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技術 重合体、及び、該重合体の製造方法

出願人 積水化学工業株式会社国立大学法人名古屋大学
発明者 石堂泰志戸田智基上垣外正己佐藤浩太郎石神有香子
出願日 2015年5月11日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-096692
公開日 2016年12月15日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2016-210914
状態 未査定
技術分野 重合触媒 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード アミド化反応後 物理的性 重合体前駆体 光硬化型接着剤組成物 ポリメタクリル酸メチル換算 リビングラジカル重合反応 イオン化剤 和光純薬工業社
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課題

官能基を任意の位置に配置した重合体、及び、該重合体の製造方法の提供。

解決手段

式(1)で表される重合体。(Xは官能基、重合開始点塩素原子を有する重合開始剤の残基;Y1〜Yn+1は目的とする官能基を含まない(メタアクリル酸エステルモノマー由来する重合成分;R1〜Rnは各々独立に目的とする官能基を含む基;RaはH又はメチル基;m及びnは各々独立に1以上の整数

概要

背景

硬化型接着剤組成物は、例えば、架橋性官能基としてラジカル重合性不飽和結合を有する(メタアクリル酸アルキルエステル系重合体硬化型接着剤成分として含有する(例えば、特許文献1)。このような光硬化型接着剤組成物に光を照射したり加熱したりすると、架橋性官能基を架橋点として架橋反応が生じ、全体が均一にかつ速やかに重合架橋して硬化物が得られる。
ここで得られる硬化物の物理的性質は、架橋密度に大きく影響される。該架橋密度は、架橋性官能基を有する重合体中の架橋性官能基同士の距離(架橋点間距離)に大きく依存する。即ち、架橋点間距離が大きいと架橋密度が低い硬化物が得られ、架橋点間距離が小さい架橋密度の高い硬化物が得られる。従って、架橋性官能基を有する重合体における架橋点間距離は、得られる硬化物の物理的性質を決める重要な要素である。

上記架橋性官能基を有する重合体は、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという。)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という。)と反応させることにより製造することが一般的である。ここで原料となる官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、官能基含有モノマーを含むモノマー混合物を共重合して製造される。このような方法により得られた官能基含有(メタ)アクリル系ポリマー中の官能基の位置はランダムである。従って、これを原料として製造した架橋性官能基を有する重合体の架橋点間距離もランダムなものとなる。
このように従来の架橋性官能基を有する重合体では、架橋点間距離が硬化物の物理的性質を決める重要な要素であるにもかかわらず、架橋点間距離を制御することが困難であるという問題があった。

上記例では架橋性官能基を有する重合体の架橋点間距離を論じたが、架橋性官能基以外の官能基を有する重合体においても、その官能基間の距離が極めて重要である。更に、複数の官能基を有する重合体の場合には、各々の官能基が重合体中のどの位置に配置されるかによって、得られる重合体の極性や粘度等の性質が大きく相違する。それにもかかわらず、従来の重合体では、目的とする官能基を任意の位置に配置することが困難であった。

概要

官能基を任意の位置に配置した重合体、及び、該重合体の製造方法の提供。式(1)で表される重合体。(Xは官能基、重合開始点塩素原子を有する重合開始剤の残基;Y1〜Yn+1は目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来する重合成分;R1〜Rnは各々独立に目的とする官能基を含む基;RaはH又はメチル基;m及びnは各々独立に1以上の整数)なし

目的

本発明は、上記現状に鑑み、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で表されることを特徴とする重合体。上記一般式(1)においてXは、目的とする官能基を含む又は含まない、重合開始点塩素原子を有する重合開始剤の残基を表し、Y1乃至Yn+1は、有っても無くてもよく、有る場合は目的とする官能基を含まない(メタアクリル酸エステルモノマー由来する重合成分を表し、R1乃至Rnは、目的とする官能基を含む基を表し(R1乃至Rnに含まれる目的とする官能基は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)、Raは、水素又はメチル基を表し、mは、1以上の整数を表し、nは、1以上の整数を表す。

