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技術 点火装置

出願人 株式会社SOKEN株式会社デンソー
発明者 杉田俊竹田俊一
出願日 2015年5月15日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2015-100265
公開日 2016年12月22日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2016-217190
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の点火装置
主要キーワード 略三角波形 現実値 投入期間 昇圧スイッチ エネルギー投入量 粗悪燃料 放電継続 画一化
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月22日)のものです。
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図面 (6)

課題

内燃機関用点火装置において、点火プラグへのエネルギー投入量可変にして燃費を改善する。

解決手段

点火装置のECUは、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRに基づき点火プラグへのエネルギー投入量の目標値E*を算出するとともに、筒内流速vに基づき2次電流指令値I*を算出し、目標値E*および指令値I*に応じて第2回路の動作を制御する。まず、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRに基づき目標値E*を算出することで、内燃機関運転状態に応じたエネルギー投入量の制御が可能になる。また、筒内流速vに基づき指令値I*を算出することで、火花放電吹き消えが発生しないように2次電流を制御することができる。このため、点火装置において、点火プラグへのエネルギー投入量を可変にして燃費を改善することができる。

概要

背景

従来から、内燃機関用点火装置では、1次コイルおよび2次コイルを有する点火コイルと、2次コイルに接続する点火プラグとを備え、1次コイルへの通電オンオフに伴う電磁誘導により、点火プラグにエネルギーを与えて火花放電を発生させるものが周知である。

ところで、従来周知の点火装置では、エネルギーの投入量は実質的に点火コイルの仕様により画一的に定まっている。このため、運転条件によっては、エネルギーが過剰に投入されてしまうので、このようなエネルギー投入量画一化燃費悪化の一因となっている。
そこで、エネルギー投入量を可変にして燃費を改善することができる点火装置が求められている。

なお、特許文献1には、次のような点火時期制御装置が開示されている。
すなわち、特許文献1の点火時期制御装置によれば、内燃機関始動時を含む過渡状態において、点火時期進角量最大値規制する進角リミッタ非過渡状態よりも大きくすることにより、点火エネルギーを充分に確保することができる、としている。
しかし、特許文献1の点火時期制御装置によれば、点火コイルの仕様がエネルギー投入量を決定する要因であることに変わりはなく、燃費の改善にはさほど貢献しないものと考えられる。

概要

内燃機関用の点火装置において、点火プラグへのエネルギー投入量を可変にして燃費を改善する。点火装置のECUは、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRに基づき点火プラグへのエネルギー投入量の目標値E*を算出するとともに、筒内流速vに基づき2次電流指令値I*を算出し、目標値E*および指令値I*に応じて第2回路の動作を制御する。まず、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRに基づき目標値E*を算出することで、内燃機関の運転状態に応じたエネルギー投入量の制御が可能になる。また、筒内流速vに基づき指令値I*を算出することで、火花放電の吹き消えが発生しないように2次電流を制御することができる。このため、点火装置において、点火プラグへのエネルギー投入量を可変にして燃費を改善することができる。

目的

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関用の点火装置において、点火プラグへのエネルギー投入量を可変にして燃費を改善することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

1次コイル(2)および2次コイル(3)を有する点火コイル(4)と、前記2次コイルに接続する点火プラグ(5)とを備え、前記1次コイルへの通電オンオフに伴う電磁誘導により前記点火プラグにエネルギー投入して火花放電を発生させる内燃機関(6)用の点火装置(1)において、前記1次コイルへの通電をオンオフすることで、前記点火プラグに火花放電を開始させる第1回路(11)と、この第1回路の動作によって開始した火花放電中に、前記第1回路による通電方向とは逆の方向に前記1次コイルに通電することで、前記2次コイルの通電を前記第1回路の動作で開始したのと同一方向に維持して前記点火プラグにエネルギーを投入し続け、火花放電を継続させる第2回路(12)と、この第2回路の動作を制御する制御部(13、14、15)とを備え、この制御部は、前記内燃機関の気筒(7)内の流速である筒内流速(v)、前記内燃機関の気筒内の圧力である筒内圧力(P)、および、空燃比AFR)に基づき前記点火プラグへのエネルギー投入量目標値(E*)を算出するとともに、前記筒内流速に基づき前記2次コイルの通電量である2次電流指令値(I*)を算出し、前記エネルギー投入量の目標値、および、前記2次電流の指令値に応じて前記第2回路の動作を制御することを特徴とする点火装置。

