルームエアコンカーエアコンファンヒータ空気清浄器床下換気扇等の耐久財には適用し難い。

0004

ルームエアコン等の耐久財にも適用可能な樹脂製すべり軸受としては、図13に示すように、軸孔101の外周に、正面形状が袋状で、軸受本体102の表面にグリース溜め部103を凹設したものが従来市場に提供されている(株式会社旭ポリスライダー社製の軸受SAB参照。)。なお、軸受本体102の表面には、グリースの流出を防止するための図示しないカバー部材被着される。本構成の樹脂製すべり軸受100は、グリース溜め部103内に大量のグリースを貯えることができ、このグリース溜め部103内のグリースを、軸孔101内に挿入された回転軸104の回転に伴って、軸孔101と回転軸104との間に自動的に供給できるので、長期間の使用が可能で、ルームエアコン等の耐久財にも適用することができる。

先行技術

0005

特開2003−184865号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、図13に示した従来の樹脂製すべり軸受100は、グリース溜め部103が袋状に形成されているので、グリース溜め部103の肩部103aや天井部103bにグリース105が残留しやすく、このため、グリースの無駄が多く、製品寿命にばらつきを生じやすいという問題がある。

0007

また、図13に示した従来の樹脂製すべり軸受100は、グリース溜め部103が表面側のみを開放した袋状に形成されているので、軸孔101側からグリース溜め部103内にグリースを充填することは困難であり、カバー部材を取り外した状態で軸受本体102の表面側からグリース溜め部103内にグリースを充填しなくてはならない。このため、図13に示した従来の樹脂製すべり軸受100は、未使用の状態において軸孔101の内周面(回転軸摺動面)にグリースが付着していない場合が多く、軸孔101への回転軸104の挿入時に回転軸供給面にグリースを塗布しないと、使用開始直後から異音を発生しやすいという問題もある。

0008

さらに、図13に示した従来の樹脂製すべり軸受100は、グリースの流出を防止するためのカバー部材を必須の構成部材とするので、部品点数が多く、コスト高になる。

0009

本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価にして、製品寿命のばらつきが小さく、利用が容易な樹脂製すべり軸受と、これに対するグリースの注入方法とを提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、上述の技術的課題を解決するため、樹脂製すべり軸受に関しては、中心部に回転軸保持孔が開設されると共に、前記回転軸保持孔に連通するグリース溜め部が前記回転軸保持孔の外周部分に形成された軸受本体をもって構成され、前記グリース溜め部内にグリースを注入してなる樹脂製すべり軸受において、前記グリース溜め部は、前記回転軸保持孔の回転軸摺動面からこれに対向する前記軸受本体の外周面に貫通する貫通孔をもって構成され、その形状は、前記回転軸摺動面側開口面積よりも前記軸受本体の外周面側の開口面積が大きい円錐形に形成され、前記グリース溜め部内には、前記グリース溜め部の容積に満たない量のグリースが注入され、かつ前記回転軸摺動面には、グリースが付着されていることを特徴とする。

0011

本構成によると、グリース溜め部が円錐形に形成されているので、従来例に係る樹脂製すべり軸受とは異なり、肩部や天井部にグリースが残存するということがなく、グリースの無駄を解消できると共に、グリース溜め部内に注入されたグリース量に応じた所定の耐久性を発揮できる。また、グリース溜め部を回転軸摺動面からこれに対向する軸受本体の外周面に貫通する貫通孔をもって構成したので、回転軸保持孔の内側からグリース溜め部内へのグリースの注入が可能になり、回転軸摺動面に確実にグリースを付着できる。そして、回転軸摺動面に確実にグリースが付着されることから、使用開始前に回転軸摺動面にグリースを補充することなく使用を開始でき、設置直後の異音の発生を防止できる。

0012

また本発明は、前記構成の樹脂製すべり軸受において、回転軸摺動面のグリース表面量をS、グリース供給口の開口部投影水平幅をr、グリース供給口の開口部投影垂直幅をd、回転軸摺動面の幅をw、使用するグリースの比重をρ、使用するグリースの粘度をη、回転軸の回転速度をv、回転軸の直径をR、回転軸から受ける荷重をTとしたとき、下記の式1で算出されるグリース表面量Sが、50[μg/cm2]<S<800[μg/cm2]の範囲にあることを特徴とする。

