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技術 発泡粒子成形体及びパネル梱包容器

出願人 株式会社ジェイエスピー
発明者 及川政春西島浩気島昌臣
出願日 2015年3月25日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-062001
公開日 2016年10月13日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2016-180073
状態 特許登録済
技術分野 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理 重合方法(一般) グラフト、ブロック重合体 脆弱物品の包装
主要キーワード ソックスレー抽出後 最高設定温度 成形スキン 押し傷 板状製品 粘り強さ 測定試験片 パネル重量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年10月13日)のものです。
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図面 (8)

課題

へたりにくく、たわみ耐性に優れるとともに、変形による破壊を防止することができる発泡粒子成形体及びパネル梱包容器を提供すること。

解決手段

複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体及びこの発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器1である。発泡粒子成形体を構成する複合樹脂は、エチレン系樹脂100質量部に対して、400〜900質量部のスチレン系単量体含浸重合してなり、所定の膨潤度が1.25以上である。

概要

背景

従来、液晶パネル太陽光発電パネルなどの板状製品梱包には、押し傷擦れによる摩耗割れ欠けが発生せず、複数回の使用が可能であるなどの理由から、プロピレン系樹脂発泡粒子成形体からなる容器が使用されていた。近年、パネルサイズの拡大に伴って梱包重量が大きくなってきた。その結果、プロピレン系樹脂の発泡粒子成形体からなる容器において、梱包状態でのたわみ量が増大する問題が生じた。梱包時のたわみ量が大きいと、搬送機などで梱包状態の容器の両端を支持して持ち上げた際に脱落する虞や、曲りによって液晶パネルが破損してしまう虞がある。

これに対して、エチレン系樹脂スチレン系樹脂との複合樹脂の発泡粒子成形体は、スチレン系樹脂成分量を高めることにより、発泡粒子成形体の剛性を向上させることが可能である(特許文献1〜3参照)。そのため、このような複合樹脂発泡粒子成形体においては、たわみ量を小さくしてたわみ耐性を向上させることが可能であり、搬送性を良好にできる。また、たわみ耐性を保ちつつ発泡倍率を上げることが可能となるため、複合樹脂発泡粒子成形体においては、梱包材自身の重量を削減できるなどの利点がある。

概要

へたりにくく、たわみ耐性に優れるとともに、変形による破壊を防止することができる発泡粒子成形体及びパネル梱包容器を提供すること。複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体及びこの発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器1である。発泡粒子成形体を構成する複合樹脂は、エチレン系樹脂100質量部に対して、400〜900質量部のスチレン系単量体含浸重合してなり、所定の膨潤度が1.25以上である。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体であって、該発泡粒子成形体を構成する複合樹脂は、エチレン系樹脂100質量部に対して、400〜900質量部のスチレン系単量体含浸重合してなり、上記複合樹脂をキシレンによりソックスレー抽出したときのキシレン不溶分と、上記ソックスレー抽出後キシレン溶液に含まれるアセトン不溶分との混合不溶分の温度23℃のメチルエチルケトン中における膨潤度が1.25以上であることを特徴とする発泡粒子成形体。

請求項2

上記エチレン系樹脂が、メタロセン系重合触媒を用いて重合してなる、融点105℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の発泡粒子成形体。

請求項3

上記複合樹脂は、エチレン系樹脂100質量部に対して、450質量部を超え、かつ900質量部以下のスチレン系単量体を含浸重合してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡粒子成形体。

請求項4

上記発泡粒子成形体の見掛け密度が30〜100kg/m3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡粒子成形体。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器であって、複数のパネルを板厚方向に積層した状態で収容する収容部を有することを特徴とするパネル梱包容器。

請求項6

上記発泡粒子成形体の少なくとも表面には帯電防止剤が存在し、上記発泡粒子成形体の表面抵抗率が1×108〜1×1013Ωであることを特徴とする請求項5に記載のパネル梱包容器。

技術分野

0001

本発明は、複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体及び該発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器に関する。

背景技術

0002

従来、液晶パネル太陽光発電パネルなどの板状製品梱包には、押し傷擦れによる摩耗割れ欠けが発生せず、複数回の使用が可能であるなどの理由から、プロピレン系樹脂の発泡粒子成形体からなる容器が使用されていた。近年、パネルサイズの拡大に伴って梱包重量が大きくなってきた。その結果、プロピレン系樹脂の発泡粒子成形体からなる容器において、梱包状態でのたわみ量が増大する問題が生じた。梱包時のたわみ量が大きいと、搬送機などで梱包状態の容器の両端を支持して持ち上げた際に脱落する虞や、曲りによって液晶パネルが破損してしまう虞がある。

0003

これに対して、エチレン系樹脂スチレン系樹脂との複合樹脂の発泡粒子成形体は、スチレン系樹脂成分量を高めることにより、発泡粒子成形体の剛性を向上させることが可能である(特許文献1〜3参照)。そのため、このような複合樹脂発泡粒子成形体においては、たわみ量を小さくしてたわみ耐性を向上させることが可能であり、搬送性を良好にできる。また、たわみ耐性を保ちつつ発泡倍率を上げることが可能となるため、複合樹脂発泡粒子成形体においては、梱包材自身の重量を削減できるなどの利点がある。

先行技術

0004

特開2014−196441号公報
特開2014−196444号公報
特許第5058866号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、複合樹脂発泡粒子成形体は、プロピレン系樹脂発泡成形体に比べて曲げ破断エネルギーが小さい。特に剛性を高めるために、複合樹脂中のスチレン系樹脂成分の割合を高くすると、発泡粒子同士が強固に融着していても粘り強さ不足し、梱包状態で積み重ねたり、梱包状態での移動中に急激な荷重変化が発生したりすると、割れが発生するおそれがある。

0006

本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、へたりにくく、たわみ耐性に優れるとともに、変形による破壊を防止することができる発泡粒子成形体及びパネル梱包容器を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様は、複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体であって、
該発泡粒子成形体を構成する複合樹脂は、エチレン系樹脂100質量部に対して、400〜900質量部のスチレン系単量体含浸重合してなり、
上記複合樹脂をキシレンによりソックスレー抽出したときのキシレン不溶分と、上記ソックスレー抽出後キシレン溶液に含まれるアセトン不溶分との混合不溶分の温度23℃のメチルエチルケトン中における膨潤度が1.25以上であることを特徴とする発泡粒子成形体にある。

0008

本発明の他の態様は、上記発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器であって、
複数のパネルを板厚方向に積層した状態で収容する収容部を有することを特徴とするパネル梱包容器にある。

発明の効果

0009

上記発泡粒子成形体は、エチレン系樹脂に所定の割合のスチレン系単量体を含浸重合してなる複合樹脂から構成されている。そのため、上記発泡粒子成形体は、圧縮強度が高く、曲げ弾性率が高い。それ故、上記発泡粒子成形体は、たわみ耐性に優れる。さらに、上記複合樹脂は、上述の膨潤度が1.25以上である。そのため、上記発泡粒子成形体は、上記のように優れたたわみ耐性を発揮しながらも、へたりにくく、さらに、高い曲げ弾性エネルギーを示すため、変形による破壊を十分に防止することができる。

0010

上記パネル梱包容器は、上述の発泡粒子成形体からなり、複数のパネルを板厚方向に積層した状態で収容する収容部を有する。そのため、上記収容部に複数のパネルを収容してもパネル重量により、パネル梱包容器がたわみにくく、さらに変形により壊れにくい。したがって、パネル梱包容器は、梱包状態で積み重ねたり、梱包状態での移動中に急激な荷重変化が発生したりしても、割れが発生することを防止することができる。また、上記パネル梱包容器は、へたりにくい。

