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技術 杭構築方法

出願人 鹿島建設株式会社ケミカルグラウト株式会社
発明者 田中誠倉石泰男伊藤弘之藤崎勝利島村淳
出願日 2015年11月27日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-231753
公開日 2016年12月22日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2016-217119
状態 特許登録済
技術分野 杭・地中アンカー 杭、矢板の設置・撤去及びそれらの付属品 地中削孔
主要キーワード 許容強度 ロッド管 先端ロッド 最小壁 適宜本数 圧縮空気入口 自硬性材料 延長ロッド
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図面 (16)

課題

空頭下において、構築中における孔壁崩壊を防止しつつ杭を容易に構築可能な杭構築方法を提供する。

解決手段

地盤に杭を構築する杭構築方法であって、少なくとも一つの地盤改良体からなる中実地盤改良体を形成することと、中実地盤改良体内を掘削して掘削孔を形成することと、掘削孔内に杭を構築することとを含む。中実地盤改良体を形成することは、地盤改良体造成予定領域毎に、地盤鉛直方向に延伸するボーリング孔GHを形成することと、先端ロッド121、ノズル122及び延長ロッド123を有するロッド12をボーリング孔GHに挿入することと、固化材と水を含む液体をノズル122から半径方向外方に向けて噴射しつつ、ロッド12を引き上げて、ボーリング孔GHより大径であり且つ地盤より強度の高い地盤改良体を形成することとを含んで構成される。

概要

背景

地盤構築する杭構築方法としては、アースオーガー等の掘削機によって地盤の杭構築予定箇所に予め削孔した掘削孔内鉄筋籠を建て込むと共にコンクリート打設して、地盤内にいわゆる場所打ち杭を構築する杭構築方法が知られている。
この一般的な杭構築方法を、例えば細粒分含有率が低い(例えば粒径0.075mm未満の土粒子含有率が約35%以下)土層等を含む地盤等において杭を施工する方法として採用すると、掘削機による地盤の掘削中や鉄筋籠の建て込み中に、前記掘削孔孔壁の一部が崩壊するおそれがある。そして、孔壁が崩壊すると、掘削機の掘削ロッドの先端や鉄筋籠が崩壊した土砂内に埋没等して、掘削が不能になったり、コンクリートの打設が困難になったりするおそれがある。このため、孔壁崩壊リスクの高い土層を含む地盤等において、孔壁を保護できる杭構築方法が求められている。

ここで、杭の構築の際に孔壁保護を必要とする場合、特許文献1に開示されたケーシング圧入装置を用いた杭構築方法が一般的に知られている。このケーシング圧入装置を用いた杭構築方法では、円筒状のケーシングをケーシング圧入装置により地盤内に圧入すると共にケーシング内の土砂をハンマーグラブ等によりケーシング外に排出し、土砂排出後のケーシング内に鉄筋籠を建て込むと共にコンクリートを打設し、その後、ケーシングを引き抜く等して場所打ち杭を構築する。このように、ケーシング及びハンマーグラブ等により杭構築予定箇所に掘削孔を形成すると共に、その掘削孔の孔壁をケーシングにより保護することで、杭構築中における孔壁崩壊の発生を防止している。

概要

空頭下において、杭構築中における孔壁の崩壊を防止しつつ杭を容易に構築可能な杭構築方法を提供する。地盤に杭を構築する杭構築方法であって、少なくとも一つの地盤改良体からなる中実地盤改良体を形成することと、中実地盤改良体内を掘削して掘削孔を形成することと、掘削孔内に杭を構築することとを含む。中実地盤改良体を形成することは、地盤改良体造成予定領域毎に、地盤鉛直方向に延伸するボーリング孔GHを形成することと、先端ロッド121、ノズル122及び延長ロッド123を有するロッド12をボーリング孔GHに挿入することと、固化材と水を含む液体をノズル122から半径方向外方に向けて噴射しつつ、ロッド12を引き上げて、ボーリング孔GHより大径であり且つ地盤より強度の高い地盤改良体を形成することとを含んで構成される。

目的

本発明は、このような実状に鑑み、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業制約を受ける領域にて、杭構築中における孔壁の崩壊を防止しつつ杭を容易に構築可能な杭構築方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

地盤構築する杭構築方法であって、前記地盤の鉛直方向に延びる少なくとも一つの地盤改良体からなる中実の中実地盤改良体を形成することと、前記中実地盤改良体内を鉛直方向に掘削して掘削孔を形成することと、前記掘削孔内に前記杭を構築することと、を含み、前記中実地盤改良体を形成することは、一つの前記地盤改良体の造成予定領域毎に、前記地盤に鉛直方向に延伸するボーリング孔を形成することと、円筒状の先端ロッドと、当該先端ロッドの先端部側に設けられるノズルと、前記先端ロッドの基端部側に順次継ぎ足される延長ロッドと、を有するロッドを前記ボーリング孔に挿入することと、固化材と水を含む液体を前記ノズルから半径方向外方に向けて噴射しつつ、前記ロッドを回転させると共に、前記ロッドを引き上げて、前記ボーリング孔より大径であり且つ前記地盤より強度の高い前記地盤改良体を形成することと、を含む、杭構築方法。

請求項2

前記掘削孔の形成時に、前記掘削孔内に安定液を供給し、前記中実地盤改良体内で生じた掘削土砂を安定液と共に前記掘削孔外に排出し、当該排出された安定液を再び前記掘削孔内に供給して循環させる、請求項1に記載の杭構築方法。

請求項3

先端掘削ロッド管と、当該先端掘削ロッド管の先端部側に設けられる削孔ビットと、前記先端掘削ロッド管の基端部側に順次継ぎ足される延長掘削ロッド管とから成る掘削ロッド管を有する掘削装置により、前記中実地盤改良体内を掘削して前記掘削孔を形成し、前記掘削孔内の掘削土砂と安定液からなる泥水は、前記先端掘削ロッド管の先端開口部から吸引され、前記掘削ロッド内を上昇して前記掘削孔外に排出される、請求項2に記載の杭構築方法。

請求項4

前記掘削孔内に、予め分割して形成された鉄筋籠を順次継ぎ足して建て込むと共にコンクリート打設して、前記杭を形成する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の杭構築方法。

請求項5

前記掘削孔内に、予め分割して形成されたコンクリート杭又は鋼管杭を順次継ぎ足して建て込み、前記掘削孔の孔壁と前記建て込まれた前記コンクリート杭又は鋼管杭との間に、コンクリート、モルタル及びセメントペーストのいずれか1つを充填して、前記杭を形成する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の杭構築方法。

請求項6

前記中実地盤改良体は、一つの前記地盤改良体からなり、請求項1〜5のいずれか1つに記載の杭構築方法。

請求項7

前記掘削孔は、前記地盤改良体の造成径より小さい所定の内径を有し、その孔中心を前記中実地盤改良体の延伸方向の中心軸と合わせて形成され、前記掘削孔の形成後の前記地盤改良体の壁厚は、前記掘削孔を形成する掘削装置の掘削力と地盤の強度とに応じて定める前記地盤改良体の許容強度範囲と、前記掘削孔の孔壁崩壊についての必要安全率とに基づいて定める安全壁厚範囲内で定められる、請求項6に記載の杭構築方法。

請求項8

前記壁厚は、前記安全壁厚範囲のうちの、前記掘削孔及び前記地盤改良体の施工精度に応じて定める最小壁厚以上の範囲である施工壁厚範囲内で定められる、請求項7に記載の杭構築方法。

請求項9

前記中実地盤改良体は複数の前記地盤改良体が互いに重なり合ってなる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の杭構築方法。

請求項10

前記掘削孔は、所定の内径を有し、その孔中心を前記中実地盤改良体の延伸方向の中心軸と合わせて形成され、前記掘削孔の形成後の前記中実地盤改良体は、その壁厚が最小となる薄肉部を有し、前記薄肉部の厚さは、前記掘削孔を形成する掘削装置の掘削力と地盤の強度とに応じて定める前記地盤改良体の許容強度範囲と、前記掘削孔の孔壁崩壊についての必要安全率とに基づいて定める安全壁厚範囲内で定められる、請求項9に記載の杭構築方法。

請求項11

前記薄肉部の厚さは、前記安全壁厚範囲のうちの、前記掘削孔及び前記地盤改良体の施工精度に応じて定める最小壁厚以上の範囲である施工壁厚範囲内で定められる、請求項10に記載の杭構築方法。

請求項12

前記地盤改良体の造成径は、前記施工壁厚範囲と前記掘削孔の前記所定の内径とに基づいて定める安全造成径範囲と、前記地盤改良体を形成する地盤改良体形成装置の造成能力に応じて定める造成径についての造成可能径範囲とが重複する範囲である施工造成径範囲内で定められる、請求項8又は11に記載の杭構築方法。

