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技術 高純度6塩化タングステンとその製造方法

出願人 バーサムマテリアルズユーエス,リミティドライアビリティカンパニー
発明者 シヤオシイウーセルゲイウラジーミラビチイバノフ
出願日 2016年4月18日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-082996
公開日 2016年12月8日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-204755
状態 特許登録済
技術分野 半導体の電極 重金属無機化合物(II) CVD
主要キーワード プロセスコントローラー 渦流パターン 入り口装置 ガス流経路 低温壁 ボイラー蒸気 ニッケル塩化物 サンプリングセル
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課題

凝縮可能な物質を含む高純度組成物及び凝縮可能な物質を精製するための方法を提供する。

解決手段

特に限定されないが塩化タングステン(WCl6)などの凝縮可能な金属ハロゲン化物は、化学蒸着CVD)又は原子層堆積プロセスで、金属膜又は金属含有膜堆積するのに使用することができる。本明細書には、凝縮可能な物質を含む高純度組成物及び凝縮可能な物質を精製するための方法が記載される。ある態様において、少なくとも1つの不純物を実質的に含まない6塩化タングステンを含む組成物であって、前記6塩化タングステンが、X線回折により測定する時、少なくとも90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは99質量%以上のβ−WCl6と、5質量%以下のα−WCl6を含む、上記組成物が提供される。

概要

背景

本明細書には、6塩化タングステン(WCl6)を含む組成物と、6塩化タングステン(WCl6)の精製方法が記載される。さらに詳しくは本明細書には、半導体製造物質として使用するのに、充分に適した純度レベルのWCl6を含み、前記物質として使用するのに適したものにする特定の結晶相を有する組成物と、これを製造するための方法、装置、及びシステムが記載される。

TaCl5、WCl6、WF6、及びHfCl4などの金属ハロゲン化物は、半導体素子中の金属又は金属含有膜堆積のための前駆体として、電子産業で広く使用されている。これらの用途では、高純度の金属ハロゲン化物を使用することが重要である。蒸留昇華などの種々の精製プロセスが知られている。標的物質沸点が比較的高く、これらの高温での分解を防ぐための塩素の使用が腐食の危険を示すため、これらのシステムは典型的には熱管理の点で非常に複雑である。これを修正するには、溶融した塩生成物を、採取のための固体粒子移行させるために、特殊な装置が必要である。

米国特許第2,743,169号は、金属塩化物の分離と精製のために使用できる昇華法を提供する。典型的には、昇華は減圧下で行われ、これは生産性を上昇させ、操作温度を低下させることができる。この生成物は通常低温壁に結合しており、採取のために追加の作業又は機械的装置を必要とし、比較的均一化された粒子サイズを与えるための製造後プロセスを必要とする。

米国特許第4,478,600号は、制御された生成物粒子サイズを与える塩化アルミニウム精製プロセスの一部として、流動化を使用する方法を提供する。 '600特許は、まず高温で蒸気相中で塩素化反応を行い、次に凝縮段階によりほとんどの固体不純物を除去して生成される原料塩アルミニウムを使用する。次に蒸気流動化チャンバーに供給されて、生成物粒子を生成する。凝縮しなかった内容物、例えば塩素、二酸化炭素、及び流動化ガスは、温度制御のための冷却フィン中を通される。ガスの一部はポンプにより再循環され、残りはスクラバー中を通される。 '600特許はまた、生成物の凝縮と粒子形成のために冷流動化ゾーンも使用する。WCl6は化学蒸着CVD)又は原子層堆積(ALD)プロセスの前駆体物質として使用するために、ますます採用が増えている。しかしWCl6は、2つの異なる結晶型又は多型(α型及びβ型)で存在してもよい。このWCl6の結晶型は、X線粉末回折により同定することができる。J.C. Taylor and P.W. Wilson in Acta Cryst. (1974), B30, 1216 により報告されているように、α型は菱面体セル(a=6.58A、α=55度)を有し、β型は六角形セル(a=10.493A、c=5.725A)を有する。結晶格子差異の結果として、2つの形態は物理特性がいくつか異なり、例えばE.H.P. Cordfunke and R.J.M. Konings in J. Chem. Thermodynamics 1992, 24, 329-3 により報告されているように、結晶密度及び蒸気圧が異なる。典型的にはα型結晶低温相で、β型結晶は高温相であり、両方の形態は典型的には室温でWCl6中に存在する。

CVD又はALDプロセスで使用される前駆体は、バッチ毎に一定であり、プロセスのスタートアップ時と使用中に固相を変化させない気化速度を有することが必要である。従って当該分野において、実質的に不純物を含まず、制御された粒子サイズを有し、そしてα型ではなく大抵は高温安定なβ型結晶を含む、WCl6組成物を含む送達システムを提供するニーズがある。

WCl6を合成する一般的な方法は、以下の反応(1)で示されるように、約600℃の温度で密封管中タングステン金属塩素化(Cl2)することによる:
W(s)+3Cl2=WCl6 反応(1)
反応生成物すなわちWCl6は、室温で青−黒結晶性固体であり、アルファ(α)相とベータ(β)相の両方で存在する。反応生成物は、典型的には昇華により精製される。昇華、特に真空昇華は、ほとんどα型物質を生成する。例えば典型的な実験において、昇華は約56%のα−WCl6と44%のβ−WCl6とを生成する。さらに昇華は、生成物採取のために機械スクラッピングの使用を必要とし、これは広範囲の粒子サイズを与える。

上記したように、6塩化タングステンなどの金属ハロゲン化物は不純物を含み、これらの不純物は、半導体産業での使用に適するためには除去する必要がある。WCl6中に存在する典型的な不純物には、特に限定されないが、WCl6のように高い沸点を有する、例えば鉄、クロム、及びニッケル塩化物などの金属不純物、及び4塩化酸化タングステン(WOCl4)や5塩化タングステン(WCl5)などの軽不純物又は低沸点不純物が含まれる。従って、例えば '600特許に記載されているように、温度制御のために熱交換器を用いる流動化法を使用することは実用的ではなく、さもなければ、軽い不純物は低温フィンに結合し、さらに生成物を汚染するであろう。