0013

グリースを用いて軸受本体に適正な潤滑性を付与し、かつグリースの無駄を防止するためには、回転軸摺動面に50[μg/cm2]〜800[μg/cm2]のグリースを付着させる必要がある。そして、式1に従って、回転軸摺動面3aのグリース表面量Sが上記の範囲になるように、回転軸Aの回転速度v、グリース供給口の開口部投影水平幅r、グリース供給口の開口部投影垂直幅d、使用するグリースの粘度η、使用するグリースの比重ρ、回転軸摺動面3aの幅w、回転軸Aの直径Rの組み合わせを調整することにより、適正な潤滑性を有し、かつグリースの無駄がない樹脂製すべり軸受を作製できる。

0014

また本発明は、前記構成の樹脂製すべり軸受において、樹脂本体に形成される1つ当たりのグリース溜め部の容積をZ、製品寿命を全うするに必要なグリース消費量をYとしたとき、樹脂本体に形成されるグリース溜め部の容積Zが、下記の式2で表される不等式を満たすことを特徴とする。

0015

樹脂本体に形成されるグリース溜め部の容積Zをこのようにすることにより、所要の製品寿命を全う可能な樹脂製すべり軸受を作製できる。

0016

また本発明は、前記構成の樹脂製すべり軸受において、安全率をG、樹脂本体に形成される1つ当たりのグリース溜め部の容積をZ、樹脂本体に形成されるグリース溜め部の個数をn、樹脂本体に形成される1つ当たりのグリース溜め部から消費されるグリース消費量をYとしたとき、下記の式3で求められる安全率Gの範囲を、下記の式4に示される範囲に調整することを特徴とする。

0017

このように、軸受本体へのグリースの注入量に適度の安全率Gを見込むことにより、グリースの無駄を防止できると共に、仕様保証された製品寿命を確実に達成できる。

0018

また本発明は、前記構成の樹脂製すべり軸受において、前記回転軸保持孔の外周部分に、複数の前記グリース溜め部を等間隔に形成したことを特徴とする。

0019

本構成によると、複数のグリース溜め部から回転軸摺動面及び回転軸の周方向にグリースを均等に供給できるので、1つのグリース溜め部のみを形成する場合に比べて、回転軸摺動面及び回転軸の周方向におけるグリースの分布均等化でき、高い潤滑効果を発揮できる。

0020

また本発明は、前記構成の樹脂製すべり軸受において、前記軸受本体の外周面に、補強用リブを形成したことを特徴とする。

0021

本構成によると、軸受本体の外周面にリブを形成するので、軽量にして高強度の樹脂製すべり軸受とすることができる。また、この種の樹脂製すべり軸受は、ゴムブッシュ圧入保持されるが、軸受本体の外周面にリブを形成すると、リブがゴムブッシュに対する軸受本体の回り止め部材として機能するため、樹脂製すべり軸受をゴムブッシュに安定に取り付けることができる。

0022

一方、本発明は、樹脂製すべり軸受に対するグリース注入方法に関して、中心部に回転軸保持孔が開設されると共に、前記回転軸保持孔に連通するグリース溜め部が前記回転軸保持孔の外周部分に形成された軸受本体をもって構成され、前記グリース溜め部が、前記回転軸保持孔の回転軸摺動面からこれに対向する前記軸受本体の外周面に貫通する貫通孔をもって構成された樹脂製すべり軸受の前記グリース溜め部にグリースを注入するに際し、前記回転軸保持孔の一端を遮閉部材にて遮閉した状態で、前記回転軸保持孔の他端側からグリース注入ノズルを挿入すると共に、当該回転軸保持孔の他端側を遮閉部材にて遮閉し、しかる後に、前記グリース注入ノズルからグリースを吐出して、前記回転軸摺動面にグリースを付着させると共に、前記グリース溜め部内に、前記グリース溜め部の容積に満たない量のグリースを注入することを特徴とする。