請求項2

請求項1に記載の点火装置において、前記制御部は、前記2次電流の指令値を下記の数式1により算出することを特徴とする点火装置。〔数式1〕I*=a・v(aは定数

請求項3

請求項1または請求項2に記載の点火装置において、前記制御部は、前記エネルギー投入量の目標値を下記の数式2により算出することを特徴とする点火装置。〔数式2〕E*=b・v+c・P+d・AFR(b、c、dは定数)

請求項4

請求項1ないし請求項3の内のいずれか1つに記載の点火装置において、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出部(17)を備え、前記制御部は、前記回転数の検出値に基づき前記筒内流速を推定するとともに、前記筒内流速の推定値に基づき前記投入量の目標値、および、前記2次電流の指令値を算出することを特徴とする点火装置。

請求項5

請求項1ないし請求項4の内のいずれか1つに記載の点火装置において、前記内燃機関に吸入される吸入空気の圧力を検出する吸気圧検出部(18)を備え、前記制御部は、前記吸気圧の検出値に基づき前記筒内圧力を推定するとともに、前記筒内圧力の推定値に基づき前記投入量の目標値を算出することを特徴とする点火装置。

請求項6

請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載の点火装置(1)において、前記内燃機関に燃料噴射供給する燃料噴射弁(9)と、この燃料噴射弁から噴射供給される燃料の噴射量の指令値を算出する噴射量指令部(14)と、前記内燃機関に吸入される吸入空気の流量を推定または検出する吸気量検出部(14)とを備え、前記制御部は、前記噴射量の指令値および前記吸気量の検出値に基づき前記空燃比を推定するとともに、前記空燃比の推定値に基づき前記投入量の目標値を算出することを特徴とする点火装置。

請求項7

請求項6に記載の点火装置(1)において、前記内燃機関に吸入される吸入空気の圧力、または、前記内燃機関の回転数の少なくとも一方を検出する検出部(17、18)を備え、前記制御部は、この検出部の検出値に基づき、前記内燃機関の運転状態定常状態または過渡状態の何れか一方であることを判定し、前記内燃機関の運転状態が前記過渡状態であると判定した場合に、前記噴射量の指令値および前記吸気量の検出値を用いて前記空燃比を推定することを特徴とする点火装置(1)。

技術分野

0001

本発明は、内燃機関に用いられる点火装置に関する。

背景技術

0002

従来から、内燃機関用の点火装置では、1次コイルおよび2次コイルを有する点火コイルと、2次コイルに接続する点火プラグとを備え、1次コイルへの通電オンオフに伴う電磁誘導により、点火プラグにエネルギーを与えて火花放電を発生させるものが周知である。

0003

ところで、従来周知の点火装置では、エネルギーの投入量は実質的に点火コイルの仕様により画一的に定まっている。このため、運転条件によっては、エネルギーが過剰に投入されてしまうので、このようなエネルギー投入量画一化燃費悪化の一因となっている。
そこで、エネルギー投入量を可変にして燃費を改善することができる点火装置が求められている。

0004

なお、特許文献1には、次のような点火時期制御装置が開示されている。
すなわち、特許文献1の点火時期制御装置によれば、内燃機関の始動時を含む過渡状態において、点火時期進角量最大値規制する進角リミッタ非過渡状態よりも大きくすることにより、点火エネルギーを充分に確保することができる、としている。
しかし、特許文献1の点火時期制御装置によれば、点火コイルの仕様がエネルギー投入量を決定する要因であることに変わりはなく、燃費の改善にはさほど貢献しないものと考えられる。

先行技術

0005

特許第3791364号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関用の点火装置において、点火プラグへのエネルギー投入量を可変にして燃費を改善することにある。

課題を解決するための手段

0007

本願発明の点火装置は、1次コイルおよび2次コイルを有する点火コイルと、2次コイルに接続する点火プラグとを備え、1次コイルへの通電のオンオフに伴う電磁誘導により点火プラグにエネルギーを投入して火花放電を発生させるものであり、内燃機関用である。

