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技術 化学強化ガラスの製造方法

出願人 AGC株式会社
発明者 静井章朗藤原祐輔小野田仁鹿島出
出願日 2015年5月26日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2015-106281
公開日 2016年12月22日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2016-216330
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの表面処理
主要キーワード 表面除去 低密度層 温度上限 理論強度 ガラス強度 表面圧縮応力 化学強化処理条件 ディスプレイ用カバーガラス
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

イオン交換後無機塩によりガラス侵食されることなく、凹み状の欠点を減少させた化学強化ガラスを製造する方法を提供する。

解決手段

硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1より低く、315℃以上の温度又は(前記無機塩の平衡蒸気圧下における融点Tm−20)℃以上にて3分以上保持する工程を含むことを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。

概要

背景

デジタルカメラ携帯電話または携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。ガラス理論強度が高いものの、傷がつくことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスが用いられている。

フラットパネルディスプレイ装置に対する軽量化および薄型化の要求に伴い、カバーガラス自身も薄くすることが要求されている。したがってカバーガラスには、その目的を満たすために表面及び端面ともにさらなる強度が求められる。

そこで特許文献1には、硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法が記載されている。前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、K3PO4、Na3PO4、K2SO4、Na2SO4、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、かつ前記イオン交換の後にガラスを洗浄する工程、前記洗浄の後にガラスを酸処理する工程、前記酸処理の後にガラスをアルカリ処理する工程を含むことを特徴としている。

概要

イオン交換後の無機塩によりガラスが侵食されることなく、凹み状の欠点を減少させた化学強化ガラスを製造する方法を提供する。硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1より低く、315℃以上の温度又は(前記無機塩の平衡蒸気圧下における融点Tm−20)℃以上にて3分以上保持する工程を含むことを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。

目的

本発明は、イオン交換後の無機塩によりガラスが侵食されることなく、凹み状の欠点を減少させた化学強化ガラスを製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1℃より低く、315℃以上の温度にて、3分以上保持する工程を含むことを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。

請求項2

硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1℃より低く、(前記無機塩の平衡蒸気圧下における融点Tm−20)℃以上の温度にて、3分以上保持する工程を含むことを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。

請求項3

前記保持する工程の後にガラスを洗浄する工程、前記洗浄する工程の後にガラスを酸処理する工程を含む、請求項1または2に記載の化学強化ガラスの製造方法。

請求項4

前記酸処理する工程の後にガラスをアルカリ処理する工程を含む、請求項3に記載の化学強化ガラスの製造方法。

請求項5

前記イオン交換する工程の直後と、前記保持する工程の後におけるガラスに付着した無機塩の質量差が、ガラスの主面の面積2500mm2当たり0.15g以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化ガラスの製造方法。

技術分野

0001

本発明は化学強化ガラスの製造方法に関する。

背景技術

0002

デジタルカメラ携帯電話または携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。ガラス理論強度が高いものの、傷がつくことで強度が大幅に低下するため、強度が求められるカバーガラスには、イオン交換等によりガラス表面に圧縮応力層を形成した化学強化ガラスが用いられている。

0003

フラットパネルディスプレイ装置に対する軽量化および薄型化の要求に伴い、カバーガラス自身も薄くすることが要求されている。したがってカバーガラスには、その目的を満たすために表面及び端面ともにさらなる強度が求められる。

0004

そこで特許文献1には、硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法が記載されている。前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、K3PO4、Na3PO4、K2SO4、Na2SO4、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、かつ前記イオン交換の後にガラスを洗浄する工程、前記洗浄の後にガラスを酸処理する工程、前記酸処理の後にガラスをアルカリ処理する工程を含むことを特徴としている。

先行技術

0005

国際公開第2015/008763号

発明が解決しようとする課題

0006

特許文献1に記載の方法において、イオン交換後の洗浄、酸処理、及びアルカリ処理により、ガラスの強度が低下するのを抑制することができる。しかしながら、特許文献1に記載の方法のように特定の無機塩でイオン交換を行った場合、イオン交換後の無機塩がガラスを局所的に侵食し、ガラスに凹み状の欠点を発生させる場合があることが判明した。このような凹み状の欠点はガラスの美観を損ねるため、該凹み状の欠点を減らすことが求められる。

