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技術 防錆塗料

出願人 ユケン工業株式会社
発明者 窪田朋之
出願日 2015年3月26日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-065368
公開日 2016年10月20日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2016-183306
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤
主要キーワード 小物部材 防錆特性 着色防 着色用塗料 鉄鋼部材 金属亜鉛粉末 鱗片状金属粉末 アルキルシリケート樹脂
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この項目の情報は公開日時点(2016年10月20日)のものです。
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課題

防錆塗料塗膜上に別の着色用塗料を用いて着色する着色工程が必要ない、発色の良好な着色塗膜を形成することができる防錆塗料を提供すること。

解決手段

防錆塗料が、全塗料に基づいて、有機ケイ素化合物5〜40質量%と、有機チタネート化合物0.05〜2質量%と、亜鉛粉末および着色アルミニウム粉末からなる金属粉末5〜60質量%と、有機溶剤10〜60質量%と、着色顔料とを含有することにより、防錆塗料により形成された塗膜は、着色顔料に加えて着色アルミニウム粉末により着色されるから、鮮やかな発色を実現することができる。

概要

背景

鉄鋼防錆を目的とする塗料の分野では、亜鉛粉末クロム酸とを主成分とする防錆塗料が多用されてきた。この塗料は、6価クロムの持つ不働態化作用によって亜鉛粉末を長期間安定に保つことができ、液の保存安定性に優れている。また、この亜鉛粉末を含有する塗料からなる塗膜は、周知の亜鉛による犠牲防食作用が有効に働いて、下地の鉄鋼の腐食を防止するため、優れた防錆効果が得られる。

ところが、近年、6価クロムの有害性による環境汚染人体への健康被害が懸念されるようになり、6価クロム等の有害金属を法的に使用規制する動き加速している。こうした流れを受け、精密機器自動車などのコンシューマ製品を製造する企業では6価クロム等の有害金属をまったく使用しない方向での検討が進んでいる。そのため、防錆塗料の分野でもクロム等の有害金属を全く含まない塗料が強く望まれている。

このようなクロムを含まない防錆塗料の一例としては、亜鉛粉末とバインダー成分とを有機溶剤に分散または溶解させた種類の塗料、即ち、ジンクリッチペイントがある。このジンクリッチペイントには、有機系と無機系とがあり、耐久性の観点からは有機ケイ素化合物ビヒクルとする無機系のほうが優れており、たとえば船舶橋梁の重防食塗装において下塗り剤として用いられている。

ところが、無機系ジンクリッチペイントは膜中に空隙部(ボイド)が発生しやすく、また塗膜の厚さを制御しにくい。このような欠点を克服すべく、以下のような技術が開示されている。

特許文献1には、長径が20〜30μmのウイスカー状の炭酸カルシウムを追加含有させる技術が開示されている。この技術において、添加したウイスカーは被膜クラック発生を防止する機能を有する。

また、特許文献2には、重量平均分子量/数平均分子量の比が40以下であるアルキルシリケート樹脂を用い、塗料のモルホリンゲルタイムが60秒以下であるジンクリッチペイントが開示されている。このような塗料は硬化時間が早く、それがゆえにクラック進展して空隙とつながる現象が抑制されると説明されている。

こうした技術は、厚膜のジンクリッチペイントとしては確かに有効ではあるものの、10μm程度の薄膜を安定に形成可能であって、なおかつその塗膜が高い防食性を有するような塗料を提供することはできていない。

このような薄膜で高い防食性を有する塗膜の主たる用途は、事務機器電気機器、自動車などであり、具体的には、ボルトナットなどの締結部品クランプクリップ等の留め具プレートハウジングヒンジパネル等のプレス成形品などが挙げられる。これらの部材は、組み付け精度が厳しいにもかかわらず、加工時や組み付け時に強いせん断力を受ける場合が多く、皮膜自体の強度や密着力に高いレベルが求められている。

