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技術 人工血管用ゲル材料及びその製造方法

出願人 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学日本酢ビ・ポバール株式会社
発明者 松村和明木村佳弘万治志
出願日 2015年5月7日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2015-095248
公開日 2016年12月15日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-209261
状態 特許登録済
技術分野 医療用材料
主要キーワード 平底容器 反応原理 混合ゲル ブチリロニトリル 変性部分 人工材料 低温結晶化 ジアセトンアクリルアミド単位
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図面 (6)

課題

内側表面に内皮細胞を増殖させたハイブリッド型人工血管であって力学的性質生体の血管と近似した人工血管を、形成可能である人工材料を提供すること。

解決手段

酢酸ビニルジアセトンアクリルアミド共重合体鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液からなる生体適合修飾性ゲル材料組成物、及び該生体適合修飾性ゲル材料組成物がゲル化されてなる生体適合修飾性ゲル。

概要

背景

人工血管の研究は古くから行われ、様々な種類の材料が開発されている。初期の人工血管は、ダクロンテフロン等の合成繊維によって織られた布製人工血管であったが、長期の使用によって血小板白血球が付着して人工血管が閉塞してしまうという問題があり、内径約5mm以下といった小口径の人工血管としては使用困難なものであった。

そこで、小口径の人工血管として、人工材料による管状構造の内側表面に内皮細胞を増殖させて、血栓形成等を防止し、閉塞を回避するハイブリッド型の人工血管の開発が試みられるようになってきた(特許文献1)。

特許文献2は、ジアセトンアクリルアミド重合変性PVAに水溶性ヒドラジン化合物を反応させて得られる含水ゲルの製造方法を開示している。しかしながら、この方法では、水溶性ヒドラジンはジアセトンアクリルアミドの架橋剤として使用しており、得られるゲルには生体適合性を有する化合物化学的に結合させるカルボニル基が残されていないか、少ないため、人工血管として使用する場合に生体適合性が小さいという問題があった。

概要

内側表面に内皮細胞を増殖させたハイブリッド型の人工血管であって力学的性質生体の血管と近似した人工血管を、形成可能である人工材料を提供すること。酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液からなる生体適合修飾性ゲル材料組成物、及び該生体適合修飾性ゲル材料組成物がゲル化されてなる生体適合修飾性ゲル。なし

目的

本発明の目的は、内側表面に内皮細胞を増殖させたハイブリッド型の人工血管であって力学的性質が生体の血管と近似した人工血管を、形成可能である人工材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酢酸ビニルジアセトンアクリルアミド共重合体鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程、を含む、生体適合修飾性ゲルを製造する方法。

請求項2

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程、ゲルに、H2N−NH−CO−基を有する生体適合性分子を反応させて、結合する工程、を含む、生体適合性ゲルを製造する方法。

請求項3

生体適合性ゲルが、人工血管用ゲルである、請求項2に記載の方法。

請求項4

溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程が、溶液を、加熱した後に、冷却して、ゲルを形成する工程である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。

請求項5

冷却が、−5℃〜−80℃の温度で、1〜72時間の冷却である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

請求項6

加熱が、60℃〜180℃の温度で、0.5〜5時間の加熱である、請求項4〜5のいずれかに記載の方法。

請求項7

溶液の溶媒が、DMSOを含む水である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

請求項8

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量の和が、溶液の質量に対して、1〜30質量%の範囲にある、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

請求項9

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量比(酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物:ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコール)が、10:0.01〜0.01:10の範囲にある、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。

請求項10

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物中のジアセトンアクリルアミド単位含有量が、0.1モル%〜15モル%の範囲にある、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。

請求項11

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液からなる、生体適合修飾性ゲル材料組成物

請求項12

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量の和が、溶液の質量に対して、1〜30質量%の範囲にある、請求項11に記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物。

請求項13

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量比(酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物:ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコール)が、10:0.01〜0.01:10の範囲にある、請求項11〜12のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物。

