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技術 組み合わせシールリング付転がり軸受ユニット

出願人 日本精工株式会社
発明者 高山明伸塩野泰宏渡部将充棚橋昌禎迫田裕成
出願日 2016年5月18日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2016-099343
公開日 2016年9月23日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2016-169868
状態 特許登録済
技術分野 軸受の密封 弾性リップ型 密封装置 ころがり軸受
主要キーワード 抑えピン 堆積防止効果 異物付着防止効果 軸方向突出量 微小通路 片端縁 側平板 ハイポサイクロイド曲線
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図面 (20)

課題

組み合わせシールリング12aを構成するスリンガ16とシールリング17aとの間のシール内部空間26a内への異物侵入を抑えて、このシールリング17aに設けたシールリップ22aの動きを確保できる構造を実現する。

解決手段

前記スリンガ16を構成する回転側円輪部19の外周縁と、前記シールリング17aを構成する芯金20の静止側円筒部23の内周面との間に、ラビリンスシール27aを設ける。又、前記シールリング17aを構成する弾性材21aの一部に厚肉部29を、全周に亙って形成し、この厚肉部29に、各シールリップ22a〜22cよりも剛性が低い補助シールリップ32を、全周に亙り設ける。この補助シールリップ32より、前記異物がシールリップ22aに付着し、このシールリップ22aの動きが阻害される事を防止する。

概要

背景

自動車車輪等を懸架装置に対して回転自在に支持する為の転がり軸受ユニットとして、例えば特許文献1には、図18に示す様な車輪支持用転がり軸受ユニットの構造が記載されている。この図18に示した転がり軸受ユニット1は、静止側軌道輪である外輪2と回転側軌道輪であるハブ3とを互いに同心に配置している。そして、この外輪2の内周面に設けた、それぞれが静止側軌道である複列外輪軌道4、4と、前記ハブ3の外周面に設けた、それぞれが回転側軌道である複列の内輪軌道5、5との間に、それぞれが転動体である玉6、6を、両列毎に複数個ずつ配置している。これら各玉6、6は、それぞれ保持器7、7により、転動自在に保持している。この様な構成により、前記外輪2の内径側に前記ハブ3を、回転自在に支持している。前記懸架装置に対し前記車輪等を回転自在に支持するには、前記外輪2の外周面に設けた静止側フランジ8を前記懸架装置に対しねじ止め固定すると共に、前記ハブ3の軸方向外端部(軸方向に関して外とは、車両への組み付け状態でこの車両の幅方向外側となる、各図の左側を言う。これに対して、この車両の幅方向内側となる、各図の右側を、軸方向に関して内と言う。)外周面に形成した回転側フランジ9に、前記車輪及びディスクロータ等の制動用回転体をねじ止め固定する。

前記外輪2の内周面と前記ハブ3の外周面との間で前記各玉6、6を設置した軸受内部空間10の両端開口は、それぞれシールリング11と組み合わせシールリング12とにより、全周に亙り塞いでいる。このうち、前記軸受内部空間10の軸方向外端側開口を塞ぐシールリング11は、金属板製の芯金13により、ゴムの如きエラストマー製弾性材14を補強して、全体を円環状に構成して成る。又、この弾性材14は、複数本(図示の例では3本)のシールリップ15a、15b、15cを有する。そして、このうちの芯金13を前記外輪2の内周面の軸方向外端部に締り嵌めで内嵌した状態で、前記各シールリップ15a、15b、15cの先端縁を前記回転側フランジ9の軸方向内側面又は前記ハブ3の中間部外周面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。

又、前記組み合わせシールリング12は、スリンガ16とシールリング17とを組み合わせて成る。このうちのスリンガ16は、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成したもので、回転側円筒部18と、この回転側円筒部18の軸方向内端縁から径方向外方に折れ曲がった回転側円輪部19とから成る。この様なスリンガ16は、前記回転側円筒部18を前記ハブ3(ハブ本体と共にこのハブ3を構成する内輪)の軸方向内端部に締り嵌めで外嵌する事により、このハブ3に対し固定している。又、前記シールリング17は、金属板製の芯金20と弾性材21とを備える。この弾性材21は、複数本(図示の例では3本)のシールリップ22a、22b、22cを備える。又、前記芯金20は、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成したもので、静止側円筒部23と、この静止側円筒部23の軸方向外端縁から径方向内方に折れ曲がった静止側円輪部24とから成る。この様な芯金20を備えた前記シールリング17は、前記静止側円筒部23を前記外輪2の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌する事により、この外輪2に固定している。又、この状態で、前記シールリップ22aの先端縁を前記回転側円輪部19の軸方向外側面に、前記各シールリップ22b、22cの先端縁を前記回転側円筒部18の外周面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。

