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技術 ハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法

出願人 日本碍子株式会社
発明者 小野光遥植田修司
出願日 2015年3月25日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-063428
公開日 2016年10月20日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-183062
状態 特許登録済
技術分野 多孔質人造石または多孔質セラミック製品 酸化物セラミックスの組成1 ガス中の分散粒子の濾過 触媒
主要キーワード 原料配合率 耐強度 合計比率 固定排出源 燃焼装置用 アルミナ材料 大型ディーゼルエンジン 中央細孔径
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年10月20日)のものです。
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図面 (5)

課題

焼成時の変形を抑制し、隔壁からの触媒剥離を防ぎ、かつ低い焼成温度で焼成可能なハニカム構造体の提供を課題とする。

解決手段

ハニカム構造体1は、コージェライト成分を含み、流体流路を形成する一方の端面2aから他方の端面2bまで延びる複数のセル3を区画形成する隔壁4を有し、中心軸方向Aの熱膨張係数が、40℃〜800℃の温度変化において、1.2ppm/K以上、3.5ppm/K以下であり、中心軸方向Aに直交する断面方向の熱膨張係数が、40℃〜800℃の温度変化において、0.8ppm/K以上、2.5ppm/K以下である。

概要

背景

従来、セラミックス製ハニカム構造体(以下、単に「ハニカム構造体」と称す。)は、自動車排ガス浄化用触媒担体ディーゼル微粒子除去フィルタ、或いは燃焼装置用蓄熱体等の広範な用途に使用されている。ハニカム構造体は、成形材料坏土)を調製し、押出成形機を用いて所望のハニカム形状押出成形し、生切断、乾燥、端面仕上げを行ったハニカム成形体高温焼成することで製造されている。

ディーゼルエンジンは、酸素過剰の状態で運転が行われるため、一般的なガソリンエンジンで使用される三元触媒によってNOxを還元処理することができない。酸素過剰の雰囲気でNOxを還元する技術として、選択触媒還元SCR:Selective Catalytic Reduction)技術が知られている。選択触媒還元(SCR)とは、還元剤としてアンモニアを用いてNOxを還元するものであり、発電所等の固定排出源からの排ガス浄化する技術として開発されたものであり、チタニアバナジア系触媒が用いられている。

近年において、ディーゼルエンジンから排出されるNOxを高効率で浄化することが求められ、上記選択触媒還元に係る技術をディーゼル車両に適用する試みがなされている。例えば、コージェライト成分を含むハニカム構造体(以下、「コージェライトハニカム」と称す。)にチタニア−バナジア系触媒を担持する技術(特許文献1参照)、或いは、チタニア−バナジア系触媒をハニカム形状に成形する技術(特許文献2参照)が開発されている。

コージェライトハニカムは、流体流路を形成する一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセル区画形成する多角形格子状の隔壁を有している。コージェライト成分は、珪素アルミニウム、及びマグネシウムの三成分を含むものであり、コージェライト成分を含む材料は、熱膨張係数アルミナ材料等に比べて低く、かつ、耐熱衝撃性耐強度性に優れた特徴を備えている。そのため、コージェライトハニカムは、上記自動車排ガス浄化用触媒担体等の幅広い分野において利用されている。

概要

焼成時の変形を抑制し、隔壁からの触媒剥離を防ぎ、かつ低い焼成温度で焼成可能なハニカム構造体の提供を課題とする。ハニカム構造体1は、コージェライト成分を含み、流体の流路を形成する一方の端面2aから他方の端面2bまで延びる複数のセル3を区画形成する隔壁4を有し、中心軸方向Aの熱膨張係数が、40℃〜800℃の温度変化において、1.2ppm/K以上、3.5ppm/K以下であり、中心軸方向Aに直交する断面方向の熱膨張係数が、40℃〜800℃の温度変化において、0.8ppm/K以上、2.5ppm/K以下である。

目的

本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、隔壁からの触媒の剥離を防ぎ、かつ低い焼成温度で焼成可能なハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

流体流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセル区画形成する隔壁を有するコージェライト成分を含むハニカム構造体であって、前記ハニカム構造体の中心軸方向の熱膨張係数が40℃から800℃の温度変化において、1.2ppm/K以上、3.5ppm/K以下であり、前記中心軸方向に直交する断面方向の熱膨張係数が40℃から800℃の温度変化において、0.8ppm/K以上、2.5ppm/K以下であり、前記中心軸方向に直交する断面方向の熱膨張係数が前記中心軸方向の熱膨張係数より低いハニカム構造体。

