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技術 エンタカポン含有医薬組成物

出願人 共和薬品工業株式会社
発明者 笹原大木澤愛美山本珠実新垣宏樹山下順也
出願日 2015年3月30日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2015-069071
公開日 2016年11月4日 (4年9ヶ月経過) 公開番号 2016-188188
状態 特許登録済
技術分野 非環式または炭素環式化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 医薬品製剤
主要キーワード 流動層混合 溶出性評価 粉末顆粒 カラーテスター 密閉ガラス 滑沢効果 攪拌造粒装置 継時的
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

エンタカポン溶出性を向上させることができるとともに、継時的色調変化を抑制したエンタカポンまたはその塩を含有する医薬組成物を提供すること。

解決手段

エンタカポンまたはその塩と、デンプングリコール酸ナトリウムと、カルメロースカルシウムと、任意の賦形剤と、を含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、好ましくは錠剤である。

概要

背景

エンタカポン、すなわち((2E)−2−Cyano−3−(3,4−dihydroxy−5−nitrophenyl)−N,N−diethylprop−2−enamideは、パーキンソン病(PD)を処置するために、レボドパ及びドーパ脱炭酸酵素DDC阻害薬との組合せで使用されるカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬である。

エンタカポンを含有する医薬組成物として、経口投与用フィルムコート錠などが提案されている。例えば、特許文献1では、錠剤に用いられる単独の活性成分としてエンタカポンを含む顆粒の製造方法であって、(1)エンタカポンと、結合剤および任意には1種類以上の他の賦形剤との混合物を調製し、該混合物を、造粒液を用いて造粒すること、またはエンタカポンを1種類以上の任意選択の他の賦形剤とともに、結合剤を含む造粒液を用いて造粒すること;(2)工程(1)の顆粒を乾燥および任意にはふるい分けすることを含む製造方法であり、顆粒の製造に使用されるエンタカポンが、粒状形態であり、エンタカポン粒子の少なくとも90%が55μm未満の直径を有することが開示されている。

また、特許文献2では、薬学的に有効量のエンタカポンもしくはその薬学的に許容し得る塩とクロスカルメロースナトリウムとを含有する経口用成形組成物が開示されている。

概要

エンタカポンの溶出性を向上させることができるとともに、継時的色調変化を抑制したエンタカポンまたはその塩を含有する医薬組成物を提供すること。エンタカポンまたはその塩と、デンプングリコール酸ナトリウムと、カルメロースカルシウムと、任意の賦形剤と、を含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、好ましくは錠剤である。なし

目的

本発明の課題は、エンタカポンの溶出性を低下させることなく、エンタカポン含有製剤の着色を抑制することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

前記デンプングリコール酸ナトリウムの含有量が、前記エンタカポンまたはその塩に対して1重量%以上20重量%以下であり、かつ、前記カルメロースカルシウムの含有量が、前記エンタカポンまたはその塩に対して50重量%以上120重量%以下である請求項1に記載の医薬組成物。

請求項3

前記医薬組成物が錠剤である、請求項1または2に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、末梢COMT(catechol−O−methyltransferase)阻害剤であるエンタカポンを含有する医薬組成物に関する。

背景技術

0002

エンタカポン、すなわち((2E)−2−Cyano−3−(3,4−dihydroxy−5−nitrophenyl)−N,N−diethylprop−2−enamideは、パーキンソン病(PD)を処置するために、レボドパ及びドーパ脱炭酸酵素DDC阻害薬との組合せで使用されるカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬である。

0003

エンタカポンを含有する医薬組成物として、経口投与用フィルムコート錠などが提案されている。例えば、特許文献1では、錠剤に用いられる単独の活性成分としてエンタカポンを含む顆粒の製造方法であって、(1)エンタカポンと、結合剤および任意には1種類以上の他の賦形剤との混合物を調製し、該混合物を、造粒液を用いて造粒すること、またはエンタカポンを1種類以上の任意選択の他の賦形剤とともに、結合剤を含む造粒液を用いて造粒すること;(2)工程(1)の顆粒を乾燥および任意にはふるい分けすることを含む製造方法であり、顆粒の製造に使用されるエンタカポンが、粒状形態であり、エンタカポン粒子の少なくとも90%が55μm未満の直径を有することが開示されている。

