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技術 卵白組成物及び卵白組成物の製造方法

出願人 日清食品ホールディングス株式会社
発明者 山村尚志那須元太郎
出願日 2015年3月27日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2015-065544
公開日 2016年10月20日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2016-182101
状態 未査定
技術分野 肉類、卵、魚製品 食品の着色及び栄養改善 食品の調整及び処理一般
主要キーワード 包接率 脱水過程 茶こし テルペンアルコール類 酢酸澱粉 冷風乾燥 苦み成分 粉末体

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課題

風味の強い物質マスキングするとともに、食品添加した場合であっても食品本来の風味を損いにくい組成物を提供することにある。また、喫食時の咀嚼等によっても、食品本来の風味を損いにくい組成物を提供する。

解決手段

ガラス化構造からなる卵白組成物であって、ガラス化構造内に被包接体の少なくとも一部を包接してなる卵白組成物。

背景

近年、不足しがちな栄養素強化したり、食品が本来有していない機能を付与したりするために、食品に添加するサプリメントなどが市販されている。食品に添加するサプリメントの条件としては、食品本来風味を損なわないように、無味無臭かそれに近いものであることが要求される。

ここで、食品が本来有していない機能を付与する例として、喫食後に体表面から好ましい香り発散されるようにしたり、通常の飲食では摂取できない量の特定成分を摂取できるようにしたりする場合が挙げられる。このうち、好ましい香りを発散させるためには、芳香成分を摂取することが必要となる(特許文献1参照)。また、特定成分を多く摂取するためには、特定成分の濃縮物を摂取することが必要となる。

概要

風味の強い物質マスキングするとともに、食品に添加した場合であっても食品本来の風味を損いにくい組成物を提供することにある。また、喫食時の咀嚼等によっても、食品本来の風味を損いにくい組成物を提供する。ガラス化構造からなる卵白組成物であって、ガラス化構造内に被包接体の少なくとも一部を包接してなる卵白組成物。なし

目的

本発明の課題は、風味の強い物質をマスキングするとともに、食品に添加した場合であっても食品本来の風味を損いにくい組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ガラス化構造からなる卵白組成物であって、ガラス化構造内に被包接体の少なくとも一部を包接してなる卵白組成物。

請求項2

被包接体がアルコール類フェノール類バニロイド類の群の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の卵白組成物。

請求項3

卵白と被包接体を混合する混合工程と、混合物加熱して卵白を固化させる加熱工程と、低温乾燥させる乾燥工程と、を少なくとも含む、卵白組成物の製造方法

技術分野

0001

本発明は、卵白組成物に関する。より詳しくは、被包接体包接してなるガラス化構造を有した卵白組成物に関する。

背景技術

0002

近年、不足しがちな栄養素強化したり、食品が本来有していない機能を付与したりするために、食品に添加するサプリメントなどが市販されている。食品に添加するサプリメントの条件としては、食品本来風味を損なわないように、無味無臭かそれに近いものであることが要求される。

0003

ここで、食品が本来有していない機能を付与する例として、喫食後に体表面から好ましい香り発散されるようにしたり、通常の飲食では摂取できない量の特定成分を摂取できるようにしたりする場合が挙げられる。このうち、好ましい香りを発散させるためには、芳香成分を摂取することが必要となる(特許文献1参照)。また、特定成分を多く摂取するためには、特定成分の濃縮物を摂取することが必要となる。

先行技術

0004

特開2013−56910号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、芳香成分は風味が強いため、直接経口摂取するのは難しい。また、特定成分も物によっては辛みや苦味等が強いものがあり、直接経口摂取するのが難しい場合がある。そのため、食品などに芳香成分や特定成分を添加して摂取する方法も考えられるが、食品本来の風味を損ねてしまう。一方、食品の風味を損なわない範囲で摂取しようとした場合、食品に添加できる芳香成分や特定成分の量が極めて微量となり、本来意図している効果を発揮できるだけの量を摂取することができない。

