図面 (/)

技術 熱間鍛造方法及びガラス潤滑剤

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 柿本英樹室屋勇希本田恭英長田卓小野公輔百田悠介吉田和樹
出願日 2015年11月11日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-221323
公開日 2016年12月22日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2016-215275
状態 特許登録済
技術分野 鍛造 潤滑剤 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード 温度公差 表面空隙率 ガラス潤滑剤 ビレット材 表面積拡大率 被鍛造材 本ガラス 未溶融状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

焼付きの発生を低減可能な熱間鍛造方法を提供すること。

解決手段

熱間鍛造方法であって、Ti、Ti合金、Ni、Ni合金超合金及びステンレス鋼の中から選択された被加工材の表面にガラス潤滑剤被膜が形成されるように前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布するガラス潤滑剤塗布工程と、前記ガラス潤滑剤の被膜を乾燥させることにより前記被加工材及び前記被膜を有する被鍛造材を形成する乾燥工程と、鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造する熱間鍛造工程と、を含み、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときに前記ガラス潤滑剤の被膜の表面粗さが20μm以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布すること。

概要

背景

従来、航空機や車両のエンジン等には、チタン合金熱間鍛造することにより形成された部材が用いられることがある。チタン合金を熱間鍛造する方法として、例えば、特許文献1には、チタン合金等の被加工材の表面にガラス潤滑剤を塗布することによって当該表面にガラス潤滑剤の被膜を形成するガラス潤滑剤塗布工程と、ガラス潤滑剤の被膜が形成された被加工材を鍛造温度に加熱した状態で金型を用いて鍛造する熱間鍛造工程と、を備える熱間鍛造方法が開示されている。ガラス潤滑剤の塗布(被膜の形成)は、熱間鍛造工程における被加工材と金型との間に生じる摩擦低減効果や被加工材の保温効果を得る等の目的で行われる。

概要

焼付きの発生を低減可能な熱間鍛造方法を提供すること。熱間鍛造方法であって、Ti、Ti合金、Ni、Ni合金超合金及びステンレス鋼の中から選択された被加工材の表面にガラス潤滑剤の被膜が形成されるように前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布するガラス潤滑剤塗布工程と、前記ガラス潤滑剤の被膜を乾燥させることにより前記被加工材及び前記被膜を有する被鍛造材を形成する乾燥工程と、鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造する熱間鍛造工程と、を含み、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときに前記ガラス潤滑剤の被膜の表面粗さが20μm以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布すること。なし

目的

本発明の目的は、焼付きの発生を低減可能な熱間鍛造方法及び当該熱間鍛造方法で用いられるガラス潤滑剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

Ti、Ti合金、Ni、Ni合金超合金及びステンレス鋼の中から選択された被加工材の表面にガラス潤滑剤被膜が形成されるように前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布するガラス潤滑剤塗布工程と、前記ガラス潤滑剤の被膜を乾燥させることにより前記被加工材及び前記被膜を有する被鍛造材を形成する乾燥工程と、鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造する熱間鍛造工程と、を含み、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときに前記ガラス潤滑剤の被膜の表面粗さが20μm以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布する、熱間鍛造方法

請求項2

請求項1に記載の熱間鍛造方法において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときに前記ガラス潤滑剤の被膜の表面空隙率が50%以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布する、熱間鍛造方法。

請求項3

請求項1又は2に記載の熱間鍛造方法において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記ガラス潤滑剤の被膜の厚さが0.1mm以上0.6mm以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布する、熱間鍛造方法。

請求項4

請求項1ないし3のいずれかに記載の熱間鍛造方法において、前記熱間鍛造工程では、700℃以上1200℃以下の鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造する、熱間鍛造方法。

請求項5

請求項1ないし4のいずれかに記載の熱間鍛造方法において、前記熱間鍛造工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度下に0.5時間以上保持した後に当該被鍛造材を鍛造する、熱間鍛造方法。

請求項6

請求項1ないし5のいずれかに記載の熱間鍛造方法において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布する前に、前記被加工材を50℃以上150℃以下に予熱する、熱間鍛造方法。

請求項7

請求項1ないし6のいずれかに記載の熱間鍛造方法において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被加工材として、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−5Al−2Sn−2Zr−4Mo−4Cr、Ti−5Al−5V−5Mo−3Cr、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Moのいずれかに前記ガラス潤滑剤を塗布する、熱間鍛造方法。

