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技術 火花点火式内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法

出願人 出光興産株式会社
発明者 宇高俊匡田村和志鎌野秀樹飯島晃良
出願日 2015年3月24日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-061748
公開日 2016年10月13日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2016-180070
状態 特許登録済
技術分野 潤滑剤
主要キーワード 合計張力 硫黄含有フェノール ピストンクランク機構 蒸発減量 金属系添加剤 硫黄含有添加剤 カルシウム塩基 ナトリウムスルフォネート
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

点火内燃機関燃焼状態の悪化を防止する内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法を提供すること。

解決手段

ピストンリングにかかる張力ピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関に用いられる潤滑油組成物であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を所定の含有量で含むことを特徴とする火花点火式内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法である。

概要

背景

環境問題への意識の高まりから、内燃機関を有する自動車等の燃費性能の向上が求められている。燃費性能の向上のための一例として、内燃機関のピストンリングシリンダ内壁との摩擦による摩擦損失を低減する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、ピストンリングにかかる張力を低減することによって、摩擦損失を低減している。
他方、内燃機関に用いられる潤滑油組成物の粘度を低く設定することによっても、燃費性能を向上することができる。

概要

点火式内燃機関の燃焼状態の悪化を防止する内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法を提供すること。ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関に用いられる潤滑油組成物であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を所定の含有量で含むことを特徴とする火花点火式内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法である。なし

目的

本発明は、オイル上がりが発生し易い火花点火式内燃機関においても、燃焼状態が良好となる添加剤やその添加量を見極めたうえで、優れた清浄性を有する内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ピストンリングにかかる張力ピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関に用いられる潤滑油組成物であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を含む潤滑油組成物であり、該(A)成分のカルシウム原子換算含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である、ことを特徴とする火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項2

前記潤滑油組成物のNoack蒸発減量が10質量%以上である請求項1記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項3

(A)カルシウム系清浄剤が、塩基価が10〜600mgKOH/gのカルシウム系清浄剤である請求項1又は2に記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項4

(B1)ナトリウム系添加剤が、塩基価が10〜600mgKOH/gのナトリウム系清浄剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項5

(B2)マグネシウム系添加剤が、塩基価が10〜600mgKOH/gのマグネシウム系清浄剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項6

さらに、(D)有機モリブデン系添加剤を含有し、該(D)成分のモリブデン原子換算の含有量が、潤滑油組成物の全量基準で0.005〜0.20質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項7

組成物全量基準硫酸灰分が1.0質量%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物

請求項8

(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で0.05〜0.15質量%であり、該マグネシウム原子(Mg)及び/又は該ナトリウム原子(Na)とカルシウム原子(Ca)との質量比[(Mg及び/又はNa)/Ca]が0.03〜3.5である請求項1〜7のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項9

さらに、粘度指数向上剤分散剤耐摩耗剤極圧剤非硫黄系酸化防止剤、及び消泡剤から選ばれる少なくとも一種の潤滑油用添加剤を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。

請求項10

火花点火式内燃機関がガソリンエンジンである請求項1〜9のいずれか1項に記載の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物。

請求項11

ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関に用いられる潤滑油組成物の製造方法であって、基油に、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤とを、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量以上、になるように配合する火花点火式内燃機関用潤滑油組成物の製造方法。

請求項12

ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を含む潤滑油組成物であり、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である、潤滑油組成物が用いられる火花点火式内燃機関。

請求項13

ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関の潤滑方法であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を含む潤滑油組成物であり、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である、潤滑油組成物を用いて潤滑する火花点火式内燃機関の潤滑方法。

技術分野

0001

本発明は、火花点火式内燃機関潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関潤滑方法に関する。

背景技術

0002

環境問題への意識の高まりから、内燃機関を有する自動車等の燃費性能の向上が求められている。燃費性能の向上のための一例として、内燃機関のピストンリングシリンダ内壁との摩擦による摩擦損失を低減する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、ピストンリングにかかる張力を低減することによって、摩擦損失を低減している。
他方、内燃機関に用いられる潤滑油組成物の粘度を低く設定することによっても、燃費性能を向上することができる。

先行技術

0003

特開2012−215238号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、ピストンリング張力を低減し過ぎると、潤滑油組成物が燃焼室内に侵入し、いわゆるオイル上がりが起きやすくなる。また、低粘度の潤滑油組成物を使用した場合も同様に、流動抵抗が少なくオイルリングにおける透過量が増えることから、オイル上がりが起こりやすくなる。

0005

オイル上がりにより燃焼室内に侵入した潤滑油組成物は、高熱に晒されて、基油蒸発し、潤滑油組成物に配合された金属系添加剤濃縮される。潤滑油組成物には清浄剤を向上させるために、金属系添加剤として例えばカルシウム系清浄剤が添加されるが、この金属系添加剤が濃縮されると、燃焼状態の悪化を引き起こし、ノッキングの原因となると考えられている。

0006

そこで、本発明は、オイル上がりが発生し易い火花点火式内燃機関においても、燃焼状態が良好となる添加剤やその添加量を見極めたうえで、優れた清浄性を有する内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、下記の構成を有する潤滑油組成物により、オイル上がりが発生しても、燃焼状態を良好にするともに、優れた清浄性が得られることを見出した。

0008

本発明は、
[1]ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関に用いられる潤滑油組成物であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を含む潤滑油組成物であり、該(A)成分のカルシウム原子換算含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である、ことを特徴とする火花点火式内燃機関用潤滑油組成物、

0009

[2]ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関に用いられる潤滑油組成物の製造方法であって、基油に、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤とを、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量以上、になるように配合する火花点火式内燃機関用潤滑油組成物の製造方法、

0010

[3]ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を含む潤滑油組成物であり、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である、潤滑油組成物が用いられる火花点火式内燃機関、及び

0011

[4]ピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関であって、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を含む潤滑油組成物であり、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である、潤滑油組成物を用いて潤滑する火花点火式内燃機関の潤滑方法、
を提供するものである。

発明の効果

0012

本発明によれば、オイル上がりが発生しても燃焼状態を良好にするとともに、優れた清浄性を有する内燃機関用潤滑油組成物、該潤滑油組成物の製造方法、該潤滑油組成物を用いた火花点火式内燃機関、及び該内燃機関の潤滑方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態に係る火花点火式内燃機関1を説明する構成図である。

0014

以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[火花点火式内燃機関用潤滑油組成物]
本発明の実施形態に係る火花点火式内燃機関用潤滑油組成物は、基油と、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤と、を含む潤滑油組成物であり、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である、ことを特徴とするものである。

