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技術 非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクの判定方法、並びに該判定用オリゴヌクレオチドキット

出願人 国立大学法人旭川医科大学
発明者 高後裕田中宏樹大竹孝明中嶋駿介澤田康司長谷部拓夢
出願日 2015年3月24日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-061455
公開日 2016年10月13日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-178898
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 酵素、微生物を含む測定、試験 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード リファレンス番号 顕微鏡観察像 検出用マーカー 早期治癒 検出頻度 健常人群 アジア人種 単純性
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図面 (5)

課題

解決手段

米国バイオテクノロジー情報センターSNPデータベース登録されているrs番号で示される一塩基多型であって、rs1047840、rs2229629、rs35929428、rs2229207及びrs111988437より選択される一以上の一塩基多型及び/又は該一塩基多型と連鎖不平衡にある一塩基多型を検出する工程を含む、NAFLD/NASHの発症リスク及び/又は重症化リスクの判定方法。

概要

背景

肝炎脂肪肝又は肝硬変などは、最終的には肝がんに至る肝障害の代表例であり、その早期発見早期治癒医療上重要な意義を有する。従来、前記肝障害は、肝炎ウイルスへの感染の他、アルコール多飲による肝組織における脂肪蓄積を原因とする場合が多かった。しかし近年、アルコールの多飲以外の、肥満糖尿病高血圧などの生活習慣病が起因となって肝障害が生じ、さらに肝がんに至る症例の増加が問題となっている。

アルコールの多飲を原因としない脂肪性肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(Non alcoholic fatty liver diseases、NAFLD)と呼ばれており、NAFLDはさらに、肝細胞での脂肪沈着のみを特徴とする単純性脂肪肝と、脂肪沈着に加えて炎症や線維化が起こる非アルコール性脂肪肝炎(Non alcoholic steatohepatitis、NASH)に分けられる。以下、これらを纏めてNASH/NAFLDと表す。

食生活の欧米化及び慢性的運動不足によってNASH/NAFLDと診断される患者数、さらには肝がん全体に占めるNASH/NAFLD等の肝障害が原因となる肝がんの割合も増加してきており、NASH/NAFLDの早期発見及び治療への介入は、重要な課題となってきている。

NASH/NAFLDの発症には、食生活、運動習慣などの環境要因の他に、患者本人の遺伝的要因関与すると考えられており、これまでにもNASH/NAFLDの発症と関連のある遺伝子多型、特に一塩基多型(single nucleotide polymorphism、SNP)がいくつか報告されている(例えば非特許文献1及び非特許文献2)。

しかし、人種によりSNPの頻度は異なることもあり、日本において遺伝子多型の検出を利用したNASH/NAFLDの診断技術は確立していない。また、NASH/NAFLDの発症に関わる詳細な分子機構も未だ明らかにされていない。

概要

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)及び/又は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症リスク及び/又は重症リスク判定方法、並びに該判定用オリゴヌクレオチドキットの提供。米国バイオテクノロジー情報センターSNPデータベース登録されているrs番号で示される一塩基多型であって、rs1047840、rs2229629、rs35929428、rs2229207及びrs111988437より選択される一以上の一塩基多型及び/又は該一塩基多型と連鎖不平衡にある一塩基多型を検出する工程を含む、NAFLD/NASHの発症リスク及び/又は重症化リスクの判定方法。

目的

本発明は、NASH/NAFLDの早期発見を可能にする遺伝子多型の検出を利用したNASH/NAFLDの発症リスクの判定技術の確立を目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

米国バイオテクノロジー情報センターNCBI)SNPデータベース登録されているrs番号で示される一塩基多型であって、ヒト第1番染色体上のEXO1遺伝子におけるrs1047840、ヒト第2染色体上のHK2遺伝子におけるrs2229629、ヒト第9染色体上のPTPRD遺伝子におけるrs35929428、ヒト第21染色体上のIFNAR2遺伝子におけるrs2229207及びヒト第21染色体上のFAM3B遺伝子におけるrs111988437よりなる群から選択される一以上の一塩基多型及び/又は該一塩基多型と連鎖不平衡にある一塩基多型を検出する工程を含む、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎発症リスク及び/又は重症リスク判定方法

請求項2

rs1047840、rs2229629、rs35929428、rs2229207及び/若しくはrs111988437の塩基アデニンの場合に、並びに/又はrs2229207の塩基がシトシンの場合に、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクが高いと判定する工程をさらに含む、請求項1に記載の判定方法。