かかる要求に応えひとつの有効な手段が塗膜の高温での焼き付けである。しかしながら、従来技術にかかるジンクリッチペイントを300℃程度の高温で焼き付けようとすると、バインダーとなる有機ケイ素化合物が急激に収縮し、上記のような特許文献にかかる技術を用いても塗膜内のクラック進展を止めることができず、基板鋼材内にも破断が発生する場合すらある。

したがって、クロム等の有害な金属化合物を全く使用せずに、高温で焼き付け処理を行ってもクラックが発生しにくい薄膜を形成可能な防錆塗料を提供することは重要な技術課題である。この点に関し、本出願人により、非水系のバインダーと金属粉末とを含み、非水系のバインダーとして有機ケイ素化合物と有機チタネート化合物とを含む溶液を使用する防錆塗料が提案されている(特許文献3参照。)。この防錆塗料は、高い耐食性を有するだけでなく、ポットライフが長いという有利な効果を有する。

本出願人が提案する上記の防錆塗料を用いれば、高度な耐食性を付与することができる。耐食性が付与された部材を着色する場合、防錆塗料の塗膜上にさらに着色用の塗料を塗布すればよい。しかし、防錆塗料とは別に着色用の着色用塗料を塗布する着色工程が増加することにより処理コストが増加する問題がある。また、防錆塗料の塗膜上に塗布された着色用塗料が塗膜中の亜鉛の犠牲防食作用に影響を及ぼして、防錆性が低下するおそれもある。
特開平11−293200号公報
特開2004−359800号公報
特許4111531号公報

概要

防錆塗料の塗膜上に別の着色用塗料を用いて着色する着色工程が必要ない、発色の良好な着色塗膜を形成することができる防錆塗料を提供すること。防錆塗料が、全塗料に基づいて、有機ケイ素化合物5〜40質量%と、有機チタネート化合物0.05〜2質量%と、亜鉛粉末および着色アルミニウム粉末からなる金属粉末5〜60質量%と、有機溶剤10〜60質量%と、着色顔料とを含有することにより、防錆塗料により形成された塗膜は、着色顔料に加えて着色アルミニウム粉末により着色されるから、鮮やかな発色を実現することができる。なし

目的

本発明は、防錆塗料の塗膜上に別の着色用塗料を用いて着色をする必要がない、発色の良好な着色塗膜を形成できる防錆塗料を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

塗料に基づいて、有機ケイ素化合物5〜40質量%と、有機チタネート化合物0.05〜2質量%と、亜鉛粉末および着色アルミニウム粉末からなる金属粉末5〜60質量%と、有機溶剤10〜60質量%と、着色顔料とを含有することを特徴とする防錆塗料

請求項2

前記有機ケイ素化合物は、炭素数が3以下のアルキル基を有するテトラアルキルシリケート化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物である請求項1に記載の防錆塗料。

請求項3

前記有機チタネート化合物は一般式Ti(X)4で表される有機化合物およびそのオリゴマーであって、Xは、メトキシエトキシプロポキシイソプロポキシブトキシイソブトキシ、およびtert−ブトキシの炭素数4以下のアルコキシ基ラクテートトリエタノールアミネートアセチルアセトネートアセトアセテート、およびエチルアセトアセテートを含むキレート性置換基、ならびに水酸基からなる群から選ばれた1種以上の官能基である請求項1または2記載の防錆塗料。

請求項4

前記金属粉末は鱗片状である請求項1から3のいずれかに記載の防錆塗料。

技術分野

0001

本発明は、クロム等の有害金属を含まない薄膜型防錆塗料に関し、詳しくは、たとえば精密機器自動車プレス成形用鋼板に適用可能なほどの薄膜であっても高い防錆機能を有する着色塗膜を形成できる塗料に関する。

