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技術 形態および機械的特性を制御するための医療用デバイスの後加工

出願人 ザスペクトラネティックスコーポレイション
発明者 パトリックエイチ.ルアネ
出願日 2016年7月28日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-148157
公開日 2016年11月4日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 2016-187628
状態 特許登録済
技術分野 医薬品製剤 媒体導出入付与装置 医療用材料 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 折りたたみ方向 制御生成 診断時期 分子ヨウ素 ガードワイヤ 止めコック 事前調整 超音波スプレー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年11月4日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (14)

課題

形態および機械的特性を制御するための医療用デバイス後加工を提供すること。

解決手段

コーティングされた医療用デバイスの形成方法が説明され、その方法において、ポリマーマトリックス中またはオリゴマーマトリックス中に分散させられた治療薬を含むコーティングが、医療用デバイスの外面に適用される。次いで、コーティングが、コーティングからポリマーマトリックスまたはオリゴマーマトリックスのかなりの部分が選択的に除去されるように、後加工される。次いで、後加工されたコーティングは、滅菌される。本開示の実施形態は、医学的治療送達の分野に関する。

概要

背景

背景
全身的または部分的に治療薬送達させる目的の身体内挿入可能である医療用デバイスクラスが存在する。その目的は、治療薬を身体内の挿入位置に局所的に送達させること、または、治療薬を全身的に溶出させることである。局所的送達の1つの実施の形態において、いくつかの治療薬(薬物)をコーティングされたバルーンカテーテルの場合と同様に、治療薬を身体組織に迅速に送達させることが望ましくあり得る。局所的送達の別の実施の形態において、薬剤溶出性ステントの場合と同様に、治療薬を身体組織に数週間または数ヶ月間にわたって持続的に送達させることが望ましくあり得る。

ポリマーまたはオリゴマーは、しばしば、薬物を含むため、および、その薬物を組織内に移動させること制御するためのコーティングマトリックスの処方で使用される。長期薬物放出プロフィールの場合、フィックの拡散によって薬物がマトリックスから徐放されるように、ポリマーは、身体の水性環境下での溶解を防止するように疎水性であり得る。短期薬物放出プロフィールの場合、体液との接触の際に秒単位または分単位の短期間で薬物の組織への移動を補助するように、ポリマーは、身体において迅速に部分的に溶解するか膨潤するために、親水性を有し得る。

コーティングマトリックスおよび薬物を、典型的に、噴霧適用または浸漬コーティング加工と、その後の乾燥とを用いて医療用デバイスに適用する。次いで、コーティングされた医療用デバイスをパッケージングし、滅菌加工に供して、生産中またはパッケージング中に残存し得るいかなる微生物死滅させる。

エチレンオキシド(EtO)滅菌は、一般に、典型的なオートクレーブ滅菌高温に耐えられない可能性がある医療製品および医薬製品を滅菌するために使用される。従来の三相EtO滅菌プロセスは、事前調整段階、滅菌段階、および、曝気段階にまとめられる。事前調整段階は、微生物が休眠状態から抜け出す動機を与えるための温度および湿度の条件を提供する。滅菌段階は、微生物を死滅させるために医療用デバイスをEtOガスに指定の温度および圧力で曝露する。曝気段階はEtOガスを除去し、EtOガスを脱着させる。

概要

形態および機械的特性を制御するための医療用デバイスの後加工を提供すること。コーティングされた医療用デバイスの形成方法が説明され、その方法において、ポリマーマトリックス中またはオリゴマーマトリックス中に分散させられた治療薬を含むコーティングが、医療用デバイスの外面に適用される。次いで、コーティングが、コーティングからポリマーマトリックスまたはオリゴマーマトリックスのかなりの部分が選択的に除去されるように、後加工される。次いで、後加工されたコーティングは、滅菌される。本開示の実施形態は、医学的治療薬送達の分野に関する。なし

目的

事前調整段階は、微生物が休眠状態から抜け出す動機を与えるための温度および湿度の条件を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

本願明細書に記載の発明。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
本出願は、2012年6月28日出願の米国仮特許出願第61/655,758号の利益とそれへの優先権とを主張し、それの全内容は、参照によって本明細書に援用される。

0002

分野
本開示の実施形態は、医学的治療送達の分野に関する。より特定すると、本開示の実施形態は、正常のまたは罹患した身体管腔の表面への治療薬局所的送達のために使用される方法およびデバイスに関する。

背景技術

0003

背景
全身的または部分的に治療薬を送達させる目的の身体内挿入可能である医療用デバイスクラスが存在する。その目的は、治療薬を身体内の挿入位置に局所的に送達させること、または、治療薬を全身的に溶出させることである。局所的送達の1つの実施の形態において、いくつかの治療薬(薬物)をコーティングされたバルーンカテーテルの場合と同様に、治療薬を身体組織に迅速に送達させることが望ましくあり得る。局所的送達の別の実施の形態において、薬剤溶出性ステントの場合と同様に、治療薬を身体組織に数週間または数ヶ月間にわたって持続的に送達させることが望ましくあり得る。

0004

ポリマーまたはオリゴマーは、しばしば、薬物を含むため、および、その薬物を組織内に移動させること制御するためのコーティングマトリックスの処方で使用される。長期薬物放出プロフィールの場合、フィックの拡散によって薬物がマトリックスから徐放されるように、ポリマーは、身体の水性環境下での溶解を防止するように疎水性であり得る。短期薬物放出プロフィールの場合、体液との接触の際に秒単位または分単位の短期間で薬物の組織への移動を補助するように、ポリマーは、身体において迅速に部分的に溶解するか膨潤するために、親水性を有し得る。

0005

コーティングマトリックスおよび薬物を、典型的に、噴霧適用または浸漬コーティング加工と、その後の乾燥とを用いて医療用デバイスに適用する。次いで、コーティングされた医療用デバイスをパッケージングし、滅菌加工に供して、生産中またはパッケージング中に残存し得るいかなる微生物死滅させる。

0006

エチレンオキシド(EtO)滅菌は、一般に、典型的なオートクレーブ滅菌高温に耐えられない可能性がある医療製品および医薬製品を滅菌するために使用される。従来の三相EtO滅菌プロセスは、事前調整段階、滅菌段階、および、曝気段階にまとめられる。事前調整段階は、微生物が休眠状態から抜け出す動機を与えるための温度および湿度の条件を提供する。滅菌段階は、微生物を死滅させるために医療用デバイスをEtOガスに指定の温度および圧力で曝露する。曝気段階はEtOガスを除去し、EtOガスを脱着させる。

課題を解決するための手段

0007

本開示の実施形態は、コーティングされた医療用デバイスの形成方法を開示し、その方法において、医療用デバイスの外面にコーティングが適用され、コーティング内に分散させられた治療薬と比較してコーティングから賦形剤(例えば、ポリマーマトリックスまたはオリゴマーマトリックス)のかなりの部分が選択的に除去されるように後加工される。この様式において、臨床使用時にコーティングの機能性が失われないように適切な機械的特徴を維持しながら医療用デバイス上への治療薬の望ましい装填を正確かつ再現性よく調整するために、賦形剤に対して望ましい選択性を有する治療薬、賦形剤、および、溶媒の系を選択する。
本開示は特定の実施形態において以下の項目を提供する:
(項目1)
コーティングされた医療用デバイスを形成する方法であって、前記方法は、
医療用デバイスの外面にコーティングを適用することであって、前記コーティングがポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤のマトリックス中に分散させられた治療薬を含む、適用することと、
前記コーティングから前記ポリマー賦形剤または前記オリゴマー賦形剤のかなりの部分が選択的に除去されるように、前記医療用デバイスを後加工することと、
前記後加工された医療用デバイスを滅菌することと
を含む、方法。
(項目2)
前記治療薬が、実質的に水不溶性である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記コーティングが、後加工前に50重量%未満の前記治療薬を含み、前記コーティングが、後加工後に50重量%超の前記治療薬を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記コーティングが、後加工前に35重量%以下の治療薬を含み、前記コーティングが、後加工後に65重量%以上の治療薬を含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
10重量%未満の前記治療薬が、後加工中に前記コーティングから除去される、項目2に記載の方法。
(項目6)
75重量%超の前記ポリマー賦形剤または前記オリゴマー賦形剤が、後加工中に前記コーティングから除去される、項目5に記載の方法。
(項目7)
15重量%未満の治療薬が、後加工中に前記コーティングから除去される、項目2に記載の方法。
(項目8)
90%超の前記ポリマー賦形剤または前記オリゴマー賦形剤が、後加工中に前記コーティングから除去される、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記実質的に水不溶性の治療薬が、タキサンを含む、項目2に記載の方法。
(項目10)
前記タキサンが、パクリタキセル、パクリタキセルのアナログ、および、そのパクリタキセル誘導体からなる群から選択される、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記コーティングを適用することが、
パクリタキセルと、
ヨウ素と、
ポリマーと、
溶媒と
を含む溶液中における前記医療用デバイスの拡張可能部分の浸漬コーティングを含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記ポリマーが、水、および、有機溶媒と20重量%未満の水とを含む溶媒溶液の両方に可溶である、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記ポリマーが、20,000ダルトンを下回る分子量を有する、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記溶媒が、エタノールアセトニトリルとの混合物を含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記医療用デバイスを後加工することが、前記医療用デバイスを水溶液中に液浸することを含む、項目2に記載の方法。
(項目17)
前記医療用デバイスを前記水溶液中に液浸することが、前記医療用デバイスを水溶液中に5分以下にわたり液浸することを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記医療用デバイスを前記水溶液中に液浸することが、前記医療用デバイスを前記水溶液中に1分以下にわたり液浸することを含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記医療用デバイスを後加工することが、有機溶媒を含む溶液中に前記医療用デバイスを液浸することを含む、項目2に記載の方法。
(項目20)
前記溶液が、水をさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記後加工した医療用デバイスを滅菌することが、前記医療用デバイスを相対湿度に曝露することを含む、項目2に記載の方法。
(項目22)
滅菌することが、事前調整段階、滅菌段階、および、曝気段階を含む、項目21に記載の方法。

図面の簡単な説明

0008

図1A〜1Bは、本開示の1つの実施形態による、バルーンカテーテルのガイドワイヤ管腔心棒が挿入されている側面断面図である。

0009

図2は、本開示の1つの実施形態による、バルーンカテーテルのプラズマ前処理の側面断面図である。

0010

図3〜4は、本開示の1つの実施形態による、バルーンカテーテルの浸漬コーティングのアイソメトリックビューおよび断面図の組み合わせである。
図3〜4は、本開示の1つの実施形態による、バルーンカテーテルの浸漬コーティングのアイソメトリックビューおよび断面図の組み合わせである。

0011

図5A〜5Bは、本開示の1つの実施形態による、コーティングされたバルーンシースに納めていることの側面図である。

0012

図6は、本開示の1つの実施形態による、滅菌パッケージにおいてシースに納められたバルーンカテーテルの上面図である。

0013

図7は、本開示の1つの実施形態による、時間の関数としての、37℃の50/50メタノール/水を含むシェーカーバス(shaker bath)中のパクリタキセルの不溶解量の溶解プロフィールである。

