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技術 液体炭化水素油中の硫化カルボニルを除去する方法

出願人 JXTGエネルギー株式会社
発明者 港谷昌成
出願日 2015年4月20日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2015-086120
公開日 2016年12月8日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-204290
状態 特許登録済
技術分野 抽出、液体の置換 有機低分子化合物及びその製造 石油精製,液体炭化水素混合物の製造
主要キーワード 硫黄検出器 随伴ガス 昇温パターン 調整水 軽質炭化水素油 液液分離 吸収実験 ガスタービン発電
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

液体炭化水素油に含まれるCOSを容易に除去することができる方法を提供すること。

解決手段

本発明の一側面に係る方法は、液体炭化水素油中硫化カルボニルを除去する方法であって、液体炭化水素油を吸収液に接触させることにより、液体炭化水素油に含まれる硫化カルボニルを液体炭化水素油から除去する吸収工程を備え、吸収液が、アルカノールアミン及びアルカリ化合物を含む水溶液である。

概要

背景

近年、石油化学原料としてのプロピレン需要が増加している。需要の増加を受けて、重質油接触分解生成物から得られるC3留分の分離等によって、プロピレンの供給量が確保されている。しかし、このようにして得られるプロピレンは、硫黄化合物等の不純物を多量に含有しており、特に数ppmないし数十ppmの硫化カルボニル化学式:COS)を含有している。

プロピレンの特定の用途(例えば、プロピレン及びベンゼンを用いたキュメンの製造)では、プロピレンに混入したCOSによって触媒(例えば、酸触媒)が被毒してしまう。このようなプロピレン中の不純物に起因する問題を解決するために、従来、プロピレン中の不純物は、蒸留によって分離・除去されてきた。しかし、COSの沸点(−50.2℃)はプロピレンの沸点(−47.7℃)に近いので、蒸留等の沸点差に基づく方法によってCOSをプロピレンから分離・除去することは非常に困難である。同様の問題は、プロピレン以外の炭化水素油においてもある。

蒸留以外にも、炭化水素油中に存在するCOSを除去する方法はある。例えば、従来、炭化水素油を吸着剤と接触させる方法が検討され、工業的に実用化されている。例えば、下記特許文献1は、液体状のプロピレンを0〜100℃の温度で酸化亜鉛と接触させて、プロピレン中のCOSを除去する方法を開示している。また、下記特許文献2は、液体状のプロピレンを0〜80℃の温度で酸化銅及び酸化亜鉛に接触させて、プロピレン中の一酸化炭素(CO)及びCOSを同時に除去する方法を開示している。

また、COSを硫化水素(H2S)に分解し、このH2Sを吸着剤で除去する方法も知られている。例えば、下記特許文献3及び4は、COS及びシアン化水素(HCN)を含む混合ガスを、スチームとともに、金属を含む固体触媒に接触させる方法を開示している。

さらに、炭化水素油中に存在する硫黄化合物をH2Sに分解し除去する方法も知られている。例えば、下記特許文献5は、300℃程度の温度下で、炭化水素油及び水素の混合物を固体触媒に接触させる水素化脱硫が知られている。

概要

液体の炭化水素油に含まれるCOSを容易に除去することができる方法を提供すること。本発明の一側面に係る方法は、液体炭化水素油中の硫化カルボニルを除去する方法であって、液体炭化水素油を吸収液に接触させることにより、液体炭化水素油に含まれる硫化カルボニルを液体炭化水素油から除去する吸収工程を備え、吸収液が、アルカノールアミン及びアルカリ化合物を含む水溶液である。なし

目的

本発明は、上述した事情に鑑み、液体の炭化水素油に含まれる硫化カルボニルを容易に除去することができる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液体炭化水素油を吸収液に接触させることにより、前記液体炭化水素油に含まれる硫化カルボニルを前記液体炭化水素油から除去する吸収工程を備え、前記吸収液が、アルカノールアミン及びアルカリ化合物を含む水溶液である、液体炭化水素油中の硫化カルボニルを除去する方法。

