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技術 H形鋼の粗圧延用孔型及びH形鋼の粗圧延方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 田中誠一東悦男
出願日 2015年5月29日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-109872
公開日 2016年12月28日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2016-221541
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 圧延ロール・圧延スタンド・圧延機の駆動
主要キーワード 上下方向両端 左側壁面 略山形 右側壁面 フランジ外面 断面サイズ ウェブ高 素材鋼片
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月28日)のものです。
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図面 (6)

課題

第2割り孔型と押し広げ孔型とを連続させて孔型をロール胴長に納めた場合でも、素材鋼片におけるフランジの外面に疵が残ることなく、当該フランジの部分の左右形状のばらつきを極力なくすことができる、H形鋼粗圧延用孔型及びH形鋼の粗圧延方法を提供する。

解決手段

H形鋼の粗圧延用孔型において、第2割り孔型k−2の第2突起部12の左側壁面12a及び右側壁面12bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとなす角度θ21が、第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bと垂線Lとのなす角度θ1とほぼ同一である第1傾斜部12a1,12b1と、垂線Lとなす角度θ22が、角度θ21に対して2°以上大きい第2傾斜部12a2,12b2と、垂線Lとなす角度θ23が、押し広げ孔型k−3の側壁面13dと垂線Lとのなす角度θ4と同一である第3傾斜部12a3,12b3とを備える。

概要

背景

近年、H形鋼省エネルギー及び歩留まりの観点から連続鋳造スラブから圧延する方法が一般的となっている。
すなわち、従来のH形鋼の一般的な製造工程としては、連続鋳造された素材鋼片を加熱工程—粗圧延工程—中間圧延工程—仕上圧延工程を経てH形鋼が製造される。
ここで、従来のH形鋼の粗圧延方法として、例えば、特許文献1に記載されたH形鋼の粗圧延方法や特許文献2に記載にされたH形鋼用粗形鋼片の粗圧延方法が知られている。
そして、特許文献1や特許文献2に記載された従来の粗圧延方法においては、例えば、図4に示す粗圧延用孔型が用いられている。

図4に示す粗圧延用孔型は、上下一対ロール10に孔設された第1割り孔型k−1と、上下一対のロール10に第1割り孔型k−1に隣接して孔設された第2割り孔型k−2と、上下一対のロール10に第2割り孔型k−2に隣接して孔設された押し広げ孔型k−3と、上下一対のロール10に押し広げ孔型k−3に隣接して孔設されたボックス孔型k−4と、上下一対のロール10にボックス孔型k−4に隣接して孔設された造形孔型k−5とを備えている。
ここで、第1割り孔型k−1は、加熱工程を経た矩形状の素材鋼片1の両端面にV字形割り2を入れる第1突起部11を第1割り孔型k−1のロール胴長方向の中央部に設けている。第1突起部11は、左側壁面11a及び右側壁面11bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。

また、第2割り孔型k−2は、第1割り孔型k−1によって入れられたV字形の割り2を深くする第2突起部12を第2割り孔型k−2のロール胴長方向の中央部に設けている。第2突起部12は、左側壁面12a及び右側壁面12bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。
更に、押し広げ孔型k−3は、第2割り孔型k−2によって深くされたV字形の割り2を左右に広げる第3突起部13を押し広げ孔型k−3のロール胴長方向の中央部に設けている。第3突起部13は、左側壁面13a及び右側壁面13bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。

また、ボックス孔型k−4は、押し広げ孔型k−3によって押し拡げられたV字形の割り2を押し広げて平らにするものである。
また、造形孔型k−5は、ボックス孔型k−4によってV字形の割り2を押し広げて平らにされた素材鋼片1に圧延を行って中間粗形鋼片3を形成するものである。
そして、この粗圧延用孔型を用いて粗圧延を行う際には、第1割り孔型k−1第2割り孔型k−2、及び押し広げ孔型k−3によって素材鋼片1の幅方向を上下にして粗圧延を行う。この際に、第1割り孔型k−1の第1突起部11によって矩形状の素材鋼片1の両端面にV字形の割り2を入れるとともに第2割り孔型k−2の第2突起部12によってV字形の割り2を深くし、更に、第3突起部13を含む押し広げ孔型k−3によってV字形の割り2を押し広げる。そして、ボックス孔型k−4によって両端面のV字形の割り2を更に押し広げて平らにし、その後、素材鋼片1の幅方向(一対のV字形の割り2の対向方向)が水平となるように素材鋼片1を転回した後、造形孔型k−5により圧延を行って中間粗形鋼片3を形成する。

