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技術 転炉の操業方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 浅見千裕木下聡
出願日 2015年3月17日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-053967
公開日 2016年9月29日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2016-172907
状態 特許登録済
技術分野 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼 炭素鋼又は鋳鋼の製造
主要キーワード 入れ替え回数 分別収容 回収済み 処理遅れ 入れ替え作業 操業スケジュール 転炉容器 耐火物ライニング
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

転炉溶銑予備処理での排滓処理を従来に比べ効率化し、コスト増を招くことなく生産性の向上を実現する。

解決手段

一転炉内において溶銑に対して脱りん処理、脱炭処理及び排滓処理を行う転炉の操業方法であって、前記排滓処理は一体的に連結され、同一の軌条上を移動自在な2基の排滓鍋を用いて行われ、前記脱炭処理において生成された脱炭スラグを第1の排滓鍋に収容し、前記脱りん処理において生成された脱りんスラグを第2の排滓鍋に収容することを特徴とする、転炉の操業方法が提供される。

概要

背景

高炉生産される溶銑は主要な不純物としてCやP、Sなどを含んでいる。そこで、転炉中で溶銑に酸素を吹き込むことでCを取り除くと同時に、生石灰等のCaO源を添加し、P等の不純物をスラグとして取り除く転炉溶銑予備処理が行われている。

転炉溶銑予備処理には、溶銑を転炉へ1回装入して脱りん(脱P)および脱炭(脱C)処理を連続して行う溶銑1回装入型の転炉溶銑予備処理方法、例えばMURC(Multi-Refining Converter)法と呼ばれる方法と、脱Pを行った後に一旦溶銑を転炉から取り出し、脱Cを行う際に再び溶銑を転炉に装入する溶銑2回装入型の転炉溶銑予備処理、例えばLD−ORP(LD converter - Optimized Refining Process)法と呼ばれる方法がある。

転炉溶銑予備処理において、スラグは転炉下に搬入された排滓鍋に排出される。近年では、鋼材品質に対する要求にこたえると共に、生産効率の向上を図るため、同一転炉において、脱P後に一度処理中断し、中間排滓工程(スラグを炉外へ排出する工程)を行った後、継続して脱C処理を行う精錬法(即ち、上記MURC法)が積極的に採用されている。

従来、特許文献1に示すように、転炉の操業においては転炉一基に対して排滓鍋一基を炉下に搬入し、排滓処理が行われていた。この場合、排滓鍋の容量と排滓されるスラグの量に鑑み、例えば2回程度排滓処理を実施した段階で排滓鍋の入れ替えが行われていた。また、排滓鍋を用いた排滓処理を安定して効率的に行う技術としては、例えば特許文献2のような鎮静材の使用や、排滓鍋の大型化といった技術が創案されてきた。

概要

転炉溶銑予備処理での排滓処理を従来に比べ効率化し、コスト増を招くことなく生産性の向上を実現する。同一転炉内において溶銑に対して脱りん処理、脱炭処理及び排滓処理を行う転炉の操業方法であって、前記排滓処理は一体的に連結され、同一の軌条上を移動自在な2基の排滓鍋を用いて行われ、前記脱炭処理において生成された脱炭スラグを第1の排滓鍋に収容し、前記脱りん処理において生成された脱りんスラグを第2の排滓鍋に収容することを特徴とする、転炉の操業方法が提供される。

目的

本発明の目的は、転炉溶銑予備処理での排滓処理を従来に比べ効率化し、コスト増を招くことなく生産性の向上を実現することが可能な転炉の操業方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一転炉内において溶銑に対して脱りん処理、脱炭処理及び排滓処理を行う転炉操業方法であって、前記排滓処理は一体的に連結され、同一の軌条上を移動自在な2基の排滓鍋を用いて行われ、前記脱炭処理において生成された脱炭スラグを第1の排滓鍋に収容し、前記脱りん処理において生成された脱りんスラグを第2の排滓鍋に収容することを特徴とする、転炉の操業方法。

