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技術 H形鋼の製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 山下浩
出願日 2015年3月19日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-056628
公開日 2016年10月6日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2016-175096
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 圧延ロール・圧延スタンド・圧延機の駆動
主要キーワード センタリング性 端面幅 フランジ対 スキューロール 製品寸法精度 溝底幅 寸法条件 温度不均一性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、孔型内での被圧延材センタリング性を従来に比べ向上させ、被圧延材の座屈肉量の不均一を生じさせずに安定した圧延を行う。

解決手段

粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う粗圧延機には、被圧延材を圧下する複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型の一部又は全部では被圧延材の複数パス圧延が行われ、前記複数の孔型のうち第2孔型以降の孔型のいずれか又は全てにおいて、最初に圧延するパスにおける圧延後の被圧延材の幅長さは、当該圧延が行われる孔型の溝底幅の長さよりも大きく設定されることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。

概要

背景

H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブ等の素材粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。なお、前記中間ユニバーサル圧延機・前記エッジャー圧延機と前記仕上ユニバーサル圧延機の間に斜行ロール圧延機スキューロール圧延機)を配置し、当該斜行ロール圧延機により被圧延材のウェブ内法を所定の寸法に拡幅・整形する場合もある。

このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせ、第3以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている。

例えば特許文献1には、ボックス孔型上に突出部を設けて被圧延材の端面(スラブ端面)を広げ、溝底幅を順次広げながらフランジ部を造形する技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、スラブ端面を広げる方法でフランジ部を造形する際の好適な孔型底の幅についての規定や、順次孔型底の幅を広げる際の拡幅量の範囲等について言及した技術が開示されている。

概要

H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、孔型内での被圧延材のセンタリング性を従来に比べ向上させ、被圧延材の座屈肉量の不均一を生じさせずに安定した圧延を行う。粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う粗圧延機には、被圧延材を圧下する複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型の一部又は全部では被圧延材の複数パス圧延が行われ、前記複数の孔型のうち第2孔型以降の孔型のいずれか又は全てにおいて、最初に圧延するパスにおける圧延後の被圧延材の幅長さは、当該圧延が行われる孔型の溝底幅の長さよりも大きく設定されることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。

目的

本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、孔型内での被圧延材のセンタリング性を従来に比べ向上させ、被圧延材の座屈や肉量の不均一を生じさせずに安定した圧延を行うことが可能なH形鋼の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う粗圧延機には、被圧延材を圧下する複数の孔型刻設され、当該複数の孔型の一部又は全部では被圧延材の複数パス圧延が行われ、前記複数の孔型のうち第2孔型以降の孔型のいずれか又は全てにおいて、最初に圧延するパスにおける圧延後の被圧延材の幅長さは、当該圧延が行われる孔型の溝底幅の直線部の長さよりも大きく設定されることを特徴とする、H形鋼の製造方法。

請求項2

前記複数の孔型のうち第2孔型以降の孔型のいずれか又は全てにおいて、最初に圧延するパスにおける圧延前の被圧延材の幅長さは、当該圧延を行う孔型の溝底幅の直線部の長さよりも小さく設定されることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。

請求項3

前記被圧延材は、幅と厚みの比率が6以上のスラブであり、前記複数パス圧延における1パス当たりの最大圧下量が50mm以上80mm以下となるようにパススケジュールを設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。

請求項4

前記被圧延材は、幅1500mm以上、厚み250mmのスラブであり、前記複数パス圧延における1パス当たりの最大圧下量が50mm以上80mm以下となるようにパススケジュールを設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。

請求項5

前記被圧延材は、幅1800mm以上、厚み300mmのスラブであり、前記複数パス圧延における1パス当たりの最大圧下量が50mm以上80mm以下となるようにパススケジュールを設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に関する。

背景技術

0002

H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブ等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。なお、前記中間ユニバーサル圧延機・前記エッジャー圧延機と前記仕上ユニバーサル圧延機の間に斜行ロール圧延機スキューロール圧延機)を配置し、当該斜行ロール圧延機により被圧延材のウェブ内法を所定の寸法に拡幅・整形する場合もある。