請求項8

請求項1ないし7のいずれかに記載の熱間鍛造方法において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記鍛造温度において10^5.1Pa・s以下の粘度となるガラス潤滑剤を用いる、熱間鍛造方法。

請求項9

Ti、Ti合金、Ni、Ni合金、超合金及びステンレス鋼の中から選択された被加工材の表面にガラス潤滑剤の被膜が形成されるように前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布するガラス潤滑剤塗布工程と、前記ガラス潤滑剤の被膜を乾燥させることにより前記被加工材及び前記被膜を有する被鍛造材を形成する乾燥工程と、鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造する熱間鍛造工程と、を含む熱間鍛造方法の前記ガラス潤滑剤塗布工程で用いられるガラス潤滑剤であって、前記鍛造温度において10^5.1Pa・s以下の粘度となる、ガラス潤滑剤。

技術分野

0001

本発明は、熱間鍛造方法に関する。

背景技術

0002

従来、航空機や車両のエンジン等には、チタン合金熱間鍛造することにより形成された部材が用いられることがある。チタン合金を熱間鍛造する方法として、例えば、特許文献1には、チタン合金等の被加工材の表面にガラス潤滑剤を塗布することによって当該表面にガラス潤滑剤の被膜を形成するガラス潤滑剤塗布工程と、ガラス潤滑剤の被膜が形成された被加工材を鍛造温度に加熱した状態で金型を用いて鍛造する熱間鍛造工程と、を備える熱間鍛造方法が開示されている。ガラス潤滑剤の塗布(被膜の形成)は、熱間鍛造工程における被加工材と金型との間に生じる摩擦低減効果や被加工材の保温効果を得る等の目的で行われる。

先行技術

0003

特開2014−213365号公報

発明が解決しようとする課題

0004

一般に、特許文献1に記載されるような熱間鍛造方法では、熱間鍛造工程における被加工材の金型への焼付きをより確実に防止したいというニーズがある。

0005

本発明の目的は、焼付きの発生を低減可能な熱間鍛造方法及び当該熱間鍛造方法で用いられるガラス潤滑剤を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、被加工材の金型への焼付きには、ガラス潤滑剤の被膜の表面粗さが関係していることを見出した。具体的に、熱間鍛造時には、被加工材の表面積が拡大することによって当該被加工材に新生面が形成されるが、被膜のうち相対的に膜厚の小さな部位は、被加工材の新生面の形成時に、その形成に追随しながら当該新生面を十分に被覆することができず、これにより被加工材の表面に膜切れの部位(被加工材の表面がガラス潤滑剤で十分に被覆されていない部位)が生じる場合があることを見出した。この場合、被加工材の金型への焼付きが生じやすい。

0007

よって、被膜のうち相対的に膜厚が小さな部位にも十分に大きな膜厚が確保されるように被膜のうち相対的に膜厚の大きな部位と相対的に膜厚の小さな部位との差を小さくすることにより、つまり、被膜の表面粗さを小さくすることにより、熱間鍛造時における被膜の膜切れが抑制され、これにより被加工材の金型への焼付きの発生を抑制可能であることに想到した。

0008

本発明はこのような観点からなされたものであり、Ti、Ti合金、Ni、Ni合金超合金及びステンレス鋼の中から選択された被加工材の表面にガラス潤滑剤の被膜が形成されるように前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布するガラス潤滑剤塗布工程と、前記ガラス潤滑剤の被膜を乾燥させることにより前記被加工材及び前記被膜を有する被鍛造材を形成する乾燥工程と、鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造する熱間鍛造工程と、を含み、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときに前記ガラス潤滑剤の被膜の表面粗さが20μm以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布する、熱間鍛造方法を提供する。

0009

本熱間鍛造方法によれば、熱間鍛造工程における被膜の表面粗さが20μm以下となるので、つまり、被膜のうち相対的に膜厚の小さな部位と大きな部位との差が小さくなることにより前記膜厚の小さな部位にも十分に大きな膜厚が確保されるので、熱間鍛造工程において、被膜は、被加工材への新生面の形成に有効に追随しながら当該新生面を被覆する。このため、熱間鍛造工程における被膜の膜切れが抑制され、これにより焼付きの発生が抑制される。さらに、被膜の表面粗さを20μm以下とすることにより、熱間鍛造工程において、被膜中ガラス未溶融状態で泡膨れが発生すること、すなわち、被覆不良が発生することが抑制される。

