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図面 (20)

課題

血管新生抑制活性を有する抗体、抗体を含有する医薬組成物、抗体の製造方法、抗体を用いた血管新生抑制方法の提供。

解決手段

血管新生に関与するSLIT2蛋白質受容体蛋白質である、ヒトROBO4蛋白質に対するモノクロナール抗体マウスハイブリドーマで作製し、さらにアミノ酸置換によりヒト化抗ROBO4抗体を作製する。

効果

抗ROBO4抗体は、ROBO4の下流シグナルを活性化し、VEGFまたはbFGFによって誘導される細胞遊走に対して抑制活性を有する。in vivoモデルにおいても血管新生抑制効果を示す。

概要

背景

Roundabout homolog 4(ROBO4)は、分子量110kDaの1回膜貫通構造を有する蛋白質であり(非特許文献1)、血管新生抑制因子として知られているSlit homolog 2(Slit2)と結合することで、血管新生を抑制することが知られている(特許文献1、非特許文献2)。Slit2は、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor)(VEGF)で促進されるHUVECの遊走を抑制することが報告されているとともに、ROBO4遺伝子を導入した血管内皮細胞(vascular endothelial cell:以下「EC」と称することもある)では、空ベクターを導入したECと比較して、VEGFやbFGFで促進される細胞遊走が抑制されることが報告されている(特許文献1、非特許文献2〜4)。

また、ROBO4遺伝子ノックアウトマウス由来のECやsiRNAを導入することでROBO4遺伝子をノックダウンしたECでは、野生型マウス由来のECやコントロールsiRNAを導入したECで認められるVEGFによる細胞遊走促進、管腔形成促進や透過性亢進に対するSlit2の抑制効果が認められないことが報告されている(特許文献2、非特許文献4〜6)。さらに、滲出型加齢黄斑変性糖尿病網膜症動物病態モデルである、マウスレーザー誘導脈絡膜血管新生モデルや酸素誘導網膜症モデルにおいて、Slit2はROBO4を介してこれらの病態モデルでの血管新生や血管透過性亢進を抑制することが報告されている(特許文献2、非特許文献4)。

上記のような知見がある一方、ROBO4とSlit2は結合しないことを示している報告もある(非特許文献9、特許文献5)。機能面でも、ROBO4遺伝子をノックアウトしたECでは、その遊走や管腔形成が阻害されることから、ROBO4は血管新生抑制ではなく、血管新生促進に関与するという報告もある (非特許文献10、11)。

臨床においては、ROBO4は大腸癌転移神経節膠腫膀胱癌乳癌転移性メラノーマ腎癌肺癌肝癌や大腸癌の腫瘍内血管で高発現していることが報告されている(特許文献3、非特許文献1、3、7)。また、増殖性糖尿病網膜症患者線維血管増殖膜内にある血管にもROBO4が発現していることが報告されている(非特許文献8)。このように、ROBO4は血管内皮細胞、特に病的な状態で新生した血管の内皮細胞に発現している。これは、ROBO4が高発現したために病的な血管新生が生じたとも考えられる一方で、病的な血管新生を抑制するためにROBO4が代償性に発現しているものとも考えられる。

以上の通り、ROBO4は血管新生抑制作用に関与することから、ROBO4に対する抗体及びその機能断片は、血管新生が関与する疾患の治療に有用であると考えられるが、ROBO4に対するアゴニスト抗体あるいはアンタゴニスト抗体のいずれが、血管新生を抑制するのか、促進するのかは明らかではない。

ROBO4に対する抗体(以下、「抗ROBO4抗体」という)として欧州特許第1,565,491号(特許文献4)及びWO2008/100805(特許文献5)に記載の抗体が知られているが、いずれもin vivoにおける血管新生抑制又は阻害作用は示されていない。

概要

血管新生抑制活性を有する抗体、抗体を含有する医薬組成物、抗体の製造方法、抗体を用いた血管新生の抑制方法の提供。血管新生に関与するSLIT2蛋白質の受容体蛋白質である、ヒトROBO4蛋白質に対するモノクロナール抗体マウスハイブリドーマで作製し、さらにアミノ酸置換によりヒト化抗ROBO4抗体を作製する。抗ROBO4抗体は、ROBO4の下流シグナルを活性化し、VEGFまたはbFGFによって誘導される細胞遊走に対して抑制活性を有する。in vivoモデルにおいても血管新生抑制効果を示す。なし

目的

本発明の一つの課題は、ROBO4に対する抗体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

下記(I)〜(III)記載の性質を有する抗体又はその抗原結合断片:(I)1×10−8M以下のKD値でヒトROBO4蛋白質に結合する、(II)インビトロにおいて、クロスリンク抗体非存在下で血管内皮細胞遊走を抑制又は阻害する、及び(III)イン・ビボにおいて、血管新生を抑制又は阻害する。

請求項2

ヒトROBO4蛋白質が、配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜1007のアミノ酸配列からなる蛋白質である、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項3

ヒトROBO4蛋白質が、配列表の配列番号2のアミノ酸番号46〜1007のアミノ酸配列からなる蛋白質である、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項4

配列表の配列番号2のアミノ酸番号132〜209のアミノ酸配列からなる部位に結合する、請求項2又は3に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項5

モノクローナル抗体又はその抗原結合断片である、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項6

下記(i)〜(v)に記載の抗体が認識する抗原上の部位に結合する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片、(i)配列表の配列番号44(図25)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号46(図26)に示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1個のアミノ酸置換されたアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列表の配列番号48(図27)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列表の配列番号50(図28)に示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号52(図29)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列表の配列番号54(図30)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖からなる抗体、(ii)配列表の配列番号44(図25)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号46(図26)に示されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号68(図44)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列表の配列番号48(図27)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列表の配列番号50(図28)に示されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号70(図46)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号52(図29)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列表の配列番号54(図30)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖からなる抗体、(iii)配列表の配列番号31(図16)に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号33(図18)に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗体、(iv)下記a)〜d)より選択されるいずれか一つの重鎖可変領域、及びe)及びf)から選択される軽鎖可変領域を含む、抗体:a)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H1タイプ)可変領域、b)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H2タイプ)可変領域、c)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H3タイプ)可変領域、及びd)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H4タイプ)可変領域、並びにe)配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(hMAb1−L1タイプ)可変領域、及びf)配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(hMAb1−L2タイプ)可変領域、(v)下記1)〜6)に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の組合せのいずれか一つを含む、抗体:1)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、2)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、3)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域4)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、5)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、並びに6)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域。

請求項7

ヒトROBO4蛋白質への結合に対して、下記(i)〜(v)のいずれか一つの抗体と競合する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片、(i)配列表の配列番号44(図25)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号46(図26)に示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列表の配列番号48(図27)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列表の配列番号50(図28)に示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号52(図29)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列表の配列番号54(図30)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖からなる抗体、(ii)配列表の配列番号44(図25)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号46(図26)に示されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号68(図44)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列表の配列番号48(図27)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列表の配列番号50(図28)に示されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号70(図46)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号52(図29)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列表の配列番号54(図30)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖からなる抗体、(iii)配列表の配列番号31(図16)に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号33(図18)に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、抗体、(iv)下記a)〜d)より選択されるいずれか一つの重鎖可変領域、及びe)及びf)から選択される軽鎖可変領域を含む、抗体:a)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H1タイプ)可変領域、b)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H2タイプ)可変領域、c)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H3タイプ)可変領域、及びd)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H4タイプ)可変領域、並びにe)配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(hMAb1−L1タイプ)可変領域、及びf)配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(hMAb1−L2タイプ)可変領域、(v)下記1)〜6)に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の組合せのいずれか一つを含む、抗体:1)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、2)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、3)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域4)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、5)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、並びに6)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域。

請求項8

キメラ抗体又はその抗原結合断片である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項9

ヒト化抗体又はその抗原結合断片である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項10

抗体が、ヒトIgG1又はヒトIgG2の重鎖定常領域を含む、請求項1〜9のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項11

下記いずれか一つの抗体とアミノ酸配列が95%以上同一であり、ヒトROBO4に対して1×10−8M以下のKD値を有し、イン・ビトロにおいてクロスリンク抗体非存在下で血管内皮細胞遊走を抑制又は阻害し、且つイン・ビボにおいて血管新生を抑制又は阻害する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の抗体、下記1)〜6)に記載の重鎖及び軽鎖の組合せのいずれか一つを含む、抗体:1)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−1140)、2)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−1143)、3)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−2143)、4)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−2140)、5)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−1040)、並びに6)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−2040)。

請求項12

ヒト抗体又はその抗原結合断片である、請求項6に記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項13

下記(I)〜(III)からなる群より選択される核酸:(I)請求項1〜12のいずれか一つに記載の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸、(II)請求項1〜12のいずれか一つに記載の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列からなる核酸、及び(III)請求項1〜12のいずれか一つに記載の抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列からなる核酸。

請求項14

請求項13記載の核酸が挿入された組換えベクター

請求項15

請求項13記載の核酸又は請求項14記載の組換えベクターが導入された組換え細胞

請求項16

請求項1〜12のいずれか一つに記載の抗体を産生する細胞

請求項17

下記の工程(I)及び(II)を含む、請求項1〜12のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片の製造方法:(I)請求項15又は16記載の細胞を培養する工程;及び(II)前記工程(I)で得られた培養物から請求項1〜12のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片を回収する工程。

請求項18

請求項17に記載の製造方法により製造された抗体又はその抗原結合断片。

請求項19

N−結合への糖鎖付加、O−結合への糖鎖付加、N末プロセッシングC末のプロセッシング、脱アミド化アスパラギン酸異性化メチオニン酸化プロリン残基アミド化及びカルボキシル末端において1つ又は2つのアミノ酸が欠失した重鎖からなる群より選択される1又は2以上の修飾を含む、請求項1〜12及び18のいずれか一つに記載の抗体又はその抗原結合断片。

請求項20

請求項1〜12、18及び19のいずれか一つに記載の抗体もしくはその抗原結合断片を有効成分として含んでなる医薬組成物

請求項21

血管新生性疾患治療または予防で使用するためのものである、請求項20に記載の医薬組成物。

請求項22

請求項1〜12、18及び19のいずれか一つに記載の抗体もしくはその抗原結合断片を有効成分として含んでなる血管新生阻害剤

請求項23

さらなる治療薬または予防薬と併用される、請求項20又は21に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、血管新生抑制活性を有する抗体、より具体的には、ROBO4に対する抗体、該抗体を含有する医薬組成物に関する。

背景技術

0002

Roundabout homolog 4(ROBO4)は、分子量110kDaの1回膜貫通構造を有する蛋白質であり(非特許文献1)、血管新生抑制因子として知られているSlit homolog 2(Slit2)と結合することで、血管新生を抑制することが知られている(特許文献1、非特許文献2)。Slit2は、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor)(VEGF)で促進されるHUVECの遊走を抑制することが報告されているとともに、ROBO4遺伝子を導入した血管内皮細胞(vascular endothelial cell:以下「EC」と称することもある)では、空ベクターを導入したECと比較して、VEGFやbFGFで促進される細胞遊走が抑制されることが報告されている(特許文献1、非特許文献2〜4)。

0003

また、ROBO4遺伝子ノックアウトマウス由来のECやsiRNAを導入することでROBO4遺伝子をノックダウンしたECでは、野生型マウス由来のECやコントロールsiRNAを導入したECで認められるVEGFによる細胞遊走促進、管腔形成促進や透過性亢進に対するSlit2の抑制効果が認められないことが報告されている(特許文献2、非特許文献4〜6)。さらに、滲出型加齢黄斑変性糖尿病網膜症動物病態モデルである、マウスレーザー誘導脈絡膜血管新生モデルや酸素誘導網膜症モデルにおいて、Slit2はROBO4を介してこれらの病態モデルでの血管新生や血管透過性亢進を抑制することが報告されている(特許文献2、非特許文献4)。

0004

上記のような知見がある一方、ROBO4とSlit2は結合しないことを示している報告もある(非特許文献9、特許文献5)。機能面でも、ROBO4遺伝子をノックアウトしたECでは、その遊走や管腔形成が阻害されることから、ROBO4は血管新生抑制ではなく、血管新生促進に関与するという報告もある (非特許文献10、11)。

0005

臨床においては、ROBO4は大腸癌転移神経節膠腫膀胱癌乳癌転移性メラノーマ腎癌肺癌肝癌や大腸癌の腫瘍内血管で高発現していることが報告されている(特許文献3、非特許文献1、3、7)。また、増殖性糖尿病網膜症患者線維血管増殖膜内にある血管にもROBO4が発現していることが報告されている(非特許文献8)。このように、ROBO4は血管内皮細胞、特に病的な状態で新生した血管の内皮細胞に発現している。これは、ROBO4が高発現したために病的な血管新生が生じたとも考えられる一方で、病的な血管新生を抑制するためにROBO4が代償性に発現しているものとも考えられる。

0006

以上の通り、ROBO4は血管新生抑制作用に関与することから、ROBO4に対する抗体及びその機能断片は、血管新生が関与する疾患の治療に有用であると考えられるが、ROBO4に対するアゴニスト抗体あるいはアンタゴニスト抗体のいずれが、血管新生を抑制するのか、促進するのかは明らかではない。

0007

ROBO4に対する抗体(以下、「抗ROBO4抗体」という)として欧州特許第1,565,491号(特許文献4)及びWO2008/100805(特許文献5)に記載の抗体が知られているが、いずれもin vivoにおける血管新生抑制又は阻害作用は示されていない。

0008

WO2004/003163
WO2008/073441
WO2002/036771
欧州特許第1,565,491号
WO2008/100805

先行技術

0009

Genomics、2002年、第79巻、p.547−552
Developmental Biology、2003年、第261巻、p.251−267
Biochemical and Biophysical Research Communications、2005年、第332巻、p.533−541
Nature Medicine、2008年、第14号、p.448−453
Science Translational Medicine、2010年、第2巻、p.23ra19
Proceedings of the National Academy of Sciences、2010年、第107巻、p.10520−10525
Oncology Reports、2006年、第15巻、p.1437−1443
Molecular Vision、2009年、第15巻、p.1057−1069
TheFASEB Journal、2005年、第19巻、p.121−123
BMCCell Biology、2008年、第9巻、p.61−72
The FASEB Journal、2009年、第23巻、p.513−522

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の一つの課題は、ROBO4に対する抗体を提供することである。

0011

本発明の他の一つの課題は血管新生抑制効果を有する抗ROBO4抗体を含有する医薬組成物等を提供することである。

0012

本発明の他の一つの課題は、該抗体の製造方法を提供することである。

0013

本発明の他の一つの課題は、該抗体を用いた血管新生の抑制方法等を提供することである。

課題を解決するための手段

0014

本発明者らは上記課題を解決するために鋭意、検討を行ったところ、ROBO4の下流シグナルの活性化を検出するスクリーニング系構築成功した。また、本発明者らはそのスクリーニング系を利用することで、ROBO4の下流シグナルを活性化し、ROBO4発現ECにおいてVEGF、bFGF、HGF、PDGF−BB及びSDF−1など種々の血管新生因子により誘導される細胞遊走に対して抑制活性を有し、in vivoモデルにおいても血管新生抑制作用を示す新規の抗ROBO4モノクローナル抗体を取得することに成功し、本発明を完成した。

