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技術 タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ

出願人 横浜ゴム株式会社
発明者 串田直樹土方健介
出願日 2015年3月20日 (4年3ヶ月経過) 出願番号 2015-057796
公開日 2016年10月6日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2016-176011
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物 タイヤ一般
主要キーワード テトラ体 トリ体 モノ体 トリスチレン化フェノール 分子量スチレン SBR 芳香族系モノマー イソプロペニルトルエン
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

競技ウェットイヤには、ウェットグリップ性能を低下させずに、高い耐久性および耐摩耗性を備えていることが望まれるが、これらの諸特性を同時に満足することは困難である。

解決手段

Tgが−35℃以上かつ重量平均分子量が800,000〜2,000,000である芳香族ビニル共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを120質量部以上、特定のシランカップリング剤をシリカに対し2〜20質量%、低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを5〜100質量部およびジスチレンフェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物によって上記課題を解決した。

概要

背景

競技ウェットイヤに求められる性能には高いウェットグリップ性能に加え、耐久性耐摩耗性グリップ作動性など多岐に渡る。グリップ性能を高くするためには、(1)比較的高いガラス転移温度(Tg)のスチレンブタジエン共重合体ゴムSBR)を使用する、(2)シリカを多量に配合する、(3)低分子量SBRを配合する;等の手法があるが、(1)の方法では耐久性や耐摩耗性が悪化し、(2)の方法では耐摩耗性が悪化し、(3)の方法では配合量が多くなるとモジュラスが低下し、耐久性や耐摩耗性が悪化してしまうという問題点があった。このように、ウェットグリップ性能、耐久性、耐摩耗性を高次バランスするのは当業界では困難な技術であると認識されている。

なお下記特許文献1には、ゴム材料特定構造メチレンビスアルキルスルフィド)およびフェノール系酸化防止剤等から選ばれる劣化防止剤とを混合する技術が開示されている。しかし特許文献1には、下記で説明する本発明のスチレン化フェノール化合物については開示も示唆もない。また、特定のスチレン化フェノール化合物を用いてウェットグリップ性能を損なうことなく、耐久性および耐摩耗性を同時に改善しようとする技術思想は何ら開示されていない。

概要

競技用ウェットタイヤには、ウェットグリップ性能を低下させずに、高い耐久性および耐摩耗性を備えていることが望まれるが、これらの諸特性を同時に満足することは困難である。Tgが−35℃以上かつ重量平均分子量が800,000〜2,000,000である芳香族ビニル共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを120質量部以上、特定のシランカップリング剤をシリカに対し2〜20質量%、低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを5〜100質量部およびジスチレンフェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部配合してなるタイヤ用ゴム組成物によって上記課題を解決した。なし

目的

本発明の目的は、ウェットグリップ性能を損なうことなく、耐久性および耐摩耗性を改善し得るタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ガラス転移温度(Tg)が−35℃以上であり、かつ重量平均分子量が800,000〜2,000,000である芳香族ビニル共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを120質量部以上、下記式(1)で表されるシランカップリング剤を前記シリカに対して2〜20質量%、重量平均分子量が2,000〜20,000、スチレン量が20〜40質量%およびビニル量が40〜70質量%の低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを5〜100質量部(ただし、前記低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは、前記ジエン系ゴムに含まれるにおける芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムとは異なる)、およびジスチレンフェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2(1)(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)

請求項2

前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに下記式(2)で表される化合物モノマーとして重合または共重合してなる樹脂を10〜60質量部配合してなることを特徴とする請求項1にタイヤ用ゴム組成物。前記式(2)中、Rは炭素数1〜8の直鎖または分枝状のアルキル基であり、R’は水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分枝状のアルキル基、置換基を有するアリール基、あるいはハロゲン基であり、RとR’のアルキル基は同一であっても異なってもよい。

請求項3

請求項1または2に記載のゴム組成物トレッドに使用した空気入りタイヤ

技術分野

0001

本発明は、タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、ウェットグリップ性能を損なうことなく、耐久性および耐摩耗性を改善し得るタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。

背景技術

0002

競技ウェットイヤに求められる性能には高いウェットグリップ性能に加え、耐久性、耐摩耗性、グリップ作動性など多岐に渡る。グリップ性能を高くするためには、(1)比較的高いガラス転移温度(Tg)のスチレンブタジエン共重合体ゴムSBR)を使用する、(2)シリカを多量に配合する、(3)低分子量SBRを配合する;等の手法があるが、(1)の方法では耐久性や耐摩耗性が悪化し、(2)の方法では耐摩耗性が悪化し、(3)の方法では配合量が多くなるとモジュラスが低下し、耐久性や耐摩耗性が悪化してしまうという問題点があった。このように、ウェットグリップ性能、耐久性、耐摩耗性を高次バランスするのは当業界では困難な技術であると認識されている。