0004

また、特許文献2では、薬学的に有効量のエンタカポンもしくはその薬学的に許容し得る塩とクロスカルメロースナトリウムとを含有する経口用成形組成物が開示されている。

先行技術

0005

特許第5336181号
特許第4619537号

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、製剤からのエンタカポンの溶出性を向上させることができるとともに、製剤の継時的色調変化を抑制するためには、更なる改良が必要であった。特に、崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムは、エンタカポン含有製剤を顕著に着色させることがあった。そこで本発明の課題は、エンタカポンの溶出性を低下させることなく、エンタカポン含有製剤の着色を抑制することである。

0007

また、従来のエンタカポン含有錠剤、特にクロスカルメロースナトリウムを含む錠剤の硬度を十分に高めることが困難であった。そこで、本発明の更なる課題は、エンタカポン含有錠剤の硬度を高めることである。錠剤硬度を高めることで、錠剤の製造過程におけるコーティング工程での錠剤の削れを抑制することができる。

課題を解決するための手段

0008

本発明の医薬組成物は、エンタカポンまたはその塩と、デンプングリコール酸ナトリウムと、カルメロースカルシウムとを含有することを特徴とする。

0009

前記デンプングリコール酸ナトリウムの含有量が、前記エンタカポンまたはその塩に対して1重量%以上20重量%以下であり、かつ、前記カルメロースカルシウムの含有量が、前記エンタカポンまたはその塩に対して50重量%以上120重量%以下であることが好ましい。

0010

前記医薬組成物は錠剤であることが好ましい。

発明の効果

0011

本発明によれば、製剤からのエンタカポンの溶出性を向上させることができるとともに、製剤の継時的な色調変化を抑制させたエンタカポンまたはその塩を含有する医薬組成物を提供することができる。

0012

本医薬組成物は、エンタカポンまたはその塩と、デンプングリコール酸ナトリウムと、カルメロースカルシウムとを含有し、医薬品組成物として許容可能な他の添加剤を含むことができる。

0013

1.エンタカポンについて
エンタカポン((E)−2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)−N,N−ジエチル−2−プロペンアミド)は、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤であり、パーキンソン病の治療薬として使用されている。エンタカポンは、黄色〜帯緑黄色の色調を有し、エタノール溶けにくく、水にほとんど溶けない性質を持つ。エンタカポンは、従来公知の方法により製造してもよく、市販品を用いてもよい。

0014

(エンタカポンの形態について)
エンタカポンは、例えば、US5,446,194及びUS5,135,950に記載の方法によって調製され得る。エンタカポンは、(E)−および(Z)異性体の任意の混合物として、または実質的に純粋な(E)−もしくは(Z)異性体の形態で存在し得る。好ましくは、エンタカポンは、実質的に純粋な(E)−異性体の形態である。(E)−異性体は、種々の多型形態、例えば、US5,135,950に開示された多形A、またはWO2005/063696に開示された多形D、またはアモルファスをとり得る。本発明の医薬組成物におけるエンタカポンは、通常は結晶である。

0015

(エンタカポンの粒径について)
本発明の医薬組成物に含まれるエンタカポンは、粒状形態であり、エンタカポン粒子の体積粒径D90が56μm以上であることが好ましい。エンタカポンの体積粒径分布は、レーザー回析粒径測定LPD)を用い、粒径解析装置マスターサイザー2000メルバーンインツルメンツ社製(Malvern Instruments Ltd.))を用いて試料を測定することにより測定される。

0016

(エンタカポンの含有量について)
医薬組成物におけるエンタカポンの含有量は、1重量%以上99重量%以下であることが好ましく、1重量%以上50重量%以下であることがさらに好ましい。また、医薬組成物が錠剤である場合には、錠剤(素錠)の全重量に対するエンタカポンの含有量は、1重量%以上99重量%以下であることが好ましく、1重量%以上50重量%以下であることがさらに好ましい。