請求項3

前記一塩基多型がrs35929428である、請求項1又は2に記載の判定方法。

請求項4

以下のa)又はb)のオリゴヌクレオチド一種以上を含む、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクの判定用キット。a)請求項1から3のいずれかに記載の一塩基多型及び/又は該一塩基多型と連鎖不平衡にある一塩基多型を含む塩基配列を選択的に増幅することができるプライマー用オリゴヌクレオチドb)請求項1から3のいずれかに記載の一塩基多型及び/又は該一塩基多型と連鎖不平衡にある一塩基多型を含む連続する少なくとも10塩基対からなる塩基配列に相補的な塩基配列を有するプローブ用オリゴヌクレオチド

技術分野

背景技術

0002

肝炎脂肪肝又は肝硬変などは、最終的には肝がんに至る肝障害の代表例であり、その早期発見早期治癒医療上重要な意義を有する。従来、前記肝障害は、肝炎ウイルスへの感染の他、アルコール多飲による肝組織における脂肪蓄積を原因とする場合が多かった。しかし近年、アルコールの多飲以外の、肥満糖尿病高血圧などの生活習慣病が起因となって肝障害が生じ、さらに肝がんに至る症例の増加が問題となっている。

0003

アルコールの多飲を原因としない脂肪性肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(Non alcoholic fatty liver diseases、NAFLD)と呼ばれており、NAFLDはさらに、肝細胞での脂肪沈着のみを特徴とする単純性脂肪肝と、脂肪沈着に加えて炎症や線維化が起こる非アルコール性脂肪肝炎(Non alcoholic steatohepatitis、NASH)に分けられる。以下、これらを纏めてNASH/NAFLDと表す。

0004

食生活の欧米化及び慢性的運動不足によってNASH/NAFLDと診断される患者数、さらには肝がん全体に占めるNASH/NAFLD等の肝障害が原因となる肝がんの割合も増加してきており、NASH/NAFLDの早期発見及び治療への介入は、重要な課題となってきている。

0005

NASH/NAFLDの発症には、食生活、運動習慣などの環境要因の他に、患者本人の遺伝的要因関与すると考えられており、これまでにもNASH/NAFLDの発症と関連のある遺伝子多型、特に一塩基多型(single nucleotide polymorphism、SNP)がいくつか報告されている(例えば非特許文献1及び非特許文献2)。

0006

しかし、人種によりSNPの頻度は異なることもあり、日本において遺伝子多型の検出を利用したNASH/NAFLDの診断技術は確立していない。また、NASH/NAFLDの発症に関わる詳細な分子機構も未だ明らかにされていない。

先行技術

0007

Domeniciら、Gene、2013年、第529巻、第2号、第326−331ページ
Hernaezら、Clin.Gastroenterol Hepatol.、2013年、第11巻、第9号、第1183−1190ページ

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、NASH/NAFLDの早期発見を可能にする遺伝子多型の検出を利用したNASH/NAFLDの発症リスクの判定技術の確立を目的とするものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、NASH/NAFLDと臨床的に診断された複数の患者について遺伝子多型の存在を解析することで、NASH/NAFLDの発症と関連性のある複数のSNPを見いだし、下記の各発明を完成させた。

0010

(1)米国バイオテクノロジー情報センターNCBI)SNPデータベース登録されているrs番号で示されるSNPであって、ヒト第1番染色体上のEXO1遺伝子におけるrs1047840、ヒト第2染色体上のHK2遺伝子におけるrs2229629、ヒト第9染色体上のPTPRD遺伝子におけるrs35929428、ヒト第21染色体上のIFNAR2遺伝子におけるrs2229207及びヒト第21染色体上のFAM3B遺伝子におけるrs111988437よりなる群から選択される一以上のSNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを検出する工程を含む、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクの判定方法。
(2)rs1047840、rs2229629、rs35929428、rs2229207及び/若しくはrs111988437の塩基アデニンの場合に、並びに/又はrs2229207の塩基がシトシンの場合に、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクが高いと判定する工程をさらに含む、(1)に記載の判定方法。
(3)前記SNPがrs35929428である、(1)又は(2)に記載の判定方法。
(4)以下のa)又はb)のオリゴヌクレオチドの一種以上を含む、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクの判定用キット
a)(1)から(3)のいずれかに記載のSNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを含む塩基配列を選択的に増幅することができるプライマー用オリゴヌクレオチド
b)(1)から(3)のいずれかに記載のSNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを含む連続する少なくとも10塩基対からなる塩基配列に相補的な塩基配列を有するプローブ用オリゴヌクレオチド