0014

図8は、本開示の1つの実施形態による、ヨウ素含有量を示すSEMEDX画像である。

0015

図9は、本開示の1つの実施形態による、異なるバルーンサイズについての薬物密度を示す。

0016

図10は、本開示の1つの実施形態による、異なるバルーンサイズについての賦形剤の重量百分率を示す。

0017

図11は、本開示の1つの実施形態による、異なるバルーンサイズについての、USP<905>に従う含量均一性合格判定値(AV)を示す。

0018

図12Aは、本開示の1つの実施形態による、後退可能シースによって覆われたバルーンカテーテルの非拡張バルーン、および、身体管腔への挿入の側面断面図である。

0019

図12Bは、本開示の1つの実施形態による、身体管腔内の局所的治療薬送達のための病巣領域に隣接したバルーンカテーテルの非拡張バルーンの側面断面図である。

0020

図12Cは、本開示の1つの実施形態による、身体管腔内の局所的治療薬送達のための病巣領域におけるバルーンカテーテルの拡張バルーンの側面断面図である。

0021

詳細な説明
図面を参照して種々の実施形態を本明細書中に説明する。しかし、特定の実施形態は、1つまたはそれよりも多くのこれらの特定の詳細な説明を使用しないか、他の公知の方法および形状と組み合わせて実施することができる。下記の説明において、本開示の完全な理解のために多数の特定の説明(特定の形状、組成、および、プロセスなど)を説明している。他の例において、本開示を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセスおよび製造技術を、特に詳細に説明していない。本明細書を通して「単一の実施形態」または「1つの実施形態」という言及は、実施形態と併せて説明されている特定の特性、形状、組成、または、特徴が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通した種々の場所における「単一の実施形態では」または「1つの実施形態」の出現は、必ずしも本開示の同一の実施形態を言及していない。さらに、特定の特性、構成、組成、または、特徴を、任意の適切な様式で1つまたはそれよりも多くの実施形態中に組み合わせることができる。

0022

1つの実施形態において、コーティングされた医療用デバイスの形成方法は、医療用デバイスの外面にコーティングを適用することを含む。このフレッシュコーティングは、ポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤のコーティングマトリックス中に分散させた治療薬を含む。次いで、フレッシュコーティングを、治療薬と比較してコーティングから賦形剤のかなりの部分を選択的に除去するために後加工する。次いで、後加工されたコーティングを含む医療用デバイスを滅菌する。

0023

1つの態様において、本開示の実施形態は、浸漬コーティングによって医療用デバイス上に所望の薬物用量を装填するためにポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤をコーティング溶液中に含むコーティングの被制御生成およびその後の後加工操作におけるポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤の選択的除去の様式を説明する。得られた後加工および滅菌したコーティングは、0.1〜10μg/mm2、より特定すると0.7〜3.0μg/mm2の薬物密度(本明細書中で使用する場合、薬物密度は、公称膨張圧(NIP)への膨張時のものである)を有する均一の組織投薬量を提供する。1つの実施形態において、得られた後加工および滅菌したコーティングの薬物密度は約2.0μg/mm2±0.2μg/mm2である。

0024

コーティングプロセスの間、ポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤は、コーティングの形成およびコーティングへの薬物の装填に必要な溶液粘度を提供することができる。湿式薄膜ビルド(wet film build)(すなわち、コーティングの厚さ)は、溶液粘度の2/3乗の関数である。したがって、溶液粘度が高いほど膜厚が増加し、医療用デバイスの単位表面積あたりの薬物用量をより高くすることができる。再狭窄処置または抑制のための治療薬の局所的送達などの適用で臨床的効性を得るために約0.7μg/mm2より高い薬物密度が必要であり得ること、および、コーティング中の約0.7μg/mm2を超えるこの薬物密度を達成するために30重量%超(さらには80重量%)の不揮発性成分のポリマーまたはオリゴマーを有するコーティング溶液(すなわち、溶媒を含まず、薬物および賦形剤を含む)が必要であり得ることが認められている。

0025

1つの実施形態において、後加工は、治療薬に対するコーティングマトリックス賦形剤の選択的除去を制御するために、所定の時間、温度、および、方向で溶液中にコーティングされた医療用デバイスを浸漬することを含む。本開示の実施形態によれば、治療薬よりも有意に多い量のコーティングマトリックス賦形剤を選択的に除去する(後加工中に除去された賦形剤の総量を後加工中に除去された治療薬の総量で割ることによって測定)。1つの実施形態において、選択的除去量は少なくとも5倍である(例えば、後加工中に除去される治療薬1μgと比較して賦形剤の総量が5μg)。1つの実施形態において、治療薬と比較した総賦形剤の選択的除去量は、少なくとも10倍、より特定すると少なくとも20倍である。1つの実施形態において、選択的除去は、40倍もの量である。

0026

選択性が増大するにつれて、後加工後の治療薬の相対組成比も増大する。1つの実施形態において、乾燥させたフレッシュコーティングの治療薬(薬物)/総賦形剤(E)重量比(D/E)は20%(比率1/5)〜100%(比率1/1)である。本明細書中で使用する場合、D/E比中のDは、コーティング中の全薬物(治療薬)を含む。本明細書中で使用する場合、D/E比中のEは、コーティングマトリックス内に組み込まれたか分散させられた全賦形剤(ポリマー、オリゴマー、浸透促進剤可塑剤ワックス界面活性剤、、および/または、薬物溶解促進剤など)を含む。1つの実施形態において、後加工前の乾燥フレッシュコーティングは50重量%未満の治療薬を含み、プロセス後乾燥コーティングは50重量%超の治療薬を含む。したがって、治療薬量は、乾燥フレッシュコーティング中における少量からプロセス後乾燥コーティング中における大量に変化する。1つの実施形態において、後加工前の乾燥フレッシュコーティングは35重量%以下の治療薬を含み、プロセス後乾燥コーティングは65重量%以上の治療薬を含む。1つの実施形態において、プロセス後乾燥コーティングは65%〜75重量%の治療薬および25%〜35%の賦形剤を含む。

0027

さらに、選択性が増大するに連れて、後加工中の治療薬の除去量は減少し得る。1つの実施形態において、後加工されたコーティングのD/E比は、100%(比率1/1)〜9900%(比率99/1)、より特定すると100%と600%(比率6/1)との間である。1つの実施形態において、乾燥フレッシュコーティング中に含まれる10重量%未満の治療薬が後加工中にコーティングから除去される一方で、乾燥フレッシュコーティング中に含まれる75重量%超の賦形剤が後加工中にコーティングから選択的に除去される。1つの実施形態において、乾燥フレッシュコーティング中に含まれる15重量%未満の治療薬が後加工中のコーティングから除去される一方で、乾燥フレッシュコーティング中に含まれる90重量%超の賦形剤が後加工中にコーティングから選択的に除去される。

0028

1つの実施形態において、乾燥させたフレッシュコーティングの治療薬(薬物)密度は、約0.1〜10.0μg/mm2、より特定すると約0.7〜3.0μg/mm2である。1つの実施形態において、後加工および滅菌したコーティングの薬物密度は、0.1〜10μg/mm2、より特定すると0.7〜3.0μg/mm2である。1つの実施形態において、得られた後加工および滅菌したコーティングの薬物密度は、約2.0μg/mm2±0.2μg/mm2である。

0029

1つの態様において、本開示の実施形態は、医療用デバイス上に所望の薬物用量の実質的に水不溶性(water insoluble)の薬物を装填するために親水性のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤をコーティング溶液中に含むコーティングの被制御生成の様式と、その後の、滅菌手順に供した場合にコーティングの機械的性質を保存するための後加工操作におけるポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤の選択的除去の様式とを説明する。コーティングの完全性がEtO滅菌サイクル(大量の親水性のポリマーまたはオリゴマーの賦形剤を含むコーティングに対する湿度条件が含まれる)に影響を受け得ることが認められた。この不十分なコーティング完全性により、屈曲または膨張(例えば、バルーン上で形成した場合)によって応力を与えられた場合にコーティングが延性破壊を起こして粒子形態コーティング材料喪失され得、それゆえ、コーティングされたデバイスが含む薬物の用量均一性および潜在的有効性が喪失されることも認められた。さらに、処置の位置に移動する間にin vivoで粒子が生成する場合、塞栓などの臨床的続発症が起こり得る。

0030

特定の理論に制限されないが、EtO滅菌サイクルの制御された温度および湿度条件下で親水性のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤が水分を吸収し、それにより、水分取り込みによって親水性ポリマーまたは親水性オリゴマーが膨張すると考えられる。滅菌プロセス後の乾燥の際、吸収した水分を除去するとコーティング中に空隙または応力集中が起こり、それにより、コーティングの劣化および延性破壊が起こり得る。EtO滅菌サイクルの制御された温度および湿度条件下で、一定量のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤のリフローと、親水性のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤からの実質的に水不溶性の薬物の相分離とが起こり得ることも想定される。

0031

1つの実施形態において、水可溶である親水性のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤を含むコーティングマトリックスを、後加工操作で選択的に除去し、この後加工操作は、制御された温度および湿度条件下でEtO滅菌サイクルに関連するコーティング完全性の減少を低減または阻止するために乾燥フレッシュコーティングを水溶液中に浸漬する操作である。しかし、親水性ポリマーまたは親水性オリゴマーを完全に除去する必要はない。1つの実施形態において、得られた後加工されたコーティングは、コーティングマトリックスが依然として親水性媒質内の薬物密度を維持することができ、それにより、in vivoで医療用デバイスコーティングと隣接する身体管腔組織との間の境界層を横切る実質的に水不溶性の治療薬の移動を補助することができるような十分な量の親水性のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤を維持している。

0032

したがって、本開示の実施形態によれば、フレッシュコーティング組成物を、実質的に水不溶性の治療薬と、適切な溶媒系の選択に応じて、臨床的有効性および適切な機械的特徴(コーティングの機能性が臨床使用中に喪失されない)を得るのに必要な薬物密度を有する後加工されたコーティングが得られるように賦形剤が選択的に除去されるような化学的特徴を有する賦形剤とを含むように作製することができる。本開示の実施形態によれば、後加工および滅菌を含むコーティングプロセスは、剥離がほとんどない〜全くない良好な機械的性質と、0.1〜10μg/mm2±10%の公称値、より特定すると0.7〜3.0μg/mm2±10%の公称値の正確な薬物密度でデバイス表面にわたる良好なコーティング均一性とを有するコーティングが繰り返し生成されることを実証している。1つの実施形態において、得られた後加工および滅菌したコーティングの薬物密度は約2.0μg/mm2±0.2μg/mm2である。

0033

下記の説明に記載の特定の実施形態および実施例において、実質的に水不溶性の治療薬および水溶性のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤を含むコーティングを、水溶液への浸漬によって後加工する。実施形態はあまり制限されず、他の実施形態において、実質的に水不溶性の治療薬に対するコーティング賦形剤の選択的除去に必要な条件を得るために後加工を非水溶液(有機溶媒など)または水/溶媒ブレンド中で行うことができると認識すべきである。他の実施形態において、水溶性治療薬および実質的に水不溶性のポリマーまたはオリゴマーの賦形剤を含むコーティングに対して、実質的に水不溶性のポリマーまたはオリゴマーの賦形剤を選択的に除去するためにコーティングを溶媒に浸漬させるという後加工を行う。したがって、正確かつ再現性よく賦形剤を選択的に除去し、医療用デバイス上への治療薬の望ましい装填量を調整するために、賦形剤に対して望ましい選択性を有する治療薬、賦形剤、および、溶媒の系を選択するという構想の実施形態にしたがって種々の系を生成することができる。

0034

1つの実施形態において、後加工および滅菌前の乾燥フレッシュコーティング組成物ならびに後加工および滅菌後の最終コーティング組成物は、実質的に水不溶性の治療薬および1種またはそれよりも多くの賦形剤を含む。1つの実施形態において、実質的に水不溶性の治療薬を、親水性であるが溶媒可溶であるポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤のマトリックスに分散させる。1つの実施形態において、溶媒溶解性ポリマーは、溶媒または溶媒ブレンドの有機溶媒が少なくとも80重量%であり、水が20重量%までであり得ることを意味する。任意選択的なさらなる賦形剤は、浸透促進剤、可塑剤、ワックス、界面活性剤、および、/または、薬物溶解促進剤であり得る。1つの実施形態において、薬物溶解促進剤はヨウ素であり、ヨウ素は、米国特許第8,128,951号に記載のように、コーティングにおいてポリマーまたはオリゴマーと会合した場合に水ベース生体媒質中における実質的に水不溶性の治療薬の溶解性を促進させる。ヨウ素は、ポリマーまたはオリゴマーに非共有結合的に結合することができる。例えば、ヨウ素は、ポリマーまたはオリゴマーと複合体を形成することができる。