0023

本構成によると、グリース溜め部が回転軸摺動面からこれに対向する軸受本体の外周面に貫通する貫通孔をもって構成されているので、回転軸保持孔の表裏両端を遮閉部材にて遮閉することにより、回転軸保持孔の内部からグリース溜め部内へのグリースの注入が可能になり、回転軸摺動面にグリースを確実に付着させることができる。また、グリース溜め部の容積に満たない量のグリースをグリース溜め部内に注入するので、グリースの無駄を防止できる。

発明の効果

0024

本発明の樹脂製すべり軸受は、使用開始前に回転軸摺動面にグリースを補充することなく使用を開始でき、かつグリース溜め部内に注入されたグリース量に応じた所定の製品寿命が確実に得られる。

0025

本発明の樹脂製すべり軸受に対するグリースの注入方法は、回転軸保持孔の内部からグリース溜め部内にグリースを注入するので、回転軸摺動面にグリースを確実に付着させることができる。

図面の簡単な説明

0026

実施形態に係る樹脂製すべり軸受の斜視図である。
実施形態に係る樹脂製すべり軸受の平面図である。
実施形態に係る樹脂製すべり軸受の正面図である。
図2のA−A断面図である。
図3のB−B断面図である。
実施形態に係る樹脂製すべり軸受のグリース注入状態を示す断面図である。
実施形態に係る樹脂製すべり軸受におけるグリース溜め部の他の形状を示す断面図である。
実施形態に係る樹脂製すべり軸受に形成されたグリース溜め部内へのグリース注入方法を示す断面図である。
実施形態に係る樹脂製すべり軸受の使用状態を示す要部断面図である。
実施形態及び比較例に係る樹脂製すべり軸受の諸元と回転軸摺動面におけるグリース表面量との関係を比較して示す表図である。
回転軸に対するグリース溜め部の向きとグリース消費量との関係を検証する実験実験方法と実験結果を示す斜視図及びグラフ図である。
円錐形に形成されたグリース溜め部からのグリースの消費量を検証する実験の実験結果を示すグラフ図である。
従来例に係る樹脂製すべり軸受のカバー部材を除去した平面図である。

実施例

0027

以下、実施形態に係る樹脂製すべり軸受と、樹脂製すべり軸受に対するグリース注入方法について説明する。なお、以下に記載する実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲をその記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、以下に記載する実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。

0028

図1図5に示すように、実施形態に係る樹脂製すべり軸受(軸受本体)1は、樹脂材料をもって一体に形成されており、全体の形状は、厚み方向の中央部が膨らんだいわゆる太鼓形に形成されている。軸受本体1を構成する樹脂材料としては、適度の硬度を有する任意の樹脂材料を用いることができるが、高強度にして精密成形性に優れることから、ポリアミドポリアセタールポリカーボネート変性ポリフェニレンテレフタレートポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックや、ポリフェニレンスルファイドポリテトラフロロエチレンポリサルフォンポリアミドイミド等のスーパーエンジニアリングプラスチックを用いることがより望ましい。

0029

軸受本体1の外周面(表面及び裏面を除く軸受本体1の外面)1aには、図1図3に示すように、補強用のリブ2が形成される。リブ2は、これらの図から明らかなように、厚み方向の中央部に形成されたリング状部2aと、これと直交する方向に形成された放射状部2bとからなる。このように、実施形態に係る軸受本体1は、外周面1aにリブ2を形成したので、剛性が高く、耐久性に優れる。また、リング状部2aと放射状部2bの間を肉抜きしたので、軽量であると共に原料樹脂の使用量を低減できる。

0030

図2に示すように、平面方向から見て軸受本体1の中心部には、表面から裏面まで貫通する回転軸保持孔3が開設されている。回転軸保持孔3は、図4に示すように、軸受本体1の厚み方向の中央部分に形成された円筒形の回転軸摺動面3aと、回転軸摺動面3aの外側に形成されたテーパ面3bとからなる。回転軸摺動面3aは、回転軸Aを回転自在に保持可能な直径に形成される。また、テーパ面3bは、回転軸摺動面3a内への回転軸Aの挿入を容易にするためのものであって、軸受本体1の中央側から表面側又は裏面側に至るにしたがって直径が大きくなるように形成される。