0010

この場合において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときに前記ガラス潤滑剤の被膜の表面空隙率が50%以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布することが好ましい。

0011

このようにすれば、熱間鍛造工程における焼付きの発生がより確実に抑制される。表面空隙率とは、被膜の所定の面積内に存在する気泡割合を指す。被膜中に気泡が存在すると被膜の膜厚は小さくなるため、表面空隙率を50%以下とすることにより、被膜のうち膜厚が相対的に小さくなる部位が比較的少なくなる。よって、熱間鍛造工程で被加工材に新生面が形成された場合に当該新生面に被膜が良好に追随する。

0012

また、本発明において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記ガラス潤滑剤の被膜の厚さが0.1mm以上0.6mm以下となるように、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布することが好ましい。

0013

このようにすれば、熱間鍛造工程における焼付きの発生が一層抑制される。具体的に、被膜の厚さが0.1mm以上確保されることにより、被膜の新生面への追随時における当該被膜の膜切れが抑制される。また、被膜の厚さが0.6mm以下に設定されることにより、ガラス潤滑剤に含まれるバインダー成分の揮発が促進されるので、被膜への気泡の残存が抑制され、これにより被膜の新生面への追随時における当該被膜の膜切れが抑制される。

0014

また、本発明において、前記熱間鍛造工程では、700℃以上1200℃以下の鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造することが好ましい。

0015

このようにすれば、熱間鍛造工程における被加工材の新生面への被膜の追随が良好になる。具体的に、鍛造温度が700℃以上に設定されることにより、被膜中のガラスの軟化ないし溶融が促進されることで被膜に十分な流動性が確保されるので、熱間鍛造工程において新生面に被膜が良好に追随する。また、鍛造温度が1200℃以下に設定されることにより、溶融状態のガラスが被加工材の表面を流下することにより被膜の厚さが小さくなるといった不具合の発生が抑制される。

0016

また、本発明において、前記熱間鍛造工程では、前記被鍛造材を前記鍛造温度下に0.5時間以上保持した後に当該被鍛造材を鍛造することが好ましい。

0017

このようにすれば、ガラス潤滑剤からバインダー成分が十分に揮発するので、被膜への気泡の残存が抑制される。よって、被膜の新生面への追随時における当該被膜の膜切れが抑制される。

0018

また、本発明において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布する前に、前記被加工材を50℃以上150℃以下に予熱することが好ましい。

0019

このようにすれば、乾燥工程における被膜の乾燥時間が短縮されるとともに、前記ガラス潤滑剤塗布工程におけるガラス潤滑被膜剥離を抑制することができる。

0020

また、本発明において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記被加工材として、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−5Al−2Sn−2Zr−4Mo−4Cr、Ti−5Al−5V−5Mo−3Cr、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Moのいずれかに前記ガラス潤滑剤を塗布することが好ましい。

0021

また、本発明において、前記ガラス潤滑剤塗布工程では、前記鍛造温度において10^5.1Pa・s以下の粘度となるガラス潤滑剤を用いることが好ましい。

0022

このようにすれば、熱間鍛造工程における焼付きの発生がより確実に抑制される。

0023

また、本発明は、Ti、Ti合金、Ni、Ni合金、超合金及びステンレス鋼の中から選択された被加工材の表面にガラス潤滑剤の被膜が形成されるように前記被加工材に前記ガラス潤滑剤を塗布するガラス潤滑剤塗布工程と、前記ガラス潤滑剤の被膜を乾燥させることにより前記被加工材及び前記被膜を有する被鍛造材を形成する乾燥工程と、鍛造温度において前記被鍛造材を鍛造する熱間鍛造工程と、を含む熱間鍛造方法の前記ガラス潤滑剤塗布工程で用いられるガラス潤滑剤であって、前記鍛造温度において10^5.1Pa・s以下の粘度となる、ガラス潤滑剤を提供する。

0024

本ガラス潤滑剤を用いることにより、熱間鍛造工程において、被膜は、被加工材への新生面の形成に有効に追随しながら当該新生面を被覆するので、熱間鍛造工程における被加工材の金型への焼付きの発生が抑制される。