0015

<基油>
本発明の一実施形態に係る潤滑油組成物で用いられる基油としては、従来、内燃機関用潤滑油の基油として使用されている鉱油合成油の中から任意のものを適宜選択して使用することができる。
鉱油としては、例えば、パラフィン基原油、中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがって精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油水添精製油脱蝋処理油、白土処理油などを挙げることができる。

0016

また、合成油としては、例えば、ポリブテン、及びα−オレフィン単独重合体又は共重合体(例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体等の炭素数8〜14のα−オレフィン単独重合体又は共重合体)等のポリ−α−オレフィン(PAO);ポリオールエステル二塩基酸エステルリン酸エステル等の各種エステル;ポリフェニルエーテル等の各種エーテルポリグリコールアルキルベンゼンアルキルナフタレンフィッシャートロプシュ法等により製造されるワックスGTLワックス)を異性化することで得られる合成油等が挙げられる。
本発明においては、基油として上記鉱油、合成油をそれぞれ一種用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。また、鉱油と合成油を混合して使用してもよい。

0017

基油の粘度については、潤滑油組成物の用途に応じて適宜決定しうるが、通常100℃の動粘度が2mm2/s以上30mm2/s以下、好ましくは2mm2/s以上15mm2/s以下、より好ましくは2mm2/s以上10mm2/s以下である。100℃における動粘度が2mm2/s以上であると蒸発損失が少なく、一方、30mm2/s以下であると、粘性抵抗による動力損失があまり大きくないので、燃費改善効果が得られる。
また、基油としては、粘度指数が通常80以上、好ましくは100以上、より好ましくは120以上である。粘度指数が80以上の基油は、温度の変化による粘度変化が小さいため好ましい。

0018

基油として鉱油同士、合成油同士、及び鉱油と合成油とを混合して使用する場合には、混合した後の粘度が上記範囲に含まれるものであればよい。一例として、AP分類グループ3に該当する粘度指数120以上の鉱物油及び/又はポリ−α−オレフィン(PAO)を含有するものであればよい。
なお、火花点火式内燃機関用潤滑油組成物の全量基準に対する基油の含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。また、含有量の上限としては、99質量%が好ましく、95質量%以下がより好ましい。

0019

<(A)カルシウム系清浄剤>
本発明の一実施形態に係る潤滑油組成物で用いられる(A)カルシウム系清浄剤としては、例えばスルフォネートフェネート、及びサリシレートカルシウム塩が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。清浄性の観点から、サリシレートのカルシウム塩(カルシウムサリシレート)が好ましい。

0020

スルフォネートのカルシウム塩は、分子量が300〜1,500のものが好ましく、400〜700のものがより好ましく、アルキル芳香族化合物スルホン化することによって得られるアルキル芳香族スルホン酸のカルシウム塩が好ましく用いられる。
フェネートとしては、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のカルシウム塩が好ましく用いられる。
また、サリシレートとしては、アルキルサリチル酸のカルシウム塩が好ましく用いられる。

0021

カルシウム系清浄剤を構成するアルキル基としては、炭素数4〜30のものが好ましく、より好ましくは炭素数6〜18のアルキル基であり、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。これらはまた、1級アルキル基、2級アルキル基又は3級アルキル基でもよい。

0022

また、スルフォネート、フェネート及びサリシレートのカルシウム塩としては、前記のアルキル芳香族スルホン酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物、アルキルサリチル酸等を、直接カルシウム酸化物水酸化物等のカルシウム塩基と反応させたり、又は一度ナトリウム塩カリウム塩等のアルカリ金属塩としてからカルシウム塩と置換させること等により得られる中性カルシウムスルフォネート中性カルシウムフェネート及び中性カルシウムサリシレート等の中性カルシウム系清浄剤だけでなく、これらの中性カルシウム系清浄剤と過剰のカルシウム塩やカルシウム塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性カルシウムスルフォネート塩基性カルシウムフェネート及び塩基性カルシウムサリシレート等の塩基性カルシウム系清浄剤や、炭酸ガスの存在下で中性カルシウムスルフォネート、中性カルシウムフェネート及び中性カルシウムサリシレートをカルシウムの炭酸塩又はホウ酸塩を反応させることにより得られる過塩基性カルシウムスルフォネート過塩基性カルシウムフェネート及び過塩基性カルシウムサリシレート等の過塩基性カルシウム系清浄剤も含まれる。

0023

カルシウム系清浄剤の金属比は、通常20以下のものを一種又は二種以上混合して使用できる。
なお、ここでいう金属比とは、金属系清浄剤(この場合は、カルシウム系清浄剤)における金属元素の価数×金属元素含有量モル%)/せっけん基含有量(モル%)で表され、金属元素とはカルシウムであり、せっけん基とは、スルホン酸基フェノール基及びサリチル酸基等を意味する。

0024

カルシウム系清浄剤に含まれるカルシウム原子の含有量は、清浄性の観点から、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。

0025

カルシウム系清浄剤の塩基価は、清浄性及び酸中和性能の観点から、10〜600mgKOH/gが好ましく、50〜300mgKOH/gがより好ましく、100〜250mgKOH/gがさらに好ましい。
なお、ここでいう塩基価とは、JIS K2501「石油製品及び潤滑油中和価試験法」の7.に準拠して測定される塩酸法による塩基価を意味する。

0026

(A)カルシウム系清浄剤のカルシウム原子換算の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下である。(A)成分の含有量が0.15質量%以下であると、オイル上がりが発生しても、燃焼状態を良好なものとすることができる。これと同様の観点から、また清浄性及び燃費性能も考慮すると、(A)成分の含有量は、0.05〜0.15質量%が好ましく、0.06〜0.15質量%がより好ましく、0.08〜0.15質量%が更に好ましい。

0027

<(B1)ナトリウム系添加剤>
本発明の一実施形態に係る潤滑油組成物は、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種を含む。
本発明で用いられる(B1)ナトリウム系添加剤としては、例えばナトリウム系清浄剤が好ましく挙げられる。ナトリウム系清浄剤としては、例えばスルフォネート、フェネート、及びサリシレートのナトリウム塩が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。清浄性の観点から、スルフォネートのナトリウム塩(ナトリウムスルフォネート)が好ましい。

0028

上記のナトリウム系清浄剤について、スルフォネート、フェネート、及びサリシレートは、上記のカルシウム系清浄剤におけるスルフォネート、フェネート、及びサリシレートの説明と同じである。また、塩基性ナトリウム系清浄剤、過塩基性ナトリウム系清浄剤を採用しうることも、カルシウム系清浄剤における説明と同じである。

