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課題

脱毛発症の危険性と関連性のある遺伝子多型を利用して、チオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法を提供すること。

解決手段

検体におけるチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法は、被検体由来生物学的試料から、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目塩基における多型、または 前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型を検出することを含む。

概要

背景

6-メルカトプリン(6-MP)およびアザチオプリン(AZA)などのチオプリン製剤は、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含む炎症性腸疾患(IBD)をはじめとする種々の疾患に対する治療薬として広く用いられている。チオプリンの副作用として様々なものがあげられるが、特に白血球減少臨床的には問題とされてきた。

白血球減少の他に、患者側が主に問題とするものとして、妊娠に関する不安や、脱毛などの日常生活に強い影響を及ぼす副作用が挙げられる。脱毛には、本人が自覚するが客観的には評価が難しい軽度の脱毛と、経験的に他者が見ても明らかな客観的に重度の脱毛とがあるが、前者は薬剤中止後にさらに脱毛が進行して完全に脱毛することはない。一方で、後者の客観的に確認できる重度の脱毛は、薬剤を中止しても完全に脱毛するまで進行し、完全脱毛に至ることが多い。一般的にチオプリンの副作用のほとんどは薬剤の中止で速やかに改善するが、脱毛は、一度抜けてしまうと発毛までも数週間から数か月、さらに完全に回復するまでは数か月から半年、元の髪の長さによっては数年も必要であるために、他の副作用よりも患者への影響が大きい。

このようなチオプリンの副作用を事前予測できないかという検討はかねてから行われていた。その中でも、臨床的に医師側が問題とする白血球減少についての研究が多く、欧米では6-メルカトプリンの不活性化関与するチオプリンS−メチルトランスフェラーゼTPMT)の遺伝子多型によるチオプリン代謝の違いが、欧米人での白血球減少に関係しているという報告がされている(非特許文献1)。また、韓国人を対象とした研究で、NUDT15遺伝子多型(NUDT15-R139C、NUDT15遺伝子によりコードされるタンパク質の139番目アルギニンからシステインに変異する多型)が白血球減少と強い相関をしているという報告がされている(非特許文献2)。さらに、NUDT15遺伝子の139番目の遺伝子多型が急性リンパ性白血病(ALL)の小児におけるメルカプトプリン不耐性決定因子であるという報告もされている(非特許文献3)。

概要

脱毛の発症の危険性と関連性のある遺伝子多型を利用して、チオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法を提供すること。 被検体におけるチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法は、被検体由来生物学的試料から、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、または 前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型を検出することを含む。なし

目的

本発明の目的は、脱毛の発症の危険性と関連性のある遺伝子多型を利用して、チオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

検体におけるチオプリンによる脱毛発症の危険性を判定する方法であって、被検体由来生物学的試料から、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目塩基における多型、または前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型を検出することを含む方法。

請求項2

前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がC/CまたはC/Tである場合に、脱毛の発症の危険性が低いと判定し、T/Tである場合に、脱毛の発症の危険性が高いと判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

請求項1または2に記載の方法により判定したチオプリンによる脱毛の発症の危険性に基づいてチオプリンを投与する患者選別することを含む、チオプリンを投与する患者の選別方法

請求項4

チオプリンがアザチオプリンまたは6-メルカプトプリンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

下記の(i)または(ii)の塩基を含む連続する少なくとも10塩基の配列、またはその相補配列ハイブリダイズすることができ、請求項1または2に記載の方法においてプローブとして用いられるポリヌクレオチド。(i)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、および(ii)前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型

請求項6

下記の(i)または(ii)の塩基を含む連続する少なくとも10塩基の配列、またはその相補配列を増幅することができ、請求項1または2に記載の方法においてプライマーとして用いられるポリヌクレオチド。(i)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、および(ii)前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型

請求項7

(a)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型を含む15〜300塩基からなるポリヌクレオチド、(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、または(c)(a)または(b)にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドからなるチオプリンによる脱毛の発症の危険性の判定用マーカー

請求項8

請求項5〜7のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、被検体におけるチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定するためのキット

請求項9

有効成分としてチオプリンを含有する炎症性腸疾患治療するための医薬組成物であって、チオプリンが6-メルカプトプリンであり、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がT/Cである被検体に、投与開始から8週間までの間、6-メルカプトプリンが1日0.2-0.3mg/kgの量で投与されるように用いられる、医薬組成物。

請求項10

前記被験者日本人である請求項9に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、チオプリン製剤による副作用の危険性の判定方法に関し、より詳細には、チオプリンによる脱毛発症の危険性を判定する方法に関する。