0008

また、点火装置は、次の第1、第2回路および制御部を備える。まず、第1回路は、1次コイルへの通電をオンオフすることで、点火プラグに火花放電を開始させる。また、第2回路は、第1回路の動作によって開始した火花放電中に、第1回路による通電方向とは逆の方向に1次コイルに通電することで、2次コイルの通電を第1回路の動作で開始したのと同一方向に維持して点火プラグにエネルギーを投入し続け、火花放電を継続させる。さらに、制御部は、第2回路の動作を制御する。

0009

また、制御部は、内燃機関の気筒内の流速である筒内流速、内燃機関の気筒内の圧力である筒内圧力、および、空燃比に基づき点火プラグへのエネルギー投入量の目標値を算出するとともに、筒内流速に基づき2次コイルの通電量である2次電流指令値を算出し、エネルギー投入量の目標値、および、2次電流の指令値に応じて第2回路の動作を制御する。

0010

まず、筒内流速、筒内圧力および空燃比に基づきエネルギー投入量の目標値を算出することで、内燃機関の運転状態に応じたエネルギー投入量の制御が可能になる。また、筒内流速に基づき2次電流の指令値を算出することで、火花放電の吹き消えが発生しないように2次電流を制御することができる。このため、内燃機関用の点火装置において、点火プラグへのエネルギー投入量を可変にして燃費を改善することができる。

0011

なお、吹き消えとは、気流により火花放電の経路が引き伸ばされて切れてしまい、再度、火花放電が発生する現象である。そして、吹き消えが発生すると、エネルギーが無駄に消費されるばかりでなく、点火プラグの負担も増すため、吹き消えの発生は、燃費低減および点火プラグの寿命延長の両方の面で好ましくないと考えられている。

図面の簡単な説明

0012

点火装置の構成図である(実施例)。
点火装置および内燃機関を含む全体構成図である(実施例)。
点火装置の正常時の動作を示すタイムチャートである(実施例)。
点火装置の制御方法を示すフローチャートである(実施例)。
吸気圧回転数およびエネルギー投入量の経時変化を示すタイムチャートである(実施例)。

0013

以下において、発明を実施するための形態を、実施例を用いて説明する。なお、実施例は具体的な一例を開示するものであり、本発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。

0014

〔実施例の構成〕
図1および図2を参照して実施例の点火装置1を説明する。
点火装置1は、1次コイル2および2次コイル3を有する点火コイル4と、2次コイル3に接続する点火プラグ5とを備え、1次コイル2への通電のオンオフに伴う電磁誘導により点火プラグ5にエネルギーを投入して火花放電を発生させるものである。また、点火装置1は、車両走行用の内燃機関6に搭載され、所定の点火時期に気筒7内の混合気点火するものである。

0015

なお、点火プラグ5は、周知構造を有するものであり、2次コイル3の一端に接続される中心電極と、内燃機関6のシリンダヘッド等を介してアース接地される接地電極とを備え、2次コイル3に生じるエネルギーにより中心電極と接地電極との間で火花放電を生じさせる。
また、内燃機関6は、例えば、吸気ポート8に燃料噴射するインジェクタ9を有するポート噴射式であり、さらに希薄燃焼リーンバーン)が可能であって気筒7内にタンブル流スワール流等の混合気の旋回流が生じるように設けられている。
以下、点火装置1について詳述する。

0016

点火装置1は、次の第1、第2回路11、12、および、制御部13を備える。まず、第1回路11は、1次コイル2への通電をオンオフすることで、点火プラグ5に火花放電を開始させる。また、第2回路12は、第1回路11の動作によって開始した火花放電中に、第1回路11による通電方向とは逆の方向に1次コイル2に通電することで、2次コイル3の通電を第1回路11の動作で開始したのと同一方向に維持して点火プラグ5にエネルギーを投入し続け、火花放電を継続させる。また、制御部13は、第1、第2回路11、12の動作を制御する部分であり、次の電子制御ユニット(以下、ECU14と呼ぶ。)およびドライバ15等により構成される。