請求項2

溶銑に対して順に脱りん処理、脱りんスラグの排滓処理、脱炭処理、脱炭スラグの排滓処理が行われ、前記脱炭スラグの排滓処理は前記第1の排滓鍋を前記転炉下方に配置させて行われ、前記脱りんスラグの排滓処理は前記第2の排滓鍋を前記転炉下方に配置させて行われることを特徴とする、請求項1に記載の転炉の操業方法。

請求項3

前記転炉外に前記2基の排滓鍋を搬出すると共に新たな2基の排滓鍋を搬入させる搬入出工程を有し、脱りん処理、脱りんスラグの排滓処理、脱炭処理、脱炭スラグの排滓処理を一連の工程として、当該一連の工程が複数回繰り返し行われる際に、前記搬入出工程は2基の排滓鍋の少なくとも一方が満量となった段階又は2基の排滓鍋の両方が満量となった段階で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の転炉の操業方法。

請求項4

前記排滓鍋1基の容量は、1回の前記脱炭処理又は前記脱りん処理において生成されたスラグを少なくとも2回分収容可能な容量に設定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転炉の操業方法。

技術分野

0001

本発明は、溶銑の脱P、脱C等の精錬処理を行う転炉操業方法に関するものであり、2基の排滓鍋を用いてスラグ排滓を行う転炉の操業方法に関する。

背景技術

0002

高炉生産される溶銑は主要な不純物としてCやP、Sなどを含んでいる。そこで、転炉中で溶銑に酸素を吹き込むことでCを取り除くと同時に、生石灰等のCaO源を添加し、P等の不純物をスラグとして取り除く転炉溶銑予備処理が行われている。

0003

転炉溶銑予備処理には、溶銑を転炉へ1回装入して脱りん(脱P)および脱炭(脱C)処理を連続して行う溶銑1回装入型の転炉溶銑予備処理方法、例えばMURC(Multi-Refining Converter)法と呼ばれる方法と、脱Pを行った後に一旦溶銑を転炉から取り出し、脱Cを行う際に再び溶銑を転炉に装入する溶銑2回装入型の転炉溶銑予備処理、例えばLD−ORP(LD converter - Optimized Refining Process)法と呼ばれる方法がある。

0004

転炉溶銑予備処理において、スラグは転炉下に搬入された排滓鍋に排出される。近年では、鋼材品質に対する要求にこたえると共に、生産効率の向上を図るため、同一転炉において、脱P後に一度処理中断し、中間排滓工程(スラグを炉外へ排出する工程)を行った後、継続して脱C処理を行う精錬法(即ち、上記MURC法)が積極的に採用されている。

0005

従来、特許文献1に示すように、転炉の操業においては転炉一基に対して排滓鍋一基を炉下に搬入し、排滓処理が行われていた。この場合、排滓鍋の容量と排滓されるスラグの量に鑑み、例えば2回程度排滓処理を実施した段階で排滓鍋の入れ替えが行われていた。また、排滓鍋を用いた排滓処理を安定して効率的に行う技術としては、例えば特許文献2のような鎮静材の使用や、排滓鍋の大型化といった技術が創案されてきた。

先行技術

0006

特開2000−328127号公報
特開2009−287050号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、溶銑1回装入型の転炉溶銑予備処理方法(MURC法)の場合、排滓の間隔が短く、上記特許文献1に示すような排滓処理方法では排滓鍋の入れ替えが間に合わず処理遅れが発生する恐れがある。
また、特許文献2に示すような鎮静剤の使用や、排滓鍋の大型化には多額の投資が必要となり、効率的でなく生産性の低下が懸念される。

0008

記事情に鑑み、本発明の目的は、転炉溶銑予備処理での排滓処理を従来に比べ効率化し、コスト増を招くことなく生産性の向上を実現することが可能な転炉の操業方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