従って、WCl6を含む高純度組成物を調製するための、方法、システム、装置、又はこれらの組合せを提供するニーズがある。また、化学蒸着(CVD)又は原子層堆積(ALD)プロセスなどの蒸着プロセスで使用される、WCl6精製のための単純で経済的なプロセス、制御された粒子サイズ分布を与えるプロセス、及び主により有効期間の長いβ型結晶を選択的に製造するプロセス、に対するニーズがある。また、TaCl5、WF6、MoCl6、及びHfCl4などの他の金属ハロゲン化物の精製のために採用できる精製プロセスであって、例えば、これらの金属が半導体素子中の金属又は金属含有膜を堆積するための前駆体として使用されることを可能にするプロセス、に対するニーズがある。

概要

凝縮可能な物質を含む高純度組成物及び凝縮可能な物質を精製するための方法を提供する。特に限定されないが塩化タングステン(WCl6)などの凝縮可能な金属ハロゲン化物は、化学蒸着(CVD)又は原子層堆積プロセスで、金属膜又は金属含有膜を堆積するのに使用することができる。本明細書には、凝縮可能な物質を含む高純度組成物及び凝縮可能な物質を精製するための方法が記載される。ある態様において、少なくとも1つの不純物を実質的に含まない6塩化タングステンを含む組成物であって、前記6塩化タングステンが、X線回折により測定する時、少なくとも90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは99質量%以上のβ−WCl6と、5質量%以下のα−WCl6を含む、上記組成物が提供される。

目的

米国特許第2,743,169号は、金属塩化物の分離と精製のために使用できる昇華法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

化学蒸着又は原子層堆積プロセスによりタングステン膜又はタングステン含有膜堆積するための組成物であって、少なくとも90質量%以上のβ−WCl6を含む組成物。

請求項2

前記組成物が、少なくとも95質量%以上のβ−WCl6と5質量%以下のα−WCl6とを含む、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記組成物が、1質量%以下のWOCl4をさらに含む、請求項2に記載の組成物。

請求項4

前記組成物が、少なくとも99質量%以上のβ−WCl6と1質量%以下のα−WCl6とを含む、請求項1に記載の組成物。

請求項5

前記組成物が、少なくとも99.9質量%以上のβ−WCl6を含む、請求項4に記載の組成物。

請求項6

タングステン膜又はタングステン含有膜を堆積するための送達ステムであって、少なくとも90質量%以上のβ−WCl6を含む組成物と、容器とを含み、前記組成物が前記容器内にある、上記送達システム。

請求項7

前記組成物が、少なくとも95質量%以上のβ−WCl6と5質量%以下のα−WCl6とを含む、請求項6に記載の送達システム。

請求項8

前記組成物が、少なくとも99.9質量%以上のβ−WCl6と1質量%以下のα−WCl6とを含む、請求項6に記載の送達システム。

請求項9

前記組成物が、少なくとも99.9質量%以上のβ−WCl6を含む、請求項6に記載の送達システム。

請求項10

タングステン膜又はタングステン含有膜を堆積するための送達システムを調製する方法であって、容器を提供する工程、少なくとも90質量%のWCl6を含む組成物を提供する工程であって、ここで、前記組成物が前記容器内にある工程、及び90.0質量%のWCl6がβ−WCl6になるまで、前記容器を加熱する工程、を含む、上記方法。

請求項11

95.0質量%のWCl6がβ−WCl6になるまで加熱が行われる、請求項10に記載の方法。

請求項12

99.0質量%のWCl6がβ−WCl6になるまで加熱が行われる、請求項10に記載の方法。

請求項13

99.9質量%のWCl6がβ−WCl6になるまで加熱が行われる、請求項10に記載の方法。

請求項14

WCl6と少なくとも1つの不純物とを含む原料を精製するためのシステムであって、(a)少なくとも1つのボイラーと、(b)凝縮器と、(c)前記ボイラーと前記凝縮器とに流体連通しているコネクターと、(d)前記ボイラーと流体連通しているキャリアーガスと、(e)前記コネクターと前記凝縮器とに流体連通している流動化ガスと、を含み、ここで、前記少なくとも1つの不純物は、微量金属、4塩化酸化タングステン(WOCl4)、及び5塩化タングステン(WCl5)の少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つのボイラーは、WCl6の沸点より高い温度で維持されて、充填された原料を前記キャリアーガスと混ざる気相に変換してボイラー蒸気流を得て、前記コネクターは前記ボイラー蒸気流で充填され、前記凝縮器は、前記ボイラー蒸気流と混ざる前記流動化ガスを含有し、前記凝縮器の底部でWCl6を含む精製された物質を含有する凝縮器蒸気を得て、一方、前記流動化ガスは前記少なくとも1つの不純物を前記凝縮器の上部に運搬し、前記キャリアーガスと前記流動化ガスはWCl6と反応せず、そして前記流動化ガスは前記ボイラー蒸気流より低温である、上記システム。

請求項15

前記少なくとも1つのボイラーが>300℃で維持され、前記凝縮器蒸気が約100〜約180℃の範囲の1つ以上の温度で維持される、請求項14に記載のシステム。

請求項16

前記流動化ガスと前記ボイラー蒸気流とのモル比が<200:1であり、前記ボイラー蒸気流中の前記キャリアーガスと前記原料とのモル比が<10:1である、請求項14に記載のシステム。

請求項17

前記凝縮器が、前記凝縮器の底部からWCl6を含む前記精製された物質を取り出すための真空ポンプと流体連通しているディップチューブをさらに含む、請求項14に記載のシステム。

請求項18

WCl6を含む前記精製された物質が、少なくとも90質量%以上のβ−WCl6を含む、請求項14に記載のシステム。

請求項19

WCl6を含む前記精製された物質が、少なくとも99質量%以上のβ−WCl6を含む、請求項14に記載のシステム。

請求項20

前記システムが、WCl6を含む前記精製された物質を収容するためのディップチューブと流体連通している容器をさらに含み、ここで、WCl6を含む前記精製された物質は少なくとも90質量%又は99質量%以上のβ−WCl6を含む、請求項14に記載のシステム。

技術分野

0001

関連特許出願への相互参照
本特許出願は、2015年4月17に出願された米国仮特許出願第62/149,155号の利益を主張する。

背景技術

0002

本明細書には、6塩化タングステン(WCl6)を含む組成物と、6塩化タングステン(WCl6)の精製方法が記載される。さらに詳しくは本明細書には、半導体製造物質として使用するのに、充分に適した純度レベルのWCl6を含み、前記物質として使用するのに適したものにする特定の結晶相を有する組成物と、これを製造するための方法、装置、及びシステムが記載される。