0017

2.崩壊剤について
本医薬組成物には崩壊剤が含まれており、崩壊剤であるデンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを含む。また、本医薬組成物には、クロスカルメロースナトリウムを含まないか、実質的に含まないことが好ましい。デンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを組み合わせることで、製剤からのエンタカポンの溶出性を向上させることができるとともに、製剤の継時的な色調変化を抑制することができる。また、デンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを組み合わせることで、エンタカポン錠剤の硬度を十分に高めることができる。

0018

また、エンタカポンの溶出性の向上、色調変化の抑制という観点から、医薬組成物中のデンプングリコール酸ナトリウムの含有量は、エンタカポンまたはその塩に対して1重量%以上20重量%以下、さらに好ましくは、10重量%以上20重量%以下であることが好ましい。また、医薬組成物中のカルメロースカルシウムの含有量は、エンタカポンまたはその塩に対して50重量%以上120重量%以下、好ましくは70重量%超120重量%以下であることがさらに好ましい。

0019

まず、本発明者は、エンタカポンの溶出性改善の点から、適切な崩壊剤の選択を試みた。そこで、表1に示すように、主薬であるエンタカポンと、各種の崩壊剤とが含まれているエンタカポン100mg錠剤(試験例1〜4)を作製し、エンタカポンの溶出性を確認した。

0020

0021

溶出性評価
試験例1〜4で作製した錠剤について、エンタカポンの溶出性を以下の条件にて評価した。
試験液: 水
試験方法パドル法
試験液の量: 900mL
試験液の温度: 37±0.5℃
回転数: 50回転
試験時間: 最大60分
検出器紫外吸光光度計測定波長290nm)、(SPD−20A型島津製作所社製)
カラム内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィーフェニルシリカゲル充填
カラム温度: 25℃
移動相: 薄めたリン酸(1→100)/アセトニトリル混液(1:1)

0022

溶解したエンタカポンの定量は、溶液濾過し、その濾液ピーク面積を自動積分法により測定した。測定結果を表2に示す。

0023

0024

表2の結果より、クロスカルメロースナトリウムを含む試験例1の錠剤は、エンタカポンの溶出性が一番高いことが分かった。次に、デンプングリコール酸ナトリウムを含む試験例3の錠剤のエンタカポンの溶出性と、カルメロースカルシウムを含む試験例4の錠剤のエンタカポンの溶出性は、同程度であった。一方、クロスポビドンを含む試験例2の錠剤のエンタカポンの溶出性は、一番低いことが分かった。

0025

また、後述の実施例に示すように、クロスカルメロースナトリウムは、エンタカポン錠剤を顕著に変色させる(比較例4を参照)。

0026

次に、試験例1〜4で作製したエンタカポン錠剤の硬度を、TABLETHARDNESS TESTER(TOYAMA社製)を用いて測定した。錠剤硬度が6.0kg以上を○、6.0kg未満を×と評価した。評価結果を表3に示す。

0027

0028

クロスカルメロースナトリウムを含む試験例1の錠剤を、本願明細書の実施例と同様の手法でコーティングしたときに錠剤が削れ、錠剤の形状を維持できなかった。一方、クロスポビドンを含む試験例2、デンプングリコール酸ナトリウムを含む試験例3及びカルメロースカルシウムを含む試験例4の錠剤をコーティングしたところ、錠剤が崩れず、錠剤の形状を維持したままコーティングできた。

0029

以上のことから、エンタカポンの溶出性の向上、色調変化の抑制及び製造過程におけるコーティング工程での錠剤の削れの抑制という観点から、本発明者は、カルメロースカルシウムとデンプングリコール酸ナトリウムとを、崩壊剤として選択することを検討した。