0003

このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせ、第3以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている。

0004

例えば特許文献1には、ボックス孔型上に突出部を設けて被圧延材の端面(スラブ端面)を広げ、溝底幅を順次広げながらフランジ部を造形する技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、スラブ端面を広げる方法でフランジ部を造形する際の好適な孔型底の幅についての規定や、順次孔型底の幅を広げる際の拡幅量の範囲等について言及した技術が開示されている。

先行技術

0005

特公平1−30561号公報
特公昭58−54884号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、フランジ幅を減少させないように圧下を行うために、被圧延材をできるだけ拘束しないよう広めに孔型底を設定しており、被圧延材の端面を広げる際にフランジに対応する部分(スラブ端面)の上下左右4箇所での肉量が均一にならない場合がある。少なくとも、当該孔型において被圧延材を初めて圧延するパスにおいては、フランジ幅を拘束する設計にはなっていない。そのような状態で圧延すると、粗圧延工程においてフランジ端部の肉量が不均一になってしまうので、厚み不良や偏り不良が発生し座屈の原因となる。これらの形状不良は後工程での矯正が困難であり、最終的に製品寸法精度の悪化が引き起こされてしまう。

0007

また、上記特許文献2に記載の技術は、スラブ幅の実際の拡がりと孔型底幅との関係性について言及するものではなく、H形鋼の粗圧延における一般的な孔型設計範囲に含まれるものと考えられる。また、特許文献2に記載の孔型には、孔型内において被圧延材のセンタリングを行うための技術や構成が開示されておらず、被圧延材を孔型内において精度良くセンタリングすることができず、座屈等が生じてしまう恐れもある。

0008

一般的に、H形鋼の製造において加熱炉から抽出されたスラブ等の素材は、加熱炉内において完全に均一な温度で加熱されることは困難であることや、スラブの鋳造段階で当該素材の断面形状は完全な矩形とはなっていないこと等により、温度や形状の非対称性を有している。このような断面の素材に大きな圧下量(例えば250mm厚のスラブに50〜80mmの圧下量)をとって粗圧延を行った場合、その非対称性に起因する通材不良や形状不良が発生する恐れがある。また、例え完全に対称な素材を用いたとしても、スラブ等の矩形形状では幅と高さの比が大きいため、塑性座屈が発生する恐れがある。

0009

記事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、孔型内での被圧延材のセンタリング性を従来に比べ向上させ、被圧延材の座屈や肉量の不均一を生じさせずに安定した圧延を行うことが可能なH形鋼の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う粗圧延機には、被圧延材を圧下する複数の孔型が刻設され、当該複数の孔型の一部又は全部では被圧延材の複数パス圧延が行われ、前記複数の孔型のうち第2孔型以降の孔型のいずれか又は全てにおいて、最初に圧延するパスにおける圧延後の被圧延材の幅長さは、当該圧延が行われる孔型の溝底幅の直線部の長さよりも大きく設定されることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。

0011

前記複数の孔型のうち第2孔型以降の孔型のいずれか又は全てにおいて、最初に圧延するパスにおける圧延前の被圧延材の幅長さは、当該圧延を行う孔型の溝底幅の直線部の長さよりも小さく設定されても良い。

0012

前記被圧延材は、幅と厚みの比率が6以上のスラブであり、前記複数パス圧延における1パス当たりの最大圧下量が50mm以上80mm以下となるようにパススケジュールを設定しても良い。また、前記被圧延材は、幅1500mm以上、厚み250mmのスラブであり、前記複数パス圧延における1パス当たりの最大圧下量が50mm以上80mm以下となるようにパススケジュールを設定しても良い。あるいは、前記被圧延材は、幅1800mm以上、厚み300mmのスラブであり、前記複数パス圧延における1パス当たりの最大圧下量が50mm以上80mm以下となるようにパススケジュールを設定しても良い。ここで、被圧延材が矩形断面のスラブである場合に、当該矩形断面の長辺長さが幅長さであり、短辺長さが厚みである。