請求項2

前記中心軸方向及び前記断面方向の熱膨張曲線が、40℃から800℃の温度範囲平均熱膨張係数をXppm/K、200℃から600℃の温度範囲の平均熱膨張係数をYppm/Kとしたとき、Yが0.5Xから1.5Xの範囲にある請求項1に記載のハニカム構造体。

請求項3

構成元素として珪素アルミニウム、及びマグネシウムの三成分を含み、前記三成分の酸化物合計比率を100%とした場合、酸化珪素が50%以上、酸化アルミニウムが15%以上、45%以下、酸化マグネシウムが5%以上、30%以下である請求項1または2に記載のハニカム構造体。

請求項4

成形材料に酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素を含まない請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。

請求項5

前記ハニカム構造体の前記中心軸方向の圧縮強度が15MPa以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体を製造するためのハニカム構造体の製造方法であって、成形材料から、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム成形体を形成する成形工程と、前記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを有し、前記焼成工程における最高温度が1250℃以上、1370℃以下であるハニカム構造体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法に関する。更に詳しくは、ディーゼルエンジンから排出される排ガス浄化するために使用される、低温焼成可能なコージェライト成分を含むハニカム構造体、及び当該ハニカム構造体の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、セラミックス製ハニカム構造体(以下、単に「ハニカム構造体」と称す。)は、自動車排ガス浄化用触媒担体ディーゼル微粒子除去フィルタ、或いは燃焼装置用蓄熱体等の広範な用途に使用されている。ハニカム構造体は、成形材料坏土)を調製し、押出成形機を用いて所望のハニカム形状押出成形し、生切断、乾燥、端面仕上げを行ったハニカム成形体高温焼成することで製造されている。

0003

ディーゼルエンジンは、酸素過剰の状態で運転が行われるため、一般的なガソリンエンジンで使用される三元触媒によってNOxを還元処理することができない。酸素過剰の雰囲気でNOxを還元する技術として、選択触媒還元SCR:Selective Catalytic Reduction)技術が知られている。選択触媒還元(SCR)とは、還元剤としてアンモニアを用いてNOxを還元するものであり、発電所等の固定排出源からの排ガスを浄化する技術として開発されたものであり、チタニアバナジア系触媒が用いられている。

0004

近年において、ディーゼルエンジンから排出されるNOxを高効率で浄化することが求められ、上記選択触媒還元に係る技術をディーゼル車両に適用する試みがなされている。例えば、コージェライト成分を含むハニカム構造体(以下、「コージェライトハニカム」と称す。)にチタニア−バナジア系触媒を担持する技術(特許文献1参照)、或いは、チタニア−バナジア系触媒をハニカム形状に成形する技術(特許文献2参照)が開発されている。

0005

コージェライトハニカムは、流体流路を形成する一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセル区画形成する多角形格子状の隔壁を有している。コージェライト成分は、珪素アルミニウム、及びマグネシウムの三成分を含むものであり、コージェライト成分を含む材料は、熱膨張係数アルミナ材料等に比べて低く、かつ、耐熱衝撃性耐強度性に優れた特徴を備えている。そのため、コージェライトハニカムは、上記自動車排ガス浄化用触媒担体等の幅広い分野において利用されている。

先行技術

0006

特公平8−11194号公報
特許第2675321号公報

発明が解決しようとする課題

0007

コージェライトハニカムは、上記コージェライト成分に基づく優れた特徴を有するものの、自動車排ガス浄化用触媒担体等に使用した場合、下記に掲げる点において問題となることがあった。すなわち、コージェライトハニカムを含む一般的なハニカム構造体は、押出成形されたハニカム成形体を高温で焼成する焼成工程を経て製造される。

0008

更に、熱膨張係数の値が低いため、自動車排ガス浄化用触媒単体として使用した場合、隔壁に塗布され、担持された上記バナジウム系SCR触媒が、当該隔壁から剥離することがあった。ここで、隔壁に塗布され、担持される上記触媒は、一般的に6ppm/K程度の熱膨張係数であるのに対し、コージェライトハニカムの熱膨張係数は、当該触媒よりも低い1ppm/K未満であった。

