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技術 シリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶

出願人 国立大学法人名古屋大学
発明者 高橋勲宇佐美徳隆沓掛健太朗
出願日 2015年8月24日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2015-164999
公開日 2016年9月29日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2016-172681
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理 珪素及び珪素化合物
主要キーワード 不純物吸収 応力緩和性能 単結晶ブロック ヒーター出力 ズレ角 対応度 疑似単結晶 表面光起電力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

品質疑似単結晶成長させることができるシリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶を提供する。

解決手段

本発明のシリコンインゴットの製造方法は、坩堝底に側壁91から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1第1転位抑制粒界51を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界1と、第1転位抑制境界よりも側壁側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界54を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界4と、を有するように、複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶6を形成する配置工程と、種結晶の上にシリコン融液を配置し、シリコン融液を冷却して種結晶の結晶方位を受け継いで下方から上方へ一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴット7を形成する成長工程と、を有する。

概要

背景

多結晶シリコン太陽電池は、比較的高い変換効率を有し、大量生産が可能であり、しかも電池生産に必要な資源豊富である。このため、多結晶型シリコン太陽電池は、各種太陽電池の中でも、大きなシェアを確保し続けている。

多結晶型シリコン太陽電池に用いられる多結晶シリコン材料は、一般的にキャスト成長法により製造される。キャスト成長法は、坩堝内に入れたシリコン融液を用いて、坩堝底面から一方向に向かってシリコンバルク多結晶インゴット成長させる方法である。

近年、疑似単結晶シリコンが注目されている。疑似単結晶シリコンは、変換効率の向上が期待できるため、太陽電池用材料として有望視されてきている。

疑似単結晶シリコンを製造するために、キャスト成長法の一種としてモノライクキャスト法が開発されている。モノライクキャスト法は、坩堝底面に単結晶シリコンブロックを敷き、そこから粒結晶を一方向に成長させて疑似単結晶を形成する。

モノライクキャスト法では、図17に示すように、成長した結晶粒81の両側上部に方位ランダム多結晶化部分80が生じることがある。図18は、シリコンインゴットを示す。シリコンインゴットの上部両側部に、方位がランダムな多結晶化部分が認められる。多結晶化部分は、シリコン融液から種結晶を使って疑似単結晶を育成する過程で、坩堝側壁に接する部分から種結晶とは別の方位の結晶粒が多数発生して、別の方位の結晶粒の占有部分が拡大したものである。

多結晶化の問題の克服のために、本願発明者らは、特許文献1に示されているように、種結晶を複合させて人工的な結晶粒界を形成し、この粒界を利用して多結晶領域の拡大を抑制する方法を考案した。

また、非特許文献1に示されるように、坩堝壁近傍に多結晶領域を形成させてシリコンインゴット中心部の品質を向上させることが提案されている。

モノライクキャスト法は、更に以下の問題が残る。

図17に示すように、坩堝9を用いたキャスト法では、凝固時の体積膨張によって転位82が導入されやすい。複数の単結晶シリコンブロックを配列させた種結晶を用いて結晶成長をさせると、粒界から転位が発生してしまう。

図17に示すように、坩堝9は、側面及び底面に離型材が塗布されて用いられる。坩堝9の側面及び底面に接触した部分から離型材由来不純物85が結晶粒81に拡散する。不純物を有するシリコンインゴットを太陽電池に用いた場合、キャリア再結合速度が速くなる。図19に示すように、シリコンインゴットの外側部分の坩堝側壁近傍は不純物が存在するため、キャリアライフタイムが短い低ライフタイム部となり、中央部分は不純物の拡散が少なくキャリアのライフタイムが長い高ライフタイム部となる。不純物の拡散が広く低ライフタイム部が大きいと、太陽電池材料として使用可能な高ライフタイム部の割合が少なくなり、シリコンインゴットの歩留まりも低下してしまう。

概要

高品質な疑似単結晶を成長させることができるシリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶を提供する。本発明のシリコンインゴットの製造方法は、坩堝底に側壁91から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1第1転位抑制粒界51を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界1と、第1転位抑制境界よりも側壁側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界54を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界4と、を有するように、複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶6を形成する配置工程と、種結晶の上にシリコン融液を配置し、シリコン融液を冷却して種結晶の結晶方位を受け継いで下方から上方へ一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴット7を形成する成長工程と、を有する。

目的

特開2014−24716号公報




Advanced production technology of Si solar cells”, KL-03, 28/10/2013






本願発明者は、更に鋭意探求を重ねて、高品質な疑似単結晶シリコンを成長させることができるシリコンインゴットの製造方法及び種結晶並びにシリコンインゴットを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界と、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記転位発生境界と前記第1転位抑制境界をそれぞれ引き継いだ前記転位発生粒界と前記第1転位抑制粒界を形成して、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に転位を発生させるとともに、前記第1転位抑制粒界に対して前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有することを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。

請求項2

前記配置工程において、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁と反対側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第2転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第2転位抑制境界を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、前記成長工程において、前記シリコンインゴット中に前記第2転位抑制境界を引き継いだ前記第2転位抑制粒界を形成して、前記第2転位抑制粒界に対面する結晶粒での転位発生を抑制させる請求項1に記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項3

前記配置工程において、前記転位発生境界よりも前記側壁側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第3転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第3転位抑制境界を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、前記成長工程において、前記シリコンインゴット中に前記第3転位抑制境界を引き継いだ前記第3転位抑制粒界を形成して、前記第3転位抑制粒界の前記側壁側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる請求項1又は2に記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項4

前記転位発生粒界のΣ値は、前記第1転位抑制粒界のΣ値よりも小さい請求項1〜3のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項5

前記転位発生境界に対面する前記単結晶シリコンブロックの結晶方位に対する、前記転位発生粒界に対面する結晶粒の結晶方位のズレ角度が0°以上10°以下である請求項1〜4のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項6

前記坩堝の対向する一対の側壁のうち一方の側壁の近傍に配置された少なくとも一つの前記転位発生境界に対面する前記単結晶シリコンブロックの合計厚みは、1mm以上100mm以下である請求項1〜5のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項7

前記種結晶は、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する高転位単結晶シリコンブロックを有する請求項1〜6のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項8

前記配置工程において、前記坩堝の側壁から順に、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項1〜7のいずれかに記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項9

前記配置工程において、前記坩堝底が四角形状をなし、4つの前記側壁について各側壁から順に、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項8に記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項10

前記配置工程において、前記坩堝の側壁から順に、前記第3転位抑制境界、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項3に記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項11

前記配置工程において、前記坩堝底が四角形状をなし、4つの前記坩堝について各側壁から順に、前記第3転位抑制境界、前記転位発生境界及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項10に記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項12

坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する高転位単結晶シリコンブロックと、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記第1転位抑制境界を引き継いだ前記第1転位抑制粒界と前記高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで転位を発生させた高転位結晶粒とを形成して、前記第1転位抑制粒界に対して前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有することを特徴とするシリコンインゴットの製造方法。

請求項13

前記配置工程において、前記坩堝の側壁から順に、前記高転位単結晶シリコンブロック及び前記第1転位抑制境界を配置させる請求項12に記載のシリコンインゴットの製造方法。

請求項14

シリコンの結晶粒を成長させてシリコンインゴットを製造するために用いられる種結晶であって、前記種結晶は、前記結晶粒が成長する成長方向に対して垂直方向の端部から順に複数の単結晶シリコンブロックが配列されてなるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記端部側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界と、を有することを特徴とする種結晶。