請求項2

下記一般式(2)で表されることを特徴とする重合体。上記一般式(2)においてXは、目的とする官能基を含む又は含まない、重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤の残基を表し、Y1乃至Yn+1は、有っても無くてもよく、有る場合は目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する重合成分を表し、R1乃至Rnは、目的とする官能基を含む基を表し(R1乃至Rnに含まれる目的とする官能基は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)、Raは、水素又はメチル基を表し、Rbは、塩素原子を含まない基を表し、mは、1以上の整数を表し、nは、1以上の整数を表す。

請求項3

請求項1記載の重合体を製造する方法であって、少なくとも、目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを、目的とする官能基を含む又は含まない、重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤と金属塩化物触媒を用いて重合して重合体前駆体(1)を得る工程と、得られた重合体前駆体(1)の末端塩素が結合したエステル単位のみにR1NH2を反応させて重合体(1)を得る工程を有することを特徴とする重合体の製造方法。

請求項4

重合体(n−1)に、目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを、フッ素系アルコールを含有する溶媒の存在下で、金属塩化物触媒を用いて重合して重合体前駆体(n)を得る工程と、得られた重合体前駆体の末端の塩素が結合したエステル単位のみにRnNH2を反応させて重合体(n)を得る工程を有する(ただし重合体前駆体(n+1)に対しては、末端の塩素が結合したエステル単位をRn+1NH2と反応させる工程を省略してもよい)ことを特徴とする請求項3記載の重合体の製造方法。

請求項5

請求項2記載の重合体を製造する方法であって、請求項3又は4記載の重合体の製造方法により得られた重合体の末端の塩素原子を、塩素原子を含まない基に置換する工程を有することを特徴とする重合体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、目的とする官能基を任意の位置に配置した重合体、及び、該重合体の製造方法に関する。

背景技術

0002

硬化型接着剤組成物は、例えば、架橋性官能基としてラジカル重合性不飽和結合を有する(メタアクリル酸アルキルエステル系の重合体を硬化型接着剤成分として含有する(例えば、特許文献1)。このような光硬化型接着剤組成物に光を照射したり加熱したりすると、架橋性官能基を架橋点として架橋反応が生じ、全体が均一にかつ速やかに重合架橋して硬化物が得られる。
ここで得られる硬化物の物理的性質は、架橋密度に大きく影響される。該架橋密度は、架橋性官能基を有する重合体中の架橋性官能基同士の距離(架橋点間距離)に大きく依存する。即ち、架橋点間距離が大きいと架橋密度が低い硬化物が得られ、架橋点間距離が小さい架橋密度の高い硬化物が得られる。従って、架橋性官能基を有する重合体における架橋点間距離は、得られる硬化物の物理的性質を決める重要な要素である。

0003

上記架橋性官能基を有する重合体は、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという。)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という。)と反応させることにより製造することが一般的である。ここで原料となる官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、官能基含有モノマーを含むモノマー混合物を共重合して製造される。このような方法により得られた官能基含有(メタ)アクリル系ポリマー中の官能基の位置はランダムである。従って、これを原料として製造した架橋性官能基を有する重合体の架橋点間距離もランダムなものとなる。
このように従来の架橋性官能基を有する重合体では、架橋点間距離が硬化物の物理的性質を決める重要な要素であるにもかかわらず、架橋点間距離を制御することが困難であるという問題があった。

0004

上記例では架橋性官能基を有する重合体の架橋点間距離を論じたが、架橋性官能基以外の官能基を有する重合体においても、その官能基間の距離が極めて重要である。更に、複数の官能基を有する重合体の場合には、各々の官能基が重合体中のどの位置に配置されるかによって、得られる重合体の極性や粘度等の性質が大きく相違する。それにもかかわらず、従来の重合体では、目的とする官能基を任意の位置に配置することが困難であった。

先行技術

0005

特開2003−231867号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、上記現状に鑑み、目的とする官能基を任意の位置に配置した重合体、及び、該重合体の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明1は、下記一般式(1)で表される重合体である。