0003

TaCl5、WCl6、WF6、及びHfCl4などの金属ハロゲン化物は、半導体素子中の金属又は金属含有膜堆積のための前駆体として、電子産業で広く使用されている。これらの用途では、高純度の金属ハロゲン化物を使用することが重要である。蒸留昇華などの種々の精製プロセスが知られている。標的物質沸点が比較的高く、これらの高温での分解を防ぐための塩素の使用が腐食の危険を示すため、これらのシステムは典型的には熱管理の点で非常に複雑である。これを修正するには、溶融した塩生成物を、採取のための固体粒子移行させるために、特殊な装置が必要である。

0004

米国特許第2,743,169号は、金属塩化物の分離と精製のために使用できる昇華法を提供する。典型的には、昇華は減圧下で行われ、これは生産性を上昇させ、操作温度を低下させることができる。この生成物は通常低温壁に結合しており、採取のために追加の作業又は機械的装置を必要とし、比較的均一化された粒子サイズを与えるための製造後プロセスを必要とする。

0005

米国特許第4,478,600号は、制御された生成物粒子サイズを与える塩化アルミニウム精製プロセスの一部として、流動化を使用する方法を提供する。 '600特許は、まず高温で蒸気相中で塩素化反応を行い、次に凝縮段階によりほとんどの固体不純物を除去して生成される原料塩アルミニウムを使用する。次に蒸気流動化チャンバーに供給されて、生成物粒子を生成する。凝縮しなかった内容物、例えば塩素、二酸化炭素、及び流動化ガスは、温度制御のための冷却フィン中を通される。ガスの一部はポンプにより再循環され、残りはスクラバー中を通される。 '600特許はまた、生成物の凝縮と粒子形成のために冷流動化ゾーンも使用する。WCl6は化学蒸着CVD)又は原子層堆積(ALD)プロセスの前駆体物質として使用するために、ますます採用が増えている。しかしWCl6は、2つの異なる結晶型又は多型(α型及びβ型)で存在してもよい。このWCl6の結晶型は、X線粉末回折により同定することができる。J.C. Taylor and P.W. Wilson in Acta Cryst. (1974), B30, 1216 により報告されているように、α型は菱面体セル(a=6.58A、α=55度)を有し、β型は六角形セル(a=10.493A、c=5.725A)を有する。結晶格子差異の結果として、2つの形態は物理特性がいくつか異なり、例えばE.H.P. Cordfunke and R.J.M. Konings in J. Chem. Thermodynamics 1992, 24, 329-3 により報告されているように、結晶密度及び蒸気圧が異なる。典型的にはα型結晶低温相で、β型結晶は高温相であり、両方の形態は典型的には室温でWCl6中に存在する。

0006

CVD又はALDプロセスで使用される前駆体は、バッチ毎に一定であり、プロセスのスタートアップ時と使用中に固相を変化させない気化速度を有することが必要である。従って当該分野において、実質的に不純物を含まず、制御された粒子サイズを有し、そしてα型ではなく大抵は高温安定なβ型結晶を含む、WCl6組成物を含む送達システムを提供するニーズがある。

0007

WCl6を合成する一般的な方法は、以下の反応(1)で示されるように、約600℃の温度で密封管中タングステン金属塩素化(Cl2)することによる:
W(s)+3Cl2=WCl6 反応(1)
反応生成物すなわちWCl6は、室温で青−黒結晶性固体であり、アルファ(α)相とベータ(β)相の両方で存在する。反応生成物は、典型的には昇華により精製される。昇華、特に真空昇華は、ほとんどα型物質を生成する。例えば典型的な実験において、昇華は約56%のα−WCl6と44%のβ−WCl6とを生成する。さらに昇華は、生成物採取のために機械スクラッピングの使用を必要とし、これは広範囲の粒子サイズを与える。

0008

上記したように、6塩化タングステンなどの金属ハロゲン化物は不純物を含み、これらの不純物は、半導体産業での使用に適するためには除去する必要がある。WCl6中に存在する典型的な不純物には、特に限定されないが、WCl6のように高い沸点を有する、例えば鉄、クロム、及びニッケル塩化物などの金属不純物、及び4塩化酸化タングステン(WOCl4)や5塩化タングステン(WCl5)などの軽不純物又は低沸点不純物が含まれる。従って、例えば '600特許に記載されているように、温度制御のために熱交換器を用いる流動化法を使用することは実用的ではなく、さもなければ、軽い不純物は低温フィンに結合し、さらに生成物を汚染するであろう。

0009

従って、WCl6を含む高純度組成物を調製するための、方法、システム、装置、又はこれらの組合せを提供するニーズがある。また、化学蒸着(CVD)又は原子層堆積(ALD)プロセスなどの蒸着プロセスで使用される、WCl6精製のための単純で経済的なプロセス、制御された粒子サイズ分布を与えるプロセス、及び主により有効期間の長いβ型結晶を選択的に製造するプロセス、に対するニーズがある。また、TaCl5、WF6、MoCl6、及びHfCl4などの他の金属ハロゲン化物の精製のために採用できる精製プロセスであって、例えば、これらの金属が半導体素子中の金属又は金属含有膜を堆積するための前駆体として使用されることを可能にするプロセス、に対するニーズがある。

発明が解決しようとする課題

0010

従って、WCl6を含む高純度組成物、WCl6を含む原料を精製してWCl6を含む高純度組成物を得るためのシステム、WCl6を含む高純度組成物を送達するための送達システム、この送達システムを調製するための方法、及び半導体素子中のタングステン又はタングステン含有膜を堆積するための装置、を提供するニーズがある。

課題を解決するための手段

0011

金属ハロゲン化物を含む組成物、これを製造するための方法、システム、及び装置は、当該分野のニーズの少なくとも1つを満足する。さらに詳しくは、1質量%未満の少なくとも1つの不純物を含むWCl6を含む組成物であって、WCl6が、X線回折(XRD)で測定する時、少なくとも90質量%以上の、又は少なくとも95質量%以上の、又は少なくとも96質量%以上の、又は少なくとも97質量%以上の、又は少なくとも98質量%以上の、又は少なくとも99質量%以上のβ型結晶を含む、前記組成物と、例えば金属又は金属含有膜(例えば、化学量論量又は非化学量論量のWOx又はWNx膜)を堆積するための前駆体として適した、WCl6又は他の金属ハロゲン化物を製造するための、方法、システム、及び装置、が提供される。また本発明には、例えば、特に限定されないが、6塩化タングステンなどの金属ハロゲン化物を精製する方法、制御された粒子サイズを有する金属ハロゲン化物を与えるプロセス、及び少なくとも95質量%以上のβ型結晶(β−WCl6と呼ばれる)のWCl6を製造するプロセス、が記載される。

