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技術 熱交換型反応システムおよびそれを用いた反応方法

出願人 株式会社日本触媒
発明者 嶋崎由治仙頭準
出願日 2015年4月28日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2015-092016
公開日 2016年12月8日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2016-203150
状態 特許登録済
技術分野 流体と固体粒子存在下でのプロセス及び装置 触媒 有機低分子化合物及びその製造 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード 円錐台体 熱媒槽 反応負荷 半楕円体 シェル空間 追加ガス 管軸中心 目開き寸法
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課題

管式熱交換型反応システムを用いる固定床流通反応において、反応管入口付近反応割合を制御し、当該反応帯域触媒に偏った負荷を軽減し、触媒層全体に負荷を分散することが可能な新規の反応システム、および当該反応システムを用いた反応方法を提供する。

解決手段

少なくとも2つ以上に区画された反応帯を有する管式熱交換型反応システムであって、原料ガス流路における最上流反応帯を含む少なくとも1つ以上の反応帯の反応管内部に、端部または途中から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する構造物を、反応管出口に向かって該構造物の体積が減少する向きに設置してなることを特徴とする管式熱交換型反応システム。

概要

背景

不均一系固体触媒反応原料を連続的に接触させて行う固定床流通反応において、その反応が発熱または吸熱を伴う場合には、通常、熱交換型反応器が用いられる。
特に、発熱の大きい気相酸化反応あるいは吸熱の大きい気相脱水反応を工業的に実施する際には、熱交換型反応器が用いられている。発熱の大きい気相酸化反応としては、例えば、エチレン酸化によるエチレンオキサイドの製造、プロピレンの酸化によるアクロレインおよびアクリル酸の製造、イソブチレンの酸化によるメタクロレインおよびメタクリル酸の製造、ベンゼンの酸化による無水マレイン酸の製造などが挙げられ、吸熱の大きい気相脱水反応としては、例えば、モノエタノールアミン脱水によるエチレンイミンの製造、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの脱水によるN−ビニル−2−ピロリドンの製造などが挙げられる。
工業的に用いられる管式熱交換型反応器は、固体触媒を充填する内径20〜50mm、長さ1〜20mの反応管熱媒体と接触することによって反応に係る熱の除去あるいは供給をおこなう仕組みとなっている。通常、管式熱交換型反応器の熱媒体は反応管が接触する全域で可能な限り均一温度になる様に設計されているため、反応原料濃度の高い反応管入口付近触媒への負荷が大きくなり、反応管入口から出口にかけて触媒の劣化度合いに大きな偏りが生じ、所望の反応成績を維持できなくなる時期が早まる場合がある。
例えば、発熱反応の場合は反応管入口付近の除熱が不充分となり、触媒層温度が上昇し、副反応の増加を招くばかりでなく触媒の損傷や反応の暴走を招く危険性もある。吸熱反応の場合は反応管入口付近の熱供給が不充分となり、転化率の低下を招く。

工業的に実施される接触気相反応の多くは、触媒に蓄積した炭素質を定期的に燃焼除去して触媒を再生する工程を含んでおり、その場合も炭素質の蓄積が多い反応管入口付近の燃焼熱の除去が不充分となり、触媒層温度の上昇による触媒損傷を招く場合がある。通常は、その温度上昇を回避するために低酸素濃度で徐々に炭素質を燃焼させるため、触媒再生に長時間を要する。
反応管入口付近の触媒層で起こる問題の解決策として、反応に不活性物質混合希釈した触媒あるいは触媒活性を抑えた触媒を反応管入口付近に充填して反応管入口付近の反応割合を抑制する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、これらの方法は触媒や不活性物質を均一に充填することが極めて煩雑であり多大な労力と時間を要し、更に、触媒層の圧力損失が増大し、それは反応ガス供給動力の増加を招くという問題がある。
特許文献3および特許文献4には、反応管の全長温度特性を制御するために反応管入口から出口に向けて反応管内径を段階的に減少して反応管入口付近での反応割合を最適にする方法が開示されているが、反応管の制作費用が高額となるとともに異径反応管接続部分の機械的強度および熱歪に対する耐久性に課題が残る。

特許文献5には上流側から下流側に向けて反応管径を漸増した反応器、少なくとも2個の区画されたゾーンに設置した反応管の径を上流側ゾーンは小さく、下流側は大きくした反応器および少なくとも2個の区画されたゾーンに設置した反応管の本数を上流側ゾーンは少なく、下流側は多くした反応器が開示されている。この方法は反応管の制作費用が高額となるとともに異径反応管接続部分の機械的強度および熱歪に対する耐久性に課題が残る。
異常高温部ホットスポット)の発生を避ける方法として、特許文献6には反応管の軸中心部に金属棒を設置して局部的異常高温部の発生を防ぐ方法が開示されている。この方法は、従来、反応管の半径方向に生じていた温度傾斜が小さくなり、管軸中心部の温度上昇を抑制できるという効果を有する。しかし、金属棒の先端付近以降から触媒層断面積が増大することになるので、当該先端付近で第二の局部的異常高温部の発生が容易に予想される。

