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技術 培養装置及び該培養装置を用いた細胞培養方法

出願人 学校法人近畿大学
発明者 伊藤彰彦
出願日 2015年4月22日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2015-087897
公開日 2016年12月8日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2016-202076
状態 特許登録済
技術分野 微生物・酵素関連装置 微生物、その培養処理
主要キーワード 一貫通孔 有孔プレート 受け皿内 ガス圧力制御 シリコンゴムシート プレート材 ヘクト 成分測定
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月8日)のものです。
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図面 (6)

課題

細胞微細な圧力を付加できる、安価な培養装置及び該培養装置を用いた細胞培養方法の提供。

解決手段

有孔プレート材からなる基盤2と、基盤2の第一貫通孔を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器4と、培養容器4の上に密閉手段5を介して一方の面に突出部、他方の面に液体培地を含む筒状体7が立設され、支持プレート8と突出部を貫通する第二貫通孔穿設され、培養容器4が基盤2と支持プレート8の間に該突出部の先端と該密閉手段を介して挟持され、該第一貫通孔と該第二貫通孔が同軸状に位置づけられて固定され、培養容器4の底面を液体培地に浸漬させるために基盤2の下に受け皿が配され、培養容器4の底面が半透膜である、静水圧を細胞に付与するための培養装置1。

概要

背景

従来から、細胞に圧力を付加しながら培養しようとする試みが数多くなされている。
例えば、特許文献1では圧力制御もなし得る細胞培養器および培養細胞処理システムが提案されている。
しかし、特許文献1の培養装置耐圧容器と、該耐圧容器に雰囲気ガスを供給するガス供給装置と、該雰囲気ガスの圧力を制御するガス圧力制御装置とを備えてなる複雑な構造を有する大がかりな培養装置であるため、取り扱いが煩雑であり、そのうえ高価で手に入れづらいという問題点を有する。また、O2ガスを供給するO2ガス供給機構と、CO2ガスを供給するCO2ガス供給機構と、N2ガスを供給するN2ガス供給機構とを備えてなるのが好ましいとされており、雰囲気ガスを供給するにも別途構成が必要になり一層取扱いが煩雑になり、高いコストがかかるという問題点を有する。

特許文献2では、高圧下でも培養液培養槽に的確に供給でき、しかも培養液の成分測定をも可能にし得る高圧培養装置、及びこれを用いた深水生物育成方法が提案されている。
この装置は小型化が容易な簡易な構成を有することを特徴としていると記載されているが、各種センサや制御手段を備えており、特許文献1と同様に複雑な構造を有する培養装置であると言え、取扱いが煩雑であり、そのうえ高価で手に入れづらいという問題点を有する。
特許文献2記載の培養装置は1−200MPa(メガパスカル)程度の加圧を付与することを想定した装置であり、例えばヘクトパスカル(メガパスカルの1/104)のような非常に弱い圧力を付加することができないという問題点を有する。
この培養装置は培養槽を使用して細胞を培養するため、少量の細胞を培養するには適さないという問題点を有する。

概要

細胞に微細な圧力を付加できる、安価な培養装置及び該培養装置を用いた細胞培養方法の提供。有孔プレート材からなる基盤2と、基盤2の第一貫通孔を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器4と、培養容器4の上に密閉手段5を介して一方の面に突出部、他方の面に液体培地を含む筒状体7が立設され、支持プレート8と突出部を貫通する第二貫通孔穿設され、培養容器4が基盤2と支持プレート8の間に該突出部の先端と該密閉手段を介して挟持され、該第一貫通孔と該第二貫通孔が同軸状に位置づけられて固定され、培養容器4の底面を液体培地に浸漬させるために基盤2の下に受け皿が配され、培養容器4の底面が半透膜である、静水圧を細胞に付与するための培養装置1。

目的

本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、非常に弱い圧力を付加することができる安価な培養装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

有孔プレート材からなる基盤と、該基盤の第一貫通孔を覆うように配された細胞液体培地を含む培養容器と、該培養容器の上に密閉手段を介して設けられ、一方の面に突出部が設けられ、他方の面に着脱自在に液体培地を含む筒状体が立設され、該筒状体を支持するための支持プレートとを備え、該支持プレートと突出部を貫通する孔である第二貫通孔穿設され、該培養容器が該基盤と該支持プレートの間に該突出部の先端と該密閉手段を介して挟持され、該第一貫通孔と該第二貫通孔が同軸状に位置づけられて固定され、前記培養容器の底面を液体培地に浸漬させるために前記基盤の下に受け皿が配され、前記培養容器の底面が半透膜であることを特徴とする、静水圧を細胞に付与するための培養装置

