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技術 模型車両の分散型給電装置および制御システム

出願人 株式会社トミーテック
発明者 佐藤守男
出願日 2015年4月23日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2015-088193
公開日 2016年12月8日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 2016-202608
状態 特許登録済
技術分野 玩具
主要キーワード 変調周期毎 蒸気機関車 発煙装置 運行プログラム アクセサリー類 目標カウント値 集電シュー 一セクション
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図面 (9)

課題

パルス幅変調を用いたセクション分割給電において、レイアウト全体における給電系配線長を抑制しつつ、隣り合ったセクションを跨いで走行する際に生じる車両の意図しない急加速等を抑制する。

解決手段

給電装置6が備えるクロック生成部6fは、車両の車速を制御する上位装置から他の給電装置6と共に供給されるリセット信号RSに基づき位相が揃えられた内部クロックCLinを生成する。パルス幅変調部6cは、内部クロックCLinをカウントし、そのカウント値に基づいて、上位装置からの車速の指示に応じたパルス幅デューティ比)を有するパルスを生成する。ドライバ6eは、パルス幅変調部6cによってパルス幅変調されたデューティ比を有するパルス状の駆動電圧を、自己割り当てられたセクションに供給する。

概要

背景

従来より、鉄道模型等の模型車両走行するレイアウトにおいて、複数の車両を個別に制御しながら同時に走行させる制御システムが知られている。このような制御システムの一つとして、DCC(Digital Command Control)と呼ばれる方式が欧米で広く普及しており、国内でも普及しつつある。DCCでは、制御対象となる車両にデコーダが搭載されており、コントローラからの命令が、レイアウトを構成するレールを介して、車両側のデコーダに伝達される。この命令には、アドレスが付されており、指定されたアドレスに対応するデコーダのみが命令を実行することで、走行用モータの駆動やライト類点灯といった制御が個別に行われる。レイアウトには12V程度の交流が常に流れており、命令に従って、デコーダが交流を直流に変換して車両に搭載されたモータを駆動することで、車速が制御される。DCCは、制御システムとして高い自由度を有するものの、デコーダ自体が極めて高価であることに加えて、デコーダを搭載するためには車両に手間の掛かる加工を施さなければならないことも多く、ある程度の知識も必要とされるため、ユーザにとって導入障壁が高い。また、レイアウト上を走行する複数の車両への給電を1つの給電系で賄うため、従来の直流制御(DC制御)と比べて定格電流が高く、レールに不用意に触れた際の感電ショートといった安全性への懸念もある。これらの問題から、DCCは、未だ、従来の直流制御を凌駕するには至っていない。

従来から広く普及している直流制御であっても、レイアウトの給電系統を工夫し、レイアウトへの給電を車両の走行に応じてリアルタイム切り替えることで、複数の車両を同時に走行させることは可能である。例えば、特許文献1には、鉄道模型用のレイアウトを電気的に分離された複数のセクションに分割し、必要なセクションにだけ電流を流すこと、すなわち、セクション単位の分割給電を行うことによって、複数の車両の個別制御を行う車両運転装置が開示されている。また、この車両運転装置では、単なる分割給電に留まらず、進入先となるセクションに複数の車両を進入させないという排他制御を行うことで、車両同士の衝突を未然に防止している。

また、特許文献2には、パルス幅変調を用いて、セクション単位の分割給電を行う鉄道模型の自動運転装置が開示されている。具体的には、ワンチップマイコンで構成されたマイコン部には、それぞれのセクションに割り当てられた複数のモータドライバが内蔵されており、それぞれのモータドライバから出力されたパルス状の駆動電圧が、セクション単位でレール上の動力車に供給される。1つのモータドライバは、ワンチップマイコンに搭載された16ビットタイマチャンネル速度制御PWM波形発生部として使用することによって、セクション毎に独立して構成されている。また、特許文献2には、その具体的な構成は開示されていないものの、動力車(モータ搭載車両)がセクションの境界にあるとき、2箇所のモータドライバからの給電が加算されるため、各チャンネル間の位相を合わせておく必要があることが指摘されている。

概要

パルス幅変調を用いたセクション分割給電において、レイアウト全体における給電系の配線長を抑制しつつ、隣り合ったセクションを跨いで走行する際に生じる車両の意しない急加速等を抑制する。給電装置6が備えるクロック生成部6fは、車両の車速を制御する上位装置から他の給電装置6と共に供給されるリセット信号RSに基づき位相が揃えられた内部クロックCLinを生成する。パルス幅変調部6cは、内部クロックCLinをカウントし、そのカウント値に基づいて、上位装置からの車速の指示に応じたパルス幅デューティ比)を有するパルスを生成する。ドライバ6eは、パルス幅変調部6cによってパルス幅変調されたデューティ比を有するパルス状の駆動電圧を、自己に割り当てられたセクションに供給する。

目的

本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パルス幅変調を用いたセクション分割給電において、給電系の配線量の増大を抑制しつつ、隣り合ったセクションを跨いで走行する際に生じる車両の意図しない急加速を抑制することである

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

電気的に分離された複数のセクションよりなるレイアウトに複数設けられ、レイアウト上を走行する模型車両への給電をセクション単位で行う分散型給電装置において、上位装置から他の給電装置と共に供給される同期信号に基づいて、他の給電装置との間でクロック位相が揃えられた内部クロックを生成するクロック生成部と、前記クロック生成部において生成された前記内部クロックをカウントし、当該カウント値に基づいて、前記上位装置からの指示に応じたデューティ比を有するパルスを設定するパルス幅変調部と、前記パルス幅変調部によって設定されたデューティ比を有するパルス状の駆動電圧自己割り当てられた前記セクションに供給するドライバとを有することを特徴とする模型車両用の分散型給電装置。

請求項2

前記クロック生成部は、前記同期信号の入力タイミングで、前記内部クロックの位相を調整することを特徴とする請求項1に記載された模型車両用の分散型給電装置。

請求項3

前記パルス幅変調部は、前記同期信号の入力タイミングで、前記カウンタ値所定値補正することを特徴とする請求項2に記載された模型車両用の分散型給電装置。

請求項4

前記同期信号は、前記上位装置から他の給電装置と共に周期的に供給されるシリアルデータであることを特徴とする請求項1に記載された模型車両の分散型給電装置。

請求項5

前記クロック生成部は、前記上位装置から供給された前記シリアルデータに、複数の給電装置宛であることを示す固有アドレスが付されている場合、当該シリアルデータの入力タイミングで、前記内部クロックの位相を調整することを特徴とする請求項4に記載された模型車両用の分散型給電装置。

