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技術 糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法

出願人 鹿児島県
発明者 安藤浩毅西元研了大谷武人
出願日 2015年4月3日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2015-076838
公開日 2016年11月24日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2016-195561
状態 特許登録済
技術分野 糖工業 糖類化合物 アルカリ金属化合物
主要キーワード 液回収率 サトウキビ由来 トイレタリー品 回収効果 発酵阻害 電気透析処理 灰分量 総カロリー
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

糖蜜を処理して画分を得る工程において、塩類析出させることにより、遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置による固液分離を可能にして、含酸素化合物と塩類を簡単かつ効率的に分画することができる、糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類を分画する方法を提供する。

解決手段

糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法は、糖蜜の粘度を所要の低い粘度となるように調整する粘度調整工程と、粘度調整工程により所要の低い粘度とした糖蜜に、硫酸と、カルシウムの塩、水酸化物塩化物または酸化物とを添加し、複塩である硫酸カリウム・カルシウムを析出させる析出工程と、析出工程により得られた固液混合物を固液分離し、液部であり蔗糖を含む含酸素化合物の溶液と、固形部である硫酸カリウム・カルシウムとを分画する分画工程とを備える。

概要

背景

サトウキビから砂糖を精製する際に生じる副産物である糖蜜廃糖蜜ともいわれる)は、糖分以外の成分も含んだ粘度が高い黒褐色の液体である。このサトウキビ由来の糖蜜には、多くの有用な成分が含まれていることが分かっている。その組成は、糖分、塩類、水分、蛋白質有機酸ポリフェノールなどであり、近年、糖蜜そのものだけではなく、糖蜜を各種方法で分画して得られる画分を有効に利用するために、様々な研究が行われている。

糖蜜を分画して得られる画分を、各種分野で利用する技術はすでにあり、一例としては特許文献1に記載された「糖蜜分画物」がある。この糖蜜分画物は、さとうきび由来糖蜜類である糖蜜および/または糖蜜アルコール発酵蒸留残渣および/または黒糖アルコール発酵蒸留残渣より得られる分子量2万以下の美白作用および/または消臭作用を有する糖蜜分画物であり、食品嗜好品化粧品石鹸シャンプーなどのトイレタリー品洗剤医薬部外品、環境分野などで安価で広く使用できるものとされている。

なお、糖蜜分画物としては、上記の他にも、いわゆる各種含酸素化合物が考えられる。含酸素化合物としては、例えば溶剤または種々の化成品中間原料として有用なアルコール類などがあげられる。糖蜜に限らず、様々な材料から得られた含酸素化合物を、例えば発酵原料化学品原料飼料プラスチック燃料などとして利用する技術は公知であり、すでに広く活用されている。また、特許文献1の明細書の段落番号〔0026〕、〔0027〕、〔0028〕および〔0029〕には、糖蜜分画物から、残留する塩類をイオン交換樹脂処理電気透析処理、あるいは合成吸着剤処理などにより除去することが開示されている。

このように、糖蜜分画物から、残留する塩類を除去、または低減することで、画分としての塩類の、容易かつ効果的な利用を図ると共に、塩類を除去、または低減した含酸素化合物などの糖蜜分画物において、脱塩が有効な場合では、脱塩による各種機能性、および有用性の向上を図ることができる。

概要

糖蜜を処理して画分を得る工程において、塩類を析出させることにより、遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置による固液分離を可能にして、含酸素化合物と塩類を簡単かつ効率的に分画することができる、糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類を分画する方法を提供する。糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法は、糖蜜の粘度を所要の低い粘度となるように調整する粘度調整工程と、粘度調整工程により所要の低い粘度とした糖蜜に、硫酸と、カルシウムの塩、水酸化物塩化物または酸化物とを添加し、複塩である硫酸カリウム・カルシウムを析出させる析出工程と、析出工程により得られた固液混合物を固液分離し、液部であり蔗糖を含む含酸素化合物の溶液と、固形部である硫酸カリウム・カルシウムとを分画する分画工程とを備える。