発明の効果

0025

以上のように、本発明によれば、焼付きの発生を低減可能な熱間鍛造方法及び当該熱間鍛造方法で用いられるガラス潤滑剤を提供することができる。

図面の簡単な説明

0026

熱間鍛造工程における新生面の形成の概要を示す図である。
温度とガラス潤滑剤の粘度との関係を示すグラフである。

0027

以下、本発明の一実施形態の熱間鍛造方法について説明する。本方法は、Ti等の被加工材を熱間鍛造する方法である。本実施形態では、被加工材は、Ti、Ti合金、Ni、Ni合金、超合金及びステンレス鋼の中から選択される。より好ましくは、被加工材として、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−5Al−2Sn−2Zr−4Mo−4Cr、Ti−5Al−5V−5Mo−3Cr、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Moのいずれかが選択される。本方法は、ガラス潤滑剤塗布工程と、乾燥工程と、熱間鍛造工程と、を含んでいる。以下、順に説明する。

0028

(ガラス潤滑剤塗布工程)
この工程は、被加工材の表面にガラス潤滑剤の被膜が形成されるように被加工材にガラス潤滑剤を塗布する工程である。ガラス潤滑剤は、SiO2やB2O3等のガラス粒子であって主に数μm〜数十μmのものと、バインダー成分(樹脂成分)と、水と、を含む液状の潤滑剤である。被加工材の表面へのガラス潤滑剤の塗布の詳細については、後述する。ガラス潤滑剤塗布工程では、被加工材にガラス潤滑剤を塗布する前に、被加工材を50℃〜150℃に予熱することが好ましい。この予熱は、90℃〜150℃で行われることがより好ましい。

0029

(乾燥工程)
本工程は、ガラス潤滑剤の被膜を乾燥させることにより被加工材及び被膜を有する被鍛造材を形成する工程である。この工程では、被膜が形成された被加工材を、ガラス潤滑剤中の水分が除去され、かつ、バインダー成分が状態変化(溶融等)しない温度(例えば、90℃〜150℃)に加熱することにより、被膜を乾燥させる。

0030

(熱間鍛造工程)
本工程は、鍛造温度(例えば700℃〜1200℃)下において被鍛造材を鍛造する工程である。具体的に、加熱炉において鍛造温度に加熱された下金型内に被鍛造材を配置し、この被鍛造材を上金型押圧することにより当該被鍛造材を熱間鍛造する。このとき、図1に示されるように、被加工材の表面積が拡大することによって当該被加工材に新生面が形成される。なお、図1は、環状の被鍛造材の鍛造前後の断面を示している。この工程では、被鍛造材のうち熱間鍛造により最も大きな変形が生じる部位の表面積拡大率鍛造後の被鍛造材の特定の部位の表面積の、鍛造前の被鍛造材の前記特定の部位の表面積、に対する割合)が1.01以上10以下となるように被鍛造材を鍛造する。より好ましくは、この工程では、上記表面積拡大率が6.3以下となるように被鍛造材を鍛造する。また、この工程では、被鍛造材を鍛造温度下に0.5時間以上保持した後に当該被鍛造材を鍛造する。この保持時間は、長い程好ましい。これは、加熱時間が長くなるほどバインダー成分の揮発が促進され、これにより空隙の少ない被膜が形成されるという理由による。

0031

ここで、上述のガラス潤滑剤塗布工程における被加工材の表面へのガラス潤滑剤の塗布の詳細について説明する。ガラス潤滑剤塗布工程では、被鍛造材を鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときにガラス潤滑剤の被膜の表面粗さが20μm以下となるように、被加工材にガラス潤滑剤を塗布する。より好ましくは、この工程では、被膜の表面粗さが10μm以下となるように被加工材にガラス潤滑剤を塗布する。本実施形態では、表面粗さとして算術平均粗さRaを採用している。なお、実際に被鍛造材を鍛造する現場においては、試験にて予め決められたガラス潤滑剤が用いられるため、室温まで冷却して表面粗さを測定する必要はない。以下の表面空隙率の測定においても同様である。

0032

さらに、ガラス潤滑剤塗布工程では、被鍛造材を鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときにガラス潤滑剤の被膜の表面空隙率が50%以下となるように、被加工材にガラス潤滑剤を塗布する。表面空隙率とは、被膜の所定の面積内に存在する気泡割合を指す。