前記の目的を達成するため、本発明によれば、同一転炉内において溶銑に対して脱りん処理、脱炭処理及び排滓処理を行う転炉の操業方法であって、前記排滓処理は一体的に連結され、同一の軌条上を移動自在な2基の排滓鍋を用いて行われ、前記脱炭処理において生成された脱炭スラグを第1の排滓鍋に収容し、前記脱りん処理において生成された脱りんスラグを第2の排滓鍋に収容することを特徴とする、転炉の操業方法が提供される。

0010

上記転炉の操業方法において、溶銑に対して順に脱りん処理、脱りんスラグの排滓処理、脱炭処理、脱炭スラグの排滓処理が行われ、前記脱炭スラグの排滓処理は前記第1の排滓鍋を前記転炉下方に配置させて行われ、前記脱りんスラグの排滓処理は前記第2の排滓鍋を前記転炉下方に配置させて行われても良い。

0011

上記転炉の操業方法において、前記転炉外に前記2基の排滓鍋を搬出すると共に新たな2基の排滓鍋を搬入させる搬入出工程を有し、脱りん処理、脱りんスラグの排滓処理、脱炭処理、脱炭スラグの排滓処理を一連の工程として、当該一連の工程が複数回繰り返し行われる際に、前記搬入出工程は2基の排滓鍋の少なくとも一方が満量となった段階又は2基の排滓鍋の両方が満量となった段階で行われても良い。

0012

前記排滓鍋1基の容量は、1回の前記脱炭処理又は前記脱りん処理において生成されたスラグを少なくとも2回分収容可能な容量に設定されても良い。

発明の効果

0013

本発明によれば、転炉溶銑予備処理での排滓処理を従来に比べ効率化し、コスト増を招くことなく生産性の向上を実現することが可能となる。

図面の簡単な説明

0014

転炉の概略的な断面図である。
同一の転炉において脱P処理、中間排滓工程及び脱C処理を連続的に行う転炉溶銑予備処理についての説明図である。
従来の排滓工程についての概略説明図である。
MURC法を用いて転炉の操業を行う場合の、従来の操業スケジュールの一例を示す説明図である。
本実施の形態に係る転炉の操業方法についての概略説明図である。
本実施の形態に係る排滓工程についての概略説明図である。
第1MURC〜第4MURCまでの4回の転炉溶銑予備処理が連続的に実施される場合の操業スケジュールを示す説明図である。

実施例

0015

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

0016

先ず、本発明の実施の形態にかかる転炉の操業方法を適用する際に用いられる転炉の構成について簡単に説明する。図1は、転炉2の概略的な断面図である。図1に示すように、転炉2は鋼製転炉容器3の内面耐火煉瓦などからなる耐火物ライニング4を貼り付けた構造を有している。また、転炉2の上端は開口部5となっており、この開口部5を通じて転炉2内に溶銑やスクラップ、副原料などが入れられ、また、この開口部5を通じて転炉2内からスラグが排出される。転炉2の側面には、開口部5よりも下方に位置する出鋼孔6が形成されている。この出鋼孔6を通じて転炉2内から溶湯(溶銑または精錬された溶鋼)が排出される。

0017

次に、本実施の形態に係る転炉の操業方法での転炉溶銑予備処理について図面を参照して説明する。図2は同一の転炉において脱P処理、中間排滓工程及び脱C処理を連続的に行う精錬方法(即ち、MURC法)についての説明図であり、図2(a)〜(f)の順で工程を説明している。なお、図2では、説明の便宜上、転炉2内面に貼り付けられた耐火物ライニング4を省略して図示、説明している。また、本発明の適用範囲はいわゆるMURC法に限られるものではなく、例えばLD−ORP法等の転炉溶銑予備処理にも適用可能である。

