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技術 セメント組成物およびその製造方法

出願人 宇部興産株式会社
発明者 三隅英俊伊藤貴康高橋俊之
出願日 2016年2月8日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-022169
公開日 2016年12月22日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2016-216343
状態 特許登録済
技術分野 セメント、コンクリート、人造石、その養生
主要キーワード 断熱熱量計 活性度指数 断熱温度上昇 モルタル試料 銅からみ 断熱状態 シリカ質混合材 フィルムケース
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月22日)のものです。
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図面 (1)

課題

JIS塩基度低い高炉スラグを多量に含有しながらも、断熱温度上昇量を抑え得、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有セメント組成物の提供。

解決手段

高炉スラグを60〜90質量%含み、前記高炉スラグの化学成分から下記式(1)によって求められる塩基度Bu(7日)が0.99〜1.50であるか、または下記式(2)によって求められる塩基度Bu(28日)が0.79〜1.30であり、Bu(7日)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al2O3)/SiO2−0.46×TiO2−0.27×MnO・・・(1)、Bu(28日)=(CaO+0.42×MgO−0.16×Al2O3)/SiO2−0.60×TiO2−0.14×MnO・・・(2)、SiO2量が34.00〜36.50%であるセメント組成物

概要

背景

セメント産業では、セメントの構成物であるクリンカーの製造時に、多量のCO2を発生する。このクリンカー製造時のCO2は、主にクリンカーの焼成エネルギー由来するものと、クリンカーの原料である石灰石脱炭酸反応に由来するものがある。

セメント製造時のCO2発生を抑制する技術として、従来技術では、特許文献1および非特許文献1に示すように、セメントに対して高炉スラグを多量に混合し、クリンカー含有量を低減したというものがある。これらのセメントに使用されている高炉スラグは、いずれもJIS塩基度((CaO+MgO+Al2O3)/SiO2)が高く(1.85〜1.91)、セメントの強度発現性にとって有利である傾向にある。

概要

JIS塩基度低い高炉スラグを多量に含有しながらも、断熱温度上昇量を抑え得、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有セメント組成物の提供。高炉スラグを60〜90質量%含み、前記高炉スラグの化学成分から下記式(1)によって求められる塩基度Bu(7日)が0.99〜1.50であるか、または下記式(2)によって求められる塩基度Bu(28日)が0.79〜1.30であり、Bu(7日)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al2O3)/SiO2−0.46×TiO2−0.27×MnO・・・(1)、Bu(28日)=(CaO+0.42×MgO−0.16×Al2O3)/SiO2−0.60×TiO2−0.14×MnO・・・(2)、SiO2量が34.00〜36.50%であるセメント組成物。なし

目的

このため、JIS塩基度が低い高炉スラグを使いこなして、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有セメントを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

高炉スラグを60〜90質量%含み、前記高炉スラグの化学成分から下記式(1):Bu(7日)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al2O3)/SiO2−0.46×TiO2−0.27×MnO・・・(1)(式(1)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウム含有率(質量%)であり、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)である。但し、TiO2含有率が0.8質量%以上の場合は、TiO2を0.8質量%として計算する。)によって求められる塩基度Bu(7日)が0.99〜1.50であり、SiO2量が34.00〜36.50%であることを特徴とするセメント組成物

請求項2

高炉スラグを60〜90質量%含み、前記高炉スラグの化学成分から下記式(2):Bu(28日)=(CaO+0.42×MgO−0.16×Al2O3)/SiO2−0.60×TiO2−0.14×MnO・・・(2)(式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)である。但し、TiO2含有率が0.7質量%以上の場合は、TiO2を0.7質量%として計算する。)によって求められる塩基度Bu(28日)が0.79〜1.30であり、SiO2量が34.00〜36.50%であることを特徴とするセメント組成物。

請求項3

前記高炉スラグのAl2O3量が12.00〜15.00%、CaO量が41.00〜43.50%、MgO量が4.00〜7.00%、Fe2O3量が0.15〜1.00%、Na2O量が0.10〜0.80%、K2O量が0.20〜0.80%、TiO2量が0.20〜0.80%、MnO量が0.10〜0.80%である請求項1または2記載のセメント組成物。

請求項4

前記高炉スラグの化学成分から下記式(3):JIS塩基度=(CaO+MgO+Al2O3)/SiO2・・・(3)(式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)である。)で求められる高炉スラグのJIS塩基度が、1.85未満である請求項1〜3のいずれか1項記載のセメント組成物。