また、特許文献7には反応管内部に中空管を設置し原料ガスの一部を触媒から隔離する方法が開示されている。この方法は、中空管に原料ガスを流して原料ガスの高温部への接触を防止することによって局部的異常高温部の発生を防ぐという効果を有する。しかし、特許文献7の方法では反応管内部が反応割合の異なる領域に二分されることになり、触媒負荷に大きな偏りをもたらす。例えば特許文献7の実施例では、2つの温度ピークが確認されている。
特許文献8、9、10にはシェルアンドチューブ型熱交換式反応器を用いる気相部分酸化反応において、反応領域を遮蔽板で二つ以上の空間に区画し、区画された各シェル空間伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定する反応器の熱制御方法が開示されている。
特許文献11にはプロペンを2つの連続した反応領域A、B中に収納されている固定床触媒バルク上で酸化し、その際、反応領域Aの内部の反応ガス混合物最高温度が反応領域Bの内部の反応ガス混合物の温度を上回る、プロペンからアクロレインへの気相酸化法が開示されている。
上記、特許文献8〜11の方法は区画された熱媒槽の温度を独立して制御することによる反応熱制御方法に関する技術であり、ホットスポット発生の抑制策として反応に不活性な物質と混合希釈した触媒あるいは触媒活性を抑えた触媒を反応管入口付近に充填して反応管入口付近の反応割合を抑制する方法を併用したものである。したがって、これらの方法は触媒や不活性物質を均一に充填することが極めて煩雑であり多大な労力と時間を要し、更に、触媒層の圧力損失が増大し、それは反応ガス供給動力の増加を招くという問題がある。

概要

管式熱交換型反応システムを用いる固定床流通反応において、反応管入口付近の反応割合を制御し、当該反応帯域の触媒に偏った負荷を軽減し、触媒層全体に負荷を分散することが可能な新規の反応システム、および当該反応システムを用いた反応方法を提供する。少なくとも2つ以上に区画された反応帯を有する管式熱交換型反応システムであって、原料ガス流路における最上流反応帯を含む少なくとも1つ以上の反応帯の反応管内部に、端部または途中から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する構造物を、反応管出口に向かって該構造物の体積が減少する向きに設置してなることを特徴とする管式熱交換型反応システム。なし

目的

本発明の目的は、反応管入口付近の触媒層で起こる上記の問題を解決することにある

効果

実績

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請求項1

少なくとも2つ以上に区画された反応帯を有する管式熱交換型反応システムであって、原料ガス流路における最上流反応帯を含む少なくとも1つ以上の反応帯の反応管内部に、端部または途中から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する構造物を、反応管出口に向かって該構造物の体積が減少する向きに設置してなることを特徴とする管式熱交換型反応システム。

請求項2

それぞれの反応帯の連結部から原料ガスの一部または原料ガス構成物の一部を追加供給する機構を備えた請求項1に記載の管式熱交換型反応システム。

請求項3

該構造物が、流体が通過可能な開孔部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の管式熱交換型反応システム。

請求項4

該構造物の開孔部開孔率が、体積の大きい方の端部から体積の小さい方の他方の端部に向けて、減少することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。

請求項5

該構造物を反応管内部に設置したときに、反応管入口側の端部面積が該反応管断面積の10%以上、100%以下であり、反応管出口側の他方の端部面積が該反応管断面積の0%以上、50%以下であり、高さが該反応管全長の10%以上、90%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。

請求項6

該構造物が、錐体錐台体、半楕円体または半紡錘体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。

請求項7

該構造物が、管径の異なる複数の円管を、外周部から中心部に向けて、管径が段階的に減少する順序で同心円状に配置してなる形状を有し、段階間境界部に開孔部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。

請求項8

請求項1〜7のいずれかに記載の管式熱交換型反応システムにおける反応帯の反応管内部に触媒充填して用いることを特徴とする接触気相反応方法。

技術分野

0001

本発明は、熱交換型反応システムおよび当該反応システムを用いた反応方法に関する。詳しくは、接触気相反応用熱交換型反応システムを用いて行う発熱または吸熱を伴う接触反応において、反応管入口付近での反応割合を抑制し、反応管入口付近の触媒への負荷偏りを抑制し、局所高温部または局所的低温部の発生を防ぐことのできる反応システムおよび当該反応システムを用いた反応方法に関する。

背景技術

0002

不均一系固体触媒反応原料を連続的に接触させて行う固定床流通反応において、その反応が発熱または吸熱を伴う場合には、通常、熱交換型反応器が用いられる。
特に、発熱の大きい気相酸化反応あるいは吸熱の大きい気相脱水反応を工業的に実施する際には、熱交換型反応器が用いられている。発熱の大きい気相酸化反応としては、例えば、エチレン酸化によるエチレンオキサイドの製造、プロピレンの酸化によるアクロレインおよびアクリル酸の製造、イソブチレンの酸化によるメタクロレインおよびメタクリル酸の製造、ベンゼンの酸化による無水マレイン酸の製造などが挙げられ、吸熱の大きい気相脱水反応としては、例えば、モノエタノールアミン脱水によるエチレンイミンの製造、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの脱水によるN−ビニル−2−ピロリドンの製造などが挙げられる。
工業的に用いられる管式熱交換型反応器は、固体触媒を充填する内径20〜50mm、長さ1〜20mの反応管熱媒体と接触することによって反応に係る熱の除去あるいは供給をおこなう仕組みとなっている。通常、管式熱交換型反応器の熱媒体は反応管が接触する全域で可能な限り均一温度になる様に設計されているため、反応原料濃度の高い反応管入口付近の触媒への負荷が大きくなり、反応管入口から出口にかけて触媒の劣化度合いに大きな偏りが生じ、所望の反応成績を維持できなくなる時期が早まる場合がある。
例えば、発熱反応の場合は反応管入口付近の除熱が不充分となり、触媒層温度が上昇し、副反応の増加を招くばかりでなく触媒の損傷や反応の暴走を招く危険性もある。吸熱反応の場合は反応管入口付近の熱供給が不充分となり、転化率の低下を招く。