請求項14

酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物中のジアセトンアクリルアミド単位含有量が、0.1モル%〜15モル%の範囲にある、請求項11〜13のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物。

請求項15

請求項11〜14のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物がゲル化されてなる、生体適合修飾性ゲル。

請求項16

溶媒がDMSO/水=80/20であるゲルのヤング率[MPa]が、0.01〜0.15の範囲にある、請求項15に記載の生体適合修飾性ゲル。

請求項17

請求項15〜16のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲルへ、H2N−NH−CO−基を有する生体適合性分子が反応して、結合されてなる、生体適合性ゲル。

請求項18

請求項17に記載の生体適合性ゲルを使用して製造された、人工血管。

技術分野

0001

本発明は、人工血管ゲル材料及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

人工血管の研究は古くから行われ、様々な種類の材料が開発されている。初期の人工血管は、ダクロンテフロン等の合成繊維によって織られた布製人工血管であったが、長期の使用によって血小板白血球が付着して人工血管が閉塞してしまうという問題があり、内径約5mm以下といった小口径の人工血管としては使用困難なものであった。

0003

そこで、小口径の人工血管として、人工材料による管状構造の内側表面に内皮細胞を増殖させて、血栓形成等を防止し、閉塞を回避するハイブリッド型の人工血管の開発が試みられるようになってきた(特許文献1)。

0004

特許文献2は、ジアセトンアクリルアミド重合変性PVAに水溶性ヒドラジン化合物を反応させて得られる含水ゲルの製造方法を開示している。しかしながら、この方法では、水溶性ヒドラジンはジアセトンアクリルアミドの架橋剤として使用しており、得られるゲルには生体適合性を有する化合物化学的に結合させるカルボニル基が残されていないか、少ないため、人工血管として使用する場合に生体適合性が小さいという問題があった。

先行技術

0005

特表2008−532654号公報
特開平10−287711号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ハイブリッド型の人工血管であっても、その力学的性質は、生体の血管と近似していることが望まれる。

0007

そこで、本発明の目的は、内側表面に内皮細胞を増殖させたハイブリッド型の人工血管であって力学的性質が生体の血管と近似した人工血管を、形成可能である人工材料を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、鋭意研究の結果、特定の化学修飾がなされたPVA(ポリビニルアルコール)の高分子が、未修飾のPVA(ポリビニルアルコール)の高分子と混合して、ゲルを形成可能であること、得られたゲルが人工血管に適した力学的性質を備えていること、得られたゲルが上記特定の化学修飾部位を介して、生体適合性分子共有結合可能であることを見いだして、本発明に到達した。

0009

したがって、本発明は次の(1)以下を含む。
(1)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程、
を含む、生体適合修飾性ゲルを製造する方法。
(2)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程、
ゲルに、H2N−NH−CO−基を有する生体適合性分子を反応させて、結合する工程、
を含む、生体適合性ゲルを製造する方法。
(3)
生体適合性ゲルが、人工血管用ゲルである、(2)に記載の方法。
(4)
溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程が、
溶液を、加熱した後に、冷却して、ゲルを形成する工程
である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)
冷却が、−5℃〜−80℃の温度で、1〜72時間の冷却である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)
加熱が、60℃〜180℃の温度で、0.5〜5時間の加熱である、(4)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)
溶液の溶媒が、DMSOを含む水である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量の和が、溶液の質量に対して、1〜30質量%の範囲にある、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量比(酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物:ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコール)が、10:0.01〜0.01:10の範囲にある、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物中のジアセトンアクリルアミド単位含有量が、0.1モル%〜15モル%の範囲にある、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)
溶媒がDMSO/水=80/20であるゲルのヤング率[MPa]が、0.01〜0.15の範囲にある、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。