請求項5

前記高炉スラグの化学成分から下記式(1):Bu(7日)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al2O3)/SiO2−0.46×TiO2−0.27×MnO・・・(1)(式(1)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)である。但し、TiO2含有率が0.8質量%以上の場合は、TiO2を0.8質量%として計算する。)によって求められる塩基度Bu(7日)が0.99〜1.50であり、SiO2量が34.00〜36.50%である高炉スラグを選別する選別工程と、前記選別された高炉スラグとセメントとを混合しセメント組成物を製造する製造工程とを含む、高炉スラグを60〜90質量%含むセメント組成物の製造方法。

請求項6

前記高炉スラグの化学成分から下記式(2):Bu(28日)=(CaO+0.42×MgO−0.16×Al2O3)/SiO2−0.60×TiO2−0.14×MnO・・・(2)(式(2)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)である。但し、TiO2含有率が0.7質量%以上の場合は、TiO2を0.7質量%として計算する。)によって求められる塩基度Bu(28日)が0.79〜1.30であり、SiO2量が34.00〜36.50%である高炉スラグを選別する選別工程と、前記選別された高炉スラグとセメントとを混合しセメント組成物を製造する製造工程とを含む、高炉スラグを60〜90質量%含むセメント組成物の製造方法。

請求項7

前記高炉スラグのAl2O3量が12.00〜15.00%、CaO量が41.00〜43.50%、MgO量が4.00〜7.00%、Fe2O3量が0.15〜1.00%、Na2O量が0.10〜0.80%、K2O量が0.20〜0.80%、TiO2量が0.20〜0.80%、MnO量が0.10〜0.80%である請求項5または6記載のセメント組成物の製造方法。

請求項8

前記高炉スラグの化学成分から下記式(3):JIS塩基度=(CaO+MgO+Al2O3)/SiO2・・・(3)(式(3)中、CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)である。)で求められる高炉スラグのJIS塩基度が、1.85未満である請求項5〜7のいずれか1項記載のセメント組成物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高炉スラグを多量に含有したセメント組成物およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

セメント産業では、セメントの構成物であるクリンカーの製造時に、多量のCO2を発生する。このクリンカー製造時のCO2は、主にクリンカーの焼成エネルギー由来するものと、クリンカーの原料である石灰石脱炭酸反応に由来するものがある。

0003

セメント製造時のCO2発生を抑制する技術として、従来技術では、特許文献1および非特許文献1に示すように、セメントに対して高炉スラグを多量に混合し、クリンカー含有量を低減したというものがある。これらのセメントに使用されている高炉スラグは、いずれもJIS塩基度((CaO+MgO+Al2O3)/SiO2)が高く(1.85〜1.91)、セメントの強度発現性にとって有利である傾向にある。

0004

特開2010-285302

先行技術

0005

安齋剛史ほか、高炉スラグ高含有セメント水和反応解析、セメント・コンクリート論文集、No.63、pp.22-27(2009)

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、今後、CO2削減の観点から、高炉スラグを利用したセメントの使用量が増加した場合、このようなJIS塩基度が高い高炉スラグを入手できなくなる可能性がある。このため、JIS塩基度が低い高炉スラグを使いこなして、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有セメントを提供する技術は、セメント製造時のCO2削減にとって非常に重要であると考えられる。

0007

一方で、セメント組成物の水和発熱量が増加し、モルタルやコンクリートを断熱状態(外部への熱の逸散がない状態)で養生した場合に、モルタルやコンクリート内部と外部との温度差が大きくなり、モルタルやコンクリートの温度ひび割れ誘因となる場合がある。特に、高炉セメントダムなどのマスコンクリートに使用される場合があるため、構造物に温度ひび割れを発生させないようにするには、高炉セメントの断熱温度上昇量を小さくすることが望ましい。

0008

そこで、本発明はJIS塩基度が低い高炉スラグを多量に含有しながらも、強度発現性に優れ、断熱温度上昇量を抑えたセメント組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、JIS塩基度が低くても、特定の塩基度を満たす高炉スラグを使用することで、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有セメント組成物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0010

