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技術 イオン伝導性を有する組成物

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所興国インテック株式会社
発明者 敷中一洋富永洋一金田恵介
出願日 2015年4月10日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2015-080731
公開日 2016年12月1日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2016-199428
状態 特許登録済
技術分野 珪酸塩及びセ゛オライト、モレキュラーシーブ
主要キーワード 固体性状 フォルムバール オクチルピロリジニウム メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート 直円筒状 測定周波数範囲 イオン液 せん断ひずみ
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重要な関連分野

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図面 (12)

課題

イオン液体の高いイオン伝導性を維持するとともに優れた流動特性を有する、イオン伝導性の組成物を提供すること。

解決手段

本発明に係る組成物は、平均長さが1μm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、を含み、イオン伝導性を有する。

概要

背景

イオン伝導素材電池を始めとする幅広い工業技術に関わっている。広く用いられているイオン伝導素材としては、例えば、特許文献1に開示されるような液体系電解質が挙げられる。しかし、液体系電解質は、その多くが有機溶媒を用いているため、電池等への応用の際に、引火爆発などが懸念される。また、液状であるため、金属等での封止が必要となり加工性が低く軽量化も困難であった。このような液体系電解質に代わり、固体系電解質が開発されつつある。その例としては、特許文献2及び非特許文献1に開示されるような高分子電解質が挙げられる。係る高分子電解質は、引火・漏えいしにくく加工性も高いという一方で、液体系電解質に比較してイオン伝導度は必ずしも十分でない。

近年、高いイオン伝導性を持つイオン伝導素材として、イオン液体(以下ILと略する場合がある。)が注目されている(特許文献3及び非特許文献2参照)。イオン液体は、イオンのみから成る塩の一種でありながら、分子の大きさ及び弱いイオン間相互作用のため、室温付近でも液体の状態をとる物質である。さらに、イオン液体は、(1)不揮発性、(2)高いイオン伝導性、(3)広い液相温度域を有する、という特徴を有しており、イオン伝導素材として期待されている。イオン液体においても、液体であるが故、加工性等は十分でなく、係る観点から、固体化が望まれている。固体化を試みた例として、例えば、特許文献4及び非特許文献3等に、構成イオンそのものを高分子化することが開示されている。

概要

イオン液体の高いイオン伝導性を維持するとともに優れた流動特性を有する、イオン伝導性の組成物を提供すること。本発明に係る組成物は、平均長さが1μm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、を含み、イオン伝導性を有する。

目的

イオン液体においても、液体であるが故、加工性等は十分でなく、係る観点から、固体化が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

平均長さが1μm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、を含み、イオン伝導性を有する、組成物

請求項2

請求項1において、前記組成物は、動的粘弾性測定において、損失弾性率G”が貯蔵弾性率G’よりも小さくなるせん断ひずみの領域を有する、組成物。

請求項3

平均長さが50nm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、多官能性化合物と、を含み、イオン伝導性を有する、組成物。

請求項4

請求項3において、前記組成物は、動的粘弾性測定において、損失弾性率G”の値と貯蔵弾性率G’の値とが、逆転するせん断ひずみの領域を有する、組成物。

請求項5

請求項3又は請求項4において、前記多官能性化合物は、二官能性有機酸である、組成物。

請求項6

請求項3ないし請求項5のいずれか一項において、前記多官能性化合物は、炭素数2以上6以下の化合物であって、カルボキシル基リン酸基、リン酸基、亜リン酸基ホスホン酸基スルホン酸基及び硫酸基から選択される少なくとも一種の基と、アミノ基及びカルボキサミド基から選択される少なくとも一種の基と、を含む、組成物。

請求項7

請求項3ないし請求項6のいずれか一項において、前記多官能性化合物は、全質量に対して0.5質量%以上4.2質量%以下含まれる、組成物。

請求項8

請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、前記イモゴライトは、全質量に対して2質量%以上10質量%以下含まれる、組成物。

請求項9

請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、前記イオン液体は、イミダゾリウム塩ピリジニウム塩ピロリジニウム塩ホスホニウム塩アンモニウム塩グアニジニウム塩イソウロニウム塩及びイソチオウロニウム塩から選択される少なくとも一種である、組成物。

技術分野

0001

本発明は、イオン伝導性を有する組成物に関する。

背景技術

0002

イオン伝導素材電池を始めとする幅広い工業技術に関わっている。広く用いられているイオン伝導素材としては、例えば、特許文献1に開示されるような液体系電解質が挙げられる。しかし、液体系電解質は、その多くが有機溶媒を用いているため、電池等への応用の際に、引火爆発などが懸念される。また、液状であるため、金属等での封止が必要となり加工性が低く軽量化も困難であった。このような液体系電解質に代わり、固体系電解質が開発されつつある。その例としては、特許文献2及び非特許文献1に開示されるような高分子電解質が挙げられる。係る高分子電解質は、引火・漏えいしにくく加工性も高いという一方で、液体系電解質に比較してイオン伝導度は必ずしも十分でない。

0003

近年、高いイオン伝導性を持つイオン伝導素材として、イオン液体(以下ILと略する場合がある。)が注目されている(特許文献3及び非特許文献2参照)。イオン液体は、イオンのみから成る塩の一種でありながら、分子の大きさ及び弱いイオン間相互作用のため、室温付近でも液体の状態をとる物質である。さらに、イオン液体は、(1)不揮発性、(2)高いイオン伝導性、(3)広い液相温度域を有する、という特徴を有しており、イオン伝導素材として期待されている。イオン液体においても、液体であるが故、加工性等は十分でなく、係る観点から、固体化が望まれている。固体化を試みた例として、例えば、特許文献4及び非特許文献3等に、構成イオンそのものを高分子化することが開示されている。

