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技術 燃料性状取得装置、及び燃料性状取得方法

出願人 株式会社デンソー
発明者 阪井拓哉西村裕行
出願日 2015年3月20日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-057170
公開日 2016年10月6日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2016-176408
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 体積弾性 各燃料配管 圧力上昇量 体積変化量 二次方程式 体積弾性係数 開始圧力 ポンプ駆動信号
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

燃料性状の取得精度を向上させることのできる燃料性状取得装置、及び燃料性状取得方法を提供する。

解決手段

燃料蓄圧保持する蓄圧容器14と、蓄圧容器から燃料を排出する排出弁15と、蓄圧容器内燃料温度を検出する燃温センサ21と、蓄圧容器内の燃料圧力を検出する燃圧センサ22と、を備え、蓄圧容器内の燃料をリークしないように保持可能なリークレス燃料供給システム10、に適用される燃料性状取得装置30であって、排出弁により蓄圧容器から燃料を排出させて蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、蓄圧容器内の燃料を保持させた状態において、燃温センサ21により検出される燃料温度に基づいて蓄圧容器内の燃料温度の上昇量を算出し、燃圧センサ22により検出される燃料圧力に基づいて蓄圧容器内の燃料圧力の上昇量を算出し、算出された燃料温度の上昇量、及び算出された燃料圧力の上昇量に基づいて、燃料の性状を取得する。

概要

背景

従来、燃料噴射弁による燃料噴射時に燃圧センサにより検出される燃料圧力に基づいて、燃料圧力の変化を示す圧力波形を取得するものがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のものでは、圧力波形に基づいて燃料の噴射量を推定し、推定された噴射量に基づいて燃料の密度、ひいては燃料の動粘度を算出している。

概要

燃料性状の取得精度を向上させることのできる燃料性状取得装置、及び燃料性状取得方法を提供する。燃料を蓄圧保持する蓄圧容器14と、蓄圧容器から燃料を排出する排出弁15と、蓄圧容器内燃料温度を検出する燃温センサ21と、蓄圧容器内の燃料圧力を検出する燃圧センサ22と、を備え、蓄圧容器内の燃料をリークしないように保持可能なリークレス燃料供給システム10、に適用される燃料性状取得装置30であって、排出弁により蓄圧容器から燃料を排出させて蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、蓄圧容器内の燃料を保持させた状態において、燃温センサ21により検出される燃料温度に基づいて蓄圧容器内の燃料温度の上昇量を算出し、燃圧センサ22により検出される燃料圧力に基づいて蓄圧容器内の燃料圧力の上昇量を算出し、算出された燃料温度の上昇量、及び算出された燃料圧力の上昇量に基づいて、燃料の性状を取得する。

目的

本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、燃料性状の取得精度を向上させることのできる燃料性状取得装置、及び燃料性状取得方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

燃料蓄圧保持する蓄圧容器(14)と、前記蓄圧容器から前記燃料を排出する排出弁(15)と、前記蓄圧容器内燃料温度を検出する燃温センサ(21)と、前記蓄圧容器内の燃料圧力を検出する燃圧センサ(22)と、を備え、前記蓄圧容器内の前記燃料をリークしないように保持可能なリークレス燃料供給システム(10)、に適用される燃料性状取得装置(30)であって、前記排出弁により前記蓄圧容器から前記燃料を排出させて、前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させる圧力低下手段と、前記圧力低下手段により前記蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持させた状態において、前記燃温センサにより検出される前記燃料温度に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料温度の上昇量を算出する温度上昇量算出手段と、前記圧力低下手段により前記蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持させた状態において、前記燃圧センサにより検出される前記燃料圧力に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料圧力の上昇量を算出する圧力上昇量算出手段と、前記温度上昇量算出手段により算出された前記燃料温度の上昇量、及び前記圧力上昇量算出手段により算出された前記燃料圧力の上昇量に基づいて、前記燃料の性状を取得する性状取得手段と、を備えることを特徴とする燃料性状取得装置。

請求項2

前記性状取得手段は、前記温度上昇量算出手段により算出された前記燃料温度の上昇量、及び前記圧力上昇量算出手段により算出された前記燃料圧力の上昇量に基づいて、前記燃料の性状として前記燃料の密度を取得する請求項1に記載の燃料性状取得装置。