発明の効果

0011

本発明におけるSNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPは、NASH/NAFLDの発症リスク及び/又は重症化リスクを判定するためのマーカーとして利用可能である。これにより、早期にNASH/NAFLDの発症リスク、及び発症したときの重症化リスクを判定することが可能となり、リスクが高い人に関しては、より頻繁に検診を受ける及び/又は生活習慣を改善するなどの指導を与えるなどによって、NASH/NAFLDの発症及び/重症化を抑制することができるものと期待される。また、前記SNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを有する各遺伝子は、NASH/NAFLD感受性遺伝子としてこれらの疾患の検出用マーカー遺伝子として利用可能である他、各遺伝子にコードされるタンパク質、特にPTPRDを分子標的としたNASH/NAFLDの治療法予防方法への実用化も期待できる。

図面の簡単な説明

0012

NASH/NAFLD患者におけるrs35929428及びrs738409の各アレル検出頻度を示すグラフである。
NASH/NAFLD患者におけるrs35929428及びrs738409の各アレルの検出頻度とFIB−4 indexとの関係を示すグラフである。
ヘマトキシリンエオジン染色(上)又は抗PTPRD抗体で免疫組織化学染色(下)したNASH患者肝組織の顕微鏡観察像である。
抗PTPRD抗体で免疫組織化学染色した正常マウス(上)及び高脂肪食負荷マウス(下)の肝組織の顕微鏡観察像である。

0013

本発明における一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、SNP)は、ヒトのゲノム配列において、国際標準配列(GRCh37、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/genome/assembly/grc/、又はhg19、https://genome.ucsc.edu/cgi−bin/hgGateway?db=hg19)と比較して母集団中1%以上の頻度で存在する、一塩基多様性をいう。本明細書では、SNPは、NCBIのSNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/snp)のリファレンス番号であるrs番号によって特定される。また、連鎖不均衡とは2つの密に連鎖した遺伝子座における特定の対立遺伝子の組み合わせ出現頻度が、それぞれの遺伝子頻度から推定される期待値と異なる場合をいい、本発明において連鎖不平衡にあるSNPとは、本発明においてrs番号で特定されるいずれかのSNPとの間の連鎖不平衡係数(r2)が0.8以上であるSNPをいう。

0014

本発明は、ヒト第1番染色体上のEXO1遺伝子におけるrs1047840、ヒト第2染色体上のHK2遺伝子におけるrs2229629、ヒト第9染色体上のPTPRD遺伝子におけるrs35929428、ヒト第21染色体上のIFNAR2遺伝子におけるrs2229207及びヒト第21染色体上のFAM3B遺伝子におけるrs111988437よりなる群から選択される一以上のSNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを検出する工程を含む、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクの判定方法に関する。

0015

ヒト第1番染色体上のEXO1遺伝子はexonuclease1を、ヒト第2染色体上のHK2遺伝子はhexokinase2を、ヒト第9染色体上のPTPRD遺伝子はprotein tyrosine phosphatase receptor type Dを、ヒト第21染色体上のIFNAR2遺伝子はinterferon−α receptor2を、ヒト第21染色体上のFAM3B遺伝子family with sequence similarity3,member Bを、それぞれコードする遺伝子である。

0016

後の実施例に詳細に説明するように、上記SNPは、健常人と比較して臨床的にNASH/NAFLDと診断された患者において高い頻度で存在することが確認されたSNPである。各SNPの染色体上の位置、rs番号、塩基置換アミノ酸置換、患者又は健常人における頻度及びP−valueを表1に示す。

0017

0018

本発明の判定方法は、具体的にはrs1047840、rs2229629、rs35929428、rs2229207及び/若しくはrs111988437の塩基がアデニンの場合に、並びに/又はrs2229207の塩基がシトシンの場合に、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は非アルコール性脂肪肝炎の発症リスク及び/又は重症化リスクが高いと判定するものである。

0019

本発明で特定されるSNPは、いずれもそれを含む各遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ酸置換を伴うものであることから、かかるタンパク質の何らかの機能変化がNASH/NAFLDの発症リスク若しくは重症化リスク、又は発症若しくは重症化そのものに関与すると推察される。