0004

国際公開第2002/021631号
特開2010−287563号公報
米国特許出願公開第2004/0097755号明細書
米国特許出願公開第2014/0088207号明細書
特開2013−213086号公報

先行技術

0005

Y.Tominaga et al.,Chem.Commun.,2014,50,4448
H.Ohno et al.,Chem.Eng.,2011,75,376
P.Snedden et al.,Macromolecules,2003,36,4549

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献4等に開示された技術によって、イオン液体を構成するイオンを高分子化すると、液体としての流動性は抑制できるものの、構成イオンの分子運動阻害されてしまい、イオン伝導性が低下するという課題があった。

0007

ところで、発明者らは、イモゴライト(以下IGと記すことがある。)を、水及び水溶性モノマーを含む溶媒中に分散させて、係る水溶性モノマーを重合させて得られる重合体であって、イモゴライトに網目構造を取らせることにより、重合体の力学的強度が向上できることを見出している(特開2013−213086号公報等)。

0008

イモゴライトは、アルミニウムケイ素からなるナノチューブ無機高分子である。イモゴライト(IG)の外形形状は、長さが数十nm〜数μm、外径が2nm〜3nmと、高いアスペクト比を有している。また、IGの表面には、多数の水酸基が存在するため、水を始めとした溶媒に容易に分散することができる。

0009

このようなイモゴライトは、媒体中で分散された場合に、可逆的な網目構造を取ることができる。そのため、液体中で網目構造を取る場合には、粘度を上昇させたり、擬塑性チクソトロピー性)を付与することができ、例えば、流動時の流動性を確保したまま、静置時の液体の流動性を低下させることを期待できる。

0010

本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、イオン液体の高いイオン伝導性を維持するとともに優れた流動特性を有する、イオン伝導性の組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。

0012

[適用例1]本発明に係る組成物の一態様は、
平均長さが1μm以上10μm以下のイモゴライトと、
イオン液体と、
を含み、イオン伝導性を有する。

0013

本適用例の組成物によれば、イモゴライトの平均長さが1μm以上10μm以下であるため、イオン液体中で複数のイモゴライトが接触しやすく、及び/又は、絡み合いやすい。これにより、イモゴライトの可逆的な網目構造が組成物中に形成される結果、本適用例の組成物は、イオン液体の高いイオン伝導性を維持できるとともに、静置時の流動性が低く、かつ、流動時の流動性が高いという、優れた流動特性を呈することができる。したがって、電池や導電塗料等への適用の際に、加工性が良好である。

0014

[適用例2]適用例1において、
前記組成物は、動的粘弾性測定において、損失弾性率G”が貯蔵弾性率G’よりも小さくなるせん断ひずみの領域を有してもよい。

0015

本適用例の組成物は、損失弾性率G”が貯蔵弾性率G’よりも小さくなるせん断ひずみの領域を有する結果、成型時の良好な流動性と、成形後の良好な粘性を示すことができる。したがって、電池や導電塗料等への適用の際に、加工性が良好である。

0016

[適用例3]本発明に係る組成物の一態様は、
平均長さが50nm以上10μm以下のイモゴライトと、
イオン液体と、
多官能性化合物と、
を含み、イオン伝導性を有する。

0017

本適用例の組成物によれば、イモゴライトの平均長さが50nm以上10μm以下であり、かつ、多官能性化合物を含むため、イオン液体中で複数のイモゴライト間を可逆的に架橋することができる。これにより、イモゴライト及び多官能性化合物により、可逆的な網目構造が組成物中に形成される結果、本適用例の組成物は、イオン液体の高いイオン伝導性を維持できるとともに、擬塑性(チクソトロピー性)を呈することができ、優れた流動特性を有する。したがって、電池や導電塗料等への適用の際に、加工性が良好である。

0018

[適用例4]適用例3において、
前記組成物は、動的粘弾性測定において、損失弾性率G”の値と貯蔵弾性率G’の値とが、逆転するせん断ひずみの領域を有してもよい。

0019

本適用例の組成物は、損失弾性率G”の値と貯蔵弾性率G’の値とが、逆転するせん断ひずみの領域を有する結果、良好なチクソトロピー性を示すことができる。したがって、電池や導電塗料等への適用の際に、加工性が良好である。

0020

[適用例5]適用例3又は適用例4において、
前記多官能性化合物は、二官能性有機酸であってもよい。

0021

本適用例の組成物によれば、イオン液体中で複数のイモゴライト間を、より効率的に可逆的に架橋することができる。

0022

[適用例6]適用例3ないし適用例5のいずれか一例において、
前記多官能性化合物は、
炭素数2以上6以下の化合物であって、
カルボキシル基リン酸基、リン酸基、亜リン酸基ホスホン酸基スルホン酸基及び硫酸基から選択される少なくとも一種の基と、
アミノ基及びカルボキサミド基から選択される少なくとも一種の基と、
を含んでもよい。

0023

本適用例の組成物によれば、イオン液体中で複数のイモゴライト間を、より効率的に可逆的に架橋することができる。

0024

[適用例7]適用例3ないし適用例6のいずれか一例において、
前記多官能性化合物は、全質量に対して0.5質量%以上4.2質量%以下含まれてもよい。

0025

本適用例の組成物によれば、イオン液体中で複数のイモゴライト間を、より効率的に可逆的に架橋することができる。

0026

[適用例8]適用例1ないし適用例7のいずれか一例において、
前記イモゴライトは、全質量に対して2質量%以上10質量%以下含まれてもよい。

0027

本適用例の組成物によれば、イオン液体中で複数のイモゴライトがより接触しやすく、又は、複数のイモゴライト間を可逆的により架橋しやすい。これにより、さらに優れた流動特性を示すことができる。

