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技術 高血圧ならびに血圧変動性増大を備えたモデル動物,およびこれを用いた評価方法

出願人 国立大学法人宮崎大学
発明者 加藤丈司姜丹鳳
出願日 2015年4月3日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-076673
公開日 2016年11月24日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-195560
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 動物の育種及び生殖細胞操作による繁殖 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 自動計測システム 予防対策 治療処置後 頸動脈洞 投与機器 パルスオキシメーター 慢性実験 心拍数モニタ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年11月24日)のものです。
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図面 (7)

課題

高血圧血圧変動性増大,これら両方を兼ね揃えたモデル動物等の提供。

解決手段

アンジオテンシン化合物投与することにより,高血圧と血圧変動性増大を伴うモデル動物。これにより,高血圧と血圧変動性増大を兼ね揃え,臨床病態をより正確に反映したモデル動物の提供が可能となり,血圧変動性の適切な評価が可能となり,前記モデル動物に,薬剤投与外科的処置などの治療処置を施し,血圧データ無線的に受信して記録しモニタリングを行うことにより,治療処置の血圧変動性への影響を評価することが可能となるモデル動物。

概要

背景

脳卒中や心臓病等の心血管系疾患は,我が国の死亡の原因の約3割を占めている。心血管系疾患には,一旦発症すると患者の生活の質(QOL)を著しく損なう疾患群が含まれる。そのため,未曾有の高齢化社会を迎える我が国において,健康寿命延伸の観点からも,心血管系疾患の予防対策重要性は明確である。

心血管系疾患は,高血圧糖尿病,脂質異常症等のいわゆる心血管危険因子基盤に発症する。このことから,心血管系疾患の予防には,心血管危険因子のコントロールが必須である。近年,高血圧,糖尿病,脂質異常症等の心血管危険因子に対する多くの薬剤(以下,「心血管危険因子コントロール薬剤」)が開発・上市され,心血管危険因子を有する患者に用いられるようになった。しかしながら,厚生労働省の統計によると,心血管危険因子コントロール薬剤の普及にも関わらず,心血管系疾患による死亡の減少が明確でない現状がある(非特許文献1)。このことから,心血管危険因子コントロール薬剤の普及が,必ずしも心血管系疾患の死亡の減少につながっているとはいえない。このように心血管系疾患による死亡が減少しない理由として,複数の要因が指摘されており,その一つが血圧変動性の増大である。

血圧変動性とは,異なった機会に測定された血圧値変動幅として一般的には定義される。例えば,血圧変動性の増大とは,複数の機会に測定された血圧値の変動幅が増大することを意味する。
このような血圧変動性が増大する病態として高血圧が知られている。高血圧は,我が国における最大の心血管危険因子であり,心血管系疾患患者のほとんどがその病態を有するものであるが,高血圧患者には,高頻度に血圧変動性の増大が合併する。最近,臨床疫学研究により,血圧変動性の増大が,高血圧等の既知因子とは独立した心血管危険因子であることが明らかになった(非特許文献2)。しかしながら,血圧変動性増大に対しては,有効な治療手段が不明である。

概要

高血圧と血圧変動性増大,これら両方を兼ね揃えたモデル動物等の提供。アンジオテンシン化合物投与することにより,高血圧と血圧変動性増大を伴うモデル動物。これにより,高血圧と血圧変動性増大を兼ね揃え,臨床病態をより正確に反映したモデル動物の提供が可能となり,血圧変動性の適切な評価が可能となり,前記モデル動物に,薬剤投与外科的処置などの治療処置を施し,血圧データ無線的に受信して記録しモニタリングを行うことにより,治療処置の血圧変動性への影響を評価することが可能となるモデル動物。

目的

記事情を背景として本発明では,高血圧と血圧変動性増大,これら両方を兼ね揃えたモデル動物等の提供を課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アンジオテンシン化合物投与することにより,高血圧血圧変動性増大を伴うことを特徴とするモデル動物

