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技術 移動運動解析装置及びシステム並びにプログラム

出願人 株式会社早稲田エルダリーヘルス事業団
発明者 太田裕一
出願日 2015年5月29日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2015-110040
公開日 2016年12月28日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2016-220922
状態 特許登録済
技術分野 生体の呼吸・聴力・形態・血液特性等の測定
主要キーワード 波形条件 歩行期間 時間積分処理 加速度センサモジュール 左右判別 回復レベル データ取得期間 区間最大値
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月28日)のものです。
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図面 (20)

課題

人の歩行などの移動運動中に当該人に取り付けられた加速度センサから得られたデータ上で着地を精度よく認識する。

解決手段

加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における加速度を表すデータに基づいて生成された第1の波形において、一歩に対応する時間的な区間Kを特定する特定手段と、前記データに基づいて得られる前記人の移動運動中における上下方向の加速度を前記第1の波形と同一の時間で表す第2の波形WJz′において、それぞれの前記区間Kの最大値及び最小値のいずれか一方に対応する時刻を、足が着地した時刻HCとして検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置を提供する。

概要

背景

従来、医療施設介護施設等において、歩行障害を持つ患者に対するリハビリテーション(rehabilitation)が行われている。

このリハビリテーションでは、一般的に、患者に適した歩行訓練プログラム(program)を作成したり、患者の回復レベル(level)を把握したりするために、理学療法士などの指導員が、患者の歩行運動を繰り返し評価する。

また、近年においては、加速度センサを用いて人の歩行などの移動運動中に生じる加速度を測定し、その測定結果に基づいて移動運動を定量的かつ客観的に評価する試みが成されている(例えば、特許文献1,要約等参照)。

概要

人の歩行などの移動運動中に当該人に取り付けられた加速度センサから得られたデータ上で着地を精度よく認識する。加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における加速度を表すデータに基づいて生成された第1の波形において、一歩に対応する時間的な区間Kを特定する特定手段と、前記データに基づいて得られる前記人の移動運動中における上下方向の加速度を前記第1の波形と同一の時間で表す第2の波形WJz′において、それぞれの前記区間Kの最大値及び最小値のいずれか一方に対応する時刻を、足が着地した時刻HCとして検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置を提供する。

目的

このような事情により、移動運動をする人に取り付けられた加速度センサからのデータにおいて、足が着地するタイミングを高い精度で認識することができる技術が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における加速度を表すデータに基づいて生成された第1の波形において、一歩に対応する時間的な区間を特定する特定手段と、前記データに基づいて得られる前記人の移動運動中における上下方向の加速度を前記第1の波形と同一の時間で表す第2の波形において、それぞれの前記区間の最大値及び最小値のいずれか一方に対応する時刻を、足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置

請求項2

加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における加速度を表すデータに基づいて生成された第1の波形において、一歩に対応する時間的な区間を特定する特定手段と、前記データに基づいて得られる前記人の移動運動中における上下方向の加速度に基づいて演算される量を前記第1の波形と同一の時間で表す第2の波形において、それぞれの前記区間の最大値及び最小値のいずれか一方に対応する時刻を、足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置。

請求項3

前記演算される量は、前記上下方向の加速度の項を含む演算式により演算されている請求項2に記載の移動運動解析装置。

請求項4

前記演算される量は、前記上下方向の加速度を二階微分した項をk乗(k≧1)した項を含む演算式により演算されている請求項2または請求項3に記載の移動運動解析装置。

請求項5

前記第2の波形から高周波成分を除去する手段を更に含んでいる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。

請求項6

前記特定手段は、前記データによって得られる上下方向の加速度と前後方向の加速度との線形結合を表す第3の波形に基づいて、前記区間を特定する手段を含んでいる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。

請求項7

前記特定手段は、前記第3の波形における極大値及び極小値のいずれか一方に対応する時刻同士の間を、前記区間として特定する手段を含んでいる請求項6に記載の移動運動解析装置。

請求項8

前記特定手段は、前記データによって得られる上下方向、前後方向、または左右方向の加速度を二階積分して得られる位置の波形から、該位置の波形を移動平均処理して得られる波形を減算して成る波形に基づいて、前記区間を特定する手段を含んでいる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。

請求項9

前記移動運動は、歩行である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の移動運動解析装置。

請求項10

前記加速度センサと、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の移動運動解析装置とを備えた移動運動解析ステム

請求項11

コンピュータを請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の移動運動解析装置として機能させるためのプログラム

技術分野

0001

本発明は、加速度センサ(sensor)を用いて人の歩行などの移動運動を評価するための技術に関する。

背景技術

0002

従来、医療施設介護施設等において、歩行障害を持つ患者に対するリハビリテーション(rehabilitation)が行われている。

0003

このリハビリテーションでは、一般的に、患者に適した歩行訓練プログラム(program)を作成したり、患者の回復レベル(level)を把握したりするために、理学療法士などの指導員が、患者の歩行運動を繰り返し評価する。

0004

また、近年においては、加速度センサを用いて人の歩行などの移動運動中に生じる加速度を測定し、その測定結果に基づいて移動運動を定量的かつ客観的に評価する試みが成されている(例えば、特許文献1,要約等参照)。

先行技術

0005

特開2013−059489号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記のように加速度の測定結果に基づいて移動運動を評価する場合、加速度データにおいて足が着地するタイミングを認識することは非常に重要である。

0007

しかしながら、加速度データには複雑な波形が現れることが多く、足が着地するタイミングを精度よく認識することは難しい。

0008

このような事情により、移動運動をする人に取り付けられた加速度センサからのデータにおいて、足が着地するタイミングを高い精度で認識することができる技術が望まれている。

課題を解決するための手段

0009

第1の観点の発明は、
加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における加速度を表すデータに基づいて生成された第1の波形において、一歩に対応する時間的な区間を特定する特定手段と、
前記データに基づいて得られる前記人の移動運動中における上下方向の加速度を前記第1の波形と同一の時間で表す第2の波形において、それぞれの前記区間の最大値及び最小値のいずれか一方に対応する時刻を、足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置を提供する。

0010

第2の観点の発明は、
加速度センサを用いて得られた人の移動運動中における加速度を表すデータに基づいて生成された第1の波形において、一歩に対応する時間的な区間を特定する特定手段と、
前記データに基づいて得られる前記人の移動運動中における上下方向の加速度に基づいて演算される量を前記第1の波形と同一の時間で表す第2の波形において、それぞれの前記区間の最大値及び最小値のいずれか一方に対応する時刻を、足が着地した時刻として検出する検出手段とを備えた移動運動解析装置を提供する。

0011

ここで、「足が着地した時刻」とは、足の少なくとも一部、例えばや足の裏全体が、前記人の歩行する路面に実質的に接した時刻である。なお、「着地」は、足がなどを介在して間接的に路面に接する場合も含む。

0012

第3の観点の発明は、
前記演算される量が、前記上下方向の加速度の項を含む演算式により演算されている上記第2の観点の移動運動解析装置を提供する。

0013

第4の観点の発明は、
前記演算される量が、前記上下方向の加速度を二階微分した項をk乗(k≧1)した項を含む演算式により演算されている上記第2の観点または第3の観点の移動運動解析装置を提供する。

0014

第5の観点の発明は、
前記第2の波形から高周波成分を除去する手段を更に含んでいる上記第1の観点から第4の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。

0015

第6の観点の発明は、
前記特定手段が、前記データによって得られる上下方向の加速度と前後方向の加速度との線形結合を表す第3の波形に基づいて、前記区間を特定する手段を含んでいる上記第1の観点から第5の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。