0028

[適用例9]適用例1ないし適用例8のいずれか一例において、
前記イオン液体は、イミダゾリウム塩ピリジニウム塩ピロリジニウム塩ホスホニウム塩アンモニウム塩グアニジニウム塩イソウロニウム塩及びイソチオウロニウム塩から選択される少なくとも一種であってもよい。

0029

本適用例の組成物によれば、さらに優れたイオン伝導性を呈することができる。

図面の簡単な説明

0030

イモゴライト(IG)の構造を示す模式図。
実験例に係るIGのTEM観察結果を示す図。
実験例に係るIGのFT−IR測定結果を示す図。
実験例に係るIGのTG−DTA測定結果を示す図。
実験例に係るIGのXRD測定結果を示す図。
実験例に係るIG−IL(組成物)の外観観察結果を示す図。
実験例に係るIG−IL(組成物)のTEM観察結果を示す図。
実験例に係るIG−IL−DAの外観観察結果及びTEM観察結果を示す図。
実験例に係るイオン伝導度の測定結果のアレニウスプロット
実験例に係るイオン伝導度の測定結果のアレニウスプロット。
実験例に係るイオン伝導度の測定結果のアレニウスプロット。

実施例

0031

以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下に説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。

0032

本発明に係る組成物は、イオン伝導性を有する。本発明に係る組成物の第1の実施形態では、平均長さが1μm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、を含む。また、本発明に係る組成物の第2の実施形態では、平均長さが50nm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、多官能性化合物と、を含む。以下、本発明の実施形態の例として、第1実施形態及び第2実施形態について順に説明する。

0033

1.第1実施形態
本実施形態の組成物は、平均長さが1μm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、を含む。

0034

1.1.イモゴライト
イモゴライト(Imogolite)(以下「IG」と記すことがある。)は、基本単位(OH)3Al2O3SiOで構成される円筒状無機高分子であり、塩化アルミニウムオルトケイ酸ナトリウムとを、適当なpH条件下において熱重合することにより得ることができる(図1;V.C.Farmeretal.,J.Chem.Soc.Chem.Comm.,1977,13,462)。なお、IGの化学組成式は、Al2SiO3(OH)4とも表され得るが、分析等により測定される組成は、係る組成式から多少ずれる場合もある。

0035

IGは、円筒の長さは百nm〜数十μm、円筒の外径は2nm〜2.5nm、円筒の内径は約1nmの剛直円筒状分子であることが報告されている(N.Donkaietal.,Macromol.Chem.1985,186,2623)。すなわち、IGは、非常に高いアスペクト比を有している。また、IGの円筒の外側の面には、Al−OH基が、円筒の内側の面には、Si−OH基がそれぞれ配置されている。このようなIGは、水系溶媒に分散される際、水系溶媒のpHに依存してその分散性が変化する。例えば、酸性及び中性の条件では、単一フィラメント状や細い束状に分散する。また、塩基性の条件では、太い束状に分散する場合や、ネットワークを形成する場合があることが報告されている(J.Karube,ClaysClayMiner.1998,46(5),583)。

0036

本実施形態におけるIGは、平均長さが1μm以上10μm以下である。IGの平均長さは、例えば、ボールミルビーズミルジェットミル及び/又は超音波破砕等により、調節することができる。これらの中でも、IGを適宜の溶媒や後述するイオン液体に分散させて、超音波照射することによって調節すると、IGの長さの分布を比較的小さくできるため、より好ましい。なおここで、IGの平均長さとは、数平均長さであり、長さの分布は特に限定されず、長さが1μm以下のIGを含んでもよいし、長さが10μm以上
のIGを含んでもよい。

0037

本実施形態の組成物におけるIGの平均長さは、1μm以上10μm以下であるが、好ましくは1.3μm以上10μm以下、より好ましくは1.5μm以上10μm以下、さらに好ましくは1.6μm以上10μm以下である。

0038

また、IGは、天然産出する鉱物原料としてもよいが、上記のように化学合成によって得るほうが、平均長さを調節しやすい、不純物が少ない、コストが低い、等の理由により有利である。

0039

本実施形態で使用するIGは、平均長さが1μm以上であるため、後述のイオン液体中に分散されると、互いに接触したり絡み合ったりしやすい。複数のIGが接触及び/又は絡み合うことにより、イオン液体中で網目構造が形成される。このような網目構造が形成されると、組成物の粘性が高まり、ペースト状又は固体状性状となる。

0040

このようにIGは、網目構造をイオン液体中で形成することができるが、組成物全体に対するIGの添加量は、例えば、0.1質量%以上である。網目構造の形成のしやすさは、IGの平均長さに依存し、平均長さが長いほどより少ない添加量とすることができる。例えば、IGの平均長さが1μm程度である場合には、組成物全体に対するIGの添加量は、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上8質量%以下、より好ましくは1質量%以上7質量%以下である。また例えば、IGの平均長さが10μm程度である場合には、組成物全体に対するIGの添加量は、0.001質量%以上8質量%以下、好ましくは0.05質量%以上7質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。

0041

組成物におけるIGの配合量は、一般的な化学分析機器分析の手法により求めることができる。また、IGであることの同定は、例えば、透過型電子顕微鏡TEM)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)、熱重量測定示差熱分析(TG−DTA)、X線回折(XRD)等により同定することができる。