0035

1つの実施形態において、本開示のコーティング組成物に組み込むことができる適切なポリマーおよびオリゴマーには、親水性であるが溶媒可溶であるものが含まれ、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドンPVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース、または、N−ビニルピロリドンの他の反応性二重結合含有単量体スチレンアクリル酸酢酸ビニル、または、ビニルカプロラクタム(vinyl coprolactam)など)とのコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ポリマーの分子量は、腎臓クリアランスされるように20,000ダルトン未満であり得る。

0036

1つの実施形態において、フレッシュに乾燥させたコーティングは約71重量%のPEG 8000ダルトンおよび約29重量%のパクリタキセルを含み、フレッシュコーティングの薬物密度は0.1〜10μg/mm2、より特定すると約2〜2.26μg/mm2である。1つの実施形態において、フレッシュに乾燥させたコーティングは約68重量%のPEG 8000ダルトン、約29重量%のパクリタキセル、および、約3重量%のヨウ素を含み、フレッシュコーティングの薬物密度は0.1〜10μg/mm2、より特定すると約2〜2.26μg/mm2である。

0037

1つの実施形態において、本開示のコーティング組成物に組み込むことができる適切なポリマー賦形剤およびオリゴマー賦形剤には、生体侵食性(bio−erodable)ポリマー(ポリ乳酸PLA)、ポリグリコール酸PGA)、PLGA、ポリカプロラクトン(PCL)およびそのコポリマー、ポリ酸無水物ポリヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−バレレート)、ポリジオキサノン、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカルボネート)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(トリメチレンカルボネート)、ポリ(イミノカルボネート)、コポリエーテルエステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサラートポリホスファゼン、ポリ(オルトエステル)、および、ポリエステルアミドなど)が含まれる。

0038

1つの実施形態において、適切なバイオポリマー(一般にいくらか親水性を示す)には、フィブリンフィブリノゲンヒアルロン酸キチンキトサンアルジネート硫酸化ポリサッカリドグリコサミノグリカン類)(コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、デルマタン硫酸ケラタン硫酸ヘパリンヘパラン硫酸など)が含まれる。他の例は、シンデカングリピカンデンプン、ザインコラーゲンゼラチングリコーゲン、および、ケラチンである。適切なバイオポリマーには、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースCMC)、および、エチルセルロースなど)も含まれ得る。

0039

1つの実施形態において、合成非分解性ポリマーを使用することができ、そのうちのいくつかは、特定のモノマー組成アクリレートポリマー/コポリマー、アクリレートカルボキシルおよび/またはヒドロキシルおよび/またはエステルコポリマーなど)に応じて親水性または疎水性であり得る。例えば、ポリアクリル酸およびポリ(HEMA)は親水性であるのに対して、ポリn−ブチルメタクリレート(PBMA)は疎水性である。PEG−PETまたはPEG−PBTから構成されるブロックコポリマーも適切であり、PEG含有量が高いほどコポリマーの親水性がより高い。1つの実施形態において、適切な親水性ポリマーには、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(PVPNA)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、PVA(ポリビニルアルコール)、および、ポリビニルピリジンコポリマーが含まれる。1つの実施形態において、適切な疎水性ポリマーには、オレフィンアクリル酸コポリマーエチレンアクリル酸コポリマーポリアミドポリマー/コポリマー、ポリイミドポリマー/コポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマーエチレンビニルアルコールコポリマーEVAL)、ポリスルホンポリエーテルスルホンポリウレタン(例えば、登録商標PELLETHANEおよび登録商標TECOFLEXで販売)、ポリカルボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、PEG−PETまたはPEG−PBTから構成されるブロックコポリマーが含まれる。さらなる疎水性合成非分解性ポリマーには、ポリ塩化ビニルおよびそのコポリマー、PVAc(ポリビニルアセテート)、スチレン−エチレンブチレンスチレンブロックコポリマー(Kraton G、例えば、登録商標KRATONで販売)、スチレン−ポリジエン−スチレンブロックコポリマー(Kraton D、例えば、登録商標KRATONで販売)が含まれる。さらなる疎水性合成非分解性ポリマーには、ポリビニリデンフルオリドおよびそのコポリマー(例えば、商標KYNARおよび登録商標SOLEFで販売)が含まれる。

0040

1つの態様において、本開示の実施形態は、身体内の管腔壁で生じる種々の疾患を処置するための実質的に水不溶性の治療薬を開示する。本開示に従い有用な治療薬を、単独または組み合わせて使用することができる。本開示の特定の実施形態は、タキサン治療薬(パクリタキセルなど)を含む組成物を医療用デバイス上にコーティングする方法に関する。一般にタキサン、特にパクリタキセルは、抗微小管剤として作用することによって細胞周期インヒビターとして機能する、より特定すると安定剤として機能すると見なされるタキサン治療化合物である。本明細書中で使用する場合、用語「パクリタキセル」は、いくつかの置換基と共に4つの縮合環を有するコア構造(構造(1)中で影をつけた「コアタキサン構造」)からなる以下の構造(1):



として示した化学構造の化合物をいう。

0041

他のタキサンのアナログまたは誘導化合物は、パクリタキセル構造(1)のバリエーションによって特徴付けられる。好ましいタキサンアナログおよびコア誘導体は、コアタキサン構造に結合した置換基が変わる。1つの実施形態において、治療薬は、コアタキサン構造(1)と、コアタキサン構造の炭素13位(「C13」)にメチル3−(ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート部分(以下の構造(2)に示す)(構造(1)中の破線で囲まれた部分)とを含むタキサンのアナログまたは誘導体である。



メチル3−(ベンズアミド)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート

0042

コアタキサン構造の炭素13位の構造(2)は、分子の生物学的活性において細胞周期インヒビターとして役割を果たすと考えられている。構造(2)を有する治療薬の例には、パクリタキセル(Merck Indexのエントリー7117)、ドセタキソール(docetaxol)(タキソテール、Merck Indexエントリー3458)、および、3’−デスフニル−3’−(4−ニトロフェニル)−N−デベンゾイル−N−(t−ブトキシカルボニル)−10−デアセチルタキソールが含まれる。

0043

治療薬として使用することができるパクリタキセル誘導体またはアナログの代表例には、7−デオキシ−ドセタキソール(docetaxol)、7,8−シクロプロパタキサン、N置換2−アゼチドン(azetidone)、6,7−エポキシパクリタキセル、6,7−修飾パクリタキセル、10−デスアセトキシタキソール、10−デアセチルタキソール(10−デアセチルバッカチンIII由来)、タキソールのホスホノオキシ誘導体およびカルボネート誘導体、タキソール2’,7−ジ(ナトリウム1,2−ベンゼンジカルボキシレート、10−デスアセトキシ−11,12−ジヒドロタキソール−10,12(18)−ジエン誘導体、10−デスアセトキシタキソール、プロタキソール(2’−および/または7−O−エステル誘導体)、(2’−および/または7−O−カルボネート誘導体)、タキソール側鎖の不斉合成フルオロタキソール、9−デオキソタキサン、(13−アセチル−9−デオキソバッカチンIII、9−デオキソタキソール、7−デオキシ−9−デオキソタキソール、10−デスアセトキシ−7−デオキシ−9−デオキソタキソール、水素またはアセチル基およびヒドロキシおよびtert−ブトキシカルボニルアミノを含む誘導体、スルホン化2’−アクリロイルタキソールおよびスルホン化2’−O−アシル酸タキソール誘導体、スクシニルタキソール、2’−γ−アミノブチリルタキソールホルメート、2’−アセチルタキソール、7−アセチルタキソール、7−グリシンカルバメートタキソール、2’−OH−7−PEG(5000)カルボネートタキソール、2’−ベンゾイルおよび2’,7−ベンゾイルタキソール誘導体、他のプロドラッグ(2’−アセチルタキソール;2’,7−ジアセチルタキソール;2’−スクシニルタキソール;2’−(β−アラニル)−タキソール);2’−γ−アミノブチリルタキソールホルメート;2’−スクシニルタキソールのエチレングリコール誘導体;2’−グルタリルタキソール;2’−(N,N−ジメチルグリシル)タキソール;2’−(2−(N,N−ジメチルアミノプロピオニル)タキソール;2’−オルトカルボキシベンゾイルタキソール;タキソールの2’−脂肪族カルボン酸誘導体、プロドラッグ{2’−(N,N−ジエチルアミノプロピオニル)タキソール、2’−(N,N−ジメチルグリシル)タキソール、7−(N,N−ジメチルグリシル)タキソール、2’,7−ジ−(N,N−ジメチルグリシル)タキソール、7−(N,N−ジエチルアミノプロピオニル)タキソール、2’,7−ジ(N,N−ジエチルアミノプロピオニル)タキソール、2’−(L−グリシル)タキソール、7−(L−グリシル)タキソール、2’,7−ジ(L−グリシル)タキソール、2’−(L−アラニル)タキソール、7−(L−アラニル)タキソール、2’,7−ジ(L−アラニル)タキソール、2’−(L−ロイシル)タキソール、7−(L−ロイシル)タキソール、2’,7−ジ(L−ロイシル)タキソール、2’−(L−イソロイシル)タキソール、7−(L−イソロイシル)タキソール、2’,7−ジ(L−イソロイシル)タキソール、2’−(L−バリル)タキソール、7−(L−バリル)タキソール、2’7−ジ(L−バリル)タキソール、2’−(L−フェニルアラニル)タキソール、7−(L−フェニルアラニル)タキソール、2’,7−ジ(L−フェニルアラニル)タキソール、2’−(L−プロリル)タキソール、7−(L−プロリル)タキソール、2’,7−ジ(L−プロリル)タキソール、2’−(L−リシル)タキソール、7−(L−リシル)タキソール、2’,7−ジ(L−リシル)タキソール、2’−(L−グルタミル)タキソール、7−(L−グルタミル)タキソール、2’,7−ジ(L−グルタミル)タキソール、2’−(L−アルギニル)タキソール、7−(L−アルギニル)タキソール、2’,7−ジ(L−アルギニル)タキソール}、以下を有するタキソールアナログ:修飾フェニルイソセリン側鎖(N−デベンゾイル−N−tert−(ブトキシカルボニル)−10−デアセチルタキソール、および、タキサン(例えば、バッカチンIII、セファロマンニン、10−デアセチルバッカチンIII、ブレビリオール、ユナンクスシン、および、タクスシン);他のタキサンアナログおよび誘導体(14−β−ヒドロキシ−10デアセチルバッカチン(deacety baccatin)III、ベンゾイル−2−アシルパクリタキセル誘導体、ベンゾエートパクリタキセル誘導体、ホスホノオキシおよびカルボネートパクリタキセル誘導体、スルホン化2’−アクリロイルタキソールが含まれる);スルホン化2’−O−アシル酸パクリタキセル誘導体、18部位置換パクリタキセル誘導体、塩素化パクリタキセルアナログ、C4メトキシエーテルパクリタキセル誘導体、スルホンアミドタキサン誘導体臭素化パクリタキセルアナログ、Girardタキサン誘導体、ニトロフェニルパクリタキセル、10−脱アセチル化置換パクリタキセル誘導体、14−β−ヒドロキシ−10デアセチルバッカチンIIIタキサン誘導体、C7タキサン誘導体、C10タキサン誘導体、2−デベンゾイル−2−アシルタキサン誘導体、2−ベンゾイルおよび−2−アシルパクリタキセル誘導体、新しいC2およびC4官能基を保有するタキサンおよびバッカチンIIIアナログ、n−アシルパクリタキセルアナログ、10−デアセチルバッカチンIIIおよび7−プロテクティッド−10−デアセチルバッカチンIII誘導体(10−デアセチルタキソールA、10−デアセチルタキソールB、および、10−デアセチルタキソール由来)、タキソールのベンゾエート誘導体、2−アロイル−4−アシルパクリタキセルアナログ、オルトエステルパクリタキセルアナログ、2−アロイル−4−アシルパクリタキセルアナログ、ならびに、1−デオキシパクリタキセルおよび1−デオキシパクリタキセルアナログが含まれる。