ところで、図4に示す粗圧延用孔型においては、孔型k−1〜k−5の数が多い点及び中間粗形鋼片3のウェブ高さWが大きくなるにつれて造形孔型k−5の幅が広くなるといった点から、これら孔型k−1〜k−5をロール胴長に納めることが困難である、という問題があった。
この問題を解決するために、近年では、例えば、図5に示すように(図5においては、下側のロール10のみ図示)、ボックス孔型k−4を省略するとともに、第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3との間の壁部10a(図4参照)を省略して第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3とを連続させる孔型配置が実施されている。

概要

第2割り孔型と押し広げ孔型とを連続させて孔型をロール胴長に納めた場合でも、素材鋼片におけるフランジの外面に疵が残ることなく、当該フランジの部分の左右形状のばらつきを極力なくすことができる、H形鋼の粗圧延用孔型及びH形鋼の粗圧延方法を提供する。H形鋼の粗圧延用孔型において、第2割り孔型k−2の第2突起部12の左側壁面12a及び右側壁面12bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとなす角度θ21が、第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bと垂線Lとのなす角度θ1とほぼ同一である第1傾斜部12a1,12b1と、垂線Lとなす角度θ22が、角度θ21に対して2°以上大きい第2傾斜部12a2,12b2と、垂線Lとなす角度θ23が、押し広げ孔型k−3の側壁面13dと垂線Lとのなす角度θ4と同一である第3傾斜部12a3,12b3とを備える。

目的

本発明はこの従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、第2割り孔型と押し広げ孔型とを連続させて孔型をロール胴長に納めた場合でも、素材鋼片におけるフランジの外面に疵が残ることなく、当該フランジの部分の左右形状のばらつきを極力なくすことができる、H形鋼の粗圧延用孔型及びH形鋼の粗圧延方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

上下一対ロールに孔設される第1割り孔型と、前記上下一対のロールに前記第1割り孔型に隣接して孔設された第2割り孔型と、前記上下一対のロールに前記第2割り孔型に隣接して孔設された押し広げ孔型とを少なくとも備え、前記第1割り孔型には、矩形状の素材鋼片の両端面にV字形割りを入れる第1突起部が該第1割り孔型のロール胴長方向の中央部に設けられ、前記第2割り孔型には、前記第1割り孔型によって入れられたV字形の割りを深くする第2突起部が該第2割り孔型のロール胴長方向の中央部に設けられ、前記押し広げ孔型には、前記第2割り孔型によって深くされたV字形の割りを左右に広げる第3突起部が該押し広げ孔型のロール胴長方向の中央部に設けられており、前記第2割り孔型の前記第2突起部の一方の壁面が前記押し広げ孔型の一方の側壁として兼用される粗圧延用孔型であって、前記第2割り孔型の前記第2突起部は、前記第1割り孔型側の左側壁面と前記押し広げ孔型側の右側壁面とがロール胴長方向に対する垂線に対して傾斜する線対称の形状をなす山形に形成されると共に、前記第2突起部の前記第1割り孔型側の左側壁面及び前記押し広げ孔型側の右側壁面のそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線となす角度が、前記第1突起部の左側壁面及び右側壁面と前記垂線とのなす角度とほぼ同一である第1傾斜部と、当該第1傾斜部の前記第2突起部の根元側に連続し、前記垂線となす角度が、前記第1傾斜部と前記垂線とのなす角度に対して2°以上大きい第2傾斜部と、当該第2傾斜部の前記第2突起部の根元側に連続し、前記垂線となす角度が前記押し広げ孔型の前記第2突起部とロール胴長方向に対向する側壁面と前記垂線とのなす角度と同一である第3傾斜部とを備えていることを特徴とするH形鋼の粗圧延用孔型。