0012

ある態様において、少なくとも1つの不純物を実質的に含まず、XRDにより測定する時、少なくとも95質量%以上のβ型結晶を含む、WCl6を含む組成物を精製するためのシステムであって、
(a)WCl6と少なくとも1種の不純物とを含む原料を含むボイラーであって、前記ボイラーが、プロセスコントローラー電気連通しており、かつキャリアーガス流体連通しており、ここで前記ボイラーが、WCl6の沸点より高い1つ以上の温度に加熱され、キャリアーガスが前記ボイラーに導入されてボイラー蒸気流を与える、前記ボイラーと、
(b)前記ボイラーと凝縮器とに流体連通しているコネクターであって、前記コネクターはまた、流動化ガスと流体連通しており、かつプロセスコントローラーと電気連通しており、ここで、流動化ガスがボイラー蒸気流の温度より低い温度で導入され、ボイラー蒸気流と一緒になって凝縮器流を与える、前記コネクターと、
(c)凝縮器であって、前記凝縮器流が約100〜約180℃の範囲の1つ以上の温度で維持され、前記凝縮器が、前記組成物を含む最終生成物流蒸気を取り出すために真空ポンプと流体連通しているディップチューブを含み、及び前記凝縮器がプロセスコントローラーと電気連通している、前記凝縮器と、
(d)プロセスコントローラーと、
(e)ディップチューブとさらに流体連通しており、前記組成物を収容することができる容器と、を含む上記システムが提供される。

0013

別の態様において、少なくとも1つの不純物を実質的に含まず、XRDにより測定する時、少なくとも95質量%以上のβ型結晶を含む、WCl6を含む組成物を調製するための方法であって、
WCl6と少なくとも1つの不純物とを含む原料をボイラーに導入する工程であって、前記ボイラーはWCl6の沸点又はそれ以上の1つ以上の温度に加熱されて、原料の少なくとも一部を気化させる上記工程と、
ボイラーにキャリアーガスを導入する工程であって、キャリアーガスは1つ以上の温度に加熱されてボイラー蒸気流を与える上記工程と、
前記ボイラー蒸気流を、前記凝縮器と流体連通しているコネクターに移す工程であって、ボイラー蒸気流の少なくとも一部は流動化ガスと接触され、前記流動化ガスは前記ボイラー蒸気流の温度より低い温度であって凝縮器流を与える上記工程と、
前記凝縮器流を前記凝縮器に導入する工程であって、前記凝縮器流の少なくとも一部は、WCl6 β型結晶を含む流動層中に凝縮され、前記凝縮器蒸気は約100〜約180℃の範囲の1つ以上の温度で維持され、前記組成物を含む最終生成物流はディップチューブを介して凝縮器から取り出され、そして少なくとも1つの不純物は、排気口を介して除去される工程と、
を含む上記方法が提供される。

0014

別の態様において、少なくとも1つの不純物を実質的に含まず、XRDにより測定する時、少なくとも95質量%以上のβ型結晶を含む、WCl6の気化及び/又は昇華用の容器が提供される。この容器は典型的には、土台、上部(これは蓋でもよい)、及び前駆体物質を含む内部容量を規定する側壁、を有する容器から構成される。本明細書において気化(又は気化する)という用語の使用は、どこで使用されてもその前駆体の気化及び/又は昇華を含む。熱及び/又は減圧の適用により、前駆体物質は、固相及び/又は液相から気相転換することができる。

0015

ある実施態様において、化学蒸着又は原子層堆積プロセスによりタングステン膜又はタングステン含有膜を堆積するための組成物であって、
少なくとも90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上のβ−WCl6、を含む組成物が本明細書に記載される。

0016

別の実施態様において、タングステン膜又はタングステン含有膜を堆積するための送達システムであって、
少なくとも90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上のβ−WCl6、を含む組成物、
容器、を含み、
前記組成物が容器内にある、上記送達システムが本明細書に記載される。

0017

別の実施態様において、タングステン膜又はタングステン含有膜を堆積するための送達システムを調製する方法であって、
容器を提供する工程と、
少なくとも90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは99質量%のWCl6を含む組成物であって、前記容器内にある組成物を提供する工程と、
及び
90.0質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは99質量%のWCl6がβ−WCl6になるまで、前記容器を加熱する工程と、
を含む、上記方法が本明細書に記載される。

0018

さらに別の実施態様において、WCl6と少なくとも1つの不純物とを含む原料を精製するためのシステムであって、
(a)少なくとも1つのボイラーと、
(b)凝縮器と、
(c)前記ボイラーと前記凝縮器とに流体連通しているコネクターと、
(d)前記ボイラーと流体連通しているキャリアーガスと、
(e)前記コネクターと前記凝縮器とに流体連通している流動化ガスと、を含み、
ここで、
前記少なくとも1つの不純物は、微量金属、4塩化酸化タングステン(WOCl4)、及び5塩化タングステン(WCl5)の少なくとも1つを含み、
前記少なくとも1つのボイラーは、WCl6の沸点より高い温度で維持されて、充填された原料を前記キャリアーガスと混ざる気相に変換してボイラー蒸気流を得て、
前記コネクターは前記ボイラー蒸気流で充填され、
前記凝縮器は、前記ボイラー蒸気流と混ざる前記流動化ガスを含有し、前記凝縮器の底部でWCl6を含む精製された物質を含有する凝縮器蒸気を得て、一方、前記流動化ガスは前記少なくとも1つの不純物を前記凝縮器の上部に運搬し、
前記キャリアーガスと前記流動化ガスはWCl6と反応せず、そして
前記流動化ガスは前記ボイラー蒸気流より低温である、上記システムが本明細書に記載される。

0019

前記精製システムでは、少なくとも1つのボイラーは>300℃に維持することができ、凝縮器蒸気は、約100〜180℃の範囲の1つ以上の温度で維持される。さらに、流動化ガスとボイラー蒸気流とのモル比は<200:1であり、ボイラー蒸気流中のキャリアーガスと原料とのモル比は<10:1である。凝縮器はさらに、凝縮器の底部からWCl6を含む精製された物質を取り出すための真空ポンプと流体連通しているディップチューブを含むことができる。