0008

0009

上記一般式(1)においてXは、目的とする官能基を含む又は含まない、重合開始点塩素原子を有する重合開始剤の残基を表し、
Y1乃至Yn+1は、有っても無くてもよく、有る場合は目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来する重合成分を表し、
R1乃至Rnは、目的とする官能基を含む基を表し(R1乃至Rnに含まれる目的とする官能基は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)、
Raは、水素又はメチル基を表し、
mは、1以上の整数を表し、
nは、1以上の整数を表す。

0010

本発明2は、下記一般式(2)で表される重合体である。

0011

0012

上記一般式(2)においてXは、目的とする官能基を含む又は含まない、重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤の残基を表し、
Y1乃至Yn+1は、有っても無くてもよく、有る場合は目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する重合成分を表し、
R1乃至Rnは、目的とする官能基を含む基を表し(R1乃至Rnに含まれる目的とする官能基は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい)、
Raは、水素又はメチル基を表し、
Rbは、塩素原子を含まない基を表し、
mは、1以上の整数を表し、
nは、1以上の整数を表す。

0013

(メタ)アクリル酸エステルモノマーを、重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤と金属塩化物触媒を用いて重合して得られた重合体は、生長末端塩素が結合したエステル単位(以下、「α−クロエステル」ともいう。)を有する。本発明者らは、このようなα−クロロエステルを有する重合体にアミンを作用させると、α−クロロエステルとの間でのみ選択的にアミド化反応が生じることを見出した。アミド化反応後の重合体は、末端に塩素原子を有する。本発明者らは、また、フッ素系アルコールを含有する溶媒を用い、金属塩化物触媒を用いることにより、該重合体の末端の塩素原子が結合した炭素を重合開始点として、更に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合させて、重合鎖伸長することができることを見出した。このような方法により重合鎖を伸長した重合体は、生長末端にα−クロロエステルを有する。従って、選択的アミド化反応により、目的とする官能基を導入することができる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、このような反応を利用することにより、目的とする官能基を任意の位置に配置した重合体が得られることを見出し、本発明を完成した。

0014

本発明1の重合体は、上記一般式(1)で表される。本発明1の重合体において、目的とする官能基は、R1乃至Rn中のみ、又は、中央のXとR1乃至Rn中のみに含まれる。ここでnは、1以上の整数を表す。(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する重合成分であるY1乃至Yn+1の鎖長を調整したりすることにより、重合体中の目的とする官能基の位置を容易に制御することができる。

0015

上記目的とする官能基は、本発明1の重合体の用途、目的に応じて適宜選択すればよい。また、目的とする官能基は1種のみであってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。即ち、R1乃至Rnに含まれる目的とする官能基は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。nを2以上とすることにより、同一の官能基を任意の位置に複数有する重合体や、異なる官能基を任意の位置に有する重合体とすることができる。

0016

上記目的とする官能基としては、具体的には例えば、カルボキシル基水酸基グリシジル基アミノ基、アミド基ニトリル基チオール基プロパルギル基アリル基アクリル基アルケニル基エーテル基カルボニル基等が挙げられる。

0017

上記一般式(1)においてXは、重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤の残基を表す。本発明1の重合体は、このような重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤を用いることにより製造できるものであり、本発明1の重合体中には該重合開始剤の残基が含まれる。
上記一般式(1)においてmは、原料となる上記重合開始点に重合開始剤に含まれる塩素原子を有する重合開始点の数に対応する数であり、1以上の整数を表す。

0018

上記重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤は特に限定されず、例えば、下記一般式(3−1)〜(3−10)で表される重合開始剤等が挙げられる。これに対応して、上記一般式(1)中のXは、例えば、下記一般式(3’−1)〜(3’−10)で表される。

0019

0020

0021

上記一般式(3−1)〜(3−10)及び上記一般式(3’−1)〜(3’−10)中、Rc、Rd、Re、Rfは、水素、アルキル基アリール基等を表し、Zは炭素数1以上の炭化水素基を表す。
なお、Zは塩素原子を含まない基であれば特に限定されず、目的とする官能基を含んでいてもよく、含まなくてもよい。また、Rc、Rd、Re、Rfは、目的とする官能基を含んでいてもよく、含まなくともよい。