0003

なお下記特許文献1には、ゴム材料特定構造メチレンビスアルキルスルフィド)およびフェノール系酸化防止剤等から選ばれる劣化防止剤とを混合する技術が開示されている。しかし特許文献1には、下記で説明する本発明のスチレン化フェノール化合物については開示も示唆もない。また、特定のスチレン化フェノール化合物を用いてウェットグリップ性能を損なうことなく、耐久性および耐摩耗性を同時に改善しようとする技術思想は何ら開示されていない。

先行技術

0004

特公平8−26178号公報

発明が解決しようとする課題

0005

したがって本発明の目的は、ウェットグリップ性能を損なうことなく、耐久性および耐摩耗性を改善し得るタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の芳香族ビニル共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴムに対し、シリカ、特定のシランカップリング剤、特定の低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムおよび特定のスチレン化フェノール化合物を特定量でもって配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下のとおりである。

0007

1.ガラス転移温度(Tg)が−35℃以上であり、かつ重量平均分子量が800,000〜2,000,000である芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対し、
シリカを120質量部以上、
下記式(1)で表されるシランカップリング剤を前記シリカに対して2〜20質量%、 重量平均分子量が2,000〜20,000、スチレン量が20〜40質量%およびビニル量が40〜70質量%の低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを5〜100質量部(ただし、前記低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは、前記ジエン系ゴムに含まれるにおける芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムとは異なる)、および
ジスチレンフェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部配合してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)
2.前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに下記式(2)で表される化合物モノマーとして重合または共重合してなる樹脂を10〜60質量部配合してなることを特徴とする前記1にタイヤ用ゴム組成物。

0008

0009

前記式(2)中、Rは炭素数1〜8の直鎖または分枝状のアルキル基であり、R’は水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分枝状のアルキル基、置換基を有するアリール基、あるいはハロゲン基であり、RとR’のアルキル基は同一であっても異なってもよい。
3.前記1または2に記載のゴム組成物トレッドに使用した空気入りタイヤ。

発明の効果

0010

本発明によれば、特定の芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴムに対し、シリカ、特定のシランカップリング剤、特定の低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムおよび特定のスチレン化フェノール化合物を特定量でもって配合したので、ウェットグリップ性能を損なうことなく、耐久性および耐摩耗性を改善し得るタイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。

0011

以下、本発明をさらに詳細に説明する。

0012

(ジエン系ゴム)
本発明で使用されるジエン系ゴムにおいて、ガラス転移温度(Tg)が−35℃以上であり、かつ重量平均分子量が800,000〜2,000,000である芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムが必須成分として配合される。
Tgが−35℃以上である芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを配合しない場合は、ウェットグリップ性能が損なわれる。また重量平均分子量が上記範囲外であると、耐久性が損なわれる。芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム等が挙げられ、中でもSBRが好ましい。また該Tgは、−35℃〜0℃であるのが好ましく、重量平均分子量は1,000,000〜1,800,000であるのが好ましい。芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム全体に対し、50〜100質量%配合するのが好ましい。なお本発明において重量平均分子量(Mw)は、特記しない限りテトラヒドロフラン溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で求めたものである。
また、本発明で使用されるジエン系ゴムは、ゴム組成物に配合することができる任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミンアミドシリルアルコキシシリルカルボキシルヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。

0013

(シリカ)
本発明で使用されるシリカとしては、乾式シリカ湿式シリカコロイダルシリカおよび沈降シリカなど、従来からゴム組成物において使用することが知られている任意のシリカを単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
なお本発明では、本発明の効果がさらに向上するという観点から、シリカのCTAB比表面積ASTM−D3765−80に準拠して測定)は、100〜300m2/gであるのが好ましく、120〜250m2/gであるのがさらに好ましい。

0014

(シランカップリング剤)
本発明で使用されるシランカップリング剤は、下記式(1)で表される。

0015

(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 (1)

0016

(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基、Cは加水分解性基、Dはメルカプト基を含有する有機基、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表し、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。)

0017

式(1)で表される硫黄含有シランカップリング剤ポリシロキサン)およびその製造方法は、例えば国際公開WO2014/002750号パンフレットに開示され、公知である。