0016

第7の観点の発明は、
前記特定手段が、前記第3の波形における極大値及び極小値のいずれか一方に対応する時刻同士の間を、前記区間として特定する手段を含んでいる上記第6の観点の移動運動解析装置を提供する。

0017

第8の観点の発明は、
前記特定手段が、前記データによって得られる上下方向、前後方向、または左右方向の加速度を二階積分して得られる位置の波形から、該位置の波形を移動平均処理して得られる波形を減算して成る波形に基づいて、前記区間を特定する手段を含んでいる上記第1の観点から第5の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。

0018

第9の観点の発明は、
前記移動運動が、歩行である上記第1の観点から第8の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置を提供する。

0019

第10の観点の発明は、
前記加速度センサと、上記第1の観点から第9の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置とを備えた移動運動解析ステムを提供する。

0020

第11の観点の発明は、
コンピュータを上記第1の観点から第9の観点のいずれか一つの観点の移動運動解析装置として機能させるためのプログラムを提供する。

発明の効果

0021

上記観点の発明によれば、移動運動をする人に取り付けられた加速度センサからのデータにおいて、足が着地するタイミングを高い精度で認識することができる。

図面の簡単な説明

0022

歩行解析システムの構成を概略的に示す図である。
加速度センサモジュール及び歩行解析装置ハードウェアの構成を示す図である。
加速度センサモジュール及び歩行解析装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
加速度データ解析部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
歩行解析システムにおける処理の流れを示すフロー図である。
サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形、前後方向加速度波形、及び上下方向加速度波形を示す図である。
サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形、前後方向加速度波形、及び上下方向加速度波形の拡大図である。
サンプル加速度データに基づいて生成された加速度波形Wx,Wy,Wzに、解析対象として決定された歩行期間R′を重ねて表した図である。
上下方向加速度波形Wzと歩行位相との関係を示す図である。
テップ基準時刻検出部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
ステップ基準時刻検出処理の流れを示すフロー図である。
サンプル加速度データに基づく前後方向加速度波形Wy′及び上下方向加速度波形Wz′の拡大図である。
サンプル加速度データに基づく歩行同期波形WBを示す図である。
歩行同期波形WBにおける一歩区間Kを示す図である。
歩行同期波形WBと上下加速度反映波形WJz′とを示す図である。
上下加速度反映波形WJz′における一歩区間Kごとに特定された区間内最大値Mkを示す図である。
ステップ基準時刻として検出された踵着地の時刻を示す図である。
踵着地左右判別部の機能的な構成を示す図である。
踵着地左右判別処理の流れを示すフロー図である。
サンプル加速度データに基づく左右方向加速度波形Wx′の拡大図である。
左右方向位置波形のトレンド除去前後での周波数分布の比較例を示す図である。
処理済みの左右方向の位置の波形WLx′と各種の波形とを示す図である。
踵着地の左右判別の例を示す図である。
ステップ時間グラフ生成部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
ステップ時間グラフ生成処理の流れを示すフロー図である。
左右ステップ時間の特定例を示す図である。
通常歩行時のステップ時間グラフの例を示す図である。
固定時のステップ時間グラフの例を示す図である。

実施例

0023

以下、発明の実施形態について説明する。なお、これにより発明は限定されない。

0024

図1は、歩行解析システム(system)1の構成を概略的に示す図である。なお、歩行解析システム1は、発明における移動運動解析システムの一例である。

0025

歩行解析システム1は、図1に示すように、加速度センサモジュール(sensor module)2と、歩行解析装置3とを有している。加速度センサモジュール2は、患者10の背面の腰部中央等に、粘着パッド(pad)やバンド(band)等により装着される。歩行解析装置3は、操作者11が携帯したり操作したりして使用される。なお、歩行解析装置3は、発明における移動運動解析装置の一例である。

0026

図2は、加速度センサモジュール2及び歩行解析装置3のハードウェア(hardware)の構成を示す図である。

0027

図2に示すように、加速度センサモジュール2は、プロセッサ(processor)21と、加速度センサ22と、メモリ(memory)23と、通信I/F(interface)24と、バッテリ(battery)25とを有している。歩行解析装置3は、例えば、スマートフォン(smart phone)、タブレット型コンピュータ(tablet computer)、ノートパソコン(note PC)などのコンピュータ端末であり、プロセッサ31と、ディスプレイ(display)32と、操作部33と、メモリ34と、通信I/F35と、バッテリ36とを有している。なお、プロセッサ21及びプロセッサ31は、それぞれ、単一のプロセッサに限定されず、複数のプロセッサである場合も考えられる。

0028

図3は、加速度センサモジュール2及び歩行解析装置3の機能的な構成を示す機能ブロック(block)図である。

0029

加速度センサモジュール2は、図3に示すように、加速度センサ部201と、サンプリング(sampling)部202と、送信部203とを有している。なお、サンプリング部202及び送信部203は、プロセッサ21がメモリ23に記憶されている所定のプログラム(program)を読み出して実行することにより実現される。

0030

加速度センサ部201は、センサ本体を基準とした3次元直交座標系におけるx,y,zの各軸方向の加速度成分について、その加速度成分に応じたアナログ(analog)信号をほぼリアルタイム(real time)に出力する。

0031

サンプリング部202は、そのアナログ信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル(digital)の加速度データに変換する。サンプリング周波数は、例えば128Hzである。サンプリング部202は、例えば、1g(重力加速度)=9.8m/s2=加速度データ値128となるスケール(scale)で、加速度データを出力する。

0032

送信部203は、サンプリングされた各時刻における加速度成分を表す加速度データをほぼリアルタイムにて無線で送信する。

0033

なお、本例では、加速度センサモジュール2は、センサ本体のx軸方向、y軸方向及びz軸方向が、それぞれ、患者10のRL(Right-Left)方向、AP(Anterior-Posterior)方向及びSI(Superior-Inferior)方向と一致するように取り付けられる。RL方向AP方向及びSI方向は、それぞれサジタル(sagittal)方向、コロナル(coronal)方向及びアキシャル(axial)方向とも言う。また、本例では、加速度センサモジュール2の姿勢(傾き)は、患者10の歩行中において変化しないものと仮定する。

0034

歩行解析装置3は、図3に示すように、操作部301と、ディスプレイ部302と、患者情報受付部303と、受信部304と、加速度データ取得制御部305と、加速度データ解析部307と、表示制御部310と、記憶部312とを有している。患者情報受付部303、加速度データ取得制御部305、加速度データ解析部307、及び表示制御部310は、プロセッサ31がメモリ34に記憶されている所定のプログラムを読み出して実行することにより実現される。

0035

操作部301は、操作者11の操作を受け付ける。操作部301は、例えば、タッチパネル(touch panel)、タッチパッド(touch pad)、キーボード(keyboard)、マウス(mouse)などにより構成されている。なお、操作者11は、例えば、理学療法士などの指導員である。

0036

ディスプレイ部302は、画像を表示する。ディスプレイ部302は、例えば、液晶パネル有機ELパネルなどにより構成されている。

0037

患者情報受付部303は、患者情報の入力を受け付け、入力された患者情報を記憶部312に記憶させる。

0038

受信部304は、加速度センサモジュール2の送信部203から送信された加速度データを無線で受信する。なお、送信部203と受信部304との無線通信には、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の規格を用いることができる。

0039

加速度データ取得制御部305は、操作者11による操作に基づいて加速度データを取得するよう受信部304及び記憶部312を制御する。

0040

加速度データ解析部307は、取得された加速度データを解析して、その解析結果を出力する。加速度データ解析部307の詳細については後述する。

0041

表示制御部310は、ディスプレイ部302の画面に、少なくとも加速度データの解析結果を含む種々の画像や文字情報などを表示するようディスプレイ部302を制御する。

0042

記憶部312は、入力された患者情報、取得された加速度データ、加速度データの解析結果などを記憶する。なお、これらの情報は、必要に応じて、歩行解析装置3に接続されたデータベース(database)41に転送されたり、外付けのDVD−ROM、メモリカード(memory card)などの媒体や、インターネット(internet)を介して接続された外部の媒体などを含む記憶媒体42に保存されたりする。