背景技術

0002

6-メルカトプリン(6-MP)およびアザチオプリン(AZA)などのチオプリン製剤は、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含む炎症性腸疾患(IBD)をはじめとする種々の疾患に対する治療薬として広く用いられている。チオプリンの副作用として様々なものがあげられるが、特に白血球減少臨床的には問題とされてきた。

0003

白血球減少の他に、患者側が主に問題とするものとして、妊娠に関する不安や、脱毛などの日常生活に強い影響を及ぼす副作用が挙げられる。脱毛には、本人が自覚するが客観的には評価が難しい軽度の脱毛と、経験的に他者が見ても明らかな客観的に重度の脱毛とがあるが、前者は薬剤中止後にさらに脱毛が進行して完全に脱毛することはない。一方で、後者の客観的に確認できる重度の脱毛は、薬剤を中止しても完全に脱毛するまで進行し、完全脱毛に至ることが多い。一般的にチオプリンの副作用のほとんどは薬剤の中止で速やかに改善するが、脱毛は、一度抜けてしまうと発毛までも数週間から数か月、さらに完全に回復するまでは数か月から半年、元の髪の長さによっては数年も必要であるために、他の副作用よりも患者への影響が大きい。

0004

このようなチオプリンの副作用を事前予測できないかという検討はかねてから行われていた。その中でも、臨床的に医師側が問題とする白血球減少についての研究が多く、欧米では6-メルカトプリンの不活性化関与するチオプリンS−メチルトランスフェラーゼTPMT)の遺伝子多型によるチオプリン代謝の違いが、欧米人での白血球減少に関係しているという報告がされている(非特許文献1)。また、韓国人を対象とした研究で、NUDT15遺伝子多型(NUDT15-R139C、NUDT15遺伝子によりコードされるタンパク質の139番目アルギニンからシステインに変異する多型)が白血球減少と強い相関をしているという報告がされている(非特許文献2)。さらに、NUDT15遺伝子の139番目の遺伝子多型が急性リンパ性白血病(ALL)の小児におけるメルカプトプリン不耐性決定因子であるという報告もされている(非特許文献3)。

先行技術

0005

Gastroenterology 2000; 118(6): 1025-1030
Nature genetics 2014; 46(9): 1017-1020.
Journal of Clinical Oncology 33 2015, 10.1200/JCO.2014.59.4671

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、NUDT15-R139C多型と、チオプリンによる脱毛の副作用との関係はまだ報告されていない。

0007

また、チオプリンによる脱毛および白血球減少の副作用を予防または軽減するための、被験者のNUDT15-R139Cの遺伝子型に基づく投薬形式についても報告されていない。

0008

上記の先行技術は欧米人や韓国人を被験者としたものであるが、クローン病でのATG16L1の遺伝子多型が韓国人と日本人で相関が違うことが報告されており(Gut2015;64:687-688 doi:10.1136/gutjnl-2014-308242, Journal of human genetics. 2007;52(7):575-83.)、日本人においても上記の先行技術のNUDT15-R139C多型とチオプリンによる副作用の相関が当てはまるかどうかは不明である。

0009

本発明の目的は、脱毛の発症の危険性と関連性のある遺伝子多型を利用して、チオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法を提供することにある。

0010

本発明の別の目的は、副作用として脱毛を伴うチオプリンを投与する患者の選別方法およびチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定するためのキットを提供することである。

0011

本発明の別の目的は、脱毛および/または白血球減少の副作用を起こさない炎症性腸疾患の治療のための医薬組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、チオプリンによる脱毛の発症の危険性のある遺伝子多型を同定し、本発明を完成するに至った。

0013

すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]被検体におけるチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法であって、
被検体由来生物学的試料から、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、または
前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型
を検出することを含む方法。
[2]前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がC/CまたはC/Tである場合に、脱毛の発症の危険性が低いと判定し、T/Tである場合に、脱毛の発症の危険性が高いと判定することをさらに含む、項1に記載の方法。
[3]項1または2に記載の方法により判定したチオプリンによる脱毛の発症の危険性に基づいてチオプリンを投与する患者を選別することを含む、チオプリンを投与する患者の選別方法。
[4]チオプリンがアザチオプリンまたは6-メルカプトプリンである項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[5]下記の(i)または(ii)の塩基を含む連続する少なくとも10塩基の配列、またはその相補配列ハイブリダイズすることができ、項1または2に記載の方法においてプローブとして用いられるポリヌクレオチド

0014

(i)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、および
(ii)前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型
[6]下記の(i)または(ii)の塩基を含む連続する少なくとも10塩基の配列、またはその相補配列を増幅することができ、項1または2に記載の方法においてプライマーとして用いられるポリヌクレオチド。