0042

1.2.イオン液体
本実施形態の組成物は、イオン液体を含む。イオン液体(以下、「IL」と記すことがある。)は、イオンのみから成る塩の一種でありながら、分子の大きさ及び弱いイオン間相互作用のため、温度に応じて液体又は固体の状態をとる物質である。さらに、イオン液体は、(1)不揮発性、(2)高いイオン伝導性、(3)広い液相温度域を有する、という特徴を有している。

0043

温度を調整し液状にしたイオン液体を含む、本実施形態の組成物においては、上述の平均長さが1μm以上10μm以下のイモゴライトの存在により増粘し、又は、ペースト固体状の性状となる。

0044

本実施形態の組成物に配合されるイオン液体は、特に限定されず、公知のイオン液体を用いることができる。イオン液体の例としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、グアニジニウム塩、イソウロニウム塩及びイソチオウロニウム塩から選択される少なくとも一種を挙げることができる。これらの塩は、複数種を混合して用いてもよい。これらの塩のアニオン種も特に限定されず、例えば、ハロゲン化物イオン(I−、Cl−、Br−等)、SCN−、BF4−、PF6−、ClO4−、SbF6−、(CF3SO2)2N−、(CF3CF2SO2)2N−、Ph4B−、(C2H4O2)2B−、(CF3SO2)3C−、CF3COO−、CF3SO3−、C6F5SO3−、MeO(EtO)2SO3−等が挙げられる。

0045

イミダゾリウム塩のイオン液体の具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビスオキサレート(2−)]ボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルサルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニルイミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチルトリフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムクロリド、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−オクチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、3−メチル−1−テトラデシルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムトリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムオクチルサルフェート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド、1−ヘキサデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロリド等が挙げられる。

0046

ピリジニウム塩のイオン液体の具体例としては、N−エチルピリジニウムクロリド、N−エチルピリジニウムブロミド、N−ブチルピリジニウムクロリド、N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト、N−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト、N−ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N−ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N−オクチルピリジニウムクロリド、4−メチル−N−ブチルピリジニウムクロリド、4−メチル−N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、4−メチル−N−ブチルピリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト、
3−メチル−N−ブチルピリジニウムクロリド、4−メチル−N−ブチルピリジニウムブロミド、3,4−ジメチル−N−ブチルピリジニウムクロリド、3,5−ジメチル−N−ブチルピリジニウムクロリド等が挙げられる。

0047

ピロリジニウム塩のイオン液体の具体例としては、)1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヘキサフルオロフォスフェイト、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロアセテート、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムクロリド、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムクロリド等が挙げられる。

0048

ホスホニウム塩のイオン液体の具体例としては、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムクロリド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[オキサレート(2−)]ボレート等が挙げられる。

0049

アンモニウム塩のイオン液体の具体例としては、メチルトリオクチルアンモニウムトリフルオロアセテート、メチルトリオクチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。

0050

グアニジニウム塩のイオン液体の具体例としては、)N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、グアニジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイト、グアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N”−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジニウムトリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。

0051

イソウロニウム塩のイオン液体の具体例としては、O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウムトリフルオロメタンスルホネート、O−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソウロニウムトリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイトが挙げられる。

0052

イソチオウロニウム塩のイオン液体の具体例としては、S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムトリフルオロメタンスルホネート、S−エチル−N,N,N’,N’−テトラメチルイソチオウロニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロフォスフェイトが挙げられる。

0053

既に述べたように、IGの円筒の外側の面には、Al−OH基が存在していることから、組成物中でIGがより分散しやすくなるという観点から、イオン液体は、親水性の高いものを用いることが好ましい。そのようなイオン液体としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム2−(2−メトキシエトキシ)エチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート等を挙げることができる。
本実施形態の組成物におけるイオン液体の含有量は、特に限定されない。

0054

1.3.その他の成分
本実施形態の組成物は、上述のIG及びILの他に、流動性やイオン伝導性を阻害しない範囲で各種の物質を含むことができる。そのような物質としては、例えば、無機酸化物粒子支持電解質塩界面活性剤、水等が挙げられ、目的に応じて適宜に配合することができる。また、これらの物質は、不純物として含まれていてもよい。

0055

無機酸化物粒子としては、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の酸化物からなる粒子を挙げることができ、具体的には、例えば、酸化チタン酸化亜鉛酸化アルミニウム酸化ジルコニウム酸化ハフニウム酸化ニオブ酸化タンタル酸化マグネシウム酸化カルシウム酸化ストロンチウム酸化バリウム酸化インジウム酸化錫酸化鉛酸化スカンジウム酸化イットリウム酸化ランタン酸化セリウム酸化プラセオジム酸化ネオジム酸化サマリウム酸化ユウロピウム酸化ガドリニウム酸化テルビウム酸化ジスプロシウム酸化ホルミウム酸化エルビウム酸化ツリウム酸化イッテルビウム酸化ルテチウム、並びに、これら酸化物より構成される複合酸化物であるニオブ酸リチウムニオブ酸カリウムタンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl2O4)等が挙げられ、これらの複数種を用いてもよい。