0007

本発明は、イオン交換後の無機塩によりガラスが侵食されることなく、凹み状の欠点を減少させた化学強化ガラスを製造する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、特定の塩を含む無機塩を用いたイオン交換によって化学強化処理を行い、その後、一定範囲内の温度域で一定時間以上保持する工程を経ることにより、凹み状の欠点の少ない化学強化ガラスが得られることを見出し、本発明を完成させた。

0009

すなわち本発明は以下の通りである。
<1>硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、
前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1℃より低く、315℃以上の温度にて3分以上保持する工程を含むことを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。
<2> 硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、
前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、
前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1℃より低く、(前記無機塩の平衡蒸気圧下における融点Tm−20)℃以上の温度にて、3分以上保持する工程を含むことを特徴とする化学強化ガラスの製造方法。
<3> 前記保持する工程の後にガラスを洗浄する工程、
前記洗浄する工程の後にガラスを酸処理する工程を含む、前記<1>または<2>に記載の化学強化ガラスの製造方法。
<4> 前記酸処理する工程の後にガラスをアルカリ処理する工程を含む、前記<3>に記載の化学強化ガラスの製造方法。
<5> 前記イオン交換する工程の直後と、前記保持する工程の後におけるガラスの質量差が、ガラス2500mm2あたり0.15g以上である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の化学強化ガラスの製造方法。

発明の効果

0010

本発明の化学強化ガラスの製造方法によれば、凹み状の欠点が少ない、美観に優れた化学強化ガラスを得ることができる。

図面の簡単な説明

0011

保持する工程において、ガラスに付着している塩の量と保持時間との関係を表すグラフである。

0012

以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
<化学強化ガラスの製造方法>
本実施形態に係る化学強化ガラスを製造する方法は、硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1℃より低く、315℃以上の温度にて3分以上保持する工程を含むことを特徴とする。

0013

別の本実施形態に係る化学強化ガラスを製造する方法は、硝酸カリウムを含む無機塩に、ナトリウムを含むガラスを接触させることによって、前記ガラス中のNaと前記無機塩中のKとをイオン交換する工程を含む化学強化ガラスの製造方法であって、前記無機塩はK2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含み、前記イオン交換する工程の後に、前記イオン交換する工程における化学強化温度T1℃より低く、(前記無機塩の平衡蒸気圧下における融点Tm−20)℃以上の温度にて3分以上保持する工程を含むことを特徴とする。

0014

ガラス組成
本発明で使用されるガラスはナトリウムを含んでいればよく、成形、化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用することができる。具体的には、例えば、アルミノシリケートガラスソーダライムガラスボロシリケートガラス鉛ガラスアルカリバリウムガラスアルミノボロシリケートガラス等が挙げられる。これらの中でも、アルミノシリケートガラスやアルミノボロシリケートガラスは、従来の化学強化によって凹み状の欠点が生じやすいことから、本発明の効果がより顕著なものとなる。

0015

ガラスの製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料連続溶融炉投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。

0016

なお、ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。

0017

ガラスの厚みは、特に制限されるものではないが、化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。

0018

化学強化ガラスを製造するにあたり、ガラスのサイズ(主面の面積)が大きいほど凹み状の欠点が生じやすい。そのため、ガラスのサイズは特に制限されるものではないが、本発明の効果がより顕著となる点で150mm×100mm以上のガラス板であることが好ましい。

0019

また、本発明で使用されるガラスの形状は特に限定されない。例えば、均一な板厚を有する平板形状、表面と裏面のうち少なくとも一方に曲面を有する形状および屈曲部等を有する立体的な形状等の様々な形状のガラスを採用することができる。

