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技術 III族窒化物単結晶の製造方法

出願人 株式会社トクヤマ
発明者 福田真行永島徹
出願日 2015年12月3日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-236294
公開日 2016年12月22日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-216342
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理 LED素子(パッケージ以外) CVD 気相成長(金属層を除く)
主要キーワード 押し出しガス 複数ガス キャリアガス供給量 バリアガス 外チャンバ 紫外光透過性 種ノズル 電流リークパス
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図面 (4)

課題

III族原料ガス窒素源ガスとを反応させることにより基板上に結晶成長させる製造方法において、明点の原因である結晶欠陥を低減できる製造方法を提供し、高品質III族窒化物単結晶を製造する。

解決手段

III族原料ガスと窒素源ガスとを反応させることによりベース基板上にIII族窒化物単結晶を成長させるIII族窒化物単結晶製造方法であって、ハロゲン系ガス存在下で、III族原料ガスと窒素源ガスの反応を開始させることを特徴とするIII族窒化物単結晶製造方法である。

概要

背景

窒化アルミニウム窒化ガリウム窒化インジウムといったIII族窒化物半導体結晶広範囲バンドギャップエネルギーの値を有しており、それらのバンドギャップエネルギーは、それぞれ6.2eV程度、3.4eV程度、0.7eV程度である。これらのIII族窒化物半導体は任意の組成混晶半導体をつくることが可能であり、その混晶組成によって、上記のバンドギャップの間の値を取ることが可能である。

したがって、III族窒化物半導体結晶を用いることにより、原理的には赤外光から紫外光までの広範囲な発光素子を作ることが可能となる。特に、近年ではアルミニウム系III族窒化物半導体(主に窒化アルミニウムガリウム混晶)を用いた発光素子の開発が精力的に進められている。アルミニウム系III族窒化物半導体を用いることにより紫外領域の短波長発光が可能となり、白色光源用の紫外発光ダイオード殺菌用の紫外発光ダイオード、高密度光ディスクメモリの読み書きに利用できるレーザー通信用レーザー等の発光光源が製造可能になる。

III族窒化物半導体(例えばアルミニウム系III族窒化物半導体)を用いた発光素子は、従来の半導体発光素子と同様に基板上に厚さが数ミクロン程度の半導体単結晶薄膜(具体的にはn型半導体層、発光層p型半導体層となる薄膜)を順次積層することにより形成可能である。このような半導体単結晶の薄膜の形成は、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属気相成長MOCVD:Metalorganic Chemical Vapor Deposition)法等の結晶成長方法を用いて行うことが可能であり、III族窒化物半導体発光素子についてもこのような方法を採用して発光素子として好適な積層構造を形成することが試みられている。

現在、III族窒化物半導体発光素子の製造にあたっては、基板としての結晶品質紫外光透過性、量産性やコストの観点からサファイア基板が一般的に採用されている。しかし、サファイア基板上にIII族窒化物成長させた場合、サファイア基板と半導体積層膜を形成するIII族窒化物(例えば窒化アルミニウムガリウム等)との間の格子定数熱膨張係数等の違いに起因して、結晶欠陥ミスフィット転位)やクラック等が生じ、素子発光性能を低下させる原因になる。

これらの問題を解決するためには、半導体積層膜の形成にあたり、格子定数が半導体積層膜の格子定数に近く、および熱膨張係数が半導体積層膜の熱膨張係数に近い基板を採用することが望ましい。そのため、III族窒化物半導体薄膜を形成する基板としては、III族窒化物単結晶基板が最も適しているといえる。例えば、アルミニウム系III族窒化物半導体薄膜を形成する基板としては、窒化アルミニウム単結晶基板や窒化アルミニウムガリウム単結晶基板が最適である。

III族窒化物単結晶を基板として用いるには、機械的強度の観点から該単結晶が或る程度(例えば10μm以上。)の厚さを有することが好ましい。MOCVD法MBE法に比べて結晶成長速度が速いため、III族窒化物単結晶基板の製造に適しているといえる。また、MOCVD法よりもさらに成膜速度の速いIII族窒化物単結晶の成長方法として、ハイドライド気相エピタキシーHVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法が知られている(特許文献1、2参照)。HVPE法は、MBE法やMOCVD法と比較すると、膜厚を精密に制御することには適していないが、結晶性の良好な単結晶を速い成膜速度で成長させることが可能であるため、単結晶基板の量産に特に適しているといえる。

通常、MOCVD法やHVPE法によるIII族窒化物単結晶の成長は、III族原料ガスと、窒素源ガスとを反応器中に供給し、両者のガスを加熱された基板上で反応させることにより行われる。

HVPE法では、結晶性が良好な単結晶を得るために、様々な検討が行われている。中でも、アルミニウム系III族窒化物単結晶の製造方法においては、原料ガスとして三ハロゲン化アルミニウムガスを使用する。この際、該原料ガス中に結晶品質を低下させる要因となる一ハロゲン化アルミニウムを含む場合があり、HVPE法においては、この一ハロゲン化アルミニウムガスを低減する方法が検討されている。例えば、アルミニウム塩化水素ガスとの反応温度を特定の温度範囲とすることにより、一ハロゲン化アルミニウムの発生を抑制する製造方法が記載されている(特許文献3、4参照)。また、三ハロゲン化アルミニウムガスに含まれる一ハロゲン化アルミニウムガスを金属アルミニウムとして析出させて取り除く方法も知られている(特許文献5参照)。これら方法によれば、効率よく一ハロゲン化アルミニウムガスを低減できるため、アルミニウム系III族窒化物単結晶の結晶品質を向上できる。

しかしながら、近年より一層、高品質な単結晶が望まれており、更なる検討がなされている。例えば、原料ガスであるハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを塩化水素ガスのようなハロゲン系ガス存在下で反応させることにより、一ハロゲン化アルミニウムガスの平衡分圧を格段に下げて単結晶を製造する方法が知られている(特許文献6参照)。また、反応器内のガスの流れを調整することにより、気相反応で生じた粒子付着粒子ノマルスキー微分干渉顕微鏡(100〜500倍で観察)で観察される粒子)が結晶成長面に付着するのを防止し、高品質な単結晶を製造する方法が知られている(特許文献7参照)。以上のような特許文献6、7に記載された方法と、さらに従来の方法とを組み合わせることにより、より高品質な単結晶を製造することができる。

概要

III族原料ガスと窒素源ガスとを反応させることにより基板上に結晶を成長させる製造方法において、明点の原因である結晶欠陥を低減できる製造方法を提供し、高品質なIII族窒化物単結晶を製造する。 III族原料ガスと窒素源ガスとを反応させることによりベース基板上にIII族窒化物単結晶を成長させるIII族窒化物単結晶製造方法であって、ハロゲン系ガス存在下で、III族原料ガスと窒素源ガスの反応を開始させることを特徴とするIII族窒化物単結晶製造方法である。

目的

本発明の目的は、反射X線トポグラフにより明点として観察される結晶欠陥を確実に低減できるIII族窒化物単結晶を製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

ベース基板を備えた反応器内において、該ベース基板上にIII族原料ガス窒素源ガスとを供給して反応させることにより、該ベース基板上にIII族窒化物結晶を製造する方法であって、該III族原料ガスを供給する前に、ハロゲン化水素ガス、及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガスを該ベース基板上に供給することを特徴とするIII族窒化物単結晶の製造方法。

請求項2

前記窒素源ガスをベース基板上に供給した後、前記ハロゲン系ガスをベース基板上に供給し、次いで、III族原料ガスをベース基板上に供給することを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。

請求項3

前記ハロゲン系ガスを連続して供給し、かつ、前記III族原料ガスを供給する際、ハロゲン系ガスの標準状態における供給量をVH(sccm)とし、III族原料ガスの標準状態における供給量をVIII(sccm)としたとき、下記式(1)を満足するように、ハロゲン系ガス、及びIII族原料ガスを供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。0.5≦VH/(VH+VIII)<1.0(1)

請求項4

III族原料ガスが三塩化アルミニウムガスを含むガスであり、窒素源ガスがアンモニアガスであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。

請求項5

前記III族窒化物単結晶が窒化アルミニウム単結晶であることを特徴とする請求項4に記載のIII族窒化物単結晶の製造方法。

請求項6

同じ反応器を使用して、請求項1〜5の何れかに記載の方法を繰り返して行うことにより、複数のIII族窒化物単結晶を製造する方法。

技術分野

0001

本発明は、III族窒化物結晶新規な製造方法に関する。詳しくは、III族原料ガスを用いた気相成長法によるIII族窒化物単結晶の製造方法において、III族原料ガスを供給する前に、ハロゲン化水素ガス、及び/又はハロゲンガスを供給することを特徴とする新規な製造方法に関する。