0015

すなわち、本発明は、
(1)下記(I)〜(III)記載の性質を有する抗体又はその機能断片:
(I)好適には1x10−8以下のKD値で、特に好適には5x10−9以下のKD値でROBO4蛋白質に結合する、
(II)インビトロにおいて、クロスリンク抗体非存在下で血管内皮細胞遊走を抑制又は阻害する、及び
(III)イン・ビボにおいて、血管新生を抑制又は阻害する、
(2)ROBO4蛋白質が、ヒトROBO4蛋白質である、(1)に記載の抗体又はその機能断片、
(3)ROBO4蛋白質が、配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜1007のアミノ酸配列からなる蛋白質である、(1)に記載の抗体又はその機能断片、
(4)ROBO4蛋白質が、配列表の配列番号2のアミノ酸番号46〜1007のアミノ酸配列からなる蛋白質である、(1)に記載の抗体又はその機能断片、
(5)配列表の配列番号2のアミノ酸番号132〜209のアミノ酸配列からなる部位に結合する、(3)又は(4)に記載の抗体又はその機能断片、
(6)モノクローナル抗体又はその機能断片である、上記(1)に記載の抗体又はその機能断片、
(7)抗体が、配列表の配列番号44(図25)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号46(図26)に示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1個のアミノ酸置換されたアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列表の配列番号48(図27)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列表の配列番号50(図28)に示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列において1〜3個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号52(図29)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列表の配列番号54(図30)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖からなる、上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(8)抗体が、配列表の配列番号44(図25)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号46(図26)に示されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号68(図44)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH2、及び配列表の配列番号48(図27)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む重鎖、並びに、配列表の配列番号50(図28)に示されるアミノ酸配列又は配列表の配列番号70(図46)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号52(図29)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2、及び配列表の配列番号54(図30)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む軽鎖からなる、(1)〜(7)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(9)抗体が、配列表の配列番号31(図16)に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号33(図18)に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、(1)〜(7)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(10)抗体が、下記a)〜d)より選択されるいずれか一つの重鎖可変領域、及びe)又はf)から選択される軽鎖可変領域を含む、上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片:
a)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H1タイプ)可変領域、
b)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H2タイプ)可変領域、
c)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H3タイプ)可変領域、及び
d)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖(hMAb1−H4タイプ)可変領域;並びに
e)配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(hMAb1−L1タイプ)可変領域、及び
f)配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(hMAb1−L2タイプ)可変領域、
(11)抗体が、下記1)〜6)に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の組合せのいずれか一つを含む、上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片:
1)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
2)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
3)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
4)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
5)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、及び
6)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
(12)キメラ抗体又はその機能断片である、上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(13)ヒト化抗体又はその機能断片である、上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(14)抗体が、ヒトIgG1又はヒトIgG2の重鎖定常領域を含む、上記(1)〜(13)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(15)上記(7)〜(14)に記載のいずれか一つの抗体が認識する抗原上の部位に結合する、上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(16) ROBO4蛋白質への結合に対して、上記(7)〜(14)に記載のいずれか一つの抗体と競合する、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片、
(17)下記1)〜6)に記載の重鎖及び軽鎖の組合せのいずれか一つを含む、上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の抗体:
1)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−1140)、
2)配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−1143)、
3)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−2143)、
4)配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−2140)、
5)配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−1040)、及び
6)配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖(H−2040)、
(18)上記(17)に記載のいずれか一つの抗体の重鎖の修飾体を含む抗体であって、該修飾体が、1〜数個の該重鎖のカルボキシル末端側のアミノ酸、好適には、1〜8個の該重鎖のカルボキシル末端側のアミノ酸、より好適には、1〜2個の該重鎖のカルボキシル末端側のアミノ酸を欠失している、抗体、
(19)(17)に記載のいずれか一つの抗体とアミノ酸配列が95%以上同一であり、ヒトROBO4に対して1x10−8以下のKD値を有し、イン・ビトロにおいてクロスリンク抗体非存在下で血管内皮細胞遊走を抑制又は阻害し、且つイン・ビボにおいて血管新生を抑制又は阻害する、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の抗体、
(20)ヒト抗体又はその機能断片である、(15)に記載の抗体又はその機能断片、
(21)下記(I)〜(III)からなる群より選択されるヌクレオチド配列
(I)上記(1)〜(20)のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖の一部または全部のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含んでなるヌクレオチド配列、
(II)上記(1)〜(20)のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖の一部または全部のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列からなるヌクレオチド配列、及び
(III)上記(1)〜(20)のいずれか一つに記載の抗体の重鎖または軽鎖の一部または全部のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列からなるヌクレオチド配列、
(22)上記(21)記載のヌクレオチド配列が挿入された組換えベクター
(23)上記(21)記載のヌクレオチド又は上記(22)記載の組換えベクターが導入された組換え細胞
(24)好適には哺乳動物細胞、より好適にはCHO細胞、より一層好適にはCHOK1SVである、上記(1)〜(20)のいずれか一つに記載の抗体を産生する細胞
(25)下記の工程(I)及び(II)を含む、上記(1)〜(20)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片の製造方法:
(I)上記(23)又は(24)記載の細胞を培養する工程;及び
(II)前記工程(I)で得られた培養物から上記(1)〜(20)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片を回収する工程、
(26)上記(25)に記載の製造方法により製造された抗体又はその機能断片、
(27)上記(1)〜(20)及び(26)のいずれか一つに記載の抗体又はその機能断片の修飾体、
(28)上記(1)〜(20)及び(26)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片、または上記(27)記載の修飾体を有効成分として含んでなる医薬組成物、
(29)血管新生性疾患治療薬または予防薬である、上記(28)に記載の医薬組成物、
(30)血管新生性疾患が滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症黄斑浮腫良性もしくは悪性の腫瘍、アテローム性動脈硬化症水晶体後部線維増殖症血管腫慢性炎症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症血管新生緑内障移植角膜組織もしくは他の移植組織免疫拒絶関節リウマチ乾癬急性炎症敗血症、又は、肥満症である、上記(28)記載の医薬組成物、
(31)血管新生性疾患が滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、水晶体後部線維増殖症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、又は移植角膜組織の免疫拒絶である、上記(28)記載の医薬組成物、
(32)上記(1)〜(20)及び(26)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片、または(27)記載の修飾体を有効成分として含んでなる血管新生阻害剤
(33)上記(1)〜(20)及び(26)のいずれか一つに記載の抗体もしくはその機能断片又は上記(27)記載の修飾体、又は上記(28)〜(31)のいずれか一つに記載の組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、血管新生性疾患を治療又は予防するための方法であって、好適には、血管新生性疾患が、ROBO4蛋白質の発現を有する個体における血管新生性疾患である、方法、及び
(34)好適には血管新生抑制薬、抗炎症薬及び/又は抗がん薬であるさらなる治療薬又は予防薬と併用される、上記(28)〜(31)のいずれか一つに記載の医薬組成物
に関する。

発明の効果

0016

本発明によれば、ROBO4に結合し、血管新生抑制作用を有する抗体を含有する血管新生疾患治療剤等を得ることができる。

図面の簡単な説明

0017

ヒトROBO4のHEK293細胞への一過性発現で、NF−κB、GAS、ISRE、IL−8プロモーター、又はTCFを応答エレメントとしたレポーター活性の変動の有無を示す図。図中のエラーバー標準誤差(n=3)を示す。
ヒトROBO4の全長あるいはヒトROBO4の細胞内領域欠損体のHEK293細胞への一過性発現で、IL−8プロモーター活性の変動の有無を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=5あるいは10)を示す。
抗ROBO4抗体、MAb1によるヒトROBO4導入HEK293細胞でのIL−8プロモーター活性の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=3)を示す。
抗ROBO4抗体、MAb2、MAb3あるいはMAb4によるヒトROBO4導入HEK293細胞でのIL−8プロモーター活性の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=3)を示す。
抗ROBO4抗体、MAb1によるVEGFあるいはbFGF存在下でのHUVECの遊走能の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=3あるいは4)を示す。
抗ROBO4抗体、MAb2、MAb3、またはMAb4によるbFGF存在下でのHUVECの遊走能の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=4)を示す。
抗ROBO4抗体、MAb1のヒトROBO4、マウスROBO4、ラットROBO4あるいはカニクイザルROBO4に対する結合活性の有無を示す図。
抗ROBO4抗体、MAb1のヒトROBO1、ヒトROBO2あるいはヒトROBO3に対する結合活性の有無を示す図。上段はMAb1での結果を示し、下段はこれらの蛋白質が細胞表面上に発現しているかを確認するポジティブコントロール抗体での結果を示す。
抗ROBO4抗体、MAb1のヒトROBO4細胞外領域ドメイン欠損体に対する結合活性の有無を示す図。上段はMAb1での結果を示し、下段はこれらの蛋白質が細胞表面上に発現しているかを確認する抗FLAG抗体での結果を示す。
抗ROBO4抗体、MAb1によるレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルにおける血管新生の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=4眼)を示し、■あるいは□は各眼の結果を示す。
抗ROBO4キメラ抗体、cMAb1−1またはcMAb1−2によるヒトROBO4導入HEK293細胞でのIL−8プロモーター活性の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=3)を示す。
抗ROBO4キメラ抗体、cMAb1−1またはcMAb1−2によるbFGF存在下でのHUVECの遊走能の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=4)を示す。
ヒトROBO4全長をコードするcDNA(配列番号1)。
ヒトROBO4の全長アミノ酸配列(配列番号2)。
MAb1重鎖可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号30)。
MAb1重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号31)。
MAb1軽鎖可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号32)。
MAb1軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号33)。
cMAb1軽鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号37)。
cMAb1軽鎖のアミノ酸配列(配列番号38)。
cMAb1−1重鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号39)。
cMAb1−1重鎖のアミノ酸配列(配列番号40)。
cMAb1−2重鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号41)。
cMAb1−2重鎖のアミノ酸配列(配列番号42)。
MAb1重鎖CDRH1のアミノ酸配列(配列番号44)。
MAb1重鎖CDRH2のアミノ酸配列(配列番号46)。
MAb1重鎖CDRH3のアミノ酸配列(配列番号48)。
MAb1軽鎖CDRL1のアミノ酸配列(配列番号50)。
MAb1軽鎖CDRL2のアミノ酸配列(配列番号52)。
MAb1軽鎖CDRL3のアミノ酸配列(配列番号54)。
hMAb1−H1タイプ重鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号55)。
hMAb1−H1タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号56)。
hMAb1−H2タイプ重鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号57)。
hMAb1−H2タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号58)。
hMAb1−H3タイプ重鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号59)。
hMAb1−H3タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号60)。
hMAb1−H4タイプ重鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号61)。
hMAb1−H4タイプ重鎖のアミノ酸配列(配列番号62)。
hMAb1−L1タイプ軽鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号63)。
hMAb1−L1タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号64)。
hMAb1−L2タイプ軽鎖をコードするcDNAのヌクレオチド配列(配列番号65)。
hMAb1−L2タイプ軽鎖のアミノ酸配列(配列番号66)。
hMAb1−H2又はhMAb1−H4タイプ重鎖のCDRH1のアミノ酸配列(配列番号67)。
hMAb1−H2又はhMAb1−H4タイプ重鎖のCDRH2のアミノ酸配列(配列番号68)。
hMAb1−H2又はhMAb1−H4タイプ重鎖のCDRH3のアミノ酸配列(配列番号69)。
hMAb1−L2タイプ軽鎖のCDRL1のアミノ酸配列(配列番号70)。
hMAb1−L2タイプ軽鎖のCDRL2のアミノ酸配列(配列番号71)。
hMAb1−L2タイプ軽鎖のCDRL3のアミノ酸配列(配列番号72)。
H−1040、H−1143、H−1140、H−2040、H−2143、またはH−2140によるヒトROBO4導入HEK293細胞でのIL−8プロモーター活性の変動を示す図。
H−1143、H−2140、またはH−2143によるbFGF存在下でのHUVECの遊走能の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=4)を示す。
H−1143の種交差性を示す図。
H−2140の種交差性を示す図。
H−2143の種交差性を示す図。
H−1143、H−2140、又はH−2143の結合特異性を示す図。
H−2143によるレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルにおける血管新生の変動を示す図。図中のエラーバーは標準誤差(n=3〜4眼)を示す。

0018

1.定義
本発明において、「遺伝子」とは、蛋白質のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列が含まれるヌクレオチドもしくはヌクレオチド配列、またはその相補鎖を意味し、例えば、蛋白質のアミノ酸をコードするヌクレオチド配列が含まれるヌクレオチド配列またはその相補鎖であるポリヌクレオチドオリゴヌクレオチド、DNA、mRNA、cDNA、cRNA等は「遺伝子」の意味に含まれる。かかる遺伝子は一本鎖二本鎖又は三本鎖以上のヌクレオチド配列であり、DNA鎖RNA鎖会合体、一本のヌクレオチド鎖上にリボヌクレオチド(RNA)とデオキシリボヌクレオチド(DNA)が混在するもの及びそのようなヌクレオチド鎖を含む二本鎖又は三本鎖以上のヌクレオチド配列も「遺伝子」の意味に含まれる。本発明の「ROBO4遺伝子」としては、例えば、ROBO4蛋白質のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれるDNA、mRNA、cDNA、cRNA等をあげることができる。

0019

本発明において、「ヌクレオチド」又は「ヌクレオチド配列」と「核酸」は同義であり、例えば、DNA、RNA、プローブ、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プライマー等も「ヌクレオチド」又は「ヌクレオチド配列」の意味に含まれる。かかるヌクレオチド配列は一本鎖、二本鎖又は三本以上の鎖からなるヌクレオチドであり、DNA鎖とRNA鎖の会合体、一本のヌクレオチド鎖上にリボヌクレオチド(RNA)とデオキシリボヌクレオチド(DNA)が混在するもの及びそのようなヌクレオチド鎖を含む二本鎖又は三本以上の鎖の会合体も「ヌクレオチド」配列の意味に含まれる。

0020

本発明において、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「蛋白質」は同義である。

0021

本発明において、「抗原」を「免疫原」の意味に用いることがある。

0022

本発明において、「細胞」には、動物個体に由来する各種細胞継代培養細胞、初代培養細胞細胞株、組換え細胞等も含まれる。

0023

本発明においては、ROBO4蛋白質を認識する抗体を「抗ROBO4抗体」と表記することがある。「抗ROBO4抗体」には、抗ROBO4キメラ抗体、抗ROBO4ヒト化抗体、抗ROBO4ヒト抗体等が含まれる。

0024

本発明における「抗体の機能断片」とは、元の抗体が奏する機能、例えば、結合親和性(KD値)等の少なくとも一部を奏する抗体断片を意味する。「抗体の機能断片」としては、例えば、Fab、F(ab')2、scFv、Fab'、一本鎖免疫グロブリン等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。かかる抗体の機能断片は、抗体蛋白質の全長分子をパパインペプシン等の酵素で処理することによって得られたものに加え、組換え遺伝子を用いて適当な宿主細胞において産生された組換え蛋白質であってもよい。好ましい「機能断片」はまた、元の抗体の生物活性の少なくとも一部も有する。

0025

さらに、本発明でいう重鎖または軽鎖の「一部のアミノ酸配列」をコードするヌクレオチド配列は、上記本明細書において定義する「抗体の機能断片」をコードするヌクレオチド配列であるか、あるいはそのような配列を含む。

0026

本発明において、抗体が結合する「部位」、すなわち抗体が認識する「部位」とは、抗体が結合又は認識する抗原上の部分ペプチド又は部分高次構造を意味する。本発明においては、かかる部位のことをエピトープ又は抗体の結合部位とも呼ぶ。本発明の抗ROBO4抗体が結合又は認識するROBO4蛋白質上の部位としては、ROBO4蛋白質上の部分ペプチド又は部分高次構造等を例示することができる。

0027

抗体分子の重鎖及び軽鎖にはそれぞれ3箇所の相補性決定領域(CDR:Complemetarity determining region)があることが知られている。相補性決定領域は、超可変領域(hypervariable domain)とも呼ばれ、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域内にあって、一次構造変異性が特に高い部位であり、重鎖及び軽鎖のポリペプチド鎖の一次構造上において、通常、それぞれ3ヶ所に分離している。本発明においては、抗体の相補性決定領域について、重鎖の相補性決定領域を重鎖アミノ酸配列アミノ末端側からCDRH1、CDRH2、及びCDRH3と表記し、軽鎖の相補性決定領域を軽鎖アミノ酸配列のアミノ末端側からCDRL1、CDRL2、及びCDRL3と表記する。これらの部位は立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。