0030

表4に示すように、試験例4に加えて、崩壊剤としてカルメロースカルシウムのみを含み、その含有量が異なるエンタカポン100mg錠剤(試験例5〜試験例7)を作製した。

0031

0032

試験例4〜7で作製したエンタカポン100mg錠剤について、上記記載の試験条件にて溶出性を評価した。測定結果を表5に示す。

0033

0034

表5の結果より、カルメロースカルシウムの含有量の増大とともに、エンタカポンの溶出性が向上することが分かった。また、試験例4〜7の錠剤のエンタカポンの溶出性は、試験例1の錠剤のエンタカポンの溶出性と匹敵またはそれよりも改善されていた。

0035

また、試験例4〜7で作製したエンタカポン100mg錠剤について、上述した測定装置を用いて錠剤硬度を測定した。錠剤硬度が6.0kg以上を○、6.0kg未満を×と評価した。評価結果を表6に示す。

0036

0037

カルメロースカルシウムの含有量が、エンタカポンに対して20重量%以上70重量%以下である試験例4〜6の錠剤を、本願明細書の実施例と同様の手法でコーティングしたところ、錠剤が崩れず、錠剤の形状を維持したままコーティングできた。一方、カルメロースカルシウムの含有量がエンタカポンに対して90重量%である試験例7の錠剤をコーティングしたところ、錠剤が削れ、錠剤の形状を維持できなかった。

0038

次に、表7に示すように、崩壊剤としてカルメロースカルシウムとともにデンプングリコール酸ナトリウムを含み、その含有量が、エンタカポンに対して20重量%であるエンタカポン100mg錠剤(試験例8〜10)を作製した。

0039

なお、デンプングリコール酸ナトリウムの含有量を、エンタカポンに対して20重量%を上限値としている理由は、デンプングリコール酸ナトリウムの一日最大投与量が320mgであるところ、エンタカポンの一日最大投与量が1600mgであるから、エンタカポンに対して20重量%までしか配合できないからである。

0040

0041

試験例8〜10で作製したエンタカポン100mg錠剤について、上記記載の試験条件にて溶出性を評価した。測定結果を表8に示す。

0042

0043

表8の結果より、試験例8〜10の錠剤のエンタカポンの溶出性は、試験例1の錠剤よりも高いことが分かった。また、試験例5と試験例8、試験例6と試験例9、試験例7と試験例10の錠剤とを比較する、すなわち、同一量のカルメロースカルシウムを含有している錠剤同士を比較すると、デンプングリコール酸ナトリウムを含有している試験例8、試験例9及び試験例10の錠剤の方が、エンタカポンの溶出性が高いことが分かった。

0044

また、後述の実施例からわかるように、デンプングルコール酸ナトリウムは、単独で配合されるとエンタカポン製剤を変色させることがあるが(比較例2)、カルメロースカルシウムとデンプングリコール酸ナトリウムとを共配合させることで、予想外にエンタカポン製剤の変色を抑制することができることが明らかになった。

0045

また、試験例8〜10で作製したエンタカポン100mg錠剤について、上述した測定装置を用いて錠剤硬度を測定した。錠剤硬度が6.0kg以上を○、6.0kg未満を×と評価した。測定結果を表9に示す。

0046

0047

表9の結果より、試験例8〜10の錠剤を、本願明細書の実施例と同様の手法でコーティングしたところ、錠剤が崩れず、錠剤の形状を維持したままコーティングできた。試験例7と試験例10の錠剤とを比較すると、いずれも高含量のカルメロースカルシウム(90mg)を含有しているにも係らず、カルメロースカルシウムを単独で配合している試験例7の錠剤では、錠剤の形状を維持したままコーティングできなかったのに対して、カルメロースカルシウムとデンプングリコール酸ナトリウムとを共配合させた試験例10の錠剤では、錠剤の形状を維持したままコーティングできた。

0048

3.その他の成分について
本発明の医薬組成物は、通常、医薬組成物に許容可能なその他の成分を目的に応じて特に制限はなく適宜選択することができ、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などが挙げられる。