0018

先ず、図2(a)に示すように、転炉2内にスクラップ9と、溶銑10が装入される。そして、図2(b)に示すように、送酸機構12によって転炉2内に送酸が行われる。また、図示していないが、送酸開始直後には、転炉2内に副原料の投入が行われる。送酸ならびに副原料の投入により、転炉2の底部に貯留した溶銑10の上層に脱Pスラグ15a(以下、単にスラグ15aとも記載)が生成される。即ち、この図2(b)に示す工程では、溶銑10に含有されるSi(珪素)とP(燐)を酸化させて取り除く、脱P処理が行われ、それに伴い生成酸化物とCaO等からなるスラグ15aが生成される。なお、この脱P処理において投入される副原料は例えばCaO源としての生石灰と、Al2O3源としての造塊滓である。また、この脱P処理を行う際のスラグの塩基度(CaO/SiO2)は約1.1である。ここでAl2O3源としての造塊滓は送酸開始直後に投入するとしたが、脱P処理の途中で投入しても良い。また、脱P処理では温度調整のために鉄鉱石を入れても良い。

0019

次に、図2(c)に示すように、脱P処理終了後、即ち送酸を中断した後に、出鋼孔6を上にした状態で転炉2を傾けて開口部5からスラグ15aの一部を転炉2から排出する、中間排滓工程が行われる。この中間排滓工程で排出するスラグ量が上記脱P処理において生成されたスラグ量の一部となるのは、脱P処理において生成されたスラグ15aの一部が溶鉄の排出を防止するにあたって炉内に残ってしまうからである。なお、ここで排出するスラグ量は、上記脱P処理において生成されたスラグ量の約50%であることが好ましい。

0020

そして、中間排滓工程終了後、図2(d)に示すように、送酸機構12によって転炉2内に再度送酸が開始される。また、図示していないが、送酸開始直後には、転炉2内に副原料の投入が行われる。送酸ならびに副原料の投入により、溶銑10内部のC(炭素)が酸化され、酸化物やCaO等からなる脱Cスラグ15b(以下、単にスラグ15bとも記載)が生成する。この工程が脱C処理である。この脱C処理において投入される副原料は例えばCaO源としての生石灰と、耐火物図1に示した耐火物ライニング4)保護のためのMgO源としてのドロマイトである。なお、この脱C処理は、転炉2内に上述した脱P処理において生成されたスラグ15aの一部も残存した状態で行われる。即ち、スラグ15bは上記スラグ15aも含んだものである。また、この脱C処理を行う際のスラグの塩基度(CaO/SiO2)は約3.5である。

0021

次に、脱C処理終了後、図2(e)に示すように、出鋼孔6を下にした状態で転炉2を傾けて出鋼孔6から溶鋼10’(精錬された溶銑10)を取り出す、所謂出鋼が行われる。そして、図2(f)に示すように、溶鋼10’を取り出した後の転炉2内に残存するスラグ15bは、出鋼孔6を上にした状態で転炉2を傾けることで開口部5から排出される。これは転炉2の内容物を完全に排出することから完全排滓工程と呼ばれる。

0022

以上、図2を参照して本実施の形態に係る転炉の操業方法での転炉溶銑予備処理について説明したが、この方法においては、図2(c)に示す中間排滓工程と、図2(f)に示す完全排滓工程と、がスラグの排滓工程(排滓処理)として実施される。これら排滓工程は、転炉2の下方に軌条(レール)を設置し、排滓鍋と呼ばれるスラグ回収用のを軌条に沿って移動させて転炉2の下方に排滓鍋を配置させて行われる。

0023

従来の転炉の操業方法においては、転炉1基に対して排滓鍋1基を炉下に搬入して上記排滓工程を実施していた。図3は従来の排滓工程についての概略説明図である。なお、図3は上記完全排滓工程実施時の様子を示したものである。

0024

図3に示すように、転炉2の下方には軌条20が設置されており、軌条20に沿って排滓鍋30が移動自在に設けられている。排滓鍋30は上部に開口を有する鍋部30aと、当該鍋部30aを支持し、軌条20上にて移動自在な構成(例えば車輪等)を有する台座部30bからなる。ここで、排滓鍋30の容量は、中間排滓工程あるいは完全排滓工程において排出されるスラグを、各排滓工程で排出されるスラグ排出量の2回分を収容させることが可能な容量となっている。