目的

本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、糖蜜を処理して画分を得る工程において、塩類を析出させることにより、遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置による固液分離を可能にして、含酸素化合物と塩類を簡単かつ効率的に分画することができる、糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類を分画する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

糖蜜の粘度を所要の低い粘度となるように調整する粘度調整工程と、該粘度調整工程により所要の低い粘度とした糖蜜に、硫酸と、カルシウムの塩、水酸化物塩化物または酸化物とを添加し、複塩である硫酸カリウム・カルシウムを析出させる析出工程と、該析出工程により得られた固液混合物固液分離し、液部であり蔗糖を含む含酸素化合物溶液と、固形部である硫酸カリウム・カルシウムとを分画する分画工程とを備える糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法。

請求項2

前記粘度調整工程における糖蜜の粘度調整が、糖蜜の加温、および糖蜜に対し水または水溶性溶媒を添加することにより行われる請求項1の糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法。

請求項3

前記粘度調整工程における糖蜜の粘度調整後の固液の重量比が1:1となるように調整されている請求項2の糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法。

請求項4

前記硫酸の添加量、および前記カルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物の添加量は、前記糖蜜に含まれるカリウムイオンモル濃度に対し、硫酸イオンのモル濃度が0.5〜1.0倍量、かつカルシウムイオンのモル濃度が0.08〜0.15倍量となる量である請求項1、2または3の糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法。

技術分野

0001

本発明は、糖蜜に含まれる含酸素化合物塩類とを分画する方法に関するものである。更に詳しくは、糖蜜を処理して、塩類を析出させることにより、遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置による固液分離を可能にして、含酸素化合物と塩類を簡単かつ効率的に分画することができる、含酸素化合物と塩類を分画する方法に関する。

背景技術

0002

サトウキビから砂糖を精製する際に生じる副産物である糖蜜(廃糖蜜ともいわれる)は、糖分以外の成分も含んだ粘度が高い黒褐色の液体である。このサトウキビ由来の糖蜜には、多くの有用な成分が含まれていることが分かっている。その組成は、糖分、塩類、水分、蛋白質有機酸ポリフェノールなどであり、近年、糖蜜そのものだけではなく、糖蜜を各種方法で分画して得られる画分を有効に利用するために、様々な研究が行われている。

0003

糖蜜を分画して得られる画分を、各種分野で利用する技術はすでにあり、一例としては特許文献1に記載された「糖蜜分画物」がある。この糖蜜分画物は、さとうきび由来糖蜜類である糖蜜および/または糖蜜アルコール発酵蒸留残渣および/または黒糖アルコール発酵蒸留残渣より得られる分子量2万以下の美白作用および/または消臭作用を有する糖蜜分画物であり、食品嗜好品化粧品石鹸シャンプーなどのトイレタリー品洗剤医薬部外品、環境分野などで安価で広く使用できるものとされている。

0004

なお、糖蜜分画物としては、上記の他にも、いわゆる各種含酸素化合物が考えられる。含酸素化合物としては、例えば溶剤または種々の化成品中間原料として有用なアルコール類などがあげられる。糖蜜に限らず、様々な材料から得られた含酸素化合物を、例えば発酵原料化学品原料飼料プラスチック燃料などとして利用する技術は公知であり、すでに広く活用されている。また、特許文献1の明細書の段落番号〔0026〕、〔0027〕、〔0028〕および〔0029〕には、糖蜜分画物から、残留する塩類をイオン交換樹脂処理電気透析処理、あるいは合成吸着剤処理などにより除去することが開示されている。

0005

このように、糖蜜分画物から、残留する塩類を除去、または低減することで、画分としての塩類の、容易かつ効果的な利用を図ると共に、塩類を除去、または低減した含酸素化合物などの糖蜜分画物において、脱塩が有効な場合では、脱塩による各種機能性、および有用性の向上を図ることができる。

先行技術

0006

特開2012−219086号公報

発明が解決しようとする課題

0007

上記従来の発明の明細書に記載の、糖蜜分画物から、残留する塩類をイオン交換樹脂処理、電気透析処理、あるいは合成吸着剤処理などによって分画する場合では、いずれも高価な装置が必要であるだけでなく、処理に長時間を要する。すなわち、糖蜜分画物に残留している塩類を分画する際には、塩類が析出するなどして固液が分離しているわけではなく、塩類が溶液中に溶けた状態から分画するので、処理に長時間を要し、作業効率がよくないという課題があった。