図面の簡単な説明

0011

実施例4におけるパネル梱包容器の斜視図。
実施例4におけるパネル梱包容器の断面図(II−II線矢視断面図)。
実施例4におけるパネル梱包容器の展開図。
実施例4におけるパネル梱包容器を長手方向の両端を把持して持ち上げた様子を示す説明図。
実施例4におけるパネル梱包容器を短手方向の両端を把持して持ち上げた様子を示す説明図。
比較例5におけるパネル梱包容器を長手方向の両端を把持して持ち上げた様子を示す説明図。
比較例5におけるパネル梱包容器を短手方向の両端を把持して持ち上げた様子を示す説明図。

0012

次に、上記発泡粒子成形体及びパネル梱包容器の実施形態について説明する。
発泡粒子成形体は、複合樹脂発泡粒子(以下、適宜「発泡粒子」ともいう)を型内成形してなり、複合樹脂発泡粒子はエチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸、重合させることにより得られる。エチレン系樹脂100質量部に対するスチレン系単量体の配合量は400〜900質量部である。スチレン系単量体が400質量部未満の場合には、剛性が低下し、たわみ耐性が不十分になるおそれがある。同様の観点から、エチレン系脂100質量部に対するスチレン系単量体の配合量は450質量部を超えることが好ましく、500質量部以上であることがより好ましい。一方、スチレン系単量体が900質量部を超える場合には、発泡粒子成形体が割れやすく脆くなる。同様の観点から、エチレン系脂100質量部に対するスチレン系単量体の配合量は800質量部以下が好ましく、700質量部以下であることがより好ましく、600質量部以下であることがさらに好ましい。

0013

エチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン分岐状低密度ポリエチレン高密度ポリエチレンエチレンアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体等を用いることができる。エチレン系樹脂としては、1種の重合体でもよいが、2種以上の重合体の混合物を用いることもできる。

0014

好ましくは、エチレン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とすることがよい。直鎖状低密度ポリエチレンは、好ましくは直鎖のポリエチレン鎖炭素数2〜6の短鎖状の分岐鎖とを有する分岐構造を有するものがよい。具体的には、例えばエチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等が挙げられる。特に、エチレン系樹脂は、メタロセン系重合触媒を用いて重合してなる、融点105℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。この場合には、エチレン系樹脂とスチレン系樹脂との親和性がより向上し、複合樹脂の靱性を高めることできる。また、低分子量成分を少なくし、成形時の発泡粒子間融着強度を高めることができるため、発泡粒子成形体を割れにくくすることができる。さらに、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡粒子成形体を得ることが可能になる。

0015

また、エチレン系樹脂の融点Tmは95〜105℃であることが好ましい。この場合には、複合樹脂発泡粒子の製造時に、エチレン系樹脂にスチレン系モノマーを充分に含浸させることができ、重合時に懸濁系が不安定化することを防止することができる。その結果、スチレン系樹脂の優れた剛性とエチレン系樹脂の優れた粘り強さとをより高いレベルで兼ね備えた発泡粒子成形体を得ることが可能になる。より好ましくはエチレン系樹脂の融点Tmは100〜105℃であることがよい。なお、融点Tmは、JIS K7121(1987年)に基づいて、示差走査熱量測定DSC)にて測定することができる。

0016

エチレン系樹脂は、融点Tm(℃)とビカット軟化点Tv(℃)とが、Tm−Tv≦20(℃)という関係を満足する直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。このようなエチレン系樹脂は、均一な分子構造を示し、架橋による網目構造がより均一にエチレン系樹脂中に分布するものと推察される。したがって、この場合には、発泡粒子成形体の強度及び粘り強さをより向上させることができる。同様の観点から直鎖状低密度ポリエチレンは、Tm−Tv≦15(℃)を満足することがより好ましく、Tm−Tv≦10(℃)を満足することが更に好ましい。なお、ビカット軟化点Tvは、JIS K 7206(1999年)に基づいて、測定することができる。

0017

エチレン系樹脂のメルトマスフローレートMFR:190℃、荷重2.16kg)は、発泡性の観点から0.5〜4.0g/10分が好ましく、1.0〜3.0g/10分がより好ましい。エチレン系樹脂のMFR(190℃、荷重2.16kg)は、JIS K7210(1999年)に基づき、条件コードDで測定される値である。なお、測定装置としては、メルトインデクサー(例えば宝工業(株)製の型式L203など)を用いることができる。

0018

上記スチレン系樹脂とは、樹脂中のスチレン成分単位が50質量%以上であるものをいう。スチレン系樹脂におけるスチレン成分単位は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。なお、本明細書では、スチレン系樹脂を構成するスチレン、必要に応じて添加されるスチレンと共重合可能モノマーを、併せてスチレン系モノマーと称することがある。スチレンと共重合可能なモノマーとしては、例えば下記のスチレン誘導体、その他のビニルモノマー等がある。

0019

スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレンジビニルベンゼンスチレンスルホン酸スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。

0020

また、その他のビニルモノマーとしては、アクリル酸エステルメタクリル酸エステルアクリル酸メタクリル酸水酸基を含有するビニル化合物ニトリル基を含有するビニル化合物、有機酸ビニル化合物、オレフィン化合物ジエン化合物ハロゲン化ビニル化合物ハロゲン化ビニリデン化合物、マレイミド化合物などが挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチルアクリル酸エチル、アクリル酸プロピルアクリル酸ブチルアクリル酸2−エチルヘキシル等がある。
メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチルメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等がある。
水酸基を含有するビニル化合物としては、例えばヒドロキシエチルアクリレートヒドロキシプロピルアクリレートヒドロキシエチルメタクリレートヒドロキシプロピルメタクリレート等がある。
ニトリル基を含有するビニル化合物としては、例えばアクリロニトリルメタクリロニトリル等がある。
有機酸ビニル化合物としては、例えば酢酸ビニルプロピオン酸ビニル等がある。
オレフィン化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン等がある。
ジエン化合物としては、例えばブタジエンイソプレンクロロプレン等がある。
ハロゲン化ビニル化合物としては、例えば塩化ビニル、臭化ビニル等がある。
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば塩化ビニリデン等がある。
マレイミド化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等がある。
これらのビニルモノマーは、単独でも2種類以上を混合したものを用いても良い。

0021

スチレン系樹脂としては、発泡性を高めるという観点から、ポリスチレン、スチレンとアクリル系単量体との共重合体が好ましい。さらに発泡性を高めるという観点からは、後述する実施例に示すように、スチレン系樹脂を構成するモノマーとしては、スチレンとアクリル酸ブチルとを用いることが好ましい。この場合には、複合樹脂中のアクリル酸ブチル成分の含有量は、複合樹脂全体に対して0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。

0022

発泡粒子成形体において、該発泡粒子成形体を構成する複合樹脂をキシレンによりソックスレー抽出したときのキシレン不溶分と、上記ソックスレー抽出後のキシレン溶液に含まれるアセトン不溶分との混合不溶分の温度23℃のメチルエチルケトン中における膨潤度(以下、単に「膨潤度」という)が低すぎる場合には、発泡樹脂成形体の曲げ破断エネルギーが小さく、粘り強さが不十分になるおそれがある。したがって、複合樹脂の膨潤度は上述のように1.25以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2以上がさらに好ましい。また、発泡粒子成形体の収縮を抑えるという観点から、複合樹脂の膨潤度は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。