0033

さらに、ガラス潤滑剤塗布工程では、ガラス潤滑剤の被膜の厚さが0.1mm以上0.6mm以下となるように、被加工材にガラス潤滑剤を塗布する。この被膜の厚さは、潤滑剤、鍛造温度(加熱温度)及び加熱時間等を踏まえて設定される。すなわち、被膜の厚さは、被鍛造材を鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときのガラス潤滑剤の被膜の表面粗さが20μm以下となりかつ表面空隙率が50%以下となるように、潤滑剤、鍛造温度(加熱温度)及び加熱時間等を踏まえて設定される。

0034

また、ガラス潤滑剤塗布工程では、鍛造温度において10^4.8Pa・s以下の粘度を有するガラス潤滑剤が用いられる。

0035

以上に説明したように、本熱間鍛造方法では、熱間鍛造工程における被膜の表面粗さが20μm以下となるので、つまり、被膜のうち相対的に膜厚の小さな部位と大きな部位との差が小さくなることにより前記膜厚の小さな部位にも十分に大きな膜厚が確保されるので、熱間鍛造工程において、被膜は、被加工材への新生面の形成に有効に追随しながら当該新生面を被覆する。このため、熱間鍛造工程における被膜の膜切れが抑制され、これにより焼付きの発生が抑制される。さらに、被膜の表面粗さを20μm以下とすることにより、熱間鍛造工程において、被膜中のガラスが未溶融状態で泡膨れが発生すること、すなわち、被覆不良が発生することが抑制される。

0036

また、熱間鍛造工程における被膜の表面空隙率が50%以下となるので、当該熱間鍛造工程における焼付きの発生がより確実に抑制される。具体的に、被膜中に気泡が存在すると被膜の膜厚は小さくなるため、表面空隙率を50%以下とすることにより、被膜のうち膜厚が相対的に小さくなる部位が比較的少なくなる。よって、熱間鍛造工程で被加工材に新生面が形成された場合に当該新生面に被膜が良好に追随する。

0037

また、熱間鍛造工程における被膜の厚さが0.1mm以上0.6mm以下となるので、熱間鍛造工程における焼付きの発生が一層抑制される。具体的に、被膜の厚さが0.1mm以上確保されることにより、被膜の新生面への追随時における当該被膜の膜切れが抑制される。また、被膜の厚さが0.6mm以下に設定されることにより、ガラス潤滑剤に含まれるバインダー成分の揮発が促進されるので、被膜への気泡の残存が抑制され、これにより被膜の新生面への追随時における当該被膜の膜切れが抑制される。

0038

また、熱間鍛造工程では、700℃以上1200℃以下の鍛造温度において被鍛造材を鍛造するので、当該熱間鍛造工程における被加工材の新生面への被膜の追随が良好になる。具体的に、鍛造温度が700℃以上に設定されることにより、被膜中のガラスの軟化ないし溶融が促進されることで被膜に十分な流動性が確保されるので、熱間鍛造工程において新生面に被膜が良好に追随する。また、鍛造温度が1200℃以下に設定されることにより、溶融状態のガラスが被加工材の表面を流下することにより被膜の厚さが小さくなるといった不具合の発生が抑制される。

0039

また、熱間鍛造工程では、被鍛造材を鍛造温度下に0.5時間以上保持した後に当該被鍛造材を鍛造するので、ガラス潤滑剤からバインダー成分が十分に揮発し、これにより被膜への気泡の残存が抑制される。よって、被膜の新生面への追随時における当該被膜の膜切れが抑制される。

0040

また、ガラス潤滑剤塗布工程では、被加工材にガラス潤滑剤を塗布する前に、被加工材を50℃以上150℃以下に予熱するので、乾燥工程における被膜の乾燥時間が短縮されるとともに、前記ガラス潤滑剤塗布工程におけるガラス潤滑被膜の剥離を抑制することができる。

0041

また、ガラス潤滑剤塗布工程では、鍛造温度において10^4.8Pa・s以下の粘度を有するガラス潤滑剤が用いられるので、熱間鍛造工程における焼付きの発生がより確実に抑制される。