0017

ここで、ECU11は、内燃機関6に対する制御の中枢を成すものであり、点火信号IGtおよび放電継続信号IGw等の各種信号を出力して1次コイル2への通電を制御し、1次コイル2への通電を制御することで2次コイル3に誘導される電気エネルギーを操作して、点火プラグ5の火花放電を制御する(点火信号IGtおよび放電継続信号IGwについては後述する。)。

0018

なお、ECU14は、車両に搭載されて内燃機関6の運転状態や制御状態を示すパラメータを検出する各種センサから信号が入力される。また、ECU14は、入力された信号を処理する入力回路、入力された信号に基づき、内燃機関6の制御に関する制御処理演算処理を行うCPU、内燃機関6の制御に必要なデータやプログラム等を記憶して保持する各種のメモリ、CPUの処理結果に基づき、内燃機関6の制御に必要な信号を出力する出力回路等を備えて構成される。

0019

また、ECU14に信号を出力する各種センサとは、例えば、内燃機関6の回転数を検出する回転数センサ17、内燃機関6に吸入される吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ18、および、混合気の空燃比を検出する空燃比センサ19等である。そして、ECU14は、これらセンサから得られるパラメータの検出値に基づき、内燃機関6における点火制御燃料噴射制御を実行する。

0020

第1回路11は、例えば、バッテリ21の+極と1次コイル2の一方の端子とを接続するとともに、1次コイル2の他方の端子をアースに接続し、1次コイル2の他方の端子のアース側低電位側)に、放電開始用のスイッチ(以下、第1スイッチ22と呼ぶ。)を配置することで構成されている。

0021

そして、第1回路11は、第1スイッチ22のオンオフにより、1次コイル2にエネルギーを蓄えさせるとともに、1次コイル2に蓄えたエネルギーを利用して2次コイル3に高電圧を発生させ、点火プラグ5に火花放電を開始させる。
以下、第1回路11の動作により発生した火花放電を主点火と呼ぶことがある。また、1次コイル2の通電方向(つまり1次電流の方向)は、バッテリ21から第1スイッチ22に向かう方向をプラスとする。

0022

より具体的に説明すると、第1回路11は、ECU14から点火信号IGtが与えられる期間に第1スイッチ22をオンすることで、1次コイル2にバッテリ21の電圧印加してプラスの1次電流を通電し、1次コイル2に磁気的なエネルギーを蓄えさせる。その後、第1回路11は、第1スイッチ22のオフにより、電磁誘導によって2次コイル3に高電圧を発生させ、主点火を生じさせる。
なお、第1スイッチ22は、パワートランジスタMOS型トランジスタサイリスタ等である。また、点火信号IGtは、第1回路11において1次コイル2にエネルギーを蓄えさせる期間および点火開始時期指令する信号である。

0023

第2回路12は、第1回路11に対し1次コイル2と第1スイッチ22との間に接続するとともに、昇圧回路23から1次コイル2への電力供給をオンオフするスイッチ(以下、第2スイッチ24と呼ぶ。)を配置することで構成されている。
ここで、昇圧回路23は、ECU14から点火信号IGtが与えられる期間においてバッテリ21の電圧を昇圧してコンデンサ26に蓄えるものである。より具体的に、昇圧回路23は、コンデンサ26、チョークコイル27、昇圧スイッチ28、昇圧ドライバ29およびダイオード30を備えて構成されている。

0024

チョークコイル27は一端がバッテリ21のプラス電極に接続され、昇圧スイッチ28によりチョークコイル27の通電状態断続される。また、昇圧ドライバ29は、昇圧スイッチ28に制御信号を与えて昇圧スイッチ28をオンオフさせるものである。そして、昇圧スイッチ28のオンオフ動作により、チョークコイル27に発生した磁気的なエネルギーを、コンデンサ26で電気的なエネルギーとして蓄える。

0025

なお、昇圧ドライバ29は、ECU14から点火信号IGtが与えられる期間において昇圧スイッチ28を所定周期で繰り返しオンオフするように設けられている。また、ダイオード30は、コンデンサ26に蓄えたエネルギーがチョークコイル27の側へ逆流するのを防ぐものである。さらに、昇圧スイッチ28は、例えば、MOS型トランジスタである。