0008

本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、糖蜜を処理して画分を得る工程において、塩類を析出させることにより、遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置による固液分離を可能にして、含酸素化合物と塩類を簡単かつ効率的に分画することができる、糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類を分画する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

(1)本発明は、糖蜜の粘度を所要の低い粘度となるように調整する粘度調整工程と、該粘度調整工程により所要の低い粘度とした糖蜜に、硫酸と、カルシウムの塩、水酸化物塩化物または酸化物とを添加し、複塩である硫酸カリウム・カルシウムを析出させる析出工程と、該析出工程により得られた固液混合物を固液分離し、液部であり蔗糖を含む含酸素化合物の溶液と、固形部である硫酸カリウム・カルシウムとを分画する分画工程とを備える糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法である。

0010

(2)本発明は、前記粘度調整工程における糖蜜の粘度調整が、糖蜜の加温、および糖蜜に対し水または水溶性溶媒を添加することにより行われる、上記(1)の発明に係る糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法である。

0011

まず、糖蜜の粘度調整を糖蜜の温度の調整により行う場合は、糖蜜を加温し、温度を例えば50℃程度に上昇させることによって、水などで希釈することなく糖蜜の粘度をある程度低下させることが可能になる。また、水または水溶性の溶媒を添加することで糖蜜の粘度を低下させる場合は、これにより希釈されるので、カルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物などの添加物が分散しやすく、混ざりやすくなる。望ましくは、糖蜜を加温して粘度を低下させた後、水または水溶性の溶媒を添加し、希釈するのがよい。

0012

(3)本発明は、前記粘度調整工程における糖蜜の粘度調整後の固液の重量比が1:1となるように調整されている、上記(2)の発明に係る糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法である。

0013

この場合、この固液比で粘度が好適に調整されることにより、希釈糖蜜に対し硫酸が混ざりやすくなり、カルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物もよく分散し溶解して、糖蜜とこれら添加物を効率よく反応させることができる。

0014

(4)本発明は、前記硫酸の添加量、および前記カルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物の添加量は、前記糖蜜に含まれるカリウムイオンモル濃度に対し、硫酸イオンのモル濃度が0.5〜1.0倍量、かつカルシウムイオンのモル濃度が0.08〜0.15倍量となる量である、上記(1)、(2)または(3)の発明に係る糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法である。

0015

この場合は、糖蜜に含まれるカリウムのうち70〜80%程度を回収することができる。すなわち、硫酸の添加量、およびカルシウム塩、水酸化物、塩化物または酸化物の添加量を、上記モル濃度となるように調整することにより、カリウムの除去率を、現実的な上限値(80%程度)に近い好ましい範囲(70〜80%)に収めることができる。

0016

なお、硫酸の添加量、およびカルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物の添加量が、糖蜜に含まれるカリウムイオンのモル濃度に対し、硫酸イオンのモル濃度が0.5倍量、かつカルシウムイオンのモル濃度が0.08倍量となる量に満たない場合は、カリウムの回収率が、現実的な上限値より相当に低くなり、カリウムを効果的に回収できないため実用性に劣る。

0017

また、硫酸の添加量、およびカルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物の添加量が、糖蜜に含まれるカリウムイオンのモル濃度に対し、硫酸イオンのモル濃度が1.0倍量(等倍量)、かつカルシウムイオンのモル濃度が0.15倍量となる量を超えても、カリウムの回収率が、現実的な上限値からほとんど上がらない。
このため、上記モル濃度を超える量を添加した場合は、超えた分が実質的に無駄になる。更には、固形部である沈殿物が増えるため、得られる液部が少なくなり、好ましくない。

0018

(作用)
本発明の糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法によれば、糖蜜を処理して画分を得る工程において、塩類である硫酸カリウム・カルシウムを析出させることにより、遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置による固液分離を可能にして、含酸素化合物と塩類を簡単かつ効率的に分画することができる。