0020

特に、PTPRDの995番目アルギニン(R)をシステインに変異させる(R995C)SNPであるrs35929458は、タンパク質におけるアミノ酸置換の影響を予測するプログラムであるPROVEAN Score(http://provean.jcvi.org/index.php)によると、PTPRDの機能に影響を与え得る変異であると推測される。

0021

PTPRDは、免疫グロブリンドメイン及びフィブロネクチンドメインを含む細胞外ドメインと、タンパク質のチロシン残基における脱リン酸化に関与する細胞質ドメインとを有する、一回膜貫通型レセプタータンパク質である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5789)ことから、PTPRDは、細胞質内タンパク質の脱リン酸化を介してNASH/NAFLDの発症又は症状の進行に関与していると推定される。したがって、PTPRD又はその脱リン酸化によって機能が制御されている細胞質内タンパク質は、NASH/NAFLDの予防又は治療に用いることのできる医薬標的分子となり得る。

0022

また、PTPRDはレセプタータンパク質であることから、その活性制御を指標とすることでPTPRDに対するアゴニストアンタゴニスト又は活性調節物質を検出することができ、それらはPTPRDの機能制御を介したNASH/NAFLDの予防用又は治療用の医薬となり得る。このように、本発明はPTPRDの活性制御を指標とした、NASH/NAFLDの予防又は治療に用いることのできる化合物スクリーニングする方法を提供する。

0023

本発明の方法による判定対象は、ヒト、特にアジア人種とりわけ日本人である。また、SNPの検出は、ゲノムDNA、cDNA、又はmRNAのいずれの核酸について行ってもよい。また、かかる核酸は、被験者から採取される任意の生物学的試料、例えば血液、唾液リンパ液気道粘液骨髄液、尿、精液腹腔液等の体液、又はバイオプシー等によって得られる組織細胞等から、常法にしたがって抽出、精製、調製することができる。

0024

本発明により特定されるSNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPは、当業者に知られた従来の方法にしたがって検出することができる。そのような方法としては、例えばNASBA法、LCR法、SDA法、LAMP法、TaqMan(登録商標PCR等の、PCRによってSNPを含む増幅断片を利用する方法、DNAシーケンサーなどを用いたSNPを含む塩基配列を直接決定する方法、DNAチップ、Geneチップマイクロチップビーズアレイなどを含むマイクロアレイによる検出方法ミスマッチ部位化学的切断を利用した方法(CCM:chemical cleavage of mismatches)、プライマー伸長法(PEX)又はインベーダー法などを挙げることができるが、これらには限定されない。

0025

増幅断片を利用する方法の一つは、目的となるSNPを有する場合にのみ増幅断片が生じるよう、センスプライマー又はアンチセンスプライマーの一方がそのSNPにハイブリダイズするように設計されたプライマーセットを用いた方法を挙げることができる。かかるプライマーセットを使用することにより、増幅断片が生じたかどうかで目的とするSNPを検出することが可能となる。

0026

また、増幅断片を利用する別の方法は、目的とするSNPを含む領域が増幅されるように設計されたプライマーセットを用いた方法である。かかるプライマーセットを用いたPCRによる増幅断片のサイズ、塩基配列、高次構造などの差異に基づいて、SNPを検出することができる。例えば、アガロースゲル電気泳動ポリアクリルアミドゲル電気泳動キャピラリー電気泳動などを用いたときの増幅断片の移動度の違いから、目的とするSNPを検出することができる。

0027

また、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism;RFLP)を利用して検出することもできる。例えば、適当なプライマーセットを用いてSNPを含む増幅断片を調製し、目的とするSNPに応じて独特な長さの断片を生じることが知られている制限酵素で増幅断片を切断し、アガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動などを用いたときの切断物の移動度の違いから、目的とするSNPを検出することができる。

0028

なお、上記の増幅断片又は切断物の塩基配列を直接決定することによって、目的とするSNPを検出してもよい。また、増幅断片又は切断物を熱変性によって一本鎖DNAとした後、これをゲル電気泳動によって分離し、塩基配列の変化による移動度の変化を解析する、PCR−単鎖高次構造多型SSCP)によって目的とするSNPを検出してもよい。

0029

SNPは、一のSNPに特異的なプローブとのハイブリダイゼーションによって検出することもできる。プローブは、前記のSNPを含み、生物学的試料から調製したDNA等とハイブリダイズし、採用する検出条件下に検出可能な程度の特異性を与えるものである限り、いかなるものでもよい。