請求項3

前記性状取得手段は、前記燃料の密度と前記燃料の体積弾性係数との相関関係に基づいて、前記燃料の性状として前記燃料の体積弾性係数を取得する請求項2に記載の燃料性状取得装置。

請求項4

前記性状取得手段は、前記燃料の密度と前記燃料の体積弾性係数との相関関係、及び前記燃料の密度と前記燃料の体積膨張率との相関関係に基づいて、前記燃料の密度を取得する請求項2又は3に記載の燃料性状取得装置。

請求項5

前記温度上昇量算出手段は、前記圧力低下手段により前記蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持させた状態において所定時間が経過する間に前記燃料温度が上昇した量を算出し、前記圧力上昇量算出手段は、前記圧力低下手段により前記蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持させた状態において前記所定時間が経過する間に前記燃料圧力が上昇した量を算出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料性状取得装置。

請求項6

前記燃料供給システムは、前記蓄圧容器へ前記燃料を圧送する燃料ポンプ(13)と、前記蓄圧容器から供給される前記燃料を噴射する燃料噴射弁(16)と、を備え、前記温度上昇量算出手段は、前記所定時間が経過する間に、前記燃料ポンプにより前記蓄圧容器へ前記燃料が圧送されていないこと、前記燃料噴射弁により前記燃料が噴射されていないこと、及び前記排出弁により前記蓄圧容器から前記燃料が排出されていないことを条件として、前記燃料温度が上昇した量を算出し、前記圧力上昇量算出手段は、前記所定時間が経過する間に、前記燃料ポンプにより前記蓄圧容器へ前記燃料が圧送されていないこと、前記燃料噴射弁により前記燃料が噴射されていないこと、及び前記排出弁により前記蓄圧容器から前記燃料が排出されていないことを条件として、前記燃料圧力が上昇した量を算出する請求項5に記載の燃料性状取得装置。

請求項7

前記圧力低下手段は、前記燃圧センサにより検出される前記燃料圧力に基づいて前記蓄圧容器内の燃料圧力の低下量を算出し、前記低下量が所定量になるまで前記排出弁により前記蓄圧容器から前記燃料を排出させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料性状取得装置。

請求項8

燃料を蓄圧保持する蓄圧容器と、前記蓄圧容器から前記燃料を排出する排出弁と、前記蓄圧容器内の燃料圧力を検出する燃圧センサと、前記蓄圧容器内の燃料温度を検出する燃温センサと、を備え、前記蓄圧容器内の前記燃料をリークしないように保持可能なリークレスの燃料供給システム、に適用される燃料性状取得方法であって、前記排出弁により前記蓄圧容器から前記燃料を排出させて、前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させる圧力低下工程と、前記圧力低下工程により前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させた後、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持した状態とし、前記燃温センサにより検出される前記燃料温度に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料温度の上昇量を算出する温度上昇量算出工程と、前記圧力低下工程により前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させた後、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持した状態とし、前記燃圧センサにより検出される前記燃料圧力に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料圧力の上昇量を算出する圧力上昇量算出工程と、前記圧力上昇量算出工程により算出された前記燃料圧力の上昇量、及び前記温度上昇量算出工程により算出された前記燃料温度の上昇量に基づいて、前記燃料の性状を取得する性状取得工程と、を備えることを特徴とする燃料性状取得方法。

技術分野

0001

本発明は、燃料供給システムで用いられる燃料性状を取得する燃料性状取得装置、及び燃料性状取得方法に関する。

背景技術

0002

従来、燃料噴射弁による燃料の噴射時に燃圧センサにより検出される燃料圧力に基づいて、燃料圧力の変化を示す圧力波形を取得するものがある(特許文献1参照)。特許文献1に記載のものでは、圧力波形に基づいて燃料の噴射量を推定し、推定された噴射量に基づいて燃料の密度、ひいては燃料の動粘度を算出している。

先行技術

0003

特開2014−148906

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、特許文献1に記載のものでは、燃料の噴射量を精度よく推定できなかった場合に、算出される動粘度(燃料性状)の精度が低下するおそれがある。