請求項2

前記第2傾斜部は、前記垂線となす角度が、前記第1傾斜部と前記垂線とのなす角度に対して3°以上7°以下大きいことを特徴とする請求項1に記載のH形鋼の粗圧延用孔型。

請求項3

前記第1傾斜部は、前記垂線となす角度が20°以上30°以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のH形鋼の粗圧延用孔型。

請求項4

請求項1乃至3のいずれか一項に記載のH形鋼の粗圧延用孔型を用いてH形鋼を粗圧延することを特徴とするH形鋼の粗圧延方法

技術分野

0001

本発明は、H形鋼粗圧延孔型及びこの粗圧延用孔型を用いてH形鋼を粗圧延するためのH形鋼の粗圧延方法に関する。

背景技術

0002

近年、H形鋼は省エネルギー及び歩留まりの観点から連続鋳造スラブから圧延する方法が一般的となっている。
すなわち、従来のH形鋼の一般的な製造工程としては、連続鋳造された素材鋼片を加熱工程—粗圧延工程—中間圧延工程—仕上圧延工程を経てH形鋼が製造される。
ここで、従来のH形鋼の粗圧延方法として、例えば、特許文献1に記載されたH形鋼の粗圧延方法や特許文献2に記載にされたH形鋼用粗形鋼片の粗圧延方法が知られている。
そして、特許文献1や特許文献2に記載された従来の粗圧延方法においては、例えば、図4に示す粗圧延用孔型が用いられている。

0003

図4に示す粗圧延用孔型は、上下一対ロール10に孔設された第1割り孔型k−1と、上下一対のロール10に第1割り孔型k−1に隣接して孔設された第2割り孔型k−2と、上下一対のロール10に第2割り孔型k−2に隣接して孔設された押し広げ孔型k−3と、上下一対のロール10に押し広げ孔型k−3に隣接して孔設されたボックス孔型k−4と、上下一対のロール10にボックス孔型k−4に隣接して孔設された造形孔型k−5とを備えている。
ここで、第1割り孔型k−1は、加熱工程を経た矩形状の素材鋼片1の両端面にV字形割り2を入れる第1突起部11を第1割り孔型k−1のロール胴長方向の中央部に設けている。第1突起部11は、左側壁面11a及び右側壁面11bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。

0004

また、第2割り孔型k−2は、第1割り孔型k−1によって入れられたV字形の割り2を深くする第2突起部12を第2割り孔型k−2のロール胴長方向の中央部に設けている。第2突起部12は、左側壁面12a及び右側壁面12bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。
更に、押し広げ孔型k−3は、第2割り孔型k−2によって深くされたV字形の割り2を左右に広げる第3突起部13を押し広げ孔型k−3のロール胴長方向の中央部に設けている。第3突起部13は、左側壁面13a及び右側壁面13bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。

0005

また、ボックス孔型k−4は、押し広げ孔型k−3によって押し拡げられたV字形の割り2を押し広げて平らにするものである。
また、造形孔型k−5は、ボックス孔型k−4によってV字形の割り2を押し広げて平らにされた素材鋼片1に圧延を行って中間粗形鋼片3を形成するものである。
そして、この粗圧延用孔型を用いて粗圧延を行う際には、第1割り孔型k−1第2割り孔型k−2、及び押し広げ孔型k−3によって素材鋼片1の幅方向を上下にして粗圧延を行う。この際に、第1割り孔型k−1の第1突起部11によって矩形状の素材鋼片1の両端面にV字形の割り2を入れるとともに第2割り孔型k−2の第2突起部12によってV字形の割り2を深くし、更に、第3突起部13を含む押し広げ孔型k−3によってV字形の割り2を押し広げる。そして、ボックス孔型k−4によって両端面のV字形の割り2を更に押し広げて平らにし、その後、素材鋼片1の幅方向(一対のV字形の割り2の対向方向)が水平となるように素材鋼片1を転回した後、造形孔型k−5により圧延を行って中間粗形鋼片3を形成する。