0019

すなわち、糖蜜の粘度を所要の低い粘度となるように調整する粘度調整工程を経ることにより、糖蜜を流動しやすくして、添加物が混合しやすいようにすることができる。これにより、糖蜜と添加物との反応が効率よく行われる。

0020

粘度調整工程により所要の低い粘度とした糖蜜に、硫酸と、カルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物とを添加し、複塩である硫酸カリウム・カルシウムを析出させる析出工程を経ることにより、糖蜜に含まれる含酸素化合物と、塩類を固液混合した態様で、液部(主に含酸素化合物溶液)と固形部(塩類)に分離することができる。

0021

そして、この分離態様とすることにより、例えば遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置を使用して固液分離をすることが可能になる。

0022

析出工程により得られた固液混合物を固液分離し、液部であり蔗糖を含む含酸素化合物の溶液と、固形部である硫酸カリウム・カルシウムとを分画する分画工程を経ることにより、画分としての含酸素化合物溶液、および塩類である硫酸カリウム・カルシウムを得ることができる。

0023

このような分画により塩類(無機塩の複塩)である硫酸カリウム・カルシウムを除去、または低減した含酸素化合物において、脱塩が有効な場合では、脱塩による各種機能性、および有用性の向上を図ることができる。また、得られた硫酸カリウム・カルシウムは、カルシウム塩およびカリウム塩として存在し、例えば肥料の材料として、容易かつ効果的な利用を図ることができる。

発明の効果

0024

本発明は、糖蜜を処理して画分を得る工程において、塩類を析出させることにより、遠心分離器、または濾過器などのごく一般的な固液分離装置による固液分離を可能にして、含酸素化合物と塩類を簡単かつ効率的に分画することができる、糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類を分画する方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0025

本発明の糖蜜に含まれる含酸素化合物と塩類とを分画する方法の工程を示す説明図である。
硫酸の添加量の調整に伴う含酸素化合物溶液の回収率と、カリウムの回収率を示すグラフである。

0026

本発明を図1を参照して詳細に説明する。
本発明の方法を適用するサトウキビ由来の原糖蜜の組成の一例を挙げれば、水分が20wt%、糖分が45wt%、塩類が20wt%、その他(ポリフェノール、有機酸、蛋白質など)が15wt%である。なお、上記原糖蜜以外にも、サトウキビジュース、またはその濃縮液を、発明の方法を適用する材料として使用することもできる。

0027

本発明の分画方法を各工程ごとに説明する。
図1を参照する。
<粘度調整工程>
原糖蜜の粘度を所要の低い粘度となるように調整し、所要の固液比(固液の重量比)を有する希釈糖蜜を得る。この粘度調整工程を経ることにより、糖蜜を流動しやすくして、硫酸やカルシウムの塩などの添加物が混合しやすいようにすることができる。

0028

特に、糖蜜の加温と、その後の水などの溶媒による希釈によって、粘度調整を行った後の希釈糖蜜の固液の重量比が1:1となるように好適に調整されていると、希釈糖蜜に対し硫酸が混ざりやすくなり、カルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物もよく分散し溶解するので、希釈糖蜜とこれら添加物は効率よく反応する。

0029

上記のように、原糖蜜を水で希釈し、希釈糖蜜の固液比が、糖蜜:水=1:1となるように粘度調整を行う場合、具体的には、原糖蜜の含水率を測定し、原糖蜜からその水分量(含水量)を除いた重量と、含水量と希釈水分量をあわせた重量が同じになるように希釈する。

0030

例えば、1000gの原糖蜜の含水率が25wt%であった場合、含水量は250gであり、水以外の部分の重量は750gである。したがって、原糖蜜に水を500g混ぜて希釈することで、固液比1:1の希釈糖蜜が1500g得られる。

0031

<析出工程>
粘度調整工程により所要の低い粘度とした希釈糖蜜に、硫酸と、カルシウムの塩、水酸化物、塩化物または酸化物とを添加し、よく混合させて複塩である硫酸カリウム・カルシウムを析出させる。この際、条件(例えば希釈糖蜜の固液比が1:1になるなど)によっては、固形部である沈殿物(シンゲナイト:K2Ca(SO4)2/H2O)が生じる。

