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図面 (4)

課題

腸管出血性大腸菌の産生するベロ毒素不活性化し、当該菌の感染による症状を予防、治療又は改善するために有用な素材の提供。

解決手段

エピガロカテキンガレート及び/又はガロカテキンガレートを有効成分とするStx1不活性化剤

概要

背景

O−26、O−55、O−91、O−103、O−104、O−111、O−121、O−145、O−157、O−165等の腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC)は、食中毒出血性大腸炎溶血性尿毒症症候群等の疾患の原因菌である。EHECは、強い病原性を有し、しばしば集団感染を引き起こし、また感染者死亡例も少なくない。

ベロ毒素(Vero toxin;VT)は、EHECに産生され、上記疾患を引き起こす原因と考えられている毒素である。ベロ毒素は、志賀毒素と同一のShiga toxin familyに分類される毒素であり、志賀毒素とアミノ酸配列が同一のStx1と、アミノ酸配列が55%同一のStx2とが知られている。Stx1とStx2は、生物的性質は類似するものの、その物理化学的及び免疫学的性質は異なることが知られている。

EHECによる感染症を防止する手段としては、菌の生育抑制、菌によるベロ毒素の産生又は分泌抑制、及び産生されたベロ毒素の無毒化、が挙げられる。
ワクチン抗菌剤は、菌の感染及び生育を防止するために最も一般的使用されている手段である。臨床的には、ホスホマイシン等の抗生物質が経験的に使用されている。また非特許文献1には、エピガロカテキンガレート(EGCg)にO−157に対する殺菌作用があることが報告されている。しかし、これらはEHEC全般に対しては常に有効とはいえない。なぜなら、ワクチンは、O157には効いても他のタイプのEHECには効かないなど、効果が菌のタイプにより制限されるという問題があり、また抗菌剤を使用する場合、菌が死滅する際に菌体内に蓄えられたベロ毒素が腸管内に一度に放出されることにより、症状が重篤化するおそれがあるからである。

EHECによるベロ毒素の産生又は分泌を抑制する物質が知られている。非特許文献2には、ザクロ果皮抽出物によりEHECによるベロ毒素の産生が抑制されたことが、非特許文献3には、EGCgにより菌体外へのベロ毒素の分泌が抑制されたことが、それぞれ報告されている。特許文献1には、ホップ苞葉タンニンから得られた特定の構造を有するポリカテキンに、Stx1の細胞質ゾルへの移行阻害して、その病原性を抑える作用があることが記載されている。また、より報告数は少ないが、ベロ毒素を不活性化する物質も知られている。非特許文献4及び上述の非特許文献1には、Stx2に対する抗毒素作用を有する物質として、リンゴジュース及びカテキン製剤がそれぞれ報告されている。

EGCg及びガロカテキンガレート(GCg)は、茶カテキンの主要成分として知られている。上記非特許文献1及び3に報告されているように、EGCgのEHECに対する殺菌作用、ベロ毒素分泌抑制作用や、Stx2に対するカテキン類の抗毒素作用が知られている。しかしながら、ベロ毒素そのもの、とりわけStx1の不活性化に関するEGCg及びGCgの作用については、これまで知られていなかった。

概要

腸管出血性大腸菌の産生するベロ毒素を不活性化し、当該菌の感染による症状を予防、治療又は改善するために有用な素材の提供。エピガロカテキンガレート及び/又はガロカテキンガレートを有効成分とするStx1不活性化剤。なし

目的

本発明は、腸管出血性大腸菌(EHEC)の産生するベロ毒素Stx1の毒性を不活性化し、当該菌の感染による症状を予防、治療又は改善するために有用なStx1不活性化剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

エピガロカテキンガレート及び/又はガロカテキンガレートを有効成分とする、Stx1そのものに対して作用するStx1不活性化剤

請求項2

エピガロカテキンガレート及び/又はガロカテキンガレートを有効成分とする、Stx1そのものに対して作用して腸管出血性大腸菌により腸管内に分泌されたStx1による中毒症状を予防及び/又は改善するための剤。