すなわち、本発明により、以下が提供される。
[1]高炉スラグを60〜90質量%含み、
前記高炉スラグの化学成分から下記式(1):
Bu(7日)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al2O3)/SiO2
−0.46×TiO2−0.27×MnO・・・(1)
(式(1)中、
CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウム含有率(質量%)であり、
MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、
Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、
SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、
TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、
MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)である。
但し、TiO2含有率が0.8質量%以上の場合は、TiO2を0.8質量%として計算する。)
によって求められる塩基度Bu(7日)が0.99〜1.50であり、SiO2量が34.00〜36.50%であることを特徴とするセメント組成物。

0011

[2]高炉スラグを60〜90質量%含み、
前記高炉スラグの化学成分から下記式(2):
Bu(28日)=(CaO+0.42×MgO−0.16×Al2O3)/SiO2
−0.60×TiO2−0.14×MnO・・・(2)
(式(2)中、
CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、
MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、
Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、
SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、
TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、
MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)である。
但し、TiO2含有率が0.7質量%以上の場合は、TiO2を0.7質量%として計算する。)
によって求められる塩基度Bu(28日)が0.79〜1.30であり、SiO2量が34.00〜36.50%であることを特徴とするセメント組成物。

0012

[3]前記セメント組成物において、高炉スラグのAl2O3量が12.00〜15.00%、CaO量が41.00〜43.50%、MgO量が4.00〜7.00%、Fe2O3量が0.15〜1.00%、Na2O量が0.10〜0.80%、K2O量が0.20〜0.80%、TiO2量が0.20〜0.80%、MnO量が0.10〜0.80%であるセメント組成物。
[4]前記セメント組成物において、高炉スラグの化学成分から下記式(3):
JIS塩基度=(CaO+MgO+Al2O3)/SiO2・・・(3)
(式(3)中、
CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、
MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、
Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、
SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)である。)
で求められる高炉スラグのJIS塩基度が、1.85未満であるセメント組成物。

0013

[5]高炉スラグの化学成分から上記式(1)によって求められる塩基度Bu(7日)が0.99〜1.50であり、SiO2量が34.00〜36.50%である高炉スラグを選別する選別工程と、
前記選別された高炉スラグとセメントとを混合しセメント組成物を製造する製造工程とを含む、高炉スラグを60〜90質量%含むセメント組成物の製造方法。
[6]高炉スラグの化学成分から上記式(2)によって求められる塩基度Bu(28日)が0.79〜1.30であり、SiO2量が34.00〜36.50%である高炉スラグを選別する選別工程と、
前記選別された高炉スラグとセメントとを混合しセメント組成物を製造する製造工程とを含む、高炉スラグを60〜90質量%含むセメント組成物の製造方法。

0014

[7]前記セメント組成物の製造方法において、高炉スラグのAl2O3量が12.00〜15.00%、CaO量が41.00〜43.50%、MgO量が4.00〜7.00%、Fe2O3量が0.15〜1.00%、Na2O量が0.10〜0.80%、K2O量が0.20〜0.80%、TiO2量が0.20〜0.80%、MnO量が0.10〜0.80%であるセメント組成物の製造方法。
[8]前記セメント組成物の製造方法において、高炉スラグの化学成分から上記式(3)で求められる高炉スラグのJIS塩基度が、1.85未満であるセメント組成物の製造方法。

発明の効果

0015

本発明によれば、JIS塩基度が低くても特定の塩基度BuおよびSiO2量を満たす高炉スラグを用いることによって、強度発現性に優れ、断熱温度上昇量が抑制された高炉スラグ高含有セメント組成物およびその製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0016

高炉スラグのJIS塩基度に対するモルタル圧縮強さ(N/mm2)を示した図である。

0017

以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。

0018

<セメント組成物>
本実施形態のセメント組成物は、高炉スラグに加えて、セメントクリンカーと石膏と少量混合物などを含むことができる。

0019

本発明のセメント組成物における高炉スラグの含有量は60〜90質量%であり、好ましくは63〜87質量%であり、より好ましくは65〜85質量%である。高炉スラグ含有量が60質量%未満であれば、CO2削減に対する寄与が小さく、90質量%以上であれば、強度発現性の低下が懸念される。