0032

この析出工程を経ることにより、糖蜜に含まれる蔗糖を主成分とした含酸素化合物と、同じく糖蜜に含まれ析出した塩類である硫酸カリウム・カルシウムを固液混合した態様で、液部(含酸素化合物)と固形部(塩類)に分離することができる。化学反応式は次の通りである。

2K++Ca2++2(SO42−)⇔ K2Ca(SO4)2

0033

<分画工程>
析出工程により得られた固液混合物を固液分離し、液部であり蔗糖を含む含酸素化合物の溶液と、固形部である硫酸カリウム・カルシウムとを分画する。この分画工程を経ることにより、画分としての含酸素化合物、および塩類である硫酸カリウム・カルシウムを得ることができる。

0034

このような分画により得られた、塩類である硫酸カリウム・カルシウムを除去、または低減した含酸素化合物において、脱塩が有効な場合では、脱塩による各種機能性、および有用性の向上を図ることができる。

0035

すなわち、例えば発酵原料、飼料、化学品原料、プラスチック、あるいは燃料などの材料となる含酸素化合物において、カリウムの含有量が低減されたものを使用する場合、それぞれ次のような有用性がある。まず、発酵原料では、微生物生育阻害発酵阻害)の低減、精製工程の付加低減を図ることができる。

0036

また、飼料では、家畜家禽に対する利尿作用の抑制、すなわち屎尿排を低減させることができる。化学品原料では、製造工程での影響を改善できる。より具体的には、触媒変換効率の向上につながる。プラスチックでは、不純物の削減につながる。また、燃料とするときには、発熱量(総カロリー)が増えるのに加えて、特に固体燃料では燃焼後の灰分量が低減される。

0037

更に、硫酸カリウム・カルシウムは、カルシウム塩およびカリウム塩として存在し、例えば肥料の材料として使用する場合、ほぼそのままの態様で使用することも可能であるので、容易かつ効果的な利用を図ることができる。

0038

〔実施例1〕
ここで、まず、希釈糖蜜(固液比1:1)の作り方について説明する。
上記したように、原糖蜜を水で希釈し、希釈糖蜜の固液比が、糖蜜の固形部:水=1:1となるようにする。例えば、糖蜜1000gの含水率が25wt%であった場合、含水量は250gであり、水以外の部分の重量は750gである。つまり、原糖蜜1000gを50〜60℃に加温し、水を500g混ぜて希釈することで、固液比1:1の希釈糖蜜1500gを得ることができる。その後に、遠心分離器で析出した塩類を分離し、希釈液(含酸素化合物)1350g、固形部(塩類、シンゲナイト)を得た。なお、硫酸および酢酸カルシウムの添加量(%)は、希釈液100に対する添加割合とした。

0039

表1の実施例1、および図2を参照する。
図2は、硫酸の添加量の調整に伴う含酸素化合物溶液の回収率と、カリウムの回収率を示すグラフである。なお、図示の便宜上、図2では省略しているが、硫酸の添加量の調整に酢酸カルシウムの添加量の調整も伴うものである。

0040

実施例1では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、2%、4%、6%、8%の四段階に違えて測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量は2%、4%、6%、8%の四段階に違えて測定してある。それぞれ処理時間は2時間であり、常温(20℃)での測定である。

0041

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、硫酸濃度を6%、8%に高くして添加したものは、処理後において高くなっており、硫酸濃度を2%、4%に低くして添加したものは低くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められた。

0042

表2を参照する。
表2は、実施例1における液回収率とカリウム回収率を示す。希釈糖蜜のカリウム濃度が3.3wt%で、硫酸の添加量を、4%、6%、8%としたものは、カリウムの回収率が、70.9〜79.3%のように、ほぼ70〜80%の好ましい範囲に収まっている。
また、後述〔比較例3〕で説明するように、同条件で処理時間を5時間とした場合も、液回収率とカリウム回収率に大きな変動はなく、処理時間が2時間と5時間の違いでは、処理にほぼ影響しないことがわかった。