0043

ここで、加速度データ解析部307の詳細について説明する。加速度データ解析部307は、取得された加速度データに対して解析処理を行い、その解析結果を出力する。解析処理は、複数用意されている。加速度データ解析部307は、操作者11によって指定された解析処理を実行する。本例では、実行する解析処理として、取得された加速度データが担持する加速度成分の時間変化を表す加速度波形を生成し、その加速度波形から患者10の個々の一歩の前進動作に掛かった時間であるステップ(step)時間を求め、求めたステップ時間時間をグラフ(graph)化する処理を想定する。

0044

なお、一般的に、連続的な左右一歩ずつの前進動作の中には、右足の踵着地、左足つま先蹴り、左足の踵着地、及び右足のつま先蹴りの各動作(歩行位相)が1つずつ含まれる。また、一歩の前進動作は、一方の足の着地から他方の足の着地までの間の動作として定義される。一歩の前進動作は、ステップ若しくは1ステップともいう。また、連続的な左右一歩ずつから成る二歩の前進動作は、一方の足の着地から他方の足の着地を経て再度の一方の足の着地までの間の動作として定義される。二歩の前進動作は、ストライド(stride)若しくは1ストライドともいう。また、一歩周期は、一歩の前進動作に要する時間として定義される。一歩周期は、一方の足の特定の歩行位相(例えば踵着地やつま先蹴り)から他方の足の同じ歩行位相までの所要時間になる。二歩周期または歩行周期は、一方の足の特定の歩行位相から次の一方の足の同じ歩行位相までの所要時間になる。

0045

図4は、加速度データ解析部307の機能的な構成を示す機能ブロック図である。加速度データ解析部307は、上記の機能を実現させるため、図4に示すように、加速度成分算出部71と、加速度波形生成部72と、歩行期間特定部73と、ステップ基準時刻検出部74と、踵着地左右判別部75と、ステップ時間グラフ生成部76とを有している。

0046

加速度成分算出部71は、取得された加速度データに基づいて、データ取得期間の各サンプリング時刻における患者10の左右方向、前後方向及び上下方向の加速度成分ax,ay,azをそれぞれ算出する。本例では、これらの加速度成分ax,ay,azは、重力加速度gの成分を除去して、患者10の純粋な運動により生じた加速度成分として算出することを想定する。ただし、より簡便に、重力加速度gの成分を含む形で特定してもよい。また、左右方向、前後方向及び上下方向は、それぞれ、水平左右方向、水平進行方向及び鉛直方向を想定する。ただし、より簡便に、加速度センサモジュール2のセンサ本体を基準としたx軸方向、y軸方向及びz軸方向としてもよい。なお、ここでは、加速度成分の正負は、左右方向では右側寄り、前後方向では前側寄り、上下方向では上側寄りをそれぞれ正とする。

0047

加速度波形生成部72は、算出された各方向の各サンプリング時刻における加速度成分ax,ay,azに基づいて、左右方向の加速度成分axの時間変化を表す左右加速度波形Wx、前後方向の加速度成分ayの時間変化を表す前後加速度波形Wy、上下方向の加速度成分azの時間変化を表す上下加速度波形Wzをそれぞれ生成する。

0048

歩行期間特定部73は、加速度データ取得期間の中で患者10が実際に歩行を行っている期間(以下、歩行期間ともいう)を特定する。

0049

ステップ基準時刻検出部74は、解析対象として決定された歩行期間中の加速度波形に基づいて、それぞれが患者10の一歩の前進動作に対応する複数のステップ基準時刻を検出する。検出されたステップ基準時刻は、加速度波形において一歩分または複数歩分の前進動作に対応する部分波形を抽出する際に用いる。なお、ここでは、ステップ基準時刻として、踵着地のタイミングに対応した時刻を検出する。

0050

踵着地左右判別部75は、歩行同期波形を生成し、当該波形に基づいて、特定された踵着地が、それぞれ、左右どちらの足によるものであるかを判別する。

0051

ステップ時間グラフ生成部76は、検出されたステップ基準時刻に基づいて、歩行運動を構成する個々の一歩の前進動作について、その一歩の前進動作に掛かる時間であるステップ時間を求める。そして、このステップ時間の時系列的な変化を表すグラフを生成する。また、ステップ時間グラフ生成部76は、求められたステップ時間に基づいて、患者10の歩行評価に有用な種々の特徴量を算出する。

0052

これより、歩行解析システム1における処理の流れについて説明する。

0053

図5は、歩行解析システム1における処理の流れを示すフロー(flow)図である。

0054

ステップ(step)S1では、患者情報受付部303が、患者情報の入力を受け付け、入力された患者情報を記憶部312に記憶させる。ここでは、操作者11が、歩行解析装置3の操作部301を操作して、患者10の患者情報を直接入力する。患者情報受付部303は、その直接入力された患者情報を記憶部312に記憶させる。患者情報には、例えば、患者のID番号、氏名、年齢性別生年月日などが含まれる。なお、後述する患者10の加速度データやこの加速度データの解析結果などは、この患者情報と対応付けて記憶部312に記憶される。

0055

ステップS2では、加速度データ取得制御部305が、受信部304及び記憶部312を制御して、患者10の各時刻tiにおける加速度データを取得する。ここでは、まず、操作者11が、患者10の腰部に加速度センサモジュール2を取り付ける。そして、操作者11は、歩行解析装置3の操作部31により、加速度データの取得開始操作を行う。加速度データ取得制御部305は、この操作に応答して、受信部304に加速度データの受信を開始させ、記憶部312にその受信された加速度データの記憶を開始させる。次に、患者10に、自身の標準的な歩行速度しばらく歩行してもらう。歩行は、通常、距離にして5m〜20m程度、時間にして20秒〜3分程度、歩数にして10歩〜40歩程度である。加速度センサモジュール2のサンプリング部202は、加速度センサ部201の出力に基づいて、患者10の歩行中におけるx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれの加速度成分Ax,Ay,Azをサンプリングして計測する。加速度センサモジュール2の送信部203は、計測された加速度成分を表す加速度データをほぼリアルタイムで送信する。この間、受信部304は、送信部203から送信された加速度データを順次受信し、記憶部312は、その受信された加速度データを記憶する。患者10の歩行が終了したら、操作者11は、操作部31により加速度データの取得終了操作を行う。加速度データ取得制御部305は、この操作に応答して、受信部304に加速度データの受信を終了させる。これにより、加速度データの取得開始操作が成されてから取得終了操作が成されるまでの期間が実質的に加速度データ取得期間となり、この期間の各サンプリング時刻における各方向の加速度データが取得される。

0056

ステップS3では、加速度データ解析部307が、加速度データに対して実行する解析処理を設定する。例えば、操作者11が、操作部301を操作して、取得した加速度データをグラフ化して表示したり、取得した加速度データを解析してその結果を表示したりする複数の機能の中から、実行させたい所望の機能を選択する。加速度データ解析部307は、その選択された機能に応じて、実行させる解析処理を設定する。本例では、操作者11は、患者10のステップ時間の時系列的な変化を表すグラフと、ステップ時間を用いた特徴量とを表示する機能を選択するものとする。このような機能によれば、患者10の歩行中における一歩一歩の前進動作に掛かる時間やその時間変化、左右の違い、左右のバランス(balance)などを容易に認識することができる。その結果、操作者11は、患者10の歩行運動における左右の足の動きのバランスや安定性疲れ具合などを理解することができる。