背景技術

0002

鉄鋼防錆を目的とする塗料の分野では、亜鉛粉末クロム酸とを主成分とする防錆塗料が多用されてきた。この塗料は、6価クロムの持つ不働態化作用によって亜鉛粉末を長期間安定に保つことができ、液の保存安定性に優れている。また、この亜鉛粉末を含有する塗料からなる塗膜は、周知の亜鉛による犠牲防食作用が有効に働いて、下地の鉄鋼の腐食を防止するため、優れた防錆効果が得られる。

0003

ところが、近年、6価クロムの有害性による環境汚染人体への健康被害が懸念されるようになり、6価クロム等の有害金属を法的に使用規制する動き加速している。こうした流れを受け、精密機器や自動車などのコンシューマ製品を製造する企業では6価クロム等の有害金属をまったく使用しない方向での検討が進んでいる。そのため、防錆塗料の分野でもクロム等の有害金属を全く含まない塗料が強く望まれている。

0004

このようなクロムを含まない防錆塗料の一例としては、亜鉛粉末とバインダー成分とを有機溶剤に分散または溶解させた種類の塗料、即ち、ジンクリッチペイントがある。このジンクリッチペイントには、有機系と無機系とがあり、耐久性の観点からは有機ケイ素化合物ビヒクルとする無機系のほうが優れており、たとえば船舶橋梁の重防食塗装において下塗り剤として用いられている。

0005

ところが、無機系ジンクリッチペイントは膜中に空隙部(ボイド)が発生しやすく、また塗膜の厚さを制御しにくい。このような欠点を克服すべく、以下のような技術が開示されている。

0006

特許文献1には、長径が20〜30μmのウイスカー状の炭酸カルシウムを追加含有させる技術が開示されている。この技術において、添加したウイスカーは被膜クラック発生を防止する機能を有する。

0007

また、特許文献2には、重量平均分子量/数平均分子量の比が40以下であるアルキルシリケート樹脂を用い、塗料のモルホリンゲルタイムが60秒以下であるジンクリッチペイントが開示されている。このような塗料は硬化時間が早く、それがゆえにクラック進展して空隙とつながる現象が抑制されると説明されている。

0008

こうした技術は、厚膜のジンクリッチペイントとしては確かに有効ではあるものの、10μm程度の薄膜を安定に形成可能であって、なおかつその塗膜が高い防食性を有するような塗料を提供することはできていない。

0009

このような薄膜で高い防食性を有する塗膜の主たる用途は、事務機器電気機器、自動車などであり、具体的には、ボルトナットなどの締結部品クランプクリップ等の留め具プレートハウジングヒンジパネル等のプレス成形品などが挙げられる。これらの部材は、組み付け精度が厳しいにもかかわらず、加工時や組み付け時に強いせん断力を受ける場合が多く、皮膜自体の強度や密着力に高いレベルが求められている。

0010

かかる要求に応えひとつの有効な手段が塗膜の高温での焼き付けである。しかしながら、従来技術にかかるジンクリッチペイントを300℃程度の高温で焼き付けようとすると、バインダーとなる有機ケイ素化合物が急激に収縮し、上記のような特許文献にかかる技術を用いても塗膜内のクラック進展を止めることができず、基板鋼材内にも破断が発生する場合すらある。

0011

したがって、クロム等の有害な金属化合物を全く使用せずに、高温で焼き付け処理を行ってもクラックが発生しにくい薄膜を形成可能な防錆塗料を提供することは重要な技術課題である。この点に関し、本出願人により、非水系のバインダーと金属粉末とを含み、非水系のバインダーとして有機ケイ素化合物と有機チタネート化合物とを含む溶液を使用する防錆塗料が提案されている(特許文献3参照。)。この防錆塗料は、高い耐食性を有するだけでなく、ポットライフが長いという有利な効果を有する。

