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技術 ガラスブランク

出願人 HOYA株式会社
発明者 磯野英樹谷野秀和村上明佐藤崇佐藤正宗
出願日 2016年7月8日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-135608
公開日 2016年12月22日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-216355
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの成形 磁気記録媒体の製造
主要キーワード 捕獲位置 内側同心円 超々ジュラルミン 目標平面 外側同心円 キャッチ位置 基板性能 排熱機構
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月22日)のものです。
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図面 (10)

課題

プレス成形によって表面うねりが良好な磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の提供。

解決手段

溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形する成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランク1の製造方法であって、前記成形工程では、前記溶融ガラスのプレス中における前記金型のプレス成形面内の温度差を低減するための均熱手段を用いて、プレス成形を行うガラス基板の製造方法。成形された前記ガラスブランク1が、室温からガラス転移点まで20秒で昇温する急加熱処理を行って10秒間保持した後、室温になるまで10分かけて緩やかに冷却する処理を施したとき、当該処理前後の主表面の平面度の変化量が1μm以下である、ガラスブランク1となる前記ガラス基板の製造方法。

概要

背景

今日、パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、ガラス基板磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッドDFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板として、金属基板アルミニウム基板)等に比べて塑性変形し難い性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられる。

磁気ヘッドは例えば磁気抵抗効果型素子を備えているが、このような磁気ヘッドに固有障害としてサーマルアスペリティ障害を引き起こす場合がある。サーマルアスペリティ障害とは、磁気ディスクの微小凹凸形状の主表面上を磁気ヘッドが浮上飛行しながら通過するときに、空気の断熱圧縮または接触により磁気抵抗効果型素子が加熱され、読み出しエラーを生じる障害である。そのため、サーマルアスペリティ障害を回避するため、磁気ディスク用ガラス基板の主表面の表面粗さ、平面度などの表面性状は良好なレベルとなるように作製されている。

従来の板状ガラスガラスブランク)の製造方法としては、垂直ダイレクトプレス法が知られている。このプレス法は、下型上に溶融ガラスの塊を供給し、上型を使用して溶融ガラスの塊(溶融ガラス塊)をプレス成形する方法である(特許文献1)。また、滴下された溶融ガラスを滴下途中で水平方向に挟み込んでプレス成形する水平ダイクレトプレス法についても知られている(特許文献2、図4等)。

また、従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法としては、溶融ガラス塊をプレス成形することにより成形されたガラスブランクに対してアニール処理を施す方法が知られている。アニール処理は、プレス成形されたガラスブランクを、歪点以上且つガラス転移点(Tg)以下の所定温度で所定時間維持することにより、ガラスブランクの内部に生じた歪み(内部歪み)を開放するための処理である(特許文献3)。なお、歪点とは、ガラスの内部歪みが数時間で消失する温度であって、ガラスの粘度が約1014.5dPa・sに相当する温度である。

概要

プレス成形によって表面うねりが良好な磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の提供。溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形する成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランク1の製造方法であって、前記成形工程では、前記溶融ガラスのプレス中における前記金型のプレス成形面内の温度差を低減するための均熱手段を用いて、プレス成形を行うガラス基板の製造方法。成形された前記ガラスブランク1が、室温からガラス転移点まで20秒で昇温する急加熱処理を行って10秒間保持した後、室温になるまで10分かけて緩やかに冷却する処理を施したとき、当該処理前後の主表面の平面度の変化量が1μm以下である、ガラスブランク1となる前記ガラス基板の製造方法。

目的

本発明の第1の目的は、プレス成形によって表面うねりが良好な磁気ディスク用ガラスブランクが得られる磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラスブランクであって、一対の主表面を有し、前記ガラスブランクは、室温からガラス転移点まで20秒で昇温する急加熱処理を行って10秒間保持した後、室温になるまで10分かけて緩やかに冷却する処理を施したとき、当該処理前後の前記主表面の平面度の変化量が1μm以下であることを特徴とするガラスブランク(但し、前記急加熱処理の前にアニール処理が行われたものは除く。)。

請求項2

前記主表面の平面度は8μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載されたガラスブランク。

請求項3

前記主表面について形状波長5mm以下の成分で測定した最大高低差を前記主表面の表面うねりとして定義したときに、前記主表面の表面うねりが30nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載されたガラスブランク。

請求項4

厚さが0.2〜1.1mmの範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載されたガラスブランク。

請求項5

直径が20〜200mmの範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載されたガラスブランク。

請求項6

前記主表面の表面粗さ(Ra)は0.1μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載されたガラスブランク。

技術分野

0001

本発明は、磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラスブランク、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクに関する。

背景技術

0002

今日、パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、ガラス基板磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッドDFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板として、金属基板アルミニウム基板)等に比べて塑性変形し難い性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられる。

0003

磁気ヘッドは例えば磁気抵抗効果型素子を備えているが、このような磁気ヘッドに固有障害としてサーマルアスペリティ障害を引き起こす場合がある。サーマルアスペリティ障害とは、磁気ディスクの微小凹凸形状の主表面上を磁気ヘッドが浮上飛行しながら通過するときに、空気の断熱圧縮または接触により磁気抵抗効果型素子が加熱され、読み出しエラーを生じる障害である。そのため、サーマルアスペリティ障害を回避するため、磁気ディスク用ガラス基板の主表面の表面粗さ、平面度などの表面性状は良好なレベルとなるように作製されている。

0004

従来の板状ガラスガラスブランク)の製造方法としては、垂直ダイレクトプレス法が知られている。このプレス法は、下型上に溶融ガラスの塊を供給し、上型を使用して溶融ガラスの塊(溶融ガラス塊)をプレス成形する方法である(特許文献1)。また、滴下された溶融ガラスを滴下途中で水平方向に挟み込んでプレス成形する水平ダイクレトプレス法についても知られている(特許文献2、図4等)。

0005

また、従来の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法としては、溶融ガラス塊をプレス成形することにより成形されたガラスブランクに対してアニール処理を施す方法が知られている。アニール処理は、プレス成形されたガラスブランクを、歪点以上且つガラス転移点(Tg)以下の所定温度で所定時間維持することにより、ガラスブランクの内部に生じた歪み(内部歪み)を開放するための処理である(特許文献3)。なお、歪点とは、ガラスの内部歪みが数時間で消失する温度であって、ガラスの粘度が約1014.5dPa・sに相当する温度である。

先行技術

0006

特開平11−255521号公報
特許4380379号公報
特開2008−287779号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、公知の垂直ダイレクトプレス法は、作製されるガラスブランクの表面うねりが悪いという問題がある。この理由は以下のとおりである。
垂直ダイレクトプレス法では、溶融ガラス塊のプレス成形が開始されると、溶融ガラス塊は、上型及び下型と接触することにより冷却されて固化することになる。このとき、上型及び下型それぞれのプレス成形面の中央部分では、その周りにも溶融ガラスが存在することによって、溶融ガラス塊の熱が篭り易くなる。その一方で、プレス成形中の上型及び下型それぞれのプレス成形面の周縁部分では、中央部分と比べて溶融ガラスと接触するプレス成形面の面積が相対的に広いことや、外形規制しない場合は溶融ガラスと接触しない金型外縁部分が存在すること等により、溶融ガラス塊の熱が拡散し易くなることから、プレス成形中にはプレス成形面内の温度差が大きくなる。これにより、プレス成形中には不均一な熱変形熱膨張)がプレス成形面に生じることから、作製されるガラスブランクは、プレス成形面の熱変形が形状転写されることによって、主表面の表面うねりが大きくなる。従って、ガラスブランクの表面うねりが劣化していた。公知の水平ダイクレトプレス法についても同様の問題が生じていた。

0008

また、上述したアニール処理を効率良く実施するためには、大型のアニール処理装置が必要になる。さらに、アニール処理を実施する場合には、ガラスブランクの温度を歪点付近に設定した状態を約15分間程度維持する必要がある。また、歪点への昇温処理及び歪点からの徐冷処理を含めると、約3〜12時間の処理時間が必要となる。従って、アニール処理を実施して磁気ディスク用ガラス基板を製造した場合には、大型の設備と多くの時間とを要するので、磁気ディスク用ガラス基板の製造コストが増大する。このため、アニール処理を極力実施しないことが好ましい。
また、プレス成形時に内部歪みが生じたガラスブランクに対してアニール処理が行われた場合には、ガラスブランクの内部歪みが開放される一方で、内部歪みの開放によりガラスブランクが変形するため、ガラスブランクの平面度が劣化する。例えば、平面度が4μm以下になるようにプレス成形されたガラスブランクに対してアニール処理が行われたときに、プレス成形時にガラスブランクに内部歪みが残存していた場合には、アニール処理後のガラスブランクの平面度が4μmより大きくなる場合がある。この場合、研削工程を実施して、ガラスブランクの平面度を4μm以下にする必要がある。

0009

なお、磁気ディスクの記憶密度を高くするための磁気記録技術として近年研究が進められている熱アシスト磁気記録方式(HAMR:Heat Assisted Magnetic Recording)では、L10規則構造を有する強磁性合金で構成された磁性層が、ガラス基板の主表面上に形成される場合がある。ここで、L10規則構造を形成するためには、高温の環境下での成膜処理及び/又は成膜処理後のアニール処理が必要となる。このときの温度は、ガラスの歪点に近い高温となる場合がある。このとき、ガラス基板の基となるガラスブランクに内部歪みが残存していた場合には、上記のアニール処理と同様に、高温環境下においてガラス基板の内部歪みが開放される一方で、ガラス基板の平面度が劣化し、場合によっては基板性能が要求に応えられないおそれがある。
従って、熱アシスト磁気記録方式に用いられる磁気ディスク用ガラス基板としては、内部歪みが小さい、または残存しないガラスブランクを基に製造されたものが好ましい。

0010

本発明の第1の目的は、プレス成形によって表面うねりが良好な磁気ディスク用ガラスブランクが得られる磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、アニール処理が行われることなく、内部歪みを低減することの可能な磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、並びに磁気ディスク用ガラスブランク、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを提供することである。

課題を解決するための手段

0011

上述した観点から、本発明の第1の観点は、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形して板状のガラス素材を得る成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、前記成形工程では、板状のガラス素材の表面うねりが30nm以内となるようにプレス成形面内の温度差を制御することを特徴とする。

0012

本発明の第2の観点は、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形して板状のガラス素材を得る成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、前記成形工程では、前記溶融ガラスのプレス中における前記金型のプレス成形面内の温度差を低減するための均熱手段を用いて、プレス成形を行うことを特徴とする。
なお、「プレス成形面内の温度差」とは、例えば、金型中央部と周縁部との温度差である。