0026

第2回路12は、次の第2スイッチ24およびダイオード31を備えて構成される。ここで、第2スイッチ24は、例えば、MOS型トランジスタであり、コンデンサ26に蓄えたエネルギーを1次コイル2にマイナス側から投入するのをオンオフするものである。また、ダイオード31は、1次コイル2から第2スイッチ24への電流の逆流を阻止するものである。そして、第2スイッチ24は、ドライバ15から与えられる制御信号によりオン動作することで、昇圧回路23から1次コイル2のマイナス側にエネルギーを投入する。

0027

ドライバ15は、放電継続信号IGwが与えられる期間において、第2スイッチ24をオンオフさせてコンデンサ26から1次コイル2に投入するエネルギーを制御することで、2次コイル3の通電量である2次電流を制御する(以下、ドライバ15を投入ドライバ15と呼ぶ。)。ここで、放電継続信号IGwは、主点火として発生した火花放電を継続する期間を指令する信号であり、より具体的には、第2スイッチ24にオンオフを繰り返させて昇圧回路23から1次コイル2にエネルギーを投入する期間を指令する信号である。

0028

以上により、第2回路12は、第1回路11の動作によって開始した火花放電中に、第1回路11による通電方向とは逆の方向に1次コイル2に通電することで、2次電流を第1回路11の動作で開始したのと同一方向に維持して点火プラグ5にエネルギーを投入し続け、火花放電を継続させる。
以下の説明では、第2回路12の動作により主点火に継続する火花放電を継続火花放電と呼ぶことがある。

0029

また、投入ドライバ15は、ECU14から2次電流の指令値を示す信号である電流指令信号IGaが与えられ、電流指令信号IGaに基づき2次電流を制御する。
ここで、2次コイル3の一端は上述したように点火プラグ5の中心電極に接続し、2次コイル3の他端は、2次コイル3に発生する電圧である2次電圧、および、2次電流を検出して制御部13にフィードバックするF/B回路32に接続している。なお、2次コイル3の他端は、2次電流の方向を一方向に限定するダイオード34を介してF/B回路32に接続している。また、F/B回路32には、2次電流を検出するためのシャント抵抗33が接続している。

0030

そして、投入ドライバ15は、フィードバックされた2次電流の検出値と、電流指令信号IGaに基づき把握される2次電流の指令値とに基づき、第2スイッチ24のオンオフを制御する。すなわち、投入ドライバ15は、例えば、2次電流の検出値に対する上限下限の閾値を指令値に基づき設定し、検出値と上限、下限の閾値との比較結果に応じて制御信号の出力を開始したり、停止したりする。より具体的には、投入ドライバ15は、2次電流の検出値が上限よりも大きくなったら制御信号の出力を停止し、2次電流の検出値が下限よりも小さくなったら制御信号の出力を開始する。

0031

なお、第1、第2回路11、12、F/B回路32および投入ドライバ15は、点火回路ユニット36として1つのケース内収容配置され、点火プラグ5、点火コイル4および点火回路ユニット36は、気筒7の数と同数設けられて気筒7毎に設置される(図2参照。)。

0032

次に、図3を参照して点火装置1の正常時の動作を説明する。
なお、図3において、「IGt」は点火信号IGtの入力状態ハイ/ローで表すものであり、「IGw」は放電継続信号IGwの入力状態をハイ/ローで表すものである。また、「I1」、「V1」はそれぞれ1次電流(1次コイル2に流れる電流値)、1次電圧(1次コイル2に印加される電圧値)を表し、「I2」、「V2」はそれぞれ2次電流(2次コイル3に流れる電流値)、2次電圧(2次コイル3に印加される電圧値)を表す。さらに、「Vdc」はコンデンサ26に蓄えられるエネルギーを電圧値で表すものである。

0033

点火信号IGtがローからハイへ切り替わると(時間t01参照。)、点火信号IGtがハイの期間において、第1スイッチ22がオン状態を維持してプラスの1次電流が流れ、1次コイル2にエネルギーが蓄えられる。また、昇圧スイッチ28がオンオフを繰り返し、昇圧されたエネルギーがコンデンサ26に蓄えられる。