0031

軸受本体1には、回転軸摺動面3aからこれに対向する軸受本体1の外周面1aに貫通するグリース溜め部4が形成されている。なお、図5の例では、3個のグリース溜め部4が軸受本体1の周方向に等間隔に形成されているが、グリース溜め部4の数は、1個でも、4個以上であってもよい。但し、回転軸摺動面3aの周方向にグリースを均等に供給しやすいことから、複数個とする方が好ましい。

0032

グリース溜め部4は、図5に示すように、回転軸摺動面3a側の開口面積よりも軸受本体1の外周面1a側の開口面積が大きい円錐形に形成される。グリース溜め部4を円錐形に形成すると、グリース溜め部4内に注入されたグリースがグリース溜め部4の壁面に沿って回転軸保持孔3側に移動しやすくなるので、グリース溜め部4を袋状に形成した場合に比べて、グリース溜め部4内へのグリースの残存を防止できて、グリースの無駄を防止できる。グリース溜め部4の傾斜角度θは、樹脂製すべり軸受に要求される製品寿命に応じた大きさに調整される。即ち、長期間の製品寿命が要求される樹脂製すべり軸受については、内部に多量のグリースが貯えられるようにするため、グリース溜め部4の傾斜角度θが大きく形成され、さほど長期間の製品寿命が要求されない樹脂製すべり軸受については、内部に少量のグリースを貯えれば足りるため、グリース溜め部4の傾斜角度θが小さく形成される。

0033

グリース溜め部4の容積は、製品である樹脂製すべり軸受に要求される製品寿命を達成可能な量のグリースを貯えられる大きさとする。なお、1つの軸受本体1に複数のグリース溜め部4を形成する場合も、各グリース溜め部4の容積は、製品寿命を達成可能な量のグリースを貯えられる大きさとすることができる。このようにすると、1つの軸受本体1にグリース溜め部4の数(n)分のグリースを貯えることができるので、n倍の安全率を見込むことができ、樹脂製すべり軸受の信頼性を高めることができる。

0034

グリース溜め部4の回転軸摺動面3a側の開口径は、グリース溜め部4から回転軸保持孔3へのグリース5(図6参照)の供給容易性と、回転軸摺動面3aの幅方向へのグリース5の広がりやすさとグリース5の粘度を考慮して調整される。

0035

図6に示すように、回転軸摺動面3aには、製品出荷時よりグリース5が付着されている。これにより、使用開始前に回転軸摺動面にグリースを補充することなく樹脂製すべり軸受の使用を開始できると共に、使用開始時における異音の発生を防止できる。また、グリース溜め部4内にはグリース5が注入される。グリース溜め部4内へのグリース5の注入量は、グリース溜め部4の容積に満たない量、例えばグリース溜め部の容積の90%程度とする。これにより、必要な製品寿命を確保できると共に、グリース溜め部4外へのグリース5の漏出を防止できて、グリース5の無駄を防止できる。

0036

なお、上記の実施形態においては、グリース溜め部4の形状を円錐形としたが、必ずしも数学的な意味の円錐形とする必要はなく、近似的に円錐形とみなせる形状とすることもできる。例えば、図7(a)に示すように、円錐形よりもやや内側に凸となる形状にしたり、図7(b)に示すように、円錐形よりもやや外側に凸となる形状にすることもできる。要は、グリース溜め部4内に貯えられたグリース5が円滑に回転軸摺動面3a側に供給され、グリース溜め部4内にグリース5が残存しない形状とすれば足りる。

0037

次に、軸受本体1へのグリース注入方法を、図8を参照しながら説明する。

0038

図8に示すように、グリース注入ノズル11としては、先端部にグリース吐出口12が形成されたものを用いる。そして、図8(a)に示すように、グリース注入ノズル11の先端を軸受本体1に開設された回転軸保持孔3内に挿入し、回転軸保持孔3の表面側及び裏面側を遮閉部材13、14にて遮閉した状態で、図8(b)に示すように、グリース吐出口12から適量のグリース5を吐出する。このようにすることにより、グリースの注入作業時に、回転軸保持孔3の回転軸摺動面3aにグリース5を付着できると共に、グリース溜め部4内に適量のグリースを確実に注入できる。

