図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2016年11月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (6)

課題

従来は、高エネルギー光であるレーザー光を、蛍光体波長変換して、白色光に変換することにより、レーザー光が高エネルギーのまま、車両前方照射されることを防止しているが、蛍光体が離脱又は損傷した際には、レーザー光がそのまま車外に照射される。本発明は、このような蛍光体の離脱時等にも、レーザー光が車外に照射されない灯具ユニットを提案する。

解決手段

蛍光体13を通るレーザー光の光路延長路リフレクタ7との交差面となる前記リフレクタ表面に、散乱光形成部23を形成する。蛍光体13が離脱して、白色光に波長変換されずにレーザー光がそのままリフレクタ7に到達しても、レーザー光が前記散乱光形成部23で散乱して、その強指向性がなくなって散乱光に変換できる。

概要

背景

自動車前照灯などの車両用灯具では、発光ダイオードLED)に替えレーザーダイオード(LD)を用いることが試みられている(特許文献1参照)。LD光源は、光変換効率が高くまた発光面積が小さいので、灯具の小型化に有利となる。LD光源を用いる車両用灯具では、LD素子から波長変換素子である蛍光体レーザー光、例えば青色レーザー光照射し、蛍光体が励起されて発する光、例えば黄色光と、前記青色レーザー光を混色させて、白色光出射される。

レーザー光は指向性の高い高エネルギー光であり、車両の前照灯等の光として使用する場合は、前述した通り、蛍光体に当て散乱させて、路面照射に適し、かつ適度のエネルギーを有する白色光に変換している。前記レーザー光と蛍光体とが十分に当たらないと、高エネルギーのままリフレクタ反射され、前方の歩行者、車両及び路面等に照射されることになる。このような事態を回避するために、前記蛍光体を取付体に強固に固定してその脱離や損傷を確実に防止している。

この高エネルギーのままのレーザー光の照射を回避するために、前記蛍光体が離脱又は損傷しないように、前述の取付体への強固な固定をはじめとして各種手法が採られているが、極端に低い可能性ながら、前記蛍光体の離脱を完璧に回避できるとは断言できない。蛍光体が適正に機能していること、つまり、レーザー光と前記蛍光体に当たりかつ散乱することが適切に行われていることを確認する(逆に言うと、異常を検知する)ために、通常は、光路要所に、光検知器を設置して、エネルギー量(光の強度)や光の波長を測定して、異常の存否チェックしている。そして万一異常が検知され、高エネルギーのレーザー光が蛍光体と当たらずに放射されていると判断した場合には、何らかの原因で蛍光体が脱離又は損傷されたと推定し、レーザー素子の駆動を停止させるようにしている。

この他に、異常時に、レーザー光が当たるリフレクタに、該リフレクタを貫通する貫通孔又はエスケープホール(特許文献1の符号H2)を形成して、レーザー光をリフレクタの外側に逃がし、高エネルギーのレーザー光がリフレクタから前方に反射することを回避することが提案されている。

概要

従来は、高エネルギー光であるレーザー光を、蛍光体で波長変換して、白色光に変換することにより、レーザー光が高エネルギーのまま、車両前方に照射されることを防止しているが、蛍光体が離脱又は損傷した際には、レーザー光がそのまま車外に照射される。本発明は、このような蛍光体の離脱時等にも、レーザー光が車外に照射されない灯具ユニットを提案する。蛍光体13を通るレーザー光の光路の延長路とリフレクタ7との交差面となる前記リフレクタ表面に、散乱光形成部23を形成する。蛍光体13が離脱して、白色光に波長変換されずにレーザー光がそのままリフレクタ7に到達しても、レーザー光が前記散乱光形成部23で散乱して、その強指向性がなくなって散乱光に変換できる。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、蛍光体が所定位置から脱離した場合や該蛍光体が損傷して正常な機能を果たせない場合でも、前記レーザー光がリフレクタで反射され、前方へ直接照射されることを抑制できる車両用灯具を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

レーザー光を放出する半導体レーザー素子と、前記レーザー光を集光する集光レンズと、集光された前記レーザー光の少なくとも一部を波長変換して白色光を形成する蛍光体と、前記白色光を反射するリフレクタと、を備える車両用灯具において、前記蛍光体に当たる前のレーザー光の光路延長路と前記リフレクタとの交差面となる前記リフレクタ表面に、散乱光形成部を形成することを特徴とする車両用灯具。

