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技術 電極積層体の製造方法

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 井上裕之佐藤仁久保博紀
出願日 2015年5月8日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2015-096061
公開日 2016年12月15日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2016-213069
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード 固体要素 集合数 カーボンナノ繊維 固体電解質スラリー スラリー層 金属異物 正極電極体 負極電極体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月15日)のものです。
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図面 (8)

課題

本発明は、電池の製造にかかる工程数を削減し、短絡を抑制し、かつ電池の性能を向上させることができる電極積層体の製造方法を提供することを目的とする。

解決手段

集電体層活物質層、及び電解質層を有している電極積層体を製造する本発明の方法は、集電体の表面に活物質スラリーを塗布して活物質スラリー層を形成し、活物質スラリー層の表面に電解質スラリーを塗布して電解質スラリー層を形成することを含む。また、活物質スラリーが、酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、電解質スラリーが、酪酸ブチル又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より高くなっている。

概要

背景

近年、電解液固体電解質置換した全固体電池が注目されている。電解液を用いる二次電池と比較して、全固体電池は、電解液を用いないことから、過充電に起因する電解液の分解等を生じることなく、更に、高いサイクル耐久性及びエネルギー密度を有している。

このような全固体電池の製造方法は、一般に、集電体層の上に活物質スラリーを塗工した後に、これを乾燥又は仮焼成し、かつ乾固した活物質層を形成し、次に、乾固した活物質層の上に固体電解質スラリーを塗工し、これを乾燥又は仮焼成する工程を含んでいる。したがって、スラリー状の原材料を使用している層を2以上積層させた積層体では、少なくとも、スラリー状の原材料を乾燥させる工程を2以上含むため、製造にかかる工程数の増加及び時間の長期化を回避できないという問題がある。そのため、かかる課題の解決が望まれている。

特許文献1の二次電池の製造方法は、第1の集電体上に正極活物質スラリー層、固体電解質スラリー層、及び負極活物質スラリー層を乾燥させずに積層塗布した後に、それらのスラリー層をまとめて乾燥し、そして、第2の集電体を重ね合わせる工程を含む。この二次電池の製造方法では、高容量の二次電池を高い生産性で作製することができるとされている。

特許文献2のリチウムイオン電池の製造方法は、集電体上に活物質を含むスラリーを塗布し、この活物質を含むスラリー上に無機粒子等を含むスラリーを塗布する工程と、これらのスラリーを乾燥させることにより、集電体層上に活物質層を形成し、かつこの活物質層上に無機粒子等を含む電解質層を形成する工程とを含んでいる。このリチウムイオン電池の製造方法では、従来の複数の工程中に混入する可能性のあった金属異物について、その混入を防止して、内部短絡を抑制することができるとされている。

特許文献3の全固体電池の製造方法は、負極活物質層の表面へ固体電解質スラリーを塗工し、これを乾燥させ、負極電極体を作製する工程と、正極活物質層の表面へ固体電解質スラリーを塗工し、これを乾燥させ、正極電極体を作製する工程と、負極電極体の固体電解質層側及び正極電極体の固体電解質層側を重ね合わせ、加熱プレスする接合工程とを有している。この全固体電池の製造方法では、当該負極電極体の固体電解質層及び正極電極体の固体電解質層の少なくとも一方はガラス系固体電解質である、としている。

なお、特許文献4の固体電池用電極の製造方法は、活物質、固体電解質、バインダー、及び、溶媒混練してスラリー状の電極組成物を作製する混練工程と、作製したスラリー状の電極組成物を塗工する塗工工程と、塗工されたスラリー状の電極組成物を乾燥する乾燥工程とを有している。この固体電池用電極の製造方法では、溶媒に、バインダーの良溶媒及びバインダーの貧溶媒が含まれており、かつバインダーの良溶媒としてのヘプタン及びバインダーの貧溶媒としての酪酸ブチルが列挙されている。

概要

本発明は、電池の製造にかかる工程数を削減し、短絡を抑制し、かつ電池の性能を向上させることができる電極積層体の製造方法を提供することを目的とする。集電体層、活物質層、及び電解質層を有している電極積層体を製造する本発明の方法は、集電体の表面に活物質スラリーを塗布して活物質スラリー層を形成し、活物質スラリー層の表面に電解質スラリーを塗布して電解質スラリー層を形成することを含む。また、活物質スラリーが、酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、電解質スラリーが、酪酸ブチル又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より高くなっている。