0022

上記一般式(1)においてY1乃至Yn+1は、有っても無くてもよい。Y1乃至Yn+1が無い場合には、目的とする官能基を含む(メタ)アクリルアミド単位同士が直接結合した構造の重合体となる。Y1乃至Yn+1がある場合は、目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する重合成分を表す。
Y1乃至Yn+1が無い、又は、有っても目的とする官能基を含まないことにより、重合体中に含まれる目的とする官能基は、R1乃至Rn中のみ、又は、中央のXとR1乃至Rn中のみに含まれることとなる。従って、Y1乃至Yn+1の鎖長を調整したりすることにより、重合体中の目的とする官能基の位置を容易に制御することができる。

0023

Y1乃至Yn+1の鎖長は特に限定されず、本発明1の重合体の用途、目的に応じて適宜選択すればよいが、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの繰り返し数の好ましい下限は1、好ましい上限は5000であり、より好ましい下限は5、より好ましい上限は1000である。

0024

Y1乃至Yn+1を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては特に限定されず、本発明1の重合体の用途、目的に応じて適宜選択すればよい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレートエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。

0025

Y1乃至Yn+1を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、目的とする官能基以外であれば、各種の官能基を有してもよい。
上記官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーや、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーや、ヒドロキシエチルアクリルアミドイソプロピルアクリルアミドジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミド基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、α−クロロエステルの反応性の観点から、アクリル酸エステルモノマーを用いることが好ましい。(即ち、上記一般式(1)においてRaは、水素であることが好ましい。)

0026

Y1乃至Yn+1を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、更に必要に応じて、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマーや、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物や、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、N−アクリロイルモルフォリンアクリロニトリルスチレン酢酸ビニル等のビニル化合物を併用してもよい。

0027

本発明1の重合体は、数平均分子量の好ましい下限が500、好ましい上限が1000000である。上記数平均分子量がこの範囲内であると、適当な溶媒に溶解したときに適度な粘度の溶液となり、取り扱い性に優れる。上記数平均分子量のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は500000である。
なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される。具体的には例えば、重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液フィルター濾過し、得られた濾液を用いてGPC法によりポリスチレン換算分子量として測定することができる。GPC法では、例えば、2690 Separations Model(Waters社製)等を使用できる。

0028

本発明2の重合体は、上記一般式(2)で表される。
本発明1の重合体は、末端に塩素原子が結合した構造を有するが、用途によっては塩素が悪影響を及ぼす可能性がある。本発明2の重合体は、本発明1の重合体の末端の塩素原子を、塩素原子を含まない基であるRbで置換した構造を有するものである。
上記一般式(2)中のRbは、塩素原子を含まない基であれば特に限定されず、水素、アルキル基、アリール基等が挙げられる。なおRbは、目的とする官能基を含んでいてもよく、含まなくてもよい。

0029

本発明1の重合体は、少なくとも、目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを、目的とする官能基を含む又は含まない、重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤と金属塩化物触媒を用いて重合して重合体前駆体(1)を得る工程と、得られた重合体前駆体の末端の塩素が結合したエステル単位のみにR1NH2を反応させて重合体(1)を得る工程を有する重合体の製造方法により製造することができる。
このような重合体の製造方法もまた、本発明の1つである。

0030

本発明の重合体の製造方法では、まず、目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーを、目的とする官能基を含む又は含まない、重合開始点に塩素原子を有する重合開始剤と金属塩化物触媒を用いて重合して重合体前駆体(1)を得る工程を行う。得られた重合体前駆体(1)は、生長末端にα−クロロエステルを有する。

0031

上記重合方法は特に限定されないが、リビングラジカル重合法が好適である。
リビングラジカル重合法は、重合反応停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖生長していく重合方法である。リビングラジカル重合法によれば、例えばフリーラジカル重合法等と比較してより均一な分子量及び組成を有する重合体が得られることから、より精密に反応点間距離を制御することができる。

0032

上記金属塩化物触媒は特に限定されず、例えば、塩化銅塩化ルテニウム塩化鉄等が挙げられる。
上記金属塩化物触媒は、必要に応じてビピリジンペンタメチルジエチレントリアミントリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン等の配位子と組み合わせて用いてもよい。