0006

そこで、芳香成分や特定成分の風味をマスキングする方法として、ゼラチンマイクロカプセルなどで被覆する方法が知られている。しかし、ゼラチンやマイクロカプセルなどは可溶性であるため、液体の食品に添加すると溶けてしまい、芳香成分や特定成分が漏れ出てしまうといった問題が生じる。また、液体の食品以外に添加した場合であっても、喫食時の咀嚼等によって芳香成分や特定成分が漏れ出てしまい、食品本来の風味を損いやすくなるといった問題が生じる。

0007

本発明は上記問題点を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、風味の強い物質をマスキングするとともに、食品に添加した場合であっても食品本来の風味を損いにくい組成物を提供することにある。また、喫食時の咀嚼等によっても、食品本来の風味を損いにくい組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、風味の強い物質をマスキングするとともに、食品に添加した場合であっても食品本来の風味を損いにくい方法について、鋭意検討を行った。そして、特定の構造を有する卵白に風味の強い物質をマスキングする作用があり、食品に添加しても食品本来の風味を損いにくいことを見出し、本発明を完成させるに至った。

0009

上記課題解決のため、本発明は、ガラス化構造からなる卵白組成物であって、ガラス化構造内に被包接体の少なくとも一部を包接してなる卵白組成物を提供する。

0010

ここで、「ガラス化構造」とは、短距離秩序はあるが長距離秩序のない固体であって、配向性を有さないものを意味する。

0011

また、「被包接体の少なくとも一部」とは、「被包接体の化学構造の一部」という意味である。

0012

さらに、「包接」とは「包埋」の概念を含む意味である。

0013

かかる構成によれば、ガラス化構造からなる卵白内に被包接体を包接することにより、被包接体の風味をマスキングすることができる。また、水や湯に添加したり、咀嚼したりしても、被包接体が漏れださないため、食品本来の風味を損なわない。

0014

また、本発明の卵白組成物は、被包接体がアルコール類フェノール類バニロイド類の群の中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。

0015

かかる構成によれば、本発明は特に風味や刺激の強い物質であっても、食品本来の風味を阻害することなく摂取できる点で有効である。

0016

上記課題解決のため、本発明は、卵白と被包接体を混合する混合工程と、混合物加熱して卵白を固化させる加熱工程と、低温乾燥させる乾燥工程と、を少なくとも含む、卵白組成物の製造方法を提供する。

0017

かかる構成によれば、卵白をガラス化構造にすることができるとともに、ガラス化構造からなる卵白内に被包接体の少なくとも一部を包接することができる。

発明の効果

0018

本発明により、風味の強い物質をマスキングした卵白組成物を得ることができる。また、かかる組成物を用いることで、食品本来の風味をほぼ損なわず、食品が本来有していない機能を食品に付与することができる。さらに、咀嚼等によっても、風味の強い物質を漏れにくくすることができる。

0019

以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。

0020

本発明に係る卵白組成物は、ガラス化構造を有する卵白と、ガラス化構造内に少なくとも一部が包接された被包接体とからなる。

0021

本発明に用いることができる卵白としては特に制限されないが、の卵白であることが好ましく、食鳥卵の卵白であることがより好ましい。食鳥卵としては、鶏卵鶉卵などが挙げられる。

0022

本発明にかかるガラス化構造を有する卵白は、卵白を加熱して変性させた後、低温で脱水・乾燥することで得られるものである。ガラス化構造を有する卵白は、短距離秩序はあるが長距離秩序のない固体であって、配向性を有していない。

0023

ガラス化構造を有する卵白と変性固化した卵白との差異としては、脱水・乾燥するとガラス化卵白は透明になるのに対して、変性固化した卵白は白濁のままである。また、ガラス化卵白はお湯に浸漬させても膨化しにくく、お湯を濁らせにくいのに対して、変性固化した卵白は膨化しやすく、お湯を濁らせる。

0024

ガラス化構造を有する卵白の形状としては、粉末、粒状、板状など特に限定されず、用途に応じて用いることができる。

0025

本発明に用いることができる被包接体としては、例えば香辛料医薬品、アミノ酸などが挙げられる。このうち、直接経口摂取することが困難な物質ほど、本発明に適している。被包接体の形態は特に限定されないが、粉末体または液体であることが好ましい。また、被包接体は卵白に可溶性であることが好ましい。