目的

本発明は、電池の製造にかかる工程数を削減し、短絡を抑制し、かつ電池の性能を向上させることができる電極積層体の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

集電体層活物質層、及び固体電解質層を有している電極積層体の製造方法であって、前記集電体層の表面に活物質スラリーを塗布して活物質スラリー層を形成し、前記活物質スラリー層の表面に電解質スラリーを塗布して電解質スラリー層を形成することを含み、前記活物質スラリーが、酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、前記電解質スラリーが、酪酸ブチル、又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、前記活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、前記電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より高い、電極積層体の製造方法。

請求項2

前記電解質スラリー層の表面に別の活物質スラリーを塗布して別の活物質スラリー層を形成することを含み、前記別の活物質スラリーが、酪酸ブチル、又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、前記電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、前記別の活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度以上である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、0質量%超60質量%以下である、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

前記電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、0質量%以上50質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法で製造された電極積層体を具備している全固体電池

技術分野

0001

本発明は、電極積層体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、電池の製造にかかる工程数を削減し、短絡を抑制し、かつ電池の性能を向上させることができる電極積層体の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、電解液固体電解質置換した全固体電池が注目されている。電解液を用いる二次電池と比較して、全固体電池は、電解液を用いないことから、過充電に起因する電解液の分解等を生じることなく、更に、高いサイクル耐久性及びエネルギー密度を有している。

0003

このような全固体電池の製造方法は、一般に、集電体層の上に活物質スラリーを塗工した後に、これを乾燥又は仮焼成し、かつ乾固した活物質層を形成し、次に、乾固した活物質層の上に固体電解質スラリーを塗工し、これを乾燥又は仮焼成する工程を含んでいる。したがって、スラリー状の原材料を使用している層を2以上積層させた積層体では、少なくとも、スラリー状の原材料を乾燥させる工程を2以上含むため、製造にかかる工程数の増加及び時間の長期化を回避できないという問題がある。そのため、かかる課題の解決が望まれている。

0004

特許文献1の二次電池の製造方法は、第1の集電体上に正極活物質スラリー層、固体電解質スラリー層、及び負極活物質スラリー層を乾燥させずに積層塗布した後に、それらのスラリー層をまとめて乾燥し、そして、第2の集電体を重ね合わせる工程を含む。この二次電池の製造方法では、高容量の二次電池を高い生産性で作製することができるとされている。

0005

特許文献2のリチウムイオン電池の製造方法は、集電体上に活物質を含むスラリーを塗布し、この活物質を含むスラリー上に無機粒子等を含むスラリーを塗布する工程と、これらのスラリーを乾燥させることにより、集電体層上に活物質層を形成し、かつこの活物質層上に無機粒子等を含む電解質層を形成する工程とを含んでいる。このリチウムイオン電池の製造方法では、従来の複数の工程中に混入する可能性のあった金属異物について、その混入を防止して、内部短絡を抑制することができるとされている。

0006

特許文献3の全固体電池の製造方法は、負極活物質層の表面へ固体電解質スラリーを塗工し、これを乾燥させ、負極電極体を作製する工程と、正極活物質層の表面へ固体電解質スラリーを塗工し、これを乾燥させ、正極電極体を作製する工程と、負極電極体の固体電解質層側及び正極電極体の固体電解質層側を重ね合わせ、加熱プレスする接合工程とを有している。この全固体電池の製造方法では、当該負極電極体の固体電解質層及び正極電極体の固体電解質層の少なくとも一方はガラス系固体電解質である、としている。

0007

なお、特許文献4の固体電池用電極の製造方法は、活物質、固体電解質、バインダー、及び、溶媒混練してスラリー状の電極組成物を作製する混練工程と、作製したスラリー状の電極組成物を塗工する塗工工程と、塗工されたスラリー状の電極組成物を乾燥する乾燥工程とを有している。この固体電池用電極の製造方法では、溶媒に、バインダーの良溶媒及びバインダーの貧溶媒が含まれており、かつバインダーの良溶媒としてのヘプタン及びバインダーの貧溶媒としての酪酸ブチルが列挙されている。

先行技術

0008

特開2010−113819号公報
特開2013−127857号公報
特開2015−008073号公報
特開2013−118143号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明者らは、特許文献1の方法のように、活物質スラリー層を乾燥させずにその上に電解質スラリー層を積層する場合、それらの接触面から各スラリー層の固体成分が混じり合い、これによって、電池を使用する際に短絡が生じる可能性があることを見出した。