0012

本出願人が提案する上記の防錆塗料を用いれば、高度な耐食性を付与することができる。耐食性が付与された部材を着色する場合、防錆塗料の塗膜上にさらに着色用の塗料を塗布すればよい。しかし、防錆塗料とは別に着色用の着色用塗料を塗布する着色工程が増加することにより処理コストが増加する問題がある。また、防錆塗料の塗膜上に塗布された着色用塗料が塗膜中の亜鉛の犠牲防食作用に影響を及ぼして、防錆性が低下するおそれもある。
特開平11−293200号公報
特開2004−359800号公報
特許4111531号公報

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は、防錆塗料の塗膜上に別の着色用塗料を用いて着色をする必要がない、発色の良好な着色塗膜を形成できる防錆塗料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

上記の目的を達成するために、本発明者は、防錆塗膜着色顔料を配合するとともに、着色アルミニウム粉末を配合することにより、良好な防錆性を維持したまま、鮮やかに発色する塗膜を形成できるという知見が得られた。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、以下の事項を備えている。

0015

(1)全塗料に基づいて、有機ケイ素化合物5〜40質量%と、有機チタネート化合物0.05〜2質量%と、亜鉛粉末および着色アルミニウム粉末からなる金属粉末5〜60質量%と、有機溶剤10〜60質量%と、着色顔料とを含有することを特徴とする防錆塗料。
(2)前記有機ケイ素化合物は、炭素数が3以下のアルキル基を有するテトラアルキルシリケート化合物およびそのオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上の化合物である(1)に記載の防錆塗料。
(3)前記有機チタネート化合物は一般式Ti(X)4で表される有機化合物およびそのオリゴマーであって、Xは、メトキシエトキシプロポキシイソプロポキシブトキシイソブトキシ、およびtert−ブトキシの炭素数4以下のアルコキシ基ラクテートトリエタノールアミネートアセチルアセトネートアセトアセテート、およびエチルアセトアセテートを含むキレート性置換基、ならびに水酸基からなる群から選ばれた1種以上の官能基である(1)または(2)に記載の防錆塗料。
(4)前記金属粉末は鱗片状である(1)から(3)のいずれかに記載の防錆塗料。

発明の効果

0016

本発明の防錆塗料は、クロム等の有害な金属化合物を含有していないので、環境汚染や人体への健康被害を心配する必要がない。
着色顔料ととともに着色アルミニウム粉末を配合することにより、防錆性を良好に維持したまま、鮮やかな色の塗膜を形成することができる。このため、防錆塗料のみで塗布対象に鮮やかな色を付すことができるから、防錆塗料の塗膜上に着色用塗料を塗布する着色工程が不要となる。
また、表面性状が良好な10μm程度の薄膜を形成することが可能であり、この薄膜に対して高温で焼き付け処理を行っても膜中にクラックが発生しない。したがって、薄膜でありながら耐食性に優れた防錆皮膜を形成することができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

本発明に係る防錆塗料は、必須成分として有機ケイ素化合物と、有機チタネート化合物と、亜鉛粉末および着色アルミニウム粉末からなる金属粉末と、有機溶剤とを含み、必要に応じて少量の添加剤を含む。
以下、これらの成分について詳しく説明する。なお、以下の説明において、%は特に指定しない限り全塗料に基づく質量%である。

0018

(有機ケイ素化合物)
本発明の防錆塗料におけるバインダー成分としては、高温での焼付け処理でもクラックが発生しないように、有機ケイ素化合物および有機チタネート化合物を使用する。

0019

このうち、有機ケイ素化合物は、アルコキシシランおよびその加水分解物から選んだ1種または2種以上とする。アルコキシシランは、(X’)Si(X”)3なる一般式で表される化合物であることが好ましい。

0020

ここで、X’は、ヒドロキシ基、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、等の低級アルコキシ基、メチルエチル、等の低級アルキル基ビニル基、等の低級アルケニル基、さらにはγ−グリシドキシプロピル、γ−メタクリロキシプロピル、γ−メルカプトプロピル、等の官能基含有低級アルキル基から選ばれる。X”は、ヒドロキシ基ならびにメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、等のアルコキシ基から選ばれ、3個のX”は同一でも異なっていてもよい。