0006

ところで、図4に示す粗圧延用孔型においては、孔型k−1〜k−5の数が多い点及び中間粗形鋼片3のウェブ高さWが大きくなるにつれて造形孔型k−5の幅が広くなるといった点から、これら孔型k−1〜k−5をロール胴長に納めることが困難である、という問題があった。
この問題を解決するために、近年では、例えば、図5に示すように(図5においては、下側のロール10のみ図示)、ボックス孔型k−4を省略するとともに、第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3との間の壁部10a(図4参照)を省略して第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3とを連続させる孔型配置が実施されている。

先行技術

0007

特開平1−186201号公報
特開平7−265901号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、図5に示す孔型配置にあっては、以下の問題点があった。
即ち、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとのなす角度θ2を、第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bと垂線Lとのなす角度θ1とほぼ同一とし、第2割り孔型k−2の第2突起部12によって、第1割り孔型k−1で入れたV字形の割り2を深くするようにしている。
一方、押し広げ孔型k−3の第3突起部13の左側壁面13a及び右側壁面13bと垂線Lとのなす角度θ3は、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bと垂線Lとのなす角度θ2よりもかなり大きく設定されている。このため、図5に示すように、第2割り孔型k−2の第2突起部12で割り2を深く入れた素材鋼片1の割り2を押し広げ孔型k−3の第3突起部13で押し広げる際に、割り2がうまく広がらずに割り2の内側が押しつぶされて疵になることがある。そうなると、素材鋼片1におけるフランジ1c(図4参照)の外面に疵が残るという問題がある。一方、前記角度θ2を前記角度θ3に近づけるように大きくして第3突起部13による素材鋼片1の割り2を円滑に押し広げようとする場合、前記角度θ2が前記角度θ1よりもかなり大きくなってしまい、第2割り孔型k−2の第2突起部12によって、第1割り孔型k−1で入れたV字形の割り2を円滑に深くすることができない。

0009

また、第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3との間の壁部10aを省略して第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3とを連続させると、押し広げ孔型k−3の第2割り孔型k−2側の左側壁13c(図4参照)がなくなり、図5に示すように、押し広げ孔型k−3において、第3突起部13を挟んで第2割り孔型k−2の第2突起部12における右側壁面12bと押し広げ孔型k−3の右側の側壁面13dとが対向することになる。
ここで、第2割り孔型k−2の第2突起部12における右側壁面12bと上下方向に延びるロール胴長方向と垂直をなす垂線Lとのなす角度θ2は、押し広げ孔型k−3の右側の側壁面13dと上下方向に延びる垂線Lとのなす角度θ4よりも大きくなっている。即ち、第2割り孔型k−2の第2突起部12における右側壁面12bが押し広げ孔型k−3の側壁面13dに対してやや寝た形状をなしており、第3突起部13を挟んで第2突起部12における右側壁面12bと押し広げ孔型k−3の側壁面13dとが非対称となっている。このため、押し広げ孔型k−3における粗圧延が不安定になり、素材鋼片1におけるフランジ1cの部分の左右形状にばらつきが生じ易くなるという問題があった。