請求項2

血圧計測ならびに計測された血圧データ無線的に発信することが可能な血圧データ発信器を備えたことを特徴とする請求項1に記載のモデル動物

請求項3

アンジオテンシン化合物を自動的に皮下投与するための投与機器を備えることを特徴とする請求項1又2に記載のモデル動物

請求項4

前記投与機器が,浸透圧ミニポンプであって,当該浸透圧ミニポンプを皮下に移植することを特徴とする請求項3に記載のモデル動物

請求項5

アンジオテンシン化合物が,アンジオテンシンII,アンジオテンシンIII,プロアジオテンシン-12,アンジオテンシンIのいずれか又は複数から選択されることを特徴とする請求項1から4に記載のモデル動物

請求項6

請求項1から5に記載のモデル動物に,薬剤投与外科的処置などの治療処置を施し,血圧データを無線的に受信して記録しモニタリングを行うことにより,治療処置の血圧変動性への影響を評価することを特徴とする評価方法

技術分野

0001

本発明は,高血圧ならびに血圧変動性増大を備えたモデル動物,およびこれを用いた評価方法に関する。

背景技術

0002

脳卒中や心臓病等の心血管系疾患は,我が国の死亡の原因の約3割を占めている。心血管系疾患には,一旦発症すると患者の生活の質(QOL)を著しく損なう疾患群が含まれる。そのため,未曾有の高齢化社会を迎える我が国において,健康寿命延伸の観点からも,心血管系疾患の予防対策重要性は明確である。

0003

心血管系疾患は,高血圧,糖尿病,脂質異常症等のいわゆる心血管危険因子基盤に発症する。このことから,心血管系疾患の予防には,心血管危険因子のコントロールが必須である。近年,高血圧,糖尿病,脂質異常症等の心血管危険因子に対する多くの薬剤(以下,「心血管危険因子コントロール薬剤」)が開発・上市され,心血管危険因子を有する患者に用いられるようになった。しかしながら,厚生労働省の統計によると,心血管危険因子コントロール薬剤の普及にも関わらず,心血管系疾患による死亡の減少が明確でない現状がある(非特許文献1)。このことから,心血管危険因子コントロール薬剤の普及が,必ずしも心血管系疾患の死亡の減少につながっているとはいえない。このように心血管系疾患による死亡が減少しない理由として,複数の要因が指摘されており,その一つが血圧変動性の増大である。

0004

血圧変動性とは,異なった機会に測定された血圧値変動幅として一般的には定義される。例えば,血圧変動性の増大とは,複数の機会に測定された血圧値の変動幅が増大することを意味する。
このような血圧変動性が増大する病態として高血圧が知られている。高血圧は,我が国における最大の心血管危険因子であり,心血管系疾患患者のほとんどがその病態を有するものであるが,高血圧患者には,高頻度に血圧変動性の増大が合併する。最近,臨床疫学研究により,血圧変動性の増大が,高血圧等の既知因子とは独立した心血管危険因子であることが明らかになった(非特許文献2)。しかしながら,血圧変動性増大に対しては,有効な治療手段が不明である。

先行技術

0005

厚生労働省大臣官房統計情報部,編集発行,平成26年 我が国の人口動態http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf
Rothwell PM, et al. Lancet 2010; 375(9718): 895-905
van Vliet BN, et al. Am J Physiol 1996; 271: R1759-R1769
Komatsu Y, et al. Eur J Pharmacol 2012; 683: 186-189
Kikuya M, et al. Hypertension 2008; 52: 1045-1050

発明が解決しようとする課題

0006

どのような治療や薬剤が血圧変動性を縮小させて,血圧変動性増大により増加した心血管疾患リスクを低減させるかを明確にするためには,血圧変動性増大を有する疾患モデル動物を用いて非臨床研究を行う必要がある。
加えて発明者らは,心血管系疾患においては,血圧変動性増大と高血圧が高頻度に合併することから,血圧変動性増大のみならず,高血圧をも病態として有し,高血圧と血圧変動性増大を兼ね揃えた疾患モデル動物が必要であると考えた。