0005

本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、燃料性状の取得精度を向上させることのできる燃料性状取得装置、及び燃料性状取得方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。

0007

本発明は、燃料を蓄圧保持する蓄圧容器と、前記蓄圧容器から前記燃料を排出する排出弁と、前記蓄圧容器内燃料温度を検出する燃温センサと、前記蓄圧容器内の燃料圧力を検出する燃圧センサと、を備え、前記蓄圧容器内の前記燃料をリークしないように保持可能なリークレスの燃料供給システム、に適用される燃料性状取得装置であって、前記排出弁により前記蓄圧容器から前記燃料を排出させて、前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させる圧力低下手段と、前記圧力低下手段により前記蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持させた状態において、前記燃温センサにより検出される前記燃料温度に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料温度の上昇量を算出する温度上昇量算出手段と、前記圧力低下手段により前記蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持させた状態において、前記燃圧センサにより検出される前記燃料圧力に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料圧力の上昇量を算出する圧力上昇量算出手段と、前記温度上昇量算出手段により算出された前記燃料温度の上昇量、及び前記圧力上昇量算出手段により算出された前記燃料圧力の上昇量に基づいて、前記燃料の性状を取得する性状取得手段と、を備えることを特徴とする。

0008

また、本発明は、燃料を蓄圧保持する蓄圧容器と、前記蓄圧容器から前記燃料を排出する排出弁と、前記蓄圧容器内の燃料圧力を検出する燃圧センサと、前記蓄圧容器内の燃料温度を検出する燃温センサと、を備え、前記蓄圧容器内の前記燃料をリークしないように保持可能なリークレスの燃料供給システム、に適用される燃料性状取得方法であって、前記排出弁により前記蓄圧容器から前記燃料を排出させて、前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させる圧力低下工程と、前記圧力低下工程により前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させた後、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持した状態とし、前記燃温センサにより検出される前記燃料温度に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料温度の上昇量を算出する温度上昇量算出工程と、前記圧力低下工程により前記蓄圧容器内の燃料圧力を低下させた後、前記蓄圧容器内の前記燃料を保持した状態とし、前記燃圧センサにより検出される前記燃料圧力に基づいて、前記蓄圧容器内の燃料圧力の上昇量を算出する圧力上昇量算出工程と、前記圧力上昇量算出工程により算出された前記燃料圧力の上昇量、及び前記温度上昇量算出工程により算出された前記燃料温度の上昇量に基づいて、前記燃料の性状を取得する性状取得工程と、を備えることを特徴とする。

0009

上記構成によれば、排出弁により蓄圧容器から燃料が排出され、蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられる。蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられると、蓄圧容器内の燃料が膨張して燃料の温度が低下する。そして、温度の低下した燃料に対して蓄圧容器から熱が伝達され、燃料の温度が上昇する。蓄圧容器内の燃料をリークしないように保持可能なリークレスの燃料供給システムでは、燃料温度の上昇に伴って燃料圧力が上昇する。

0010

そこで、蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、蓄圧容器内の燃料が保持された状態において、燃温センサにより検出される燃料温度に基づいて、蓄圧容器内の燃料温度の上昇量が算出される。また、蓄圧容器内の燃料圧力が低下させられてから、蓄圧容器内の燃料が保持された状態において、燃圧センサにより検出される燃料圧力に基づいて、蓄圧容器内の燃料圧力の上昇量が算出される。

0011

そして、算出された燃料圧力の上昇量、及び算出された燃料温度の上昇量に基づいて、燃料の性状が取得される。すなわち、燃料圧力の上昇量及び燃料温度の上昇量は燃料性状を反映するため、これらに基づいて燃料性状を取得することができる。さらに、燃料性状を取得する際に、燃温センサによる検出値及び燃圧センサによる検出値を用いており、燃料噴射量の推定値等を用いていないため、燃料性状の取得精度を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0012

燃料噴射システム及びディーゼルエンジンの概略を示す模式図。
燃料性状取得処理実行可否判定の手順を示すフローチャート
燃料性状取得処理の手順を示すフローチャート。
燃料性状取得処理における駆動信号、燃料温度、及び燃料圧力を示すタイムチャート
燃料密度と体弾性係数との関係を示す図。
燃料密度と体積膨張率との関係を示す図。
燃料温度及び燃料圧力と体積弾性係数との関係を示すマップ
燃料温度及び燃料圧力と体積膨張率との関係を示すマップ。