0010

従って、本発明はこの従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、第2割り孔型と押し広げ孔型とを連続させて孔型をロール胴長に納めた場合でも、素材鋼片におけるフランジの外面に疵が残ることなく、当該フランジの部分の左右形状のばらつきを極力なくすことができる、H形鋼の粗圧延用孔型及びH形鋼の粗圧延方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るH形鋼の粗圧延用孔型は、上下一対のロールに孔設される第1割り孔型と、前記上下一対のロールに前記第1割り孔型に隣接して孔設された第2割り孔型と、前記上下一対のロールに前記第2割り孔型に隣接して孔設された押し広げ孔型とを少なくとも備え、前記第1割り孔型には、矩形状の素材鋼片の両端面にV字形の割りを入れる第1突起部が該第1割り孔型のロール胴長方向の中央部に設けられ、前記第2割り孔型には、前記第1割り孔型によって入れられたV字形の割りを深くする第2突起部が該第2割り孔型のロール胴長方向の中央部に設けられ、前記押し広げ孔型には、前記第2割り孔型によって深くされたV字形の割りを左右に広げる第3突起部が該押し広げ孔型のロール胴長方向の中央部に設けられており、前記第2割り孔型の前記第2突起部の一方の壁面が前記押し広げ孔型の一方の側壁として兼用される粗圧延用孔型であって、前記第2割り孔型の前記第2突起部は、前記第1割り孔型側の左側壁面と前記押し広げ孔型側の右側壁面とがロール胴長方向に対する垂線に対して傾斜する線対称の形状をなす山形に形成されると共に、前記第2突起部の前記第1割り孔型側の左側壁面及び前記押し広げ孔型側の右側壁面のそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線となす角度が、前記第1突起部の左側壁面及び右側壁面と前記垂線とのなす角度とほぼ同一である第1傾斜部と、当該第1傾斜部の前記第2突起部の根元側に連続し、前記垂線となす角度が、前記第1傾斜部と前記垂線とのなす角度に対して2°以上大きい第2傾斜部と、当該第2傾斜部の前記第2突起部の根元側に連続し、前記垂線となす角度が前記押し広げ孔型の前記第2突起部とロール胴長方向に対向する側壁面と前記垂線とのなす角度と同一である第3傾斜部とを備えていることを要旨とする。

0012

ここで、第1傾斜部において、「ロール胴長方向に対する垂線となす角度が、第1突起部の左側壁面及び右側壁面と垂線とのなす角度とほぼ同一である」とは、ロール胴長方向に対する垂線となす角度が、第1突起部の左側壁面及び右側壁面と垂線とのなす角度に対して±5°程度以内を意味する。
また、本発明の別の態様に係るH形鋼の粗圧延方法は、前述の粗圧延用孔型を用いてH形鋼を粗圧延することを要旨とする。

発明の効果

0013

本発明に係るH形鋼の粗圧延用孔型及びH形鋼の粗圧延方法によれば、第2割り孔型と押し広げ孔型とを連続させて孔型をロール胴長に納めた場合でも、素材鋼片におけるフランジの外面に疵が残ることなく、当該フランジの部分の左右形状のばらつきを極力なくすことができる、H形鋼の粗圧延用孔型及びH形鋼の粗圧延方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0014

本発明に係るH形鋼の粗圧延用孔型の実施形態を示す説明図である。但し、図1においては、下側のロールのみ図示している。
図1に示す粗圧延用孔型の第2割り孔型における第2突起部の拡大図である。
押し広げ孔型によって粗圧延された素材鋼片を説明するための図である。
従来の粗圧延用孔型を示す説明図である。
図4に示す従来の粗圧延用孔型を改良した従来の粗圧延用孔型の一例を示す説明図である。

0015

以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るH形鋼の粗圧延用孔型を示す説明図である。但し、図1においては、下側のロールのみ図示している。図2は、図1に示す粗圧延用孔型の第2割り孔型における第2突起部の拡大図である。
H形鋼を製造するに際しては、連続鋳造された素材鋼片を加熱工程—粗圧延工程—中間圧延工程—仕上圧延工程を経てH形鋼が製造される。
ここで、H形鋼の粗圧延工程においては、図1に示す粗圧延用孔型を有する上下一対のロール10,10(図1においては、下側のロール10のみ図示)により、矩形状の素材鋼片1を中間粗形鋼片3に成形していく。

0016

図1に示す粗圧延用孔型は、上下一対のロール10に孔設された第1割り孔型k−1と、上下一対のロール10に第1割り孔型k−1に隣接して孔設された第2割り孔型k−2と、上下一対のロール10に第2割り孔型k−2に隣接して孔設された押し広げ孔型k−3と、上下一対のロール10に押し広げ孔型k−3に隣接して孔設された造形孔型k−5とを備えている。
ここで、第1割り孔型k−1は、加熱工程を経た矩形状の素材鋼片1の両端面にV字形の割り2を入れる第1突起部11を第1割り孔型k−1のロール胴長方向の中央部に設けている。第1突起部11は、左側壁面11a及び右側壁面11bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとなす角度が、θ1に設定されている。当該角度θ1は、素材鋼片1の両端面にV字形の割りを滑らかに入れられる角度に設定されている。