0007

高血圧に対しては,これまでに,自然発症高血圧ラット(SHR),ダール食塩感受性高血圧ラット等,複数の高血圧症のモデル動物が,降圧薬非臨床試験に用いられてきた。しかしながら,これらの高血圧症のモデル動物で,血圧変動性の増大を伴ったとの報告例は無い。
一方,血圧変動性が増大するモデル動物として,左右の頸動脈洞神経と大動脈神経除神経したモデル動物が知られている(非特許文献3,以下,「従来モデル」)。しかしながら,この従来モデルは,血圧変動性増大は起こすものの,高血圧を発症することはない。加えて,従来モデルは,頸動脈大動脈の神経を除去した処置が施されているため非生理的であり,非臨床試験に用いるモデル動物としては不適切であるといわざるを得ない。

0008

記事情を背景として本発明では,高血圧と血圧変動性増大,これら両方を兼ね揃えたモデル動物等の提供を課題とする。

課題を解決するための手段

0009

発明者らは,鋭意研究の結果,アンジオテンシンないしこれの誘導体投与して作製される高血圧モデルラットが,血圧変動性増大を引き起こすことを見出し,本発明を完成させた。

0010

本発明は,以下の構成からなる。
本発明の第一の構成は,アンジオテンシン化合物を投与することにより,高血圧と血圧変動性増大を伴うことを特徴とするモデル動物である。

0011

本発明の第二の構成は,血圧計測ならびに計測された血圧データ無線的に発信することが可能な血圧データ発信器を備えたことを特徴とする第一の構成に記載のモデル動物である。
本発明の第三の構成は,アンジオテンシン化合物を自動的に皮下投与するための投与機器を備えることを特徴とする第一又は第二の構成に記載のモデル動物である。
本発明の第四の構成は,前記投与機器が,浸透圧ミニポンプであって,当該浸透圧ミニポンプを皮下に移植することを特徴とする第三の構成に記載のモデル動物である。

0012

本発明の第五の構成は,アンジオテンシン化合物が,アンジオテンシンII,アンジオテンシンIII,プロアジオテンシン-12,アンジオテンシンIのいずれか又は複数から選択されることを特徴とする第一から第四の構成に記載のモデル動物である。
本発明の第六の構成は,第一から第五の構成に記載のモデル動物に,薬剤投与外科的処置などの治療処置を施し,血圧データを無線的に受信して記録しモニタリングを行うことにより,治療処置の血圧変動性への影響を評価することを特徴とする評価方法である。

発明の効果

0013

本発明により,高血圧と血圧変動性増大,これら両方を兼ね揃えたモデル動物の提供が可能となった。これにより,高血圧と血圧変動性増大を兼ね揃え,臨床病態をより正確に反映したモデル動物の提供が可能となり,血圧変動性の適切な評価が可能となるものである。

図面の簡単な説明

0014

Ang II投与前,投与後7日,投与後14日における24時間内の収縮期血圧を示した図
Ang II投与前,投与後7日,投与後14日における24時間内の拡張期血圧を示した図
Ang II投与前,投与後7日,投与後14日における昼間の収縮期血圧(A)と収縮期血圧の変動係数(B)を,非投与群と比較した図(**は非投与群に対してP<0.01を,*は非投与群に対してP<0.05を,それぞれ意味する。)
Ang II投与前,投与後7日,投与後14日における夜間の収縮期血圧(A)と収縮期血圧の変動係数(B)を,非投与群と比較した図(**は非投与群に対してP<0.01を,*は非投与群に対してP<0.05を,それぞれ意味する。)
Ang II投与前,投与後7日,投与後14日の昼間の拡張期血圧(A)と拡張期血圧の変動係数(B)を,非投与群と比較した図(**は非投与群に対してP<0.01を,*は非投与群に対してP<0.05を,それぞれ意味する。)
Ang II投与前,投与後7日,投与後14日の夜間の拡張期血圧(A)と拡張期血圧の変動係数(B)を,非投与群と比較した図(**は非投与群に対してP<0.01を,*は非投与群に対してP<0.05を,それぞれ意味する。)