請求項2

散乱光形成部が、リフレクタ表面に配置された補助蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

請求項3

散乱光形成部が、リフレクタ表面に形成された曲面又は凹凸面であることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

請求項4

散乱光形成部が、リフレクタ表面に配置された拡散剤であることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

請求項5

レーザー光を放出する半導体レーザー素子と、前記レーザー光を集光する集光レンズと、集光された前記レーザー光の少なくとも一部を波長変換して白色光を形成する蛍光体と、前記白色光を反射するリフレクタと、を備える車両用灯具において、前記蛍光体に当たる前のレーザー光の光路の延長路と前記リフレクタとの交差面となる前記リフレクタ表面に、回折格子を備えることを特徴とする車両用灯具。

請求項6

回折格子に照射した光のうち、特定波長領域の光が、回折されて1又は2以上の光検知器導光されるように、前記光検知器を設置したことを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。

請求項7

前記蛍光体と前記散乱光形成部又は前記回折格子間に、ピンポールを有するシェードを設置し、前記集光レンズの最大移動予想位置と前記散乱光形成部又は前記回折格子の外縁とを結ぶ直線が、前記ピンポール内を通過するように、前記ピンポールを形成することを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の車両用灯具。

技術分野

0001

本発明は、半導体レーザー素子光源とする車両用灯具に関し、特に半導体レーザー素子と蛍光体を組み合わせて白色光を発生させるための車両用灯具に関する。

背景技術

0002

自動車前照灯などの車両用灯具では、発光ダイオードLED)に替えレーザーダイオード(LD)を用いることが試みられている(特許文献1参照)。LD光源は、光変換効率が高くまた発光面積が小さいので、灯具の小型化に有利となる。LD光源を用いる車両用灯具では、LD素子から波長変換素子である蛍光体へレーザー光、例えば青色レーザー光照射し、蛍光体が励起されて発する光、例えば黄色光と、前記青色レーザー光を混色させて、白色光が出射される。

0003

レーザー光は指向性の高い高エネルギー光であり、車両の前照灯等の光として使用する場合は、前述した通り、蛍光体に当て散乱させて、路面照射に適し、かつ適度のエネルギーを有する白色光に変換している。前記レーザー光と蛍光体とが十分に当たらないと、高エネルギーのままリフレクタ反射され、前方の歩行者、車両及び路面等に照射されることになる。このような事態を回避するために、前記蛍光体を取付体に強固に固定してその脱離や損傷を確実に防止している。

0004

この高エネルギーのままのレーザー光の照射を回避するために、前記蛍光体が離脱又は損傷しないように、前述の取付体への強固な固定をはじめとして各種手法が採られているが、極端に低い可能性ながら、前記蛍光体の離脱を完璧に回避できるとは断言できない。蛍光体が適正に機能していること、つまり、レーザー光と前記蛍光体に当たりかつ散乱することが適切に行われていることを確認する(逆に言うと、異常を検知する)ために、通常は、光路要所に、光検知器を設置して、エネルギー量(光の強度)や光の波長を測定して、異常の存否チェックしている。そして万一異常が検知され、高エネルギーのレーザー光が蛍光体と当たらずに放射されていると判断した場合には、何らかの原因で蛍光体が脱離又は損傷されたと推定し、レーザー素子の駆動を停止させるようにしている。

0005

この他に、異常時に、レーザー光が当たるリフレクタに、該リフレクタを貫通する貫通孔又はエスケープホール(特許文献1の符号H2)を形成して、レーザー光をリフレクタの外側に逃がし、高エネルギーのレーザー光がリフレクタから前方に反射することを回避することが提案されている。

先行技術

0006

特開2014−180886号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、光検知器が存在しない場合、光検知器が損傷している場合あるいは、光検知器が迅速に作動しない場合には、高エネルギーのレーザー光がそのままリフレクタで反射して前方に照射されてしまうという問題がある。

0008

更に前述のエスケープホールを形成すると、正常運転時にリフレクタに達する白色光の一部が無駄になるという欠点がある。しかも異常時にリフレクタの外側に逃がしたレーザー光が各部材に複数回反射して最終的に高エネルギーのまま灯室外に照射される可能性もある。

0009

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、蛍光体が所定位置から脱離した場合や該蛍光体が損傷して正常な機能を果たせない場合でも、前記レーザー光がリフレクタで反射され、前方へ直接照射されることを抑制できる車両用灯具を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