0015

(i)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、および
(ii)前記NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型
[7](a)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型を含む15〜300塩基からなるポリヌクレオチド、
(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、または
(c)(a)または(b)にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド
からなるチオプリンによる脱毛の発症の危険性の判定用マーカー
[8]項5〜7のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、被検体におけるチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定するためのキット。
[9]有効成分としてチオプリンを含有する炎症性腸疾患を治療するための医薬組成物であって、チオプリンが6-メルカプトプリンであり、
NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がT/Cである被検体に、投与開始から8週間までの間、6-メルカプトプリンが1日0.2-0.3mg/kgの量で投与されるように用いられる、医薬組成物。
[10]前記被験者が日本人である項9に記載の医薬組成物。

発明の効果

0016

本発明によれば、チオプリンによる被験者における脱毛の発症の危険性が高いかどうかを、チオプリン投与前に事前に判定できるため、チオプリンの投与により起こる副作用である脱毛を未然に防ぐことができる。このように、本発明により、チオプリン投与の際のコンパニオン診断法が提供される。

0017

また、被験者のNUDT15の139番目の多型がヘテロ(C/T)型である場合も、投薬量を調整することにより、脱毛および/または白血球減少の副作用を起こさずにチオプリン投与による治療継続性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0018

チオプリンの初期投与量で投与を継続した場合における累積治療継続率(被験者総数に対する、試験終了時まで初期投与量またはそれ以上の量で投与を継続できた患者数の割合)を示すグラフ
チオプリンの用量および種類を調整した場合における累積治療継続率(被験者総数に対する、チオプリンの用量および種類を調整して投与を継続した患者数も含めた、投与を継続できた患者数の割合)を示すグラフ。

0019

本発明は、被検体におけるチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定する方法であって、被検体由来の生物学的試料から、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、またはNUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型を検出することを含む方法を包含する。

0020

NUDT15遺伝子の塩基配列は公知であり、例えばNational Center for Biotechnology Information(NCBI)にGene ID: 55270で登録されている。

0021

連鎖不平衡とは、2つの対立遺伝子がそれぞれ独立に遺伝する場合よりも大きな頻度で互いに連鎖して遺伝することをいう。このような連鎖不平衡を示す一群の対立遺伝子のことをハプロタイプと称する。所定の遺伝子座において複数のSNPsがある場合、その多型の組み合わせであるハプロタイプマーカー個人によって異なる。ハプロタイプマーカーを利用して被験者の遺伝情報と、チオプリン投与による脱毛の発症とを関連付けることができる。

0022

本発明では、好ましくは、連鎖不平衡係数r2が0.8以上、より好ましくは0.95以上、最も好ましくは1である多型を用いることができる。

0023

一実施形態において、被検体は、炎症性腸疾患(IBD)に罹患している被験者である。炎症性腸疾患には、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)およびその他の分類不能型腸炎(IBDU)が含まれる。好ましくは、被験者は日本人である。

0024

被検体由来の「生物学的試料」は任意の生物学的試料であってよく、例えば血液、骨髄液精液腹腔液、唾液、尿等の体液肝臓などの組織細胞;爪;毛髪等が挙げられる。

0025

本明細書において「チオプリン」は、チオプリン系薬剤を指し、6-メルカプトプリン(6-MP)、アザチオプリン(AZA)、6-チオグアニン(6-TG)、もしくはこれらの組み合わせを含み、好ましくは6-メルカプトプリンまたはアザチオプリンである。

0026

脱毛の発症の危険性の「判定」は、脱毛の発症の有無の判断、脱毛の発症の可能性の判断、脱毛の遺伝的要因解明などを指す。

0027

本明細書において、「チオプリンによる脱毛」とは、本人が主観的に自覚するが医師等による客観的評価が難しい脱毛は含まず、チオプリン投与により発症する、医師等により客観的に評価される脱毛を指す。

0028

本発明において「多型を検出する」とは、(1)遺伝子側の多型を直接検出すること、および(2)遺伝子の相補配列側に存在する多型を検出し、その検出結果から遺伝子側多型を推定することの両方を指す。ただし、遺伝子側の多型を直接検出することが好ましい。

0029

検出対象となるNUDT15(nucleside diphosphate linked moiety X-type motif 15)R139C多型は、NUDT15タンパク質の139番目のアルギニンがシステインへ変異する遺伝子多型である。
これは、第13番染色体における位置が48045719番目の塩基、すなわちNUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基が、シトシン(C)からチミン(T)に変異する一塩基多型)であり、NCBIにrs116855232で登録されている。rs116855232の多型を配列番号1に示す。配列中、yはcまたはtである。
cctggaccag cttttctggg gactgygttg tttaaaagaa caaggctatg a (配列番号1)
対立遺伝子の多型がC/Cの場合、脱毛の発症の危険性がないノンリスクホモ接合であり、C/Tの場合はヘテロ接合であり、T/Tの場合は脱毛の発症の危険性が高いホモ接合である。