0026

本発明にかかる香辛料としては、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類ケトン類カルボン酸類エステル類ラクトン類エーテル類テルペン類等が挙げられる。このうち、芳香アルデヒド類テルペンアルコール類、フェノール類が好ましい。具体的成分としては、ゲラニオールリナロールシトロネロールバニリンデカラクトンリモネン、1,8−シネオールテルピネン−4−オール、α−テルピネオールオクタナールデカナールメントール柿渋タンニンが例示できる。このうち、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、リナロール、シトロネロール、デカラクトン、柿渋タンニンであることが好ましく、ゲラニオール、テルピネン−4−オール、バニリン、柿渋タンニンであることがより好ましい。

0027

含有量は、体内総摂取量が、0.1〜1000mg/回となるように、更に好ましくは、0.3〜500mg/回となるように適宜設定すればよい。例えば、ゲラニオールの体内摂取量は0.8〜20mg/回であり、バニリンの体内摂取量は9.0〜500mg/回であり、リナロールの体内摂取量は0.1〜20mg/回、テルピネン−4−オールの体内摂取量は0.5〜20mg/回であることが好ましい。

0028

また、本発明にかかる他の香辛料としては、バニロイド類のカプサイシンが挙げられる。さらに、消臭成分クロロフィルシャンピニオンエキス植物乾留成分キナ酸マメ科植物香気成分シソ科植物抽出物オレガノ粉砕物ミネラル含有酵母、タンニン)などが挙げられる。

0029

本発明にかかるアミノ酸としては、単体苦み成分の強いものが適している。具体的には、フェニルアラニントリプトファンアルギニンアルギニン塩酸塩イソロイシンバリンロイシンメチオニンオルニチン塩酸塩ヒスチジンが挙げられる。

0030

卵白に加える被包接体は一種類でもよいし、複数種類組み合わせてもよい。

0031

次に、被包接体の少なくとも一部を包接したガラス化構造からなる卵白組成物の製造方法について説明する。

0032

まず、卵白に被包接体を加え、均一に混ざるように撹拌する。この時、卵白は加熱変性していなければ状態は特に制限されず、液体であっても、メレンゲ状であってもよい。

0033

卵白と被包接体との重量比は99:1〜4:1であることが好ましく、10:1以下であることがより好ましい。卵白と被包接体との重量比が99:1未満であると被包接体そのものの効果が薄まるといった問題点が生じる。一方、卵白と被包接体との重量比が4:1以上だと卵白が凝固しにくいといった問題が生じる。

0034

次に、卵白と被包接体の混合物を加熱し、卵白を加熱変性させる。加熱変性する際の温度としては、70〜90℃が好ましく、80〜85℃がより好ましい。70℃未満だと卵白が変性しない。90℃より高いと炭化する恐れがある。また、加熱方法としては、湯煎などにより穏やかに加熱することが好ましいが、特に制限されない。加熱時間は、卵白が完全に加熱変性すればよいため、特に制限されない。なお、加熱変性した卵白が乾燥しすぎないように加熱することが好ましい。

0035

次に、加熱変性させた卵白を解砕する。解砕の方法としては、ミキサーメッシュすりなどが挙げられる。このうち、解砕に際して熱の影響が少ないメッシュを用いることが好ましい。解砕の際に熱がかかると、被包接物性質が変化してしまう恐れがあるためである。

0036

解砕にメッシュを用いる場合、メッシュのサイズとしては特に限定されず、例えば24〜42が好ましく、30〜35がより好ましい。メッシュのサイズが大きすぎると卵白全てを解砕できなくなり、小さすぎると卵白の状態が液状(ペースト)に近づいてしまう。

0037

次に、解砕した卵白を脱水する。脱水の方法としては、アルコール浸漬、冷風乾燥が挙げられる。このうち、アルコール浸漬が好ましく、特に移り香等の関係からエタノール水溶液への浸漬を用いることが好ましい。この時、エタノール水溶液の濃度としては、70%〜99%が好ましく90%〜95%がより好ましい。エタノール水溶液の濃度が70%未満では含まれる水分量が多く、後述する乾燥に時間がかかってしまうといった問題が生じる。