0010

(21)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液からなる、生体適合修飾性ゲル材料組成物
(22)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量の和が、溶液の質量に対して、1〜30質量%の範囲にある、(21)に記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物。
(23)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量比(酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物:ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコール)が、10:0.01〜0.01:10の範囲にある、(21)〜(22)のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物。
(24)
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物中のジアセトンアクリルアミド単位含有量が、0.1モル%〜15モル%の範囲にある、(21)〜(23)のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物。
(25)
(21)〜(24)のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲル材料組成物がゲル化されてなる、生体適合修飾性ゲル。
(26)
溶媒がDMSO/水=80/20であるゲルのヤング率[MPa]が、0.01〜0.15の範囲にある、(25)に記載の生体適合修飾性ゲル。
(27)
(25)〜(26)のいずれかに記載の生体適合修飾性ゲルへ、H2N−NH−CO−基を有する生体適合性分子が反応して、結合されてなる、生体適合性ゲル。
(28)
(27)に記載の生体適合性ゲルを使用して製造された、人工血管。

発明の効果

0011

本発明によれば、生体適合性人工材料、特に人工血管の形成に適した生体適合性ゲルを得ることができる。本発明の生体適合性ゲルは、力学的性質が生体の血管と近似した人工血管を形成可能であり、化学修飾部位を介して所望の分子を共有結合させることによって所望の生体適合性を付与できる点で優れている。

図面の簡単な説明

0012

図1は、ジアセトン変性PVAの混合割合を変えた混合ゲル外観写真である。
図2は、ジアセトン変性PVAの混合割合と機械特性(ヤング率)の関係を示すグラフである。
図3は、ジアセトン変性PVAの混合割合を変えた混合ゲルのアミド基吸収スペクトルである。
図4は、ジアセトン変性部分ヒドラジドとの反応の原理の説明図である。
図5は、混合ゲル表面の修飾試験の手順を示す説明図である。
図6は、ジアセトン変性PVAの混合割合と混合ゲルに結合したサリチルヒドラジドの関係を示すグラフである。

0013

具体的な実施の形態をあげて、以下に本発明を詳細に説明する。本発明は、以下にあげる具体的な実施の形態に限定されるものではない。

0014

[本発明のゲルの製造]
本発明の生体適合修飾性ゲルは、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程、を含む方法によって、製造することができる。

0015

さらに、本発明の生体適合性ゲルは、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程、ゲルに、H2N−NH−CO−基を有する生体適合性分子を反応させて、結合する工程、を含む方法によって、製造することができる。

0016

[酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物]
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物(Dポリマー)は、次の式で表される構造を有するジアセトン変性PVA(ジアセトン変性ポリビニルアルコール)であり、例えば、特許文献2に開示された方法によって得ることができる。なお、本発明で使用する酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とは、このように特定される高分子と同じ構造の高分子であればよく、酢酸ビニルとジアセトンアクリルアミドの組み合わせによる共重合反応鹸化反応を介して得られた高分子に限られるものではないことは、当業者の理解するところであり、例えば、特許文献2等に開示された公知の技術によって、製造することができる。

0017

0018

ただし、上記式中の繰り返し単位である、−CH2−CH(OH)−、及び−CH2−CH(CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH3)−は、いずれもランダムに導入されており、m及びnは、繰り返し単位の合計がそれぞれm及びnであることを表す。

0019

好適な実施の態様において、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物は、例えば500〜3000、好ましくは1500〜2000の重合度を有し、例えば95.0〜99.9%、好ましくは98.5〜99.5%の鹸化度を有するものとできる。酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物中のジアセトンアクリルアミド単位含有量は、例えば0.1モル%〜15モル%、好ましくは1〜10モル%、3〜7モル%とすることができる。

0020

[ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコール]
ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールとして、公知のケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを使用できる。好適な実施の態様において、ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールは、例えば500〜3000、好ましくは1500〜2000の重合度を有し、例えば98.0〜99.9%、好ましくは98.5〜99.5%の鹸化度を有することができる。