請求項6

前記パルス幅変調部は、前記上位装置から供給された前記シリアルデータに前記固有のアドレスが付されている場合、前記カウンタ値を、当該シリアルデータによって指定された値に補正することを特徴とする請求項5に記載された模型車両用の分散型給電装置。

請求項7

前記パルス幅変調部は、前記上位装置からの指示に応じて、前記車両に搭載されたモータ動き出さない程度に周波数が高い高周波パルスを前記パルスに重畳することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載された模型車両用の分散型給電装置。

請求項8

前記高周波パルスは、前記内部クロック生成部によって内部生成され、かつ、前記同期信号に基づいて、他の給電装置との間でクロックの位相が揃えられることを特徴とする請求項7に記載された模型車両用の分散型給電装置。

請求項9

電気的に分離された複数のセクションよりなるレイアウト上を走行する模型車両を制御する制御システムにおいて、レイアウト上を走行する車両の位置を検出する複数の位置センサと、複数の給電装置に対して、パルス幅変調の位相を揃えるための同期信号を供給するとともに、前記複数の位置センサによって検出された車両の位置に応じて、前記車両の走行をセクション単位で制御する上位装置と、第1の内部クロックを生成する第1のクロック生成部を備え、前記同期信号に基づいて、前記第1の内部クロックの位相を調整するとともに、当該第1の内部クロックをカウントしたカウント値に基づいて、前記上位装置からの車速の指示に応じたデューティ比を有するパルスを生成することによって、パルス状の駆動電圧を第1のセクションに供給する第1の給電装置と、第2の内部クロックを生成する第2の内部クロック生成部を備え、前記同期信号に基づいて、前記第1の内部クロックと位相が揃うように、前記第2の内部クロックの位相を調整するとともに、前記第2の内部クロックをカウントしたカウント値に基づいて、前記上位装置からの車速の指示に応じたデューティ比を有するパルスを生成することによって、パルス状の駆動電圧を前記第1のセクションと隣り合った第2のセクションに供給する第2の給電装置とを有し、前記上位装置は、前記第1のセクションを走行している第1の車両の先を走行する第2の車両が前記第2のセクションに存在しない場合、前記第1の車両が前記第2のセクションに進入することを許可し、前記第2の車両が前記第2のセクションに存在する場合、前記第2の車両が前記第2のセクションから退出するまで、前記第1の車両を前記第1のセクションにて停止させることを特徴とする模型車両の制御システム。

請求項10

前記第1の給電装置および前記第2の給電装置は、前記同期信号の入力タイミングで、前記第1の内部クロックおよび前記第2の内部クロックの位相を調整することを特徴とする請求項9に記載された模型車両の制御システム。

請求項11

前記第1の給電装置および前記第2の給電装置は、前記同期信号の入力タイミングで、前記第1のカウンタのカウンタ値および前記第2のカウンタのカウント値を所定値に補正することを特徴とする請求項10に記載された模型車両の制御システム。

請求項12

前記同期信号は、前記上位装置から他の給電装置と共に周期的に供給されるシリアルデータであることを特徴とする請求項9に記載された模型車両の制御システム。

請求項13

前記第1の給電装置および前記第2の給電装置は、前記シリアルデータに、複数の給電装置宛であることを示す固有のアドレスが付されている場合、当該シリアルデータの入力タイミングで、前記第1の内部クロックの位相および前記第2の内部クロックの位相を調整することを特徴とする請求項12に記載された模型車両の制御システム。

請求項14

前記第1の給電装置および前記第2の給電装置は、前記シリアルデータに前記固有のアドレスが付されている場合、前記第1のカウンタのカウンタ値および前記第2のカウンタのカウント値を、当該シリアルデータによって指定された値に補正することを特徴とする請求項13に記載された模型車両の制御システム。

請求項15

前記第1の給電装置および前記第2の給電装置は、前記上位装置からの指示に応じて、前記車両に搭載されたモータが動き出さない程度に周波数が高い高周波パルスを前記パルスに重畳することによって、前記パルス状の駆動電圧を供給することを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載された模型車両の制御システム。

請求項16

前記高周波パルスは、前記第1の給電装置および前記第2の給電装置のそれぞれにおいて内部生成され、かつ、前記同期信号に基づいて、前記第1の給電装置および前記第2の給電装置との間でパルスの位相が揃えられることを特徴とする請求項15に記載された模型車両の制御システム。

技術分野

0001

本発明は、鉄道模型等の車両への給電を行う分散型給電装置および制御システム係り、特に、パルス幅変調(PWM)を用いた分割給電に関する。

背景技術

0002

従来より、鉄道模型等の模型車両走行するレイアウトにおいて、複数の車両を個別に制御しながら同時に走行させる制御システムが知られている。このような制御システムの一つとして、DCC(Digital Command Control)と呼ばれる方式が欧米で広く普及しており、国内でも普及しつつある。DCCでは、制御対象となる車両にデコーダが搭載されており、コントローラからの命令が、レイアウトを構成するレールを介して、車両側のデコーダに伝達される。この命令には、アドレスが付されており、指定されたアドレスに対応するデコーダのみが命令を実行することで、走行用モータの駆動やライト類点灯といった制御が個別に行われる。レイアウトには12V程度の交流が常に流れており、命令に従って、デコーダが交流を直流に変換して車両に搭載されたモータを駆動することで、車速が制御される。DCCは、制御システムとして高い自由度を有するものの、デコーダ自体が極めて高価であることに加えて、デコーダを搭載するためには車両に手間の掛かる加工を施さなければならないことも多く、ある程度の知識も必要とされるため、ユーザにとって導入障壁が高い。また、レイアウト上を走行する複数の車両への給電を1つの給電系で賄うため、従来の直流制御(DC制御)と比べて定格電流が高く、レールに不用意に触れた際の感電ショートといった安全性への懸念もある。これらの問題から、DCCは、未だ、従来の直流制御を凌駕するには至っていない。

0003

従来から広く普及している直流制御であっても、レイアウトの給電系統を工夫し、レイアウトへの給電を車両の走行に応じてリアルタイム切り替えることで、複数の車両を同時に走行させることは可能である。例えば、特許文献1には、鉄道模型用のレイアウトを電気的に分離された複数のセクションに分割し、必要なセクションにだけ電流を流すこと、すなわち、セクション単位の分割給電を行うことによって、複数の車両の個別制御を行う車両運転装置が開示されている。また、この車両運転装置では、単なる分割給電に留まらず、進入先となるセクションに複数の車両を進入させないという排他制御を行うことで、車両同士の衝突を未然に防止している。