0021

アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシランテトラエトキシシランメチルトリメトキシシランメチルトリエトキシシランビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、等が挙げられるが、それに限られるものではない。シランカップリング剤として市販されている各種のアルコキシシランを使用してもよい。

0022

これらのアルコキシシランの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランまたはこれらのオリゴマーが好ましく、特に好ましいのは炭素数が3以下のテトラアルコキシシランまたはこれらのオリゴマーである。焼き付け処理によって縮合反応を起こした際に、三次元架橋構造の皮膜を形成することができ、皮膜強度が向上しやすい。また、縮合する際の体積収縮が比較的少ないため、クラックが成長しにくい。

0023

上記の有機ケイ素化合物の量は、全塗料の5〜40%とすることが望ましい。5%未満の場合には皮膜強度が低くなる傾向が見られ、さらに少ない添加量になると金属粉末同士の間に明らかな空隙部(ボイド)が発生するようになって防錆機能も低下するようになる。一方、40%よりも過剰に添加すると、相対的に皮膜中の金属粉末の分散濃度が低下するため、防錆機能が低下する傾向が見られるようになる。また、積層される金属粉末の重なり面積が少なくなることから、クラック進展の抑制機能が低下する可能性を生ずる。より好ましい範囲は10〜35%であり、特に好ましい範囲は15〜35%である。

0024

(有機チタネート化合物)
本発明では、皮膜特性の向上を実現すべく、有機チタネート化合物を媒質に添加する。有機チタネート化合物は一般式としてTi(X)4で表される有機化合物およびそのオリゴマーを意味する。ここで、Xは、水酸基、低級アルコキシ基、およびキレート性置換基から選ばれ、4個のXは同一であってもよいし異なっていてもよい。

0025

低級アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、等の炭素数6以下、好ましくは4以下のアルコキシ基を意味する。

0026

キレート性置換基とは、キレート形成能を持つ有機化合物から誘導された基を意味する。そのような有機化合物としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトンアセト酢酸等のアルキルカルボニルカルボン酸およびそのエステル乳酸等のヒドロキシ酸トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、等が例示される。キレート性置換基の具体例としては、ラクテート、アンモニウムラクテート、トリエタノールアミネート、アセチルアセトネート、アセトアセテート、エチルアセトアセテート、等がある。

0027

この有機チタネート化合物は、後述するような微量の添加で高い機能を発揮する。すなわち、高温での焼付け処理を受けたときに、添加された有機チタネート化合物が硬化剤あるいは触媒として機能し、有機ケイ素化合物の三次元的な架橋反応を促進する。このため、バインダー成分の硬化速度が速まり、クラックの進展が抑制される。

0028

また、有機ケイ素化合物と金属粉末との化学的な結合、および有機ケイ素化合物と基材である鋼材との化学的な結合もこの有機チタネート化合物の存在によって促進され、結合強度が高まる。このため、金属粉末とバインダーとの界面剥離や、鋼材とバインダーとの界面剥離が抑制され、クラックの進展が抑制される。

0029

有機チタネート化合物の添加量は、0.05〜5.0%とすることが好ましい。有機チタネート化合物が少なすぎるとその効果が得られなくなってクラックが入りやすくなり、皮膜の防錆特性が低下する可能性を生ずる。一方、過剰になると、大気中の湿度を吸収して加水分解しやすくなり、ポットライフが短くなる傾向がある。より好ましい範囲は0.05〜2%であり、特に好ましい範囲は0.1〜2%である。

0030

(金属粉末)
金属粉末は、従来からジンクリッチ防錆塗料に使用されている、亜鉛粉末およびアルミニウム粉末を使用する。本発明において、亜鉛粉末は、亜鉛を成分として含む金属の粉末を意義しており、亜鉛合金粉末をも含んでいる。着色アルミニウム粉末は、アルミニウムを成分として含む金属の粉末の表面に着色顔料が付されたものを意義している。ここで、アルミニウムを成分として含む金属の粉末は、亜鉛粉末同様に、アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末を含んでいる。したがって、着色アルミニウム粉末には、着色アルミニウム合金粉末が含まれる。亜鉛合金の例としては、Zn−Ni、Zn−Sn、Zn−Fe、Zn−Al、Zn−Al−Mg、等が挙げられる。