0033

上記リビングラジカル重合法においては、分散安定剤を用いてもよい。上記分散安定剤として、例えば、ポリビニルピロリドンポリビニルアルコールメチルセルロースエチルセルロースポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステルポリエチレングリコール等が挙げられる。

0034

上記リビングラジカル重合法として、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合沸点重合又は定温重合)、乳化重合懸濁重合塊状重合等が挙げられる。
上記リビングラジカル重合法において重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されず、例えば、ヘキサンシクロヘキサンオクタントルエンキシレン等の非極性溶媒や、水、メタノールエタノールプロパノールブタノールアセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、重合温度は、重合速度の観点から−40〜110℃が好ましい。

0035

本発明の重合体の製造方法では、次いで、得られた重合体前駆体(1)の末端の塩素原子が結合したエステル単位のみにR1NH2を反応させて重合体(1)を得る工程を行う。上記重合体前駆体(1)は、生長末端にα−クロロエステルを有する。このような重合体前駆体(1)にR1NH2を作用させると、α−クロロエステルとの間でのみ選択的にアミド化反応が生じる。これにより、目的とする官能基を重合体の末端のみに導入することができる。なお、得られた重合体(1)は、上記一般式(1)においてn=1の場合に該当する。

0036

上記得られた重合体(1)は、末端に塩素原子を有する。フッ素系アルコールを含有する溶媒を用い、金属塩化物触媒を用いることにより、重合体(1)の末端の塩素原子が結合した炭素を重合開始点として、更に、目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマー重合させて、重合鎖を伸長することができる。重合鎖を伸長した重合体は、生長末端にα−クロロエステルを有する。従って、選択的アミド化反応により、目的とする官能基を導入することができる。
このように、重合鎖の伸長と選択的アミド化反応を繰り返すことにより、目的とする官能基を複数、任意の位置に有する重合体を得ることができる。
即ち、重合体(n−1)に、目的とする官能基を含まない(メタ)アクリル酸エステルモノマーをフッ素系アルコールを含有する溶媒の存在下で、金属塩化物触媒を用いて重合して重合体前駆体(n)を得る工程と、得られた重合体前駆体(n)の末端の塩素が結合したエステル単位のみにRnNH2を反応させて重合体(n)を得る工程を行うことにより、本発明1の重合体を製造することができる。
なお、重合体の端部付近にYn+1を有する重合体を得る場合には、重合体前駆体(n+1)を得た後、該重合体前駆体(n+1)に対して末端の塩素が結合したエステル単位をRn+1NH2と反応させる工程を省略すればよい。

0037

上記フッ素系アルコールとしては特に限定されず、例えば、2−モノフルオロエタノール、2,2’−ジフルオロエタノール、2,2’,2’’−トリフルオロエタノール等が挙げられる。

0038

上記重合体前駆体(n)を得る工程における重合方法は特に限定されないが、リビングラジカル重合法が好適である。なお、該リビングラジカル重合法における重合温度は、−40〜100℃であることが好ましい。比較的低温条件下リビングラジカル重合を行うことにより、より効率的に重合反応を行うことができる。

0039

本発明2の重合体を得るには、上記各工程に続いて、更に、得られた本発明1の重合体の末端の塩素原子を置換する工程を行えばよい。具体的には例えば、リビングラジカル重合反応中に、(2−ブロモメチル)アクリル酸エステルモノマー、アリールトリメチルシリルエノールエーテルアリトリブチルスズ等を反応させる工程や、リビングラジカル重合反応終了後に、水素化トリブチルスズ、アジ化ナトリウム2−アミノエタノール2−メルカプトエタノール等と反応させる工程等が挙げられる。該工程により、容易に末端の塩素を置換して、本発明2の重合体を得ることができる。

発明の効果

0040

本発明によれば、目的とする官能基を任意の位置に配置した重合体、及び、該重合体の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0041