0023

膨潤度が上記所定値以上である場合に、上述のように剛性と粘り強さが優れる理由については、次のように推察される。有機溶媒架橋エチレン系樹脂を浸漬させた時の膨潤度(膨潤度合い)は、樹脂の架橋構造三次元網目構造)と相関性があり、網目が細かいほど有機溶媒の吸収量が低くなるため、膨潤度は低下する。一方、非架橋のエチレン系樹脂も、温度23℃のメチルエチルケトン中ではほとんど膨潤しない。即ち、上記のごとく複合樹脂のキシレン不溶分(架橋されたエチレン系樹脂成分)と、キシレン可溶分中のアセトン不溶分(メッシュを通過した架橋されたエチレン系樹脂成分、架橋されていないエチレン系樹脂成分、及びスチレン系モノマーがグラフト重合したエチレン系樹脂成分の合計)との混合不溶分の膨潤度が大きい場合には、膨潤度が小さい場合に比べて、複合樹脂を構成するエチレン系樹脂中に、架橋された三次元網目構造の網目が粗いエチレン系樹脂成分が多く含まれていることを意味する。

0024

そのため、架橋された三次元網目構造の網目が粗いエチレン系樹脂成分は、発泡時に、強度を有しながらも適度に伸びやすいため、高い強度を有する気泡膜が形成されると推察される。さらに、複合樹脂発泡粒子において、圧縮された際に、複合樹脂中のエチレン系樹脂が柔軟で十分に変形可能なため、複合樹脂中のスチレン系樹脂の比率が高い場合にも、発泡粒子の気泡膜が破れずに独立気泡構造を維持できるものと推察される。即ち、膨潤度が特定範囲にある場合には、剛性及び粘り強さを高いレベルで兼ね備え、曲げ破断エネルギーの大きな発泡粒子成形体が得られる。

0025

なお、従来検討されていた製造条件(例えば、エチレン系樹脂核粒子と第1モノマー(スチレン系モノマー)との配合比率が大きい条件、エチレン系樹脂核粒子に第1モノマー(スチレン系モノマー)を含浸させる温度が高い条件、水素引き抜き能が高い重合開始剤の使用する条件など)では、重合初期にエチレン系樹脂中でスチレン系モノマーが重合してスチレン系樹脂として析出する速度が速くなり、エチレン系樹脂の架橋された三次元網目構造の網目が細かくなると推察される。一方、重合開始剤の種類や添加量重合温度、エチレン系樹脂核粒子と第1モノマー(スチレン系モノマー)との配合比率を調整することにより、重合初期にスチレン系樹脂成分が析出する速度を遅くして、架橋された三次元網目構造の網目が細かいエチレン系樹脂成分の量を少なく制御することができる。

0026

また、複合樹脂においては、ソックスレー抽出による上記キシレン不溶分の重量割合が40%以下(0を含む)であることが好ましい。この場合には、発泡性をより向上させることができる。また、キシレン不溶分の重量割合は5〜35%であることがより好ましく、10〜30%であることがさらに好ましい。この場合には、発泡粒子成形体の剛性及び粘り強さをより向上させることができる。

0027

発泡粒子成形体の見掛け密度が30〜100kg/m3であることが好ましい。この範囲であれば軽量性緩衝性能を保ちつつ、高い曲げ剛性とへたり耐性を得ることができる。発泡粒子成形体の見掛け密度は、30〜65kg/m3であることがより好ましい。

0028

発泡粒子成形体は、複合樹脂発泡粒子を型内成形して得られ、複合樹脂発泡粒子は、例えば次のようにして製造される。
まず、エチレン系樹脂を主成分とする核粒子を水性媒体中に懸濁させて懸濁液を作製する。次いで、スチレン系モノマーを懸濁液中に添加する。そして、核粒子にスチレン系モノマーを含浸させ、重合させる。次いで、重合後の複合樹脂粒子を発泡させることにより複合樹脂発泡粒子を製造することができる。

0029

核粒子にスチレン系モノマーを含浸させて重合させるにあたっては、使用量の全量のスチレン系モノマーを一括して添加することもできるが、後述の分散工程及び改質工程のように、スチレン系モノマーの使用量を例えば第1モノマー及び第2モノマーに分割し、これらのモノマーを異なるタイミングで添加することもできる。後者のように、スチレン系モノマーを分割して添加することにより、重合時における樹脂粒子同士の凝結を抑制することができる。

0030

具体的には、複合樹脂発泡粒子は、例えば下記の分散工程、改質工程、及び発泡工程を行うことにより製造することができる。分散工程においては、エチレン系樹脂を主成分とする核粒子を水性媒体中に懸濁させた懸濁液中に第1モノマー(スチレン系モノマー)と重合開始剤とを添加し、懸濁液中に第1モノマーを分散させる。

0031

改質工程においては、上記懸濁液を加熱し、核粒子におけるエチレン系樹脂の融点をTmとした時、(Tm−10)〜(Tm+30)℃の温度で、第2モノマー(スチレン系モノマー)を所定の添加時間をかけて上記懸濁液中へ連続的に添加し、上記核粒子にスチレン系モノマーを含浸、重合させる。
なお、スチレン系モノマー(第1モノマー)のシード比(核粒子に対する第1モノマーの重量比)が低すぎる場合には、複合樹脂粒子が扁平になり、成形時の充填性が悪くなるおそれがある。したがって、第1モノマーのシード比は、0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることがさらに好ましい。一方、シード比が高すぎる場合には、スチレン系モノマーが核粒子に充分に含浸される前に重合してしまい、剛性や粘り強さが良好な成形品が得られなくなる虞や懸濁して安定化させることが困難になり、樹脂の塊状物が発生する虞がある。したがって、第1モノマーのシード比は、1.5以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。

0032

発泡工程においては、重合後の複合樹脂粒子を発泡させることにより、複合樹脂発泡粒子を得る。

0033

以下、各工程についてさらに詳細に説明する。
分散工程においては、例えば懸濁剤界面活性剤水溶性重合禁止剤等を含む水性媒体中に核粒子を懸濁させ、懸濁液を作製することができる。また、分散工程においては、懸濁液に第1モノマーと共に重合開始剤を添加することができる。

0034

核粒子は、気泡調整剤着色剤滑材等の添加剤を含有することができる。核粒子は、エチレン系樹脂に必要に応じて添加される添加剤を配合し、配合物溶融混練してから細粒化することにより製造することができる。溶融混練は押出機により行うことができる。このとき、均一な混練を行うために、予め樹脂成分を混合した後に押出を行うことが好ましい。樹脂成分の混合は、例えばヘンシェルミキサーリボンブレンダー、Vブレンダーレディーミキサーなどの混合機を用いて行うことができる。溶融混練は、例えばダルメージタイプ、マドックタイプ、及びユニメルトタイプ等の高分散タイプのスクリュ二軸押出機を用いて行うことが好ましい。

0035

核粒子の微細化は、押出機等により溶融混練した配合物を切断することにより行われる。微細化は、例えばストランドカットアンダーウォーターカットホットカットによって行うことができる。

0036

核粒子は、懸濁剤とともに水性媒体中に分散させることが好ましい。
懸濁剤としては、例えばリン酸三カルシウムハイドロキシアパタイトピロリン酸マグネシウムリン酸マグネシウム水酸化アルミニウム水酸化第2鉄、水酸化チタン水酸化マグネシウムリン酸バリウム炭酸カルシウム炭酸マグネシウム炭酸バリウム硫酸カルシウム硫酸バリウムタルクカオリンベントナイト等の微粒子状の無機懸濁剤を用いることができる。また、例えばポリビニルピロリドンポリビニルアルコールエチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロース等の有機懸濁剤を用いることもできる。好ましくは、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムがよい。これらの懸濁剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0037