発明の効果

0013

本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、孔型内での被圧延材のセンタリング性を従来に比べ向上させ、被圧延材の座屈や肉量の不均一を生じさせずに安定した圧延を行うことが可能となる。

図面の簡単な説明

0014

H形鋼の製造ラインについての説明図である。
粗圧延機の概略正面図である。
粗圧延機の孔型の溝底幅と曲線部に関する概略説明図である。
粗圧延機に設けられた第3孔型における圧延の様子を示す説明図であり、(a)は第1パス圧延開始前の様子を示し、(b)は第1パス圧延終了後の様子を示している。
本発明を適用させる好適な条件についての説明図である。
被圧延材の形状不良についての概略説明図である。

0015

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

0016

図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインLについての説明図である。図1に示すように、製造ラインLには上流側から順に、加熱炉3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインLにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線斜線等を用いて図示する場合がある。

0017

図1に示すように、製造ラインLでは、加熱炉3から出てきた例えばスラブ11等の被圧延材は粗圧延機4によって粗圧延され、次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材のフランジ対応部12の先端部に対して圧下が施される。通常の場合、粗圧延機4のロールには4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して10数パス程度のリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、通常7〜10数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。

0018

次に、以下では図1に示した粗圧延機4の孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。なお、圧延ラインLにおける加熱炉3や中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8、エッジャー圧延機9等は、従来よりH形鋼の製造に用いられている一般的な装置であり、その装置構成等は既知であるため本明細書では説明を省略する。

0019

図2は粗圧延工程を行う粗圧延機4の孔型構成についての概略説明図であり、粗圧延機4に刻設された孔型の概略断面図である。なお、図2に示す粗圧延機4の孔型構成では、ロールに4つの孔型が刻設されている場合を図示しているが、これは孔型構成の一部を示す一例であり、粗圧延機のロールには一般的には例えば4〜6個程度の孔型が刻設される。また、図2には、各孔型において造形された被圧延材A(第1パス終了時)の形状を破線にて図示している。

0020

図2に示すように、粗圧延機4には、筐体30に支持される一対の水平ロールである上孔型ロール33と下孔型ロール34が備えられている。これら上孔型ロール33と下孔型ロール34のロール隙において、4つの孔型K1、K2、K3、K4が刻設されている(図2中の左側から順に孔型K1、K2、K3、K4)。以下では、説明のため、これらの孔型を第1孔型K1、第2孔型K2、第3孔型K3、第4孔型K4と記載する。なお、図示していないが、粗圧延機4には、これら第1孔型K1〜第4孔型K4に加え、第4孔型K4にて圧下された被圧延材Aをいわゆるドッグボーン形状のH形粗形材13とする孔型が更に設けられているのが一般的である。また、通常のH形鋼の粗圧延では、上記第1孔型K1〜第4孔型K4の各孔型において多パス圧延が行われる。

0021

第1孔型K1〜第4孔型K4は、順に孔型の溝底幅が広幅となるように構成されており、第1孔型K1の溝底幅B1、第2孔型K2の溝底幅B2、第3孔型K3の溝底幅B3、第4孔型K4の溝底幅B4はこの順に大きくなっている(即ち、B1<B2<B3<B4)。ここで、第1孔型K1〜第4孔型K4における溝底幅と曲線部(以下、コーナー部とも記載する)の定義について図面を参照して説明する。

0022

図3は粗圧延機の孔型の溝底幅と曲線部に関する概略説明図である。孔型の底面(ならびに上面)の両端部には曲率を有する曲線部(コーナー部)37が形成され、当該両端部のコーナー部37に挟まれるように直線部38ならびに突起部39が形成されている。図3に示すように、孔型の溝底幅Bi(例えば上記B1〜B4)は、孔型の底面(ならびに上面)において、2か所のコーナー部37を除いた直線部分の距離である。なお、圧延時において、被圧延材Aのスラブ端面幅bi(例えば後述するb0〜b3)は当然溝底幅Biよりも短い状態で通材され、上記溝底幅Biの長さに応じて圧延後のスラブ端面幅biが決定される。