0009

すなわち、排ガスを浄化する際に高温環境下に晒されたコージェライトハニカムは、非常に僅かな熱膨張しか生じない。これに対し、担持された触媒は高温環境下において大きな熱膨張を生じる。その結果、隔壁から触媒が剥離することがあった。これにより、コージェライトハニカムから触媒が脱離することで、排ガスの浄化性能等が大きく低下する可能性があった。

0010

更に、コージェライトハニカムの製造のために、ハニカム成形体を1400℃以上(例えば、1430℃)の焼成温度で焼成工程を行う必要があった。この焼成温度は、一般的な窯業製品と比較して高い温度であり、製造コスト及び設備コストが増大する要因となっていた。

0011

そこで、本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、隔壁からの触媒の剥離を防ぎ、かつ低い焼成温度で焼成可能なハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法を提供する。

課題を解決するための手段

0012

本発明によれば、上記課題を解決したハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法が提供される。

0013

[1]流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有するコージェライト成分を含むハニカム構造体であって、前記ハニカム構造体の中心軸方向の熱膨張係数が40℃から800℃の温度変化において、1.2ppm/K以上、3.5ppm/K以下であり、前記中心軸方向に直交する断面方向の熱膨張係数が40℃から800℃の温度変化において、0.8ppm/K以上、2.5ppm/K以下であり、前記中心軸方向に直交する断面方向の熱膨張係数が前記中心軸方向の熱膨張係数より低いハニカム構造体。

0014

[2] 前記中心軸方向及び前記断面方向の熱膨張曲線が、40℃から800℃の温度範囲平均熱膨張係数をXppm/K、200℃から600℃の温度範囲の平均熱膨張係数をYppm/Kとしたとき、Yが0.5Xから1.5Xの範囲にある前記[1]に記載のハニカム構造体。

0015

[3]構成元素として珪素、アルミニウム、及びマグネシウムの三成分を含み、前記三成分の酸化物合計比率を100%とした場合、酸化珪素が50%以上、酸化アルミニウムが15%以上、45%以下、酸化マグネシウムが5%以上、30%以下である前記[1]または[2]に記載のハニカム構造体。

0016

[4]成形材料に酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素を含まない前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。

0017

[5] 前記ハニカム構造体の前記中心軸方向の圧縮強度が15MPa以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。

0018

[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体を製造するためのハニカム構造体の製造方法であって、成形材料から、流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム成形体を形成する成形工程と、前記ハニカム成形体を焼成する焼成工程とを有し、前記焼成工程における最高温度が1250℃以上、1370℃以下であるハニカム構造体の製造方法。

発明の効果

0019

本発明のハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法は、通常よりも低い焼成温度で焼成を行うことにより、コージェライトハニカムの製品形状の寸法精度を良好なものとし、触媒との間の熱膨張係数の差を小さくすることで、隔壁からの触媒の剥離を防ぐことができる。更に、焼成温度の低下によって焼成時間を短縮し、製造コスト等を抑制した効率的なハニカム構造体の製造が可能となる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の一実施形態のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
ハニカム構造体の一例を模式的に示す平面図である。
中心軸方向における実施例1、実施例4、比較例3、及びバナジウム系ソリッドSCR触媒の熱膨張曲線を示すグラフである。
断面方向における実施例1及び実施例4の熱膨張曲線を示すグラフである。

0021

以下、図面を参照しつつ本発明のハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法の実施の形態について詳述する。なお、本発明のハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正、及び改良等を加え得るものである。

0022

本実施形態のハニカム構造体1は、図1及び図2に示すように、流体の流路を形成する一方の端面2aから他方の端面2bまで延びる複数のセル3を区画形成する四角形格子状の隔壁4を備えるハニカム構造部5を有し、円柱状を呈して構成されている。