0034

やがて、点火信号IGtがハイからローへ切り替わると(時間t02参照。)、第1スイッチ22がオフされ、1次コイル2の通電が遮断される。これにより、電磁誘導によって2次コイル3に高電圧が発生し、点火プラグ5において主点火が発生する。
点火プラグ5において主点火が発生した後、2次電流は略三角波形状で減衰する(I2の点線を参照。)。そして、2次電流が下限の閾値に到達する前に、放電継続信号IGwがローからハイへ切り替わる(時間t03参照。)。

0035

放電継続信号IGwがローからハイへ切り替わると、第2スイッチ24がオンオフ制御されて、コンデンサ26に蓄えられていたエネルギーが、1次コイル2のマイナス側に順次投入され、1次電流は、1次コイル2からバッテリ21のプラス電極に向かって流れる。より具体的には、第2スイッチ24がオンされる毎に1次コイル2からバッテリ21のプラス電極に向かう1次電流が追加され、1次電流がマイナス側に増加していく(時間t03〜t04参照。)。

0036

そして、1次電流が追加される毎に、主点火による2次電流と同方向の2次電流が2次コイル3に順次追加され、2次電流は上限下限の間に維持される。
以上により、第2スイッチ24をオンオフ制御することで、2次電流が火花放電を維持可能な程度に継続して流れる。その結果、放電継続信号IGwのオン状態が続くと、継続火花放電が点火プラグ5において維持される。

0037

なお、ECU14は、1燃焼サイクルあたりの第2回路12によるエネルギー投入量の目標値E*および2次電流の指令値I*を記憶している。そして、ECU14は、目標値E*および指令値I*に基づき、第2回路12によるエネルギーの投入期間τを算出し、投入期間τとして定められた期間において放電継続信号IGwの出力を維持する。

0038

〔実施例の特徴〕
次に、実施例の特徴的な構成について説明する。
まず、制御部3としてのECU14は、内燃機関6の気筒7内の流速である筒内流速v、内燃機関6の気筒7内の圧力である筒内圧力P、および、空燃比AFRに基づき目標値E*を算出するとともに、筒内流速vに基づき2次電流の指令値I*を算出する。そして、ECU14は、目標値E*および指令値I*に応じて第2回路12の動作を制御する。

0039

具体的には、ECU14は、指令値I*、目標値E*を、それぞれ下記の数式1、2により算出する。
〔数式1〕I*=a・v(aは定数
〔数式2〕E*=b・v+c・P+d・AFR(b、c、dは定数)

0040

また、ECU14は、回転数センサ17から得られる回転数の検出値に基づき筒内流速vを推定するとともに、筒内流速vの推定値を数式1に当てはめることで指令値I*を算出し、吸気圧センサ18から得られる吸気圧の検出値に基づき筒内圧力Pを推定するとともに、筒内圧力Pの推定値を数式2に当てはめることで目標値E*を算出する。

0041

ここで、ECU14は、燃料噴射制御を行うため、インジェクタ9から噴射供給される燃料の噴射量の指令値を算出する噴射量指令部として機能する。また、ECU14は、吸気圧センサ18から得られる吸気圧の検出値に基づき、内燃機関に吸入される吸入空気の流量である吸気量を推定する吸気量検出部として機能する。

0042

さらに、ECU14は、吸気圧センサ18から得られる吸気圧の検出値、または、回転数センサ17から得られる回転数の検出値の一方に基づき、内燃機関6の運転状態が定常状態または過渡状態の何れか一方であることを判定する。そして、ECU14は、内燃機関6の運転状態が過渡状態であると判定した場合に、噴射量の指令値および吸気量の推定値を用いて空燃比を推定する。

0043

〔実施例の制御方法〕
以下、ECU14による第2回路12に対する制御を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1で、内燃機関の運転状態が過渡状態であるか否かを判定する。この判定は、上記のとおり、吸気圧センサ18から得られる吸気圧の検出値、または、回転数センサ17から得られる回転数の検出値の一方に基づき行われる。