請求項2

前記アルカノールアミンが、ジイソプロパノールアミン又はメチルジエタノールアミンのうち少なくとも一方である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記アルカリ化合物が、水酸化ナトリウムである、請求項1又は2に記載の方法。

請求項4

前記吸収液の前記アルカノールアミンの含有量が、5〜50質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

前記吸収液の前記アルカリ化合物の含有量が、5〜40質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

前記吸収液の温度が、10〜60℃である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、液体炭化水素油中硫化カルボニルを除去する方法に関する。

背景技術

0002

近年、石油化学原料としてのプロピレン需要が増加している。需要の増加を受けて、重質油接触分解生成物から得られるC3留分の分離等によって、プロピレンの供給量が確保されている。しかし、このようにして得られるプロピレンは、硫黄化合物等の不純物を多量に含有しており、特に数ppmないし数十ppmの硫化カルボニル(化学式:COS)を含有している。

0003

プロピレンの特定の用途(例えば、プロピレン及びベンゼンを用いたキュメンの製造)では、プロピレンに混入したCOSによって触媒(例えば、酸触媒)が被毒してしまう。このようなプロピレン中の不純物に起因する問題を解決するために、従来、プロピレン中の不純物は、蒸留によって分離・除去されてきた。しかし、COSの沸点(−50.2℃)はプロピレンの沸点(−47.7℃)に近いので、蒸留等の沸点差に基づく方法によってCOSをプロピレンから分離・除去することは非常に困難である。同様の問題は、プロピレン以外の炭化水素油においてもある。

0004

蒸留以外にも、炭化水素油中に存在するCOSを除去する方法はある。例えば、従来、炭化水素油を吸着剤と接触させる方法が検討され、工業的に実用化されている。例えば、下記特許文献1は、液体状のプロピレンを0〜100℃の温度で酸化亜鉛と接触させて、プロピレン中のCOSを除去する方法を開示している。また、下記特許文献2は、液体状のプロピレンを0〜80℃の温度で酸化銅及び酸化亜鉛に接触させて、プロピレン中の一酸化炭素(CO)及びCOSを同時に除去する方法を開示している。

0005

また、COSを硫化水素(H2S)に分解し、このH2Sを吸着剤で除去する方法も知られている。例えば、下記特許文献3及び4は、COS及びシアン化水素(HCN)を含む混合ガスを、スチームとともに、金属を含む固体触媒に接触させる方法を開示している。

0006

さらに、炭化水素油中に存在する硫黄化合物をH2Sに分解し除去する方法も知られている。例えば、下記特許文献5は、300℃程度の温度下で、炭化水素油及び水素の混合物を固体触媒に接触させる水素化脱硫が知られている。

先行技術

0007

特開昭63−60945号公報
特開平5−70375号公報
特開2000−051694号公報
特開2003−135959号公報
特開2010−209296号公報

発明が解決しようとする課題

0008

上記特許文献1及び2の方法では、酸化亜鉛及びH2Sの化学反応により硫化亜鉛が形成される。この反応により、理論上の吸着容量分の硫黄を吸着剤(酸化亜鉛に由来する亜鉛)に吸着させることが可能である。しかし、酸化亜鉛がCOSと接触しても、両物質の反応は十分に進行しない。その結果、理論上の吸着容量に満たないわずかな硫黄が吸着剤に吸着するに過ぎない。また、吸着剤の寿命が短い。吸着剤の吸着容量が小さく、その寿命が短いため、吸着剤の交換頻度が多くなってしまう。

0009

上記特許文献3及び4の方法では、スチームによる加水分解により、COSをH2Sと二酸化炭素(CO2)とに分解する。この方法は、ガスタービン発電に使用される混合ガス中のCOSをH2Sに分解するための方法であり、110〜250℃の反応温度を必要とする。したがって、特許文献3及び4の方法を液体炭化水素油に応用する場合、液体炭化水素油の加熱により、炭化水素油が気化してしまう。よって、気化された炭化水素油を再液化する工程も必要である。以上のように、上記特許文献3及び4の方法の場合、液体炭化水素油からCOSを除去するために要する工程が複雑である。また、COSの除去に多大なエネルギー(熱)が消費される。COSの除去に要する設備コストもかかる。