0018

上記式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。なかでも、下記式(12)で表される基であることが好ましい。
*−(CH2)n−Sx−(CH2)n−* (12)
上記式(12)中、nは1〜10の整数を表し、なかでも、2〜4の整数であることが好ましい。
上記式(12)中、xは1〜6の整数を表し、なかでも、2〜4の整数であることが好ましい。
上記式(12)中、*は、結合位置を示す。
上記式(12)で表される基の具体例としては、例えば、*−CH2−S2−CH2−*、*−C2H4−S2−C2H4−*、*−C3H6−S2−C3H6−*、*−C4H8−S2−C4H8−*、*−CH2−S4−CH2−*、*−C2H4−S4−C2H4−*、*−C3H6−S4−C3H6−*、*−C4H8−S4−C4H8−*などが挙げられる。

0019

上記式(1)中、Bは炭素数5〜20の1価の炭化水素基を表し、その具体例としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基であることが好ましい。

0020

上記式(1)中、Cは加水分解性基を表し、その具体例としては、例えば、アルコキシ基フェノキシ基カルボキシル基アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、下記式(13)で表される基であることが好ましい。
*−OR2 (13)
上記式(13)中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアラルキル基アリールアルキル基)または炭素数2〜10のアルケニル基を表し、なかでも、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。上記炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基エチル基プロピル基ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。上記炭素数6〜10のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基トリル基などが挙げられる。上記炭素数6〜10のアラルキル基の具体例としては、例えば、ベンジル基フェニルエチル基などが挙げられる。上記炭素数2〜10のアルケニル基の具体例としては、例えば、ビニル基、プロぺニル基ペンテニル基などが挙げられる。
上記式(13)中、*は、結合位置を示す。

0021

上記式(1)中、Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。なかでも、下記式(14)で表される基であることが好ましい。
*−(CH2)m−SH (14)
上記式(14)中、mは1〜10の整数を表し、なかでも、1〜5の整数であることが好ましい。
上記式(14)中、*は、結合位置を示す。
上記式(14)で表される基の具体例としては、*−CH2SH、*−C2H4SH、*−C3H6SH、*−C4H8SH、*−C5H10SH、*−C6H12SH、*−C7H14SH、*−C8H16SH、*−C9H18SH、*−C10H20SHが挙げられる。

0022

上記式(1)中、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。

0023

上記式(1)中、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、かつ0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。

0024

上記式(1)中、aは、本発明の効果が向上するという理由から、0<a≦0.50であることが好ましい。
上記式(1)中、bは、本発明の効果が向上するという理由から、0<bであることが好ましく、0.10≦b≦0.89であることがより好ましい。
上記式(1)中、cは、本発明の効果が向上するという理由から、1.2≦c≦2.0であることが好ましい。
上記式(1)中、dは、本発明の効果が向上するという理由から、0.1≦d≦0.8であることが好ましい。

0025

上記ポリシロキサンの重量平均分子量は、本発明の効果が向上するという理由から、500〜2300であるのが好ましく、600〜1500であるのがより好ましい。本発明における上記ポリシロキサンの分子量は、トルエンを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で求めたものである。
上記ポリシロキサンの酢酸ヨウ化カリウムヨウ素酸カリウム添加−チオ硫酸ナトリウム溶液滴定法によるメルカプト当量は、加硫反応性に優れるという観点から、550〜700g/molであるのが好ましく、600〜650g/molであるのがより好ましい。

0026

上記ポリシロキサンは、本発明の効果が向上するという理由から、シロキサン単位(−Si−O−)を2〜50個有するものであることが好ましい。

0027

なお、上記ポリシロキサンの骨格には、ケイ素原子以外の金属(例えば、Sn、Ti、Al)は存在しない。

0028

上記ポリシロキサンの製造方法は公知であり、例えば国際公開WO2014/002750号パンフレットに開示された方法にしたがって製造することができる。

0029

(低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴム)
本発明に使用される低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは、重量平均分子量が2,000〜20,000、スチレン量が20〜40質量%およびビニル量が40〜70質量%のものである。低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムとしては、低分子量スチレンブタジエン共重合体が挙げられる。
低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムの重量平均分子量が上記範囲外であると、ウェットグリップ性能の向上効果が発揮されない。
また、スチレン量およびビニル量が上記の範囲外であると、いずれもウェットグリップ性能の向上効果が発揮されない。
なお、前記ジエン系ゴムに含まれる芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは、通常重量平均分子量が20,000を超えるものであるので、前記低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムとは区別される。
本発明で使用される低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムは、市販されているものを利用することができ、例えばCray Valley社製RICON 100、クラレ(株)製L−SBR820等が挙げられる。