0028

本発明において、「抗体変異体」とは、元の抗体が有するアミノ酸配列においてアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入(以下、「変異」と総称する)してなるアミノ酸配列を有し、且つ本発明のROBO4蛋白質に結合するポリペプチドを意味する。かかる抗体変異体における変異アミノ酸の数は、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個、1〜12個、1〜15個、1〜20個、1〜25個、1〜30個、1〜40個又は1〜50個である。かかる抗体変異体も本発明の「抗体」に包含される。

0029

本発明において、「1〜数個」における「数個」とは、2〜10個、好適には2〜8個、より好適には2個を指す。

0030

本発明の抗体が奏する活性又は性質としては、例えば、生物的活性又は理化学的性質等を挙げることができ、具体的には、各種生物活性、抗原やエピトープに対する結合活性、製造や保存時における安定性熱安定性等をあげることができる。

0031

本発明において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、5×SSCを含む溶液中で65℃にてハイブリダイゼーションを行い、ついで2×SSC−0.1%SDSを含む水溶液中で65℃にて20分間、0.5×SSC−0.1%SDSを含む水溶液中で65℃にて20分間、ならびに、0.2×SSC−0.1%SDSを含む水溶液中で65℃にて20分間洗浄する条件、又はそれと同等の条件でハイブリダイズすることを意味する。SSCとは150mM NaCl−15mMクエン酸ナトリウムの水溶液を意味し、n×SSCはn倍濃度のSSCを意味する。

0032

2.ROBO4蛋白質
本明細書において、「ROBO4」と「ROBO4蛋白質」は同義で用いている。

0033

(2−1)特性
本発明のROBO4蛋白質は以下の性質を有する。
(i)ROBO4は分子量約110kDaの1回膜貫通構造を有し、且つ、血管新生に関与するSLIT2蛋白質の受容体蛋白質である。本発明のROBO4蛋白質は、いずれも細胞膜等の膜から遊離した形状で存在し得るが、細胞膜等の膜に結合した形状であってもよい。ここでいう分子量とは、SDS−PAGEにおける非還元状態下での見かけ上の分子量を意味する。ROBO4のN末端側の細胞外領域には、2カ所の免疫グロブリン様ドメイン(以下、「Ig様ドメイン」という)と2カ所のフィブロネクチンタイプIIIドメインが存在し、C末端側の細胞内領域にはプロリンリッチ領域が存在している。本明細書において、これら2カ所の免疫グロブリン様ドメインをそれぞれアミノ末端側からIg様ドメイン1及びIg様ドメイン2という。ヒトROBO4蛋白質は配列表の配列番号2のアミノ酸番号28〜1007のアミノ酸配列からなる。配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜27は分泌シグナルであり、そのアミノ酸番号28〜467は細胞外領域であり、そのアミノ酸番号46〜131はIg様ドメイン1であり、そのアミノ酸番号137〜224はIg様ドメイン2であり、そのアミノ酸番号252〜340はフィブロネクチンタイプIIIドメイン1であり、そのアミノ酸番号347〜438はフィブロネクチンタイプIIIドメイン2であり、そのアミノ酸番号468〜490は細胞膜内領域であり、そのアミノ酸番号491〜1007は細胞内領域である。
(ii)ROBO4は血管新生抑制作用を有する。本発明において「血管新生抑制」とは、分子が単独で、他の因子共同して、または、他の因子との会合体として、直接に又は間接的に、血管新生を抑制及び/又は阻害することを意味する。血管新生抑制作用は、たとえばVEGFによる血管透過性亢進、細胞遊走促進活性、又は管腔形成活性に対する抑制作用指標として評価することができる。
(iii)ROBO4は次の(a)〜(e)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列(以下、「ROBO4アミノ酸配列」という)を含んでなるか、ROBO4アミノ酸配列を含むアミノ酸配列からなるか、またはROBO4アミノ酸配列からなる:
(a)配列表の配列番号2(図14)で示されるアミノ酸配列;
(b)配列表の配列番号2(図14)で示されるアミノ酸配列と80%以上、82%以上、84%以上、86%以上、88%以上、90%以上、92%以上、94%以上、96%以上、98%以上又は99%以上の配列同一性を示し且つ血管新生抑制作用を示すポリペプチドのアミノ酸配列;
(c)配列表の配列番号2(図14)で示されるアミノ酸配列において1〜50個、1〜45個、1〜40個、1〜35個、1〜30個、1〜25個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1若しくは2個、または1個のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入してなるアミノ酸配列を含み、且つ、血管新生を抑制するポリペプチドのアミノ酸配列;
(d)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜45又は1〜131が欠失してなるアミノ酸配列を含み、且つ、血管新生を抑制するポリペプチドのアミノ酸配列;及び、
(e)配列表の配列番号2(図14)で示されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有するヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドのヌクレオチド配列によりコードされ、且つ、血管新生を抑制するポリペプチドのアミノ酸配列。

0034

また、ROBO4蛋白質は2つ以上のサブユニットから構成されるホモ又はヘテロオリゴ会合体の全部又は一部としても存在し得る。

0035

個体、組織体液、細胞、ROBO4蛋白質を含有する画分、精製又は部分精製ROBO4蛋白質標品等において、又は、複数の個体、組織、細胞、ROBO4蛋白質含有画分又はROBO4蛋白質標品の間で、ROBO4蛋白質のアミノ酸配列及び/又はその他の性質は同一でなくてもよく、均一でなくてもよい。一つの個体、組織、体液、細胞、ROBO4蛋白質を含有する画分、精製又は部分精製ROBO4蛋白質標品等には、アミノ酸配列及び/又は性質が異なる複数種のROBO4蛋白質が含まれていてもよい。また、複数の個体、組織、細胞、ROBO4蛋白質含有画分又はROBO4蛋白質標品の間で、ROBO4蛋白質のアミノ酸配列及び/又はその他の性質が異なっていてもよい。かかるアミノ酸配列及び/又は性質が互いに異なる蛋白質であっても、上記(i)〜(iii)記載の性質を具備していれば、いずれも本発明の「ROBO4蛋白質」に包含される。
(iv)本発明のROBO4蛋白質は、脊椎動物、好適には哺乳動物、より好適にはマウスもしくはラット等のげっ歯類又はヒト、より一層好適にはヒト又はマウスの組織、かかる組織由来の細胞、かかる細胞の培養物等より得ることができる。かかる組織及び細胞としては、ROBO4蛋白質が存在すれば特に限定されるものではないが、例えば、関節組織、血液、リンパ液胸腺脾臓、それらのいずれかに由来する細胞等をあげることができる。好適な組織及び細胞は、血管新生が生じている動物又は患者に由来する組織及び細胞である。ただし、本発明のROBO4蛋白質の由来は、前記のものに限定されず、他の動物種、他の組織、他の細胞等に由来するものであっても、上記(i)〜(iii)記載の性質を具備していれば本発明のROBO4蛋白質の意味に含まれる。

0036

本発明のROBO4蛋白質は天然型及び組換え型のいずれであってもよい。また、担体やタグなど他のペプチドや蛋白質との融合物もROBO4蛋白質の意味に含まれる。さらに、PEG等のポリマー付加を含む化学修飾、及び/又は、糖鎖修飾を含む生物学的修飾がなされたものもROBO4蛋白質の意味に含まれる。また、ROBO4蛋白質断片も本発明のROBO4蛋白質の意味に含まれる。ROBO4蛋白質断片のうち上記(ii)記載の性質を具備したものをROBO4蛋白質機能断片と呼ぶ。

0037

(2−2)ROBO4遺伝子
本発明のROBO4遺伝子は、次の(a)〜(c)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列(以下、「ROBO4遺伝子配列」という)を含んでなるか、ROBO4遺伝子配列を含むヌクレオチド配列からなるか、またはROBO4遺伝子配列からなる:
(a)配列表の配列番号1(図13)で示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号1(図13)で示されるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列からなるヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし且つ血管新生を抑制するポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;及び
(c)配列表の配列番号1(図13)で示されるヌクレオチド配列において1〜150個、1〜140個、1〜130個、1〜120個、1〜110個、1〜100個、1〜90個、1〜80個、1〜70個、1〜60個、1〜50個、1〜45個、1〜40個、1〜30個、1〜25個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1若しくは2個、または1個の塩基が置換、欠失、付加または挿入してなるヌクレオチド配列を含み、且つ血管新生を抑制するポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列。

0038

ROBO4遺伝子の発現は、血管新生が生じる疾患、例えば、増殖性糖尿病網膜症患者の線維血管増殖膜内にある血管あるいは腫瘍内血管において亢進している。その他、滲出型加齢黄斑変性、黄斑浮腫、アテローム性動脈硬化症、水晶体後部線維増殖症、血管腫、慢性炎症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、移植角膜組織又は他の移植組織の免疫拒絶、関節リウマチ、乾癬、急性炎症、敗血症、肥満等など、血管新生が関与すると考えられる疾患に罹患した患者または当該疾患モデル動物に由来する組織又は血液画分において、ROBO4遺伝子の発現が亢進していると考えられる。

0039

ROBO4遺伝子の発現及び発現量の測定は、ROBO4遺伝子の転写産物及びROBO4蛋白質のいずれを指標としてもよく、前者はRTPCR法ノーザンブロットハイブリダーゼーション法等により、後者は(enzyme−linked immuno−sorbent assay:以下、「ELISA」という等の)免疫アッセイ法等により、測定することができる。

0040

(2−3)蛋白質の調製
本発明のROBO4蛋白質は、動物組織(体液を含む)、該組織由来の細胞もしくは該細胞培養物から精製又は単離することができ、遺伝子組換え、イン・ビトロ翻訳化学合成等により調製することができる。

0041

(2−3−1)天然型ROBO4の精製又は単離
天然型ROBO4蛋白質は、例えば滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、良性又は悪性の腫瘍、アテローム性動脈硬化症、水晶体後部線維増殖症、血管腫、慢性炎症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、移植角膜組織又は他の移植組織の免疫拒絶、関節リウマチ、乾癬、急性炎症、敗血症、肥満等の血管新生性疾患に罹患した患者又は非ヒト動物に由来する組織(体液、細胞等を含む)、かかる組織に由来する細胞、かかる細胞の培養物等より精製又は単離することができる。かかる非ヒト動物には該疾患モデル動物も含まれる。モデルの作製に供する動物としては、脊椎動物であればとくに限定されないが、好適には哺乳動物であり、より好適にはマウスやラット等のげっ歯類であり、より一層好適にはマウスまたはラットである。そのような患者又はモデル動物の組織及び細胞としては、ROBO4蛋白質が存在すれば特に限定されるものではないが、例えば、関節組織、血液、リンパ液、胸腺、脾臓、それらのいずれかに由来する細胞等をあげることができる。好適な組織及び細胞は、血管新生を発症しているか類似の症状を呈している患者又はモデル動物に由来するものである。ただし、本発明のROBO4蛋白質の由来は、前記のものに限定されず、他の動物種、他の組織、他の細胞等に由来するものであってもよい。

0042

かかる組織、細胞、細胞培養物等からの精製又は単離は当業者に周知の分画クロマトグラフィー等の手法を組み合わせることにより行うことができる。かかる手法には、塩析ゲルろ過イオン交換クロマトグラフィーアフィニティークロマトグラフィー疎水クロマトグラフィー、順相又は逆相クロマトグラフィー等が含まれるが、それらに限定されるものではない。アフィニティークロマトグラフィー用のカラムは、抗ROBO4モノクローナル抗体を架橋したアフィニティーゲルを作製してカラムに充填することにより作製することができる。かかるカラムにROBO4蛋白質を含有する粗画分又は部分精製画分を添加し、次いで滅菌したリン酸緩衝生理食塩水PBS)で非特異的吸着物を除去した後、溶出用緩衝液を添加することによりROBO4蛋白質を選択的に回収することができる。ROBO4蛋白質含有溶液は、ゲルろ過やCentriprep等の濃縮装置バッファー交換及び/又は濃縮することができる。

0043

(2−3−2)組換型ROBO4蛋白質の調製
本発明のROBO4蛋白質は、組換型としても調製することができる。すなわち、ROBO4蛋白質又はROBO4蛋白質断片のアミノ酸配列をコードする遺伝子を宿主細胞に導入し、かかる細胞の培養物からROBO4蛋白質を回収することができる。例えば、ROBO4遺伝子又はその断片を発現ベクターに挿入し、次いで、原核又は真核の宿主細胞に該組換えベクターを導入して得られる組換え細胞を保温すれば、該細胞にROBO4蛋白質を発現させることができる。発現形態としては、分泌発現、細胞内可溶発現、インクルージョンボディー法など当技術分野において公知の形態を用いることができる。また、アミノ末端(N末)及び/又はカルボキシ末端C末)が天然型と同一の分子のみならず、分泌シグナル、細胞内局在化シグナル、アフィニティー精製用タグ、又はパートナーペプチドとの融合蛋白質として、ROBO4タンパク質を発現させることもできる。かかる組換え細胞培養物からのROBO4蛋白質の精製又は単離は、(2−3−1)天然型ROBO4蛋白質の精製又は単離に記載の分画、クロマトグラフィー等の操作を適宜組み合わせることにより行うことができる。

0044

ROBO4遺伝子又はその断片は、当業者に周知の方法により調製することができる。

0045

例えば、ROBO4を発現しているcDNAライブラリー鋳型とし、当該配列を特異的に増幅し得る一組のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」という:Saiki,R.K.,et al.,Science(1988)239,p.487−489)、ROBO4を発現しているmRNA画分を鋳型とし、当該配列を逆転写し得るプライマー及び当該配列を特異的に増幅し得る一組のプライマーを用いた逆転写PCR(以下、「RT−PCR」という)、免疫アッセイを利用した発現クローニング、精製ROBO4蛋白質の部分アミノ酸配列を利用したcDNAクローニング等をあげることができる。

0046

(2−3−3)イン・ビトロ翻訳
本発明のROBO4蛋白質はイン・ビトロ翻訳によっても調製することができる。かかる翻訳法としては、転写及び翻訳に必要な酵素、基質並びにエネルギー物質を含む無細胞翻訳系を利用した方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ロシュダイアグスティックス社製のラピッドトランスレーションステム(RTS)を利用する方法をあげることができる。

0047

(2−3−4)化学合成
本発明のROBO4蛋白質は化学合成によっても調製することができる。化学合成法としては、例えば、Fmoc合成法、Boc合成法などのペプチド固相合成法をあげることができる。

0048

3.抗ROBO4抗体
(3−1)抗ROBO4抗体の種類
本発明の抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体のいずれであってもよい。本発明のモノクローナル抗体としては、非ヒト動物由来の抗体(非ヒト動物抗体)、ヒト由来の抗体(ヒト抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体等、好適にはキメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト由来の抗体(ヒト抗体)、より好適にはヒト化抗体、及びヒト由来の抗体(ヒト抗体)をあげることができる。

0049

非ヒト動物抗体としては、哺乳類鳥類等の脊椎動物に由来する抗体等をあげることができる。哺乳類由来の抗体としては、マウス抗体ラット抗体等げっ歯類由来の抗体等をあげることができる。鳥類由来の抗体としては、ニワトリ抗体等をあげることができる。

0050

キメラ抗体としては、ヒト抗体(ヒト免疫グロブリン定常領域と結合してなる非ヒト動物抗体由来の可変領域を含む抗体等をあげることができるが、それに限定されるものではない。非ヒト動物抗体由来の可変領域としては、後述のMAb1由来の重鎖及び軽鎖可変領域を例示することができる。

0051

ヒト化抗体としては、非ヒト動物抗体の可変領域中のCDRをヒト抗体(ヒト免疫グロブリンの可変領域)に移植したもの、CDRに加え非ヒト動物抗体のフレームワーク領域の配列も一部ヒト抗体に移植したもの、それらのヒト化抗体いずれかにおいてヒト抗体アミノ酸を非ヒト動物抗体由来の1つ又は2つ以上のアミノ酸に置換したもの等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。非ヒト動物抗体の可変領域中のCDRとしては、後述のMAb1由来の重鎖可変領域中のCDRH1〜3および軽鎖可変領域中のCDRL1〜3を例示することができる。