0013

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、好ましくは、前記均熱手段は、前記プレス成形面を排熱及び/または加熱することにより、プレス成形面内の温度差を低減することを特徴とする。

0014

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記均熱手段は、ヒートシンクであることを特徴とする。

0015

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記ヒートシンクは、前記プレス成形面の裏面の少なくとも一部に設けられることを特徴とする。

0016

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記ヒートシンクは、プレス成形中の溶融ガラスの中央部が周縁部よりも排熱量が大きくなるように設けられていることを特徴とする。

0017

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記成形工程では、落下中の前記溶融ガラスの塊を、その落下方向と直交する方向から前記一対の金型を用いてプレス成形することを特徴とする。

0018

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記成形工程では、前記金型のプレス成形面の温度が、前記一対の金型間で実質的に同一の温度となるようにプレス成形することを特徴とする。

0019

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、プレス成型後に得られるガラスブランクの100℃〜300℃の熱膨張係数が30〜100×10-7(K-1)の範囲内であることを特徴とする。

0020

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記金型のプレス成形面の表面粗さは、面内で実質的に同一であることを特徴とする。

0021

本発明の第3の観点は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法により製造されたガラスブランクに対して、取り代50μm以下の研磨加工を施して磁気ディスク用ガラス基板を製造することを特徴とする。

0022

本発明の第4の観点は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラスブランクを用いて磁気ディスク用ガラス基板を製造することを特徴とする。

0023

本発明の第2の目的に関連して、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、発明者らは新たなプレス成形方法考案した。すなわち、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、落下中の溶融ガラス塊を、溶融ガラス塊の落下方向に対して直交する方向(水平方向)に対向配置された一対の金型(プレス成形型)によりプレス成形する水平ダイレクトプレス法を採用している。この水平ダイレクトプレス法において溶融ガラス塊は、プレス成形されるまでの間、従来の垂直ダイレクトプレス法とは異なり、溶融ガラス塊よりも温度の低い部材に一時的に接触・保持されない。このため、プレス成形の開始直前の時点において、垂直ダイレクトプレス法では溶融ガラス塊の内部の粘度分布がプレス成形時に非常に広くなる。要するに、従来の垂直ダイレクトプレス法では、溶融ガラス塊が下型へ接触した後に上型が下降してプレスするので、上下の型が溶融ガラス塊と接触する時間に時間差がある。その結果、先行して下型に接触した溶融ガラス塊の下側部分は冷却されて粘度が高くなっているが、プレスの時点では溶融ガラス塊の上側部分は下側部分ほど冷却されずに粘度が低い状態である。そのため、溶融ガラス塊を均一に薄く延伸させることが困難である。また、同様の理由でプレス時に上下型で温度差が生ずるため、プレス後に得られるガラスブランクの平面度が悪化する。これに対して、水平ダイレクトプレスでは、左右の型が溶融ガラス塊が溶融ガラス塊に接触するタイミングに時間差がないまたは極めて短いため、溶融ガラス塊の粘度が均一な状態でプレスされる。よって、垂直ダイレクトプレス法と比べて、水平ダイレクトプレス法では、プレス成形される溶融ガラス塊を均一に薄く延伸させることが極めて容易である。したがって、結果的に、垂直ダイレクトプレス法を利用してガラスブランクを作製した場合と比べて、水平ダイレクトプレス法を利用してガラスブランクを作製した場合では、平面度の低下を抜本的に抑制することが極めて容易である。

0024

また、発明者らは、以下の知見を得た。
前述したように、一対の金型を用いた水平ダイレクトプレス法を利用することにより、作製されたガラスブランクの平面度は改善される。ここで、水平ダイレクトプレス法を利用した場合であっても、プレス成形時における金型のプレス成形面の中央部では、溶融ガラス塊の熱が篭り易くなるため、前記中央部に存在する溶融ガラスが冷却され難くなる。その一方で、プレス成形時における金型のプレス成形面の周縁部では、溶融ガラス塊の熱が拡散し易くなることから、前記周縁部に存在する溶融ガラスが冷却され易くなる。すなわち、プレス成形時には、プレス成形面の周縁部から中央部への方向に沿って、溶融ガラスが固化していくと考えられる。これにより、プレス成形されたガラスブランクには、プレス成形面の周縁部から中央部への方向に向かう残留応力による内部歪み(面内歪)が生じる。面内歪が生ずると、後工程でガラスのガラス転移点(Tg)または歪点に近くなるまで加熱処理がなされたときに歪が開放されて、平面度が悪化する虞がある。
そこで、発明者らは、プレス成形時における溶融ガラスの面内(例えば溶融ガラスの表面の周縁部と中央部)の温度差が低減するように前記溶融ガラスの冷却速度を制御すれば、溶融ガラスの面内を、内部歪みを生じさせることなくほぼ同時に固化させることができることを見出した。

0025

そこで、本発明の第5の観点は、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形することにより、板状のガラスブランクを得る成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、上記成形工程では、上記溶融ガラスの温度が当該ガラスのガラス転移点から歪点まで冷却される間における冷却速度が−10℃/秒以内となるように、上記溶融ガラスの冷却温度を制御しながらプレス成形を行うことを特徴とする。
なお、例えば、1秒間当たりの温度の低下が10℃のときに、「−10℃/秒」と表記する。また、「冷却速度が−10℃/秒以内」とは、1秒間当たりの温度の低下が10℃よりも少ないことを意味する。

0026

本発明の第6の観点は、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形することにより、板状のガラスブランクを得る成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、上記成形工程では、溶融ガラスの塊が、板状のガラスブランクに固化する際に生じる面内の歪を低減すべく、上記溶融ガラスの温度が当該ガラスのガラス転移点から歪点まで冷却される間における冷却速度を制御しながらプレス成形を行うことを特徴とする。

0027

本発明の第7の観点は、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形することにより、板状のガラスブランクを得る成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、前記成形工程では、前記溶融ガラスのプレス中における前記溶融ガラスの面内の温度差が低減するように前記溶融ガラスの冷却速度を制御しながら、プレス成形を行うことを特徴とする。

0028

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、好ましくは、前記一対の金型が閉じてから離間するまでの間、前記溶融ガラスの面内の温度差が低減するように前記溶融ガラスの冷却速度を制御しながら、プレス成形を行うことを特徴とする。

0029

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記成形工程では、前記溶融ガラスのプレス中における前記溶融ガラスの温度がガラス転移点(Tg)から歪点になるまでの間、前記溶融ガラスの面内の温度差が低減するように前記溶融ガラスの冷却速度を制御しながら、プレス成形を行うことを特徴とする。

0030

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記成形工程では、落下中の前記溶融ガラスの塊を、その落下方向と直交する方向から前記一対の金型を用いてプレス成形することを特徴とする。

0031

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記成形工程では、前記溶融ガラスのプレス中における前記金型のプレス成形面の温度が実質的に均一な状態でプレス成形することを特徴とする。

0032

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記成形工程では、前記金型のプレス成形面の温度が、前記一対の金型間で実質的に同一の温度となるようにプレス成形することを特徴とする。

0033

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、ガラスブランクが金型に接触してから離れるまでの前記一対の金型の温度を、前記溶融ガラスのガラス転移点(Tg)未満の温度とすることを特徴とする。

0034

上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、ガラス転移点(Tg)が600℃以上の溶融ガラスを用いて前記成形工程を行うことを特徴とする。

0035

本発明の第8の観点は、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形して板状のガラス素材を得る成形工程を含む磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、前記成形工程では、板状のガラス素材の表面うねりが30nm以内となり、かつ上記溶融ガラスの温度が当該ガラスのガラス転移点から歪点まで冷却される間における冷却速度が−10℃/秒以内となるように、上記溶融ガラスの冷却温度を制御しながらプレス成形を行うことを特徴とする。

0036

本発明の第9の観点は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラスブランクを用いて、アニール処理を行わずに磁気ディスク用ガラス基板を製造することを特徴とする。

0037

本発明の第10の観点は、磁気ディスク用ガラス基板であって、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板であって、ガラス転移点(Tg)が600℃以上であることを特徴とする。

0038

本発明の第11の観点は、磁気ディスクであって、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板を用いて製造されたことを特徴とする。

発明の効果

0039

本発明によれば、プレス成形によって表面うねりが良好な磁気ディスク用ガラスブランクおよび磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる。

図面の簡単な説明

0040

実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の外観形状を示す斜視図。
実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図。
実施形態のプレス成形において用いられる装置の平面図。
実施形態のプレス成形において用いられる装置4組のプレスユニットの配置を示す図。
ゴブ形成型を用いた実施形態のプレス成形の変形例を示す図。
切断ユニットを用いないようにした、実施形態のプレス成形の変形例を示す図。
軟化炉で加熱した光学ガラスを用いた実施形態のプレス成形の変形例を示す図。
実施形態のプレス成形において用いられる均熱あるいは排熱手段の変形例を示す図。
実施形態のプレス成形におけるゴブの温度の経時的変化の一例を示す図。

0041

<第1の実施形態>
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。

0042

[磁気ディスク用ガラス基板]
図1に示すように、本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板1は、円環状の薄板のガラス基板である。磁気ディスク用ガラス基板のサイズは問わないが、例えば、公称直径2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板として好適である。公称直径2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板の場合、例えば、外径が65mm、中心穴2の径が20mm、板厚Tが0.6〜1.0mmである。実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の主表面の平面度は例えば4μm以下であり、主表面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は例えば0.2nm以下である。なお、最終製品である磁気ディスク用基板に求められる平面度は、例えば4μm以下である。

0043

本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板の材料として、アルミノシリケートガラスソーダライムガラスボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平面度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アモルファスのアルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。