0044

より具体的には、例えば、吸気圧の時間変化率、回転数の時間変化率のそれぞれに対して閾値ε1、ε2が設定されており、吸気圧の時間変化率がε1よりも大きくなったとき、または、回転数の時間変化率がε2よりも大きくなったときに、過渡状態であるものと判定し(YES)、ステップS2に進む。また、吸気圧の時間変化率がε1よりも小さく、かつ、回転数の時間変化率がε2よりも小さいときに、過渡状態ではなく定常状態あるものと判定し(NO)、ステップS5に進む。

0045

ステップS2では、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRを求め、ステップS3に進む。なお、ステップS2では、噴射量の指令値および吸気量の検出値を用いて空燃比AFRを推定する。
ステップS3では、第2回路12によるエネルギーの投入量の目標値E*、2次電流の指令値I*を算出する。このとき、上記のように、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRを用いて数式1、2により、目標値E*、指令値I*を算出し、さらに算出した目標値E*、指令値I*を用いてエネルギーの投入期間τを算出する。
ステップS4では、投入期間τが経過するまで(NO)、第2回路12によるエネルギーの投入を続けて火花放電を維持する。

0046

一方、ステップS5では、空燃比センサ19から得られる検出値を空燃比AFRの数値とする。そして、ステップS6、S7では、それぞれステップS3、S4と同様の処理が行われ、ステップS7で投入期間τが経過したと判定した場合(YES)、ステップS8に進み、数式1、2の各種定数a〜dを更新するか否かの判定を行う。より具体的には、数式2で算出した目標値E*と、エネルギー投入量の現実値との差Δを算出し、差Δが所定の閾値ε3よりも小さいか否かを判定する。

0047

そして、差Δが閾値ε3よりも大きいときに(YES)、定数a〜dを更新する必要があると判定してステップS9に進み、定数a〜dを更新する。また、差Δが閾値ε3よりも小さいときには(NO)、定数a〜dを更新せず、このフローを終了する。なお、定数a〜dの更新は、例えば、当初、投入期間τが大きくなるように定数a〜dを大き目に設定しておき、徐々に、定数a〜dが小さくなるように行う。

0048

〔実施例の動作〕
実施例の点火装置1の動作の一例を、図5を用いて説明する。
例えば、吸気圧がP1、回転数がN1の定常状態において、エネルギー投入量がE1で点火制御が行われているものとする。この場合、図4のステップS1で運転状態が定常状態であると判定されるので、ステップS5〜S9に基づき点火制御が行われる。このような状態で、乗員の加速操作が行われ、吸気圧、回転数およびエネルギー投入量が上昇を開始したものとする(時間t1参照。)。

0049

この場合、吸気圧の時間変化率、回転数の時間変化率は、両方とも、それぞれの閾値ε1、ε2よりも大きくなり、ステップS1で運転状態が過渡状態であると判定され、ステップS2〜S4に基づき点火制御が行われる。
やがて、吸気圧がP1よりも大きいP2、回転数がN1よりも大きいN2の定常状態に移行し、エネルギー投入量がE1よりも大きいE2に安定する。この間に、吸気圧の時間変化率、回転数の時間変化率は、両方とも、それぞれの閾値ε1、ε2よりも小さくなり、ステップS1で運転状態が定常状態であると判定され、ステップS5〜S9に基づき点火制御が行われる。

0050

〔実施例の効果〕
実施例の点火装置1によれば、ECU14は、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRに基づき点火プラグ5へのエネルギー投入量の目標値E*を算出するとともに、筒内流速vに基づき2次電流の指令値I*を算出し、目標値E*および指令値I*に応じて第2回路12の動作を制御する。

0051

まず、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRに基づき目標値E*を算出することで、内燃機関6の運転状態に応じたエネルギー投入量の制御が可能になる。また、筒内流速vに基づき指令値I*を算出することで、火花放電の吹き消えが発生しないように2次電流を制御することができる。このため、点火装置1において、点火プラグ5へのエネルギー投入量を可変にして燃費を改善することができる。

0052

また、ECU14は指令値I*を上記の数式1により算出する。
これにより、火花放電の吹き消えを防止するのに、簡易な比例式を用いることができるので、ECU14の演算負荷を低減することができる。
さらに、ECU14は目標値E*を上記の数式2により算出する。
これにより、燃費低減効果を得るのに、簡易な線形式を用いることができるので、ECU14の演算負荷を低減することができる。