懸濁剤の使用量は、懸濁重合系の水性媒体反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水)100質量部に対して、固形分量で0.05〜10質量部が好ましい。より好ましくは0.3〜5質量部がよい。懸濁剤が上記範囲内から外れて少なすぎる場合には、スチレン系モノマーを懸濁して安定化させることが困難になり、樹脂の塊状物が発生するおそれがある。一方、懸濁剤が上記範囲内から外れて多すぎる場合には、製造コストが増大してしまうだけでなく、粒子径分布が広がってしまうおそれがある。

0038

また、懸濁液には界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤ノニオン系界面活性剤カチオン系界面活性剤両性界面活性剤等を用いることができる。

0039

アニオン系界面活性剤としては、例えばアルキルスルホン酸ナトリウムアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムラウリル硫酸ナトリウムα‐オレフィンスルホン酸ナトリウムドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンドデシルエーテルポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等を用いることができる。
カチオン系界面活性剤としては、ココナットアミンアセテートステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩を用いることができる。また、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム等を用いることもできる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタインステアリルベタイン等のアルキルベタインを用いることができる。また、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイドを用いることもできる。
これらの界面活性剤は、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。

0040

好ましくは、界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤を用いることがよい。より好ましくは、炭素数8〜20のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)がよい。これにより、懸濁を充分に安定化させることができる。
また、懸濁液には、必要に応じて、例えば塩化リチウム塩化カリウム塩化ナトリウム硫酸ナトリウム硝酸ナトリウム炭酸ナトリウム重炭酸ナトリウム等の無機塩類からなる電解質を添加することができる。

0041

また、靭性機械的強度に優れる発泡粒子成形体を得るためには、懸濁液に水溶性重合禁止剤を添加することが好ましい。
水溶性重合禁止剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム亜硝酸カリウム亜硝酸アンモニウム、L−アスコルビン酸クエン酸等を用いることができる。
水溶性重合禁止剤は、核粒子内に含浸し難く、水性媒体中に溶解する。したがって、核粒子に含浸したスチレン系モノマーの重合は行われるが、核粒子に含浸されていない水性媒体中のスチレン系モノマーの微小液滴、及び核粒子に吸収されつつある核粒子表面付近のスチレン系モノマーの重合を抑制することができる。その結果、複合樹脂粒子の表面のスチレン系樹脂の量を少なく制御することができ、得られる発泡粒子成形体の靭性が向上すると推察される。
水溶性重合禁止剤の添加量は、水性媒体(反応生成物含有スラリーなどの水を含む系内の全ての水をいう)100質量部に対して0.001〜0.1質量部が好ましく、より好ましくは0.005〜0.06質量部がよい。

0042

また、核粒子内でスチレン系モノマーを均一に重合させるためには、スチレン系モノマーを核粒子に含浸させて重合させる。この場合には、スチレン系モノマーの重合と共にエチレン系樹脂の架橋が生じることがある。スチレン系モノマーの重合においては重合開始剤を用いるが、必要に応じて架橋剤を併用することができる。また、重合開始剤及び/又は架橋剤を使用する際には、予めスチレン系モノマーに重合開始剤及び/又は架橋剤を溶解しておくことが好ましい。

0043

重合開始剤としては、スチレン系モノマーの懸濁重合法に用いられるもの、例えばビニルモノマーに可溶で、10時間半減期温度が50〜120℃である重合開始剤を用いることができる。具体的には、例えばクメンヒドロキシパーオキサイドジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物を用いることができる。また、重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を用いることもできる。これらの重合開始剤は1種類、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、上述の複合樹脂の膨潤度を調整しやすく、残留モノマーを低減しやすいという観点から、重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが好ましい。

0044

重合開始剤は、溶剤に溶解させて添加し、核粒子に含浸させることもできる。
重合開始剤を溶解する溶剤としては、芳香族炭化水素脂肪族炭化水素等を用いることができる。芳香族炭化水素としては、例えばエチルベンゼントルエン等がある。脂肪族炭化水素としては、例えばヘプタンオクタン等がある。重合開始剤は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲内で使用することが好ましい。

0045

また、架橋剤としては、重合温度では分解せず、架橋温度で分解する10時間半減期温度が重合温度よりも5〜50℃高いものを用いることが好ましい。具体的には、例えばジクミルパーオキサイド、2,5−t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン等の過酸化物を用いることができる。架橋剤としては、これらのうち単独または2種類以上併用して用いることができる。架橋剤の配合量は、スチレン系モノマー100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
なお、重合開始剤及び架橋剤としては、同じ化合物を採用することもできる。

0046

また、スチレン系モノマーには、気泡調整剤を添加することができる。また、核粒子を作製する際に、エチレン系樹脂と共に気泡調整剤を混練することにより、核粒子中に気泡調整剤を添加することもできる。複合樹脂中の気泡調整剤の含有量を、複合樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部となるように調整することが好ましい。
気泡調整剤としては、例えば脂肪酸モノアミド脂肪酸ビスアミド、タルク、シリカポリエチレンワックスメチレンビスステアリン酸メタクリル酸メチル系共重合体シリコーン、タルク、硼酸亜鉛硫酸アルミニウム明礬ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができる。脂肪酸モノアミドとしては、例えばオレイン酸アミドステアリン酸アミドラウリル酸アミドエルカ酸アミドベヘン酸アミド等を用いることができる。脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスステアリン酸アミド等を用いることができる。

0047

また、スチレン系モノマーには、必要に応じて可塑剤油溶性重合禁止剤難燃剤染料等を添加することができる。
可塑剤としては、例えば脂肪酸エステルアセチル化モノグリセライド油脂類炭化水素化合物等を用いることができる。脂肪酸エステルとしては、例えばグリセリントリステアレート、グリセリントリオクトエート、グリセリントリラウレートソルビタントリステアレートソルビタンモノステアレートブチルステアレート等を用いることができる。また、アセチル化モノグリセライドとしては、例えばグリセリンジアセトモノラウレート等を用いることができる。油脂類としては、例えば硬化牛脂硬化ひまし油等を用いることができる。炭化水素化合物としては、例えばシクロヘキサン、流動パラフィン等を用いることもできる。
また、油溶性重合禁止剤としては、例えばパラ−t−ブチルカテコールハイドロキノンベンゾキノン等を用いることができる。

0048

次に、上記改質工程においては、分散工程後の懸濁液の加熱を開始する。そして、核粒子におけるエチレン系樹脂の融点をTmとした時、(Tm−10)〜(Tm+30)℃の温度で、第2モノマー(スチレン系モノマー)を所定の添加時間をかけて懸濁液中へ連続的に添加することが好ましい。これにより、核粒子へスチレン系モノマーを含浸させ、重合させることができる。第2モノマーを添加する温度が(Tm−10)〜(Tm+30)℃という温度から外れる場合には、懸濁系が不安定化し、樹脂の塊状物が発生するおそれがある。第2モノマーを添加する温度は、より好ましくは(Tm−5)〜(Tm+10)℃であることがよい。

0049

また、改質工程における重合温度は、使用する重合開始剤の種類によって異なるが、60〜105℃であることが好ましい。また、架橋温度は使用する架橋剤の種類によって異なるが、100〜150℃であることが好ましい。