背景技術

0002

窒化アルミニウム窒化ガリウム窒化インジウムといったIII族窒化物半導体結晶広範囲バンドギャップエネルギーの値を有しており、それらのバンドギャップエネルギーは、それぞれ6.2eV程度、3.4eV程度、0.7eV程度である。これらのIII族窒化物半導体は任意の組成混晶半導体をつくることが可能であり、その混晶組成によって、上記のバンドギャップの間の値を取ることが可能である。

0003

したがって、III族窒化物半導体結晶を用いることにより、原理的には赤外光から紫外光までの広範囲な発光素子を作ることが可能となる。特に、近年ではアルミニウム系III族窒化物半導体(主に窒化アルミニウムガリウム混晶)を用いた発光素子の開発が精力的に進められている。アルミニウム系III族窒化物半導体を用いることにより紫外領域の短波長発光が可能となり、白色光源用の紫外発光ダイオード殺菌用の紫外発光ダイオード、高密度光ディスクメモリの読み書きに利用できるレーザー通信用レーザー等の発光光源が製造可能になる。

0004

III族窒化物半導体(例えばアルミニウム系III族窒化物半導体)を用いた発光素子は、従来の半導体発光素子と同様に基板上に厚さが数ミクロン程度の半導体単結晶薄膜(具体的にはn型半導体層、発光層p型半導体層となる薄膜)を順次積層することにより形成可能である。このような半導体単結晶の薄膜の形成は、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属気相成長MOCVD:Metalorganic Chemical Vapor Deposition)法等の結晶成長方法を用いて行うことが可能であり、III族窒化物半導体発光素子についてもこのような方法を採用して発光素子として好適な積層構造を形成することが試みられている。

0005

現在、III族窒化物半導体発光素子の製造にあたっては、基板としての結晶品質紫外光透過性、量産性やコストの観点からサファイア基板が一般的に採用されている。しかし、サファイア基板上にIII族窒化物を成長させた場合、サファイア基板と半導体積層膜を形成するIII族窒化物(例えば窒化アルミニウムガリウム等)との間の格子定数熱膨張係数等の違いに起因して、結晶欠陥ミスフィット転位)やクラック等が生じ、素子発光性能を低下させる原因になる。

0006

これらの問題を解決するためには、半導体積層膜の形成にあたり、格子定数が半導体積層膜の格子定数に近く、および熱膨張係数が半導体積層膜の熱膨張係数に近い基板を採用することが望ましい。そのため、III族窒化物半導体薄膜を形成する基板としては、III族窒化物単結晶基板が最も適しているといえる。例えば、アルミニウム系III族窒化物半導体薄膜を形成する基板としては、窒化アルミニウム単結晶基板や窒化アルミニウムガリウム単結晶基板が最適である。

0007

III族窒化物単結晶を基板として用いるには、機械的強度の観点から該単結晶が或る程度(例えば10μm以上。)の厚さを有することが好ましい。MOCVD法MBE法に比べて結晶成長速度が速いため、III族窒化物単結晶基板の製造に適しているといえる。また、MOCVD法よりもさらに成膜速度の速いIII族窒化物単結晶の成長方法として、ハイドライド気相エピタキシーHVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法が知られている(特許文献1、2参照)。HVPE法は、MBE法やMOCVD法と比較すると、膜厚を精密に制御することには適していないが、結晶性の良好な単結晶を速い成膜速度で成長させることが可能であるため、単結晶基板の量産に特に適しているといえる。

0008

通常、MOCVD法やHVPE法によるIII族窒化物単結晶の成長は、III族原料ガスと、窒素源ガスとを反応器中に供給し、両者のガスを加熱された基板上で反応させることにより行われる。

0009

HVPE法では、結晶性が良好な単結晶を得るために、様々な検討が行われている。中でも、アルミニウム系III族窒化物単結晶の製造方法においては、原料ガスとして三ハロゲン化アルミニウムガスを使用する。この際、該原料ガス中に結晶品質を低下させる要因となる一ハロゲン化アルミニウムを含む場合があり、HVPE法においては、この一ハロゲン化アルミニウムガスを低減する方法が検討されている。例えば、アルミニウム塩化水素ガスとの反応温度を特定の温度範囲とすることにより、一ハロゲン化アルミニウムの発生を抑制する製造方法が記載されている(特許文献3、4参照)。また、三ハロゲン化アルミニウムガスに含まれる一ハロゲン化アルミニウムガスを金属アルミニウムとして析出させて取り除く方法も知られている(特許文献5参照)。これら方法によれば、効率よく一ハロゲン化アルミニウムガスを低減できるため、アルミニウム系III族窒化物単結晶の結晶品質を向上できる。

0010

しかしながら、近年より一層、高品質な単結晶が望まれており、更なる検討がなされている。例えば、原料ガスであるハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを塩化水素ガスのようなハロゲン系ガス存在下で反応させることにより、一ハロゲン化アルミニウムガスの平衡分圧を格段に下げて単結晶を製造する方法が知られている(特許文献6参照)。また、反応器内のガスの流れを調整することにより、気相反応で生じた粒子付着粒子ノマルスキー微分干渉顕微鏡(100〜500倍で観察)で観察される粒子)が結晶成長面に付着するのを防止し、高品質な単結晶を製造する方法が知られている(特許文献7参照)。以上のような特許文献6、7に記載された方法と、さらに従来の方法とを組み合わせることにより、より高品質な単結晶を製造することができる。

先行技術

0011

特開2006−114845号公報
特開2006−073578号公報
特開2003−303774号公報
特開2012−166963号公報
国際公開WO2012/081670号パンフレット
特開2015/017030号公報
国際公開WO2014/031119号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、本発明者等は、上記方法(特許文献6、7に記載された方法と従来の一ハロゲン化アルミニウムガスを低減させる方法とを組み合わせた方法)を採用した場合であっても、例えば、特許文献7に記載された整流隔壁を使用した場合であっても、微細な結晶欠陥が窒化アルミニウム単結晶に存在することを見つけ出した。つまり、整流隔壁を用いた場合には、ノマルスキー微分干渉顕微鏡(100〜500倍で観察)で観察される付着粒子の数を低減することができるが、反射X線トポグラフにより評価すると、結晶欠陥と考えら得る明点が観察されることが分かった。この明点で観察される結晶欠陥は、従来技術の一ハロゲン化アルミニウムガスを低減される方法を用いた場合、または、従来技術を併用した場合においても、観察される場合があった。
MOCVD法、及びHVPE法等の気相成長法によりIII族窒化物単結晶を製造する場合には、通常、バッチ方式(反応器内で単結晶成長用基板ベース基板)上にIII族窒化物単結晶を製造した後、該単結晶を取出し、その後、別のベース基板を反応器内に設置し、該ベース基板上にIII族窒化物単結晶を再度製造する方法)で行われている。本発明者等の検討によれば、このようなバッチ方式で単結晶を繰り返し製造する場合、従来技術では、明点として観察される結晶欠陥が多い単結晶が頻繁に製造される場合があり、特に、バッチ方式で繰り返し製造する場合には改善の余地があった。

0013

したがって、本発明の目的は、反射X線トポグラフにより明点として観察される結晶欠陥を確実に低減できるIII族窒化物単結晶を製造する方法を提供することにあり、特に、バッチ方式で繰り返し製造する際に、各単結晶において該結晶欠陥が低減できるIII族窒化物単結晶の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。先ず、この明点について詳細に述べると、反射X線トポグラフにより窒化アルミニウム単結晶(AlN単結晶)基板の、例えば(114)面からの回折像観測した時にみられる結晶欠陥に相当するものであり、(114)面を観測した場合には欠陥部分回折が強まった結果として明点として観測されるものである。測定する回折面を変えた場合には、同欠陥個所暗点として映し出される場合もある。明点は、結晶欠陥と考えられ、LEDや電子デバイス歩留低下原因電流リークパス)になるため、極力少ない事が望ましいと考える。

0015

次に、この明点について、どのようなメカニズムでこの結晶欠陥が発生するのかを考察した。結晶性が良い単結晶を得ることができる特許文献6を参照し、塩化水素ガス存在下で結晶成長行い、単結晶成長時のどの段階で、明点として観察される結晶欠陥が生じているかを確認した。その結果、成長開始直後に限定される訳ではないが、成長開始直後に発生した明点の影響が最も大きいことが分かった。

0016

そのため、本発明者等は、単結晶の成長の初期段階から確実に一ハロゲン化アルミニウムを低減できる方法を検討した結果、ベース基板上にIII族原料ガスを供給する前に、ハロゲン化水素ガス、及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガスを供給する方法を採用することにより、明点の原因となる結晶欠陥が減少し、しかも繰り返し製造を行う際も明点の個数バラツキを小さくすることが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。