0044

タキサン化合物を含む組成物には、パクリタキセルの処方物、プロドラッグ、アナログ、および、誘導体、例えば、タキソール(Bristol Myers Squibb,New York,N.Y.)、ドセタキソール、パクリタキセルの10−デスアセチルアナログ、および、パクリタキセルの3’−N−デスベンゾイル−3’−N−t−ブトキシカルボニルアナログなど)が含まれ得る。パクリタキセルの分子量は約853amuであり、当業者に公知の技術を利用して容易に調製することができる(例えば、Schiffら、Nature 277:665−667,1979;Long and Fairchild,Cancer Research 54:4355−4361,1994;Ringel and Horwitz,J.Nat’l Cancer Inst.83(4):288−291,1991;Pazdurら、Cancer Treat.Rev.19(4):351−386,1993;WO94/07882号;WO94/07881号;WO94/07880号;WO94/07876号;WO93/23555号;WO93/10076号;WO94/00156号;WO93/24476;欧州特許第590267号;WO94/20089号;米国特許第5,294,637号;同第5,283,253号;同第5,279,949号;同第5,274,137号;同第5,202,448号;同第5,200,534号;同第5,229,529号;同第5,254,580号;同第5,412,092号;同第5,395,850号;同第5,380,751号;同第5,350,866号;同第4,857,653号;同第5,272,171号;同第5,411,984号;同第5,248,796号;同第5,248,796号;同第5,422,364号;同第5,300,638号;同第5,294,637号;同第5,362,831号;同第5,440,056号;同第4,814,470号;同第5,278,324号;同第5,352,805号;同第5,411,984号;同第5,059,699号;同第4,942,184号;Tetrahedron Letters 35(52):9709−9712,1994;J.Med.Chem.35:4230−4237,1992;J.Med.Chem.34:992−998,1991;およびJ.Natural Prod.57(10):1404−1410,1994;J.Natural Prod.57(11):1580−1583,1994;J.Am.Chem.Soc.110:6558−6560,1988を参照のこと)、または、種々の業者(例えば、Sigma Chemical Co.,St.Louis,Mo.が含まれる)から得ることができる(Taxus brevifolia由来のT7402)。

0045

1つの態様において、治療薬は、構造(3):



(式中、Xは、酸素(パクリタキセル)、水素(9−デオキシ誘導体)、チオアシル、または、ジヒドロキシル前駆体であってよく;R1は、パクリタキセル側鎖もしくはTAXOTERE側鎖または式(4):



アルカノイルから選択され、
R7は、水素、アルキルフェニルアルコキシ、アミノ、フェノキシ(置換または非置換)から選択され;R8は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキルアルコキシアルキルアミノアルキル、フェニル(置換または非置換)、αまたはβ−ナフチルから選択され;R9は、水素、アルカノイル、置換アルカノイル、および、アミノアルカノイルから選択され;ここで、置換基は、ヒドロキシル、スルフヒドリルアルコキシル、カルボキシル、ハロゲンチオアルコキシル、N,N−ジメチルアミノ、アルキルアミノジアルキルアミノニトロ、および、サルフェート(−−OSO3H)をいい、そして/またはかかる置換基を含む基をいうことができ;R2は、水素または酸素含有基(水素、ヒドロキシル、アルコキシル、アルカノイルオキシ、アミノアルカノイルオキシ、および、ペプチジル(peptidy)アルカノイルオキシなど)から選択され;R3は、水素または酸素含有基(水素、ヒドロキシル、アルコキシル、アルカノイルオキシ、アミノアルカノイルオキシ、および、ペプチジル(peptidy)アルカノイルオキシなど)から選択され、さらにシリル含有基または硫黄含有基であってよく;R4は、アシル、アルキル、アルカノイル、アミノアルカノイル、ペプチジルアルカノイル、および、アロイルから選択され;R5は、アシル、アルキル、アルカノイル、アミノアルカノイル、ペプチジルアルカノイル、および、アロイルから選択され;R6は、水素または酸素含有基(水素、ヒドロキシルアルコキシル、アルカノイルオキシ、アミノアルカノイルオキシ、および、ペプチジル(peptidy)アルカノイルオキシなど)から選択される)を有する米国特許第5,440,056号に開示のタキサンアナログおよび誘導体から選択される。

0046

1つの態様において、治療薬は、細胞周期インヒビターとしてのPCT国際特許出願番号WO93/10076号に開示のパクリタキセルのアナログおよび誘導体から選択される。アナログまたは誘導体は、タキサンに抗腫瘍活性を付与するために、以下の構造(式5)に示すように、タキサン核のC13に結合した側鎖を有することができる。

0047

WO93/10076号は、既存のメチル基を除く任意の位置でタキサン核を置換することができることを開示している。置換基には、例えば、水素、アルカノイルオキシ、アルケノイルオキシアリーロイルオキシが含まれ得る。さらに、オキソ基を、2、4、9、および、/または、10とラベリングした炭素に結合することができる。同様に、オキセタン環を、炭素4および5に結合することができる。同様に、オキシラン環を、ラベリングした炭素4に結合することができる。1つの態様において、本開示で有用なタキサンベースの細胞周期インヒビターは、米国特許第5,440,056号(9−デオキソタキサンを開示している)に開示されている。これらは、上記の式(5)に示したタキサン構造中のラベリングした炭素9のオキソ基を欠く化合物である。タキサン環を、ラベリングした炭素1、7、および、10(独立して)でH、OH、O−−R、または、O−−CO−−R(式中、Rはアルキルまたはアミノアルキルである)と置換することもできる。同様に、タキサン環を、ラベリングした炭素2および4(独立して)でアロイル、アルカノイル、アミノアルカノイル、または、アルキル基と置換することができる。式(4)の側鎖を、R7およびR8(独立して)でフェニル環置換フェニル環、直鎖アルカンアルケン、および、H、O、または、Nを含む基と置換することができる。R9を、H、または、置換もしくは非置換のアルカノイル基と置換することができる。

0048

1つの実施形態において、パクリタキセルなどの非水溶性(non−aqueous soluble)抗増殖剤を、抗炎症剤デキサメタゾンなどの別の治療薬と組み合わせて使用することができる。1つの実施形態において、単独または組み合わせて正常または罹患した身体管腔の表面に局所的に送達させることができる治療薬を、抗増殖剤、抗血小板薬、抗炎症剤、抗血栓症薬、および、血栓溶解薬カテゴリー分類することができる。これらのクラスを、さらに下位区分することができる。例えば、抗増殖剤は有糸分裂阻害剤であり得る。有糸分裂阻害剤は、細胞分裂阻害するかそれに影響を及ぼし、それにより、細胞分裂に通常関与する過程が起こらない。有糸分裂阻害剤の1つのサブクラスには、ビンカアルカロイドが含まれる。非水溶性ビンカアルカロイドの代表例には、パクリタキセル(アルカロイド自体ならびにその天然に存在する形態および誘導体、ならびに、その合成および半合成形態が含まれる)、ビンクリスチンエトポシドインジルビン、および、アントラサイクリン誘導体(例えば、ダウノルビシンダウノマイシン、および、プリカマイシンなど)が含まれるが、これらに限定されない。有糸分裂阻害剤の他のサブクラスには、抗有糸分裂アルキル化剤(例えば、非水溶性ホテムスチンなど)および抗有糸分裂性代謝産物(例えば、非水溶性のアザチオプリンミコフェノール酸レフルノミドテリフルノミドフルオロウラシル、および、シタラビンなど)が含まれる。抗有糸分裂性アルキル化剤は、DNA、RNA、または、タンパク質共有結合的に改変し、それにより、DNA複製RNA転写、RNA翻訳タンパク質合成、または、上記の組み合わせを阻害することによって細胞分裂に影響を及ぼす。

0049

使用することもできる非水溶性抗炎症剤の例には、デキサメタゾン、プレドニゾンヒドロコルチゾンエストラジオールトリアムシノロンモメタゾンフルチカゾンクロベタゾール、および、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アセトアミノフェンイブプロフェン、および、スリンダクなど)が含まれるが、これらに限定されない。アラキドン酸代謝産物であるプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリンアナログは、血管作動性抗増殖剤の例である。

0050

細胞増殖免疫調節、および、炎症に対する多面的効果を有する治療薬も使用することができる。かかる非水溶性薬剤の例には、マクロライドおよびその誘導体(シロリムス(例えば、ラパマイシン)、タクロリムスエベロリムステムシロリムスなど)が含まれるが、これらに限定されない。

0051

抗血小板薬は、(1)表面、典型的に、血栓形成表面への血小板接着の阻害、(2)血小板凝集の阻害、(3)血小板活性化の阻害、または、(4)上記の組み合わせによって作用する治療物質である。血小板接着インヒビターとして作用する非水溶性抗血小板薬には、gpIIbIIIaまたはαv.β3への結合を阻害するチロフィバンおよびRGD(Arg−Gly−Asp)ベースのペプチドペグ化(Pegylated))、P−セレクチンまたはE−セレクチンのその各リガンドへの結合を遮断する化合物が含まれるが、これらに限定されない。ADP媒介血小板凝集を阻害する薬剤には、シロスタゾールが含まれるが、これに限定されない。

0052

抗血栓症薬には、凝固経路の任意の段階で介入することができる化学物質および生物学的物質が含まれる。非水溶性物質の具体例には、第Xa因子活性を阻害する小分子が含まれるが、これらに限定されない。直接的トロンビンインヒビター(例えば、アルガトロバンイノガトランなど)も含まれる。

0053

使用することができる他の非水溶性治療薬は、細胞毒性薬剤(例えば、アポトーシス誘導物質およびトポイソメラーゼインヒビター(イリノテカンおよびドキソルビシンが含まれる))など)および細胞分化を調整する薬物(ヒストンデアセチラーゼのインヒビター(バルプロ酸が含まれる)など)である。

0054

使用することができる他の非水溶性治療薬には、抗高脂血剤(anti−lipaedemic agent)(フェノフィブラートクロフィブラート、および、ロシグリタゾンが含まれるが、これらに限定されない)およびマトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター(例えば、バチマスタット(batimistat)など)、エンドセリン−A受容体アンタゴニスト(例えば、ダルセンタンなど)が含まれる。

0055

別の実施形態において、水溶性治療薬を使用することができる。水溶性有糸分裂阻害剤には、エポチロンA、エポチロンB、および、エポチロンD、ならびに、他の全てのエポチロンが含まれる。水溶性抗血小板薬には、gpIIbIIIaまたはαv.β3への結合を阻害するRGD(Arg−Gly−Asp)ベースのペプチドが含まれる。水溶性抗血栓症薬には、FXaおよびトロンビンの両方を直接的または間接的に阻害することができるヘパリノイド型薬剤(ヘパリン、ヘパリンサルフェート、低分子量ヘパリン(登録商標クリバリン(CLIVARIN)を有する化合物など)、および、合成オリゴサッカリド(登録商標アリクストラを有する化合物など)など)が含まれる。血餅溶解作用血栓フィブリンマトリックス内に捕捉された血小板の分散を補助するので、血栓(血餅)の分解を補助する薬剤と定義することができる水溶性血栓溶解薬を補助薬として使用することもできる。血栓溶解薬の代表例には、ウロキナーゼまたは組換えウロキナーゼ、プロウロキナーゼまたは組換えプロウロキナーゼ、組織プラスミノゲンアクチベーターまたはその組換え形態、および、ストレプトキナーゼが含まれるが、これらに限定されない。さらなる水溶性治療薬には、抗血小板および抗エンドセリン適用のための組換え抗体が含まれる。
コーティング溶液の調製

0056

1つの実施形態において、コーティング溶液は、治療薬、1種またはそれよりも多くの賦形剤、および、溶媒を含む。コーティング溶液を、浸漬コーティングの場合にデバイス上に所望の薬物濃度を達成するのに有用な粘度を得るために十分なポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤を用いて処方する。1つの実施形態において、コーティング溶液の粘度は、5センチポアズcps)と75cpsとの間、より特定すると20cpsと30cpsとの間である。これには、ポリマー賦形剤部分またはオリゴマー賦形剤部分がコーティング溶液中の不揮発性物質の30重量%超かつ最大で80重量%を占める必要があり得る。