0020

本発明の化学強化ガラスの組成としては特に限定されないが、例えば、以下のガラスの組成が挙げられる。
(i)モル%で表示した組成で、SiO2を50〜80%、Al2O3を2〜25%、Li2Oを0〜10%、Na2Oを0〜18%、K2Oを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrO2を0〜5%を含むガラス
(ii)モル%で表示した組成が、SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
(v)質量%で表示した組成が、SiO2を65〜75%、Al2O3を0.1〜5%、MgOを1〜6%、CaOを1〜15%含有し、Na2O+K2Oが10〜18%であるガラス
(vi)質量%で表示した組成が、SiO2を65〜72%、Al2O3を3.4〜8.6%、MgOを3.3〜6%、CaOを6.5〜9%、Na2Oを13〜16%、K2Oを0〜1%、TiO2を0〜0.2%、Fe2O3を0.01〜0.15%、SO3を0.02〜0.4%含有し、(Na2O+K2O)/Al2O3が1.8〜5.0であるガラス
(vii)質量%で表示した組成が、SiO2を60〜72%、Al2O3を1〜10%、MgOを5〜12%、CaOを0.1〜5%、Na2Oを13〜19%、K2Oを0〜5%含有し、RO/(RO+R2O)が0.20以上、0.42以下(式中、ROとはアルカリ土類金属酸化物、R2Oはアルカリ金属酸化物を示す。)であるガラス。

0021

(無機塩)
本発明に係る化学強化ガラスは、ガラス表面に、イオン交換された圧縮応力層を有する。イオン交換法では、ガラスの表面をイオン交換し、圧縮応力残留する表面層を形成させる。具体的には、ガラス転移点以下の温度でイオン交換によりガラス板表面イオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的には、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオン)に置換する。これにより、ガラスの表面に圧縮応力が残留し、ガラスの強度が向上する。

0022

本発明の製造方法において、化学強化は、硝酸カリウム(KNO3)を含有する無機塩であって、さらに、K2CO3、Na2CO3、KHCO3、NaHCO3、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩を含有する無機塩に先述したナトリウムを含むガラスを接触させることにより行なわれる。
硝酸カリウムの平衡蒸気圧下における融点Tmは330℃であり、化学強化を行うガラスの歪点(通常500〜600℃)以下に融点を有している。また、上記塩(以下、「融剤」と称することもある。)は、Si−O−Si結合に代表されるガラスのネットワークを切断する性質を有する。化学強化処理を行う温度は数百℃と高いので、その温度下でガラスのSi−O間の共有結合は適度に切断され、後述する低密度化処理が進行しやすくなる。

0023

なお、共有結合を切断する度合いはガラス組成や用いる塩(融剤)の種類、化学強化処理を行う温度、時間等の化学強化処理条件によっても異なるが、Siから伸びている4本の共有結合のうち、1〜2本の結合が切れる程度の条件を選択することが好ましいものと考えられる。

0024

ガラス表面のNaイオンと無機塩中のKイオンとがイオン交換されることで高密度な圧縮応力層が形成される。無機塩にガラスを接触させる方法としては、ペースト状の無機塩を塗布する方法、無機塩の水溶液をガラスに噴射する方法、融点以上に加熱した溶融塩塩浴にガラスを浸漬させる方法などが可能であるが、これらの中では、溶融塩に浸漬させる方法が望ましい。

0025

融剤の添加量表面水素濃度制御の点から0.1mol%以上が好ましく、0.5mol%以上がさらに好ましく、1mol%以上がより好ましく、2mol%以上が特に好ましい。また生産性の観点から各塩の飽和溶解度以下が好ましい。過剰に添加するとガラスの腐食につながるおそれがある。例えば、融剤としてK2CO3を用いる場合には、24mol%以下が好ましく、12mol%以下がより好ましく、8mol%以下が特に好ましい。

0026

無機塩は、硝酸カリウム及び融剤の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の化学種を含んでいてもよく、例えば、塩化ナトリウム塩化カリウムホウ酸ナトリウムホウ酸カリウム等のアルカリ塩化塩やアルカリホウ酸塩などが挙げられる。これらは単独で添加しても、複数種を組み合わせて添加してもよい。

0027

(溶融塩の製造)
溶融塩は公知の工程により製造することができる。すなわち、硝酸カリウム溶融塩を調製し、次いで該硝酸カリウム溶融塩へ融剤を添加することで得ることができる。また、別の方法として、硝酸カリウムと融剤を混合し、次いで該硝酸カリウムと融剤との混合塩溶融することで得ることができる。