0050

膨潤度が上記所定の範囲となる発泡粒子成形体は、次のように、製造条件を調整することにより得られる。具体的には、
(1)エチレン系樹脂を含む核粒子に対して含浸させるスチレン系モノマーを複数回に分けて含浸させ、そのうち最初に含浸させるスチレン系モノマー(第1モノマー)の添加割合を比較的多くし、第1モノマーに対する重合開始剤の割合を比較的少なくして第1モノマーを重合させること、
(2)重合開始剤としてジクミルパーオキサイドより水素引き抜き能が低いt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートやt−ヘキシルパーオキシベンゾエートを開始剤として使用すること、
(3)重合開始剤を第1モノマーのみに溶解させて重合することによって、含浸重合における初期段階でのスチレン系モノマーの重合状態を制御すること、
により、エチレン系樹脂内の架橋密度が高くなりにくく、膨潤度が上記所定の範囲内にある発泡粒子成形体の製造が可能となる。従来検討されていた製造条件では、エチレン系樹脂を含む核粒子に含浸させるスチレン系モノマー(第1モノマー)の比率が小さく、かつ重合開始剤として水素引き抜き能が高いジクミルパーオキサイドを使用し、重合開始剤を第1モノマーと第2モノマーに分割で添加しているため、エチレン系樹脂内の架橋密度が高くなりすぎ、膨潤度が低くなると考えられる。

0051

複合樹脂粒子の発泡には、予め複合樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸させてからスチーム温水温風で加熱させる予備発泡方法や、圧力容器内で揮発性発泡剤と共に加熱した後、低圧化に放出して発泡するダイレクト発泡方法を採用することができる。使用する発泡剤としては、ブタンペンタンプロパン等の有機系発泡剤を用いることもできるし、炭酸ガス、空気、窒素等の無機系発泡剤を用いることもできる。好ましくは、無機系発泡剤がよい。有機系発泡剤は複合樹脂粒子の発泡後も発泡粒子中に留まり、成形時に気泡内の内圧を高めるため、冷却時間が長くなる傾向がある。これに対し、無機系発泡剤を使用すると発泡粒子内にガス残留しないため、成形時に粒子内圧の上昇が発生せず、短時間で成形体の冷却を完了し、成形型から取り出すことが可能となる。

0052

発泡粒子成形体は、公知のスチーム加熱による型内成形方法により、製造可能である。即ち、多数の複合樹脂発泡粒子を金型等の成形型内に充填し、該成形型内にスチームを導入して複合樹脂発泡粒子同士を融着させることにより、発泡粒子成形体を得ることができる。

0053

発泡粒子成形体の曲げ弾性率は、18MPa以上であることが好ましく、19MPa以上であることがより好ましく、20MPa以上であることがさらに好ましい。発泡粒子成形体の曲げ剛性の観点からは、その曲げ弾性率の上限は特に限定されるものではないが、その上限は概ね30MPa程度である。

0054

発泡粒子成形体の曲げ破断エネルギーは、150kJ/cm2以上であることが好ましく、200kJ/cm2以上であることがより好ましく、250kJ/cm2以上であることがさらに好ましい。発泡粒子成形体の靭性の観点からは、その曲げ破断エネルギーの上限は特に限定されるものではなく、破断しないことが最も好ましいが、その上限は概ね400kJ/cm2程度である。

0055

上記曲げ弾性率は、JIS K7221(1999)に基づき測定される値である。上記曲げ破断エネルギーは、前記曲げ試験時に得られる破断点までのたわみ量−荷重曲線横軸(たわみ量)とによって囲まれる面積から算出される値である。

0056

発泡粒子成形体の50%圧縮応力は、400kPa以上であることが好ましく、450kPa以上であることがより好ましく、500kPa以上であることがさらに好ましい。発泡粒子成形体の圧縮剛性の観点からは、その50%圧縮応力の上限は特に限定されるものではないが、その上限は概ね700kPa程度である。

0057

上記50%圧縮応力は、JIS K 6767(1999)に基づき測定される50%ひずみ時の圧縮荷重を意味する。

0058

上記発泡粒子成形体は、パネル梱包容器に好適である。パネル梱包容器は、発泡粒子成形体からなり、複数のパネルを板厚方向に積層した状態で収容するように構成された収容部を有する。パネルとしては、ガラス板等のほかに、特にテレビモニタ等の液晶パネル、太陽光発電パネルなどがあり、上記発泡粒子成形体は、これらのパネルの梱包容器として好適である。液晶パネルは、近年の製品サイズの拡大に伴って重量が大きくなっている。太陽光発電パネルも重量が大きい。このような重量の大きなパネルの梱包用として、上記発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器を採用することにより、へたりにくく、たわみ耐性に優れ、変形による破壊を防止できるという上述の効果が十分にいかされる。

0059

このような梱包容器としては、具体的には、複数のパネルを水平方向に向けて板厚方向に積層した状態で収容する収容部を有するパネル梱包容器であって、
該パネル梱包容器は、複合樹脂発泡粒子を型内成形してなる、見掛け密度40〜100kg/m3の発泡粒子成形体からなり、
該発泡粒子成形体を構成する複合樹脂は、エチレン系樹脂100質量部に対して、400〜900質量部のスチレン系単量体を含浸重合してなり、
上記複合樹脂をキシレンによりソックスレー抽出したときのキシレン不溶分と、上記ソックスレー抽出後のキシレン溶液に含まれるアセトン不溶分との混合不溶分の温度23℃のメチルエチルケトン中における膨潤度が1.25以上であることを特徴とするパネル梱包容器がある。

0060

パネル梱包容器は、上記収容部を有する容器本体と、該容器本体の開口部を塞ぐ蓋体とを有し、上記容器本体及び上記蓋体は上記発泡粒子成形体からなることが好ましい。この場合には、収容部の内部を密閉することが可能になるため、異物混入等を防止することができる。また、容器本体部側だけでなく、蓋体側にも上記収容部が形成されていてもよい。

0061

パネル梱包容器においては、発泡粒子成形体の少なくとも表面に帯電防止剤が存在し、上記発泡粒子成形体の表面抵抗率が1×108〜1×1013Ωであることが好ましい。この場合には、パネル梱包容器が十分な帯電防止性能を示し、液晶パネルや太陽光発電パネルなどにさらに好適になる。なお、発泡粒子成形体の表面抵抗率は、JIS C2170(2004年)に基づき、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定される値である。

0062

帯電防止剤は、以下のいずれかの方法やこれらの組み合わせによって、発泡粒子成形体に含有させることができる。具体的には、帯電防止剤を核粒子の造粒時にエチレン系樹脂に練り込む方法、帯電防止剤を重合時に添加する方法、帯電防止剤を複合樹脂粒子の発泡時に添加し、発泡粒子に含浸させる方法、帯電防止剤を発泡粒子に塗布する方法、帯電防止剤を発泡粒子成形体に塗布する方法等がある。
帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。好ましくは、帯電防止剤として、カチオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを併用することがよい

0063

(実施例1)
以下に、発泡粒子成形体の実施例について説明する。本例においては、以下のようにして、核粒子から複合樹脂発泡粒子を製造し、複合樹脂発泡粒子を用いて発泡粒子成形体を製造する。

0064

(1)核粒子の作製
エチレン系樹脂として、メタロセン重合触媒を用いて重合してなる直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ HF210K」)を準備した。本例のエチレン系樹脂を以下適宜「PE−1」という。PE−1のMFR(190℃、荷重2.16kg;g/10min)、密度(kg/m3)、引っ張り弾性率(MPa)、融点(℃)を後述の表1に示す。PE−1のMFR(190℃、荷重2.16kg)は、JIS K7210(1999年)に基づき、条件コードDで測定される値である。なお、測定装置としては、メルトインデクサー(宝工業(株)製の型式L203)を用いた。また、PE−1の引張り弾性率は、JIS K6922−2(2010年)により測定される値である。PE−1の融点は、PE−1の原料ペレット約5mgを用いて、JIS K7121(1987年)に基づいて、熱流束示差走査熱量測定(DSC)により測定した。なお、JIS K7121(1987年)の規定において、試験片状態調節としては、『(2)一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合』を採用し、加熱速度及び冷却速度を共に10℃/分として測定された融解ピーク温度が融点である。