尚、上述の様な組み合わせシールリング12を構成するスリンガ16の回転側円輪部19の軸方向両側面のうち、前記回転側円筒部18の折れ曲がり方向と逆側の面(軸方向内側面)に、図19の(A)に示す様に、円輪状エンコーダ25を、全周に亙り添着固定する場合もある。このエンコーダ25は、ゴム、合成樹脂等の高分子材料中磁性粉を分散させて全体を円輪状とした、ゴム磁石プラスチック磁石等の永久磁石製で、軸方向に着磁している。着磁方向は、円周方向に関して、交互に、且つ、等間隔で変化させている。従って、被検出面である、前記エンコーダ25の軸方向内側面には、S極とN極とが、円周方向に関して、交互に、且つ、等間隔で配置されている。この様なエンコーダ25の被検出面には、図示しない回転検出センサの検出部を対向させて、前記ハブ3と共に回転する車輪の回転速度を測定可能とする。そして、測定した、車輪の回転速度を表す信号を、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステムTCS)等、車両の走行安定化装置の制御に利用する。この様な回転速度検出装置の構造及び作用に就いては、従来から周知であるし、本発明の要旨とも関係しない為、図示並びに詳しい説明は省略する。

これに対して、車輪の回転速度を検出する必要がない場合、或いは、別部分でこの回転速度を検出できる場合には、図19の(B)に示す様に、前記スリンガ16にエンコーダを設ける事はない。
何れにしても、前記軸受内部空間10の軸方向両端開口を前記シールリング11と前記組み合わせシールリング12とにより、それぞれ全周に亙り塞ぐ事で、前記軸受内部空間10内に存在するグリース漏洩防止と、外部空間に存在する水分や塵芥等の異物がこの軸受内部空間10内に侵入する事の防止とを図っている。

前記車輪支持用の転がり転がり軸受ユニット1の耐久性を確保する為には、前記シールリング11及び前記組み合わせシールリング12のシール性を確保する事が重要である。一方、これらシールリング11及び組み合わせシールリング12は、使用時に泥水等がかかる、厳しい条件で使用される。特に、このうちの組み合わせシールリング12の場合には、前記スリンガ16と前記シールリング17とに囲まれたシール内部空間26内に入り込んだ泥水の水分が蒸発し、固形分()だけがこのシール内部空間26内に溜まる可能性がある。図18、19に示した従来構造の場合、このシール内部空間26のうち、最も外径側に存在するシールリップ22aよりも更に径方向外寄り部分に存在してラビリンスシール27を介して外部空間と連通した外部寄り空間28の容積が大きい為、この外部寄り空間28内に溜まる固形分の量が多くなり易い。そして、この外部寄り空間28内に溜まった固形分は、前記最も外径側に存在するシールリップ22aにも付着し、このシールリップ22aの動き阻害する可能性がある。この結果、このシールリップ22aの先端縁の一部が前記スリンガ16の回転側円輪部19の軸方向外側面から浮き上がり、当該部分を通じて前記泥水等の異物が、前記シール内部空間26の更に奥にまで入り込む可能性がある。この様な現象は、水分の蒸発により凝縮し易い粘土質の土を含む泥水に於いて特に著しくなる。

前記ラビリンスシール27の隙間寸法(径方向に関する幅寸法)を小さくすれば、前記外部寄り空間28内に入り込む泥水等の異物を少なくできるが、この隙間寸法を小さくする事には限度がある。即ち、前記ラビリンスシール27の隙間寸法を極端に小さくすると、車両の旋回走行時に加わるモーメント荷重等により、前記外輪2と前記ハブ3とが相対的に傾いてラビリンスシール27の距離が縮まり、前記回転側円輪部19の端縁と前記静止側円筒部23の内周面とが激しく(強く)接触する可能性がある。この為、前記図18、19に示した従来構造では、前記ラビリンスシール27の隙間寸法を極端に小さくする事は困難である。

組み合わせシールリングのシール性を向上させる為の構造として、特許文献2には、外輪に外嵌した第二のシールリングを構成する第二のシールリップの先端縁を、スリンガの回転側円輪部のうちで、シールリングと反対側の側面に、全周に亙り摺接させた構造が記載されている。この様な構造によれば、シール内部空間内への異物の侵入防止を十分に図れるが、部品点数が増えてコストが嵩む。又、前記第二のシールリングを設ける部分の設置スペースが嵩み、組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに隣接して設ける、他の物品との干渉防止の為、設計の自由度が限られる可能性がある。更に、前記第二のシールリップとして、組み合わせシールリング側に元々設けられているシールリップと同等の剛性を有するものを、この元々設けられているシールリップに足す状態で設ける為、摺接部が増えて回転抵抗(動トルク)が増大すると言った不利益もある。

概要

組み合わせシールリング12aを構成するスリンガ16とシールリング17aとの間のシール内部空間26a内への異物の侵入を抑えて、このシールリング17aに設けたシールリップ22aの動きを確保できる構造を実現する。前記スリンガ16を構成する回転側円輪部19の外周縁と、前記シールリング17aを構成する芯金20の静止側円筒部23の内周面との間に、ラビリンスシール27aを設ける。又、前記シールリング17aを構成する弾性材21aの一部に厚肉部29を、全周に亙って形成し、この厚肉部29に、各シールリップ22a〜22cよりも剛性が低い補助シールリップ32を、全周に亙り設ける。この補助シールリップ32より、前記異物がシールリップ22aに付着し、このシールリップ22aの動きが阻害される事を防止する。