0044

本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の組成を限定するものではないが、本実施形態のガラス基板は好ましくは、酸化物基準換算し、モル%表示で、SiO2を50〜75%、Al2O3を1〜15%、Li2O、Na2O及びK2Oから選択される少なくとも1種の成分を合計で5〜35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、ならびにZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Ta2O5、Nb2O5及びHfO2から選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、有する組成からなるアモルファスのアルミノシリケートガラスである。
なお、プレス時の面内歪を低減するためには、ガラス転移点(Tg)が600℃以上のガラスが好ましく、650℃以上であるとより好ましい。これは、ガラス転移点(Tg)が高いほど溶融状態から固化するまで(Tg付近)の時間が短く、かつ冷却速度が速い傾向にあるため、「金型面内の温度差」の影響を大きく受けてしまうためであり、このようなガラスを使用する場合に特に、本実施形態の製造方法を適用することが好ましいためである。
また、本実施形態のガラス基板では、熱膨張係数が50×10-7(K-1)以上のガラスであると好ましく、80×10-7(K-1)以上のガラスであるとより好ましい。これは、熱膨張係数が大きいほど温度変化による変形が大きく歪が生じやすいため、熱膨張係数が低い場合よりも、プレス時の面内歪を低減する本実施形態の方法を適用することが好ましいためである。
なお、本実施形態(第1の実施形態についても同様)では水平プレスを用いるため幅広い範囲の粘度のガラスをプレス成形することが可能であるが、特に高い粘度のガラスに好適である。これは、鉛直方向に落下する途中でプレスするため、粘度が比較的高いガラスの方が真円度が良好となるためである。具体的には、500ポアズ以上であることが好ましい。なお、2000ポアズ以上になると薄板化が困難となるため好ましくない。

0045

[実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法]
次に、図2を参照して、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローを説明する。図2は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。
図2に示すように、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では先ず、円板上のガラスブランクをプレス成形により作製する(ステップS10)。次に、成形されたガラスブランクをスクライブして、円環状のガラス基板を作製する(ステップS20)。次に、スクライブされたガラス基板に対して形状加工チャンファリング加工)を行う(ステップS30)。次に、ガラス基板に対して固定砥粒による研削を施す(ステップS40)。次に、ガラス基板の端面研磨を行う(ステップS50)。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を施す(ステップS60)。次に、第1研磨後のガラス基板に対して化学強化を施す(ステップS70)。次に、化学強化されたガラス基板に対して第2研磨を施す(ステップS80)。以上の工程を経て、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
以下、各工程について、詳細に説明する。

0046

(a)プレス成形工程(ステップS10)
先ず図3を参照して、プレス成形工程について説明する。図3は、プレス成形において用いられる装置の平面図である。図3に示されるように、装置101は、4組のプレスユニット120,130,140,150と、切断ユニット160と、切断刃165(図2には不図示)を備える。切断ユニット160は、溶融ガラス流出口111から流出する溶融ガラスの経路上に設けられる。装置101は、切断ユニット160によって切断されてできる溶融ガラスの塊(以降、ゴブともいう)を落下させ、そのとき、塊の落下経路の両側から、互いに対向する一対の型の面で塊を挟み込みプレスすることにより、ガラスブランクを成形する。
具体的には、図4に示されるように、装置101は、溶融ガラス流出口111を中心として、4組のプレスユニット120,130,140及び150が90度おきに設けられている。

0047

プレスユニット120,130,140及び150の各々は、図示しない移動機構によって駆動されて、溶融ガラス流出口111に対して進退可能となっている。すなわち、溶融ガラス流出口111の真下に位置するキャッチ位置図3においてプレスユニット140が実線で描画されている位置)と、溶融ガラス流出口111から離れた退避位置(図3において、プレスユニット120,130及び150が実線で描画されている位置及び、プレスユニット140が破線で描画されている位置)との間で移動可能となっている。

0048

切断ユニット160は、キャッチ位置(プレスユニットによるゴブの捕獲位置)と溶融ガラス流出口111との間の溶融ガラスの経路上に設けられ、溶融ガラス流出口111から流出される溶融ガラスを適量に切り出して溶融ガラスの塊を形成する。切断ユニット160は、一対の切断刃161及び162を有する。切断刃161及び162は、一定のタイミングで溶融ガラスの経路上で交差するよう駆動され、切断刃161及び162が交差したとき、溶融ガラスが切り出されてゴブが得られる。得られたゴブは、キャッチ位置に向かって落下する。

0049

プレスユニット120は、第1の型121、第2の型122、第1駆動部123、第2駆動部124及び均熱部125を有する。第1の型121と第2の型122の各々は、ゴブをプレス成形するための面(プレス成形面)を有するプレート状の部材である。プレス成形面は例えば円形とすることができる。この2つの面の法線方向が略水平方向となり、この2つの面が互いに平行に対向するよう配置されている。なお、第1の型121及び第2の型122は、それぞれプレス成形面を有していればよく、各型121,122の形状がプレート状に限定されることはない。
第1駆動部123は、第1の型121を第2の型122に対して進退させる。一方、第2駆動部124は、第2の型122を第1の型121に対して進退させる。第1駆動部123及び第2駆動部124は、例えばエアシリンダソレノイドコイルばねを組み合わせた機構など、第1駆動部123の面と第2駆動部124の面とを急速に近接させる機構を有する。
均熱部125は、ゴブのプレス成形中における第1及び第2の型121,122それぞれのプレス成形面内において熱の移動を生じさせやすくすることで、プレス成形面内の温度差を低減する。均熱部125は、例えばヒートシンクであって、均熱手段の一例である。この均熱部125は、第1及び第2の型121,122のプレス成形面の裏全面に接するように設けられている。また、均熱部125は、第1及び第2の型121,122より高い熱伝導率を有する部材から構成されていることが好ましい。例えば、第1及び第2の型121,122が超硬合金(例えばVM40)から構成されている場合には、均熱部125は、銅、銅合金アルミニウム又はアルミニウム合金等から構成されてよい。均熱部125が、第1及び第2の型121,122より高い熱伝導率を有することにより、第1及び第2の型121,122の熱を効率良く外部に排出することが可能になる。なお、超硬合金(VM40)の熱伝導率は71(W/m・K)、銅の熱伝導率は400(W/m・K)である。均熱部125を構成する部材は、第1及び第2の型121,122を構成する金属の熱伝導率、硬度、厚み寸法等に応じて適宜選択されてよい。また、第1及び第2の型121,122は、プレスに耐えうる強度が必要であるため、均熱部125と一体化せずに形成されることが好ましい。
また、冷却作用を有する液体気体等の流路等から構成される排熱機構及び/又はヒータ等の加熱機構を、金型の内周面円筒形状の金型の内側の面)内の温度差を低減するための均熱手段として構成してもよい。
なお、プレスユニット130,140及び150の構造は、プレスユニット120と同様であるため、説明は省略する。

0050

プレスユニットの各々は、キャッチ位置に移動した後、第1駆動部と第2駆動部の駆動により、落下するゴブを第1の型と第2の型の間で挟み込んで所定の厚さに成形すると共に急速冷却し、円形状のガラスブランクGを作製する。なお、荷重プレス圧力)は、2000〜15000kgfとすることが好ましい。この範囲内であれば加速度を十分に得て短時間でのプレスが可能となるため、ガラス材料の組成によらず磁気ディスク用ガラスブランク向けに好適な板厚に成形することができる。つぎに、プレスユニットは退避位置に移動した後、第1の型と第2の型を引き離し、成形されたガラスブランクGを落下させる。プレスユニット120,130,140及び150の退避位置の下には、第1コンベア171、第2コンベア172、第3コンベア173及び第4コンベア174が設けられている。第1〜第4コンベア171〜174の各々は、対応する各プレスユニットから落下するガラスブランクGを受け止めて図示しない次工程の装置にガラスブランクGを搬送する。

0051

装置101では、プレスユニット120,130,140及び150が、順番にキャッチ位置に移動して、ゴブを挟み込んで退避位置に移動するよう構成されているため、各プレスユニットでのガラスブランクGの冷却を待たずに、連続的にガラスブランクGの成形を行うことができる。

0052

図4(a)〜(c)は、装置101を用いたプレス成形をより具体的に説明している。図4(a)は、ゴブを作る以前の状態を示す図であり、図4(b)は、切断ユニット160によってゴブが作られた状態を示す図であり、図4(c)は、ゴブをプレスすることによりガラスブランクGが成形された状態を示す図である。

0053

図4(a)に示されるように、溶融ガラス流出口111から、溶融ガラス材料LGが連続的に流出される。このとき、所定のタイミングで切断ユニット160を駆動し、切断刃161及び162によって溶融ガラス材料LGを切断する(図4(b))。これにより、切断された溶融ガラスは、その表面張力によって、概略球状のゴブGGとなる。溶融ガラス材料LGの時間当たりの流出量及び切断ユニット160の駆動間隔の調整は、目標とするガラスブランクGの大きさ、板厚から定まる体積に応じて適宜行われてよい。

0054

作られたゴブGGは、プレスユニット120の第1の型121と第2の型122の隙間に向かって落下する。このとき、ゴブGGが第1の型121と第2の型122の隙間に入るタイミングで、第1の型121と第2の型122が互いに近づくように、第1駆動部123及び第2駆動部124(図4参照)が駆動される。これにより、図4(c)に示されるように、第1の型121と第2の型122の間にゴブGGが捕獲(キャッチ)される。さらに、第1の型121の内周面(プレス成形面)121aと第2の型122の内周面(プレス成形面)122aとが、微小な間隔にて近接した状態になり、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間に挟み込まれたゴブGGが、薄板状に成形される。なお、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間隔を一定に維持するために、第1の型121の内周面121aおよび第2の型122の内周面122aにはそれぞれ、突起121bおよび突起122bが設けられる。すなわち、突起121bおよび突起122bが当接することによって、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間隔は一定に維持されて、板状の空間が作られる。ここで、図4(c)に示されるように、ゴブGGから各内周面121a,122aそれぞれの中央部に伝わる熱は、図中矢印で示す熱の流れに従い、均熱部125を介して外部に排出される。
このプレス成形工程で一対の金型121,122を用いてプレス成形するが、本実施形態におけるプレス成形では、ガラスブランクの外形は金型の形状によって規制されない。すなわち、図4(c)に示すように、閉型により引き伸ばされたゴブが型の突起121b,122bまで到達することはない。

0055

第1の型121及び第2の型122には、図示しない温度調節機構が設けられており、第1の型121及び第2の型122の温度は、溶融ガラスLGのガラス転移点(Tg)よりも十分に低い温度に保持されている。なお、温度調節機構を、均熱手段として構成してもよい。
また、プレス成形工程において、第1の型121及び第2の型122に離型材を付着させる必要はない。