0030

プローブとしては、例えば前記SNPを含む連続する少なくとも10塩基以上、好ましくは10〜100塩基の配列、より好ましくは10〜50塩基の配列にハイブリダイズすることのできるオリゴヌクレオチドを用いることができる。また、SNPがプローブのほぼ中心部に存在するようにオリゴヌクレオチドを選択するのが好ましい。該オリゴヌクレオチドは、プローブとして機能し得る限り、即ち、目的の遺伝子多型の配列とハイブリダイズするが、他の遺伝子多型の配列とはハイブリダイズしない条件下でハイブリダイズする限り、その配列において1又はそれ以上の置換欠失、付加を含んでいてもよい。プローブは、必要に応じて、蛍光物質放射性物質等の適当な手段により標識してもよい。

0031

本発明に用いるハイブリダイゼーション条件は、遺伝子多型を区別するのに十分な条件である。例えば、生物学的試料から調製したDNA等が遺伝子多型の一のアレルである場合にはハイブリダイズするが、他のアレルである場合にはハイブリダイズしないような条件、例えばストリンジェントな条件である。

0032

プローブは、一端を基板に固定してDNAチップとして用いることもできる。この場合、DNAチップには、遺伝子多型の一のアレルに対応するプローブのみが固定されていても、遺伝子多型の複数のアレルに対応するプローブが固定されていてもよい。

0033

本発明において好ましい方法は、PCRによる遺伝子増幅を用いた方法、特に操作が簡便で且つ信頼性の高いTaqMan(登録商標)PCRである。具体的には、目的とするSNPを含む領域を増幅できるプライマーオリゴヌクレオチドセットと、各アレルに相補的な配列を有する、SNPの塩基変異に対応するTaqMan(登録商標)プローブ2種類を用いて、PCRを行なう。

0034

上記のSNPを検出する方法の多くは、それぞれの原理に応じたオリゴヌクレオチド、例えば遺伝子増幅のためのプライマーオリゴヌクレオチド、またはハイブリダイゼーション用のプローブオリゴヌクレオチドを必要とする。これらは、各方法の原理及び検出対象となるSNPの具体的な塩基配列に基づいて、当業者が適宜設計し、合成することができる。本発明にかかる特定のSNPの検出のためのオリゴヌクレオチドもまた、採用される検出方法の原理及び本発明で特定されるSNPの具体的な塩基配列に基づいて、当業者が適宜設計し、合成することができる。

0035

本発明は、NASH/NAFLDの発症リスク及び/又は重症化リスクの判定用キットを提供し、該キットは、a)前記SNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを含む塩基配列を選択的に増幅することができるプライマー用オリゴヌクレオチド、又はb)前記SNP及び/又は該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを含む連続する少なくとも10塩基対からなる塩基配列に相補的な塩基配列を有するプローブ用オリゴヌクレオチドを含む。

0036

本発明のキットに含まれるオリゴヌクレオチドは、SNPの検出方法において説明したように、採用される検出方法の原理及び本発明で特定されるSNPの具体的な塩基配列に基づいて、当業者が適宜設計し、合成することができる。

0037

本発明のキットは、上記オリゴヌクレオチドの他に、遺伝子多型を検出する各方法に適した試薬、反応成分その他を含んでいてもよい。例えば、酵素緩衝液、dNTP、コントロール用試薬(例えば、組織サンプル、ポジティブ及びネガティブコントロール用標的オリゴヌクレオチドなど)、標識用又は検出用試薬固相支持体説明書などが挙げられる。また、上記オリゴヌクレオチドは、支持体に固定化されたマイクロアレイとしてキットに含まれてもよい。

0038

本発明のNASH/NAFLDの発症リスク及び/又は重症化リスクの判定用キットにより、被験者の発症リスク又は重症化のリスクを簡便かつ迅速に診断することが可能となり、その診断結果に応じて適切な処置を施すことができる。

0039

以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。

0040

<実施例1>
血液検査、超音波MRI及び/又はCTなどの画像検査、並びに肝生検組織の病理診断確定診断)によってNASHと診断された患者34名、及び健常人31名からそれぞれから末梢血8mLを採取し、Ficoll比重遠心法により単核球分離後シリカゲルカラムを用いてDNAを抽出、精製した。なお、上記患者及び健常人はいずれも、ヒトゲノム遺伝子解析研究に関する倫理指針準拠し、旭川医科大学の倫理委員会審査され承認された本研究の内容を理解し、研究協力同意した者である。