前記目的を達成するために、本発明(請求項1)に係る車両用灯具では、レーザー光を放出する半導体レーザー素子と、前記レーザー光を集光する集光レンズと、集光された前記レーザー光の少なくとも一部を波長変換して白色光を形成する蛍光体と、前記白色光を反射するリフレクタと、を備える車両用灯具において、前記蛍光体に当たる前のレーザー光の光路の延長路と前記リフレクタとの交差面となる前記リフレクタ表面に、散乱光形成部を形成するようにする。

0011

(作用)このような構成では、正常時、つまり蛍光体が所定位置に固定されて、レーザー光の少なくとも一部を波長変換するよう機能している間は、高エネルギーのレーザー光の強い指向性が弱まって低エネルギー化した白色光が生成し、この白色光が比較的広面積でリフレクタに当たって、ほぼ全部の白色光が前方に反射して路面等に照射される。

0012

しかし前記蛍光体が所定位置から離脱したり、所定位置に存在しても前記蛍光体が機能劣化していると、リフレクタ表面に散乱光形成部を形成していない従来の構成では、高エネルギーのレーザー光がそのまま、あるいは十分に低エネルギー化されていないレーザー光が、リフレクタの非常に狭い範囲に集中してそのまま反射し、高エネルギーのレーザー光が路面や歩行者等に照射されることになる。

0013

これに対し、本発明の構成では、万一前記蛍光体が離脱したり、機能劣化して、該蛍光体と当たることにより低エネルギー化されるべきレーザー光、例えば青色や紫色の短波長のレーザー光が、高エネルギーのままリフレクタの非常に狭い範囲に近接しても、レーザー光の光路の延長路に相当するリフレクタ表面に散乱光形成部が形成されている。そのため、実質的に全てのレーザー光が前記散乱光形成部に当たって乱反射し、リフレクタ内方実質的全ての方向に散乱する。この散乱により、レーザー光の指向性は無くなり、低エネルギーの散乱光となり、高エネルギーのレーザー光が前方に照射されなくなる。

0014

この場合多くの散乱光は、リフレクタとの単一回の反射では、直接灯室から前方に照射されないが、かなりの量の散乱光は、リフレクタ等に複数回反射することにより、間接的に灯室から前方に照射されることになる。正常運転時には、白色光がこの散乱光形成部で反射して散乱光が形成されるが、同様の理由で、実質的に全ての散乱光が前方への照射に利用でき、殆ど無駄が生じない。

0015

前記散乱光形成部は、該散乱光形成部に達するレーザー光の実質的に全てが当たる形状とする。通常のレーザー光は、エミッタ縦横発散角が異なり、放射パターン長円状または長方形状に発生するため、前記散乱光形成部は、リフレクタに達する長円状のレーザー光より若干大きい長円状または長方形状とすることが望ましい。

0016

更に本構成では、従来のエスケープホールに相当するような開口をリフレクタに形成する必要がなく、特に正常運転時に波長変換された白色光が、リフレクタの外側に達して無駄に消費されることがなく、エネルギー効率の向上に寄与できる。

0017

請求項2では、請求項1に記載の車両用灯具において、散乱光形成部を、リフレクタ表面に配置された補助蛍光体とする。

0018

(作用)この補助蛍光体は、請求項1で特定した蛍光体と同一でも異なっていても良い。本構成では、異常時にリフレクタ近傍に達する高エネルギーレーザー光が、前記補助蛍光体に当たることにより散乱して、レーザー光の指向性は無くなり、低エネルギーの散乱光となり、高エネルギーのレーザー光が前方に照射されなくなる。更に、高エネルギーのレーザー光が補助蛍光体に当たることにより、波長変換され、散乱以前に低エネルギー化が達成される。補助蛍光体を蛍光体と同一にすると、前記散乱光は白色光になり、正常時と同じ光が得られる。

0019

請求項3では、請求項1に記載の車両用灯具において、散乱光形成部を、リフレクタ表面に形成された曲面又は凹凸面とする。

0020

(作用)本構成における曲面又は凹凸面は、リフレクタ表面に、リフレクタと同一又は異なった材料で形成して接着したり、曲面又は凹凸面を有するリフレクタを一体成形したり、リフレクタ表面を傷つけて粗面化すること等により形成できる。本構成では、異常時に、前記曲面又は凹凸面に照射される高エネルギーレーザー光が、それぞれの面で散乱して散乱光となり、同様にして高エネルギーのレーザー光が前方に照射されなくなる。