0003

工業的に実施される接触気相反応の多くは、触媒に蓄積した炭素質を定期的に燃焼除去して触媒を再生する工程を含んでおり、その場合も炭素質の蓄積が多い反応管入口付近の燃焼熱の除去が不充分となり、触媒層温度の上昇による触媒損傷を招く場合がある。通常は、その温度上昇を回避するために低酸素濃度で徐々に炭素質を燃焼させるため、触媒再生に長時間を要する。
反応管入口付近の触媒層で起こる問題の解決策として、反応に不活性物質混合希釈した触媒あるいは触媒活性を抑えた触媒を反応管入口付近に充填して反応管入口付近の反応割合を抑制する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、これらの方法は触媒や不活性物質を均一に充填することが極めて煩雑であり多大な労力と時間を要し、更に、触媒層の圧力損失が増大し、それは反応ガス供給動力の増加を招くという問題がある。
特許文献3および特許文献4には、反応管の全長温度特性を制御するために反応管入口から出口に向けて反応管内径を段階的に減少して反応管入口付近での反応割合を最適にする方法が開示されているが、反応管の制作費用が高額となるとともに異径反応管接続部分の機械的強度および熱歪に対する耐久性に課題が残る。

0004

特許文献5には上流側から下流側に向けて反応管径を漸増した反応器、少なくとも2個の区画されたゾーンに設置した反応管の径を上流側ゾーンは小さく、下流側は大きくした反応器および少なくとも2個の区画されたゾーンに設置した反応管の本数を上流側ゾーンは少なく、下流側は多くした反応器が開示されている。この方法は反応管の制作費用が高額となるとともに異径反応管接続部分の機械的強度および熱歪に対する耐久性に課題が残る。
異常高温部(ホットスポット)の発生を避ける方法として、特許文献6には反応管の軸中心部に金属棒を設置して局部的異常高温部の発生を防ぐ方法が開示されている。この方法は、従来、反応管の半径方向に生じていた温度傾斜が小さくなり、管軸中心部の温度上昇を抑制できるという効果を有する。しかし、金属棒の先端付近以降から触媒層断面積が増大することになるので、当該先端付近で第二の局部的異常高温部の発生が容易に予想される。

0005

また、特許文献7には反応管内部に中空管を設置し原料ガスの一部を触媒から隔離する方法が開示されている。この方法は、中空管に原料ガスを流して原料ガスの高温部への接触を防止することによって局部的異常高温部の発生を防ぐという効果を有する。しかし、特許文献7の方法では反応管内部が反応割合の異なる領域に二分されることになり、触媒負荷に大きな偏りをもたらす。例えば特許文献7の実施例では、2つの温度ピークが確認されている。
特許文献8、9、10にはシェルアンドチューブ型熱交換式反応器を用いる気相部分酸化反応において、反応領域を遮蔽板で二つ以上の空間に区画し、区画された各シェル空間伝熱媒体の温度を反応物の進行方向に沿って高くなるように設定する反応器の熱制御方法が開示されている。
特許文献11にはプロペンを2つの連続した反応領域A、B中に収納されている固定床触媒バルク上で酸化し、その際、反応領域Aの内部の反応ガス混合物最高温度が反応領域Bの内部の反応ガス混合物の温度を上回る、プロペンからアクロレインへの気相酸化法が開示されている。
上記、特許文献8〜11の方法は区画された熱媒槽の温度を独立して制御することによる反応熱制御方法に関する技術であり、ホットスポット発生の抑制策として反応に不活性な物質と混合希釈した触媒あるいは触媒活性を抑えた触媒を反応管入口付近に充填して反応管入口付近の反応割合を抑制する方法を併用したものである。したがって、これらの方法は触媒や不活性物質を均一に充填することが極めて煩雑であり多大な労力と時間を要し、更に、触媒層の圧力損失が増大し、それは反応ガス供給動力の増加を招くという問題がある。

先行技術

0006

特公昭53−30688号公報
特公昭63−38331号公報
国際公開第04/056463号
特開2013−107873号公報
特表2005−518265号公報
特開平11−80052号公報
国際公開第09/057463号
特表2007−523054号公報
特表2007−533605号公報
特表2009−500400号公報
特表2006−521317号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の目的は、反応管入口付近の触媒層で起こる上記の問題を解決することにある。即ち、本発明は管式熱交換型反応器を用いる固定床流通反応において、反応管入口付近の反応割合を制御し、当該反応帯域の触媒に偏った負荷を軽減し、触媒層全体に負荷を分散することが可能な新規な反応システム、および当該反応システムを用いた反応方法を提供する。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、管式熱交換型反応器を用いる固定床流通反応における上記問題の本質原因は、反応原料濃度の高い反応帯域である反応管入口付近での反応割合が必然的に大きくなることにあり、それは少なくとも2つ以上に区画された反応帯を有する管式熱交換型反応システムにおいて、反応ガス流路の最も上流側の反応帯の反応管内部に反応管入口部から出口部に向けて触媒量が漸増する様な体積勾配を付与することで反応割合を効率よく分散させ得ることを見出し、本発明を完成した。更に、原料ガス等の反応に関与する物質を上流側反応帯と下流側反応帯に分割して供給することで反応割合をより効率よく分散させ得ることを見出し、本発明を完成した。

0009

以下、本発明を示す。
(1)少なくとも2つ以上に区画された反応帯を有する管式熱交換型反応システムであって、原料ガス流路における最上流反応帯を含む少なくとも1つ以上の反応帯の反応管内部に、端部または途中から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する構造物を、反応管出口に向かって該構造物の体積が減少する向きに設置してなることを特徴とする管式熱交換型反応システム。
(2)それぞれの反応帯の連結部から原料ガスの一部または原料ガス構成物の一部を追加供給する機構を備えた上記(1)に記載の管式熱交換型反応システム。
(3)該構造物が、流体が通過可能な開孔部を有することを特徴とする上記(1)または(2)のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。
(4)該構造物の開孔部開孔率が、体積の大きい方の端部から体積の小さい方の他方の端部に向けて、減少することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。
(5)該構造物を反応管内部に設置したときに、反応管入口側の端部面積が該反応管断面積の10%以上、100%以下であり、反応管出口側の他方の端部面積が該反応管断面積の0%以上、50%以下であり、高さが該反応管全長の10%以上、90%以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。
(6)該構造物が、錐体錐台体、半楕円体または半紡錘体であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。
(7)該構造物が、管径の異なる複数の円管を、外周部から中心部に向けて、管径が段階的に減少する順序で同心円状に配置してなる形状を有し、段階間境界部に開孔部を有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の管式熱交換型反応システム。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の管式熱交換型反応システムにおける反応器の反応管内部に触媒を充填して用いることを特徴とする接触気相反応方法。