請求項13

前記地盤改良体の一軸圧縮強さは、前記中実地盤改良体の形成が完了してから該中実地盤改良体に前記掘削孔を削孔可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日において、所定の強度範囲内に収まるように設定されている、請求項1〜12のいずれか1つに記載の杭構築方法。

請求項14

前記所定の強度範囲の下限値は前記地盤改良体の周囲地盤の強度より高く設定され、前記所定の強度範囲の上限値は前記掘削孔を形成する掘削装置の掘削力に応じて設定されている、請求項13に記載の杭構築方法。

技術分野

0001

本発明は、地盤構築する杭構築方法に関する。

背景技術

0002

地盤に杭を構築する杭構築方法としては、アースオーガー等の掘削機によって地盤の杭構築予定箇所に予め削孔した掘削孔内鉄筋籠を建て込むと共にコンクリート打設して、地盤内にいわゆる場所打ち杭を構築する杭構築方法が知られている。
この一般的な杭構築方法を、例えば細粒分含有率が低い(例えば粒径0.075mm未満の土粒子含有率が約35%以下)土層等を含む地盤等において杭を施工する方法として採用すると、掘削機による地盤の掘削中や鉄筋籠の建て込み中に、前記掘削孔孔壁の一部が崩壊するおそれがある。そして、孔壁が崩壊すると、掘削機の掘削ロッドの先端や鉄筋籠が崩壊した土砂内に埋没等して、掘削が不能になったり、コンクリートの打設が困難になったりするおそれがある。このため、孔壁崩壊リスクの高い土層を含む地盤等において、孔壁を保護できる杭構築方法が求められている。

0003

ここで、杭の構築の際に孔壁保護を必要とする場合、特許文献1に開示されたケーシング圧入装置を用いた杭構築方法が一般的に知られている。このケーシング圧入装置を用いた杭構築方法では、円筒状のケーシングをケーシング圧入装置により地盤内に圧入すると共にケーシング内の土砂をハンマーグラブ等によりケーシング外に排出し、土砂排出後のケーシング内に鉄筋籠を建て込むと共にコンクリートを打設し、その後、ケーシングを引き抜く等して場所打ち杭を構築する。このように、ケーシング及びハンマーグラブ等により杭構築予定箇所に掘削孔を形成すると共に、その掘削孔の孔壁をケーシングにより保護することで、杭構築中における孔壁崩壊の発生を防止している。

先行技術

0004

特開昭61−270418号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ここで、ケーシングにより孔壁を保護する杭構築方法では、ケーシングを地盤内に圧入する大型のケーシング圧入装置が必要である。そして、このケーシング圧入装置の杭構築予定箇所への据え付け時やケーシングの杭構築予定箇所への搬入搬出時等に、大型クレーンを必要とする。
しかしながら、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在する施工現場では、大型クレーンを用いることができない場合もあり、工夫が求められている。

0006

本発明は、このような実状に鑑み、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業制約を受ける領域にて、杭構築中における孔壁の崩壊を防止しつつ杭を容易に構築可能な杭構築方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題に対して、本発明の一側面に係る杭構築方法では、地盤に杭を構築する杭構築方法であって、前記地盤の鉛直方向に延びる少なくとも一つの地盤改良体からなる中実の中実地盤改良体を形成することと、前記中実地盤改良体内を鉛直方向に掘削して掘削孔を形成することと、前記掘削孔内に前記杭を構築することと、を含み、前記中実地盤改良体を形成することは、一つの前記地盤改良体の造成予定領域毎に、前記地盤に鉛直方向に延伸するボーリング孔を形成することと、円筒状の先端ロッドと、当該先端ロッドの先端部側に設けられるノズルと、前記先端ロッドの基端部側に順次継ぎ足される延長ロッドと、を有するロッドを前記ボーリング孔に挿入することと、固化材と水を含む液体を前記ノズルから半径方向外方に向けて噴射しつつ、前記ロッドを回転させると共に、前記ロッドを引き上げて、前記ボーリング孔より大径であり且つ前記地盤より強度の高い前記地盤改良体を形成することと、を含む。

発明の効果

0008

前記一側面による杭構築方法によれば、地盤の鉛直方向に延びる少なくとも一つの地盤改良体からなる中実の中実地盤改良体を形成した後、この中実地盤改良体内を鉛直方向に掘削して得られた掘削孔内に杭を構築している。そして、前記一側面による杭構築方法によれば、一つの前記地盤改良体の造成予定領域毎に、先端部側にノズルが設けられた先端ロッドの基端部側に延長ロッドを順次継ぎ足してなるロッドをボーリング孔内に挿入し、このボーリング孔内で前記ノズルから固化材と水を含む液体を半径方向外方に向けて噴射させつつ、ロッドを回転及び引き上げることで、地盤より強度の高い前記地盤改良体を形成している。これにより、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機により前記ロッドを挿入可能な小径のボーリング孔を掘削し、そのボーリング孔に前記ロッドを延長しながら挿入し、そのロッドの先端のノズルから固化材と水を含む液体を噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、杭構築予定箇所に周囲の地盤よりも適宜強度を高めた少なくとも一つの地盤改良体からなる中実地盤改良体を予め構築(造成)することができる。そして、例えば、地盤改良体の強度を、この地盤改良体からなる中実地盤改良体に杭構築用の掘削孔を削孔する掘削装置能力工法等に応じて周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、掘削孔の孔壁の安定化を図ることができるため、杭構築中における孔壁の崩壊を防止することができる。また、ロッド挿入用の小径の前記ボーリング孔や杭構築用の前記掘削孔を掘削するための機械及び工法は、それぞれ、杭構築予定領域の地面から杭構築予定箇所の上空に存在する構造物までの高さに応じて、適宜の機械及び工法を採用すればよい。

0009

このようにして、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、杭構築中における孔壁の崩壊を防止しつつ杭を容易に構築可能な杭構築方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の一実施形態における地盤改良体形成装置概略構成を示す図であり、杭構築予定箇所の地盤の断面図でもある。
上記実施形態における掘削装置の概略構成を示す図である。
上記実施形態における杭構築方法の一例を説明するための概念図であり、ボーリング孔形成工程を示す図である。
前記ボーリング形成工程に続く中実地盤改良体形成工程を説明するための図である。
前記中実地盤改良体の形成が完了した状態を示す図である。
前記中実地盤改良体形成工程に続く中実地盤改良体掘削工程を説明するための図である。
中実地盤改良体掘削工程に続く鉄筋籠建て込み工程を説明するための図である。
前記鉄筋籠建て込み工程に続くコンクリート打設工程を説明するための図であり、杭(場所打ち杭)の構築が完了した状態を示す図でもある。
前記中実地盤改良体掘削工程の後の地盤改良体1aの壁厚t1及び造成径D3の設定手順のうち、所定の条件を満たす壁厚t1の範囲を設定する手順(ステップ1)を説明するためのフロー図である。
前記壁厚t1及び造成径D3の設定手順のうち、所定の条件を満たす造成径D3の範囲を設定する手順(ステップ2)を説明するためのフロー図である。
前記壁厚t1及び造成径D3の設定手順のうち、最終的に壁厚t1と造成径D3の値を設定する手順(ステップ3)を説明するためのフロー図である。
地盤改良体1aの一軸圧縮強さquと壁厚t1との関係を示す図である。
地盤改良体1aの造成径D3と一軸圧縮強さquの関係を示す図である。
中実地盤改良体1の変形例を説明するための中実地盤改良体1の水平断面図である。
中実地盤改良体1の別の変形例を説明するための中実地盤改良体1の水平断面図である。

実施例

0011

以下に、本発明に係る杭構築方法の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態における杭構築方法は、地盤に鉛直方向に延伸するボーリング孔としてのガイドホールGHを形成するボーリング孔形成工程と、高圧噴射撹拌工法を用いて地盤内に中実(つまり、内部が中空ではない)の中実地盤改良体1を形成(造成)する中実地盤改良体形成工程と、中実地盤改良体1内を鉛直方向に掘削して掘削孔BHを形成する中実地盤改良体掘削工程と、掘削孔内に鉄筋籠を建て込む鉄筋籠建て込み工程と、コンクリート打設工程とを含む。
図1は、本発明の一実施形態における杭構築方法において用いる地盤改良体形成装置10の概略構成を示し、図2は、同じく本実施形態において用いる掘削装置20の概略構成を示す。図1及び図2は、杭構築予定領域を含む地盤の断面図でもある。
前記中実地盤改良体1は、地盤の鉛直方向に延びる少なくとも一つ(一本)の地盤改良体1aからなり、中実な改良体である。本実施形態では、中実地盤改良体1は、一つの地盤改良体1aからなる場合を一例に挙げて以下説明する。

