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技術 気腹システム

出願人 オリンパス株式会社
発明者 糟谷侑磨上杉武文山岡弘治平賀都敏古川喜之
出願日 2015年5月13日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2015-098451
公開日 2016年12月15日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-209461
状態 特許登録済
技術分野 手術用機器 内視鏡
主要キーワード 閉塞度 管路圧 外部管路 圧力測定結果 前回測定値 外装管 過圧状態 管路圧力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

閉塞状態を精度良く判定することのできる気腹システムを提供する。

解決手段

送気ONの状態での測定管路圧力勾配Raを計算し(S3)、電空比例弁の出力を調整して送気したガス流量積算値Qsumが閾値Qhに達したとき、送気をOFFして測定管路の圧力勾配Rbを計算し(S10)、送気OFF後の経過時間Tbを測定する(S11)。そして、Tb≧Th2又はRb≧Rhになったとき、経過時間Tbと第1の判定閾値Th1及び第2の判定閾値Th2とを比較して測定管路の閉塞状態を判定し(S14)、閉塞状態の判定結果に応じた処理に移行する。

概要

背景

近年、腹腔鏡による観察下による外科手術が広く採用されるようになっている。腹腔鏡による外科手術においては、腹腔内に炭酸ガス等の所定の気体を送気して、腹腔鏡による観察視野手術する場合の領域とを確保するために気腹装置又は気腹システムが用いられる。

このような気腹装置又は気腹システムにおいては、腹腔内に連通する管路詰まり等の閉塞状態が発生すると、腹腔内の圧力を正確に検出できなくなる虞がある。

このため、特許文献1には、気腹チューブが接続された気体供給管路内に、気腹用気体を流入、若しくは流出させた際の気体供給管路内の圧力変化の大きさを検出し、この圧力変化の検出データに基づいて気腹チューブの詰まり状態を判断する技術が開示されている。

また、特許文献2には、気腹チューブが接続された気体供給管路の気体排出口から気体を排出して、気体排出口を閉じた直後の管路内の圧力振動の1サイクル目圧力上昇時における圧力検知結果から、腹腔圧が正常な状態かチューブの詰まり或いは腹腔過圧状態かを判断する技術が開示されている。

概要

閉塞状態を精度良く判定することのできる気腹システムを提供する。送気ONの状態での測定管路圧力勾配Raを計算し(S3)、電空比例弁の出力を調整して送気したガス流量積算値Qsumが閾値Qhに達したとき、送気をOFFして測定管路の圧力勾配Rbを計算し(S10)、送気OFF後の経過時間Tbを測定する(S11)。そして、Tb≧Th2又はRb≧Rhになったとき、経過時間Tbと第1の判定閾値Th1及び第2の判定閾値Th2とを比較して測定管路の閉塞状態を判定し(S14)、閉塞状態の判定結果に応じた処理に移行する。

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、閉塞状態を精度良く判定することのできる気腹システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

所定の気体腹腔内への送気を制御する制御部を有する気腹装置と、腹壁刺入されて前記腹腔内に挿入される第1のトラカールに接続され、前記気腹装置から前記腹腔内へ前記気体を送気するための送気管路と、前記腹壁に刺入されて前記腹腔内に挿入される第2のトラカールに接続され、前記腹腔内の圧力を測定するための測定管路と、前記送気管路上に設けられ、前記送気管路から前記腹腔内への送気の断続状態切り換える送気切換部と、前記測定管路上に設けられ、前記測定管路の管路圧力を測定する管路圧測定部と、前記気体の送気制御時に、前記送気切換部で前記送気管路の送気の断続状態を切り換えた後、前記管路圧測定部で測定した管路圧力の変化率に所定の変化が生じるまでの時間を変化時間として計測する変化時間計測部と、前記変化時間計測部で計測した変化時間と予め定められた判定値とを比較し、前記測定管路の閉塞状態を判定する閉塞状態判定部と、を有することを特徴とする気腹システム

請求項2

前記変化時間計測部における前記変化時間は、前記測定管路の管路圧力の変化率が設定値に達するまでの経過時間であることを特徴とする請求項1記載の気腹システム。

請求項3

前記変化時間計測部における前記設定値は、前記送気管路の送気の断続状態を切り換える前の前記測定管路の管路圧力の変化率に基づいて設定されることを特徴とする請求項2記載の気腹システム。