0038

脱水に用いるエタノール水溶液の量としては、解砕した卵白重量の7〜10倍であることが好ましい。7倍未満では十分なエタノール量がないため、卵白内の水分とエタノール置換が不十分となる。一方、10倍より多くても脱水に差が出ない。

0039

エタノール水溶液への浸漬時間としては、48〜72時間浸漬することが好ましく、50〜60時間浸漬することがより好ましい。48時間未満では、卵白内の水分とエタノールの置換が不十分となり、後述する乾燥に時間がかかってしまうといった問題が生じる。一方、72時間より長く浸漬しても、脱水に差が出なくなる。なお、浸漬時において、時々撹拌することが好ましい。

0040

次に、アルコール浸漬した卵白を乾燥する。乾燥方法としては、低温乾燥風乾減圧乾燥が挙げられる。このうち、穏やかに乾燥させることができる低温乾燥が好ましい。

0041

低温乾燥としては、4〜10℃の温度範囲で乾燥させることが好ましく、5〜8℃の温度範囲で乾燥させることが好ましい。穏やかに乾燥させることで、ガラス化構造が形成されやすい。また、乾燥時間としては、24〜96時間乾燥させることが好ましく、48〜72時間乾燥させることがより好ましい。24時間未満では乾燥が不十分となってしまう。
なお、乾燥後の卵白の水分量としては1〜5%であることが好ましく、2〜4%であることが好ましい。

0042

次に、乾燥した卵白をさらに解砕する。これにより、被包接体の少なくとも一部を包接したガラス化構造からなる卵白組成物が得られる。なお、解砕サイズは特に限定されず、使用目的に応じて適宜設定可能である。

0043

以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。また、本発明の各特性は、以下の方法により評価した。なお、本実施例では、鶏卵を用いた卵白組成物を例に説明する。

0044

実験1>被包接体の包接率
卵白組成物に包接される被包接体の割合について検討した。

0045

(実施例1)
鶏卵卵白99gに、被包接体としてゲラニオール(株式会社井上香料製造所製;ゲラニオール)1gを添加し、よく撹拌した。次に、この卵白をバットに広げ、85℃の湯煎にかけて卵白を凝固させた。凝固させた卵白を#30メッシュを用いて解砕した。解砕した卵白を全体が浸る程度にエタノール(濃度95%以上)を加えて浸漬させた。この状態で時々撹拌させながら、5℃で72時間静置した。その後エタノールを排出し、卵白組成物の水分含量3%となるまで5℃で低温乾燥させた。最後に、再び解砕し、0.4mm台の粉粒を得た。得られた卵白組成物に対して溶剤抽出を行い、GC−MS(アジレント・テクノロジー株式会社製:agilent 7890、5997)で卵白組成物に含まれるゲラニオール量を測定した。その結果を用いて、被包接体の包接率を算出した。

0046

(比較例1)
鶏卵卵白の代わりに酢酸澱粉化学工業株式会社製:スターチサクラ)を用いた。酢酸澱粉20gと水79gの混合液にゲラニオール1gを混ぜた後、加熱乾燥させ、オブラート作成した。さらに、オブラートに対して溶剤抽出を行い、GC−MSで酢酸澱粉に含まれるゲラニオール量を算出した。

0047

(比較例2)
鶏卵卵白の代わりにβシクロデキストリン(株式会社シクロケム製:CAVAMAX(R) W7 Food)を用いた。βシクロデキストリン99.15gとゲラニオール0.85gを混ぜたのち、溶剤抽出を行い、GC−MSでβシクロデキストリンに含まれるゲラニオール量を算出した。

0048

(実施例2)
実施例1において、ゲラニオールをカプサイシン(Plant Lipids(P) Limited社製:CAPAICIN CRYSTAL 95%)に代えたこと以外は、同様である。

0049

(実施例3)
実施例1において、ゲラニオールを柿渋タンニン(岩本亀太郎商店:粉末玉)に代えたこと以外は、同様である。

0050

0051

実施例1及び比較例1,2の結果から明らかなように、ゲラニオールの包接率はガラス化構造からなる卵白(実施例1)が最も高い値となった。次に高い包接率を示したのは、βシクロデキストリン(比較例2)であった。一方、最も低い包接率を示したのは、サクラ(比較例1)であった。ここで、実施例1及び比較例2で高い包接率となったのは、いずれも孔の開いた構造を有するため、そこにゲラニオールが包摂されたためと考えられる。これに対し、比較例1のサクラは穴の開いた構造を取らないためゲラニオールが包摂されず、包接率が低かったものと考えられる。