請求項3

抗生物質と併用されるものである請求項2記載の予防及び/又は改善剤

請求項4

エピガロカテキンガレート及びガロカテキンガレートを合計で0.001〜0.1質量%含有する、請求項1記載のStx1不活性化剤。

請求項5

成人1人当たりの1日投与量がエピガロカテキンガレート及びガロカテキンガレートの合計量として1.87〜10,000mgである、請求項1又は4記載のStx1不活性化剤。

請求項6

エピガロカテキンガレート及びガロカテキンガレートを合計で0.001〜0.1質量%含有する、請求項2又は3記載の予防及び/又は改善剤。

請求項7

成人1人当たりの1日投与量がエピガロカテキンガレート及びガロカテキンガレートの合計量として1.87〜10,000mgである、請求項2、3、又は6記載の予防及び/又は改善剤。

技術分野

0001

本発明は、ベロ毒素Stx1の不活性化剤に関する。

背景技術

0002

O−26、O−55、O−91、O−103、O−104、O−111、O−121、O−145、O−157、O−165等の腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC)は、食中毒出血性大腸炎溶血性尿毒症症候群等の疾患の原因菌である。EHECは、強い病原性を有し、しばしば集団感染を引き起こし、また感染者死亡例も少なくない。

0003

ベロ毒素(Vero toxin;VT)は、EHECに産生され、上記疾患を引き起こす原因と考えられている毒素である。ベロ毒素は、志賀毒素と同一のShiga toxin familyに分類される毒素であり、志賀毒素とアミノ酸配列が同一のStx1と、アミノ酸配列が55%同一のStx2とが知られている。Stx1とStx2は、生物的性質は類似するものの、その物理化学的及び免疫学的性質は異なることが知られている。

0004

EHECによる感染症を防止する手段としては、菌の生育抑制、菌によるベロ毒素の産生又は分泌抑制、及び産生されたベロ毒素の無毒化、が挙げられる。
ワクチン抗菌剤は、菌の感染及び生育を防止するために最も一般的使用されている手段である。臨床的には、ホスホマイシン等の抗生物質が経験的に使用されている。また非特許文献1には、エピガロカテキンガレート(EGCg)にO−157に対する殺菌作用があることが報告されている。しかし、これらはEHEC全般に対しては常に有効とはいえない。なぜなら、ワクチンは、O157には効いても他のタイプのEHECには効かないなど、効果が菌のタイプにより制限されるという問題があり、また抗菌剤を使用する場合、菌が死滅する際に菌体内に蓄えられたベロ毒素が腸管内に一度に放出されることにより、症状が重篤化するおそれがあるからである。

0005

EHECによるベロ毒素の産生又は分泌を抑制する物質が知られている。非特許文献2には、ザクロ果皮抽出物によりEHECによるベロ毒素の産生が抑制されたことが、非特許文献3には、EGCgにより菌体外へのベロ毒素の分泌が抑制されたことが、それぞれ報告されている。特許文献1には、ホップ苞葉タンニンから得られた特定の構造を有するポリカテキンに、Stx1の細胞質ゾルへの移行阻害して、その病原性を抑える作用があることが記載されている。また、より報告数は少ないが、ベロ毒素を不活性化する物質も知られている。非特許文献4及び上述の非特許文献1には、Stx2に対する抗毒素作用を有する物質として、リンゴジュース及びカテキン製剤がそれぞれ報告されている。

0006

EGCg及びガロカテキンガレート(GCg)は、茶カテキンの主要成分として知られている。上記非特許文献1及び3に報告されているように、EGCgのEHECに対する殺菌作用、ベロ毒素分泌抑制作用や、Stx2に対するカテキン類の抗毒素作用が知られている。しかしながら、ベロ毒素そのもの、とりわけStx1の不活性化に関するEGCg及びGCgの作用については、これまで知られていなかった。