0042

なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。

0043

例えば、上記実施形態では、被膜の表面粗さとして算術平均粗さRaが採用されたが、表面粗さとして、最大高さRyや十点平均粗さRzが採用されてもよい。

0044

次に、本熱間鍛造方法の実施例について説明する。この実施例では、被膜の算術平均粗さRaが20μm以下でかつ表面空隙率が50%以下の試験片1〜8(実施例)、及び、被膜の算術平均粗さRaが20μm以上でかつ表面空隙率が50%以上の試験片9〜12(比較例)の作成と、熱間鍛造試験と、を行った。各試験片は、次のようにして作成した。

0045

(1)被加工材として、Ti又はTi合金のブロック材(55mm×46mm×27.5mm)を用意する。

0046

(2)被加工材を90℃で1時間程度予熱し、この表面にガラス潤滑剤を0.1mm〜0.6mm塗布する(ガラス潤滑剤塗布工程)。

0047

(3)ガラス潤滑剤が塗布された被加工材を、150℃で20分加熱することにより被膜を乾燥させ、被鍛造材を形成する(乾燥工程)。

0048

(4)被鍛造材を740℃〜950℃で1時間〜6時間加熱した後に室温まで空冷する。

0049

このようにして作成された試験片1〜12の算術平均粗さRa及び表面空隙率は、表1に示すとおりである。なお、上記(1)の工程で準備するブロック材の材質、上記(2)の工程で塗布するガラス潤滑剤の膜厚、及び、上記(4)の工程の加熱温度及び加熱時間についても、それぞれ表1に示すとおりである。

0050

0051

ここで、算術平均粗さRa及び表面空隙率は、デジタルマイクスコープを用いて算出した。具体的に、算術平均粗さRaは、倍率が100倍に設定されたマイクロスコープにより縦の長さが1mmで横の長さが0.4mmの長方形被覆表面画像を採取し、この画像の長手方向の粗さプロファイルに基づいて算出した。また、表面空隙率は、倍率が200倍に設定されたデジタルマイクロスコープで一辺の長さが0.365mm〜1mmの正方形の被覆表面画像を採取し、この画像内に存在する気泡割合を求めることにより算出した。

0052

また、表1に示される潤滑剤A〜Jは、互いに異なるものであり、材質欄の「純チタン」は、工業用純チタンJIS2種(0.03N+0.08C+0.010H+0.30Fe+0.20O+残Ti)を示す。また、被鍛造材を鍛造温度に加熱するための加熱炉は、当該炉の温度分布を考慮した温度公差が14℃(AMS規格)存在するので、表1の加熱温度は、726℃〜964℃となる。

0053

各試験片(実施例及び比較例)を目視で観察したところ、試験片9〜12(比較例)では、被膜中のガラスが未溶融状態で泡膨れ、すなわち、被覆不良が発生していた。一方、試験片1〜8(実施例)では、被覆不良がなく、被覆状態は良好であった。

0054

ここで、試験片8と試験片9とでは、同種の潤滑剤Gを用いているものの、試験片8の加熱温度に比べて試験片9の加熱温度が低いため、つまり、試験片9では、被膜中のガラスの軟化ないし溶融が十分に促進されなかったため、試験片8では被覆不良が発生しなかったのに対して試験片9では被覆不良が発生したものと推察される。

0055

次に、Ti又はTi合金のビレット材を用意し、上記(2)〜(4)の工程とほぼ同様の工程で熱間鍛造試験を行った。具体的には、以下のとおりである。

0056

まず、ガラス潤滑剤塗布工程を行った。すなわち、0.1mm〜0.6mmの被膜が形成されるようにTi又はTi合金のビレット材にガラス潤滑剤を塗布した。この工程は、上記(2)の工程と同じである。

0057

その後、被膜が形成されたビレット材を150℃で20分加熱することによって被膜を乾燥させ、被鍛造材を形成した。この工程は、上記(3)の工程と同じである。

0058

続いて、熱間鍛造工程を行った。この工程は、上記(4)の工程の一部(被鍛造材を740℃〜950℃で1時間〜6時間加熱する工程)と同じである。すなわち、被鍛造材を740℃〜950℃で1時間〜6時間加熱した後にこれをSKD61製の下金型に配置し、この被鍛造材を上金型で押圧することにより当該被鍛造材を熱間鍛造した。この工程での各試験片の表面積拡大率は、表1に示すとおりである。