0039

実施形態に係る軸受本体1は、図9に示すように、ルームエアコン、カーエアコン、ファンヒータ、空気清浄器、床下換気扇等の耐久財の筐体Cに固定されたゴムブッシュBに取り付けられ、ゴムブッシュBの開口部より挿入された回転軸Aの一端を回転軸保持孔3内に挿入することにより、回転軸Aを回転自在に保持する。上記したように、実施形態に係る軸受本体1は、外周部にリブ2を形成したので、リブ2がゴムブッシュBに対する軸受本体1の回り止めとして作用し、軸受本体1の設置安定性を高めることができる。

0040

次に、グリースを用いて軸受本体1に適正な潤滑性を付与するために必要な回転軸摺動面3aに対するグリースの付着量、即ち、グリース表面量Sについて説明する。

0041

軸受本体1に保持された回転軸Aを回転すると、グリース溜め部4に貯えられたグリースは、回転軸Aの回転力によって、回転軸摺動面3aと回転軸Aの外周面との隙間に引きずり込まれる。回転軸摺動面3aと回転軸Aの外周面との隙間へのグリースのずり速度D及びずり応力Zは、回転軸Aの回転速度をv、回転軸摺動面3aに供給されるグリースの高さをΔy、摺動荷重をF、グリース供給口の開口部投影水平幅をr(図5参照)、グリース供給口の開口部投影垂直幅をd(図4参照)としたとき、ニュートンの粘性法則により、下記の式5及び式6で表される。

0042

従って、グリースの粘度ηは、下記の式7で表すことができ、回転軸摺動面3aに供給されるグリースの高さをΔyは、式5〜式7から下記の式8で表すことができる。

0043

単位時間当たりのグリースの供給量Qは、使用するグリースの比重をρとしたとき、下記の式9で表されるので、回転軸摺動面3aの幅をw(図4参照)としたとき、グリース表面量Sは、下記の式10で表される。

0044

また、式10を変形すると、下記の式11になり、式8に式11を代入すると、下記の式12になる。また、この式12を変形して、下記の式13が得られる。

0045

ところで、グリースに作用する摺動荷重Fは、回転軸Aの直径をR、グリースが回転軸Aから受ける荷重をTとしたとき、下記の式14で表されるので、式14を式13に代入することにより、グリース表面量Sに関する下記の式15が得られる。

0046

グリースを用いて軸受本体1に適正な潤滑性を付与するためには、回転軸摺動面3aのグリース表面量Sを適正化する必要がある。即ち、回転軸摺動面3aのグリース表面量Sが過少であると、グリース切れによって軸受本体1が摩耗しやすくなり、回転軸摺動面3aのグリース表面量が過多であると、回転部からのグリースの漏れ出し量が多くなって、グリースの無駄が多くなるからである。発明者らは、実験により、回転軸摺動面3aのグリース表面量Sは、50[μg/cm2]<S<800[μg/cm2]の範囲が適正であることを見出した。そこで、樹脂製すべり軸受の設計に際しては、回転軸摺動面3aのグリース表面量Sが上記の範囲内となるように、回転軸Aの回転速度v、グリース供給口の開口部投影水平幅r、グリース供給口の開口部投影垂直幅d、使用するグリースの粘度η、使用するグリースの比重ρ、回転軸摺動面3aの幅w、回転軸Aの直径Rの組み合わせを調整する。

0047

図10に、実施形態に係る樹脂製すべり軸受及び比較例に係る樹脂製すべり軸受について、グリース供給口の開口部投影水平幅r、グリース供給口の開口部投影垂直幅d、グリースの粘度η、回転軸Aの回転速度vを種々変更したときのグリース表面量Sを示す。但し、本例においては、比較を容易にするため、回転軸摺動面3aの幅w、回転軸から受ける荷重T、回転軸Aの直径Rについては一定とした。この図から明らかなように、実施形態に係る樹脂製すべり軸受は、いずれもグリース表面量Sが50[μg/cm2]<S<800[μg/cm2]の範囲にあり、かつ回転軸Aの回転駆動時に、音鳴りを発生せず、グリース漏れも発生しなかった。これに対して、比較例に係る樹脂製すべり軸受は、いずれもグリース表面量Sが50[μg/cm2]<S<800[μg/cm2]の範囲から外れており、かつ回転軸Aの回転駆動時に、音鳴りを発生するか、グリース漏れを発生した。従って、図10に示すように、実施形態に係る樹脂製すべり軸受については、実機に適用可能であると判断(〇印)し、比較例に係る樹脂製すべり軸受については、実機に適用不能であると判断(×印)した。