0021

[生体適合修飾性ゲル材料組成物]
本発明のゲルは、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液を、生体適合修飾性ゲル材料組成物として使用して、形成できる。この溶液には、ゲル形成のための溶質として、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールが含まれており、その質量の和は、溶液全体の100質量部に対して、例えば1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部、さらに5〜15質量部が好ましい。溶液の溶媒としては、後述の溶媒を使用できる。生体適合修飾性ゲル材料組成物の溶液には、生体適合性材料として所望の成分を、さらに添加してもよく、そのような成分としては、例えば、コラーゲンヒアルロン酸、をあげることができる。酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物とケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールの質量比(酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物:ケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコール)が、10:0.01〜0.01:10の範囲、好ましくは1:9〜1:1の範囲とすることができる。

0022

[溶媒]
酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物、及びケン化度98モル%以上の未変性ポリビニルアルコールを含む溶液の溶媒として、水または水を含む混合溶媒を使用することができ、好ましくはDMSOと水の混合溶媒を使用することができる。あるいは、DMSOに代えて、グリセリン、N−メチルピロリドンを使用してもよい。好適な実施の態様において、DMSOと水の混合溶液は、DMSO/水の質量比を、例えば60/40〜95/5の範囲、好ましくは70/30〜90/10の範囲とすることができる。

0023

[冷却]
溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程において、冷却は、例えば−5℃〜−80℃の温度、好ましくは−10℃〜−30℃の温度で、例えば1〜72時間、好ましくは2〜48時間、3〜30時間の間、冷却することによって行うことができる。

0024

[加熱]
好適な実施の態様において、溶液を、冷却して、ゲルを形成する工程として、溶液を、加熱した後に、冷却して、ゲルを形成する工程を行うことができる。加熱は、例えば60℃〜180℃の温度、好ましくは80℃〜160℃の温度、110℃〜130℃の温度で、例えば0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間の間、必要により加圧下で加熱することによって行うことができる。

0025

[ゲルの機械特性]
本発明のゲルは、人工血管に適した力学的特性(機械特性)を備えている。好適な実施の態様において、溶媒がDMSO/水=80/20であるゲルのヤング率[MPa]が、例えば0.01〜0.15、好ましくは0.04〜0.14、0.06〜0.13の範囲にある。好適な実施の態様において、溶媒を水に置換したゲルのヤング率[MPa]が、例えば0.1〜5.0、好ましくは0.5〜2.0の範囲にある。ヤング率は、実施例に開示する条件にしたがって公知の手段によって求めることができる。

0026

[ゲルの表面官能基
本発明のゲルは、ジアセトンアクリルアミド単位の側鎖として、−CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH3基を有し、これがゲル表面からアクセス可能に存在している。この基は、図4に示す反応原理によって、H2N−NH−CO−基と反応して、共有結合(−CO−NH−C(CH3)2−CH2−C(CH3)=N−NH−CO−)を形成する。その結果、H2N−NH−CO−基を有する生体適合性分子を、ゲルに結合することができる。

0027

[生体適合性分子]
生体適合性分子にH2N−NH−CO−基を付与することによって、本発明のゲルに共有結合可能である。そこで、本発明のゲルは、この生体適合性分子を適宜選択することによって、所望の生体適合性を付与することができる。好適な実施の態様において、本発明のゲルは、生体適合性分子として、血管内皮細胞接着及び増殖に適した分子を選択することによって、血管内皮細胞を増殖させたハイブリッド型人工血管の材料として好適に使用できる。血管内皮細胞の接着及び増殖に適した分子としては、特に制限なく公知の分子を使用することができ、例えば、細胞接着性ペプチドであるRGD配列を有するペプチド、血管内皮細胞接着性ペプチドであるREDV配列を有するペプチド、コラーゲン、ラミニンフィブロネクチンをあげることができる。なお、比較的に小さな分子や数アミノ酸長程度の小さなペプチドの場合には、いったんこれらをリンカーとなる分子に結合させて、そのリンカー分子にH2N−NH−CO−基を付与してもよく、すなわちリンカー分子を介して本発明のゲルと共有結合させてもよい。このようなリンカー分子として、例えばヒアルロン酸をあげることができる。