0049

(賦形剤について)
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、製剤分野において通常使用される賦形剤を添加することができる。賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、D−マンニトール結晶セルロース白糖麦芽糖マルトース)、果糖ブドウ糖マルチトールソルビトールキシリトールエリスリトール、マルトース等の糖類等を用いることができる。これらの賦形剤は、単独で又は複数組み合わせて使用することができる。本医薬組成物に用いる賦形剤としては、成形性という観点から、D−マンニトール及び結晶セルロースを用いることが好ましい。

0050

賦形剤の含有量は、医薬組成物の全重量に対して1重量%以上99重量%以下であることが好ましく、1重量%以上45重量%以下であることがさらに好ましい。

0051

(崩壊剤について)
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、カルメロースカルシウムとデンプングリコール酸ナトリウムとに加えて、医薬品成分として許容可能な崩壊剤を添加することができる。崩壊剤として、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドントウモロコシデンプンヒドロキシプロピルメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。

0052

(結合剤について)
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、医薬品成分として許容可能な結合剤を添加することができる。結合剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポピドン、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシプロピルセルロースを用いることが好ましい。

0053

(滑沢剤について)
本発明の医薬組成物は、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、医薬品成分として許容可能な滑沢剤を添加することができる。滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸マグネシウムステアリン酸パルミチン酸ステアリン酸カルシウムタルクカルナウバロウ水素化植物油鉱油ポリエチレングリコールステアリルフマル酸ナトリウム等が挙げられる。

0054

滑沢剤は、錠剤を作製するときの臼やに付着する粉を防止させる目的で配合されるが、滑沢効果が強すぎると、成形性が弱くなり、実用的な錠剤硬度を得るのに必要以上の圧力をかけなければならない。高い圧力で作製された錠剤は、錠剤の崩壊速度遅延する傾向にあることから、できるだけ低い圧力で作製する必要がある。その点から、少量でも滑沢効果を得ることができるステアリン酸マグネシウムを用いることが好ましい。

0055

4.医薬組成物の剤形について
本医薬組成物は、固形、半固形、液状、いずれの状態の製剤でもよい。より具体的には、錠剤、フィルムコート錠、カプセル剤顆粒剤細粒剤ドライシロップ剤等の経口投与剤であってもよいが、錠剤であることが好ましい。

0056

(フィルムコート錠について)
本医薬組成物がフィルムコート錠である場合、フィルムコーティング基剤としては、例えば、水溶性フィルムコーティング基剤等を挙げることができる。水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースメチルヒドロキシエチルセルロース若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートアミノアルキルメタクリレートコポリマー若しくはポリビニルピロリドンのような合成高分子;又は濃グリセリン等を挙げることができる。コーティング基剤は、1種単独でも、2種以上の組合せでもよい。

0057

フィルムコーティング基剤には、さらに着色剤光沢化剤等などを含むことができる。着色剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄三二酸化鉄酸化チタン軽質無水ケイ酸等を挙げることができる。光沢化剤としては、例えば、カルナウバロウ、ラウリル硫酸ナトリウム等を挙げることができる。

0058

本発明の錠剤の錠剤硬度は、通常、5kgf以上であり、6kgf以上であることが好ましく、7kgf以上であることがより好ましい。錠剤の硬度は、TABLETHARDNESS TESTER(TOYAMA社製)を用いて測定され得る。

0059

5.用法及び用量について
本医薬組成物は、単独では使用せず、レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩と併用することが好ましい。用量は、患者重篤度、年齢にもよるが、成人1日あたりの投与量は、エンタカポンが100mg〜200mgとなる量である。

0060

6.医薬組成物の製造方法
本医薬組成物の製造方法は、発明の効果を阻害しない限り特に制限されない。以下に、錠剤からなる医薬組成物の製造例を示す。錠剤は、湿式造粒法で製造され、第一混合工程、造粒工程、整粒工程、乾燥工程、第二混合工程、打錠工程を含み得る。