0007

特表2006−508924号公報

先行技術

0008

大久保ら、感染症学雑誌、第72巻第3号:211-217、平成10年3月20日
Supayang et al J. Health Science, 51(5):590-596, 2005
Konishi et al, Biochim Biophys Acta, 1472:42-50, 1999
Reuven et al, J. Food Science, 75(5):296-301, 2010

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、腸管出血性大腸菌(EHEC)の産生するベロ毒素Stx1の毒性を不活性化し、当該菌の感染による症状を予防、治療又は改善するために有用なStx1不活性化剤を提供することに関する。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、ベロ毒素を無毒化する物質を探索した結果、エピガロカテキンガレート(EGCg)及びガロカテキンガレート(GCg)が、Stx1を不活性化する作用を有することを見出した。

0011

すなわち、本発明は、以下を提供する。
(1)エピガロカテキンガレート及び/又はガロカテキンガレートを有効成分とするStx1不活性化剤。
(2)エピガロカテキンガレート及び/又はガロカテキンガレートを有効成分とする、腸管出血性大腸菌により腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/又は改善剤
(3)抗生物質と併用されるものである(2)記載の予防及び/又は改善剤。

発明の効果

0012

本発明によれば、ベロ毒素Stx1を不活性化することのできる素材が提供される。これらの素材は、EHECが腸管内に分泌したベロ毒素による影響を抑え、食中毒、下痢、出血性腸炎、溶血性尿毒症症候群、中枢神経障害急性脳症等のベロ毒素による中毒症状の予防、治療又は改善のために有用である。

図面の簡単な説明

0013

EGCgによるStx1不活性化作用エラーバー標準偏差
EGCgによるStx2不活性化作用。エラーバー=標準偏差。
GCgによるStx1不活性化作用。エラーバー=標準偏差。
GCgによるStx2不活性化作用。エラーバー=標準偏差。

0014

本明細書において、「Stx1」及び「Stx2」は、それぞれ、VT1及びVT2、又はSLT(Shiga−like toxin)−1及びSLT−2とも称されるベロ毒素を意味する。これらはいずれも、志賀毒素(Shiga toxin;Stx)と同じくShiga toxin(Stx)familyに分類される毒素であり、他のStx familyに属する毒素と同様にAサブユニットBサブユニットからなる構造を有している。Stx1のアミノ酸配列は、例えばGenBankM 16625として登録されており、Stxのアミノ酸配列と同一又はほぼ同一である。一方、Stx2には多くの変異型が知られており、そのStxアミノ酸配列に対する同一性は55%程度である。Stx1とStx2は、いずれも細胞のGb3レセプターと結合することから始まる一連経路で細胞に致死的影響を与えるが、一方、Stx1とStx2との間のアミノ酸配列の同一性はAサブユニットで58.2%、Bサブユニットで60.7%に過ぎない。従って、Stx1とStx2は、その生物学的性質(生体に対する毒性)は共通するものの、物理学的及び免疫学的性質においては異なる。例えば、Stx1は、Stxと抗原性が共通しており抗志賀毒素抗体で中和されるが、Stx2はStx1又はStxとの間に共通する抗原性を有さない(細菌毒素ハンドブック編集員;櫻井純、本田武司、小熊恵二発行元;株式会社サイエンスフォーラム発行年;2002年)。

0015

Stx1を産生するEHECとしては、例えば、Stx1のみを産生するEHECとしては、2005年に島根県で発生したO26:H11、2005年に市で発生したO26:HNT等が挙げられる(嶋淳,日本食品微生物学会雑誌,24(2):74−79,2007)。その他に、O−55、O−91、O−111、O−121、O−157、O−165等もStx1を産生するEHECとして知られている(Li R.et.al.,Microbial Pathogenesis 49:246−251,2010)。

0016

本明細書において、「Stx1不活性化」とは、Stx1が有する細胞毒性活性を低減又は消失させることである。Stx1不活性化によって、細胞がStx1から受ける毒性又は悪影響を低減又は消失させることができる。