0004

また、特許文献2には、パルス幅変調を用いて、セクション単位の分割給電を行う鉄道模型の自動運転装置が開示されている。具体的には、ワンチップマイコンで構成されたマイコン部には、それぞれのセクションに割り当てられた複数のモータドライバが内蔵されており、それぞれのモータドライバから出力されたパルス状の駆動電圧が、セクション単位でレール上の動力車に供給される。1つのモータドライバは、ワンチップマイコンに搭載された16ビットタイマチャンネル速度制御PWM波形発生部として使用することによって、セクション毎に独立して構成されている。また、特許文献2には、その具体的な構成は開示されていないものの、動力車(モータ搭載車両)がセクションの境界にあるとき、2箇所のモータドライバからの給電が加算されるため、各チャンネル間の位相を合わせておく必要があることが指摘されている。

先行技術

0005

特開2003−225472号公報
特開2010−252955号公報

発明が解決しようとする課題

0006

パルス幅変調を用いたセクション分割給電では、特許文献2でも指摘されているように、レイアウト上を走行する車両が現在のセクションから次のセクションに進入する際、すなわち、隣り合ったセクションを跨いで車両が走行している過程において、コントローラの指示に反して、車両が急加速してしまうといった現象が起こり得る。また、特許文献2のワンチップマイコン(マイコン部)のように、単一の給電元から各セクションへの給電を一括して行う場合、給電元から近いセクションや遠いセクションを含めて、すべてのセクションへの給電系の配線を1箇所から多数引き回す必要がある。そのため、レイアウト全体において、給電系の配線量が非常に大きくなる。この配線量の増大は、レイアウトを作成するユーザにとって大きな負担となる。また、給電系には、車両に搭載されたモータを駆動させるのに足る大電流が流れ、かつ、パルス幅変調の場合、駆動電流パルス波形であるがゆえに高周波成分が含まれているので、その配線は、周囲の機器に悪影響を及ぼすノイズ源となり得る。よって、不要輻射の抑制という観点からも、給電系の配線量の増大は好ましくない。

0007

本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パルス幅変調を用いたセクション分割給電において、給電系の配線量の増大を抑制しつつ、隣り合ったセクションを跨いで走行する際に生じる車両の意図しない急加速を抑制することである。

課題を解決するための手段

0008

かかる課題を解決するために、第1の発明は、電気的に分離された複数のセクションよりなるレイアウトに複数設けられ、レイアウト上を走行する模型車両への給電をセクション単位で行う分散型給電装置を提供する。この給電装置は、クロック生成部と、パルス幅変調部と、ドライバとを有する。クロック生成部は、上位装置から他の給電装置と共に供給される同期信号に基づいて、他の給電装置との間でクロックの位相が揃えられた内部クロックを生成する。パルス幅変調部は、クロック生成部において生成された内部クロックをカウントし、そのカウント値に基づいて、上位装置からの指示に応じたデューティ比を有するパルスを設定する。ドライバは、パルス幅変調部によって設定されたデューティ比を有するパルス状の駆動電圧を自己に割り当てられたセクションに供給する。

0009

ここで、第1の発明において、クロック生成部は、同期信号の入力タイミングで、内部クロックの位相を調整することが好ましい。また、パルス幅変調部は、同期信号の入力タイミングで、カウンタ値所定値補正してもよい。

0010

第1の発明において、同期信号は、上位装置から他の給電装置と共に周期的に供給されるシリアルデータであってもよい。この場合、クロック生成部は、上位装置から供給されたシリアルデータに、複数の給電装置宛であることを示す固有のアドレスが付されている場合、この固有アドレス付のシリアルデータの入力タイミングで、内部クロックの位相を調整することが好ましい。また、パルス幅変調部は、上位装置から供給されたシリアルデータに固有のアドレスが付されている場合、カウンタ値を、固有アドレス付のシリアルデータによって指定された値に補正してもよい。

0011

第1の発明において、パルス幅変調部は、上位装置からの指示に応じて、車両に搭載されたモータが動き出さない程度に周波数が高い高周波パルスをパルスに重畳してもよい。この場合、高周波パルスは、内部クロック生成部によって内部生成され、かつ、同期信号に基づいて、他の給電装置との間でクロックの位相が揃えられることが好ましい。

0012

第2の発明は、電気的に分離された複数のセクションよりなるレイアウト上を走行する模型車両を制御する制御システムを提供する。この制御システムは、複数の位置センサと、上位装置と、第1の給電装置と、第2の給電装置とを有する。位置センサは、レイアウト上を走行する車両の位置を検出する。上位装置は、複数の給電装置に対して、パルス幅変調の位相を揃えるための同期信号を供給する。また、上位装置は、複数の位置センサによって検出された車両の位置に応じて、車両の走行をセクション単位で制御する。第1の給電装置は、第1の内部クロックを生成する第1のクロック生成部を備え、同期信号に基づいて、第1の内部クロックの位相を調整する。また、第1の給電装置は、第1の内部クロックをカウントしたカウント値に基づいて、上位装置からの車速の指示に応じたデューティ比を有するパルスを生成することによって、パルス状の駆動電圧を第1のセクションに供給する。第2の給電装置は、第2の内部クロックを生成する第2の内部クロック生成部を備え、同期信号に基づいて、第1の内部クロックと位相が揃うように、第2の内部クロックの位相を調整する。また、第2の給電装置は、第2の内部クロックをカウントしたカウント値に基づいて、上位装置からの車速の指示に応じたデューティ比を有するパルスを生成することによって、パルス状の駆動電圧を第1のセクションと隣り合った第2のセクションに供給する。ここで、上位装置は、第1のセクションを走行している第1の車両の先を走行する第2の車両が第2のセクションに存在しない場合、第1の車両が第2のセクションに進入することを許可する一方、第2の車両が第2のセクションに存在する場合、第2の車両が第2のセクションから退出するまで、第1の車両を第1のセクションにて停止させる。

0013

ここで、第2の発明において、第1の給電装置および第2の給電装置は、同期信号の入力タイミングで、第1の内部クロックおよび第2の内部クロックの位相を調整することが好ましい。また、第1の給電装置および第2の給電装置は、同期信号の入力タイミングで、第1のカウンタのカウンタ値および第2のカウンタのカウント値を所定値に補正してもよい。

0014

第2の発明において、同期信号は、上位装置から他の給電装置と共に周期的に供給されるシリアルデータであってもよい。この場合、第1の給電装置および第2の給電装置は、シリアルデータに、複数の給電装置宛であることを示す固有のアドレスが付されている場合、この固有アドレス付のシリアルデータの入力タイミングで、第1の内部クロックの位相および第2の内部クロックの位相を調整してもよい。また、第1の給電装置および第2の給電装置は、シリアルデータに固有のアドレスが付されている場合、第1のカウンタのカウンタ値および第2のカウンタのカウント値を、この固有アドレス付のシリアルデータによって指定された値に補正してもよい。