0029

ナトリウム系清浄剤に含まれるナトリウム原子の含有量は、清浄性の観点から、1〜25質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましい。
また、ナトリウム系清浄剤の塩基価は、清浄性及び酸中和性能の観点から、10〜650mgKOH/gが好ましく、100〜600mgKOH/gがより好ましく、300〜550mgKOH/gがさらに好ましい。

0030

<(B2)マグネシウム系添加剤>
本発明の一実施形態に係る潤滑油組成物で用いられる(B2)マグネシウム系添加剤としては、例えばマグネシウム系清浄剤が好ましく挙げられる。マグネシウム系清浄剤としては、例えばスルフォネート、フェネート、及びサリシレートのマグネシウム塩が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。清浄性の観点から、サリシレートのマグネシウム塩(マグネシウムサリシレート)が好ましい。

0031

上記のマグネシウム系清浄剤について、スルフォネート、フェネート、及びサリシレートは、上記のカルシウム系清浄剤におけるスルフォネート、フェネート、及びサリシレートの説明と同じである。また、塩基性マグネシウム系清浄剤、及び過塩基性マグネシウム系清浄剤を採用しうることも、カルシウム系清浄剤における説明と同じである。

0032

マグネシウム系清浄剤に含まれるマグネシウム原子の含有量は、清浄性の観点から、1〜25質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましい。
また、マグネシウム系清浄剤の塩基価は、清浄性及び酸中和性能の観点から、10〜650mgKOH/gが好ましく、100〜600mgKOH/gがより好ましく、200〜550mgKOH/gがさらに好ましい。

0033

<(A)、(B1)、及び(B2)成分の含有量>
本発明の一実施形態に係る潤滑油組成物は、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選らばれる少なくとも一種を、ナトリウム原子換算の含有量とマグネシウム原子換算の含有量との合計の含有量として、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下含む。含有量が上記範囲内であると、優れた清浄性が得られ、また燃焼状態を良好なものとすることができる。これと同様の観点から、ナトリウム原子換算の含有量とマグネシウム原子換算の含有量との合計の含有量は、0.005〜0.20質量%が好ましく、0.01〜0.15質量%がより好ましく、0.01〜0.10質量%が更に好ましい。

0034

また、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤及び(B2)マグネシウム系添加剤との関係として、該マグネシウム系添加剤に含まれるマグネシウム原子(Mg)及び/又は該ナトリウム系添加剤に含まれるナトリウム原子(Na)とカルシウム原子(Ca)との質量比[(Mg及び/又はNa)/Ca]が0.03〜3.5であることが好ましい。(A)カルシウム系清浄剤の含有量と、(B1)ナトリウム系添加剤及び(B2)マグネシウム系添加剤の含有量とが、上記関係を有することで、優れた清浄性が得られ、また燃焼状態を良好なものとすることができる。これと同様の観点から、マグネシウム原子(Mg)及び/又はナトリウム原子(Na)とカルシウム原子(Ca)との質量比[(Mg及び/又はNa)/Ca]は、0.05〜2.5が好ましく、0.05〜1がより好ましく、0.06〜0.8が更に好ましい。

0035

<(C)無灰硫黄系添加剤>
本発明の一実施形態に係る潤滑油組成物は、(C)無灰硫黄系添加剤を含む。
(C)無灰硫黄系添加剤としては、硫黄を含有し、かつ金属原子を含まない添加剤であれば特に制限はなく、例えば、チアジン類ジチアジン類、イミダゾールチオン類、イミダゾールジチオン類、チアゾール類、ジチアゾール類チアジアゾール類、ジチアジアゾール類、ジチオカーバメート類等の硫黄含有アミン系添加剤チオクレゾール類、ジチオクレゾール類チオフェノール類、ジチオフェノール類等の芳香族メルカプタン系添加剤;チオプロピオネート類、ジチオプロピオネート類、チオジプロピオネート類、ジチオジプロピオネート類等のチオプロピオネート系添加剤;硫化油脂類、サルファイド類、ジサルファイド類、スルホン酸類硫黄含有フェノール類等の酸化防止剤酸素捕捉剤耐摩耗剤極圧剤等として知られるものが挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。

0036

また、上記以外の無灰硫黄系添加剤としては、硫黄を含む複素環、例えば、ベンゾチオフェン環、ナフトチオフェン環ジベンゾチオフェン環、チエノチオフェン環、ジチエノベンゼン環、チオフェン環、ナフトチアゾール環イソチアゾール環、ナフトイソチアゾール環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、ジチアナフタレン環チアントレン環、チオキサンテン環、ビチオフェン環等の硫黄含有複素環を有し、好ましくは該複素環の炭素原子に少なくとも一つの硫黄原子が結合した構造を有する、主に耐摩耗剤として用いられる添加剤も好ましく挙げられる。

0037

これらの中でも、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するジアルキルジチオカーバメート等のジチオカーバメート類;例えば、ジドデシルチオプロピオネート、ジオタデシルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ドデシルオクタデシルチオプロピオネート等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するジアルキルチオプロピオネート等のチオプロピオネート類;該チオプロピオネート類に対応するジアルキルチオジプロピオネート等のチオジプロピオネート類;炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するアルキルチアゾールアミノアルキルチアゾール、アルキルベンゾチアゾールアルキルメルカプトチアゾールや、アミノチアゾール、ベンゾチアゾール等のチアゾール類;例えば、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド等のベンジルサルファイド、例えば、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)等のヒドロキシベンジルサルファイド、例えば、ジドデシルサルファイド、ジオクタデシルサルファイド等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するジアルキルサルファイド等のサルファイド類;上記サルファイド類に対応するジサルファイド類;例えば、2,2’−チオビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−[チオビス(エチレンオキシカルボニルエチレン)]ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、トリデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノフェノール、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン等の、少なくとも炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基等で置換されていてもよいフェノール基を有し、該フェノール基とともに、アミノ基、イミノ基アミド基イミド基ピリジル基ピラジン基、トリアジン基、及びベンゾイミダゾール基等の含窒素有機基含窒素複素環基、及び炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有していてもよく、また、これらの基がアルキレン基シクロアルキレン基アルケニレン基アリーレン基等の2価の有機基、−NH−、−O−、−S−、−COO−等により連結されていてもよい、硫黄含有フェノール類が好ましい。なお、上記のように、本発明で用いられる無灰硫黄系添加剤は、その分子内に環状構造を有していても、有していなくてもよく、また硫黄を含む複素環を有していても、有していなくてもよい。