0021

請求項4では、請求項1に記載の車両用灯具において、散乱光形成部を、リフレクタ表面に配置された拡散剤とする。

0022

(作用)本構成における拡散剤は、リフレクタ表面に光散乱を起こさせる任意の材料を含み、光拡散能を有する微粒子を懸濁させた溶媒を、リフレクタ表面に塗布乾燥させたり、塗料を塗布乾燥させて形成することができる。

0023

請求項5では、請求項1の散乱光形成部の替わりに、回折格子をリフレクタ表面に配置する。

0024

(作用)回折格子は、表面にマイクロメートルオーダーの凹凸状の多数の平行溝を形成した分光素子で、特定波長の光を特定の方向に回折させることができる。本構成では、対象とするレーザー光の波長に対応する微細平行溝を形成した回折格子をリフレクタ表面の、異常時にレーザー光が照射される箇所に接着等により配置する。これにより蛍光体に当たらず、又は機能劣化した蛍光体に当たって高エネルギーのままリフレクタ近傍に到達したレーザー光の対象波長分を、回折格子で前方以外の方向へ回折して、高エネルギーレーザー光が灯室外に照射されることを防止する。

0025

請求項6では、請求項5に記載の車両用灯具において、回折格子に照射した光のうち、特定波長領域の光が、回折されて1又は2以上の光検知器(フォトセンサ)に導光されるように、前記光検知器を設置する。

0026

(作用)蛍光体が離脱又は損傷している車両用灯具は、仮に請求項1から5の手法で、レーザー光の低エネルギー化を達成できたとしても放置しておくことは望ましくない。本構成では、回折格子により特定方向に回折された特定波長の光を光検知器で検知することにより、蛍光体の異常を認識する。そしてこの異常をアラーム等により運転者に知らせることにより、迅速に前記異常に対応することを可能にする。

0027

請求項7では、請求項1〜6までのいずれか1項に記載の車両用灯具において、蛍光体と散乱光形成部又は回折格子間に、ピンポールを有するシェードを設置し、前記集光レンズの最大移動予想位置と前記散乱光形成部又は前記回折格子の外縁とを結ぶ直線が、前記ピンポール内を通過するように、前記ピンポールを形成する。

0028

(作用)散乱光形成部や回折格子を形成した前記車両用灯具では、レーザー素子によるレーザー光の発光方向が一定、通常は鉛直方向、であれば、仮に蛍光体が脱離してレーザー光がリフレクタ近傍に達しても、このレーザー光が散乱光形成部や回折格子に当たって高エネルギーレーザー光が灯室外に照射されることがないことは前述した通りである。しかしながら、前記レーザー素子が傾くなどして、レーザー光の発光方向が鉛直方向からずれると、レーザー光の進行方向も傾斜して、散乱光形成部や回折格子が存在しないリフレクタ面にレーザー光が到達する可能性がある。

0029

この場合には、本構成のように、レーザー光の進行基点となる集光レンズの最大移動予想位置と、前記散乱光形成部や前記回折格子の外縁部とを結ぶ直線が、前記ピンポール内を通過するように、前記ピンポールを有するシェードを設置する、換言すると、前記ピンポールを通過する、集光レンズから出射したレーザー光の全てが前記散乱光形成部や前記回折格子に到達するように、前記ピンポールを形成する。このようにすると、前記ピンポールが存在しないと、前記レーザー素子が傾いた場合や水平方向に移動した場合に、前記レーザー素子から出射して、前記散乱光形成部や前記回折格子の領域外に到達してしまうレーザー光が、前記ピンポールを有するシェードによりブロックされて、前記散乱光形成部や前記回折格子に到達できなくなり、従って、高エネルギーレーザー光がリフレクタで反射されて前方へ照射されることがなくなる。

発明の効果

0030

本発明に係る車両用灯具では、リフレクタに散乱光形成部又は回折格子を配置することにより、異常時に前記リフレクタに到達する可能性のある高エネルギーレーザー光を、低エネルギー光に変換して前記リフレクタ内方に散乱又は回折させて、高エネルギーレーザー光のまま灯室前方に照射させることを回避できる。また、従来のエスケープホールに相当する、レーザー光が通過する開口をリフレクタに形成する必要がないため、発生する光を有効に利用できる。