0023

円柱状のハニカム構造体1は、構成元素として珪素、アルミニウム、及びマグネシウムの三成分を含み、中心軸方向A(セル3の軸方向に相当、図1参照)の熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)が1.2ppm/K以上、3.5ppm/K以下であり、更に好ましくは、1.3ppm/K以上、3.2ppm/K以下であり、一方、中心軸方向Aに直交する断面方向B(ハニカム構造体1の径方向に相当、図2参照。)の熱膨張係数が0.8ppm/K以上、2.5ppm/K以下のものである。上記熱膨張係数は、40℃から800℃の温度変化における値を示すものとする。更に、温度変化に伴う熱膨張係数の値をプロットした熱膨張曲線は、中心軸方向A及び断面方向Bに沿ってそれぞれ線形膨張変化を示す。更に、ハニカム構造体1は、中心軸方向Aの圧縮強度の値が15MPa以上である。

0024

更に、本実施形態のハニカム構造体1は、中心軸方向A及び断面方向Bの熱膨張曲線が、40℃から800℃の温度範囲の平均熱膨張係数をXppm/K、200℃から600℃の温度範囲の平均熱膨張係数をYppm/Kとしたとき、Yppm/Kの値が、0.5Xから1.5Xの範囲を示すものである。すなわち、200℃から600℃の温度範囲の平均熱膨張係数Yは、40℃から800℃の温度範囲の平均熱膨張係数Xの0.5倍から1.5倍の範囲で比例(0.5X<Y<1.5X)し、線形性を呈する。したがって、平均熱膨張係数Y(200℃〜600℃)は、平均熱膨張係数X(40℃〜800℃)の値の±50%の範囲となる。

0025

ここで、バナジウム系SCR触媒の場合、尿素の分解によって還元剤であるアンモニアの生成が200℃以上で開始されることが知られている。更に、SCR触媒の主成分である五酸化バナジウムの分解が600℃以上で開始されることが知られている。そこで、平均熱膨張係数Yの区間熱膨張率の温度範囲を、上述の200℃から600℃と設定している。これにより、この温度範囲において線形熱膨張性を有することが示される。

0026

ハニカム構造体1は、構成元素として、前述した三成分の珪素、アルミニウム、及びマグネシウムからなるコージェライト成分を含むコージェライトハニカムであり、三成分を酸化物換算した合計比率を100%とした場合、酸化珪素(シリカ)が50%以上、酸化アルミニウム(アルミナ)が15%以上、45%以下、酸化マグネシウム(マグネシア)が5%以上、30%以下であり、更に好ましくは、酸化珪素が50%以上、65%以下、酸化アルミニウムが18%以上、36%以下、酸化マグネシウムが8%以上、21%以下のものである。

0027

酸化珪素、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムの三成分を上記比率で含む成形材料を押出成形し、複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム成形体(図示しない)を形成した後、得られたハニカム成形体を1250℃以上、1370℃以下の焼成温度で焼成することでハニカム構造体1が製造されている。原料としては天然原料であるカオリンタルク合成原料であるアルミナや水酸化アルミニウム、天然原料あるいは合成原料であるシリカが用いられる。上記コージェライトの組成が維持できれば、これら原料のうち、高価な合成原料を省略することもできる。

0028

ここで、1250℃より低い焼成温度では、酸化珪素がクリストバライト結晶構造として存在することが知られており、熱膨張係数の値が著しく高くなる(例えば、5.0〜10.0ppm/K前後)。一方、1370℃を超える焼成温度では、従前のコージェライトハニカムの焼成温度(例えば、1430℃)とそれほど差がなく、焼成時間等の短縮の効果が低くなり、断面方向Bに対して中心軸方向Aの値が小さくなる。そこで、焼成温度を1250℃以上、1370℃以下に設定している。

0029

通常のコージェライトハニカムの場合、中心軸方向Aの熱膨張係数の値に対し、断面方向Bの熱膨張係数の値が大きくなることが一般的に知られている。しかしながら、本実施形態のハニカム構造体1は、通常のコージェライトハニカムよりも低い焼成温度で焼成を行うことにより、断面方向Bの熱膨張係数の値よりも、中心軸方向Aの熱膨張係数の値の方が高くなる。すなわち、熱膨張係数の値が逆転する。

0030

これにより、従来のコージェライトハニカムと比べて低い焼成温度で焼成されているにもかかわらず、断面方向Bの熱膨張係数を低く抑えることができ、焼成工程の際に、特にハニカム構造体1の径方向に沿って生じる割れの発生を抑えることができる。更に、本実施形態のハニカム構造体1は、焼成温度が低いにもかかわらず、従来のコージェライトハニカムと同程度の中心軸方向Aの圧縮強度を備え、十分な耐強度性を有することが示される。