0025

従来の転炉の操業方法においては、MURC法によって転炉溶銑予備処理を繰り返し行う際に、中間排滓工程において排滓されるスラグ(脱P処理によるスラグ、脱Pスラグ15aとも呼称される)と、完全排滓工程において排滓されるスラグ(脱C処理によるスラグ、脱Cスラグ15bとも呼称される)を1基の排滓鍋30において回収し、回収済みの排滓鍋30を軌条20において搬出させ、次の中間排滓工程においては新たな排滓鍋を搬入させて排滓工程を行うといった方法を採っていた。ここで、転炉1基にたいして軌条20は1経路しか設けられておらず、排滓鍋の搬入出には所定の時間がかかることから、繰り返し実施されるMURC法における排滓処理工程は排滓鍋30の搬入出を待って行われる場合があった。

0026

図4は、MURC法を用いて転炉の操業を行う場合の、従来の操業スケジュールの一例を示す説明図である。なお、図4において「MURC」と記載されたものがMURC法を用いた脱P処理及び脱C処理を示しており、「脱P排」と記載されたものが脱Pスラグの中間排滓工程、「脱C排」と記載されたものが脱Cスラグの完全排滓工程を示している。また、図4の横方向は時間の長さ(時間経過)を示し、操業時間が図中右方向に進行している。実操業におけるMURC法による転炉溶銑予備処理は複数回繰り返し実施されるが、ここでは、MURC法による転炉溶銑予備処理を第1MURC、第2MURCの2回連続して実施する場合を図示している。

0027

図4に示すように、MURC法においては中間排滓工程(脱P排)と完全排滓工程(脱C排)が所定の間隔を空けて実施され、連続してMURC法による転炉溶銑予備処理を行う場合には各予備処理を通じて1基の排滓鍋30が用いられる。ここで、各MURC法による処理は、開始後に所定時間t1が経過すると脱P処理が終了して中間排滓工程が行われ、中間排滓工程後に所定時間t2が経過すると脱C処理が終了して完全排滓工程が行われる。排滓鍋30の容量は、排滓工程(中間排滓工程、完全排滓工程)にて排滓されるスラグ排滓量の2回分であるため、第1MURCでの中間排滓工程開始時に空の状態で転炉下に搬入された排滓鍋30は、第1MURCでの中間排滓工程及び完全排滓工程によって排滓されたスラグにより満量となる。
そこで、第1MURCの完全排滓工程終了後には、満量となった排滓鍋30を炉外へ搬出し、空の新たな排滓鍋30が第2MURCでの中間排滓工程及び完全排滓工程のために炉内に搬入される。そして、第2MURCでは、第1MURCと同様に中間排滓工程及び完全排滓工程におけるスラグが当該新たな排滓鍋30に排滓されることになる。

0028

ここで、MURC法による転炉溶銑予備処理において、脱P処理に比べ脱C処理の方が時間を要することが知られている。MURC法による転炉溶銑予備処理の1サイクルは例えば約35分であり、開始時から中間排滓工程終了まで(即ち、脱P処理)の所要時間t1は約10分、中間排滓工程終了後から完全排滓終了まで(即ち、脱C処理)の所要時間t2は約25分である。即ち、図4に示すような操業スケジュールでもって、同一の転炉2を用いてMURC法による転炉溶銑予備処理を連続的に実施する場合に、第1MURCでの完全排滓工程終了後に第2MURCでの中間排滓工程が開始されるまでの時間は極めて短時間(例えば約10分)であり、第1MURCにおいて満量となった排滓鍋30を炉外に搬出し、空にした後に再度炉内に搬入させるために要する時間よりも短い時間となってしまう。これにより、第1MURC終了後、即座に第2MURCを開始することができず、排滓鍋30が炉内に搬入されるのを待って第2MURCの中間排滓工程を行わなくてはならない。従って、生産効率を向上させるために同一の転炉2において連続的に脱P処理と脱C処理を実施することを実現すべきMURC法において、排滓鍋30の搬入出を待つための非稼働時間が生じてしまい、生産性の向上が妨げられてしまう。