2−メトキシエチルアクリレート重合体(A1)及び2−メトキシエチルアクリレート重合体(A2)のMALDI−TOF−MSスペクトルである。
2−メトキシエチルアクリレート重合体(A3)及び2−メトキシエチルアクリレート重合体(A4)のMALDI−TOF−MSスペクトルである。
2−メトキシエチルアクリレート重合体(A5)及び2−メトキシエチルアクリレート重合体(A6)のMALDI−TOF−MSスペクトルである。

実施例

0042

以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。

0043

(実施例1)(2−メトキシエチルアクリレート重合体(A1)の製造)
充分乾燥させたガラスコックフラスコに、触媒として塩化銅(I)(アルドリッチ社製)0.233g(2.36mmol)、配位子としてトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(東京化成工業社製)0.63mL(2.36mmol)、脱水したヘキサフルオロイソプロパノール和光純薬工業社製)13.2mLを加え、0℃で60分間撹拌した。
反応容器を−20℃に冷却し、蒸留精製した2−メトキシエチルアクリレート(東京化成工業社製)15.1mL(118mmol)、及び、開始剤として2−クロロ−N−イソプロピルプロパンアミド0.353g(2.36mmol)を窒素気流下で加えて重合を開始した。

0044

反応温度を−20℃に保ったまま150時間反応した。2−メトキシエチルアクリレートの反応率は41%であった(なお、反応率は、1HNMRを用いて、モノマーの減少量として算出した)。
重合溶液をトルエンで希釈し、0.1N塩酸水溶液洗浄することで触媒を除去し、有機相の溶媒を減圧留去した後、ヘキサンに再沈後、充分に乾燥して、開始末端にN−イソプロピルアミド、生長末端に塩素原子を有する2−メトキシエチルアクリレート重合体(A1)を6.2g得た。

0045

得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A1)について、GPC装置として日本分光社製、PU−980ポンプ品番)、930−RI示差屈折計(品番)、カラムとしてShodex製、K−805L2本を直列に繋いだものを用い、溶離液としてDMF(LiCl100mM含有)を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。結果を表1に示した。

0046

また、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A1)のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行間質分析(MALDI−TOF−MS)スペクトル図1に示した。MALDI−TOF−MS装置として島津製作所社製、Shimadzu AXIMA−CFR Plusを用い、イオン化剤としてトリフルオロ酢酸ナトリウム、マトリックスとしてtrans−2−[3−(4−tert−butylphenyl)−2−methyl−2−propenylidene]−malononitrile(DCTB)を用いた。
得られたMALDI−TOF−MSスペクトルをもとに決定した2−メトキシエチルアクリレート重合体(A1)の構造を表1に示した。

0047

(実施例2)(α−クロロエステルをアミド化した2−メトキシエチルアクリレート重合体(A2)の製造)
実施例1で得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A1)1.5gに、0℃でベンジルアミン65mLを加えることで、α−クロロエステルのみをN−ベンジルアミド化した。90時間反応後の反応率は100%であった。
反応溶液をトルエンで希釈後、0.1N塩酸水溶液及び蒸留水で洗浄することで、過剰のベンジルアミンを除去した後、有機相の溶媒を減圧留去した後、ヘキサンに再沈後、充分に乾燥して、開始末端にN−イソプロピルアミド、生長末端にN−ベンジルアミドを有する2−メトキシエチルアクリレート重合体(A2)を1.27g得た。

0048

実施例1と同様の方法により、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A2)の数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を求め、表1に示した。
また、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A2)のMALDI−TOF−MSスペクトルを図1に示し、該MALDI−TOF−MSスペクトルをもとに決定した2−メトキシエチルアクリレート重合体(A2)の構造を表1に示した。

0049

(実施例3)(2−メトキシエチルアクリレート重合体(A3)の製造)
実施例1において、重合温度を0℃に変更した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。3.5時間反応後、2−メトキシエチルアクリレートの反応率は42%であった。
重合溶液をトルエンで希釈し、0.1N塩酸水溶液で洗浄することで触媒を除去、有機相の溶媒を減圧留去した後、ヘキサンに再沈後、充分に乾燥して、開始末端にN−イソプロピルアミド、生長末端に塩素原子を有する2−メトキシエチルアクリレート重合体(A3)を6.8g得た。