0057

ステップS4では、加速度成分算出部71が、取得された加速度データを記憶部312から読み出し、当該加速度データに基づいて、加速度データ取得期間の各サンプリング時刻における患者10の左右方向、前後方向及び上下方向の加速度成分ax,ay,azを算出あるいは特定する。なお、ここでは、加速度データが表す加速度から重力加速度gの成分を除去する処理を含む所定のアルゴリズム(algorithm)を用いて、各サンプリング時刻及び各方向の加速度成分を算出する。算出された加速度成分は、記憶部312に送信され記憶される。

0058

ステップS5では、加速度波形生成部72が、ステップS4で算出された患者10の各サンプリング時刻における左右方向加速度成分ax、前後方向加速度成分ay、及び上下方向加速度成分azに基づいて、左右方向加速度波形Wx、前後方向加速度波形Wy、及び上下方向加速度波形Wzを生成する。本例では、加速度波形生成部72は、加速度成分の各方向ごとに、加速度データの取得開始時点からの経過時間(時刻)と加速度成分とを2軸とした2次元座標系において、各時刻tiでの加速度成分a(i)に対応するデータ点[a(i), ti]をそれぞれプロット(plot)することにより加速度波形を生成する。加速度波形は、必要に応じて、平滑化処理スムージング(smoothing)処理を行って滑らかな曲線にする。

0059

図6は、サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形Wx、前後方向加速度波形Wy、及び上下方向加速度波形Wzを示す図である。横軸は、加速度データ取得開始から経過した時間t(秒)であり、縦軸は、加速度データ値ax,ay,az(重力加速度g/128)である。このサンプル加速度データは、約40秒間に渡って取得されたものである。このサンプル加速度データを取得する際に、被検者は、時間t=7秒あたりで歩行を開始し、途中の時間t=20〜23秒あたりで歩行を一時停止してしゃがみ込み、時間t=35秒あたりで歩行を終了している。生成された加速度波形には、被検者のそのような動作による加速度成分の変化が現れている。

0060

図7は、サンプル加速度データに基づいて生成された左右方向加速度波形Wx、前後方向加速度波形Wy、及び上下方向加速度波形Wzの拡大図である。

0061

人の歩行運動では、通常、一方の足の踵着地、他方の足のつま先蹴り、他方の足の踵着地、一方の足のつま先蹴りという4つの動作がこの順番で繰り返し行われる。

0062

上下方向加速度波形Wzにおいては、図7に示すように、歩行運動を構成する上記4つの動作の各々に対応して、波高値が一定以上となる極大値すなわちピーク波形を取ることが知られている。また、一方(他方)の足の踵着地から他方(一方)の足のつま先蹴りまでの時間は、相対的に短くなり、一方(他方)の足のつま先蹴りから同じ一方(他方)の足の踵着地までの時間は、相対的に長くなる。

0063

前後方向加速度波形Wzにおいては、図7に示すように、一方の足の踵着地から他方の足のつま先蹴りまでの一歩の前進動作と、他方の足の踵着地から一方の足のつま先蹴りまでの一歩の前進動作と対応して、波高が一定以上となる極大値すなわちピーク波形を取ることが知られている。

0064

図5戻り、ステップS6では、歩行期間特定部73が、加速度データ取得期間の中で歩行期間を特定する。一般的に、加速度データ取得期間には、患者10が歩行を行っている期間と歩行を行っていない期間とが含まれている。歩行を行っていない期間としては、例えば、加速度データの取得を開始してから患者10が歩行を開始するまでの期間、患者10が歩行を終了してから加速度データの取得を終了するまでの期間、患者10が歩行中に一時的に歩行を止めてしまう期間などが挙げられる。一方、解析対象に歩行を行っていない期間の加速度データが含まれていると、正しい解析を行うことができない。そこで、ここでは、解析処理を行う前に、加速度データ取得期間の中で歩行期間を特定し、その歩行期間における加速度データを解析処理の対象として決定する。

0065

一般的に、歩行期間を特定する方法としては、次のような方法が考えられる。

0066

第1の歩行期間特定方法は、操作者11が加速度波形を見て歩行期間と考える期間を手動で指定し、指定された期間を歩行期間として特定する方法である。

0067

第2の歩行期間特定方法は、サンプリング時刻ごとに患者10に生じた加速度の大きさを表す特徴量を求め、この特徴量が所定の閾値以上になった時点から当該閾値以下になった時点までを、歩行期間として特定する方法である。加速度の大きさを表す特徴量としては、例えば、重力加速度gの成分が除去された各方向の加速度成分ax,ay,azの平方二乗和が考えられる。

0068

図8は、上記サンプル加速度データに基づいて生成された加速度波形Wx,Wy,Wzに、解析対象として決定された歩行期間R′を重ねて表した図である。

0069

図5に戻り、ステップS7では、ステップ基準時刻検出部74が、解析対象となる歩行期間における加速度波形に基づいて、それぞれが患者10の一歩一歩の前進動作に対応する複数のステップ基準時刻tbjを検出する。以下に、一般的に考えられる検出方法を説明した後に、本例による検出方法について説明する。

0070

一般的に、ステップ基準時刻を検出する方法としては、例えば、上下方向加速度波形Wzにおけるピーク(peak)波形や特定の波形パターンなど周期性を有する波形形状を検出することにより、ステップ基準時刻tbjを検出する方法が考えられる。

0071

図9は、上下方向加速度波形Wzと歩行位相との関係を示す図である。ステップ基準時刻tbjを検出する方法としては、例えば、上下方向加速度波形Wzにおいて所定の閾値を超える極大値を特定し、その極大値に対応する時刻を踵着地の時刻として認識し、踵着地の時刻をステップ基準時刻tbjとして検出する。

0072

この方法は、アルゴリズムが簡単で分かりやすい。

0073

しかしながら、加速度の閾値判定だけで判断しているので、特定精度限界がある。例えば、歩行における一歩の前進動作とは異なる動作により患者10の体が動いていると、何らかの加速度が生じ、誤検出することが考えられる。また例えば、閾値の設定によって検出タイミング(timing)が変化する。また例えば、加速度波形において一歩の前進動作に同期したピーク波形の波高値が単発的に弱くなってしまった場合に、検出漏れが発生したり、逆に一歩の前進動作とは異なる動作に伴って比較的強いピーク波形が現れた場合に、誤検出が発生する。また例えば、患者の年齢、体格、歩行障害の程度などによって動作時に生じる加速度の大きさが異なるため、患者10によって検出精度にばらつきが生じる。

0074

そこで、本例では、ステップ基準時刻検出部74は、ステップ基準時刻を精度よく検出することができるように工夫された方法を用いて、ステップ基準時刻を検出する。以下、このようなステップ基準時刻検出部74の機能的な構成と、そのステップ基準時刻検出処理について説明する。

0075

図10は、ステップ基準時刻検出部74の機能的な構成を示す機能ブロック図である。ステップ基準時刻検出部74は、図10に示すように、加速度波形読取部741と、歩行同期波形生成部742と、一歩区間特定部743と、上下加速度反映波形生成部744と、区間内最大値特定部745と、踵着地認識部746とを有している。

0076

なお、歩行同期波形生成部742及び一歩区間特定部743は、発明における特定手段の一例であり、上下加速度反映波形生成部744、区間内最大値特定部745及び踵着地認識部746は、発明における検出手段の一例である。