発明の効果

0010

本発明を用いることで、従来の管式反応器に必然であった反応管入口付近の触媒への負荷の偏りに起因する諸問題が解消される。具体的には、本発明は、除熱または熱供給の能力を向上させ、局所的触媒劣化を抑制し、選択率または転化率を向上させ、触媒交換の作業性を向上させ、触媒層の圧力損失を低減させる等の効果を示す。

図面の簡単な説明

0011

本発明の反応システムに触媒を充填した一態様を表す断面図である。
図2A)本発明の反応システムに用いる反応管内構造物の一態様である円錐体型構造物の断面図である。(図2B)本発明の反応システムに用いる反応管内構造物の一態様である円管を、外周部から中心部に向けて、管径が段階的に減少する順序で同心円状に配置した形状を有する多重管型構造物の断面図である。(図2C)本発明の反応システムに用いる反応管内構造物の一態様である多重管型構造物の図2Bとは異なる態様を表す断面図である。
本発明の反応システムの一態様を表す図である。

0012

以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、少なくとも2つ以上に区画された反応帯を有する管式熱交換型反応システムにおいて、反応ガス流路の最も上流側の反応帯の反応管内部に、端部または途中から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する構造物を、反応管出口に向かって該構造物の体積が減少する向きに設置した管式熱交換型反応システムである。

0013

ここで反応帯とは、反応器内の反応管内で反応が起こる連続した帯域のことであり、該構造物を含む触媒充填帯域および/または触媒充填帯域を指す。

0014

当該管式熱交換型反応システムとしては、2つ以上に区画された反応帯を有するものであればよく、反応帯がそれぞれ異なる反応器に含まれるものであってもよいし、1つの反応器内に2つ以上の区画された反応帯を有するものであってもよい。具体的には、例えば、前者の場合、2基の管式熱交換型反応器をパイプ等で連結した態様が挙げられる。また、後者の場合、1つの管式熱交換型反応器の内部が2つ以上に区画された反応帯で構成されてあり、反応帯と反応帯の間には空間部を有する態様等が挙げられる。

0015

当該反応システムの温度制御機構としては、2つ以上に区画された反応帯を一括して温度制御する機構でもよく、また、2つ以上に区画された反応帯をそれぞれ独立して温度制御する機構でもよいが、後述する観点から、後者の方が好ましい。2つ以上に区画された反応帯を独立して温度制御する機構を備えることで、例えば、原料濃度が高い反応性に富んだ前半部(上流側)と、原料濃度の低い反応性の鈍い後半部(下流側)において、それぞれ別々の反応帯で別々の反応温度コントロールし、後に説明する反応器の反応管内に充填する構造物と併用することで、反応割合を効率よく分散させて、局所的な異常高温部あるいは異常低温部の発生をより抑制することが可能となる。

0016

更に、当該反応システムとしては、反応帯と反応帯の間もしくは連結部から原料ガスの一部または原料ガス構成物の一部を追加供給する機構を備えることが好ましい。追加供給する機構を備えることで、例えば、必要以上の酸素を反応性に富んだ前半部へ供給せず、追加供給させることで入口部の発熱を抑えることができ、また、希釈ガスを追加導入することで後半部入口部の発熱をより抑制することが可能となる。
本発明に係る反応システムの反応帯温度は、各反応帯で同じであっても異なっていても良く、また、各反応帯の反応管径および長さも各反応帯で同じであっても異なっていても良い。同様に、該反応帯の反応管内部に充填する触媒の量および種類も、各反応帯で同じであっても異なっていても良い。

0017

本発明の反応システムに係る反応管内部に設置する構造物は、原料流体が導入される反応管の入口側の端部または途中から他方の端部に向けて体積が減少する形状を有し、該構造物を反応管に反応管入口側から出口側に向けて該構造物体積漸減するように設置することにより、反応管入口部近傍から出口部に向けて反応管容積に漸増する容積勾配を付与し、反応管に充填される触媒量を反応管入口部近傍から出口部に向けて漸増させることができる。更には該構造物が反応原料の流体が通過可能な構造、例えば孔または網目等、を有することで、該構造物の周囲に存在する触媒への流体の分散供給を効果的に行なうことができる。

0018

当該構造物は、底面部といえる部分を有する。かかる底面部は、該構造物の高さ方向に直交する方向で最も大きな断面積を有する端部である。例えば該構造物が底面部に加えてさらに上面部を有する場合には、底面部は上面部よりも大きな面積を有する。当該構造物を、当該底面部が反応管の触媒層における原料流体入口側近傍に存在するよう反応管内に設置した場合、当該底面部の面積に応じて反応管触媒層の原料流体入口側近傍における触媒量を減らすことが可能になる。かかる底面部は完全な面である必要はなく、凹凸を有していたり、或いは触媒が内部に侵入しない範囲で孔を有していたり網目状になっていてもよい。さらに、当該底面部が反応管内の目皿に接しているなどして構造物内への触媒の侵入が防止されているような場合には、構造物の底面部には何も存在しない状態であってもよい。