0010

したがって、本発明は、電池の製造にかかる工程数を削減し、短絡を抑制し、かつ電池の性能を向上させることができる電極積層体の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。

0012

〈1〉集電体層、活物質層、及び固体電解質層を有している電極積層体の製造方法であって、
上記集電体層の表面に活物質スラリーを塗布して活物質スラリー層を形成し、上記活物質スラリー層の表面に電解質スラリーを塗布して電解質スラリー層を形成することを含み、
上記活物質スラリーが、酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、
上記電解質スラリーが、酪酸ブチル、又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、
上記活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、上記電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より高い、
電極積層体の製造方法。
〈2〉上記電解質スラリー層の表面に別の活物質スラリーを塗布して別の活物質スラリー層を形成することを含み、
上記別の活物質スラリーが、酪酸ブチル、又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、
上記電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、上記別の活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度以上である、〈1〉項に記載の方法。
〈3〉上記活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、0質量%超60質量%以下である、〈1〉又は〈2〉項に記載の方法。
〈4〉上記電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、0質量%以上50質量%以下である、〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の方法。
〈5〉〈1〉〜〈4〉項のいずれか一項に記載の方法で製造された電極積層体を具備している全固体電池。

発明の効果

0013

本発明によれば、電池の製造にかかる工程数を削減し、短絡を抑制し、かつ電池の性能を向上させることができる電極積層体の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0014

図1(a)は、比較例1のスラリー積層体の上に正極活物質スラリー層を更に形成したスラリー積層体を、60分にわたって自然乾燥させた際の、電極積層体の断面の走査型電子顕微鏡SEM像)であり、図1(b)は、比較例1のスラリー積層体の上に正極活物質スラリー層を更に形成したスラリー積層体を、4分にわたって100℃で乾燥させた際の、電極積層体の断面のSEM像であり、かつ図1(c)は、比較例1のスラリー積層体の上に正極活物質スラリー層を更に形成したスラリー積層体を、1分にわたって150℃で乾燥させた際の、電極積層体の断面のSEM像である。
図2は、実施例1の電極積層体の断面のSEM像である。
図3は、実施例2の電極積層体の断面のSEM像である。
図4は、実施例3の電極積層体の断面のSEM像である。
図5は、実施例4の電極積層体の断面のSEM像である。
図6は、実施例5の電極積層体の断面のSEM像である。
図7は、比較例1の電極積層体の断面のSEM像である。

0015

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。また、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

0016

本発明において、「スラリー層」とは、形状が不定であるスラリーを層状にした状態を意味する。

0017

本発明において、「スラリー層の固体成分」とは、分散媒、例えば、酪酸ブチル及びヘプタン等を除いた、スラリー層を構成する固体要素全てを意味する。また、本発明において、「活物質スラリー」が正極活物質スラリー又は負極活物質スラリーを意味する場合には、「別の活物質スラリー」は、それぞれ、負極活物質スラリー又は正極活物質スラリーを意味する。

0018

《電極積層体》
本発明の方法では、集電体層、活物質層、及び固体電解質層を有している電極積層体を製造する。

0019

電極積層体の製造方法としては、集電体の上に、活物質スラリーを塗布して乾燥させることによって、活物質層を形成した後に、活物質層の上に、電解質スラリーを塗布して乾燥させることによって、固体電解質層を形成する、ウェットオンドライ方式が知られている。この方式では、乾燥工程の数が多くなること、乾燥工程の前後若しくは最中に金属片等の不純物が混入すること、かつ/又は活物質層と電解質層との間の界面において接着性能が低下すること等の可能性がある。

0020

これに対して、電極積層体を製造する本発明の方法は、集電体の表面に活物質スラリーを塗布して活物質スラリー層を形成し、活物質スラリー層の表面に電解質スラリーを塗布して電解質スラリー層を形成する、いわゆるウェット・オン・ウェット方式を採用している。

0021

上記のウェット・オン・ドライ方式と比較して、ウェット・オン・ウェット方式では、電極積層体の製造にかかる工程数を削減し、時間を節約し、かつ/又は金属片等の不純物が混入する機会を減少させることが可能である。さらに、この方式では、積層されている複数のスラリー層を乾燥又は焼成して作製した、活物質層と電解質層との間の界面において、接着性能を向上させることが可能であり、これによって、電池の導電性耐衝撃性等を向上させることができる。