0023

また、第1孔型K1〜第4孔型K4のそれぞれの底面及び上面には、その中央部に突起部が形成されている。以下では、第1孔型K1の底面及び上面に形成されたものを突起部40、第2孔型K2の底面及び上面に形成されたものを突起部41、第3孔型K3の底面及び上面に形成されたものを突起部42、第4孔型K4の底面及び上面に形成されたものを突起部43とする。なお、各突起部はテーパー形状を有しており、孔型の底面においては上方に向かって突出し、孔型の上面においては下方に向かって突出する構成となっており、その突出長さ等の寸法は、底面と上面において等しく構成されている。

0024

上記突起部40〜43は、それぞれの幅ならびに高さが異なっている。具体的には、突起部40〜43の順に幅が広幅となる。また、高さについては突起部41が最も高く、後段に向かうにつれて低くなるように構成されている。このような構成により、図2に示すように被圧延材Aには、第1孔型K1においてスラブ端面に突起部40による割り込み50が入れられ、第2孔型K2〜第4孔型K4と圧延が進むにつれて当該割り込み50が浅くなると共に、スラブ端面が押し広げられ、被圧延材Aのスラブ端面幅(フランジ幅とも呼称される)は順次広幅に造形される。このように造形されたスラブ端面は、H形鋼におけるフランジに対応する部位である。そこで、以下の説明では、広幅に造形された上記スラブ端面をフランジ対応部55とも呼称し、その幅をフランジ幅とする。

0025

上述したように、第1孔型K1〜第4孔型K4において被圧延材Aが順次圧延されていくに際し、スラブ端面(フランジ対応部55)が押し広げられ広幅となる。本実施の形態では、それぞれの孔型(第1〜第4孔型)における第1パス時のスラブ端面幅をb0、b1、b2、b3とする。なお、第1孔型K1では、スラブ端面の押し広げは行われず、割り込み50を入れるのみであるため、端面幅b0は材料スラブの厚みと同じ値である。各孔型におけるスラブ端面幅は、順にb0<b1<b2<b3となる。

0026

ここで、従来は第1孔型K1〜第4孔型K4での圧延において被圧延材Aのセンタリングは、突起部40〜43が孔型底面及び上面の中央に形成されていることから、割り込みを入れる過程において当該センタリングも併せて行われるものとして技術が確立されている。

0027

しかしながら、本発明者らが鋭意実験に基づく検討を行ったところ、例えばスラブ幅1500mm以上、スラブ厚250mmの広幅スラブや、スラブ幅1800mm以上、スラブ厚300mmの広幅スラブを素材としたH形鋼製造における粗圧延工程において、図2に示すような孔型で構成される粗圧延機4では、各孔型(第1孔型K1〜第4孔型K4)の底面及び上面に突起部40〜43を設けた構成では十分なセンタリングは行われず、被圧延材Aが孔型内において左右にずれたり、座屈が発生してしまうといった問題が生じてしまうことが知見された。

0028

即ち、スラブ幅1500mm以上且つスラブ厚250mmである広幅スラブでの幅と厚みの比(スラブの縦横比)が6以上の素材を用いて、最大圧下量が50mm以上の粗圧延工程を行う場合、加熱炉内における温度不均一性や、スラブ素材の鋳造段階での形状の不均一性に起因して、粗圧延でも被圧延材Aの形状不良が発生してしまう。同様に、スラブ幅1800mm以上且つスラブ厚300mmである広幅スラブでの幅と厚みの比(スラブの縦横比)が6以上の素材を用いて最大圧下量が50mm以上の粗圧延工程を行う場合、上記理由により粗圧延にて被圧延材Aの形状不良が発生してしまう。
更には、同様の素材の圧延において80mmを超える最大圧下量をとった場合、上記のような突起部40〜43を設けた孔型構成においてあらゆる孔型形状を駆使したとしても、加熱炉内における温度不均一性や、素材の非対称性に起因する形状不良を回避できず、安定した圧延が行われない。