0015

以下,本発明のモデル動物および評価方法について説明を行う。

0016

本発明の高血圧ならびに血圧変動性増大を備えたモデル動物(以下,単に「血圧変動性モデル動物」という)は,アンジオテンシン化合物を投与することにより作製を行う。

0017

本発明においてアンジオテンシン化合物とは,アンジオテンシンおよびこれの誘導体でとして定義される。
すなわち,アンジオテンシンIIならびにプロアンジオテンシン-12(α−プロテンシン,特開2008-007482)が,高血圧と血圧変動性増大の病態を発症することを発明者らは確認している。このことから,アンジオテンシン化合物には,アンジオテンシンIIならびにプロアンジオテンシン-12に加え,アンジオテンシンIIと薬効薬理機序が類似するアンジオテンシンI,アンジオテンシンIIIが含まれる。加えて,これら化合物について,薬効強化やモデル動物への最適化のための脂溶性向上などを目的として,官能基変更やプロドラック化など,化学構造の変更が行われた化合物についても,アンジオテンシン化合物に含まれる。

0018

血圧変動性モデル動物は,従来より用いられている,アンジオテンシン化合物を投与して作製される高血圧モデル動物の手法を用いればよい。一例を挙げると,ラットなどの皮下にアンジオテンシン化合物を投与し,アンジオテンシン化合物について一定の血中濃度が保たれるようにすればよい。また,腹腔内投与(Webb NRら Arterioscler Thromb Vasc Biol 2015)や静脈内投与(Brooks VLらAm J Physiol 1997)により,アンジオテンシン化合物を投与し,血圧変動性モデル動物を作製することも可能である。

0019

血圧変動性モデル動物については,アンジオテンシン化合物を自動的に皮下投与するための投与機器を備えることが好ましい。これにより,アンジオテンシン化合物の血中濃度を実験で必要な所定の濃度に長期間保つことが可能となり,薬剤や外科的処置,並びに減塩運動療法,減量及び節酒などを含めた治療処置の,より正確な評価が可能となるという効果を有する。すなわち,本発明において治療処置とは,薬剤や外科的処置など薬や医師による医学的処置のみならず,減塩や運動療法,減量,摂取など,薬や医師によらない非医学的処置を含むものとして定義される。このような投与機器として,浸透圧にてアンジオテンシン化合物が投与される浸透圧ミニポンプなどを用いればよい。

0020

血圧変動性モデル動物については,血圧の計測ならびに計測された血圧データを無線的に発信することが可能な血圧データ発信器を備えることが好ましい。これにより,血圧データの持続的な計測が可能となり,実験等にて定めた所定期間の血圧変動性の確認が可能となる。

0021

血圧データ発信器については,血圧の計測ならびに計測された血圧データの無線的な発信が可能である限り特に限定する必要はなく,種々の機器・手段を採用することが出来る。
例えば,非侵襲的な手段として,パルスオキシメーターのような機器を用いて血圧を測定し,測定されたデータを無線的に発信するような手段を採用することが出来る。この場合,血圧データ発信器自体は,ベルトのような固定具を用いて,実験動物に固定すればよい。
より好ましい方法として,外科処置を行い大動脈血管から直接血圧を測定するような侵襲的な機器を用いることが出来る。これにより,実験動物がより自然でストレスのない行動をとることが可能となり,より自然で正確な血圧変動性データの取得が期待できるという効果を有する。このような機器として,例えば,慢性実験テレメトリ自動計測システム商品名PhysioTel(登録商標))が挙げられる。
なお,血圧データ発信器については,心拍数など,その他のデータを同時に取得,発信しても構わない。

0022

血圧変動性モデル動物の動物種については,実験的に用いることが出来る動物種である限り特に限定する必要はなく,マウスやラット,ウサギなど種々の動物種を用いることができる。これらの動物種の大きさや性質などを案して,用いる血圧データ発信器や投与機器,治療処置などを適宜選択することができる。