請求項4

前記閉塞状態判定部における前記判定値は、前記測定管路の閉塞状態に応じて予め設定された、第1の判定閾値と前記第1の判定閾値より大きい第2の判定閾値とからなり、前記閉塞状態判定部は、前記変化時間が前記第1の判定閾値以下であるとき、前記測定管路が閉塞していない正常状態であると判定し、前記変化時間が前記第1の判定閾値を超え且つ前記第2の判定閾値未満のとき、前記測定管路が軽微な閉塞状態にあるが前記腹腔内の圧力を測定可能な軽微閉塞状態であると判定し、前記変化時間が前記第2の判定閾値以上であるとき、前記測定管路が重度の閉塞状態にあり前記腹腔内の圧力を誤測定する可能性がある重度閉塞状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の気腹システム。

技術分野

0001

本発明は、気体を送気して気腹する気腹システムに関する。

背景技術

0002

近年、腹腔鏡による観察下による外科手術が広く採用されるようになっている。腹腔鏡による外科手術においては、腹腔内に炭酸ガス等の所定の気体を送気して、腹腔鏡による観察視野手術する場合の領域とを確保するために気腹装置又は気腹システムが用いられる。

0003

このような気腹装置又は気腹システムにおいては、腹腔内に連通する管路詰まり等の閉塞状態が発生すると、腹腔内の圧力を正確に検出できなくなる虞がある。

0004

このため、特許文献1には、気腹チューブが接続された気体供給管路内に、気腹用気体を流入、若しくは流出させた際の気体供給管路内の圧力変化の大きさを検出し、この圧力変化の検出データに基づいて気腹チューブの詰まり状態を判断する技術が開示されている。

0005

また、特許文献2には、気腹チューブが接続された気体供給管路の気体排出口から気体を排出して、気体排出口を閉じた直後の管路内の圧力振動の1サイクル目圧力上昇時における圧力検知結果から、腹腔圧が正常な状態かチューブの詰まり或いは腹腔過圧状態かを判断する技術が開示されている。

先行技術

0006

特開平6−209901号公報
特開平9−38029号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1,2は、詰まりの有無を検出するが、詰まりの程度をより詳細に判定することを開示していない。実際面においては、詰まり(又は閉塞)が軽微な閉塞状態であったり、重度の閉塞状態であったりする場合があり、前者の判定結果と後者の判定結果では異なる送気制御が必要になる。このような閉塞状態を判定するには、特許文献1,2の技術では、判定する機能が不足する。そのため、閉塞状態をより精度良く判定でき、より信頼性が高い気腹システムが望まれる。

0008

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、閉塞状態を精度良く判定することのできる気腹システムを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0009

本発明の一態様の気腹システムは、所定の気体の腹腔内への送気を制御する制御部を有する気腹装置と、腹壁刺入されて前記腹腔内に挿入される第1のトラカールに接続され、前記気腹装置から前記腹腔内へ前記気体を送気するための送気管路と、前記腹壁に刺入されて前記腹腔内に挿入される第2のトラカールに接続され、前記腹腔内の圧力を測定するための測定管路と、前記送気管路上に設けられ、前記送気管路から前記腹腔内への送気の断続状態切り換える送気切換部と、前記測定管路上に設けられ、前記測定管路の管路圧力を測定する管路圧測定部と、前記気体の送気制御時に、前記送気切換部で前記送気管路の送気の断続状態を切り換えた後、前記管路圧測定部で測定した管路圧力の変化率に所定の変化が生じるまでの時間を変化時間として計測する変化時間計測部と、前記変化時間計測部で計測した変化時間と予め定められた判定値とを比較し、前記測定管路の閉塞状態を判定する閉塞状態判定部と、を有する。

発明の効果

0010

本発明によれば、閉塞状態を精度良く判定することができる。

図面の簡単な説明

0011

気腹システムの構成図
腹腔圧の測定管路を示す説明図
送気ONから送気OFF後の閉塞のない状態での測定圧の変化を示す説明図
送気ONから送気OFF後の閉塞のある状態での測定圧の変化を示す説明図
送気ONから送気OFF後の測定圧の変化の遅延を示す説明図
送気OFFから送気ON後の閉塞のない状態での測定圧の変化を示す説明図
送気OFFから送気ON後の閉塞のある状態での測定圧の変化を示す説明図
送気OFFから送気ON後の測定圧の変化の遅延を示す説明図
送気制御プログラムフローチャート
測定圧の変化を示す説明図

実施例

0012

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す気腹システム1は、手術台Bに載置された患者2の腹腔2a内に所定の気体としての炭酸ガスを送気し、腹腔2aを気腹するための気腹装置3と、患者2の腹腔2a内を観察する内視鏡装置4と、内視鏡装置4を構成する内視鏡5の観察下で治療のための処置を行う処置具6と、を有する。