0028

本願発明の製造方法で用いる溶融塩は、Na濃度が好ましくは500重量ppm以上であり、より好ましくは1000重量ppm以上である。溶融塩におけるNa濃度が500重量ppm以上であることで、後述する酸処理工程により、低密度層が深化しやすくなるためさらに好ましい。Na濃度の上限としては特に制限はなく、所望の表面圧縮応力(CS)が得られるまで許容できる。
なお、化学強化処理を1回以上行なった溶融塩にはガラスから溶出したナトリウムが含まれている。したがって、Na濃度が既に上記範囲内であれば、ガラス由来のナトリウムをそのままNa源として用いてもよいし、Na濃度が上記範囲に満たない場合や、化学強化未使用の溶融塩を用いる場合には、硝酸ナトリウム等の無機ナトリウム塩を添加することにより調整することができる。

0029

(イオン交換する工程)
次に、調製した溶融塩を用いて化学強化処理を行う。化学強化処理は、ガラスを溶融塩に浸漬し、ガラス中のNaイオンを、溶融塩中のKイオンとイオン交換(置換)することで行われる。このイオン交換によってガラス表面の組成を変化させ、ガラス表面が高密度化した圧縮応力層を形成することができる。このガラス表面の高密度化によって圧縮応力が発生することから、ガラスを強化することができる。

0030

なお実際には、化学強化ガラスの密度は、ガラスの中心に存在する中間層(バルク)の外縁から圧縮応力層表面に向かって徐々に高密度化してくるため、中間層と圧縮応力層との間には、密度が急激に変化する明確な境界はない。ここで中間層とは、ガラス中心部に存在し、圧縮応力層に挟まれる層を表す。この中間層は圧縮応力層とは異なり、イオン交換がされていない層である。

0031

本発明における化学強化処理(イオン交換する工程)は、具体的には以下の手順で行うことができる。
まずガラスを予熱し、先述した溶融塩を、化学強化を行う温度に調整する。次いで予熱したガラスを溶融塩中に所定の時間浸漬したのち、ガラスを溶融塩中から引き上げ放冷する。なお、ガラスには、化学強化処理の前に、用途に応じた形状加工、例えば、切断、端面加工および穴あけ加工などの機械的加工を行うことが好ましい。

0032

ガラスの予熱温度は、溶融塩に浸漬する温度に依存するが、一般に100℃以上であることが好ましい。
化学強化温度は、被強化ガラスの歪点(通常500〜600℃)以下が好ましく、(歪点−50)℃以下がより好ましい。また、より高い圧縮応力層深さを得るためには化学強化温度は350℃以上が好ましく、400℃以上がより好ましい。

0033

ガラスの溶融塩への浸漬時間は1分〜10時間が好ましく、5分〜8時間がより好ましく、10分〜4時間がさらに好ましい。かかる範囲において、強度と圧縮応力層の深さのバランスに優れた化学強化ガラスを得ることができ、好ましい。

0034

(保持する工程)
本発明では、イオン交換する工程においてガラスを溶融塩に浸漬した後、溶融塩から引き上げ、そのまま高温で一定時間以上保持する。溶融塩から引き上げてすぐに放冷すると、ガラス表面に付着した溶融塩が凝固して固体となり、該固体がガラス表面と化学的に反応することによってガラス表面に凹み状の欠点が生ずるものと考えられる。溶融塩から引き上げ、そのまま高温で一定時間以上保持する工程を経ることにより、ガラスから溶融塩を取り除くことができることから、凝固した無機塩がガラス表面と反応することを防ぐことができる。その結果、凹み状の欠点が少ない化学強化ガラスを得ることができる。