0015

第2の発明において、第1の給電装置および第2の給電装置は、上位装置からの指示に応じて、車両に搭載されたモータが動き出さない程度に周波数が高い高周波パルスをパルスに重畳することによって、パルス状の駆動電圧を供給してもよい。この場合、高周波パルスは、第1の給電装置および第2の給電装置のそれぞれにおいて内部生成され、かつ、同期信号に基づいて、第1の給電装置および第2の給電装置との間でパルスの位相が揃えられることが好ましい。

発明の効果

0016

第1および第2の発明によれば、上位装置から供給される同期信号に基づいて、複数の給電装置の間でパルス幅変調のベースクロックとなる内部クロックの位相を揃える。これにより、複数のセクションから供給された駆動電圧が車両側で重畳しても、そのデューティ比は変わらない。よって、車両の意図しない急加速等を有効に抑制することができる。また、複数の給電装置に分散させることにより、給電元を単一にする場合と比較して、レイアウト全体における給電系の配線量を有効に抑制することが可能となる。

図面の簡単な説明

0017

模型車両制御システムの全体構成図
車両の集電構造を示す図
第1の実施形態に係る給電装置のブロック構成
第1の実施形態に係るパルス幅変調の動作タイミング図
制御システムによる車両の走行制御の説明図
第2の実施形態に係る給電装置のブロック構成図
第2の実施形態に係るパルス幅変調の動作タイミング図
第3の実施形態に係る常点灯用の高周波パルスが重畳された駆動電圧のパルス波形を示す図

実施例

0018

(第1の実施形態)
図1は、鉄道模型用の制御システムの全体構成図である。車両A,Bを含む複数の車両が走行するレイアウト1は、直線レールカーブレールポイントといった多数のレールを組み合わせることによって構成されている。基本的に、レール同士の接続には、ジョイントと呼ばれる導電性接続部材を用いられ、ジョイントにて電気的に接続されたレール同士は、連続した同一セクションを形成する。また、一部のレール同士の接続には、ギャップと呼ばれる絶縁性の接続部材が用いられ、ギャップにて電気的に分離されたレール同士は、互いに別個のセクションを形成する。同図に示した例では、レイアウト1中の7箇所にギャップを設けることで、レイアウト1を電気的に分離された6つのセクション1a〜1f、すなわち、エンドレスを構成する4つのセクション1a〜1dと、複線ホーム待避線に相当するセクションeと、エンドレスから分岐した引込み線に相当するセクション1fとに分割されている。このようなレイアウト1において、それぞれのセクション1a〜1fの長さは、原則として、そのレイアウト1での走行を想定する車両の最大長よりも大きくし、走行中の車両を停止させる際の過走行分を十分に見越した長さにすることが好ましい。なお、本明細書において、「車両」とは、制御上、1つのまとまった走行単位となるものを指し、1台の車両(動力車)のみならず、複数の車両より編成される列車(複数の動力車を含んでいてもよい。)を含む。また、物理的に互いに連結されていなくても、極めて近接した状態を維持しながら併走する複数の車両も、1つのまとまった走行単位である限り、1つの「車両」とみなす

0019

セクション1a〜1fのそれぞれにおいて、レールへの電気的な接続を行うコネクタ部には、フィーダ2a〜2fのいずれかが取り付けられている。また、それぞれのセクション1a〜1fの端部近傍には、車両の位置を検出する位置センサ3がギャップを挟んで対向するように設けられている。位置センサ3としては、例えば、車両の通過に伴う光の反射の有無を検出する光センサ、車両に装備された車輪の接触の有無を検出する接触センサ、車両に搭載された磁石を検出する磁気センサRFID(Radio Frequency Identification)等を用いることができる。また、レールを流れる電流の変化をセクション毎にモニタリングすることによって、セクションにおける車両の有無を検出してもよい。位置センサ3によって検出された位置情報は、後述する制御システム4の一部を構成する制御装置5に入力される。ギャップを挟んで一対の位置センサ3を配置する理由は、主に、車両を検出する時間的な順序から、この車両の走行方向を容易に認識できるようにするためだが、他の手段で走行方向を認識できるのであれば、位置センサ3を一対で配置する必要は必ずしもない。また、位置センサ3は、レイアウト1上における車両の位置を検出できるものであれば、センサの種類、個数設置形態等を問わない。

0020

車両A,Bは、金属製の車輪を介してレールから集電してモータを駆動し、その駆動力を車輪に伝達することによって自走する。市販されている車両も含めて、大半の車両は、車両に取り付けられている複数の車輪を介して、レールからの集電を行っている。例えば、図2(a)に示すように、車両の片方台車(通常は2つの車輪)から集電する構成、同図(b)に示すように、両方の台車(通常は4つの車輪)から集電する構成、同図(c)に示すように、列車の全台車から集電する構成等が存在する。このように、複数の車輪を用いて、外部からの集電経路を車両側において複数確保する理由は、車両の集電性能を高めて、走行安定性の向上等を図るためである。なお、製品化されている動力車(モータが搭載されている車両)の多くは、通常、直流電圧値そのものを可変に設定する方式、および、パルス幅変調方式のどちらにも対応しているので、DCCのように車両に特別な加工を施す必要はない。

0021

再び図1を参照すると、配線類を介してレイアウト1に接続されている制御システム4は、制御装置5と、複数の給電装置6と、駆動装置7と、コントローラ8と、ポイントスイッチ9と、インターフェース装置10とを主体に構成されている。制御装置5は、コンピュータ等より構成され、レイアウト1上における車両A,Bの車速制御前照灯室内灯点灯制御、ポイントの切り替えといった各種の制御を統合的に行う。それぞれの給電装置6は、制御装置5からの指示に応じたパルス幅(デューティ比)を有する駆動電圧を生成して、自己に割り当てられたセクションへ出力する。図1に例示したレイアウト1では、6つのセクション1a〜1fのそれぞれに対応した6つの給電装置6を用い、レイアウト1への給電を分散して行っている。なお、図1では、便宜上、複数の給電装置6を横一列に並べて示しているが、実際には、給電系の配線量を低減すべく、それぞれのセクションの近傍に給電装置6が分散して配置されている。駆動装置7は、制御装置5からの指示に応じて、レイアウト1中のポイントの切り替え等を行う。また、この駆動装置7を用いて、ターンテーブル、踏切、信号といった各種の制御機器アクセサリー類を動作させてもよい。コントローラ8は、車両を手動運転で走行させる際、その車速や進行方向を制御するために使用される。また、ポイントスイッチ9は、この手動運転の際、ポイントの切り替えを行うために使用される。