0013

内視鏡装置4は、第1のトラカール13を介して腹腔2a内に刺入される内視鏡5と、この内視鏡5に光学的な観察のための照明光を供給する光源装置7と、内視鏡5に設けた撮像素子を駆動すると共に、撮像素子により撮像された撮像信号に対する信号処理を行う信号処理装置としてのビデオプロセッサ8と、ビデオプロセッサ8により生成された画像信号が入力されることにより、撮像素子で撮像した腹腔内の観察視野内の画像を内視鏡画像として表示する表示装置としてのモニタ9とを有する。

0014

また、気腹システム1は、気腹装置3の筐体3aに設けられた送気源口金11aに接続される炭酸ガスボンベ(以下、単にガスボンベ略記)10を有している。ガスボンベ10は、気腹装置3に炭酸ガスを供給する気体供給源となるものであり、送気源口金11aを介して気腹装置3内の内部管路11の一端に接続されている。

0015

内部管路11には、減圧を行う減圧器21、電気信号により炭酸ガスの圧力を調整して出力する電空比例弁22、制御信号により開閉する電磁弁23、送気流量を測定する流量センサ24、内部管路11内の圧力を計測する第1の圧力センサ25が上流側となる送気源口金11aから下流側の送気口金11bに至る間に順次配置されている。

0016

内部管路11の下流側の送気口金11bには、気腹装置3に接続される外部管路を形成する可撓性の送気チューブ12の一端が接続される。送気チューブ12の他端は、患者2の腹壁に刺入される送気用トラカール(又は気腹用トラカール)を形成する第1のトラカール13に接続される。

0017

第1のトラカール13は、中空ガイド管内に内視鏡5の挿入部5aが挿通され、送気チューブ12から中空路を介して送気された炭酸ガスは、送気チューブ12が接続される接続部から第1のトラカール13内における挿入部5aとガイド管との間の空隙部を通路として腹腔内に送気される。

0018

こうして、ガスボンベ10に接続された気腹装置3の内部管路11、この内部管路11に接続された送気チューブ12、送気チューブ12及び第1のトラカール13を介して腹腔2aと連通する通路により、ガスボンベ10から供給される炭酸ガスを腹腔2a内に送気するための送気管路14が形成される。

0019

また、本実施形態における気腹システム1は、以下に説明するように、腹腔内の圧力としての腹腔内圧力(単に腹腔内圧、又は腹腔圧とも言う)を測定するための管路系として、送気管路14とは別系統の測定管路19を有している。

0020

測定用トラカールを形成する第2のトラカール15が患者2の腹壁に刺入され、この第2のトラカール15の接続部に測定チューブ17の一端が接続される。測定チューブ17は、例えば内径が2mm、長さが3m程度の可撓性チューブである。

0021

測定チューブ17の他端は、測定用口金16aを介して気腹装置3内の管路16に接続され、この管路16に、測定管路19の管路圧力を測定する管路圧測定部を形成する第2の圧力センサ35が接続されている。尚、以下では、「第2の圧力センサ35」を、「圧力センサ35」と適宜記載する。

0022

測定用口金16aには、気腹装置3内部が汚染されるのを防止するためのフィルタ18(図2参照)が介挿されている。このフィルタ18は、手術の度に、新しい清浄なものと交換される。

0023

図2に示すように、第2のトラカール15のガイド管内には処置具6の外装管が挿通される。この第2のトラカール15においては、腹腔内に刺入された第2のトラカール15の先端開口は、処置具6の外装管の外側とガイド管の内側との空隙を通路として、接続部に接続された測定チューブ17の一端となる開口端と連通する。

0024

尚、図2に示すように、第2のトラカール15に処置具6の外装管を挿入した場合、挿入用の十字の切り込みを設けたゴム製の蓋15aにより、第2のトラカール15内部の通路は、外部と遮断される。

0025

こうして、第2のトラカール15に接続される測定チューブ17、測定チューブ17及び第2のトラカール15を介して腹腔2aと連通する通路、更には、測定チューブ17が接続される気腹装置3内の管路16により、腹腔2a内の圧力を測定するための測定管路19が形成される。

0026

尚、気腹装置3内の管路16は、第2の圧力センサ35に圧力を導く導管であり、第2の圧力センサ35を測定用口金16aを介して測定チューブ17に接続する等して、管路16を省略することも可能である。