0035

保持する工程における保持温度は、溶融塩が急激に凝固しにくく、また溶融塩が凝固してもガラス表面に凹み状の欠点を形成するほどの大きさの粒子となりにくいことから、315℃以上が好ましく、330℃以上がより好ましく、350℃以上がさらに好ましい。さらに、ガラスに接触させる無機塩の平衡蒸気圧下における融点をTmとするとき、保持温度は、(Tm−20)℃以上が好ましく、(Tm−5)℃以上がより好ましく、(Tm+10)℃以上がさらに好ましい。
また、温度上限は特に制限されないが、高すぎると応力緩和が生じてガラス強度が低下しやすくなることから、保持する工程における保持温度はイオン交換する工程における化学強化温度をT1℃とすると、化学強化温度T1℃未満であることが好ましく、(T1−20)℃未満であることがより好ましく、(T1−40)℃未満であることがさらに好ましい。

0036

また、保持温度の下限は化学強化温度T1との関係では、同様の理由から、(T1−120)℃以上が好ましく、(T1−105)℃以上がより好ましく、(T1−85)℃以上がさらに好ましい。
また、保持温度の上限の絶対値としては、同様の理由から、435℃未満であることが好ましく、415℃未満であることがより好ましく、395℃未満であることがさらに好ましい。
なお、保持温度は保持する工程において終始一定の温度であってもよいし、温度変化してもよい。

0037

保持する工程における保持時間は、化学強化温度T1℃や保持温度によって適宜調整する。例えば、保持温度が高いほど、ガラスから溶融塩が取り除かれるまでに要する時間は短く、保持温度が低いほど、該時間は長くなる。また、硝材の種類やガラスの引き上げ方等によっても、適切な保持時間は異なる。
したがって好ましい保持時間を厳密に定めることは難しいものの、保持温度が350℃以上である場合は、保持時間は3分以上であることが好ましく、15分以上がより好ましい。また、保持温度が315℃以上、350℃未満である場合には、保持時間は30分以上が好ましく、60分以上がより好ましい。
保持時間の上限は特に制限されないが、保持温度が350℃以上である場合は、応力緩和が生じてガラス強度が低下することを防ぐ点から、保持時間は2時間以下であることが好ましく、1時間以下がより好ましい。保持温度が315℃以上、350℃未満である場合には、応力緩和が生じてガラス強度が低下することを防ぐ点から、4時間以下であることが好ましく、2時間以下であることがより好ましい。

0038

好ましい保持温度および保持時間は、硝材やガラスサイズによって異なるものの、イオン交換する工程直後(溶融塩から引き上げた直後)のガラス質量W1と、保持する工程後のガラス質量W2との差(W1−W2)がガラス2500mm2当たり0.15g(0.15g/2500mm2)以上であると、ガラスから溶融塩が取り除かれ、凹み状の欠点が非常に少ない化学強化ガラスとすることができることから好ましい。(W1−W2)の値はイオン交換する工程の直後と保持する工程の後における、ガラスに付着した無機塩の質量差に相当する。
(W1−W2)の値は0.20g/2500mm2以上がより好ましく、0.25g/2500mm2以上がさらに好ましい。なお、W1、W2にはガラスに付着した無機塩の質量が含まれることから、(W1−W2)の値は、ガラスを保持する工程中に取り除かれた無機塩の質量と換言することができる。

0039

イオン交換する工程において溶融塩に浸漬したガラスを引き上げて保持する工程に供する際のガラス板の向きは特に制限されない。
例えば、浸漬後に、a.ガラス板の2辺を地面に対して平行に、残りの2辺を地面に対して垂直に、かつガラス板表面を地面に対して垂直になるように引き上げてもよく、b.ガラス板の2辺を地面に対して平行に、残りの2辺を地面に対して斜めにし、ガラス板表面が地面に対して斜めに保持した状態に傾けて引き上げてもよく、また、c.ガラス板の4辺すべてが地面に対して斜めになっており、ガラス板の一つの頂点が一番下になるように、かつガラス板表面を地面に対して垂直に保持した状態で対角状に引き上げてもよい。
上記a.にすることで、引き上げ直後におけるガラス下部の液溜まりを均一にすることができる。また、上記b.にすることで複数のガラス板を一度に化学強化処理する場合であっても、ガラス板同士がくっつくことを防ぐことができる。また、上記c.にすることで液溜まりの総量を減らすことができ、再利用に供する溶融塩量を増やすことができる。