請求項15

シリコンの結晶粒を成長させてシリコンインゴットを製造するために用いられる種結晶であって、前記種結晶は、前記結晶粒が成長する成長方向に対して垂直方向の端部から順に複数の単結晶シリコンブロックが配列されてなるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記端部側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記端部側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する少なくとも一つの高転位単結晶シリコンブロックと、を有することを特徴とする種結晶。

請求項16

シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、前記シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、前記第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する転位発生粒界とを有するとともに、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に転位が発生されており、前記第1転位抑制粒界に対して前記端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に発生している転位よりも少ないことを特徴とするシリコンインゴット。

請求項17

前記端部から順に、前記転位発生粒界及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項16に記載のシリコンインゴット。

請求項18

前記シリコンインゴットの結晶粒の成長方向に対して垂直方向の断面は四角形状をなし、前記垂直方向の4つの前記端部について前記各端部から順に、前記転位発生粒界及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項18に記載のシリコンインゴット。

請求項19

シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、前記シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、前記第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する高転位結晶粒とを有するとともに、前記高転位結晶粒には転位が発生されており、前記第1転位抑制粒界に対して前記端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、前記高転位結晶粒に発生している転位よりも少ないことを特徴とするシリコンインゴット。

請求項20

前記端部から順に、前記高転位結晶粒及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項19に記載のシリコンインゴット。

請求項21

前記シリコンインゴットの結晶粒の成長方向に対して垂直方向の断面は四角形状をなし、前記垂直方向の4つの前記端部について前記各端部から順に、前記高転位結晶粒及び前記第1転位抑制粒界が配置されている請求項20に記載のシリコンインゴット。

技術分野

0001

本発明は、多結晶シリコン太陽電池などに用いられるシリコンインゴット及びその製造方法並びに種結晶に関する。

背景技術

0002

多結晶型シリコン太陽電池は、比較的高い変換効率を有し、大量生産が可能であり、しかも電池生産に必要な資源豊富である。このため、多結晶型シリコン太陽電池は、各種太陽電池の中でも、大きなシェアを確保し続けている。

0003

多結晶型シリコン太陽電池に用いられる多結晶シリコン材料は、一般的にキャスト成長法により製造される。キャスト成長法は、坩堝内に入れたシリコン融液を用いて、坩堝底面から一方向に向かってシリコンバルク多結晶インゴット成長させる方法である。

0004

近年、疑似単結晶シリコンが注目されている。疑似単結晶シリコンは、変換効率の向上が期待できるため、太陽電池用材料として有望視されてきている。

0005

疑似単結晶シリコンを製造するために、キャスト成長法の一種としてモノライクキャスト法が開発されている。モノライクキャスト法は、坩堝底面に単結晶シリコンブロックを敷き、そこから粒結晶を一方向に成長させて疑似単結晶を形成する。

0006

モノライクキャスト法では、図17に示すように、成長した結晶粒81の両側上部に方位ランダム多結晶化部分80が生じることがある。図18は、シリコンインゴットを示す。シリコンインゴットの上部両側部に、方位がランダムな多結晶化部分が認められる。多結晶化部分は、シリコン融液から種結晶を使って疑似単結晶を育成する過程で、坩堝側壁に接する部分から種結晶とは別の方位の結晶粒が多数発生して、別の方位の結晶粒の占有部分が拡大したものである。

0007

多結晶化の問題の克服のために、本願発明者らは、特許文献1に示されているように、種結晶を複合させて人工的な結晶粒界を形成し、この粒界を利用して多結晶領域の拡大を抑制する方法を考案した。

0008

また、非特許文献1に示されるように、坩堝壁近傍に多結晶領域を形成させてシリコンインゴット中心部の品質を向上させることが提案されている。

0009

モノライクキャスト法は、更に以下の問題が残る。

0010

図17に示すように、坩堝9を用いたキャスト法では、凝固時の体積膨張によって転位82が導入されやすい。複数の単結晶シリコンブロックを配列させた種結晶を用いて結晶成長をさせると、粒界から転位が発生してしまう。

0011

図17に示すように、坩堝9は、側面及び底面に離型材が塗布されて用いられる。坩堝9の側面及び底面に接触した部分から離型材由来不純物85が結晶粒81に拡散する。不純物を有するシリコンインゴットを太陽電池に用いた場合、キャリア再結合速度が速くなる。図19に示すように、シリコンインゴットの外側部分の坩堝側壁近傍は不純物が存在するため、キャリアライフタイムが短い低ライフタイム部となり、中央部分は不純物の拡散が少なくキャリアのライフタイムが長い高ライフタイム部となる。不純物の拡散が広く低ライフタイム部が大きいと、太陽電池材料として使用可能な高ライフタイム部の割合が少なくなり、シリコンインゴットの歩留まりも低下してしまう。

0012

特開2014−24716号公報

先行技術

0013

Advanced production technology of Si solar cells”, KL-03, 28/10/2013

発明が解決しようとする課題

0014

本願発明者は、更に鋭意探求を重ねて、高品質な疑似単結晶シリコンを成長させることができるシリコンインゴットの製造方法及び種結晶並びにシリコンインゴットを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0015

本発明のシリコンインゴットの製造方法は、坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界と、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記転位発生境界と前記第1転位抑制境界をそれぞれ引き継いだ前記転位発生粒界と前記第1転位抑制粒界を形成して、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に転位を発生させるとともに、前記第1転位抑制粒界に対して前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有することを特徴とする。

0016

本発明のシリコンインゴットの製造方法は、坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する高転位単結晶シリコンブロックと、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記第1転位抑制境界を引き継いだ前記第1転位抑制粒界と前記高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで転位を発生させた高転位結晶粒とを形成して、前記第1転位抑制粒界に前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有することを特徴とする。

0017

本発明の種結晶は、シリコンの結晶粒を成長させてシリコンインゴットを製造するために用いられる種結晶であって、
前記種結晶は、前記結晶粒が成長する成長方向に対して垂直方向の端部から順に複数の単結晶シリコンブロックが配列されてなるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記端部側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界と、を有することを特徴とする。

0018

本発明の種結晶は、シリコンの結晶粒を成長させてシリコンインゴットを製造するために用いられる種結晶であって、前記種結晶は、前記結晶粒が成長する成長方向に対して垂直方向の端部から順に複数の単結晶シリコンブロックが配列されてなるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記端部側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記端部側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する少なくとも一つの高転位単結晶シリコンブロックと、を有することを特徴とする。

0019

本発明のシリコンインゴットは、シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、前記シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、前記第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する転位発生粒界とを有するとともに、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に転位が発生されており、前記第1転位抑制粒界に対して前記端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に発生している転位よりも少ないことを特徴とする。

0020

本発明のシリコンインゴットは、シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、前記シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、前記第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する高転位結晶粒とを有するとともに、前記高転位結晶粒には転位が発生されており、前記第1転位抑制粒界に対して前記端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、前記高転位結晶粒に発生している転位よりも少ないことを特徴とする。

発明の効果

0021

本発明によれば上記構成を具備するため、高品質な疑似単結晶シリコンを成長させることができるシリコンインゴットの製造方法及び種結晶並びにシリコンインゴットを提供することができる。