0020

塩基度Bu(7日)は、下記式(1)により規定される。
Bu(7日)=(CaO+0.43×MgO+0.28×Al2O3)/SiO2
−0.46×TiO2−0.27×MnO・・・(1)
式(1)中、
CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、
MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、
Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、
SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、
TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、
MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)であり、
但し、TiO2含有率が0.8質量%以上の場合は、TiO2を0.8質量%として計算する。
本発明において、上記式(1)で求められる塩基度Bu(7日)は、0.99〜1.50であり、好ましくは1.00〜1.45であり、より好ましくは1.01〜1.40、さらに好ましくは1.02〜1.10である。この範囲であれば、強度発現性に優れ、断熱温度上昇量が抑制された高炉セメントを提供することができる。

0021

塩基度Bu(28日)は、下記式(2)により規定される。
Bu(28日)=(CaO+0.42×MgO−0.16×Al2O3)/SiO2
−0.60×TiO2−0.14×MnO・・・(2)
式(2)中、
CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、
MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、
Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、
SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)であり、
TiO2は高炉スラグ中の酸化チタンの含有率(質量%)であり、
MnOは高炉スラグ中の酸化マンガンの含有率(質量%)であり、
但し、TiO2含有率が0.7質量%以上の場合は、TiO2を0.7質量%として計算する。
本発明において、上記式(2)で求められる塩基度Bu(28日)は、0.79〜1.30であり、好ましくは0.80〜1.00であり、より好ましくは、0.80〜0.90、さらに好ましくは0.80〜0.84である。この範囲であれば、強度発現性に優れ、断熱温度上昇量が抑制された高炉セメントを提供することができる。

0022

本発明において、スラグのSiO2量は34.00〜36.50%であり、好ましくは34.50〜36.20%、より好ましくは 35.00〜36.00%、この範囲であれば強度発現性に優れ、断熱温度上昇量が抑制された高炉セメントを提供することができる。また、さらに好ましくは35.50〜35.80%である。この範囲であれば、さらに断熱温度上昇量が抑制された高炉セメントを提供することができる。

0023

本発明において、スラグのAl2O3量が12.00〜15.00%、好ましくは12.50〜14.40%、より好ましくは12.90〜14.20%、さらに好ましくは13.00〜14.00%、CaO量が41.00〜43.50%、好ましくは41.50〜43.10%、より好ましくは42.00〜43.00%、さらに好ましくは42.10〜42.90%、MgO量が4.00〜7.00%、好ましくは4.30〜6.50%、より好ましくは4.50〜6.00%、さらに好ましくは4.70〜5.50%、Fe2O3量が0.15〜1.00%、好ましくは0.20〜0.80%、より好ましくは0.25〜0.70%、さらに好ましくは0.30〜0.65%、Na2O量が0.10〜0.80%、好ましくは0.15〜0.70%、より好ましくは0.25〜0.65%、さらに好ましくは0.35〜0.60%、K2O量が0.20〜0.80%、好ましくは0.30〜0.75%、より好ましくは0.40〜0.70%、さらに好ましくは0.45〜0.65%、TiO2量が0.20〜0.80%、好ましくは0.30〜0.75%、より好ましくは0.40〜0.70%、さらに好ましくは0.45〜0.65%、MnO量が0.10〜0.80%、好ましくは0.15〜0.70%、より好ましくは0.20〜0.60%、さらに好ましくは0.25〜0.50%である。この範囲であれば、強度発現性に優れ、断熱温度上昇量が抑制された高炉セメントを提供することができる。

0024

高炉スラグの化学成分から下記式(3):
JIS塩基度=(CaO+MgO+Al2O3)/SiO2・・・(3)
(式(3)中、
CaOは高炉スラグ中の酸化カルシウムの含有率(質量%)であり、
MgOは高炉スラグ中の酸化マグネシウムの含有率(質量%)であり、
Al2O3は高炉スラグ中の酸化アルミニウムの含有率(質量%)であり、
SiO2は高炉スラグ中の二酸化ケイ素の含有率(質量%)である。)
で求められる高炉スラグのJIS塩基度は、1.85未満である。この範囲であれば、JIS塩基度が低い高炉スラグの有効利用に貢献することができる。

0025

本発明者らは、高炉スラグのTiO2及びMnOとともに、JIS A6206に定められている塩基度(JIS塩基度=(CaO+MgO+Al2O3)/SiO2)に示される各化学成分のセメントの活性度指数に及ぼす影響を見直すことで、高炉スラグを選別する指標となる塩基度が算出される式を導き出し、新たな塩基度としてBu(7日)およびBu(28日)を規定した(関連出願として、平成27年3月23日出願の特願2015−059996がある。なお、特願2015−059996記載の内容は、本明細書中に参考として援用される)。そして、高炉スラグが特定のBu(7日)またはBu(28日)を満たすことにより、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有セメント組成物を製造できることを見出した。Bu(7日)は、モルタル材齢7日のセメントの活性度指数の指標ともなる。Bu(28日)は、モルタル材齢28日のセメントの活性度指数の指標ともなる。