0040

保持する工程における雰囲気は特に制限されない。例えば、大気中で保持することが生産性向上の点から好ましい。

0041

(洗浄する工程1(第1洗浄工程))
本発明に係る製造方法では、保持する工程の後にガラスを冷却し、次いでガラスを洗浄する。第1洗浄工程では工水イオン交換水等を用いてガラスの洗浄を行う。工水は必要に応じて処理したものを用いる。中でもイオン交換水が好ましい。
洗浄の条件は用いる洗浄液によっても異なるが、イオン交換水を用いる場合には0〜100℃で洗浄することが付着した塩を完全に除去させる点から好ましい。
第1洗浄工程では、イオン交換水等が入っている水槽に化学強化ガラスを浸漬する方法や、ガラス表面を流水さらす方法、シャワーにより洗浄液をガラス表面に向けて噴射する方法等、様々な方法を用いることができる。

0042

(酸処理する工程)
本発明に係る製造方法では、前記第1洗浄工程の後にガラスを酸処理する工程を行う。
ガラスの酸処理とは、酸性溶液中に、化学強化ガラスを浸漬させることによって行い、これにより化学強化ガラス表面のNa及び/又はKをHに置換することができる。すなわち、ガラス表面には圧縮応力層の表層変質した、具体的には低密度化された、低密度層をさらに有することとなる
溶液は酸性であれば特に制限されずpH7未満であればよく、用いられる酸が弱酸であっても強酸であってもよい。具体的には塩酸硝酸硫酸リン酸酢酸シュウ酸炭酸及びクエン酸等の酸が好ましい。これらの酸は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。

0043

酸処理を行う温度は、用いる酸の種類や濃度、時間によっても異なるが、100℃以下で行うことが好ましい。
酸処理を行う時間は、用いる酸の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒〜5時間が生産性の点から好ましく、1分〜2時間がより好ましい。
酸処理を行う溶液の濃度は、用いる酸の種類や時間、温度によって異なるものの、容器腐食の懸念が少ない濃度が好ましく、具体的には0.1重量%〜20重量%が好ましい。

0044

低密度層は、後述するアルカリ処理により除去されるため、低密度層が厚いほどガラス表面が除去されやすい。したがって低密度層の厚みはガラス表面除去量の観点から5nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。低密度層の厚みは化学強化工程における融剤濃度、ナトリウム濃度、温度、時間等により制御することができる。

0045

低密度層の密度はガラス表面除去性の観点から、イオン交換された圧縮応力層よりも深い領域(バルク)の密度に比べて低いことが好ましい。

0046

低密度層の厚みはX線反射率法(X−ray−Reflectometry:XRR)によって測定した周期(Δθ)から求めることができる。
低密度層の密度はXRRによって測定した臨界角(θc)により求めることができる。
なお、簡易的には走査型電子顕微鏡(SEM)でガラスの断面を観察することによって、低密度層の形成と層の厚みを確認することも可能である。

0047

(洗浄する工程2(第2洗浄工程))
酸処理する工程の終了後、第1洗浄工程と同様の洗浄工程を有することが好ましい。

0048

(アルカリ処理する工程)
本発明の製造方法では、酸処理する工程及び第2洗浄工程を経た後、アルカリ処理する工程を行う。
アルカリ処理とは、塩基性の溶液中に、化学強化ガラスを浸漬させることによって行い、これにより低密度層の一部又は全部を除去することができる。
溶液は塩基性であれば特に制限されずpH7超であればよく、弱塩基を用いても強塩基を用いてもよい。具体的には水酸化ナトリウム水酸化カリウム炭酸カリウム炭酸ナトリウム等の塩基が好ましい。これらの塩基は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。

0049

アルカリ処理を行う温度は、用いる塩基の種類や濃度、時間によっても異なるが、0〜100℃が好ましく、10〜80℃がより好ましく、20〜60℃が特に好ましい。かかる温度範囲であればガラスが腐食するおそれがなく好ましい。
アルカリ処理を行う時間は、用いる塩基の種類や濃度、温度によっても異なるものの、10秒間〜5時間が生産性の点から好ましく、1分間〜2時間がより好ましい。
アルカリ処理を行う溶液の濃度は、用いる塩基の種類や時間、温度によって異なるものの、ガラス表面除去性の観点から0.1重量%〜20重量%が好ましい。