図面の簡単な説明

0022

参考例1の種結晶の作成方法を示す図である。
参考例1のシリコンインゴットの切断面のエッチピット像を示す図である。
実施例1の種結晶の作成方法を示す図である。
実施例1のシリコンインゴットの切断面を示す写真である。
実施例1のシリコンインゴットの切断面のエッチピット像を示す図である。
結晶粒の転位領域鉄濃度分布を示す図である。
実施例1のシリコンインゴットの説明図である。
実施例1の種結晶に対して更に第3転位抑制境界を設けて作成したシリコンインゴットの説明図である。
実施例1の種結晶に高転位単結晶シリコンブロックを用いて作成したシリコンインゴットの説明図である。
実施例1の種結晶の転位発生境界に代えて高転位単結晶シリコンブロックを配置した種結晶を用いて作成したシリコンインゴットの説明図である。
実施例2の種結晶の作成方法を示す図である。
図11のA−A矢視線方向に切断したシリコンインゴットの切断面の断面写真である。
種結晶部分をZ方向と直交する方向に切断したシリコンインゴットの切断面の断面写真である。
図11のA−A矢視線方向に切断したシリコンインゴットの切断面の説明図である。
種結晶部分をZ方向と直交する方向に切断したシリコンインゴットの切断面の説明図である。
実施例2の種結晶の転位発生境界に代えて高転位単結晶シリコンブロックを配置した種結晶を用いて作成したシリコンインゴットの説明図である。
従来の問題点を説明するためのシリコンインゴットの断面図である。
多結晶化したシリコンインゴットの断面写真である。
シリコンインゴットにおけるキャリアのライフタイムの分布を示す図である。

0023

本発明の実施形態に係るシリコンインゴットの製造方法及び種結晶並びにシリコンインゴットについて詳細に説明する。

0024

シリコンインゴットの製造方法は、坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る少なくとも一つの転位発生境界と、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記転位発生境界と前記第1転位抑制境界をそれぞれ引き継いだ前記転位発生粒界と前記第1転位抑制粒界を形成して、前記転位発生粒界に対面する結晶粒に転位を発生させるとともに、前記第1転位抑制粒界に対して前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有する。

0025

配置工程では、坩堝底に、側壁から順に、複数の単結晶シリコンブロックを配列させて種結晶を形成する。種結晶は、少なくとも一つの第1転位抑制境界と、第1転位抑制境界よりも側壁側に位置する少なくとも一つの転位発生境界と、を有する。

0026

第1転位抑制境界は、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る。転位発生境界は、結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させ得る。

0027

複数の単結晶シリコンブロックからなる種結晶について成長工程を行うと、単結晶シリコンブロックの位置及び方位を引き継いで、一方向に結晶粒が結晶成長する。転位発生境界及び第1転位抑制境界からは、それぞれの位置を引き継いだ転位発生粒界及び第1転位抑制粒界が形成される。「境界」とは、隣り合う単結晶シリコンブロック同士のつなぎ目をいい、「粒界」とは、隣り合う単結晶シリコンブロックから成長した結晶粒同士のつなぎ目をいう。

0028

第1転位抑制粒界は、隣合う結晶粒に転位が発生することを抑制する。転位発生粒界は、当該粒界に接する結晶粒に転位を生じさせる。転位発生粒界を挟んで隣合う結晶粒の転位は、第1転位抑制粒界を挟んで隣合う結晶粒の転位よりも多く発生している。転位発生粒界に接する結晶粒は、転位増殖の際に体積膨張等により生じる外部応力緩和させ、当該結晶粒以外の結晶粒に加わる応力を低減し当該結晶粒以外の結晶粒での転位の発生を抑えることができる。また、転位の発生した結晶粒は、坩堝の側壁などから進入した不純物をトラップしやすい。このため、転位発生粒界を形成することで、転位の発生した結晶粒以外の結晶粒での転位の発生や不純物の拡散を抑制することができる。

0029

また、転位発生粒界は、第1転位抑制粒界よりも側壁側に位置する。転位発生粒界から生じた転位は、第1転位抑制粒界により、側壁側と反対側、即ち中央側に伝播することが抑制される。このため、第1転位抑制粒界よりも中央側の結晶粒に転位が発生することを抑制できる。

0030

また、転位が発生した結晶粒は、側壁から拡散した不純物をトラップすることができる。転位発生粒界の側壁側と反対側、即ち中央側には、第1転位抑制粒界が形成されているため、第1転位抑制粒界で、中央側に不純物が拡散することを抑制できる。ゆえに、シリコンインゴットの第1転位抑制粒界よりも中央側を切り出して太陽電池材料として用いることにより、キャリアのライフタイムが長い高ライフタイム部の領域が広くなり、シリコンインゴットの歩留まりが高くなる。

0031

転位発生粒界は、第1転位抑制粒界よりも側壁側に位置する。このため、第1転位抑制粒界よりも側壁側に位置する転位発生粒界に対面する結晶粒は、第1転位抑制粒界に側壁と反対側で対面する結晶粒よりも、転位密度が大きくなる。このため、転位発生粒界に対面する結晶粒の転位密度は、第1転位抑制粒界に側壁と反対側で対面する結晶粒の転位密度よりも大きいことがよい。更に、転位発生粒界に対面する結晶粒の転位密度は、第1転位抑制粒界に側壁と反対側で対面する結晶粒の転位密度よりも10倍以上大きいことが好ましい。この場合には、転位増殖の際の体積膨張等により生じる外部応力を効果的に緩和させ、また、不純物を効果的にトラップすることができる。

0032

配置工程において、坩堝の側壁から順に、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置させることが好ましい。更に、配置工程において、坩堝底が四角形状をなし、4つの側壁について各側壁から順に、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置させることが好ましい。この場合には、坩堝の側壁に接するシリコンインゴットの端部に、転位発生境界を引き継いだ転位発生粒界及び第1転位抑制境界を引き継いだ第1転位抑制粒界を有する機能性欠陥層が形成される。坩堝の側壁からの不純物の侵入及び転位発生が第1転位抑制粒界で抑制されるため、第1転位抑制粒界に対して端部と反対側の領域では、不純物の混入及び転位発生が効果的に低減される。このように、坩堝の側壁から順に転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置させる場合に、転位発生境界及び第1転位抑制境界はそれぞれ1つのみでもよいし複数でもよい。

0033

種結晶を構成する単結晶シリコンブロックは、複数用いる。種結晶に用いる複数の単結晶シリコンブロックは、互いに同じ転位密度を有していてもよい。

0034

または、種結晶は、第1転位抑制境界よりも側壁側に位置して、第1転位抑制境界に対して側壁側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する高転位単結晶シリコンブロックを有していてもよい。この場合には、高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで成長した結晶粒に転位が多数発生する。高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで成長した結晶粒の転位密度を、第1転位抑制粒界に側壁と反対側で対面する結晶粒の転位密度よりも更に大きくすることができる。

0035

配置工程において、第1転位抑制境界に対して側壁と反対側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第2転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第2転位抑制境界を有するように、複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、成長工程において、シリコンインゴット中に第2転位抑制境界を引き継いだ第2転位抑制粒界を形成して、第2転位抑制粒界に対面する結晶粒での転位発生を抑制させることが好ましい。

0036

第1転位抑制境界に対して側壁と反対側、即ち中央側に第2転位抑制境界を配置することで、第1転位抑制粒界よりも中央側での転位発生を更に効果的に抑制できる。

0037

配置工程において、転位発生境界よりも側壁側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第3転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第3転位抑制境界を有するように、複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、成長工程において、シリコンインゴット中に第3転位抑制境界を引き継いだ第3転位抑制粒界を形成して、第3転位抑制粒界に側壁側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させることが好ましい。