0050

実施例1と同様の方法により、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A3)の数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を求め、表1に示した。
また、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A3)のMALDI−TOF−MSスペクトルを図2に示し、該MALDI−TOF−MSスペクトルをもとに決定した2−メトキシエチルアクリレート重合体(A3)の構造を表1に示した。

0051

(実施例4)(2−メトキシエチルアクリレート重合体(A4)の製造)
実施例3で得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A3)1.5gに、0℃でプロパルギルアミン29mLを加えることで、α−クロロエステルのみをN−プロパルギルアミド化した。70時間反応後の反応率は100%であった。
反応溶液をトルエンで希釈後、0.1N塩酸水溶液及び蒸留水で洗浄することで、過剰のプロパルギルアミンを除去した後、有機相の溶媒を減圧留去した後、ヘキサンに再沈後、充分に乾燥して、開始末端にN−イソプロピルアミド、生長末端にN−プロパルギルアミドを有する2−メトキシエチルアクリレート重合体(A4)を1.27g得た。

0052

実施例1と同様の方法により、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A4)の数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を求め、表1に示した。
また、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A4)のMALDI−TOF−MSスペクトルを図2に示し、該MALDI−TOF−MSスペクトルをもとに決定した2−メトキシエチルアクリレート重合体(A4)の構造を表1に示した。

0053

(実施例5)(2−メトキシエチルアクリレート重合体(A5)の製造)
充分乾燥させたガラス製コック付フラスコに、触媒として塩化銅(I)(アルドリッチ社製)0.041g(0.41mmol)、配位子としてトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(東京化成工業社製)0.11mL(0.41mmol)、脱水したヘキサフルオロイソプロパノール(和光純薬工業社製)1.0mLを加え、0℃で60分撹拌した。
反応容器を0℃に冷却し、実施例4で得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A4)1.24g(0.37mmol)、及び、蒸留精製した2−メトキシエチルアクリレート(東京化成工業社製)2.37mL(18.5mmol)を窒素気流下で加えて重合を開始した。

0054

反応温度を0℃に保ったまま40時間反応した。2−メトキシエチルアクリレートの反応率は67%であった。
重合溶液をトルエンで希釈し、0.1N塩酸水溶液で洗浄することで触媒を除去、有機相の溶媒を減圧留去した後、ヘキサンに再沈後、充分に乾燥して、開始末端にN−イソプロピルアミド、高分子鎖中にN−プロパルギルアミド、生長末端に塩素原子を有する2−メトキシエチルアクリレート重合体(A5)を1.2g得た。

0055

実施例1と同様の方法により、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A5)の数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を求め、表1に示した。
また、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A5)のMALDI−TOF−MSスペクトルを図3に示し、該MALDI−TOF−MSスペクトルをもとに決定した2−メトキシエチルアクリレート重合体(A5)の構造を表1に示した。

0056

(実施例6)(2−メトキシエチルアクリレート重合体(A6)の製造)
実施例5で得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A5)0.16gに、0℃でベンジルアミン5.2mLを加えることで、α−クロロエステルのみをN−ベンジルアミド化した。350時間反応後の反応率は100%であった。
反応溶液をトルエンで希釈後、0.1N塩酸水溶液及び蒸留水で洗浄することで、過剰のベンジルアミンを除去した後、有機相の溶媒を減圧留去した後、ヘキサンに再沈後、充分に乾燥して、開始末端にN−イソプロピルアミド、高分子鎖中にN−プロパルギルアミド、生長末端にN−ベンジルアミドを有する2−メトキシエチルアクリレート重合体(A6)を1.27g得た。

0057

実施例1と同様の方法により、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A6)の数平均分子量(Mn)、及び、分子量分布(Mw/Mn)を求め、表1に示した。
また、得られた2−メトキシエチルアクリレート重合体(A6)のMALDI−TOF−MSスペクトルを図3に示し、該MALDI−TOF−MSスペクトルをもとに決定した2−メトキシエチルアクリレート重合体(A6)の構造を表1に示した。

0058

0059

本発明によれば、目的とする官能基を任意の位置に配置した重合体、及び、該重合体の製造方法を提供することができる。

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