請求項2

有孔プレート材からなる基盤と、該基盤の第一貫通孔を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器と、該培養容器の底面上にその一端が配され、液体培地を含む筒状体と、該筒状体を支持するための支持手段と、該筒状体と該培養容器の底面の間に挟持される密閉手段と、前記培養容器の底面を液体培地に浸漬させるために該基盤の下に配される受け皿とを備え、前記培養容器の底面が半透膜であることを特徴とする、静水圧を細胞に付与するための培養装置。

請求項3

前記培養容器の底面と前記第一貫通孔及び少なくともその周辺部の間に多孔質シートが配されることを特徴とする、請求項1又は2記載の培養装置。

請求項4

前記多孔質シートにおける孔の直径が0.02−0.5mmの範囲内であり、1cm2当たり100−3000個の孔を有することを特徴とする、請求項3記載の培養装置。

請求項5

前記半透膜における孔の直径が0.7−2.0μmの範囲内である場合1cm2当たり5.0×105−5.0×107個の孔を有し、前記半透膜における孔の直径が0.1−0.7μmの範囲内である場合1cm2当たり5.0×107−5.0×109個の孔を有することを特徴とする、請求項4記載の培養装置。

請求項6

前記密閉手段がO−リングであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の培養装置。

請求項7

前記受け皿が蓋を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の培養装置。

請求項8

前記筒状体が蓋を有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の培養装置。

請求項9

前記基盤の側面に第一貫通孔と交わる第三貫通孔を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の培養装置。

請求項10

請求項1乃至9のいずれかに記載の培養装置を用いて細胞を培養する方法。

請求項11

前記細胞が、呼吸器上皮細胞消化器系粘膜上皮細胞、消化器系腺上皮細胞表皮細胞神経細胞上衣細胞、骨・軟骨細胞滑膜細胞、及び間葉系細胞からなる群から選択されることを特徴とする、請求項10記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、培養液を含む筒状体の下で細胞を培養する、静水圧を細胞に付与するための培養装置であって、筒状体中に培養液を入れることで細胞に微細な圧力(0.005−0.1気圧程度)を付加できる培養装置及び該培養装置を用いた細胞培養方法に関する。

背景技術

0002

従来から、細胞に圧力を付加しながら培養しようとする試みが数多くなされている。
例えば、特許文献1では圧力制御もなし得る細胞培養器および培養細胞処理システムが提案されている。
しかし、特許文献1の培養装置は耐圧容器と、該耐圧容器に雰囲気ガスを供給するガス供給装置と、該雰囲気ガスの圧力を制御するガス圧力制御装置とを備えてなる複雑な構造を有する大がかりな培養装置であるため、取り扱いが煩雑であり、そのうえ高価で手に入れづらいという問題点を有する。また、O2ガスを供給するO2ガス供給機構と、CO2ガスを供給するCO2ガス供給機構と、N2ガスを供給するN2ガス供給機構とを備えてなるのが好ましいとされており、雰囲気ガスを供給するにも別途構成が必要になり一層取扱いが煩雑になり、高いコストがかかるという問題点を有する。

0003

特許文献2では、高圧下でも培養液を培養槽に的確に供給でき、しかも培養液の成分測定をも可能にし得る高圧培養装置、及びこれを用いた深水生物育成方法が提案されている。
この装置は小型化が容易な簡易な構成を有することを特徴としていると記載されているが、各種センサや制御手段を備えており、特許文献1と同様に複雑な構造を有する培養装置であると言え、取扱いが煩雑であり、そのうえ高価で手に入れづらいという問題点を有する。
特許文献2記載の培養装置は1−200MPa(メガパスカル)程度の加圧を付与することを想定した装置であり、例えばヘクトパスカル(メガパスカルの1/104)のような非常に弱い圧力を付加することができないという問題点を有する。
この培養装置は培養槽を使用して細胞を培養するため、少量の細胞を培養するには適さないという問題点を有する。

先行技術

0004

特開2003−325160号公報
特開2000−258545号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、非常に弱い圧力を付加することができる安価な培養装置を提供するものである。