0030

一実施形態において、本発明の上記の方法は、本発明の上記の方法は、多型がC/CまたはC/Tである場合に、脱毛の発症の危険性が低く、多型がT/Tである場合に、脱毛の発症の危険性が高いと判定することをさらに含む。ここで「脱毛の発症の危険性が低い」とは、多型がT/Tである場合に比べて相対的に低いことを指し、「脱毛の発症の危険性が無い場合も含む。これらの判定により、脱毛の発症の危険性が高い、T/T多型の被験者へのチオプリンの投与を未然に防ぐことができる。

0031

遺伝子多型の検出の対象は、ゲノムDNAが好ましいが、場合によっては(つまり多型部位およびその隣接領域の配列がゲノムと同一または完全相補的になっている場合)cDNA、またはmRNAを使用することもできる。

0032

遺伝子多型を検出するにあたっては、まず遺伝子多型を含む部分を増幅する。増幅は例えばPCR法によって行われるが、他の公知の増幅方法、例えばNASBA法、LCR法、SDA法、LAMP法等で行ってもよい。

0033

プライマーの選択は、例えば、上記の一塩基多型を含む連続する、少なくとも10塩基、好ましくは10〜100塩基の配列、より好ましくは10〜50塩基の配列、および/またはその相補配列を増幅するように行う。一つの実施形態において、プライマーの長さの下限値は、少なくとも12塩基、少なくとも15塩基、または少なくとも18塩基である。プライマーは、上記の一塩基多型部位を含む所定塩基数の配列を増幅するためのプライマーとして機能し得る限り、その配列に1またはそれ以上の置換欠失、付加を含んでもよい。

0034

増幅のために用いるプライマーは、試料が一の対立遺伝子型の場合にのみ増幅されるように、フォワードプライマーまたはリバースプライマーの一方が一塩基多型にハイブリダイズするように選択してもよい。

0035

遺伝子多型の検出は、一の対立遺伝子型に特異的なプローブとのハイブリダイゼーションにより行うことができる。プローブは、上記の一塩基多型を含み、試料とハイブリダイズし、所与検出条件下で検出可能な程度の特異性を与えるものである限り、限定されない。プローブとしては、上記の一塩基多型を含む連続する少なくとも10塩基、好ましくは10〜100塩基の配列、より好ましくは10〜50塩基の配列、またはそれらの相補配列にハイブリダイズすることのできるポリヌクレオチドを用いることができる。一つの実施形態において、プローブの長さの下限値は、少なくとも12塩基、少なくとも15塩基、または少なくとも18塩基である。また、一塩基多型がプローブのほぼ中心部に存在するようにポリヌクレオチドを選択するのが好ましい。該ポリヌクレオチドは、プローブとして機能し得る限り、即ち、目的の対立遺伝子型の配列とハイブリダイズするが、他の対立遺伝子型の配列とはハイブリダイズしない条件下でハイブリダイズする限り、その配列に1またはそれ以上の置換、欠失、付加を含んでいてもよい。なお本明細書において、ヌクレオチドが複数連なったものをポリヌクレオチドと称し、ポリヌクレオチドの中でも塩基数が100以下のものを特にオリゴヌクレオチドと称する。

0036

本発明に用いるハイブリダイゼーション条件は、対立遺伝子型を区別するのに十分な条件である。例えば、試料が一の対立遺伝子型の場合にはハイブリダイズするが、他の対立遺伝子型の場合にはハイブリダイズしないような条件、例えばストリンジェントな条件である。ここで、「ストリンジェントな条件」としては、例えば、例えば、モレキュラークローニング・ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Sambrook et al., 1989)に記載の条件などが挙げられる。具体的には、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mlニシン精子DNAを含む溶液中プローブとともに65℃で一晩保温するという条件などが挙げられる。

0037

遺伝子多型の検出は、制限酵素断片長多型分析法(RFLP:Restriction fragment length polymorphism)、ジデオキシ法およびMaxam-Gilbert法などの公知の直接配列決定法、マイクロアレイによる配列決定法、、GBA(genetic bit analysis)、ジェノタイプインピュテーション疑似シーケンス技術)等、TaqManPCRインベーダーアッセイ変性勾配ゲル電気泳動法(DGGE:denaturing gradient gel electrophoresis)、一本鎖コンフォメーション多型解析(SSCP:single strand conformation polymorphism)、対立遺伝子特異的PCR(allele- specific PCR)、ASO(allele-specific oligonucleotide)によるハイブリダイゼーション法ミスマッチ部位化学的切断(CCM:chemical cleavage of mismatches)、HET(heteroduplex method)法、PEX(primer extension)法、RCA(rolling circle amplification)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF/MS)等を用いて行ってもよい。