0017

また、第2割り孔型k−2は、第1割り孔型k−1によって入れられたV字形の割り2を深くする第2突起部12を第2割り孔型k−2のロール胴長方向の中央部に設けている。
更に、押し広げ孔型k−3は、第2割り孔型k−2によって深くされたV字形の割り2を左右に広げる第3突起部13を押し広げ孔型k−3のロール胴長方向の中央部に設けている。第3突起部13は、左側壁面13a及び右側壁面13bが互いに先端に向けて傾斜する略山形に形成されている。

0018

また、造形孔型k−5は、押し広げ孔型k−3によってV字形の割り2を押し広げられた素材鋼片1を、素材鋼片の幅方向、すなわち一対のV字形の割り2の対向方向が水平となるように転回した後、圧延を行って中間粗形鋼片3を形成するものである。
ここで、第2突起部12の一方の壁面(押し広げ孔型k−3側の壁面12b)が押し広げ孔型k−3の一方の側壁として兼用されている。つまり、第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3との間の壁部は省略されており、第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3とが連続されて構成されている。

0019

そして、図2に示すように、第2割り孔型k−2の第2突起部12は、第1割り孔型k−1側の左側壁面12aと押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bとがロール胴長方向(図1及び図2に示す左右方向)に対する垂線Lに対して傾斜する線対称の形状をなす山形に形成されている。
また、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとなす角度θ21が、第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bと垂線Lとのなす角度θ1とほぼ同一である第1傾斜部12a1,12b1を備えている。ここで、ロール胴長方向に対する垂線Lとのなす角度θ21が、第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bと垂線Lとのなす角度θ1とほぼ同一とは、前記角度θ21が前記角度θ1に対して±5°程度以内を意味する。そして、角度θ21は、20°以上30°以下であることが好ましい。

0020

また、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれは、第1傾斜部12a1,12b1の第2突起部12の根元側に連続する第2傾斜部12a2,12b2を備えている。第2傾斜部12a2,12b2の各々は、ロール胴長方向に対する垂線Lとのなす角度θ22が第1傾斜部12a1,12b1と垂線Lとのなす角度θ1に対して2°以上大きくなっている。
更に、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとなす角度θ23が、押し広げ孔型k−3の第2突起部12とロール胴長方向に対向する側壁面13d(以下、単に側壁面13dともいう)とロール胴長方向に対する垂線Lとのなす角度θ4と同一である第3傾斜部12a3,12b3を備えている。

0021

そして、この粗圧延用孔型を用いて粗圧延を行う際には、図1に示すように、第1割り孔型k−1、第2割り孔型k−2、及び押し広げ孔型k−3によって素材鋼片1の幅方向を上下にして粗圧延を行う。この際に、第1割り孔型k−1の第1突起部11によって矩形状の素材鋼片1の両端面にV字形の割り2を入れるとともに第2割り孔型k−2の第2突起部12によってV字形の割り2を深くし、更に、第3突起部13を含む押し広げ孔型k−3によってV字形の割り2を押し広げる。そして、押し広げ孔型k−3によってV字形の割り2が広げられた素材鋼片1を一対の割り2の対向方向が水平となるように90度回転させて造形孔型k−5により圧延を行って中間粗形鋼片3を形成する。

0022

ここで、第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3との間の壁部を省略して第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3とを連続させている。このため、壁部を挟んで第2割り孔型k−2と押し広げ孔型k−3とを形成する場合よりも第2割り孔型k−2の端から押し広げ孔型k−3の端までの長さを小さくすることができ、第2割り孔型と押し広げ孔型とを連続させて複数の孔型k−1、k−2、k−3、k−5をロール胴長に納めることができる。
そして、この場合でも、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとなす角度θ21が、第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bと垂線Lとのなす角度θ1とほぼ同一である第1傾斜部12a1,12b1を備えている。このため、第1割り孔型k−1の第1突起部11で入れたV字形の割り2を第1傾斜部12a1,12b1によって適切に深くすることができる。