0012

本実施形態では、既存の鉄道高架橋の直下の低空頭且つ狭隘な施工場所、つまり、杭構築予定領域の上空に、既設構造物として鉄道高架橋Bが存在する低空頭な場所である上、その杭構築予定領域の地上側周辺に、十分な作業スペースを確保することが困難な狭隘な場所で、地盤に杭として場所打ち杭P(後述する図8参照、以下において、場所打ち杭Pを単に杭Pという)を構築する場合を一例として、以下説明する。
具体的には、杭構築予定領域の鉄道高架橋Bは地面から約3〜4mの高さ位置に存在するものとする。なお、本実施形態では、既設構造物は鉄道高架橋Bであり、杭Pをこの鉄道高架橋Bの直下の低空頭且つ狭隘な場所に構築する場合で説明するが、これに限らず、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であれば、どのような施工場所でもよい。
また、本実施形態において、杭構築予定領域を含む地盤は、地面側に位置する上層G1と、その上層G1の下方に位置する支持層G2とを含み、上層G1は細粒分含有率が低く(例えば、粒径0.075mm未満の土粒子の含有率が約35%以下)、支持層G2は適切な強度を有するものとする。また、本実施形態では、杭Pは、具体的には、その下端部が支持層G2に到達するように構築するものとする。

0013

まず、本実施形態の杭構築方法において用いる地盤改良体形成装置10と掘削装置20の構成について、図1及び図2を参照して、以下に説明する。

0014

前記地盤改良体形成装置10は、いわゆる高圧噴射撹拌工法により地盤に中実地盤改良体1を構成する地盤改良体1a(後述する図5参照)を形成する装置である。地盤改良体形成装置10は、図1に示すように、その本体11とロッド12とを含んで構成される。

0015

前記本体11は、噴射液貯蔵する噴射液タンク(図示せず)と、噴射液を超高圧・大流量(例えば、圧力:20〜40MPa程度、吐出流量:0.1〜0.6m3/分程度)で圧送可能な超高圧ポンプ(図示せず)と、エアーコンプレッサー(図示せず)とを備える。また、本体11の正面には、ロッド12を、その軸心を中心として回転させると共に、軸心に沿って引き上げ及び引き下げ可能に把持する把持部13が取付けられている。

0016

噴射液は、適宜の固化材(例えばセメントなどの自硬性材料)と水とを含む液体としての固化材ミルクである。本実施形態では、噴射液は、固化材としてセメントを用いたセメントミルクであるものとして以下説明するが、固化材ミルクはこれに限らない。固化材ミルクは、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquが周囲地盤の強度より高い後述する所定の強度範囲内に収まるように配合されている。

0017

地盤改良体1aの形成予定場所には、ピット(凹部)14が形成される。このピット14は、地盤改良体1aの形成予定場所において、地面より所定深さ分だけ床掘りすることで形成される。ここで、地盤改良体1aは、杭構築予定領域と重複する領域に形成される。地盤改良体1aは、例えば、その延伸方向の中心軸を構築予定の杭Pの軸心に略一致させると共に、後述するように、杭Pの外径(D2)よりも大きい造成径D3を有して形成される。

0018

ピット14には、ロータリーボーリングマシン等の小型の削孔機(図示せず)によって、地盤に鉛直方向に延伸する小径のボーリング孔であるガイドホールGHが形成される。ガイドホールGHは、例えば、上層G1と支持層G2との境界位置に達する深さまで形成される。このガイドホールGH内に、ロッド12が挿入される。ここで、ガイドホールGHの内径D1は、地盤改良体1aの造成径(外径)D3よりも小さい。前記削孔機の削孔用ロッドは、適宜長さに分割されて、適宜継ぎ足して延長可能に構成されている。したがって、低空頭且つ狭隘な場所においても、クレーン等を使用せずに適宜深さのガイドホールGHを、容易に形成することができる。

0019

地盤改良体1aの形成時には、ロッド12とガイドホールGHとの間の隙間を通ってスライム状の混練土(スライム)が上昇し、ピット14に滞留する。このスライムは、ピット14に設置されるサンドポンプ15を介して、スライム貯留タンク16内に排泥される。

0020

前記ロッド12は、円筒状の先端ロッド121と、この先端ロッド121の先端部側(下端部側)に設けられる噴射モニタ122と、先端ロッド121の基端部側(上端部側)に順次継ぎ足される適宜本数の延長ロッド123と、を有する。ロッド12の上端部側(つまり、延長ロッド123のうち最後に継ぎ足されるものの上端部側)が地面から突出して把持部13によって把持される。

0021

先端ロッド121及び延長ロッド123は、例えば、外管内管とからなる二重管によりそれぞれ構成される。なお、本実施形態では、先端ロッド121及び延長ロッド123は二重管構造である場合を一例に挙げて説明するが、これに限らず、三重管等の構造を適宜採用することができる。
本実施形態において、延長ロッド123のうち最後に継ぎ足されるものの上端部には、噴射液入口と圧縮空気入口を有するスイベル17が接続され、先端ロッド121の下端側には、カップリング(図示せず)を介して噴射モニタ122が接続されている。先端ロッド121と延長ロッド123との間、及び、各延長ロッド123,123間は適宜継手を介して接続される。
先端ロッド121及び延長ロッド123は、その内管がスイベル17の噴射液入口と連通して噴射液の流路となり、また、内管と外管との間の隙間がスイベル17の圧縮空気入口と連通して圧縮空気の流路となる。

0022

本体11の噴射液タンク内の噴射液は、超高圧ポンプ、スイベル17の噴射液入口を介してロッド12の内管内に圧送される。また、本体11のエアーコンプレッサーからの圧縮空気は、スイベル17の圧縮空気入口を介してロッド12の外管と内管との間の流路に圧送される。

0023

噴射モニタ122は、ロッド12(先端ロッド121)の内管と連通する噴射液噴射ノズル(図示せず)と、前述の圧縮空気の流路と連通する圧縮空気噴射ノズル(図示せず)とを備える。すなわち、ロッド12の先端部側には、噴射液噴射ノズル及び圧縮空気噴射ノズルが設けられている。
噴射液噴射ノズルの先端は、噴射モニタ122の外周面の一部で径方向外向きに開口している。また、圧縮空気噴射ノズルの先端は、噴射液噴射ノズルの周囲で、径方向外向きに開口している。圧縮空気を噴射液噴射ノズルの周囲から噴射させることにより、噴射液を効率的に噴射させることができる。なお、本実施形態において、噴射モニタ122が本発明に係る「ノズル」に相当する。

0024

地盤改良体形成装置10を作動させて地盤改良体1aを形成するときには、まず、ガイドホールGHの下端部近傍に噴射モニタ122が位置するように、延長ロッド123を順次継ぎ足す。そして、この状態で、本体11の超高圧ポンプ及びエアーコンプレッサーを駆動させて、ロッド12内に、高圧の噴射液及び圧縮空気を圧送することで、噴射モニタ122の噴射液噴射ノズルから高圧の噴射液を、ガイドホールGHの半径方向外方に向けて連続的に噴射させると共に、噴射液噴射ノズルの周囲の圧縮空気噴射ノズルから圧縮空気を噴射させる。これにより、噴射液と圧縮空気とが混合したジェット流Jが形成される。また、ジェット流Jを噴射しつつ、ロッド12を把持部13により回転させる。このときに、ジェット流Jの圧力により、噴射モニタ122の周囲の地盤が切削されると共に、掘削土と噴射液とが撹拌混練されて(すなわち混合されて)地盤改良がなされる(すなわちソイルモルタルが形成される)。これにより、固化材と水とを含むジェット流Jを噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射可能に構成され、ガイドホールGHより大径であるソイルモルタル製の地盤改良体1aの底部が形成される。

0025

これに続けて、ジェット流Jを連続的に噴射させつつ、ロッド12を把持部13により回転駆動させながら所定の引き上げ速度で、図1に矢印で示す鉛直方向上方に引き上げる。このロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット14の近傍(例えば底面)に達するまで行われる。この引き上げの際、ロッド12はスイベル17と共に上昇する。したがって、例えば、スイベル17が鉄道高架橋Bに底面近傍の手前に位置するまでの間の適宜タイミングでジェット流Jの噴射を一旦停止させ、延長ロッド123のうちの地面から突出した適宜本数の延長ロッド123を取り外し、最上部の延長ロッド123の上端部をスイベル17に接続し直した後、ジェット流Jの噴射を再開すればよい。このようにして、ガイドホールGHより大径であり、且つ、上層G1と支持層G2との境界面に達する長さを有する円柱状の一つの地盤改良体1aからなる中実地盤改良体1が形成される(後述の図5参照)。