0038

本発明はさらに、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型を含む、チオプリンによる脱毛の発症の危険性の判定用マーカーを包含する。好ましくは、かかるマーカーは、(a)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型を含む15〜300塩基からなるポリヌクレオチド、(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、または(c)(a)または(b)にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドからなるチオプリンによる脱毛の発症の危険性の判定用マーカーを包含する。好ましくは、(a)のポリヌクレオチドは、配列番号1に示された塩基配列のうちの15〜300塩基を含むポリヌクレオチドである。

0039

一つ実施形態では、そのようなポリヌクレオチドの塩基配列の長さは、好ましくは15〜100塩基の配列、より好ましくは15〜50塩基の配列である。別の実施形態では、そのようなポリヌクレオチドの塩基配列の長さは、好ましくは18〜100塩基の配列、より好ましくは18〜50塩基の配列である。

0040

本発明はさらに、本発明の上記の方法により判定したチオプリンによる脱毛の発症の危険性に基づいてチオプリンを投与する患者を選別することを含む、チオプリンを投与する患者の選別方法を包含する。

0041

一実施形態において、多型がT/Tである場合に、その患者をチオプリンを投与する対象外とする。

0042

別の実施形態において、多型がC/CまたはC/Tである場合に、その患者をチオプリンを投与する対象とし、多型がT/Tである場合に、その患者をチオプリンを投与する対象外とする。

0043

本発明はさらに、下記の(i)または(ii)の塩基を含む連続する少なくとも10塩基の配列、またはその相補配列にハイブリダイズすることができ、上記の判定方法においてプローブとして用いられるポリヌクレオチドを包含する。

0044

(i)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、および
(ii)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型
本発明はさらに、下記の(i)または(ii)の塩基を含む連続する少なくとも10塩基の配列、またはその相補配列を増幅することができ、上記判定方法においてプライマーとして用いられるポリヌクレオチドを包含する。

0045

(i)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型、および
(ii)NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型と連鎖不平衡係数r2が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型
本発明はさらに、上記のプローブまたはプライマーとして用いられるポリヌクレオチドを含む、被検体におけるチオプリンによる脱毛の発症の危険性を判定するためのキットを包含する。

0046

本発明のキットは、遺伝子多型によるチオプリンによる脱毛の発症の危険性の判定を実施するために必要な1種以上の以下の成分をさらに含んでもよい:酵素緩衝液、dNTP、コントロール用試薬(例えば、組織サンプル、ポジティブおよびネガティブコントロール用標的オリゴヌクレオチドなど)、標識用または検出用試薬固相支持体、ならびに説明書

0047

本発明はさらに、有効成分としてチオプリンを含有する炎症性腸疾患を治療するための医薬組成物であって、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がT/Cである被験者に対して、投与開始から8週間までの間、被検体のNUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がC/Cである被験者に対する用量よりもチオプリンが低用量で投与されるように用いられる、医薬組成物を包含する。

0048

このような医薬組成物の、被検体のNUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がC/Cである被験者に対する投与間隔および用量は、患者の症状、体重、年齢性別等によって異なり一概には決定できないが、投与間隔は、通常1日1回、通常1ヶ月以上、より好ましくは8週間以上、さらに好ましくは1、2、3、5、又は10年以上の期間投与する。1日2〜4回に分けて投与してもよい。また、好ましくは投与は連続投与とするが、投与開始の初期は副作用を避けるため数日または数週間おきに投与してもよい。以下の投与量は炎症性腸疾患の種類を問わず適用されるものとする。

0049

多型がC/Cである被験者の場合、チオプリンが6-メルカプトプリンである場合には、投与開始から8週間までの期間の投与量である初期投与量を通常1日0.1mg/kg〜3mg/kg、より好ましくは1日0.4mg/kg〜1mg/kg、さらに好ましくは1日0.5mg/kgとし、9週目以降は、通常1日0.2mg/kg〜5mg/kg、より好ましくは1日0.8mg/kg〜2mg/kg、1日1.0mg/kgを目標とし増量する。以下、初期投与量は投与開始から8週間までの期間の投与量を指すものとする。

0050

多型がC/Cである被験者の場合、チオプリンがアザチオプリンである場合には、初期投与量を通常1日0.2mg/kg〜6mg/kg、より好ましくは1日0.8mg/kg〜2mg/kg、さらに好ましくは1日1mg/kgとし、9週目以降は、通常1日0.4mg/kg〜10mg/kg、より好ましくは1日1.6mg/kg〜4mg/kg、1日2.0mg/kgを目標とし増量する。