0020

前記精製システムは、WCl6を含む精製された物質を収容するためのディップチューブと流体連通している容器をさらに含むことができ、ここで、WCl6を含む精製された物質は少なくとも90質量%又は99質量%以上のβ−WCl6を含む。

図面の簡単な説明

0021

図1は、WCl6などの金属ハロゲン化物用の代表的な精製システムの実施態様を提供する。

0022

図2は、図1の精製システム中のボイラーと凝縮器とを連結するコネクターの代表的な平面図の模式図であり、ここで、コネクターは、本明細書に記載の方法の実施態様で使用される、接線流/らせん流のための2つの開口部を有する流動化ガス入り口装置を含む。

0023

不純物を実質的に含まず、XRDにより測定する時、少なくとも90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは99質量%以上のβ−WCl6を有する、WCl6などであるが特に限定されない、金属ハロゲン化物を含む組成物を製造するための、方法、システム、及び装置が本明細書に記載される。

0024

本明細書において用語「実質的に含まない」は、例えば塩化物フッ化物臭化物、及び金属などの不純物に関する場合、約1質量%以下、100ppm(質量)以下、10ppm以下、5ppm以下、3ppm以下、1ppm以下、最も好ましくは0ppmの不純物を意味する。例えばWCl6を含む組成物において、WCl6を含む前記組成物は、1質量%以下、又は100ppm以下の以下の不純物の1つ以上を含む:微量金属(例えば、鉄、クロム、ナトリウム)、4塩化酸化タングステン(WOCl4)、5塩化タングステン(WCl5)、又は他の不純物。

0025

本明細書に記載の組成物のある具体的な実施態様において、組成物は、少なくとも1つの不純物を実質的に含まない6塩化タングステンを含み、前記6塩化タングステンは、X線回折により測定する時、少なくとも90質量%以上のβ型結晶と10質量%以下のα型結晶を含む。ある実施態様において、WCl6は、X線回折(XRD)により測定する時、少なくとも90質量%以上の、又は少なくとも96質量%以上の、又は少なくとも97質量%以上の、又は少なくとも98質量%以上の、又は少なくとも99質量%以上のβ型結晶を含み、組成物の残りはα型結晶である。

0026

本明細書に記載の方法、システム、及び装置は、凝縮可能な物質の捕捉のためのいくつかの方法のうちの1つの方法を使用することができる。ある実施態様において、WCl6などの凝縮可能な物質が、凝縮により捕捉される。

0027

凝縮による捕捉は、凝縮可能な物質が相図により固体であることが示されるような、温度、圧力、及び他の条件下で、凝縮器を操作することにより達成される。

0028

ある態様において本明細書に記載の方法は、凝縮と流動化の少なくとも一部が同時に行われる、凝縮と流動化とを含むプロセスを使用することにより、当該分野のニーズの1つ以上を満足する。この実施態様において、WCl6などの所望の最終金属ハロゲン化物又は凝縮可能な生成物や、特に限定されないが、金属、4塩化酸化タングステン及び5塩化タングステンなどの好ましくない不純物を含む原料は、WCl6の沸点まで、又は約300℃、好ましくは350℃まで加熱され、ここで、タングステン含有化合物又は所望の化合物WCl6及び好ましくないタングステン化合物WOCl4とWCl5は、昇華されて気相になる。昇華された蒸気を流動化ゾーン中に運搬するために、特に限定されないが、不活性ガス(例えばN2)などの少量のキャリアーガスが使用され、ここで、蒸気は流動化ガスと直接混合されて、凝縮された固体が与えられる。凝縮された固体は前記ゾーン中で流動化され、凝縮された固体が、生成物のβ型への選択的結晶化のための核化中心として作用することを可能にする1つ以上の温度で維持される。残りの軽い不純物は流動化ガスにより冷却ゾーン中に運搬され、ここで、冷却ガス流が与えられて排出流が形成され、凝縮されて固体になる。この排出流はフィルターを通過し排出される。金属などの重い不純物は沸騰ゾーン中にとどまり、くずとして除去される。本明細書に記載の方法、システム、及び/又は装置は、6塩化タングステン(WCl6)を捕捉し再使用するのに使用されるが、これらの方法、システム、及び/又は装置は、他の昇華性の物質又は金属ハロゲン化物に拡張することができると考えられる。

0029

凝縮可能な物質を、半導体素子の製造のための前駆体としての使用に適したものにすることを可能にする収率と純度レベルで、望ましい凝縮可能な物質、例えば特に限定されないが、WCl6などの金属ハロゲン化物を提供するための、方法、システム、及び装置が本明細書に記載される。本発明に係る金属ハロゲン化物前駆体、及び本発明に係る金属ハロゲン化物前駆体を含む組成物は、好ましくは実質的に不純物を含まず、90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上のβ−WCl6である。

0030

本明細書に記載の方法のある実施態様において、所望の金属ハロゲン化物を含む原料は、少なくとも2つ以上の温度ゾーンを提供することにより、生成物及び不純物の異なる沸点での昇華を介して精製される。同じ態様又は代替態様において、このような分離は、流動化ガスとして使用される不活性ガスなどの非反応性ガスが存在する時、固定温度で異なる蒸気圧を使用することにより達成することができる。例えば、150℃で、WCl6の蒸気圧は1.73torrであり、一方、WOCl4は21.37torrである。適切な量の流動化ガス、例えば窒素を提供することにより、WOCl4を気相で維持し、一方、大部分のWCl6を凝縮することができる。

0031

原料は、80質量%以上又は85質量%以上のWCl6を含むことができ、残りがWOCl4、WCl5、及び他の金属などの不純物でもよい。

0032

本明細書に記載の方法の実施態様において、ボイラーにWCl6を含む原料を充填してもよい。比較的多量のキャリアーガスをボイラーに充填すると、非常に希薄なボイラー蒸気流が得られ、これは生成物の純度を上げることができるが、生成物の収率を低下させるであろう。ある量のキャリアーガスは、原料の加熱(boil-up)速度を制御し、詰まりを防ぐ。従って、適切なキャリアーガス流速が望ましい。ある実施態様において、キャリアーガスは窒素などの不活性ガスである。この又は他の実施態様において、キャリアーガスはまた、不純物WCl5の更なる形成を防ぐ塩素ガスを含んでよい。