0043

なお、液回収率とカリウム回収率の定義は、それぞれ次の通りである。

液回収率=((回収した液の重量)/(希釈糖蜜の重量+硫酸重量+酢酸Ca重量))×100

カリウム回収率=((糖蜜中のK初期濃度×原液量−回収液中のK濃度×回収液量)
/(糖蜜中のK初期濃度×原液量))×100

また、上記で、液回収率の「液」は、含酸素化合物溶液を意味している。

0044

表3を参照する。
表3は、実施例1において、上記したようにカリウム回収率が、ほぼ70〜80%の好ましい範囲に収まるようにするための、硫酸の添加量、およびカルシウムの塩である酢酸カルシウムの添加量が、糖蜜に含まれるカリウムイオンのモル濃度に対し、硫酸イオンのモル濃度が0.5〜1.0倍量、かつカルシウムイオンのモル濃度が0.08〜0.15倍量の範囲とすることが好ましいことを説明する表である。

0045

すなわち、加えて図2および表2に示すように、希釈糖蜜のカリウム濃度が3.3wt%、モル濃度で0.0844mol/Lのとき、硫酸を4%の濃度で添加すると、カリウムの回収率はほぼ70%まで上昇するが、硫酸をそれ以上の濃度で加えても、カリウムの回収率の顕著な上昇(液中のカリウム濃度の顕著な減少)は見られない。

0046

したがって、希釈糖蜜に含まれるカリウムイオンのモル濃度に対して、硫酸イオンは0.5(0.0399/0.0844)〜1.0(0.0798/0.0844)倍量(等倍量)のモル濃度、カルシウムイオンは0.08(0.006/0.0844)〜0.15(0.013/0.0844)倍量のモル濃度の量を添加することで、70〜80%のカリウムを除去することができることが分かる。

0047

0048

0049

0050

〔実施例2〕
表1を参照する。
実施例2では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、2.5%、5%、7.5%の三段階に違えて測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量は2.5%、5%、7.5%の三段階に違えて測定してある。それぞれ処理時間は2時間であり、常温(20℃)での測定である。

0051

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、硫酸濃度を2.5%、5%、7.5%としたものは、すべて処理後において低くなっている。液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められた。また、硫酸およびそれに対する酢酸カルシウムの添加量を増やすと、カリウム濃度が低くなり、一方で液部の回収率が悪くなることが分かった。

0052

〔実施例3〕
表1を参照する。
実施例3では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、何れも5%として測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量は2.5%、5%の二段階に違えて測定してある。それぞれ処理時間は2時間であり、常温(20℃)での測定である。

0053

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、添加した硫酸濃度が同じであるにもかかわらず、酢酸カルシウム2.5%のものは、処理後において低くなっているが、酢酸カルシウム5%のものは、逆に高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められた。

0054

〔実施例4〕
表1を参照する。
実施例4では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、すべて5%として測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量はすべて2.5%で測定してある。それぞれ処理時間は2時間であり、処理温度のみ、常温(20℃)、冷蔵(4℃)、45℃と三段階に違えて測定している。

0055

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、すべて処理後において高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められたが、上記処理温度の条件の違いではそれほど大きな変動はなかった。

0056

〔実施例5〕
表1を参照する。
実施例5では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、すべて5%として測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量はすべて2.5%で測定してある。それぞれ処理時間は2時間であり、処理温度のみ、40℃、50℃、60℃、70℃と四段階に違えて測定している。

0057

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、すべて処理後において高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められたが、上記処理温度の条件の違いではそれほど大きな変動は認められなかった。

0058

〔実施例6〕
表1を参照する。
実施例6では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、何れも5%として測定している。また、添加するカルシウム塩は、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酸化カルシウム水酸化カルシウム)であり、添加量は、何れも2.5%で測定してある。それぞれ処理時間は2〜24時間であり、常温(20℃)での測定である。

0059

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、何れも処理後において高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後において何れも低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められたが、上記カルシウムの塩の違いによる大きな変動は認められなかった。

