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技術 摩擦材組成物および摩擦材とその製造方法

出願人 曙ブレーキ工業株式会社
発明者 宮道素行岩尾裕司
出願日 2015年4月27日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-090699
公開日 2016年12月8日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2016-204575
状態 特許登録済
技術分野 ブレーキ装置 抗スリップ物質
主要キーワード 独立構造 多孔質球状粒子 チタン酸リチウムカリウム O系繊維 落ち込み量 最小摩擦係数 ディスクブレーキロータ 摺り合わせ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月8日)のものです。
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図面 (3)

課題

耐フェード性などの特性を損なうことなく、吸湿状態における異音特性の改善を可能とする摩擦材の提供。

解決手段

平均粒径が20〜240μmであり、球状かつ多孔質アルカリ金属塩を5〜30質量%含有する摩擦材組成物。前記アルカリ金属塩は、100nmオーダー粒子が複数融着した焼結体からなり、チタン酸カリウムである摩擦材組成物。

概要

背景

ディスクブレーキドラムブレーキなどに使用される摩擦材は、補強作用を付与する繊維基材摩擦作用を付与し、その摩擦性能を調整する摩擦調整材、および、これらを結合する結合材などの成分から構成される。これらの構成成分は、目的とする用途や要求される性能などに応じて、適宜調整される。

たとえば、特開平10−139894号公報には、熱硬化性樹脂結合成分とし、繊維基材、充填材添加材を含有するブレーキ非アスベスト系摩擦材において、摩擦調整材として、チタン酸化合物結晶粒が結合してなる多孔質球状粒子を添加する技術が開示されている。この技術によれば、摩擦材の強度や耐摩耗性などを損なうことなく、耐フェード性を改善することができる。なお、特開平10−139894号公報では、摩擦調整材として添加するチタン酸化合物を、原料粉末湿式混合および噴霧乾燥することにより造粒粉末とした後、これを焼成することにより作製している。

ところで、ブレーキ用摩擦材では、耐フェード性や高速効力の向上のために、摩擦材中の気孔率を10%〜30%程度に調整することが一般的である。このため、雨天時に水溜りを通過した場合、洗車した場合、あるいは、夜間に、車両を野外駐車した場合などには、摩擦材が吸湿した状態となる。このような吸湿状態では、制動時の停止直前、概ね、車両速度が5km/h以下となったときに、または、オートマチック車の発進時において、ブレーキを緩めてブレーキが完全に解放されるときに、クリープトルクに起因する低周波異音が発生する。この低周波異音は、クリープ異音とも呼ばれ、不快感を伴うため、その低減が求められている。

このような問題に対して、特開2000−191800号公報には、繊維基材、摩擦調整材、潤滑材および結合材よりなる摩擦材に、撥水性を有するフッ素系ポリマーを配合する技術が開示されている。このような摩擦材では、親水性を有する周知なマトリックスに、撥水性を有するフッ素系ポリマーが点在することとなるため、洗車などによって摩擦材が大量の水分を吸湿した場合であっても、クリープ異音の低減を図ることができる。

しかしながら、この文献に記載の技術であっても、軽負荷での制動後において、摩擦材が吸湿状態にある場合に、クリープ異音が発生することが報告されている。このため、クリープ異音の発生を防止する特性(異音特性)をさらに改善した摩擦材の開発が求められている。

概要

耐フェード性などの特性を損なうことなく、吸湿状態における異音特性の改善を可能とする摩擦材の提供。平均粒径が20〜240μmであり、球状かつ多孔質アルカリ金属塩を5〜30質量%含有する摩擦材組成物。前記アルカリ金属塩は、100nmオーダー粒子が複数融着した焼結体からなり、チタン酸カリウムである摩擦材組成物。

目的

本発明は、上述の問題に鑑みて、耐フェード性などの特性を損なうことなく、吸湿状態における異音特性のさらなる改善を可能とする摩擦材組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

平均粒径が20μm〜240μmであり、球状かつ多孔質アルカリ金属塩を含有する、摩擦材組成物

請求項2

前記アルカリ金属塩は、100nmオーダー粒子が複数融着した焼結体からなる、請求項1に記載の摩擦材組成物。

請求項3

前記アルカリ金属塩はチタン酸カリウムである、請求項1または2に記載の摩擦材組成物。

請求項4

前記アルカリ金属塩を5質量%〜30質量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦材組成物。

請求項5

前記アルカリ金属塩の平均粒径が90μm〜240μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦材組成物。