0010

上記特許文献5の方法は、COSに限らず硫黄化合物全般の分解に適用できる。しかし、上記特許文献5の方法は、大がかりな設備を要する。したがって、特許文献5の方法を、プロパン又はプロピレン等の軽質炭化水素油中のCOSの分解に適用するためには、コストがかかり過ぎる。

0011

本発明は、上述した事情に鑑み、液体の炭化水素油に含まれる硫化カルボニルを容易に除去することができる方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、液体炭化水素油中に存在する硫化カルボニルの除去方法について、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アルカノールアミン及びアルカリ化合物を含む水溶液と、液体炭化水素油とを接触させることにより、液体炭化水素油中に含まれるCOSを除去し得ることを見出し、本発明を完成させた。

0013

すなわち、本発明は、液体炭化水素油を吸収液に接触させることにより、液体炭化水素油に含まれる硫化カルボニルを液体炭化水素油から除去する吸収工程を備え、吸収液が、アルカノールアミン及びアルカリ化合物を含む水溶液である、液体炭化水素油中の硫化カルボニルを除去する方法を提供する。

0014

アルカノールアミンは、ジイソプロパノールアミン又はメチルジエタノールアミンのうち少なくとも一方であってもよい。

0015

アルカリ化合物は、水酸化ナトリウムであってよい。

0016

吸収液のアルカノールアミンの含有量は、5〜50質量%であってよい。

0017

吸収液のアルカリ化合物の含有量は、5〜40質量%であってよい。

0018

吸収液の温度は、10〜60℃であってよい。

発明の効果

0019

本発明によれば、液体の炭化水素油に含まれるカルボニルを容易に除去することができる。

図面の簡単な説明

0020

吸収実験前の液体炭化水素油のクロマトグラムである。
ジイソプロパノールアミン(DIPA)−アルカリ水溶液を用いた吸収実験で得られた油相試料のクロマトグラムである。
メチルジエタノールアミン(MDEA)−アルカリ水溶液を用いた吸収実験で得られた油相試料のクロマトグラムである。
DIPA水溶液を用いた吸収実験で得られた油相試料のクロマトグラムである。
MDEA水溶液を用いた吸収実験で得られた油相試料のクロマトグラムである。
アルカリ水溶液を用いた吸収実験で得られた油相試料のクロマトグラムである。

0021

以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではない。

0022

本実施形態に係る方法は、液体炭化水素油中の硫化カルボニル(COS)を除去する方法であり、以下に詳述する吸収工程を備える。

0023

吸収工程では、液体炭化水素油を吸収液に接触させ、液体炭化水素油に含まれるCOSを液体炭化水素油から除去する。液体炭化水素油に含まれるCOSそのものが、吸収液に吸収されてもよく、COSの化学的変化によって生じた物質が、吸収液に吸収されてもよい。

0024

COSは、常温常圧で無色の気体である。COSは、石油精製等による液体炭化水素油の製造に伴って副生される。COSは、例えば、炭化水素ガスの液化に伴って、炭化水素に取り込まれる。または、液体炭化水素油がCOS含有ガスと接触するにより、COSが液体炭化水素油に溶解することもある。

0025

液体炭化水素油は、COSを含有する液体炭化水素であれば、特に制限されるものではない。液体炭化水素油は、例えば、天然ガス又は石油随伴ガスから得られる炭化水素の留分であってよい。液体炭化水素油は、炭素数が5以上であり、沸点が180℃以下である留分であってよい。このような液体炭化水素油は、例えば、常圧蒸留装置を用いた炭化水素の分留によって得られる。液体炭化水素油を、原油の分留によって得てもよい。常温常圧で気体である炭化水素を、加圧して液化することにより、液体炭化水素油として用いてもよい。常温常圧で気体である炭化水素とは、例えば、プロパン、プロピレン、ブタン及びブチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。これらの炭化水素ガスは、天然ガスであってもよく、流動接触分解装置FCC装置)から生産されるガスであってもよい。液体炭化水素油中のCOSの含有量は、液体炭化水素油の種類によって異なり、特に限定されないが、例えば数質量ppm〜100質量ppm、数μg/ml〜60μg/mlであってよい。