課題を解決するための手段

0006

請求項1に係る発明は、有孔プレート材からなる基盤と、該基盤の第一貫通孔を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器と、該培養容器の上に密閉手段を介して設けられ、一方の面に突出部が設けられ、他方の面に着脱自在に液体培地を含む筒状体が立設され、該筒状体を支持するための支持プレートとを備え、該支持プレートと突出部を貫通する孔である第二貫通孔穿設され、該培養容器が該基盤と該支持プレートの間に該突出部の先端と該密閉手段を介して挟持され、該第一貫通孔と該第二貫通孔が同軸状に位置づけられて固定され、前記培養容器の底面を液体培地に浸漬させるために前記基盤の下に受け皿が配され、前記培養容器の底面が半透膜であることを特徴とする、静水圧を細胞に付与するための培養装置に関する。

0007

請求項2に係る発明は、有孔プレート材からなる基盤と、該基盤の第一貫通孔を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器と、該培養容器の底面上にその一端が配され、液体培地を含む筒状体と、該筒状体を支持するための支持手段と、該筒状体と該培養容器の底面の間に挟持される密閉手段と、前記培養容器の底面を液体培地に浸漬させるために該基盤の下に配される受け皿とを備え、前記培養容器の底面が半透膜であることを特徴とする、静水圧を細胞に付与するための培養装置に関する。

0008

請求項3に係る発明は、前記培養容器の底面と前記第一貫通孔及び少なくともその周辺部の間に多孔質シートが配されることを特徴とする、請求項1又は2記載の培養装置に関する。

0009

請求項4に係る発明は、前記多孔質シートにおける孔の直径が0.02−0.5mmの範囲内であり、1cm2当たり100−3000個の孔を有することを特徴とする、請求項3記載の培養装置に関する。

0010

請求項5に係る発明は、前記半透膜における孔の直径が0.7−2.0μmの範囲内である場合1cm2当たり5.0×105−5.0×107個の孔を有し、前記半透膜における孔の直径が0.1−0.7μmの範囲内である場合1cm2当たり5.0×107−1.0×109個の孔を有することを特徴とする、請求項4記載の培養装置に関する。

0011

請求項6に係る発明は、前記密閉手段がO−リングであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の培養装置に関する。

0012

請求項7に係る発明は、前記受け皿が蓋を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の培養装置に関する。

0013

請求項8に係る発明は、前記筒状体が蓋を有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の培養装置に関する。

0014

請求項9に係る発明は、前記基盤の側面に第一貫通孔と交わる第三貫通孔を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の培養装置に関する。

0015

請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の培養装置を用いて細胞を培養する方法に関する。

0016

請求項11に係る発明は、前記細胞が、呼吸器上皮細胞消化器系粘膜上皮細胞、消化器系腺上皮細胞表皮細胞神経細胞上衣細胞、骨・軟骨細胞滑膜細胞、及び間葉系細胞からなる群から選択されることを特徴とする、請求項10記載の方法に関する。

発明の効果

0017

請求項1に係る発明によれば、有孔プレート材からなる基盤と、該基盤の第一貫通孔を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器と、該培養容器の上に密閉手段を介して設けられ、一方の面に突出部が設けられ、他方の面に着脱自在に液体培地を含む筒状体が立設され、該筒状体を支持するための支持プレートとを備え、該支持プレートと突出部を貫通する孔である第二貫通孔が穿設され、該培養容器が該基盤と該支持プレートの間に該突出部の先端と該密閉手段を介して挟持され、該第一貫通孔と該第二貫通孔が同軸状に位置づけられて固定されていることで、培養容器内の細胞の上に筒状体が位置するため、筒状体に液体培地を加えることで細胞に圧力を付加することができる。このため、例えば培養容器の底面から30cmの高さにまで液体培地を加えた場合、0.03気圧程度の微細な圧力を細胞に付加することができる。ひいては、このような微細な圧力が発症の原因とされる頭蓋内圧亢進による脳浮腫緑内障等に関連する脳神経細胞・上衣細胞、網膜神経節細胞をこの培養装置を用いて培養することで、上記疾患の病態分子生物学メカニズムの研究を詳細に行うことができる。また、支持プレートで筒状体を支持することで筒状体は安定した状態で立設することができる。さらに、密閉手段を有することで筒状体につながる第二貫通孔から液体培地が漏出するのを防ぐことができる。
上記培養装置は従来の培養装置と比較して非常に簡易な構造であるため、培養装置ごとオートクレーブアルコール殺菌などの滅菌処理をすることができ、且つ安価で提供することができる。
前記培養容器の底面を液体培地に浸漬させるために前記基盤の下に受け皿を配し、前記培養容器の底面が半透膜であることで、受け皿に含まれる液体培地から培養容器に含まれる液体培地へO2及びCO2が供給でき、温度やpHの変化も少なくなるため、数日間の培養が可能となる。
さらに、従来の培養装置と比べて小型であるため、少量の細胞の培養に適している。