0022

インターフェース装置10は、制御装置5と、複数の給電装置6や駆動装置7との間における信号の受け渡しを取り持つ。例えば、制御装置5の指示をパケット化して、シリアルデータとして下位装置に送信するといった処理は、インターフェース装置10によって行われる。また、詳細については後述するが、複数の給電装置6の間でパルス幅変調の位相を揃えるための同期信号(リセット信号RS)を複数の給電装置6に共通して供給するといった処理も、インターフェース装置10によって行われる。

0023

上位装置(制御装置5およびインターフェース装置10)と、下位装置(給電装置6および駆動装置7)との間は、配線類で接続されている。本実施形態において、インターフェース装置10と下位装置との間は、ケーブルの本数を削減するためにシリアル接続カスケード接続)されており、両者の間でシリアルデータ通信が行われる。この通信は、最低限、上位装置からの命令を下位装置に伝達できれば足りるので、一方向通信であってもよいが、双方向通信にして、命令の受信確認を下位装置から上位装置に返信するようにしてもよい。これにより、通信精度が高まり、より信頼性の高い制御を行うことが可能となる。なお、上位装置と下位装置との間におけるデータの受け渡しは、後述する第3の実施形態を除き、シリアルデータ通信に限定されるものではなく、有線無線、光といった任意の通信媒体を介して、任意のデータ通信方式を採用することができる。

0024

図3は、第1の実施形態に係る給電装置6のブロック構成図である。この給電装置6は、入力部6aと、デコーダ6bと、パルス幅変調部6cと、ドライバ6eと、クロック生成部6fを主体に構成されている。入力部6aには、シリアルデータDと、上位装置から供給される同期信号としてのリセット信号RSとが入力される。リセット信号RSは、すべての給電装置6に対して、共通かつ同じタイミングで供給されるワンショットパルスである。シリアルデータDは、デコーダ6b毎に固有のアドレスと、実行すべき命令(車速の指示等)とによって構成されている。デコーダ6bは、シリアルデータDに付されたアドレスと、給電装置6が備えるメモリに記憶された自己のアドレスとを比較し、このシリアルデータDが自己宛であるか否かを判定する。シリアルデータDが自己宛であると判定された場合には、このシリアルデータDによって指示された車速(車速情報)がメモリに新たに書き込まれる。この車速情報は、後述するパルス幅変調用カウンタ6dの目標カウント値、換言すれば、設定すべき駆動電圧のパルス幅(目標デューティ比)として規定されている。一方、シリアルデータDが自己宛でないと判定された場合、このシリアルデータDの車速情報は無視され、メモリへの書き込みは行われない。給電装置6における駆動電圧の設定・出力は、パルス幅変調の変調周期毎に、メモリに記憶されている車速情報を繰り返し読み出すことによって行われる。停止を含めて車速を一定に保つ場合には、メモリの車速情報を更新する必要はなく、車速を変化させる場合のみ、上位装置よりシリアルデータDを供給して、メモリ内の車速情報を更新すれば足りる。

0025

クロック生成部6fは、内部クロックCLinを生成する。この内部クロックCLinは、リセット信号RSの入力タイミングで、他の給電装置6との間でクロックの位相が揃えられる。パルス幅変調部6cは、パルス幅変調用のカウンタ6dを備え、上位装置からの車速の指示に応じて、パルスのデューティ比を可変に設定する。具体的には、カウンタ6dによって、内部クロックCLinの立ち上がりがカウントされ、そのカウント値に基づいて、上位装置からの指示に応じたパルス幅(デューティ比)を有するパルスが生成される。

0026

ドライバ6eは、パルス幅変調部6cによって設定されたデューティ比を有するパルス状の駆動電圧Vを自己に割り当てられたセクションに出力する。この駆動電圧Vは、特定のフィーダ2a〜2fを介して、特定のセクション1a〜1fのレールに供給され、これによって、車両の走行がセクション単位で個別に制御される。なお、1つの給電装置6は、最低限、1つのセクションへの給電を担う必要があるため、少なくとも1つの駆動電圧の生成系を備えているが、拡張性コスト等を考慮して、これを複数設けてもよい。

0027

図4は、第1の実施形態に係るパルス幅変調の動作タイミング図である。以下、図1に示したセクション1aからセクション1bに向かって、車両が走行するケースを例に説明する。また、符号の添字aはセクション1a用、添字bはセクション1b用であることを示す。

0028

パルス幅変調の動作としては、まず、メモリから目標カウント値(一例として「9」)が読み出される。つぎに、カウンタ6dのカウント値CNTa,CNTbが「0」(変調周期の開始)からスタートし、内部クロックCLinが立ち上がる毎に順次インクリメントされる。カウント値CNTa,CNTbが目標カウント値「9」に到達するまで、パルスはオンに設定され、目標カウント値「9」に到達した時点でオフに切り替わる。それ以降、カウント値が「n」(変調周期の終了)に到達するまで、オフの状態が継続される。これによって、目標カウント値「9」に相当するデューティ比を有するパルス波形が、パルス幅変調された駆動電圧Va,Vbとして生成・出力される。以上の動作は、変調周期毎に繰り返される。

0029

他の給電装置6との間において、パルス幅変調の位相は、上位装置から他の給電装置6と共に供給されるリセット信号RSに基づいて揃えられる。具体的には、セクション1a,1bの2つのカウンタ6dは、それぞれの給電装置6内で生成された内部クロックCLinを互いに独立してカウントするが、クロックの誤差の累積、あるいは、ノイズ等の外乱の影響で、それぞれの内部クロックCLinにずれが生じ得る。内部クロックCLinは、パルス幅変調の位相を規定しているので、このクロックのずれは、そのまま、パルス幅変調の位相ずれとなる。そこで、本実施形態では、リセット信号RSの入力タイミングで、内部クロックCLinの位相を調整し、セクション1a,1bの内部クロックCLinを揃える。これにより、カウント値CNTa,CNTbのインクリメントされるタイミングが一致するので、パルス幅変調の位相が一致する。また、カウント値CNTa,CNTbは、リセット信号RSが入力されるタイミングで、同時に「0」に補正される。これにより、ノイズ等の外乱にて、カウント値CNTa,CNTbが異なる値になったとしても、その値を補正することができる。その結果、セクション1a,1bに対して、パルス幅変調の位相ずれが生じることなく、時間的に一致したパルス波形を有する駆動電圧Va,Vbがそれぞれ供給される。