0033

原料を精製する以外に、本明細書に記載の方法とシステムは、制御された粒子サイズ及び結晶型を有するWCl6、又は少なくとも90質量%のβ−WCl6、又は少なくとも95質量%のβ−WCl6、又は少なくとも99質量%以上のβ−WCl6を含むWCl6組成物を提供する。これらの特性は、流動化工程中に影響を受ける。原料がボイラー中で処理された後、次にボイラー蒸気流は凝縮器/流動化装置中に導入される。流動化は、粒子サイズ制御を用いる結晶化の公知のプロセスである。例えば、噴霧乾燥後に流動化を行うと、均一な大きな結晶サイズが得られるであろう。一般に流動化ガスの流速が速いほど、粒子サイズは大きくなる。しかし、速い流動化ガス速度は、短時間の通過と導管からの吹き出しを招き、これが収率を低下させる。ある具体的な実施態様において、同じガスがキャリアーガス及び流動化ガスとして使用され、従って物質収支エネルギー収支によりガス−物質比は固定される。単純で経済的な製造プロセスのために、結晶化温度は、得られる結晶型を制御するのに重要な役割を果たす。比較的高い温度で結晶化された生成物は、より多量のβ−WCl6を生成する。

0034

本明細書に記載の実施態様において、本明細書に記載の方法、装置、及びシステムは、原料を気化させてボイラー蒸気流を得るためのボイラーと、生成物の凝縮工程のための凝縮器と、軽い不純物(例えば、低沸点不純物)を凝縮するための冷却器とを含む。WCl6などの最終生成物及び1つ以上の不純物を含む原料はボイラーに充填され、最終生成物のほぼ沸点まで加熱される。所望の最終生成物がWCl6である具体的な実施態様において、ボイラーはWCl6のほぼ沸点まで又は〜350℃まで加熱される。ほぼ周囲温度から所望の最終生成物の沸点までの範囲の1つ以上の温度に加熱されたキャリアーガスは、ボイラー中に導入され、これは物質の気化を助け、コネクターを介してボイラー蒸気流を凝縮器の底部まで運搬する。凝縮器の底部又はコネクターでは、流動化ガスはボイラー蒸気流と激しく混合されて凝縮器流を与え、これは前記物質を凝縮して結晶を生成する。凝縮器流内の凝縮された物質は、あらかじめ凝縮された固体と衝突し、結晶の成長を可能にする。凝縮された結晶は、制御された温度条件下で流動層を形成し、成長し続ける。流動化ガスは軽い不純物とともに排出ガスを生成し、これは流動層を通過して冷却器に入り、ここで排出ガスは適切な手段によりさらに冷却されて、軽い不純物を凝縮させる。次に排出ガスは、フィルターを通過し排出され、こうして、システム内の大部分の固体粒子を捕捉する。

0035

ある実施態様において、凝縮器中でヒーターが使用される。通常の運転中に、ヒーターは凝縮器の壁を、コネクター中の流動化ゾーンよりもわずかに高い、又は約0〜約10℃高いある温度に維持する。これは、潜在的に詰まり要因であり、収率とスループットとを低下させ得る凝縮器の壁上ではなく、流動層内固体物質の凝縮を引き起こす。いくつかの実施態様において凝縮器は、精製プロセスを通して均一温度に維持される。他の実施態様において、複数の温度ポイントが使用される。例えば、初期スタートアップ中は、凝縮器は比較的高温に維持され、こうして、凝縮器内での軽い不純物の生成を防ぐ。システムのスタートアップ後、凝縮器はより低い温度に維持され、最終生成物の喪失と低収率とを防ぐ。プロセスが終了すると、凝縮器は高温に維持され、凝縮器壁上のすべての物質を気化させ、凝縮器表面クリーンに維持することができる。

0036

ある実施態様において、凝縮器は円錐形で作成される。これは、流動層の高さに沿った断面積を上昇させる。流動化ガスの空塔速度は高さに沿って低下し、こうして生成物の払い落とし(dust off)や喪失を防ぐ。

0037

ある実施態様において、流動化ガスは、複数の中心からずれて対向しているポートを有するコネクターを介して凝縮器中に導かれ、接線流又はらせん流を形成する。コネクター中の接線流又はらせん流の動きは、流動層中のデッドゾーンを排除し、流路ショートカットを防ぐのを助ける。

0038

さらに他の実施態様において、ディップチューブを、その末端を流動層の底部に位置させて、凝縮器中に挿入することができる。定期的にディップチューブに真空を適用して、実質的に純粋なWCl6 β型結晶を取り出すことができ、次にこれは、自動採取のための手段として、保存容器中に移される。

0039

図1は、本明細書に記載のシステムと装置のある実施態様を与える。図1について、精製システム100は、少なくとも1つのボイラー101を含み、ここに原料が充填される。ボイラーは、ヒーター104又は他の手段によりWCl6の沸点又はそれ以上の1つ以上の温度、又は約350℃に加熱され、これは、原料を気化させて気相にする。加熱されたキャリアーガス流201はボイラー101に入り、ボイラー中のガス状物質を排除し蒸気圧を低下させてボイラー蒸気流を与え、これは原料のより速い加熱速度を可能にし、流動化ゾーン中の原料蒸気対流動化ガスの比率を制御することを助ける。ボイラー中で発生したボイラー蒸気流は、次に連結口301を介して、凝縮器102の底部に供給される。比較的低温の流動化ガス202も凝縮器の底部に入り、ここで、ボイラー蒸気流と所定の比率で激しく混合される。蒸気は好適な温度範囲に冷却され、ここで、凝縮器流中のWCl6は凝縮し結晶を形成し、一方、軽い不純物の蒸気圧は飽和レベル未満であり、従って、凝縮器から出て冷却器103に運搬され、分離と精製とが達成されるであろう。凝縮器102は、対流式オーブンなどの周囲熱105により加熱される。凝縮器102の壁は、流動化ゾーンよりわずかに高い温度で維持されて、壁上の物質の凝縮を防ぐ。流動化ガスにより運搬される不純物は、冷却器103に入る排出ガスを生成し、ここで、更に冷却されて、これらを凝縮させて固体にする。冷却は、別の不活性冷却ガス流203でも、又は熱交換器304、例えば空冷ラジエーターでもよい。蒸気を固体に凝縮することにより、クリーンにされた排出ガスは次に、排出物としてフィルター303を通過させて排出することができる。