0026

その後、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquは、徐々に増加し、地盤改良体1aの材齢期間が長くなるにつれ強度増加速度は緩やかになり、所定の強度範囲内に略収まる。この一軸圧縮強さquの上記所定の強度範囲については後に詳述する。
なお、実際に造成した地盤改良体1aの造成径D3は、ジェット流Jの圧力及びロッド12の引き上げ速度や地盤の強度等によって決まる。それゆえ、本実施形態では、地盤改良体1aの形成に先立って、標準貫入試験(JIS A 1219)によってN値を求めて地盤の強度を推定し、この推定された地盤の強度に基づいて、所望の地盤改良体1aの造成径D3が得られるように、ジェット流Jの圧力及びロッド12の引き上げ速度(前述の所定の引き上げ速度)を設定する。

0027

次に、前記掘削装置20について、図2を参照して説明する。
掘削装置20は、いわゆるTBH工法により掘削孔BHを形成する装置であり、地盤改良体形成装置10により形成された一つの地盤改良体1aからなる中実地盤改良体1内を鉛直方向(図2に矢印で示す削孔方向)に掘削して掘削孔BHを形成する。ここで、掘削孔BHの内径D2は、ガイドホールGHの内径D1より大きく、且つ、地盤改良体1aの造成径D3より小さい(つまり、D1<D2<D3)。

0028

掘削装置20は、具体的には、いわゆる単軸穿孔機であり、その本体21と、安定液タンク22と、サンドポンプ23と、サクションポンプ24と、残土タンク25とを含んで構成される。

0029

前記本体21は、掘削ロッド管26を、その軸心を中心として回転させると共に、軸心に沿って引き上げ及び引き下げ可能に把持するロッド管駆動機27を有する。掘削ロッド管26は、円筒状の先端掘削ロッド管261と、この先端掘削ロッド管261の先端部側(下端部側)に設けられる削孔ビット262と、先端掘削ロッド管261の基端部側(上端部側)に順次継ぎ足される適宜本数の延長掘削ロッド管263とから成る。掘削ロッド管26の上端側(つまり、延長掘削ロッド管263のうち最後に継ぎ足されるものの上端側)が地面から突出してロッド管駆動機27によって把持される。
先端掘削ロッド管261と延長掘削ロッド管263との間、及び、各延長掘削ロッド管263,263間は適宜継手を介して接続される。延長掘削ロッド管263のうち最後に継ぎ足されるものの上端部開口部には、スイベル28が接続される。

0030

前記安定液タンク22は、水より大きい密度を有する適宜の安定液(例えばベントナイトを含む安定化用泥水)を貯留するものである。なお、以下では、安定液は水より大きい密度を有する場合を一例として挙げて説明するが、これに限らず、後述するように安定液として水を使用してもよい場合もある。

0031

前記サンドポンプ23は、安定液タンク22内に設けられ、安定液供給管L1を介して安定液を掘削孔BH内に供給するものである。

0032

前記サクションポンプ24は、掘削孔BH内において安定液と地盤改良体1aの掘削により発生した掘削土砂とが混合してできた泥水を掘削孔BHから泥水排出管L2を介して排出するものである。

0033

掘削装置20を作動させて中実地盤改良体1内を鉛直方向に掘削して掘削孔BHを形成するときには、まず、中実地盤改良体1の上端部近傍に削孔ビット262が位置する状態にて、ロッド管駆動機27を駆動させて、掘削ロッド管26を回転させつつ下降させる。この掘削ロッド管26の回転及び下降に応じて、削孔ビット262により中実地盤改良体1の掘削が行われて、掘削孔BHが形成され始める。そして、延長掘削ロッド管263が順次継ぎ足され、掘削ロッド管26は、削孔ビット262が支持層G2を貫入するまで下降される。これにより、図2に示すように、ガイドホールGHの内径D1より大きく、且つ、地盤改良体1aの造成径D3より小さい内径D2を有し、且つ、支持層G2に達する掘削孔BHが形成される。この掘削孔BH内に杭Pが形成されるため、掘削孔BHの内径D2は杭Pの外径(杭径)でもある。

0034

掘削装置20は、上記掘削に並行して、安定液をサンドポンプ23により安定液供給管L1を介して掘削孔BH内に供給する。これと同時に、掘削孔BH内の掘削土砂と安定液からなる前記泥水は、先端掘削ロッド管261の先端開口部(下端開口部)から吸引され、掘削ロッド管26内を上昇し、スイベル28、泥水排出管L2及びサクションポンプ24を介して、安定液タンク22の上方に設けられる1次スクリーンS1に導かれることで、掘削孔BH外に排出される。スイベル28は、ロッド管駆動機27により回転駆動される掘削ロッド管26の上端開口部から継続して泥水を吸引できるようになっている。

0035

1次スクリーンS1は、比較的に粗いスクリーンであり、サクションポンプ24から泥水排出管L2を介して送られてきた泥水から、比較的に粒径の大きい土砂を抽出する。1次スクリーンS1を通って粒径の大きい土砂が取り除かれた泥水は、安定液タンク22内に落ちる。一方、1次スクリーンS1によって捕らえられた粒径の大きい土砂は、残土タンク25内に収容される。

0036

2次スクリーンS2は、比較的に細かいスクリーンであり、1次スクリーンの上方に配置されている。2次スクリーンは、2次スクリーン管L3及び図示を省略したポンプを介して送られてきた安定液タンク22内の泥水から、比較的に粒径の小さい土砂を抽出する。2次スクリーンを通って比較的に粒径の小さい土砂が取り除かれた泥水は、さらに1次スクリーンS1を通って、安定液タンク22内に落ちる。2次スクリーンS2によってとらえられた比較的に粒径の小さい土砂は、残土タンク25内に収容される。

0037

サイクロンスクリーンS3は、遠心分離方式により、2次スクリーンS2より粒径の小さい土砂を抽出可能に構成されたものである。サイクロンスクリーンS3は、サイクロンスクリーン管L4及び図示を省略したポンプを介して送られてきた安定液タンク22内の泥水から、さらに粒径の小さい土砂を抽出する。サイクロンスクリーンS3を通って前記さらに粒径の小さい土砂が取り除かれた泥水は、さらに2次スクリーンS2と1次スクリーンS1とを通って、安定液タンク22内に落ちる。一方、サイクロンスクリーンS3によって抽出された土砂は、残土タンク25内に収容される。
このように、安定液と掘削土砂とが混合してできた泥水から安定液を回収することができるようになっている。そして、回収された安定液は、再び掘削孔BH内に供給され、以降、安定液タンク22と掘削孔BHとの間で循環される。

0038

このようにして、掘削装置20は、掘削孔BHの形成時に、掘削孔BH内に安定液を供給し、中実地盤改良体1内で生じた掘削土砂を安定液と共に掘削孔BH外に排出し、この排出された安定液を再び掘削孔BH内に供給して循環させるように構成されている。

0039

次に、本発明に係る杭構築方法の一実施形態を、図1図8を参照して、一般的なボーリング装置(図示省略)と、上記地盤改良体形成装置10と、掘削装置20を用いた場合について簡単に説明する。なお、以下の説明では、掘削孔BHの内径D2(つまり杭Pの杭径)、地盤改良体1aの造成径D3、後述する壁厚t1(=(D3−D2)/2)が、それぞれD2=2.4m、D3=2.8m、t=0.2mに設定され、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquは、中実地盤改良体1の形成が完了してから中実地盤改良体1に掘削孔BHを削孔可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日(例えば材齢42日目)において、周囲地盤の強度より高い所定の強度範囲内に収まるように設定されている場合を一例にして説明する。

0040

本実施形態において、杭構築方法は、ボーリング孔形成工程と、高圧噴射撹拌工法を用いた中実地盤改良体形成工程と、TBH工法を用いた中実地盤改良体掘削工程と、鉄筋籠建て込み工程と、コンクリート打設工程とを含む。図3はボーリング孔形成工程を示し、図4及び図5は中実地盤改良体形成工程を示し、図6は中実地盤改良体掘削工程を示し、図7は鉄筋籠建て込み工程を示し、図8はコンクリート打設工程を示す。