0056

なお、ゴブGGをプレス成形する際の第1の型121の内周面121a及び第2の型122の内周面122aそれぞれの中央部と周縁部との温度差(プレス成形面内の温度差)が小さいほど、プレス成形後に得られるガラスブランクの表面うねりは良好なものとなる。特に、内周面121a,122aそれぞれの中央部分に篭り易くなるゴブGGからの熱を効率良く外部に排出することにより、温度差を小さくすることが好ましい。これは、プレス成形時における第1の型121の内周面121aの内部及び第2の型122の内周面122aの内部それぞれの温度差を小さくすれば、内周面121a,122aの変形度が内周面121a,122a内の中央部分と周縁部分とで同一になることから、不均一な熱変形が内周面121a,122aに生じるのを防ぐことができ、作製されるガラスブランクの表面うねりを良好にすることができるためである。
そこで、ガラスブランクのプレス中における内周面121a,122aそれぞれの内部の温度差を、均熱部125を用いて低減することで、磁気ディスク用ガラス基板に要求される表面うねりを実現することができる。例えば、磁気ディスク用ガラス基板に要求される表面うねりを10nmとしたならば、各内周面121a,122aそれぞれの中央部と周縁部との温度差を1℃以内とした状態でプレス成形を行うことが好ましい。中央部と周縁部との温度差が0℃であるときに作製されるガラスブランクの表面うねりが最も良好となるが、上記温度差は、磁気ディスク用ガラス基板に要求される表面うねりに応じて適宜決定してよい。
なお、内周面の内部の温度差は、型の内周面の表面から型の内部に1mm移動した地点であって、内周面の中央部及び複数の周縁部のそれぞれに対応する地点(例えば、直径75mmのガラスブランクの中心位置に対応する地点と、その地点を中心とする半径約30mmの円周上の上下左右4つの地点)で、熱電対を用いて計測するときの中央部と各周縁部との温度の差分のうち最大となる温度の差分である。また、温度を測定するタイミングは、第1の型121と第2の型122をプレス成形後に離型する時点のタイミングである。

0057

なお、磁気ディスク用ガラス基板に要求される平面度に応じて、一対の金型間の温度差は、以下の観点から決定することができる。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板は、最終製品である磁気ディスクとして、ハードディスク装置内で熱膨張係数の高い金属製のスピンドル軸支されて組み込まれるため、磁気ディスク用ガラス基板の熱膨張係数もスピンドルと同程度に高いことが好ましい。このため、磁気ディスク用ガラス基板の熱膨張係数が高くなるように磁気ディスク用ガラス基板の組成は定められている。磁気ディスク用ガラス基板の熱膨張係数は、例えば、30〜100×10-7(K-1)の範囲内であり、好ましくは、50〜100×10-7(K-1)の範囲内である。上記熱膨張係数は、磁気ディスク用ガラス基板の温度100度と温度300度における線膨張率を用いて算出される値である。熱膨張係数は、例えば30×10-7(K-1)未満または100×10-7より大きい場合、スピンドルの熱膨張係数との差が大きくなり好ましくない。この点から、熱膨張係数が高い磁気ディスク用ガラス基板を作製する際、上記プレス成型工程においてガラスブランクの主表面周りの温度条件を揃える。一例として、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの温度が実質的に同一になるように温度管理をすることが好ましい。実質的に温度が同一となるように温度管理される場合、例えば、温度差は5度以下であることが好ましい。上記温度差は、より好ましくは3度以下であり、特に好ましくは1度以下である。
金型間の温度差は、第1の型121の内周面121aおよび第2の型122の内周面122aのそれぞれの表面から型の内部に1mm移動した地点であって、内周面121aおよび内周面122aの互いに対向する地点(例えば、ガラスブランクの中心位置に対応する地点や内周面121aおよび内周面122aの中心点)で、熱電対を用いて計測するときの温度の差分である。

0058

装置101では、ゴブGGが第1の型121の内周面121a又は第2の型122の内周面122aに接触してから、第1の型121と第2の型122とがゴブGGを完全に閉じ込める状態になるまでの時間は0.1秒以内(約0.06秒)と極めて短い。このため、ゴブGGは極めて短時間の内に第1の型121の内周面121a及び第2の型122の内周面122aに沿って広がって略円形状に成形され、さらに、急激に冷却されて非晶質のガラスとして固化する。これによって、ガラスブランクGが作製される。なお、本実施形態において成形されるガラスブランクGの大きさは、目的とする磁気ディスク用ガラス基板の大きさにもよるが、例えば、直径20〜200mm程度である。

0059

また、本実施形態のプレス成形方法では、第1の型121の内周面121a及び第2の型122の内周面122aが形状転写された形でガラスブランクGが形成されるため、一対の型の内周面の平面度および平滑性は、目的とする磁気ディスク用ガラス基板のそれと同等なものとしておくことが好ましい。この場合、プレス成形後に、ガラスブランクGに対する表面加工工程、すなわち研削および研磨工程は不要とすることができる。すなわち、本実施形態のプレス成形方法において成形されるガラスブランクGは、最終的に得られる磁気ディスク用ガラス基板の目標板厚と同一の板厚であってよい。例えば、ガラスブランクGは、厚さ0.2〜1.1mmの円形状の板である。内周面121a及び内周面122aの表面粗さは面内で実質的に同一であり、ガラスブランクGの算術平均粗さRaが0.001〜0.1μmとなるように、好ましくは、0.0005〜0.05μmとなるように調整される。ガラスブランクGの表面粗さは、内周面121a及び内周面122aの表面性状が形状転写されるため、面内で同一の表面粗さとなる。
なお、金型の成形面内で表面粗さが異なると、粗さが変化する場所がきっかけとなってプレスによる均一な延伸が阻害されて、例えばスジのような欠陥が生じる原因となる。

0060

第1の型121と第2の型122が閉じられた後、プレスユニット120は速やかに退避位置に移動し、代わりに、他のプレスユニット130がキャッチ位置に移動し、このプレスユニット130によって、ゴブGGのプレスが行われる。

0061

プレスユニット120が退避位置に移動した後、ガラスブランクGが十分に冷却されるまで(少なくとも屈服点よりも低い温度となるまで)、第1の型121と第2の型122は閉じた状態を維特する。この後、第1駆動部123及び第2駆動部124が駆動されて第1の型121と第2の型122が離間し、ガラスブランクGは、プレスユニット120を離れて落下し、下部にあるコンベア171に受け止められる(図3参照)。

0062

なお、図4に示す例では、切断刃161及び162を用いて、流出する溶融ガラスLGを切断することによって略球状のゴブGGが形成される。しかしながら、溶融ガラス材料LGの粘度が、切り出そうとするゴブGGの体積に対して小さい場合は、溶融ガラスLGを
切断するのみでは切断されたガラスが略球状とはならず、ゴブが作れない。このような場合は、ゴブを作るためのゴブ形成型を用いる。

0063

図5(a)〜(c)は、図4に示す実施形態の変形例を説明する図である。この変形例ではゴブ形成型を用いる。図5(a)は、ゴブを作る前の状態を示す図であり、図5(b)は、切断ユニット160及びゴブ形成型180によってゴブGGが作られた状態を示す図であり、図5(c)は、ゴブGGをプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
図5(a)に示すように、プレスユニット120は、ブロック181,182を溶融ガラスLGの経路上で閉じることにより溶融ガラスLGの経路が塞がれ、ブロック181,182で作られる凹部180Cで、切断ユニット160で切断された溶融ガラスLGの塊が受け止められる。この後、図5(b)に示すように、ブロック181,182が開かれることにより、凹部180Cにおいて球状となった溶融ガラスLGが一度にプレスユニット120に向けて落下する。この落下時、ゴブGGは、溶融ガラスLGの表面張力により球状になる。球状のゴブGGは、落下途中図5(c)に示すように、第1の型121と第2の型122とに挟まれてプレス成形されることにより、円形状のガラスブランクGが作製される。

0064

あるいは、図6(a)〜(d)に示すように、装置101は、図5(a)〜(c)に示す切断ユニット160を用いずに、ゴブ形成型180を、溶融ガラスLGの経路に沿って上流側方向あるいは下流側方向に移動させる移動機構を用いてもよい。図6(a)〜(d)は、ゴブ形成型180を使用する変形例を説明する図である。図6(a),(b)は、ゴブGGが作られる前の状態を示す図であり、図6(c)は、ゴブ形成型180によってゴブGGが作られた状態を示す図であり、図6(d)は、ゴブGGをプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
図6(a)に示すように、ブロック181,182によって作られる凹部180Cが溶融ガラス流出口111から流出する溶融ガラスLGを受け止め、図6(b)に示すように、所定のタイミングでブロック181,182を溶融ガラスLGの流れの下流側に素早く移動させる。これにより、溶融ガラスLGが切断される。この後、所定のタイミングで、図6(c)に示すように、ブロック181,182が離間する。これにより、ブロック181,182で保持されている溶融ガラスLGは一度に落下し、ゴブGGは、溶融ガラスLGの表面張力により球状になる。球状のゴブGGは、落下途中、図6(d)に示すように、第1の型121と第2の型122とに挟まれてプレス成形されることにより、円形状のガラスブランクGが作製される。

0065

図7(a)〜(c)は、ゴブGGとの代わりに図示されない軟化炉で加熱した光学ガラスの塊CPを落下させ、落下途中の両側から型221,222で挟んでプレス成形する変形例を説明する図である。図7(a)は、加熱した光学ガラスの塊を成形する前の状態を示す図であり、図7(b)は、光学ガラスの塊を落下する状態を示す図であり、図7(c)は、光学ガラスの塊をプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
図7(a)に示すように、装置201は、光学ガラスの塊CPをガラス材把持機構212でプレスユニット220の上部の位置に搬送し、この位置で、図7(b)に示すように、ガラス材把持機構212による光学ガラスの塊CPの把持を開放して、光学ガラスの塊CPを落下させる。光学ガラスの塊CPは、落下途中、図7(c)に示すように、第1の型221と第2の型222とに挟まれて円形状のガラスブランクGが成形される。第1の型221及び第2の型222は、図5に示す第1の型121及び第2の型122と同じ構成及び作用をするので、その説明は省略する。