0030

(スチレン化フェノール化合物)
本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、下記式で表すことができる。

0031

0032

本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、nが2であるジスチレン化フェノールまたはnが3であるトリスチレン化フェノールを主成分とする。本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、公知の製造方法により製造することができ、また商業的に入手も可能である、市販品としては、例えば三光(株)製SP−24(ジスチレン化フェノールを主成分とする)、TSP(トリスチレン化フェノールを主成分とする)等が挙げられる。

0033

一般的に製造されたスチレン化フェノール化合物は、フェノール1モルに対してスチレン1モルが付加したモノスチレン化フェノール(上記式中、n=1);フェノール1モルに対してスチレン2モルが付加したジスチレン化フェノール(上記式中、n=2);フェノール1モルに対してスチレン3モルが付加したトリスチレン化フェノール(上記式中、n=3);およびその他の成分の混合物となる。本発明では、これらのスチレン化フェノール化合物のうち、主成分としてジスチレン化フェノールおよびトリスチレン化フェノールを使用する。上述のように製造されたスチレン化フェノール化合物は、主に、モノ、ジおよびトリ体の混合物であるので、本発明で使用されるスチレン化フェノール化合物は、モノ体がある程度存在することができる。したがって本発明で言う、「ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とする」とは、ジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールが全体の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上を占めることを意味し、それ以外の成分としてモノスチレン化フェノールやその他の成分(例えばテトラ体あるいはそれ以上の付加物のスチレン化フェノール化合物)が含まれていてもよい。

0034

なお、上記式におけるスチレン部位は、スチレンの誘導体であってもよい。例えば、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン等が挙げられる。

0035

(樹脂)
本発明で必要に応じて使用される樹脂は、下記式(2)で表される化合物をモノマーとして重合または共重合して得られる。

0036

0037

(前記式中、Rは炭素数1〜8の直鎖または分枝状のアルキル基であり、R’は水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分枝状のアルキル基、置換基を有するアリール基、あるいはハロゲン基であり、RとR’のアルキル基は同一であっても異なってもよい。)

0038

本発明で使用される樹脂が共重合体である場合、共重合モノマーとしては芳香族系モノマーが好ましく、例えばスチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。

0039

本発明で使用される樹脂の重量平均分子量は、例えば1000〜6000であり、1500〜5000が好ましい。
本発明で使用される樹脂は、市販されているものを利用することができ、例えば三井化学(株)製FMR−0150、FTR−2140、JX日鉱日石エネルギー(株)製ネオポリマーシリーズ等が挙げられる。

0040

(ゴム組成物の配合割合
本発明のゴム組成物は、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを120質量部以上、前記式(1)で表されるシランカップリング剤を前記シリカに対して2〜20質量%、低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを5〜100質量部、およびジスチレン化フェノールまたはトリスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を0.5〜20質量部配合してなることを特徴とする。
シリカの配合量が120質量部未満であると、ウェットグリップ性能が悪化する。
前記式(1)で表されるシランカップリング剤の配合量が前記シリカに対して2質量%未満であると、添加量が少なすぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量%を超えると耐久性、摩耗性能が悪化する。
低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムが5質量部未満であると、添加量が少なすぎて本発明の効果を奏することができない。逆に100質量部を超えると耐久性、摩耗性能が悪化する。
スチレン化フェノール化合物の配合量が0.5質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると耐久性、摩耗性能が悪化する。

0041

さらに好ましい前記シリカの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、120〜160質量部である。
さらに好ましい前記式(1)で表されるシランカップリング剤の配合量は、前記シリカに対して7〜15質量%である。
さらに好ましい前記低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、10〜80質量部である。
さらに好ましいスチレン化フェノール化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、5〜12質量部である。

0042

また、前記樹脂を配合する場合は、ジエン系ゴム100質量部に対し、10〜60質量部配合するのが好ましく、20〜50質量部配合するのがさらに好ましい。

0043

(その他成分)
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤酸化亜鉛カーボンブラッククレータルク炭酸カルシウムのような各種充填剤老化防止剤可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。

0044

また本発明のゴム組成物は従来の空気入りタイヤの製造方法に従って空気入りタイヤを製造するのに適しており、トレッド、とくにキャップトレッドに適用するのがよい。

0045

以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。

0046

実施例1〜5および比較例1〜6
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤硫黄を除く成分を1.7リットル密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で加硫ゴム試験片の物性を測定した。