0031

防錆塗料に着色顔料を添加することにより、着色防錆塗料とすることができる。しかし、単に着色顔料を添加しても鮮やかに発色する塗膜を得ることはできない。本発明者らは、防錆塗料中に金属粉末を配合することが塗膜の発色の鮮やかさを低下させる一因であること、特にアルミニウム粉末の影響が大きいことを見出した。着色顔料を添加した着色防錆塗料として防錆塗料を用いる場合、予め着色顔料により着色された着色アルミニウム粉末を用いることにより、鮮やかに発色する塗膜を形成することができる。

0032

金属粉末中の亜鉛粉末は、アルミニウム粉末とは異なり、塗膜の発色の鮮やかさに与える影響が小さい。そこで、亜鉛粉末は着色されていないまま配合する。これにより、防錆塗料により形成された塗膜は、鮮やかに発色するとともに亜鉛の犠牲防食作用による十分な防錆効果を有するものとなる。

0033

塗料原料としての金属粉末の形状は、皮膜の厚さを薄くしても高い耐食性を有するように、鱗片状の形状(鱗片形状)であることが好ましい。鱗片状であることによって、皮膜中で金属粉末が厚み方向に積層する構造をとることが実現される。この積層構造は、バインダー成分の重合に起因する収縮によって皮膜中にクラックが発生しても、その進展を抑制し、基材が露出するような大きなクラックの発生を防止する。

0034

鱗片形状の金属粉末の平均厚さが皮膜の平均厚さの1/200〜1/2であって、かつ金属粉末の長径(鱗片形状の最長部分の長さ)の平均値が、皮膜の平均厚さに対して1/20〜10倍であることが好ましい。たとえば、皮膜が10μm程度の場合には、鱗片形状の金属粉末の平均厚さは0.05〜5μmであって、長径の平均値は0.5〜100μmであることが好ましい。

0035

また、塗料の塗布条件によって皮膜の厚さにばらつきが発生するような条件であっても、金属粉末の長径の平均値が1.0〜50μm、特に好ましくは4.0〜20μmの範囲にあり、その鱗片形状の平均厚さが0.05〜1.0μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲にある場合には、焼付け処理によってもクラックが発生しにくく、優れた防錆特性を有する塗膜が得られる。

0036

なお、長径の平均値が上記の範囲よりも小さい場合には、皮膜内鱗片状金属粉末が積層された構造を得にくくなって、クラック進展の抑制効果が小さくなる傾向を示すようになる。一方、上記の範囲よりも大きい場合には金属粉末の分布が疎となって、防錆特性に悪影響を及ぼす可能性が生ずる。

0037

また、鱗片形状の平均厚さが上記の範囲よりも小さい場合には塗料の攪拌混練作業の際に破壊されやくすくなり、鱗片形状が形成されにくくなり、積層構造が得られにくくなる。一方、上記範囲よりも大きい場合には皮膜の厚み方向に複数の金属粉末が積層される構造が得られにくくなり、クラックの進展を抑制する効果が減少する恐れがある。

0038

塗料における金属粉末の組成比率は、全塗料に対する質量%で、5〜60%の範囲内の量とすることが好ましく、より好ましく5〜40%である。量が多すぎると塗料の薄膜状での塗布が難しくなると共に、皮膜の強度が低下する。逆に、少なすぎるとクラックが進展しやすくなったり、皮膜の防錆機能が低下したりする。