0017

Stx1がその毒性を及ぼし得る「細胞」としては、アフリカミドリザル由来ベロ細胞、ならびに生体においてベロ毒素により直接又は間接的に影響を受け得る腸管細胞、例えばヒト、非ヒト霊長類マウスラット等のげっ歯類、又はウサギに由来する腸管上皮細胞大腸粘膜上皮細胞腎細胞中枢神経細胞等が挙げられる。

0018

本明細書において、「予防」とは、個体における疾患若しくは症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。

0019

本明細書において、「改善」とは、疾患又は症状の好転、疾患又は症状の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。

0020

エピガロカテキンガレート(EGCg)及びガロカテキンガレート(GCg)は、茶カテキンの主要成分として知られている。EGCg及びGCgは市販されており、市販品としては、テアビゴ(DSMニュートリションジャパン)、サンフェノンEGCg(太陽化学株式会社)等が挙げられる。あるいは、EGCg及びGCgは化学合成するか、又は茶葉由来原料から調製してもよい。

0021

化学合成の方法としては、Higuchi et al,Chem.Lett.,35(9):1006−1007,2006に記載の方法等が挙げられる。

0022

茶葉由来の原料から調製する場合、例えば、茶葉抽出物又はそれらの濃縮物から精製すればよい。当該抽出は、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉に、水若しくは熱水、又は必要に応じてこれらにさらに抽出助剤を添加し、攪拌抽出等をすることにより行うことができる。また、煮沸脱気窒素ガス等の不活性ガス通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。抽出助剤としては、アスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又はその塩等が挙げられる。当該製茶された茶葉には、煎茶番茶、玉露、てん茶、煎り茶等の緑茶類;総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音色種黄金武夷岩茶等の半発酵茶紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマン等の発酵茶が含まれる。

0023

当該茶抽出物濃縮は、上記抽出物を濃縮することにより行うことができ、当該茶抽出物の精製は、溶剤カラムを用いることにより行うことができる。茶抽出物の濃縮物や精製物の形態としては、固体水溶液スラリー状等種々のものが挙げられる。例えば、当該茶抽出物は、特開昭59−219384号、特開平4−20589号、特開平5−260907号、特開平5−306279号等に詳細に例示されている方法で調製することができる。また、市販品を用いることもでき、斯かる市販の茶抽出物としては、(株)伊園「テアフラン」、三井農林(株)「ポリフェノン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。

0024

これらの茶抽出物又はその濃縮物を、例えば特開2001−97968号公報に記載されるように、マクロポーラス極性樹脂で処理することにより、EGCg又はGCgを精製することができる。

0025

下記実施例に示すように、細胞をベロ毒素Stx1の存在下で培養した場合、Stx1の毒性の影響を受けて細胞はほとんど生存できないが、EGCg又はGCgを共存させたStx1を添加した場合、生存率が大幅に向上する。従って、EGCg及びGCgは、細胞に対するStx1の毒性活性を低減する作用を有する。EGCg及びGCgによるこの効果は、他のカテキン類やテアフラビンと比較して、顕著に高い。

0026

また下記実施例に示すように、EGCg又はGCgによる毒性低減効果はStx2に対しては観察されない。このことは、EGCg及びGCgによるStx1毒性低減作用が、細胞ではなくStx1そのものに対して作用してその毒性活性を不活化した結果によるものであることを示す。従って、本発明によれば、EHECによるベロ毒素の産生又は分泌を抑えるのではなく、既に分泌されてしまったベロ毒素自体を不活性化させることによって、EHECによる中毒症状の予防又は改善に導くことができる。よって本発明は、抗生物質による菌体破壊によって起こるベロ毒素の大量放出に起因する症状の重篤化にも適用できるので、従来の治療剤と比較して有利である。