0038

側壁近傍で核が形成されて、結晶方位が種結晶と異なる多結晶が成長することがある。この場合にも、転位発生境界よりも側壁側に第3転位抑制境界を配置することで、第3転位抑制境界から成長した第3転位抑制粒界で、種結晶と方位が異なる多結晶の成長を抑制できる。第3転位抑制粒界よりも中央側の結晶粒が多結晶化することを抑制できる。

0039

種結晶が第3転位抑制境界を有する場合には、配置工程において、坩堝の側壁から順に、第3転位抑制境界、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置させることが好ましい。更に、配置工程において、坩堝底が四角形状をなし、4つの坩堝について各側壁から順に、第3転位抑制境界、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置させることが好ましい。この場合には、坩堝の側壁に接するシリコンインゴットの端部に、第3転位抑制境界を引き継いだ第3転位抑制粒界、転位発生境界を引き継いだ転位発生粒界、及び第1転位抑制境界を引き継いだ第1転位抑制粒界を有する機能性欠陥層が形成される。第1転位抑制粒界よりも端部と反対側の領域では、不純物の混入が低減されるだけでなく、坩堝の側壁を起点とする多結晶の成長を効果的に抑制できる。このように、坩堝の側壁から順に第3転位抑制境界、に転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置させる場合に、第3転位抑制境界、転位発生境界及び第1転位抑制境界はそれぞれ1つのみでもよいし複数でもよい。

0040

結晶粒間の粒界が転位発生粒界、第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界、第3転位抑制粒界のいずれになるかは、結晶間の粒界の対応度により大きく影響される。粒界の対応度が高いと転位発生粒界となり、粒界の対応度が転位発生粒界よりも低いと第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界、又は/及び第3転位抑制粒界となる。

0041

坩堝の対向する一対の側壁のうち一方の側壁の近傍に配置された少なくとも一つの転位発生境界に対面する単結晶シリコンブロックの合計厚みは、1mm以上100mm以下であることがよく、更に5mm以上100mm以下が好ましい。また、高転位単結晶シリコンブロックを用いた場合にも、坩堝の対向する一対の側壁のうち一方の側壁の近傍に配置された少なくとも一つの高転位単結晶シリコンブロックの合計厚みは1mm以上100mm以下であることがよく、更に5mm以上100mm以下が好ましい。この場合には、当該高転位単結晶シリコンブロックから成長した結晶粒が、応力緩和及び不純物吸収に適した厚みになる。

0042

結晶間の粒界の対応度を表わす指標として、Σ値がある。Σ値は、単位格子面積に対する、対応する格子の単位格子面積の比でもとめられる。Σ値は奇数の値のみを取り、Σ値が1ということは、粒界間における両方の単位格子が同じであることを意味しており、粒界は存在しない。Σ値が小さいほど、結晶間の対応がよい(対応度が高い)ということになる(日本国特許第4887504号の段落0004、0016)。

0043

転位発生粒界のΣ値は、第1転位抑制粒界のΣ値よりも小さいことが好ましい。転位発生粒界のΣ値は、第2転位抑制粒界のΣ値よりも小さいことが好ましい。転位発生粒界のΣ値は、第3転位抑制粒界のΣ値よりも小さいことが好ましい。転位発生粒界での結晶間の対応は、第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界及び第3転位抑制粒界での結晶間の対応よりもよい。このため、転位発生粒界での転位が、第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界及び第3転位抑制粒界よりも伝播しやすくなる。

0044

第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界及び第3転位抑制粒界のΣ値は、例えば、27以上であることがよい。転位発生粒界のΣ値は、例えば、1以上5以下であることがよい。

0045

粒界のΣ値は27以下の場合に測定可能であり、29以上の場合は測定が難しい。本明細書において、Σ値が29以上の場合をランダム粒界という。例えば、第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界又は/及び第3転位抑制粒界はランダム粒界とし、転位発生粒界のΣ値は27未満、更に21以下、17以下、9以下とするとよい。

0046

第1〜第3転位抑制粒界を形成するには、転位抑制境界を挟んで互いに対面させる単結晶シリコンブロックの方位を互いに大きく異なるように設定するとよい。転位発生粒界を形成するには、転位発生境界を挟んで互いに対面させる単結晶シリコンブロックの方位を互いに近似するように設定するとよい。

0047

例えば、Σ1の転位発生粒界を作製するには、配置工程において、方位が同じ単結晶シリコンブロックを隣接させて転位発生境界を形成するとよい。Σ1の転位発生粒界を形成し得る転位発生境界は、たとえば、隣り合う単結晶シリコンブロックの方位が互いに同じであれば特に限定はしない。たとえば、隣り合う単結晶シリコンブロックの方位は、いずれも、x(110)y(1-10)z(001)、x(210)y(1-20)z(001)、又はx(310)y(1-30)z(001)としてもよい。

0048

Σ3の転位発生粒界を形成するには、配置工程において、例えば、隣り合う単結晶シリコンブロックのうち一方の方位はx(111)y(11-2)z(1-10)とし、他方の単結晶シリコンブロックの方位はx(111)y(-1-12)z(-110)としてもよい。

0049

Σ5の転位発生粒界を形成するには、配置工程において、例えば、1)隣り合う単結晶シリコンブロックのうちの一方の方位はx(210)y(1-20)z(001)とし、他方の単結晶シリコンブロックの方位はx(210)y(-120)z(00-1)とする、または、2)隣り合う単結晶シリコンブロックのうちの一方の方位はx(310)y(1-30)z(001)とし、他方の単結晶シリコンブロックの方位はx(310)y(-130)z(00-1)としてもよい。

0050

第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界及び第3転位抑制粒界がランダム粒界である場合、ランダム粒界を形成するには、例えば、以下の方位をもつ単結晶シリコンブロック同士を隣接して配置するとよい。
・x(210)y(1-20)z(001)である単結晶シリコンブロックと、x(310)y(1-30)z(001)である単結晶シリコンブロック
・x(210)y(1-20)z(001)である単結晶シリコンブロックと、x(111)y(11-2)z(1-10)である単結晶シリコンブロック
・x(310)y(1-30)z(001)である単結晶シリコンブロックと、x(111)y(11-2)z(1-10)である単結晶シリコンブロック

0051

第1〜第3転位抑制境界、及び転位発生境界について、これらの境界を挟んで互いに対面させる単結晶シリコンブロックの成長方向の方位(z方向)は、{001} であることが好ましい。この場合には、得られたシリコンインゴットのz方向の表面を薬液浸すことで、太陽光反射防止効果の高い表面凹凸構造を形成することができる。

0052

種結晶の境界に対面する単結晶シリコンブロックの結晶方位が、Σ値に対してズレている場合には、結晶粒の粒界に対面する面の結晶方位が当該Σ値になるように成長方位にズレが生じる傾向がある。Σ値に対するズレ角度が大きいほど、転位が生じやすく、また増殖の際の応力緩和性能が高い。例えば、第1転位抑制粒界、第2転位抑制粒界又は/及び第3転位抑制粒界と転位発生粒界とが同じΣ値である場合には、当該Σ値からのズレ角度が大きい境界は、転位が生じやすい粒界を形成するため転位発生境界となり、転位発生境界よりも当該Σ値からのズレ角度が小さい境界は、転位が生じにくい粒界を形成するため転位抑制境界となる。

0053

転位発生境界に対面する単結晶シリコンブロックの結晶方位に対する、転位発生粒界に対面する結晶粒の結晶方位のズレ角度が0°以上10°以下がよく、更に1×10−5°以上10°以下であることがよい。ズレ角度が過小の場合には、転位が発生しにくいおそれがある。ズレ角度が過大であると、結晶成長により当該Σ値の粒界を形成しにくくなるおそれがある。