0052

ヒト抗体としては、本発明の抗原を認識する抗体であれば特に限定されるものではないが、本発明の抗体のCDRを有する抗体と同一の部位に結合するヒト抗体や前述のMAb1とROBO4上で同一の部位に結合するヒト抗体等を例示することができる。

0053

本発明における抗体は、複数の異なる抗体に由来する部分から構成される抗体であってもよく、例えば、複数の異なる抗体間で重鎖及び/又は軽鎖を交換したもの、重鎖及び/又は軽鎖の全長を交換したもの、可変領域のみ又は定常領域を交換したもの、CDRの全部又は一部を交換したもの等をあげることができる。キメラ抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域は、異なる本発明の抗体に由来してもよい。ヒト化抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域中のCDRH1〜3並びにCDRL1〜3は、2種又はそれ以上の異なる本発明の抗体に由来してもよい。ヒト抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域中のCDRH1〜3並びにCDRL1〜3は、2種又はそれ以上の異なる本発明の抗体が有するCDRの組合せであってもよい。

0054

本発明のモノクローナル抗体のアイソタイプは特に限定されるものではないが、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4等のIgG、IgMIgA1、IgA2等のIgA、IgDIgE等をあげることができ、好適にはIgGおよびIgM、さらに好適にはIgG2を挙げることができる。モノクローナル抗体のアイソタイプ及びサブクラスは、例えば、オクテルロニー(Ouchterlony)法、ELISA法、radio immunoassay(以下、「RIA」という)法等で決定することができる、市販の同定用のキット(マウスタイパーキット:バイオラッドラボラトリー社製、RAT MONOCLNALNTBODY ISOTYPING TESKIT:serotec社製等)も利用することができる。

0055

(3−2)抗ROBO4抗体の結合特異性
本発明の抗体はROBO4蛋白質を認識する。言い換えれば、本発明の抗体はROBO4蛋白質に結合する。かかる抗体は「抗ROBO4抗体」と表記される。また、本発明の好適な抗体はROBO4蛋白質を特異的に認識する。言い換えれば、本発明の好適な抗体はROBO4蛋白質に特異的に結合する。さらに、本発明のより好適な抗体はROBO4蛋白質の有するIg様ドメインに特異的に結合する。かかるIg様ドメインとしては、Ig様ドメイン1、Ig様ドメイン2を例示することができ、本発明のより好適な抗体は、配列表の配列番号2のアミノ酸番号132〜209のアミノ酸配列からなる領域を認識する。本発明の抗体は、ヒトROBO4蛋白質、サル、好ましくはカニクイザルROBO4蛋白質、及びウサギROBO4蛋白質に結合するが、マウス及びラットROBO4蛋白質には結合しない(実施例4)−3及び実施例11)−4の種交差性)。

0056

本発明において「特異的な認識」、すなわち「特異的な結合」とは、非特異的な吸着ではない結合を意味する。結合が特異的であるか否かの判定基準としては、例えば、解離定数(dissociation constant:以下、「KDという」)をあげることができる。本発明の好適な抗体のROBO4蛋白質に対するKD値は1×10−5以下、5×10−6以下、2×10−6以下または1×10−6以下、より好適には5×10−7以下、2×10−7以下または1×10−7以下、より一層好適には5×10−8以下、2×10−8以下または1×10−8以下、さらにより一層好適には5×10−9以下、2×10−9以下または1×10−9以下、最適には5×10−10以下、2×10−10以下または1×10−10以下である。より具体的には、本発明の好適な抗体のROBO4タンパク質に対するKD値は、2×10−8以下、より好適には1×10−8以下、より一層好適には5×10−9以下である。

0057

本発明における抗原と抗体の結合は、ELISA法、RIA法、Surface Plasmon Resonance(以下、「SPR」という)解析法等により測定または判定することができる。SPR解析に用いる機器としては、BIAcore(商標)(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)、ProteOn(商標)(BioRad社製)、SPR−Navi(商標)(BioNavisOy社製)、Spreeta(商標)(Texas Instruments社製)、SPRi−PlexII(商標)(ホリバ社製)、Autolab SPR(商標)(Metrohm社製)等を例示することができる。細胞表面上の発現している抗原と抗体との結合は、フローサイトメトリー法等により測定することができる。

0058

(3−3)抗ROBO4抗体のイン・ビトロ血管新生抑制活性
本発明の抗体は、イン・ビトロにおいて、クロスリンク抗体非存在下で血管新生抑制活性を有する。イン・ビトロにおいて、クロスリンク抗体非存在下で薬理活性を示さず、イン・ビボにおいて、クロスリンク抗体非存在下で薬理活性を示す抗体が知られている(Cancer Cell(2011),19,p.101−113)。これは、イン・ビボにおいては、クロスリンク抗体と同様の機能を有するFcγ receptorを発現する白血球が存在するため(Nature(2008),8,p.34−47)、クロスリンク抗体がなくても、白血球存在下でクロスリンクが架かり、薬理活性を示すと考えられる。しかし、実際の生体においては、病変部における白血球数は個体により異なるため(Cancer Res(2011),71,5670−5677)、白血球によるクロスリンクに依存し、薬理活性を示す抗体は、個体によって抗体の効果に違いがでてくることが予想される。本発明の抗体は、イン・ビトロにおいてクロスリンク抗体非存在下でも優れた血管新生抑制活性を示すことから、イン・ビボにおいても白血球数に依存しない血管新生抑制作用を有すると考えられ、医薬として好適である。

0059

血管新生抑制活性とは、血管内皮細胞の増殖、遊走、管腔形成等を抑制する活性を意味する。血管新生抑制活性は、イン・ビトロにおいては、血管透過性試験、血管内皮細胞遊走試験、又は管腔形成試験によって評価できる。

0060

たとえば、血管透過性試験は、1μmのポアサイズのBoyden Chamber上層に正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を播種して単層を形成させた後、FITC標識デキストラン等の細胞層透過量を測定することで評価できる。FITC標識デキストランの細胞層透過量は、例えば、In Vitro Vascular Permeability Assay(Cat. ECM640、ミリポア社製)等を用いて測定され得る。抗体が、5μg/mL以下の添加でFITC標識デキストランの細胞層透過量を抑制する作用を示す場合は、この抗体は、血管透過性抑制作用を有し、血管新生抑制活性を有すると評価できる。本発明の抗体は、上記の測定条件において、好ましくは5μg/mL以下、さらに好ましくは1μg/mL以下、特に好ましくは0.5μg/mL以下の濃度で、血管透過性抑制活性を示す。

0061

細胞遊走試験は、3〜8μmのポアサイズのBoyden Chamber上層にHUVECを播種し、下層にVEGFなどの内皮細胞遊促進因子を含む培地を添加し、下層に遊走する細胞数を測定することで評価できる。抗体がHUVECの遊走細胞数を減少させる作用を示す場合は、この抗体は血管内皮細胞遊走抑制作用を有し、血管新生抑制活性を有すると評価できる。遊走細胞数は、例えば、血管内皮細胞遊走アッセイシステム(Cat.354143、 BD Biosciences社製)等を用いて測定され得る。本発明の抗体は、上記の測定条件において、好ましくは5μg/mL以下、さらに好ましくは1μg/mL以下、特に好ましくは0.5μg/mL以下の濃度で、細胞遊走抑制活性を示す。

0062

管腔形成試験は、マトリゲルでコートした細胞培養容器にHUVECを播種し、HUVECがマトリゲル上で形成する管腔構造分岐点数や管腔長などを測定することで評価できる。抗体が管腔構造の分岐点数や管腔長が減少する作用を示す場合は、この抗体は管腔形成抑制作用を有し、血管新生抑制活性を有すると評価できる。管腔構造の分岐点数や管腔長は、例えば、血管内皮細胞チューブ形成アッセイシステム(Cat.354149、BD Biosciences社製)等を用いて測定され得る。本発明の抗体は、上記の測定条件において、好ましくは5μg/mL以下、さらに好ましくは1μg/mL以下、特に好ましくは0.5μg/mL以下の濃度で、管腔形成抑制活性を示す。

0063

ただし、かかる評価系は、ROBO4蛋白質により誘発される血管新生およびその抑制を測定できる系であれば、上述の試験に限定されるものではない。

0064

クロスリンク抗体とは、本発明の抗体のFc領域に結合し、2分子以上の本発明の抗体を架橋する作用を持つ抗体を意味する。例えば、本発明の抗体のFc領域がマウス由来である場合、マウスFc領域に結合する抗体であって、クロスリンク抗体の2箇所の結合部位に、本発明の2分子の抗体をそれぞれ結合することにより2分子以上の本発明の抗体を会合させる抗体をクロスリンク抗体という。

0065

「クロスリンク抗体非存在下で血管新生抑制活性を有する」とは、血管新生抑制に関する評価系、例えば、上述の評価系においてクロスリンク抗体を共存させなくても、抗体が血管新生抑制作用を示すことを意味する。

0066

「クロスリンク抗体存在下で血管新生抑制活性を有する」とは、抗体が、血管新生に関する評価系、例えば、上述の血管新生抑制活性に関する評価系において、クロスリンク抗体非存在下では血管新生抑制活性を示さず、本発明の抗体1分子に対し、クロスリンク抗体を1分子以上、好適には2分子以上の割合で共存させた場合において、血管新生抑制活性を示すことを意味する。

0067

(3−4)抗ROBO4抗体のイン・ビボ血管新生抑制又は阻害活性
本発明の抗体はイン・ビボ(in vivo)で、血管新生を抑制又は阻害する。イン・ビボにおける血管新生抑制又は阻害活性は、定法に従って病態モデル動物により評価することができる。例えば、後述の実施例4)−6に記載のレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルは血管新生病態モデルとして広く使用されており、新生血管量をスコアとして評価することができる。患者の場合も、例えば、本発明の抗体の投与前後で、腫瘍患者からバイオプシーで腫瘍検体採取し、腫瘍内血管の血管密度免疫組織化学解析(IHC)にて測定し、新生血管量をスコア化することが可能である。

0068

(3−5)抗ROBO4抗体による下流シグナル活性化
本発明の抗ROBO4抗体は、ROBO4蛋白質により何らかの応答が誘発される細胞株あるいは初代培養細胞を用いた評価系に供されてもよい。そのような細胞株としてはマウス血管内皮細胞株(ATCCNO. CRL−2779)等、初代培養細胞としてはマウス血管内皮細胞やヒト血管内皮細胞等をそれぞれ例示することができる。

0069

本発明の抗体は、ROBO4に対するアゴニスト抗体である。すなわち、本発明の抗体は、ROBO4に結合し、ROBO4の下流シグナルを活性化する。したがって、本発明の抗体の血管新生抑制作用は、ROBO4の下流シグナルの活性化を指標としても評価することが可能である。ROBO4の下流シグナルとして、IL−8プロモーターの活性を例示できる。IL−8のプロモーター活性は、ヒトROBO4非発現細胞と比較して、全長ヒトROBO4発現細胞で大幅に上昇し、細胞内ドメインを欠損させたヒトROBO4発現細胞ではほとんど認められないことから、IL−8プロモーター活性の上昇は、ROBO4シグナルの活性化を検出していることが示された(実施例3)。IL−8のプロモーター活性は、例えば、IL−8プロモーター配列を挿入したレポーターベクターとヒトROBO4発現プラスミドを導入した細胞に抗ROBO4抗体を添加、あるいは抗ROBO4抗体とクロスリンク抗体を共添加したあと、レポーター活性を測定することで評価できる。

0070

(3−6)抗ROBO4マウスモノクローナル抗体及び該キメラ抗体
MAb1は実施例2に記載の方法により得られた抗ROBO4マウスモノクローナル抗体である。

0071

MAb1の重鎖可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列は配列表の配列番号30(図15)に、アミノ酸配列は配列番号31(図16)に記載されている。CDRH1のアミノ酸配列は配列番号44(図25)に、CDRH2のアミノ酸配列は配列番号46(図26)に、CDRH3のアミノ酸配列は配列番号48(図27)に記載されている。MAb1の軽鎖可変領域をコードするcDNAのヌクレオチド配列は配列表の配列番号32(図17)に、アミノ酸配列は配列番号33(図18)に記載されている。CDRL1のアミノ酸配列は配列番号50(図28)に、CDRL2のアミノ酸配列は配列番号52(図29)に、CDRL3のアミノ酸配列は配列番号54(図30)に記載されている。

0072

本発明の抗体変異体には、好適には、蛋白質の分解もしくは酸化に対する感受性の低下、生物活性の改善、抗原結合能の改善、又は理化学的性質もしくは機能的性質の付与等がなされている。そのような抗体変異体の例として、元の抗体の有するアミノ酸配列において保存的アミノ酸置換されてなるアミノ酸配列を有する抗体をあげることができる。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸側鎖に関連のあるアミノ酸グループ内で生じる置換である。

0073

好適なアミノ酸グループは、以下のとおりである:酸性グループアスパラギン酸グルタミン酸塩基性グループ=リジンアルギニンヒスチジン非極性グループ=アラニンバリンロイシンイソロイシン、プロリン、フェニルアラニンメチオニントリプトファン;および非帯電極性ファミリーグリシンアスパラギングルタミンシステインセリンスレオニンチロシン。他の好適なアミノ酸グループは次のとおりである:脂肪族ヒドロキシグループ=セリン及びスレオニン;アミド含有グループ=アスパラギン及びグルタミン;脂肪族グループ=アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;並びに芳香族グループ=フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン。かかる抗体変異体におけるアミノ酸置換は、元の抗体が有する抗原結合活性を低下させない範囲で行うのが好ましい。

0074

本発明のMAb1が有するアミノ酸配列において保存的アミノ酸置換がなされたアミノ酸配列を有する抗体変異体、ならびに、MAb1由来のCDRH1〜3及びCDRL1〜3のいずれかのアミノ酸配列において保存的アミノ酸変異がなされたCDRアミノ酸配列を含むマウス抗体、ラット抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等も本発明に包含される。

0075

本発明の抗体の定常領域としては、とくに限定されるものではないが、ヒトの疾患を治療または予防するための本発明の抗体としては、好適にはヒト抗体のものが使用される。ヒト抗体の重鎖定常領域としては、例えば、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cμ、Cδ、Cα1、Cα2、Cε等をあげることができる。ヒト抗体の軽鎖定常領域としては、例えば、Cκ、Cλ等をあげることができる。

0076

本発明のマウス−ヒトIgG1タイプキメラ抗体として例示されるcMAb1−1の分泌シグナルを含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列及びそのアミノ酸配列ならびに重鎖をコードするヌクレオチド配列及びそのアミノ酸配列は、配列表の配列番号37、38、39及び40(図19、20、21及び22)にそれぞれ示される。同じく、本発明のマウス−ヒトIgG2タイプキメラ抗体として例示されるcMAb1−2の分泌シグナルを含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列及びそのアミノ酸配列ならびに重鎖をコードするヌクレオチド配列及びそのアミノ酸配列は、配列表の配列番号37、38、41及び42(図19、20、23及び24)にそれぞれ示される。

0077

(3−7)抗ROBO4抗体の機能断片
本発明は一つの態様として、本発明の抗ROBO4抗体の機能断片を提供する。抗体の機能断片とは、該抗体の有する機能の少なくとも一部を保持する断片又は(3−10)に後述のその修飾体を意味する。かかる抗体の機能としては、一般的には、抗原結合活性、抗原の活性を調節する活性、抗体依存性細胞障害活性及び補体依存性細胞傷害活性等を挙げることができる。本発明の抗ROBO4抗体の機能としては、例えば、ROBO4蛋白質結合活性、血管新生抑制活性、ROBO4下流シグナル活性化作用等をあげることができる。より具体的には、本発明のROBO4に対する抗体が示す上記(3−3)〜(3−5)記載の活性の全部又は一部を有する限り、本発明の抗体の機能断片に含まれる。