0041

まず、ボーリング孔形成工程では、図3に示すように、地盤改良体1aの形成予定場所において、地面より所定深さ分だけ床掘りして、凹状のピット14を形成する。そして、ピット14の中心位置において、前記ボーリング装置としての小型の削孔機(図示せず)によって、地盤に鉛直方向に延伸するロッド12ガイド用のガイドホールGHを上層G1と支持層G2との境界位置に達する深さまで形成する。前記削孔機は小型であり、且つ、削孔用ロッドが適宜長さに分割されているため、低空頭且つ狭隘な施工場所であっても、例えば、手押し台車等により容易に搬入、据え付け及び搬出することができる上、所望の深さまでガイドホールGHを削孔することができる。

0042

次に、中実地盤改良体形成工程では、図4に示すように、地盤改良体形成装置10を、把持部13の軸心がガイドホールGHの軸心と略一致するように配置する。この地盤改良体形成装置10は、ガイドホールGHの削孔機と同様に、比較的に小型であるため、手押し台車等により所定位置に配置される。その後、ロッド12をガイドホールGH内に挿入し、ガイドホールGHの下端部近傍に噴射モニタ122が位置するまで延長ロッド123を順次継ぎ足す。そして、この状態で、噴射モニタ122からその半径方向外方に向けて、固化材と水とを含む噴射液と圧縮空気とを混合させたジェット流Jを噴射しつつ、ロッド12を回転駆動させながら所定の引き上げ速度(例えば10min/m)で引き上げる。ここで、例えば、噴射液の吐出圧力は約38MPaに設定され、吐出流量は約190L/minに設定されている。このロッド12の引き上げは、ジェット流Jの噴射がピット14の近傍(例えば底面)に達するまで行われる。この引き上げの際、最上部等の延長ロッド123が順次取り外されて、スイベル17が鉄道高架橋Bの底面に干渉しないようにする。これにより、図5に示すように、ガイドホールGHより大径の造成径D3を有し、且つ、上層G1と支持層G2との境界面に達する長さを有する円柱状の一つの地盤改良体1aからなる中実地盤改良体1を形成する。その後、地盤改良体形成装置10を搬出する。そして、中実地盤改良体1の一軸圧縮強さquは、例えば、材齢28日目において約570kN/m2となり、材齢42日目において約790kN/m2となり、その後、強度増加速度は緩やかになり、周囲地盤より高い所定の強度範囲(例えば、約500から約1000kN/m2)内に略収まる。この所定の強度範囲の下限値は、地盤改良体1aの周囲地盤の強度より高く設定され、所定の強度範囲の上限値は、掘削孔BHを形成する掘削装置20の掘削力に応じて設定される。なお、後述するように、所定の材齢日における地盤改良体1aの一軸圧縮強さquが前記所定の強度範囲内に収まるように、噴射液(固化材ミルク)が配合されている。

0043

次に、中実地盤改良体掘削工程では、図6に示すように、掘削装置20を、ロッド管駆動機27の軸心が中実地盤改良体1の延伸方向の中心軸と略一致するように配置する。その後、中実地盤改良体1の上端部近傍に削孔ビット262を位置させて掘削可能な状態となる。中実地盤改良体1の形成が完了してから、掘削装置20を配置して中実地盤改良体1に掘削孔BHを削孔可能となるまでの期間として、例えば約1か月から1か月半ほど要するため、削孔開始時の地盤改良体1aの一軸圧縮強さquは、前記所定の強度範囲に収まっている。この状態で、掘削ロッド管26を回転させつつ下降させる。これにより、中実地盤改良体1の軸心に孔中心が合された内径D2の掘削孔BHが形成され始める。そして、削孔ビット262が支持層G2を貫入するまで、延長掘削ロッド管263が順次継ぎ足される。これにより、地盤改良体1aの造成径D3より小さい所定の内径D2を有し、その孔中心を中実地盤改良体1の延伸方向の中心軸と合わせて形成され、且つ、支持層G2に達する掘削孔BHが形成される。ここで、掘削孔BHが中心軸に沿って形成された地盤改良体1aは、円筒状改良体となり、壁厚t1(=(D3−D2)/2)を有する。
なお、壁厚t1及び造成径D3の設定手順と、壁厚t1及び造成径D3と地盤改良体1aの一軸圧縮強さquとの関係については、後に詳述する。

0044

上記掘削に並行して、サンドポンプ23を起動させ、安定液を掘削孔BH内に供給する。これと同時に、サクションポンプ24を起動させ、掘削孔BH内の掘削土砂と安定液からなる泥水を、先端掘削ロッド管261の先端開口部から吸引し、掘削ロッド管26内を上昇させ、泥水排出管L2等を介して1次スクリーンS1に導いて、掘削孔BH外に排出する。また、各スクリーン(S1,S2,S3)により、前記泥水から掘削土砂を適宜取り除き、安定液を回収する。そして、回収した安定液を再び掘削孔BH内に供給し、安定液タンク22と掘削孔BHとの間で循環させる。これにより、掘削孔BHの孔壁の安定化を図りつつ、掘削孔BHを適宜深さまで掘削する。

0045

次に、鉄筋籠建て込み工程では、図7に示すように、掘削孔BH内に、予め分割して形成された鉄筋籠30を、地上側で順次継ぎ足して建て込む。図示を省略するが、この建て込みは、最下部の鉄筋籠30が掘削孔BHの底部に到達するまで行う。この鉄筋籠建て込み時に、掘削孔BH内には、中実地盤改良体掘削工程で用いた安定液をそのまま満たしておくものとする。

0046

最後に、コンクリート打設工程では、例えば、掘削孔BH内に安定液が満たされた状態で、掘削孔BH内にトレミ管をその下端部が掘削孔BHの底部に位置するように挿入する。そして、このトレミ管の下端部開口からコンクリートを掘削孔BH内に打設すると共に、安定液を適宜排出して、図8に示すように、掘削孔BH内全体にコンクリートを打設する。これにより、掘削孔BH内の杭Pの構築が完了する。

0047

ここで、掘削装置20による削孔性を考慮すると、地盤改良体1aの強度は低強度に抑制されている方が、施工効率(削孔効率)が高い。そこで、本実施形態においては、噴射液の配合を工夫して、低強度の地盤改良体1aの施工を実現した。本実施形態においては、周囲地盤よりも高く設定しつつ掘削装置20による掘削孔BHの施工効率を考慮して、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquは、所定の材齢日(例えば材齢42日目)において、所定の強度範囲内(例えば、約500kN/m2から約1000kN/m2の範囲内)に収まるように設定されている。所定の材齢日は、前述したように、中実地盤改良体1の形成が完了してから中実地盤改良体1に掘削孔BHを削孔可能となるまでの期間に応じて設定される。なお、上記一軸圧縮強さについての約500kN/m2から約1000kN/m2の範囲(所定の強度範囲)は、掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体1aの後述する許容強度範囲R1に相当する。

0048

上記説明では、掘削孔BHの内径D2を2.4mと定めた場合に、掘削孔BHの形成後の地盤改良体1aの壁厚t1を0.2mに設定し、地盤改良体1aの造成径D3を2.8mに設定した。
以下に、壁厚t1と造成径D3を上記の値に設定した設定手順と、地盤改良体1aの壁厚t1と一軸圧縮強さquとの関係と、地盤改良体1aの造成径D3と一軸圧縮強さquとの関係とについて、図9図13を用いて説明する。
図9から図11は、壁厚t1及び造成径D3の設定手順を説明するためのフロー図であり、図12は、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquと壁厚t1との関係を示し、図13は、地盤改良体1aの造成径D3と一軸圧縮強さquの関係を示す図である。

0049

壁厚t1及び造成径D3の設定手順は、大きく分類するとSTEP1からSTEP3までの3つの手順からなる。図9に示すSTEP1では、所定の条件を満たす壁厚t1の範囲を設定し、図10に示すSTEP2では、所定の条件を満たす造成径D3の範囲を設定し、図11に示すSTEP3では、最終的に壁厚t1及び造成径D3の値を設定して地盤改良体1a(つまり、中実地盤改良体1)の施工仕様を決定する。以下に、各STEPについて詳述する。

0050

STEP1では、図9に示すように、まず、STEP11において、必要とする杭Pの杭径に応じて掘削孔BHの内径D2(=2.4m)、言い換えると削孔径(杭径)D2を決定する。次に、STEP12において、D2=2.4mとし、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquの値を変化させた場合について、掘削孔BHの孔壁の崩壊についての必要安全率Fsを満足する壁厚t1を、三次元円筒すべり法を用いて算出する。これにより、図12に示すように、必要安全率Fsを満足する壁厚t1と地盤改良体1aの一軸圧縮強さquとの関係線Lin1が得られる。図12において、横軸は一軸圧縮強さqu、縦軸は壁厚t1である。本実施形態では、必要安全率Fsは1.5に設定した。