0048

次に、回転軸に対するグリース溜め部の向きとグリース消費量との関係を、図10を用いて説明する。

0049

実験は、図11(a)に示すように、グリース溜め部4が1つのみ形成された軸受本体1を用い、グリース溜め部4を水平に保持された回転軸Aの上方に配置した場合、側方に配置した場合及び下方に配置した場合について、回転軸Aの回転駆動時間に対するグリース溜め部4内に注入されたグリースの減少量を測定することにより行った。図11(b)から明らかなように、グリースの減少量は、回転軸Aの上方にグリース溜め部4を配置した場合が最も多く、回転軸Aの下方にグリース溜め部4を配置した場合が最も少なく、回転軸Aの側方にグリース溜め部4を配置した場合はその中間であって、回転軸Aへのグリースの供給は、重力が不可分に関与していることが判る。従って、グリース溜め部4が1つのみ形成された軸受本体1を用いる場合においては、グリース溜め部4を回転軸Aの上方に配置することが最も望ましいが、回転軸Aの下方に配置した場合にも、実用上十分な量のグリースが消費されており、グリース溜め部4を回転軸Aの下方に配置した場合にも必要な潤滑効果が得られることが判った。また、軸受本体1に複数のグリース溜め部4を形成した場合には、回転軸Aの下方に配置されたグリース溜め部4からも回転軸摺動面3aにグリースが供給されるので、樹脂製すべり軸受の安全率を高めることができる。

0050

次に、製品寿命を達成可能なグリース溜め部4の容積と安全率について説明する。

0051

製品寿命を達成可能なグリース溜め部4の容積を求めるためには、まず、実施形態に係る軸受本体1に回転軸Aを水平に保持した実験装置を用いて、回転軸Aの回転時間に対するグリース溜め部4内に貯えられたグリースの消費量変化を測定する必要がある。いま、実験により、図12のデータを得たとする。次に、この実験データから、グリース消費量Yに関する下記の式16を求める。但し、式中の符号tは、製品寿命を示す。

0052

製品寿命tは、回転軸Aの回転速度をv、軸受が製品寿命に達するまでに摺動し続ける総回転距離である摺動距離をLとしたとき、下記の式17で表せるので、式16は式18の左辺のように変形できる。そして、所要の製品寿命tを達成するためには、グリース溜め部4の容積Zは、グリース消費量Yを超えるものであることが必要となるので、軸受本体1に形成すべきグリース溜め部4の容積Zは、下記の式19で表される。

0053

実用的な軸受本体1とするためには、製品寿命tに関して適度の安全率を見込む必要がある。軸受本体1の安全率Gは、製品寿命tを達成するために必要なグリース量以上のグリースをグリース溜め部4に貯えることによって高められるものであり、下記の式20で算出される。軸受本体1に1つのグリース溜め部4を形成し、当該1つのグリース溜め部4に製品寿命tを達成するために必要な量のグリースを貯えた場合には、安全率が1となり、軸受本体1に3つのグリース溜め部4を形成し、これら3つのグリース溜め部4のそれぞれに製品寿命tを達成するために必要な量のグリースを貯えた場合には、安全率が3となる。実用的には、所要の製品寿命tを達成でき、かつグリースの無駄を低減するため、安全率Gは、下記の式21で表されるように、1以上3以下とすることが望ましい。

0054

以上の検討結果より、本発明に係る軸受本体1は、上記の式16及び式19を満たすものとすることにより、潤滑性が良好で所定の製品寿命を達成可能なものとすることができる。

0055

本発明は、耐久財に適用可能な製品寿命が長い樹脂製すべり軸受に利用できる。

0056

1軸受本体(樹脂製すべり軸受)
1a 軸受本体の外周面
2リブ
2aリング状部
2b放射状部。
3回転軸保持孔
3a 回転軸摺動面
3bテーパ面
4グリース溜め部
5グリース
A 回転軸
Bゴムブッシュ
θ グリース溜め部の傾斜角度

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