0027

また、気腹装置3には、気腹装置3の送気動作等を制御する制御部101を有するコントローラ100と、気腹装置3からの気腹(送気)により目標の目標腹腔圧(又は設定圧)等の設定(又は入力)を行うパネル27と、測定された腹腔圧や送気流量等の表示を行う表示器28とが設けてある。尚、コントローラ100は、例えば中央処理装置(CPU)を有するマイクロコンピュータを中心として構成されるが、タイマ回路比較回路演算回路メモリ回路等を備えた電子回路を用いて構成することも可能である。

0028

また、コントローラ100には、術者等のユーザが気腹装置3に対して、気腹(送気)の動作を開始したり、気腹の動作を終了させる指示操作(又は指示入力)を行うパネル27が接続されている。

0029

ガスボンベ10は、例えば6MPa程度の高圧の炭酸ガスを、送気源口金11aを介して気腹装置3内の減圧器21に供給する。減圧器21は、例えば0.4Mpa程度の低い圧力に減圧して、電空比例弁22に送気する。電空比例弁22は、コントローラ100の制御部101から制御信号が印加されることにより、この制御信号に応じた圧力に調整して電磁弁23側に送気する送気圧力可変制御する弁である。

0030

コントローラ100による送気制御では、制御部101は、パネル27により設定される目標腹腔圧(又は設定圧)に対して、実際に測定された腹腔圧との差分に対応した制御信号を電空比例弁22に印加する。電空比例弁22は、差分に対応した所定の圧力(例えば、0〜80mmHg程度)の炭酸ガスを電磁弁23側に送気する。

0031

具体的には、送気を開始した時のように設定圧に比較して実際に測定された腹腔圧の差分が大きい場合には、電空比例弁22は大きな圧力で送気を行い、腹腔圧が設定圧に近づくにつれて差分が小さくなるため、電空比例弁22は0に近い圧力で送気を行う状態となる。

0032

電磁弁23は、送気管路14から腹腔2a内への炭酸ガスの送気の断続状態を切り換える送気切換部を形成するものであり、制御部101からのON/OFFの制御信号により電気的に弁が開閉して送気管路14を開閉し、送気実行(送気ON)及び送気停止(送気OFF)の断続状態を切り換える。尚、この電磁弁23は、気腹(送気)開始の制御信号で開弁し、気腹終了の制御信号で閉となる。

0033

流量センサ24は、測定した送気流量を制御部101に送る。制御部101は、適宜の周期(例えば10msec程度)で測定された送気流量をサンプリングし、積算して積算流量Qを算出する。流量センサ24を通った炭酸ガスは、送気チューブ12,第1のトラカール13を経て腹腔内に送気される。尚、第1の圧力センサ25は、内部管路11内の圧力を測定し、制御部101に出力する。

0034

制御部101は、腹腔2aの腹腔圧に基づいて、送気圧を調整(換言すると送気流量を調整)して、送気管路14からの送気動作を制御する。腹腔圧は、正常な状態においては、圧力センサ35によって測定した測定管路19の管路圧力(測定圧力)と同等であるが、測定管路19の主要部を形成する測定チューブ17は可撓性のチューブであるため、使用中において曲がって内径が扁平形状となり本来の管路特性が得られない軽微な半閉塞等の状態になったりして、腹腔圧の測定精度が悪化する虞がある。

0035

また、測定管路19における途中に配置されるフィルタ18が、微粒子等で目詰まりして閉塞状態になったり、第2のトラカール15における狭い通路異物侵入目詰まり状態になる等して閉塞状態になる虞もある。この他に、誤った操作として第2のトラカール15のコック(図示略)を閉じることにより、閉塞状態になってしまう場合もあり得る。

0036

このような閉塞状態の1つの代表的な例として、図2では測定チューブ17の途中において内径が実質的に小さくなることにより、閉塞状態を発生する閉塞部36を模式的に示している。多くの場合、閉塞部36は、可撓性を有する長尺の測定チューブ17部分において発生する。

0037

このため、コントローラ100は、制御部101による腹腔内への送気を制御する機能に加え、測定管路19の閉塞状態を判定するための機能を有している。コントローラ100は、送気のON,OFF状態を切り換えたときの測定管路19の管路圧力の変化に基づいて、測定管路19の閉塞状態を判定する。

0038

ここで、測定管路19の閉塞状態を判定するコントローラ100の判定アルゴリズムについて説明する。以下では、(A)送気をONからOFFにした場合と、(B)送気をOFFからONにした場合とに分けて説明するが、基本的には同じアルゴリズムである。