0028

[人工血管]
本発明の生体適合性ゲルは、力学的性質の点と、血管内皮細胞の接着性及び増殖性の付与の観点から、特に人工血管の形成に適している。生体適合性ゲルから人工血管を形成する場合には、所望により、公知の人工血管形成用材料をさらに組み合わせてもよい。本発明による人工血管は、血管内皮細胞の増殖によって閉塞を防ぐハイブリッド型人工血管とすることができることから、内径約5mm以下といった小口径の人工血管として好適に使用可能なものである。

0029

以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、特にことわりのない限り「%」及び「部」はそれぞれ重量%及び重量部を示す。

0030

[酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物(Dポリマー)の合成]
下記の方法により、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物(Dポリマー)を合成した。鹸化度、4%水溶液粘度はJIS K−6726(1994)に準じて測定を行った。また、ジアセトンアクリルアミド含有量(変性度)については、Dポリマーをメタノールで十分洗浄したサンプルの窒素分析の結果から求めた。

0031

[合成例1]
撹拌機温度計滴下ロート及び還流冷却器を取り付けたフラスコ中に、酢酸ビニル680部、ジアセトンアクリルアミド5部、及びメタノール172部を仕込み、系内の窒素置換を行った後、内温を60℃まで昇温した。この系に2,2−アゾビスイソブチリロニトリル1部をメタノール50部に溶解した溶液を添加し、重合を開始した。重合開始後、5時間かけて、ジアセトンアクリルアミド50部をメタノール43部に溶解した溶液を一定速度で滴下し、6時間後に重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼンを添加し、重合を停止した。重合収率は78%であった。得られた反応混合物メタノール蒸気を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し、ジアセトンアクリルアミド共重合成分を含有する酢酸ビニル系重合体の50%メタノール溶液を得た。この混合物500重量部にメタノール50重量部と水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液10重量部とを加えてよく混合し、40℃で鹸化反応を行った。得られたゲル状物粉砕し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥して、酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物を得た。この樹脂中のジアセトンアクリルアミド単位の含有率は5.0モル%であった。この樹脂の20℃における4%水溶液粘度は26.8mPa・s、鹸化度は98.4モル%であった。

0032

[Dポリマーの構造]
得られた酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体の鹸化物(Dポリマー)は、次の式で表される構造を有するジアセトン変性PVA(ジアセトン変性ポリビニルアルコール)である(重合度:1700)。

0033

0034

ただし、上記式中の繰り返し単位である、−CH2−CH(OH)−、及び−CH2−CH(CO−NH−C(CH3)2−CH2−CO−CH3)−は、いずれもランダムに導入されており、m及びnは、繰り返し単位の合計がそれぞれm及びnであることを表す。

0035

[実施例1]
[DポリマーとPVAによる混合ゲルの形成]
PVA(ポリビニルアルコール)(重合度:1700、鹸化度:98〜99%)を用意して、上記合成したDポリマーと混合して、ゲルを形成できるかを検討した。
PVAとジアセトン変性PVA(重合度1700)を合計10gになるように混合したものをDMSO/水(80/20w/w)溶液90gに添加し、オートクレーブで121℃1時間溶解後、2mm厚の型に流し込んで−20℃で低温結晶化処理してゲルを得た。詳細には混合ゲルの作成条件は以下である:
溶質(Dポリマー+PVA)濃度: 10%
溶媒:蒸留水18%、DMSO72%
作成方法: 上記溶質と溶媒の混合溶液を120℃で1時間加熱し、2.0mm厚となるよう平底容器へ流し込み、マイナス20℃で24時間冷却して、混合ゲルの試料を作成した。
DポリマーとPVAの混合割合: 次の表1に示す。