0051

次に、STEP13において、掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに基づいて、地盤改良体1aの許容強度範囲R1を設定する。ここでは、許容強度範囲R1の下限値R1minを周囲地盤の強度より高い値である約500kN/m2とし、許容強度範囲R1の上限値R1maxを掘削装置20の掘削性を考慮して約1000kN/m2とする。この許容強度範囲R1はTBH工法による削孔可能強度の一例であり、掘削装置20の掘削力等に応じて適宜定めることができる。
また、例えば、掘削孔BH及び地盤改良体1aの鉛直方向の傾きや、掘削孔の内径精度や、地盤改良体1aの造成径精度等の掘削孔BH及び地盤改良体1aの施工精度に基づいて、施工可能な最小の壁厚である最小壁厚tminを設定する。ここでは、最小壁厚tmin=50mmとする。
そして、STEP14において、上記地盤改良体1aの許容強度範囲R1と必要安全率Fsとに基づいて、安全壁厚範囲R2を設定する。具体的には、図12に示す地盤改良体1aの壁厚t1と一軸圧縮強さquとの関係線Lin1において、許容強度範囲R1の下限値R1minと上限値R1maxにそれぞれ対応する壁厚t1の下限値と上限値を求める。図12では、安全壁厚範囲R2の下限値R2minは120mmとなり、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxは200mmとなる。この安全壁厚範囲R2内(つまり、R2max≧t≧R2min)で壁厚t1を設定することにより、必要安全率Fsを満足させることができる。ここで、図12から分かるように、一軸圧縮強さquが小さい場合、壁厚t1を大きくすると必要安全率Fsを満足させることができ、一軸圧縮強さquが大きい場合、壁厚t1は小さくても必要安全率を満足させることができる。
このようにして、壁厚t1は、掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体1aの許容強度範囲R1と、掘削孔BHの孔壁崩壊についての必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定める。

0052

また、壁厚t1は、具体的には、前記安全壁厚範囲R2のうちの、掘削孔BH及び地盤改良体1aの施工精度に応じて定める前記最小壁厚tmin以上の範囲で設定する必要がある。このため、STEP15において、最小壁厚tminが安全壁厚範囲R2の上限値R2max以下であるか否かを判定する。R2max≧tmin(STEP14:YES)の場合、STEP16において、安全壁厚範囲R2のうちの最小壁厚tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3を設定する。壁厚t1は、この施工壁厚範囲R3内(つまり、R2max≧t≧tmin)で定めることが可能となり、次のSTEP2に進む。本実施形態では、安全壁厚範囲R2の下限値R2min(=120mm)は最小壁厚tmin(=50mm)より大きいため、施工壁厚範囲R3は安全壁厚範囲R2と一致する。
なお、安全壁厚範囲R2の上限値R2maxが最小壁厚tminより小さい(STEP15:NO)場合は、最小壁厚tminが少なくとも安全壁厚範囲R2の上限値R2max以下になるように、例えば、地盤改良体形成装置10のロッド12や掘削装置20の掘削ロッド管26の位置決めをより厳密に管理する等して最小壁厚tminを下げ、施工精度を向上させればよい(STEP15’)。施工精度の向上だけで、R2max≧tminの条件を満足(STEP14:YES)させることができない場合は、他の工法を採用することになる。

0053

STEP2では、図10に示すように、まず、STEP21において、D2=2.4mとし、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquの値を変化させた場合について、必要安全率Fsを満足する造成径D3を、三次元円筒すべり法を用いて算出する。これにより、図13に示すように、上記必要安全率Fsを満足する造成径D3と地盤改良体1aの一軸圧縮強さquとの関係線Lin2が得られる。図13において、横軸は造成径D3であり、縦軸は一軸圧縮強さquである。
次に、STEP22において、STEP16で設定された施工壁厚範囲R3と掘削孔BHの内径D2(=2.4m)とに基づいて安全造成径範囲R4を設定する。ここで、施工壁厚範囲R3の下限値R3minは120mmであり、施工壁厚範囲R3の上限値R3maxは200mmであるため、安全造成径範囲R4の下限値R4minは、2.64m(=2.4m+2×0.12m)となり、安全造成径範囲R4の上限値R4maxは2.8m(=2.4m+2×0.2m)となる。
また、地盤改良体形成装置10の造成能力に応じて造成径D3についての造成可能径範囲R5を設定する。具体的には、造成可能径範囲R5の下限値R5minは、地盤改良体1aの鉛直方向の傾きや造成径精度等の施工精度に応じて定め、例えば、1mとする。また、造成可能径範囲R5の上限値R5maxは、ジェット流Jの最大圧力や地盤の強度等に応じて定め、例えば、8mとする。

0054

造成径D3は、造成可能径範囲R5内で設定する必要がある。このため、STEP23において、上記のように設定した安全造成径範囲R4と造成可能径範囲R5とが重複する範囲があるか否かを判定する。重複する範囲がある(STEP23:YES)場合、STEP24において、安全造成径範囲R4と造成可能径範囲R5とが重複する範囲である施工造成径範囲R6を設定する。造成径D3は、この施工造成径範囲R6内で定めることが可能となり、次のSTEP3に進む。本実施形態では、造成可能径範囲R5内に安全造成径範囲R4が全て収まっているため、施工造成径範囲R6は、安全造成径範囲R4と一致する。つまり、施工造成径範囲R6の下限値R6minは2.64mとなり、施工造成径範囲R6の上限値R6maxは2.8mとなる。なお、安全造成径範囲R4と造成可能径範囲R5に重複する部分がない(STEP23:NO)場合は、重複する範囲が得られるように、地盤改良体形成装置10のロッド12の位置決めをより厳密に管理する等して造成可能径範囲の下限値を下げて施工精度を向上させたり、地盤改良体形成装置10の超高圧ポンプやエアーコンプレッサーの等を変更する等して造成能力を向上させたりすればよい(STEP23’)。

0055

STEP3では、図11に示すように、STEP1及びSTEP2により設定された範囲内で最終的に壁厚t1と造成径D3の値を設定する。本実施形態では、壁厚t1は、施工壁厚範囲(=安全壁厚範囲R2)R3内、つまり、120mm〜200mmの範囲内で定めた。造成径D3は、この施工壁厚範囲R3に応じた施工造成径範囲(=安全造成径範囲R4)R6内、つまり、2.64m〜2.8mの範囲内で定める。ここで、造成径D3が大きくなるほど中実地盤改良体1の施工費が高くなるが、施工現場における総合的な施工精度等を考慮すると、造成径D3を大きくした方が余裕を持って施工することができる。
一方、本実施形態における中実地盤改良体1の施工費が他の工法による施工費より低く抑える必要がある。
そのため、STEP31において、造成径D3を施工造成径範囲R6の下限値R6minに設定した場合の中実地盤改良体1の施工費が、予め定める中実地盤改良体1の施工費の上限値Cmaxより小さいか否かを判定する。D3=R6minとしたときの施工費<Cmaxの場合(STEP31:YES)は、STEP32において、中実地盤改良体1の施工費がCmaxより小さくなる範囲において、造成径D3を可能な限り大きな値に設定する。本実施形態においては、造成径D3を施工造成径範囲R6の下限値R6minに設定した場合のみならず、上限値R6maxに設定した場合の施工費が、Cmaxより小さいものとする。したがって、本実施形態においては、STEP32において、施工現場における総合的な施工精度等を考慮して、造成径D3を2.8mに設定(設計値)し、壁厚t1を200mmに設定(設計値)した。この場合であっても、他の一般的な工法と比較して中実地盤改良体1の施工費を低く抑えることができる。なお、D3=R6minとしたときの施工費≧Cmaxの場合(STEP31:NO)は、STEP31でYESとなるように、施工期間を短くしたりする等して施工費を削減すればよい(STEP31’)。このようにして、最終的に壁厚t1及び造成径D3の値を設定して中実地盤改良体1の施工仕様を決定する。
なお、本実施形態では、掘削孔BHの内径D2を2.4mとしたが、これに限らず、適宜設定することができる。この場合、上記各STEPの条件を満足する範囲内で、壁厚t1及び造成径D3を設定すればよい。