0019

また、当該構造物は、端部または途中から他方の端部に向けて連続的または段階的に体積が減少する形状を有する。

0020

上記の「端部」は、上記底面部に相当し、構造物の高さ方向に直交する方向の断面積が最も大きな端部をいう。なお、ここでの「構造物の高さ方向」とは、構造物のある端部からその反対側の端部が最も長い方向をいうものとする。

0021

上記の「途中」とは、上記底面部と他方の端部との間をいうものとする。他方の端部は、上記底面部の反対側の端部であり、例えば、構造物が上面部を有する場合は上面部をいい、構造物が錐体である場合は頂点をいう。かかる「途中」の構造物の高さ方向における底面部からの位置としては、構造物の高さ方向において底面部の位置を0%、他方の端部の位置を100%とした場合に、70%以下、60%以下または50%以下が好ましく、40%以下、30%以下または20%以下がより好ましく、15%以下または10%以下が特に好ましい。
本発明において「連続的に体積が減少する形状」とは、構造物の高さ方向に直交する方向の断面積が、構造物の底面部からの距離が大きいほど小さくなる形状をいう。また、「段階的に体積が減少する形状」とは、構造物の底面部面積に比べて他方の端部における面積が小さく、且つ、構造物の高さ方向に直交する方向の断面積が、底面部からの距離が異なる位置において同一である箇所が1以上存在するが、底面部からの距離がより大きな位置における当該断面積がより小さな位置に比べて大きいことはない形状をいう。即ち、上記の「体積」は、構造物の高さ方向に直交する方向の断面積に相当する。

0022

本発明に係る反応帯の反応管内部に設置する構造物は、反応管に設置したときに、原料流体が導入される側の端部または途中から他方の端部に向けて体積が減少する形状を有しておればどの様な外形でも良く、その体積変化は連続的あるいは段階的でも良い。製作の容易な錐体状、錐台体状、半楕円体または半紡錘体状が好ましく、特に円錐体、円錐台体等が好ましい。このような形状であれば、当該反応管に固体触媒を充填することで、反応管入口側から出口側に向けて触媒量が連続的または段階的に漸増した触媒充填の状態にすることができるため、反応原料濃度が高く反応割合の多い反応管入口付近での反応を穏和に進行させることが可能となる。

0023

本発明において「錐体」とは、平面上の多角形または円のような閉曲線のすべての点と、平面外の一点とを結んでできた立体をいう。「錐台体」とは、錐体から、頂点を共有相似縮小した錐体を取り除いた立体図形をいう。「円錐体」および「円錐台体」は、それぞれ底面形状が円である「錐体」と「錐台体」をいう。「楕円体」とは、x2/a2+y2/b2+z2/c2=1[式中、a、b、cは、それぞれx軸、y軸、z軸方向の径の半分の長さに相当する]の方程式で表され、楕円面で囲まれた立体をいい、本発明において「半楕円体」とは、x軸、y軸、z軸方向のうち最も長い方向に直交する方向で且つ中心を含む断面で楕円体を切断した形状をいう。「紡錘体」とは、円柱状で中心部が最も太く且つ両端が段々と細くなった形であり、楕円体に類似した形状であるが上記方程式で表されない形状をいう。本発明において「半紡錘体」とは、x軸、y軸、z軸方向のうち最も長い方向に直交する方向で且つ中心を含む断面で紡錘体を切断した形状をいう。

0024

なお、底面部から他方の端部に向けて断面積が段階的に減少する場合や、底面部と他方の端部の途中から断面積が減少する場合には、厳密には上記の錐体などとはいえない。しかし本発明では、これらの場合であっても、大まかなシルエットが錐体などに該当する場合には、その形状は錐体などに当てはまるものとする。

0025

図1に、本発明の反応システムにおける反応帯の反応管に触媒を充填した状態の断面図を示す。図2Aに、円錐体型の構造物の断面図を示す。また、管径の異なる複数の円管を、外周部から中心部に向けて、管径が段階的に減少する順序で同心円状に配置してなる形状を有する構造物の断面図を図2Bおよび図2Cに示す。これらの例のように、本発明の反応帯の反応管内部に設置する構造物は、底面部を有し、底面部から他方の端部に向けて、または底面部と他方の端部との間から他方の端部に向けて、高さ方向の直交方向の断面積が連続的または段階的に減少する形状を有する。なお、本発明は、図面に示した実施態様に限定されるものではない。図3は本発明の反応システムの工業用反応器の一態様を表す断面図である。

0026

本発明に係る構造物の材質は、反応温度において耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、金属やセラミックスを用いることができる。

0027

該構造物の大きさは、使用する反応管の大きさや反応の種類などに応じて適宜決定すればよい。一般的には、例えば、底面部の円相当直径が5mm以上、40mm以下程度、高さを20mm以上、10m以下程度とすることができる。
より具体的には、構造物の大きさは、構造物を設置すべき反応管中の触媒層に応じて適宜決定すればよい。例えば、反応管の内部断面積、即ち触媒層の断面積に対する構造物の最大断面積、即ち構造物の底面部の面積の割合としては、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。当該割合が10%以上であれば、反応管の入口部、即ち触媒層の原料流体導入側における触媒への負荷をより確実に軽減することができる。また、当該割合としては、100%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。後述するように構造物の底面部に開孔部を設ければ、当該割合が100%であっても、触媒層へ原料流体を導入することができる。

0028

反応管の内部断面積、即ち触媒層の断面積に対する構造物の最小断面積、即ち構造物の底面部の反対側端部の断面積の割合としては、0%以上、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。当該割合が0%の場合は、構造物の底面部の反対側端部の断面積がゼロであり、構造物の形状は錐体などである。また、当該割合が50%以下であれば、反応効率の低下をより確実に抑制することができる。