請求項6

銅または銅合金を含む繊維基材および金属粉末を含有しない、請求項1〜5のいずれかに記載の摩擦材組成物。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の摩擦材組成物を加圧成形することにより、予備成形体を得る、予備成形工程と、前記予備成形体を熱成形型投入し、加熱圧縮成形することにより、加熱圧縮成形体を得る、加熱圧縮成形工程と、前記加熱圧縮成形体を熱処理する、熱処理工程と、を備える、摩擦材の製造方法。

請求項8

請求項7に記載の製造方法により得られる、摩擦材。

技術分野

0001

本発明は、摩擦材組成物、および、この摩擦材組成物を用いた摩擦材とその製造方法に関する。

背景技術

0002

ディスクブレーキドラムブレーキなどに使用される摩擦材は、補強作用を付与する繊維基材摩擦作用を付与し、その摩擦性能を調整する摩擦調整材、および、これらを結合する結合材などの成分から構成される。これらの構成成分は、目的とする用途や要求される性能などに応じて、適宜調整される。

0003

たとえば、特開平10−139894号公報には、熱硬化性樹脂結合成分とし、繊維基材、充填材添加材を含有するブレーキ非アスベスト系摩擦材において、摩擦調整材として、チタン酸化合物結晶粒が結合してなる多孔質球状粒子を添加する技術が開示されている。この技術によれば、摩擦材の強度や耐摩耗性などを損なうことなく、耐フェード性を改善することができる。なお、特開平10−139894号公報では、摩擦調整材として添加するチタン酸化合物を、原料粉末湿式混合および噴霧乾燥することにより造粒粉末とした後、これを焼成することにより作製している。

0004

ところで、ブレーキ用摩擦材では、耐フェード性や高速効力の向上のために、摩擦材中の気孔率を10%〜30%程度に調整することが一般的である。このため、雨天時に水溜りを通過した場合、洗車した場合、あるいは、夜間に、車両を野外駐車した場合などには、摩擦材が吸湿した状態となる。このような吸湿状態では、制動時の停止直前、概ね、車両速度が5km/h以下となったときに、または、オートマチック車の発進時において、ブレーキを緩めてブレーキが完全に解放されるときに、クリープトルクに起因する低周波異音が発生する。この低周波異音は、クリープ異音とも呼ばれ、不快感を伴うため、その低減が求められている。

0005

このような問題に対して、特開2000−191800号公報には、繊維基材、摩擦調整材、潤滑材および結合材よりなる摩擦材に、撥水性を有するフッ素系ポリマーを配合する技術が開示されている。このような摩擦材では、親水性を有する周知なマトリックスに、撥水性を有するフッ素系ポリマーが点在することとなるため、洗車などによって摩擦材が大量の水分を吸湿した場合であっても、クリープ異音の低減を図ることができる。

0006

しかしながら、この文献に記載の技術であっても、軽負荷での制動後において、摩擦材が吸湿状態にある場合に、クリープ異音が発生することが報告されている。このため、クリープ異音の発生を防止する特性(異音特性)をさらに改善した摩擦材の開発が求められている。

先行技術

0007

特開平10−139894号公報
特開2000−191800号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、上述の問題に鑑みて、耐フェード性などの特性を損なうことなく、吸湿状態における異音特性のさらなる改善を可能とする摩擦材組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、この摩擦材組成物を用いた摩擦材とその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明の摩擦材組成物は、平均粒径が20μm〜240μmであり、球状かつ多孔質アルカリ金属塩を含有することを特徴とする。

0010

前記アルカリ金属塩は、100nmオーダー粒子が複数融着した焼結体からなることが好ましい。

0011

前記アルカリ金属塩は、チタン酸カリウムであることが好ましい。

0012

前記摩擦材組成物は、前記アルカリ金属塩を5質量%〜30質量%含有することが好ましい。

0013

前記アルカリ金属塩の平均粒径は、90μm〜240μmであることが好ましい。

0014

本発明の摩擦材組成物は、銅または銅合金を含む繊維基材および金属粉末を含有しないことが好ましい。

0015

本発明の摩擦材の製造方法は、前記摩擦材組成物を加圧成形することにより、予備成形体を得る、予備成形工程と、
前記予備成形体を熱成形型投入し、加熱圧縮成形することにより、加熱圧縮成形体を得る、加熱圧縮成形工程と、
前記加熱圧縮成形体を熱処理する、熱処理工程と、
を備えることを特徴とする。