0026

本発明のセメント組成物に用いるセメントクリンカーは、下記<セメント組成物の製造方法>に記載のようなセメントクリンカーを用いることができる。

0027

本発明のセメント組成物に用いる石膏は、JIS R 9151「セメント用天然せっこう」に規定される品質満足することが望ましい。具体的には二水石膏半水石膏不溶性無水石膏が好適に用いられる。

0028

本発明のセメント組成物に用いる少量混合成分は、JIS R 5211「高炉セメント」に規定される高炉スラグ、JIS R 5212「シリカセメント」に規定されるシリカ質混合材、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」に規定されるフライアッシュ石灰石微粉末が好適に用いられる。

0029

<セメント組成物の製造方法>
次に、本発明の高炉セメント組成物の製造方法について説明する。なお、上記<セメント組成物>における説明と重複する部分については、説明を割愛する。

0030

一態様として、本発明の高炉セメント組成物の製造方法は、高炉スラグの化学成分から上記式(1)を用いて塩基度Bu(7日)が算出される指標算出工程と、前記算出された塩基度Bu(7日)が0.99〜1.50であり、SiO2量が34.00〜36.50%である高炉スラグを選別する選別工程と、前記選別された高炉スラグとセメントとを混合しセメント組成物を製造する製造工程とを含む。この製造方法により、たとえJIS塩基度が低い高炉スラグを含んでいたとしても、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有(セメント組成物中の高炉スラグ含量が60〜90質量%)セメント組成物を製造することができる。また、JIS塩基度が低い高炉スラグの有効利用に貢献することができる。

0031

一態様として、本発明の高炉セメント組成物の製造方法は、高炉スラグの化学成分から上記式(2)を用いて塩基度Bu(28日)が算出される指標算出工程と、前記算出された塩基度Bu(28日)が0.79〜1.30であり、SiO2量が34.00〜36.50%である高炉スラグを選別する選別工程と、前記選別された高炉スラグとセメントとを混合しセメント組成物を製造する製造工程とを含む。この製造方法により、たとえJIS塩基度が低い高炉スラグを含んでいたとしても、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有(セメント組成物中の高炉スラグ含量が60〜90質量%)セメント組成物を製造することができる。また、JIS塩基度が低い高炉スラグの有効利用に貢献することができる。

0032

本発明のセメント組成物の製造工程の実施形態としては、選別した高炉スラグを粉砕した後、セメントを混合して高炉セメントを製造する方法や、選別された高炉スラグとセメントの混合と粉砕とを同時に行い高炉セメントを製造する方法等が挙げられる。セメント組成物製造工程において、セメントと混合する高炉スラグの量を調整することによって、モルタル活性度指数を調節することも可能である。

0033

本発明の高炉セメントの製造方法によって得られる高炉セメントは、ブレーン比表面積が、好ましくは3000〜4800cm2/g、より好ましくは3100〜4700cm2/g、さらに好ましくは3200〜4600cm2/g、特に好ましくは3300〜4500cm2/gである。
高炉セメントのブレーン比表面積は、強度発現性に影響し、本発明の製造方法によって得られる高炉セメントのブレーン比表面積がさらに好ましくは3200〜4600cm2/gとなるように、十分粉砕することによって、活性度指数の良好な高炉セメントを得ることができる。

0034

本発明の高炉セメントの製造方法は、セメントクリンカーを製造する工程と、セメントクリンカーと石膏と高炉スラグ(本発明の高炉スラグを除く)とを混合し、粉砕してセメントを得る工程を含んでいてもよい。セメントを得る工程において使用される高炉スラグは、式(1)により算出された塩基度Bu(7日)又は式(2)により算出された塩基度Bu(28日)を指標として選別された高炉スラグを除く。

0035

セメントクリンカーを製造する工程は、石灰石、硅石、石炭灰粘土、高炉スラグ、建設発生土下水汚泥銅からみ及び焼却灰からなる群より選ばれる原料を混合し、焼成してセメントクリンカーを製造する。