0051

多型がC/Cである被験者の場合、チオプリンがチオグアニン(6-TG)である場合には、初期投与量を通常1日0.1mg/kg〜4mg/kg、より好ましくは1日0.5mg/kg〜1.2mg/kg、さらに好ましくは1日0.6mg/kgとし、9週目以降は、通常1日0.2mg/kg〜6mg/kg、より好ましくは1日0.9mg/kg〜2.4mg/kg、1日1.2mg/kgを目標とし増量する。

0052

多型がC/Cである被験者であって、被験者が小児の場合、好ましくは、上記のチオプリンの初期投与量を半量にし、9週目以降は同じとする。つまり、6-メルカプトプリンの初期投与量を通常1日0.05mg/kg〜1.5mg/kg、より好ましくは1日0.2mg/kg〜0.5mg/kg、さらに好ましくは1日0.2〜0.3mg/kgとし、アザチオプリンの初期投与量を通常1日0.1mg/kg〜3mg/kg、より好ましくは1日0.4mg/kg〜1mg/kg、さらに好ましくは1日0.4〜0.6mg/kgとし、チオグアニン(6-TG)の初期投与量を通常1日0.05mg/kg〜2mg/kg、より好ましくは1日0.2mg/kg〜0.6mg/kg、さらに好ましくは1日0.2〜0.4mg/kgとする。

0053

多型がC/Tである被験者の場合、チオプリンが6-メルカプトプリンである場合には、投与開始から8週間までの期間の投与量である初期投与量を通常1日0.05mg/kg〜1.0mg/kg、より好ましくは1日0.2mg/kg〜0.5mg/kg、さらに好ましくは1日0.2〜0.3mg/kgとし、9週目以降は、通常1日0.1mg/kg〜2.5mg/kg、より好ましくは1日0.4mg/kg〜1mg/kg、1日0.5mg/kgを目標とし増量する。

0054

多型がC/Tである被験者の場合、チオプリンがアザチオプリンである場合には、初期投与量を通常1日0.1mg/kg〜2mg/kg、より好ましくは1日0.4mg/kg〜1mg/kg、さらに好ましくは1日0.4〜0.6mg/kgとし、9週目以降は、通常1日0.2mg/kg〜4mg/kg、より好ましくは1日0.8mg/kg〜2mg/kg、1日1.0mg/kgを目標とし増量する。

0055

多型がC/Tである被験者の場合、チオプリンがチオグアニン(6-TG)である場合には、初期投与量を通常1日0.05mg/kg〜2mg/kg、より好ましくは1日0.2mg/kg〜0.6mg/kg、さらに好ましくは1日0.2〜0.4mg/kgとし、9週目以降は、通常1日0.1mg/kg〜3mg/kg、より好ましくは1日0.4mg/kg〜1.2mg/kg、1日0.5〜0.7mg/kgを目標とし増量する。

0056

多型がC/Tである被験者であって、被験者が小児の場合、好ましくは、上記のチオプリンの初期投与量を半量にし、9週目以降は同じとする。つまり、6-メルカプトプリンの初期投与量を通常1日0.02mg/kg〜0.5mg/kg、より好ましくは1日0.1mg/kg〜0.3mg/kg、さらに好ましくは1日0.1〜0.2mg/kgとし、アザチオプリンの初期投与量を通常1日0.05mg/kg〜1mg/kg、より好ましくは1日0.2mg/kg〜0.5mg/kg、さらに好ましくは1日0.2〜0.3mg/kgとし、チオグアニン(6-TG)の初期投与量を通常1日0.02mg/kg〜1mg/kg、より好ましくは1日0.1mg/kg〜0.3mg/kg、さらに好ましくは1日0.1〜0.2mg/kgとする。

0057

なお、アロプリノールを併用する場合は、多型C/C又はC/Tである被験者の上記のチオプリンの投与量を低減する場合があり、例えば以下の通りである。

0058

多型がC/Cである被験者であって、チオプリンが6-メルカプトプリンである場合、初期投与量を1日0.03mg/kg〜1mg/kgとし、9週目以降は1日0.05mg/kg〜1.7mg/kgを目標とする。チオプリンがアザチオプリンである場合、初期投与量を1日0.05mg/kg〜2mg/kgとし、9週目以降は1日0.2mg/kg〜3.4mg/kgを目標とする。チオプリンがチオグアニン(6-TG)である場合、初期投与量を1日0.02mg/kg〜1.4mg/kgとし、9週目以降は1日0.05mg/kg〜2mg/kgを目標とする。