0027

従って、本発明によれば、EGCg及び/又はGCgは、Stx1の不活性化のために使用することができる。また本発明によれば、EGCg及び/又はGCgは、EHECにより腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/又は改善のために使用することができる。
あるいは、本発明によれば、EGCg及び/又はGCgを有効成分とするStx1不活性化剤が提供される。また本発明によれば、EGCg及び/又はGCgを有効成分とする、EHECにより腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/又は改善剤が提供される。
あるいは、本発明によれば、EGCg及び/又はGCgは、Stx1不活性化剤、又はEHECにより腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/若しくは改善剤を製造するために使用することができる。
あるいは、本発明によれば、対象にEGCg及び/又はGCgを投与するか又は摂取させることを含む、Stx1不活性化方法、又はEHECにより腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/若しくは改善方法が提供される。

0028

本発明において、EGCg及びGCgは、各々単独で使用されてもよく、又は組み合わせて使用されてもよい。
本発明において、EGCg及び/又はGCgは、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット等のげっ歯類や、ウサギ等の動物、それらに由来する腸管上皮細胞、大腸粘膜上皮細胞、腎細胞、中枢神経細胞等の細胞、それらの細胞を含む組織器官等に適用され得る。
本発明において、EHECにより腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状としては、例えば食中毒、下痢、出血性腸炎、溶血性尿毒症症候群、腎障害、中枢神経障害、急性脳症等の症状が挙げられるが、これらに限定されない。

0029

上述したとおり、EGCg及び/又はGCgは、既に分泌されてしまったベロ毒素を不活性化させることができるため、抗生物質による菌体破壊によって起こるベロ毒素の大量放出に起因する症状の重篤化にも適用できる。従って、本発明においてEHECにより腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状を予防及び/又は改善する場合、EGCg及び/又はGCgとともに、任意の抗生物質を併用してもよい。抗生物質としては、ホスホマイシン、ノルフロキサシンテトラサイクリンカナマイシン、ニューキノロン等が挙げられるが、これらに限定されることなく、当業者が対象の種、年齢、状態等にあわせて任意に選択することができる。

0030

本発明において、EGCg及び/又はGCgはまた、Stx1不活性化のため、又は腸管出血性大腸菌により腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/若しくは改善のための組成物医薬医薬部外品飲食品飼料等の有効成分として使用することができ、あるいはそれらの製造のために使用することができる。当該組成物、医薬、医薬部外品、飲食品、飼料等は、ヒト又は非ヒト動物用として製造され、又は使用され得る。あるいは、EGCg及び/又はGCgは、Stx1不活性化のため、又は腸管出血性大腸菌により腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/若しくは改善のための組成物、医薬、医薬部外品、飲食品、飼料等に素材として配合され得る。

0031

上記医薬又は医薬部外品は、EGCg及び/又はGCgを有効成分として含有する。当該医薬又は医薬部外品は、任意の投与形態で投与され得る。投与形態は、経口投与でも非経口投与でもよい。例えば、経口投与形態としては、錠剤被覆錠剤顆粒剤散剤カプセル剤のような固形投薬形態、ならびにエリキシルシロップ、懸濁液のような液体投薬形態が挙げられ、非経口投与形態としては、経鼻経腸坐剤等が挙げられる。

0032

上記医薬や医薬部外品は、EGCg及び/又はGCgを単独で含有していてもよく、又は薬学的に許容される担体と組み合わせて含有していてもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤被膜剤結合剤増量剤崩壊剤界面活性剤滑沢剤希釈剤分散剤緩衝剤浸透圧調整剤pH調整剤乳化剤防腐剤、安定剤、酸化防止剤着色剤紫外線吸収剤保湿剤増粘剤活性増強剤抗炎症剤殺菌剤香料矯味剤矯臭剤等が挙げられる。また、当該医薬や医薬部外品は、EGCg及び/又はGCgのStx1不活性化作用が失われない限り、他の有効成分や薬理成分をさらに含有していてもよい。

0033

上記医薬又は医薬部外品は、EGCg及び/又はGCgから、あるいは必要に応じて上記担体及び/又は他の有効成分や薬理成分を組みあわせて、常法により製造することができる。当該医薬又は医薬部外品におけるEGCg及び/又はGCgの含有量は、EGCgとGCgの合計量として、0.001〜0.1質量%であればよく、0.001〜0.01質量%が好ましく、0.001〜0.005質量%がより好ましい。