0077

図11は、ステップ基準時刻検出処理の流れを示すフロー図である。

0078

ステップS71では、加速度波形読取部741が、前後方向加速度波形Wy及び上下方向加速度波形Wzを記憶部312から読み出す。

0079

加速度波形読取部741は、さらに、読み出された前後方向加速度波形Wy及び上下方向加速度波形Wzのうち解析対象となる歩行期間の波形部分を、それぞれ前後方向加速度波形Wy′、上下方向加速度波Wz′として切り出す。

0080

図12は、上記のサンプル加速度データに基づく前後方向加速度波形Wy′及び上下方向加速度波形Wz′の拡大図である。横軸は、時間t(相対値)を表しており、縦軸は、前後方向加速度成分ay及び上下方向加速度成分az(相対値)を表している。

0081

ステップS72では、歩行同期波形生成部742が、歩行同期波形を生成する。歩行同期波形とは、歩行時の一歩一歩の動作に略同期して所定のパターンが繰り返される波形のことである。本出願人の実験結果によれば、このような波形は、前後方向加速度成分ayと上下方向加速度成分azとの線形結合を表す波形として得られることが確認されている。そこで、ここでは、ステップS71で得られた前後方向加速度波形Wy′における加速度成分ayと、ステップS71で得られた上下方向加速度波形Wz′における加速度成分azとに基づいて、次式により値Bを求め、その時間変化を表す波形WBを歩行同期波形として生成する。
(数1)
B=denoise(α・ay+β・az)

0082

ここで、denoise()は、ノイズを低減するための関数であり、主に高周波成分を低減する関数である。このような関数としては、ガウシアンフィルタ(Gaussian filter)等に相当する関数を考えることができる。また、α,βは、係数であり、いずれも1〜3程度の値である。

0083

図13は、サンプル加速度データに基づいて生成された歩行同期波形WBを示す図である。

0084

ステップS73では、一歩区間特定部743が、一歩区間Kを特定する。一歩区間Kとは、歩行における一歩の動作に対応した時間的な区間のことである。一歩区間Kの特定方法は、種々考えられるが、基本的な考え方としては、歩行同期波形において一歩の動作に対応した所定の波形パターンあるいは波形条件を見つけ出し、その波形パターンあるいは波形条件に対応する時間的な範囲を一歩区間Kとして特定する。なお、歩行における特定の位相に対応した時刻を検出するためには、一歩区間Kは、その時刻が明らかに含まれるような区間とする必要がある。本例では、踵着地HCの時刻を検出するので、一歩区間Kは、踵着地HCのタイミングが含まれるような区間とする必要がある。

0085

ここでは、図14に示すように、歩行同期波形WBにおいて、極小値を取る時刻と次の極小値を取る時刻との間の区間を一歩区間Kとしてそれぞれ特定する。なお、当然ではあるが、歩行同期波形が−Bの時間変化を表す波形である場合には、当該波形における極大値を取る時刻と次の極大値を取る時刻との間の区間を一歩区間Kとして特定するようにする。また、歩行同期波形WBを低周波の曲線で近似し、その近似曲線より大きい値を持つ波形部分に対応する区間を、一歩区間Kとして特定してもよい。

0086

ステップS74では、上下加速度反映波形生成部744が、上下加速度反映波形WJz′を生成する。上下加速度反映波形WJz′とは、患者10の上下方向加速度成分azが反映された波形のことであり、上下加速度反映成分Jz′の時間変化を表す波形であるともいえる。ここでは、上下加速度反映波形WJ′は、上下方向の上側への加速度の増大が正側への変化として現れる波形とする。上下加速度反映波形WJ′は、上下方向加速度成分azを歩行同期波形と同一の時間で表す波形であってもよいし、上下方向加速度成分azに基づいて演算される量を歩行同期波形と同一の時間で表す波形であってもよい。例えば、演算される量は、上下方向加速度成分azの項を含む演算式により演算される。また例えば、演算される量は、加速度の変化をより強調するため、上下方向加速度成分azを二階時間微分した項をk乗(k≧1)した項を含む演算式により演算される。ここでは、上下加速度反映波形WJz′として、上下方向加速度成分azの時間変化を表す上下方向加速度波形Wz′に高周波成分を低減するフィルタ(filter)を適用して成る波形を用いる。

0087

図15は、サンプル加速度データに基づいて生成された、歩行同期波形WBと上下加速度反映波形WJz′とを同一時間軸上で示した図である。

0088

ステップS75では、区間内最大値特定部74が、一歩区間Kごとに区間内最大値Mkを特定する。区間内最大値Mkとは、上下加速度反映波形WJz′における一歩区間K内での最大値のことである。踵着地HCは、基本的に、一歩区間K内に必ず一つ存在すると考えることができる。また、踵着地HCは、上下加速度反映波形WJz′において、局所的な時間内のピーク波形として現れることが知られている。よって、区間内最大値Mkに対応する時刻は、踵着地HCの時刻と対応付けることができる。なお、上下加速度反映波形WJz′が、上下方向における上側への加速度の増大が負側への変化として現れる波形である場合には、区間内最小値を特定し、その区間内最小値に対応する時刻を踵着地HCの時刻と対応づける。

0089

図16は、上下加速度反映波形WJz′における一歩区間Kごとに特定された区間内最大値Mkを示す図である。図中、区間内最大値Mkは、丸印で示されている。

0090

ステップS76では、踵着地認識部746が、ステップS75で特定した区間内最大値Mkに対応する時刻を、踵着地HCの時刻と対応付けて認識する。ここでは、この踵着地HCの時刻を、ステップ基準時刻とする。

0091

図17は、ステップ基準時刻として検出された踵着地HCの時刻を示す図である。図中、ステップ基準時刻すなわち踵着地の時刻は、四角印で示されている。

0092

なお、歩行同期波形としては、上記の波形WBとは別の波形を用いることもできる。本出願人の実験結果によれば、例えば、次に示すような方法で生成される波形を用いることもできる。

0093

まず、左右方向加速度成分、前後方向加速度成分、または上下方向加速度成分を時間積分処理して速度の波形を求める。次に、当該速度の波形に対して、線形成分の除去と、低周波成分の除去とを行う。これによって得られた波形を再び時間積分処理して位置(変位)の波形を得る。そして、当該位置の波形に対して、一歩周期または二歩周期に相当する時間幅を、平均化する幅すなわちウィンドウ(windows)幅として移動平均処理を行い、当該位置の波形の低周波成分を求め、この低周波成分を元の当該位置の波形から減算することにより、トレンド(trend)を除去する。

0094

ここで、一歩周期は、例えば、一方の足の踵着地から他方の足の踵着地までの間に相当する時間である。また、二歩周期は、例えば、一方の足の踵着地から他方の足の踵着地を経て次の同じ一方の足の踵着地までの間に相当する時間である。

0095

このようにして得られた波形は、歩行時の各一歩の動作に非常によく同期した波形であることが分かっており、歩行同期波形として好適である。

0096

なお、上記の線形成分の除去及び低周波成分の除去は、場合によっては省略可能である。また、上記の線形成分の除去は、速度の波形の生成より後、移動平均を用いたトレンド除去より前であれば、いずれの段階で行ってもよい。また、上記の低周波成分の除去は、加速度の波形の特定より後、移動平均を用いたトレンド除去より前であれば、いずれの段階で行ってもよい。ただし、不要な成分は可能な限り早い段階で除去することが好ましいため、上記の順序で行うことが望ましい。また、一歩周期または二歩周期に相当する時間幅は、例えば、上記数式1によって得られる波形の周期から求めてもよいし、上記位置の波形に自己相関関数を適用して求めてもよい。