0038

無灰硫黄系添加剤に含まれる硫黄原子の含有量は、使用する添加剤にもよるが、通常1〜40質量%であり、3〜35質量%が好ましい。また、チオプロピオネート系添加剤、サルファイド類、及びジサルファイド類については、3〜15質量%がより好ましい。硫黄原子の含有量が上記範囲内であると、燃焼状態を良好なものとすることができるとともに、優れた清浄性、及び燃費性能が得られる。

0039

(C)無灰硫黄含有添加剤の硫黄原子換算の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上である。(C)成分の含有量が0.01質量%未満であると、清浄性が得られず、また、燃焼状態を良好なものとすることができない。これと同様の観点から、(C)成分の硫黄原子換算の含有量は、0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%がより好ましく、0.03〜0.5質量%が更に好ましい。

0040

<(D)有機モリブデン系添加剤
本発明の一実施形態に係る潤滑油組成物は、(D)有機モリブデン系添加剤を含有することができる。有機モリブデン系添加剤としては、例えば、モリブデン系摩擦調整剤モリブデン系酸化防止剤を使用することができる。

0041

モリブデン系摩擦調整剤としては、内燃機関用潤滑油の摩擦調整剤として通常用いられる任意の化合物がいずれも使用可能であり、例えば、モリブデンアミン錯体及び/又は硫化オキシモリブデンジチオカーバーメート、三核モリブデン硫黄化合物モリブデンジチオフォスフェートから選択される少なくとも1種が挙げられ、より具体的には、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン酸モリブデン(MoDTP)及びモリブデン酸アミン塩から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。

0042

モリブデン系酸化防止剤としては、モリブデンアミン錯体が好ましいものとして挙げられ、該モリブデンアミン錯体としては、6価のモリブデン化合物、具体的には三酸化モリブデン及び/又はモリブデン酸とアミン化合物とを反応させてなるもの、例えば特開2003−252887号公報に記載の製造方法で得られる化合物を用いることができる。
前記6価のモリブデン化合物とアミン化合物との反応比は、アミン化合物1モルに対し、モリブデン化合物のMo原子モル比が、0.7〜5であることが好ましく、0.8〜4であることがより好ましく、1〜2.5であることがさらに好ましい。反応方法については、従来公知の方法、例えば特開2003−252887号公報に記載されている方法を採用することができる。
また本発明においては、モリブデン系酸化防止剤として、上記モリブデンアミン錯体以外に、特公平3−22438号公報、特開2004−2866号公報などに記載されているコハク酸イミドの硫黄含有モリブデン錯体を用いることもできる。

0043

本発明において、(D)成分としては、燃費性能の観点から、モリブデン系摩擦調整剤が好ましく、中でもジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン酸モリブデン(MoDTP)及びモリブデン酸のアミン塩から選ばれる少なくとも一種が好ましく、特にジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)が好ましい。

0044

(D)成分の含有量は、潤滑油組成物全量基準で0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.3〜1.5質量%がより好ましい。また、(D)成分のモリブデン原子換算の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で、0.005〜0.20質量%であることが好ましい。耐摩耗性を維持する観点から、0.01〜0.15質量%がより好ましく、0.03〜0.15質量%が更に好ましい。

0045

<添加剤>
本発明の実施形態に係る潤滑油組成物は、さらに、粘度指数向上剤分散剤、極圧剤、非硫黄系酸化防止剤、及び消泡剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することが好ましい。

0046

(粘度指数向上剤)
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ(メタアクリレート分散型非分散型)、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレンジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体など)等が挙げられ、中でもポリ(メタ)アクリレートが好ましい。

0047

また、これらの粘度指数向上剤は、重量平均分子量(Mw)10,000〜1,000,000が好ましく、30,000〜600,000より好ましく、100,000〜600,000が更に好ましい。分子量が上記範囲内であると、優れた省燃費性が得られる。ここで、重量平均分子量は、GPCによって測定され、ポリスチレン検量線として得られる値であり、詳細には以下の条件で測定されるものである。
カラム:TSKgelGMH6 2本測定温度:40℃
試料溶液:0.5質量%のTHF溶液検出装置屈折率検出器
標準:ポリスチレン

0048

これら粘度指数向上剤の配合量は、所望の粘度(例えば、150℃HTHS粘度)に応じて適宜決定すればよく、配合効果の点から、潤滑油組成物基準で、好ましくは0.01〜10.00質量%、より好ましくは0.05〜5.00質量%、更に好ましくは0.05〜2.00質量%である。
ここで、ポリ(メタ)アクリレートの含有量は、ポリ(メタ)アクリレートからなる樹脂分のみの含有量を意味し、例えば該ポリ(メタ)アクリレートとともに含有する希釈油等の質量は含まれない、固形分基準の含有量である。

0049

(分散剤)
分散剤としては、非ホウ素化イミド系分散剤を用いることができる。非ホウ素化イミド系分散剤は、通常、イミド系分散剤といわれるものである。該イミド系分散剤としては、コハク酸イミドを用いることが好適である。コハク酸イミドとしては、次の一般式(1)で示されるモノタイプ、及び(2)で示されるビスタイプの化合物が挙げられる。

0050

0051

上記一般式(1)及び(2)において、R1、R3及びR4は、各々数平均分子量が500〜4,000のアルケニル基又はアルキル基で、R3及びR4は同一でも異なっていてもよい。R1、R3及びR4の数平均分子量は、好ましくは1,000〜4,000である。
上記R1、R3及びR4の数平均分子量が500以上であれば、基油への溶解性が良好であり、4,000以下であれば良好な分散性が得られ、優れた清浄性が得られる。

0052

R2、R5及びR6は、各々炭素数2〜5のアルキレン基で、R5及びR6は同一でも異なっていてもよい。
mは1〜10の整数であり、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは3又は4である。mが1以上であると分散性が良好であり、10以下であると基油に対する溶解性も良好であり、優れた清浄性が得られる。また、nは0〜10の整数であり、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。nが上記範囲内であれば、分散性及び基油に対する溶解性の点で好ましく、優れた清浄性が得られる。

0053

コハク酸イミドは、通常、ポリオレフィン無水マレイン酸との反応で得られるアルケニルコハク酸無水物、又はそれを水添して得られるアルキルコハク酸無水物を、ポリアミンと反応させることによって製造することができる。また、モノタイプのコハク酸イミド化合物及びビスタイプのコハク酸イミド化合物は、アルケニルコハク酸無水物又はアルキルコハク酸無水物とポリアミンとの反応比率を変えることによって製造することができる。
ポリアミンとしては、エチレンジアミンプロピレンジアミンブチレンジアミン等の単一ジアミンジエチレントリアミントリエチレンテトラミンテトラエチレンペンタミンペンタエチレンヘキサミン、ジ(メチルエチレントリアミンジブレントリアミン、トリブチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンアミノエチルピペラジン等のピペラジン誘導体を挙げることができる。