0026

本実施形態で用いる吸収液は、アルカノールアミン及びアルカリ化合物を含む水溶液である。アルカノールアミンは、例えば、モノエタノールアミンMEA)、ジエタノールアミン(DEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)等であってよい。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。

0027

一態様において、DIPA又はMDEAのうち少なくとも一方を用いることができる。特に、DIPA又はMDEAのうち少なくとも一方をアルカリ化合物と併用することによって、アルカリ化合物を使用しない場合に比べてCOSの吸収効率をより効果的に向上させることができる。

0028

吸収液におけるアルカノールアミンの含有量は、特に制限されない。吸収液におけるアルカノールアミンの含有量は、例えば、5〜50質量%であってよい。アルカノールアミンの含有量が5質量%以上であれば、吸収液によるCOS吸収が促進され易い。一方、アルカノールアミンの含有量が50質量%以下であれば、吸収液の粘度の低下により、吸収液を操作し易くなり、液液分離(油相及び水相の分離)等の作業効率が向上する。同様の理由から、吸収液におけるアルカノールアミンの含有量は、15〜40質量%であってもよい。

0029

アルカリ化合物は、特に制限されない。アルカリ化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等であってよい。中でも、工業的に安価で入手できるとの観点から、水酸化ナトリウムであってよい。

0030

アルカノールアミン及びアルカリ化合物を含む水溶液が、アルカノールアミン単独の場合と比較して、液体炭化水素油中のCOSを容易に除去することができる具体的な理由については、はっきりとはわかっていない。例えば、以下のメカニズムが推測される。

0031

まず、吸収液としてMEA及びアルカリ化合物を含む水溶液を用いた場合には、MEAとCOSとの反応によりH2Sが生成する。生成したH2Sは、MEA及びアルカリ化合物双方との酸−アルカリ反応により水溶液側に移動して、油相から硫黄分が除去される。
また、吸収液としてMDEA及びアルカリ化合物を含む水溶液を用いた場合には、MDEAの一部がMEAへ変化し、生じたMEAによってCOSが除去される。
また、COS、アルカノールアミン及びアルカリ化合物は、酸アルカリ反応において中間体を形成し、形成された中間体が水溶液中に吸収されることもある。
さらに、アルカノールアミンとアルカリ化合物とを併用することにより、アルカノールアミンの水溶液中での解離が促進され、これによりアルカノールアミンがCOSとの中間体を形成し易い。
以上のメカニズムは推測である。

0032

吸収液におけるアルカリ化合物の含有量は、特に制限されない。アルカリ化合物の含有量は、例えば、5〜40質量%であってよい。アルカリ化合物の含有量が5質量%以上であれば、COSの吸収が促進され易い。一方、アルカリ化合物の含有量が40質量%以下であれば、吸収液の粘度の低下により、吸収液を操作し易くなる。その結果、吸収液を液体炭化水素油と効率良く接触させ易い。また液液分離(油相及び水相の分離)等の作業効率が向上し易い。同様の理由から、吸収液におけるアルカリ化合物の含有量は、5〜20質量%であってもよい。

0033

液体炭化水素油と吸収液との混合比率は、液体炭化水素油中のCOSの含有量に応じて調整すればよく、特に限定されない。吸収液中のアルカノールアミンのモル数がAであり、液体炭化水素油中のCOSのモル数がBである場合、B/Aが0.1〜0.6となるように、液体炭化水素油及び吸収液それぞれの量を調整してよい。B/Aが小さ過ぎると、吸収液の量が過大になる傾向がある。一方、B/Aが大き過ぎると、吸収液によるCOSの吸収の効率が低下する傾向がある。