0018

請求項2に係る発明によれば、有孔プレート材からなる基盤と、該基盤の第一貫通孔を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器と、該培養容器の底面上にその一端が配され、液体培地を含む筒状体と、該筒状体を支持するための支持手段と、該筒状体と該培養容器の底面の間に挟持される密閉手段とを備えていることで、請求項1記載の培養装置とは異なる構成を有するものの、請求項1記載の培養装置と同様に培養容器内の細胞の上に筒状体が位置するため、筒状体に液体培地を加えることで細胞に圧力を付加することができる。このため例えば培養容器の底面から30cmの高さにまで液体培地を加えた場合、0.03気圧程度の微細な圧力を細胞に付加することができる。また、密閉手段を有することで筒状体につながる第二貫通孔から液体培地が漏出するのを防ぐことができる。
上記培養装置は従来の培養装置と比較して非常に簡易な構造であるため、培養装置ごとオートクレーブやアルコール殺菌などの滅菌処理をすることができ、且つ安価で提供することができる。
前記培養容器の底面を液体培地に浸漬させるために前記基盤の下に受け皿を配し、前記培養容器の底面が半透膜であることで、受け皿に含まれる液体培地から培養容器に含まれる液体培地へO2及びCO2が供給でき、温度やpHの変化も少なくなるため、数日間の培養が可能となる。
さらに、従来の培養装置と比べて小型であるため、少量の細胞の培養に適している。

0019

請求項3に係る発明によれば、多孔質シートを培養容器の底面と第一貫通孔及びその周辺部の間に配することで、培養容器内のガス分圧平衡を保ちつつ培養容器の底面が筒状体に含まれる液体培地による圧力で下方に湾曲するのを防ぐことができる。

0020

請求項4に係る発明によれば、多孔質シートの孔の直径が0.02−0.5mmの範囲内であり、1cm2当たり100−3000個の孔を有することで、培養容器内のガス分圧平衡を保ちつつ培養容器の底面が筒状体に含まれる液体培地による圧力で下方に湾曲するのをより効果的に防ぐことができる。さらに、筒状体に含まれる液体培地の液面が低下するのを防ぐことができるため、長期間(数日間)にわたる培養を可能にする。

0021

請求項5に係る発明によれば、半透膜の孔の直径が0.7−2.0μmの範囲内である場合1cm2当たり5.0×105−5.0×107個の孔を有し、前記半透膜における孔の直径が0.1−0.7μmの範囲内である場合1cm2当たり5.0×107−1.0×109個の孔を有することで、多孔質シートと組み合わせた際に、ガス分圧平衡を維持(培養中の酸素分圧を維持)しつつ、受け皿に含まれる液体培地から培養容器に含まれる液体培地へO2及びCO2が供給でき、数日間の培養に適した培養装置とすることができる。

0022

請求項6に係る発明によれば、密閉手段をO−リングとすることで筒状体又は第二貫通孔に含まれる液体培地が外部に漏れるのを効果的に防ぐことができる。接着剤等の液体培地に溶解するような化学物質を使用しないため、培養している細胞に悪影響を与えることなく、筒状体に含まれる液体培地の漏出を防ぐことができる。

0023

請求項7に係る発明によれば、受け皿が蓋を有することで受け皿に含まれる液体培地の蒸発を防ぐことができる。

0024

請求項8に係る発明によれば、筒状体が蓋を有することで筒状体に含まれる液体培地の蒸発を防ぐことができる。

0025

請求項9に係る発明によれば、基盤の側面に第一貫通孔と交わる第三貫通孔を有することで第一貫通孔内に空気が入ってしまっても第三貫通孔から液体培地を注入することで空気を抜くことができる。

0026

請求項10に係る発明によれば、請求項1乃至9のいずれかに記載の培養装置を用いて細胞を培養することで、ヒトの種々の疾患(緑内障、頭蓋内圧亢進による脳浮腫等)の原因となる0.03気圧程度の圧力を付加しながら細胞を培養することができるため、軽微な圧力が如何にして種々の細胞の変性アポトーシス惹起し、その結果として病変や病態が形成されるのかについて、その分子生物学的なメカニズムを解明するための培養環境を提供することができる。