0056

また、支持電解質塩としては、周期律表Ia族またはIIa族に属する金属イオンの塩を用いてもよい。周期律表Ia族またはIIa族に属する金属イオンとしては、リチウムナトリウムカリウムのイオンが好ましい。金属イオンの塩のアニオンとしては、上述のイオン液体の項で例示したアニオンを用いることができる。代表的な支持電解質塩としては、LiCF3SO3、LiPF6、LiClO4、LiI、LiBF4、LiCF3CO2、LiSCN、LiN(SO2CF3)2、NaI、NaCF3SO3、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KCF3SO3、KSCN、KPF6、KClO4、KAsF6などが挙げられる。

0057

1.4.組成物の流動特性及びイオン伝導性
本実施形態の組成物は、非ニュートン性を示す。すなわち、IGがIL中で接触、及び/又は、絡み合う結果、IL単独の場合に比較して、特にせん断速度が低い領域において粘度が高まる。換言すると、本実施形態の組成物は、動的粘弾性測定において、損失弾性率G”が貯蔵弾性率G’よりも小さくなるせん断ひずみの領域を有する。なお、動的粘弾性測定は、公知の方法により行うことができる。

0058

このため、本実施形態の組成物は、静置された際には、ペースト状、ゲル状ないし固体状の高粘度の粘弾性体として振る舞うが、変形、流動させたり、対象に塗布したりする際には、低粘度の粘弾性体として振る舞うことができる。これにより、例えば、適宜の容器に導入する際には液体状態であり、容器中で静置された際には増粘した状態を形成することができる。

0059

また、本実施形態の組成物においては、イオン液体のイオンは、IGによりほとんど拘束されず、移動の自由度の高い状態で存在することができる。このような状態は、組成物が静置され、ペースト状ないし固体状の高粘度の粘弾性体となっている場合でも維持することができる。

0060

本実施形態の組成物のイオン伝導度は、例えば、複素インピーダンスを測定することにより算出することができる。具体的な測定としては、例えば、SUS製の電極に挟んだ試料に対し、Potentiostat/Galvanostat SP-150(BioLogic製)を用いて乾燥アルゴン雰囲
気の循環精製装置グローブボックス中にて行うことができる。また、測定周波数範囲は限定されないが例えば100Hz〜1MHzである。

0061

本実施形態の組成物のイオン伝導度の値としては、30℃以上100℃以下程度の温度範囲において、1×10−4(S/cm)以上であり、好ましくは2×10−4(S/cm)以上、より好ましくは1×10−3(S/cm)以上である。本実施形態の組成物のイオン伝導度がこの範囲であれば、良好なイオン伝導性を有すると言える。

0062

1.5.作用効果
本実施形態(第1実施形態)の組成物によれば、配合されるイモゴライトの平均長さが1μm以上10μm以下である。そのため、イオン液体中で複数のイモゴライトが接触しやすく、及び/又は、絡み合いやすい。これにより、イモゴライトの可逆的な網目構造が組成物中に形成される結果、イオン液体の高いイオン伝導性を維持できるとともに、静置時の流動性が低く、かつ、流動時の流動性が高いという、優れた流動特性を呈することができる。したがって、イオン伝導性及び加工性が良好な組成物として、電池や導電塗料等への応用に好適である。

0063

2.第2実施形態
本実施形態の組成物は、平均長さが50nm以上10μm以下のイモゴライトと、イオン液体と、多官能性化合物と、を含む。

0064

2.1.イモゴライト
第2実施形態の組成物に配合されるイモゴライト(IG)は、平均長さが50nm以上10μm以下である。IGの平均長さの調節、分布、合成等については、第1実施形態で述べた同様であり、説明を省略する。

0065

本実施形態の組成物におけるIGの平均長さは、50nm以上10μm以下であるが、好ましくは80nm以上10μm以下、より好ましくは100nm以上10μm以下、さらに好ましくは130nm以上10μm以下である。

0066

本実施形態で使用するIGは、後述する多官能性化合物とともにイオン液体中に分散されると、多官能性化合物によって、非共有結合を介して互いに連結しやすい。複数のIGが可逆的に結合されることにより、組成物中でIG及び多官能性化合物によって、分子レベルの網目構造が形成される。このような網目構造が形成されると、組成物が擬塑性(チクソトロピー性)を呈することになる。

0067

本実施形態の組成物で用いられるIGは、第1実施形態の組成物で用いられるIGよりも平均長さは小さくてもよい。これは、多官能性化合物によって、複数のIG間が多官能性化合物によって非共有結合するからである。非共有結合としては、例えば、イオン結合であり、IG表面の水酸基と、多官能性化合物のカルボキシル基との電気的な引力による結合が挙げられる。ここで、水酸基とカルボキシル基とは、エステル結合等の共有結合を形成しないため、可逆的な結合であり、例えば、せん断等による流動が生じた際に、分子の位置が固定されることはない。

0068

本実施形態では、IGは、多官能性化合物とともに網目構造を組成物中で形成することができるが、組成物全体に対するIGの添加量は、例えば、0.01質量%以上である。本実施形態においても網目構造の形成のしやすさは、IGの平均長さに依存し、平均長さが長いほどより少ない添加量とすることができる。例えば、IGの平均長さが1μm程度である場合には、組成物全体に対するIGの添加量は、0.01質量%以上8質量%以下、好ましくは0.1質量%以上7質量%以下、より好ましくは1質量%以上6質量%以下
である。また例えば、IGの平均長さが100nm程度である場合には、組成物全体に対するIGの添加量は、1質量%以上7質量%以下、好ましくは1.5質量%以上6質量%以下、より好ましくは2質量%以上5質量%以下である。

0069

本実施形態の組成物におけるIGや多官能性化合物の配合量は、一般的な化学分析、機器分析の手法により求めることができる。

0070

2.2.イオン液体
本実施形態の組成物で使用されるイオン液体は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。本実施形態の組成物におけるイオン液体の含有量は、特に限定されない。