実施例

0013

以下、車載ディーゼルエンジンコモンレール式燃料噴射システムに適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ディーゼルエンジン(内燃機関)は、4つのインジェクタを備えており、インジェクタにより気筒内に高圧燃料を噴射して圧縮自着火燃焼させる。図1は、燃料噴射システム10(燃料供給システム)及びディーゼルエンジン18の概略を示す模式図である。

0014

燃料タンク11内の燃料は、フィードポンプ12及びサプライポンプ13(燃料ポンプ)により、燃料配管19を介してコモンレール14(蓄圧容器)へ圧送されて蓄圧保持される。燃料配管19には、図示しない逆止弁が設けられており、サプライポンプ13からコモンレール14へ燃料が流通し、コモンレール14からサプライポンプ13への燃料の流通は阻止される。

0015

コモンレール14には、各燃料配管17を介して、各気筒のインジェクタ16が接続されている。コモンレール14内の燃料は、各燃料配管17を通じて、インジェクタ16へ分配供給される。複数のインジェクタ16(燃料噴射弁)は、所定の順序でそれぞれ気筒内へ燃料の噴射を行う。インジェクタ16は、駆動停止時においてコモンレール14から供給される高圧燃料が、低圧側通路11Aや気筒内へ漏れない静リークレス構造となっている。すなわち、燃料噴射システム10は、コモンレール14内の燃料をリークしないように保持可能なリークレスの燃料噴射システムである。また、コモンレール14には、コモンレール14から低圧側通路11Aへ燃料を排出する減圧弁15(排出弁)が設けられている。低圧側通路11Aは、燃料タンク11に接続されている。

0016

コモンレール14には、コモンレール14内の燃料温度を検出する燃温センサ21、及びコモンレール14内の燃料圧力を検出する燃圧センサ22が設けられている。エンジン18には、エンジン18の回転速度NEを検出するNEセンサ23、及びエンジン18の冷却水温を検出する水温センサ24が設けられている。エンジン18を搭載する車両には、アクセルペダル操作量を検出するアクセルセンサ25、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ26、及び車両の速度を検出する車速センサ27が設けられている。

0017

ECU30(電子制御装置)は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、及び入出力インターフェイス等を備える周知のマイクロコンピュータである。燃温センサ21、燃圧センサ22、NEセンサ23、水温センサ24、アクセルセンサ25、ブレーキセンサ26、及び車速センサ27の出力は、それぞれECU30へ入力される。ECU30は、これらのセンサ21〜27の出力に基づいて、サプライポンプ13、減圧弁15、及びインジェクタ16へ、それぞれポンプ駆動信号、減圧弁駆動信号、及びインジェクタ駆動信号を出力する。これらの駆動信号により、サプライポンプ13、減圧弁15、及びインジェクタ16が、それぞれ駆動される。

0018

ECU30は、エンジン18の運転中に所定の停止条件成立するとエンジン18を自動停止させるとともに、その後、所定の再始動条件が成立するとエンジン18を自動再始動させるアイドリングストップ制御を実行する。エンジン停止条件としては、例えば、ブレーキセンサ26により検出される操作量が所定操作量よりも大きい(ブレーキペダルの踏み込み操作が行われている)こと、車速センサ27により検出される車速が所定のアイドル停止車速よりも低いこと等の少なくとも1つが含まれる。エンジン再始動条件としては、例えば、エンジン停止状態において、ブレーキセンサ26により検出される操作量が所定操作量よりも小さい(ブレーキペダルの踏込み操作が行われていない)こと、アクセルセンサ25により検出される操作量が所定操作量よりも大きい(アクセルペダルの踏込み操作が行われている)こと等の少なくとも1つが含まれる。本実施形態では、ECU30(燃料性状取得装置)は、燃料噴射システム10で現在使用されている燃料の性状を取得する燃料性状取得処理を実行する。