0031

SCR触媒を大型ディーゼルエンジン用に使用する場合は、処理する排気ガス量が、通常の自動車エンジン用等と比べて多く、通気抵抗を損なわないために、ハニカム径が必然的に大きなハニカム構造体1が使用される。一方、SCR触媒の反応距離は比較的短いことが知られている。そのため、当該SCR触媒による効果を得るために、反応距離、すなわち、ハニカム構造体の長さはそれほど必要とならない。したがって、ハニカム径に対してハニカム長さが短いハニカム構造体の態様となる。排気ガスに晒された触媒は、長さ方向に垂直な断面で見ると、通常は中央部が周辺部より高温になる。ハニカム径がハニカム長さより大きいハニカム構造体では、ハニカム構造体の外周面周方向に働く引張応力が支配的になり、ハニカム構造体の外周面から中央に向うクラックの発生を誘発する。ハニカム構造体の外周面で周方向に働く引張応力は断面方向Bの熱膨張に依存するため、前記のクラックの発生を防止するためには断面方向Bの熱膨張係数を低く抑えることが重要である。

0032

SCR触媒には、代表的なものの一つとしてバナジウム系触媒が用いられ、セラミック担体に担持することによって構成される。バナジウム系触媒は、図3に示すように高い熱膨張係数を有する。バナジウム系触媒を従来のコージェライトハニカム担体に担持した場合、触媒と担体の熱膨張差が大きく、触媒が担体から剥離して飛散し、触媒機能が失われることがあった。一方、セラミック担体の熱膨張係数を大きくして、バナジウム系触媒との熱膨張差を小さくすれば、触媒剥離は防止できるものの、セラミック担体が熱応力により破壊される。本実施形態のハニカム構造体1は、中心軸方向Aの熱膨張係数の値を高くして、チタニア・バナジア触媒との熱膨張差を小さくし、隔壁4から触媒が剥離することを防止するとともに、断面方向Bの熱膨張係数を低く抑えることにより、セラミック担体が熱応力により破壊されることを防止することができる。なお、図3のバナジウム系SCR触媒はハニカム構造体自体をバナジウム系触媒で構成したものであり、ソリッド触媒と呼ばれる。

0033

図3及び図4に中心軸方向A及び断面方向Bの熱膨張曲線を示す(実施例1,4、比較例3に関しては下記実施例を参照)。図3のバナジウム系触媒が線形の熱膨張特性を示すのに対し、従来のコージェライトハニカム担体(比較例3)は非線形の熱膨張特性を示すことがわかる。これら線形及び非線形の熱膨張特性の相違は、触媒の隔壁4からの剥離を助長する。したがって、セラミック担体がバナジウム系触媒と同様な線形熱膨張特性を有していることも、触媒の剥離を防止する上で重要である。

0034

本実施形態のハニカム構造体1は、成形材料の中で高価な合成原料の使用量を抑えつつ、所望の熱膨張特性を得ることができる。

0035

以下、本発明のハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法の実施例について説明するが、本発明のハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法は、これらの実施形態に限定されるものではない。

0036

(1)コージェライト成分の比率、及び焼成温度
本発明のハニカム構造体において規定されたコージェライト成分の比率となるように、タルク、カオリン(カオリン・仮焼カオリン)、アルミナ(酸化アルミニウム・水酸化アルミニウム)、及びシリカのうちから複数を組み合わせて配合し、水と成形助剤を加えて混練した成形材料を、押出成形用口金を通じて押出成形し(成形工程)、得られたハニカム成形体を乾燥・仕上げ後、最高温度が1250℃から1370℃の間の焼成温度でそれぞれ焼成を行うことにより、ハニカム構造体を得た(実施例1〜7)。原料の配合率は表1に示すように、実施例1,2(材料1)、実施例3〜5(材料2)、実施例6(材料3)、及び実施例7(材料4)でそれぞれ異なっている。更に、実施例1〜5とそれぞれ同じ配合比率で押出成形されたハニカム成形体に対し、焼成温度を異にして焼成を行い、ハニカム構造体を得た(比較例1〜5)。また、本発明のハニカム構造体において規定されたコージェライト成分の比率から外れた配合比率で調製された成形材料(材料5,6)を用いて押出成形されたハニカム成形体からハニカム構造体を得た(比較例6,7)。なお、実施例1,2及び比較例1,2において、成形材料には、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び酸化珪素が含まれていない。各材料の原料配合率、及びコージェライト成分の比率をまとめたものを下記表1に示す。