0040

本明細書に記載の方法、装置、及びシステムにおいて、所望の最終物質の以下の特性、例えば目標とする結晶型、制御された粒子サイズ、高収率、及び高純度、の1つ以上を与える方法の1つは、コネクター内の流動化ゾーン中の温度を制御することである。理想的には、所望の最終生成物の生成物結晶は、約100℃〜約180℃、又は約110℃〜約160℃、又は約120℃〜約150℃の範囲の1つ以上の温度で生成し、β型結晶を生成すべきである。流動化ゾーン中の温度範囲が高すぎる場合、過剰の物質が凝縮器蒸気中に持ち越されて、収率が低くなるであろう。

0041

上記目標を達成するための別の要点は、凝縮器の底部における入り口流動化ガスとWCl6を含む入り口ボイラー蒸気流との比率である。この比率は小さく維持して、凝縮器中の全体的キャリーオーバー物質を限定することが重要である。流動化ガスは、ボイラー蒸気流又はボイラーからの排出物を冷却するため、物質収支と熱収支に応じて比率の下限がある。一般に、凝縮器壁の温度が目標温度に維持される場合、流動化ガスは、主に結晶化により放出される潜熱及びキャリアーガスからの熱により加熱されるであろう。100〜180℃の範囲の温度範囲について、キャリアーガスと流動化ガスが両方ともN2であり、目標物質がWCl6であり、周囲温度N2ガスが使用される具体的な実施態様において、ガスとWCl6を含むボイラー蒸気ガスとのモル比は、<200:1、好ましくは<150:1、より好ましくは<120:1であるべきである。ある実施態様において、WCl6と反応しない限り、N2以外に他のキャリアーガス、流動化ガス、又はその両方を使用することができる。高い蓄熱容量を有する不活性ガスは、この比率を低く維持するためにより好ましい。別の実施形態において、流動化ガスをあらかじめ冷却することはまた、より大きな蓄熱容量を与え、従ってこの比率を低下させるであろう。

0042

良好な結晶成長と高収率を達成するためのさらに別の要点は、凝縮器に高濃度の蒸気を供給することである。これは、ボイラーに高温を提供するか、又はボイラーに供給されるキャリアーガスを制限するか、又はこれらの組合せにより達成することができる。ある実施態様において、ボイラー蒸気流中のキャリアーガスと原料とのモル比は、モル単位で、<10:1、好ましくは<5:1、より好ましくは<2:1である。ボイラーは、>300℃、好ましくは>340℃、より好ましくは>360℃に加熱すべきである。こうして、ボイラー蒸気流中の蒸気の高濃度のため、同じ量の原料について、より短いプロセス滞留時間が得られ、通過するガスの総量が少なくなるため、物質のキャリーオーバーが少なくなる。ある実施態様において、より高い温度がボイラーに適用される。本実施態様又は他の実施態様において、保存ガスであるCl2などの追加のガスをボイラーに導入して、WCl6の分解を防ぐことができる。典型的にはWCl6の分解を防ぐのに微量のCl2ガス(例えば20ppm)で充分であるが、より高濃度のCl2を使用することができる。高い温度は、より高レベルの保存ガスを必要とするが、これは、物質の腐食が問題となりあまり好ましくない。好ましくはボイラー温度は、400℃未満の1つ以上の温度で維持すべきである。

0043

ある実施態様において、凝縮器内の流動層は、ガスのショートカットパスを有することがある。ショートカットは、流動層のデッドゾーンの問題、及びショートカットを通る蒸気の直接キャリーオーバーの問題を引き起こす。デッドゾーンは、固体物質の蓄積を可能にし、これが、蒸気供給通路の部分的又は完全な詰まりを引き起こすであろう。ショートカットを介する直接キャリーオーバーは、低収率を招く。このようなショートカット状態を防ぐために、ある実施態様において、流動化ガス入り口は、図2に示されるように、接線流又はらせん流を発生するように配置される。図2は、流動化ガス入り口の例の平面図である。ガス入り口装置300は、凝縮器の底部に取り付けられる本体302を有し、中心からずれて対向している2つのガス入り口310Aと310Bとを有する。不活性ガス202Aと202Bは、断面積全体に延びる矢印320で示される渦流パターンを発生するであろう。こうして、ガス流経路のショートカットは排除され、従って、コネクターの詰まりとキャリーオーバーが防止される。

0044

粒子サイズ制御のために、蒸気を凝縮させ結晶を成長させることが重要である。流動層の高さがある範囲内で制御されるように、流動層からの過剰の物質は定期的に採取すべきである。このような採取はまた、連続操作を可能にする。いくつかの実施態様において、図1に示されるディップチューブ401は凝縮器内に配置され、開口端は凝縮器の底部近辺に配置される。結晶化の間、ディップチューブ内で凝縮してこれを詰まらせることを防止するために、少量の不活性ガスがディップチューブから抽気される。真空ポンプ(図示していない)により、所定の間隔で真空がディップチューブに適用される。生成物は流動化されるため、真空により発生する圧力差は、結晶をディップチューブを通過させて保存容器(図示していない)に運搬することができる。結晶成長とβ型結晶の製造のために、凝縮器内の結晶の滞留時間(所望の温度範囲でインキュベートする)は、>10分、好ましくは>20分、より好ましくは>30分とすべきである。従って、採取(例えば、ディップチューブを介してWCl6を取り出すこと)は中間で、10分超の間隔で、好ましくは20分超の間隔で、より好ましくは30分超の間隔で行うべきである。

0045

中央処理装置又はプロセスコントローラーは、図1〜2に示される任意の1つ以上の要素と電気連通している。例えば図1に示される実施態様において、プロセスコントローラーは、ボイラー101、凝縮器102、又は冷却器103に関連する1つ以上のセンサーと電気連通しており、温度、圧力、容量、又は他の関連パラメータを追跡することができる。しかしプロセスコントローラーは、図面に示されていないシステム又は装置の追加の要素と電気連通していてもよい。