0027

請求項11に係る発明によれば、細胞が呼吸器系上皮細胞、消化器系粘膜上皮細胞、消化器系腺上皮細胞、表皮細胞、神経細胞、上衣細胞、骨・軟骨細胞、滑膜細胞、及び間葉系細胞からなる群から選択されることで、軽微な圧力が原因である種々の疾患の中でも例えば気道内圧上昇に伴う傷害、腸内圧亢進に伴う粘膜傷害、緑内障、及び頭蓋内圧亢進による脳浮腫に関係する細胞が軽微な圧力を付加された場合その分子生物学的なメカニズムの解明につながる。また、表皮細胞や骨細胞等は日常的に軽微な圧力を受けているため、その圧力がこれらの細胞にどのような影響を与えているかを分子生物学的に解析するのに役立つ。

図面の簡単な説明

0028

本発明の実施形態1に係る培養装置を示す全体構成図である。
本発明の実施形態1に係る培養装置を示す縦断面図である。
本発明の実施形態2に係る培養装置を示す縦断面図である。
本発明に係る培養装置において、(A)孔の直径が0.4μmの半透膜を使用した場合と、(B)孔の直径が1.0μmの半透膜を使用した場合との、細胞の状態の違いを示す図である。
本発明に係る培養装置において、(A)10cm液面高、及び(B)40cm液面高で3日間培養した後の肺胞上皮細胞の様子を示す図である。

0029

以下、本発明に係る培養装置及び該培養装置を使用した細胞培養方法の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらの記載によって制限されるべきものではない。

0030

<実施形態1>
以下、本発明に係る培養装置の実施形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び2は、本発明の実施形態1に係る培養装置を示す全体構成図及び縦断面図である。
本実施形態(実施形態1)に係る培養装置(1)は、孔が穿設された有孔プレート材(以下、単に有孔プレート材という)からなる基盤(2)と、基盤(2)の第一貫通孔(3)を覆うように配された細胞と液体培地を含む培養容器(4)と、培養容器(4)の上に密閉手段(5)を介して設けられ、一方の面に突出部(6)が設けられ、他方の面に着脱自在に液体培地を含む筒状体(7)が立設され、筒状体(7)を支持するための支持プレート(8)とを備え、支持プレート(8)と突出部(6)を貫通する孔である第二貫通孔(9)が穿設され、培養容器(4)が基盤(2)と支持プレート(8)の間に突出部(6)の先端と密閉手段(5)を介して挟持され、第一貫通孔(3)と第二貫通孔(9)が同軸状に位置づけられて固定される。本発明に係る培養装置(1)をこのような構成にすることで、培養容器(4)内の細胞の上に筒状体(7)が位置するため、筒状体(7)に液体培地を加えることで細胞に圧力を付加することができる。例えば培養容器(4)の底面から30cmの高さにまで液体培地を加えた場合、0.03気圧程度の微細な圧力を細胞に付加することができる。支持プレート(8)で筒状体(7)を支持することで筒状体(7)は安定した状態で立設できる。密閉手段(5)を有することで筒状体(7)につながる第二貫通孔(9)から液体培地が漏出するのを防ぐことができる。
本実施形態の培養装置は従来の培養装置と比較して非常に簡易な構造であるため、培養装置ごとオートクレーブやアルコール殺菌などの滅菌処理をすることができ、且つ安価で提供することができる。

0031

本発明における基盤(2)、筒状体(7)及び支持プレート(8)の素材は特に限定されないが、オートクレーブや紫外線滅菌次亜塩素酸消毒等の滅菌処理が施されることを考慮し、ポリエチレンポリスチレンポリアクリレートポリメタクリレートポリ塩化ビニルポリカーボネート等の熱可塑性樹脂の他、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を使用したもの、アクリル製や耐熱ガラス製のもの等耐熱性耐薬品性に優れた素材を使用することが好ましい。

0032

基盤(2)の側面には、第一貫通孔(3)と交わる第三貫通孔(図示せず)を有することが望ましい。第三貫通孔を有することで第一貫通孔(3)内に空気が入ってしまっても第三貫通孔から液体培地を注入することで空気を抜くことができる。
第三貫通孔の数及び孔径は特に限定されない。