0036

セメントクリンカーは、SP方式(多段サイクロン予熱方式)又はNSP方式(仮焼炉を併設した多段サイクロン予熱方式)等の既存のセメント製造設備を用いて、製造することができる。

0037

本発明の高炉セメントの製造方法として、セメントクリンカーと石膏と高炉スラグを混合する工程において、さらに少量の混合材を添加してもよい。混合材は、JIS R 5211「高炉セメント」に規定される高炉スラグ、JIS R 5212「シリカセメント」に規定されるシリカ質混合材、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」に規定されるフライアッシュ、JIS R 5210「ポルトランドセメント」に規定される石灰石を利用することができる。

0038

本発明のセメントクリンカーと石膏と高炉スラグと少量混合物などを混合する方法としては、特に制限されるものではなく、セメントクリンカーと石膏と高炉スラグとを混合粉砕する方法や、セメントクリンカーと石膏とを混合粉砕後、別粉砕したスラグとを混合する方法等があげられる。

0039

以下に、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明の内容を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、以下において特に断りがない場合は、%は質量%を示す。

0040

1.セメント組成物の製造
原料として、表1に示す化学成分が異なる高炉スラグA〜Fを用いた。表1に、高炉スラグ中の各化学成分の含有率(質量%)を示す。表2に高炉スラグA〜FのJIS塩基度(式(3)から算出)および塩基度Bu(7日)およびBu(28日)(式(1)および式(2)から算出)を示す。これらの高炉スラグは4000±100cm2/gとなるようにボールミルで粉砕し、普通ポルトランドセメントに対し、内割で50質量%または80質量%の割合で混合し、表3に示す実施例1〜4、比較例1および2、ならびに参考例1〜6のセメント組成物を製造した。

0041

2.強度発現性の評価
これらの作製したセメントを用いて、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に準拠して、モルタル供試体の作製および圧縮強さ材齢7日、28日)の測定を行い、モルタル圧縮強さをもって強度発現性を評価した。結果を表3に示す。

0042

3.断熱温度上昇量の評価
高炉スラグを80%添加したセメントを用いて、断熱温度上昇量を測定した。測定方法は、少量の試料で測定が可能な断熱熱量計を用いてモルタル試料断熱温度上昇特性を評価した。試料容器であるフィルムケースにモルタル試料を投入し、20℃に調節した断熱熱量計内に設置し測定を開始した。測定は4日間行い、得られた断熱温度上昇曲線より終局の断熱温度上昇量(Q∞)を求めた。なお、断熱温度上昇速度は、測定結果をコンクリート工学協会で提案されている断熱温度上昇回帰式(4)に当てはめ評価した。
Q(t)=Q∞(1-exp(-γ(t-t0))) (4)
[式中、Q(t):断熱温度上昇量(℃),Q∞:終局の断熱温度上昇量(℃),t:材齢(d),t0:発熱開始材齢(d),γ:温度上昇速度に関する定数である。]

0043

0044

0045

4.結果
表3および図1の結果より、いずれの高炉スラグを使用した場合でも、高炉スラグの含有率を50質量%から80質量%に増加することで、強度発現性は低下したが、本発明の塩基度Bu(7日)またはBu(28日)を満たす高炉スラグを用いることにより、高炉スラグ含有率増加による強度発現性の低下は最小限にとどまった。JIS塩基度が低くても、十分な強度発現性を示すセメント組成物が得られることがわかる。一方、本発明の塩基度Bu(7日)またはBu(28日)を満たさない高炉スラグを多量に(含有率80質量%)用いた比較例1および2のセメント組成物は、強度発現性が大きく低下した。この結果から、新たな塩基度としてBuを用い、特定の塩基度Buを満たす高炉スラグを用いることで、強度発現性に優れる高炉スラグ高含有セメント組成物を製造することが可能となる。
一方、表3より、高炉スラグ中のSiO2量が十分に確保されていれば、断熱温度上昇量は低く、特に、SiO2量が多い領域では、断熱温度上昇量の抑制効果が大きいことがわかった。また、表4に単位強度あたりの断熱温度上昇量を示すが、本発明の塩基度BuおよびSiO2量を満たせば、低い値となった。
上より、新たな塩基度としてBuを用い、特定の塩基度BuおよびSiO2量を満たす高炉スラグを用いることで、強度発現性に優れ、断熱温度上昇量が抑制されたセメント組成物を製造できることがわかった。

0046

実施例

0047

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