0023

本発明の血圧変動性モデル動物は,これに薬剤投与や外科処置などの治療処置をして,血圧ならびに血圧変動性のデータを記録,モニタリングすることにより,治療処置への血圧変動性への影響を評価することが出来る。これにより,従来なかった,高血圧ならびに血圧変動性,両方のパラメーターに対する治療処置の影響を評価することが可能となる。
なお,血圧ならびに血圧変動性のモニタリングについては,治療処置後のみならず,治療処置前についても比較対象としてモニタリングすることができる。

0024

血圧変動性増大は,高血圧症に高頻度に合併する病態であり,血圧変動性増大そのものが,心血管系疾患の独立した危険因子になる。これまでに,多くの降圧薬が開発されて,高血圧症のモデル動物を用いた非臨床試験,ならびに臨床治験を経て上市されてきたが,血圧変動性増大に対する治療薬の開発がなされていない。
一方,本発明の血圧変動性モデル動物は,血圧上昇と血圧変動性増大を併せ持つモデル動物であり,血圧変動性増大を合併した高血圧症の病態モデルとして有用である。本発明の血圧変動性モデル動物を用いることにより,血圧変動性増大を合併した高血圧症に対する薬剤の開発,血圧変動性を縮小させる薬剤の開発,ならびに既存の薬剤の血圧変動性増大に対する薬効評価が期待できる。

0025

以下,本発明について,実施例を挙げ詳述する。

0026

<<実験方法>>
1.テレメトリーシステム
血圧データ発信器として,データサイエンス社のテレメトリーシステムおよびラットの血圧心拍数モニター用の発信器(TA11PA-C40)を用いた。

0027

2.試薬
イスター系ラットは日本チャールズリバー株式会社,ペントバルビタールは共立製薬株式会社,浸透圧ミニポンプは米国DURECT Corporation,アンジオテンシンIIは株式会社ペプチド研究所より,それぞれ購入したものを用いた。

0028

3.血圧変動性モデルラットの作製
(1) 6週齢雄性ウイスター系ラットを購入し,2週間の馴化の後,血圧心拍数モニター用の発信器(TA11PA-C40)の植え込み手術を実施した。なお,本モデルでは,大動脈カテーテルから直接に血圧を測定する。
(2) 50mg/kgペントバルビタールの腹腔内投与によりラットの全身麻酔を行い,痛み刺激に対する反応が消失していることを確認した。確認後,開腹を行い,腹膜内の大動脈を露出させ,血圧心拍数モニター用の発信器(TA11PA-C40)のカテーテルを腹部大動脈に挿入して固定した。
(3) 発信器を腹腔内に留置して,腹壁筋層縫合しつつ発信器を腹壁に固定し,最後に皮膚を縫合して手術を終了した。
(4) 発信器植え込み手術7日後に,テレメトリーシステムにて,血圧と心拍数が正常域にあることを確認した。確認後,アンジオテンシンII(Ang II)の持続皮下注射のための浸透圧ミニポンプ(alzet Model 2002)の植え込み手術を実施した。
(5) 0.1Nの酢酸を用いて10.4 mg/mLの濃度に溶解したAng IIを浸透圧ミニポンプに充填した。
(6) 50mg/kgペントバルビタールの腹腔内投与によりラットの全身麻酔を行い,痛み刺激に対する反応が消失していることを確認した。確認後,ラット背部の皮膚を切開し,ミニポンプ留置のための皮下ポケットを作製して,Ang IIを充填したミニポンプを皮下に留置した。これら一連の処置を行ったミニポンプにより,250 ng/kg体重/分のAng IIの持続皮下注射が可能となる。