0033

筒状体(7)を支持プレート(8)に固定するための方法は特に限定されないが、筒状体(7)に含まれる液体培地が漏出するのを防ぐために、筒状体(7)と支持プレート(8)の接続部にねじ切り加工等互いに摺合せが良く気密性を高めるような加工を施すことが望ましい。
筒状体(7)及び支持プレート(8)は別体であって上記のように接続されているものであっても、一体のものであっても良い。

0034

筒状体(7)は液体培地の蒸発を防ぐための蓋を有するものであっても、図1及び2に示す如く蓋を有さないものであっても良い。

0035

支持プレート(8)を安定させるために、支持プレート(8)と基盤(2)を互いに固定する固定手段を有することが好ましい。固定手段としては特に限定されないが、図2に示す如くネジ(10)等が挙げられる。
固定手段の個数は特に限定されないが、支持プレート(8)全体を安定させるために3つ以上であることが好ましい。

0036

密閉手段(5)は、筒状体(7)と培養容器(4)の底面の間の気密性を高め、半透膜である培養容器(4)の底面を傷つけたり変形させたりするものでないことが好ましい。例としてシリコン製のO−リング等が挙げられる。また、密閉手段(5)として接着剤等化学的に筒状体(7)と培養容器(4)の底面を接着させるものであっても良いが、液体培地の化学的性質や細胞の状態に影響を与えないようなものでなければならない。

0037

培養容器(4)の底面を液体培地に浸漬させるために基盤(2)の下に受け皿(11)を配し、培養容器(4)の底面が半透膜であることで、受け皿(11)に含まれる液体培地から培養容器(4)に含まれる液体培地へO2及びCO2が供給でき、温度やpHの変化も少なくなるため、数日間の培養が可能となる。

0038

受け皿(11)はシャーレのように比較的浅いものであっても、ビーカーのように比較的深いものであっても良く、蓋を有するものであっても図1及び2に示す如く蓋がないものであっても良い。素材は液体培地を入れるのに好適なものであれば特に限定されず、入手しやすいことからプラスチック製のものやガラス製のものが挙げられる。

0039

受け皿(11)から培養容器(4)中へ液体培地を流入させるために、培養容器(4)の底面は半透膜であることが好ましい。培養する細胞として動物細胞長径10−30μm程度)が挙げられることから、動物細胞は通過できないが液体培地は通過でき、且つpHの変化やO2及びCO2の分圧に変化を与えないような孔の直径(0.7−2.0μm)及び密度(1cm2当たり5.0×105−5.0×107個)、乃至は孔の直径(0.1−0.7μm)及び密度(1cm2当たり0.5−5.0×108個)であることが望ましい。孔の直径及び密度が上記範囲より小さい半透膜だと受け皿(11)から培養容器(4)へ液体培地が供給されにくくなるため好ましくなく、孔の直径及び密度が上記範囲より大きい半透膜だと筒状体(7)に含まれる液体培地の液面が短時間で低下してしまい、圧力を一定に保つことができないため好ましくない。

0040

第一貫通孔(3)を介して受け皿(11)から培養容器(4)へ液体培地が供給されやすくするために、受け皿(11)を底上げするための底上げシート(12)を有することが好ましい。底上げシート(12)の素材は、液体培地の化学的性質に影響を与えない素材であれば特に限定されず、シリコン製のもの等が挙げられる。

0041

本発明に係る培養装置(1)は、多孔質シート(13)を培養容器(4)の底面と第一貫通孔(3)及びその周辺部の間に配することが好ましい。多孔質シート(13)を使用することで培養容器(4)内のガス分圧平衡を保ちつつ培養容器(4)の底面が筒状体(7)に含まれる液体培地による圧力で下方に湾曲するのを防ぐことができる。
多孔質シート(13)の孔の直径は0.5−1.0mmであり、密度は1cm2当たり100−500個であることが望ましい。孔の直径は0.5mmより小さいと受け皿(11)から培養容器(4)の間で液体培地が効率的に交換されないため、pH、O2分圧、CO2分圧等が変化してしまい好ましくない。1.0mmより大きいと筒状体(7)内の液体培地の液面が短時間で下がってしまうため圧力を一定に保つことができず好ましくない。また、例えば金網のような孔径の大きなものを多孔質シート(13)として用いると同様に筒状体(7)内の液体培地の液面が短時間で下がってしまうため圧力を一定に保つことができず好ましくない。