0022

なお、活物質スラリーを塗布して活物質スラリー層を形成する工程、及び活物質スラリー層の表面に電解質スラリーを塗布して電解質スラリー層を形成する工程は、同時に行ってよく、また順次に行ってもよい。

0023

ここで、本発明者らは、活物質層への電解質層の固体成分の混入及び/又は電解質層への活物質層の固体成分の混入は、積層されている複数のスラリー層を乾燥又は焼成する工程ではなく、活物質スラリー層及び電解質スラリー層を形成する工程において主に生じ得ることを見出した。

0024

電極積層体を製造する本発明の方法では、活物質スラリーが、酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、電解質スラリーが、酪酸ブチル、又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、かつ活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より高くなっている。

0025

これによって、本発明の方法では、活物質スラリー層の上に電解質スラリー層が存在している場合でも、活物質スラリー層の固体成分と電解質スラリー層の固体成分とが混じり合うことを抑制できる。

0026

原理によって限定されるものではないが、本発明の方法において活物質スラリー層の固体成分と、電解質スラリー層の固体成分とが混じり合わない理由は、各スラリー層中の分散媒の表面張力の差にあると考えられる。

0027

分散媒の表面張力が比較的に低い場合には、この分散媒と、この分散媒中に存在しているスラリー層の固体成分とが均一に混合され、この混合状態が比較的に安定性の高い状態にあると考えられる。これに対して、分散媒の表面張力が比較的に高い場合には、この分散媒と、この分散媒中に存在しているスラリー層の固体成分とが均一に混合されているが、この混合状態が比較的に安定性の低い状態にあると考えられる。

0028

したがって、活物質スラリー中の分散媒の表面張力が、電解質スラリー中の分散媒の表面張力より低くなっていることによって、活物質スラリー層が、電解質スラリー層よりも比較的に安定性が高くなり、活物質スラリー層の固体成分と、電解質スラリーの固体成分との混じり合いが、抑制されると考えられる。

0029

これに関して、一般的に、ヘプタンの表面張力は酪酸ブチルの表面張力より低く、かつ分散媒のヘプタンの質量%濃度が高いほど、分散媒の表面張力は低くなる。このため、活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より高くなっていることによって、活物質スラリー層が、電解質スラリー層よりも比較的に安定性が高くなり、活物質スラリー層の固体成分と、電解質スラリーの固体成分との混じり合いが、抑制されると考えられる。

0030

また、各スラリー層の固体成分の混じり合いが抑制されることによって、これら積層されている複数のスラリー層を乾燥及び焼成した後に、活物質層中への電解質層の固体成分の混入を抑制することができ、かつその逆もまた然りである。

0031

これによって、電解質層がセパレーターとしての機能を十分に発揮し、電池の短絡を防止することができる。加えて、電解質層がセパレーターとしての機能を十分に発揮するため、電解質層の厚さを従来より薄くすることができる。これによって、電池のエネルギー密度の向上やコンパクト化を図ることが可能となり、さらに、電池の内部抵抗を低減することが可能となる。

0032

また、任意選択的に、本発明の方法は、電解質スラリー層の表面に別の活物質スラリーを塗布して別の活物質スラリー層を形成することを含む。この場合には、別の活物質スラリーが、酪酸ブチル、又は酪酸ブチル及びヘプタンを含有し、電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が、別の活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度以上である。

0033

これによって、例えば、活物質スラリー層、電解質スラリー層、及び任意選択的な別の活物質スラリー層を有している電極積層体を一括で作製することができる。

0034

したがって、従来の電極積層体では、活物質スラリー層、電解質スラリー層、及び任意選択的な別の活物質スラリー層を、それぞれ個別に乾燥させていたが、本発明の方法では、これらの乾燥工程を一括で行うのと同時に、上記に記載したような電池の性能の向上を図ることができる。

0035

ヘプタンの質量%濃度は、分散媒の全質量に対するヘプタンの質量の割合として算出することができる。分散媒としては、化学的安定性の観点及び表面張力を調整する観点から、酪酸ブチル及びヘプタンを含有していることが好ましい。

0036

活物質スラリー、電解質スラリー、及び任意選択的な別の活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度は、活物質スラリー及び電解質スラリーの順で、又は活物質スラリー、電解質スラリー、及び別の活物質スラリーの順で、ヘプタンの質量%濃度を段階的に低くすることができれば、特に限定されない。