0061

<第一混合工程>
第一混合工程は、エンタカポンと賦形剤と崩壊剤とを混合して粉末顆粒を得る工程である。混合の方法としては、エンタカポンと賦形剤と崩壊剤とが混合される限り、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、練合、捏和、篩過攪拌混合流動層混合噴霧)などが挙げられる。
これらの中でも、練合、攪拌混合、流動層混合が、エンタカポンと賦形剤と崩壊剤とを均一に混合できる点で好ましい。混合に用いる装置としては、例えば、攪拌造粒装置高速攪拌造粒装置流動層造粒装置などが挙げられる。
上述したように、粉末顆粒の製造に使用されるエンタカポンは、粒状形態であり、エンタカポン粒子の少なくとも90%が56μm以上の直径を有することが好ましく、エンタカポン粒子の少なくとも90%が80μm以上の直径を有することがさらに好ましい。

0062

<造粒工程>
造粒工程は、第一混合工程で得られた粉末顆粒に対して、予め精製水に結合剤を溶解した結合液投入し、撹拌混合して、造粒顆粒を得る工程である。造粒する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を選択することができる。
例えば、高速攪拌造粒機による攪拌造粒法円筒造粒機ペレッター等を使用する押出造粒法スピードミルパワーミル等を使用して湿潤捏和物破砕する破砕造粒法、ミニマイザーパワーニーダー、スピードミル、マルメライザー等を使用し、主として転動作用により造粒する転動造粒法、噴霧乾燥等の方法による流動層造粒法などが挙げられる。

0063

<乾燥工程>
乾燥工程は、造粒工程で得られた造粒顆粒を乾燥して乾燥顆粒を得る工程である。乾燥する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を選択することができる。例えば、送風乾燥熱風乾燥などがあり、乾燥装置として、流動層乾燥機フロイントマルチプレックス箱型熱風循環式乾燥機棚型乾燥機などが挙げられる。

0064

<整粒工程>
整粒工程は、乾燥工程で得られた乾燥顆粒を整粒し、整粒顆粒を得る工程である。整粒する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を選択することができる。

0065

<第二混合工程>
第二混合工程は、整粒工程で得られた整粒顆粒に、滑沢剤を添加して混合して混合顆粒を得る工程である。混合の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、練合、捏和、篩過、攪拌混合、流動層混合(噴霧)などが挙げられる。これらの中でも、練合、攪拌混合、流動層混合が均一に混合できる点で好ましい。混合に用いる装置としては、例えば、容器回転型、攪拌造粒装置、高速攪拌造粒装置、流動層造粒装置などが挙げられる。

0066

<打錠工程>
打錠工程は、第二混合工程で得られた混合顆粒を充填して圧縮成形して錠剤(素錠)を得る工程である。打錠の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、ロータリー打錠機油圧プレス機単発打錠機などが挙げられる。

0067

(打錠圧について)
打錠の際の打錠圧は、特に制限されるものではなく、用いる装置、原理、大きさ、主薬の種類等によって適宜調節することができる。上述したような装置を用いる場合には、例えば、打錠圧は300kgf以上2000kgf以下が好ましい。

0068

(打錠の際の温度について)
打錠の際の温度は、本発明の効果が損なわれない特に制限されるものではない。本発明では、用いる糖類が溶解又は溶融しない程度に設定することが好ましく、通常室温(例えば、20〜30℃程度)で行えば十分である。

0069

(コーティング工程について)
打錠工程によって得られた錠剤(素錠)をコーティングするために、コーティング工程を設けることもできる。コーティング工程は、打錠工程で得られた錠剤(素錠)に対して少なくとも1層のフィルムコーティングを設ける工程である。コーティングの方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法を適宜選択することができ、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われる。

0070

以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。

0071

[実施例1]
表10に示すように、体積粒径D90が59μmのエンタカポン100.00mgとD−マンニトール59.20mgと結晶セルロース36.00mgとデンプングリコール酸ナトリウム20.00mgとカルメロースカルシウム74.50mgとをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所社製)に入れ、10分混合し、粉末顆粒を得た。