0031

更にピンポールを形成する本発明の一態様では、レーザー素子が傾くこと又は移動することに起因するレーザー光の前方照射を防止できる。

図面の簡単な説明

0032

本発明の一実施態様である車両用灯具の縦断側面図である。
図2aから図2cは、それぞれ本発明の他の実施態様である車両用灯具の部分縦断側面図である。
本発明の更に他の実施態様である車両用灯具の縦断側面図である。
図3の車両用灯具の縦断正面図である。
図5a、図5bは、それぞれ本発明の更に他の実施態様である車両用灯具の縦断側面図である。

実施例

0033

次に、本発明の実施の形態について説明する。

0034

第1実施形態であるプロジェクタ型灯具ユニット1は、図1に示すように、発光装置3、車両前後方向に延びる光軸上に配置された投影レンズ5、及びリフレクタ7を備えている。発光装置3は、レーザー光を発光させる半導体レーザー素子9、該半導体レーザー素子9からのレーザー光を集光する集光レンズ11、及び該集光レンズ11からの光が照射されて上方に向けて透過される蛍光体13を備えている。前記半導体レーザー素子9は、レーザー光を放出する半導体発光素子で、例えば、発光波長が青系(450nm程度)のレーザー光、あるいは近紫外域(405nm程度)のレーザー光を発光する素子を使用する。

0035

前記発光装置3は円筒状に成形され、下方内部の円板15上に一体成型された長円状の周壁17内に、前記半導体レーザー素子9が固定されている。前記発光装置3の円筒内壁面のほぼ中央には前記集光レンズ11が固定され、かつ前記発光装置3の上面中央には矩形又は円形固定孔19が形成され、この固定孔19には、前記蛍光体3が、シリコーン低融点ガラス等の透明な接着剤により接着されて嵌め込まれている。通常のレーザー光は真円ではない長円状に発生するため、この固定孔は、長円孔としても良く、いずれにしても半導体レーザー素子9で発生するレーザー光を遮蔽することなく、少なくともその一部を吸収して波長変換して透過させる形状とする。

0036

蛍光体3は、例えば、セリウムCe等の付活剤が導入されたYAGとアルミナAl2O3との複合体で、ほぼ平行に配置された下面及び上面を含む板状又は層状とする。その厚さは、目的の色度に応じて、適宜の厚みとすることができる。該蛍光体3は、前述の波長変換された光と半導体レーザー素子9からのレーザー光との混色により生成するる白色光を放出する。

0037

前記集光レンズ11は、半導体レーザー素子9からのレーザー光を集光して、蛍光体13に照射させる。前記集光レンズ11は、円筒形の発光装置3内の蛍光体13と半導体レーザー素子9との間の内壁に固定されている。

0038

投影レンズ5は、アクリル等の透明樹脂製で、図示の例では前方側の凸表面、及び後方側の平面を含む非球面レンズである。この投影レンズ9は、ホルダ21に固定されて車両前後方向に延びる光軸上に配置されている。

0039

従来のリフレクタは、発光装置の蛍光体で生成した白色光の実質的に全部を前方に反射し、投影レンズを透過させて車両前方に照射し、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に基本配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターンの少なくとも一部)を形成するように、発光装置3の側方から上方にかけての範囲をドーム状に覆っている。

0040

図示の実施例のリフレクタも基本的な構造は従来のリフレクタと同一であるが、半導体レーザー素子9→集光レンズ11→蛍光体13の順に進行した白色光に変換された光が照射されるリフレクタ7下面に、半球状に突出した散乱光形成部23が一体成型されている点で異なっている。半導体レーザー素子9からのレーザー光は、前記蛍光体13を透過して白色光に変換されるとともに指向性を失って、真上だけでなく、弱く屈折して逆円錐状拡散して前記リフレクタ7に達する。真上又はほぼ真上に進行した白色光は、半球状の散乱光形成部23に達して、照射された半球面の傾斜に従って四方八方に散乱する(図1中の実線参照)。この散乱光の殆どは、直接前記投影レンズ5に到達することはないが、灯室内の複数の部材に反射して最終的にはその殆どが車両前方に照射される。

0041

真上及びほぼ真上以外に進行した白色光は、リフレクタ7の半球状に突出した散乱光形成部23以外の面で反射して、通常通り投影レンズ5から車両前方に照射される。なお、後述の他の実施形態でも関連説明を行う通り、リフレクタ下面に形成される散乱光形成部のリフレクタ全面に対する割合は僅少であり、正常時に蛍光体13で生成する殆どの白色光は、散乱光形成部以外のリフレクタ下面で通常通り反射して、車両前方を照射する。