0023

ここで、前述したように、ロール胴長方向に対する垂線Lとのなす角度θ21が、第1突起部11の左側壁面11a及び右側壁面11bと垂線Lとのなす角度θ1と「ほぼ同一」とは、前記角度θ21が前記角度θ1に対して±5°程度以内を意味する。前記角度θ21が前記角度θ1に対して5°以上大きいと、V字形の割り2を第1傾斜部12a1,12b1によって深くする際に、素材鋼片1への負荷が大きくなり、素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2(図3参照)の部分に疵が残るおそれがある。一方、前記角度θ21が前記角度θ1に対して5°以上小さいと、割り2を適切に深くすることができない。
また、前記角度θ21は、前述したように、20°以上30°以下であることが好ましい。角度θ21が20°よりも小さいと、第2突起部12が割損してしまうおそれがある。また、前記角度θ21が30°よりも大きいと、割り2を適切に深くすることができない。

0024

また、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれは、前述したように、第1傾斜部12a1,12b1の第2突起部12の根元側に連続し、垂線Lとなす角度θ22が、第1傾斜部12a1,12b1と垂線Lとのなす角度θ21に対して2°以上大きい第2傾斜部12a2,12b2を備えている。このため、第2割り孔型k−2の第2突起部12で素材鋼片1の割り2を深く入れる際に、第2傾斜部12a2,12b2によって素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の部分が広がり、広がった素材鋼片1のフランジ1b1,1b2の部分の外側形状を押し広げ孔型k−3の第3突起部13の形状にマッチングすることができる。これにより、押し広げ孔型k−3の第3突起部13で素材鋼片1の割り2を押し広げる際に、割り2がうまく広がり、素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の外面に疵が残るのを回避することができる。前記角度θ22の前記角度θ21に対する角度の大きい量が0°以上2°未満であると、素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の部分の広がり効果が期待できない。従って、本実施形態においては、前記角度θ22が、前記角度θ21に対して2°以上大きいことを必須としている。

0025

なお、前記角度θ22の前記角度θ21に対する角度の大きい量が7°よりも大きいと、現実的に素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の部分が広がりすぎてしまうことがあり、後続する押し広げ孔型k−3および造形孔型k−5による圧延でフランジに疵を発生させることがあるので、前記角度θ22は前記角度θ21+7°以下が好ましい。また、前記角度θ22の前記角度θ21に対する角度の大きい量が3°未満であると、現実的に、素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の部分の広がり効果がやや小さくなるため、前記角度θ22が、前記角度θ21に対して3°以上大きいことがより好ましい。

0026

更に、第2割り孔型k−2における第2突起部12の根元部にある第1割り孔k−1型側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれは、ロール胴長方向に対する垂線Lとなす角度θ23が、押し広げ孔型k−3の第2突起部12とはロール胴長方向に対向する側壁面13dとロール胴長方向に対する垂線Lとのなす角度θ4と同一である第3傾斜部12b3を備える。このため、押し広げ孔型k−3における第3突起部13を挟んで第2割り孔型k−2における第2突起部12の押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bの第3傾斜部12b3と押し広げ孔型k−3の側壁面13dとが対称となる。これにより、押し広げ孔型k−3における粗圧延が安定し、素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の部分の形状にばらつきを極力なくし、ひいては中間粗形鋼片3の形状を安定させることができる。
つまり、押し広げ孔型k−3における第3突起部13を挟んで第2割り孔型k−2における第2突起部12の押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bの第3傾斜部12b3と押し広げ孔型k−3の側壁面13dとを対称として押し広げ孔型k−3内の材料の拘束力をロール胴長方向において均等とし、押し広げ孔型k−3における粗圧延を安定させて素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の部分の形状のばらつきを極力抑制することができる。