0039

(A)送気をONからOFFにした場合
測定管路19に閉塞の無い状態では、腹腔圧Pcと、測定管路19の管路圧力(圧力センサ35で測定した測定圧)Pmは、図3に示すように、時間経過とともに変化する。すなわち、送気がONの状態では、腹腔内にガス送り込まれるため、図3に示すように、腹腔圧Pcは上昇し、送気をOFFにすると、腹腔圧Pcの上昇が止まる。言い換えると、送気をONからOFFにした時点tcで、腹腔圧Pcの変化率(単位時間当たりの圧力変化量)が変わる。このとき、測定管路19に閉塞が無いため、測定圧Pmも腹腔圧Pcと同様の挙動となり、送気をONからOFFにした時点で、測定圧Pmの変化率が変わる。

0040

一方、測定管路19に閉塞が有る状態では、送気をONからOFFにしたときの、腹腔圧Pcと測定圧Pmは、図4に示すように変化する。測定管路19の閉塞とは、測定管路19の流路抵抗が本来の設計値よりも高くなっていることを意味する。従って、送気がONの状態では、図4に示す腹腔圧Pcは、図3と同じ挙動となるが、測定圧Pmは、腹腔圧Pcよりも低くなり、腹腔圧Pcが上昇するにつれて測定圧Pmも上昇する。

0041

送気をONからOFFにすると、測定圧Pmの上昇はすぐには止まらず、時間τの経過後に上昇が止まる現象となる。このような現象となるのは、測定管路19に閉塞がある場合、腹腔内の圧力変化が圧力センサ35に伝わるまでに遅延が発生するためである(遅延時間τ)。

0042

この遅延の発生の仕方は、測定管路19の閉塞の程度によって異なる。送気をONからOFFした後、管路に閉塞の無い状態では、図5にL1のラインで示すように、測定圧Pmの遅延はほとんど発生しない。管路の閉塞の程度が高くなるにつれて、L2→L3のラインで示すように、遅延時間τ1,τ2(τ1<τ2)が発生する。測定管路19を形成する測定チューブ17が折れ曲がる等で、完全に管路が塞がった場合には、L4のラインに示すように、送気のON時とOFF時とで測定圧の変化は生じない。これは、無限時間の遅延が発生している(τ→∞)と考えることができる。

0043

従って、送気をONからOFFにした後、測定管路19の管路圧力が時間的に変化する変化率を求め、この管路圧力の変化率に所定の変化が生じるまでの遅延時間を計測することで、遅延時間の大小によって測定管路19の閉塞状態を判定することができる。管路圧力の変化率に所定の変化が生じるまでの遅延時間は、管路圧力の変化率が設定値に達するまでの変化時間(送気をONからOFFにした後の経過時間)として把握することができる。

0044

管路圧力の変化率に対する設定値は、送気をOFFにする前の送気ON状態での測定管路19の管路圧力の変化率に基づいて設定し、送気をOFFにする前の変化率に対して、例えば、管路系の構成、送気圧力、環境条件等を考慮して設定した所定の変化率とする。尚、この設定値は、限定的な条件下で予め定めた固定値とすることも可能である。

0045

(B)送気をOFFからONにした場合
送気をOFFからONにした場合も、送気をONからOFFにした場合と同様であり、測定管路19に閉塞の無い状態では、図6に示すように、送気をOFFからONにした時点toで、腹腔圧Pcと同様、測定圧Pmの変化率に変化が現れ、測定圧Pmが直ちに上昇する。一方、測定管路19に閉塞の有る状態では、図7に示すように、送気をOFFからONにしたとき、腹腔圧Pcが直ちに上昇するのに対して測定圧Pmは直ちに上昇せず、測定圧Pmの変化率に変化が現れるまでに遅延時間τ'が生じる。

0046

この場合においても、遅延の発生の仕方は、管路の閉塞の程度によって異なる。管路に閉塞の無い状態では、図8にL1’のラインで示すように、送気をOFFからONにした時点で測定圧Pmが直ちに上昇し、遅延はほとんど発生しない。閉塞の程度が高くなるにつれて、L2'→L3'のラインで示すように、遅延時間τ1',τ2'(τ1'<τ2')が発生する。測定チューブ17が折れ曲がる等で、完全に管路が塞がった場合には、L4’のラインに示すように、送気をしても、測定圧Pmが変化しなくなる。これは、無限時間の遅延が発生している(τ'→∞)と考えることができる。