0059

そして、熱間鍛造工程により形成された鍛造材の上記金型からの脱型後、その鍛造材の表面を目視で観察した。この結果、表1に示されるように、試験片1〜8と同じ条件(材質、加熱温度、加熱時間、膜厚、表面粗さ、表面空隙率)で熱間鍛造されたものには焼付きが確認されず、試験片9〜12と同じ条件で熱間鍛造されたものには焼付きが確認された。

0060

上より、鍛造温度まで加熱した後に室温まで冷却したときの被膜の表面粗さ(算術平均粗さRa)が20μm以下、より好ましくは10μm以下となり、また、被膜の表面空隙率が50%以下となるように被加工材にガラス潤滑剤を塗布することにより、被覆不良や焼付きの発生を抑制することが可能となる。

0061

さらに、潤滑剤K及び潤滑剤Lを用いて、上記と同様に試験片13〜19(実施例)、及び、試験片20〜21(比較例)の作成と、熱間鍛造試験と、を追加的に行った。この結果は、表2に示すとおりである。また、この試験で用いた潤滑剤K及び潤滑剤Lの温度と粘度との関係は、図2に示すとおりである。図2では、横軸は温度を示し、縦軸は粘度を示している。なお、図2の縦軸の値は、10に対する指数を表す。つまり、縦軸の値が4.8の場合、粘度は、10^4.8Pa・sである。図2に示されるように、潤滑剤Kは、約740℃以上において粘度が10^4.8Pa・s以下となり、潤滑剤Lは、約920℃以上において粘度が10^4.8Pa・s以下となる。

0062

0063

表2に示されるように、潤滑剤Lを用いて950℃の加熱温度で熱間鍛造した場合(試験片18〜19)に、熱間鍛造されたものには焼付きが確認されなかった。このときの潤滑剤Lの粘度は、約10^4.5Pa・sであった。しかし、加熱温度が740℃の場合に潤滑剤Lを用いて熱間鍛造をすると(試験片20〜21)、熱間鍛造されたものには焼付きが確認された。このときの潤滑剤Lの粘度は約10^7.5Pa・sであった。

0064

加熱温度が740℃の場合に、潤滑剤Lに代えて潤滑剤Kを用いて熱間鍛造を行うと(試験片13〜17)、熱間鍛造されたものには焼付きが確認されなかった。このときの潤滑剤Kの粘度は約10^4.8Pa・sであった。

0065

以上に説明したように、加熱温度が950℃の場合と740℃の場合とで、焼付きが確認されなかった潤滑剤の粘度は10^4.5Pa・s、10^4.8Pa・sであり、焼付きが発生しないための潤滑剤の粘度は、熱間鍛造時の加熱温度に影響してほとんど変化するものではないことが判る。

0066

次に、焼付きが発生しないための潤滑剤の粘度をより精緻に特定するため表3に示す試験を行った。

0067

表3では、潤滑剤K及び潤滑剤Lを用いて、試験片22〜25の作成と、熱間鍛造試験と、を追加的に行った結果を示している。

0068

0069

試験片22では、潤滑剤Lを用いて930℃の加熱温度で熱間鍛造が行われたが、焼付きが確認されなかった。当該加熱温度での潤滑剤Lの粘度は約10^4.6Pa・sであった。なお、表3の粘度の指数の部分は小数第2位以下を四捨五入している。試験片23の場合も同様に潤滑剤Lが用いられ、889℃の加熱温度で熱間鍛造したが、焼付きが確認されなかった。当該加熱温度での潤滑剤Lの粘度は約10^5.1Pa・sであった。試験片24についても潤滑剤Lを用い、加熱温度900℃にて熱間鍛造したが焼付きが確認されなかった。潤滑剤Lの粘度は約10^5.0Pa・sであった。

0070

試験片25では、潤滑剤Kを用いて734℃の加熱温度で熱間鍛造が行われたが、焼付きが確認されなかった。当該加熱温度での潤滑剤Kの粘度は約10^4.8Pa・sであった。

実施例

0071

以上に説明したように、本試験では、潤滑剤Lの粘度が最大で10^5.1Pa・sであっても、焼付きが確認されなかった。したがって、熱間鍛造時の加熱温度(鍛造温度)における粘度が10^5.1Pa・s以下の範囲となるようなガラス潤滑剤を用いることにより、焼き付きが防止される、すなわち、被膜の新生面への追随が適切になされることが推定される。なお、より好ましくは、より確実に焼き付きを防止するため粘度が10^4.8Pa・s以下の潤滑剤が用いられる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