0066

図8(a)〜(c)は、図4に示す実施形態の変形例を説明する図である。この変形例では、様々な形状の均熱部125を用いる。
図8(a)は、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの裏面の周縁部にそれぞれ設けられた均熱部125の間に、均熱部125より高い熱伝導率を有する第2均熱部126が設けられた状態を示す図である。図8(b)は、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの裏面の中央部のみに均熱部125が設けられた状態を示す図である。図8(c)は、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの裏面の中央部に向かう凹部が均熱部125に設けられた状態を示す図である。
なお、図8(a)〜(c)では、概ね各内周面121a,122aの中央において、溶融ガラスをプレスする場合を例示するが、プレス成形中の溶融ガラスの位置が各内周面の中央部からずれている場合には、図8(a)の第2均熱部126、図8(b)の均熱部125、及び図8(c)の凹部の位置は、そのずれに応じて設定位置が調整されてよい。
図8(a)に示すように、第2均熱部126は、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの裏面それぞれの中央部分に設けられている。ここで、第2均熱部126としては、例えば均熱部125がアルミニウム又はアルミニウム合金であった場合には、銅又は銅合金等が用いられる。第2均熱部126が用いられることにより、プレス成形時において内周面121a,122aの中央部に篭る熱が、均熱部125よりも熱伝導効率の良い第2均熱部126を介して外部に排出される。また、ゴブGGから内周面121a,122aの周縁部に伝わる熱は、均熱部125を介して外部に排出される。このようにして、プレス成形時における内周面の内部の温度差を低減することができる。
また、図8(b)に示すように、各内周面121a,122aの裏面の中央部のみに均熱部125が設けられている場合には、プレス成形時において、内周面121a,122aの中央部に篭る熱が、均熱部125を介して外部に排出される。これにより、プレス成形時における内周面121a,122aそれぞれの内部の温度差を低減することができる。なお、均熱部125の代わりに第2均熱部126を設けてもよい。
さらに、図8(c)に示すように、各内周面121a,122aの裏面の中央部に向かう凹部が均熱部125に設けられている場合には、例えば冷却作用を有する液体及び/または気体等を用いて凹部を冷却してもよい。この場合、内周面121a,122aの中央部が急冷されることにより、プレス成形時における内周面の内部の温度差を低減することができる。なお、例えば冷却作用を有する液体や気体等を用いて各内周面121a,122aの裏面の中央部を直接冷却できるように、均熱部125を形成してもよい。
また、図8(d)に示すように、第1及び第2の金型121,122の裏面に複数の均熱部125が設けられるようにしてもよい。複数の均熱部125はヒートシンクであってもよい。この場合、均熱部125を一つ設けた場合と比較して、外部に対する均熱部の接触面積を大きくすることが可能になるため、ゴブGGから内周面121a,122aに伝わる熱を、効率良く外部に排出することができる。

0067

(b)スクライブ工程(ステップS20)
次に、スクライブ工程について説明する。プレス成形工程の後、スクライブ工程では、成形されたガラスブランクGに対してスクライブが行われる。
ここでスクライブとは、成形されたガラスブランクGを所定のサイズのリング形状とするために、ガラスブランクGの表面に超鋼合金製あるいはダイヤモンド粒子からなるスクライバにより2つの同心円(内側同心円および外側同心円)状の切断線(線状のキズ)を設けることをいう。2つの同心円の形状にスクライブされたガラスブランクGは、部分的に加熱され、ガラスブランクGの熱膨張の差異により、外側同心円の外側部分および内側同心円の内側部分が除去される。これにより、円環状のガラス基板が得られる。
なお、ガラスブランクに対してコアドリル等を用いて円孔を形成することにより円環状のガラス基板を得ることもできる。

0068

(c)形状加工工程(ステップS30)
次に、形状加工工程について説明する。形状加工工程では、スクライブ工程後のガラス基板の端部に対するチャンファリング加工(外周端部および内周端部の面取り加工)を含む。チャンファリング加工は、スクライブ工程後のガラス基板の外周端部および内周端部において、主表面と、主表面と垂直な側壁部との間で、ダイヤモンド砥石により面取りを施す形状加工である。面取り角度は、主表面に対して例えば40〜50度である。

0069

(d)固定砥粒による研削工程(ステップS40)
固定砥粒による研削工程では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、形状加工工程後のガラス基板の主表面に対して研削加工機械加工)を行う。研削による取り代は、例えば数μm〜100μm程度である(両面合わせた値。以下同じ)。両面研削装置は、上下一対定盤上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研削することができる。
なお、本実施形態のプレス成形工程では、極めて平面度の高いガラスブランクを作製できるため、この研削工程を行わなくてもよい。また、研削工程の前に、研削工程で用いた装置と同様の両面研削装置及びアルミナ遊離砥粒を用いたラッピング工程を行ってもよい。

0070

(e)端面研磨工程(ステップS50)
次に、研削工程後のガラス基板の端面研磨が行われる。
端面研磨では、ガラス基板の内周端面及び外周端面をブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、ガラス基板の端面での塵等が付着した汚染ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことにより、サーマルアスペリティの発生の防止や、ナトリウムカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。

0071

(f)第1研磨工程(ステップS60)
次に、端面研磨工程後のガラス基板の主表面に第1研磨が施される。第1研磨による取り代は、例えば数μm〜50μm程度である。第1研磨は、固定砥粒による研削により主表面に残留したキズ、歪みの除去、微小な表面凹凸マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目的とする。第1研磨工程では、研削工程で用いたものと同様の構造の両面研磨装置を用いて、研磨液を与えながら研磨する。研磨液に含有させる研磨剤は、例えば、酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒である。

0072

なお、第1研磨工程では、ガラス基板の主表面について、表面粗さ(Ra)を0.5nm以下とし、かつマイクロウェービネス(MV−Rq)を0.5nm以下とするように研磨を行う。ここで、マイクロウェービネスは、主表面全面の半径14.0〜31.5mmの領域における波長帯域100〜500μmの粗さとして算出されるRMS(Rq)値で表すことができ、例えば、ポリテック社製のModel−4224を用いて計測できる。
表面粗さは、JIS B0601:2001により規定される算術平均粗さRaで表され、0.006μm以上200μm以下の場合は、例えば、ミツトヨ社製粗さ測定機SV−3100で測定し、JIS B0633:2001で規定される方法で算出できる。その結果、粗さが0.03μm以下であった場合は、例えば、日本Veeco社製走査型プローブ顕微鏡原子間力顕微鏡AFM)ナノスコープで計測しJIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。本願においては、1μm×1μm角の測定エリアにおいて、512×512ピクセル解像度で測定したときの算術平均粗さRaを用いることができる。

0073

(g)化学強化工程(ステップS70)
次に、第1研磨工程後のガラス基板は化学強化される。
化学強化液として、例えば硝酸カリウム(60重量%)と硫酸ナトリウム(40重量%)の混合液等を用いることができる。化学強化工程では、化学強化液を例えば300℃〜400℃に加熱し、洗浄したガラス基板を例えば200℃〜300℃に予熱した後、ガラス基板を化学強化液中に例えば3時間〜4時間浸漬する。
ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板の表層リチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換されることで表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化される。なお、化学強化処理されたガラス基板は洗浄される。例えば、硫酸で洗浄された後に、純水等で洗浄される。

0074

(h)第2研磨工程(ステップS80)
次に、化学強化工程後のガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨による取り代は、例えば1μm程度、具体的には、0.5〜2μmの範囲内とすることが好ましい。取り代がこの範囲より小さいと、表面粗さを十分に低減できない場合がある。また、この範囲より大きいと、端部形状の悪化(ダレ等)を招く場合がある。第2研磨は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨では例えば、第1研磨で用いた研磨装置を用いる。このとき、第1研磨と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。
第2研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子(粒子サイズ:直径10〜50nm程度)が用いられる。
研磨されたガラス基板を中性洗剤、純水、IPA等を用いて洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨工程を実施することは必ずしも必須ではないが、ガラス基板の主表面の表面凹凸のレベルをさらに良好なものとすることができる点で実施することが好ましい。第2研磨工程を実施することで、主表面の粗さ(Ra)を0.2nm以下、より好ましくは0.1nm以下かつ上記主表面のマイクロウェービネス(MW−Rq)を0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とすることができる。

0075

以上説明したように、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形するプレス成形工程を含む。そのため、一対の金型の内周面の表面粗さを良好なレベル(例えば磁気ディスク用ガラス基板に求められる表面粗さ)に設定しておけば、その表面粗さが、プレス成形によって得られるガラスブランクの表面粗さとして形状転写されるため、ガラスブランクの表面粗さを良好なレベルとすることができる。また、プレス成形工程では、溶融ガラスのプレス中における金型のプレス成形面内の温度差を低減するための均熱手段を用いて、プレス成形を行ってよい。したがって、本実施形態のプレス成形工程で得られるガラスブランクは、その主表面の平面度および表面うねりを磁気ディスク用ガラス基板に求められるレベルとすることができるため、後工程で主表面の加工工程を要しない。このガラスブランクを基に所定の形状に形状加工されたガラス基板に対して化学強化が施されるが、本実施形態では化学強化によってガラス基板の平面度に対して悪化させることはない。そのため、最終的に得られる磁気ディスク用ガラス基板は薄型で高い機械的強度を備え、かつ従来よりも平面度および表面うねりが良好なものとなる。

0076

[磁気ディスク]
以上の各工程を経て、磁気ディスク用ガラス基板が作製される。この磁気ディスク用ガラス基板を用いて、磁気ディスクは以下のようにして得られる。
磁気ディスクは、例えばガラス基板の主表面上に、主表面に近いほうから順に、少なくとも付着層下地層、磁性層(磁気記録層)、保護層、潤滑層が積層された構成になっている。
例えば基板を、真空引きを行った成膜装置内に導入し、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、基板主表面上に付着層から磁性層まで順次成膜する。付着層としては例えばCrTi、下地層としては例えばCrRuを用いることができる。磁性層としては、例えばCoPt系合金を用いることができる。また、L10規則構造のCoPt系合金やFePt系合金を形成して熱アシスト磁気記録用の磁性層とすることもできる。上記成膜後、例えばCVD法によりC2H4を用いて保護層を成膜し、続いて表面に窒素を導入する窒化処理を行うことにより、磁気記録媒体を形成することができる。その後、例えばPFPE(パーフルオロポリエーテル)をディップコート法により保護層上に塗布することにより、潤滑層を形成することができる。

0077

<第2の実施形態>
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。なお、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板は、第1の実施形態の磁気ディスク用ガラス基板と同一である。また、以下の説明では、第1の実施形態の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法とは異なる部分についてのみ説明し、それ以外の重複説明については省略する。本実施形態では便宜上、第1の実施形態で「均熱部」と表記していた部材125を「温度制御部」と表記する。

0078

本実施形態のガラス基板においても、第1の実施形態で述べたアモルファスのアルミノシリケートガラスが好ましい。

0079

本実施形態では、第1の実施形態の均熱部125と同様の構造の温度制御部125を備えたプレスユニット120によって溶融ガラスをプレス成形する。プレスユニット120は、第1の実施形態の均熱部125を温度制御部125と表記する以外は、第1の実施形態と同等の構成である。本実施形態において、温度制御部125は、金型のプレス成形面内の温度差を低減するための温度制御手段の一例である。温度制御部125は、均熱部125と同様に、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金から構成してもよく、銀又は超々ジュラルミン等から構成されてもよい。