0029

また、排滓鍋30には、中間排滓工程で排出される脱Pスラグ15aと、完全排滓工程で排出される脱Cスラグ15bの両方が収容される。上述したように、脱Pスラグ15aは溶銑中のSi(珪素)とP(燐)が酸化されたものであり、脱Cスラグ15bは溶銑中のC(炭素)が酸化されたものである。即ち、排滓鍋30においては成分の異なる2種類のスラグ(脱Pスラグ15a、脱Cスラグ15b)が混在して収容されることになり、スラグの再利用等を考慮した場合に好ましくない。

0030

以上、図3及び図4を参照して説明した知見に鑑み、本発明者らは、中間排滓工程ならびに完全排滓工程において用いられる排滓鍋の構成について鋭意検討を行い、軌条20等の従前の設備を用いることで設備コスト増を招くことなく、従来よりも生産効率が向上する転炉の操業方法を創案した。以下、本発明の実施の形態にかかる転炉の操業方法について図面を参照して説明する。

0031

図5は本実施の形態に係る転炉の操業方法についての概略説明図である。なお、以下の説明においては、図5に記載の各構成要素について、上記従来の構成(図3参照)と同様の機能構成を有する構成要素について同じ符号を付してその説明は省略する場合がある。

0032

図5に示すように、軌条20に沿って排滓鍋が移動自在に設けられている点は従来と同じであるが、排滓鍋の構成は従来と異なっており、第1の排滓鍋40と第2の排滓鍋50が連結部55によって直列的に連結され、一体的に軌条20の経路上を移動自在に構成されている。各排滓鍋40、50は上部に開口を有する鍋部40a、50aと、当該鍋部40a、50aを支持し、軌条20上にて移動自在な構成(例えば車輪等)を有する台座部40b、50bからなる。即ち、排滓鍋を転炉2において搬入出する際には、2基の排滓鍋(第1の排滓鍋40及び第2の排滓鍋50)を一体的に搬入出させる構成となっている。

0033

次に、図5に示す構成において実施される排滓工程について図6(a)〜(f)を参照して説明する。なお、ここではMURC法による転炉溶銑予備処理を2回連続的に行う場合(即ち、第1MURC、第2MURC)について図示・説明し、(a)〜(d)は第1MURC、(e)、(f)は第2MURCを示している。また、説明のため、各排滓鍋40、50において各スラグ(脱Pスラグ15aあるいは脱Cスラグ15b)が入っている場合には、その様子も図示している。

0034

先ず、図6(a)に示すように、第1MURCでの脱P処理終了後、中間排滓工程において脱Pスラグ15aが第2の排滓鍋50に排出される。そして、図6(b)に示すように、第1MURCでの脱C処理中に、連結した2基の排滓鍋40、50が軌条20上の経路を所定方向(図中右方向)に移動し、転炉2の下方に第1の排滓鍋40が位置するような配置とされる。続いて、図6(c)に示すように、脱C処理終了後には、処理済みの溶鋼10’が出鋼孔6を通じて転炉2内から図示しない取鍋へと出鋼される。そして、図6(d)に示すように、出鋼後、転炉2内に残った脱Cスラグ15bが第1の排滓鍋40に排出される。以上、図6(a)〜(d)に示す工程が第1MURCでの転炉溶銑予備処理である。なお、第1MURC終了時までに、第2の排滓鍋50には脱Pスラグ15aが一回分排出され、第1の排滓鍋40には脱Cスラグ15bが一回分排出されるが、上述したように排出鍋40、50は各排滓工程におけるスラグ排出量を2回分収容可能な容量であるため、第1の排滓鍋40、第2の排滓鍋50ともに満量には至っておらず、例えば容量の約1/2程度のスラグが収容された状態となっている。