0078

抗体の機能断片としては、該抗体の有する活性の少なくとも一部を保持している該抗体の断片またはその修飾体であれば特に限定されないが、例えば、Fab、F(ab')2、Fv、重鎖及び軽鎖のFvを適当なリンカーで連結させた一本鎖Fv(scFv)、diabody(diabodies)、線状抗体、抗体断片より形成された多特異性抗体、F(ab')2を還元条件下で処理した抗体の可変領域の一価の断片であるFab'等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。リンカー部分を保有するscFvのように、本発明の抗体の断片以外の部分を含む分子も、本発明の抗体の機能断片の意味に包含される。

0079

抗体蛋白質のアミノ末端及び/又はカルボキシ末端のアミノ酸が1〜数個又はそれ以上を欠失してなり、且つ該抗体の有する機能の少なくとも一部を保持している分子も、本発明の抗体の機能断片の意味に包含される。

0080

本発明の抗体又はその機能断片は、少なくとも2種類の異なる抗原に対して特異性を有する多特異性抗体であってもよい。多特異性抗体は、2種類の異なる抗原に結合する二重特異性抗体(bispecific antibody)に限定されず、3種以上の異なる抗原に対して特異性を有する抗体も本発明の「多特異性抗体」の意味に包含される。

0081

本発明の多特異性抗体は、全長抗体又はその機能断片であってもよい(例えば、F(ab')2二重特異性抗体)。二重特異性抗体は2種類の抗体の重鎖と軽鎖(HL対)を結合させて作製することもできる。また、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを2種類以上融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製することによっても、得ることができる(Millstein et al.,Nature(1983)305,p.537−539)。多特異的抗体も上記の同様の方法により調製することができる。

0082

本発明の抗体の一つの態様は、一本鎖抗体(一本鎖Fv;以下、「scFv」という)である。scFvは、抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをポリペプチドのリンカーで連結することにより得られる(Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,113,Rosenburg及びMoore編,Springer Verlag,New York,p.269−315(1994)、Nature Biotechnology(2005),23,p.1126−1136)。また、ポリペプチドリンカーで結合させた2つのscFvを含むbi−scFvを二重特異性抗体として使用することができる。さらに3つ以上のscFvを含むmulti−scFvも多特異性抗体として使用することができる。

0083

本発明には、適切なリンカーを用いて連結した抗体の重鎖及び軽鎖の全長配列を含む一本鎖イムノグロブリン(single chain immunoglobulin)が含まれる(Lee,H−S,et.al.,Molecular Immunology(1999)36,p.61−71;Shirrmann,T.et.al.,mAbs(2010),2,(1)p.1−4)。このような一本鎖イムノグロブリンは二量体化することによって、本来は四量体である抗体と類似した構造と活性を保持することが可能である。また、本発明の抗体は、単一の重鎖可変領域を有し、軽鎖配列を有さない抗体であってもよい。このような抗体は、単一ドメイン抗体(single domain antibody:sdAb)又はナノボディ(nanobody)と呼ばれており、抗原結合能が保持されていることが報告されている(Muyldemans S.et.al.,Protein Eng.(1994)7(9),1129−35,Hamers−Casterman C.et.al.,Nature(1993)363(6428)446−8)。これらの抗体も、本発明における抗体の機能断片の意味に包含される。

0084

(3−8)抗ヒトROBO4ヒト化抗体(以下「抗ROBO4ヒト化抗体」という)
本発明はその一つの態様において、ヒト化抗体又はその機能断片を提供する。本発明の抗ROBO4ヒト化抗体又はその機能断片は、血管新生抑制活性を有し、好適にはイン・ビボ(in vivo)で血管新生抑制活性を有する。また、かかるヒト化抗体又はその機能断片は、好適にはROBO4蛋白質に特異的に結合する。また、かかるヒト化抗体又はその機能断片は、ROBO4のアゴニスト抗体であり、下流シグナルを活性化する。さらに、イン・ビトロにおいて、クロスリンク抗体非存在下で、血管内皮細胞遊走を抑制又は阻害する。

0085

本発明のヒト化抗体としては、非ヒト動物抗体の相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)に置き換えられたMab1のCDRを有するヒト由来の抗体(Nature(1986)321,p.522−525参照)、CDR移植法によって、CDRの配列に加え一部のフレームワーク領域のアミノ酸残基も移植したヒト抗体(国際公開パンフレットWO90/07861)を挙げることができる。また、さらに各CDR中の1〜3個のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換したヒト化抗体変異体も、上記(3−3)〜(3−5)記載の活性の全部又は一部を有する限り、本発明の抗体に含まれる。

0086

好ましくは、本発明の抗ROBO4ヒト化抗体又はその機能断片としては、例えば、配列表の配列番号44(図25)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH1、配列表の配列番号46(図26)に示されるアミノ酸配列又は該配列表の配列番号46のアミノ酸配列において1個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるCDRH2及び配列表の配列番号48(図27)に示されるアミノ酸配列からなるCDRH3を含む可変領域を有する重鎖、並びに、配列表の配列番号50(図28)に示されるアミノ酸配列又は該配列表の配列番号50のアミノ酸配列の1〜3個のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるCDRL1、配列表の配列番号52(図29)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL2及び配列表の配列番号54(図30)に示されるアミノ酸配列からなるCDRL3を含む可変領域を有する軽鎖からなり、本発明のROBO4蛋白質を認識する抗体、又は該抗体のROBO4蛋白質結合活性を保持している該抗体の部分等をあげることができる。

0087

CDRH2におけるアミノ酸の置換例として、配列表の配列番号46のアミノ酸番号4番のアミノ酸を置換したCDRH2を例示できる。具体的には、配列表の配列番号46のアミノ酸番号4番のアスパラギンをグルタミンに置換することができる。置換するアミノ酸は、本発明のROBO4に対する抗体が示す(3−3)〜(3−5)記載の活性の全部又は一部を有する限り、限定されない。

0088

CDRL1におけるアミノ酸置換例として、配列表の配列番号50のアミノ酸番号9番、11番及び13番のいずれか1〜3個のアミノ酸、好適には3個のアミノ酸を置換したCDRL1を例示できる。具体的には、配列表の配列番号50のセリン(アミノ酸番号9番)、グリシン(アミノ酸番号11番)およびスレオニン(アミノ酸番号13番)をグルタミン酸、リジン及びロイシンから選択されるアミノ酸に、好適には、それぞれグルタミン酸、リジン及びロイシンに置換することができる。置換するアミノ酸は、本発明のROBO4に対する抗体が示す(3−3)〜(3−5)記載の活性の全部又は一部を有する限り、限定されない。

0089

ペプチド又は蛋白質におけるアスパラギン残基は、ある条件ではアミド分解を受け易いことが報告されており(Gerger et al: The Journal of Biological Chemistry Vol.262 No.2, 785−794, 1987)、したがって、上記のCDRにおけるアミノ酸置換は本発明のヒト化抗体の安定性を向上させることができる。

0090

上記CDRHを有するより好適なヒト化抗体の重鎖可変領域として、CDRH1、CDRH2及びCDRH3が配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号50〜54、69〜85および118〜126にそれぞれ示されている配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列、CDRH1、CDRH2及びCDRH3が配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号50〜54、69〜85および118〜126にそれぞれ示されている配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列、CDRH1、CDRH2及びCDRH3が配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号50〜54、69〜85および118〜126にそれぞれ示されている配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列、及びCDRH1、CDRH2及びCDRH3が配列表の配列番号60(図38)のアミノ酸番号50〜54、69〜85および118〜126に示されている配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列を例示でき、上記CDRLを有するより好適なヒト化抗体の軽鎖可変領域として、CDRL1、CDRL2及びCDRL3が配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号44〜59、75〜81及び114〜122にそれぞれ示されている配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列、及びCDRL1、CDRL2及びCDRL3が配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号44〜59、75〜81及び114〜122にそれぞれ示されている配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列を例示できる。

0091

より好適なヒト化抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のより好適な組合せとして、配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、および、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含むヒト化抗体、配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、および、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含むヒト化抗体、配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、および、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含むヒト化抗体、配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、および、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含むヒト化抗体、配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含むヒト化抗体、および、配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜137に示されるアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、および、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜134に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含むヒト化抗体を例示できる。

0092

上記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のより好適な組合せを含む全長ヒト化抗体のより一層好適な例として、配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含むヒト化抗体(H−1140)、配列表の配列番号58(図34)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含むヒト化抗体(H−1143)、配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号66(図42)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含むヒト化抗体(H−2143)、配列表の配列番号62(図38)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含むヒト化抗体(H−2140)、配列表の配列番号56(図32)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含むヒト化抗体(H−1040)、及び、配列表の配列番号60(図36)のアミノ酸番号20〜463に示されるアミノ酸配列からなる重鎖、及び、配列表の配列番号64(図40)のアミノ酸番号21〜239に示されるアミノ酸配列からなる軽鎖を含むヒト化抗体(H−2040)をあげることができる。

0093

本発明の最も好適な抗体はH−1140、H−1143、H−2140及びH−2143である。

0094

H−1140は、1)ヒトROBO4に特異的に結合し、ROBO1、ROBO2及びROBO3には結合しない、2)ヒトROBO4に対して3.9nMのKD値を有する、3)40℃で4週間ヒトROBO4への親和性を維持する、4)VEGF、bFGF、HGF、PDGF−BB及びSDF−1から選択される1つまたは複数の血管新生因子、特にVEGF又はbFGFにより誘導されるHUVEC遊走を阻害する、5)イン・ビボで血管新生を阻害する、及び6)ISPRIウェブベース免疫原性スクリーニング(EpiVax,Inc)において免疫原性が低いという性質を有する。

0095

H−1143は、1)ヒトROBO4に特異的に結合し、ROBO1、ROBO2及びROBO3には結合しない、2)ヒトROBO4に対して3.5nMのKD値を有する、3)40℃で4週間ヒトROBO4への親和性を維持する、4)VEGF、bFGF、HGF、PDGF−BB及びSDF−1から選択される1つまたは複数の血管新生因子、特にVEGF及びbFGFにより誘導されるHUVEC遊走を阻害する、5)イン・ビボで血管新生を阻害する、及び6)EpiScreen(商標)免疫原性試験(Antitope Ltd.)において免疫原性が低いという性質を有する。

0096

H−2140は、1)ヒトROBO4に特異的に結合し、ROBO1、ROBO2及びROBO3には結合しない、2)ヒトROBO4に対して1.8nMのKD値を有する、3)40℃で4週間ヒトROBO4への親和性を維持する、4)VEGF、bFGF、HGF、PDGF−BB及びSDF−1等の種々の血管新生因子、特にVEGF及びbFGFにより誘導されるHUVEC遊走を阻害する、5)イン・ビボで血管新生を阻害する、6)EpiScreen(商標)免疫原性試験(Antitope Ltd.)において免疫原性が低いという性質を有する。

0097

H−2143は、1)ヒトROBO4に特異的に結合し、ROBO1、ROBO2及びROBO3には結合しない、2)ヒトROBO4に対して1.7nMのKD値を有する、3)40℃で4週間ヒトROBO4への親和性を維持する、4)VEGF、bFGF、HGF、PDGF−BB及びSDF−1等の種々の血管新生因子、特にVEGF及びbFGFにより誘導されるHUVEC遊走を阻害する、5)イン・ビボで血管新生を阻害する、6)EpiScreen(商標)免疫原性試験(Antitope Ltd.)において免疫原性が低い、及び7)カニクイザルへの単回硝子体内注入(2.75mg/眼)後に臨床兆候、体重、飼料摂取量血液学的検査血液化学検査病理検査網膜電図検査において重篤な変化を示さないという性質を有する。

0098

H−1140、H−1143、H−2143、H−2140、H−1040及びH−2040等の抗体のアミノ酸配列との同一性が95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上であるアミノ酸配列を含む抗体も上記(3−3)〜(3−5)記載の活性の全部又は一部を有する限り、本発明の抗体に含まれる。また、上記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の組合せを含む抗体、又は、上記重鎖及び軽鎖の組合せを含む抗体のCDRと同一のアミノ酸配列からなるCDRを有し、かつ該CDRのアミノ酸配列をのぞいたアミノ酸配列の同一性が95%以上、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上である抗体も、上記(3−3)〜(3−5)記載の活性の全部又は一部を有する限り、本発明の抗体に含まれる。

0099

(3−9)同一の部位に結合する抗体
本発明の提供する抗体と「同一の部位に結合する抗体」も本発明の抗体に含まれる。ある抗体と「同一の部位に結合する抗体」とは、該抗体が認識する抗原分子上の部位に結合する他の抗体を意味する。第一抗体が結合する抗原分子上の部分ペプチド又は部分立体構造に第二抗体が結合すれば、第一抗体と第二抗体は同一の部位に結合すると判定することができる。また、第一抗体の抗原に対する結合に対して第二抗体が競合する、すなわち、第二抗体が第一抗体と抗原の結合を妨げることを確認することによって、具体的な結合部位のペプチド配列又は立体構造が決定されていなくても、第一抗体と第二抗体が同一の部位に結合すると判定することができる。さらに、第一抗体と第二抗体が同一の部位に結合し、且つ第一抗体が血管新生抑制活性など本発明の抗体の一つの態様に特徴的な効果を有する場合、第二抗体も同様の活性を有する蓋然性は極めて高い。従って、第一の抗ROBO4抗体の結合する部位に第二の抗ROBO4抗体が結合すれば、第一抗体と第二抗体がROBO4蛋白質上の同一の部位に結合すると判定することができる。また、第一の抗ROBO4抗体のROBO4蛋白質への結合に対して第二の抗ROBO4抗体が競合することを確認できれば、第一抗体と第二抗体がROBO4蛋白質上の同一の部位に結合する抗体と判定することができる。

0100

本発明のMAb1が認識するROBO4蛋白質上の部位に結合する抗体も本発明に含まれる。

0101

抗体の結合部位は、免疫アッセイ法など当業者に周知の方法により決定することができる。例えば、抗原のアミノ酸配列をC末またはN末から適宜削ってなる一連のペプチドを作製し、それらに対する抗体の反応性を検討し、大まかな認識部位を決定した後に、さらに短いペプチドを合成してそれらのペプチドへの抗体の反応性を検討することにより、結合部位を決定することができる。抗原断片ペプチドは、遺伝子組換ペプチド合成等の技術を用いて調製することができる。

0102

抗体が抗原の部分高次構造に結合又は認識している場合、かかる抗体の結合部位は、X線構造解析を用いて、当該抗体に隣接する抗原上のアミノ酸残基を特定することにより決定することができる。

0103

(3−10)抗ROBO4抗体又はその機能断片の修飾体
本発明は、抗体又はその機能断片の修飾体を提供する。本発明の抗体又はその機能断片の修飾体とは、本発明の抗体又はその機能断片に化学的又は生物学的な修飾が施されてなるものを意味する。化学的な修飾体には、アミノ酸骨格への化学部分の結合を有する修飾体、N−結合またはO−結合炭水化物鎖化学修飾体等が含まれる。かかる化学部分又は修飾体は毒性又は細胞毒性を有し得る。生物学的な修飾体には、翻訳後修飾(例えば、N−結合またはO−結合への糖鎖付加、N末またはC末のプロセッシング脱アミド化、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化)されたもの、原核生物宿主細胞を用いて発現させることによりN末にメチオニン残基が付加したもの等が含まれる。また、本発明の抗体または抗原の検出または単離を可能にするために標識されたもの、例えば、酵素標識体蛍光標識体アフィニティー標識体もかかる修飾体の意味に含まれる。このような本発明の抗体又はその機能断片の修飾体は、元の本発明の抗体又はその機能断片の安定性又は血中滞留性の改善、抗原性の低減、かかる抗体又は抗原の検出又は単離等に有用である。

0104

化学的修飾体に含まれる化学部分としては、ポリエチレングリコールエチレングリコールプロピレングリコールコポリマーカルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーを例示することができる。

0105

生物学的な修飾体としては、酵素処理細胞処理等により修飾が施されたもの、遺伝子組換えにより付加されたタグ等他のペプチドとの融合体、ならびに内因性又は外来性の糖鎖修飾酵素を発現する細胞を宿主として調製されたもの等をあげることができる。