0016

本発明の摩擦材は、前記製造方法により得ることができる。

発明の効果

0017

本発明によれば、耐フェード性などの特性を損なうことなく、吸湿状態における異音特性のさらなる改善を可能とする摩擦材組成物を提供することができる。また、本発明によれば、この摩擦材組成物を用いた摩擦材とその製造方法を提供することができる。このため、本発明の工業的意義はきわめて大きい。

図面の簡単な説明

0018

図1は、本発明の摩擦材組成物を構成するアルカリ金属塩(チタン酸カリウム)を示すSEM像である。
図2は、図1のアルカリ金属塩の表面状態を示す拡大SEM像である。

0019

本発明者らは、上述した課題に鑑みて、摩擦材組成物、および、この摩擦材組成物を用いた摩擦材の特性、特に、吸湿状態における異音特性を、さらに改善するために鋭意研究を重ねた。この際、摩擦材の表面に付着した摩耗粉性状に着目したところ、クリープ異音が大きい摩擦材では、摩耗粉の粒径が小さく、その吸湿量が多いこと、および、摩耗粉には、摩擦調整材に由来するチタン(Ti)やバリウム(Ba)が多く含まれていることを突き止めた。

0020

本発明者らは、この点に着目して、摩擦材組成物の構成成分の種類や含有量を変更しながら摩擦材を作製し、その特性を評価する実験を繰り返し行った。この結果、摩擦調整材として、平均粒径が20μm〜240μmであり、球状かつ多孔質のアルカリ金属塩を添加することにより、耐フェード性などの特性を損なうことなく、吸湿状態における異音特性を改善可能であるとの知見を得た。本発明は、この知見に基づき完成されたものである。

0021

1.摩擦材組成物
本発明の摩擦材組成物は、従来技術と同様に、繊維基材、摩擦調整材および結合材から構成される。特に、本発明の摩擦材組成物は、摩擦調整材として、平均粒径が20μm〜240μmであり、球状かつ多孔質のアルカリ金属塩を含有することを特徴とする。

0022

なお、本発明の摩擦材組成物は、各成分を均一に混合することで得られる。この際の混合方法は、特に制限されることなく、アイリッヒミキサレディーゲミキサおよび加圧ニーダなどの公知技術を利用することができる。

0023

(1)繊維基材
繊維基材としては、アスベストを含有しないものである限り、特に制限されることはなく、公知のものを使用することができる。具体的には、有機繊維無機繊維および非鉄金属繊維を使用することができる。有機繊維としては、芳香族ポリアミドアラミド)繊維、耐炎性アクリル繊維などを使用することができる。無機繊維としては、チタン酸カリウム繊維アルミナ繊維などのセラミック繊維生体溶解性無機繊維ガラス繊維カーボン繊維ロックウールなどを使用することができる。非鉄金属繊維としては、アルミニウム繊維亜鉛繊維などを使用することができる。

0024

これらの繊維基材の中でも、生体溶解性無機繊維は、人体への影響が少ない点から好適に用いることができる。このような生体溶解性無機繊維としては、SiO2−CaO−MgO系繊維やSiO2−CaO−MgO−Al2O3系繊維、SiO2−MgO−SrO系繊維などの生体溶解性セラミック繊維生体溶解性ロックウールなどを挙げることができる。なお、上述の繊維基材は、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。

0025

繊維基材の含有量は、5質量%〜40質量%とすることが好ましく、5質量%〜25質量%とすることがより好ましい。

0026

(2)摩擦調整材
摩擦調整材としては、アルカリ金属塩、バーミキュライトおよびマイカなどの無機充填材有機充填材研削材ならびに潤滑材などを用いることができる。

0027

a)有機充填材
有機充填材としては、各種ゴム粉末ゴムダスト、タイヤ粉末など)、カシューダストメラミンダストなどを、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0028

有機充填材の含有量は、1質量%〜15質量%とすることが好ましく、4質量%〜15質量%とすることがより好ましい。

0029

b)無機充填材
b−1)アルカリ金属塩
本発明の摩擦材組成物は、摩擦調整材として、平均粒径が20μm〜240μmであり、球状かつ多孔質のアルカリ金属塩を含有することを特徴とする。これにより、耐フェード性を損なうことなく、異音特性を改善することができる。