0027

図3は、押し広げ孔型によって粗圧延された素材鋼片を説明するための図である。
図3に示すように、押し拡げ孔型k−3によって素材鋼片1を粗圧延すると、素材鋼片1は、上下方向に延びるウェブ1aと、ウェブ1aの上下方向両端に形成された一対のフランジ1b(下側のフランジ1bのみ図示)とからなる鋼片となる。各フランジ1bは、第2割り孔型k−2における第2突起部12の押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bの第3傾斜部12b3に対して肉張りをした左側のフランジ1b1と、押し広げ孔型k−3の側壁面13dに対して肉張りをした右側のフランジ1b2とからなる。この左側のフランジ1b1と右側のフランジ1b2とは、ほぼ同一の形状をなしている。

0028

このため、押し広げ孔型k−3における粗圧延を安定させて素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の部分の形状のばらつきを極力抑制することができるので、中間粗形鋼片3の形状を安定させることができる。また、押し広げ孔型k−3における粗圧延の際に、素材鋼片1におけるフランジ1b1,1b2の外面に疵が残るのを回避することができるので、中間粗形鋼片3のフランジ外面に疵が発生するのを回避することができる。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれる変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、本実施形態で説明した粗圧延用孔型においては、ボックス孔型k−4が上下一対のロール10に設けられていないが、必要に応じ設けても良い。

0029

本発明の効果を検証すべく、図1に示すH形鋼の粗圧延用孔型を用いて、260mm×1500mmの断面サイズの矩形状の素材鋼片1をフランジ幅500mmの中間粗形鋼片3に成形するにあたり、第2突起部12における角度θ22−角度θ21を変更して、素材鋼片1の第3突起部13による割り2の広がりについて評価した。ここで、角度θ21を20°又は30°とし、角度θ22−角度θ21を0°から10°まで変更した。なお、角度θ1は角度θ21と同一角度とし、角度θ23および角度θ4は85°とした。素材鋼片1の第3突起部13による割り2の広がりの評価は、押し広げ孔型k−3で圧延後の素材鋼片を取出し、押し広げ孔型k−3による圧延後のフランジ幅が押し広げ孔型k−3圧延後の目標フランジ幅580mm未満である場合を×、この目標フランジ幅以上である場合を○とした。また、それぞれの条件について、造形孔型k−5で圧延後の中間粗形鋼片を取り出し、フランジでの疵の発生の有無を、フランジの外面および内面に疵がない場合を○、フランジの外面の疵が小さい場合を△、フランジの外面の疵が大きい場合を×として評価した。
その結果を、表1に示す。

0030

実施例

0031

表1に示すように、第2突起部12における角度θ22−角度θ21が2°以上の実施例1乃至6においては、素材鋼片1の第3突起部13による割り2の広がりの評価は○であり、フランジの外面および内面に疵が発見できなかった。これに対して、第2突起部12における角度θ22−角度θ21が2°未満の0°、1°の比較例1においては、素材鋼片1の第3突起部13による割り2の広がりの評価は×であり、フランジの外面に大きな疵が発見された。
従って、第2突起部12の第1割り孔型k−1側の左側壁面12a及び押し広げ孔型k−3側の右側壁面12bのそれぞれが、垂線Lとなす角度θ22が、第1傾斜部12a1,12b1と垂線Lとのなす角度θ21に対して2°以上大きい第2傾斜部12a2,12b2を備えていることが良好な結果が得られることが理解できよう。

0032

1素材鋼片
2割り
3 中間粗形鋼片
10ロール
11 第1突起部
11a左側壁面
11b右側壁面
12 第2突起部
12a 第1割り孔型側の左側壁面
12a1 第1傾斜部
12a2 第2傾斜部
12a3 第3傾斜部
12b 押し広げ孔型側の右側壁面
12b1 第1傾斜部
12b2 第2傾斜部
12b3 第3傾斜部
13 第3突起部
13a 左側壁面
13b 右側壁面
13d 押し広げ孔型の側壁面
k−1 第1割り孔型
k−2 第2割り孔型
k−3 押し広げ孔型
k−5 造形孔型

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