0057

1つの実施形態において、必要量のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤および薬物を量し、メスフラスコなどの適切な混合溶液に添加する。次いで、必要量の溶媒を混合容器に添加する。1つの実施形態において、溶媒は、エタノール/アセトニトリル混合物である。1つの実施形態において、溶媒は、エタノール/アセトニトリルの57/43共沸混合物溶液(質量基準)である。次いで、コーティング溶液成分を加熱下で渦動させてポリマー賦形剤および薬物を溶媒に溶解することができる。ヨウ素などのさらなる賦形剤を含む場合、次いで、必要量のヨウ素分子を秤量し、溶液に添加し、加熱およびボルテックス下で溶解することができる。1つの実施形態において、コーティング溶液は、不揮発性物の約30〜95重量%の賦形剤および5〜70重量%の薬物、より特定すると約60〜80重量%の賦形剤および20〜40重量%の薬物を含む。1つの実施形態において、コーティング溶液は、不揮発性物の約68重量%のPEG賦形剤、約29重量%のパクリタキセル、および、約3重量%の分子ヨウ素賦形剤を含む。ポリマー賦形剤がPEGを含む場合、加熱およびボルテックス下での溶解操作を、実施形態にしたがって約42℃±2℃で行うことができる。

0058

1つの実施形態において、コーティング溶液中に非水性溶媒が大部分または排他的に含まれることにより、水溶液と比較して迅速に蒸発し、表面張力がより低く、基質湿潤性が改善され、これらがコーティングを均一にするのに役立つ。1つの実施形態において、適切な溶液は、有機溶媒が少なくとも80重量%であって20重量%までが水であり得る溶媒または溶媒ブレンドを含むことができる。例えば、水より沸点が低い溶媒(エタノール、メタノール、メチルエチルケトンイソプロパノール2−プロパノール)、および、アセトニトリルなど)を、単独またはコーティング溶液と組み合わせて使用することができる。1つの実施形態において、水より沸点が高い少量の溶媒成分(n−ブタノールなど)の使用を使用することができる。

0059

バルーンの前調整
最初に、バルーンを覆っている保護シースを含むバルーンカテーテルをそのパッケージングから取り出す。次いで、バルーンが地面に向かって下を向くようにバルーンカテーテルを、カテーテルツリーに吊るす。次いで、バルーンポートを介してガス注入することによってバルーンを膨張させる。1つの実施形態において、バルーンを、ちょうどバルーンのあらゆる折りたたみがなくなるまで膨張させる。

0060

いくつかの実施形態において、次いで、膨張させたバルーンを、バルーン表面浄化するために、一連洗浄過程を用いて99%イソプロピルアルコール(IPA)中で超音波処理することができる。洗浄過程を、1〜10回繰り返すことができ、60秒間±5秒間〜15秒間±5秒間、継続することができる。次いで、バルーンを、バルーン表面にわたりかつガイドワイヤ管腔を通る濾過空気送風によって乾燥させることができる。

0061

ここで図1A〜1Bを参照して、キャップを取り付けた適切なサイズの心棒100を、キャップ102がバルーンカテーテルの遠位端に固定されるまでバルーンカテーテルガイドワイヤ管腔202に挿入する。適切なサイズの心棒の例のリストを以下の表1に示す。

0062

バルーン204を膨張させたままで、次いで、コーティング前にバルーン表面の湿潤性を増大させるために、バルーンを任意選択的にプラズマで前処理する。図2に示した実施形態によれば、次いで、ダックビルノズル300を含む大気圧プラズマ発生器を、バルーン204の縁部から1cm±0.5cmに配置する。ダックビルノズルを、バルーンの最大長を包囲するように中央に並べることができる。次いで、バルーンを60rpm±2rpmの速度で回転させる。ガス流を15psiに設定し、プラズマ発生器上のプラズマ強度を80%に設定し、バルーンをプラズマ302で30秒間、前処理する。次いで、プラズマ発生器への電源供給オフにする。適切な処理ガスには、空気、アルゴン窒素、酸素、または、CF4と酸素との混合物が含まれる。1つの実施形態において、心棒を、プラズマ発生器からのアーク発生を回避するために、セラミックなどの電気絶縁材料から形成する。
コーティングプロセス

0063

コーティングを、種々の技術(特に、浸漬コーティング、蒸着スプレーコーティング超音波スプレーコーティング、および、フローコーティングが含まれる)で形成することができる。図3〜4は、コーティング溶液400中へのバルーンカテーテルのバルーン204の浸漬コーティングによってコーティング206を形成する実施形態を示す。開示の実施形態を利用して、浸漬コーティングプロセスは、再現性のある単回浸漬を用いてバルーン表面にわたる均一な治療薬密度を得ることができ、それにより、コーティング中に治療薬を装填するために複数回浸漬させる必要性が排除される。以下の実施例中でさらに詳述するように、本開示の実施形態を利用して、単回浸漬コーティングを形成し、その後に後加工および滅菌する方法を開示し、この方法により、米国薬局方(USP)第905章、「投与単位の均一性(Uniformity of Dosage Units)」にしたがって計算した均一プロセスの合格判定値(AV)が得られる。本開示の実施形態による単回浸漬プロセスは迅速であり、ヒュームフード内での有害物質噴霧ならびにノズルチップの変動および噴霧適用中の薬物結晶化の変動に関連する噴霧の不均一性を含み得るスプレーコーティングなどの他のコーティング技術に関連する工学的制御を緩和する。

0064

コーティング前に、リザーバ402にコーティング溶液400を充填する。例えば、リザーバを、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)で形成することができる。1つの実施形態において、加熱ジャケット404を利用して、バルーン204の浸漬コーティング前にコーティング溶液を70°F(または室温)に5分間平衡化する(equilibriate)。例えば、加熱ジャケットを、アルミニウムで形成することができる。溶媒の蒸発がコーティング組成物の均一性を変化させ得るので、蒸発による溶媒(水性非水性、または、混合物)の損失はリザーバ温度選択における一要因であり、そのため室温以外の温度を選択することができる。1つの実施形態において、最終的な後加工および滅菌された医療用デバイスロット許容され得るAVで、複数の医療用デバイスを同一のコーティング溶液中で連続的に浸漬コーティングすることができる。1つの実施形態において、最終的な後加工および滅菌された医療用デバイスロットの許容され得るAVで、200までまたは200を超える医療用デバイスを同一のコーティング溶液中で連続的に浸漬コーティングする。

0065

医療用デバイスを浸漬コーティング中に回転させることができ、rpmは10から100rpmまで変化させることができる。医療用デバイスを、水平面から90°、または、その間の任意の角度(例えば、45°)に方向づけることができる。角度が低いほど、湿ったコーティングが乾燥するときにそれにかかる重力が低くなる。コーティング溶液からの引き抜き速度は、0.01インチ/秒から2インチ/秒まで変化し得る。引き抜き速度が速いほど、より多くのコーティングをデバイスに適用することができる。薬物密度は、薬物溶出バルーン上のパクリタキセルの場合、バルーン表面上で0.1μg/mm2〜10μg/mm2、より特定すると0.7〜3.0μg/mm2の間で変動し得る。

0066

バルーンカテーテルの場合、図3に示すように、心棒上のキャップ102を、コーティング溶液400のメニスカスに配置する。次いで、バルーン204を、バルーンが最大液浸深さ(maximum immersion depth)に到達するまでコーティング溶液400に浸漬させる。1つの実施形態において、このポイントまでバルーンを回転させなかった。いったん最大液浸深さに到達すると、バルーンをこの液浸深さに一定時間(5秒間など)留める。次いで、図4に示すように、バルーンを、コーティング溶液から引き抜く。1つの実施形態において、滞留時間の開始時または終了時にバルーン回転を開始し、コーティング溶液からの引き抜き中、バルーンを回転し続ける。1つの実施形態において、滞留時間または引き抜き中にバルーンを回転させない。

0067

コーティングリザーバからの引き抜きの際、コーティングしたデバイスを、コーティング206が「硬化」して、この位置から移動させた場合に液だれしないポイントまでコーティング粘度を上昇させるために十分な溶媒が蒸発するまでコーティング角度で回転させることができる。この時間は10秒間〜10分間であり得る。コーティング206を適用して「硬化」させた後、キャップ102および心棒100をバルーンカテーテルから除去し、周囲条件下もしくは制御された温度および気流速度条件下、または、真空もしくは真空オーブン中で残存溶媒がコーティング206の1重量%未満になるまで保存することによって残存溶媒を除去する。全乾燥時間は、24時間以上であり得る。下記の説明に記載のように、コーティング206を、後加工および滅菌前の「フレッシュ」コーティングという。
後加工

0068

1つの実施形態において、「フレッシュ」コーティングが「硬化」した後またはフレッシュコーティングが完全に乾燥した後に後加工を行うことができる。後加工前に、セラミック製またはステンレス鋼製の心棒をガイドワイヤ管腔に挿入し、乾燥させたフレッシュコーティングを有するバルーンを穏やかに膨張させて折りたたまれたバルーンを広げる。1つの実施形態において、後加工は、制御温度下(75°F±5°Fなど)での水リザーバ中への乾燥させたフレッシュコーティングの液浸を含む。図3〜4に記載の浸漬コーティング装置に類似するPTFEリザーバおよび加熱ジャケットを、後加工の水浸のために利用することができる。1つの実施形態において、水はパイロジェンなしのグレードであり、各デバイスの後加工の間に水を交換する。

0069

図3〜4の説明と同様に、心棒上のキャップを無パイロジェン水のメニスカスに配置する。膨張させたバルーンを、水リザーバに傾斜させて挿入することができる(水平面から45°、垂直、または、その間の任意の角度など)。液浸時間は2秒間から5分間まで変化させることができ、水浴からの引き抜いた後、バルーンをしばらく水中で任意の時間回転させることができる。1つの実施形態において、浴からの引き出し速度は0.1〜2インチ/秒、より特定すると0.3〜1.3インチ/秒である。1つの実施形態において、浴からの引き出し速度は0.31インチ/秒である。任意選択的に、水浴からデバイスを引き抜いた後に濾過空気の噴流を用いてデバイス表面上の水滴を除去することができる。次いで、デバイスを周囲条件下もしくは制御された温度および気流速度条件下または真空もしくは真空オーブン中で1〜24時間乾燥させて水を除去することができる。

0070

滅菌プロセス
バルーンカテーテルの場合、後加工されたコーティングの乾燥後、バルーンを折りたたみ、シースに納め、パッケージングする。適切なサイズのフレア状(flared)シースのリストを、以下の表2に示す。

0071

止めコックおよびシリンジを用いて、コーティングされたバルーン内をゆっくり陰圧にしてバルーンを収縮させる。ここで図5A〜5Bを参照して、次いで、バルーン204を再度折り畳み、滑らかにする。1つの実施形態において、バルーン204を元の折りたたんだ構成に再度折りたたむ。さらに陰圧にして折りたたみ208を元の折りたたみ方向時計回りの方向など)に倒しこむことができる。適切なサイズのフレア状シース210をフレア状末端212を先頭にして心棒100上にバルーン204の遠位端に向かって装填する。次いで、折りたたんだバルーン204を、シースを時計回りの方向に捻りながらシース210に挿入する。いったんシース210がバルーン204上に引き込まれると、心棒100を除去することができる。次いで、シースに納められたバルーンカテーテルを元のパッケージングフープに挿入し、適切な滅菌パッケージング(バッグポーチチューブ、または、型など)に入れることができる。図6は、密封滅菌パッケージ500内の、シースに納められたバルーンカテーテル200の図である。1つの実施形態において、滅菌パッケージ500は、EtO滅菌由来の水分および熱をパッケージ内外に通過させるフラッシュスパン高密度ポリエチレン繊維(DuPontの登録商標であるTYVEK(R)としても公知)のシースルー外装フィルム502を含む。