0054

コハク酸イミドの含有量は、清浄性を考慮すると、潤滑油組成物の全量基準で0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましく、またコハク酸イミドの潤滑油組成物全量基準の窒素原子換算の含有量は、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.01〜0.1質量%がより好ましい。

0055

ホウ素化コハク酸イミドは、例えば、上述のポリオレフィンと無水マレイン酸との反応で得られるアルケニルコハク酸無水物、アルキルコハク酸無水物を、上記のポリアミン及びホウ素化合物と反応させることで製造することができる。
ホウ素化合物としては、例えば、酸化ホウ素ハロゲン化ホウ素ホウ酸ホウ酸無水物ホウ酸エステル、ホウ酸のアンモニウム塩等が挙げられる。
なお、ホウ素化コハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比、B/Nは、通常0.1〜3が好ましく、0.2〜1であるものが好ましい。

0056

ホウ素化コハク酸イミドの含有量は、清浄性を考慮すると、潤滑油組成物の全量基準で0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましく、またホウ素化コハク酸イミドの潤滑油組成物全量基準のホウ素原子換算の含有量は、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.01〜0.1質量%がより好ましい。

0057

また、本発明の潤滑油組成物においては、上述したコハク酸イミドと、アルコールアルデヒドケトン、アルキルフェノール、環状カーボネートエポキシ化合物有機酸等とを反応させた変性ポリブテニルコハク酸イミドを用いることもできる。

0058

(耐摩耗剤)
耐摩耗剤としては、例えば、下記一般式(3)で示されるジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジオキシリン酸亜鉛等のジチオリン酸亜鉛が好ましく挙げられる。

0059

0060

上記一般式(3)中、Xは各々独立に酸素原子又は硫黄原子であり、少なくとも2つは同じ原子である。R7及びR8は、各々独立に炭素数3〜22の第1級もしくは第2級のアルキル基、又は炭素数3〜18のアルキル基で置換されたアルキルアリール基を示す。
ここで、炭素数3〜22の1級もしくは2級のアルキル基としては、第1級もしくは第2級のプロピル基、ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基ドデシル基テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等が挙げられる。また、炭素数3〜18のアルキル基で置換されたアルキルアリール基としては、例えばプロピルフェニル基ペンチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。

0061

本発明においては、上記のジチオリン酸亜鉛としては、単独で又は複数種を組み合わせて用いてもよいが、耐摩耗性を高める観点から、特に第2級アルキル基を有するジチオリン酸亜鉛を用いることが好ましい。

0062

また、耐摩耗剤としては、上記のジチオリン酸以外にも、脂肪族アミン脂肪酸エステル脂肪酸アミド脂肪酸脂肪族アルコール脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤等の耐摩耗剤を用いることもできる。

0063

耐摩耗剤の含有量は、潤滑油組成物の全量基準で0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい。また、耐摩耗剤としてジチオリン酸亜鉛を用いる場合、該ジチオリン酸亜鉛の組成物全量基準の含有量は、リン原子換算で、0.005〜0.2質量%が好ましく、0.01〜0.15質量%がより好ましい。

0064

(極圧剤)
極圧剤としては、トリチオリン酸トリアルキル、トリチオリン酸トリアリール、トリチオリン酸トリアラルキル等のチオリン酸エステル系極圧剤;リン酸トリアルキルリン酸トリアリールホスホン酸トリアルキル、亜リン酸トリアルキル亜リン酸トリアリール亜リン酸水素ジアルキル等のリン酸エステルや亜リン酸エステル、あるいはこれらのアミン塩等のリン系極圧剤;炭素数3〜60のカルボン酸又はジカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の有機金属系極圧剤等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。

0065

極圧剤の含有量は、潤滑性及び安定性の観点から、潤滑油組成物の全量基準で0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がより好ましい。

0066

(非硫黄系酸化防止剤)
非硫黄系酸化防止剤としては、モリブデン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤アミン系酸化防止剤等を好適に使用することができる。
モリブデン系酸化防止剤としては、例えば、三酸化モリブデン及び/又はモリブデン酸とアミン化合物とを反応させてなるモリブデンアミン錯体等が挙げられる。

0067

フェノール系酸化防止剤としては、従来内燃機関用潤滑油の酸化防止剤として使用されている公知のフェノール系酸化防止剤の中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のアルキルフェノール系酸化防止剤等のモノフェノール系酸化防止剤;4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等のジフェノール系酸化防止剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。

0068

また、アミン系酸化防止剤としては、従来内燃機関用潤滑油の酸化防止剤として使用されている公知のアミン系酸化防止剤の中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ジフェニルアミン、炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキル化ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;α−ナフチルアミン、炭素数3〜20のアルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤等が挙げられる。

0069

非硫黄系酸化防止剤は、上記の中から単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
非硫黄系酸化防止剤の含有量は、効果及び経済性バランスなどの点から、潤滑油組成物全量基準で、0.05〜7質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。

0070

(消泡剤)
消泡剤としては、シリコーン系消泡剤フルオロシリコール系消泡剤、及びフルオロアルキルエーテル系消泡剤等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
消泡剤の含有量は、効果及び経済性のバランスなどの点から、潤滑油組成物全量基準で、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。

0071

(他の添加剤)
本発明の火花点火式内燃機関用潤滑油組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ、さらに他の添加剤を配合することができる。
他の添加剤としては、例えば石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等の防錆剤腐食防止剤ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等の界面活性剤ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等の金属不活性化剤;エチレン−酢酸ビニル共重合体塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレートポリアルキルスチレン等の流動点降下剤;各種オレフィンジエントリエン等の脂肪族不飽和化合物、二重結合を持ったテルペン類等の酸素捕捉剤;等を挙げることができる。
上記他の添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲内の量で適宜潤滑油組成物に配合することができる。

0072

<火花点火式内燃機関用潤滑油組成物の性状
本発明の実施形態に係る潤滑油組成物のNoack蒸発減量は10質量%以上が好ましく、10〜15質量%がより好ましい。Noack蒸発減量が10質量%以上であると低燃費性能に寄与する十分な低粘度化が得られ、15質量%以下であると過度のオイル上がりを抑制することができ、点火式内燃機関の燃焼状態の悪化の優れた防止効果が得られる。ここで、Noack蒸発減量は、JPI−5S−41−2004に準拠して測定される値である。