0050

上記アルカリ処理により、Hが侵入した低密度層の一部又は全部が除去され、これにより面強度が向上した化学強化ガラスを得ることができる。さらに、低密度層が除去されることでガラス表面に存在していた傷も同時に除去されるので、この点も強度向上に寄与すると考えられる。

0051

(洗浄する工程3(第3洗浄工程))
アルカリ処理する工程の終了後、第1洗浄工程と同様の洗浄工程を有することが好ましい。

0052

<化学強化ガラス>
上記本発明の製造方法により得られる化学強化ガラスは、表層にイオン交換法により形成された圧縮応力層を有する化学強化ガラスであって、かつ、表面の凹み状の欠点を少なくすることができる。

0053

(ガラス表面の凹み状欠点
得られた化学強化ガラスの表面における凹み状欠点の有無は、レーザ顕微鏡による観察、または暗室での目視により確認することができる。化学強化処理を終えた溶融塩から引き上げられたガラスは、保持する工程で下部となった部分や、ガラスを把持している部分に液溜まりが生じる。そのため、当該液溜まり付近に凹み状欠点がないかを確認する。

0054

以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。

0055

評価方法
(ガラスの評価:凹み状欠点)
化学強化ガラスに対して、化学強化工程から保持する工程において液溜まりとなるガラス最下部に位置する部分を、レーザ顕微鏡により観察した。なお、凹み状欠点は、同条件で得られた化学強化ガラス20枚を観察し、直径1μm以上の凹みが10個以上あるガラスの割合を求めたものである。
なお、実施例2、6、9及び比較例3においては、ガラス最下部に位置する部分の以外で液溜まりとなる部分である、ガラス側部のガラスが把持されている部分についても観察した。

0056

<実施例1>
(化学強化工程)
ステンレススチール(SUS)製の槽に硝酸カリウム、炭酸カリウム、硝酸ナトリウムを、炭酸カリウム6mol%、ナトリウム10000重量ppmとなるよう混合して加え、ヒーターで450℃まで加熱して溶融塩を調製した。このとき無機塩(溶融塩)の平衡蒸気圧下における融点は約335℃であった。244mm×172mm×0.56mmのアルミノシリケートガラスAを用意し、200〜400℃に予熱した後、435℃の溶融塩に2時間浸漬し、イオン交換処理を行った。この時、ガラス板の2辺を地面に対して平行に、残りの2辺を地面に対して垂直に、かつガラス板表面を地面に対して垂直になるように浸漬した。
アルミノシリケートガラスA組成(モル%表示):SiO2 64.4%、Al2O3 8.0%、Na2O 12.5%、K2O 4.0%、MgO 10.5%、CaO 0.1%、SrO 0.1%、BaO 0.1%、ZrO2 0.5%

0057

(保持する工程)
上記で得られたガラスを真っ直ぐ上方に引き上げ、そのまま大気下350℃で15分保持した。その後、室温まで自然放冷した。
ガラス温度が室温まで下がったのを確かめた後、60℃の純水に30分浸漬した後、常温の純水に10分浸漬し、その後大気中に放置することにより自然乾燥した。こうして得られたガラスを次の工程に供した。

0058

(酸処理工程、洗浄工程)
6重量%の硝酸(HNO3;大塚化学社製)をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。前記化学強化工程で得られたガラスを、調製した硝酸中に120秒間浸漬させ、酸処理を行った。その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。

0059

(アルカリ処理工程、洗浄工程)
4.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液をビーカーに用意し、ウォーターバスを用いて40℃に温度調整を行った。酸処理工程及び洗浄工程を経たガラスを、調製した水酸化カリウム水溶液中に120秒間浸漬させ、アルカリ処理を行った。その後純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。
上より、実施例1の化学強化ガラスを得た。

0060

<実施例2>
保持する工程における保持時間を60分とした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
<実施例3>
保持する工程における保持時間を3分とした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。