0029

4.血圧データの取得と処理
(1)発信器からの血圧波形データは,専用の受信器により受信され,血圧と心拍数のデータはパソコンに保存・記録を行った。
(2) 24時間15分毎に,10秒間の血圧と心拍数を測定して平均値を,その時点(ポイント)の血圧値および心拍数とした(24時間で96ポイントの測定)。
(3) 昼間と夜間に分けて,収縮期血圧,拡張期血圧,心拍数について,それぞれ48回測定の平均値,標準偏差(SD),変動係数(CV)を算出した。すなわち,15分毎の血圧変動がCVにより評価される。

0030

5.統計解析
統計処理には,IBM社の統計解析ソフトSPSSv22を用いた。アンジオテンシンII投与前後での血圧,心拍数,血圧CVの比較には,pairedt検定を用いて,アンジオテンシンII投与群と非投与群の比較には,Studentのt検定を,それぞれ用いた。

0031

<<実験結果>>
1.血圧経過と血圧変動
(1) 実際の記録データについて,図1に収縮期血圧を,図2に拡張期血圧をそれぞれ示す。
(2)投与前において,ラットの収縮期血圧ならびに拡張期血圧のいずれもが,昼間と夜間ともに15分毎に一定の範囲で変動していることが確認された。
(3) Ang II持続皮下注射を開始して,7日目,14日目には,収縮期および拡張期血圧が投与前と比較して上昇するのみでなく,血圧の変動幅が増大していることが確認された。
(4) 通常,ラットは,夜間に活動して,昼間は殆ど活動せず入している。血圧変動性の増大は,昼間と夜間ともに観察されることから,血圧の変動幅の増大は,ラットの身体活動とは無関係であることが判明した。なお,心拍数の変動係数には,Ang II持続皮下投与よる変化は観察されなかった(不図示)。

0032

2.収縮期血圧,拡張期血圧,血圧変動係数の平均値の比較
(1)アンジオテンシンII(Ang II)持続皮下投与前,後7日,後14日の収縮期血圧と拡張期血圧の経過を,昼間と夜間に分けて表1と表2に示す。

0033

[表1]Ang II持続投与,前,後7日,後14日の収縮期血圧,収縮期血圧の変動係数,拡張期血圧,拡張期血圧の変動係数の推移(昼間)

0034

0035

[表2]Ang II持続投与,前,後7日,後14日の収縮期血圧,収縮期血圧の変動係数,拡張期血圧,拡張期血圧の変動係数の推移(夜間)

0036

実施例

0037

(2) これまでの報告(非特許文献4)と同様に,昼間夜間両方において,Ang II持続皮下投与により,収縮期血圧と拡張期血圧が時間経過とともに上昇した。加えて,収縮期血圧と拡張期血圧の変動係数が,時間経過とともに有意に上昇していることが確認された。
(3) Ang II持続皮下投与前,後7日,後14日でのAng II投与群と非投与群の収縮期血圧と拡張期血圧の比較を,昼間と夜間に分けて,図3〜6のAに示す。なお,図3から6において,**は非投与群に対してP<0.01を,*は非投与群に対してP<0.05を,それぞれ意味する。Ang II非投与群と比較して,Ang II投与群の収縮期血圧と拡張期血圧の上昇が,投与後7日と14日の昼間と夜間に観察された。
(4) Ang II持続皮下投与前,後7日,後14日のAng II投与群と非投与群の血圧変動係数の比較を,昼間と夜間に分けて,図3〜6のBに示す。なお,図3から6において,**は非投与群に対してP<0.01を,*は非投与群に対してP<0.05を,それぞれ意味する。Ang II持続皮下投与群の7日目と14日の収縮期血圧と拡張期血圧の変動係数は,Ang II非投与群と比較して約2倍に上昇していることが分かった。
(5)ラットの血圧値は,収縮期と拡張期ともにヒトと類似しているが,本モデルから得られる血圧変動係数は,ヒトの血圧変動性増大を伴う高血圧患者の血圧変動係数と極めて類似していた(非特許文献5)。このことから,本モデルは,高血圧症と血圧変動性増大を兼ね備えた疾患モデルとして有用性が高い。Ang II非投与正常血圧のラットの変動係数も,正常血圧のヒトと同様の値である。

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