0080

前述した図4(a)〜(c)を再度参照して、本実施形態のプレス成形について説明すると以下のとおりである。

0081

図4(a)に示されるように、溶融ガラス流出口111から、溶融ガラス材料LGが連続的に流出される。このとき、所定のタイミングで切断ユニット160を駆動し、切断刃161及び162によって溶融ガラス材料LGを切断する(図4(b))。これにより、切
断された溶融ガラスは、その表面張力によって、概略球状のゴブGGとなる。溶融ガラス材料LGの時間当たりの流出量及び切断ユニット160の駆動間隔の調整は、目標とするガラスブランクGの大きさ、板厚から定まる体積に応じて適宜行われてよい。

0082

作られたゴブGGは、プレスユニット120の第1の型121と第2の型122の隙間に向かって落下する。このとき、ゴブGGが第1の型121と第2の型122の隙間に入るタイミングで、第1の型121と第2の型122が互いに近づくように、第1駆動部123及び第2駆動部124(図4参照)が駆動される。これにより、図4(c)に示されるように、第1の型121と第2の型122の間にゴブGGが捕獲(キャッチ)される。さ
らに、第1の型121の内周面(プレス成形面)121aと第2の型122の内周面(プレス成形面)122aとが、微小な間隔にて近接した状態になり、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間に挟み込まれたゴブGGが、薄板状に成形される。なお、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間隔を一定に維持するために、第1の型121の内周面121aおよび第2の型122の内周面122aにはそれぞれ、突起121bおよび突起122bが設けられる。すなわち、突起121bおよび突起122bが当接することによって、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間隔は一定に維持されて、板状の空間が作られる。
このプレス成形工程で一対の金型121,122を用いてプレス成形するが、本実施形態におけるプレス成形では、ガラスブランクの外形は金型の形状によって規制されない。すなわち、図4(c)に示すように、閉型により引き伸ばされたゴブが突起121b,122bまで到達することはない。
また、図4(c)に示すように、ゴブGGから各内周面121a,122aそれぞれの中央部に伝わる熱は、図中矢印で示す熱の流れに従い、温度制御部125を介して外部に排出される。

0083

第1の型121及び第2の型122には、図示しない温度調節機構が設けられており、第1の型121及び第2の型122の温度は、溶融ガラスLGのガラス転移点(Tg)より
も低い温度に保持されている。また、温度調節機構は、第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間に挟み込まれたゴブGGの冷却速度を、ゴブGGの面内(例えばゴブGGの表面の周縁部と中央部)の温度差が低減するように制御する。この制御において、ゴブGGの冷却速度は速められ又は抑制される。このため、温度調節機構は、冷却作用を有する液体や気体等の流路等から構成される冷却機構やヒータ等の加熱機構を有してもよい。また、温度制御部125を温度調節機構として構成してもよい。ゴブGGの冷却速度が制御されることにより、ガラスブランクに対するアニール処理を不要とすることができる。例えば、冷却速度を遅くすることで面内歪の発生を抑制することができるが、これは以下の理由による。つまり、一般にガラスの熱伝導率は金属に比べて低く熱が内部で伝わり難いが、ガラスの熱を金型によって吸収する速度を遅くすることで、熱がガラスの内部で均一に伝わるための時間的余裕が生じ、ガラス内部の温度差が小さくなるため、歪が生じ難くなるためである。なお、ゴブGGの冷却速度の制御の一例については後述する。
さらに、プレス成形工程において、プレス成形は極めて短時間に終了し、広い面ですばやく冷却することができるため、金型が加熱されすぎることがなく、ガラスと金型が融着することがないため、第1の型121及び第2の型122に離型材を付着させる必要はない。

0084

なお、ゴブGGをプレス成形する際の金型の内周面の温度が実質的に均一な状態であれば、プレス成形後に得られるガラスブランクの平面度が良好なものとなるので好ましい。特に、内周面121a,122aそれぞれの中央部分に篭り易くなるゴブGGからの熱を効率良く外部に排出することにより、内周面(プレス成形面)の温度差を小さくすることが好ましい。これは、プレス成形時における金型の内周面の温度差を小さくすれば、内周面の中央部の温度と周縁部の温度がほぼ同一になることから、ゴブGGの中央部と周縁部とをほぼ同時に固化させることができるためである。
また、内周面の中央部の温度と周縁部の温度がほぼ同一になることから、プレス成形面の周縁部分から中央部分への方向に向かう圧縮応力による内部歪み(面内歪)が、プレス成形されたガラスブランクに生じるのを防ぐことができる。
そこで、ガラスブランクのプレス中における金型の内周面の温度差を、温度制御部125を用いて低減することで、磁気ディスク用ガラス基板に要求される平面度を実現することができるとともに、ゴブGGの中央部分と周縁部分とをほぼ同時に固化させることができるため面内歪の発生を抑制することができる。例えば、磁気ディスク用ガラス基板に要求される平面度を4μmとしたならば、内周面の温度が実質的に均一な状態、例えば、中央部と周縁部との温度差が10℃以内とした状態でプレス成形を行うようにする。中央部と周縁部との温度差が0℃であるときが、ガラスブランクの面内歪の発生を防ぐのに最も良好となるが、上記温度差は、成形されるガラスブランクGの大きさやガラスの組成等に応じて適宜決定してよい。
なお、内周面の温度差は、型の内周面の表面から型の内部に1mm移動した地点であって、内周面の中央部及び複数の周縁部のそれぞれに対応する地点(例えば、直径75mmのガラスブランクの中心位置に対応する地点と、その地点を中心とする半径約30mmの円周上の上下左右4つの地点)で、熱電対を用いて計測するときの中央部と各周縁部との温度の差分のうち最大となる温度の差分である。
また、本実施形態では、ゴブGGの面内の温度差が低減するように前記溶融ガラスの冷却速度を制御しながらプレス成形を行うので、ゴブGGの表面の中央部と周縁部とをほぼ同時に固化させることができる。従って、温度制御部125を設けなくてもよい。

0085

なお、本実施形態においても、図5図8の構成と同様の構成を採ることができる。

0086

次に、図9を参照して、ゴブGGの冷却速度の制御について説明する。図9は、プレス成形におけるゴブの温度の経時的変化の一例を示す図である。第1の型121の内周面121aと第2の型122の内周面122aの間に挟み込まれたゴブGGの冷却速度が速すぎると、ゴブGGの面内に温度差が生ずる。これは、以下の理由による。つまり、一般にガラスの熱伝導率は金属に比べて低く熱が内部で伝わり難いが、ガラスの熱を金型によって吸収する速度を早すぎると、熱がガラスの内部で均一に伝わるための時間的余裕がないためである。このとき、冷却に伴う収縮はゴブGGの表面の周縁部が先行するため、ゴブGGのプレス成形によって成形されたガラスブランクには、ゴブGGの表面の周縁部から中央部に向かう残留応力による内部歪み(面内歪)が発生する。そこで、本実施形態では、プレス成形時におけるゴブGGの温度がガラス転移点(Tg)から歪点まで下降する間、温度調節機構により冷却速度が制御される。図9に示す例では、直径75mm、厚さ0.9mmのガラスブランクを製造する際に、ゴブGGの冷却速度は、ゴブGGの温度がガラス転移点(Tg)から歪点に下降するまでの間、−8〜−2℃/秒程度の緩やかな冷却速度に制御される。この場合、ゴブGGの面内の温度差が低減されることから、ガラスブランクに発生する歪みの大きさを小さくすることができる。
なお、ゴブGGの温度は、第1の型121の内周面121a及び第2の型122の内周面122aの表面から型の内部に1mm移動した地点であって、内周面121a及び内周面122aの互いに対向する地点(例えば、ガラスブランクの中心位置に対応する地点や内周面121a及び内周面122aの中心点)で、熱電対を用いて計測されてよい。
また、図9に示したゴブの温度の経時的変化は、ゴブGGの冷却速度の制御の一例を説明するためのものであり、ゴブGGの冷却速度は、ガラスの組成や、成形されるガラスブランクのサイズによって適宜制御されてよい。

0087

このように、溶融ガラスのプレス中におけるゴブGGの面内の温度差が低減するように溶融ガラスの冷却速度が制御されながら、プレス成形が行われる。これにより、溶融ガラスを、面内歪を生じさせることなく固化させることができる。従って、ガラスブランク内に生じた内部歪みを開放するためのアニール処理を省略することが可能になる。
なお、スクライブ工程以降の処理は、第1の実施形態と同様でよい。

0088

以上説明したように、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、溶融ガラスの塊を一対の金型を用いてプレス成形するプレス成形工程を含む。そのため、一対の金型の内周面の表面粗さを良好なレベル(例えば磁気ディスク用ガラス基板に求められる表面粗さ)に設定しておけば、その表面粗さが、プレス成形によって得られるガラスブランクの表面粗さとして形状転写されるため、ガラスブランクの表面粗さを良好なレベルとすることができる。また、プレス成形工程では、溶融ガラスのプレス中における溶融ガラスの冷却速度を制御しながら、プレス成形を行ってよい。このとき、溶融ガラスの面内の温度差が低減するように制御するとなおよい。したがって、本実施形態のプレス成形工程で得られるガラスブランクは、その主表面の表面粗さおよび平面度を磁気ディスク用ガラス基板に求められるレベルとすることができるため、後工程で主表面の加工工程を要しないようにすることもできる。このガラスブランクを基に所定の形状に形状加工されたガラス基板に対して化学強化が施されるが、本実施形態では化学強化によってガラス基板の平面度に対して悪化させることはない。そのため、最終的に得られる磁気ディスク用ガラス基板は薄型で高い機械的強度を備え、かつ従来よりも平面度が高いものとなる。
また、本実施形態では、溶融ガラスの面内の温度差が低減するように溶融ガラスの冷却速度を制御することにより、面内歪を生じさせることなく溶融ガラスを固化させることができる。従って、本実施形態では、アニール処理が行われることなく、内部歪みが低減された磁気ディスク用ガラスブランク及び磁気ディスク用ガラス基板が得られる。

0089

以下に、本発明を実施例によりさらに説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。

0090

<第1の実施例>
・溶融ガラスの作製
以下の組成のガラスが得られるように原料量し、混合して調合原料とした。この原料を熔融容器投入して加熱、熔融し、清澄攪拌して泡、未熔解物を含まない均質熔融ガラスを作製した。得られたガラス中には泡や未熔解物、結晶の析出、熔融容器を構成する耐火物白金混入物は認められなかった。
[ガラスの組成]
酸化物基準に換算し、モル%表示で、SiO2を50〜75%、Al2O3を1〜15%、Li2O、Na2O及びK2Oから選択される少なくとも1種の成分を合計で5〜35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、ならびにZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Ta2O5、Nb2O5及びHfO2から選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、有する組成からなるアモルファスのアルミノシリケートガラス