0034

液体炭化水素油と吸収液とを接触させ、混合させる方法は、特に限定されない。例えば、ラインミキサー、又は機械的撹拌機等の種々の接触方法及び混合方法を用いてよい。特に、オリフィス又はバッフルミキサーによって、液体炭化水素油と吸収液とを接触させ、混合させた場合、COSの吸収効率が向上し易い。液体炭化水素油と吸収液とを接触させ、混合する時の温度(接触・混合温度)は、特に限定されない。接触・混合温度は、例えば、10〜60℃であってよい。接触・混合温度が10℃以上であれば、COSの吸収効率が向上し易い。接触・混合温度が60℃以下であれば、アルカノールアミンの劣化が抑制され易く、副反応も抑制され易い。ここで副反応とは、微量の酸素によるMEA又はDEAの酸化劣化、及びMEA又はDEAと酸性ガスとの接触による熱安定性アミンの生成である。同様の理由から、接触・混合温度は、40〜60℃であってもよい。接触・混合後の液体炭化水素油及び吸収液を一定時間静置することで、油水分離が起こり、上記の通り、油相中のCOSが水相へ吸収される。

0035

以上の本実施形態に係る方法によれば、液体炭化水素油中に存在するCOSを、簡便な操作により効率良く除去することができる。具体的には、上記の方法は、スチームによるCOSガスの加水分解によりH2Sガスを生成させるのではなく、液体(液体炭化水素油)中のCOSを別の液体(吸収液)へ吸収させるものである。したがって、本実施形態に係る方法においては、高温におけるCOSの加水分解のために液体炭化水素油を気化させたり、COSの分解後に炭化水素油を再液化させたりする必要がない。

0036

アルカノールアミンは、常温において固体であったり、粘度の高い液体であったりする。したがって、アルカノールアミンそのものを万遍無く液体炭化水素油と接触させたり混合したりすることは容易ではない。したがって、アルカノールアミンだけを用いて液体炭化水素油中のCOSを除去することは困難である。一方、本実施形態に係る方法においては、吸収液が水溶液であるため、吸収液中のアルカノールアミンの含有量の調整により、吸収液の粘度を容易に制御することが可能である。吸収液の粘度の制御により、吸収液を液体炭化水素油と容易に且つ均一に接触させ、且つ混合することができる。また、吸収液の粘度の制御により、COSを吸収した吸収液(水相)と、COSが除去された液体炭化水素油(油相)とを、容易に分離することができる。つまり、液液分離(水相及び油相の分離)の工程の効率が向上する。

0037

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。

0038

以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。

0039

[液体炭化水素油の調製]
チオシアン酸カリウム濃硫酸を接触させてCOSを発生させた。このCOSを、ヘキサンに接触させ、ヘキサンに吸収させた。このヘキサンをヘキサンで希釈することにより、COSを含有量するヘキサン(液体炭化水素油)を調製した。

0040

上記の液体炭化水素油の組成GC−SCDによって分析した。GC−SCDとは、ガスクロマトグラフ(Gas Chromatograph)の検出器として化学発光硫黄検出器(Sulfur Chemiluminescence Detector)を接続した分析装置である。GC−SCDは、以下の条件下で行った。GC−SCDによって測定された液体炭化水素油のクロマトグラムを図1に示す。液体炭化水素油中のCOSの含有量は334μg/mlであった。

0041

カラムメチルシリコン系液相(シグマアルドリッチ社製、Equity-1;OV−1相当、長さ100m×内径0.25mm×膜厚1.0μm)
注入口温度:250℃(一定)
スプリット比:100:1
キャリアーガス:水素(流量:2.0ml/min)
検出器:化学発光検出器(Agilent Technologies社製GC7890A、同社製(SCD)Agilent355)
カラム昇温パターン:40℃で5分間維持した後、5℃/minで昇温し、320℃で61分間維持

0042

[DIPA−アルカリ水溶液の調製]
蒸留水を予めアルゴンガスにて30分間バブリングして曝気し、調整水を用意した。得られた調整水を、窒素雰囲気下でDIPA及び水酸化ナトリウムと混合し、DIPAの含有量が20質量%、水酸化ナトリウムの含有量が10質量%であるDIPA−アルカリ水溶液(吸収液)を調製した。

0043

[MDEA−アルカリ水溶液の調製]
蒸留水を予めアルゴンガスにて30分間バブリングして曝気し、調整水を用意した。得られた調整水を、窒素雰囲気下でMDEA及び水酸化ナトリウムと混合し、MDEAの含有量が20質量%、水酸化ナトリウムの含有量が10質量%であるMDEA−アルカリ水溶液(吸収液)を調製した。