0030

なお、パルス幅変調の位相を揃えるという観点でいえば、リセット信号RSの供給は、頻繁に行うことが好ましいが、その間隔は必ずしも一定である必要はなく、不定期であってもよい。また、内部クロックCLinの位相を調整すると、その前後で、クロックの波形が非連続になるが、これが車両の走行に与える影響は微々たるものなので、位相揃えを高頻度で行っても、殆ど問題は生じない。

0031

レールと接する複数の車輪から集電を行う車両のように、複数の集電経路を備えた車両が、現在のセクションと次のセクションとを跨いで走行する場合、セクション1a,1bに個別に供給された駆動電圧Va,Vbが車両側において重畳される。例えば、図2(a)に示したように、車両が備える片方の台車だけで集電する場合、セクション1bのレールと当接した右側の車輪11eから駆動電圧Vb、セクション1aのレールと当接した左側の車輪11fから駆動電圧Vaがそれぞれ供給される。これにより、左右の車輪11e,11f間の距離L1を車両が走行している間、2つの駆動電圧Va,Vbの重畳が生じる。また、同図(b)に示したように、車両が備える両方の台車で集電する場合、セクション1bのレールと当接した最も右側の車輪11gから駆動電圧Vbが、それ以外の車輪から駆動電圧Vaがそれぞれ供給される。これにより、車両両端の車輪11g,11h間の距離L2を車両が走行している間、駆動電圧Va,Vbの重畳が生じる。さらに、同図(c)に示したように、列車の全台車にて集電する場合、セクション1bのレールと当接した最も右側の車輪11iから駆動電圧Vbが、それ以外の車輪から駆動電圧Vaがそれぞれ供給される。これにより、列車両端の車輪11i,11j間の距離L3を車両が走行している間、駆動電圧Va,Vbの重畳が生じる。

0032

車両側において駆動電圧Va,Vbが重畳すると、制御装置5の指示に反して、車両が急加速してしまうといった現象が起こり得る。例えば、セクション1aの駆動電圧Vaと同じデューティ比を有するセクション1bの駆動電圧Vbが、図4破線で示したように、駆動電圧Vaよりも時間的に遅れている場合、車両側で重畳された電圧重畳電圧)のパルス波形は、駆動電圧Vbの遅れ分だけ、そのデューティ比が大きくなってしまう。これにより、パルスの積分値として定義される実効電圧が高くなって、車両の急加速が生じる。最悪のケースとして、デューティ比50%の駆動電圧Va,Vbが変調周期の1/2ずれると、重畳電圧のデューティ比は100%になるので、中速で走行していた車両が突然全力で加速し始めるといった事態が生じることになる。このような意図しない急加速は、一定車速で走行している場合のみならず、加速や減速を行っている最中を含めて、停止以外のすべての走行状態において起こり得る。

0033

意図しない急加速が生じる理由は、隣り合ったセクション1a,1bにおいて、パルス幅変調の位相が揃っていないことに由来する。そこで、本実施形態では、すべての給電装置6にリセット信号RSを供給し、給電装置の相互で、パルス幅変調用カウンタ6dがカウントする内部クロックCLinの位相を揃えると同時に、カウント値を補正する。これにより、それぞれの給電装置6の間でパルス幅変調の位相が揃うので、セクションを跨ぐ際に、車両側において複数の駆動電圧が重畳しても、位相ずれに起因したデューティ比の変化が生じない。その結果、車両の意図しない急加速を有効に抑制することができる。

0034

図5は、車両Aを制御対象とした、制御システム4による車両制御の説明図である。制御システム4の中核をなす制御装置5は、位置センサ3a〜3cからのセンサ信号に基づいて、レイアウト1上における車両A,Bの位置をセクション単位で認識する。そして、制御装置5は、セクション1a,1bへの給電を行う2つの給電装置6に対して、目標デューティ比(車速)を個別に指示する。具体的には、位置センサ3aからのセンサ信号に基づいて、車両Aがセクション1aに進入したことが検出され、次のセクション1bに向かって引き続き走行する場合、次のセクション1bに先行する車両Bが存在するか否かが判定される。この判定は、位置センサ3b,3cからのセンサ信号に基づいて行われる。例えば、位置センサ3bによって車両の通過(進入)が検出され、その後に、位置センサ3cによって車両の通過(退出)が検出されたことをもって、セクション1b内に車両が存在しないと判定することができる。

0035

セクション1b内に車両が存在しないと判定された場合、同図(a)に示すように、車両Aが次のセクション1bに進入することが許可される。セクション1a,1bへの給電を行う2つの給電装置6は、上位装置である制御装置5からの指示に応じて、同一のデューティ比を有する駆動電圧を個別に供給する。インターフェース装置10から同期信号として供給されるリセット信号RSによって、セクション1a,1b間でパルス幅変調の位相が一致しているため、車両Aは急加速することなく、セクション1aからセクション1bに向かって、スムーズに移動する。

0036

一方、セクション1b内に先行する車両Bが存在すると判定された場合、同図(b)に示すように、車両Bとの衝突を回避すべく、車両Aが次のセクション1bに進入することは許可されない。この場合、セクション1a内において車両Aを減速・停止させる一方、セクション1bの先行車両Bを引き続き走行させる。セクション1a,1bへの給電を行う2つの給電装置6は、制御装置5からの指示に応じて、車両A,B用にそれぞれ異なる駆動電圧を個別に供給する。車両Aの停止は、先行車両Bがセクション1bから退出するまで継続される。そして、同図(c)に示すように、位置センサ3cからのセンサ信号に基づいて、先行車両Bがセクション1bから退出したと判定されると、同図(d)に示すように、車両Aに対するセクション1bへの進入が許可される。セクション1a,1bへの給電を行う2つの給電装置6は、制御装置5からの指示に応じて、同一のデューティ比を有する駆動電圧を個別に供給する。インターフェース装置10からのリセット信号RSによって、セクション1a,1b間でパルス幅変調の位相が一致しているため、車両Aは急加速することなく、セクション1aからセクション1bに向かって、スムーズに移動する。以上の制御は、自動運転される車両のみを対象とするものではなく、例えば、手動運転される車両Aの前方に自動運転される車両Bが存在する場合の如く、手動運転される車両も制御対象となる。