0017

即ち、本発明は、ベース基板を備えた反応器内において、該ベース基板上にIII族原料ガスと窒素源ガスとを供給して反応させることにより、該ベース基板上でIII族窒化物単結晶を製造する方法であって、該III族原料ガスを供給する前に、ハロゲン化水素ガス、及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガスを該ベース基板上に供給することを特徴とするIII族窒化物単結晶の製造方法である。

0018

本発明においては、前記窒素源ガスをベース基板上に供給した後、前記ハロゲン系ガスをベース基板上に供給し、次いで、III族原料ガスをベース基板上に供給することが好ましい。窒素源ガスを先に供給することにより、ベース基板の結晶成長面の分解を防ぐことができ、高品質なIII族窒化物単結晶を製造できる。

0019

また、本発明においては、前記ハロゲン系ガスを連続して供給し、かつ、前記III族原料ガスを供給する際、ハロゲン系ガスの標準状態における供給量をVH(sccm)とし、III族原料ガスの標準状態における供給量をVIII(sccm)としたとき、下記式(1)を満足するように、ハロゲン系ガス、及びIII族原料ガスを供給することが好ましい。
0.5 ≦ VH / (VH + VIII)< 1.0 (1)
前記ハロゲン系ガスは、III族原料ガスを供給する前から連続してベース基板上に供給しておき、前記III族原料ガスを供給する際、ハロゲン系ガスの供給量が式(1)を満足することにより、最終的に得られるIII族窒化物単結晶の結晶欠陥(例えば窒化アルミニウム単結晶の場合には、(114)面の反射X線トポグラフ像に存在する明点の数。)をより低減できる。なお、本発明において、ハロゲン系ガス、III族原料ガス、及び窒素源ガス等の気体における「標準状態」とは、温度0℃、圧力1atmでの状態を意味する。

0020

本発明は、III族原料ガスが三塩化アルミニウムガスを含むガスであり、窒素源ガスがアンモニアガスである、すなわち、制御が難しく、成長速度が速く、反応性が高い原料を使用するHVPE法によるアルミニウム系III族窒化物単結晶、特に、窒化アルミニウム単結晶を製造する場合に適している。

0021

さらに、本発明は、同じ反応器を使用して繰り返してIII族窒化物単結晶を製造する場合に、明点の数(微細な結晶欠陥の数)にバラツキが少ない、品質の安定したIII族窒化物単結晶を繰り返し製造できる。

発明の効果

0022

本発明の方法によれば、簡易な手段によって、成長開始直後の明点として観察される結晶欠陥を確実に減少させることができる。そして、繰り返しIII族窒化物単結晶を製造する際に、それら単結晶の明点を低減することができ、品質の一定なIII族窒化物単結晶を製造できる。その結果、紫外領域の透過性に優れた高品質のIII族窒化物単結晶を繰り返し提供することができる。

0023

さらには、得られたIII族窒化物単結晶上に発光素子層を形成したウェハを製造した後、該ウェハを切断して発光ダイオードとした際、該発光ダイオードの歩留まりを向上することができる。

図面の簡単な説明

0024

本発明の実施に使用できる気相成長装置の一例を模式的に説明する図である。
反射X線トポグラフ測定で、明点が観察された像である。
反射X線トポグラフ測定で、明点が観察されなかった像である。

0025

本明細書において、数値A及びBについて「A〜B」は、特に別途規定されない限り、「A以上B以下」を意味する。該表記において数値Aの単位を省略する場合には、数値Bに付された単位が数値Aの単位として適用されるものとする。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。

0026

本発明は、ベース基板を備えた反応器において、III族原料ガスと窒素源ガスとを該ベース基板上に供給することにより、該ベース基板上でIII族窒化物単結晶を製造する方法である。そして、該III族原料ガスを供給する前に、ハロゲン化水素ガス、及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガスをベース基板上に供給することを特徴とする。

0027

本発明においては、ハロゲン系ガスを結晶成長の前から供給する以外は、公知の方法を採用することができる。以下、順を追って説明する。

0028

キャリアガス
本発明において、III族原料ガス、及び窒素源ガスの原料ガスを反応器内のベース基板上へ供給するには、反応器内にキャリアガスを供給して該原料ガスの流れを形成することが好ましい。キャリアガスとしては、水素ガス及び/又は各種の不活性ガスを用いることができる。キャリアガスは1種類のガスを使用することもできるし、2種類以上のガスを混合して使用することもできる。中でも、III族窒化物単結晶の製造に悪影響を与えないという点で、キャリアガスには、水素ガス、及び窒素ガスから選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。キャリアガス供給量は、反応器の容積に応じて適宜決定することができるが、一般的には例えば50〜50000sccmであることが好ましく、100〜10000sccmであることがより好ましい。sccmとは1分あたりの流量を標準状態(0℃、1atm)における体積(cc)に換算した値を意味する質量流量の単位である。また、あらかじめ精製器を用いて酸素水蒸気一酸化炭素二酸化炭素等の不純ガス成分を除去しておくことが好ましい。

0029

<III族原料ガス>
本発明において、III族原料ガスは、特に制限されるものではなく、MOCVD法、HVPE法によりIII族窒化物単結晶を製造する際に使用される、公知の原料ガスを使用すればよい。その中でも、本発明の効果が顕著となるのは、アルミニウムを含むIII族原料ガスを用いた場合である。例えば、HVPE法の場合、塩化アルミニウムガスヨウ化アルミニウムガス等のハロゲン化アルミニウムガスが用いられる。また、MOCVD法の場合、トリメチルアルミニウムガストリエチルアルミニウムガス等の有機金属ガスを用いる。

0030

これらの中でも、ハロゲン化アルミニウムガス(主に、三ハロゲン化アルミニウムガスを含むガスであり、最も好ましくは、三塩化アルミニウムガスを含むガスである)は、反応性が高く、高い成長速度を得ることができるため、本発明で使用する原料ガスに好適である(つまり、本発明は、反応性が高く、高い成長速度を得ることができ、その制御が難しいハロゲン化アルミニウムガスを使用したHVPE法に適している。)。ハロゲン化アルミニウムガスは、固体ハロゲン化アルミニウム気化させて供給してもよく、金属アルミニウムを塩化水素ガスや塩素ガス等の原料生成用ハロゲン系ガスと反応させることによりハロゲン化アルミニウムガスを得てもよい。金属アルミニウムからハロゲン化アルミニウムガスを製造する場合には、ハロゲン化アルミニウムガスの原料となるアルミニウムとしては、純度が99.99%以上の固体を使用することが好ましい。当然のことながら、最も好ましいアルミニウムの純度は100%である。なお、アルミニウムと原料生成用ハロゲン系ガスとの接触温度によっては液状のアルミニウムを使用することもできるが、原料生成用ハロゲン系ガスとの接触効率を考慮すると、固体のアルミニウムを使用することが好ましい。固体のアルミニウムを使用する場合、その寸法及び形状は特に制限されるものではないが、実際に使用する装置において、アルミニウムと原料生成用ハロゲン系ガスとの接触効率、ハロゲン系ガスの流通のしやすさ等を考慮すると、例えば直径0.1〜10mmであって長さ0.1〜10mmのペレット形状のものを好適に使用できる。

0031

また、アルミニウムを含む有機金属ガスと原料生成用ハロゲン系ガスとの反応を利用してハロゲン化アルミニウムガスを得てもよい。

0032

以上のようなIII族原料ガスは、キャリアガスと共にベース基板上に供給することが好ましい。III族原料ガスをキャリアガスで希釈された状態で供給する場合には、III族原料ガスの濃度が、例えば0.0001〜10体積%とすればよい。III族原料ガスの供給量は、例えば0.005〜500sccmとすることができる。なお、このIII族原料ガスは、必ず、下記のハロゲン系ガスを供給した後に、ベース基板上に供給しなければならない。

0033

<窒素源ガス>
本発明においてはIII族窒化物単結晶を得るために、ベース基板上に窒素源ガスを供給する。当該窒素源ガスとしては窒素を含有する反応性ガスが採用されるが、コストと取り扱いやすさの点でアンモニアガスを使用することが好ましい。

0034

この窒素源ガスは、通常、上記キャリアガスに適宜希釈して、ベース基板上へ供給される。キャリアガスと共にベース基板上へ供給する場合は、装置の大きさ等により、窒素源ガスの供給量、キャリアガスの供給量を決定すればよい。III族窒化物単結晶の製造のし易さ等を考慮すると、キャリアガスの供給量は50〜10000sccmの範囲とすることが好ましく、さらに、100〜5000sccmの範囲とすることが好ましい。窒素源ガスの濃度は、該キャリアガスに対して、0.0000001体積%以上10体積%以下の範囲から実用的な濃度を選択すればよい。また、窒素源ガスの供給量は0.01〜1000sccmの範囲とすることができる。この窒素源ガスをベース基板上に供給する順番は、特に制限されるものではないが、ハロゲン系ガス、及びIII族原料ガスが供給される前にベース基板上に供給することが好ましい。