0029

該構造物の高さとしては、反応管中の触媒層長さに対して10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。当該割合が10%以上であれば、反応管の入口部、即ち触媒層の原料流体導入側における触媒への負荷をより確実に軽減することができる。一方、当該割合としては、90%以下が好ましく、75%以下がより好ましい。当該割合が90%以下であれば、反応効率の低下をより確実に抑制できる。

0030

また、当該構造物は、その内部から外表面方向に原料流体が通過可能な開孔部を有することが好ましい。開孔部を有した構造にすることにより、原料流体が通過し得るとした場合は、原料流体は分散して当該構造物周囲の触媒と接触するため、更に反応割合の偏りを抑制できる。この場合、当該構造物は触媒層の空隙率を向上させる効果を有し、触媒層の圧力損失を低減することができる。

0031

当該構造物における開孔部の形状は特に制限されず、原料流体が構造物の外部から内部へ流入し、再び外部へ流出するものであれば特に制限されない。例えば、直径50μm以上、2mm以下程度の孔であってもよいし、構造物を目開き寸法が20μm以上、2mm以下の網目状構造で構成してもよい。上記径としては、100μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましく、また、1.5mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましい。また、上記目開き寸法としては、35μm以上がより好ましく、70μm以上または150μm以上がさらに好ましく、また、900μm以下または500μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。

0032

当該構造物の開孔率は特に限定されるものではないが、構造物表面積の20〜85%であれば良く、特に、30〜85%にすることで圧力損失を低減するという点で好ましい。開孔径は前記開孔率となるように適宜選択すれば良い。
上記開孔率は、構造物の体積の大きい方の端部から体積の小さい方の他方の端部に向けて、即ち底面部から他方の端部に向けて、減少するようにすることが好ましい。かかる態様により、反応管中の触媒層に対する原料流体の分散度合いをより一層均一化することが可能になる。

0033

尚、開孔部は反応管入り口側の端部、即ち底面部から他方の端部に向けて開孔率が減少していても良く、それによって原料流体の通過量を反応管入口部から出口部に向けて制御することが可能となる。その結果、反応管中の触媒層に対する原料流体の分散度合いをより一層均一化することができる。例えば、構造物の高さ方向において底面部の位置を0%、他方の端部の位置を100%とした場合、0%以上、35%以下の範囲で表面積に対する開孔率を40%以上、70%以下;35%超、70%以下の範囲で表面積に対する開孔率を30%以上、40%以下;70%超、100%以下の範囲で表面積に対する開孔率を10%以上、30%以下とすることができる。本発明において「開孔率」とは、本発明に係る構造物の側面部や底面部またはその一部に占める開孔の面積のパーセンテージをいうものとする。

0034

当該構造物の内部から外表面方向に原料流体が通過可能な開孔部を有する構造とした場合、例えば反応管の入口と出口の間で圧力損失が大きいと、構造物の内部空間を通過する原料流体の量が必要以上に多くなるおそれがあり得る。その場合には、構造物内部に不活性固体(例えば、金属球セラミックボールなど)を充填することで通気抵抗を生じさせ、原料流体の構造物内部空間の通過量を調節することが可能である。

0035

端部または途中から他方の端部に向けて段階的に体積が減少する形状を有する構造物は、管径の異なる複数の円管を、外周部から中心部に向けて、管径が段階的に減少する順序で同心円状に配置してなる形状を有するものとすることができる。
かかる形状は、例えば、図2Bおよび図2Cに示すことができる。但し、これらの図は形状を説明するための模式図であって、上記の構造物の製造方法を示すものではない。
上記の構図物を構成する各段階の管の径は、反応管径、触媒サイズ、触媒活性、反応条件などにより適宜決定することができる。また、各段階の管長は、反応管の触媒層長、触媒活性、反応条件などにより適宜調整すればよい。各段階の管長は、同一であっても異なっていてもよく、例えば、管径が段階的に減少するにしたがって管長を段階的に減少させても増加させてもよい。管径が段階的に減少するにしたがって、管長も段階的に減少する外観形状がより好ましい。

0036

上記の構造物の段階数は、通常、2以上、10以下であり、好ましくは3以上、5以下である。
上記の構造物は、少なくとも段階間の境界部に開孔部を有するものであることが好ましい。当該境界部は、隣接する段階の間の、底面部と平行または略平行である部位をいう。当該部分に開孔部を設けることによって、原料流体の通過量をより精密に制御することが可能になる。

0037

段階間の境界部に開孔部を設ける場合には、例えば、径の異なる複数の円管を、中心軸を同じくし、大径管の内部に小径管を挿入して同心円状に配置することによっても製作できる。この場合、外周部から中心部に向けて径が段階的に減少し、且つ内側に設置した円管の外壁と、隣接して外側に配置した円管の内壁との間に空隙ができ、開孔部を有する構造となる。かかる円管を構成する管の壁厚は、通常、0.05mm以上、0.3mm以下とすることができる。
原料流体が通過可能な開孔部を有さない閉じた構造の構造物においては、その底面側に原料流体を分散させる機能を持つ凸部を設けても良い。例えば、底面部全体を半球状や半楕円状にすることもできる。

0038

本発明の反応システムへの原料ガス(反応原料と空気、酸素、窒素水蒸気等の希釈ガスの混合ガス)の供給は、原料ガス流路における最上流反応器に一括して供給しても良いが、原料ガスの一部または原料ガス構成物の一部を、それぞれの反応帯の間あるいは連結部から追加供給しても良い。ここで原料ガス構成物とは、原料ガスを構成する各成分のことをいう。
本発明に係る各反応帯が備える反応管の数としては特に制限されず、1以上であればよいが、目的化合物を工業的に製造する場合には、通常、反応管を1000本以上、30000本以下備える。
本発明に係る反応システムへの触媒の充填は、通常の方法、すなわち、反応管上部から触媒を注ぐ方法で行う。それぞれの反応管に所定量の触媒を上部から注ぐのみで良く、充填速度および触媒層高が同等であれば圧損も同等となるため圧損調製用の材料を追加充填して圧損を微調整する様な作業は不要である。