0046

本明細書に記載の実施態様はWCl6を使用して説明されるが、提供される他の凝縮可能な金属ハロゲン化物にも適用されると考えられる。

0047

本発明の実施態様において、前駆体物質を含む内部容量を規定する土台、上部(これは蓋でもよい)、及び側壁を有する容器の内部に、XRDで測定する時、少なくとも95質量%以上のβ型結晶を含有するWCl6を含む、気化及び/又は昇華のための送達システムが提供される。本明細書に記載の気化(気化する)という単語の使用は、使用される時はいつも前駆体の気化及び/又は昇華を含む。熱及び/又は減圧を適用すると、前駆体物質は、固相及び/又は液相から気相に変換し得る。
ある実施態様において、容器の土台、側壁、及び/又は蓋の内部表面は、少なくとも1つの突起を有することができ、これは、内部容量まで延長し、前駆体物質に接触する。この少なくとも1つの突起は、前駆体物質へ直接熱を伝えることを助けることができる。別の実施形態において、熱の付加有り又は無しで、例えば窒素、水素ヘリウムアルゴン、及び/又は他のガスなどの不活性キャリアーガスは、内部容量中を流され、前駆体物質の気相と一緒になって、前駆体含有ガス流を提供する。別の実施形態において、真空を、単独で又は不活性ガス及び/又は加熱と併用して、容器から前駆体含有ガス流を取り出すことができる。次に前駆体含有ガス流は、例えば堆積のための反応チャンバーなどの下流の製造装置に送ることができる。容器は、そこに含まれる蒸気の凝縮による「コールドスポット」又は他の問題を回避しながら、前駆体含有ガス流の連続流を与えることができる。容器はまた、一貫した再現性のある流速を提供することができ、これは種々の製造プロセスについて有利であり得る。

0048

例1 β−WCl6形態のWCl6組成物の調製
H.C. Starckにより供給された、アルファ相ベータ相の混合物から構成されるWCl6の試料を、SS316容器に充填し、高純度窒素ガス逆充填し、密封し、オーブン内で100℃、140℃、175℃、又は200℃で24時間加熱した。

0049

加熱前後の試料をX線回折(XRD)法により分析して、試料中のアルファ相とベータ相との相対量を測定した。XRDの試料は、アルゴンパージしたグローブボックス内で調製した。各試料の一部を、乾燥し冷却したメノウ乳鉢乳棒を使用して粉砕した。各粉砕部分を個別の低バックグランドマウント上に平ら押さえつけ空気感受性試料の分析用に設計されたXRDセル内に密封した。各XRD分析直前に密封試料をグローブボックスから取り出し、Panalytical X'Pert ProMRD上でCo−Kα放射線を使用して10≦2≦80°の範囲でスキャンした。XRDパターン中の結晶相は、Braggピーク位置及び相対強度を、ICDD PDF-4+ 2012データベース中の基準パターンからのBraggピーク位置及び相対強度と比較することにより同定された。試料の結晶部分中の各相の相対量は、ICDDデータベースからの基準構造を含む初期モデルを用いてRietveld法を使用して精緻化した。XRDサンプリングセルへの遅い空気拡散のために、試料は微量のオキシ塩化タングステンを含有した。試料中のアルファ−WCl6とベータ−WCl6の相対量は、表1に要約される。

0050

予想外に、140℃、175℃、及び200℃で加熱した試料は、表1に示されるように、この熱処理後99質量%超のβ−WCl6に移行した。

0051

本例は、2つの相のWCl6の混合物を含む送達システムは、140℃以上に前加熱して、2つの異なる相の混合物をWCl6のベータ相に変換することができることを示唆する。WCl6のベータ相は、熱前処理後に相組成の更なる変化が無いため、半導体素子の製造プロセスに対して、より一貫した化学的送達を提供するであろう。

0052

例2 α−WCl6を含まないWCl6の精製
バッチ精製試験を行なった。このプロセスは、〜78相対質量%のアルファ−WCl6と22相対質量%のベータ−WCl6(アルファ−WCl6とベータ−WCl6の総質量%は100%であると仮定)を含む100グラムのWCl6(H.C. Starckにより供給された)で開始し、ボイラー中で360℃に加熱した。

0053

0.2リットル/分(LPM)の窒素(N2)ガス流を350℃の温度に前加熱し、キャリアーガスとしてボイラーに導入した。これは、約116g/時間の加熱速度を有するWCl6を含むボイラー蒸気流を与え、ボイラー蒸気流中のキャリアーガスと物質とのモル比は2:1であった。このボイラー蒸気流を凝縮器の底部に供給し、同時にN2ガスを含む12LPMの周囲温度流動化ガスの流れも、凝縮器の底部に供給された。

0054

流動化ガスとボイラー蒸気流のモル比は約110:1であった。ボイラーと凝縮器の底部との間のコネクターにおけるボイラー蒸気流の凝縮を防ぐために、コネクターを360℃の温度に加熱した。試験セットアップは本質的に小さく、凝縮器の底部の直径は2cmであるため、ある量の熱がコネクターからこのゾーンに伝達され、流動化ガスにより受け取られた。この入り口での流動化ガスの測定された温度は65℃であった。流動層温度は、約110〜約130℃の範囲の温度で維持された。凝縮器壁の温度は、約110〜約120℃の範囲の温度に維持された。ボイラー温度がいったんその設定点に達すると、精製プロセスが開始し、運転が1時間維持された。次にヒーターを停止し、ガス流を連続的に供給して、水分を排除した。システムがいったん冷却されると、凝縮器中の物質が分析のために採取された。見かけの収率(生成物/原料)は68.4%質量/質量であった。

0055

例1に記載されたように、試料をX線回折により分析した。X線回折は、生成物が97.1質量%のβ−WCl6を有し、残りが微量のWOCl4とWCl5であることを示した。混合物中にα−WCl6は検出されず、このことはβ−WCl6の相対質量%が>99質量%であったことを示唆している。

0056

例3 WCl5を含まないWCl6の精製
例2に記載されたように、43質量%のアルファWCl6、48質量%のベータ−WCl6、及び9質量%のWOCl4を含有する180グラムの原料WCl6をボイラーに充填し、320℃で気化させた。

0057

キャリアーガスの流速は0.2LPMであり、流動化ガスの流速は15LPMであった。キャリアーガスは20ppmの塩素を含有した。凝縮器の温度は120〜130℃の範囲で制御した。

0058

凝縮器から114グラムの生成物を収集した。例1に記載したように、精製した試料をXRDにより分析した。XRDの結果は、97質量%のベータ−WCl6、<1質量%のアルファ−WCl6を含有し、WCl5の検出可能なピークが無い組成を示した。恐らくはXRDサンプリングセルへの遅い空気拡散のために、2質量%のWOCl4が試料中で検出された。すなわち、このプロセスは、検出可能な量のWCl5が無く、>99相対質量%のベータ−WCl6を有する6塩化タングステンを生成することができる。

実施例

0059

特許請求された発明の原理が、好適な実施態様に関連して上述されてきたが、本説明は例示のためのみになされており、特許請求された発明の範囲の限定としてなされてはいないということが、明確に理解されるべきである。

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