0019

図2は、上記燃料性状取得処理の実行可否を判定する処理の手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、ECU30によって所定の周期で繰り返し実行される。

0020

まず、エンジン18が始動されてから所定時間が経過したか否か判定する(S11)。この所定時間は、エンジン18の回転が安定したことを判定することのできる時間、例えば30秒に設定されている。この判定において、エンジン18が始動されてから所定時間が経過していないと判定した場合(S11:NO)、この一連の処理を一旦終了し、燃料性状取得処理の実行を許可しない。

0021

一方、S11の判定において、エンジン18が始動されてから所定時間が経過したと判定した場合(S11:YES)、水温センサ24の出力に基づいてエンジン18の冷却水温が所定水温よりも高いか否か判定する(S12)。この所定水温は、コモンレール14内の燃料温度が所定時間に所定量上昇すると判定することのできる水温、例えば60〜80℃に設定されている。この判定において、エンジン18の冷却水温が所定水温よりも高くないと判定した場合(S12:NO)、この一連の処理を一旦終了し、燃料性状取得処理の実行を許可しない。

0022

一方、S12の判定において、エンジン18の冷却水温が所定水温よりも高いと判定した場合(S12:YES)、アクセルセンサ25の出力に基づいてアクセルペダルが踏み込まれていないか否か判定する(S13)。この判定において、アクセルペダルが踏み込まれていると判定した場合(S13:NO)、NEセンサ23の出力等に基づいてアイドリングストップ中であるか否か判定する(S14)。この判定において、アイドリングストップ中でないと判定した場合(S14:NO)、この一連の処理を一旦終了し、燃料性状取得処理の実行を許可しない。

0023

そして、上記S13の判定において、アクセルペダルが踏み込まれていないと判定した場合(S13:YES)、又はS14の判定において、アイドリングストップ中であると判定した場合(S14:YES)、燃料性状取得処理の実行を許可する(S15)。その後、この一連の処理を終了する。

0024

次に、図3のフローチャートを参照して、燃料性状取得処理の手順(燃料性状取得方法)を説明する。この一連の処理は、図2判定処理において燃料性状取得処理の実行が許可されたことを条件として、ECU30によって実行される。

0025

まず、減圧弁15によりコモンレール14からの燃料の排出を開始させる(S21)。具体的には、図4に示すように、減圧弁駆動信号をオンにすることにより、減圧弁15を開く。続いて、燃圧センサ22の出力に基づいて、コモンレール14内の燃料圧力の低下量が所定低下量を超えたか否か判定する(S22)。この所定低下量は、リークレスの燃料噴射システム10においてコモンレール14内の燃料が膨張して、燃料温度が所定量低下すると判定することのできる低下量に設定されている。この判定において、コモンレール14内の燃料圧力の低下量が所定低下量を超えていないと判定した場合(S22:NO)、S21の処理へ戻り、減圧弁15による燃料の排出を継続させる。

0026

一方、S22の判定において、コモンレール14内の燃料圧力の低下量が所定低下量を超えたと判定した場合(S22:YES)、減圧弁15による燃料の排出を終了させる(S23)。具体的には、図4に示すように、減圧弁駆動信号をオフにすることにより、減圧弁15を閉じる。続いて、燃温センサ21の出力に基づいて開始温度Tsを検出し、燃圧センサ22の出力に基づいて開始圧力Psを検出し、開始温度Ts及び開始圧力Psを記憶する(S24)。

0027

続いて、コモンレール14内の燃料が保持された状態であるか否か判定する(S25〜S27)。具体的には、インジェクタ16により燃料が噴射されていないこと、サプライポンプ13によりコモンレール14へ燃料が圧送されていないこと、及び減圧弁15によりコモンレール14から燃料が排出されていないこと、の全てが成立した場合(S25〜S27:YES)、コモンレール14内の燃料が保持された状態であると判定する。一方、S25〜S27の少なくとも1つが成立していない場合(S25〜S27のいずれか:NO)、コモンレール14内の燃料が保持された状態でないと判定し、この一連の処理を一旦終了する。

0028

コモンレール14内の燃料が保持された状態であると判定した場合(S25〜S27:YES)、減圧終了から所定時間Tdが経過したか否か判定する(S28)。この判定において、減圧終了から所定時間Tdが経過していないと判定した場合(S28:NO)、S25〜S27の処理を再度実行する。