0065

また、気泡調整剤マスターバッチとして(ポリコール(株)製「CE−7335」)を準備した。尚、ポリコール(株)製「CE−7335」は、ホウ酸亜鉛(気泡調整剤)の含有量が10質量%、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンZ HF210K」)の含有量が90質量%である。

0066

エチレン系樹脂(PE−1)8.65kgと、気泡調整剤マスターバッチ1.35kgとをヘンシェルミキサーに投入し、5分間混合し、樹脂混合物を得た。次いで、50mmφ単軸押出機を用いて、樹脂混合物を押出機最高設定温度250℃で溶融混練し、水中カット方式により平均0.5mg/個に切断することにより、核粒子(エチレン系樹脂核粒子)を得た。

0067

(2)複合樹脂粒子の作製
撹拌装置の付いた内容積3Lのオートクレーブに、脱イオン水1000gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.0gを加えた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物12.9gを加え、室温で30分間撹拌した。これにより、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)2.0g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.2g、及び核粒子75gを投入した(分散工程)。

0068

次いで、重合開始剤Aとしてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.72g(日油社製「パーブチルE」)と、重合開始剤Bとしてのt−ブチルパーオキシベンゾエート0.86g(日油社製「パーヘキシルZ」)と、連鎖移動剤としてのαメチルスチレンダイマー(日油社製「ノフマーMSD」)0.63gとを、第1モノマー(スチレン系モノマー)に溶解させた。そして、溶解物撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン70gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを用いた。

0069

次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度100℃まで昇温させた。昇温後、この温度100℃で1時間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、温度100℃で7.5時間保持した。(改質工程)。尚、温度100℃に到達してから1時間経過時に、第2モノマー(スチレン系モノマー)としてのスチレン350gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。

0070

次いで、温度125℃まで2時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で5時間保持した。その後、オートクレーブ内を冷却させ、内容物(複合樹脂粒子)を取り出した。硝酸を添加して複合樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機により脱水及び洗浄を行い、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去することにより、スチレン系単量体とエチレン系樹脂との質量比から求められるスチレン系樹脂とエチレン系樹脂の比率(質量比)が85:15の複合樹脂粒子を得た。

0071

(3)複合樹脂発泡粒子の製造
次いで、複合樹脂粒子500gを分散媒(水)3500gと共に撹拌機を備えた5Lの密閉容器耐圧容器)内に仕込み、分散媒中に分散剤としてのカオリン5gと、界面活性剤としてのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5gとをさらに添加した。次いで、回転速度300rpmで密閉容器内を撹拌しながら発泡温度165℃まで昇温させた。その後、無機系物理発泡剤である二酸化炭酸(CO2)を密閉容器内の圧力が3.2MPa(G:ゲージ圧)になるように密閉容器内に圧入し、同温度(165℃)で15分間保持することにより複合樹脂粒子中二酸化炭素を含浸させて、発泡性複合樹脂粒子を得た。次いで、発泡性複合樹脂粒子を分散媒と共に密閉容器から大気圧下に放出することにより、嵩密度が48kg/m3の複合樹脂発泡粒子(一次発泡粒子)を得た。

0072

次に、上記のようにして得られた複合樹脂発泡粒子100質量部と、帯電防止剤(第一工業製薬(株)製のカチオン系界面活性剤「カチオゲンES−O」)2質量部と、ノニオン系帯電防止剤グリセリンモノステアレート)1質量部とをポリ袋に入れ、良く振り混ぜた後、複合樹脂発泡粒子を温度40℃のオーブン内で12時間乾燥した。

0073

(5)発泡粒子成形体の製造
上記のようにして得られた複合樹脂発泡粒子を、縦250mm、横200mm、厚み50mmの平板形状のキャビティを有する金型内に充填した。次いで、金型内に水蒸気を導入することにより、複合樹脂発泡粒子を加熱して相互に融着させた。その後、金型内を水冷によって冷却した後、金型より発泡粒子成形体を取り出した。さらに発泡粒子成形体を温度60℃に調整されたオーブン内に12時間載置することにより、乾燥及び養生を行った。以上のようにして発泡粒子成形体を製造した。

0074

得られた発泡粒子成形体について、配合組成から算出される複合樹脂中のスチレン系樹脂とエチレン系樹脂との質量比(スチレン系樹脂/エチレン系樹脂)、複合樹脂中のアクリル酸ブチルの含有量(質量%)を後述の表2に示す。また、成形条件として、成形時の成形圧(MPa)、水冷時間(秒)を後述の表2に示す。さらに、発泡粒子成形体について、膨潤度、キシレン不溶分の割合(%)、スチレン系樹脂の重量平均分子量Mw、見掛け密度、曲げ弾性率(MPa)、曲げ弾性エネルギー(kJ/cm2)、圧縮強度(kPa)、表面抵抗率(Ω)を以下のようにして測定した。その結果を後述の表2に示す。

0075

「膨潤度」
まず、発泡粒子成形体から約1gの試験片を切り出して、その重量(W0)を小数第4位まで計量した。次いで、試験片を150メッシュの金網袋中に入れた。次に、容量200mlの丸型フラスコに約200mlのキシレンを入れ、ソックスレー抽出管に上記金網袋に入れたサンプルをセットした。マントルヒーターでフラスコを8時間加熱することにより、ソックスレー抽出を行った。抽出終了後空冷により冷却した。冷却後、抽出管から金網を取り出し、約600mlのアセトンにより金網ごとサンプルを洗浄した。次いで、アセトンを揮発させてから温度120℃で乾燥した。この乾燥後に金網内から回収したサンプルが「キシレン不溶分」である。
また、上記ソックスレー抽出後のキシレン溶液を600mlのアセトン中に投入した。そして、アセトンに溶解しない成分をJIS P3801に規定される5種Aのろ紙を用いてろ過して分離回収し、回収物減圧下で蒸発乾固させた。得られた固形物が「アセトン不溶分」である。
これらの操作により得られた「キシレン不溶分」と「アセトン不溶分」との混合不溶分の重量(Wa)を小数点第4位まで計量した。なお、他の実施例において、混合不溶分の重量が0.2gに満たない場合には、十分量の混合不溶分を得るために、上記操作を繰り返し行って0.2g以上の混合不溶分を得た。他の実施例においても同様である。
次に、混合不溶分を50mlのメチルエチルケトン中に浸漬し、温度23℃で24時間放置した。その後、メチルエチルケトンから混合不溶分を取出し、濾紙で軽く拭いた後、混合不溶分の重量(Wb)を小数点第4位まで計量した。そして、メチルエチルケトン浸漬前後の混合不溶分の重量(Wa、Wb)に基づいて、下記の式(1)により膨潤度Sを求めた。
S=Wb/Wa・・・(1)

0076

「キシレン不溶分の割合(XYゲル量)」
キシレン不溶分の割合は、上記膨潤度にて計量した試験片の重量(W0)に対する、
上記膨潤度の測定で得られたキシレン不溶分の重量(W1)の割合(W1/W0;百分率
%))である。