0072

1つの実施形態において、滅菌プロセスは、3段階プロセス(事前調整段階、滅菌段階、および、曝気段階が含まれる)である。1つの実施形態において、事前調整段階は、相対湿度60%±5%にて41℃±3℃で60分間±3分間維持したチャンバー内に滅菌パッケージを装填することを含む。次いで、100グラムEtOカートリッジ穿刺してEtOガスを41℃±3℃、99mBar−10/+20mBarに保持したチャンバーに入れることによって滅菌段階を10時間以上−0/+1時間の曝露時間で開始する。次いで、圧力128mBar−10/+25mBar、温度41℃±3℃、曝気時間1時間−0/+12時間にてチャンバーを空気でフラッシングし、その後に21℃±3℃で約24時間にわたり外部曝気する。

0073

実施例1
コーティング溶液を下記のように作製した。10mlメスフラスコに、1.45グラムのポリエチレングリコール(PEG)8kDa(Dow Carbowax Sentry)、0.615グラムのパクリタキセル(Yunnan−Hande)、および、エタノールおよびアセトニトリルの57/43(重量)ブレンド約8mLを添加した。混合物を、交互に、水浴中で42℃に加温し、渦動させて、薬物およびポリマーを溶解した。固体の溶解後、68.0mgのヨウ素を添加し、さらなる57/43のエタノール/アセトニトリルを印の約0.5cm下まで添加した。混合物を渦動させ、水浴中で42℃に加熱してヨウ素を溶解した。最後に、いったん溶液を室温に戻し、57/43のエタノール/アセトニトリルを印まで添加した。溶液に蓋をし、渦動させた。

0074

バルーンカテーテル(ev3EVERCROSS(TM)、5.0×40mm)を下記のように調製した。シリンジを用いてバルーンを穏やかに膨張させ、止めコックを用いて圧力を保持した。膨張したバルーンを、全部で3回洗浄するカスケード式洗浄過程を用いて99%の2−プロパノール中で超音波処理した。第1の超音波処理は60秒間であり、第2の超音波処理は30秒間であり、第3の超音波処理は15秒間であった。バルーンを、表面およびガイドワイヤ管腔に適用した濾過空気の噴流を用いて乾燥させた。カテーテルを固定具に装着し、バルーンを回転させた。バルーン区画真っ直ぐにするのを補助するためのセラミック製の心棒をカテーテルの遠位端に装填した。このようにして固定されたバルーンを、速度制御された傾斜浸漬および回転が可能な自動化浸漬ステーションに装填した。バルーンを、処理ガスとしてアルゴンを使用したTri−star PT2000P大気圧プラズマ処理装置のダックビルノズルから1cmの距離にて58rpm±2rpmで回転させた。ガス流を15psiに設定し、プラズマ強度を80%に設定し、処理時間は30秒間であった。

0075

次いで、コーティング溶液を、温度制御されたジャケット付きリザーバに移し、蓋をしながら70°Fで5分間平衡化した。リザーバを、浸漬ステーションに置いた。キャップを取り除き、バルーンを溶液に完全に浸漬し(角度90°)、5分間保持し、次いで、58rpm±2rpmで回転させ、1インチ/秒の速度で溶液から引き抜いた。バルーンを、大気下でさらに1分間回転させ、次いで、固定具から取り出し、カテーテルツリー(catheter tree)に吊るして24時間乾燥させた。上記のように加工した同一のバルーンを薬物含有量について試験し、薬物表面密度は、バルーン表面について2.13μg/mm2であった。

0076

24時間後、円筒形ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)リザーバに、無パイロジェン水を装填し、70°Fに保持した。バルーンを穏やかに再膨張させ、水平面から90°の角度で45秒間完全に水に液浸させた。回転は使用しなかった。45秒後、バルーンを、0.315インチ/秒の速度で取り出し、次いで、カテーテルツリーに移して一晩乾燥させた。

0077

次いで、乾燥させたバルーンカテーテルをシースに納め、滅菌パッケージにパッケージングした。次いで、滅菌パッケージを、相対湿度60%±5%において41℃±3℃で60分間±3分間維持したチャンバーで前処理し、その後に100グラムEtOカートリッジを穿刺して、EtOガスを41℃±3℃、99mBar−10/+20mBarに保持したチャンバーに10時間−0/+1時間以上の曝露時間で投入した。次いで、圧力128mBar−10/+25mBar、温度41℃±3℃、曝気時間1時間−0/+12時間でチャンバーを空気でフラッシングし、その後に21℃±3℃で約24時間にわたり外部曝気した。

0078

実施例2
2つのバルーンカテーテルのロットを、実施例1と同じ手順を用いてコーティング、後加工、および、滅菌した。本実施例において、フレッシュコーティングは、29重量%パクリタキセルおよび71重量%PEG−ヨウ素賦形剤を含んでいた。後加工の液浸を、70°Fで45秒間、水平面から90°の角度で回転を用いずに行った。フレッシュ乾燥コーティングおよび後加工されたコーティングについてのパクリタキセル(PTX)の薬物密度(μg/mm2)を、高速液体クロマトグラフィHPLC)を用いて測定した。

0079

表3は、本開示の1つの実施形態による、フレッシュコーティングおよび45秒間後加工されたコーティングの両方についてのコーティング中の薬物密度の測定値を示す。この実施形態において、浸漬コーティング溶液からの0.315インチ/秒の引き出し速度により、乾燥フレッシュコーティング中で2.13μg/mm2のPTXローディングが達成された。示すように、45秒間の後加工の液浸中に0.13μg/mm2のパクリタキセルが除去されて、2.00μg/mm2の後加工後の薬物密度が得られ、これは、フレッシュコーティングと比べて、パクリタキセルの元の量の93.9%をコーティングが保持していることになる。

0080

本開示の実施形態によれば、実施例2の加工順序を使用して、65〜75重量%のパクリタキセルおよび25〜35重量%の賦形剤を含む後加工されたコーティングを作製することができ、この加工順序において、後加工中に元の量の75%超の賦形剤がコーティングから除去される一方で、後加工中に10%未満のパクリタキセルが除去される。

0081

実施例3
2つのバルーンカテーテルのロットを、実施例1と同じ手順を用いてコーティングし、後加工し、滅菌した。唯一相違点は、フレッシュコーティングにおいてバルーン上でわずかにより高いローディング(2.25μg/mm2)を達成するためにコーティング溶液からの異なる引き抜き速度を使用し、バルーン表面上の後加工後の薬物密度2.00μg/mm2を達成するために後加工の液浸を45秒間ではなく5分間行ったことである。フレッシュ乾燥コーティングおよび後加工されたコーティングについてのパクリタキセル(PTX)の薬物密度(μg/mm2)を、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて測定した。

0082

表4は、本開示の1つの実施形態による、フレッシュコーティングおよび5分間後加工されたコーティングの両方についてのコーティング中の薬物密度の測定値を示す。この実施形態において、浸漬コーティング溶液からの0.315インチ/秒超の引き出し速度により、乾燥フレッシュコーティング中で2.25μg/mm2のPTXローディングが達成された。示すように、5分間の後加工の液浸中に0.25μg/mm2のパクリタキセルが除去されて2.00μg/mm2の後加工後の薬物密度が得られ、これは、フレッシュコーティング由来のパクリタキセルの元の量からのコーティング残存量が88.9%に達している。

0083

本開示の実施形態によれば、実施例3のプロセス順序を用いて、80〜85重量%のパクリタキセルおよび15〜20重量%の賦形剤を含む後加工されたコーティングを作製することができ、このプロセス順序において、後加工中に元の量の90%超の賦形剤がコーティングから除去される一方で、後加工中に15%未満のパクリタキセルが除去される。

0084

実施例2および実施例3の結果を比較して、浸漬コーティング溶液からの引き抜き速度の変化がフレッシュコーティング中の得られた薬物ローディングに影響を及ぼし得ることが実証された。結果はまた、後加工の液浸時間が増加すると45秒間〜5分間の後加工中にコーティングから選択的に除去される賦形剤の量が増加し得ることを実証している。実施例2および実施例3の両方法により、2.00μg/mm2の薬物ローディングを含む後加工されたコーティングが得られる。しかし、対応する考察に示すように、実施例2に関連するプロセスにより、実施例3に関連するプロセスと比較してより高い重量%の賦形剤およびより低い重量%のパクリタキセルを有する後加工されたコーティング組成物が得られる。

0085

前述したように、賦形剤を正確かつ再現可能に選択的に除去し、かつ、医療用デバイス上の望ましい治療薬量を調整するために、治療薬、賦形剤、および、賦形剤に対して所望の選択性を有する溶媒系を選択することを想定する実施形態にしたがって種々の系を生成することができる。実施例2および実施例3における特定の実施形態において、両実施形態によって約2.0μg/mm2の正確かつ均一な薬物密度が得られるという異なるプロセス条件が実証されている。約2.0μg/mm2の薬物密度を、開示の実施形態にしたがって臨床的有効性を示す公称値として選択した。しかし、実施形態は制限されず、所望の使用に応じて他の公称値を選択することができる。

0086

実施例4
バルーンカテーテルのロットを、実施例1と同一の手順を用いてコーティングした。唯一の相違点は、バルーンカテーテルがev3EVERCROSS(TM)(4.0×40mm)であったことである。プロセス制御において、ロットからの9本のバルーンカテーテルにわたるUV分光法の結果により、ロットにわたって約2.22μg/mm2±0.22μg/mm2のフレッシュコーティング薬物密度が示された。次いで、乾燥させたフレッシュコーティングされたバルーンを、実施例4A〜4Dに記載の異なる4群で後加工した。

0087

実施例4A
微生物が休眠状態から抜け出す動機を与えるための条件が得られるようにデザインされた三相EtO滅菌プロセスの事前調整段階に類似する比較ベースラインを得るために、乾燥フレッシュコーティングを含む実施例4による3つのバルーンカテーテルのロットを、46℃の湿度室中で1時間、後加工に供した。

0088

実施例4B
乾燥フレッシュコーティングを含む実施例4による3つのバルーンカテーテルのロットを、回転させない70°Fで5〜10秒間の水浸によって後加工し、速度1.2インチ/秒で引き抜いた。

0089

実施例4C
乾燥フレッシュコーティングを含む実施例4による3つのバルーンカテーテルのロットを、回転させない70°Fで60秒間の水浸によって後加工し、速度1.2インチ/秒で引き抜いた。

0090

実施例4D
乾燥フレッシュコーティングを含む実施例4による3つのバルーンカテーテルのロットを、60RPMで回転させながら70°Fで300秒間の水浸によって後加工し、速度1.2インチ/秒で引き抜いた。

0091

後加工後,実施例4A〜4Dにおける各バルーンカテーテル群の3つのバルーンカテーテルのロットを重量分析およびUV分光分析を用いて測定して、後加工したバルーンカテーテル上の賦形剤の重量%を定量した。次いで、パクリタキセルの重量%を、コーティングの残存重量%から計算した。実施例4A〜4Dのコーティング組成の結果を、以下の表5に示す。

0092

表5に示すように、46℃で1時間の湿度室中における後加工において、コーティングの組成は変化しなかった。あるいは、フレッシュコーティングを後加工の水浸に供した場合、5〜10秒間という短い液浸時間でさえもパクリタキセルがコーティングから除去されるよりも有意に多くの賦形剤がコーティングから除去される。示すように、後加工中の賦形剤の選択的除去は、後加工されたコーティング中のパクリタキセルの重量百分率を増加させる。これは、パクリタキセルと比較して、少なくとも5倍であり、20倍超、さらには40倍であり得る賦形剤の選択的除去に起因し得る。