0029

一方、S28の判定において、減圧終了から所定時間Tdが経過したと判定した場合(S28:YES)、燃温センサ21の出力に基づいて終了温度Teを検出し、燃圧センサ22の出力に基づいて終了圧力Peを検出する(S29)。

0030

ここで、図4に示すように、温度の低下した燃料に対してコモンレール14から熱が伝達され、燃料の温度が上昇する。コモンレール14内の燃料をリークしないように保持可能なリークレスの燃料噴射システム10では、燃料温度の上昇に伴って燃料圧力が上昇する。しかしながら、燃料性状を取得するために用いる燃料温度の上昇量ΔTや燃料圧力の上昇量ΔPが小さすぎる場合は、それらに基づいて取得される燃料性状の精度が低下するおそれがある。上記所定時間Tdは、燃料性状の取得に用いる燃料温度の上昇量ΔTや燃料圧力の上昇量ΔPが小さすぎることを抑制することのできる時間に設定されている。

0031

続いて、所定時間Tdが経過する間における燃料温度の上昇量ΔT、及び所定時間Tdが経過する間における燃料圧力の上昇量ΔPを算出する(S30)。具体的には、ΔT=Te−Ts、ΔP=Pe−Psの式により、燃料温度の上昇量ΔT、燃料圧力の上昇量ΔPを算出する。

0032

続いて、燃料密度ρ、及び燃料密度の補正量Δρを算出する(S31)。具体的には、図5に示すように、燃料密度ρと体積弾性係数Eとは相関関係を有しており、予め実験や文献等に基づいてこの相関関係を取得しておくことができる。そして、燃料密度ρと体積弾性係数Eとの関係を、E=aρ+bの一次関数近似することができる。a,bは既知係数である。同様にして、図6に示すように、燃料密度ρと体積膨張率βとは相関関係を有しており、予め実験や文献等に基づいてこの相関関係を取得しておくことができる。そして、燃料密度ρと体積膨張率βとの関係を、β=cρ+dの一次関数で近似することができる。c,dは既知の係数である。これらの相関関係は、燃料の種類にかかわらず、概ね一定となっている。

0033

また、体積弾性係数E、燃料の体積V、体積変化量ΔV、圧力変化量ΔPの間には、ΔP=EΔV/Vの物理式1が成立する。体積膨張率β、燃料の体積V、体積変化量ΔV、温度変化量ΔTの間には、ΔV=VβΔTの物理式2が成立する。これら2つの物理式1,2から、ΔP=EβΔTの関係式導出される。この関係式に、上記E=aρ+bと上記β=cρ+dを代入することにより、{acρ^2+(ad+bc)ρ+(bd−ΔP/ΔT)}=0の二次方程式を導出される(ρ^2はρの二乗を表す)。この二次方程式を解の公式により解くと、ρ=[−(ad+bc)+√{(ad+bc)^2−4ac(bd−ΔP/ΔT)}]/2acの解が得られる。この解に、燃料温度の上昇量ΔT、燃料圧力の上昇量ΔPを代入することにより、燃料性状としての燃料密度ρを算出する。そして、例えばエンジン18に使用されると想定していた軽油の密度ρ0と、算出した燃料密度ρとの差を燃料密度の補正量Δρとして算出する(Δρ=ρ−ρ0)。

0034

続いて、燃料密度ρと体積弾性係数Eとの相関関係に基づいて、体積弾性係数E、及び体積弾性係数の補正量ΔEを算出する(S32)。具体的には、上述したように、E=aρ+bの一次関数が成立する。この一次関数に、算出した燃料密度ρを代入することにより、燃料性状としての体積弾性係数Eを算出する。そして、例えばエンジン18に使用されると想定していた軽油の体積弾性係数E0と、算出した体積弾性係数Eとの差を体積弾性係数の補正量ΔEとして算出する(ΔE=E−E0)。