0047

従って、送気をONからOFFにした後、測定管路19の管路圧力が時間的に変化する変化率を求め、この管路圧力の変化率に所定の変化が生じるまでの遅延時間を計測することで、送気をONからOFFにした場合と同様、遅延時間の大小によって測定管路19の閉塞状態を判定することができる。

0048

以上に基づいてコントローラ100は、測定管路19の閉塞状態を判定する機能部として、図1中に示すように、変化時間計測部102と、閉塞状態判定部103とを備えている。これらの機能部は、本実施の形態においてはコントローラ100の一部の機能として実現されるが、コントローラ100とは独立した装置として構成し、互いに通信ライン等によって情報を交換するようにしても良い。

0049

変化時間計測部102は、送気管路14の電磁弁23を開から閉に切り換えて送気をONからOFFにした後、又は電磁弁23を閉から開に切り換えて送気をOFFからONにした後、測定管路19の管路圧力をモニタし、管路圧力の変化率に所定の変化が生じるまでの変化時間を計測する。

0050

具体的には、変化時間は、測定管路19の管路圧力の変化率が設定値に達するまでの経過時間として測定され、この経過時間により、管路の閉塞に起因する圧力挙動遅延状況を調べる。変化率の設定値は、送気をONからOFF、又はOFFからONに切り換える前の測定管路19の管路圧力の変化率に基づいて設定する。例えば、電磁弁23を開から閉又は閉から開に切り換える直前の管路圧力の変化率の30%を設定値Rhとして、切り換え後の管路圧力の変化率が切り換え前の変化率の30%になるまでの経過時間を測定する。

0051

但し、前述したように、管路の閉塞状態によっては、管路圧力の変化率が設定値に達するまでには無限若しくは無限に近い時間を要する場合があるため、経過時間の測定には制限を設け、管路圧力の変化率が設定値Rhに達する前に、測定管路19が重度の閉塞状態にあることを示す後述の第2の判定閾値Th2以上の時間が経過した場合には、そのときの時間を設定値Rhに達した時間と見做して計時を打ち切り、判定までの時間が徒に増大することを回避する。

0052

閉塞状態判定部103は、変化時間計測部102で計測した経過時間を予め設定した判定値と比較し、測定管路19の閉塞状態を判定する。本実施の形態においては、測定管路19の閉塞状態を、閉塞していない正常状態と、軽微な閉塞状態にある軽微閉塞状態と、重度の閉塞状態にある重度閉塞状態との3段階で判定する。このため、閉塞状態を判定するための判定値として、正常状態と軽微閉塞状態との境界となる第1の判定閾値Th1と、軽微閉塞状態と重度閉塞状態との境界となり、第1の判定閾値Th1より大きい第2の判定閾値Th2とを予め設定しておく。

0053

具体的には、閉塞状態判定部103は、変化時間計測部102で計測した経過時間が第1の判定閾値Th1以下である場合には正常状態と判定し、第1の判定閾値Th1を超え且つ第2の判定閾値Th2未満の場合、軽微閉塞状態と判定する。また、変化時間計測部102で計測した経過時間が第2の判定閾値Th2以上である場合には、重度閉塞状態と判定する。ここで、軽微閉塞状態は腹腔内の圧力を測定可能であるが、重度閉塞状態は腹腔内の圧力を誤測定する可能性がある状態である。

0054

次に、コントローラ100における測定管路19の閉塞状態判定を含む送気制御のプログラム処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。

0055

尚、図9においては、送気をONからOFFに切り換えて測定管路19の閉塞状態を判定する処理について説明するが、送気をOFFからONに切り換えて閉塞状態を判定する場合も、基本的に同様のアルゴリズムによって閉塞状態を判定することができる。

0056

図9に示すプログラム処理は、パネル27からの気腹開始の操作入力によって起動され、気腹終了の操作入力によって終了する。測定管路19に閉塞の無い正常状態では、腹腔圧を設定された圧力に到達させるため、設定した流量で送気を行い、送気開始後、送気流量の積算値閾値に達したとき、送気を一時的に停止して測定管路19の閉塞状態を判定する。測定管路19に閉塞が有ると判定された場合には、通常の送気制御を変更して、測定管路19の閉塞状態に対応した送気制御に切り換える。

0057

詳細には、図9の送気制御プログラムが起動されると、先ず、最初のステップS1において、送気管路14の電磁弁23を開弁し、ガスボンベ10の炭酸ガスを送気チューブ12から第1のトラカール13を経て腹腔2a内に送気する(送気ON)。そして、ステップS2で圧力センサ35により腹腔圧に相当する測定管路19の管路圧力を測定する。