0037

活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度は、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、若しくは40質量%以下でよく、並びに/又は0質量%超、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、若しくは25質量%以上でよい。

0038

また、活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度としては、スラリーの粘性を維持する等の観点から、0質量%超60質量%以下が好ましく、20質量%以上45質量%以下がより好ましく、25質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。

0039

電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度は、それが活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より低いことを条件として、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下でよく、0質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上でよい。

0040

また、電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度としては、それが活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より低いことを条件として、スラリーの粘性を維持する等の観点から、0質量%以上50質量%以下が好ましく、0質量%以上40質量%以下がより好ましく、0質量%以上20質量%以下が更に好ましい。

0041

別のスラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度は、それが電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度以下であることを条件として、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下でよく、0質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上でよい。

0042

また、別の活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度としては、それが電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度より低いことを条件として、スラリーの粘性を維持する等の観点から、0質量%以上50質量%以下が好ましく、0質量%以上超40質量%以下がより好ましく、0質量%以上20質量%以下が更に好ましい。

0043

なお、この場合において、電解質スラリーの調製の際には、ヘプタンを添加せずともよいが、電解質スラリー層を活物質スラリー層と積層させる際には、分散媒の拡散が生じることによって、活物質スラリー層中の分散媒、例えば、ヘプタンが、電解質スラリー層中に拡散する可能性があり、かつこれは別の活物質スラリーの調製についても同様であることを理解されたい。

0044

なお、スラリーの塗布方法としては、特に限定されないが、ブレードコーターグラビアコーターディップコーターリバースコーターロールナイフコーターワイヤーバーコーター、スロットダイコーターエアーナイフコーターカーテンコーター、若しくは押出しコーター等、又はこれらの組み合わせの公知の塗布方法を採用することができる。

0045

さらに、積層塗布工程の後に、スラリーを乾燥及び/若しくは焼成する工程、並びに/又はプレス工程を採用してよい。乾燥及び/又は焼成する工程としては、特に限定されることなく、公知の乾燥及び/又は焼成する工程を採用してよい。プレス工程としては、特に制限されることはなく、公知のプレス工程を採用してよい。

0046

乾燥及び/又は焼成の温度としては、特に限定されることなく、例えば、常温〜500℃の範囲の温度を挙げることができる。プレスの圧力としては、各層の所定の充填率等を達成可能であれば、特に限定されない。プレスの圧力としては、例えば、100MPa〜1000MPaの範囲の圧力を挙げることができる。

0047

〈集電体層〉
集電体層は、活物質層及び電解質層を有している電極積層体に含まれている。

0048

集電体層としては、正極集電体層又は負極集電体層を挙げることができる。正極集電体層又は負極集電体層としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、銀、銅、金、アルミニウムニッケル、鉄、ステンレス鋼、若しくはチタン等、又はこれらの合金の集電体層を用いることができる。化学的安定性等の観点から、正極集電体層としては、アルミニウムの集電体層が好ましく、かつ負極集電体層としては、銅の集電体層が好ましい。

0049

〈活物質層及び活物質スラリー〉
活物質層は、集電体層及び電解質層を有している電極積層体に含まれている。また、活物質スラリー層を乾燥及び/又は焼成することによって、活物質層が形成される。さらに、活物質スラリー層は、活物質スラリーを塗工することによって形成される。活物質スラリーとしては、正極活物質スラリー及び負極活物質スラリーを挙げることができる。

0050

(正極活物質スラリー)
正極活物質スラリーは、正極活物質、酪酸ブチル、及びヘプタン、並びに随意導電助剤、バインダー、及び固体電解質を含有している。

0051

正極活物質としては、マンガンコバルト、ニッケル及びチタンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属及びリチウムを含む金属酸化物、例えば、コバルト酸リチウム(LixCoO2)、ニッケル酸リチウム(LixNiO2)、若しくはニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3O2)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。

0052

正極活物質の形態は、好ましくは粉体である。正極活物質の平均粒径としては、特に限定されないが、例えば1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は10μm以上を挙げることができ、かつ100μm以下、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下を挙げることができる。正極活物質の平均粒径としては、1〜50μmの範囲が好ましく、1μm〜20μmの範囲がより好ましく、1μm〜10μmの範囲が更に好ましく、1μm〜6μmの範囲が特に好ましい。