0030

組成
アルカリ金属塩としては、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウムチタン酸リチウムカリウムなどのチタン酸アルカリ金属塩などを用いることができる。これらの中でも、アルカリ金属イオンとしての溶出量が少ない、チタン酸カリウムを用いることが好ましく、一般式:K2TinO2n+1(ただし、nは、2〜8の整数)で表されるチタン酸カリウムを用いることがより好ましい。

0031

[形状および構造]
本発明の摩擦材組成物では、アルカリ金属塩として、図1および図2のSEM像に示すような球状かつ多孔質であるものを使用することが必要となる。本発明において、球状には、いわゆる真球状のみならず、楕円球状も含まれる。また、多孔質とは、焼結体表面に複数の細孔が存在していることを意味し、これらの細孔は、連続構造であってもよく、独立構造であってもよい。なお、図2のSEM像において、濃灰色ないしは黒色の部分が多孔質の孔部に相当する。このようなアルカリ金属塩の形状や構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により確認することができる。

0032

ここで、特平10−139894号公報に記載の技術では、本発明と同様に、摩擦調整材として、球状かつ多孔質のアルカリ金属塩(六チタン酸カリウム)を用いている。しかしながら、この文献におけるアルカリ金属塩は、造粒粉末を焼成することにより作製したものであり、長軸方向の長さがμmオーダー繊維状一次粒子凝集した二次粒子から構成されるものである。したがって、アルカリ金属塩自体の強度が低く、制動時に一次粒子ほつれながら摩耗することとなるため、摩耗粉がきわめて微細なものとなると考えられる。

0033

これに対して、本発明では、アルカリ金属塩として、たとえば、チタン源およびアルカリ金属源メカノケミカル粉砕で得られる粉砕混合物を焼成することによりチタン酸塩を調整し、このチタン酸塩を酸処理した後、焼成することにより作製したものを使用する。このようなアルカリ金属塩は、長軸方向および短軸方向の寸法が、いずれも100nmオーダー、好ましくは100nm〜500nmの粒子が複数融着した焼結体から構成される。このため、特平10−139894号公報に記載のアルカリ金属塩と比べて強度が高く、摩耗粉を大粒径化することができる。すなわち、この点において、本願発明におけるアルカリ金属塩は、平10−139894号公報に記載のアルカリ金属塩と大きく相違するものということができる。

0034

[平均粒径]
上述したように、吸湿状態における異音特性を改善するためには、アルカリ金属塩として、平均粒径が20μm〜240μmのものを用いることが有効である。しかしながら、平均粒径が20μm以上のアルカリ金属塩を用いた場合には、摩擦材の気孔率が低下することに伴い、耐フェード性が悪化するおそれがあり、特に、熱伝導率に優れる銅を含まない銅フリーの摩擦材では、この傾向が顕著となる。

0035

本発明者らは、この点について鋭意研究を重ねた結果、アルカリ金属塩として、球状かつ多孔質のものを用いることで、その平均粒径を20μm以上とした場合であっても、摩擦材の気孔率を確保し、耐フェード性の低下を抑制できることを見出した。

0036

具体的には、本発明の摩擦材においては、アルカリ金属塩として、平均粒径が20μm〜240μm、好ましくは90μm〜240μmの範囲にあるものを使用することが必要となる。アルカリ金属塩の平均粒径が20μm未満では、摩耗粉が細かくなりすぎるため、吸湿状態における異音特性を改善することができない。一方、本発明者らの研究によれば、アルカリ金属塩の平均粒径が240μm程度であれば、摩擦材の気孔率が大幅に低下することはなく、耐フェード性を十分に確保できることが確認されている。

0037

なお、本発明において、平均粒径とは、メジアン径(D50)を意味し、たとえば、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。

0038

[含有量]
アルカリ金属塩の含有量は、合計で、5質量%〜30質量%の範囲とすることが好ましく、10質量%〜28質量%の範囲とすることがより好ましく、15質量%〜28質量%の範囲とすることがさらに好ましい。アルカリ金属塩の含有量が5質量%未満では、上述した効果を得ることができない。一方、アルカリ金属塩の含有量が30質量%を超えると、他の構成成分の含有量が減少するため、強度や耐久性などの特性が著しく低下するおそれがある。