0054

また、シリコンインゴットの製造方法は、坩堝底に側壁から順に複数の単結晶シリコンブロックを配列させるとともに、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第1転位抑制境界と、前記第1転位抑制境界よりも前記側壁側に位置して、前記第1転位抑制境界に対して前記側壁側と反対側の単結晶シリコンブロックよりも高い転位密度を有する高転位単結晶シリコンブロックと、を有するように、前記複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成する配置工程と、
前記種結晶の上にシリコン融液を配置し、前記シリコン融液を冷却して前記種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成するとともに、前記シリコンインゴット中に前記第1転位抑制境界を引き継いだ前記第1転位抑制粒界と前記高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで転位を発生させた高転位結晶粒とを形成して、前記第1転位抑制粒界に前記側壁と反対側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させる成長工程と、を有していてもよい。即ち、種結晶は、第1転位抑制境界よりも端部側に、転位発生境界の代わりに高転位単結晶シリコンブロックが配置されていてもよい。

0055

この場合にも、高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで成長した結晶粒に転位が多数発生する。高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで成長した結晶粒の転位密度を、第1転位抑制粒界に側壁と反対側で対面する結晶粒の転位密度よりも更に大きくすることができる。このため、高転位単結晶シリコンブロックを引き継いで成長した結晶粒において、外部応力を効果的に緩和させ、不純物のトラップを効果的に行うことができる。

0056

配置工程において、坩堝の側壁から順に、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置させることが好ましい。更に、配置工程において、坩堝底が四角形状をなし、4つの側壁について各側壁から順に、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置させることが好ましい。この場合には、坩堝の側壁に接するシリコンインゴットの端部に、高転位単結晶シリコンブロックから成長した高転位単結晶及び第1転位抑制境界を引き継いだ第1転位抑制粒界を有する機能性欠陥層が配置されることになる。高転位結晶粒の転位は、第1転位抑制粒界を挟んで隣合う結晶粒の転位よりも多く発生している。高転位結晶粒は、坩堝の側壁から侵入した不純物をトラップし易い。坩堝の側壁に接するシリコンインゴットの端部に機能性欠陥層が配置されることで、坩堝の側壁からの不純物の侵入を高転位結晶粒で効果的に抑制できる。このように、坩堝の側壁から順に高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置させる場合に、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界はそれぞれ1つのみでもよいし複数でもよい。

0057

配置工程において、坩堝の側壁から順に、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置させる場合には、配置工程において、更に、第1転位抑制境界に対して側壁と反対側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第2転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第2転位抑制境界を有するように、複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、成長工程において、シリコンインゴット中に第2転位抑制境界を引き継いだ第2転位抑制粒界を形成して、第2転位抑制粒界に対面する結晶粒での転位発生を抑制させることが好ましい。また、配置工程において、高転位単結晶シリコンブロックよりも側壁側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第3転位抑制粒界を形成させ得る少なくとも一つの第3転位抑制境界を有するように、複数の単結晶シリコンブロックを配置して種結晶を形成し、成長工程において、シリコンインゴット中に第3転位抑制境界を引き継いだ第3転位抑制粒界を形成して、第3転位抑制粒界の側壁側で対面する結晶粒での転位発生を抑制させることが好ましい。

0058

この場合において、配置工程において、坩堝の側壁から順に、第3転位抑制境界、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置させることが好ましい。更に、配置工程において、坩堝底が四角形状をなし、坩堝の4つの側壁について各側壁側から順に、第3転位抑制境界、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置させることが望ましい。この場合には、坩堝の側壁に接するシリコンインゴットの端部に、第3転位抑制境界を引き継いだ第3転位抑制粒界、高転位単結晶シリコンブロックから成長した高転位単結晶、及び第1転位抑制境界を引き継いだ第1転位抑制粒界を有する機能性欠陥層が形成される。これにより、坩堝の側壁を起点とする多結晶の成長を効果的に抑制できる。このように、坩堝の側壁から順に、第3転位抑制境界、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置させる場合に、第3転位抑制境界、高転位単結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界はそれぞれ1つのみでもよいし複数でもよい。

0059

高転位単結晶シリコンブロックの転位密度は、1×103/cm2以上、更に1×104/cm2以上であることが好ましい。高転位単結晶シリコンブロックを引き継いだ結晶粒に多数の転位を生じさせて、更に転位の多い結晶粒とすることができる。

0060

本実施形態の種結晶に用いる単結晶シリコンブロックは、チョクラスキー(CZ)法もしくはフローティングゾーン法により作製した単結晶シリコンインゴットから切り出したものを用いることの他に、本作製法で使用した種結晶を再利用して用いること、本発明の方法で作製したシリコンインゴットから切り出したシリコンブロックを用いることも可能である。

0061

本実施形態で使用する坩堝は、水平断面形状角形または丸形シリカ製を用い、内面窒化ケイ素粉末などの離型剤を塗布して使用する。また、本実施形態の一方向への結晶成長の方法は、空間的に下方が低温で上方が高温温度勾配において、坩堝位置を下方へ移動する方法、ヒーターを上方へ移動する方法、ヒーター出力を徐々に下げる方法、シャッター開放などで下部から抜熱する方法、またこれらの方法の組み合わせなど、一方向の結晶成長が可能であればいずれの方法も利用可能である。

0062

成長工程において、種結晶の上にシリコン融液を配置し、シリコン融液を冷却して種結晶の結晶方位を受け継いで下方から上方へ一方向に結晶粒を成長させてシリコンインゴットを形成する。

0063

シリコン融液は、それ自体を、種結晶を配置した坩堝内に投入してもよいが、シリコン原料を坩堝内の種結晶の上に配置しシリコン原料を溶融させてシリコン融液としてもよい。シリコン融液を冷却するために、坩堝内の温度を制御可能な温度制御手段(例えば、発熱体又は/及び冷却媒体)を配置して、シリコン融液を冷却してもよい。シリコン融液の冷却は、例えば、結晶成長速度が0.1mm/分〜10mm/分程度となるようにするとよい。

0064

本実施形態のシリコンインゴットは、シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する転位発生粒界とを有するとともに、転位発生粒界に対面する結晶粒に転位が発生されており、第1転位抑制粒界に対して端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、転位発生粒界に対面する結晶粒に発生している転位よりも少ない。端部から順に、転位発生粒界及び第1転位抑制粒界が配置されていることが好ましい。シリコンインゴットの結晶粒の成長方向に対して垂直方向の断面は四角形状をなし、垂直方向の4つの端部について各端部から順に、転位発生粒界及び第1転位抑制粒界が配置されていることが好ましい。シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界に対して端部と反対側に第2転位抑制粒界を有し、第2転位抑制粒界に対面する結晶粒に発生している転位は、転位発生粒界に対面する結晶粒に発生している転位よりも少ないことが好ましい。シリコンインゴットは、転位発生粒界よりも端部側に第3転位抑制粒界を有し、第3転位抑制粒界に対面する結晶粒に発生している転位は、転位発生粒界に対面する結晶粒に発生している転位よりも少ないことが好ましい。
上記シリコンインゴットによれば、第1転位抑制粒界に対して端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、転位発生粒界に対面する結晶粒に発生している転位よりも少ない。このため、第1転位抑制粒界よりも中央側の結晶粒での転位発生及び不純物拡散が少なく抑えられている。