0056

かかる本実施形態による杭構築方法によれば、地盤の鉛直方向に延びる一つの地盤改良体1aからなる中実の中実地盤改良体1を形成した後、この中実地盤改良体1内を鉛直方向に掘削して得られた掘削孔BH内に杭Pを構築している。そして、一つの地盤改良体1aの造成予定領域毎に(つまり、本実施形態では、一つの地盤改良体1aの造成予定領域に)、先端部側に噴射モニタ122が設けられた先端ロッド121の基端部側に延長ロッド123を順次継ぎ足してなるロッド12をガイドホールGH内に挿入し、このガイドホールGH内で噴射モニタ122から固化材ミルクを含むジェット流Jを半径方向外方に向けて噴射させつつ、ロッド12を回転及び引き上げることで、地盤より強度の高い地盤改良体1aを形成している。これにより、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域であっても、単に小型の削孔機を使用して地盤改良体形成装置10のロッド12を挿入可能な小径のガイドホールGHを掘削し、そのガイドホールGHにロッド12を順次挿入してジェット流Jを噴射させつつロッドを回転及び引き上げるだけで、杭構築予定箇所に周囲の地盤よりも適宜強度を高めた一つの地盤改良体1aからなる中実地盤改良体1を予め造成することができる。そして、地盤改良体1aの強度を、掘削装置20の能力や工法等(本実施形態ではTBH工法)に応じて、周囲の地盤よりも適宜高めに設定するだけで、掘削孔BHの孔壁の安定化を図ることができるため、杭構築中における孔壁の崩壊を防止することができる。また、ガイドホールGHや掘削孔BHを掘削するための機械及び工法は、それぞれ、杭構築予定領域の地面から杭構築予定箇所の上空に存在する構造物までの高さに応じて、本実施形態のように、適宜の機械及び工法を採用すればよい。

0057

このようにして、杭構築予定箇所の上空に何らかの構造物が存在し、クレーン作業が制約を受ける領域にて、杭構築中における地盤の崩壊を防止しつつ杭を容易に構築可能な杭構築方法を提供することができる。

0058

また、本実施形態では、掘削孔BHの形成時及び鉄筋籠建て込み時に、掘削孔BH内に安定液を供給する構成とした。具体的には、掘削孔BHの掘削については、TBH工法を採用した。これにより、掘削孔BHの孔壁のより確実な安定化を図った状態で、掘削孔BHを適宜深さまで掘削可能であると共に鉄筋籠を建て込むことができる。
なお、例えば、TBH工法により地盤に、杭構築用の掘削孔を直接削孔して、孔壁の崩壊を抑制しつつ杭を構築する工法が一般的に知られている。しかし、この工法であっても、地盤の地下水位が比較的高い場合や、掘削装置による掘削孔内への安定液の供給量と吸引量のアンバランスが一時的に生じた場合等においては、孔壁が崩壊する可能性が高い。一方、本実施形態においては、TBH工法による掘削孔BHの形成する工程に先立って中実地盤改良体1を造成しているため、掘削孔BHの孔壁の崩壊リスクを完全に排除することができる。

0059

また、本実施形態では、掘削孔BHの形成後の地盤改良体1aの壁厚t1を、許容強度範囲R1と、必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定めている。これにより、孔壁の崩壊を確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、壁厚t1は、安全壁厚範囲R2のうちの、掘削孔BH及び地盤改良体1aの施工精度に応じて定める最小壁厚tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3内で定められている。これにより、施工精度を考慮して、壁厚t1を設定することができる。

0060

また、本実施形態では、造成径D3は、施工壁厚範囲R3と掘削孔BHの内径D2とに基づいて定められた安全造成径範囲R4と、造成可能径範囲R5とが重複する範囲である施工造成径範囲R6内で定められている。これにより、施工精度を考慮して、造成径D3を設定することができる。

0061

また、本実施形態では、地盤改良体1aの一軸圧縮強さquは、中実地盤改良体1の形成が完了してから中実地盤改良体1に掘削孔BHを削孔可能となるまでの期間に応じて設定する所定の材齢日において、所定の強度範囲内に収まるように設定されている。これにより、中実地盤改良体1に掘削孔BHを削孔する際に、その一軸圧縮強さquを、確実に意図する強度範囲内に設定することができる。

0062

また、本実施形態では、所定の強度範囲の下限値は、地盤改良体1a(言い換えると、中実地盤改良体1)の周囲地盤の強度より高く設定され、所定の強度範囲の上限値は、掘削孔BHを形成する掘削装置20の掘削力に応じて設定されている。これにより、地盤改良体1aの所定の材齢日における一軸圧縮強さquを、周囲地盤よりも高く設定しつつ掘削装置20による掘削孔BHの施工効率を考慮して、確実に低強度に設定することができるため、孔壁崩壊の防止と掘削孔BHの施工効率の向上を効率的に両立させることができる。なお、本実施形態においては、所定の強度範囲は、その下限値(許容強度範囲R1の下限値R1mim)を約500kN/m2とし、上限値(許容強度範囲R1の上限値R1max)を1000kN/m2とした場合を一例に挙げて説明したが、これに限らず、掘削装置20の掘削力及び周囲地盤の強度に応じて適宜定めることができる。

0063

なお、本実施形態では、掘削孔BHの形成後、その掘削孔BH内に、水より大きい密度を有する適宜の安定液(例えばベントナイトを含む安定化用泥水)をそのまま満たしておくものとしたが、これに限らない。杭構築予定領域の地下水水位が低い場合等において、例えば、掘削孔BH内に単に清水充填させるだけで、掘削孔内の清水の水頭と地下水の水頭との間に十分な水頭差を確保することができる場合がある。これにより、鉄筋籠建て込み工程及びコンクリート打設工程において、鉄筋表面に、安定化用泥水の微粒子を付着させることなく、場所打ち杭(P)を構築することができる。

0064

また、地盤改良体1aは周囲の地盤よりも高い強度に設定されているため、杭構築予定領域の地下水の水位が低い場合等においては、掘削孔BHの形成中及びそれ以降の工程において、掘削孔BH内に安定液を使用しなくても、孔壁の崩壊リスクを完全に排除することができる場合もある。したがって、本実施形態においては、掘削孔BHの形成時に、掘削孔BH内に安定液を供給する構成としたが、杭構築予定領域の地下水の水位等の地盤状況によっては、これに限らず、安定液を用いなくてもよい場合もある。この場合、掘削孔BHを形成する工法は、TBH工法等の安定液を用いる工法に限らず、低空頭下且つ狭隘な施工場所で施工可能な適宜の工法を採用すればよい。

0065

また、本実施形態では、杭Pは、場所打ち杭であるものとしたが、杭の種類については、これに限らない。例えば、掘削孔BH内に、予め分割して形成されたコンクリート杭又は鋼管杭を順次継ぎ足して建て込み、その後、掘削孔BHの孔壁と建て込まれたコンクリート杭又は鋼管杭との間に、コンクリート、モルタル及びセメントペーストのいずれか1つを充填して、杭Pを形成してもよい。この場合、コンクリート、モルタル及びセメントペーストには、各種混和材などを使用してブリージングを抑制させた材料を使用するとよい。

0066

また、杭Pの上方に存在する既設構造物の一例として、鉄道高架橋Bを挙げたが、既設構造物は鉄道高架橋Bに限らず、どのようなものでもよい。また、施工場所は、低空頭且つ狭隘な場所であるものとしたが、これに限らず、杭Pの上方の既設構造物までの距離が十分にある場所や、既設構造物が上方に無い場合や、低空頭であるが十分なスペースを確保可能な場所でもよい。

0067

また、壁厚t1及び造成径D3の設定については、図9図13を用いて、単にその設定手順について前述したが、この壁厚t1及び造成径D3の設定を上記STEP1からSTEP3に従って設定(演算)するためのシステムを構築するとよい。

0068

この場合、利用者等により、上記システムに、前述の各種パラメータ初期データ(D2=2.4m、Fs=1.5、R1min=500kN/m2、R1max=約1000kN/m2、tmin=50mm、R5min=1m、R5max=8m、施工費演算式を示すデータ、Cmax値)が予め入力され、前述したSTEP1〜STEP3に従って壁厚t1と造成径D3を設定(演算)するように上記システムを構成する。なお、前述したSTEP11、STEP13、STEP22、STEP31において、各STEPに対応する各種パラメータが適宜入力されてもよい。