0106

かかる修飾は、抗体またはその機能断片における任意の位置に、または所望の位置において施されてもよく、1つ又は2つ以上の位置に同一又は2種以上の異なる修飾がなされてもよい。

0107

本発明において「抗体断片の修飾体」は「抗体の修飾体の断片」をもその意味に含むものである。

0108

たとえば、哺乳類培養細胞生産される抗体は、重鎖のカルボキシル末端のリジン残基が欠失する場合があることが知られており(Journal of Chromatography A,705:129−134(1995))、また、同じく重鎖カルボキシル末端の2アミノ酸残基(すなわち、グリシンおよびリジン)が欠失し、新たにカルボキシル末端に位置するプロリン残基アミド化される場合があることが知られている(Analytical Biochemistry,360:75−83(2007))。しかし、これらの重鎖配列の欠失又は修飾は、抗体の抗原結合能及びエフェクター機能(補体の活性化や抗体依存性細胞障害作用など)には影響を及ぼさない。従って、本発明の抗体には当該修飾を受けた抗体及び当該抗体の機能断片も含まれ、重鎖カルボキシル末端において1又は2つのアミノ酸が欠損又は欠失した本発明の抗体の欠失体、及びアミド化残基(例えば、重鎖のカルボキシル末端のアミド化されたプロリン残基)を有する欠失体等を挙げることができる。但し、抗原結合能及び(3−3)〜(3−5)記載の活性の全部又は一部が保たれている限り、本発明に係る抗体の欠失体は上記の種類に限定されない。本発明に係る抗体を構成する2本の重鎖は、完全長の重鎖及び上記の欠失体の重鎖からなる群から選択される重鎖のいずれか一種であっても良いし、いずれか二種を組み合わせたものであっても良い。欠失体重鎖量比は、例えば、本発明に係る抗体を産生する哺乳類培養細胞の種類及び培養条件等の影響を受け得る。本発明に係る抗体の主成分としての欠失体重鎖は、例えば、2本の重鎖の双方でカルボキシル末端の1つのアミノ酸残基が欠失している場合を挙げることができる。それらも全て本発明の抗体変異体、抗体の機能断片またはそれらの修飾体の意味に包含される。

0109

4.抗体の製造方法
(4−1)ハイブリドーマを用いる方法
本発明の抗ROBO4抗体は、コーラーミルスタインの方法(Kohler and Milstein,Nature (1975)256,p.495−497、Kennet,R.ed.,Monoclonal Antibody,p.365−367,Prenum Press,N.Y.(1980))に従って、ROBO4蛋白質で免疫した動物の脾臓より抗ROBO4抗体の産生細胞を単離し、該細胞とミエローマ細胞とを融合させることによりハイブリドーマを樹立し、かかるハイブリドーマの培養物からモノクローナル抗体を取得することにより作製することができる。

0110

(4−1−1)抗原の調製
抗ROBO4抗体を作製するための抗原は、本明細書の他の段落に記載された天然型または組換え型のROBO4蛋白質の調製法等に従って、取得することができる。そのようにして調製し得る抗原としては、ROBO4蛋白質若しくはその少なくとも6個の連続した部分アミノ酸配列を含むROBO4蛋白質断片、それらに任意のアミノ酸配列や担体がさらに付加された誘導体等(以下、まとめて「ROBO4抗原」とよぶ)を挙げることができる。

0111

組換え型ROBO4抗原は、ROBO4抗原の有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる遺伝子を宿主細胞に導入し、該細胞の培養物から該抗原を回収することにより、調製することができる。天然型ROBO4抗原は、例えば、ヒト若しくはげ歯類血管新生組織もしくは該組織由来の細胞、または該細胞の培養物から精製又は単離することができる。また、ROBO4抗原のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる遺伝子からイン・ビトロ(in virto)無細胞翻訳系において得られるROBO4抗原も本発明の「ROBO4抗原」に含まれる。

0112

(4−1−2)抗ROBO4モノクローナル抗体の製造
モノクローナル抗体の製造は、通常、下記のような工程を経る:
(a)抗原を調製する工程、
(b)抗体産生細胞を調製する工程、
(c)骨髄腫細胞(以下、「ミエローマ」という)を調製する工程、
(d)抗体産生細胞とミエローマとを融合させる工程、
(e)目的とする抗体を産生するハイブリドーマ群を選別する工程、及び
(f)単一細胞クローンを得る工程(クローニング)。

0113

この製造方法には、必要に応じてさらに、(g)ハイブリドーマの培養工程、ハイブリドーマを移植した動物の飼育工程等、(h)モノクローナル抗体の生物活性の測定工程又は判定工程等が加わる。

0114

以下、モノクローナル抗体の作製法を上記工程に沿って詳述するが、該抗体の作製法はこれに制限されず、例えば脾臓細胞以外の抗体産生細胞及びミエローマを使用することもできる。

0115

(a)抗原を調製する工程
抗原は、前記(2−3)記載のROBO4蛋白質の調製法に準じて調製することができる。

0116

(b)抗体産生細胞を調製する工程
工程(a)で得られた抗原と、フロインドの完全又は不完全アジュバント、又はカリミョウバンのような助剤とを混合し、免疫原として実験動物に免疫する。実験動物は当技術分野において公知のハイブリドーマ作製法に用いられる動物を、これらに限定されることはないが、使用することができる。具体的には、たとえばマウス、ラット、ヤギヒツジウシウマ等を使用することができる。ただし、摘出した抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞の入手容易性等の観点から、マウス又はラットを被免疫動物とするのが好ましい。

0117

また、実際に使用するマウス及びラットの系統は特に制限はなく、マウスの場合には、例えば、A、AKR、BALB/c、BALB/cAnNCrj、BDP、BA、CE、C3H、57BL、C57BL、C57L、DBA、FL、HTH、HT1、LP、NZB、NZW、RF、R III、SJL、SWR、WB、129等が、ラットの場合には、例えば、Wistar、Low、Lewis、Sprague‐Dawley、ACI、BN、Fischer等を用いることができる。

0118

これらのマウス及びラットは例えば日本クレア、日本チャ−ルスリバー等実験動物飼育販売業者より入手することができる。

0119

このうち、後述のミエローマ細胞との融合適合性案すれば、マウスではBALB/c系統が、ラットではWistar及びLow系統が被免疫動物として特に好ましい。

0120

また、抗原のヒトとマウスでの相同性を考慮し、自己抗体を除去する生体機構を低下させたマウス、すなわち自己免疫疾患マウスを用いることも好ましい。

0121

なお、これらマウス又はラットの免疫時の週齢は、好ましくは5〜12週齢、さらに好ましくは6〜8週齢である。

0122

ROBO4蛋白質で動物を免疫するには、例えば、Weir, D.M.,Handbook of Experimental Immunology Vol.I.II.III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A.and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Spigfield,Illinois(1964) 等の法を用いることができる。

0123

抗体価測定法としては、例えば、RIA法、ELISA法等の免疫アッセイを挙げることができるが、それらの方法に限定されるものではない。

0124

免疫された動物から分離された脾臓細胞又はリンパ球に由来する抗体産生細胞は、例えば、Kohler et al.,Nature(1975)256,p.495,;Kohler et al.,Eur.J.Immnol.(1977)6,p.511,;Milstein et al.,Nature(1977),266,p.550,;Walsh,Nature,(1977)266,p.495,)等の当技術分野において公知の方法に従って調製することができる。

0125

脾臓細胞の場合には、脾臓を細切して細胞をステンレスメッシュ濾過した後、イーグル最小必須培地MEM)等に浮遊させて抗体産生細胞を分離する一般的方法を採用することができる。

0126

(c)ミエローマを調製する工程
細胞融合に用いるミエローマ細胞には特段の限定はなく、当技術分野において公知の細胞株から適宜選択して用いることができるが、融合細胞からハイブリドーマを選択する際の利便性を考慮して、その選択手続確立しているHGPRT(hypoxanthine−guanine phosphoribosyl transferase)欠損株、すなわちマウス由来のX63−Ag8(X63)、NS1−ANS/1(NS1)、P3X63−Ag8.Ul(P3Ul)、X63−Ag8.653(X63.653)、SP2/0−Ag14(SP2/0)、MPC11−45.6TG1.7(45.6TG)、FO、S149/5XXO、BU.1等、ラット由来の210.RSY3.Ag.1.2.3(Y3)等、又はヒト由来のU266AR(SKO−007)、GM1500・GTG−A12(GM1500)、UC729−6、LICR−LOW−HMy2(HMy2)、8226AR/NIP4−1(NP41)等を用いるのが好ましい。これらのHGPRT欠損株は例えば、American Type Culture Collection (ATCC)等から入手することができる。

0127

これらの細胞株は、適当な培地、例えば8−アザグアニン培地[RPMI−1640培地にグルタミン、2−メルカプトエタノールゲンタマイシン、及びウシ胎児血清(以下「FCS」という)を加えた培地に8−アザグアニンを加えた培地]、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove's Modified Dulbecco's Medium;以下「IMDM」という)、又はダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle Medium;以下「DMEM」という)で継代培養するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地[例えば、10% FCSを含むASF104培地(味の素(株)社製)]で継代培養し、融合当日に2×107以上の細胞数を確保しておく。

0128

(d)抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合させる工程
抗体産生細胞とミエローマ細胞との融合は、当技術分野において公知の方法(Weir,D.M.,Handbookof Experimental Immunology Vol.I.II.III.,Blackwell Scientific Publications,Oxford(1987)、Kabat,E.A.and Mayer,M.M.,Experimental Immunochemistry,Charles C Thomas Publisher Spigfield,Illinois(1964)等)に従い、細胞の生存率極度に低下させない程度の条件下で実施することができる。例えば、ポリエチレングリコール等の高濃度ポリマー溶液中で抗体産生細胞とミエローマ細胞とを混合する化学的方法電気的刺激を利用する物理的方法等を用いることができる。

0129

(e)目的とする抗体を産生するハイブドーマ群を選別する工程
細胞融合により得られるハイブリドーマの選択方法は特に制限はないが、通常HAT(ヒポキサンチンアミノプテリンチミジン選択法(Kohler et al., Nature(1975)256,p.495;Milstein et al.,Nature(1977)266,p.550)が用いられる。この方法は、アミノプテリンの存在下で生存し得ないHGPRT欠損株のミエローマ細胞を用いてハイブリドーマを得る場合に有効である。すなわち、未融合細胞及びハイブリドーマをHAT培地で培養することにより、アミノプテリンに対する耐性を持ち合わせたハイブリドーマのみを選択的に残存させ、かつ増殖させることができる。

0130

(f)単一細胞クローンを得る工程(クローニング)
ハイブリドーマのクローニング法としては、例えば、メチルセルロース法、軟アガロース法、限界希釈法等の当技術分野において公知の方法を用いることができるが(例えば、Barbara, B.M. and Stanley, M.S.:Selected Methodsin Cellular Immunology,W.H. Freeman and Company,San Francisco(1980)参照)、好適には限界希釈法である。

0131

(g)ハイブリドーマの培養工程、ハイブリドーマを移植した動物の飼育工程
選択されたハイブリドーマを培養することにより、モノクローナル抗体を産生することができるが、好適には所望のハイブリドーマをクローニングしてから抗体の産生に供する。

0132

かかるハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体は、該ハイブリドーマの培養物から回収することができる。また、該モノクローナル抗体遺伝子が導入された細胞の培養物から組換え抗体として回収することもできる。さらに、該モノクローナル抗体は、同系統のマウス(例えば、上記のBALB/cAnNCrj)、あるいはNu/Nuマウスの腹腔内にハイブリドーマを注射し、該ハイブリド−マを増殖させることにより、その腹水から回収することもできる。

0133

(h)モノクローナル抗体の生物活性の測定工程又は判定工程
各種生物試験を目的に応じて選択し、適用することができる。

0134

(4−2)細胞免疫
天然型のROBO4蛋白質を発現する細胞、組換え型ROBO4蛋白質またはその断片を発現する細胞等を免疫原として使用することにより、前記のハイブリドーマ法により抗ROBO4抗体を調製することができる。

0135

天然型のROBO4蛋白質を発現する細胞としては、増殖性糖尿病網膜症や腫瘍等の血管新生性疾患に罹患した患者由来の細胞及び該患者の組織由来の細胞等をあげることができる。かかる細胞は、好適には血管内皮細胞であるが、それに限定されるものではない。それらのROBO4蛋白質発現細胞は、1×105〜1×109個、好適には1×106〜1×108個、より好適には0.5〜2×107個、より一層好適には1×107個を1回の免疫に用いるが、ROBO4蛋白質の発現量に応じて免疫に供する細胞数を変えることができる。かかる免疫源は、一般的には腹腔内に投与するが、皮内等に投与することもできる。ハイブリドーマの作製手法としては(4−1−2)記載の方法を適用することができる。

0136

(4−3)遺伝子組換え及び宿主細胞
本発明の抗体は、その重鎖アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれるヌクレオチド(重鎖ヌクレオチド)及びその軽鎖アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれるヌクレオチド(軽鎖ヌクレオチド)、又は、かかる重鎖ヌクレオチドが挿入されたベクター及び軽鎖ヌクレオチドが挿入されたベクターを宿主細胞に導入し、該細胞を培養した後その培養物からかかる抗体を回収することにより調製することができる。一つのベクターに重鎖ヌクレオチド及び軽鎖ヌクレオチドが挿入されていてもよい。

0137

宿主細胞としては、原核細胞又は真核細胞を用いることができる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞植物細胞、又は真核微生物を用いることができる。

0138

動物細胞としては、例えば、哺乳類由来の細胞、すなわち、サル由来のCOS細胞(Gluzman, Y. Cell(1981)23,p.175−182、ATCCCRL−1650)、マウス繊維芽細胞NIH3T3(ATCC No.CRL−1658)、マウスNS0細胞株(ECACC)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞、ATCC CCL−61)、そのジヒドロ葉酸還元酵素欠損株(CHOdhfr−:Urlaub,G.and Chasin,L.A. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1980)77,p.4126−4220)、Lonza Biologicsが開発したCHOK1SV、ニワトリ等鳥類由来の細胞、昆虫由来の細胞等を挙げることができる。

0139

また、本発明の宿主細胞には、抗体蛋白質に付着している糖鎖構造の改変により、修飾を施さない抗体と比較して抗体の生物活性を好適に高められるよう改変された抗体蛋白質を産生し得る細胞も含まれる。例えば、かかる本発明の宿主細胞には、抗体のFc領域に結合する全N−グリコシド結合複合型糖鎖のうち、糖鎖還元末端N−アセチルグルコサミンフコースが結合していない糖鎖の割合が20%以上になる、抗体のFc領域に結合するN−グリコシド結合複合型糖鎖を有する抗体蛋白質を産生し得るCHO細胞が含まれる(WO2000/61739号、WO2002/31140号)。

0140

真核微生物としては、例えば、酵母等をあげることができる。原核細胞としては、例えば、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)等をあげることができる。

0141

本発明の抗ROBO4抗体を産生するための宿主細胞として、好適には哺乳動物由来の細胞、より好適にはCHO細胞、より一層好適にはCHOK1SVが用いられる。

0142

本発明の抗体(各種動物種由来のモノクローナル抗体、ラット抗体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等)を分泌させるためのシグナルペプチドとしては、当該抗体と同種、同タイプ及び同サブタイプの抗体の分泌シグナル、又は、当該抗体自体の分泌シグナルに限定されるものではなく、他のタイプもしくはサブタイプの抗体の分泌シグナル、または、他の真核生物種もしくは原核生物種由来の蛋白質の分泌シグナルであれば、任意のものを選択して利用することができる。