0042

多孔質シート(13)を使用する際、半透膜の孔の直径が0.7−1.5μmの範囲内である場合1cm2当たり0.5−5.0×106個の孔を有し、前記半透膜における孔の直径が0.1−0.7μmの範囲内である場合1cm2当たり5.0×107−1.0×109個の孔を有することが好ましい。この範囲外、例えば孔の直径が0.4μmで密度が1cm2当たり1.6×106個の半透膜を使用すると、筒状体(7)内のガス分圧平衡を維持(培養中の酸素分圧を維持)することができないため好ましくない(下記実施例1参照)。

0043

<実施形態2>
図3は、本発明の実施形態2に係る培養装置を示す縦断面図である。
上記実施形態の他にも、図3に示すような培養装置が実施形態2として挙げられる。
実施形態1と実施形態2の相違点は、第一実施形態においては支持プレート(8)があり、支持プレート(8)の一方の面に突出部(6)が設けられ、他方の面に着脱自在に筒状体(7)が立設されることで筒状体(7)を支持プレート(8)によって支えているのに対し、第二実施形態においては支持プレート(8)を有さず、筒状体(7)が密閉手段(5)を介して培養容器(4)の底面に直接接続される点である。
支持プレート(8)がない代わりに、図3に図示の如く支持手段(14)を使用して筒状体(7)を支えても、支持手段(14)がなくても良い。
支持手段(14)は、筒状体(7)を支持できるものであれば特に限定されないが、図3に図示の如く筒状体(7)を直接挟持する支持体(15)と、支持体(15)と基盤(2)とをつなぐ枠体(16)からなるものであってもよい。

0044

<実施形態3:実施形態1又は2の培養装置を用いた細胞を培養する方法>
軽微な圧力を付加しつつ細胞を培養する方法において、上記実施形態1及び2で挙げられている培養装置を使用することができる。
培養条件は培養する細胞の種類等によって決定されるべきであるので特に限定されないが、動物細胞を用いて数日間培養する場合であれば、培養液のpHの安定性を保つためにCO2インキュベーター内で培養することが好ましい。培養する温度も培養細胞の種類等に応じて適宜変更し得るが、室温よりも高い温度で培養する場合、培養液の蒸発を防ぐために受け皿(11)や筒状体(7)は蓋を有するものを使用するのが好ましい。
培養する細胞として、例えばマウス等の実験動物ヒト由来の動物細胞が挙げられる。より具体的には、ヒトあるいはその他の実験動物由来の呼吸器系上皮細胞、消化器系粘膜上皮細胞、消化器系腺上皮細胞、表皮細胞、神経細胞、上衣細胞、骨・軟骨細胞(前駆細胞を含む)、滑膜細胞、及び間葉系細胞(線維芽細胞など)が挙げられる。これらを本発明の培養装置で培養することで、軽微な圧力(0.005−0.1気圧程度)を細胞に付加することによる細胞への影響を研究することができ、この軽微な圧力が原因となる疾患、例えば気道内圧上昇に伴う肺傷害、緑内障、頭蓋内圧亢進による脳浮腫等の疾患の分子生物学的なメカニズムの解明につながる。また、表皮細胞や骨細胞等は日常的に軽微な圧力を受けているため、その圧力がこれらの細胞にどのような影響を与えているかを分子生物学的に解析するのに役立つ。

0045

<実施例1:本発明における半透膜の選択>
本発明における培養容器の底面に使用する半透膜として適切なものを選択するため、半透膜の孔が小さなもの(孔の直径:0.4μm)を用いて培養した場合と、半透膜の孔が大きなもの(孔の直径:1.0μm)を用いて培養した場合を比較した。比較実験の詳細を以下に示す。

0046

約1.0×104個のRLE−6TN肺上皮細胞を、2mlのRPMI-1640培養液(10%牛血清含有)に懸濁し、0.4μm及び1.0μmにおいて共に孔の密度は1cm2当たり約1.6×106個であるBD Biosciences社製の半透膜付きBD Falcon Cell Culture Insert(6ウェル用)内に播種した後、2日間CO2インキュベーター(エスペック社製)中において37℃で前培養した。その後、Cell Culture Insertを、多孔質シート(孔の直径が約0.15mm、孔の密度が1cm2当たり約200個である、厚さ約1mmのシリコンゴムシート)が配された本発明の培養装置に移し、受け皿(10cmシャーレ)に60mlのRPMI-1640培養液を加え、液面高が50cmになるように底面が円形であって直径が1.3cmである筒状体にRPMI-1640培養液を加えた。また、受け皿と筒状体は蓋をして用いた。
上記のように準備した培養装置において、RLE−6TN肺上皮細胞を3日間CO2インキュベーター中において37℃で培養し、その間のpH、CO2分圧、O2分圧及び細胞の状態の違いを観察した。観察結果を以下表1及び表2(pH、CO2分圧、O2分圧の変化)及び図4(細胞の状態の違い)に示す。以下表1及び表2に記載されている数値は、3回の上記比較実験で得られた結果の平均及びその標準偏差を示したものである。