0035

続いて、図6(e)に示すように、連結した2基の排滓鍋40、50が軌条20上の経路を所定方向(図中左方向)に移動し、転炉2の下方に第2の排滓鍋50が位置するような配置とされる。そして第2MURCにおける脱P処理が行われ、脱P処理後の脱Pスラグ15aが中間排滓工程において第2の排滓鍋50に排出される。この中間排滓工程後には、図示しないが、第2MURCにおける脱C処理ならびに溶鋼の出鋼が行われるが、この脱C処理ならびに溶鋼の出鋼に要する時間(所要時間t2)は例えば約25分であり、排滓鍋40、50を炉外へ搬出し、スラグ処理を行った後に炉内に戻すといった作業が十分に可能な時間となっている。この時間t2において図6(e)までに排滓されたスラグが収容された状態の排滓鍋40、50は炉外へ搬出され、スラグ処理が行われる。
一方で、図6(f)に示すように、第2MURCにおける完全排滓工程開始時には、空の新たな排滓鍋40、50が炉内に搬入され、以降の各排滓工程ではスラグの回収が同様の方法にて行われる。即ち、排滓鍋40、50の入れ替え作業が第2MURCの脱C処理ならびに溶鋼の出鋼中に行われる。

0036

以上図6を参照して説明した本実施の形態によれば、排滓鍋40、50について計3回の排滓工程(第1MURCの中間排滓工程、第1MURCの完全排滓工程、第2MURCの中間排滓工程)が実施され、第1MURCにて例えば容量の約1/2程度の脱Pスラグ15aが収容された状態の第2の排滓鍋50には、再度同程度の量の脱Pスラグ15aが収容され、ほぼ満量の状態となる。一方、第1MURCにおいて例えば容量の約1/2程度の脱Cスラグ15bが収容された状態の第1の排滓鍋40は、そのままの状態で炉外でのスラグ処理に向かうこととなる。このため、第1の排滓鍋40には脱Cスラグ15bのみが収容され、第2の排滓鍋50には脱Pスラグ15aのみが収容される構成となり、スラグの分別回収が可能となる。

0037

また、2回連続的に行われる転炉溶銑予備処理である第1MURC、第2MURCにおいて、2回の転炉溶銑予備処理を通じて排滓鍋40、50を炉外へ搬出してスラグ処理を行うと共に、排滓鍋40、50の入れ替え作業を行う回数を1回に留めることができるため、従来に比べスラグ処理の回数を減少させて生産効率の向上を図ることができる。更には、排滓鍋40、50の入れ替えを転炉2での脱C処理ならびに出鋼中に実施できるため、転炉2の非稼働時間を生むことなく効率的な排滓処理を実施することができる。

0038

また、MURC法による転炉溶銑予備処理は半永久的に連続して実施される場合があり、そのような場合についても同様の方法にてスラグの排滓を行うことができる。そこで、以下では図7を参照して更に多くの転炉溶銑予備処理が繰り返し実施される場合の転炉の操業方法について簡単に説明する。

0039

図7は、第1MURC〜第4MURCまでの4回の転炉溶銑予備処理が連続的に実施される場合の操業スケジュールを示す説明図である。なお、図7では転炉溶銑予備処理が4回連続して実施される場合を図示しているが、転炉溶銑予備処理は任意の回数連続して行われるものであり、4回はその一例である。また、図7表示方法図4と同様である。更に、説明のため、第1MURC〜第4MURCまでの中間排滓工程を第1中間排滓工程M1〜第4中間排滓工程M4とし、第1MURC〜第4MURCまでの完全排滓工程を第1完全排滓工程F1〜第4完全排滓工程F4とする。

0040

第1MURC〜第2MURCにおいては、図6を参照して上述したように、第1中間排滓工程M1、第1完全排滓工程F1、第2中間排滓工程M2において排出されたスラグが各排滓鍋40、50に収容されたタイミングT1にてスラグ処理(炉外へのスラグ搬出ならびにその処理)が行われる。このタイミングT1、即ち、第2完全排滓工程F2終了までの所定時間t2において、スラグ処理と共に排滓鍋40、50の入れ替えが実施され、空の状態の排滓鍋40、50が炉内に搬入される。