0037

0038

各実施例1〜7及び比較例1〜7における焼成温度について詳述すると、同一のコージェライト成分の比率のハニカム成形体を1275℃(実施例1)及び1250℃(実施例2)の焼成温度で焼成し、ハニカム構造体を得た。更に、実施例1,2と同一のコージェライト成分の比率のハニカム成形体を1350℃(比較例1)及び1200℃(比較例2)の焼成温度で焼成し、ハニカム構造体を得た。また、同一のコージェライト成分の比率のハニカム成形体を1350℃(実施例3)、1275℃(実施例4)、及び1370℃(実施例5)の焼成温度で焼成し、更に実施例3〜5と同一のコージェライト成分の比率のハニカム成形体を1400℃(比較例3)、1385℃(比較例4)、及び1250℃(比較例5)の焼成温度で焼成しハニカム構造体を得た。

0039

実施例1〜7及び比較例1〜7のハニカム構造体において、上記条件以外のハニカム構造体の製造条件はいずれも同一とした。得られたハニカム構造体(コージェライトハニカム)に対し、気孔率[%]、気孔径[μm]、中心軸方向の圧縮強度[MPa]、40℃〜800℃における中心軸方向Aの熱膨張係数XA[ppm/K]、200℃〜600℃における中心軸方向Aの熱膨張係数YA[ppm/K]、中心軸方向Aの熱膨張係数XAに対する熱膨張係数YAの比率[%]、40℃〜800℃における断面方向Bの熱膨張係数XB[ppm/K]、200℃〜600℃における断面方向Bの熱膨張係数YB[ppm/K]、及び断面方向Bの熱膨張係数XBに対する熱膨張係数YBの比率[%]を計測及び算出した。

0040

(2)気孔率の測定
気孔率[%]とは、ハニカム構造体の隔壁を構成する多孔体の気孔率を示す。ここで、隔壁の気孔率[%]が10%未満の場合、担持できる触媒量が制限され、一方、70%超の場合、ハニカム構造体の隔壁が脆くなり欠落し易くなる。本実施例においては、気孔率[%]がおおむね10%以上、40%以下の範囲となるように調製を行った。ハニカム構造体の隔壁の気孔率[%]は、JIS R1655に準拠水銀圧入法により測定を行った。

0041

(3)気孔径の測定
気孔径[μm]とは、ハニカム構造体の隔壁を構成する多孔体の中央細孔径メジアン径)を示す。気孔径が小さすぎると、気孔内に触媒を担持することが難しくなる。一方、気孔径が大きすぎると、ハニカム構造体の隔壁が脆くなり欠落し易くなる。ハニカム構造体の気孔径[μm]は、JIS R1655に準拠し水銀圧入法により測定を行った。

0042

(4)中心軸方向の圧縮強度[MPa]
ハニカム構造体の中心軸方向の圧縮強度[MPa]は、社団法人自動車技術発行自動車規格であるJASO規格M505−87に規定されている“A軸圧縮強度”のことであり、一般に5MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることが更に好ましく、15MPa以上であることが特に好ましい。中心軸方向Aの圧縮強度[MPa]が上記数値を超えることにより、ハニカム構造体の耐強度性を向上させることができる。ここで、中心軸方向Aの圧縮強度(A軸圧縮強度)は、上記規格に基づき、ハニカム構造体から直径25.4mm(1インチ)、高さ25.4mm(1インチ)の円柱状の試料切り出し、当該試料の流路方向圧縮荷重を徐々に加える。圧縮荷重を増大させ、試料が破壊されたときの圧力の値を中心軸方向Aの圧縮強度[MPa]とする。