0058

次に、ステップS3へ進み、圧力センサ35の測定結果から圧力勾配Raを計算する。ここでの圧力勾配Raは、時間軸での圧力変化率であり、測定した管路圧力の時間変化量が圧力勾配Raに相当する。

0059

図10に示すように、圧力センサ35による管路圧力の測定は、一定時間Tm(例えばTm=10msec)毎に行い、測定する度に前回測定値との比較から圧力勾配Raを求める。例えば、今回の測定圧がPm(i)で前回の測定圧がPm(i-1)であったとすると、圧力勾配Raは以下の(1)式で与えられる。
Ra=(Pm(i)-Pm(i-1))/Tm …(1)

0060

その後、ステップS4へ進み、ステップS2の測定結果に基づいて、制御信号を電空比例弁22に印加し、電空比例弁22の出力(弁開閉量)を設定(又は制御)する。送気を開始した直後においては、測定された腹腔圧は、設定圧よりもかなり低いため、電空比例弁22の出力が大きい値となるように制御し、測定された腹腔圧が、設定圧に近づくに従って、電空比例弁22の出力を下げるように制御する。設定圧に近づくに従って、電空比例弁22の出力を下げるように制御することにより、腹腔圧が設定圧を大きく超過することを防止することができる。

0061

次のステップS5では、流量センサ24で送気流量を測定し、ステップS6で送気流量の測定結果から流量積算値Qsumを計算する。送気流量の積算は、ステップS1で送気を開始してからトータルでどれだけのガスを送気したかを調べるための処理であり、ステップS7で流量積算値Qsumが所定の閾値Qhに達したか否かを調べる。

0062

そして、流量積算値Qsumが閾値Qhに達していない場合(Qsum<Qh)には、送気を継続してステップS7からステップS2へ戻る。一方、流量積算値Qsumが閾値Qhに達している場合(Qsum≧Qh)には、ステップS7からステップS8以降の処理に進む。

0063

ステップS8では電磁弁23を閉じて送気を停止(送気OFF)し、ステップS9において、圧力センサ35により送気OFF後の測定管路19の管路圧力を測定する。そして、ステップS10で、圧力センサ35の測定結果から、送気OFF後の圧力勾配Rbを計算する。圧力勾配Rbは、ステップS3における圧力勾配Raと同様に計算され((1)式参照)、時間Tm当たりの管路圧力の変化量で与えられる。

0064

その後、ステップS11へ進んで送気OFF(電磁弁23閉)後の経過時間Tbを測定し、ステップS12において、経過時間Tbが重度閉塞状態を判定するための第2の判定閾値Th2に達したか否かを調べる。Tb<Th2の場合、ステップS12からステップS13へ進み、Tb≧Th2になると、ステップS12からステップS14へ進む。

0065

送気OFF後の当初は、Tb<Th2であるため、ステップS12からステップS13へ進み、圧力勾配Rbが設定値Rhに達したか否かを調べる。ステップS13において、Rb<RhのときにはステップS9へ戻り、Rb≧Rhのとき、そのときの経過時間を記録してステップS14へ進み、測定管路19の閉塞状態を判定する。

0066

この場合、送気OFF時には、電磁弁23に制御信号を送ってから実際に弁が閉じ始めるまでに所定の時間Tdの応答遅れが発生する(通常、Td=20msec程度)。この応答遅れの間は、図10に示すように、圧力勾配Rbはほとんど変化せず、遅れ時間Td以降、徐々に圧力勾配Rbが変化し始める。

0067

ステップS13では、圧力勾配Rbが電磁弁23を閉じる直前の圧力勾配Raから設定される設定値Rhとなるまでの経過時間Tbを記録し、ステップS14において経過時間Tbから測定管路19の閉塞状態を判定する。前述したように、設定値Rhは、例えば、送気OFF直前の圧力勾配Raの30%とする。

0068

但し、圧力勾配Rbが設定値Rh未満の状態である時間が第2の判定閾値Th2以上となる場合には、そのときの時間を、圧力勾配Rbが設定値Rhに達した経過時間Tbと見做し、ステップS12からステップS14へ進む。

0069

ステップS14における閉塞状態の判定は、ステップS12或いはステップS13での経過時間Tbと、第1の判定閾値Th1及び第2の判定閾値Th2とを比較して行い、例えば、以下に示すように、判定結果に応じた値F1,F2,F3を判定フラFLにセットする。第1の判定閾値Th1は、電磁弁23の閉弁の応答遅れを考慮したとき、例えばTh1=Td+20msec、第2の判定閾値Th2は、例えばTh2=Td+150msecとされる。