0073

本発明の実施形態に係る潤滑油組成物の100℃における動粘度は、10mm2/s以下であることが好ましく、3〜10mm2/sがより好ましい。動粘度が10mm2/s以下であると十分な低燃費性能が得られ、3mm2/s以上であると過度のオイル上がりを抑制することができ、点火式内燃機関の燃焼状態の悪化の優れた防止効果が得られる。ここで、100℃の動粘度は、JIS K 2283に規定される「石油製品動粘度試験方法」に準拠して測定される値である。

0074

本発明の実施形態に係る潤滑油組成物の硫酸灰分は、十分な低燃費性能が得られ、または点火式内燃機関の燃焼状態の悪化の優れた防止効果を得る観点から、組成物全量基準で1.0質量%以下であることが好ましく、0.4〜1.0質量%がより好ましく、0.5〜1.0質量%が更に好ましい。ここで硫酸灰分とは、JIS K 2272の5.「硫酸灰分試験方法」に規定される方法により測定される値であり、試料を燃やして生じた炭化残留物硫酸を加えて加熱し、恒量にした灰分をいい、通常潤滑油組成物中の金属系添加剤の大略の量を知るために用いられる。

0075

本発明の実施形態に係る潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度は、1.0〜5mPa・sが好ましく、1.0〜4mPa・sがより好ましく、1.5〜3mPa・sが更に好ましい。
150℃におけるHTHS粘度が1.0mPa・s以上であれば、潤滑性能を良好とすることができ、5mPa・s以下であれば、低温での優れた粘度特性が得られるとともに、優れた省燃費性も得られる。150℃におけるHTHS粘度は、エンジン高速運転時の高温領域下での粘度として想定することもでき、上記範囲に属していれば、該潤滑油組成物は、エンジンの高速運転時を想定した高温領域下での粘度等の各種性状が良好であるといえる。
150℃におけるHTHS粘度は、ASTMD 4741に準拠して測定された、150℃における高温高せん粘度の値であって、具体的には、実施例に記載の測定方法により得られる値である。

0076

<火花点火式内燃機関用潤滑油組成物の製造方法>
本発明の実施形態に係る潤滑油組成物の製造方法は、ピストンリングを有するピストンを備え、該ピストンリングにかかる張力の該ピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関に用いられる潤滑油組成物の製造方法であって、基油に、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム系添加剤、及び(B2)マグネシウム系添加剤から選ばれる少なくとも一種と、(C)無灰硫黄系添加剤とを、該(A)成分のカルシウム原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.15質量%以下であり、該(B1)成分のナトリウム原子換算の含有量、及び該(B2)成分のマグネシウム原子換算の含有量の合計が、該潤滑油組成物の全量基準で0.2質量%以下であり、該(C)成分の硫黄原子換算の含有量が、該潤滑油組成物の全量基準で0.01質量以上、になるように配合することを特徴とするものである。

0077

火花点火式内燃機関用潤滑油組成物を製造するに際し、少なくとも上記(A)成分、(B1)成分、(B2)成分、及び(C)成分が上記含有量の範囲で配合されていればよく、(D)有機モリブデン系添加剤、また本発明の効果を妨げない範囲で、粘度指数向上剤、分散剤、耐摩耗剤、極圧剤、非硫黄系酸化防止剤、及び消泡剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤、さらには他の添加剤等を配合してもよい。(A)成分、(B1)成分、(B2)成分、(C)成分、また必要に応じて添加する(D)成分、さらにその他の添加剤は、別途混合された後、この混合物を基油に導入してもよいし、それぞれを基油に逐次添加し混合してもよい。なお、この場合の添加順序は問わない。

0078

<火花点火式内燃機関及び該火花点火式内燃機関の潤滑方法>
本実施形態に係る火花点火式内燃機関1を、図1を用いて説明する。
本実施形態における火花点火式内燃機関1には、ガソリンエンジンが含まれる。火花点火式内燃機関に用いられる燃料としては、第1種石油類分類される燃料油のほか、石油、バイオマスエタノールアルコール燃料液化石油ガス天然ガス合成ガス水素燃料バイフューエル等が挙げられる。
火花点火式内燃機関1は、シリンダブロック11、シリンダブロック11に組み込まれたピストンクランク機構12、及びシリンダブロック11内への混合気吸気及び燃焼ガス排気を行う動弁機構13を有する。

0079

シリンダブロック11は、シリンダ21とクランクケース22とを備える。火花点火式内燃機関1は、シリンダ21の上部に、点火プラグFを有する。また、ピストンクランク機構12は、ピストン23と、クランクシャフト24とを有する。ピストン23には、ピストンリング30が配置されている。ピストンリング30は、トップリング31、セカンドリング32、オイルリング33から構成されている。火花点火式内燃機関1では、ピストンリング30にかかる張力のピストンあたりの合計張力は、100N以下に設定されている。

0080

ピストンリング30にかかる張力のピストンあたりの合計張力とは、複数のリングのそれぞれにかかる張力の合計したものである。例えば、図1に示す火花点火式内燃機関1においては、トップリング31、セカンドリング32及びオイルリング33の各ピストンリングに係る張力(n)を合計したものである。ここで、ピストンリングにかかる張力は、JIS B 8032−2の「接線張力の測定方法」に準拠して測定した値である。

0081

また、火花点火式内燃機関1は、潤滑油組成物Lを有する。潤滑油組成物Lは、クランクケース22内のオイルパン41或いはオイルタンク(図示せず)に貯蔵されており、火花点火式内燃機関1の稼働に伴って、ピストンクランク機構12及び動弁機構13等を循環し、これら各部を潤滑及び冷却している。火花点火式内燃機関1では、潤滑油組成物Lとして、上述した本発明の実施形態に係る火花点火式内燃機関用潤滑油組成物が適用される。
すなわち、上述した火花点火式内燃機関用潤滑油組成物によって、ピストンリング30にかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である火花点火式内燃機関1を潤滑する方法は、本発明に含まれる。