0044

[DIPA水溶液の調製]
蒸留水を予めアルゴンガスにて30分間バブリングして曝気し、調整水を用意した。得られた調整水を、窒素雰囲気下でDIPAと混合し、DIPAの含有量が20質量%であるDIPA水溶液(吸収液)を調製した。

0045

[MDEA水溶液の調製]
蒸留水を予めアルゴンガスにて30分間バブリングして曝気し、調整水を用意した。得られた調整水を、窒素雰囲気下でMDEAと混合し、MDEAの含有量が20質量%であるMDEA水溶液(吸収液)を調製した。

0046

[アルカリ水溶液の調製]
蒸留水を予めアルゴンガスにて30分間バブリングして曝気し、調整水を用意した。得られた調整水を、窒素雰囲気下で水酸化ナトリウムと混合し、水酸化ナトリウムの含有量が10質量%であるアルカリ水溶液(吸収液)を調製した。

0047

[実施例1]
以下の吸収実験を行った。なお、大気中の酸素及び二酸化炭素が実験結果に影響することを防止するために、窒素雰囲気下で下記の実験を行った。

0048

COSを含有する上記ヘキサン(液体炭化水素油)20g、及びDIPA−アルカリ水溶液(吸収液)20gを、50mlのスクリュー瓶に入れて、スクリュー瓶に蓋をした。このスクリュー瓶を手で振って、スクリュー瓶内の液体炭化水素油及び吸収液を10分間撹拌した。撹拌後のスクリュー瓶を約1時間静置した。スクリュー瓶内の混合液が油相及び水相に分離されていることを確認した。油相及び水相其々をスクリュー瓶から採取した。

0049

スクリュー瓶から採取された油相試料を、前処理することなく、上記と同様にGC−SCDで分析した。GC−SCDで測定された実施例1の油相試料のクロマトグラムを図2に示す。GC−SCDにより、油相試料に残留しているCOSを定量した。油相試料中のCOSの含有量を、下記表1に示す。

0050

下記式1によって算出された実施例1の除去率を、下記表1に示す。
除去率(%)={(D0−D1)/D0}×100 (1)
式1中、D0とは、吸収実験前に測定された液体炭化水素油中のCOSの含有量である。つまり、D0は、334μg/mlである。D1とは、吸収実験によって得られた油相試料中のCOSの含有量である。

0051

[実施例2]
吸収液として、DIPA−アルカリ水溶液の代わりに、上記のMDEA−アルカリ水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の吸収実験を行った。

0052

[比較例1]
吸収液として、DIPA−アルカリ水溶液の代わりに、上記のDIPA水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の吸収実験を行った。

0053

[比較例2]
吸収液として、DIPA−アルカリ水溶液の代わりに、上記のMDEA水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の吸収実験を行った。

0054

[比較例3]
吸収液として、DIPA−アルカリ水溶液の代わりに、上記のアルカリ水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の吸収実験を行った。

0055

実施例2の油相試料のクロマトグラムを図3に示す。比較例1の油相試料のクロマトグラムを図4に示す。比較例2の油相試料のクロマトグラムを図5に示す。比較例3の油相試料のクロマトグラムを図6に示す。実施例2及び比較例1〜3其々の油相試料中のCOSの含有量を、下記表1に示す。

0056

実施例2及び比較例1〜3其々の除去率を、下記表1に示す。

0057

0058

GC−SCDを用いた分析の結果、全の実施例及び比較例の油相試料中のCOSの含有量は、吸収実験前の液体炭化水素油中のCOSの含有量(334μg/ml)よりも低いことが確認された。つまり、全の実施例及び比較例の吸収実験において、COSが液体炭化水素油から除去されていることが確認された。

実施例

0059

全実施例の油相試料中のCOSの含有量は、全比較例の油相試料中のCOSの含有量よりも少ないことが確認された。全実施例の除去率は全比較例の除去率よりも高いことが確認された。つまり、実施例1及び2で用いた吸収液は、比較例1〜3の吸収液に比べて、より多量のCOSを液体炭化水素油から除去したことが確認された。

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