0143

(4−4)ヒト化抗体のデザイン法および調製法
ヒト化抗体としては、CDRが非ヒト動物抗体のCDRに置き換えられているヒト由来の抗体(Nature(1986)321,p.522−525参照)、CDR移植法によりCDRの配列に加え一部のフレームワーク領域のアミノ酸残基も移植したヒト抗体(WO90/07861号、US6972323号公報参照)、それらのヒト化抗体のいずれかにおける非ヒト動物抗体由来の1つまたは2つ以上のアミノ酸がヒト抗体アミノ酸で置換されてなる抗体等を挙げることができるが、それらに限定されるものではない。

0144

(4−5)ヒト抗体の調製法
本発明の抗体としては、さらに、ヒト抗体を挙げることができる。抗ROBO4ヒト抗体とは、ヒト由来の抗体のアミノ酸配列からなる抗ROBO4抗体を意味する。抗ROBO4ヒト抗体は、ヒト抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子を含むヒトゲノムDNA断片を有するヒト抗体産生マウスを用いた方法(Tomizuka,K.et al.,Nature Genetics(1997)16,p.133−143,; Kuroiwa,Y.et.al.,Nuc.AcidsRes.(1998)26,p.3447−3448;Yoshida, H.et.al.,Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10,p.69−73(Kitagawa, Y.,Matuda,T.and Iijima,S.eds.),Kluwer Academic Publishers,1999.;Tomizuka,K.et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97,p.722−727等を参照。)によって取得することができる。

0145

このようなヒト抗体産生動物は、具体的には、非ヒト哺乳動物内在性免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座破壊し、代わりに酵母人工染色体(yeast artificial chromosome,YAC)ベクターなどを介してヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子座を導入することによって作製することができる。また、遺伝子組換え技術により、そのようなヒト抗体の重鎖及び軽鎖をコードするcDNAにより、好ましくは該cDNAの各々を含むベクターにより真核細胞を形質転換し、遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体を産生する形質転換細胞を培養することにより、この抗体を培養上清中から得ることもできる。

0146

ここで、宿主としては例えば真核細胞、好ましくはCHO細胞、リンパ球やミエローマ等の哺乳動物細胞を用いることができる。

0147

また、ヒト抗体ライブラリーより選別したファージディスプレイ由来のヒト抗体を取得する方法(Wormstone,I.M.et.al,Investigative Ophthalmology & Visual Science.(2002)43(7),p.2301−2308;Carmen,S.et.al.,Briefings in Functional Genomics and Proteomics(2002),1(2),p.189−203;Siriwardena,D.et.al.,Opthalmology(2002)109(3),p.427−431等参照。)も知られている。

0148

例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージ表面に発現させて、抗原に結合するファージを選択するファージディスプレイ法(Nature Biotechnology(2005),23,(9),p.1105−1116)を用いることができる。

0149

抗原に結合することで選択されたファージの遺伝子を解析することによって、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。

0150

抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を有する発現ベクターを作製し、適当な宿主に導入して、ヒト抗体を発現させることができる(WO92/01047,WO92/20791,WO93/06213,WO93/11236,WO93/19172,WO95/01438,WO95/15388、Annu.Rev.Immunol(1994)12,p.433−455、Nature Biotechnology(2005)23(9),p.1105−1116)。

0151

(4−6)抗体の機能断片の調製法
一本鎖抗体を作製する方法は当技術分野において周知である(例えば、米国特許第4,946,778号、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,455,030号等を参照)。このscFvにおいて、重鎖可変領域と軽鎖可変領域は、コンジュゲートを作らないようなリンカー、好ましくはポリペプチドリンカーを介して連結される(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988),85,p.5879−5883)。scFvにおける重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、同一の抗体に由来してもよく、別々の抗体に由来してもよい。

0152

可変領域を連結するポリペプチドリンカーとしては、例えば12〜19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。

0153

scFvをコードするDNAは、前記抗体の重鎖又は重鎖可変領域をコードするDNA、及び軽鎖又は軽鎖可変領域をコードするDNAの配列のうち全部又は所望のアミノ酸配列をコードする各DNA部分を鋳型とし用いて、その両端に隣接するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにポリペプチドリンカー部分をコードするDNAをその両端に隣接するプライマー対と組み合わせて増幅し、重鎖および軽鎖とそれぞれ連結することにより得られる。

0154

scFvをコードするDNAを用いて、該DNAを含有する発現ベクター、及び該発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を常法に従って調製することができ、また、その宿主細胞を培養することにより、常法に従ってかかる培養物から該scFvを回収することができる。

0155

その他の抗体の機能断片も、前記の方法に準じて各機能断片をコードする遺伝子を取得して細胞に導入し、該細胞の培養物から対象となる該機能断片を回収することにより、得ることができる。

0156

本発明の抗体は、多量化して抗原に対する親和性を高めたものであってもよい。多量化する抗体としては、1種類の抗体であっても、それぞれ複数のエピトープを認識するあるいは同一の抗原を認識する複数の抗体であってもよい。抗体を多量化する方法としては、IgGCH3ドメインと2つのscFvとの結合、ストレプトアビジンとの結合、へリックスターン−へリックスモチーフの導入等を挙げることができる。

0157

本発明の抗体は、アミノ酸配列が異なる複数種類の抗ROBO4抗体の混合物、すなわちポリクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体としては、例えば、CDRセットの一部又は全部が異なる複数種類の抗体の混合物を挙げることができる。そのようなポリクローナル抗体は、異なる抗体の産生細胞を混合培養した、該培養物から回収することができる(WO2004/061104号)。また、別個に調製した抗体を混合することも可能である。さらに、ポリクローナル抗体の一つの態様である抗血清は、動物を所望の抗原で免疫し、定法に従って、該動物から血清を回収することにより調製することができる。

0158

抗体の修飾体として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。

0159

本発明の抗体は、更にこれらの抗体と他の薬剤がコンジュゲートを形成しているもの(Immunoconjugate)でもよい。このような抗体の例としては、該抗体が放射性物質薬理作用を有する化合物と結合している物を挙げることができる(Nature Biotechnology(2005)23,p.1137−1146)。

0160

(4−7)抗体の精製
得られた抗体は、均一レベルにまで精製することができる。抗体の分離及び精製は通常の蛋白質で使用されている分離及び精製方法を使用すればよい。

0161

例えばクロマトグラフィーカラムフィルター限外濾過、塩析、透析調製用ポリアクリルアミドゲル電気泳動、および/または等電点電気泳動等を適宜選択または組み合わせれば、抗体を分離及び精製することができる(Strategies for Protein Purification and Charcterization:A Laboratoy Course Manual,Daniel R.Marshak et al.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory(1988))が、これらに限定されるものではない。

0162

クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる。

0163

これらのクロマトグラフィーは、HPLCFPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。

0164

アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラムプロテインGカラム、抗原カラム等をあげることができる。

0165

プロテインAカラムとしては、例えば、Hyper D(ポール社製)、POROS(アプライドシステムズ社製)、Sepharose F.F.(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)等が挙げられる。

0166

また抗原を固定化した担体を用いて、抗原への結合性を利用して抗体を精製することも可能である。

0167

本発明は、本発明の抗体もしくはその機能断片またはその修飾体をコードする遺伝子、該遺伝子が挿入された組換えベクター、該遺伝子又はベクターが導入された細胞、及び本発明の抗体を産生する細胞をも提供する。

0168

(4−1)〜(4−6)のいずれかの方法により産生される抗体またはその機能断片も本発明に含むことができる。

0169

5.医薬組成物
本発明は抗ROBO4抗体もしくはその機能断片またはその修飾体を含む医薬組成物を提供する。

0170

本発明の医薬組成物は、発症、進展および/又は増悪化の過程において、病理的所見の一つとして血管新生が見られ、且つ、かかる血管新生又は血管透過性を抑制することにより病態の改善がもたらされ得る可能性のある疾患(以下、便宜上「血管新生性疾患」という)の治療または予防に有用である。血管新生性疾患としては、例えば、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、良性又は悪性の腫瘍、アテローム性動脈硬化症、水晶体後部線維増殖症、血管腫、慢性炎症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、移植角膜組織又は他の移植組織の免疫拒絶、関節リウマチ、乾癬、急性炎症、敗血症、及び肥満等をあげることができる。本発明の医薬組成物は、血管新生性疾患の治療又は予防、好ましくは、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、良性又は悪性の腫瘍、水晶体後部線維増殖症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、及び移植角膜組織の免疫拒絶の治療又は予防、より好ましくは、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、良性又は悪性の腫瘍、水晶体後部線維増殖症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、及び血管新生緑内障の治療又は予防に薬剤として有用である。

0171

本発明において、疾患の治療及び/又は治療には、かかる疾患、好適にはROBO4蛋白質を発現している個体におけるかかる疾患の発症の予防、増悪化又は進行の抑制又は阻害、かかる疾患に罹患した個体が呈する一つ又は二つ以上の症状の軽減、増悪化若しくは進行の抑制または寛解二次性疾患の治療又は予防等が含まれるが、それらに限定されるものではない。

0172

本発明の医薬組成物には、治療または予防に有効な量の抗ROBO4抗体又は該抗体の機能断片と薬学上許容される希釈剤、担体、可溶化剤乳化剤保存剤及び/又は補助剤を含有せしめることができる。

0173

「治療または予防に有効な量」とは、特定の投与形態および投与径路により特定の疾患に対して治療又は予防効果を奏する量を意味する。

0174

本発明の医薬組成物には、pH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性無菌性、該組成物又はそれに含まれる組成物又は抗体の安定性、溶解性徐放性、吸収性、浸透性剤型、強度、性状、形状等を変化させたり、維持したり、保持したりするための物質(以下、「製剤用の物質」という)を含有せしめることができる。製剤用の物質としては、薬理学的に許容される物質であれば特に限定されるものではない。例えば、非毒性又は低毒性であることは、製剤用の物質が好適に具備する性質である。

0175

製剤用の物質として、例えば、以下のものをあげることができるが、これらに限定されるものではない:グリシン、アラニン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン及びリジン等のアミノ酸類抗菌剤アスコルビン酸硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤リン酸クエン酸、又はホウ酸バッファー炭酸水素ナトリウム溶液、及びトリス−塩酸(Tris−Hcl)溶液等の緩衝剤マンニトールやグリシン等の充填剤エチレンジアミン四酢酸EDTA)等のキレート剤カフェインポリビニルピロリジン、β−シクロデキストリンヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等の錯化剤グルコースマンノース及びデキストリン等の増量剤単糖類二糖類やグルコース、マンノースやデキストリン等の他の炭水化物着色剤香味剤;希釈剤;乳化剤;ポリビニルピロリジン等の親水ポリマー低分子量ポリペプチド塩形成対イオン塩化ベンズアルコニウム安息香酸サリチル酸チメロサールフェネチルアルコールメチルパラベンプロピルパラベンクロルヘキシジンソルビン酸及び過酸化水素等の防腐剤グリセリン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール等の溶媒;マンニトール及びソルビトール等の糖アルコール懸濁剤;PEG、ソルビタンエステルポリソルベート20やポリソルベート80等ポリソルベート、トリトン(triton)、トロメタミン(tromethamine)、レシチン及びコレステロール等の界面活性剤スクロースやソルビトール等の安定化増強剤塩化ナトリウム塩化カリウム、マンニトールやソルビトール等の弾性増強剤;輸送剤;希釈剤;賦形剤;及び/又は薬学上の補助剤。

0176

これらの製剤用の物質の添加量は、抗ROBO4抗体もしくはその機能断片またはその修飾体の重量に対して0.001〜1000倍、好適には0.01〜100倍、より好適には0.1〜10倍である。

0177

抗ROBO4抗体もしくはその機能断片またはその修飾体をリポソーム中に含有せしめたイムノリポソーム、または抗体とリポソームとが結合してなる抗体修飾体(米国特許第6214388号等)を含有する医薬組成物も、本発明の医薬組成物に含まれる。

0178

賦形剤や担体は、通常液体又は固体であり、注射用の水、生理食塩水、人工脳脊髄液、その他の、経口投与又は非経口投与用の製剤に用いられる物質であれば特に限定されない。生理食塩水としては、中性のもの、血清アルブミンを含むもの等をあげることができる。

0179

緩衝剤としては、医薬組成物の最終pHが7.0〜8.5になるように調製されたTrisバッファー、同じく最終pHが4.0〜5.5になるように調製された酢酸バッファー、同じく最終pHが5.0〜8.0になるように調製されたクエン酸バッファー、同じく最終pHが5.0〜8.0になるように調製されたヒスチジンバッファー等を例示することができる。

0180

本発明の医薬組成物は、固体、液体、懸濁液等である。本発明の別の医薬組成物の例として、凍結乾燥製剤をあげることができる。凍結乾燥製剤を成型するには、スクロース等の賦形剤を用いることができる。

0181

本発明の医薬組成物の投与径路としては、経腸投与局所投与及び非経口投与のいずれでもよく、対象となる疾患によって、好適な投与経路を選択すればよい。具体的には、静脈内投与動脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与腹腔内投与経皮投与骨内投与、関節内投与等をあげることができる。また、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、水晶体後部線維増殖症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、移植角膜組織の免疫拒絶等の眼科系の血管新生性疾患に対しては、眼球内への投与も好適に使用できる。

0182

かかる医薬組成物の組成は、投与方法、抗体のROBO4蛋白質結合親和性等に応じて決定することができる。本発明の抗ROBO4抗体もしくはその機能断片またはその修飾体のROBO4蛋白質に対する親和性が高いほど(KD値が低いほど)、少ない投与量でその薬効を発揮し得る。

0183

本発明の抗ROBO4抗体の投与量は、個体の種、疾患の種類、症状、性別年齢持病、該抗体のROBO4蛋白質結合親和性又はその生物活性、及びその他の要素に応じて適宜決定することができるが、通常、0.01〜1000mg/kg、好適には0.1〜100mg/kgを、1〜180日間に1回、又は1日2回若しくは3回以上投与することができる。

0184

医薬組成物の形態としては、注射剤(凍結乾燥製剤、点滴剤を含む)、坐剤経鼻型吸収製剤、経皮型吸収製剤、下剤カプセル錠剤軟膏剤顆粒剤エアーゾル剤丸剤散剤、懸濁剤、乳剤点眼剤、生体埋め込み型製剤等を例示することができる。

0185

本発明の抗ROBO4抗体もしくはその機能断片またはその修飾体を有効成分として含む医薬組成物は、さらなる治療剤または予防剤と併用してもよい。該薬剤の例として、血管新生抑制薬、抗炎症薬及び/又は抗がん薬が挙げられる。例えば、血管新生抑制薬、抗炎症薬及び/又は抗がん薬を対象に投与した後に抗ROBO4抗体又は該抗体の機能断片を有効成分として含む医薬組成物を投与するか、当該医薬組成物を対象に投与した後に、血管新生抑制薬、抗炎症薬及び/又は抗がん薬を投与するか、または、当該医薬組成物と血管新生抑制薬、抗炎症薬及び/又は抗がん薬を対象に同時に投与してもよい。血管新生抑制薬としてはラニビズマブ等をあげることができる。

0186

本発明は、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、良性又は悪性の腫瘍、アテローム性動脈硬化症、水晶体後部線維増殖症、血管腫、慢性炎症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、移植角膜組織又は他の移植組織の免疫拒絶、関節リウマチ、乾癬、急性炎症、敗血症、肥満等血管新生性疾患の治療方法または予防方法、及び該血管新生性疾患の治療用または予防用医薬組成物を調製するための本発明の抗体の使用、該血管新生性疾患の治療または予防のための本発明の抗体の使用、をも提供する。本発明の抗体を含む治療用または予防用キットも本発明に含まれる。

0187

6.診断用組成物
本発明は、本発明の抗ROBO4抗体もしくはその機能断片またはその修飾体を含む検査用または診断用組成物(以下、まとめて「診断用組成物」という)を提供する。