0043

(5)熱膨張係数[ppm/K]
熱膨張係数[ppm/K]は、示差検出型の熱膨張計を用い、ハニカム構造体の隔壁を構成する多孔体の40℃から800℃、及び200℃から600℃のそれぞれの温度範囲における平均熱膨張係数を測定することにより求めた。更に具体的に説明すると、始めにハニカム構造体のハニカム構造部から、縦5mm×横5mm×長さ50mmの測定試料を作製する。この測定試料の長さ方向が、中心軸方向Aのハニカム構造部のセルの延びる方向となり、長さ方向に直交する方向が断面方向Bとなる。

0044

(6)線形熱膨張性の比率
上記(5)によって測定された中心軸方向Aにおける40℃から800℃の熱膨張係数XA、200℃から600℃の熱膨張係数YA、断面方向Bにおける40℃から800℃の熱膨張係数XB、及び200℃から600℃の熱膨張係数YBに基づいて、40℃から800℃の熱膨張係数XA,XBに対する200℃から600℃の熱膨張係数YA,YBの比率を算出した。ここで、比率の算出は、下記式(A)及び(B)に基づく。
(A)中心軸方向の比率[%]
=(熱膨張係数YA−熱膨張係数XA)/熱膨張係数XA×100
(B)断面方向の比率[%]
=(熱膨張係数YB−熱膨張係数XB)/熱膨張係数XB×100

0045

配合比率、コージェライト成分の配合比率、焼成温度、及び得られたハニカム構造体に対する上記(2)〜(6)によって測定及び算出されたそれぞれの測定及び算出の結果をまとめたものを下記表2に示す。

0046

0047

表2に示すように、本発明において規定されたコージェライト成分の比率で調製された実施例1〜7のハニカム構造体は、中心軸方向A及び断面方向Bの熱膨張係数[ppm/K]が、いずれも本発明の範囲内であることが確認されるとともに、中心軸方向Aの熱膨張係数XA,YAが断面方向Bの熱膨張係数XB,YBよりも高くなる、通常のコージェライトハニカムとは異なる結果が示された。更に、中心軸方向Aの圧縮強度(A軸圧縮強度)がいずれも15MPa以上であることが示され、従来のコージェライトハニカムと同程度の耐強度性を有することが確認された。すなわち、低温の焼成温度で、かつ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素を使用しない原料配合であっても、所望の熱膨張特性を持つハニカム構造体(コージェライトハニカム)を得ることができた。その結果、焼成温度の低減を図ることができ、製造コスト及び設備コストの低減化が可能となる。更に、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化珪素を使用しないことで製造コストを下げる効果も有している。

実施例

0048

これに対し、本発明において規定された焼成温度及びコージェライト成分の比率から外れるように調整された比較例1〜7のハニカム構造体は、中心軸方向Aの40℃から800℃の熱膨張係数[ppm/K]が、いずれも本発明の範囲外となった。すなわち、ハニカム構造体の中心軸方向Aの熱膨張係数が大きくなり過ぎることが確認された。また、焼成温度を1350℃とした場合、実施例1,2と同一のコージェライト成分の比率であったとしても、ハニカム構造体の軟化が確認され、気孔率他の測定をすることができなかった(比較例1)。一方、実施例1,2及び比較例1と同一条件で、焼成温度を1200℃にした場合、中心軸方向の熱膨張率が著しく高い値(9.7ppm/K)を示した(比較例2)。前述したように、1200℃の焼成温度では、コージェライト成分中の酸化珪素がクリストバライトの結晶構造として存在しているため、熱膨張係数が大きくなると思われる。一方、焼成温度を1400℃にして焼成を行った場合(比較例3)、すなわち、通常のコージェライトハニカムと近似する焼成条件で焼成を行った場合、中心軸方向A及び断面方向Bのいずれの40℃から800℃の熱膨張係数が1[ppm/K]未満の低い値を示し、中心軸方向Aに対し断面方向Bの熱膨張係数の値が大きくなることが確認された。更に、タルク75%を含有するハニカム構造体(比較例7)は、1275℃の焼成温度でも全体として軟化することが確認された。

0049

本発明のハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法は、自動車排ガス浄化用触媒担体、ディーゼル微粒子除去フィルタ、あるいは燃焼装置用蓄熱体等に利用可能なハニカム構造体の製造に使用することができる。

0050

1:ハニカム構造体、2a:一方の端面、2b:他方の端面、3:セル、4:隔壁、5:ハニカム構造部、A:中心軸方向、B:断面方向。

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