0065

また、本実施形態のシリコンインゴットは、転位発生粒界に代えて、高転位結晶粒を有していても良い。即ち、本実施形態のシリコンインゴットは、シリコンの種結晶の結晶方位を受け継いで一方向に成長した複数の結晶粒よりなるシリコンインゴットであって、シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界と、第1転位抑制粒界よりも結晶粒の成長方向に対して垂直方向の端部側に位置する高転位結晶粒とを有するとともに、高転位結晶粒には転位が発生されており、第1転位抑制粒界に対して端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、高転位結晶粒に発生している転位よりも少ないものであってもよい。端部から順に、高転位結晶粒及び第1転位抑制粒界が配置されていることが好ましい。シリコンインゴットの結晶粒の成長方向に対して垂直方向の断面は四角形状をなし、垂直方向の4つの端部について各端部から順に、高転位結晶粒及び第1転位抑制粒界が配置されていることが好ましい。シリコンインゴットは、第1転位抑制粒界に対して端部と反対側に第2転位抑制粒界を有し、第2転位抑制粒界に対面する結晶粒に発生している転位は、高転位結晶粒に発生している転位よりも少ないことが好ましい。シリコンインゴットは、高転位結晶粒よりも端部側に第3転位抑制粒界を有し、第3転位抑制粒界に対面する結晶粒に発生している転位は、高転位結晶粒に発生している転位よりも少ないことが好ましい。
上記シリコンインゴットによれば、第1転位抑制粒界に対して端部と反対側で対面する結晶粒に発生している転位は、高転位結晶粒に発生している転位よりも少ない。このため、第1転位抑制粒界よりも中央側の結晶粒での転位発生及び不純物拡散が少なく抑えられている。

0066

本実施形態により得られたシリコンインゴットは、第1転位抑制境界に対して側壁と反対側、即ち中央側を切り出して用いるとよい。第1転位抑制境界よりも中央側で成長した粒界は、不純物及び転位が少なく、高品質な疑似単結晶シリコンである。切り出された中央側の疑似単結晶シリコンは、太陽電池材料などとして好適に用いられる。

0067

(参考例)
本参考例のシリコンインゴットの製造方法について説明する。シリコンインゴットを製造するために、配置工程と成長工程を行う。

0068

まず、配置工程において、複数のシリコン単結晶ブロックを配列した種結晶を形成した。複数のシリコン単結晶ブロックは、CZ法で製造されたものであり、結晶方位に関して3種類のブロックA、B、Cを用いた。

0069

図1に示すように、ブロックA、B、Cは、いずれも、平面形状が5mm×45mmの長方形で、高さが30mmである。ブロックAは、X(厚み)方向に(310)面をもち、Y(長さ)方向に(−130)面をもち、Z(高さ)方向に(001)面をもつ。ブロックBは、X方向に(111)面をもち、Y方向に(11−2)面をもち、Z(高さ)方向に(−110)面をもつ。ブロックCは、X方向に(111)面をもち、Y方向に(−1−12)面をもち、Z(高さ)方向に(1−10)面をもつ。ブロックA,B,Cの転位密度はいずれも0/cm2であった。

0070

図1に示すように、X方向に、順に、ブロックA、A、A、A、B、B、C、B、Bを配列させて、種結晶を得た。

0071

50mm×50mmの大きさの坩堝底と高さ100mmの側壁で囲まれた空間をもつシリカ製の坩堝を準備した。坩堝の側壁内面に、窒化珪素粉末を含む離型材を塗布した。坩堝底に、種結晶を配置した。種結晶のZ方向を坩堝底面に対して垂直な方向に向け、X方向を坩堝平面の一方向に向け、Y方向を坩堝平面の他方向に向けた。

0072

成長工程において、坩堝内の種結晶の上に、シリコン原料226gを配置した。上下方向で温度勾配がある加熱炉に坩堝を配置した。加熱炉の温度勾配は、上方に向けて約1℃/mm高くなるようにした。加熱炉内で坩堝のシリコン原料をシリコン融点以上の温度(1430℃)に加熱して、シリコン融液とした。このとき、種結晶の上部の一部がシリコン原料とともに溶融させたが、種結晶の下部は溶融させない。

0073

次に、加熱炉内で坩堝を0.3mm/分の速度で引き下げて、シリコン融液を下側から上側に徐々に冷却した。冷却速度は0.05℃/分とした。結晶成長速度は約0.5mm/分とした。これにより、シリコンインゴットを形成した。

0074

図2は、得られたシリコンインゴットの切断面のエッチピット像を示す図である。図2において、下側部分に種結晶があり、上側部分には成長した結晶粒が認められた。成長した結晶粒には、白い線で示されているように、多数の転位が発生していた。

0075

ブロックAとAの間の境界から受け継いだ粒界、ブロックBとBの間の境界から受け継いだ粒界、ブロックBとCの間の境界から受け継いだ粒界を起点として、転位が発生した。一方、ブロックAとBの間の境界を受け継いだ粒界からは転位が発生しなかった。

0076

ブロックAとAの間の境界、ブロックBとBの間の境界、ブロックBとCの間の境界は、結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界を形成させる転位発生境界である。転位発生境界から引き継いだ転位発生粒界は、Σ値が1であり、Σ値1から1°程度のズレ角を有する粒界となり、小角粒界であった。転位発生境界に対面するブロックAの結晶方位に対する、転位発生粒界に対面する結晶粒の結晶方位のズレ角度は0.8°であった。転位発生境界に対面するブロックBの結晶方位に対する、転位発生粒界に対面する結晶粒の結晶方位のズレ角度は1.1°であった。転位発生境界に対面するブロックCの結晶方位に対する、転位発生粒界に対面する結晶粒の結晶方位のズレ角度は1°であった。

0077

ブロックAとBの間の境界は、結晶成長に伴って転位発生を抑制する転位抑制粒界を形成させ得る転位抑制境界である。転位抑制境界から引き継いだ転位抑制粒界のΣ値は29以上であり、ランダム粒界であった。

0078

本参考例より、Σ値の大きい粒界は転位が生じにくく、Σ値が小さい粒界は転位が発生しやすいことがわかった。この点を踏まえて、次に、実施例1のシリコンインゴットを製造した。

0079

(実施例1)
本実施例のシリコンインゴットの製造方法について説明する。シリコンインゴットを製造するために、配置工程と成長工程を行う。

0080

まず、配置工程において、複数のシリコン単結晶ブロックを配列した種結晶を形成した。複数のシリコン単結晶ブロックは、CZ法で製造されたものであり、結晶方位に関して2種類のブロックA、Dを用いた。図3に示すように、本実施例で用いるブロックAの各方向に対する結晶方位は、参考例のブロックAと同様である。ブロックDは、X方向に(210)面、Y方向に(−120)面、Z方向に(001)面をもつ。ブロックA,Dの転位密度はいずれも0/cm2と同じであった。

0081

ブロックA、Dについて、それぞれ長さ45mm、高さ30mmであるが、厚みが異なるものを準備した。ブロックA、Dの薄い厚み(2mm)をもつものをブロックA1、D1とし、それぞれ3枚準備した。ブロックA、Dの厚い厚み(18mm)をもつものをブロックA2、D2とし、それぞれ1枚準備した。

0082

間隔45mmを開けた平行な薄板8の間に、順に、ブロックA1、A1、A1、D2、A2、D1、D1、D1を配置させて、種結晶を得た。

0083

参考例と同様の坩堝を準備し、側壁内面に離型材を塗布した。坩堝底に、上記の1つの種結晶を配置した。種結晶のZ方向を坩堝底面に対して垂直な方向に向け、X方向を坩堝平面の一方向に向け、Y方向を坩堝平面の他方向に向けた。