0060

〔実施例7〕
表1を参照する。
実施例7では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、2.5%、2.5%、5%、5%として測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量はすべて2.5%で測定してある。それぞれ処理時間は24時間であり、処理温度を常温(20℃)、冷蔵(4℃)、常温(20℃)、冷蔵(4℃)と違えて測定している。

0061

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、添加した酢酸カルシウムの添加量が同じであるにもかかわらず、硫酸の添加量2.5%のものは、処理後において低くなるか同じであるが、硫酸の添加量5%のものは、逆に高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められた。

0062

〔実施例8〕
表1を参照する。
実施例8では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、8%、8%、8%、8%、8%として測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量は6%、8%、10%、12%、26%の五段階に違えて測定してある。それぞれ処理時間は2時間であり、常温(20℃)での測定である。

0063

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、酢酸カルシウム濃度を6%、8%として添加したものは、処理後において高くなっており、酢酸カルシウム濃度を10%、12%、26%として添加したものは低くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められた。

0064

実施例8から、硫酸8%に対し、酢酸カルシウムの濃度を6〜12%の範囲で変えても、カリウム濃度の減少に大きな変化はない。また、酢酸カルシウム26%の添加で、カリウム濃度が1.2wt%に下がっているので、量論値に近いほどカリウムの除去(回収)効果は上がることが分かった。しかし、液の回収率は固液分離の比率(液部の回収率)に顕著な違いは見られないので、カリウム濃度の初期値が3.3wt%である場合、硫酸8wt%の添加の時、酢酸カルシウムの添加量は8%で十分である。

0065

〔比較例1〕
表4を参照する。
比較例1では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸のみ、濃度8%で添加し、カルシウム塩は、添加せずに測定した。それぞれ処理時間は2時間であり、常温(20℃)での測定である。

0066

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、処理後において高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてやや低くなっており、若干のカリウムの回収ができたことが認められた。

0067

〔比較例2〕
表4を参照する。
比較例2では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、希釈糖蜜に硫酸を添加せず、カルシウム塩として酢酸カルシウムのみ、濃度26%で添加して測定した。そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、処理後において若干高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてやや低くなっており、若干のカリウムの回収ができたことが認められた。
このことから分かるように、硫酸のみ、または酢酸カルシウムのみを加えても、若干のカリウムの回収効果は認められるが、相互のカリウム濃度の減少に大きな差はなかった。

0068

〔比較例3〕
表4を参照する。
比較例3では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸は添加せず、添加するカルシウム塩は、硫酸カルシウムであり、添加量は、1%、3%、5%、10%で違えて測定してある。それぞれ処理時間は2時間であり、常温(20℃)での測定である。

0069

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、何れも処理後においてやや高くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後において何れも高くなっており、添加した硫酸カルシウムの沈殿物が確認された。これによりカリウムの除去効果は認められず、硫酸を添加しなければ、カルシウムの塩が硫酸カルシウムであっても、カリウムの除去ができないことが分かった。

0070

0071

〔比較例4〕
表5を参照する。
比較例4では、希釈糖蜜の固液比(固液の重量比)が1:1であり、硫酸の添加量を、2%、4%、6%、8%の四段階に違えて測定している。また、添加するカルシウム塩は酢酸カルシウムであり、添加量は2%、4%、6%、8%の四段階に違えて測定してある。それぞれ処理時間は5時間であり、常温(20℃)での測定である。

0072

そして、固液混合物の態様で固液が分離した後の、遠心分離後の液部(含酸素化合物溶液)の硫酸濃度は、硫酸濃度を6%、8%に高くして添加したものは、処理後において高くなっており、硫酸濃度を2%、4%に低くして添加したものは低くなっている。また、液部のカリウム濃度は、処理後においてすべて低くなっており、これによりカリウムの除去効果が認められた。
なお、上記のように同条件で処理時間を5時間とした場合も、液回収率とカリウム回収率に大きな変動はなく、処理時間が2時間と5時間の違いでは、処理結果にほぼ影響しないことがわかった。

0073

実施例

0074

本明細書で使用している用語や表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴と等価の用語や表現を除外する意図はない。

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