0029

スラブ等の被圧延材Aが十分にセンタリングされたと判断される条件とは、当該被圧延材Aに曲がり、ねじれ等の形状不良が発生せず、通材に影響が出ることなく孔型内において誘導されることである。また、上下左右の対称軸に対して被圧延材Aが対称形を維持していることが求められる。このような点において、上記突起部40〜43を設けた孔型構成では、圧下量が大きい場合に十分なセンタリング性が実現できないことが分かっている。

0030

そこで本発明者らは、粗圧延機4における被圧延材Aの圧延において従来に比べセンタリング性を向上させ、圧延を安定的に行うことが可能な条件について検討を行った。そして検討の結果、粗圧延機4の第1孔型K1〜第4孔型K4での圧延において、孔型設計もしくはパススケジュールを所定の条件とすることでセンタリング性を向上させることが可能であることを見出した。以下には、センタリング性を向上させるための粗圧延工程における条件について図4を参照して説明する。

0031

図4は、粗圧延機4に設けられた第3孔型K3における圧延の様子を示す説明図であり、(a)は第1パス圧延開始前の様子を示し、(b)は第1パス圧延終了後の様子を示している。図4(a)に示すように、第1パス開始前の被圧延材Aのフランジ幅は第2孔型K2にて造形された最終寸法であるためb1である(図2参照)。一方、図4(b)に示す第3孔型K3での1パス圧延終了後のフランジ幅は、当該圧延によって広幅化されているためb1より大きいb1’となっている(即ち、b1<b1’)。なお、この第3孔型K3では同様の圧延が繰り返し行われ(多パス圧延)、最終的には第3孔型K3に充満することになるため、被圧延材のフランジ幅は第3孔型K3の幅に等しくなるような造形が行われる。

0032

また、上述したように、第3孔型K3の溝底幅はB3である。この溝底幅B3とは、第3孔型K3の底面及び上面において、曲率を有する両端部を除いた部分の中央部の幅長さを指しており、第3孔型K3の底面及び上面の両端には、曲率を有するコーナー部57が形成されている。これらコーナー部57の曲率RはR25〜R55程度が好ましく、例えばR30である。また、これらコーナー部57の幅長さ(水平投影長さ)は例えばおよそ30mmである。

0033

図4に示す第3孔型K3での第1パス圧延においては、センタリング性を向上させるために、以下の式(1)に示す条件を満たすように圧延を行う必要がある。
b1’>B3 ・・・(1)
即ち、第1パス圧延後の被圧延材Aのフランジ幅b1’が溝底幅B3より大きくなるような条件にて圧延を行うことで、第1パス圧延後の被圧延材Aのフランジ対応部55(幅拡がりしたフランジ対応部55)が第3孔型K3の底面及び上面両端のコーナー部57からの抵抗によって安定的にセンタリングされる。これにより、フランジ対応部55の4点肉量アンバランスや座屈の発生が抑制され、粗圧延工程における寸法精度の向上が実現される。

0034

また、図4(a)に示す第1パス圧延開始前での第3孔型K3内における被圧延材Aの状態としては、フランジ対応部55がコーナー部57からの抵抗を受けていない状態であることが好ましいことから、以下の式(2)に示す条件を満たすような寸法条件とされることが好ましい。
b1<B3 ・・・(2)
なお、上記式(1)、(2)に示す条件を満たすような粗圧延工程の具体例は実施例にて後述する。

0035

H形鋼の製造において、以上説明した条件を満たすような孔型設計あるいはパススケジュールに基いて粗圧延工程を行うことで、従来に比べセンタリング性が向上し、被圧延材Aの孔型内での座屈や肉量の不均一といった形状不良の発生を抑制させることが可能となる。即ち、安定したH形鋼の製造が実現され、最終製品寸法の向上や生産性の向上等が図られる。