0093

各群のバルーンカテーテルを、コーティング完全性試験にも供した。この試験において、後加工されたコーティングをブタ血清に液浸し、その後にバルーンを12気圧(atm)に膨張させ、膨張および液浸したバルーンをブタ血清中で10秒間保持し、次いで、除去した。膨張前のブタ血清中、膨張後のブタ血清中、および、ブタ血清からの除去後におけるコーティングの視覚的特徴を観察した。ブタ血清中の液浸に起因するコーティング完全性を観察して、in vivoでのコーティングの挙動について評価した。ブタ血清中への液浸後、コーティングをバルーンカテーテルから除去し、UV分光法を用いて後加工およびブタ血清中への液浸後のパクリタキセルの回収量を測定した。実施例4A〜4Dのコーティング完全性の結果を、以下の表6に示す。

0094

表5に示すように、46℃で1時間の湿度室中における後加工において、コーティングの組成は変化せず、70重量%の賦形剤および30重量%のパクリタキセルが測定された。しかし、表6に示すように、ブタ血清中への液浸中およびブタ血清中への液浸後に剥離が認められた。ブタ血清中への液浸中のコーティングの剥離が湿度室中のコーティングの水分吸収に起因すると考えられる。ブタ血清中への液浸中のコーティングの剥離は、乾燥フレッシュコーティング中に本来含まれていたパクリタキセルの初期量からのたった73.9%のパクリタキセルの回収に強く寄与するとも考えられる。

0095

表6をさらに参照すると、5〜300秒間の後加工の液浸に対応する実施例2〜4のコーティング完全性試験は、実施例1と比較してブタ血清中への液浸中および液浸後に剥離を含まないコーティング完全性の改善を実証している。さらに、乾燥フレッシュコーティング中に本来含まれる初期用量のパクリタキセルの85%超、さらに90%超が5秒間〜300秒間の後加工、その後のブタ血清中への液浸または10秒後に実施例2〜4から回収された。これは、コーティングから賦形剤のかなりの部分を選択的に除去するための水浸によるコーティングの後加工によってin vivoでのコーティング完全性が改善され、その結果としてコーティング均一性が改善されることを示唆する。

0096

1つの実施形態において、得られた後加工されたコーティングは、コーティングマトリックスが依然として親水性媒質内の薬物密度を維持することができ、それにより、in vivoで医療用デバイスコーティングと隣接する身体管腔組織との間の境界層を横切る実質的に水不溶性の治療薬(パクリタキセルなど)の移動を補助することができるような十分な量の親水性のポリマー賦形剤またはオリゴマー賦形剤を維持している。

0097

1つの実施形態において、フレッシュコーティング組成物を、1種またはそれよりも多くの実質的に水不溶性の治療薬(パクリタキセルなど)と、適切な溶媒系の選択に応じて、コーティングの機能性が臨床使用中に喪失されないような臨床的有効性および適切な化学的特徴を得るのに必要な薬物密度を有する後加工されたコーティングが得られるように総賦形剤量が選択的に除去されるような化学的特徴を有する1種またはそれよりも多くの賦形剤とを含むように作製する。本開示の実施形態によれば、後加工および滅菌を含むコーティングプロセスは、剥離がほとんどない〜全くない良好な機械的性質および0.1〜10μg/mm2±10%の公称値、より特定すると0.7〜3.0μg/mm2±10%の公称値の正確な薬物密度でデバイス表面にわたって良好なコーティング均一性を有するコーティングが繰り返し生成されることを実証している。1つの実施形態において、得られた後加工および滅菌したコーティングの薬物密度は約2.0μg/mm2±0.2μg/mm2である。

0098

実施例5
10本のバルーンカテーテルを、実施例1と同一の手順を用いて、コーティングし、後加工し、滅菌した。次いで、バルーンを、0分間と120分間との間の異なる時間間隔で、37℃の50/50メタノール/水(MeOH/H2O)を含むセパレート型シェーカーバス中で個別に液浸させた。次いで、各バルーンを、紫外分光光度計を用いてパクリタキセル量について試験した。時間の関数としてのパクリタキセルの不溶解量の溶解プロフィールを図7に示す。

0099

実施例6
バルーンカテーテルを、実施例1と同一の手順を用いてコーティングし、後加工し、滅菌した。次いで、コーティング表面を、ヨウ素含有量についてSEMEDXを用いて点検した。SEM EDX画像を図8に示し、この図においてヨウ素は白色の斑点(specs)で示され、この図は画像の一部である。示すように、ヨウ素はコーティング中に均一に分散している。

0100

実施例7
異なる直径および作業長さの11種のバルーンカテーテルロットを、実施例1と同一の手順を用いて、コーティングし、後加工し、滅菌した。各バルーンロットは、10本のバルーンカテーテルを含んでいた。バルーンサイズは、直径(mm)×作業長さ(mm)で以下を含んでいた:5×80、6×80、5×60、6×60、6×80、4×80mm。図9に示した結果は、異なるバルーンサイズについて一貫した薬物密度を示す。各バルーンを、HPLCを用いてパクリタキセル量について試験した。平均薬物密度は、2.06±0.05μg/mm2と決定された。これは、標的2.00μg/mm2の103.1%に相当する。

0101

図9中のHPLC結果に基づいて、%PEG−ヨウ素賦形剤を、HPLC結果と組み合わせた重量分析を用いて計算した。図10に示した結果は、異なるバルーンサイズについてのPEG−ヨウ素賦形剤の一貫した百分率を示す。PEG−ヨウ素賦形剤の平均重量百分率は、30%±5%の標的重量百分率に対して30.5%±1.8%であると決定された。図9および図10中の各ロットについてのエラーバーは、特定のロットについての単一の標準偏差を示す。

0102

ここで図11を参照して、米国薬局方(USP)第905章、「投与単位の均一性」にしたがって、デバイスの各ロットについての合格判定値(AV)を計算した。これらの試験において、15未満のAVは、デバイスロットのコーティングがロット全部を通して均一であるデバイスロットを示す。図11に示すように、各デバイスロットのAVは15未満であり、11デバイスロットにわたる平均AVは8.7±2.4であった。

0103

実施例8
10バルーンカテーテルうちの3ロットを、バルーンを後加工しなかったことを除いて実施例1と同一の手順を用いてコーティングし、滅菌した。視覚的に、各ロットについての滅菌後のバルーンカテーテル上のコーティングは剥離が認められ、バルーン表面から容易に除去された。前総薬物(パクリタキセル)含有量(TDC−B)を滅菌前に各デバイスロットについて測定し、総薬物(パクリタキセル)含有量(TDC−A)および合格判定値(AV)を、滅菌後の各デバイスロットについて測定した。結果を表7に示す。TDC−BからTDC−Aへのパクリタキセル量の低下は、不十分なコーティング完全性に帰する機械的喪失に起因する。高い合格判定値(15.0超=不合格)は、コーティング材料の喪失のランダム性を反映する。

0104

実施例9
10本のバルーンカテーテルのうちの15ロットを、実施例1と同一の手順を用いてコーティングし、後加工し、滅菌した。前総薬物(パクリタキセル)含有量(TDC−B)を滅菌前に各デバイスロットについて測定した。総薬物(パクリタキセル)含有量(TDC−A)および合格判定値(AV)を、滅菌後の各ロットについて測定した。さらに、コーティング喪失率(CL)を、公称膨張圧への滅菌後乾燥バルーンの乾燥拡大の際のコーティング除去率として測定した。結果を表8に示す。TDC−BからTDC−Aへのパクリタキセル量の低下は、不十分なコーティング完全性に帰する機械的喪失に起因する。それよりむしろ、低下は後加工の水浸操作におけるパクリタキセルの部分的溶解に帰され、この部分的溶解は、コーティング中のヨウ素の存在によって補助され得る。

0105

さらに、バルーンカテーテルロット4〜18のコーティングは、バルーン表面から容易に剥離されなかった。これは、コーティング損失率試験によって証明されるように、後加工によって延性破壊を減少させる優れた機械的性質を有する制御された形態が得られることを実証している。表7および表8の結果は、開示の実施形態にしたがった後加工の実施により、USP第905章の厳密な合格判定値を依然として満たしながら公称値の±10%以内(例えば、2.00±0.2μg/mm2)の臨床的有効性のために必要な高薬物用量(0.1〜10μg/mm2、より特定すると0.7〜3.0μg/mm2)に合わせることができ、これは後加工なしでは可能でないかもしれないことを示す。

0106

前述において、本開示の種々の実施形態は、コーティングされた医療用デバイスの後加工、特定するとバルーンカテーテルのコーティングされたバルーンの後加工について説明している。コーティングを、身体においての一過性または持続性の置換に適応した他の医療用デバイスの1つまたはそれよりも多くの表面に適用することもできる。例えば、かかる医療用デバイスには、ステント、ステント植皮血管移植片、カテーテル、可撓性または剛性内視鏡、可撓性または剛性の気管支鏡ガードワイヤ、バルーン、フィルタ(例えば、大動脈フィルタ)、脳動脈瘤充填コイル(filler coil)、管腔内ペービングシステム(intraluminal paving system)、縫合物、ステープル吻合デバイス椎間板骨ピン抱合アンカー止血バリアクランプスクリュープレートクリップスリング、血管埋没物組織接着剤およびシーラント組織骨格心筋プラグ(myocardial plug)、ペースメーカーリード、弁(例えば、静脈弁)、腹部大動脈瘤(AAA)移植片塞栓コイル、種々の型の包帯剤、骨代用材、管腔内デバイス、血管支持器、または、他の公知の生体適合性デバイスが含まれ得るが、これらに限定されない。

0107

図12A図12Cは、治療薬を身体管腔表面に局所的送達させる特定の実施形態の図である。図12Aに示すように、非拡大バルーン204上に配置したコーティング206を有する後加工および滅菌したバルーンカテーテル200を提供し、身体管腔600に挿入する。カテーテル200は、カテーテルを身体管腔600に挿入した場合にコーティング206が早まって溶解することを防止するための任意選択的な保護シース218を非拡大バルーン204上にさらに含むことができる。1つの実施形態において、身体管腔600は、病巣領域602(不動(unperturbed)の原発性アテローム硬化性(atherosclerotic)病変または再狭窄病変など)を含む動脈であり得る。1つの実施形態において、身体管腔600は総胆管または総胆管の枝であり得、病巣領域602は腔内腫瘍(intraluminal tumor)である。

0108

図12Bに示すように、非拡大バルーン204を病巣領域602に隣接して配置し、保護シース218を後退させる。図12Cに示すように、次いで、バルーン204を拡大して(膨張またはその他による)病巣領域602が存在する身体管腔600に拡大バルーン204上のコーティング206を接触させる。1つの実施形態において、拡大したバルーン204はバルーンカテーテルであり、バルーンは2〜20気圧に拡大する。親水性であるので、コーティング206は、in vivoでの血液などの液体に曝露された場合に溶解する。

0109

血管形成術での臨床用途において、バルーン204が迅速な手順によってたった5〜300秒間拡大することが好ましいかもしれない。この時間制限医学的手順の型に起因する。何故なら、膨張したバルーンの長期使用によってこの手順の治療的意図に有害である病巣または隣接組織の損傷を生じ得るからである。この損傷は、バルーンの持続的膨張を原因とする機械的圧力および/または代謝不全に起因し得、損傷には、組織構造、組織の炎症、細胞死、および、器官内の反応性瘢痕の誘発が含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、コーティングした血管形成バルーンを、標準的な技術を用いて標的病変まで追跡することができ、任意選択的な保護シースを後退させ、血管形成バルーンを動脈壁に対して膨張させる。コーティングが直ちに水を含み、治療薬が組織内に放出され、コーティングポリマーまたはオリゴマーが溶解し、いくらかのコーティングがバルーンから動脈壁に移動する。このペービング(paving)は薬物リザーバとして作用し、一過性である。血液中におけるポリマーまたはオリゴマーの有意な溶解性または全溶解性により、コーティングに関連する塞栓の危険性が防止される。また、ポリマーマトリックスまたはオリゴマーマトリックスのこの活性な溶解は、疎水性および実質的に水不溶性の治療薬(パクリタキセルなど)のバルーンから組織への移動を補助する。