0059

多型がC/Tである被験者であって、チオプリンが6-メルカプトプリンである場合、初期投与量を1日0.01mg/kg〜0.3mg/kgとし、9週目以降は1日0.02mg/kg〜0.9mg/kgを目標とする。チオプリンがアザチオプリンである場合、初期投与量を1日0.02mg/kg〜0.7mg/kgとし、9週目以降は1日0.05mg/kg〜1.4mg/kgを目標とする。チオプリンがチオグアニン(6-TG)である場合、初期投与量を通常1日0.01mg/kg〜0.7mg/kgとし、9週目以降は1日0.02mg/kg〜1mg/kgを目標とする。

0060

6-メルカプトプリンは散剤であるため、被験者が女性または小児を含む体重の少ない被験者である場合に好適に使用される。また、多型がC/Cである被験者の場合、投与開始から8週間までの間の用量を低くすることが好ましいため、6-メルカプトプリンが好適に使用される。

0061

本発明はさらに、有効成分としてチオプリンを含有する炎症性腸疾患を治療するための医薬組成物であって、チオプリンが6-メルカプトプリンであり、NUDT15遺伝子の第3エクソンの5’末端から60番目の塩基における多型がT/Cである被検体に、投与開始から8週間までの間、6-メルカプトプリンが1日0.2-0.3mg/kgの量で投与されるように用いられる、医薬組成物を包含する。

0062

本発明の医薬組成物には、必要に応じて薬学的担体を配合し、予防または治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能である。薬学的担体は、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤着色剤液状製剤における溶剤溶解補助剤懸濁化剤等張化剤緩衝剤無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤抗酸化剤、着色剤、甘味剤安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。

0063

明細書中引用されているすべての特許出願および文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。

0064

以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。

0065

1.対照
北大病院通院中の潰瘍性大腸炎、クローン病、分類不能型腸炎に対してチオプリン治療歴がある日本人患者のうち、遺伝子研究に書面で同意した142例を対象とした。潰瘍性大腸炎およびクローン病の診断厚生労働省の従来の診断基準に従って臨床症状、内視鏡所見X線写真所見、及び組織学的所見に基づいて行った。患者のゲノムDNAは標準的なフェノールクロロホルム抽出沈殿によるか、または自動核酸抽出装置クラボウ、大阪)またはPAXgene DNAキット(BD, アメリカ合衆国ニュージャージー州)を使用して末梢血白血球から得た。
2.チオプリン処理および有害事象
チオプリンの初期投与量(投与開始から8週間までの期間の投与量)、継続投与量、継続期間、性別、体重、抗TNFα抗体製剤の併用の有無、脱毛の有無、および他の副作用発症の有無(白血球減少症膵炎など)を診療録から調査した。チオプリンの継続投与量は、1年を超えてチオプリン処理を継続できた患者の最終濃度として定義した。6MPの量は2倍してAZA相当量に調整した。脱毛は他覚的に確認できる完全な脱毛で回復に時間がかかるものとし、自覚症状のみで他覚的に進行しないものは除外した。白血球減少症は、NCI N, DHHS. National Cancer Institute, Common Terminology Criteria for Adverse Events v4. NIH publication 2009; # 09-7473.に記載されている一般的な毒性基準により以下のグレードに分けした:グレード2、白血球(WBC)数 2000-3000/mm3;グレード3、1000-2000/mm3;グレード4、<1000mm3。
3.ゲノムタイピング
検討する遺伝子多型は、これまでに白血球減少との相関が欧米で報告されているTPMT遺伝子多型(アレル3C, rs1142345)と、韓国人で報告されているNUDT15 R139C遺伝子多型(rs116855232)とした。タイピングにはCustom TaqMan SNP GenotypingAssay KitおよびSep-One Plus Real TimePCRシステム(Life Technologies, アメリカ合衆国カリフォルニアカールスバッド)を使用した。rs116855232に特異的なフォワードプライマーおよびリバースプライマーの配列と、蛍光レポーター染料FAMまたはVIC)で標識した2つの対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブは、それぞれ
5′-CCCCTGGACCAGCTTTTCTG-3′(配列番号2)、
5′-CCACCAGATGGTTCAGATCTTCTTTAAA-3′(配列番号3)、
5′-AAACAACGCAGTCCC-3′ (配列番号4)、および
5′-TTTAAACAACACAGTCCC-3′(配列番号5)
とした。ポリメラーゼ連鎖反応サーマルサイクラーの条件は変性に95℃で15秒間、アニーリングおよび伸長を60℃で60秒を40サイクルとした。
4.統計学分析
アザチオプリン(AZA)または6-メルカプトプリンで(6-MP)最初に治療した患者の基準値はChi-square testまたはStudent's t-testで比較した。患者のアレル・遺伝子型頻度などの比較にはANOVAまたは単変量解析のChi-square testにより比較した。遺伝子型および他の因子と、白血球減少との相関の同定は多変量解析としてロジスティック回帰分析を行い、投与継続の解析にはカプラマイヤー法およびログランク検定を用い、計算にはR version 2.14.1を使用した。P値<0.05を統計学的に有意とした。
5.結果
142例中7例は、白血球のデータなどの欠損により除外した。今回対象とした患者背景や、2つのチオプリン製剤(AZA,6-MP)による背景の違いを検討したところ、6-MPが女性に使用されている頻度が高いものの、2つの群の年齢および体重あたりの投与量などに有意差はなかった(表1)。6-MPが女性に多い理由は、6MPは散剤で、アザチオプリンが50mgの錠剤であることから、体重が軽い女性のほうでは、散剤による用量調整が容易であるためと考えられた。残り135例について遺伝子多型ごとの副作用について検討した。