0097

このように、歩行同期波形において波形の特徴を基に一歩一歩に対応した時間的な区間を特定し、加速度反映波形において区間内最大値に対応する時刻を特定する方法によれば、加速度反映波形における一歩の動作に対応したピーク波形の波高値が一歩ごとにばらついたり、一歩の動作とは異なる動作に伴うピーク波形が一歩の動作に対応したピーク波形に近接して現れたりしても、検出漏れや誤検出を抑えることができ、踵着地の時刻を精度よく認識することができる。その結果、例えば、患者10の一歩ごとの加速度成分について、波形を観察したり、波形の解析を行ったりする上で、その精度を向上させることができる。

0098

図5に戻り、ステップS8では、踵着地左右判別部75が、ステップS7で認識されたそれぞれの踵着地について、左右どちらの足によるものであるかを判別する。以下に、一般的に考えられる判別方法を説明した後、本例による判別方向について説明する。

0099

一般的に、踵着地の足の左右を判別する方法としては、例えば、左右方向加速度波形Wxにおいて、左足の一歩に特徴的な波形形状と右足の一歩に特徴的な波形形状とを検出することにより、左足の一歩に対応した時間と右足の一歩に対応した時間とを特定し、これらの時間と踵着地HCの時刻とを対比して判別する方法が考えられる。

0100

この方法は、実質的に既得である波形を用いることができ、考え方もシンプル(simple)なので、利用しやすい。

0101

しかしながら、左右方向加速度波形Wxは、他の方向の加速度波形よりも複雑な波形を示すことが多く、このような波形から特徴的な波形形状を見つけて、左足の一歩に対応した時間と右足の一歩に対応した時間とを特定することは容易ではない。

0102

一方、本出願人の実験結果によれば、左右方向加速度成分axの波形を二階時間積分して得られる左右方向の位置の波形Lxでは、ノイズ(noise)成分や解析に不要な成分が適切に除去されると、右足の一歩と左足の一歩とが、上に凸となる波形部分と下に凸となる波形部分とにかなり正確に対応して現れることが確認されている。

0103

そこで、本例では、踵着地左右判別部75は、踵着地の左右を精度よく判別することができるように工夫された、次に示すような方法を用いて、踵着地の左右を判別する。

0104

以下、このような踵着地左右判別部75の機能的な構成と、その踵着地左右判別処理について説明する。

0105

図18は、踵着地左右判別部75の機能的な構成を示す図である。踵着地左右判別部75は、図18に示すように、加速度波形読取部751と、左右位置波形生成部752と、左右判別部753とを有している。

0106

図19は、踵着地左右判別処理のフロー図である。

0107

ステップS81では、加速度波形読取部751が、左右方向加速度波形Wxを記憶部312から読み出して特定する。

0108

ステップS82では、加速度波形読取部751は、さらに、特定された左右方向加速度波形Wxのうち解析対象となる歩行期間の波形部分を、左右方向加速度波形Wx′として切り出す。

0109

図20は、サンプル加速度データに基づく左右方向加速度波形Wx′の拡大図である。横軸は解析対象として決定された歩行期間における時間tを相対値で示しており、縦軸は、左右方向加速度成分axを相対値で示している。

0110

ステップS83では、左右位置波形生成部752が、左右方向加速度波形Wx′に対して、時間積分処理を行い、左右方向の速度の波形Vxを求める。

0111

ステップS84では、左右位置波形生成部752が、左右方向の速度の波形Vxに対して、線形成分を除去する処理を行う。この線形成分の除去には、例えば、上記データに基づく波形を1次関数で近似(線形近似)して、元の波形から近似した1次関数の成分を減算する手法を用いる。ここで線形成分を除去する主な目的は、積分前の波形が持つオフセット(off set)成分を除去することや、デジタルサンプリング(digital sampling)によって生じる積分誤差を除去することにある。

0112

ステップS85では、左右位置波形生成部752が、ステップS84で得られた左右方向の速度の波形Vx′に対して、低周波成分を除去する処理を行う。低周波成分の除去には、例えば、ハイパスフィルタ(high pass filter)またはローカットフィルタ(low cut filter)を用いる。これらのフィルタは、例えば、0.4ヘルツ(Hz)以下である所定の周波数以下の成分を除去するように設定される。所定の周波数は、例えば、0.2ヘルツである。ここで低周波成分を除去する主な目的は、数値積分によって生じる誤差を取り除くことにある。数値積分では、周波数ω逆数に比例した強さで低周波ノイズ増幅される。このため、周波数ωが0近傍になると、線形成分の除去や後述のトレンド(trend)の除去でも取り切れないほどの大きなノイズが発生する可能性がある。ハイパスフィルタによってこれを強制的に除去することで、計算精度が上がると考えられる。

0113

ステップS86では、左右位置波形生成部752が、線形成分及び低周波成分が除去された左右方向の速度の波形Vx″に対して、さらに時間積分処理を行って、左右方向の位置(変位)の波形Lxを得る。

0114

ステップS87では、左右位置波形生成部752が、ステップS86にて得られた左右方向の位置の波形Lxに対して、時間軸方向に移動平均処理を行うことにより当該位置の波形Lxの低周波成分を求め、この低周波成分を元の当該位置の波形Lxから減算する処理を行う。移動平均処理におけるウィンドウ幅、すなわち平均化する時間幅は、例えば、実質的に歩行周期(2歩周期)に相当する時間幅とする。歩行周期に相当する時間幅は、例えば、一方の足の踵着地から他方の足の踵着地を経て、再び一方の踵着地が行われるまでの間に相当する時間である。この処理により、トレンドが除去された左右方向の位置の波形Lx′が得られる。ここで移動平均により求めた低周波成分を除去する主な目的は、左右方向の位置の波形Lxから、患者10の実際の歩行周期と異なる周期を持つ波形成分を除去することにより、歩行周期と同じ周期を持つ波形だけを極力抽出することにある。実際の歩行では、歩行周期に同期した特定の動作のみが規則正しく繰返し行われるわけではなく、歩行周期に同期しない動作、例えば左右や前後に不規則に振ら付く動作などを含みながら前進する。そのため、位置の波形には、患者10の歩行に伴って生じる歩行周期に同期した波形と同期しない波形とが含まれることになる。ここで取り扱いたい波形は、歩行周期に同期した波形のみである。そこで、歩行周期に同期しない波形は、トレンドとして極力排除する。

0115

図21は、トレンド除去前の左右方向の位置Lxの波形WLxにおける周波数分布DLxと、トレンド除去後の左右方向の位置Lx′の波形WLx′における周波数分布DLx′との比較例を示す図である。横軸は周波数を表しており、縦軸はフーリエ(Fourier)成分ノルム(norm)を表している。

0116

加速度における1ヘルツ以下の振動は、主に患者10の重心の並進運動に起因するノイズであり、歩行運動を推定する上で本質的な情報ではない。ここでの移動平均処理を用いたトレンド除去によって、1ヘルツ以下の長周期振動を強く減衰させることができる。つまり、これにより、目的の成分以外の解析に不要な成分が除去された処理済みの位置の波形を得ることができる。

0117

図22は、処理済みの左右方向の位置の波形WLx′とステップS7で得られた各種の波形とを同一の時間軸上で表す図である。

0118

このようにして得られた左右方向の位置の波形WLx′は、上または下に凸となる波形部分が、歩行時の一歩の動作と時間的によく対応した波形であることが分かる。また、当該波形は、波形部分の形状が上に凸であるか下に凸であるかによって、その波形部分に対応した一歩の動作が左右どちらの足によるものであるか判別可能な波形であることも分かる。

0119

なお、ステップS84の線形成分を除去する処理と、ステップS85の低周波成分を除去する処理とは、必須の処理ではない。線形成分や低周波成分は、ステップS87のトレンドを除去する処理により、ある程度の除去が可能であると考えられるからである。しかしながら、トレンドを除去する処理だけで、不要な線形成分及び低周波成分をすべて除去できるわけではない。したがって、歩行周期に同期した波形の抽出精度を向上させるためには、当然ながら、線形成分及び低周波成分の除去は行った方がよい。