0091

上記溶融ガラスを準備し、本発明のプレス成形方法(図3図4の装置を用いた方法)を用いて、直径75mm、厚さ0.9mmのガラスブランクを作製した。溶融ガラス流出口111から吐出される溶融ガラス材料LGの温度は1300℃であり、この時の溶融ガラス材料LGの粘度は700ポアズである。また、第1の型及び第2の型の内周面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、面内で0.01μm〜1μmとした。具体的には、0.1μmとした。さらに、第1の型及び第2の型は超硬合金(VM40)で構成されている。また、均熱部として銅を用いた。
溶融ガラス流出口111から吐出される溶融ガラス材料LGは、切断ユニット160によって切断され、直径約20mmのゴブGGが形成される。ゴブGGは、プレスユニットによって荷重3000kgfで、その温度が溶融ガラス材料のガラス転移温度(Tg)以下となるまで(約3秒)プレスされ、直径75mmのガラスブランクが形成された。
なお、プレス中の型の内周面内の温度差は、型の内周面の表面から型の内部に1mm移動した地点であって、内周面の中央部及び複数の周縁部のそれぞれに対応する地点(具体的には、直径75mmのガラスブランクの中心位置に対応する地点と、その地点を中心とする半径約30mmの円周上の上下左右4つの地点)において、熱電対を用いて計測された各地点の温度のうち中央部と各周縁部との温度の差分を算出することによりもとめられる。また、実施例では、中央部と各周縁部との温度の差分のうち最大となる温度の差分を、型の内周面内の中央部と周縁部との温度差とした。
この実施例では、磁気ディスク用ガラス基板に要求される平面度を4μm以下とした場合に、この平面度を実現すべく、各プレスユニットにおいて第1の型及び第2の型の温度差は、10℃以内とした。具体的には、第1の型の温度を420℃とし、第2の型の温度を411〜429℃とした。

0092

[実施例のガラスブランクの評価]
実施例で作製された直径約75mmの板状のガラスブランクについて、平面度および表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定した。
表面うねりは、ここでは形状波長5mm以下の成分でガラスブランクの主表面(全面)を測定した場合のPV値(Peak-Valley値:最大高低差)と定義した。表面うねりは、例えば白色光干渉顕微鏡型表面形状測定器であるフェイズシフト社製OPTIFLATを用いて測定することができる。ただし、端部近傍の部分等、光の反射率が低下して正しく測定できない部分のデータについては除く必要がある。そのような場合は、例えば、測定領域を直径65mmの円としてもよい。なお、他の測定機を用い、カットオフ値を5mmにて、5mmより長い波長のうねりカットすることにより、表面うねりを算出してもよい。表1に示す表面うねりの評価基準は、以下のとおりである。
以下の基準において、ガラスブランクの表面うねりが30nmより大きければ研削工程を実施して表面うねりを30nm以下まで低減する必要がある。表面うねりが10nmより大きく且つ30nm以下であるガラスブランクの場合には、研削工程を省略することができるので好ましいが、品質を安定させるために研磨工程における取り代を増大させる必要があるので、生産性の観点から表面うねりが10nm以下のガラスブランクよりも劣る。また、表面うねりが10nm以下のガラスブランクの場合は、研削工程を省略することができ、さらに研磨工程における取り代を少なくすることができるので、最も好ましい。
◎:表面うねりが10nm以下
○:表面うねりが10nmより大きく30nm以下
×:表面うねりが30nmより大きい

0093

表面粗さは、JIS B0601:2001により規定される算術平均粗さRaで表され、0.006μm以上200μm以下の場合は、例えば、ミツトヨ社製粗さ測定機SV−3100で測定し、JIS B0633:2001で規定される方法で算出できる。その結果粗さが0.03μm以下であった場合は、例えば、日本Veeco社製走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡;AFM)ナノスコープで計測しJIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。本願においては、10μm×10μm角の測定エリアにおいて、256×256ピクセルの解像度で測定したときの算術平均粗さRaを用いた。その結果、ガラスブランクの表面粗さについてはすべての例において0.5μm以下であった。これは、型の温度とは無関係に、第1の型及び第2の型の内周面がガラスブランクに形状転写されるため、ガラスブランクの表面粗さが第1の型及び第2の型の内周面の表面粗さと同等となるためである。なお、算術平均粗さRaが0.1μm以下であれば、主表面に対する研削工程を省略して直接研磨工程を行うことで、目標とする磁気ディスク用ガラス基板の表面性状を得ることができる。

0094

0095

表1から、ガラスブランクをプレス成形する際に、一対の金型の内周面の中央部と周縁部の温度差を低減することにより、表面うねりの良好なガラスブランクが作製されることが分かる。特に、金型の厚み寸法に対して均熱部の厚み寸法を大きくした場合には、表面うねりが最も良好なガラスブランクが得られた。また、第1の型及び第2の型の内周面がガラスブランクに形状転写され、各例のガラスブランクの表面粗さについては、第1の型及び第2の型の内周面の表面粗さとほぼ同じであった。

0096

[実施例の磁気ディスク用ガラス基板の作製]
上記比較例、実施例1、実施例2のガラスブランクを用い、図2に示したステップS20(スクライブ)→S30(形状加工)→S50(端面研磨)→S60(第1研磨)→S70(化学強化)→S80(第2研磨)の工程を順に行って、それぞれ磁気ディスク用ガラス基板を作製した。つまり、平面度を向上させるための主表面の研削工程を行わずに磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
なお、上記磁気ディスク用ガラス基板の作製に当たっては、第1研磨、第2研磨の各工程は、以下の条件で行った。
・第1研磨工程:酸化セリウム(平均粒子サイズ;直径1〜2μm)、硬質ウレタンパッドを使用して研磨した。取り代10μm。
・第2研磨工程:コロイダルシリカ(平均粒子サイズ;直径0.1μm)、軟質ポリウレタンパッドを使用して研磨した。取り代1μm。

0097

次に、比較例、実施例1、実施例2のガラスブランクを元にして作製された磁気ディスク用ガラス基板に記録層を成膜して磁気ディスクを作製した(それぞれ順に、比較例A、実施例1A、実施例2A)。作製した磁気ディスクは公称2.5インチサイズ(内径20mm、外径65mm、板厚0.8mm)である。
なお、磁気ディスク用ガラス基板に対する記録層の成膜は以下の通り行った。まず、真空引きを行った成膜装置を用い、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、基板上に付着層/軟磁性層前下地層/下地層/主記録層補助記録層/保護層/潤滑層を順次成膜した。なお、断らない限り成膜時のArガス圧は0.6Paで行った。付着層としては、Cr−50Tiを10nm成膜した。軟磁性層としては、0.7nmのRu層を挟んで、92Co−3Ta−5Zrをそれぞれ20nm成膜した。前下地層としては、Ni−5Wを8nm成膜した。下地層としては、0.6PaでRuを10nm成膜した上に5PaでRuを10nm成膜した。主記録層としては、3Paで90(72Co−10Cr−18Pt)−5(SiO2)−5(TiO2)を15nm成膜した。補助記録層としては、62Co−18Cr−15Pt−5Bを6nm成膜した。保護層としては、CVD法によりC2H4を用いて4nm成膜し、表層を窒化処理した。潤滑層としては、ディップコート法によりPFPEを用いて1nm形成した。

0098

[実施例の磁気ディスクの評価]
比較例、実施例1、実施例2の磁気ディスクを対象として、クボタコンプス社製HDFテスター(Head/Disk Flyability Tester)を用いて、DFH(Dynamic Fly height)ヘッド素子部のタッチダウン試験(DFHタッチダウン試験)を行った。この試験は、DFH機構によって素子部を徐々に突き出していき、AE(Acoustic Emission)センサによって磁気ディスク表面との接触を検知することによって、ヘッド素子部が磁気ディスク表面と接触するときの突き出し量を評価するものである。ヘッドは320GB/P磁気ディスク(2.5インチサイズ)向けのDFHヘッドを用いた。素子部の突き出しがない時の浮上量は10nmである。すなわち、例えば突き出し量が8nmのとき、ヘッド浮上量は2nmとなる。また、その他の条件は以下の通り設定した。
・評価半径:22mm
・磁気ディスクの回転数:5400rpm
・温度:25℃
湿度:60%

0099

DFHタッチダウン試験の結果を表2に示す。なお、表2において、ヘッド素子部の突き出し量に応じて以下の通り評価した。なお、320GB/P以上の記録密度を達成するためには、突き出し量を8nm以上とすることが好ましい。
○:(突き出し量)≧8n
×:(突き出し量)<8nm

0100

0101

表2から明らかなように、実施例1Aおよび実施例2Aについては、研削工程を省略してもDFHヘッドの突き出し量を十分大きくすることができた。すなわち、実施例1Aおよび実施例2Aについては、金型面内の温度差を10℃以下としたことで、研削工程を省略しても平面度、表面粗さともに良好で、かつ媒体化した際に良好なDFHタッチダウン試験結果が得られる磁気ディスク用ガラス基板が製造できることが確認できた。
実施例1Aと実施例2Aについてさらに詳細に比較したところ、実施例2Aのみ突き出し量を8.5nm以上とすることができた。これはガラスブランクの時点での表面うねりがより小さかったため、磁気ディスク用ガラス基板においても表面うねりが小さくなったためであると考えられる。