0042

そして万一、前記蛍光体13が前記蛍光体固定孔19から離脱し、あるいは前記蛍光体13に機能損傷が生じる異常事態の際には、該蛍光体13に到達したレーザー光が蛍光体により波長変換されずに、強い指向性のまま、実質的にすべてのレーザー光が前記リフレクタ7に達する。この場合に、従来のリフレクタのようにその下面に散乱光形成部が形成されていないと、指向性の強いレーザー光がそのままリフレクタ下面で反射して車両前方に照射されることになる。

0043

しかし本実施形態では、前述の通り、リフレクタ7下面のレーザー光が進行してくる箇所に、半球状の散乱光形成部23が一体成型されているため、異常時に蛍光体13で波長変換されずに、前記散乱光形成部23に入射したレーザー光が、四方八方に散乱して(図1中の実線参照)、レーザー光の有する指向性が大幅に減少した散乱光に変換される。このように本実施形態では、蛍光体に異常が生じても、強指向性のレーザー光が車両外に照射されることは実質的に起こりえないが、蛍光体異常を放置することは好ましくなく、例えば後述のようなフォトセンサで、異常を検知し、安全な場所に停車後に消灯することが望ましい。

0044

図2aから図2cは、それぞれ本発明の第2〜第4の実施態様である車両用灯具を示す一部破断部分縦断側面図であり、灯具ユニットのリフレクタ下面に形成される散乱光形成部以外は、第1実施形態と同一の構成を有している。

0045

図2aの第2実施形態では、リフレクタ7の下面に、底面が反射面として機能する凹溝25が形成され、この凹溝25内に、散乱光形成部23aとして機能する、前記蛍光体13と同一又は類似の補助蛍光体が埋め込まれ、図2bの第3実施形態では、リフレクタ7の下面に鋸歯状の凹凸である散乱光形成部23bが一体成型され、図2cの第4実施形態では、リフレクタ7の下面には、散乱光形成部23cとして機能する、レーザー光を散乱させて散乱光を生成するための拡散剤が塗布又は貼着などにより形成されている。

0046

図2aの実施形態では、本来の蛍光体13の離脱や損傷により、波長変換されずに、この散乱光形成部23a(補助蛍光体)に到達したレーザー光が、この補助蛍光体23aに当たりかつ透過して、正常時の前記蛍光体13の場合と同様に白色光に変換され、前記凹溝25の底面で反射し、再度補助蛍光体23aを透過して、前方に向けて照射される。従って、この第2実施形態でも、蛍光体13が離脱又は損傷しても、強指向性のレーザー光が車外に照射されることが防止できる。しかも波長変換を行う補助蛍光体23aが、本来の蛍光体13と同一又は類似であるため、機能的な同一性保証される。

0047

しかも正常運転時には、レーザー光が2度蛍光体に当たるため、波長変換をより確実に実行できる。又本来の蛍光体13による波長変換では、十分に指向性が弱まらず、僅かな指向性が残存している可能性がある。この場合にも指向性が残存している光が補助蛍光体23aに当たって完全に指向性が消滅した散乱光が得られる。

0048

図2bの実施形態では、リフレクタ7の下面に鋸歯状の凹凸である散乱光形成部23bが一体成型され、蛍光体13の離脱や損傷により、波長変換されずに、この散乱光形成部23b(鋸歯状の凹凸面)に到達したレーザー光が、この散乱光形成部23bの表面で、この凹凸面の形状に応じて四方八方に散乱して、前記第1実施形態と同様にレーザー光の有する指向性が大幅に減少した散乱光に変換される。多様な角度の散乱光を生成するために、前記鋸歯状の凹凸面の同一方向に傾斜する複数の面は互いに平行ではなく、若干異なった角度を有するように形成することが望ましい。

0049

リフレクタ7下面に一体成型する散乱光形成部の態様は、図1の半球状の突出部23や図2bの鋸歯状の凹凸面23b以外に、多数の細かい溝を交差するように刻み付けたヤスリ状の面や、リフレクタ7の強度が許容する範囲の深さで形成される半球状の窪みなどがある。いずれにしても、リフレクタに到達したレーザー光が可能な限り多様な角度で散乱する形状であることが好ましく、例えば断面形状が矩形の凹溝や凸状突出部などは、反射方向が限定されるため、望ましくない。