0037

以上のように、車両が次に進入するセクションに複数の車両を進入させないという排他制御(以下、「セクション閉塞制御」という。)、すなわち、実際の鉄道における「閉塞(block system)」と呼ばれる信号保安システムに見立てた制御を行うことで、以下のような利点が得られる。第1に、複数の車両をどのように走行させても、車両の衝突が生じる状態になったら、自動的に停止させることで、車両同士の衝突を未然に回避できる。第2に、複数の車両を自動走行させる場合、車両同士が衝突しないような時間的なマージンを考慮する必要がなくなるので、運行プログラム記述する負担が著しく軽減される。仮に、先行する車両Bに車両Aが衝突してしまうような運行プログラムの記述になっていたとしても、リアルタイムで行われるセクション閉塞制御によって、そのような状況が未然に回避される。第3に、予め設定された自動走行を破綻させることなく、手動運転による車両を介入させることができる。例えば、自動運行プログラムにおいて、車両Aの走行パターンとして、セクション1aを一定の速度で通過するように設定されていたとする。この設定下で、手動運転で車両Bを介入させた場合、リアルタイムで行われるセクション閉塞制御によって、車両Aは、予め設定された走行パターンに関わりなく、セクション1bから車両Bが退出するまで、セクション1a内で停止する。これにより、自動運転される車両Aは、手動運転される車両Bとの衝突を避けながら走行するので、ユーザは、気兼ねなく、手動運転による車両Bの走行を楽しむことができる。特に、信号機をセクション毎に設置して、その点灯制御をセクション閉塞制御と連動させれば、より魅力のある実感的な制御システムを実現することができる。

0038

なお、上述したセクション閉塞制御では、次に進入するセクションとの関係で車速制御を行っているが、これを拡張して、複数先のセクションまで含めた距離に応じて、車速制御を行ってもよい。例えば、次のセクションに車両Bが存在する場合には、車両Aを停止させ、2つ先のセクションに車両Bが存在する場合には、車両Aを減速させ、車両Bが3つ先のセクション以上離れている場合、車両Aを加速させるといった如くである。

0039

このように、第1の実施形態によれば、パルス幅変調のベースクロックである内部クロックCLinを給電装置6にて内部生成し、リセット信号RSの入力タイミングで、この内部クロックCLinの位相とカウンタ値の補正とを調整することで、複数の給電装置6の間で、パルス幅変調の位相を同期させる。これによって、隣り合ったセクションを跨いで走行する際に生じる車両の意図しない急加速を抑制することができる。それとともに、車両に前照灯、尾灯、室内灯等の発光体が搭載されている場合には、発光体が急激に明るくなることも有効に抑制できる。

0040

また、第1の実施形態によれば、給電元を複数の給電装置6を分散させ、それぞれの給電装置6でパルス幅変調用のクロックを内部生成して、駆動電圧を供給・出力する。これにより、レイアウト1の全体における給電系の配線量を有効に抑制することが可能となる。駆動電圧の給電元が単一である場合、給電元から近いセクションや遠いセクションを含めて、すべてのセクションへの給電系の配線を1箇所から多数引き回す必要がある。そのため、レイアウト1の全体において、給電系の配線量が非常に大きくなる。これに対して、本実施形態では、給電元となる給電装置6をセクション毎に分散させているので、個々の給電装置6を自己に割り当てられたセクションの近傍に配置することができる。これにより、給電装置6とレールとの間を接続する給電系の配線長を短くすることが可能となる。その結果、レイアウトを作成するユーザにとって、配線作業が容易になるとともに、不要輻射の抑制という観点においても有利である。さらに、既存のレイアウト1の規模を拡大する際、給電ユニット買い替えではなく、新たな給電装置6の追加にて対応できるので、ユーザの利便性を高め、拡張コストを抑えることができる。

0041

また、第1の実施形態によれば、レイアウト1への給電をセクション単位で行うことで、給電系が分散され、1つの給電系が担う電力的な負担が軽減されるので、1つの給電装置6について、DCCほど定格電流を高くする必要がない。したがって、レールに不用意に触れた際の感電やショートによる危険性を抑制できるので、安全性の高い制御システムを実現できる。

0042

さらに、第1の実施形態によれば、パルス幅変調の位相を同期させた分散型給電系に、セクション閉塞制御を組み合わせることで、車両の意図しない急加速等が生じない、実感的なセクション閉塞制御を実現することができる。

0043

なお、車両の意図しない急加速を抑制するという上記効果は、セクション閉塞制御を前提とするものではなく、パルス幅変調を用いたセクション分割給電において、広く奏し得るものである。したがって、本実施形態に係る給電装置6は、そのようなセクション分割給電の全般に対して、広く適用することができる。この点は、後述する各実施形態についても同様である。

0044

(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態で用いたリセット信号RSを廃し、その代わりに、上位装置が下位装置(複数の給電装置6および駆動装置7)に対して共通で供給するシリアルデータDを用いて、パルス幅変調の位相を揃えることを特徴とする。

0045

図6は、第2の実施形態に係る給電装置6のブロック構成図である。この給電装置6は、第1の実施形態に係る給電装置6と同様、入力部6aと、デコーダ6bと、パルス幅変調用のカウンタ6dを備えたパルス幅変調部6cと、ドライバ6eと、クロック生成部6fとを有する。クロック生成部6fは、内部クロックCLinを生成する。この内部クロックCLinは、シリアルデータDの入力タイミングで、他の給電装置6との間でクロックの位相が揃えられる。パルス幅変調部6cは、内部クロックCLinをカウンタ6dにてカウントし、そのカウント値に基づいて、駆動電圧Vのデューティ比を設定する。それ以外の点については、図3と構成と同様なので、同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。

0046

図7は、第2の実施形態に係るパルス幅変調の動作タイミング図である。カウンタ6dのカウント値CNTa,CNTbは、「0」(変調周期の開始)からスタートし、内部クロックCLinが立ち上がる毎に順次インクリメントされる。カウント値CNTa,CNTbが目標カウント値(例えば「9」)に到達するまで、パルスはオンに設定され、目標カウント値「9」に到達した時点でオフに切り替わる。それ以降、カウント値が「n」(変調周期の終了)に到達するまで、オフの状態が継続される。これによって、目標カウント値「9」に相当するデューティ比を有するパルス波形が、パルス幅変調された駆動電圧Va,Vbとして生成・出力される。以上の動作は、変調周期毎に繰り返される。

0047

セクション1a,1bの2つのカウンタ6dは、それぞれの給電装置6内で生成された内部クロックCLinを互いに独立してカウントするが、この内部クロックCLinは、シリアルデータDの入力タイミングで、クロックの位相が揃えられる。本実施形態では、一例として、シリアルデータDについては、50μ秒毎に転送される4つのパケットから1つの有意なデータが構成される。そして、時系列的に前後するシリアルデータDの間には、両者を区別するために、50μ秒のブランク期間が設けられている。これにより、4つのパケットの転送期間(50μ秒×4)と、1つのブランク期間(50μ秒)とよりなる合計250μ秒が1つのデータ転送周期となる。また、パルス幅変調の変調周期は、一例として、20m秒(50Hz)である。