0077

「スチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)」
まず、上述の方法と同様にして、ソックスレー抽出を行った。そして、抽出したキシレン溶液をアセトン600mlへ投下し、デカンテーション減圧蒸発乾固を行った。その結果、アセトン可溶分としてスチレン系樹脂を得た。そして、スチレン系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法(高分子測定用ミックゲルカラム)により測定した。具体的には、東ソー(株)製の測定装置(HLC−8320GPC EcoSEC)を用いて、溶離液テトラヒドロフラン(THF)、流量:0.6ml/分、試料濃度:0.1wt%、カラム:TSKguardcolumn SuperH−H×1本、TSK−GEL SuperHM−H×2本を直列に接続するという測定条件で測定した。即ち、重量平均分子量は、スチレン系樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで校正して求めた。

0078

「見掛け密度」
見掛け密度は、発泡粒子成形体の質量をその体積で除することにより算出した。

0079

「曲げ弾性率」
曲げ弾性率は、JIS K 7221(1999年)に記載の3点曲げ試験方法に準拠して測定した。該曲げ弾性率は、厚み20mm×幅25mm×長さ120mmの試験片を複合樹脂発泡粒子成形体から全面が切削面となるように切り出し、室温23℃、湿度50%の恒室内に24時間以上放置後、支点間距離100mm、圧子半径R15.0mm、支持台の半径R15.0mm、試験速度20mm/min、室温23℃、湿度50%の条件で、オートグラフAGS−10kNG(島津製作所製)試験機により測定し、算出された値(5点以上)の平均値を採用した。

0080

「曲げ破断エネルギー」
上述の曲げ弾性率の測定と同様に3点曲げ試験を行い、たわみ量(mm)と荷重(kN)と関係から破断点までのエネルギー(kJ)を求めた。エネルギーは、破断点までのたわみ量−荷重曲線と、横軸(たわみ量)とによって囲まれる面積から算出される。そして、破断点までのエネルギー(kJ)を試験片の断面積(cm2)で除することにより、単位断面積当たりの曲げ破断エネルギー(kJ/cm2)を算出した。

0081

「圧縮強度」
発泡粒子成形体の中央部分から縦50mm、横50mm、厚み25mmの直方体状の試験片を切出した。次に、この試験片に対してJIS K 6767(1999)に準拠して50%ひずみ時の圧縮荷重を求めた。この圧縮荷重を試験片の受圧面積で除することより、圧縮応力(50%圧縮応力)を算出した。本明細書ではこの圧縮応力を圧縮強度ともいう。

0082

「表面抵抗率」
発泡粒子成形体の表面抵抗率を次のようにして測定した。
発泡粒子成形体を23℃、50%RHの条件下で製造直後から1日間養生した後に、JIS C2170(2004年)に準拠した以下の方法により、23℃、50%RHの条件下で測定を行った。まず、発泡粒子成形体の中央部付近から縦:100mm、横:100mm、厚み:成形体の厚み(50mm)のままという直方体状の測定試験片を切り出した。測定試験片は5個準備した。測定装置として三菱化学社製「ハイレスタMCPHT450」を使用して、各試験片の成形スキン面の表面抵抗率(Ω)を測定した。5個の測定試験片からそれぞれ得られた表面抵抗率の値を相乗平均した値を採用した。

0083

(実施例2)
本例においては、まず、エチレン系樹脂(PE−1)の量を8.65kgから9kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから1kgに変更した点を除いては実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子100gを使用し、第1モノマーとして、スチレン85gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン300gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を作製した。そして、この複合樹脂粒子を用いて実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。

0084

(実施例3)
本例においては、まず、エチレン系樹脂(PE−1)の量を8.65kgから8kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから2kgに変更した点を除いては実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子53gを使用し、第1モノマーとして、スチレン38gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン394gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を作製した。そして、この複合樹脂粒子を用いて実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。

0085

(比較例1)
エチレン系樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体EVA)(日本ユニカー社製「NUC−3221」)を準備した。本例のエチレン系樹脂を以下適宜「PE−2」という。PE−2のMFR(190℃、荷重2.16kg;g/10min)、密度(kg/m3)、引っ張り弾性率(MPa)、融点(℃)を後述の表1に示す。これらは、上述の実施例1と同様にして測定される値である。本例においては、実施例1において核粒子の作製時にエチレン系樹脂として使用した8.65kgのPE−1の代わりに10kgのPE−2を使用し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから0kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。

0086

次に、実施例1と同様にして懸濁剤(ピロリン酸マグネシウムスラリー)を作製した後、この懸濁剤に、界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)2.0g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.2g、及び上述の核粒子150gを投入した。次いで、重合開始剤Aとしての過酸化ベンゾイル1.29g(日油社製「ナイパーBW」、水希釈粉体品)と、重合開始剤Bとしてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート2.58g(日油社製「パーブチルE」)、及び重合開始剤Cとしてのジクミルパーオキサイド(日油社製「パークミルD」)0.86gを、第1モノマー(スチレン系モノマー)に溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン150gを用いた。

0087

次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度88℃まで昇温させた。昇温後、この温度88℃で30分間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、30分かけて温度88℃から80℃まで冷却した。次いで、この重合温度80℃で8時間保持した。なお、温度80℃到達時に第2モノマー(スチレン系モノマー)としてのスチレン200gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。

0088

次いで、温度125℃まで4時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で2時間30分間保持した。その後、温度90℃まで1時間かけて冷却し、撹拌速度を400rpmに下げ、そのまま温度90℃で3時間保持した。そして、温度90℃到達時に、発泡剤として、シクロヘキサン20gとブタン(ノルマルブタン約20体積%、イソブタン約80体積%の混合物)65gを約1時間かけオートクレーブ内に添加した。さらに、温度105℃まで2時間かけて昇温し、この温度105℃で5時間保持した後、温度30℃まで約6時間かけて冷却した。冷却後、内容物を取り出し、硝酸を添加して樹脂粒子の表面に付着したピロリン酸マグネシウムを溶解させた。その後、遠心分離機で脱水・洗浄し、気流乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、発泡性複合樹脂粒子を得た。次に、発泡性複合樹脂粒子に帯電防止剤(N,N—ビス(2−ヒドロキシエチルアルキルアミン)を添加し、さらにステアリン酸亜鉛、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンジステアレートの混合物で被覆した。このようにして、発泡性複合樹脂粒子を作製した。

0089

次に、上記のようにして得られた発泡性複合樹脂粒子を容積30Lの常圧バッチ発泡機内に入れ、この発泡機内にスチームを供給した。これにより、発泡性複合樹脂粒子を嵩密度が48kg/m3の複合樹脂発泡粒子(一次発泡粒子)を作製した。そして、この複合樹脂発泡粒子を用いて実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。

0090

(比較例2)
撹拌装置の付いた内容積3Lのオートクレーブに、脱イオン水1100gを入れ、更にピロリン酸ナトリウム6.6gを加えた。その後、粉末状の硝酸マグネシウム・6水和物14.2gを加え、室温で30分間撹拌した。これにより、懸濁剤としてのピロリン酸マグネシウムスラリーを作製した。次に、この懸濁剤に界面活性剤としてのラウリルスルホン酸ナトリウム(10質量%水溶液)2.2g、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウム0.22g、及び実施例1と同様の核粒子56gを投入した。

0091

次いで、重合開始剤Aとしての過酸化ベンゾイル1.29g(日油社製「ナイパーBW」、水希釈粉体品)と、重合開始剤Bとしてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート2.58g(日油社製「パーブチルE」)と、架橋剤としてのジクミルパーオキサイド(日油社製「パークミルD」)0.86gとを、第1モノマー(スチレン系モノマー)に溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度500rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の懸濁剤中に投入した。なお、第1モノマーとしては、スチレン100gとアクリル酸ブチル12gとの混合モノマーを用いた。