0053

また、ECU14は、回転数センサ17から得られる回転数の検出値に基づき筒内流速vを推定するとともに、筒内流速vの推定値を数式1に当てはめることで指令値I*を算出し、吸気圧センサ18から得られる吸気圧の検出値に基づき筒内圧力Pを推定するとともに、筒内圧力Pの推定値を数式2に当てはめることで目標値E*を算出する。
これにより、指令値I*や目標値E*を算出するのに必要な筒内流速vや筒内圧力Pの数値を得るのに、既存のセンサを利用することができるので、点火装置1のコストを低減することができる。

0054

また、ECU14は、インジェクタ9から噴射供給される燃料の噴射量の指令値を算出する噴射量指令部として機能し、さらに、吸気圧センサ18から得られる吸気圧の検出値に基づき吸気量を推定する吸気量検出部として機能する。そして、ECU14は、噴射量の指令値および吸気量の推定値に基づき空燃比AFRを推定する
これにより、目標値E*を算出するのに必要な空燃比AFRの数値を、空燃比センサ19から取得するよりも早期に得ることができる。このため、エネルギー投入量に関し、より燃費低減効果の高い制御を実行することができる。

0055

さらに、ECU14は、内燃機関6の運転状態が過渡状態であると判定した場合に、噴射量の指令値および吸気量の推定値を用いて空燃比を推定する。
これにより、より燃費低減の必要性が高い過渡状態において、燃費低減効果の高い制御を実行することができる。このため、燃費低減効果を高めつつ、過渡状態以外の定常状態では、空燃比センサ19から得られる検出値を空燃比AFRの数値として用いることで、ECU14の演算負荷を低減することができる。

0056

〔変形例〕
点火装置1の態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例の点火装置1によれば、エネルギー投入量の目標値E*は、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRの線形次式(数式1参照。)により算出されていたが、目標値E*の算出方法は、このような態様に限定されない。
例えば、目標値E*を求める数式に、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRのいずれかをべき乗で組み入れてもよく、目標値E*を求める数式を、筒内流速v、筒内圧力Pおよび空燃比AFRのいずれかを含まない形で組み立ててもよい。
同様に、2次電流の指令値I*の算出方法も、筒内流速vの比例式に限定されない。

0057

また、実施例によれば、筒内圧力Pは吸気圧センサ18の検出値に基づき推定されていたが、筒内圧力Pを直接的に検出することができる筒内圧センサを内燃機関6に装着し、筒内圧センサの検出値を筒内圧力Pの数値として利用してもよい。

0058

また、実施例では、ガソリン用の内燃機関6に点火装置1を用いる例を示したが、エタノール燃料混合燃料を用いる内燃機関6に点火装置1を適用してもよく、粗悪燃料が用いられる可能性のある内燃機関6に点火装置1を適用してもよい。

0059

また、実施例では、希薄燃焼が可能な内燃機関6に点火装置1を用いる例を示したが、希薄燃焼とは異なる燃焼状態であっても継続火花放電によって着火性の向上を図ることができるため、希薄燃焼が可能な内燃機関6への適用に限定するものではなく、点火装置1を、希薄燃焼を行わない内燃機関6に用いてもよい。

実施例

0060

また、実施例では、吸気ポート8に燃料を噴射するポート噴射式の内燃機関6に点火装置1を用いる例を示したが、気筒7内に直接燃料を噴射する直噴式の内燃機関6に点火装置1を用いてもよい。
さらに、実施例では、混合気の旋回流を気筒7内にて積極的に生じさせる内燃機関6に点火装置1を用いる例を開示したが、旋回流を気筒7内に積極的に生じさせる機構がない内燃機関6に用いてもよい。

0061

1点火装置2 1次コイル3 2次コイル 4点火コイル5点火プラグ6内燃機関11 第1回路12 第2回路 13 制御部 14 ECU 15投入ドライバE*エネルギー投入量の目標値 I* 2次電流の指令値v 筒内流速P筒内圧力AFR 空燃比

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