0053

なお、本発明において、粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡TEM)等による観察によって撮影した画像をもとに直接に投影面積円相当粒子径を計測し、集合数100以上からなる粒子群解析することで、数平均二次粒子径として求めることができる。

0054

導電助剤としては、炭素材、例えば、VGCF(気相成長法炭素繊維、Vapor Grown Carbon Fiber)、カーボンブラックケッチェンブラックカーボンナノチューブ、若しくはカーボンナノ繊維等、若しくは金属材等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。

0055

バインダーとしては、特に限定されることなく、ポリマー樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴムSBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、若しくはカルボキシメチルセルロースCMC)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。高温耐久性の観点から、バインダーとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル、若しくはカルボキシメチルセルロース等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。

0056

固体電解質としては、特に限定されないが、固体電解質として利用可能な原材料を用いることができる。固体電解質としては、硫化物系非晶質固体電解質、例えば、75Li2S−25P2S5、8Li2O・67Li2S・25P2S5、Li2S、P2S5、Li2S−SiS2、LiI−Li2S−SiS2、LiI−Li2S−P2S5若しくはLiI−Li2S−B2S3等;酸化物系非晶質固体電解質、例えば、Li2O−B2O3−P2O5若しくはLi2O−SiO2等;若しくは、結晶質酸化物、例えば、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO4)3若しくはLi1+x+yAxTi2−xSiyP3−yO12(Aは、Al若しくはGa、0≦x≦0.4、0<y≦0.6)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。硫化物系非晶質固体電解質が、優れたリチウムイオン伝導性を有する点で好ましく用いられる。

0057

固体電解質の形態は、好ましくは粉体である。固体電解質の粒径としては、例えば0.1μm〜20μmの範囲が好ましく、0.2μm〜10μmの範囲がより好ましく、0.3μm〜6μmの範囲が更に好ましく、0.5μm〜3μmの範囲が特に好ましい。

0058

(負極活物質スラリー)
負極活物質スラリーは、負極活物質、酪酸ブチル、及びヘプタン、並びに随意に導電助剤、バインダー、及び固体電解質を含有している。

0059

負極活物質としては、金属イオン、例えば、リチウムイオン等を吸蔵・放出可能であれば特に限定されないが、金属、例えば、Li、Sn、Si、若しくはIn等、リチウムとチタン、マグネシウム若しくはアルミニウムとの合金、若しくは炭素原材料、例えば、ハードカーボンソフトカーボン若しくはグラファイト等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。

0060

負極活物質層の導電助剤、バインダー、及び固体電解質としては、正極活物質スラリーに関して挙げた原材料を用いることができる。

0061

〈固体電解質層及び電解質スラリー〉
固体電解質層は、活物質層及び集電体層を有している電極積層体に含まれている。また、電解質スラリー層を乾燥及び/又は焼成することによって、固体電解質層が形成される。さらに、電解質スラリー層は、電解質スラリーを塗工することによって形成される。

0062

電解質スラリーは、固体電解質、酪酸ブチル、及び随意にヘプタンを含有している。電解質スラリーの電解質としては、正極活物質スラリーに関して挙げた原材料を用いることができる。

0063

電解質スラリーを塗工した際に形成される、電解質スラリー層の厚さとしては、特に限定されないが、100μm以下、50μm以下、30μm以下、20μm以下、15μm以下、又は12μm以下の厚さを挙げることが可能であり、かつ5μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上、又は11μm以上の厚さを挙げることができる。特に、電池について、エネルギー密度の向上、コンパクト化、及び/又はその内部抵抗の低減の観点から、電解質スラリー層の厚さとしては、5μm以上100μm以下が好ましく、8μm以上30μm以下がより好ましく、10μm以上15μm以下が好ましい。

0064

〈その他〉
別の活物質層及び別の活物質スラリーの構成要素としては、活物質層及び活物質スラリーに関する記載を参照することができる。なお、別の活物質スラリーは、随意にヘプタンを含有している。

0065

以下に示す実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。

0066

《実施例1》
〈負極活物質スラリーの調製〉
合物Aを混合して負極活物質スラリーを得た。混合物Aの構成を、下記に示している:
・負極活物質としてのグラファイトを、15g;
・固体電解質としてのLiI−Li2S−P2S5を、12g;
・分散媒としての酪酸ブチルを、12g;
・分散媒としてのヘプタンを、8g;
・その他を、3g。
なお、各要素の質量%は、混合物Aの総質量に対する各要素の質量から算出している。また、分散媒中のヘプタンの質量%濃度は、40質量%である。