0039

本発明は、触媒を充填した上記反応システムを用いる反応方法でもある。
より具体的には、本発明に係る反応方法は、本発明に係る反応システムの反応帯の反応管内に、上記構造物の体積の大きい方の端部側、即ち底面部側から原料ガスを流通させる。この場合、上記構造物により、局所的異常高温部や局所的異常低温部が発生しがちである反応管の触媒層における入口側付近において原料流体と触媒との接触を低減し、原料流体の流通方向に沿って当該接触機会が徐々に増えていく。その結果、反応管入口部付近での局所的異常高温部や局所的異常低温部の発生が抑制され、触媒寿命が延びると共に、反応効率も低下しない。

0040

本発明の反応システムを用いる反応としては、特に限定されず、発熱または吸熱を伴う反応を挙げることができる。好適には、気相酸化反応または気相還元反応であり、例えば、ベンゼンの酸化による無水マレイン酸の製造、エチレンの酸化によるエチレンオキシドの製造、プロピレンの酸化によるアクロレインおよびアクリル酸の製造、アクロレインの酸化によるアクリル酸の製造、イソブチレンの酸化によるメタクロレインおよびメタクリル酸の製造、メタクロレインの酸化によるメタクリル酸の製造等の発熱の大きい気相酸化反応、あるいはモノエタノールアミンの脱水によるエチレンイミンの製造またはN−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの脱水によるN−ビニル−2−ピロリドンの製造等の吸熱の大きい気相脱水反応を挙げることができる。

0041

本発明の反応システムに充填される触媒については特に制限は無く、前記した反応において従来より用いられている公知の触媒を用いれば良い。また触媒の形状についても特に制限はなく、球状、円柱状またはリング状の触媒が用いられる。

0042

本発明の反応システムを用いる接触気相反応は従来と同様の条件で行うことができる。例えば、プロピレンの酸化反応であれば、プロピレン1〜12容量%、分子状酸素2〜20容量%、水蒸気0〜50容量%、残りは窒素、二酸化炭素などの不活性ガスおよびプロパンなどからなる混合ガスを熱媒体温度280〜450℃、空間速度(GHSV)300〜5000h−1、反応圧力0.1〜1.0MPaで触媒層を通過させることによって行う。
アクロレインの酸化反応であれば、アクロレイン1〜12容量%、分子状酸素2〜20容量%、水蒸気0〜25容量%、残りは窒素、二酸化炭素などの不活性ガスからなる混合ガスを熱媒体温度200〜400℃、空間速度(GHSV)300〜5000h−1、反応圧力0.1〜1.0MPaで触媒層を通過させることによって行う。
ベンゼンの酸化反応であれば、ベンゼン1〜2容量%、分子状酸素10〜30容量%、水蒸気0〜6容量%、残りは窒素、二酸化炭素などの不活性ガスからなる混合ガスを熱媒体温度340〜380℃、空間速度(GHSV)1900〜4000h−1、反応圧力0.1〜1.0MPaで触媒層を通過させることによって行う。
吸熱反応の例としてモノエタノールアミンの分子脱水反応であれば、モノエタノールアミン100%のガスを、熱媒体温度は300〜450℃、空間速度(GHSV)は10〜300h−1、反応圧力は5〜30kPaで触媒層を通過させることによって行う。

0043

反応開始操作は、従来であれば反応器入口部分の局所的温度上昇あるいは局所的温度下降を抑制するために長時間をかけて徐々に反応原料ガス濃度を高めて行く方法が一般的であるが、本発明の構造物が設置された反応管を用いる反応においては従来よりも大幅に短時間で所定の原料濃度に到達できる。

0044

以下に本発明を実施例および比較例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、本発明における転化率、選択率、単流収率および空間速度は以下の定義に従う。
転化率(モル%)=(反応した反応原料のモル数)/(供給した反応原料のモル数)×100
選択率(モル%)=(生成した目的物のモル数)/(反応した反応原料のモル数)×100
単流収率(モル%)=(生成した目的物のモル数)/(供給した反応原料のモル数)×100
空間速度(NL/L・hr)=反応原料の毎時供給量(NL/hr:標準状態換算)/充填触媒量(L)

0045

(実施例1)
(反応器)
第1反応器として、ガス供給および排出用側管を備えた、内径25mmのステンレス製U字管内部に、(1)外径10mm、内径9.4mm、長さ60mm、(2)外径8mm、内径7.4mm、長さ90mm、(3)外径6mm、内径5.4mm、長さ110mmの各サイズのステンレス管を外周部から中心部に向けて、管径が段階的に減少し管長が段階的に増大する順序で同心円状に配置してなる構造物を設置した反応管を用いた。該構造物の中心部には、反応時に温度を計測する熱電対保護管(内径2mm、外径3mm、長さ320mm)を通した。該構造物は、触媒支持用目皿を有する熱電対設置管の目皿部に底面が接する位置に固定することによって反応管内部に設置した。第2反応器には、該構造物を設置していない他は第1反応器と同じ構造の反応管を用いた。第1反応器の出口部側管と第2反応器の入口部側管を連結し、その部分に原料ガス追加供給部を設けた。図1に触媒を充填した本反応器の断面図を示した。