0061

<実施例4>
化学強化工程において、ガラス板の2辺を地面に対して平行に、残りの2辺を地面に対して斜めにし、ガラス板表面が地面に対して斜めに保持した状態に傾けた状態で溶融塩に浸漬し、そのままガラスを真っ直ぐ上方に引き上げて保持する工程に供した以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
<実施例5>
保持する工程における保持時間を30分とした以外は実施例4と同様に化学強化ガラスを製造した。
<実施例6>
保持する工程における保持時間を60分とした以外は実施例4と同様に化学強化ガラスを製造した。
<実施例7>
保持する工程における保持温度を330℃、保持時間を60分とした以外は実施例4と同様に化学強化ガラスを製造した。
<実施例8>
保持する工程における保持温度を315℃、保持時間を60分とした以外は実施例4と同様に化学強化ガラスを製造した。

0062

<実施例9>
化学強化工程において、ガラス板の4辺すべてが地面に対して斜めになっており、ガラス板の一つの頂点が一番下になるように、かつガラス板表面を地面に対して垂直に保持した状態で溶融塩に浸漬し、そのままガラスを対角状に引き上げて保持する工程に供した以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。

0063

<比較例1>
保持する工程における保持温度を300℃とした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。
<比較例2>
保持する工程における保持温度を300℃とし、保持時間を60分にした以外は実施例1と同様に化学強化ガラスを製造した。

0064

<比較例3>
保持する工程における保持温度を300℃とし、保持時間を60分にした以外は実施例4と同様に化学強化ガラスを製造した。

0065

こうして得られた化学強化ガラスについて凹み状欠点の評価を行なった。各化学強化ガラスの保持する工程の条件、凹み状欠点の結果を表1に示す。
なお、表1中、保持の「向き」において、「a」とはガラス板の2辺を地面に対して平行に、残りの2辺を地面に対して垂直に、かつガラス板表面を地面に対して垂直に保持した状態を意味する。「b」とはガラス板の2辺を地面に対して平行に、残りの2辺を地面に対して斜めし、ガラス板表面が地面に対して斜めに保持した状態を意味する。「c」とはガラス板の4辺すべてが地面に対して斜めになっており、ガラス板の一つの頂点を最下方に向いており、かつガラス板表面を地面に対して垂直に保持した状態を意味する。
また、凹み状欠点の「下部」とは、保持する工程において最下部に位置し、液溜まりとなっていた部分を意味し、「把持部」とは、化学強化工程及び保持する工程において、ガラス板を把持している部分を意味し、最下部ほどではないものの、少量の液溜だまりとなる。

0066

実施例

0067

硝材の大きさを50mm×50mm×0.56mm(主面の面積2500mm2×厚み0.56mm)にした以外は実施例1と同様に化学強化工程を行い、化学強化工程前のガラス板の質量と、化学強化工程直後であって保持する工程に供する前(保持時間0秒)のガラス板の質量との差を求めることで、ガラス板に付着している塩の質量を求めた。同様に、化学強化工程後に300℃で30秒、1分、2分、4分、6分、8分及び10分保持した後のガラス板の質量から、それぞれのガラス板に付着している塩の質量を求めた。結果を図1に示す。
これより、保持時間を3分以上とすると、化学強化工程(イオン交換する工程)の直後と保持する工程の後におけるガラスに付着した無機塩の質量差は0.15g/2500mm2以上となる。この質量差はガラスを保持する工程中に取り除かれた無機塩の質量とみなすことができることから、該ガラスに付着した無機塩の質量差が0.15g/2500mm2以上であれば、ガラスから溶融塩が十分に取り除かれ、凹み状の欠点が非常に少ない化学強化ガラスとすることができることが分かった。なお、ガラスの厚みは無視できるくらい小さいものとする。
硝材やガラスサイズ、保持温度等を変えて同様の試験をすることにより、各硝材やサイズにおける適切な保持温度や保持時間を事前予測することが可能である。

0068

本発明によれば、ガラス表面の凹み状欠点が非常に少ない化学強化ガラスを容易に得ることができる。本発明に係る化学強化ガラスは、美観に優れることから、携帯電話、デジタルカメラまたはタッチパネルディスプレイ等のディスプレイ用カバーガラスに好適に用いることができる。

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