0039

b−2)他の無機充填材
アルカリ金属塩以外の無機充填材(他の無機充填材)としては、バーミキュライトおよびマイカなどの鉱物粉末や、アルミニウム、スズおよび亜鉛などの金属粉末を用いることができる。また、平均粒径が20μm未満のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩からなる粉末を用いることもできる。さらには、これらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。

0040

他の無機充填材の含有量は、1質量%〜60質量%とすることが好ましく、1質量%〜50質量%とすることがより好ましい。

0041

c)研削材
研削材としては、アルミナシリカマグネシアジルコニアケイ酸ジルコニウム酸化クロム四酸化三鉄(Fe3O4)などを、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0042

研削材の含有量は、5質量%〜20質量%とすることが好ましく、10質量%〜20質量%とすることがより好ましい。

0043

d)潤滑材
潤滑材としては、黒鉛グラファイト)、二硫化モリブデン硫化スズポリテトラフルオロエチレンPTFE)などを、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0044

これらの潤滑材の含有量は、合計で、1質量%〜20質量%とすることが好ましく、3質量%〜15質量%とすることがより好ましい。

0045

(3)結合材
結合材としては、通常用いられる種々の結合材を用いることができる。具体的にはストレートフェノール樹脂エラストマーなどによる各種変性フェノール樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。これらの中でも摩擦材に柔軟性を付与するとともに、相手材への攻撃性を低減し、かつ、異音特性を向上させる観点から、エラストマー変性フェノール樹脂を用いることが好ましい。エラストマー変性フェノール樹脂としては、アクリルゴム変性フェノール樹脂やシリコーンゴム変性フェノール樹脂、NBRゴム変性フェノール樹脂などが挙げられ、アクリルゴム変性フェノール樹脂やシリコーンゴム変性フェノール樹脂などがより好適に用いられる。なお、これらの結合材は単独または2種以上組み合わせて用いることができる。

0046

結合材の含有量は、5質量%〜20質量%とすることが好ましく、5質量%〜15質量%とすることがより好ましい。

0047

(4)銅
本発明の摩擦材組成物は、上述した成分によって構成されるものであるが、銅または銅合金を含む繊維基材や金属粉末を含有しないことが好ましい。より具体的には、摩擦材組成物中の銅含有量を0.5質量%以下とすることが好ましい。このような銅フリーの摩擦材組成物により形成される摩擦材は、制動時に生じる摩耗粉に含まれる銅量もきわめて少ないため、環境や人体に対する負荷を低減することができる。

0048

2.摩擦材
(1)摩擦材の製造方法
本発明の摩擦材の製造方法は、上述した摩擦材組成物を用いること以外は、従来技術と同様にして得ることができる。すなわち、本発明の摩擦材の製造方法は、
a)上述した摩擦材組成物を加圧成形することにより、予備成形体を得る、予備成形工程と、
b)予備成形体を熱成形型に投入し、加熱圧縮成形することにより、加熱圧縮成形体を得る、加熱圧縮成形工程と、
c)加熱圧縮成形体を熱処理する、熱処理工程と、
を備えることを特徴とする。なお、各工程における条件などについては、従来技術と同様であるため、ここでの説明は省略する。

0049

(2)摩擦材
本発明の摩擦材は、上述した製造方法によって得られ、ディスクブレーキ用パッドドラムブレーキ用ライニングとして好適に用いることができる。

0050

本発明の摩擦材は、上述したように、平均粒径が20μm〜240μmのアルカリ金属塩を含有するものであるが、このアルカリ金属塩は、球状かつ多孔質であるため、気孔率を十分に確保することができる。具体的には、気孔率を、好ましくは10%〜25%、より好ましくは15%〜25%の範囲に制御することができる。このため、本発明の摩擦材は、従来の摩擦材と同等の耐フェード性を確保することが可能となる。なお、摩擦材の気孔率は、水銀ポロシメータにより測定することができる。