0047

0048

0049

上記表1及び2に示すように、孔の直径が1.0μmの半透膜を使用した場合、受け皿内のpH、CO2分圧、O2分圧と比較して筒状体内のpH、CO2分圧、O2分圧は大きな変化がなかった。
しかし、孔の直径が0.4μmの半透膜を使用した場合、受け皿内のpH、CO2分圧、O2分圧と比較して筒状体内のpH、CO2分圧、O2分圧の変化は大きかった。より具体的には、筒状体内において日を追うごとにpHは低下し、CO2分圧は上昇し、O2分圧は低下していた。
上記の結果から、孔の直径が小さい半透膜、つまり透過性の低い半透膜を使用すると筒状体内のpH、CO2分圧、O2分圧が大きく変化してしまい、数日間の培養には適さないことが理解できる。

0050

図4は、(A)孔の直径が0.4μmの半透膜を使用した場合と、(B)孔の直径が1.0μmの半透膜を使用した場合との、細胞の状態の違いを示す図である。
図4(A)において多数見られる白色の粒子は細胞の死骸である。
図4が示すように、孔の直径が小さい半透膜(0.4μm)で3日間培養した場合と孔の直径が大きい半透膜(1.0μm)で3日間培養した場合を比較すると、細胞の生存率が、孔の直径が小さい半透膜を使用した場合において著しく低いことがわかる。この細胞の生存率の差の一因として、表1及び表2に示された筒状体内のpH、CO2分圧、O2分圧の変化が挙げられる。
したがって、孔の密度が同じ場合、細胞の生存率からも孔の直径が大きい半透膜、つまり透過性の高い半透膜を使用する方が、本発明の培養装置における数日間の培養には適しているといえる。

0051

<実施例2:圧力を付加した培養による培養細胞への影響>
上記実施例1で数日間の培養に適していることが示された透過性の高い半透膜(本実施例においては孔の直径1.0μm、孔の密度1cm2当たり1.6×106個)を使用して、筒状体内に含まれる液体培地の液面高が低い(10cm)場合と高い(40cm)場合で、細胞の状態の違いを観察した。
本実施例は、培養細胞としてNCI−H441肺胞上皮細胞を使用し、半透膜を孔の直径1.0μm、孔の密度1cm2当たり1.6×106個のものに統一し、筒状体内に含まれる液体培地の液面高を10cm又は40cmとしたことを除いて、上記実施例1と同様の培養条件で実施した。結果を図5に示す。

実施例

0052

図5は、(A)10cm液面高、及び(B)40cm液面高で3日間培養した後の肺胞上皮細胞の様子を示す図である。
図5(A)と比較して(B)は細胞数が顕著に少ないことが見てとれる。
図5に示すように、10cm液面高で培養した場合と比較して40cm液面高で培養した場合は顕著に細胞の増殖が抑制されているのがわかる。

0053

一般的に0.03気圧程度の圧力を付加した細胞は何らかの傷害を受ける可能性が推測されており、本実施例により、本発明の培養装置を用いることによって微細な圧力を付加しながら細胞を培養することができることが示された。
よって、本発明である培養装置は、細胞に微細な圧力(0.005−0.1気圧程度)を付加しながら培養できるため、例えば気道内圧上昇に伴う肺傷害、緑内障、頭蓋内圧亢進による脳浮腫等の疾患の原因となる肺胞上皮細胞、消化管せん粘膜上皮細胞、網膜神経節細胞、脳神経細胞及び上衣細胞に対する微細な圧力の影響を調べ、これらの疾患の分子生物学的なメカニズムを解明するために好適に利用される。また、表皮細胞や骨細胞等は日常的に軽微な圧力を受けているため、その圧力がこれらの細胞にどのような影響を与えているかを分子生物学的に解析するために好適に利用される。

0054

1培養装置
2基盤
3 第一貫通孔
4培養容器
5密閉手段
6 突出部
7筒状体
8支持プレート
9 第二貫通孔
10 固定手段
11受け皿
12底上げシート
13多孔質シート
14支持手段
15支持体
16 枠体

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