0035

<ハロゲン系ガス>
本発明においては、ハロゲン化水素ガス及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガスをIII族原料ガスが供給される前にベース基板上に供給する。つまり、III族原料ガスと窒素源ガスとがベース基板上に供給されて両者が反応する前に、必ず、前記ハロゲン系ガスをベース基板上に供給する。

0036

ハロゲンガスとしては塩素ガス、臭素ガスが挙げられる。また、ハロゲン化水素ガスとしては塩化水素ガス、臭化水素ガス等が挙げられる。中でも、ガス配管に対する腐食性の低さ、取り扱いやすさ及び経済性を考慮すると塩化水素ガスを使用することが好ましい。

0037

<III族原料ガス供給前のハロゲン系ガスの供給量>
本発明においては、III族原料ガスがベース基板上に供給される前に、前記ハロゲン系ガスをベース基板上に供給する。前記ハロゲン系ガスがベース基板上に供給されるまでの時間は、ハロゲン系ガスが供給されるノズルの排出口部分(図1の装置100においては窒素源ガス吹き出し口33又はIII族原料ガス吹き出し口25)からベース基板へ到達するまでの反応器内の体積(cm3;図1の装置100においては反応域内先行供給ガス計算範囲36の体積)をハロゲン系ガスの供給流量(cm3/分:又はハロゲン系ガスが例えばキャリアガス等の他のガスと同時に供給される場合には、該他のガスとハロゲン系ガスとの合計の供給流量)で除して求めることができる。また、ハロゲン系ガスの導入を開始してからハロゲン系ガスがノズルの吹き出し口に到達するまでの時間は、ハロゲン系ガスが導入されるノズルの導入口から吹き出し口に至るまでのハロゲン系ガスの移動経路を構成する配管内の総容積をハロゲン系ガスの供給流量(又は、ハロゲン系ガスと例えばキャリアガス等の他のガスとが同一の配管に同時に流通される場合には、該他のガスとハロゲン系ガスとの合計の供給流量)で除して求めることができる。本発明おいては、ハロゲン系ガスを反応器内に供給した後、この方法で算出した時間以後にIII族原料ガスを供給することにより、確実にIII族原料ガスを供給する前にハロゲン系ガスをベース基板上に供給できる。

0038

前記ハロゲン系ガスの標準状態の供給量(III族原料ガスが供給されるまでの供給量(sccm);以下、VH0とする)は、特に制限されるものではなく、装置の大きさ等によりその絶対量を決定することができる。ただし、成長開始直後のガス流れの変化を小さくし、安定した品質のIII族窒化物単結晶を製造する観点からは、ハロゲン系ガスは、III族原料ガスの供給が開始される前だけでなく、III族原料ガスの供給が開始された後も連続して供給することが好ましく、III族原料ガスの供給が開始されてからも供給量(絶対量)を変化させないことが好ましい。すなわち、III族原料ガスの供給が開始された後のハロゲン系ガスの標準状態換算の供給量をVH(sccm)とした場合、VH0=VHであることが好ましい。なお、VH0及びVHは、供給される全ハロゲン系ガスの合計量であるものとする。ガス流れの変化を小さくすることにより、繰り返し複数のIII族窒化物単結晶を製造する際に、同じガス雰囲気再現が容易になるので、製造される複数のIII族窒化物単結晶の品質のばらつきを低減することが容易になる。同様に、窒素源ガスをIII族原料ガスに先行して供給する場合には、窒素源ガスの供給量(絶対量)は、III族原料ガスの開始前後で変化させないことが好ましい。

0039

<III族原料ガス供給後のハロゲン系ガスの供給量>
III族原料ガスを供給する際のハロゲン系ガスの供給量は、特に制限されるものではない。ただし、最終的に得られるIII族窒化物単結晶の結晶品質を高める観点からは、以下の関係式(1)を満足するように調整することが好ましい。具体的には、ハロゲン系ガスの標準状態における供給量をVH(sccm)とし、III族原料ガスの標準状態における供給量をVIII(sccm)とした場合、ハロゲン系ガスの分率(Hepi=VH/(VH + VIII))が、
0.5 ≦ VH / (VH + VIII)< 1.0 (1)
を満足することが好ましい。

0040

ハロゲン系ガスの分率(Hepi)が式(1)を満足するようにハロゲン系ガスを供給することにより、III族元素一ハロゲン化物ガス(例えば一ハロゲン化アルミニウムガス。)の平衡分圧を格段に下げることができるため、より高品質な単結晶(例えば窒化アルミニウム単結晶の場合には、(114)面の反射X線トポグラフ像に存在する明点の数が低減された単結晶。)を製造することができる。明点の数と成長速度等の工業的な生産を考慮すると、ハロゲン系ガスの分率(Hepi)は、0.55以上1.0未満とすることがより好ましく、0.6以上1.0未満とすることがさらに好ましい。

0041

本発明においては、ハロゲン系ガスは連続してベース基板上に供給することが好ましい。III族原料ガスを供給する際にハロゲン系ガスを拒窮する方法は特に制限されるものではない。例えば、ハロゲン系ガスの供給ラインを反応器に設けて、そこから供給することができる。

0042

III族原料ガスを金属アルミニウムや有機金属ガスと原料生成用ハロゲン系ガスと反応により得る場合には、金属アルミニウムや有機金属ガスと原料生成用ハロゲン系ガスとの反応を、意図的に未反応のガスが残留するように反応率を制御することにより、III族原料ガスとハロゲン系ガスとの混合ガスを生成して、該混合ガスを反応域10に供給することも可能である。

0043

また、窒素源ガスの供給ラインにハロゲン系ガスを合流させる流路を設けて窒素源ガスとハロゲン系ガスの混合ガスを得た後にベース基板に供給することもできる。この場合には、窒素源ガスとハロゲン系ガスの反応によりハロゲン化窒素化合物を生成する場合があるため、ガス温度はハロゲン化窒素化合物が析出しない温度以上に加熱することが好ましい。例えば、窒素源ガスにアンモニアガス、ハロゲン系ガスに塩化水素を用いる場合には、塩化アンモニウムが析出する場合があるため、少なくとも300℃以上、より好ましくは塩化アンモニウムの分解温度以上、さらに好ましくは350℃以上に加熱する。なお、加熱温度の上限値は特に制限されるものではないが、好ましくは1200℃である。

0044

また、析出を起こりにくくするために、窒素ガスや水素ガスや希ガス等の公知のキャリアガスで前記ガスを希釈しながら供給することも可能である。

0045

<ベース基板>
本発明において、III族窒化物単結晶をその上に成長させるベース基板は、特に制限されるものではなく、公知の基板を使用することができる。具体的には、たとえば、サファイアシリコンカーバイド、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムガリウム、ホウ化ジルコニウムホウ化チタニウムなどが用いられる。また、ベース基板の厚みも、特に制限されるものではなく、100〜2000μmとすることができる。また、結晶の面方位に関しても、+c面、−c面、m面、a面、r面等、特に制限なく使用することができる。

0046

<その他の製造条件
以上のIII族原料ガス、窒素源ガス、ハロゲン系ガス、ベース基板、及びその供給条件等を採用することにより、明点の少ないIII族窒化物単結晶を製造できる。次に、上記で説明した以外の製造条件について説明する。

0047

III族窒化物単結晶をベース基板上に成長させる前には、公知の方法でサーマルクリーニングを実施することが好ましい。例えば、水素を含むキャリアガスをベース基板上に流通させながら該ベース基板を加熱し、ベース基板に付着した有機物を除去するサーマルクリーニングを行うことが好ましい。具体的には、ベース基板が窒化アルミニウム基板、サファイア基板の場合、一般的には、水素を含むキャリアガスを供給し、ベース基板を1000℃以上、III族窒化物単結晶の成長温度以下で10分間程度保持することが好ましい。