0051

以下、実施例および比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。

0052

(実施例1〜6、比較例1〜5)
a)摩擦材の作製
原料粉末として表1に示すものを用意し、これらの原料粉末を表2に示す比率で均一に混合することにより、摩擦材組成物を得た。この摩擦材組成物を成形型に入れ、常温、15MPaで1秒間の加圧成形をすることにより、予備成形体を得た。次に、この予備成形体を熱成形型にセットし、予め接着剤を塗布した金属板プレッシャプレート)と重ね合わせた上で、150℃、40MPaで5分間の加熱圧縮成形をすることにより、加熱圧縮成形体を得た。続いて、この加熱圧縮成形体を、250℃で3時間熱処理した後、室温まで冷却し、所定の形状および厚さに研磨し、塗装することにより、摩擦材(摩擦パッド)を作製した。なお、無機充填材a〜fのうち、実施例1〜6で使用した無機充填材a〜cが、本発明におけるアルカリ金属塩に該当する。

0053

0054

0055

b)摩擦材(摩擦パッド)の評価
[静動μ低下試験
摩擦パッドに対して、フルサイズダイナモメータを用いて、温度30℃、湿度80%の環境条件の下、制動初速度を40km/h、制動減速度を1.96m/s2、摩擦材の初期ブレーキ温度を70℃以下、制動回数を5200回とする条件で摺り合わせを行った後、温度25℃、湿度100%の環境下に15時間放置した。続いて、液圧2MPa、減圧速度0.5MPa/s、クリープトルク200Nm、制動回数5回とする条件で静動μ低下試験を行い、トルク落ち込み量により、静動μ低下を評価した。

0056

[異音特性]
静動μ低下試験後の摩擦パッドを、FC150製のディスクブレーキロータを有する車両に取り付けて、制動初速度を40km/h、制動減速度を1.96m/s2、摩擦材の初期ブレーキ温度を70℃以下、制動回数を130回とする条件で摺り合わせを行った後、温度20℃、湿度95%の環境下に15時間放置した。続いて、液圧2MPaよりブレーキを開放する際のクリープ異音の大きさにより、官能評価を行った。具体的には、クリープ異音が全く聞こえなかった場合を「1」、はっきりと聞こえた場合を「5」とする5段階評価を行った。

0057

[摩擦材の摩耗量および表面粗さ]
デジタルマイクメータ(株式会社ミツトヨ製、1/1000デジタルマイクロメータ)を用いて、異音特性の評価後の摩擦パッドの外周および内周のそれぞれ4か所の摩耗量を測定し、その平均値を算出することにより、摩耗量を評価した。また、非接触式次元粗さ計(株式会社東京精密製、プロファイルスキャナPS200)を用いて、摩擦パッド表面の6か所で算術平均粗さRaを測定し、その平均値を算出することにより、表面粗さを評価した。

0058

[摩耗粉の平均粒径]
異音特性の評価後、摩擦パッドの表面に堆積した摩耗粉を採取し、粒子径分布測定装置(株式会社島津製作所、SALD−7100)を用いて、その平均粒径(D50)を測定した。

0059

[摩耗粉の吸湿量]
はじめに、異音特性の評価後の摩耗粉100mgを105℃で2時間乾燥した後の質量w0を測定した。次に、水を張った容器内に摩耗粉を静置し、温度25℃、湿度100%の環境下で15時間放置した後の質量w1を測定した。このようにして得られた質量w0およびw1より、摩耗粉の吸湿量Δw(=w1−w0)を算出した。

0060

[気孔率]
水銀ポロシメータ(株式会社島津製作所製、オートポアIV9500シリーズ)により、各評価試験を実施する前の摩擦パッドの気孔率を測定した。

0061

効力および耐フェード性]
フルサイズダイナモメータ試験機を用いて、摩擦試験(JASOC 406:2000準拠)を行い、各摩擦材の効力および耐フェード性(制動初速度を100km/hとした第2効力試験における摩擦係数平均値μavg、第1フェード試験における最小摩擦係数μmin)を評価した。

0062

実施例

0063

c)総合評価
表1〜3より、実施例1〜6の摩擦材は、異音特性が良好で、トルク落ち込み量も小さいことが確認される。また、これらの実施例より、本発明のアルカリ金属塩の平均粒径が大きいほど、摩耗粉の平均粒径も大きくなり、その吸湿量が少なくなる傾向があることが確認される。さらに、実施例1〜6の摩擦材は、平均粒径が20μm未満のアルカリ金属塩を用いた比較例1〜5の摩擦材との比較において、同等の耐フェード性を有することが確認される。以上より、本発明によれば、耐フェード性を損なうことなく、吸湿状態における異音特性の改善が可能であることが理解される。

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