0067

〈電解質スラリーの調製〉
混合物Bを混合して電解質スラリーを得た。混合物Bの構成を、下記に示している:
・固体電解質としてのLiI−Li2S−P2S5を、15g;
・分散媒としての酪酸ブチルを、15g;
・分散媒としてのヘプタンを、0g;
・その他を、1g。
なお、各要素の質量%は、混合物Bの総質量に対する各要素の質量から算出している。また、分散媒中のヘプタンの質量%濃度は、0質量%である。

0068

〈電極積層体の作製〉
集電体層としてのCu箔の表面に、上記の負極活物質スラリーを塗工して負極活物質スラリー層を形成し、かつこの負極活物質スラリー層の表面に電解質スラリーを塗工して電解質スラリー層を形成することによって、積層体を得た。この積層体を、常温で1時間にわたって乾燥し、さらにその後に、これを100℃で30分にわたって乾燥し、かつこれを600MPaでプレスすることによって、電極積層体を作製した。

0069

《実施例2及び3並びに比較例1》
酪酸ブチル及びヘプタンの総質量を実施例1と同一にしつつ、酪酸ブチル及びヘプタンの配合比を変更したことを除き、実施例2及び3並びに比較例1の電極積層体を実施例1の電極積層体と同様にして作製した。

0070

《実施例4及び5》
酪酸ブチル及びヘプタンの総質量を実施例1と同一にしつつ、酪酸ブチル及びヘプタンの配合比を変更し、かつ下記の正極活物質スラリー層をさらに形成したことを除き、実施例4及び5の電極積層体を実施例1の電極積層体と同様にして作製した。なお、実施例1〜5及び比較例1の電極積層体の原材料としての複数のスラリー中の分散媒の酪酸ブチル及びヘプタンの質量比を、表1に示している。

0071

〈正極活物質スラリーの調製〉
混合物Cを混合して正極活物質スラリーを得た。混合物Cの構成を、下記に示している:
・正極活物質としてのニッケルコバルトマンガン酸リチウムを、20g;
・固体電解質としてのLiI−Li2S−P2S5を、5g;
・分散媒としての酪酸ブチルを、12g;
・分散媒としてのヘプタンを、0g。
・その他を、1g。
なお、各要素の質量%は、混合物Cの総質量に対する各要素の質量から算出している。また、分散媒中のヘプタンの質量%濃度は、0質量%である。

0072

0073

《評価》
評価としては、各例の電極積層体について、乾燥条件の評価、断面の評価、及び短絡の評価を行った。

0074

〈電極積層体の乾燥条件の評価〉
電極積層体の乾燥条件の評価は、正極活物質スラリー層を更に形成した比較例1の積層体を乾燥させた際の、負極活物質層、固体電解質層、及び正極活物質層の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察することによって行った。結果を図1(a)〜(c)に示し、かつ乾燥条件は、下記に示している:
図1(a)の乾燥条件は、常温で60分間であり;
図1(b)の乾燥条件は、100℃で4分間であり;
図1(c)の乾燥条件は、150℃で1分間である。

0075

図1(a)、(b)、及び(c)のSEM像からは、いずれの乾燥の時間及び温度を採用した場合でも、正極及び/若しくは負極活物質層への固体電解質層の固体成分の混入、並びに/又は固体電解質層への正極及び/若しくは負極活物質層の固体成分の混入に関して、ほとんど差異が無いことが分かる。このことから、正極活物質スラリー層、電解質スラリー層、及び負極活物質スラリー層を乾燥又は焼成する工程でなく、それらの層を形成する工程が、層間の成分の混入に影響を与えていることが理解される。

0076

〈電極積層体の断面の評価〉
電極積層体の断面の評価は、実施例1〜5及び比較例1の電極積層体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察することによって行った。結果を、図2〜6に示している。

0077

図2は、実施例1の電極積層体の断面のSEM像である。図2からは、実施例1の電極積層体中の負極活物質層1及び固体電解質層2が長手方向に沿って略直線状に形成され、それらの界面も略水平に形成され、かつ各層がほぼ完全に分離して形成されていることが分かる。

0078

これは、電極積層体の原材料としての、負極活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が40%であり、かつ電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が0%であることによって、負極活物質スラリー層の表面張力が電解質スラリー層の表面張力より小さくなり、負極活物質スラリー層の固体成分が電解質スラリー層へ移動しにくくなったためと考えられる。