0082

上述のように、本実施形態における火花点火式内燃機関では、ピストンリング30にかかる張力のピストンあたりの合計張力が100N以下である。このような低張力の内燃機関では、クランクケース22から燃焼室Cへのオイル上がりが発生しやすい。これに対して、本実施形態に係る火花点火式内燃機関用潤滑油組成物は、オイル上がりが発生しても、冷炎発生タイミングを遅らせることができる。また、火花点火式内燃機関のピストンリングにかかる張力のピストンあたりの合計張力を低下させることができれば、該火花点火式内燃機関を自動車に装備した場合には、該自動車の燃費性能の向上を図ることができる。このため、ピストンリング30にかかる張力のピストンあたりの合計張力が95N以下、さらには90N以下の低張力の火花点火式内燃機関に、好ましく用いることができる。
一方、ピストンリング30にかかる張力のピストンあたりの合計張力の下限値は、特に限定されるものではないが、5N以上が好ましく、10N以上がより好ましく、15N以上が更に好ましい。下限値が5N以上であると、オイル上がりが生じにくくなる。

0083

次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。以下の実施例等において、潤滑油組成物の性状の測定、性能評価は、下記のように行った。
評価方法
<潤滑油組成物の性状>
基油、添加剤及び潤滑油組成物の各性状は、以下の方法で測定した。
(1)潤滑油組成物のNoack蒸発減量
JPI−5S−41−2004に準拠して測定した。
(2)動粘度
JIS K2283−2000に規定される「石油製品動粘度試験方法」に準拠して40℃、100℃における動粘度を測定した。
(3)150℃におけるHTHS粘度(高温高せん断粘度)
ASTMD 4741に準拠して、対象となる潤滑油組成物について、150℃で、せん断速度106/sにて、せん断した後の粘度を測定した。
(4)塩基価
JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」塩酸法に準拠して測定した。
(5)カルシウム原子、ナトリウム原子、マグネシウム原子、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子、モリブデン原子の含有量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(6)窒素原子の含有量
JIS K2609に準拠して測定した。

0084

燃焼性試験
燃焼性試験に用いた火花点火式内燃機関の仕様及び運転条件を以下に示す。
(1)ボア径85mm
(2)ストローク長70mm
(3)排気量397cm2
(4)圧縮比8:1
(5)エンジン回転数1400rpm
(6)空燃比理論空燃比
(7)点火時期−5°aTDC

0085

上記機関シリンダヘッドに小型の石英窓を設け、燃焼室右端部にキセノン光源からの光を透過させることにより、末端部での吸光測定を実施した。燃焼室を透過したキセノン光を、光ファイバによって分光器に導き、293.1nmの波長分光した。この波長は、ホルムアルデヒドに強い吸収が起こる波長である。ホルムアルデヒドは、冷炎発生時に生成され、青炎への移行と熱炎の発生とともに急激に減少する重要な化学種である。分光した光を光電子増倍管によって電気信号に変換し、反応が起こっていない状態での透過光強度E0と、任意のクランク角度での透過光強度E1を用い、吸光度を(E0−E1)/E0と定義して算出した。この吸光度が増大を開始する時期を冷炎発生時期、吸光度が急激に減少する時期を自着火時期と定義した。また、燃焼室内に圧力センサを設け、ノッキング時に発生する圧力振動振幅を測定し、ノック強度指標とした。

0086

往復ピストンを備えた内燃機関では、燃料と酸化剤とからなる混合気は、シリンダ内部においてピストンで圧縮されて、温度及び圧力が上昇する。このとき、明確な発熱を伴う本来の着火が生じる前に、圧縮によって混合気が自ら着火する燃焼、すなわち低温度自着火が起こっている。この低温度自着火には、冷炎、青炎と呼ばれる低温度炎が発現する段階があり、活性化学種が生成され、急激な発熱を伴う熱炎の発生と伝播に至る。
火花点火式内燃機関においては、電気火花等の点火源により強制的に活性化学種が提供され、熱炎の発生と伝播に至っている。このため、低温度自着火反応の進行が、点火に由来する熱炎の発生及び伝播よりも早い場合、燃焼状態の悪化や、急激な圧力振動が発生する。そして、この急激な圧力振動の発生がノッキングの原因となっていることから、上記のように、ノッキング時に発生する圧力振動の振幅を測定し、ノック強度の指標とした。

0087

上記機関を暖気運転点火栓座金温度を440〜480Kとした後、表1〜3に示す試験例1〜13の試料組成で配合した試料を、燃料噴射器を通じて強制的に燃焼室に導入し、燃料油を該試料に置換し燃焼させた。潤滑油基油は燃料油と比較して高粘度であり、潤滑油組成物を燃料噴射器で噴霧することは困難であるため、潤滑油基油の代わりにオクタン価50の燃料油であるPRF50に添加剤を混合し、表1〜3に示す試験例1〜13の試料組成で配合した試料とした。

0088

クランク室からのオイル上がりにより燃焼室内へ潤滑油組成物が侵入する量は、恒常的でなく、確率に支配されるところが大きい。そして、偶発的に大量の潤滑油組成物が燃焼室内に侵入し、潤滑油組成物そのものの液滴が燃焼室内部で飛散した際に、潤滑油組成物が燃焼に与える影響が最大になる。そのため、特定の性状の液滴を燃焼室内部に強制的に飛散させ、燃焼状態を解析することによって、組成物が与え得る最大の影響を評価することができる。そこで、本燃焼試験では、ピストンリングにかかる張力のシリンダあたりの合計張力が100N以下であるような低張力であり、オイル上がりが発生しやすい火花点火式内燃機関において、偶発的に大量の潤滑油組成物が燃焼室内に侵入した場合を想定し、上記のように、試料を強制的に燃焼室に導入した。
なお、燃焼性試験に用いた火花点火式内燃機関には、一般的な潤滑油組成物がクランク室等に充填されているが、該潤滑油組成物のクランク室から燃焼室内への侵入は制限されているため、本試験下への影響を考慮する必要はない。

0089

潤滑油基油と燃料油は双方とも炭化水素であることから、添加剤との反応性についての相違は小さく、一定濃度の有機金属系添加剤を含有する燃料油の液滴が燃焼に与える影響は、該添加剤を含む潤滑油基油の液滴が燃焼室内に飛散した場合と近いと考えられる。そのため、該試験の結果、所定の添加剤を含む燃料油が燃焼に影響を与えていなければ、該所定の添加剤を同様に含む潤滑油組成物が燃焼室に侵入した場合であっても、燃焼に影響を与えないと判断できる。反対に、燃焼に影響を与えていれば、実機にて潤滑油組成物として燃焼室に侵入すると、燃焼に影響を与える可能性があると判断できる。