0048

ベース基板をIII族窒化物単結晶が成長する成長温度(ベース基板をIII族原料ガスと窒素源ガスとを反応させる温度)に加熱し、ハロゲン化水素ガス、及びハロゲンガスから選ばれる少なくとも1種のハロゲン系ガスを該ベース基板上に供給し、該ハロゲン系ガスが該ベース基板上まで供給された後に、III族原料ガスを供給して、III族原料ガスと窒素源ガスとを反応させて結晶成長を開始する。原料ガス、具体的には窒素源ガス、III族原料ガス、及びハロゲン系ガスの供給順序は、(i)窒素源ガス、ハロゲン系ガス、III族原料ガスの順で供給する、(ii)ハロゲン系ガス、窒素源ガス、III族原料ガスの順で供給する、(iii)ハロゲン系ガス、III族原料ガス、窒素源ガスの順で供給する方法を採用することができる。そして、(i)においては、窒素源ガスとハロゲン系ガスとを同時に供給することもできるし、(ii)(iii)においては、窒素源ガスとIII族原料ガスとを同時に供給することもできる。その中でも、ベース基板の結晶成長面の分解を防ぐためには、(i)の方法を採用することが好ましい。すなわち、窒素源ガスの基板上への供給を開始する工程と、ハロゲン系ガスの基板上への供給を開始する工程と、III族原料ガスの基板上への供給を開始する工程と、をこの順に含むことが好ましい。

0049

そして、結晶成長時のベース基板の温度(成長温度)は、特に制限されるものではなく、公知の条件を採用することができる。具体的には、成長温度は1000〜1700℃であることが好ましい。

0050

中でも、ハロゲン化アルミニウムガスを使用したアルミニウム系III族窒化物単結晶、特に、窒化アルミニウム単結晶を製造する場合には、ベース基板の温度(成長温度)は1200〜1600℃であることが好ましい。さらに、III族原料ガスがハロゲン化アルミニウムガスである場合、ハロゲン化アルミニウムガスの供給量は、例えば0.001〜100sccmとすることができる。ハロゲン化アルミニウムガスは、アルミニウム系III族窒化物単結晶の成長速度が10μm/h以上、より好ましくは15μm/h以上となるよう、十分な量を供給することが好ましい。なお、結晶性を高める観点から、結晶の成長速度の上限値は100μm/h以下であることが好ましいが、外部からベース基板を加熱する手段を設けた場合には、100μm/h以上とすることも可能である(外部からの加熱手段を設けた場合の成長速度の上限値は300μm/h程度である)。

0051

III族窒化物単結晶を成長する過程においては、III族元素および窒素が属するV族元素とは異なる価数を有する元素をドープすることにより、結晶の電気伝導性をn形もしくはp形、または半絶縁性に制御することや、ドープした不純物をIII族窒化物単結晶の成長におけるサーファクタントとして作用させることにより、+c軸方向や−c軸方向、m軸方向、a軸方向等に結晶成長方位を制御することも可能である。これらのドーパントとしては、C、Si、Ge、Mg、O、S等の元素を含む分子を特に制限なく用いることができる。

0052

また、本発明においては、III族窒化物単結晶を製造するために、III族原料ガス、及び窒素源ガスをベース基板上に供給するが、両ガスの混合を制御する目的でIII族原料ガスと窒素源ガスとの間にバリアガスを供給してもよい。バリアガスとしては、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスヘリウムガス等の公知のガスから適宜選択され、これらを単独もしくは混合して使用することが可能である。中でも窒素ガスやアルゴンガスは混合を抑制する上では好ましい。バリアガスの供給量は、装置の大きさ、混合を抑制する効果等により、決定すればよいが、例えば50〜10000sccmとすることができ、好ましくは例えば100〜5000sccmとすることができる。

0053

その他の条件は、装置の概要、使用する原料等に応じて適宜決定すればよいが、III族窒化物単結晶の成長中、反応器内部の圧力は0.2〜1.5atmの範囲とすることが好ましい。

0054

また、III族窒化物単結晶をベース基板上に意図する膜厚になるよう一定時間、成長した後、III族原料ガスの供給を停止してIII族窒化物単結晶の成長を終了し、ベース基板を室温まで降温する。この時の条件は、公知の条件を採用すればよい。

0055

そして、本発明においては、以上のような方法でIII族窒化物単結晶の成長を終了した後、再度、同じ反応器を使用して、同じ方法でIII族窒化物単結晶を繰り返し成長(製造)することにより、明点の少ない、品質の安定したIII族窒化物単結晶を製造できる。つまり、バッチ式で同じ反応器を用いてIII族窒化物単結晶を繰り返し製造する場合、III族原料ガスを供給する前に、ハロゲン系ガスをベース基板上に供給することにより、明点の数にバラツキが少ない品質の安定したIII族窒化物単結晶を製造できる。

0056

本発明に好適に使用できる、HVPE法によるIII族窒化物単結晶製造装置について説明する。

0057

<III族窒化物単結晶製造装置>
図1に本発明に好適に使用できるHVPE法製造装置の概略図を示す。図1には、III族窒化物単結晶製造装置100として、ベース基板12を備えた反応器11、III族原料ガスをベース基板上に供給するためのIII族原料ガス供給ノズル24(III族原料ガス吹き出し口25からIII族原料ガスをベース基板上に排出する)、窒素源ガスをベース基板上に供給するための窒素源ガス供給ノズル32(窒素源ガス導入口31から窒素源ガスを導入し、窒素源ガス吹き出し口33から窒素源ガスをベース基板上に排出する)、系内にガス流を作るためのキャリアガスを供給する押し出しガス導入口14、反応器11内に供給されたガスを排出するための排気口15を備えた装置を示している。

0058

反応器11内において、ベース基板12は支持台サセプタ)13に保持され、支持台(サセプタ)13を加熱することにより、ベース基板12を加熱することができる。本発明においては、ベース基板12上がIII族原料ガスと窒素源ガスとが主に反応する反応域10となる。

0059

また、HVPE法製造装置の例示のため、III族金属原料22(例えば、アルミニウム)を配置する原料部反応器21(III族金属原料22以降の部分がIII族原料ガスを製造するための原料部反応域20となる)を示している。この原料部反応器21には、III族原料金属21と反応してIII族原料ガスを生成するハロゲン系ガスを導入するための原料ハロゲン系ガス導入ノズル23、生成したIII族原料ガスをベース基板上に供給するためのIII族原料ガス供給ノズル24を備える。この原料部反応器21は、内部を所望の温度とするために、原料部外加熱装置16を外部に配置することが好ましい。

0060

図1では、ベース基板12上にハロゲン系ガスを供給するため、III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26、V族追加ハロゲン系ガス供給ノズル34が示されている。このIII族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26はIII族追加ハロゲン系ガス合流部27にてIII族原料ガス供給ノズル24と合流している。また、V族追加ハロゲン系ガス供給ノズル34は、V族追加ハロゲン系ガス合流部35にて窒素源ガス供給ノズル32と合流している。本発明においては、これらIII族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26、V族追加ハロゲン系ガス供給ノズル34からハロゲン系ガスをベース基板上に供給することができる。本発明において、ハロゲン系ガスの供給方法は、特に制限はなく、前記III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26、V族追加ハロゲン系ガス供給ノズル34のどちらか、もしくは両方から供給してもよい。また、図1には示していないが、ハロゲン系ガスを独立した供給ノズルから直接反応域10(主にベース基板12上)に供給してもよい。好ましくは、反応を制御しやすい、原料ガスに混合して供給する方法がよい。

0061

本発明では、ベース基板上で単結晶成長の反応が進行するような温度にする必要があるが、ベース基板の加熱方法は、公知の方法で実施することができる。図1ではホットウォール加熱方式抵抗加熱方式輻射加熱方式等)による成長部外部加熱装置17を記載しているが、支持台(サセプタ)13を局所的に加熱するコールドウォールタイプの加熱方式(高周波誘導加熱方式、光による基板加熱方式等)も採用可能である。

0062

III族窒化物単結晶装置100を構成する材料としては、耐熱ガラス石英ガラスアルミナジルコニア熱分解窒化ホウ素ステンレス、またインコネル等の耐腐食性合金等を例示でき、中でも、石英ガラスを好ましく用いることができる。しかし、反応域10が高温に加熱されるため、各種ノズルの先端も高温に加熱されることになり、石英ガラスからの気化成分が気にかかる場合には、熱分解窒化ホウ素やアルミナ等の高耐熱性セラミックスを使用することも可能である。

0063

本実施形態において、反応器11は、反応域10を内部に有することから、石英ガラス、アルミナ、サファイア、耐熱ガラス等の耐熱性および耐酸性非金属材料で構成されることが好ましい。反応器11の外周に外チャンバ(不図示)を配置してもよい。外チャンバは、反応器11と同様の材質で構成してもよいが、外チャンバは反応域10に直接には接していないので、一般的な金属材料、例えばステンレス鋼等で構成することも可能である。

0064

本発明に関する上記説明では、HVPE法によってIII族窒化物単結晶を成長させる形態のIII族窒化物単結晶製造装置100を主に例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。また、図1では横型の装置を示したが、特に制限はなく、縦型構造でもよい。さらに、MOCVD法によってIII族窒化物単結晶を成長させる形態の気相成長装置を使用することも可能である。より具体的には、III族原料ガスとしてIII族有機金属化合物ガス(例えばトリメチルアルミニウムガス等)を供給する形態の気相成長装置とすることも可能である。その場合、原料部反応器21にはIII族金属原料22を配置せずに、III族原料ガスとしてIII族有機金属化合物を気化させたガスを供給する形態が採用される。