0072

得られた粉末顆粒に、予め精製水にヒドロキシプロピルセルロース6.50mgを溶解した結合液を投入し、造粒し、造粒顆粒を得た。得られた造粒顆粒を、棚式乾燥機を用いて60℃で10時間乾燥を行い、乾燥顆粒を得た。得られた乾燥顆粒をスクリーン径ψ0.8mmで整粒し整粒顆粒を得た。得られた整粒顆粒にステアリン酸マグネシウム3.80mgをタンブラー型混合機(昭和化学機械工作所社製)に入れ、2分混合し混合顆粒を得た。

0073

得られた混合顆粒をロータリー打錠機(VIRGO24水製作所社製)にて打錠圧1000kgfにて打錠し、圧縮成形して、長径約13mm、短径約5.5mm、厚さ約4.0mm、1錠あたりの重量300.00mgの錠剤(素錠)を作製した。得られた錠剤(素錠)を、全自動糖衣フィルムコーティング装置(フロイント産業社製)に入れ、コーティング液スプレーし、排気温度が60℃になるまで乾燥し、フィルムコーティング錠を作製した。
なお、ここでいうコーティング液とは、予めヒプロメロース11.45mgと濃グリセリン0.55mgとを精製水に入れ撹拌混合し、この液に対して、酸化チタン1.00mgと微量の三二酸化鉄及び黄色三二酸化鉄とを精製水に入れた液を加えて、撹拌混合した液をいう。

0074

[実施例2]
表10に示すように、D−マンニトールとデンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとの含有量を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。

0075

[実施例3]
表10に示すように、D−マンニトールと結晶セルロースとカルメロースカルシウムとコーティング成分各添加剤との含有量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。

0076

[実施例4]
表10に示すように、D−マンニトールと結晶セルロースとカルメロースカルシウムとコーティング成分の各添加剤との含有量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。

0077

[比較例1]
表10に示すように、比較例1は、カルメロースカルシウムのみを含有し、かつ、各添加剤の量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。

0078

[比較例2]
表10に示すように、比較例2は、デンプングリコール酸ナトリウムのみを含有し、かつ、各添加剤の量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。

0079

[比較例3]
表10に示すように、比較例3は、カルメロースカルシウムに代えてクロスカルメロースナトリウムを含有し、かつ、各添加剤の量を変更し、素錠合計あるいはフィルムコーティング錠合計を減量したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルムコーティング錠を作製した。

0080

[比較例4]
表10に示すように、比較例4は、エンタカポンを主薬とする先発製剤である市販の「コムタン登録商標)錠100mg」(ノバルティスファーマ株式会社製)である。
「コムタン(登録商標)錠100mg」は、実施例1の成分に加えて、素錠成分としてポリソルベート80及び硬化油を含み、かつ、フィルムコート成分として白糖を含有する。

0081

0082

<評価>
各実施例及び比較例で作製した錠剤について、溶出性、色調変化及び錠剤硬度を評価した。

0083

1.溶出性評価
実施例1〜4および比較例1〜4で得られたエンタカポン100mg錠剤について、下記の試験条件にて溶出性を評価した。
試験液: 水
試験方法:パドル法
試験液の量: 900mL
試験液の温度: 37±0.5℃
回転数: 50回転
試験時間: 最大60分
検出器:紫外吸光光度計(測定波長290nm)、(SPD−20A型島津製作所社製)
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用フェニル化シリカゲルを充填
カラム温度: 25℃
移動相: 移動相:薄めたリン酸(1→100)/アセトニトリル混液(1: 1)