0047

tanδ(0℃):(株)東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメーターを用いて、0℃下、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で測定し、この値をもってウェットグリップ性能を評価した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。この値が大きいほど、ウェットグリップ性能が良好であることを示す。
300%モジュラス:JIS K6251(3号ダンベル使用)に基づき100℃にて引張り試験を実施し、300%変形モジュラスを求めた。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほどモジュラスが高く、耐久性に優れることを示す。
耐摩耗性:JIS K6264に基づき、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所(株)製)を使用して、荷重49N、スリップ率25%、時間4分、室温において測定した。結果は、比較例1の値を100として指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを意味する。
結果を表1に示す。

0048

0049

*1:SBR−1(旭化成ケミカルズ(株)製E581、スチレン量=36質量%、ビニル量=41質量%、ガラス転移温度(Tg)=−27℃、重量平均分子量=1,250,000、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*2:SBR−2(日本ゼオン(株)製Nipol 9548、スチレン量=36質量%、ビニル量=14質量%、ガラス転移温度(Tg)=−37℃、重量平均分子量=750,000、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*3:シリカ(ローディア社製Zeosil 1165MP、CTAB比表面積=159m2/g)
*4:カーボンブラック(東海カーボン(株)製シースト9、窒素吸着比表面積(N2SA)=142m2/g)
*5:シランカップリング剤−1(国際公開WO2014/002750号パンフレットの合成例1に従って合成した、上記式(1)を満たす化合物。組成式=(−C3H6−S4−C3H6−)0.083(−C8H17)0.667(−OC2H5)1.50(−C3H6SH)0.167SiO0.75、平均分子量=860)
*6:シランカップリング剤−2(エボニックデグサ社製Si69、ビス(3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド
*7:樹脂−1(ヤスハラケミカル(株)製YSポリスターT145、軟化点=145℃)
*8:樹脂−2(三井化学(株)製FMR−0150、イソプロペニルトルエンとインデンとの共重合樹脂、重量平均分子量=2040、軟化点=140℃)
*9:低分子量スチレン−ブタジエン共重合体(Cray Valley社製RICON 100、重量平均分子量=4,500、スチレン量=25重量%、ビニル量=70質量%)
*10:オイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*11:スチレン化フェノール化合物−1(三光(株)製SP−F。モノスチレン化フェノール65モル%以上、ジスチレン化フェノール32モル%以下、トリスチレン化フェノール1モル%以下)
*12:スチレン化フェノール化合物−2(三光(株)製SP−24。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール60モル%以上、トリスチレン化フェノール40モル%以下)
*13:スチレン化フェノール化合物−3(三光(株)製TSP。モノスチレン化フェノール0モル%、ジスチレン化フェノール30モル%以下、トリスチレン化フェノール65モル%以上)
*14:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*15:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸YR)
*16:老化防止剤(フレキシス社製6PPD
*17:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*18:加硫促進剤CBS(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*19:加硫促進剤DPG(大内新興化学工業(株)製ノクセラーD)

実施例

0050

上記の表1の結果から明らかなように、実施例1〜5で得られたゴム組成物は、特定の芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを含むジエン系ゴムに対し、シリカ、特定のシランカップリング剤、特定の低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムおよび特定のスチレン化フェノール化合物を特定量でもって配合したので、比較例1に対し、ウェットグリップ性能を損なうことなく、耐久性および耐摩耗性が改善されている。とくに、前記式(2)で表される化合物をモノマーとして重合または共重合してなる樹脂を配合した実施例3および4は、グリップ性能が向上し、他の性能のバランスも良化している。またシリカを多量に配合した場合でも(実施例5)、ウェットグリップ性能、耐久性、耐摩耗性が高次にバランスされている。
これに対し、比較例2は、ジエン系ゴムに配合したSBRのTgが本発明で規定する範囲外であるので、ウェットグリップ性能が悪化した。
比較例3は、シリカの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、ウェットグリップ性能が悪化した。
比較例4は、前記式(1)を満たさないシランカップリング剤を配合した例であるので、ウェットグリップ性能、耐久性、耐摩耗性が共に悪化した。
比較例5は、低分子量芳香族ビニル−共役ジエン系ゴムを配合せず、その代わりにオイルを増量した例であるので、ウェットグリップ性能が悪化した。
比較例6は、モノスチレン化フェノールを主成分とするスチレン化フェノール化合物を使用しているので、耐久性および耐摩耗性が悪化した。

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