0084

参考例と同様に、成長工程を行って、シリコンインゴットを成長させた。

0085

図4は、得られたシリコンインゴットの切断面の断面写真である。図5は、当該切断面のエッチピット像である。まず、図4図5に示すように、種結晶からZ方向に結晶粒が成長していた。

0086

図5に示すように、坩堝の側壁近傍の結晶粒には、多数の転位が発生していた。しかし、ブロックA1とD2の間の境界、及びブロックA2とD1の間の境界をそれぞれ引き継いだ粒界を挟んで中央側では、側壁に接していた端部側に比べて格段に転位の発生が抑えられていた。

0087

端部近傍に位置するブロックA1とA1の間の境界、及びブロックD1とD1の間の境界をそれぞれ引き継いで形成された粒界は、転位を発生させやすい転位発生粒界であった。

0088

ブロックA1とD2の間の境界、及びブロックA2とD1の間の境界をそれぞれ引き継いで形成された粒界は、中央側の結晶粒への転位の伝播を抑制する第1転位抑制粒界であることがわかった。ブロックD2とA2の間の境界を引き継いで形成された粒界は、結晶粒の転位の発生を抑制する第2転位抑制粒界であることがわかった。

0089

図4図5に示すように、シリコンインゴットの端部には、方位が種結晶とは異なる多結晶が形成されていた。一方、ブロックA1とD2の間の境界、及びブロックA2とD1の間の境界をそれぞれ引き継いだ第1転位抑制粒界を挟んで、中央部分の結晶粒については多結晶化が抑制されていた。

0090

図6は、結晶粒の転位発生領域での鉄濃度分布を表面光起電力法(Surface PhotoVoltage)により測定した。坩堝の側壁には離型材が塗布されるが、離型材には微量成分として鉄が含まれている。転位発生領域での鉄濃度分布を測定したところ、転位が発生している部分に著しく高い濃度で鉄が存在していることがわかった。このことから、転位発生粒界に面する結晶粒の転位領域では、多量の不純物がトラップされることがわかった。本実施例では、側壁近傍に転位発生粒界を形成しているため、側壁から拡散してきた鉄などの不純物が転位発生粒界に面する結晶粒の転位領域でトラップされる。このため、中央側の結晶粒への不純物の拡散が抑制される。

0091

図7を用いて、本実施例により形成されたシリコンインゴット7を説明する。シリコンインゴット7は、複数の単結晶シリコンのブロックを配列させてなる種結晶6を用いて、結晶粒5を結晶成長させることにより形成される。坩堝9の側壁91から順に配列されたブロック間の境界のうち、ブロックA1とD2の間の境界、及びブロックA2とD1の間の境界は、第1転位抑制境界1であり、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第1転位抑制粒界51を形成させる。ブロックD2とA2との間の境界は、第2転位抑制境界2であり、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第2転位抑制粒界52を形成させ得る。ブロックA1とA1の間の境界、及びブロックD1とD1の間の境界は、第1転位抑制境界1よりも側壁91側に位置する転位発生境界4であり、結晶成長に伴って転位を発生させ得る転位発生粒界54を形成させ得る。

0092

第1転位抑制粒界51は、Σ値が29以上であり、ランダム粒界であった。第2転位抑制粒界52は、Σ値が29以上であり、ランダム粒界であった。

0093

転位発生粒界54は、Σ値が1であり、Σ値1から1°程度のズレ角度を有する粒界であり、小角粒界であった。転位発生境界4に対面するブロックA1、D1の結晶方位に対する、転位発生粒界54に対面する結晶粒5の結晶方位のズレ角度、第1転位抑制境界1に対面するブロックA1、D1の結晶方位に対する、転位発生粒界51に対面する結晶粒5の結晶方位のズレ角度、第2転位抑制境界2に対面するブロックA2、D2の結晶方位に対する、転位発生粒界52に対面する結晶粒5の結晶方位のズレ角度は、いずれも、0°以上5°以下であった。

0094

シリコンインゴットのうち、結晶粒5の第1転位抑制粒界51よりも中央側の部分を切り出すことにより、結晶欠陥の少ない高品質の疑似単結晶シリコンが得られる。

0095

ところで、本実施例で採用されているモノライクキャスト法では、図4図7に示すように、シリコン融液から種結晶を用いてシリコンインゴットを育成する過程で、坩堝9の側壁91に接する端部から種結晶とは別の方位の結晶粒59が多数発生してその占有部分が拡大する多結晶化が生じた。本実施例では、第1転位抑制粒界51により別の方位をもつ結晶粒59の拡大がブロックされた。

0096

そこで、転位抑制粒界を転位発生粒界54よりも側壁91に接する端部70側に配置することで、多結晶化を効果的に抑制できると推定される。即ち、図8に示すように、配置工程において、転位発生境界4よりも側壁91側に、結晶成長に伴って転位発生を抑制する第3転位抑制粒界53を形成させ得る第3転位抑制境界3を形成してもよい。第3転位抑制境界3を形成するために、実施例1の種結晶6の一方の端部70とブロックA1との間に、ブロックD1を配置し、また他方の端部70とブロックD1との間にブロックA1を配置する。かかる種結晶6を用いて結晶成長をさせて得られたシリコンインゴットは、第3転位抑制境界3を引き継いだ第3転位抑制粒界53で多結晶化が抑制されると推定される。このため、より高品質の疑似単結晶が得られる。

0097

また、本実施例では、側壁91に接する端部70近傍に転位発生境界4を配置させることにより、端部70近傍で成長した結晶粒に転位を発生させて、応力緩和及び不純物吸収をさせている。図9に示すように、ブロックA1、D1の代わりに、ブロックA1、D1よりも転位密度を高くした高転位単結晶シリコンブロックであるブロックAD1、DD1を用いてもよい。この場合にも、ブロックAD1、DD1を引き継いで成長した結晶粒は、多数の転位が発生して高転位結晶粒64となる。高転位結晶粒64において、応力緩和及び不純物吸収をさせることができる。AD1、DD1に対して端部70と反対側、即ち中央側に第1転位抑制境界1を配置することで、中央側への転位伝播及び不純物拡散を効果的に抑制できる。

0098

また、図10に示すように、種結晶6は、実施例1の転位発生境界に代えて、高転位単結晶ブロックを有していてもよい。この場合、坩堝9には、両側の側壁91近傍に、転位密度が高い高転位単結晶ブロックであるブロックAD1、DD1を配置し、中央には転位密度が小さいブロックD3を配置する。ブロックD3は、厚みがブロックD2の厚みの約2倍ある点を除いて、ブロックD2と同じである。ブロックAD1とD3との間およびブロックDD1とD3との間には、第1転位抑制境界1が形成されている。この種結晶6の上にシリコン融液を配置して冷却すると、シリコンインゴット7が形成される。高転位結晶シリコンブロックAD1、DD1を引き継いで成長した結晶粒は、多数の転位が発生して高転位結晶粒64となる。シリコンインゴット7の両端部は、転位が多く不純物が蓄積されているが、中央部では転位の発生が少なくまた不純物の拡散も抑制される。

0099

(実施例2)
本実施例のシリコンインゴットは、種結晶において、第3転位抑制境界を配置していること、及び、坩堝の4つのすべての側壁に、第3転位抑制境界、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置している点が、実施例1と相違する。以下、本実施例のシリコンインゴットの製造方法について説明する。