0048

内部クロックCLinを揃える場合、シリアルデータDに付されるアドレスとして、すべての給電装置6宛であることを示す固有のアドレスφが用いられる。また、固有のアドレスφが付されたシリアルデータDによって、カウンタ6dの補正値(例えば「0」)が指定される。シリアルデータDを解析するデコーダ6bは、シリアルデータDに付されたアドレスがφの場合、シリアルデータDを構成する先頭パケットの入力タイミングで、内部クロックCLinの位相を揃える。これにより、カウント値CNTa,CNTbのインクリメントされるタイミングが一致するので、パルス幅変調の位相が揃えられる。それとともに、デコーダ6bは、カウンタ6dのカウント値CNTa,CNTbをシリアルデータDによって指定された値「0」に同時に補正する。これにより、ノイズ等の外乱にて、カウント値CNTa,CNTbが異なる値になったとしても、その値を補正することができる。その結果、セクション1a,1bに対して、パルス幅変調の位相ずれが生じることなく、時間的に一致した駆動電圧Va,Vbが供給される。

0049

このように、第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏する他、上位装置から給電装置6に供給される信号は、基本的にシリアルデータDだけで済む(リセット信号RSが不要になる)ので、新たな配線を設ける必要がなく、両者の間の信号伝達系を簡素化できるといった効果もある。特に、上位装置と複数の給電装置6との間がカスケード接続されている場合、給電系の配線量について、大きな低減効果が得られる。

0050

なお、第2の実施形態において、各セクションの給電装置6は、上記装置から供給されるシリアルデータDの転送周期、あるいは、シリアルデータDの指示内容コマンド)をチェックし、誤転送時には、コマンドの再転送を上位装置に要求したり、同期信号を補間してもよい。これにより、上位装置との間で短時間の通信障害が起きた場合であっても、有効に対応することができる。

0051

なお、上述した第2の実施形態において、固有のアドレスφを用いる理由は、パルス幅変調の位相を揃える調整タイミング等を上位装置側にて明示的に指定することで、調整の頻度を含む自由度を確保するためである。しかしながら、このような自由度を考慮することなく、単にパルス幅変調の位相調整を行うという観点でいえば、固有のアドレスφを用いる必要はなく、通常のアドレスが付されたシリアルデータDの入力毎に、内部クロックCLinの位相を揃えてもよい。また、固有のアドレスφを付したシリアルデータDを用いる場合、その供給は頻繁に行うことが好ましいが、その間隔は必ずしも一定である必要はなく、不定期であってもよい。

0052

(第3の実施形態)
第3の実施形態は、上述した各実施形態で述べたパルス幅変調されたパルスに対して、更に、高周波パルスを重畳することで、車両に搭載された発光体(前照灯、尾灯、室内灯等)を常点灯(すなわち、車両の停止時や極低速走行時においても点灯)等させることを特徴とする。給電装置6の構成は、基本的に、図3図6に示したものと同一である。

0053

図8は、第3の実施形態に係る常点灯用の高周波パルスが重畳された駆動電圧のパルス波形を示す図である。上述したように、パルス幅変調の変調周期は、一例として、50Hzに設定されている。パルス幅変調部6cは、車両に搭載された発光体を常点灯させる旨の指示を制御装置5から受けた場合、例えば20KHzの高周波パルスをパルス幅変調されたパルスに一律に重畳する(指示がない場合には、重畳は行われない)。また、この高周波パルスの位相揃えは、上述した各実施形態と同様、シリアルデータD(先頭パケット)の入力タイミングで行うが、50μ秒毎に転送されるパケットの入力タイミング毎に行ってもよい。高周波パルスについて、位相揃えの頻度を高めることで、位相の一致をより厳密に保証することができる。

0054

一般に、LED等の発光体は、電圧の変化に即座に反応するのに対して、モータは、発光体よりも反応に時間が掛かる。よって、車両に搭載されたモータが動き出さない程度に周波数が高いパルスを重畳すれば、モータを駆動させることなく、発光体のみを点灯させることができる。なお、重畳される高周波パルスは、常点灯の用途以外に、クリーニングカーにおいて、レールをクリーニングする機能を動作させるために使用することもできる。また、高周波パルスを、例えば、車両に搭載された発煙装置蒸気機関車等)、サウンド発生装置カメラ等を動作させる電源として用いることも可能であり、あるいは、これらに対するコマンドとして用いてもよい。

0055

なお、常点灯等の用途で用いられる高周波パルスは、ノイズ抑制の観点から、それぞれの給電装置6の内部で生成される。このような高周波パルスを制御装置5から各給電装置6に供給する場合、その供給経路が大きなノイズ源となるからである。具体的な生成手法としては、例えば、クロック発生部6fにおいて、内部クロックCLinよりも更に高周波なベースクロックを内部クロックCLinとは別個に生成し、これをカウンタ6dによってカウントすることによって、高周波パルスを生成してもよい。また、パルス幅変調および高周波パルスの生成の双方においてベースクロックを共用してもよい。この場合、下位カウンタを用いて、高周波なベースクロックをカウントすることによって、高周波パルスの幅が制御される。それとともに、下位カウンタの繰り上がりによってインクリメントされる上位カウンタを用いて、パルス幅変調の幅が制御される。

0056

このように、第3の実施形態によれば、上述した各実施形態の効果を奏しつつ、車両の停止時や極低速走行時を含めて、発光体を常時点灯させることが可能となる。

0057

なお、上述した各実施形態において、カウンタ6dの値に致命的なズレが生じないことがシステム上保証できるのであれば、カウンタ値自体の補正を行わず、内部クロックCLinの位相揃えのみ行ってもよい。

0058

さらに、上述した各実施形態では、鉄道模型への適用例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各種の模型車両全般に対して、広く適用することができる。模型車両は、レール等の給電経路から集電して自走するものであればよく、車輪の代わりに、集電シュー等で集電するものであってもよい。

0059

1レイアウト
1a〜1fセクション
2a〜2fフィーダ
3位置センサ
4 制御システム
5制御装置
6給電装置
6a 入力部
6bデコーダ
6cパルス幅変調部
6dカウンタ
6eドライバ
6fクロック生成部
7駆動装置
8コントローラ
9ポイントスイッチ
10 インターフェース装置

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