0070

判定フラグ 判定結果 経過時間
FL=F1閉塞していない正常状態Tb≦Th1
FL=F2腹腔圧の測定に支障はない軽微な閉塞状態Th1<Tb<Th2
FL=F3 腹腔圧を正確に測定できない重度の閉塞状態 Tb≧Th2

0071

その後、ステップS15へ進み、判定フラグFLを参照する等して閉塞状態の判定結果を識別し、閉塞状態に応じた処理に移行する。例えば、FL=F1の場合、閉塞していない正常状態であるため、ステップS15からステップS1に戻って送気を再開する。また、FL=F2の場合には、軽微な閉塞状態で腹腔圧の測定には支障がないため、ステップS15からステップS16へ進んで流量積算値Qsumに対する閾値Qhをより小さい値に再設定し、ステップS1へ戻る。

0072

すなわち、本実施の形態においては、所定量送気する度に閉塞状態の判定動作を行うため、送気をOFFするタイミングを決定する積算流量の閾値Qhを小さくすることで、判定動作が頻繁に行われるようになる。軽微な閉塞状態では、測定管路19に異物が侵入する等して、徐々に閉塞が進行していることが想定される。従って、軽微閉塞状態が検出された場合には、判定動作の頻度を高くすることで、万が一、重度閉塞状態に陥ったとしても、迅速に検知できるように調整する。

0073

一方、ステップS15において、FL=F3であり、重度閉塞状態と判定された場合には、ステップS15からステップS17へ進み、送気制御を間欠送気方式へと切り換える。間欠送気方式は、測定管路19を使わずに、送気管路14を介して、ガスの送気と、送気管路14の第1の圧力センサ25による腹腔圧の検出を交互に行うことで、腹腔圧が所定の値となるように間欠的にガスを送り出す送気方式である。この間欠送気方式では、測定管路19を用いた方式に比べて送気効率が悪くなるものの、手技は問題なく続行することができる。

0074

このように本実施の形態においては、送気の断続状態を切り換えた後に腹腔2aに連通する測定管路19の管路圧力を圧力センサ35でモニタし、管路圧力の変化率から閉塞状態を判定するため、閉塞状態の判定のために特別な機器を要することなく、通常の圧力測定結果から測定管路19の詰まりの度合いとしての閉塞度又は閉塞状態を精度良く判定することができる。

0075

しかも、本実施の形態においては、腹腔2aに連通する測定管路19は端部が閉じた管路であり、この端部が閉じた管路の圧力の変化に基づいて閉塞状態を判定するため、気腹(または送気)に用いる炭酸ガスを大気に逃がすような測定方式に比較して、炭酸ガスの補充を最小限に抑制することができ、経済性に優れる。

0076

また、本実施の形態によれば、判定された閉塞状態に応じて、さらに気腹の動作を継続して行うことができるため、術者は内視鏡による観察下での処置具6による手術を円滑に行うことができる。

0077

具体的には、閉塞状態が軽微な閉塞状態と判定した場合には、非閉塞の場合と同様に送気制御を行うことにより実質的に設定圧と等しい腹腔圧に維持した状態で術者は内視鏡による観察下での処置具6による手術を円滑に行うことができる。一方、閉塞状態が測定管路19の圧力を測定できない重度の閉塞状態と判定した場合には、送気管路14側において送気を間欠的に行うことにより、術者は内視鏡による観察下での処置具6による手術を行う機能も確保できる。

0078

1気腹システム
2患者
2a腹腔
3気腹装置
4内視鏡装置
5内視鏡
6処置具
7光源装置
8ビデオプロセッサ
9モニタ
10 (炭酸)ガスボンベ
11内部管路
12 送気チューブ
13 第1のトラカール
14 送気管路
15 第2のトラカール
16管路
17測定チューブ
19測定管路
21減圧器
22電空比例弁
23電磁弁
24流量センサ
25 第1の圧力センサ
27パネル
35 第2の圧力センサ
36閉塞部
100コントローラ
101 制御部
102 変化時間計測部
103閉塞状態判定部
Pc腹腔圧
Pm測定圧
Ra圧力勾配(送気ONの圧力変化率)
Rb 圧力勾配(送気OFF後の圧力変化率)
Tb 経過時間(変化時間)
Rh (変化率の)設定値
Th1 第1の判定閾値
Th2 第2の判定閾値

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