0120

また、線形成分を除去する処理を行うタイミングと、低周波成分を除去する処理を行うタイミングとは、本例のタイミングに限定されない。

0121

例えば、線形成分を除去する処理は、速度の波形を生成する処理と、移動平均を用いてトレンドを除去する処理との間であれば、どのタイミングで行ってもよい。つまり、線形成分を除去する処理は、速度の波形を生成する処理または位置の波形を生成する処理の後に、当該処理で得られる波形における線形成分を除去する処理とすることができる。

0122

また例えば、低周波成分を除去する処理は、加速度の波形を特定する処理の後、移動平均を用いてトレンドを除去する処理の前であれば、どのタイミングで行ってもよい。つまり、低周波成分を除去する処理は、加速度の波形を特定する処理、速度の波形を生成する処理または位置の波形を生成する処理の後に、当該処理で得られる波形における低周波成分を除去する処理とすることができる。

0123

ただし、ノイズ成分によるエラー(error)の拡散や積算を抑える、あるいは、取り扱う値を小さく抑えて演算効率を高めるといった観点からは、線形成分を除去する処理及び低周波成分を除去する処理は、できるだけ早い段階で行うことが望ましい。したがって、本例のように、これらの処理を、速度の波形を時間積分処理する前に行うことは、好適な例の一つである。

0124

ステップS88では、左右判別部753が、ステップS87で得られた左右方向の位置の波形Lx′に基づいて、認識されたそれぞれの踵着地の左右の判別を行う。

0125

図23は、踵着地の左右判別の例を示す図である。

0126

前述のとおり、ここでは、左右方向の加速度成分の正負は、右側寄りを正としている。したがって、左右方向の位置の波形WLx′では、正側寄りすなわち上に凸となる波形部分は、右足ステップに対応し、負側寄りすなわち下に凸となる波形部分は、左足ステップに対応する。そこで、左右方向の位置の波形WLx′において、上に凸となる波形部分に時間的に対応した踵着地HCを、右足の踵着地と判別する。また、左右方向の位置の波形において、下に凸となる波形部分に時間的に対応した踵着地HCを、左足の踵着地と判別する。

0127

判別アルゴリズムは、種々考えられるが、例えば、次のようなアルゴリズムを考えることができる。
ステップT1:判別対象である踵着地HCの時刻が含まれる一歩区間Kを、左右方向の位置の波形WLx′における凹凸を判定する区間[t0,t1]に決定する。
ステップT2:座標(t0,Lx′(t0))と座標(t1,Lx′(t1))とを結ぶ直線を表す関数f(t)を決める。
ステップT3:区間[t0,t1]でf(t)−Lx′(t)を積分し、その正負を求める。
ステップT4:積分値が正であれば、左右方向の位置の波形WLx′の一歩区間Kにおける波形部分は下に凸であり、踵着地HCは左足の着地であると判定する。積分値が負であれば、左右方向の位置の波形WLx′の一歩区間Kにおける波形部分は上に凸であり、踵着地HCは右足の着地であると判定する。

0128

また例えば、次のようなアルゴリズムを考えることもできる。
ステップU1:移動平均処理等により、左右方向の位置の波形WLx′の低周波成分(直線に近い成分)の波形WCを求める。移動平均処理におけるウィンドウ幅は、一歩周期の数倍程度に設定する。
ステップU2:判別対象である踵着地HCの時刻tHCにおける左右方向の位置の座標Lx′(tHC)が、波形WCの正側と負側のどちらにあるかを判定する。
ステップU3:座標Lx′(tHC)が波形WCの負側にあれば、左右方向の位置の波形WLx′の踵着地HCに対する波形部分は下に凸であり、踵着地HCは左足の着地であると判定する。座標Lx′(tHC)が波形WCの正側にあれば、左右方向の位置の波形WLx′の踵着地HCに対応する波形部分は上に凸であり、踵着地HCは右足の着地であると判定する。

0129

これにより、ステップS7で特定された複数のステップ基準時刻を、左足のステップ基準時刻と右足のステップ基準時刻とにそれぞれ分けて特定することができる。

0130

このように、左右方向の位置の波形において波形の特徴を基に左足の一歩に対応した時間的な区間と右足の一歩に対応した時間的な区間とを特定し、検出された踵着地の時刻が左右どちらの区間内にあるかによって踵着地の左右を判別する方法によれば、左足の一歩に対応した波形形状と右足の一歩に対応した波形形状とが安定して現れることが確認されている波形を用いて左足の一歩に対応した区間と右足の一歩に対応した区間とを精度よく求めることができ、踵着地の左右を精度よく判別することができる。その結果、患者の歩行動作における左右の足の動作の違いやバランスを定量的かつ客観的に評価する上で、その精度を向上させることができる。

0131

図5に戻り、ステップS9では、ステップ時間グラフ生成部76が、患者10の一歩一歩の前進動作に掛かる時間であるステップ時間の時系列的な変化を表すグラフの生成と、そのステップ時間に係る幾つかの特徴量の算出とを行う。なお、ステップ時間は、種々の定義の仕方が考えられるが、本例では、ステップ基準時刻を用いて定義することとし、一歩の前進動作に対応したステップ基準時刻と次の一歩の前進動作に対応したステップ基準時刻との間の時間として求めることにする。

0132

以下、ステップ時間グラフ生成部76の機能的な構成と、ステップ時間グラフ生成処理について説明する。

0133

図24は、ステップ時間グラフ生成部76の機能的な構成を示す機能ブロック図である。ステップ時間グラフ生成部76は、図24に示すように、ステップ時間特定部761と、グラフ生成部762と、特徴量演算部763とを有している。

0134

図25は、ステップ時間グラフ生成処理の流れを示すフロー図である。

0135

ステップS91では、図26に示すように、ステップ時間特定部761が、検出されたステップ基準時刻tbjとその足の左右の判別結果とに基づいて、左ステップ時間TLiと右ステップ時間TRiとを特定する。左ステップ時間TLiは、患者10の左足による一歩の前進動作に対応したステップ時間であり、左の踵着地HCに対応したステップ基準時刻から右足の踵着地HCに対応したステップ基準時刻までの時間である。また、右ステップ時間TRiは、患者10の右足による一歩の前進動作に対応したステップ時間であり、右の踵着地HCに対応したステップ基準時刻から左足の踵着地HCに対応したステップ基準時刻までの時間である。

0136

特定された左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの差異は、左足による一歩の前進動作と右足による一歩の前進動作との違いが反映される。そのため、患者10の足の前進動作の左右差を、これら左ステップ時間TL及び右ステップ時間TRによって定量化して評価することが可能になる。

0137

ステップS92では、グラフ生成部762が、求められた複数のステップ時間Tjの時間変化を表すグラフを生成する。

0138

本例では、横軸をステップ番号j、縦軸をステップ時間(秒)とした棒グラフを生成する。ステップ番号jとは、ステップ時間Tの時系列的な順番を表す番号である。また、本例では、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとが互いに区別しやすいように、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとで棒の色または模様(柄、パターン)を変えて描くようにする。

0139

図27及び図28は、生成されたグラフGの一例を示す図である。図27は、通常の歩行によるサンプルであり、図28は、右膝を金属棒で固定した歩行によるサンプルである。なお、ここで生成するグラフGは、本例のような棒グラフだけでなく、折れ線グラフスプライン(spline)補間を用いたスプライン曲線グラフ等であってもよい。また、棒グラフに折れ線グラフやスプライ曲線グラフを重ねるようにしてもよい。