0050

図2cの実施形態では、リフレクタ7の下面に、散乱光形成部23cとして機能する、拡散剤が塗布又は貼着されている。この拡散剤は、例えば硫酸バリウムなどの光拡散能を有する微粒子を懸濁させた溶媒を、リフレクタ表面に塗布乾燥させたり、塗料を塗布乾燥させて、リフレクタ7下面に直接形成することができる。また、前記微粒子を懸濁させた溶媒や前記塗料を塗布乾燥させて、その一方面に拡散剤を層状に形成した拡散シートを、リフレクタ7下面の所定箇所に貼着しても良い。更に、未処理のシートの一方面を粗面化して微細な凹凸を形成し、このシートを貼着しても良い。

0051

この実施形態でも、蛍光体13が離脱又は損傷してレーザー光が強指向性のまま散乱光形成部23cに到達した際に、該散乱光形成部23cが拡散剤として機能し、前述の実施形態と同様に、前記レーザー光が四方八方に散乱して、指向性が無いか殆ど無い散乱光に変換される。

0052

図3及び図4に示す第5実施形態における灯具ユニット1の構成は図1の灯具ユニットと同一であり、図1と同一符号を付して説明を省略する。この第5実施形態では、散乱光形成部として回折格子23dを使用し、かつ該回折格子23dで散乱させたレーザー光をフォトセンサなどの1又は2以上の検出素子27で検出する。

0053

第5実施形態でも、正常時は、蛍光体13が機能してレーザー光の少なくとも一部を波長変換し、高エネルギーのレーザー光の強い指向性が弱まって低エネルギー化した白色光が生成し、この白色光が回折格子23d以外のリフレクタ7下面で反射すると、ほぼ全部の白色光が前方に向けて照射される。回折格子23dに到達した白色光は、該回折格子23dの微細格子傾斜角に応じた方向に反射する。灯具ユニット1内の1又は2以上の箇所に検出素子27を予め設置しておくと、特に複数の検出素子27を設置しておくと、図3に示す通り、反射した光が少なくとも1個の検出素子27に入射し、その波長や強度を測定することにより、所定量の白色光が正常通り、生成していることを確認できる。

0054

しかし前記蛍光体が所定位置から離脱したり、所定位置に存在しても前記蛍光体が機能劣化していると、強指向性のレーザー光の実質的に全てが回折格子23dに到達し、該回折格子23dの微細格子の傾斜角に応じた方向に反射し、白色光の場合と同様に検出素子27に入射する。この入射光は、レーザー光の波長と白色光よりも大きい光量を有しているため、波長や強度を測定することにより、正常時に生成する白色光ではなく、半導体レーザー素子で生成したレーザー光が蛍光体13による波長変換を経ることなく、そのまま複数の検出素子7のいずれかに入射していることが確認できる。このような事態が生じた際には、アラーム等で運転者に異常を伝えることが望ましい。なお、図4から判るように、回折格子23dの設置面積は、リフレクタ7全体からみて僅かであり、正常に生成する白色光の多くは、回折格子23dには到達せず、リフレクタ7で反射して前方を照射する。また、通常半導体レーザー素子9は長円形であり、この素子9で生成するレーザー光も長円形の光束となり、蛍光体13が存在しない異常時には、長円形のままリフレクタ7に達する。従って、リフレクタ7に形成される回折格子3dも、図4に示すように、長円形とすることが好ましい。

0055

図5a、図5bは、それぞれ第6実施形態である車両用灯具の縦断側面図である。本実施形態における発光装置3の構成は図1の灯具ユニットと同一であり、図1と同一符号を付して説明を省略する。この第6実施形態では、先行する各実施形態と同様に、リフレクタに散乱光形成部を形成して、蛍光体13の離脱又は損傷に対処するとともに、発光装置3が傾斜又は水平移動して、レーザー光の光路が変わってしまう事態に対応する手法を提案する。

0056

本実施形態におけるリフレクタ7aは、先行する実施形態のリフレクタ7と異なり、実質的にドーム状の湾曲部から成り、上下方向幅が小さくなっているが、第1実施形態と同じ散乱光形成部23がその下面に形成されている。このリフレクタ7aの下端には、ピンホール29が穿孔されたシェード板31が横向きに連設され、前記リフレクタ7aとシェード板31を樹脂などで一体成型することにより、外力が作用した場合にも、前記リフレクタ7aの散乱光形成部23と前記シェード板31のピンホール29の位置関係不変となるようにしている。なお実際の灯具ユニットにおけるピンホールの直径は、多くの場合、1ミリ前後である。