0071

2.3.多官能性化合物
本実施形態(第2実施形態)の組成物は、多官能性化合物を含有する。多官能性化合物の官能基の数は、複数であれば特に限定されないが、IG間を可逆的に架橋する際の架橋密度が高くなりすぎない点で、好ましくは、二つであり、二官能性化合物であることが好ましい。

0072

多官能性化合物としては、2つの酸性官能基を有する化合物、1つの酸性官能基と1つの非酸性官能基とを有する化合物を挙げることができる。ここで、酸性官能基とは、当該化合物中において水素イオンを放出し得る官能基を指す。酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基及び硫酸基等が挙げられ、なかでもカルボキシル基及びホスホン酸基が好ましい。

0073

好ましくは、2つの酸性官能基を有する化合物は、第1の官能基(酸性官能基)としてカルボキシル基を有し、第2の官能基(酸性官能基)としてカルボキシル基又はホスホン酸基を有する化合物である。第1の官能基としてカルボキシル基を有し、第2の官能基としてカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、マレイン酸フマル酸コハク酸グルタル酸アジピン酸シトラコン酸メサコン酸等が挙げられる。また、第1の官能基としてカルボキシル基を有し、第2の官能基としてホスホン酸基を有する化合物としては、例えば、4−ホスホノブタン酸(PBA)等が挙げられる。

0074

1つの酸性官能基と1つの非酸性官能基とを有する化合物における酸性官能基は上述の酸性官能基とすることができる。また、非酸性官能基としては、アミノ基、酸アミド基等を例示することができる。なお、酸アミド基とは、酸(オキソ酸)とアンモニア又はアミンとが反応して生成する基を指し、上記例示した酸性官能基における−OH(個数は特に限定されないが、好ましくは1個)がアミノ基に置換された基を指す。酸アミド基としては、例えば、カルボキサミド基(−CONH2)、スルホンアミド基(−SO2NH2)、リン酸アミド(−PO(OH)NH2)等が挙げられる。これらのうち、酸アミド基としては、カルボキサミド基が好ましく、カルボキシル基から誘導されるものが好ましい。1つの酸性官能基と1つの酸アミド基とを有する化合物としては、例えば、マレイン酸モノアミド、フマル酸モノアミド、コハク酸モノアミド、グルタル酸モノアミド、アジピン酸モノアミド、シトラコン酸モノアミド、メサコン酸モノアミド等が挙げられる。1つの酸性官能基と1つの酸アミド基とを有する化合物は、酸性官能基としてカルボキシル基を有し、酸アミド基としてカルボキサミド基を有することが好ましい。

0075

また、2つの酸性官能基を有する化合物、又は、1つの酸性官能基と1つの酸アミド基とを有する化合物(以下、二官能性化合物と称する)は、炭素数が2以上6以下であることがより好ましい。なお、炭素数には、上記官能基に含まれる炭素原子も含まれる。主鎖は、炭素−炭素の単結合又は二重結合で構成されることが好ましく、二重結合が含まれる
場合は、その個数は1個又は2個であることが好ましい。

0076

本実施形態の組成物における多官能性化合物の配合量は、特に限定されず、組成物全体に対して、例えば、0.1質量%以上である。多官能性化合物の配合量は、例えば、IGの平均長さや、IGの配合量により調節してもよい。例えば、組成物全体に対するIGの添加量が小さい場合には、これを補うように配合量を大きくしてもよい。また、IGの平均長さが長い場合には、配合量を小さくしてもよい。

0077

具体的には、例えば、IGの平均長さが50nm〜1.5μm程度であって、IGの含有量が0.01質量%〜5質量%程度である場合には、多官能性化合物の配合量は、0.1質量%以上15質量%以下、好ましくは0.3質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上4.2質量%以下である。

0078

2.4.その他の成分
本実施形態(第2実施形態)の組成物において、上述のIG、IL、多官能性化合物の他に、流動性やイオン伝導性を阻害しない範囲で各種の物質を含むことができる。そのような物質としては、例えば、無機酸化物粒子、支持電解質塩、界面活性剤、水等が挙げられ、目的に応じて適宜に配合することができる。また、これらの物質は、不純物として含まれていてもよい。これらの詳細は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。

0079

2.5.組成物の流動特性及びイオン伝導性
本実施形態の組成物は、チクソトロピー性(擬塑性)を示す。すなわち、IGが多官能性化合物とともにIL中で可逆的な非共有結合をする結果、IL単独の場合に比較して、特にせん断速度が大きい領域において粘度が低下する。換言すると、本実施形態の組成物は、動的粘弾性測定において、損失弾性率G”の値と貯蔵弾性率G’の値とが、逆転するせん断ひずみの領域を有する。なお、動的粘弾性測定は、公知の方法により行うことができる。

0080

このため、本実施形態の組成物は、静置された際には、ゲル状ないし固体状の高粘度の粘弾性体として振る舞い、変形、流動させたり、対象に塗布したりする際のせん断速度の大きい領域では、低粘度の粘弾性体として振る舞うことができる。これにより、例えば、適宜の容器に導入する際には液体状態であり、容器中で静置された際には増粘した状態を形成することができる。

0081

また、本実施形態の組成物においても、イオン液体のイオンは、IGによりほとんど拘束されず、移動の自由度の高い状態で存在することができる。このような状態は、組成物が静置され、固体状の高粘度の粘弾性体となっている場合でも維持することができる。