0039

(有機溶剤)
本発明の防錆塗料は、塗布作業にあたって有機溶剤を含有させると被塗部材への液なじみがよく、密着性が高い皮膜を得ることが実現される。また、塗料化に際して添加される各種の添加剤に関して、有機溶剤を含有させることにより、幅広い添加剤の利用が可能となる。

0041

有機溶剤の量は、作業環境によっても変動するものであるが、全塗料の10〜60%とすることが好ましく、より好ましくは15%〜45%、特に好ましいのは20〜30%である。この範囲を超えると、薄膜化しにくくなったり、皮膜中で金属粉末が積層構造を作りにくくなったりして、他の成分の含有量との関係もあるが所望の皮膜を得にくくなる場合もありうる。

0042

(着色顔料)
着色顔料としては、一般的に用いられている有機顔料無機顔料を用いることができるが、色調の鮮やかさから、有機顔料が好ましい。有機顔料としては、パーマネントレッドファーストイエローフタロシアニングリーンなどが例示され、無機顔料としては、二酸化チタンべんがら紺青酸化鉄カーボンブラックなどが例示される。これらは、単独で用いても数種類の混合物として用いてもよい。塗料組成物中分散性を良好にする観点から、着色顔料は、分散媒中に予め着色顔料が分散された顔料分散体として配合されることが好ましい。顔料分散体としての配合量は、防錆塗料の5〜60質量%とすることが好ましく、10〜40質量%とすることがより好ましい。

0043

(その他の添加剤)
本発明の防錆塗料には、必要に応じて、塗料に一般に使用されている各種の添加剤を含有させることができる。そのような添加剤としては、増粘剤防錆顔料コロイド状シリカ微粒子、等が挙げられる。

0045

コロイド状シリカ微粒子とは、粒径が1μmより微細ゾル状シリカ粒子であり、上述したケイ素化合物と同様に、皮膜の耐食性と皮膜強度を改善する効果がある。コロイド状シリカ微粒子の例としては、コロイダルシリカ有機溶媒に分散させたオルガノシリカゾル(たとえば日産化学工業株式会社製スノーテックス)、フュームドシリカ気相シリカ)、等が挙げられる。

0046

その他、湿潤剤消泡剤、等の慣用塗料用添加剤も本発明の塗料に含有させることができる。
これらの他の添加剤は、合計で、全塗料の0.1〜10%の範囲の量で添加することが好ましい。0.1%未満の場合には添加剤の効果が得られない恐れがあり、10%を超えると主剤である金属粉末やバインダー成分の組成比率が相対的に低下し、基本特性である防錆特性が低下する恐れがある。

0047

以上に述べた、本発明の防錆塗料を構成する各成分は、いずれも1種または2種以上を使用することができる。
本発明の防錆塗料は、上述した各成分を十分に攪拌・混合して、金属粉末を液中に均一に分散させることにより調製される。

0048

この防錆塗料を適用することができる鉄鋼部材は、鋼板棒材鋼管型鋼から、成形品、さらにはボルト、等の小物部材まで、あらゆる鉄鋼部材を包含する。鉄鋼部材は、ショットブラスト処理リン酸塩皮膜処理、等の塗装の密着性向上や耐食性向上のための塗装前処理として広く使われる処理を施したものでもよい。

0049

鉄鋼部材への塗料の塗布は、例えば、ロール塗布スプレー刷毛塗り、浸漬等の常法により行うことができ、その部材の形態に応じて適当な塗布方法を選択すればよい。塗布は、加熱処理後に形成される皮膜厚みが2〜30μmの範囲となるように行うことが好ましい。

0050

塗布後の加熱処理焼付け) は、200〜400℃で10〜120分間行う。加熱処理により、有機ケイ素化合物が有機チタネート化合物を硬化剤または触媒として縮合反応を受け、多量の金属粉末を含む皮膜が鉄鋼部材の表面に形成される。加熱処理に先立って、乾燥のために予備加熱を行ってもよい。