0102

<第2の実施例>
・溶融ガラスの作製
以下の組成のガラスが得られるように原料を秤量し、混合して調合原料とした。この原料を熔融容器に投入して加熱、熔融し、清澄、攪拌して泡、未熔解物を含まない均質な熔融ガラスを作製した。得られたガラス中には泡や未熔解物、結晶の析出、熔融容器を構成する耐火物や白金の混入物は認められなかった。
[ガラスの組成]
・第1のガラス
酸化物基準に換算し、モル%表示で、SiO2を50〜75%、Al2O3を1〜15%、Li2O、Na2O及びK2Oから選択される少なくとも1種の成分を合計で5〜35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、ならびにZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Ta2O5、Nb2O5及びHfO2から選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、有する組成(以下、第1のガラス組成という)からなるアモルファスのアルミノシリケートガラス
また、熱アシスト磁気記録方式用のガラスブランク、ガラス基板、磁気ディスクを作製する場合のガラスとして、以下の第2のガラスの組成とした。
・第2のガラス
酸化物基準に換算し、モル%表示で、SiO2を50〜75%、Al2O3を0〜5%、Li2Oを0〜3%、ZnOを0〜5%、Na2O及びK2Oを合計で3〜15%、MgO、CaO、SrO及びBaOを合計で14〜35%、ZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Yb2O3、Ta2O5、Nb2O5及びHfO2を合計で2〜9%有する組成(以下、第2のガラス組成という)からなるアモルファスのアルミノシリケートガラス
さらに、第1のガラスの組成は、磁気ディスク用ガラス基板の温度が100〜300℃の場合における熱膨張係数が98×10-7(K-1)となるように構成した。また、第2のガラスの組成は、磁気ディスク用ガラス基板の温度が100〜300℃の場合における熱膨張係数が80×10-7(K-1)となるように構成した。熱膨張係数が50×10-7(K-1)以下の場合には、プレス成形後のガラスブランクに生じる内部歪みが小さくなる傾向にあるため、後述の急加熱処理を行った後の平面度の劣化度は小さくなる。なお、熱膨張係数が30×10-7(K-1)未満の場合には、ハードディスク装置内のスピンドルよりも熱膨張係数が小さくなる。この場合、ハードディスク装置の稼動中に、磁気ディスクとスピンドルとが強く嵌合することにより磁気ディスクが割れるおそれがあるため、好ましくない。
また、熱アシスト磁気記録方式用のガラスブランク、ガラス基板、磁気ディスクを作製する場合には、ガラス転移点(Tg)が600℃以上となるようにガラスを組成することが好ましい。これは、ガラス転移点(Tg)が高いほど溶融状態から固化するまで(Tg付近)の時間が短く、かつ冷却速度が速い傾向にあるため、内部歪の制御が一般的に困難であり、このようなガラスを使用する場合に特に、本発明の製造方法を適用することが好ましいためである。そこで、実施例4B〜6Bのガラス転移点(Tg)を670℃とした。
また、各実施例の熱膨張係数は、50〜100×10-7(K-1)の範囲内であった。

0103

上記溶融ガラスを準備し、本発明のプレス成形方法(図3図4の装置を用いた方法)を用いて、直径75mm、厚さ0.9mmのガラスブランクを作製した。溶融ガラス流出口111から吐出される溶融ガラス材料LGの温度は1300℃であり、この時の溶融ガラス材料LGの粘度は700ポアズである。また、第1の型及び第2の型の内周面の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.1μm〜1μmとした。さらに、第1の型及び第2の型は厚さ10mmの超硬合金(VM40)で構成されている。
また、温度制御部として、厚さ20mmの銅を用いた。この場合、金型の内周面の温度差は10℃以内となる。内周面の温度差は、型の内周面の表面から型の内部に1mm移動した地点であって、内周面の中央部及び複数の周縁部のそれぞれに対応する地点(例えば、直径75mmのガラスブランクの中心位置に対応する地点と、その地点を中心とする半径約30mmの円周上の上下左右4つの地点)で、熱電対を用いて計測するときの中央部と各周縁部との温度の差分のうち最大となる温度の差分である。
溶融ガラス流出口111から吐出される溶融ガラス材料LGは、切断ユニット160によって切断され、直径約20mmのゴブGGが形成される。ゴブGGは、プレスユニットに
よって荷重3000kgfで、その温度が溶融ガラス材料の歪点以下となるまで(約5秒)プレスされ、直径75mmのガラスブランクが形成された。
この実施例では、第1の型の温度を歪点−20℃とし、第2の型の温度を第1の型の温度±10℃(歪点−10〜−30℃)とした。なお、型の最低温度を歪点−30℃としたのは、あまりにも低い温度でプレスするとプレス時にガラスが割れてしまう可能性があるためである。
また、この実施例では、プレス成形時における溶融ガラス材料の冷却速度が、溶融ガラス材料の温度がガラス転移点(Tg)から歪点に移行するまでの間、−8〜−2℃/秒で任意に制御されることが好ましい。この冷却速度は、金型の内周面の表面から金型の内部に1mm移動した地点で温度をプレス開始前から金型が離れた後も含めて60秒間計測し、この計測時間に対する温度変化の割合のうち、具体的には、検出された温度のうちガラスのガラス転移点(Tg)の温度から歪点の温度までの間の時間における温度変化を算出することによりもとめられる。なお、本発明においては、上記検出された温度とガラスブランクの温度は同じである。

0104

[実施例および比較例]
・比較例1B
表3に示す比較例1Bでは、第1のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。この溶融ガラスのガラス転移点(Tg)は510℃であり、歪点は490℃である。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−12℃/秒に制御した。
・比較例2B
表3に示す比較例2Bでは、第1のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−16℃/秒に制御した。
・実施例1B
表3に示す実施例1Bでは、第1のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−2℃/秒に制御した。
・実施例2B
表3に示す実施例2Bでは、第1のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−4℃/秒に制御した。
・実施例3B
表3に示す実施例3Bでは、第1のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−8℃/秒に制御した。
・実施例4B
表3に示す実施例4Bでは、第2のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−2℃/秒に制御した。
・実施例5B
表3に示す実施例5Bでは、第2のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−4℃/秒に制御した。
・実施例6B
表3に示す実施例6Bでは、第2のガラスの組成からなる溶融ガラスを用いてガラスブランクを作製した。また、溶融ガラス材料の冷却速度を−8℃/秒に制御した。

0105

なお、ガラス転移点(Tg)の温度から歪点の温度までの間の冷却速度の制御は、プレスユニットを断熱材で覆い、その断熱材の材料や厚みを調整することによって行った。

0106

[実施例のガラスブランクの評価]
先ず、実施例で作製された直径75mmのガラスブランクの平面度を測定した。次に、ガラスブランクに対して、室温からTgまで20秒で昇温する急加熱処理を行い、10秒間保持した後、ガラスブランクが室温になるまで10分かけて緩やかに冷却した後の平面度および表面粗さ(算術平均粗さRa)を測定するとともに、急加熱処理前後の変面度の変化量をもとめた。この急加熱処理は、熱アシスト磁気記録方式での成膜処理を想定したものである。
平面度は、ガラスブランクを水平面上に置き、水平面からの法線軸上で一定の高さから見たときのガラスブランクの主平面上における最も低い位置(谷)と最も高い位置(山)の法線軸上の高さの差として定義することができ、例えばNidek社製フラットネステスターFT−900を用いて測定した。表3に示す平面度の評価基準は、以下のとおりである。以下の基準において、ガラスブランクの平面度が8.0μm以下であれば研削工程にて平面度を磁気ディスク用ガラス基板の目標平面度である4μm以下のレベルまで改善できる点でよい。また、ガラスブランクの平面度が4.0μm以下であれば、研削工程を省略しても磁気ディスク用ガラス基板の目標平面度を達成できることになるためコスト低減になってさらに良い。

0107

表面粗さは、JIS B0601:2001により規定される算術平均粗さRaで表され、0.006μm以上200μm以下の場合は、例えば、ミツトヨ社製粗さ測定機SV−3100で測定し、JIS B0633:2001で規定される方法で算出できる。その結果粗さが0.03μm以下であった場合は、例えば、日本Veeco社製走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡;AFM)ナノスコープで計測しJIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。本願においては、10μm×10μm角の測定エリアにおいて、256×256ピクセルの解像度で測定したときの算術平均粗さRaを用いた。その結果、ガラスブランクの表面粗さについてはすべての例において0.5μm以下であった。これは、型の温度とは無関係に、第1の型及び第2の型の内周面がガラスブランクに形状転写されるため、ガラスブランクの表面粗さが第1の型及び第2の型の内周面の表面粗さと同等となるためである。なお、算術平均粗さRaが0.1μm以下であれば、主表面に対する研削工程を省略して直接研磨工程を行うことで、目標とする磁気ディスク用ガラス基板の表面性状を得ることができる。

0108

0109

表3から、ガラスブランクをプレス成形する際に、溶融ガラスの冷却速度を制御することにより、平面度の良好なガラスブランクが得られることがわかった。これは、プレス成形によって、内部歪みが低減されたガラスブランクが作製されたことを表している。特に、ガラス転移点から歪点までの溶融ガラスの冷却速度を−8〜−2℃/秒に制御した場合には、加熱前後において平面度の良好なガラスブランクが得られた。すなわち1秒間あたりの温度低下が10℃以下であれば、平面度の変化量が1μm以下に抑制された。さらに、冷却速度が−2℃/秒に制御された場合には、加熱前後の平面度の変化量が最も良好なガラスブランクが得られた。
また、実施例2B,3Bと、実施例5B,6Bを比較して明らかなように、同じ冷却速度の場合では、ガラス転移点(Tg)が670℃の場合の方が加熱前後の平面度の変化量は小さくすることができた。理由は必ずしも明確ではないが、これは第2のガラスの方が熱膨張係数が小さかったためと考えられる。
上述したように、このガラスブランクを用いることにより、アニール処理を行うことなく内部歪みが低減された磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクを得ることが可能となる。
なお、ガラス組成を調整してガラス転移点(Tg):600℃(歪点:590℃、熱膨張係数:85×10-7(K-1))と、ガラス転移点(Tg):650℃(歪点:640℃、熱膨張係数:81×10-7(K-1))のガラスを用いたほかは、実施例3Bと同じ条件にて同様に評価した結果、加熱前後の平面度の変化量はそれぞれ0.7μm、0.6μmであった。よって、加熱前後の変化量で比較すると、ガラス転移点(Tg)が(1)670℃、650℃、(2)600℃、(3)510℃の順に変化量が少なく良好であった。

0110

<第3の実施例>
上述した第1の実施形態と第2の実施形態とでは同一の部材(均熱部125、温度制御部125)を用いてプレス成形時のプレス成形面内の温度を制御することができるため、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせた形で、ガラスブランクを作製することができる。具体的には、実施例1B〜6Bについて、ガラスブランクの離型時のプレス成形面の中央部と周縁部との温度差を測定したところ、4〜6℃の範囲内であり、いずれの場合も10℃以下となった。また、表面うねりも15〜19nmであった。また、加熱前後の平面度の変化量は変わらなかった。つまり、表面うねりも良好で、かつ加熱前後の平面度の変化量も良好なガラスブランクが作製できた。これは、溶融ガラスがプレス成形面に接触した直後には、溶融ガラスの中央部と周縁部で温度差が生ずるものの、接触を開始してから離型時にかけて溶融ガラスの中央部と周縁部において面内の歪みが除去されるように冷却速度が制御され、離型時では両部の温度差が少なくなるように制御されたためである。

実施例

0111

以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、磁気ディスク用ガラスブランク、磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。

0112

1…磁気ディスク用ガラス基板
125…均熱部、温度制御部
126…第2均熱部、第2温度制御部

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