0188

本発明の診断用組成物は、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、良性又は悪性の腫瘍、アテローム性動脈硬化症、水晶体後部線維増殖症、血管腫、慢性炎症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、移植角膜組織又は他の移植組織の免疫拒絶、関節リウマチ、乾癬、急性炎症、敗血症、肥満等の血管新生性疾患の検査または診断に有用である。本発明の診断用組成物は、従来の診断基準を満たさない早期の血管新生または前血管新生症状、血管新生へと進展する診断未確定症状等の検査または診断にも有用である。本発明において検査または診断には、例えば、罹患リスクの判定又は測定、罹患の有無の判定、進行や増悪化の程度の測定、抗ROBO4抗体等を含む医薬組成物による薬物治療の効果の測定又は判定、薬物治療以外の治療の効果の測定又は判定、再発リスクの測定、再発の有無の判定等が含まれるが、通常の検査または診断であればそれらに限定されるものではない。

0189

健常人サンプルと比較して対象サンプルにおいて2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20倍またはそれ以上、好適には10倍またはそれ以上のROBO4蛋白質量が検出された場合、該対象を血管新生性疾患に罹患しているか又は罹患するリスクが高いと診断することができる。また、ROBO4蛋白質の血清中濃度が特定の基準値を超えた場合には、当該対象は血管新生性疾患に罹患していると診断するか、あるいは当該対象は血管新生性疾患に罹患するリスクが高いと診断することができる。かかる基準値は、通常0.01〜10ng/ml、好適には0.1〜1ng/ml、より好適には0.1〜0.3ng/mlである。

0190

かかる診断用組成物には、pH緩衝剤、浸透圧調節剤塩類安定化剤、防腐剤、顕色剤増感剤凝集防止剤等を含有せしめることができる。

0191

本発明は滲出型加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、良性又は悪性の腫瘍、アテローム性動脈硬化症、水晶体後部線維増殖症、血管腫、慢性炎症、眼内新生血管疾患、増殖性網膜症、血管新生緑内障、移植角膜組織又は他の移植組織の免疫拒絶、関節リウマチ、乾癬、急性炎症、敗血症、肥満等の血管新生性疾患検査方法または診断方法、該血管新生性疾患の診断用組成物を調製するための本発明の抗体の使用、該血管新生性疾患の検査または診断のための本発明の抗体の使用、をも提供する。本発明の抗体を含む検査または診断用キットも本発明に含まれる。

0192

本発明の抗体を含む検査または診断の方法としてはサンドウィッチELISAが望ましいが、通常のELISA法やRIA法、ELISPOT(Enzyme−Linked ImmunoSpot)法、ドットブロット法オクタロニー法CIE(counterimmunoelectrophoresis)法などの抗体を利用した検出方法利用可能である。サンドウィッチELISA測定系に供する抗体としてはROBO4を認識するが、互いに競合しない2種類の抗体のいずれの組み合わせであってもよい。抗体の標識法としてはビオチンのほか、HRP、アルカリフォスファターゼ、FITCなど生化学的解析に実施可能な標識法が利用できる。酵素標識を利用した検出にはTMB(3,3',5,5'−tetramethylbenzidine)、BCIP(5−bromo−4−chloro−3−indolyl phosphate)、ρ−NPP(ρ−nitrophenyl phosphate)、OPD(o−Phenylenediamine)、ABTS(3−Ethylbenzothiazoline−6−sulfonic acid)、SuperSignal ELISA Pico Chemiluminescent Substrate(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)などの発色基質やQuantaBlu(商標)Fluorogenic Peroxidase Substrate(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)等の蛍光基質、及び化学発光基質を用いることができる。本測定には、ヒト又は非ヒト動物由来の試料に加え、組換え蛋白質等の人工的な処理を加えた試料をも供することができる。生物個体由来の被検試料としては、例えば、血液、関節液、腹水、リンパ液、脳脊髄液、組織ホモジネート上清等をあげることができるが、それらに限定されるものではない。

0193

本発明の抗体を含む検査または診断用のサンドウィッチELISAキットには、ROBO4蛋白質標準液発色試薬希釈用緩衝液、固相用抗体、検出用抗体、ならびに洗浄液等が含まれてよい。抗原に結合した抗体量は、吸光法、蛍光法発光法、RI(radioisotope)法等の方法を用いてが好適に測定でき、測定には、吸光プレートリーダー蛍光プレートリーダー発光プレートリーダー、RI液体シンチレーションカウンター等が好適に使用される。

0194

以下、実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。

0195

なお、下記実施例において遺伝子操作に関する各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.およびManiatis,T.著,Cold SpringHarbor Laboratory Pressより1989年発刊)に記載の方法もしくはその他の当業者が使用する実験書に記載の方法により行うか、または、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って行った。

0196

(実施例1)発現ベクター作製
1)−1 ヒトROBO4発現ベクターの作製
1)−1−1全長ヒトROBO4発現ベクターの作製
ヒトROBO4cDNA(アクセッションNo.BC039602)を含むプラスミド(Open Biosystems社製)からEcoR V及びNot IでヒトROBO4 cDNAを切り出し、これをpCIベクター(Promega社製)のEcoR V/Not I間に組込むことで、全長ヒトROBO4発現ベクター(以下、「pCI−hROBO4」と記す)を作製した。また本ベクターにクローニングされたヒトROBO4遺伝子の配列は配列表の配列番号1に示されている。また、ヒトROBO4のアミノ酸配列は配列表の配列番号2に示されている。

0197

1)−1−2 ヒトROBO4細胞外領域発現ベクターの作製
ヒトROBO4細胞外領域ポリペプチド(配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜461に示されるアミノ酸配列からなる、以下「ヒトROBO4−ECD」と略す)をコードするcDNAをプライマーセット
プライマー1F:

及び、
プライマー1R:

を用いてPCR反応で増幅した。得られたPCR産物をpEF6/V5−His−TOPOベクター(Life Technologies社製)にクローニングした(以下「pEF6−ROBO4−ECD」と略す。また、以下で「pEF6−ROBO4−ECD」によって発現する組換え蛋白質を「rROBO4−ECD」と記す)。

0198

1)−1−3N末端FLAG−tag付加型全長ヒトROBO4及びヒトROBO4細胞外領域/ドメイン欠損体発現ベクターの作製
N末端にFLAG−tagが付加された、ヒトROBO4の配列表の配列番号2のアミノ酸番号28〜1007に示されるアミノ酸配列からなる領域(図中で、「hROBO4−28」と記す。)、アミノ酸番号46〜1007に示されるアミノ酸配列からなる領域(図中で、「hROBO4−46」と記す。)、アミノ酸番号132〜1007に示されるアミノ酸配列からなる領域(図中で、「hROBO4−132」と記す。)、アミノ酸番号210〜1007に示されるアミノ酸配列からなる領域(図中で、「hROBO4−210」と記す。)、アミノ酸番号225〜1007に示されるアミノ酸配列からなる領域(図中で、「hROBO4−225」と記す。)、又はアミノ酸番号341〜1007に示されるアミノ酸配列からなる領域(図中で、「hROBO4−341」と記す。)を含む蛋白質が発現するベクターを構築するため、
hROBO4−28増幅用プライマーセット:
プライマー2F:

及び、
プライマー2R:


hROBO4−46増幅用プライマーセット:
プライマー3F:

及び、プライマー2R、
hROBO4−132増幅用プライマーセット:
プライマー4F:

及び、プライマー2R、
hROBO4−210増幅用プライマーセット:
プライマー5F:

及び、プライマー2R、
hROBO4−225増幅用プライマーセット:
プライマー6F:

及び、プライマー2R、
hROBO4−341増幅用プライマーセット:
プライマー7F:

及び、プライマー2R、
のそれぞれのプライマーセットを用いてpCI−hROBO4を鋳型にしてPCR反応を行った。得られたPCR産物をpCR4Blunt−TOPOベクター(Life Technologies社製)に組込み、クローニングベクターを作製した。各クローニングベクターからKpn I及び、Nhe Iで各cDNAを切り出し、これをpCIベクターの Kpn I/Nhe I間に組込むことで、N末端FLAG−tag付加型全長ヒトROBO4発現ベクター及び4つのヒトROBO4細胞外領域/ドメイン欠損体発現ベクターを作製した。N末端FLAG−tag付加型全長ヒトROBO4ベクターは、N末端側からROBO4のシグナル配列(配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜27のアミノ酸)+FLAG配列(DYKDDDDK)+ROBO4(配列表の配列番号2のアミノ酸番号28〜1007のアミノ酸)をコードするヌクレオチドからなる。以下、N末端FLAG−tag付加型全長ヒトROBO4を発現するベクターを「pCI−FLAG−hROBO4−28」という。また、ヒトROBO4細胞外領域/ドメイン欠損体発現ベクター、例えば配列表の配列番号2のアミノ酸番号46〜1007からなるROBO4を発現するベクターは、ROBO4のシグナル配列(配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜27のアミノ酸)+FLAG配列(DYKDDDDK)+細胞外領域欠損ROBO4(配列表の配列番号2のアミノ酸番号46〜1007のアミノ酸)をコードするヌクレオチドからなる。該ベクターを「pCI−hROBO4−46」という。同様に、ROBO4の細胞外領域が一部欠損したROBO4をコードするベクターをそれぞれ、「pCI−hROBO4−132」、「pCI−hROBO4−210」、「pCI−hROBO4−225」、「pCI−hROBO4−341」という。

0199

ベクターにクローニングされたFLAG−tag付加型全長ヒトROBO4又は各ヒトROBO4細胞外領域/ドメイン欠損体のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は配列表の配列番号3、5、7、9、11、又は13に示されている。また、対応するFLAG−tag付加型全長ヒトROBO4又はヒトROBO4細胞外領域/ドメイン欠損体のアミノ酸配列は、配列表の配列番号4、6、8、10、12、又は14に示されている。

0200

1)−1−4 ヒトROBO4細胞内領域欠損体発現ベクターの作製
ヒトROBO4の配列表の配列番号2のアミノ酸番号1〜511に示されるアミノ酸配列からなる領域(以下、「hROBO4−ΔC」と記す。)を含む蛋白質が発現するベクターを構築するため、
hROBO4−ΔC用プライマーセット:
プライマー8F:

及び、
プライマー8R:


を用いてpCI−hROBO4を鋳型にしてQuikChange XL Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies社製)でヒトROBO4の511番目のアミノ酸をコードするコドンの直後にストップコドンを挿入することで、hROBO4−ΔC発現ベクターを作製した(以下、「pCI−hROBO4−ΔC」と記す)。

0201

1)−2マウスROBO4発現ベクターの作製
Mouse Heart QUICK−ClonecDNA(タカラバイオ社製)を鋳型にプライマーセット:
プライマー9F:

及び、
プライマー9R:

を用いてPCR反応を行い、得られたPCR産物をpCR−BluntII−TOPOベクター(Life Technologies社製)に組込むことで、マウスROBO4 cDNAを含むクローニングベクターを作製した。クローニングベクターから Kpn I及び Not I でマウスROBO4 cDNA を切り出し、これをpCIベクターの Kpn I/Not I間に組込むことで、マウスROBO4発現ベクターを作製した(以下、「pCI−mROBO4」と記す)。また本ベクターにクローニングされたマウスROBO4遺伝子のORF部分の配列は配列表の配列番号15のヌクレオチド番号7〜3051に示されている。また、マウスROBO4のアミノ酸配列は配列表の配列番号16に示されている。

0202

1)−3ラットROBO4発現ベクターの作製
Rat Spleen QUICK−ClonecDNA(タカラバイオ社製)を鋳型に、プライマーセット:
プライマー10F:

及び、
プライマー10R:

を用いPCR反応を行い、得られたPCR産物をpCR4Blunt−TOPOベクターに組込むことで、ラットROBO4 cDNAを含むクローニングベクターを作製した。クローニングベクターからKpn I及びNot IでラットROBO4 cDNAを切り出し、これをpCIベクターのKpn I/Not I間に組込むことで、ラットROBO4発現ベクターを作製した(以下、「pCI−raROBO4」と記す)。ラットROBO4のcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号17に、当該ヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号18に示した。

0203

1)−4N末端FLAG−tag付加型カニクイザルROBO4発現ベクターの作製
カニクイザルtotal RNAより合成したcDNAを鋳型にプライマーセット:
プライマー11F:

及び、
プライマー11R:

を用いPCR反応を行った。得られたPCR産物をpCR4Blunt—TOPOベクターに組込むことで、カニクイザルROBO4 cDNA(以下、cynoROBO4−1又はcynoROBO4−2と記す)をそれぞれ含む2種類のクローニングベクターを作製した(以下、それぞれpCR−cynoROBO4−1及びpCR−cynoROBO4−2と記す)。

0204

次に、pCR−cynoROBO4−1又はpCR−cynoROBO4−2を鋳型にプライマーセット:
プライマー12F:

及び、
プライマー12R:

を用いてPCR反応を行った。得られたPCR産物をpCR4Blunt—TOPOベクターに組込むことで、それぞれのカニクイザルROBO4cDNAを含むクローニングベクターを作製した。クローニングベクターからBamH I及びNot Iで対応するカニクイザルROBO4 cDNAを切り出し、これをpCIベクターのBamH I/Not I間に組込むことで、2種類のカニクイザルROBO4発現ベクターを作製した(以下、それぞれpCI−cynoROBO4−1及びpCI−cynoROBO4−2と記す)。

0205

次に、pCI−cynoROBO4−1又はpCI−cynoROBO4−2を鋳型にしてプライマーセット:
プライマー13F:

及び、
プライマー12R
を用いてPCR反応を行った。得られたPCR産物をpCR−TOPOベクター(Life Technologies社製)に組込むことで、N末端FLAG−tag付加型カニクイザルROBO4cDNAを含む各クローニングベクターを作製した。クローニングベクターからKpn I及びNot Iで対応するカニクイザルROBO4 cDNAを切り出し、これをpCIベクターのKpn I/Not I間に組込むことで、N末端FLAG−tag付加型カニクイザルROBO4発現ベクターを作製した(以下、それぞれ「pCI−FLAG−cynoROBO4−1」及び「pCI−FLAG−cynoROBO4−2」と記す)。また、pCI−FLAG−cynoROBO4−1とpCI−FLAG−cynoROBO4−2の各々にクローニングされたカニクイザルROBO4のcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号19と21に、各ヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号20と22にそれぞれ示した。

0206

1)−5N末端FLAG−tag付加型ヒトROBO1発現ベクターの作製
Human Heart QUICK−ClonecDNA(タカラバイオ社製)を鋳型に、プライマーセット:
プライマー13F:

及び、
プライマー13R:

を用いPCR反応を行い、得られたPCR産物とpDONR221ベクター(Life Technologies社製)とでBP反応を行うことで、ヒトROBO1 cDNAを含むドナーベクターを作製した。

0207

次に、ドナーベクターを鋳型に、プライマーセット:
プライマー14F:

及び、
プライマー14R:

を用いPCR反応を行い、得られたPCR産物をpCR4Blunt−TOPOベクターに組込むことで、N末端FLAG−tag付加型ヒトROBO1cDNAを含むクローニングベクターを作製した。クローニングベクターからNhe I及びNot IでN末端FLAG−tag付加型ヒトROBO1 cDNAを切り出し、これをpCIベクターのNhe I/Not I間に組込むことで、発現ベクターを作製した(以下、「pCI−FLAG−hROBO1」と記す)。N末端FLAG−tag付加型ヒトROBO1のcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号23に、当該ヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号24に示した。

0208

1)−6 ヒトROBO2発現ベクターの作製
Human Lung QUICK−ClonecDNA(タカラバイオ社製)を鋳型に、プライマーセット:
プライマー15F:

及び、
プライマー15R:

を用いPCR反応を行い、得られたPCR産物をpCR4Blunt—TOPOベクターに組込むことで、ヒトROBO2 cDNAを含むクローニングベクターを作製した。クローニングベクターからNot I及びNhe IでヒトROBO2 cDNAを切り出し、これをpCIベクターのNot I/Nhe I間に組込むことで、発現ベクターを作製した(以下、「pCI−hROBO2」と記す)。ヒトROBO2のcDNAのヌクレオチド配列を配列表の配列番号25に、当該ヌクレオチド配列がコードするアミノ酸配列を配列表の配列番号26に示した。

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