0046

(プロピレンの酸化)
上記の第1反応器反応管に、プロピレン酸化用触媒としてモリブデンビスマスを主成分とする外径6mmの球型触媒50mlを充填した後、該反応管を330℃の溶融塩浴に浸した。次いで、第2反応器反応管に、前述の触媒50mlを充填した後、該反応管を320℃の溶融塩浴に浸し、両反応管を接続した。
第1反応器ガス供給側管から、プロピレン2容量%、空気58容量%、水蒸気40容量%からなる混合ガスを135NL/hの速度で供給することによってプロピレンの酸化を行った。第1反応器の触媒層最高温度は354℃であり、第2反応器の触媒層最高温度は330℃であり、第1反応器触媒層の温度はグラフAに示す分布状態となった。また、原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は96.2%、アクロレインの選択率は84.5%、アクリル酸の選択率は9.3%、アクロレインとアクリル酸の合計選択率は93.8%であった。

0047

(グラフA)

0048

(比較例1)
実施例1の第1反応器反応管内に構造物を設置していない反応器を用い、第1反応器を浸す溶融塩浴温度を320℃とした他は実施例2と全く同じ条件でプロピレンの酸化を行った。
第1反応器の触媒層最高温度は368℃であり、第2反応器の触媒層最高温度は328℃であり、第1反応器触媒層の温度はグラフAに示す分布状態となった。また、原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は95.9%、アクロレインの選択率は84.4%、アクリル酸の選択率は9.3%、アクロレインとアクリル酸の合計選択率は93.7%であった。

0049

(実施例2)
(反応器)
実施例1の第1反応器反応管内構造物を、(1)外径10mm、内径9.4mm、長さ50mm、(2)外径8mm、内径7.4mm、長さ70mm、(3)外径6mm、内径5.4mm、長さ80mmの各サイズのステンレス製パイプを外周部から中心部に向けて、管径が段階的に減少し管長が段階的に増大する順序で同心円状に配置した形状に変えた他は実施例1と同じ反応器を用いた。

0050

(プロピレンの酸化)
上記の第1反応器反応管に実施例1と同じ触媒を40ml充填した後、該反応管を330℃の溶融塩浴に浸した。次いで、第2反応器反応管に、前述の触媒60mlを充填した後、該反応管を320℃の溶融塩浴に浸し、両反応管を接続した。
第1反応器ガス供給側管から、プロピレン2容量%、空気58容量%、水蒸気40容量%からなる混合ガスを135NL/hの速度で供給することによってプロピレンの酸化を行った。第1反応器の触媒層最高温度は358℃であり、第2反応器の触媒層最高温度は332℃であった。また、原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は96.5%、アクロレインの選択率は84.9%、アクリル酸の選択率は9.3%、アクロレインとアクリル酸の合計選択率は94.2%であった。

0051

(実施例3)
(プロピレンの酸化)
実施例2の第1反応器反応管に実施例1と同じ触媒を40ml充填した後、該反応管を330℃の溶融塩浴に浸した。次いで、第2反応器反応管に、前述の触媒60mlを充填した後、該反応管を320℃の溶融塩浴に浸し、両反応管を接続した。
第1反応器ガス供給側管から、プロピレン2.82容量%、空気40.84容量%、水蒸気56.34容量%からなる混合ガスを95.85NL/hの速度で供給し、第1反応器と第2反応器の接続管より空気を39.15NL/hの速度で追加供給することによってプロピレンの酸化を行った。第1反応器の触媒層最高温度は356℃であり、第2反応器の触媒層最高温度は328℃であり、第1反応器触媒層の温度はグラフBに示す分布状態となった。また、原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は94.9%、アクロレインの選択率は88.7%、アクリル酸の選択率は6.5%、アクロレインとアクリル酸の合計選択率は95.2%であった。

0052

(グラフB)

0053

(比較例2)
実施例3の第1反応器反応管内に構造物を設置していない反応器を用い、第1反応器を浸す溶融塩浴温度を320℃とした他は実施例3と全く同じ条件でプロピレンの酸化を行った。第1反応器の触媒層最高温度は365℃であり、第2反応器の触媒層最高温度は330℃であり、第1反応器触媒層の温度はグラフBに示す分布状態となった。また、原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は95.1%、アクロレインの選択率は87.1%、アクリル酸の選択率は8.0%、アクロレインとアクリル酸の合計選択率は95.1%であった。

0054

(実施例4)
(プロピレンの酸化)
第2反応器を浸す溶融塩浴温度を330℃とした他は実施例3と全く同じ条件でプロピレンの酸化を行った。
第1反応器の触媒層最高温度は356℃であり、第2反応器の触媒層最高温度は340℃であった。また、原料ガス供給開始1時間後のプロピレン転化率は95.7%、アクロレインの選択率は85.7%、アクリル酸の選択率は9.1%、アクロレインとアクリル酸の合計選択率は94.8%であった。

実施例

0055

実施例1と比較例1の比較および実施例3と比較例2の比較において、本発明の反応器を用いることにより、触媒層最高温度が低下するとともに発熱域が拡大し、反応管入口付近の触媒への反応負荷が低減、分散されることが確認された。また、実施例4と比較例2の比較から、本発明の反応器を用い空気を分割供給することで、同水準のプロピレン転化率では、触媒層最高温度の低下効果に加え、アクロレインとアクリル酸の合計選択率が向上することが確認された。

0056

本発明の反応器に触媒を充填して酸化反応または吸熱反応を行なうことにより、高い生産性化合物を製造できるので、経済性の面から、その産業上の利用価値は極めて大きい。また、反応の暴走および爆発の危険性を避けることができるため安全性の面からも多大の貢献をなすものである。

0057

1.反応ガス入口
2.温度計保護管
3.触媒
4.構造物
5.目皿
6.追加ガス供給口
7.反応ガス出口
8.追加ガス供給口
9.第1反応管
10.構造物
11.仕切り板
12.熱媒槽
13.第2反応管
14.反応ガス入口
15.反応ガス出口

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