0079

図3は、実施例2の電極積層体の断面のSEM像である。図3からは、実施例2の電極積層体中の負極活物質層1及び固体電解質層2が長手方向に沿って略直線状に形成され、かつそれらの界面は、一部になだらかな凹凸を有するが、略水平に形成され、かつ各層がほぼ完全に分離して形成されていることが分かる。

0080

これは、電極積層体の原材料としての、負極活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が20%であり、かつ電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が0%であることによって、負極活物質スラリー層の表面張力が電解質スラリー層の表面張力より小さくなり、負極活物質スラリー層の固体成分が電解質スラリー層へ移動しにくくなったためと考えられる。

0081

なお、上記のスラリー層の界面の一部になだらかな凹凸を有している理由としては、負極活物質スラリー層中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が20%で低いために、表面張力の差が小さくなり、負極活物質スラリー層の固体成分の電解質スラリー層への移動の抑制効果が弱まったためと考えられる。

0082

図4は、実施例3の電極積層体の断面のSEM像である。図4からは、実施例3の電極積層体中の負極活物質層1及び固体電解質層2が長手方向に沿って形成され、かつそれらの界面は、なだらかな凹凸を有するように形成され、かつ各層が分離して形成されていることが分かる。

0083

これは、電極積層体の原材料としての、負極活物質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が60%であり、かつ電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が0%であることによって、負極活物質スラリー層及び電解質スラリー層の表面張力に大きな差が生じたが、同時に、負極活物質スラリー層の粘性が弱まったことによって、なだらかな凹凸を形成したと考えられる。

0084

図5及び6は、実施例4及び5の電極積層体の断面のSEM像である。図5及び6からは、実施例4及び5の電極積層体中の負極活物質層1、固体電解質層2、及び正極活物質層3が長手方向に沿って略直線状に形成され、それらの界面も略水平に形成され、かつ各層がほぼ完全に分離して形成されていることが分かる。

0085

これは、負極活物質スラリー層、電解質スラリー層、及び正極活物質スラリー層がこの順で積層され、かつこの順で、これらの原材料としての各スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度が低くなることによって、各スラリー層の固体成分が混じり合うことが抑制されたためと考えられる。

0086

また、実施例4及び5の電極積層体の違いは、電解質スラリー中の分散媒のヘプタンの質量%濃度であり、それぞれ、0%及び20%である。図5及び図6からは、これらのヘプタンの質量%濃度の違いが存在した場合でも、各スラリー層の固体成分が混じり合うことが抑制されていることが分かる。

0087

図7は、比較例1の電極積層体の断面のSEM像である。図7からは、比較例1の電極積層体中の負極活物質層1及び固体電解質層2の界面が凹凸を有するように形成され、かつ負極活物質層1の成分の一部が、固体電解質層2の中に混入していることが分かる。

0088

これは、電極積層体の原材料としての、負極活物質スラリー及び電解質スラリー中の分散媒が酪酸ブチルのみから構成されており、負極活物質スラリー層及び電解質スラリー層の表面張力に差が生じることが無かったためと考えられる。

0089

〈電極積層体の短絡の評価〉
電極積層体の短絡の評価は、正極活物質層を更に形成した実施例1及び比較例1の電極積層体の固体電解質層の厚さを段階的に減少させ、短絡を生じる厚さを測定することによって、行った。

0090

比較例1では、電極積層体の固体電解質層の厚さが20μmであるとき、電極積層体が導通して短絡を生じた。他方、実施例1では、電極積層体の固体電解質層の厚さが12μmであるにもかかわらず、短絡を生じなかった。

0091

これは、各スラリー層の固体成分が混じり合うことが抑制されたために、これら積層されている複数のスラリー層を焼成した後に、正極及び/若しくは負極活物質層への固体電解質層の固体成分の混入、並びに/又は固体電解質層への正極及び/若しくは負極活物質層の固体成分の混入が抑制され、固体電解質層が、セパレーターとしての機能を十分に発揮し、かつ電池の短絡を防止したためと考えられる。

実施例

0092

本発明の好ましい実施形態を詳細に記載したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の方法で採用される、装置又は薬品、そのメーカー及び等級製造ラインの位置及び配置等について変更が可能であることを当業者は理解する。

0093

1負極活物質層
2固体電解質層
3 正極活物質層

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