0100

まず、配置工程において、複数のシリコン単結晶ブロックを配列した種結晶を形成した。複数のシリコン単結晶ブロックは、CZ法で製造されたものであり、結晶方位に関して3種類のブロックE,F,Gを用いた。図11に示すように、ブロックEの結晶方位は、X方向に(310)面、Y方向に(1−30)面、Z方向に(001)面をもつ。ブロックFの結晶方位は、X方向に(210)面、Y方向に(1−20)面、Z方向に(001)面をもつ。ブロックGの結晶方位は、X方向に(−211)面、Y方向に(01−1)面、Z方向に(111)面をもつ。ブロックE,F,Gの転位密度はいずれも0/cm2であった。

0101

ブロックE,Fについて、平面形状の異なるブロックE1、E2、E3、F1、F2、F3を準備した。ブロックE1、F1の平面形状は、32mm×64mmの長方形であり、ブロックE2、F2の平面形状は、5mm×64mmの長方形であり、ブロックE3、F3の平面形状は、32mm×5mmの長方形であった。すべてのブロックの高さは94mmとした。

0102

図11に示すように、各種ブロックを配置させて、種結晶を得た。坩堝の底壁は、X方向及びY方向にそれぞれ94mmの長さの正方形をなしている。坩堝の側壁から順に、X方向において、ブロックF2、E2、E2、F1、E1、F2、F2、E2の順で配列させた。Y方向において、ブロックF1の両側に、ブロックE3、E3、F3の順で配列させ、ブロックE1の両側に、ブロックF3、F3、E3の順で配列させた。種結晶の4コーナーには、ブロックGを配置した。

0103

坩堝の側壁内面に離型材を塗布した。坩堝底に、上記の種結晶を配置した。種結晶のZ方向を坩堝底面に対して垂直な方向に向け、X方向を坩堝平面の一方向に向け、Y方向を坩堝平面の他方向に向けた。

0104

参考例と同様に、成長工程を行って、シリコンインゴットを成長させた。

0105

図12は、図11のA−A矢視線方向に切断したシリコンインゴットの切断面の断面写真である。図13は、種結晶部分をZ方向と直交する方向に切断したシリコンインゴットの切断面の断面写真である。図14は、図11のA−A矢視線方向に切断したシリコンインゴットの切断面の説明図である。図15は、種結晶部分をZ方向と直交する方向に切断したシリコンインゴットの切断面 の説明図である。

0106

得られたシリコンインゴットでは、種結晶6からZ方向に結晶粒が成長していた。坩堝9の四方の側壁91近傍の結晶粒には、多数の転位が発生していた。しかし、図12に示すように、ブロックF2とE1の間の境界、ブロックE2とF1の間の2つの境界をそれぞれ引き継いだ粒界を挟んで中央側では、側壁側に比べて格段に転位の発生が抑えられていた。また、図13に示すように、ブロックF2およびF3とE1の間の境界をそれぞれ引き継いだ粒界を挟んで中央側では、端部側に比べて格段に転位の発生が抑えられていた。同様に、ブロックE2およびE3とF1の境界をそれぞれ引き継いだ粒界を挟んだ中央側では、端部側に比べて格段に転位の発生が抑えられていた。このことから、ブロックF2とE1の間の境界、ブロックE2とF1の間の境界、ブロックF3とE1の間の境界、及びブロックE3とF1の間の境界は、転位の発生を抑制できる第1転位抑制粒界51を形成させる第1転位抑制境界1であった。

0107

坩堝9の側壁91近傍に位置するブロックE2とE2の間の境界、ブロックE3とE3の間の境界、ブロックF2とF2の間の境界、及びブロックF3とF3の間の境界は、転位を発生させやすい転位発生粒界54を形成させる転位発生境界4であった。

0108

種結晶6の中央側のブロックE1とF1の間の境界は、結晶粒の転位の発生を抑制する第2転位抑制粒界52を形成させる第2転位抑制境界2であった。端部70近傍に位置するブロックE2とF2の間の境界、及びブロックE3とF3の間の境界は、転位の発生を抑制する第3転位抑制粒界53を形成させる第3転位抑制境界3であった。第3転位抑制粒界53を挟んで端部70と反対側の結晶粒については多結晶化が抑制されていた。

0109

第1転位抑制粒界51、第2転位抑制粒界52、及び第3転位抑制粒界53は、いずれもΣ値が29以上であり、ランダム粒界であった。転位発生粒界54は、Σ値が1であり、Σ値1から1°程度のズレ角度を有する粒界であり、小角粒界であった。転位発生境界4に対面する各ブロックの結晶方位に対する、転位発生粒界54に対面する結晶粒5の結晶方位のズレ角度は、いずれも、0°以上5°以下であった。

0110

シリコンインゴットは、結晶粒5の第1転位抑制粒界51よりも中央側の部分が切り出されて使用される。この中央側の部分は、結晶欠陥の少ない高品質の疑似単結晶シリコンである。

0111

本実施形態では、坩堝のすべての側壁について各側壁側から順に、第3転位抑制境界、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置している。シリコンインゴットの外側部分全周からの転位発生及び不純物混入を効果的に抑制できる。このため、X方向又はY方向のみに第3転位抑制境界、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置した場合に比べて、製品部分の歩留まりを更に高くすることができる。

0112

本実施例では、種結晶6のコーナー部に配置したブロックGの上にも結晶が成長した。しかし、ブロックG上の結晶は、使用時にシリコンインゴットの製品部分から排除される部分であるため、転位発生、不純物混入など、どのような結晶でも問わない。このため、種結晶6のコーナー部に配置するものは、シリコンブロックであれば、どのような方位をもつものでもよい。たとえば、コーナー部には、ブロックGを配置する代わりに、その両側のブロックE2、E3、F2、F3のいずれかを引き延ばして配置してもよい。また、コーナー部にはブロックを配置しなくてもよい。この場合には、成長工程の際に、シリコン融液がコーナー部に進入するが、製造されたシリコンインゴットの製品部分には影響がほとんどない。しいていえば、コーナー部の隙間から結晶の中央側にシリコン融液が浸み出す程度であり、その場合にも、結晶の成長に大きな影響はない。

0113

本実施例のシリコンインゴットは、種結晶において、坩堝のすべての側壁について各側壁側から順に、第3転位抑制境界、転位発生境界及び第1転位抑制境界を配置しているが、第3転位抑制境界は用いることなく転位発生境界及び第1転位抑制境界を坩堝のすべての側壁に配置してもよい。また、図9図10に示すように、坩堝の側壁側から順に高転位結晶シリコンブロック及び第1転位抑制境界を配置する構成を、坩堝のすべての側壁に設けてもよい。

実施例

0114

本実施例では、ブロックE,Fの転位密度は同じとしたが、図16に示すように、第1転位抑制境界に側壁91側で対面する部分に高転位密度の単結晶シリコンブロックからなるブロックED2、ED3、FD2、FD3を配置してもよい。即ち、坩堝底が四角形状であって、坩堝のすべての側壁に、第3転位抑制境界、高転位単結晶のブロック及び第1転位抑制境界を配置してもよい。この場合にも、シリコンインゴットの外側部分全周からの転位発生及び不純物混入を効果的に抑制できる。このため、X方向又はY方向のみに第3転位抑制境界、高転位単結晶のブロック及び第1転位抑制境界を配置した場合に比べて、製品部分の歩留まりを更に高くすることができる。

0115

1:第1転位抑制境界、2:第2転位抑制境界、3:第3転位抑制境界、4:転位発生境界、5:結晶粒、51:第1転位抑制粒界、52:第2転位抑制粒界、53:第3転位抑制粒界、54:転位発生粒界、6:種結晶、64:高転位結晶粒、7:シリコンインゴット、70:端部

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