0082

本実施形態の組成物のイオン伝導度は、第1実施形態で述べたと同様にして測定することができる。本実施形態の組成物のイオン伝導度の値としては、30℃以上100℃以下程度の温度範囲において、2×10−4(S/cm)以上であり、好ましくは5×10−4(S/cm)以上、より好ましくは1×10−3(S/cm)以上である。本実施形態の組成物のイオン伝導度がこの範囲であれば、良好なイオン伝導性を有すると言える。

0083

2.6.作用効果
本実施形態(第2実施形態)の組成物によれば、イモゴライトの平均長さが50nm以上10μm以下であり、かつ、多官能性化合物を含むため、組成物中で複数のイモゴライト間を可逆的に架橋することができる。これにより、イモゴライト及び多官能性化合物により、可逆的な網目構造が組成物中に形成される結果、イオン液体の高いイオン伝導性を
維持できるとともに、擬塑性(チクソトロピー性)を呈することができ、優れた流動特性を有する。イオン伝導性及び加工性が良好な組成物として、電池や導電塗料等への応用に好適である。

0084

3.実験例
以下に実験例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。

0085

3.1.イモゴライト(IG)の合成およびIGの水分散液の調製
本項で使用した試薬和光純薬より購入した。塩化アルミニウム水溶液(0.10M、369mL)とオルトケイ酸ナトリウム水溶液(0.11M、362mL)を混合後、NaOH(1M)水溶液をゆっくりと滴下して、pH=6に調整した。室温で1時間撹拌し白色のIG前駆体水溶液を得た。

0086

IG前駆体水溶液に対し、遠心分離(5000×g、15分×3+30分×1)を行い、得られたペレットを400mLの超純水洗浄して系中から塩化物イオンを取り除いた。遠心で得られた残渣を2800mLの超純水に分散させ、HCl(1M)水溶液をゆっくりと滴下しpH=4.5に調整した。100℃で96時間、加熱環流を行いIG分散液
(LIGaq.;平均長さ1.6μm、以下この時点のIGを「LIG」(LongIG)ということがある。)を得た。係る分散液にNaClを加えてIGを凝集させ、遠心分離(5000×g)によりIGをペレットとして単離した。係るペレットを1600mLの超純水で洗浄・吸引ろ過し、NaClを除去したゲル状のIGを得た。

0087

その後テトラヒドロフラン(THF)を貧溶媒として再沈殿した後、室温で8時間真空乾燥してIG粉末を得た。所定量のIG粉末を超純水と混合し4時間超音波処理することによりIG分散液(IG−131aq.;平均長さ131nm、以下このIGを「IG−131」ということがある。)を得た。IG−131は透過型電子顕微鏡(TEM)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)、熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA)、X線回折(XRD)により同定した。

0088

TEMはJEM−2100(日本電子株式会社製により加速電圧200kVで観察した。フォルムバール膜を張った銅メッシュ(150mesh)に水分散液を滴下、余分な分散液をろ紙で吸い取り乾燥させ、観察試料とした。IG−131の観察結果図2に示す。

0089

FT−IRはFT/IR−4100(日本分光株式会社製)により測定した。臭化カリウム微粉末にIG紛体を混合後、圧をかけ作成したペレットを測定試料とした。IG−131の測定結果を図3に示す。

0090

TG−DTAは、Rigaku Thermo Plus TG8129(株式会社リガク製)により測定した。室温から1000℃の範囲で昇温レート10℃/minとし乾燥窒素下で重量変化を測定した。IG−131の測定結果を図4に示す。

0091

XRDは、SmartLab(株式会社リガク製)により測定した。室温でガラス板に乗せたIG粉末に対し3°〜70°の範囲で測定した。IG−131の測定結果を図5に示す。

0092

上記測定それぞれの結果より円筒状のIGが合成されたことを確認した。

0093

3.2.イモゴライト(IG)−イオン液体(IL)複合物の調製及び評価
IG−131aq.及びLIGaq.を、それぞれイオン液体(IL)と混合した。I
Lは、1-Ethyl-3-methylimidazolium 2-(2-Methoxyethoxy)ethyl Sulfate ([EmIm][MeSO3]と略することがある。)及び1-Butyl-3-methylimidazolium Tetrafluoroborate ([BmIm][BF4]と略することがある。)(いずれも東京化成工業株式会社製)を用いた。混合物より水を除去するために60℃で3時間エバポレーションし、さらに60℃で12時間の真空加熱乾燥をおこなった。その結果、均一にIGとILが混和した組成物(IG−IL)が得られた。

0094

超音波照射の時間を1時間、2時間と変更した以外は、IG−131と同様にして、IG−1100;平均長さ1.1μm、IG−800;平均長さ0.8μmを作成した。各実験例におけるIG及びILの種類及び配合量は、表1に示した。

0095

IG−131及び[EmIm][MeSO3]を原料としたIG−IL(実験例1)をスクリュー
アルに入れた状態の外観写真図6(a))、並びに、LIG及び[EmIm][MeSO3]を原料としたIG−IL(実験例2)をスライドガラスに載せた状態の外観写真(図6(b))を示す。図6(a)に示すように、実験例1では、ほぼ透明でオパレーセントな液体となることが判明した。一方図6(b)に示すように、実験例2では、白色のペースト状固体となることが判明した。

0096

次に、TEM観察を行った。図7(a)、図7(b)及び図7(c)は、それぞれ実験例1、実験例2及び実験例3のTEM観察結果を示す図である。図7において、いずれのIG−ILでも一部束状に凝集したナノチューブ構造が確認された。このことから、実験例1ないし実験例3のIG−IL(組成物)中ではIGが網目構造を保って存在していることが判明した。