0051

こうして本発明の塗料が塗布された鉄鋼部材は、そのまま使用しても長期的に防錆効果を発揮するが、所望によっては、さらに塗装を施すことも可能である。

0052

以下、実施例を用いてさらに本発明を説明するが、実施例の態様に本発明は限定されない。
1.試験片の調製
表1に示した配合(質量部)に従って、塗料用高速攪拌機を用いて各成分を一緒に3時間攪拌することにより十分に混合して、実施例1〜3ならびに比較例1および2の各塗料を作製した。

0053

0054

まず、鱗片状の亜鉛粉末を以下のようにして作成した。
平均粒径5μmの金属亜鉛粉末100重量部をミネラルスピリット200重量部中に分散させ、さらに少量の脂肪酸を加えて、金属亜鉛粉末の分散濃度が約30重量%のスラリーとした。このスラリーをビーズミルアシザワ・ファインテック株式会社製スターミルZRS)で粉砕処理し、処理後のスラリーを減圧下で蒸発乾燥させて、径の分布の中心値が10μm、厚さの分布の中心値が0.3μmの鱗片状亜鉛粉末を得た。

0055

また、鱗片状のアルミニウム粉末および着色アルミニウム粉末は、以下のものを用いた。
未着色アルミニウム粉末(鱗片状):東洋アルミニウム株式会社製アルペースト0200M(製品名、平均径10μm、平均厚み0.2μm)
・赤色アルミニウム粉末(鱗片状):東洋アルミニウム株式会社製 着色アルペーストD451RE(製品名、平均径11μm)
・黄色アルミニウム粉末(鱗片状):東洋アルミニウム株式会社製 着色アルペーストD452YE(製品名、平均径11μm)
・青色アルミニウム粉末(鱗片状):東洋アルミニウム株式会社製 着色アルペーストD452BL(製品名、平均径11μm)

0056

表1に示した他の成分としては、下記のものを用いた。
エチルポリシリケートコルコート(株)製エチルシリケート40(製品名)
・テトラブトキシチタンポリマー:日本曹達(株)製 TBTポリマーB−10(製品名)
赤色顔料分散体:大日精化工業(株)製 NX−032レッド(製品名)
黄色顔料分散体:大日精化工業(株)製 NX−011イエロー(製品名)
青色顔料分散体:トーヨーカラー(株)製EMブルー870AF−1(製品名)
分散剤(酸化ポリエチレン):化成(株)製
・増粘剤(有機ベントナイト):日本有機粘土(株)製

0057

次に、予め脱脂洗浄した軟鋼板に、バーコーターにより各塗料を塗布し、280℃×30分の加熱処理を行って、膜厚20μmの塗膜を形成した。

0058

2.評価方法
(1)色調
上述した方法により、その表面に塗膜が形成された軟鋼板が濁りなく着色できているか否かについて、以下の基準を用いて、目視により判定した。
○:濁りがなくきれいに着色できている。
×:濁りがありきれいに着色できていない。
(2)傷つき耐食性
防錆塗料の塗膜が表面に形成された軟鋼板を試験片として用いた。試験片に素地(軟鋼板)まで達するように、カッターナイフクロスカットを入れて評価用試験片とした。
耐食性は、塩水噴霧試験JIS Z 2371に準じて経過を観察し、試験開始から評価用試験片のクロスカット部に赤錆が発生するまでの時間により評価した。

0059

3.試験結果
上述した評価方法を用いて、(1)色調および(2)傷つき耐食性を評価した結果を表2に示す。表2に示すとおり、着色顔料としての顔料分散体と着色アルミニウム紛体とを併用することにより、実施例1〜3の防錆塗料により濁りのない着色を実現すること、すなわち鮮やかに発色する塗膜を形成することができた。また、防錆塗料の塗膜は、傷つき耐食性も良好であった。

0060

0061

本発明は、薄膜であっても高い防錆機能を付与するとともに鮮やかな色を付することができるから、精密機器や自動車のプレス成形用鋼板に適用される防錆塗料として有用である。

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