0052

一方、実施例同士を比べると、カプサイシン(実施例2)の包接率が最も低く、柿渋タンニン(実施例3)の包接率が最も高かった。このような差が出た要因はっきりとは分からないが、被包接体の大きさと、ガラス化構造からなる卵白との親和性の差によるものと考えられる。例えば、柿渋タンニンは、ゲラニオール、カプサイシンに比べて水への親和性が高く、有機溶剤(エタノール)への親和性が低いという特徴を有している。そのため、脱水過程におけるエタノールへの溶出が抑えられために、このような結果が得られたものと考えられる。

0053

<実験2>被包接体のお湯への溶出量
実施例1〜3にかかる卵白組成物をお湯につけた場合の、被包接体の溶出量について確認した。

0054

確認方法は、各実施例の卵白組成物1gを95℃10mlの湯に浸した。40,80,160,320秒経過した時点茶こしを用いてガラス化卵白と湯を分ける。さらに、ガラス化卵白はプロテアーゼ(天野エンザイム株式会社製:プロチンNY100)にて60℃で24時間酵素処理する。お湯と卵白組成物それぞれに含まれる被包接体の量をGC−MSを用いて確認し、それぞれの溶出量を測定した。結果を表2に示す。

0055

0056

表2の結果から明らかなように、全ての被包接体において、75%以上の残存率を示した。また、時間経過に関係なく、残存率はほぼ同じであった。このことから、一旦包接された被包接体からの溶出は、湯に接している表面からによるもので、内部からの溶出は起こっていないものと考えられる。被包接体のうち、最も高い残存率を示したのは、カプサイシンであった。ここで、先の実験1の結果と照らし合わせると、カプサイシンはガラス化構造からなる卵白へ包接される割合は低いが、一旦包接されると溶出しにくい物質であると考えられる。これに対して、ゲラニオールはガラス化構造からなる卵白への包接率はカプサイシンよりも高いものの、カプサイシンに比べて溶出しやすい物質であると考えられる。これは、ゲラニオールが香気成分であるため、湯によっていくらか揮発してしまったためではないかと推察される。

0057


なお、上記表では示していないが、比較例1よび比較例2を湯に浸漬すると、すぐに溶けてしまい、湯からゲラニオールの香りが漂っていた。

0058

<実験3>官能評価
実施例1及び比較例1,2について、包接されるゲラニオール量が同じになる量(1.7mg)を5人のパネラーブラインド条件下で試食してもらい、ゲラニオールの感じ方について評価してもらった。

0059

官能評価の結果、最もゲラニオールの風味を感じたのは、比較例1であった。これは、先の結果と同じく、口腔内で酢酸澱粉が溶解してしまい、ゲラニオールが溶出されたことによるものと考えられる。

0060

次に風味を感じたのは、比較例2であった。比較例2についても、比較例1同様、口腔内でβシクロデキストリンが溶解してしまったために、ゲラニオールが溶出したものと考えられる。

0061

一方、実施例1は、比較例1及び比較例2と比べてゲラニオールの風味を感じられなかったという結果が得られた。これは、ガラス化構造からなる卵白の特性として、湯や溶液に浸しても膨化しづらいという特徴がある。そのため、卵白内からゲラニオールが溶出しづらくなったためと考えられる。

0062

なお、実施例1、比較例1及び比較例2と同量のゲラニオールを直接経口摂取しようとした場合、あまりに風味が強いため、直接経口摂取することは不快感が伴い困難であった。

実施例

0063

以上のことから、本発明にかかるガラス化構造からなる卵白組成物は、直接経口摂取することが困難な風味の強い物質をマスキングすることができるとともに、液体に浸漬された場合でも被包接体が溶出しにくい。このことから、食品に添加した場合であっても食品本来の風味を損いにくくすることができる。また、喫食時の咀嚼等によっても、食品本来の風味を損いにくくすることができる。

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