0041

続いて、図7に示すタイミングT1からタイミングT2の間において、第2完全排滓工程F2、第3中間排滓工程M3、第3完全排滓工程F3、第4中間排滓工程M4において排出されたスラグが、図6と同様の方法にて第1の排滓鍋40に脱Cスラグ15bのみが収容され、第2の排滓鍋50に脱Pスラグ15aのみが収容されるように各排滓工程が行われる。即ち、第1の排滓鍋40には、第2完全排滓工程F2及び第3完全排滓工程F3での脱Cスラグ15bが収容され、第2の排滓鍋50には、第3中間排滓工程M3及び第4中間排滓工程M4での脱Pスラグ15bが収容される。
そして、タイミングT2において排滓鍋40、50に収容されたスラグのスラグ処理が行われ、更に、排滓鍋40、50の入れ替えが実施される。
なお、ここでは4回の転炉溶銑予備処理が連続的に実施される場合を説明したが、更に半永久的に転炉溶銑予備処理が連続して実施される場合には、図7を参照して上述した方法による排滓工程が繰り返し行われる。

0042

以上説明した本実施の形態に係る転炉の操業方法によれば、図6、7を参照して説明したように、同一の転炉においてMURC法による転炉溶銑予備処理を2回以上連続的に実施する場合に、排滓鍋を炉外へ搬出させスラグ処理を行うタイミングを2度の転炉溶銑予備処理毎に一回とすることが可能となり、従来の方法に比べ排滓鍋の入れ替え回数やスラグ処理の回数を低減させることができる。また、排滓鍋の入れ替えに伴う転炉の非稼働時間等を従来に比べ減少させることができる。これにより、溶銑の精錬処理を従来に比べ効率的に実施することが可能となり、生産性の向上が実現される。
なお、本実施の形態に係る転炉の操業方法を実施するに際し、排滓鍋の大型化や、転炉内に敷設される軌条の増設といった設備投資を行う必要はなく、コスト面でも有用である。

0043

また、本実施の形態に係る転炉の操業方法においては、第1の排滓鍋40に脱Cスラグ15bのみが収容され、第2の排滓鍋50に脱Pスラグ15aのみが収容され、スラグ処理に向かう構成を採っている。即ち、成分の異なる2種類のスラグ(脱Cスラグ、脱Pスラグ)が分別収容され、再利用等のために行われるスラグ処理の効率化や低コスト化を実現することが可能となる。

0044

以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

0045

例えば、上記実施の形態では転炉溶銑予備処理としてMURC法を例示して説明したが、本発明はMURC法以外の転炉溶銑予備処理に対しても適用可能である。即ち、脱Pを行った後に一旦溶銑を転炉から取り出し、脱Cを行う際に再び溶銑を転炉に装入する溶銑2回装入型のLD−ORP法等にも適用可能である。

0046

例えばLD−ORP法に代表される溶銑2回装入型の転炉溶銑予備処理方法とは、転炉内において脱P処理を行った後、一度当該転炉から溶銑を取鍋に移すと共に、脱Pスラグの排滓を行い、その後、空となった転炉に取り出していた溶銑を戻して脱C処理を行う方法である。このような方法の転炉溶銑予備処理において、2基の排滓鍋を連結させた構成を用いた場合、上記実施の形態と同様、2基の排滓鍋に脱Cスラグと脱Pスラグの2種類のスラグを分別して収容させることが可能である。

0047

本発明は、溶銑の脱P、脱C等の精錬処理を行う転炉の操業方法に関するものであり、2基の排滓鍋を用いてスラグの排滓を行う転炉の操業方法に適用できる。

0048

2…転炉
3…転炉容器
4…耐火物ライニング
5…開口部
6…出鋼孔
9…スクラップ
10…溶銑
10’…溶銑(処理済み)
12…送酸機構
15a…脱Pスラグ
15b…脱Cスラグ
20…軌条
30…排滓鍋
40…第1の排滓鍋
50…第2の排滓鍋
55…連結部

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