0097

3.3.イモゴライト(IG)−イオン液体(IL)−二官能化合物(DA)の複合物の調製及び評価
上記で得られたIG−131aq.をイオン液体(IL)と混合した。ILは、[EmIm]及び[BmIm][BF4]を用いた。混合物より水を除去するために60℃3時間のエバポレーション及び60℃12時間の真空加熱乾燥を行って、均一にIGとILが混和した組成物(IG−IL)を得た。IG−ILをILに溶解した二塩基酸(マレイン酸(MA)又は4−ホスホノブタン酸(PBA)、いずれも和光純薬工業株式会社製)と混合し、ゲル状の組成物(複合物)(IG−IL−DA)を得た。なお、超音波照射の時間を12時間と変更した以外は、IG−131と同様にして、IG−50;平均長さ50nmを作成した。

0098

各実験例におけるIG、IL及びDAの種類及び配合量は、表2に示した。

0099

図8は、IG−131[EmIm][MeSO3]、及びMAを原料としたIG−IL−DA(実験例13)を流動状態でスクリューバイアルに入れて正立させ、その状態で1時間静置し、静かに上下を反転させてスクリューバイアルを倒立させた際の外観写真(図8(a))、及び、同実験例13のIG−IL−DAのTEM観察結果(図8(b))である。

0100

図8(a)に示すとおり、実験例13のIG−IL−DAは、優れた可逆的ゲル/ゾル転移(チクソトロピー性)を示すことが判明した。また、図8(b)において、ナノチューブが作るネットワーク(網目構造)が確認された。このことからIG−IL−DAの組成物は、IGが組成物中で網目構造を形成し、ゲル化していると考えられる。

0101

3.4.イオン伝導度の測定
上述の実験例について、イオン伝導度を測定した。イオン伝導度は、複素インピーダンスから算出した。試料は、測定前に12時間常温で真空乾燥を施した。測定はSUS製の電極に挟んだ試料に対し、Potentiostat/Galvanostat SP-150(BioLogic製)を用いて乾燥アルゴン雰囲気の循環精製装置付グローブボックス中にて実施した。測定周波数範囲は100Hz〜1MHzとした。また、測定温度は、30℃〜100℃の範囲で7点測定した。

0102

図9は、実験例1、実験例2、及び、これらに使用したIL([EmIm][MeSO3])のみの場合のイオン伝導度の測定結果のアレニウスプロットである。

0103

図10は、実験例3、実験例5、及び、これらに使用したIL([BmIm][BF4])のみの場合のイオン伝導度の測定結果のアレニウスプロットである。

0104

図11は、実験例13、実験例16、及び、これらに使用したIL([EmIm][MeSO3])のみの場合のイオン伝導度の測定結果のアレニウスプロットである。

0105

図9図11に示すように、各実験例の組成物は、広い温度範囲で高いイオン伝導度を呈することが判明した。

0106

また、表1及び表2に記載した各実験例について、IG−ILに関しては、目視による性状観察を行い、固体(ペースト)状となったものをA、液体状ではあるが増粘効果が認められるものをBとし、IG−IL−DAに関しては、明確にチクソトロピー性が観察されたものをA、チクソトロピー性を示さないものをBとして、各表に併記した。さらに、各実験例において、30℃におけるイオン伝導度が、1×10−3以上であるものをA、1×10−3未満であるものをBとして各表に併記した。

0107

表1をみると、いずれの実験例についても、増粘効果及び良好なイオン伝導性を示すことが分かった。また、IGの平均長さが長いほど固体状となりやすい傾向があることが分かった。また、ILの種類にかかわらず、高いイオン伝導度を示し、係るイオン伝導度は、IGの配合量に大きく依存しないことが分かった。さらに、IGの含有量が少なくても、平均長さが大きいと、十分に固体状となり得ることが分かった。

0108

また、表2をみると、いずれの実験例についても、良好なイオン伝導性を示すことが分かった。一方、チクソトロピー性については、IGの平均長さ及び配合量、並びに、DAの種類及び配合量等と、明確な相関は見られなかった。このことからチクソトロピー性は、IGの平均長さ及び配合量、並びに、DAの種類及び配合量のバランスによって発現すると考えられる。また、イオン伝導性については、ILの種類が[BmIm][BF4]の場合には、[EmIm][MeSO3]の場合よりも少ない配合量で良好となる傾向が見られるが、[EmIm][MeSO3]を用いた実験例同士で比較すると、明確な傾向は認められなかった。このことから、イオン伝導性についても、IGの平均長さ及び配合量、DAの種類及び配合量、ILの種類のバランスによって発現しているものと考えられる。

0109

本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。また本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

0110

本発明によれば、「チクソトロピー性/固体性状由来する優れた加工性」と「イオン液体に由来する高いイオン伝導性」を併せ持つ電解質素材として有用な組成物が得られる。したがって本発明に係る組成物は、産業的・学術的に大きな意義がある。また、本発明に係る組成物は、各構成の混合ないし乾燥という簡便な工程で実施できる。そのため、電池を始めとした幅広い工業分野への応用が期待される。さらに、イモゴライトは塩化アルミニウムとオルトケイ酸ナトリウムの熱重合により合成できることから、例えばイオン液
体に分散し、イオン液体を固体化させるカーボンナノチューブ等の素材に比べて、安価かつ簡便に製造(合成)できるとともに、製造の大スケール化も可能であるため、この点においても産業的・工業的に有利である。

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