0084

溶解したエンタカポンの定量は、溶液を濾過し、その濾液のピーク面積を自動積分法により測定した。測定結果を表11に示す。

0085

0086

表11の結果より、デンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを含む実施例1〜4の錠剤は、60分後のエンタカポンの溶出率が60%以上であり、エンタカポンの溶出性が高いことが分かった。
また、デンプングリコール酸ナトリウムの含有量がエンタカポンに対して20重量%であり、かつ、カルメロースカルシウムの含有量がエンタカポンに対して70重量%以上含む実施例1及び4の錠剤は、60分後のエンタカポンの溶出率が68%以上であり、エンタカポンの溶出性がさらに高くなることが分かった。
一方、デンプングリコール酸ナトリウムもしくはカルメロースカルシウムのいずれか一つを含む比較例1及び2の錠剤は、60分後のエンタカポンの溶出率が60%未満であり、エンタカポンの溶出性が低いことが分かった。
また、デンプングリコール酸ナトリウムとクロスカルメロースナトリウムとを含む比較例3の錠剤と先発製剤の比較例4の錠剤は、60分後のエンタカポンの溶出率が60%以上であり、エンタカポンの溶出性が高いことが分かった。

0087

2.色調変化評価
実施例1〜4および比較例1〜4で得られたエンタカポン100mg錠剤を各々、密閉ガラス瓶に入れ、55℃75%RHの条件下で1ヶ月間保存し、保存前と保存後の錠剤の色調を測定した。色調は、カラーテスター(MODELSC−3 スガ試験機株式会社)を用いて測定し、各錠剤の色調パラメーター、L(明度)、a(色相)およびb(彩度)から下記数式1により色差を算出し、保存前後の色調変化を評価し
た。なお、ΔEは数値が大きくなるほど色調変化の度合いが大きいことを意味する。

0088

0089

測定結果を表12に示す。

0090

0091

表12の結果より、デンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを含む実施例1〜4の錠剤の色差は1未満であり、色調変化が抑制されていることが分かった。デンプングリコール酸ナトリウムの含有量がエンタカポンに対して20重量%であり、かつ、カルメロースカルシウムの含有量がエンタカポンに対して90重量%以上含む実施例4の錠剤の色差は0.5未満であり、色調変化がさらに抑制されていることが分かった。

0092

カルメロースカルシウムのみを含む比較例1の錠剤の色差は1未満であり、実施例2の錠剤と同程度に色調変化が抑制されていることがわかった。一方、デンプングリコール酸ナトリウムのみを含む比較例2の錠剤とデンプングリコール酸ナトリウムとクロスカルメロースナトリウムとを含む比較例3の錠剤と先発製剤である比較例4の錠剤の色差は1以上であり、色調変化が抑制されていないことが分かった。

0093

3.錠剤硬度評価
実施例1〜4および比較例1〜3で得られたエンタカポン100mg錠の素錠(コーティング前の錠)について、TABLETHARDNESS TESTER(TOYAMA社製)を用いて、錠剤硬度を測定した。錠剤硬度が6.0kg以上を○、6.0kg未満を×と評価した。測定結果を表13に示す。

0094

0095

表13の結果からわかるように、実施例1〜4および比較例1〜3で得られたエンタカポン100mg素錠はいずれも、十分な錠剤硬度を有する。そのため、素錠の形状を維持したままコーティングすることができた。

0096

また、比較例1の錠剤は、溶出性が十分でないものの(表11)、色調変化が低減され(表12)、十分な錠剤硬度を有している(表13)。したがって、崩壊剤であるカルメロースカルシウムの量(50mg)をさらに増やすことで、溶出性を向上させることも考えられた。しかしながら、カルメロースカルシウムの量を過剰にすると、錠剤硬度が急激に低下することがある(前述の試験例7を参照)。これに対して本発明者は、デンプングリコール酸ナトリウムを組み合わせることで、錠剤強度を維持しつつ、溶出性の向上を実現した。

0097

以上のことから、デンプングリコール酸ナトリウムとカルメロースカルシウムとを含む実施例1〜4の錠剤は、製剤からのエンタカポンの溶出性を向上させることができるとともに、製剤の継時的な色調変化を抑制できることが分かった。さらに、錠剤硬度の向上と溶出性の向上とを両立させることができることが分かった。

0098

なお、各実施例及び比較例の錠剤で用いた各成分の具体的な内容は、表14に示す通りである。

実施例

0099

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