0110

脈管構造の疾患
本開示の実施形態が利用可能な1つの治療領域は、脈管構造の管腔障害の処置である。一般に、管腔障害を、天然(アテローム硬化性、血栓塞栓性)または医原性(再狭窄)の疾患に分類することができる。これらの管腔障害には、アテローム性動脈硬化症アテローム性病変、不安定プラーク、血栓塞栓性閉塞移植血管疾患、動静脈瘻疾患、動静脈グラフト疾患、および、再狭窄が含まれ得るが、これらに限定されない。

0111

アテローム性動脈硬化症は、炎症、増殖、脂質沈着、および、血栓形成の相互関係を含む血管壁の複雑な疾患である。アテローム性動脈硬化症はアテローム斑の形成を促進し、このアテローム斑が数年にわたってゆっくり進行し、アンギナとして臨床的に出現する血管管腔進行性閉塞につながり得る。アテローム斑はまた、動脈壁内の白血球(主にマクロファージ)および脂質(コレステロールが含まれる)の不安定な集合に起因する「不安定プラーク」になり得、特に破裂する傾向があり得る。不安定プラークの破裂は、一般に、破裂部位での急速な血餅形成に起因する血管管腔の突然の血栓性閉塞の原因であり、心臓発作または卒中の臨床的発現を導くと考えられている。不安定プラークは、破裂するまで血管管腔を有意に閉塞しないかもしれず、したがって、不安定プラークは前閉塞性病変である。望ましい治療標的が不安定プラークのその破裂前の処置による血管管腔の閉塞の防止であると想定される。特定すると、本開示の実施形態を、管腔のアテローム斑または不安定プラークの部位と均一かつ完全に接触して治療薬を送達させるための拡大可能な先端を有するカテーテルに適用することができる。治療薬の局所的送達により、全身送達によって得ることができる局所薬剤濃度よりもはるかに高くかつ標的化された局所薬剤濃度が可能である。さらに、局所的送達ストラテジーは、それがなければ、有効性を得るのに必要な濃度での生物学的利用能欠如および/または望ましくないか有毒副作用が原因で全身送達の候補としては不十分であり得る治療薬を使用可能にする。

0112

再狭窄
本開示の実施形態が適用可能である1つの治療領域は、再狭窄過程の阻害である。再狭窄は、経皮的または外科的な血管介入に対する応答によって活性化された炎症および増殖を伴う複雑な過程の結果である。これらの経皮的介入または外科的介入の例には、血管バイパス移植片、動静脈瘻、動静脈グラフトの血管再生、ならびに、冠血管大腿血管、および、頸動脈血管の経皮的血管再生が含まれ得るが、これらに限定されない。動脈壁から生じるアテローム斑は、横断的血流領域を減少させて下流器官への血流を制限し得る。押しのけ(例えば、拡大可能なバルーンまたはステント)または病変の除去(例えば、方向性アテレクトミーまたは回転式アテレクトミー)によって横断的血流領域を回復することができる。血管再生から数ヶ月から数週間後、動脈壁平滑筋細胞の局所増殖が元のアテローム斑部位の血流を妨害し得る。パクリタキセルは、複雑なタキサン環を含むジテルペン分子であり、微小管重合の促進によって細胞質分裂を阻害する。パクリタキセルは、哺乳動物動脈のバルーン血管形成術後の平滑筋細胞増殖および再狭窄を阻害する。パクリタキセルは、血管再生手順後に保持された植込み型金属ステントから数日から数週間にわたって送達される場合、ヒトにおける経皮的冠動脈血管再生後の再狭窄を阻害する。パクリタキセルに対する短期曝露(20分以下)は、平滑筋細胞増殖を持続して阻害することができる(14日間)。臨床研究は、パクリタキセルが、この薬物をコーティングした拡大可能なバルーンから短期間(数分間)にわたって送達された場合に大腿血管および冠血管の血管再生後の再狭窄を有効に阻害することもできることを証明している。

0113

再狭窄は、平滑筋細胞増殖と炎症過程の両者を伴う複雑な分子過程である。デキサメタゾンは、哺乳動物動脈におけるバルーン血管形成術後の炎症および再狭窄を軽減する糖質コルチコイドである。これは、デキサメタゾンなどの抗炎症剤と組み合わせたパクリタキセルなどの有糸分裂阻害剤をこれら2つの治療薬でコーティングした拡大可能なバルーンから送達させることが臨床的に有利であり得ることを示唆している。

0114

肺疾患
本開示の実施形態を適用可能な別の治療領域は、および気道限局性疾患の処置または防止のための正常または罹患した気道の管腔表面である。この実施形態を、標的処置領域へのアクセスおよび視覚化を容易にするために一般に使用される剛性または可撓性の気管支鏡の両方と併せて使用することができる。

0115

一般に、気道領域新生物は、良性または悪性のいずれかに分類される限局性疾患である。原発性新生物を、上皮腫瘍、間葉腫瘍、または、リンパ系腫瘍に分類することができ、20を超える気管新生物の型が記載されている。

0116

カルチノイド腫瘍は、気管気管支樹腺腫の約85%を占める。腺様嚢胞癌は、最も頻繁な気管腺腫である。腺様嚢胞癌(または円柱腫)は、2番目に最も一般的な悪性疾患であり、2番目に最も一般的な原発性気管新生物でもある。

0117

従来の肺癌処置は、腫瘍の外科的除去、化学療法、または、放射線療法、ならびに、これらの方法の組み合わせを含むことができる。処置が適切であるかについての判断には、腫瘍の局在化および範囲ならびに患者の全体的な健康状態を考慮する。アジュバント治療の例は、確実に全腫瘍細胞を死滅させるための、外科的な腫瘍除去後に施す化学療法または放射線療法である。

0118

特定の新生物の型および挙動ならびに診断時期に応じて、新生物は、気道管腔内に物理的な障害物または隆起を示しても示さなくてもよい。機能的な管腔開存性修復するためのアプローチが、腫瘍をバルーンで押しのけるか腫瘍の嵩を減少させ、次いで、腫瘍成長および/または腫瘍生存を阻害するために薬物を局所投与することによって管腔開存性を機械的に修復することであり得ることが想定される。本開示の実施形態を使用した局所薬物送達は、良性新生物または悪性新生物に有効な化学療法薬を腫瘍の管腔面に有効に送達させる方法であり得る。特定すると、本開示の実施形態をカテーテルまたは気管支鏡に適用し、意図する局所薬物送達部位順行性または逆行性に進行させることができる。本開示の実施形態によって生物活性(治療)薬を正常または罹患した気道管腔の表面に局所投与することが可能であり、単独または外科的除去、化学療法、および、放射線療法と組み合わせて使用することができると想定される。治療薬の局所的送達により、全身送達によって得ることができる局所薬剤濃度よりもはるかに高くかつ標的化された局所薬剤濃度が可能である。さらに、局所的送達ストラテジーは、それがなければ、有効性を得るのに必要な濃度での生物学的利用能の欠如および/または望ましくないか有毒な副作用が原因で全身送達の候補としては不十分であり得る治療薬を使用可能にする。治療薬の標的化局所的送達を用いて腫瘍サイズを減少させて外科的除去を容易にすることができ、多くの不快な副作用を有する全身性の化学療法または放射線療法の持続時間または強度の必要性を排除および/または減少させることができる。

0119

胃腸疾患
本開示の実施形態を適用可能な別の治療領域は、胃腸疾患(食道胆道結腸、および、小腸の良性および悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されない)である。

0120

食道腫瘍は、食道の平滑筋細胞または上皮細胞分裂の調節異常を原因とする。腫瘍は、良性(例えば、平滑筋腫)または悪性(扁平上皮癌または腺癌)のいずれかであり得る。これらの腫瘍は、管腔で成長し、食道の機能的横断面積に支障を来させて嚥下困難(異常嚥下)を引き起こし、結果として栄養失調症を生じさせ得る。

0121

機能的管腔開存性の修復アプローチが、腫瘍をバルーンまたは金属製拡張器で押しのけるか腫瘍の嵩を減少させ(例えば、レーザーアブレーション)、次いで、腫瘍成長および/または腫瘍生存を阻害するために治療薬を局所投与することによって管腔開存性を機械的に修復することであり得ることが想定される。本開示の実施形態を使用した局所的治療薬送達は、良性食道腫瘍または悪性食道腫瘍に有効な化学療法薬を腫瘍の管腔面に有効に送達させる方法であり得る。特定すると、本開示の実施形態をカテーテルまたは内視鏡に適用し、意図する局所薬物送達部位に順行性または逆行性に進行させることができる。本態様で有効であり得る化学療法薬には、微小管安定剤(例えば、タキサン(パクリタキセルおよびエポチロンが含まれる))、トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、イリノテカン)、白金誘導体(例えば、オキサリプラチンシスプラチンカルボプラチン)、アントラサイクリン(ダウノルビシン、エピルビシン)、5−FU、および、生物学的標的療法薬(例えば、ベバシズマブなどの抗VEGF抗体)が含まれるが、これらに限定されない。本方法の利点は、高用量の有効な化学療法薬を全身毒性を示すことなく腫瘍に送達させることができること、食物圧入を防止するために患者の食事を改変する必要がないこと、および、ステント留置の機械的合併症(間接的気管圧迫、ステントの移動、および、ステン閉塞が含まれる)を回避することができることである。水のみに可溶であるか可溶化のために水を必要とする、上記適応症のための治療薬(カルボプラチン、シスプラチン、エポチロン、および、抗体(抗VEGF抗体ベバシズマブなど)などの標的化タンパク質など)を、溶媒の一部または全部としての水の使用によって開示のコーティング中に処方することができる。

0122

類似のアプローチを、胆道の悪性疾患に使用することができる。胆管癌は、最も一般的な胆道悪性疾患である。肝内胆管癌は、胆管細胞分裂の調節異常を原因とする。これらの腫瘍は、肝内または肝外胆管系の機能的管腔に支障を来させて胆汁鬱滞を引き起こし、結果として胆管炎そう痒症吸収不良、および、食欲不振を生じ得る。

0123

機能的管腔開存性の修復アプローチが、腫瘍をバルーン、ブレード、または、金属製拡張器で押しのけるか腫瘍の嵩を減少させ(例えば、レーザーアブレーション)、次いで、本開示の実施形態を利用して腫瘍成長および/または腫瘍生存を阻害するために治療薬を局所投与することによって管腔開存性を機械的に修復することであり得ることが想定される。この様式で有効であり得る化学療法薬には、微小管安定剤(例えば、タキサン(パクリタキセルおよびエポチロンが含まれる))、白金誘導体(例えば、オキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン)、アントラサイクリン(ダウノルビシン、エピルビシン)、5−FU、DNA架橋剤(マイトマイシン−C)、アルキル化ニトロソ尿素ロムスチン)、インターフェロン(インターフェロン−α)、および、生物学的に活性な標的薬剤(例えば、セツキシマブ(cetuximax)などのEGFRインヒビター)が含まれるが、これらに限定されない。本方法の利点は、全身毒性を示すことなく高用量の有効な化学療法薬を腫瘍に送達させることができること、および、ステント留置の機械的合併症(ステントの移動およびステン閉塞が含まれる)を回避することができることである。

0124

食道および胆道の悪性疾患のための上記と類似のアプローチを、小腸および結腸の悪性疾患のために開発することができる。類似のアプローチを用いて治療薬を非悪性胃腸疾患に局所的送達させることもできる(例えば、炎症性腸疾患を処置するために送達される抗炎症剤)。水のみに可溶であるか可溶化のために水を必要とする、上記適応症のための治療薬(カルボプラチン、シスプラチン、エポチロン、インターフェロン(インターフェロン−α)、および、抗体(EGFRインヒビターであるセツキシマブなど)などの標的化タンパク質など)を、溶媒系の一部または全部としての水の使用によって開示のコーティング中に処方することができる。

実施例

0125

前述の明細書において、開示の種々の実施形態を説明している。しかし、添付の特許請求の範囲に記載の開示のより広範な精神および範囲を逸脱することなく種々の修正および変更が可能であることが、明らかである。したがって、明細書および図面は、制限の意味よりもむしろ例示の意味としてとられるべきである。

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