0090

総合評価は、以下の基準で行った。評価がA及びBの場合、冷炎の発生時期が通常の火花放電のタイミングと同等又は近く、圧力振動の値が低いため、燃焼状態の悪化が抑制され、ノッキングが抑制されているといえる。一方、評価がCの場合、炎の発生時期が通常の火花放電のタイミングよりも早く、圧力振動の値が高いため、燃焼状態が悪化し、ノッキングが促進されているといえる。
<総合評価の基準>
A:基準試料と比較して冷炎の発生時期が早期化せず、圧力振動の増加が基準対比0.04以下である。
B:基準試料と比較して冷炎の発生時期は早期化するが、圧力振動の増加が基準対比0.04以下である。
C:基準試料と比較して冷炎の発生時期が早期化し、圧力振動の増加が基準対比0.04超である。

0091

0092

0093

0094

なお、使用した各添加剤は以下の通りである。
・燃料油:ノルマルヘプタンイソオクタン等量混合物(PRF50)
・(A)成分:カルシウム系清浄剤:Caサリシレート(Ca含有量7.8質量%、塩基価225mgKOH/g)
・(B1)成分:ナトリウム系清浄剤:NaスルホネートNa含有量16.3質量%、塩基価:460mgKOH/g)
・(B2)成分:マグネシウム系清浄剤:Mgサリシレート(Mg含有量:6.9質量%、塩基価:300mgKOH/g)

0095

表1の結果から、(B1)ナトリウム系添加剤はナトリウム原子換算の含有量が0.21質量%以下において冷炎の発生時期が早期化せず、また圧力振動の増加が抑えられていることが分かる。表2の結果から、(B2)マグネシウム系添加剤はマグネシウム原子換算の含有量が0.22質量%未満において冷炎の発生時期が早期化せず、また圧力振動の増加が抑えられていることが分かる。また、表3の結果から、(A)カルシウム系清浄剤はカルシウム原子換算の含有量が0.22質量%未満において冷炎の発生時期が早期化するものの、圧力振動の増加が抑えられていることが分かる。これらの結果から、潤滑油組成物における(A)成分、(B1)成分、及び(B2)成分の含有量を各々上記範囲内に設定すれば、点火式内燃機関の燃焼状態の悪化を防止し得ることが分かる。

0096

ホットチューブ試験(280℃))
試験温度を280℃に設定し、試験時間を16時間とし、その他の条件については、JPI−5S−55−99に準拠して測定した。また、試験後の評点はJPI−5S−55−99に準拠してテストチューブに付着したラッカーを0点(黒色)〜10点(無色)で0.5点ごとに評価し、数字が大きいほど堆積物が少なく清浄性が良好であることを示す。評点は、7以上を合格とする。

0097

0098

表中、質量%(Ca)、質量%(Na)、質量%(Mg)、及び質量%(S)は、各々カルシウム(Ca)原子換算ナトリウム(Na)原子換算、マグネシウム原子換算(Mg)、及び硫黄(S)原子換算の潤滑油組成物の全量基準の含有量である。
*1,マグネシウム原子(Mg)及び/又は該ナトリウム原子(Na)とカルシウム原子(Ca)との質量比[(Mg及び/又はNa)/Ca]のことである。
*2,150℃HTHS粘度が2.3mPa・sとなる量とした。

0099

使用した各添加剤は以下の通りである。
・基油:パラフィン系鉱物油(100℃における動粘度:4.1mm2/s、40℃における動粘度:17.8mm2/s、粘度指数:134)
・(A)成分:カルシウム系清浄剤:Caサリシレート(Ca含有量7.8質量%、塩基価225mgKOH/g)
・(B1)成分:ナトリウム系清浄剤:Naスルホネート(Na含有量16.3質量%、塩基価:460mgKOH/g)
・(B2)成分:マグネシウム系清浄剤:Mgサリシレート(Mg含有量:6.9質量%、塩基価:320mgKOH/g)
・(C)成分1:ジアルキルジチオカーバメート(硫黄含有量:30.3質量%、窒素含有量:6.6質量%)
・(C)成分2:ジアルキルチオジプロピオネート(硫黄含有量:5.6質量%)
・(C)成分3:硫黄含有フェノール(硫黄含有量:11.0質量%)
・(C)成分4:ヒドロキシベンジルサルファイド(硫黄含有量:6.8質量%)
・(C)成分5:ベンゾチアゾール(硫黄含有量:8.9質量%、窒素含有量:4.7質量%)
・(D)成分:ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC、Mo含有量:10質量%)
・分散剤1:高分子アルケニルコハク酸イミド(塩基価:24mgKOH/g、窒素含有量:1質量%)
・分散剤2:ホウ素化アルケニルコハク酸イミド(塩基価:25mgKOH/g、ホウ素含有量:1.3質量%)
・耐摩耗剤:ジチオリン酸亜鉛(亜鉛含有量:8.9質量%、リン含有量:7.4質量%、硫黄含有量:15.0質量%)
・粘度指数向上剤:ポリメタクリレート(PMA、Mw=510,000、樹脂分濃度19質量%)
・その他添加剤:ジフェニルアミン、アルキルフェノール、銅不活性化剤、シリコーン系消泡剤、ポリメタクリレート系流動点降下剤

実施例

0100

上記表1〜3の結果から、オイル上がりが起こったとしても、最も多く見積もって、シリンダの燃焼室内に表1〜3に表す添加剤量が含まれた場合であっても、燃焼状態の悪化が起こらないことが確認された。このことから、燃焼状態の悪化が起こらない組成物として、表4に示される潤滑油組成物を調製した。
表4に示した、実施例1〜8の潤滑油組成物によれば、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム添加剤及び/又は(B2)マグネシウム添加剤と、種々の(C)無灰硫黄系添加剤とを所定配合比で配合した潤滑油組成物が、優れた清浄性を有しており、また表1〜3の結果から、点火式内燃機関の燃焼状態の悪化の優れた防止効果を有することが確認された。
一方、(C)無灰硫黄系添加剤を含まない比較例1の潤滑油組成物、(C)無灰硫黄系添加剤を含むものの、(B1)ナトリウム添加剤及び(B2)マグネシウム添加剤を含まない比較例2の潤滑油組成物は、清浄剤に劣ることが確認された。また、実施例と比較例1との対比(特に実施例2と比較例1との対比)から、(C)無灰硫黄系添加剤を、(A)カルシウム系清浄剤と、(B1)ナトリウム添加剤及び/又は(B2)マグネシウム添加剤と組み合わせて使用することにより、清浄性がより向上するという効果が確認された。

0101

1火花点火式内燃機関、11シリンダブロック、12ピストンクランク機構、13動弁機構、21シリンダ、22クランクケース、23ピストン、24クランクシャフト、30ピストンリング、31トップリング、32セカンドリング、33オイルリング、41オイルパン、C燃焼室、F点火プラグ、L 潤滑油組成物

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