0069

上記システムは、詳しくは、延伸方向の中心軸が構築予定の杭の軸心に略一致し、杭Pの杭径D2よりも大きい造成径D3を有すると共に地盤より高い強度を有し、且つ、造成後、前記中心軸に沿って杭径D2に合わせた掘削孔BHが形成されてなる地盤改良体1aの壁厚t1を設定するためのシステムであって、掘削孔BHを形成する掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定められる地盤改良体1aの許容強度範囲R1と、掘削孔BHの孔壁崩壊についての必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で、掘削孔BHの形成後の地盤改良体1aの壁厚t1の値を演算する演算部を含んで構成されている。
また、本実施形態の上記システムでは、上記演算部は、安全壁厚範囲R2のうちの、掘削孔BH及び地盤改良体1aの施工精度に応じて定められる最小壁厚tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3内で、壁厚t1の値を演算するように構成されている。
さらに、本実施形態の上記システムでは、演算部は、施工壁厚範囲R3と掘削孔BHの杭径D2とに基づいて定める安全造成径範囲R4と、地盤改良体1aを形成する地盤改良体形成装置10の造成能力に応じて定められる造成径D3についての造成可能径範囲R5とが重複する範囲である施工造成径範囲R6内で、造成径D3の値を演算するように構成されている。
このように、本実施形態における上記システムは、低空頭且つ狭隘な場所や、杭Pの上方の既設構造物までの距離が十分にある場所や、既設構造物が上方に無い場合や、低空頭であるが十分なスペースを確保可能な場所等において、孔壁保護用の地盤改良体1aの壁厚t1及び造成径D3を決定するための設計支援システムとして用いることができる。

0070

また、本実施形態では、中実地盤改良体1は、一つの地盤改良体1aからなる場合を一例に挙げて以下説明したが、これに限らず、例えば、図14図15に示すように、複数の地盤改良体1aが互いに重なり合ってなる構成としてもよい。図14は中実地盤改良体1の変形例1を説明するための中実地盤改良体1の水平断面図であり、図15は中実地盤改良体1の変形例2を説明するための中実地盤改良体1の水平断面図である。図14(a)及び図15(a)はそれぞれ中実地盤改良体形成工程が完了した状態を示した図であり、図14(b)及び図15(b)は中実地盤改良体掘削工程が完了した状態を示した図であり、図14(c)及び図15(c)は中実地盤改良体掘削工程により形成された掘削孔BH内に杭Pが構築された状態を示した図である。

0071

詳しくは、中実地盤改良体1は、図14(a)に示す変形例1のように、適宜本数(図では4本)の地盤改良体1aが互いに重なり合うことにより中実に形成されてもよい。また、中実地盤改良体1は、図15(a)に示す変形例2のように、適宜本数(図では6本)の地盤改良体1aが互いに重なり合ってなる筒状改良体部1a1と、この筒状改良体部1a1の径方向内側部分の地盤に形成されると共に筒状改良体部1a1と重なり合う中央部1a2とを備え、この筒状改良体部1a1と中央部1a2とにより中実に形成されてもよい。中実地盤改良体を形成すること(中実地盤改良体形成工程)は、一つの地盤改良体1aの造成予定領域毎に、地盤に鉛直方向に延伸するガイドホールGHを形成することと、ロッド12をガイドホールGHに挿入することと、固化材と水を含む液体としての固化材ミルクを噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射しつつ、ロッド12を回転させると共に、ロッド12を引き上げて、ガイドホールGHより大径であり且つ地盤より強度の高い地盤改良体1aを形成することと、を含めばよい。

0072

この変形例1及び2の場合、例えば、掘削孔BHは、図14(b)及び図15(b)に示すように、内径D2を有し、その孔中心を中実地盤改良体1の延伸方向の中心軸と合わせて形成されるとよい。この場合、掘削孔BHの形成後の中実地盤改良体1は、図14(c)及び図15(c)に示すように、その壁厚が最小となる薄肉部を有する。
前記薄肉部の厚さ(以下薄肉部厚さという)t2は、上述した壁厚t1と同様に、掘削孔BHを形成する掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定める地盤改良体1aの許容強度範囲R1と、掘削孔BHの孔壁崩壊についての必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で定められるとよい。つまり、上述の壁厚t1に代って薄肉部厚さt2について安全壁厚範囲R2を設定し、壁厚t1と同じ手順で薄肉部厚さt2を設定すればよい。これにより、孔壁の崩壊を確実に防止することができる。

0073

また、変形例1及び2の場合、薄肉部厚さt2は、さらに、上述した壁厚t1と同様に、安全壁厚範囲R2のうちの、掘削孔BH及び地盤改良体1aの施工精度に応じて定める最小壁厚tmin以上の範囲である施工壁厚範囲R3内で定められるとよい。つまり、壁厚t1に代って薄肉部厚さt2について施工壁厚範囲R3を設定し、壁厚t1と同じ手順で薄肉部厚さt2を設定するとよい。これにより、施工精度を考慮して、薄肉部厚さt2を設定することができる。

0074

また、変形例1及び2の場合、各地盤改良体1aの造成径D3は、施工壁厚範囲R3と掘削孔BHの内径D2とに基づいて定める安全造成径範囲R4と、造成可能径範囲R5とが重複する範囲である施工造成径範囲R6内で定められるとよい。つまり、壁厚t1に代って薄肉部厚さt2について安全造成径範囲R4を設定し、壁厚t1と同じ手順で造成径D3を設定するとよい。これにより、施工精度を考慮して、造成径D3を設定することができる。
なお、壁厚t1に代って薄肉部厚さt2を演算するように前記システムを構成してもよい。この場合、前記システムは、延伸方向の中心軸が構築予定の杭の軸心に略一致し、地盤より高い強度を有し、且つ、造成後、前記中心軸に沿って杭径D2に合わせた掘削孔BHが形成されてなる複数の地盤改良体1aからなる中実の中実地盤改良体1の薄肉部厚さt2を設定するためのシステムであって、掘削孔BHを形成する掘削装置20の掘削力と地盤の強度とに応じて定められる地盤改良体1aの許容強度範囲R1と、掘削孔BHの孔壁崩壊についての必要安全率Fsとに基づいて定める安全壁厚範囲R2内で、掘削孔BHの形成後の中実地盤改良体1の薄肉部厚さt2の値を演算する演算部を含んで構成されている。この演算部は、安全壁厚範囲R2のうちの施工壁厚範囲R3内で薄肉部厚さt2の値を演算し、安全造成径範囲R4と造成可能径範囲R5とが重複する範囲である施工造成径範囲R6内で各地盤改良体1aの造成径D3の値を演算するように構成するとよい。

0075

また、杭構築方法は、地盤の鉛直方向に延びる少なくとも一つの地盤改良体1aからなる中実の中実地盤改良体1を形成することと、中実地盤改良体1内を鉛直方向に掘削して掘削孔を形成することと、掘削孔BH内に杭Pを構築することと、を含み、中実地盤改良体1を形成することは、一つの地盤改良体1aの造成予定領域毎に、地盤に鉛直方向に延伸するガイドホールGHを形成することと、円筒状の先端ロッド121と、先端ロッド121の先端部側に設けられる噴射モニタ122と、先端ロッド121の基端部側に順次継ぎ足される延長ロッド123と、を有するロッド12をガイドホールGHに挿入することと、固化材と水を含む液体を噴射モニタ122から半径方向外方に向けて噴射しつつ、ロッド12を回転させると共に、ロッド12を引き上げて、ガイドホールGHより大径であり且つ地盤より強度の高い地盤改良体1aを形成することと、を含んで構成されていればよい。

0076

以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。

0077

1・・・・・中実地盤改良体
1a・・・・地盤改良体
10・・・・地盤改良体形成装置
11・・・・本体
12・・・・ロッド
13・・・・把持部
14・・・・ピット
15・・・・サンドポンプ
16・・・・スライム貯留タンク
17・・・・スイベル
20・・・・掘削装置
21・・・・本体
22・・・・安定液タンク
23・・・・サンドポンプ
24・・・・サクションポンプ
25・・・・残土タンク
26・・・・掘削ロッド管
27・・・・ロッド管駆動機
28・・・・スイベル
121・・・先端ロッド
122・・・噴射モニタ(ノズル)
123・・・延長ロッド
261・・・先端掘削ロッド管
262・・・削孔ビット
263・・・延長掘削ロッド管
B・・・・・鉄道高架橋(既設構造物)
BH・・・・掘削孔
G1・・・・上層
G2・・・・支持層
GH・・・・ボーリング孔(ガイドホール)
Fs・・・・必要安全率
J・・・・・ジェット流
L1・・・・安定液供給管
L2・・・・泥水排出管
L3・・・・2次スクリーン管
L4・・・・サイクロンスクリーン管
R1・・・・許容強度範囲
R2・・・・安全壁厚範囲
R3・・・・施工壁厚範囲
R4・・・・安全造成径範囲
R5・・・・造成可能径範囲
R6・・・・施工造成径範囲
S1・・・・1次スクリーン
S2・・・・2次スクリーン
S3・・・・サイクロンスクリーン
t1・・・・壁厚
t2・・・・薄肉部の厚さ(薄肉部厚さ)

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