0066

TPMT遺伝子多型については、*3Cアレル保有者が2人しか存在せず、一人は病状の悪化により他治療への変更を要し、もう一例は吐き気訴えがありいずれも早期に(8週以内)チオプリン治療は中止していたが、いずれも脱毛はなく、相関は認めなかった。

0067

NUDT15 R139C多型に関しての結果を表2にまとめた。完全脱毛は5例が発症し、全例がNUDT15 R139C多型のホモ接合(T/T)であり、T/T群以外には脱毛は認めなかった(p=3.82×10-16、オッズ比=212)。このことから、T/T群であるかどうかが、チオプリン関連の完全脱毛を規定しているという新たな知見が得られた。また、Tアレルと白血球減少との相関は、今回初めて日本人でも相関を認めることが確認された。

0068

R139C遺伝子型は早発性白血球減少症(チオプリン薬剤投与後8週以内に発症する早発性白血球減少症)と有意に相関しており(表3)、T/T群のすべての患者は重度の早発性白血球減少症(グレード3または4)を発症した(p=3.82×10-16、オッズ比=212)。この相関は遅発性白血病減少症では観察されなかった(p=0.907)。性別、年齢、チオプリンの初期投与量、およびR139Cリスクアレル数についての論理回帰分析によると、R139Cのみが早発性白血球減少症と有意に相関していた(表4)。C/C表現型とC/T表現型を比較すると、C/T表現型の患者はC/C表現型の患者よりも高い頻度で早発性白血病減少症を発症していた(p=6.71×10-3,オッズ比=22.3)。

0069

薬剤の継続性もNUDT15 R139C遺伝子多型との相関が確認された。完全脱毛の危険性が高いホモ群(T/T)はすべての症例において8週以内に投与を白血球減少および全脱毛で治療を中止したが、ヘテロ接合の群(C/T)でも白血球減少により治療を中止した割合が、完全脱毛の危険性が無いホモ群(C/C)におけるよりも高い傾向があり(46% 対 23%、データ非図示)、完全脱毛の危険性が無いホモ群(C/C)と比較して、チオプリン開始後、早期にチオプリンの中止や、投与量の低減、チオプリン製剤のAZAから6MPへの変更を必要としていた(図1、p = 1.45×10-4)。しかし、投与量の低減やチオプリン製剤のAZAから6MPへの変更後はC/T群とC/C群の間で治療継続率に差を認めず(図2)、薬剤投与量投与方法によってC/T群でも治療が継続できる可能性が示された。実際に、1年を超えて薬剤を継続できた人に関して、維持治療に使用していたチオプリン量を遺伝子型別に比較したところ、表5のように、C/T群はC/C群よりも使用量が有意に少なかった。1年を超えてチオプリン治療を継続できなかった45%のC/T群の患者は、投与開始後8週以内で治療を中止していたが、治療を中止したC/T群の患者の初期投与量は、8週を超えてチオプリンを継続できたC/T群の患者のそれよりも有意に高かった(1.16mg/kg/day vs. 0.804mg/kg/day, p=0.0245) これより、C/T群では投与量を少なく設定することで薬剤の継続性を維持できるという新たな知見が得られた。

0070

結論として、R139C多型は日本人においてチオプリン関連の完全脱毛と強い相関を認めた。T/T群はほぼ確実に完全脱毛と白血球減少を投与後早期に発症するため、チオプリン投与は避けるべきである。またC/T群は低用量(1日0.2-0.3mg/kg)の6MPでの治療開始が望ましいと考えられた。 以上より、R139C多型およびこれと連鎖不平衡にある多型の検査はチオプリン治療による脱毛を予測し継続性を上げることができるコンパニオン診断として有用であると考えられる。

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実施例

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