0036

0037

[機械特性試験]
得られたゲルを打ち抜いて試験片を作成して、この機械特性(ヤング率)を、以下の条件の引張試験によって評価した。
引張試験の条件:
引張速度[mm/min]: 200
初期荷重[N]: 0.01
試験片: JISダンベル7型

0038

[混合ゲルの外見
得られた各混合割合の混合ゲルの外見を目視によって観察した。得られた混合ゲル(厚さ2mm、直径50mm)の外観写真を図1に示す。Dポリマーの混合割合を増加させると混合ゲルの透明度が減少していた。また、目視観察のための操作時の触感として、Dポリマーの混合割合を増加させると混合ゲルの堅さが減少していた。

0039

[混合ゲルの機械特性試験の結果]
得られた各混合割合の混合ゲルの機械特性(ヤング率)を上記のように測定した。Dポリマーの混合率弾性率との関係を図2に示す。図2に示すように、Dポリマーの混合割合を増加させると混合ゲルの弾性率は減少することがわかった。

0040

[実施例2]
[混合ゲル表面の解析試験]
混合ゲルにおいてDポリマーのジアセトン変性部分がゲル表面に存在することを確認するために、ATR−FT−IR(日本分光、FT/IR−4000)により、Dポリマーに含まれるアミド基(1650[cm-1])の吸収スペクトルを測定した。測定は、混合ゲルをエタノール洗浄により脱溶媒を行い、乾燥した後に行った。

0041

[吸収スペクトルの測定結果
Dポリマーに含まれるアミド基の吸収スペクトルを測定した結果を図3に示す。図3では、上記試料No.1〜5の全てスペクトル波形を同一グラフ中に対比して示している。いずれの混合割合の混合ゲルにおいても、その混合比に応じた量で、Dポリマーのジアセトン変性部分が、ゲル表面に存在することが確認できた。

0042

[実施例3]
[混合ゲル表面の修飾試験]
混合ゲルにおいてDポリマーのジアセトン変性部分がゲル表面に存在して、ヒドラジドとの反応を介して細胞接着性分子によって修飾できることを確認するために、混合ゲル表面の修飾試験を行った。Dポリマーのジアセトン変性部分と、ヒドラジドとの反応の原理を、図4に示す。図4に示すヒドラジド:H2N−NH−CO−〜〜の波線部分には、所望の細胞接着性分子を結合することができる。本試験では、ヒドラジドとして、次の構造式で示されるサリチルヒドラジドを使用した。

0043

(サリチルヒドラジド)

0044

本試験の手順を図5に示す。混合ゲルを乾燥した後に、直径1cmのパンチで打ち抜いて試料片として、これを1%サリチルヒドラジド/メタノール溶液(5ml)中へ投入して、24時間室温で浸漬した。その後、試料片を取り出して、十分量のメタノールで洗浄し、DMSO/水(80/20w/w)(5ml)中へ投入して、120℃で15分間オートクレーブして溶解した。得られた溶解液可視紫外分光測定装置によって300[nm]の吸光度を測定し、検量線からゲル表面に結合したサリチルヒドラジドの量を定量した。

実施例

0045

[混合ゲル表面への結合量]
上記手順でサリチルヒドラジドのベンゼン環による吸収スペクトルをvis−UVによって測定し、混合ゲル表面の単位面積あたりに結合したサリチルヒドラジドの量を計算した。図6に、Dポリマー(変性PVA)の混合割合(濃度)と混合ゲル表面におけるサリチルヒドラジドの量との関係を示す。図6に示されるように、混合ゲルはその混合比に応じた量で、サリチルヒドラジドを結合していた。このように、混合ゲルがジアセトン変性部分とヒドラジドの反応を介して、細胞接着性分子をゲル表面に結合できることがわかった。

0046

本発明によれば、生体適合性人工材料、特に人工血管の形成に適した生体適合性ゲルを得ることができる。本発明は産業上有用な発明である。

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