0034

上記飲食品は、EGCg及び/又はGCgを有効成分として含有し、Stx1不活性化機能、又は腸管出血性大腸菌により腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/若しくは改善機能を企図し、必要に応じて当該機能を表示した、病者用飲食品、特定保健飲食品等機能性飲食品であり得る。上記飲食品の種類は特に限定されない。飲料としては、例えば、果汁飲料炭酸飲料茶系飲料コーヒー飲料乳飲料アルコール飲料清涼飲料等、あらゆる飲料が挙げられる。食品の形態は、固形、半固形、液状等の任意の形態であってもよく、また錠剤形態丸剤形態、タブレットカプセル形態液剤形態、シロップ形態粉末形態顆粒形態等であってもよい。例えば、食品としては、パン類麺類パスタゼリー状食品、各種スナック類ケーキ類菓子類アイスクリーム類スープ類乳製品冷凍食品インスタント食品、その他加工食品調味料サプリメント等が挙げられる。
上記飲食品又は飼料は、EGCg及び/又はGCgを単独で含有していてもよく、又は他の食材や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等の添加剤を組み合わせて含有していてもよい。

0035

EGCg及び/又はGCgを有効成分して含有する飼料としては、例えば非ヒト霊長類、ラット、マウス等のげっ歯類、ウサギ等に用いる飼料が挙げられる。当該飼料は、EGCg及び/又はGCgを単独で、又はこの他に、魚肉類、蛋白質穀物類ぬか類、粕類、糖類、野菜ビタミン類ミネラル類等一般に用いられる飼料原料、更に一般的に飼料に使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等を必要に応じて配合し、常法により製造することがきできる。

0036

上記飲食品又は飼料中におけるEGCg及び/又はGCgの含有量は、EGCgとGCgの合計量として、通常、飲料の形態では、0.001〜0.1質量%であればよく、0.001〜0.01質量%が好ましく、0.001〜0.005質量%がより好ましい。また、食品又は飼料の形態では、0.001〜0.1質量%であればよく、0.001〜0.01質量%が好ましく、0.001〜0.005質量%がより好ましい。

0037

本発明によるStx1不活性化方法においては、EGCg及び/又はGCgは、Stx1不活性化を必要とする対象に有効量で投与されるか、あるいはそれらを必要とする対象に有効量で摂取される。
投与又は摂取の対象としては、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット等のげっ歯類、ウサギ等の動物が挙げられ、より好ましくはヒトである。あるいは、投与の対象は、Stx1不活性化が所望される上記ヒト又は動物由来の組織、器官、細胞、又はそれらの分画物であり得る。当該細胞としては、腸管上皮細胞、大腸粘膜上皮細胞、腎細胞、中枢神経細胞等が好ましく、当該組織及び器官としては上記に挙げた細胞を含む組織及び器官が好ましく、当該分画物としては、上記に挙げた細胞の分画物が好ましい。また当該組織、器官、細胞、又はそれらの分画物は、好ましくは、天然由来又は生物学的若しくは生物工学的改変された組織、器官、細胞、又はそれらの分画物である。

0038

本発明によるEHECにより腸管内に分泌されたベロ毒素による中毒症状の予防及び/又は改善方法においては、EGCg及び/又はGCgは、当該中毒症状の予防及び/又は改善を必要とする対象に有効量で投与されるか、あるいはそれらを必要とする対象に有効量で摂取される。投与又は摂取する対象としては、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット等のげっ歯類、ウサギ等の動物が挙げられ、より好ましくはヒトである。当該方法においては、EGCg及び/又はGCgとともに、上述した任意の抗生物質が併用されてもよい。

0039

上記本発明の方法におけるEGCg及び/又はGCgの投与又は摂取の有効量は、投与又は摂取する対象において所望のStx1不活性化効果又は毒性低減効果を得られる量であれば、特に限定されない。有効量は、対象の種、状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与の場合の成人1人当たりの1日の投与量は、通常、EGCgとGCgの合計量として、1.87〜100,000mgが好ましく、3.74〜25,000mgがより好ましく、46.8〜10,000mgがさらに好ましく、225〜2,250mgがなお好ましい。またEGCg及び/又はGCgは、任意の投与計画に従って投与され得るが、1日1回〜数回に分けて投与することが好ましい。