0065

<III族窒化物単結晶:好適な単結晶(窒化アルミニウム単結晶)>
上記のような製造方法により、反応域10において成長開始直後のIII族原料ガスと窒素源ガスの反応の進行を追加ハロゲン系ガスにより緩和し、明点の原因となる結晶欠陥を削減することができる。その結果、高品質な結晶の成長が難しかったHVPE法による窒化アルミニウム単結晶であっても、結晶欠陥が低減された窒化アルミニウム単結晶を繰り返して製造できる。具体的には、(114)面の反射X線トポグラフ像に存在する明点密度の平均値が0〜20個/cm2、標準偏差が0〜10個/cm2、標準偏差/平均値が0〜100%である窒化アルミニウム単結晶を製造できる。さらにLEDや電子デバイスの歩留を向上させるには0〜5個/cm2で標準偏差が0〜2個/cm2、標準偏差/平均値が0〜60%であることが好ましい。ただし、明点密度の平均値が限りなく小さく(例えば0.5個/cm2以下)なると、平均値と標準偏差の値が近い値となる場合がある。明点密度の平均値が限りなく小さい場合は、見掛け上、標準偏差/平均値が0〜100%の範囲を外れる事があるため、標準偏差/平均値の指標を考慮しない。

0066

また、上記製造方法より、明点密度の平均値が0〜20個/cm2(好ましくは0〜5個/cm2)、標準偏差が0〜10個/cm2(好ましくは0〜2個/cm2)、標準偏差/平均値が0〜100%(好ましくは0〜60%)である高品質な窒化アルミニウム単結晶を、結晶成長面の面積が100mm2以上の大きさで製造することができる。結晶成長面の面積の上限値は、特に制限されるものではなく、大きければ大きいほど工業的に有利となる。ただし、工業的な生産を考慮すると、本発明の要件を満足するためには結晶成長面の面積の上限値は10000mm2である(この場合、結晶成長面の面積100〜10000mm2の範囲において、明点の平均値が0〜20個/cm2(好ましくは0〜5個/cm2)で標準偏差が0〜10個/cm2(好ましくは0〜2個/cm2)、標準偏差/平均値が0〜100%(好ましくは0〜60%)となればよい。

0067

本発明において、III族窒化物単結晶は、III族原料ガス、窒素源ガス、ハロゲン系ガスがそれぞれ独立して供給流量やバルブを操作できる構造の装置で製造できる。この装置を用いて、成長開始初期のガスの供給順を定めることにより、明点の少ない、結晶品質の向上したIII族窒化物単結晶を製造することができる。従来技術の特許文献6では、ハロゲン系ガスとIII族原料ガスが同時に供給されていた。そのため、ベース基板上にハロゲン系ガスとIII族原料ガスとが本当に同時に供給された場合には問題は生じないが、気相反応であるため、ハロゲン系ガスが先行したり、III族原料ガスが先行する場合が生じ易かったものと考えられる。そして、反応域10(主にベース基板12上)にIII族原料ガスがハロゲン系ガスより先行して供給された場合、成長開始初期にハロゲン系ガスが不十分な時間が発生し、明点の原因と考えられる微細な結晶欠陥(反射X線トポグラフ像に存在する明点)が増加するものと考えられる。さらに繰り返し製造を行う場合、装置部材の状態や僅かな成長温度の変動により、原料ガスやハロゲン系ガスの流れが変化し、ハロゲン系ガスが不十分な時間が変化し、明点個数の標準偏差が大きくなるものと考えられる。特に、この現象は、反応性の高いアルミニウムを含む原料ガスを用いたアルミニウムを含む窒化物単結晶の製造において顕著であったと考えられる。本発明では、成長開始初期の原料ガス雰囲気に着目し、ベース基板上で、ハロゲン系ガス存在下でIII族原料ガスと窒素源ガスとの反応を開始させることで、III族原料ガスと窒素源ガスとの反応が動力学的に効果的に阻害され、結晶欠陥の抑制効果が顕著に、かつ安定的に得られるものと推測される。

0068

III族窒化物単結晶製造装置で作製したIII族窒化物単結晶基板は、化学的機械的研磨(CMP)で、表面の研磨ダメージ層を除去し、反射X線トポグラフ像に研磨ダメージや研磨傷が観測されない状態に仕上げた。表面粗さは原子間力顕微鏡の5×5μm2視野観察二乗平均粗さ(RMS)として、0.15μm以下の状態に仕上げた。研磨傷が存在する場合には、明点が不明瞭になるため本発明の評価が困難になる。また、ウェハを切断する場合は、レーザーダイシングブレードダイシングステルスダイシング等の公知の方法を特に制限なく採用することができる。

0069

<III族窒化物単結晶の評価方法
表面を平坦化されたIII族窒化物単結晶基板は、反射X線トポグラフにより明点を観察した。本実施例では、(114)面より観測する。

0070

本発明では、透過方式ではなく、反射方式X線トポグラフを用いた。理由は、基板の最表面の欠陥を観察するためである。本発明により得られる窒化アルミニウム単結晶基板の上に発光素子や電子デバイスとして機能する積層構造を形成する際には、基板の最表面の欠陥が前記の機能に影響するためである。例えば、窒化アルミニウム単結晶基板上に発光素子を形成する場合、基板表面に結晶欠陥が存在すると電流のリーク等の不具合をもたらすことになる。

0071

一方で、従来の評価方法であるX線ロッキングカーブ測定は、基板面内の平均的特性を観測する手法であるため、明点のような狭い領域にある測定では検出しにくい。

0072

このような理由で、得られたIII族窒化物単結晶は、反射X線トポグラフ像に存在する明点で結晶欠陥を評価したものである。

0073

<III族窒化物単結晶の用途>
本発明の方法で得られたIII族窒化物単結晶は、結晶欠陥が少ないため、発光ダイオード用成長基板発光ダイオード基板電子デバイス用基板として好適に使用できる。特に、結晶成長面が100mm2以上のものであって、明点の数密度が5個/cm2以下のIII族窒化物単結晶は、その上に発光素子層を形成して得られる積層体(ウェハ)を切断することにより発光ダイオードとする際、歩留まりを向上することができる。標準偏差が2個/cm2以下、標準偏差/平均値が60%以下であれば繰り返し製造する際に、歩留り予測しやすくなり、在庫管理が容易になる。したがって、過剰在庫在庫不足を防ぐことができる。

0074

以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例・比較例においては、III族窒化物単結晶のなかでも窒化アルミニウム単結晶を製造した例を示す。

0075

(反射X線トポグラフによる結晶欠陥の評価)
反射X線トポグラフの測定には高分解能薄膜X線回折装置(パナリティカル製X‘Pert ProMRD)を用いた。Cuターゲットを用いたX線管球加速電圧45kV、フィラメント電流40mAの条件で特性X線を発生させ、ラインフォーカスX線ビームを取り出した。発生させたX線ビームはX線ミラーモジュールゲーベルミラー)により高強度の平行X線ビームとした。このとき、X線ミラーモジュールの入口に1/2°発散スリット(横制限スリット)と50μm幅の縦制限スリットを装着し、ビーム幅が約1.2mmに絞られたX線ビームとした後に、測定ステージ上に設置した対象物である窒化アルミニウム単結晶基板に照射した。窒化アルミニウム単結晶基板の(114)面から回折したCuKα1線を2次元半導体X線検出器(パナリティカル製PIXcel3D半導体検出器)により検出して反射X線トポグラフ像を取得した。2次元半導体X線検出器の256×256画素であるため、1回の反射X線トポグラフ像により測定できる基板領域がy方向に約8.4mm、x方向に約5.7mmに制限される。このため、基板全面の反射X線トポグラフ像を測定するために、測定ステージをx、y方向に適宜移動して、基板面内の別箇所の反射X線トポグラフ像を測定することを繰り返し、取得した基板面内の各位置の反射X線トポグラフ像をつなぎ合わせることにより基板面内全面の反射X線トポグラフ像を取得した。取得した反射X線トポグラフ像を画像解析により明点の個数を集計し、窒化アルミニウム単結晶基板の面積で除することにより、1cm2あたりの明点の存在密度(個/cm2)を算出した。