0036

以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

0037

例えば、上記実施の形態では、粗圧延機4に刻設される第3孔型K3での第1パス圧延に本発明技術を適用する場合について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。即ち、本発明技術はH形鋼の製造にかかる粗圧延工程における各孔型での圧延について適用可能であり、例えば上記実施の形態の第1孔型K1〜第4孔型K4それぞれにおける圧延に対して適用することが可能である。但し、本発明を有効に適用できるのは、被圧延材Aのフランジ対応部55(スラブ端面)を広幅化するような圧延が行われる孔型である。従って、例えば上記実施の形態にかかる粗圧延機4に刻設される第1孔型K1は、被圧延材Aの幅(スラブ端面幅)を変更しない構成となっているため、本発明を好適に適用可能な孔型は第2孔型K2〜第4孔型K4である。

0038

また、上記実施の形態では、第1孔型K1〜第4孔型K4が全て粗圧延機4に刻設される構成を図示し説明した。しかしながら、H形鋼の製造工程において孔型設計には自由度があり、本発明にかかる製造方法を適用させる孔型の設計は上記実施の形態で説明した構成に限定されるものではない。例えば、製造ラインLにおいて粗圧延機の上流側に加熱炉から抽出されたスラブ等の素材の粗造形を行うサイジングミルを設け、第1孔型K1〜第4孔型K4の一部又は全てを当該サイジングミルに刻設しても良い。上記実施の形態では一例としてエッジング孔型の構成を第1孔型K1〜第4孔型K4としているが、圧延の安定性から見れば、形状及び寸法が近い孔型をなるべく多数刻設することが望ましい。例えば、サイジングミルに孔型の幅寸法が近い孔型を多数刻設すれば、より安定的な圧延が可能となる。

0039

また、更なる本発明者らの検討によれば、本発明技術をより好適に適用させセンタリング性を向上させるに際し、考慮すべき条件として、粗圧延機の各孔型に形成される突起部(上記実施の形態における突起部40〜43)の先端部角度が挙げられる。換言すれば、被圧延材Aに形成される割り込み(上記実施の形態における割り込み50)の深部角度が所定条件となるような場合に本発明技術はより好適に適用される。

0040

即ち、図5に示すように、ある特定の孔型において被圧延材Aの圧延を行う場合に、最初のパスに関しては割り込み50の深部角度θ1は当該孔型の直前の孔型に形成された突起部の先端部角度と同じ角度となる。一方、2パス目以降では割り込み50の深部角度は当該孔型の突起部の先端部角度θ2に近づくように造形が行われる。従って、図5に示すように、上記深部角度θ1と先端部角度θ2がθ1<θ2との関係である場合には、圧延後段になるにつれて割り込み50の深さが浅くなっていくことにより被圧延材Aの誘導性(センタリング性)が損なわれる。このような条件下において本発明技術にかかる製造方法(粗圧延方法)を適用することが望ましい。

0041

上記実施の形態にかかる粗圧延機4においては、例えば第2孔型K2〜第4孔型K4に形成される突起部41〜43の先端部角度はこの順に徐々に広角となっていくような構成となっている。このような観点から、上記実施の形態において本発明技術を適用させる孔型は第2孔型K2〜第4孔型K4であることが好ましい。

0042

なお、上記実施の形態では、第1孔型K1〜第4孔型K4の底面及び上面に突起部40〜43が設けられた構成を例示して説明したが、本発明を適用させる孔型の形状はこれに限られるものではない。即ち、本発明はH形鋼の粗圧延工程においてフランジ対応部55(スラブ端面)の広幅化が行われる孔型であれば種々の形状の孔型に適用可能であり、例えば特許文献2に記載されているような孔型底面及び上面がフラットであるボックス孔型に対しても適用可能である。

0043

また、H形鋼を製造する際の素材(被圧延材A)としては例えばスラブを例示して説明したが、その他素材についても適用可能である。例えば、ビームブランク素材を造形してH形鋼を製造する場合にも適用できる。

0044

本発明にかかる実施例として、実際のH形鋼の粗圧延において本発明技術を適用した具体例について説明し、従来の場合(比較例)との比較を行った。なお、本実施例では、上記実施の形態における第2孔型K2及び第3孔型K3において粗圧延工程の第6パス〜第8パス圧延が実施された場合を挙げて説明する。