0040

以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。

0041

実施例1カテキン類によるベロ毒素不活化試験
(1)試験物質
GCg(ガロカテキンガレート) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
EGCg(エピガロカテキンガレート) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
C(カテキン) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
EC(エピカテキン) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
GC(ガロカテキン) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
EGC(エピガロカテキン) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
Cg(カテキンガレート) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
ECg(エピカテキンガレート) 三井農林株式会社 (純度98%以上)
テアフラビンナカライテスク(株)(純度90%以上)

0042

(2)毒素溶液の調製と力価の測定
ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌(EHEC)としては、Stx1産生株としてEscherichia coli O157:H7 No.33株(stx1+)を、Stx2産生株としてE.coli O157 No.148株(stx2+)を、ベロ毒素を産生しない株としてE.coli O157:H20 No.37株(stx1−、stx2−、Stx1−、Stx2−)を、それぞれ使用した。
上記No.33株及びNo.148株をLB培地(Becton&Dickinson)5ml中、37℃で一晩振とう培養した。培養液を1000倍希釈して10μlを新しいLB培地5ml(40本)に接種してさらに37℃で一晩振とう培養した。各菌株の培養液5mlを15ml遠沈管に入れ、polymixin Bを5000U/1mlとなるように培養液に加え、37℃で1時間インキュベートし、培養液を集めた。集めた培養液を25mlずつ50ml遠沈管に入れて、遠心分離(3000×g、15分間)して、上清をいったんビーカーに集めた後、ろ過(0.2μm)滅菌して毒素溶液とした。
毒素溶液中のベロ毒素の力価は、VTEC−RPLA「生研」(デンカ生研)を用い、附属のプロトコールに従ってStx1(VT1)及びStx2(VT2)の産生性を調べて算出した。測定の結果、No.33株から得られた毒素溶液(Stx1)は力価512、No.148株から得られた毒素溶液(Stx2)は力価2048であった。以下のベロ毒素不活化試験では、Stx1は力価16、Stx2は力価64になるようにPBSで希釈した毒素溶液を用いた。

0043

(3)ベロ毒素不活化試験
96穴プレートにベロ細胞を播種(2×104細胞/ウェル、各100μl)し、24時間培養した。(2)で調製した毒素溶液220μlと、PBSで濃度調製し、ろ過滅菌した試験物質220μlとを滅菌チューブ中で混合し(混合液中の試験物質の最終濃度:0.1v/v%、0.01v/v%又は0.001v/v%)、37℃で1時間インキュベートした後、ベロ細胞培養液に添加した(200μl/ウェル)。コントロールとして、同濃度の毒素溶液(Stx1又はStx2)のみを添加した細胞を培養した。
48時間培養後、培地を除去してPBS(約200μl/ウェル)で3回洗浄し、2%ホルマリン含有PBS(200μl/ウェル)を添加して室温で1分間静置した後、純水(200μl/ウェル)で2回洗浄し、水を除去した後、0.1%クリスタルバイオレット5%エタノール溶液(200μl/ウェル)を添加して細胞を10分間染色した。純水で洗浄(約400μl/ウェル、2回)後、水分を除去、風乾させた。乾燥後の96穴プレートの写真撮影した後、各ウェルにエタノール200μlを加え、10分間静置して染色色素を抽出し、プレートリーダーで595nmの吸光度を測定することで、ベロ細胞の生残を調べた。ベロ毒素により細胞が死滅するとプレートから剥離し染色されないので、吸光度が高いほど細胞が生残している、すなわちベロ毒素による毒性が阻害されたと判定した。各試験物質添加群での細胞生存率を、コントロール群に対する相対値として求めた。