0076

測定する窒化アルミニウム単結晶(基板)の結晶面は(114)面を採用した。この理由は、上述の装置を用いた場合に明点の観察が十分に可能な分解能を有するためである。(114)面以外にも(103)面や(105)面等を用いた反射X線トポグラフ像の測定も可能であるが、例えば、上述の装置を用いて(103)面の反射X線トポグラフ像を取得する場合には分解能が不足するために明点の観察が不明瞭となるためである。したがって、少なくとも本発明で記載した測定条件よりも高分解能の反射X線トポグラフ像を取得できることが好ましいが、本発明者が調べる限りでは、明点を測定するために実用的な分解能の下限値としては1画素が10μm×10μm程度であることを確認している。これよりも高分解能で測定を行う場合には、1回の反射X線トポグラフ像の測定領域が狭くなり、基板全面の測定時間を要することになるので好ましくない。測定面が異なる場合には回折条件が変わるために、明点が暗点として観測される場合があるが、明点位置と暗点位置は一致することを本発明者らは確認している。また、基板面内で結晶面が湾曲しており、基板面の異なる地点で回折条件から外れる場合には、各位置で回折条件を満たすように窒化アルミニウム単結晶の測定軸出しを行うことが好ましい。

0077

反射X線トポグラフ像を取得する窒化アルミニウム単結晶基板の表面は化学的機械研磨(CMP)研磨を行い、表面の研磨ダメージ層を除去し、反射X線トポグラフ像に研磨ダメージや研磨傷が観測されない状態に仕上げた。表面粗さは原子間力顕微鏡の5×5μm2視野観察で二乗平均粗さ(RMS)として0.15nm以下の状態に仕上げた。研磨傷が存在する場合には、明点が不明瞭になるため本発明の評価が困難になる。

0078

実施例1
(ベース基板の洗浄
ベース基板として昇華法により作製した直径22mm、厚さ510μmの市販の窒化アルミニウム単結晶基板を使用した。このベース基板である窒化アルミニウム単結晶基板を市販のアセトンイソプロピルアルコール超音波洗浄した。さらに、輸送中のベース基板へのパーティクルの付着を防ぐため、輸送用ケースをイソプロピルアルコールで洗浄し、エアブローまたは窒素ブローでパーティクルを除去した。

0079

ベース基板の洗浄後、窒化アルミニウム単結晶基板のAl極性側成長面になるようにHVPE装置図1の装置)内のBNコートグラファイト製支持台(サセプタ)上に設置した。

0080

(窒化アルミニウム単結晶の製造準備)
窒化アルミニウム単結晶の成長に用いたHVPE装置は、図1の態様のものを用いた。図1の態様に、III族原料ガス供給ノズル24の先端から上流側250mmの反応器11内部に整流隔壁を設けた装置を使用した。整流隔壁は直径3mmの貫通孔が24個設けた石英ガラス製の板であり、石英ガラス製の反応器11の内壁溶接して設置される。整流隔壁の貫通孔を通して反応器11のさらに上流側から供給する押し出しキャリアガスを流通した。押し出しキャリアガスには水素と窒素を7:3の割合で混合した水素窒素混合キャリアガスを使用し、総流量は6500sccmとした。また、成長中の反応器11の圧力は0.99atmに保持した。

0081

(窒素源ガスの供給:V族追加ハロゲン系ガスの追加(塩化水素ガスの先行供給))
窒素源ガス供給ノズル32から、アンモニアガス20sccmと塩化水素ガス20sccm、水素キャリアガス160sccmの合計で200sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)20sccm/全量(複数ガス)200sccm)を反応域10(ベース基板12上)へ供給した。この際、窒素源ガス供給ノズル32の温度は400℃とし、アンモニアガスと塩化水素ガスとが反応しないように調整した。また、バリアガスノズル(窒素源ガス供給ノズル32、及びIII族原料ガス供給ノズル24との間からバリアガスを供給できるように配置されたノズル。ただし、図示していない。)から窒素ガス1500sccmを供給した。

0082

(ベース基板の温度)
上記、窒素源ガス供給ノズル32より合計200sccmの前記複数ガス、バリアガスノズルから1500sccmの窒素ガスを供給しながら、ベース基板12を1450℃に加熱した。

0083

(III族追加ハロゲン系ガスの供給(塩化水素ガスの先行供給))
ベース基板12を1450℃に加熱した後、III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26から塩化水素ガス7sccmを供給し、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23から水素窒素混合キャリアガス1793sccmを供給することにより、III族原料ガス供給ノズル24から合計1800sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)7sccm/全量1800sccm)のガスを供給した。反応器11内に供給したガスの合計流量は10000sccmとした。

0084

(III族原料ガスの供給による成長開始)
塩化水素ガスの先行供給を開始して25秒後に、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23より塩化水素ガスを9sccm導入し、あらかじめ400℃に加熱されている6Nグレード高純度アルミニウムと反応させ塩化アルミニウムガスを発生させた。同時に水素窒素混合キャリアガスを9sccm減らし、1784sccmとした。塩化アルミニウムガスはIII族原料ガス供給ノズル24からベース基板12上に供給され、結晶成長を開始した。III族原料ガス(塩化アルミニウムガス)が供給されるまでの塩化水素ガス供給量VH0は、VH0=VH=27sccmとし、III族原料ガスが供給されてからのハロゲン系ガス(塩化水素ガス)の分率(Hepi)は0.90とした。

0085

(窒化アルミニウム単結晶の成長)
上記条件のガス流量とベース基板温度で窒化アルミニウム単結晶を16時間成長した。窒化アルミニウム単結晶の成長後、塩化アルミニウムガス、アンモニアガス、塩化水素ガスの供給を停止して室温まで冷却した。

0086

(窒化アルミニウム単結晶の評価)
次に、得られた窒化アルミニウム単結晶の積層基板外周に異常成長した多結晶窒化アルミニウム粒子を除去するために、1辺が9.8mmの六角形に切断し、成長した窒化アルミニウム単結晶側の表面を機械研磨により平坦化した。さらに、CMP研磨により窒化アルミニウム単結晶面の研磨ダメージ層を除去した。六角形の面積は2.5cm2であった。その後、CMP研磨した窒化アルミニウム単結晶全面の(114)面の反射X線トポグラフ像を取得した。

0087

(繰り返し製造)
以上と同条件で、同じ反応器を用いて5回、窒化アルミニウム単結晶を製造し、その評価を行った。得られた窒化アルミニウム単結晶の明点密度の最小値は1.5個/cm2、最大値は5.2個/cm2であった。明点密度の平均値は2.8個/cm2であり、標準偏差は1.4個/cm2であり、標準偏差/平均密度は52%であった。結果を表1に示した。

0088

実施例2
実施例1と同じく、図1に記載の装置を使用した。(ベース基板の洗浄)、(窒化アルミニウム単結晶の製造準備)は実施例1と同様の操作を行った。

0089

(窒素源ガスの供給:V族追加ハロゲン系ガスの追加(塩化水素ガスの先行供給))
窒素源ガス供給ノズル32から、アンモニアガス20sccm、塩化水素ガス120sccm、水素キャリアガス60sccmの合計で200sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)120sccm/全量(複数ガス)200sccm)を反応域10へ供給した。バリアガスノズルから窒素ガス1500sccmを供給した。この際、窒素源ガス供給ノズル32の温度は400℃とし、アンモニアガスと塩化水素ガスとが反応しないように調整した。

0090

(ベース基板の温度)
上記、窒素源ガス供給ノズル32より合計200sccmの前記複数ガス、バリアガスノズルから1500sccmの窒素ガスを供給しながら、ベース基板12を1450℃に加熱した。

0091

(III族追加ハロゲン系ガスの供給(塩化水素ガスの先行供給))
ベース基板12を1450℃に加熱した後、III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26から塩化水素ガス27sccmを供給し、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23から水素窒素混合キャリアガス1773sccmを供給することにより、III族原料ガス供給ノズル24から合計1800sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)27sccm/全量1800sccm)のガスを供給した。反応器11内に供給したガスの合計流量は10000sccmとした。

0092

(III族原料ガスの供給による成長開始)
塩化水素ガスの先行供給を開始して25秒後に、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23より塩化水素ガスを9sccm導入し、あらかじめ400℃に加熱されている6Nグレードの高純度アルミニウムと反応させ塩化アルミニウムガスを発生させた。同時に水素窒素混合キャリアガスを9sccm減らし、1764sccmとした。塩化アルミニウムガスはIII族原料ガス供給ノズル24からベース基板12上に供給され、結晶成長を開始した。III族原料ガス(塩化アルミニウムガス)が供給されるまでの塩化水素ガス供給量VH0は、VH0=VH=147sccmとし、III族原料ガスが供給されてからのハロゲン系ガス(塩化水素ガス)の分率(Hepi)は0.98とした。