0092

次いで、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、昇温を開始し、1時間30分かけて温度88℃まで昇温させた。昇温後、この温度88℃で30分間保持した。その後、撹拌速度を450rpmに下げ、30分かけて温度88℃から80℃まで冷却した。次いで、この重合温度80℃で8時間保持した。なお、温度80℃到達時に第2モノマー(スチレン系モノマー)としてのスチレン231gを5時間かけてオートクレーブ内に添加した。

0093

次いで、温度125℃まで4時間かけて昇温させ、そのまま温度125℃で2時間30分間保持した。その後、温度30℃まで約6時間かけて冷却して複合樹脂粒子を作製した。そして、この複合樹脂粒子を用いて実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。

0094

(比較例3)
本例においては、まず、エチレン系樹脂(PE−1)の量を8.65kgから9.35kgに変更し、気泡調整剤マスターバッチの量を1.35kgから0.65kgに変更した点を除いては、実施例1と同様にして核粒子を作製した。次いで、この核粒子150gを使用し、第1モノマーとして、スチレン135gとアクリル酸ブチル15gとの混合モノマーを使用し、第2モノマーとしてスチレン200gを使用した点を除いては、実施例1と同様にして複合樹脂粒子を作製した。そして、この複合樹脂粒子を用いて実施例1と同様にして発泡粒子成形体を作製した。

0095

(実施例及び比較例の結果)
実施例2〜3及び比較例1〜3において作製した発泡粒子成形体について、実施例1と同様の評価結果を表1及び表2に示す。

0096

0097

0098

表2より知られるように、エチレン系樹脂100質量部に対して、400〜900質量部のスチレン系単量体を含浸重合してなり、膨潤度が1.25以上の複合樹脂からなる発泡粒子成形体(実施例1〜3)は、曲げ弾性率が高く、さらに曲げ破断エネルギーも高い。そのため、上記発泡粒子成形体は、たわみ耐性に優れるとともに、変形による破壊を防止することができる。さらに、実施例1〜3の発泡粒子成形体は、圧縮強度が高いため、へたりにくい。

0099

これに対し、比較例1は、エチレン系樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を有しかつ水素引き抜き能が高いジクミルパーオキサイドを重合開始剤に使用しているため、エチレン系樹脂内の架橋密度が高くなりやすく、膨潤度が低すぎる。そのため、曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こり易くなるという問題がある。さらに、複合樹脂中のスチレン系樹脂量が少なすぎるため、圧縮強度や曲げ弾性率が低いという問題がある。また、発泡剤としてブタン等の有機系発泡剤が用いられているため、複合樹脂発泡粒子に有機系発泡剤が残留し、発泡剤として二酸化炭酸(CO2)を用いた場合より成形水冷時間が長くなる。

0100

比較例2は、比較例1に比べると複合樹脂中のスチレン系樹脂量が多いため、圧縮強度や曲げ弾性率が実施例に匹敵するほど高い。しかし、比較例2においては複合樹脂粒子の製造時に、核粒子に最初に含浸させるスチレン系モノマー(第1モノマー)の添加割合が多すぎ、かつ水素引き抜き能が高いジクミルパーオキサイドを重合開始剤として使用しているため、膨潤度が低すぎる。そのため、曲げ破断エネルギーが不十分であり、変形による破壊が起こり易くなるという問題がある。

0101

比較例3は、核粒子に含浸、重合させるスチレン系単量体の量が少ない例であり、発泡粒子成形体の剛性が低い。そのため、圧縮強度や曲げ弾性率が低く、変形しやすく、へたりやすいという問題がある。

0102

(実施例4)
本例は、発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器の例である。
図1図3に示すごとく、本例のパネル梱包容器1は、発泡粒子成形体からなり、複数のパネル4を板厚方向に積層した状態で収容する収容部10を有する。パネル梱包容器1は、容器本体2と、容器本体2の開口部21を塞ぐ蓋体3とを有し、容器本体2及び蓋体3のいずれもが発泡粒子成形体からなる。パネル梱包容器1は、例えば液晶パネル等のパネル4の収容に用いられる。発泡粒子成形体としては、上述の実施例1〜3と同様の成形体が用いられる。

0103

以下、パネル梱包容器1について、さらに詳説する。
図3に示すごとく、容器本体2は、複数のパネル4を板厚方向に積層した状態で収容する収容部20を有し、上面に開口部21を有する箱状である。具体的には、容器本体2は、底板部22と、この底板部22の周縁から垂直に立ち上がる側壁部23とから構成されている。また、蓋体3は、積層されたパネル4を上方から収容する収容部30を有し、下面に開口部31を有する箱状である。具体的には、蓋体3は、上板部32と、この上板部32の周縁から垂直に伸びる側壁部33とから構成されている。容器本体2の側壁23と、蓋体3の側壁33には、両者が嵌合する位置及び形状で凸部231、凹部331が形成されている。

0104

図2及び図3に示すように、本例のパネル梱包容器1においては、容器本体2及び蓋体3の両者がそれぞれ収容部20、30を有している。そして、これらの収容部20と収容部30とによって、パネル梱包容器1内の収容部10が形成され、収容部10内に複数のパネル4が積層状態で収容される。

0105

本例のパネル梱包容器1は、上述の実施例1〜3の発泡粒子成形体からなる。そのため、収容部10に重量の大きな複数のパネル4を収容してもパネル4の重量により、パネル梱包容器1がたわみにくく、さらに変形により壊れにくい。したがって、パネル梱包容器1は、梱包状態で積み重ねたり、梱包状態での移動中に急激な荷重変化が発生したりしても、割れの発生を防止することができる。図4には、本例のパネル梱包容器1の長手方向の両端を把持して、パネル梱包容器1を持ち上げた様子が示されている。同図に示されるように、パネル梱包容器1は、収容部10に収容されたパネル4の重みによってたわむ。本例のパネル梱包容器1は、上述の実施例1〜3のように、エチレン系樹脂100質量部に対して400〜900質量部のスチレン系単量体を含浸重合してなり、膨潤度が1.25以上の複合樹脂からなる発泡粒子成形体から構成されているため、図4に示すようにたわみ量が小さい。また、図5には、本例のパネル梱包容器1の短手方向の両端を把持して、パネル梱包容器1を持ち上げた様子が示されており、この場合にもたわみ量が小さい。なお、上述の図4及び図5、後述の図6及び図7においては、図面作成の便宜のため、パネル梱包容器1内のパネルの図示を省略しているが、実際には、複数のパネルが内部に収容されている。

0106

上述の例においては、容器本体2と蓋体3とのいずれもがパネル4の収容部20、30を有しているが、容器本体2が収容部を有し、蓋体3は収容部3を有さない構成に変更することも可能である。この場合には、蓋体3は板状となる(図示略)。

0107

(比較例5)
本例は、上述の実施例4と同形状であるが、上述の比較例3の発泡粒子成形体からなるパネル梱包容器の例である。本例のパネル梱包容器9は、比較例3の発泡粒子成形体から構成されている点を除いては、上述の実施例4と同様の形状を有し、容器本体91と、蓋体92とからなる。本例のパネル梱包容器9は、曲げ弾性率が不十分な発泡粒子成形体(比較例3参照)からなる。そのため、図6及び図7に示されるように、パネル梱包容器9は、収容部10に収容されたパネル4の重みによって大きくたわむ。そのため、パネル梱包容器9を持ち上げたときに、落下やパネルの破損が起こる虞がある。なお。図示を省略するが、パネル梱包容器9が、上述の比較例1及び比較例2のように、曲げ破断エネルギーの小さな発泡粒子成形体からなる場合には、たわみによって変形したパネル梱包容器9が壊れ易くなる。

実施例

0108

以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。

0109

1パネル梱包容器
10 収容部
2容器本体
3 蓋体

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