0044

(4)結果
結果を下記表1に示す。EGCg又はGCgと混合されたStx1毒素溶液を添加された細胞は、他のカテキン類及びテアフラビンの場合と比べて細胞の生存率が向上しており、EGCg及びGCgに高いStx1毒性低減作用があることが示された。Stx2毒素溶液に対しては何れの試験物質にも毒性低減作用は見られなかった。
Stx1とStx2とは、細胞のGb3レセプターから始まる共通の経路を介して細胞に毒性の影響を及ぼすことが知られているが(細菌毒素ハンドブック編集員;櫻井純、本田武司、小熊恵二発行元;株式会社サイエンスフォーラム発行年;2002年)、本試験においてEGCg及びGCgによる毒性低減効果はStx1にのみ観察され、Stx2では観察されなかった。従って、EGCg及びGCgが、細胞ではなくStx1そのものに対して作用し、その毒性活性を不活化していることが示された。

0045

0046

実施例2 EGCgおよびGCgによるベロ毒素不活化試験
(1)試験物質
GCg 三井農林株式会社 (純度98%以上)
EGCg 三井農林株式会社 (純度98%以上)

0047

(2)毒素溶液の調製と力価の測定
実施例1と同様の手順でStx1産生株No.33及びStx2産生株No.148から毒素溶液を調製した。毒素溶液中のベロ毒素の力価は、VTEC−RPLA「生研」(デンカ生研)を用い、附属のプロトコールに従ってStx1(VT1)及びStx2(VT2)の産生性を調べて算出した。測定の結果、No.33株から得られた毒素溶液(Stx1)は力価512、No.148株から得られた毒素溶液(Stx2)は力価2048であった。以下のベロ毒素不活化試験では、Stx1およびStx2をPBSで段階的に2倍希釈し、最終希釈倍率2〜2048倍に調製した毒素溶液を用いた。

0048

(3)ベロ毒素不活化試験
96穴プレートにベロ細胞を播種(2×104細胞/ウェル、各100μl)し、24時間培養した。(2)で調製した毒素溶液100μlと、PBSで濃度調製し、ろ過滅菌した最終濃度0.0015%の試験物質100μlとを混合し、37℃で1時間インキュベートした後、ベロ細胞培養液に添加した(200μl/ウェル)。コントロールとして、同濃度の毒素溶液(Stx1又はStx2)のみを添加した細胞を培養した。
48時間培養後、培地を除去してPBS(約200μl/ウェル)で3回洗浄し、2%ホルマリン含有PBS(200μl/ウェル)を添加して室温で1分間静置した後、純水(200μl/ウェル)で2回洗浄し、水を除去した後、0.1%クリスタルバイオレット5%エタノール溶液(200μl/ウェル)を添加して細胞を10分間染色した。純水で洗浄(約400μl/ウェル、2回)後、水分を除去、風乾させた。乾燥後の96穴プレートの写真を撮影した後、各ウェルにエタノール200μlを加え、10分間静置して染色色素を抽出し、プレートリーダーで595nmの吸光度を測定することで、ベロ細胞の生残を調べた。ベロ毒素により細胞が死滅するとプレートから剥離し染色されないので、吸光度が高いほど細胞が生残している、すなわちベロ毒素による毒性が阻害されたと判定した。各試験物質添加群での細胞生存率を、コントロール群に対する相対値として求めた。試験はいずれの組み合わせでもn=6で行った。求めた生残率について、コントロール群に対する有意差検定t検定)を行った。

実施例

0049

(4)結果
結果を図1図4に示す。EGCgと混合された16〜128倍希釈されたStx1毒素溶液又はGCgと混合された16〜256倍希釈されたStx1毒素溶液を添加された細胞は、EGCg又はGCg未処理の同希釈倍率のStx1毒素溶液を添加された細胞と比較して生存率が向上した(図1及び3)。この結果から、毒素1ngを不活性化するのに必要なEGCg及びGCgは0.018ngであることが明らかとなった。Stx2毒素溶液に対してはEGCg又はGCgの何れの試験物質にも毒性低減作用は見られなかった(図2及び4)。

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