0093

(窒化アルミニウム単結晶の成長)、(窒化アルミニウム単結晶の評価)、(繰り返し製造)は、実施例1と同様の操作を行った。得られた5枚の窒化アルミニウム単結晶について、(114)面の反射X線トポグラフ像を取得した結果、明点密度の最小値は0.5個/cm2、最大値は2.9個/cm2であった。明点密度の平均値は1.8個/cm2であり、標準偏差は1.0個/cm2であり、標準偏差/平均値は59%であった。結果を表1に示した。

0094

実施例3
実施例1と同じく、図1に記載の装置を使用した。(ベース基板の洗浄)、(窒化アルミニウム単結晶の製造準備)は実施例1と同様の操作を行った。

0095

(窒素源ガスの供給:V族追加ハロゲン系ガスの追加なし)
窒素源ガス供給ノズル32から、アンモニアガス31sccm、塩化水素ガスは供給せず(0sccm)、水素キャリアガス169sccmの合計で200sccmの複数ガスを反応域10(ベース基板12上)へ供給した。この際、窒素源ガス供給ノズル32の温度は400℃とした。また、バリアガスノズルから窒素ガス1500sccmを供給した。

0096

(ベース基板の温度)
上記窒素源ガス供給ノズル32より合計200sccmの前記複数ガス、バリアガスノズルから1500sccmの窒素ガスを供給しながら、ベース基板12を1500℃に加熱した。

0097

(III族追加ハロゲン系ガスの供給(塩化水素ガスの先行供給))
ベース基板12を1500℃に加熱した後、III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26から塩化水素ガス4.2sccmを供給し、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23から水素窒素混合キャリアガス1795.8sccmを供給することにより、III族原料ガス供給ノズル24から合計1800sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)4.2sccm/全量1800sccm)のガスを供給した。反応器11内に供給したガスの合計流量は10000sccmとした。

0098

(III族原料ガスの供給による成長開始)
塩化水素ガスの先行供給を開始して25秒後に、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23より塩化水素ガスを16.8sccm導入し、あらかじめ400℃に加熱されている6Nグレードの高純度アルミニウムと反応させ塩化アルミニウムガスを発生させた。同時に水素窒素混合キャリアガスを16.8sccm減らし、1779sccmとした。塩化アルミニウムガスはIII族原料ガス供給ノズル24からベース基板12上に供給され、結晶成長を開始した。III族原料ガス(塩化アルミニウムガス)が供給されるまでの塩化水素ガス供給量VH0は、VH0=VH=4.2sccmとし、III族原料ガスが供給されてからのハロゲン系ガス(塩化水素ガス)の分率(Hepi)は0.43とした。

0099

(窒化アルミニウム単結晶の成長)
上記条件のガス流量とベース基板温度で窒化アルミニウム単結晶を11時間成長した。窒化アルミニウム単結晶の成長後、塩化アルミニウムガス、アンモニアガス、塩化水素ガスの供給を停止して室温まで冷却した。

0100

(窒化アルミニウム単結晶の評価)、(繰り返し製造)は、実施例1と同様の操作を行った。得られた5枚の窒化アルミニウム単結晶について、(114)面の反射X線トポグラフ像を取得した結果、明点密度の最小値は3.6個/cm2、最大値は26.0個/cm2であった。明点密度の平均値は17.1個/cm2であり、標準偏差は8.3個/cm2であり、標準偏差/平均値は48%であった。結果を表1に示した。

0101

比較例1
実施例1と同じく、図1に記載の装置を使用した。(ベース基板の洗浄)、(窒化アルミニウム単結晶の製造準備)は実施例1と同様の操作を行った。

0102

(窒素源ガスの供給:V族追加ハロゲン系ガスの追加なし)
窒素源ガス供給ノズル32から、アンモニアガス20sccm、塩化水素ガスは供給せず(0sccm)、水素キャリアガス180sccmの合計で200sccmの複数ガスを反応域10(ベース基板12上)へ供給した。この際、窒素源ガス供給ノズル32の温度は400℃とした。また、バリアガスノズルから窒素ガス1500sccmを供給した。

0103

(ベース基板の温度)は実施例1と同様の操作を行った。そして、実施例1の(III族追加ハロゲン系ガスの供給(塩化水素ガスの先行供給))は実施せず、以下の(III族原料ガスの供給による成長開始)を行った。

0104

(III族原料ガスの供給による成長開始)
ベース基板12を1450℃に加熱した後、窒素源ガス供給ノズル32から、塩化水素ガス20sccm供給し、水素キャリアガスを160sccmへ減らした。アンモニアガス20sccmは変更せず、合計で200sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)20sccm/全量200sccm)の複数ガスを反応域10(ベース基板12上)へ供給した。この際、窒素源ガス供給ノズル32の温度は400℃とした。また、バリアガスノズルから窒素ガス1500sccmを供給した。同時に、III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26から塩化水素ガス7sccmを供給し、同時に、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23より、塩化水素ガスを9sccm、水素窒素混合キャリアガス1784sccmを供給し、あらかじめ400℃に加熱されている6Nグレードの高純度アルミニウムと反応させ塩化アルミニウムガスを発生させた。その結果、III族原料ガス供給ノズル24から合計1800sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)7sccm/全量1800sccm)のガスを供給し、成長を開始した。塩化水素の先行供給は行わなかった(VH0=0sccmとした)。VH=27sccmであり、Hepi は0.90とした。反応器11内に供給したガスの合計流量は10000sccmとした。比較例1は、実施例1の条件で塩化水素ガスの先行供給を行わなかった条件である。

0105

(窒化アルミニウム単結晶の成長)、(窒化アルミニウム単結晶の評価)、(繰り返し製造)は、実施例1と同様の操作を行った。得られた5枚の窒化アルミニウム単結晶について、(114)面の反射X線トポグラフ像を取得した結果、明点密度の最小値は3.6個/cm2、最大値は28.5個/cm2であった。明点密度の平均値は9.9個/cm2であり、標準偏差は10.5個/cm2であり、標準偏差/平均値は106%であった。結果を表1に示した。

0106

比較例2
実施例1と同じく、図1に記載の装置を使用した。(ベース基板の洗浄)、(窒化アルミニウム単結晶の製造準備)、(窒素源ガスの供給:V族追加ハロゲン系ガスの追加なし)、(ベース基板の温度)は実施例3と同様の操作を行った。そして、実施例3の(III族追加ハロゲン系ガスの供給(塩化水素ガスの先行供給))は実施せず、以下の(III族原料ガスの供給による成長開始)を行った。

0107

(III族原料ガスの供給による成長開始)
ベース基板12を1500℃に加熱した後、III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル26から塩化水素ガス4.2sccmを供給し、同時に、原料ハロゲン系ガス導入ノズル23より、塩化水素ガスを16.8sccm、水素窒素混合キャリアガス1779sccmを供給し、あらかじめ400℃に加熱されている6Nグレードの高純度アルミニウムと反応させ塩化アルミニウムガスを発生させた。その結果、III族原料ガス供給ノズル24から合計1800sccm(ハロゲン系ガス(塩化水素ガス)4.2sccm/全量1800sccm)のガスを供給し、成長を開始した。塩化水素の先行供給は行わなかった(VH0=0sccmとした)。VH=4.2sccmであり、Hepi は0.43とした。反応器11内に供給したガスの合計流量は10000sccmとした。比較例2は、実施例3の条件で塩化水素ガスの先行供給を行わなかった条件である。

0108

(窒化アルミニウム単結晶の成長)、(窒化アルミニウム単結晶の評価)、(繰り返し製造)は、実施例3と同様の操作を行った。得られた5枚の窒化アルミニウム単結晶について、(114)面の反射X線トポグラフ像を取得した結果、明点密度の最小値は6.0個/cm2、最大値は45.2個/cm2であった。明点密度の平均値は22.8個/cm2であり、標準偏差は15.0個/cm2であり、標準偏差/平均値は66%であった。結果を表1に示した。

0109

以上の実施例、比較例の結果を表1にまとめた。本発明の方法によれば、明点密度の平均値、標準偏差、標準偏差/平均値の小さい、高品質なIII族窒化物単結晶を繰り返し製造できる。

実施例

0110

0111

10反応域
11反応器
12ベース基板
13支持台(サセプタ)
14押し出しガス導入口
15排気口
16原料部外部加熱装置
17成長部外部加熱装置
20 原料部反応域
21 原料部反応器
22III族金属原料
23 原料ハロゲン系ガス導入ノズル
24III族原料ガス供給ノズル
25 III族原料ガス吹き出し口
26III族追加ハロゲン系ガス供給ノズル
27 III族追加ハロゲン系ガス合流部
31窒素源ガス導入口
32 窒素源ガス供給ノズル
33 窒素源ガス吹き出し口
34V族追加ハロゲン系ガス供給ノズル
35 V族追加ハロゲン系ガス合流部
36反応域内先行供給ガス計算範囲
100III族窒化物単結晶製造装置

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