0045

(実施例1)
断面が幅1800×厚み250(mm)のスラブ素材を粗圧延機の第1孔型にてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2孔型〜第3孔型において圧延する際に本発明技術を適用する場合を実施例とし、本発明を適用しない従来の場合を比較例として行った。なお、用いた孔型は図2に示す粗圧延機の構成の第2孔型K2と第3孔型K3である。以下に示す表1は、粗圧延工程の第6パス〜第8パスについての条件を示したものであり、実施例では本発明技術にかかる条件を満たすものとし、比較例(従来例)では当該条件を満たさないものとしている。ここで第3孔型K3の溝底幅は405mmであった。

0046

なお、表1ならびに以下の表2においては、寸法精度が良好なものを符号○で示し、寸法精度が不良であるものを符号×にて示している。

0047

表1は、本発明技術を適用させた場合のパススケジュール(実施例)と、適用させない場合のパススケジュール(比較例)を示すものである。
比較例においては、被圧延材が第6パスから第7パスに移行する(第2孔型K2から第3孔型K3に移行)に際し、被圧延材の幅寸法を400mmとしており、これは第3孔型K3の溝底幅(405mm)よりも小さい値となっている。そのため、第7パスにおいては被圧延材のセンタリングが十分に行われないといった事に起因し、寸法精度不良となっている。

0048

一方、実施例においては、被圧延材が第6パスから第7パスに移行するに際し、被圧延材の幅寸法を410mmとしており、これは第3孔型K3の溝底幅(405mm)よりも大きい値となっている。そのため、第7パスにおいて被圧延材のセンタリングが十分に行われ、寸法精度不良が生じていない。

0049

(実施例2)
断面が幅1800×厚み250(mm)のスラブ素材を粗圧延機の第1孔型にてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2孔型〜第3孔型において圧延する際に本発明技術を適用する場合を実施例とし、本発明を適用しない従来の場合を比較例として行った。用いた孔型は図2に示す粗圧延機の構成の第2孔型K2と第3孔型K3である。以下に示す表2は、粗圧延工程の第6パス〜第8パスについての条件を示したものであり、実施例では孔型の溝底幅を本発明技術にかかる条件を満たすものとし、比較例(従来例)では当該条件を満たさないものとしている。

0050

0051

表2は、本発明技術を適用させた場合の孔型寸法(実施例)と、適用させない場合の孔型寸法(比較例)を示すものである。なお、孔型寸法として溝底幅(mm)を記載している。
比較例においては、被圧延材が第6パスから第7パスに移行する(第2孔型K2から第3孔型K3に移行)に際し、被圧延材の幅寸法が400mm、孔型の溝底幅が410mmとなっており、被圧延材の幅寸法が孔型の溝底幅に比べ小さい値となっている。そのため、第7パスにおいては被圧延材のセンタリングが十分に行われないといった事に起因し、寸法精度不良となっている。

0052

一方、実施例においては、被圧延材が第6パスから第7パスに移行するに際し、被圧延材の幅寸法が400mm、孔型の溝底幅が395mmとなっており、被圧延材の幅寸法が孔型の溝底幅に比べ大きな値となっている。そのため、第7パスにおいて被圧延材のセンタリングが十分に行われ、寸法精度不良が生じていない。

実施例

0053

以上説明した実施例と比較例の結果から、例えば被圧延材の粗圧延工程での第6パスから第7パスへの移行時において、被圧延材の幅寸法が孔型の溝底幅よりも大きくなるような条件にパススケジュールあるいは孔型設計を調整することで、被圧延材のセンタリング性が従来に比べ向上する。即ち、H形鋼の粗圧延工程において本発明技術を適用することで、孔型内でのセンタリング性が従来に比べ向上し、形状不良等を生じることなく安定した粗圧延を行うことが可能であることが分かった。

0054

本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法に適用できる。

0055

1…圧延設備
3…加熱炉
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
12…フランジ対応部
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
30…筐体
33…上孔型ロール
34…下孔型ロール
40、41、42、43…突起部
50…割り込み
55…フランジ対応部
57…コーナー部
A…被圧延材
K1…第1孔型
K2…第2孔型
K3…第3孔型
K4…第4孔型
L…製造ライン

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