0057

図5aは、発光装置3が通常の位置に直立した正常状態を示している。この状態において、前記ピンホール29は、その外縁部が、図5bに示す発光装置3が、傾斜又は平行移動した後の、前記集光レンズの最大移動予想位置と前記散乱光形成部23の外周面との結ぶ全ての直線より外側に位置するように、前記シェード板31に形成されている。図5aに示す正常時には、先行する実施形態の場合と同様に、半導体レーザー素子9で発生するレーザー光は、集光レンズ11を透過した後、蛍光体13に到達して、波長変換されて白色光を生成し、この白色光は実質的にその全てが、シェード板31に形成されたピンホール29を通過して散乱光形成部23に達して四方八方に散乱する。この散乱光は、灯室内の複数の部材で反射して最終的にはその殆どが車両前方に照射される。

0058

図5aの状態で、万一蛍光体13が、蛍光体固定孔19から離脱し、あるいは前記蛍光体13に機能損傷が生じる等の異常事態が生じても、該蛍光体13により波長変換されずに、強い指向性のまま、前記ピンホール29を通過して実質的にすべてのレーザー光が前記リフレクタ7aの散乱光形成部23に達する。そして、前記レーザー光は、この散乱光形成部23で散乱して強い指向性が弱まって低エネルギー化した散乱光となり、正常時と同様にして、車両前方に照射される。

0059

このように、図5aの例及び先行する実施形態では、蛍光体13が離脱又は損傷して、波長変換されていないレーザー光がリフレクタに到達しても、このレーザー光は散乱光形成部により、散乱されて、低エネルギーの散乱光に変換されるため、強指向性で高エネルギーのレーザー光が車外に照射されることは防止される。

0060

しかしながら、例えば図1の第1実施形態において、蛍光体13が離脱するとともに、発光装置3が傾斜し又は水平移動して、前記半導体レーザー素子9や集光レンズ11の位置が変位すると、レーザー光の光路が変わり、集光レンズ11を透過したレーザー光が蛍光体13で波長変換されずに、リフレクタ7に到達し、その一部が散乱光形成部23に当たって波長変換されることなく、前記散乱光形成部23から、強指向性及び高エネルギーのまま車両前方に向けて反射する可能性が生じる。

0061

しかし、図5bに示す第6実施形態では、前述の通り、前記集光レンズ11の最大移動予想位置と前記散乱光形成部23の外縁とを結ぶ直線が、前記ピンポール29内を通過するように、前記ピンポール29を形成してある。従って、蛍光体13の離脱又は損傷と、発光装置3の傾斜又は水平移動という、非常に僅少な確率でしか起こりえない事態が同時に発生した場合でも、第6実施形態では、変位した集光レンズ11からのレーザー光のうち、散乱光形成部23以外のリフレクタ7下面に到達してしまう光は、ピンホール29の周囲のシェード板31で遮蔽されてリフレクタ7には到達せず、従って高エネルギーのレーザー光の車外照射を確実に防止できる。

0062

1.1a灯具ユニット
3発光装置
5投影レンズ
7、7aリフレクタ
9半導体レーザー素子
11集光レンズ
13蛍光体
23散乱光形成部
23a 散乱光形成部(補助蛍光体)
23b 散乱光形成部(鋸歯状の凹凸)
23c 散乱光形成部(拡散剤)
23d 散乱光形成部(回折格子)
27検出素子(フォトセンサ)
29ピンホール
31シェード板

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • セジンオントインクの「 光源装置、およびそれを備える露光装置」が 公開されました。( 2019/07/25)

    【課題】光源から放射された光を所定の照射範囲に集めることができ、光の利用効率を向上させることができる光源装置を提供する。【解決手段】光源装置10を、光源12と、光源12からの光を、照射面Sに向けてより... 詳細

  • 株式会社鈴木茂兵衛商店の「 提灯」が 公開されました。( 2019/07/25)

    【課題】照射された光が提灯表面で明暗に搖動するようになすことで、光源からの光効果を生かし、ゆらぎ効果によって見る人に対して癒しを与える効果をより大きく発揮せしめることのできる提灯を提供する。【解決手段... 詳細

  • 大日本印刷株式会社の「 照明装置」が 公開されました。( 2019/07/25)

    【課題・解決手段】照明装置(10)は、光を射出する光源(15)と、光源(15)から射出した光を回折する回折光学素子(40)と、回折光学素子(40)によって回折された光を反射または屈折させて投影面Sに向... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