0041

炎症性腸疾患膵疾患肝疾患症、血液疾患及び金属代謝疾患の各疾患との関連性が報告されている遺伝子、ならびに前記各疾患に関連する代謝、免疫又はシグナル伝達に関連する遺伝子を選出し、ここから重複する遺伝子及びアンプリコン(amplicon)の設定が不可能な遺伝子を削除した計1031遺伝子を、SNPを解析する対象遺伝子として決定した。対象遺伝子の全エクソン領域カバーするように、計12609個のアンプリコンに分割し、それぞれに対するプライマーセットを作成した。

0042

50ngのDNAをテンプレートとし、5つのプライマープールを用いてPCRを行ってアンプリコンを作成した後、製造者プロトコルに従って高出力シークエンサーIon Proton(Life technologies)を利用してDNA配列を解析し、上記1031遺伝子に関するSNP解析を行った。解析にあたって、予備シークエンスを2回施行し、各アンプリコンの解析長被覆率が検討に十分なことを確認した。

0043

全サンプルで国際標準配列(リファレンス)とシークエンス配列とを比較し、患者群と健常人群において計4043のリファレンスとの相違を検出した。この相違から、患者と健常人との遺伝子異常の出現頻度の差をフィッシャー検定におけるp値<0.05を有意として、かつアミノ酸置換を伴う遺伝子多型を候補遺伝子として、表1に示す11種類のSNPが候補として抽出された。

0044

0045

表2に示されるSNPについて、TaqMan(登録商標)SNP genotypingassay(Life technologies社)により検証を行った。その結果、前記表1に示すSNPが高出力シークエンサーで得られた結果と一致することが確認された。

0046

さらに、PROVEAN Score(http://provean.jcvi.org/index.php)を利用して、各SNPによるアミノ酸置換が各遺伝子にコードされるタンパク質の機能に影響を予測した結果、rs35929428におけるグアニンからアデニンへの塩基置換により生じるPTPRD R995C、すなわち995番目のアルギニンがシステインに置換されたPTPRDは、機能異常を引き起こすと判定された。

0047

さらに、検体数をNAFLD又はNASHと診断された患者51名及び健常人ボランティア45名へと増やし、TaqMan SNP genotypingassayを用いてrs35929428について検証を行った。また、これまでにNASH/NAFLD関連SNPとして報告されている多型PNPLA3 rs738409(Kawaguchi Tら、PLoS One.2012;7(6):e38322)の頻度と比較した。

0048

その結果、NAFLD又はNASHと診断された患者の29.4%が、rs35929428がAであるアレル(図1左におけるSNP(+))を有することが確認された。また、rs35929428は、NASH/NAFLDと健常人ボランティアの比較によりP=0.0106、オッズ比4.271(95%CI1.30−14.05)と、疾患そのものの発症に強く関連していることが確認された。一方、既報のrs738409がGであるアレル(図1右におけるSNP(+))は、P=0.2328、オッズ比0.647(95% CI 0.26−1.58)であり、NASH/NAFLDの発症には関連していないものと考えられる。

0049

また、臨床的にNASH/NAFLDの線維化進展度の指標として用いられるFIB−4 indexと、rs35929428及びrs738409の各アレルの検出頻度との関係を解析した。その結果、rs35929428がAであるアレル(図2左におけるSNP(+))の検出頻度は、FIB−4 index低値群と比較して高値群では4倍程度高くなった。一方、rs738409がGであるアレル(図2右におけるSNP(+))の検出頻度は、FIB−4 index低値群と比較して高値群で1.4倍程度高くなった。以上から、rs35929428はNASH/NAFLDの病態進行にも関連していることが明らかとなった。

実施例

0050

試験例1>
肝臓におけるPTPRDタンパク質の発現がNASH/NAFLDの病態に関連があるかどうかを解析するために、NASH患者及び高脂肪食負荷マウスの肝組織を用いて抗PTPRD抗体を用いた免疫組織化学染色を行った。その結果、NASH患者、高脂肪食負荷マウスいずれの肝組織においても、脂肪沈着の伴う肝細胞においてPTPRD蛋白質陽性像が認められた(図3図4)。この結果から、PTPRD蛋白質は肝細胞への脂肪沈着に関与することが示唆された

0051

本発明は、NASH/NAFLDの発症リスク及び重症化リスクの判定方法としての利用可能性を有し、これにより、リスクが高い人に関しては、より頻繁に検診を受ける及び/又は生活習慣を改善するなどの指導を与えるなどによって、NASH/NAFLDの発症及び/重症化を抑制することができるものと期待される。

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