0035

続いて、体積弾性係数の補正量ΔEの絶対値が、所定補正量よりも大きいか否か判定する(S33)。この所定補正量は、算出された体積弾性係数の補正量ΔEが、有意であることを判定することのできる補正量に設定されている。この判定において、体積弾性係数の補正量ΔEの絶対値が、所定補正量よりも大きくないと判定した場合(S33:NO)、体積弾性係数の補正量ΔEを前回の補正量とする。すなわち、算出された体積弾性係数の補正量ΔEが有意ではないと判定し、体積弾性係数の補正量ΔEとして、前回算出された補正量ΔEを用いる。

0036

一方、S33の判定において、体積弾性係数の補正量ΔEの絶対値が、所定補正量よりも大きいと判定した場合(S33:YES)、体積弾性係数Eが閾値1よりも大きく、且つ閾値2よりも小さいか否か判定する(S35)。この閾値1,閾値2は、例えばエンジン18に使用されると想定していた軽油の体積弾性係数E0として、許容される範囲内であることを判定することのできる閾値に設定されている。例えば、軽油の体積弾性係数E0から大きく外れ灯油重油の体積弾性係数に近い場合は、体積弾性係数Eが閾値1よりも小さくなったり、閾値2よりも大きくなったりする。これらの燃料の体積弾性係数は、予め実験や文献等に基づいて取得しておくことができる。

0037

体積弾性係数Eが閾値1よりも小さい、又は閾値2よりも大きいと判定した場合(S35:NO)、所定のフェイル処置を実行する(S36)。例えば、エンジン18の運転を停止させたり、エンジン18の出力を制限したり、警告灯を表示させたりする。

0038

一方、体積弾性係数Eが閾値1よりも大きく、且つ閾値2よりも小さいと判定した場合(S35:YES)、燃料密度の補正量Δρ、及び体積弾性係数の補正量ΔEを記憶する(S37)。そして、これらの補正量Δρ及び補正量ΔEを、各種制御に適用する(S38)。例えば、燃料密度の補正量Δρや、体積弾性係数の補正量ΔEに応じて、目標噴射状態噴射段数噴射開始時期噴射終了時期、噴射量等)を補正する。その後、この一連の処理を終了する。

0039

なお、S21〜S23の処理が圧力低下手段としての処理(圧力低下工程)に相当し、S24〜S30の処理が温度上昇量算出手段及び圧力上昇量算出手段としての処理(温度上昇量算出工程及び圧力上昇量算出工程)に相当し、S31,S32の処理が性状取得手段としての処理(性状取得工程)に相当する。

0040

以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。

0041

・コモンレール14内の燃料圧力が低下させられてから、コモンレール14内の燃料が保持された状態において、燃温センサ21により検出される燃料温度に基づいて、コモンレール14内の燃料温度の上昇量ΔTが算出される。また、コモンレール14内の燃料圧力が低下させられてから、コモンレール14内の燃料が保持された状態において、燃圧センサ22により検出される燃料圧力に基づいて、コモンレール14内の燃料圧力の上昇量ΔPが算出される。そして、算出された燃料温度の上昇量ΔT、及び算出された燃料圧力の上昇量ΔPに基づいて、燃料の性状が取得される。すなわち、燃料温度の上昇量ΔT及び燃料圧力の上昇量ΔPは燃料性状を反映するため、これらに基づいて燃料性状を取得することができる。さらに、燃料性状を取得する際に、燃温センサ21による検出値及び燃圧センサ22による検出値を用いており、燃料噴射量の推定値等を用いていないため、燃料性状の取得精度を向上させることができる。

0042

・燃料の密度ρと燃料の体積弾性係数Eとは相関関係を有しており、予め実験等に基づいてこの相関関係を取得しておくことができる。そして、燃料の密度ρと燃料の体積弾性係数Eとの相関関係に基づいて、燃料の性状として燃料の体積弾性係数Eが取得される。したがって、燃料の密度ρを算出することにより、燃料の体積弾性係数Eを取得することが可能となる。

0043

・燃料の密度ρと燃料の体積膨張率βとは相関関係を有しており、予め実験等に基づいてこの相関関係を取得しておくことができる。そして、燃料の密度ρと燃料の体積弾性係数Eとの相関関係、及び燃料の密度ρと燃料の体積膨張率βとの相関関係を用いることにより、燃料の密度ρを取得することができる。