0140

通常の歩行では、図27から分かるように、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの間に大きな相違はない。しかし、右膝を固定した歩行では、図28から分かるように、右ステップ時間TRが左ステップ時間TLよりも長くなっているのが見て取れる。これは、右膝を金属棒で固定されたことによって右足による前進動作が遅くなっていることを意味しており、図28中の矢印Y1で示すように、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの間に比較的大きな差が存在することと、その差の程度が定量化されていることが確認できる。

0141

また、図28では、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの差が、同じ足によるステップ時間のばらつきの程度よりもはるかに大きいことや、偶然に生じた大きなステップ時間に起因したものでなく再現性があることなどが一目で確認できる。

0142

また、通常の歩行では、図27から分かるように、ステップ時間Tjはほとんど変動していない。しかし、右膝を金属棒で固定した歩行では、図28から分かるように、歩行期間内の前半に比べて後半の方がステップ時間Tjが長くなっている(矢印Y2)。これは、歩いているうちに前進動作が遅くなってきていることを示しており、右膝が固定されて歩きにくくなっていることによる疲労を表している。

0143

このように、上記のようなステップ時間の時間変化を表すグラフGでは、時系列的な順番で交互に並ぶ左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとが視覚的に表される。そのため、このようなグラフGによれば、ステップ時間Tjの左右差を歩行期間の全体に渡っても局所的な一部の期間においても直感的に把握することができ、歩行の仕方、左右の足の前進動作のバランスなどを容易に理解することができる。また、このようなグラフGによれば、ステップ時間Tjのばらつきすなわち安定性を、全体としても左右別々としても直感的に把握することができ、全体として安定な歩行が行えているのか、左右どちらかの足に不安定な前進動作が含まれていないかなどを容易に理解することができる。また、このようなグラフGによれば、ステップ時間Tjの時間的な変化を、全体としても左右別々としても直感的に把握することができ、歩行開始からの時間の経過にともない、全体的な歩行の仕方、左右の足の前進動作のバランスなどがどのように変化しているか、疲れによってステップ時間Tjが伸びていないかなどを容易に理解することができる。そして、操作者11は、患者10にこのグラフGを見せながら歩行運動の評価結果を説明することで、患者10に自身の歩行運動の評価結果を簡単かつ詳細に理解してもらうことができる。

0144

図25に戻り、ステップS93では、特徴量演算部763が、ステップ時間に係る各種の特徴量を、患者10の歩行運動の評価用として算出する。

0145

本例では、第1の特徴量として、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの差異の程度が反映される特徴量を算出する。一般的に、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの差異の程度が大きいほど、患者10の左足による前進動作と右足による前進動作とのバランスがより崩れていることが多い。逆に、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの差異の程度が小さいほど、患者10の左足による前進動作と右足による前進動作とのバランスが取れていることが多い。したがって、このような第1の特徴量によれば、その大きさに基づいて、患者10の左足による前進動作と右足による前進動作とのバランスの良さを定量的に評価することができる。例えば、第1の特徴量が、左ステップ時間TLと右ステップ時間TRとの差異の程度が大きいほど大きい値を取る場合、第1の特徴量の値が小さいほど患者10の前進動作の左右のバランスがよいと評価することができる。

0146

また本例では、第2の特徴量として、ステップ時間のばらつきの程度が反映される特徴量を算出する。一般的に、ステップ時間のばらつきの程度が大きいほど、患者10の前進動作の安定性がより悪いことが多い。逆に、ステップ時間のばらつきの程度が小さいほど、患者10の前進動作の安定性がより良いことが多い。したがって、このような第2の特徴量によれば、その大きさに基づいて、患者10の前進動作の安定性の良さを評価することができる。例えば、第2の特徴量が、ステップ時間のばらつきの程度が大きいほど大きい値を取る場合、第2の特徴量が小さいほど患者10の前進動作の安定性がより高いと評価することができる。

0147

また本例では、第3の特徴量として、全歩行期間のうち時間的に前寄りのステップ時間と時間的に後寄りのステップ時間との差異の程度が反映される特徴量を算出する。一般的に、時間的に前寄りのステップ時間と時間的に後寄りのステップ時間との差異の程度が大きいほど、患者10が歩行運動中に疲れてステップ時間が長期化していることが多い。逆に、時間的に前寄りのステップ時間と時間的に後寄りのステップ時間との差異の程度が小さいほど、患者10が歩行運動中に疲れずにステップ時間が長期化しないことが多い。したがって、このような第3の特徴量によれば、その大きさに基づいて、患者10の疲れやすさを定量的に評価することができる。例えば、第3の特徴量が、時間的に前寄りのステップ時間と時間的に後寄りのステップ時間との差異の程度が大きいほど大きな値を取る場合、第3の特徴量が小さいほど患者10はより疲れにくいと評価することができる。

0148

図5に戻り、ステップS10では、表示制御部310が、ディスプレイ部302を制御して、その画面にグラフGを表示させる。

0149

以上、本実施形態によれば、操作者11は、加速度データの解析結果に基づいて患者10の歩行中の動きを詳細に把握し、例えば効果的な歩行訓練プランを作成することができる。

0150

また、本実施形態によれば、特に、ステップ基準時刻検出部74の構成及びそのステップ基準時刻検出処理により、患者10の踵着地のタイミングを高い精度で認識し、一歩ごとの前進動作の基準となる時刻を検出することができる。このような基準時刻を用いることで、患者10の一歩または複数歩ずつの動作が行われているときの加速度データを抽出したり、その動作の所要時間を測定したりすることができ、患者10の一歩一歩の動作に着目した解析を行うことができる。故に、本実施形態は、患者10の歩行運動の客観的な評価に有効である。

0151

また、本実施形態によれば、特に、踵着地左右判別部75の構成及びその踵着地左右判別処理により、認識された患者10のそれぞれの踵着地が、左右どちらの足によるものかを高い精度で判別することができる。このような判別結果を用いることで、患者10の歩行動作における左右のバランスを定量的及び客観的に評価することができ、その結果、左右のバランスをよくするための適切なアドバイスを患者10に提供することも可能になる。

0152

なお、発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。

0153

例えば、本実施形態では、ステップ基準時刻として、踵着地の時刻を検出しているが、これに限定されず、足が着地した時刻や、つま先蹴りの時刻を検出するようにしてもよい。

0154

また例えば、本実施形態は、発明を人の歩行運動に適用した例であるが、発明を人のその他の移動運動、例えば人の走行運動などにも適用することができる。

0155

また例えば、本実施形態は、上述したように人に取り付けられた加速度センサから得られた加速度データを解析する移動運動解析装置であるが、コンピュータをこのような装置として機能させるためのプログラムもまた発明の実施形態の一つである。

0156

1歩行解析システム
10患者
11操作者
2加速度センサモジュール
21プロセッサ
22加速度センサ
23メモリ
24通信I/F
25バッテリ
201 加速度センサ部
202サンプリング部
203 送信部
3歩行解析装置
31 プロセッサ
32ディスプレイ
33 操作部
34 メモリ
35 通信I/F
36 バッテリ
301 操作部
302 ディスプレイ部
303患者情報受付部
304 受信部
305加速度データ取得制御部
307 加速度データ解析部
310表示制御部
312 記憶部
41データベース
42記憶媒体
71加速度成分算出部
72加速度波形生成部
73歩行期間特定部
74 ステップ基準時刻検出部
741 加速度波形読取部
742歩行同期波形生成部
743 一歩区間特定部
744上下加速度反映波形生成部
745区間最大値特定部
746踵着地認識部
75 踵着地左右判別部
751 加速度波形読取部
752 左右位置波形生成部
753 左右判別部
76ステップ時間グラフ生成部
761 ステップ時間特定部
762 グラフ生成部
763特徴量演算部

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