0044

・コモンレール14内の燃料圧力が低下させられてから、コモンレール14内の燃料を保持させた状態において所定時間Tdが経過する間に、燃料温度が上昇した量及び燃料圧力が上昇した量が算出される。このため、燃料性状の取得に用いる燃料温度の上昇量ΔTや燃料圧力の上昇量ΔPが小さすぎることを抑制することができる。

0045

・所定時間Tdが経過する間に、サプライポンプ13によりコモンレール14へ燃料が圧送されていないこと、インジェクタ16により燃料が噴射されていないこと、及び減圧弁15によりコモンレール14から燃料が排出されていないことを条件として、燃料温度が上昇した量及び燃料圧力が上昇した量が算出される。このため、コモンレール14内の燃料を確実に保持させた状態において、燃料温度の上昇量ΔT及び燃料圧力の上昇量ΔPを算出することができる。

0046

・コモンレール14内の燃料圧力の低下量が小さすぎる場合は、燃料の膨張による燃料温度の低下量が小さくなり、その後の燃料温度の上昇量ΔTや燃料圧力の上昇量ΔPが小さくなるおそれがある。この点、燃圧センサ22により検出される燃料圧力に基づいてコモンレール14内の燃料圧力の低下量が算出され、その低下量が所定量になるまで減圧弁15によりコモンレール14から燃料が排出される。このため、燃料の膨張による燃料温度の低下量が小さすぎることを抑制することができ、ひいては燃料温度の上昇量ΔT、及び燃料圧力の上昇量ΔPが小さすぎることを抑制することができる。

0047

なお、上記実施形態を以下のように変更して実施することもできる。

0048

・上記実施形態では、コモンレール14内の燃料圧力の低下量が所定低下量を超えるまで、減圧弁15によりコモンレール14から燃料を排出させた。しかしながら、コモンレール14内の燃料圧力が所定圧力になるまで、減圧弁15によりコモンレール14から燃料を排出させてもよい。この所定圧力は、エンジン18の停止時に対応するコモンレール14内の目標燃料圧力や、エンジン18のアイドル運転時に対応するコモンレール14内の目標燃料圧力に設定しておくことができる。

0049

・コモンレール14内の燃料が保持された状態であることを判定する条件として、コモンレール14内の燃料圧力が上限圧力となった場合に解放されるリリーフ弁が解放されていないことを追加してもよい。

0050

・上記実施形態では、減圧開始から所定時間Tdが経過したと判定した場合(S28:YES)、燃温センサ21の出力に基づいて終了温度Teを検出し、燃圧センサ22の出力に基づいて終了圧力Peを検出した(S29)。しかしながら、コモンレール14内の燃料温度の上昇量ΔTが所定量を超えたと判定した場合に、コモンレール14内の燃料圧量の上昇量ΔPを算出したり、コモンレール14内の燃料圧量の上昇量ΔPが所定量を超えたと判定した場合に、コモンレール14内の燃料温度の上昇量ΔTを算出したりしてもよい。

0051

・燃料の密度ρと燃料の体積膨張率βとの相関関係に基づいて、燃料の性状として体積膨張率βを取得することもできる。また、体積弾性係数Eは、図7に示すように、コモンレール14(蓄圧容器)内の燃料圧力を検出する燃圧センサ22により検出される燃料圧力と燃温センサ21により検出される燃料温度から、予めECU30の適宜な記憶領域に記憶された体積弾性係数マップを参照して読み出してもよい。同様に、体積弾性膨張率βは、図8に示すように、燃料圧力と燃料温度から、予めECU30の適宜な記憶領域に記憶された体積膨張率マップを参照して読み出してもよい。

0052

・上記実施形態では、エンジン18に軽油が使用されると想定して各補正量を算出したが、ガソリンが使用されると想定したり、DME(ジメチルエーテル)が使用されると想定したりして、各補正量を算出することもできる。ガソリンエンジンに適用する場合は、コモンレール14に代えてデリバリパイプ(蓄圧容器)を用いればよい。

0053

10…燃料噴射システム、14…コモンレール、15…減圧弁、21…燃温センサ、22…燃圧センサ、30…ECU。

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