目的

効果

実績

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請求項1

互いに同心に配置された状態で相対回転する回転側軌道輪及び静止側軌道輪と、これら回転側軌道輪及び静止側軌道輪の互いに対向する周面にそれぞれ設けられた回転側軌道静止側軌道との間に転動自在に設けられた複数個転動体と、前記回転側軌道輪と前記静止側軌道輪との互いに対向する周面同士の間に存在する軸受内部空間の端部開口を塞ぐ、スリンガ及びシールリングから成る組み合わせシールリングとを備え、このうちのスリンガは、前記回転側軌道輪の周面の一部で前記静止側軌道輪の周面に対向する部分に嵌合固定されたもので、金属板曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成し、回転側円筒部と、この回転側円筒部の軸方向端縁から前記静止側軌道輪に向けて径方向に折れ曲がった回転側円輪部とから成り、前記回転側円筒部を前記回転側軌道輪の周面に嵌合する事でこの回転側軌道輪に固定しており、前記シールリングは、前記静止側軌道輪の一部で前記スリンガに対向する部分に嵌合固定されたもので、前記静止側軌道輪に嵌合固定される芯金と、この芯金に基端部を支持された、複数本シールリップを有する弾性材とを備え、このうちの芯金は、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成し、静止側円筒部と、この静止側円筒部の軸方向端縁から前記回転側軌道輪に向けて径方向に折れ曲がった静止側円輪部とから成り、前記静止側円筒部を前記静止側軌道輪の周面に嵌合する事でこの静止側軌道輪に固定しており、前記各シールリップの先端部を、前記スリンガの表面に全周に亙り摺接させると共に、前記回転側円輪部の先端側周縁と前記静止側円筒部の周面との間にラビリンスシールを設けている組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに於いて、前記弾性材の基部で前記各シールリップよりも前記静止側円筒部に寄った部分に、これら各シールリップのうちで、少なくとも前記ラビリンスシールに最も近いシールリップである外部空間寄りシールリップよりも剛性が低い補助シールリップを、前記弾性材と一体に設け、この補助シールリップの先端縁を前記回転側円輪部の軸方向側面に、全周に亙って摺接若しくは近接対向させている事を特徴とする組み合わせシールリング付転がり軸受ユニット。

請求項2

前記静止側円筒部のうちで前記静止側円輪部を設けた側の周面を前記弾性材により覆うと共に、この弾性材のうちでこの静止側円輪部の軸方向側面を覆う部分の内外両周縁部と、前記周面を覆った部分及び前記補助シールリップの基部とを、断面形状が四分の一円弧状の曲面により滑らかに連続させた、請求項1に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受ユニット。

請求項3

前記シールリングと前記スリンガとを組み合わせ、前記外部空間寄りシールリップの先端部を前記回転側円輪部の軸方向側面に弾性的に当接させた状態で、この外部空間寄りシールリップの先端縁を前記補助シールリップの片側周面に、前記ラビリンスシールを通じて入り込み、この補助シールリップの他側周面を押圧する流体によりこの補助シールリップが径方向に反転しない程度近接させた、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受ユニット。

請求項4

前記弾性材の一部で前記静止側円筒部の周面と前記静止側円輪部の軸方向側面とにより径方向片側と軸方向片側とを仕切られた部分に、径方向及び軸方向の厚さ寸法が他の部分の厚さ寸法よりも大きくなった厚肉部を設け、この厚肉部の軸方向端面のうちで径方向に関して前記各シールリップ寄り部分に、前記補助シールリップの基端部を連続させている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受

請求項5

前記厚肉部の径方向中間部の円周方向複数箇所に、それぞれがこの厚肉部の軸方向端面に開口する凹部を形成し、前記補助シールリップの基端部を、この厚肉部の軸方向端面のうちでこれら各凹部よりも前記各シールリップ寄り部分に位置させた、請求項4に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項6

前記静止側円輪部を、径方向に関して最も前記静止側円筒部寄りの基端側円輪部と、この基端側円輪部の先端側周縁から径方向に連続して、先端側に向かう程前記回転側円輪部から遠ざかる方向に傾斜した部分円すい状の傾斜部と、この傾斜部の先端側周縁から径方向に連続した、前記基端側円輪部と平行な先端側円輪部とを備えた段付形状とし、前記補助シールリップの基端部を、前記基端側円輪部の先端側部分に位置させた、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項7

前記静止側円輪部の径方向中間部に、前記回転側円輪部に向けて軸方向に突出する突条を全周に亙って形成し、前記補助シールリップの基端部を、この突条の先端部分に位置させた、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項8

前記回転側円輪部の径方向中間部先端寄り部分を、この回転側円輪部の厚さ方向に関し、全周に亙り曲げ形成する事により、前記回転側円輪部の先端部を中間部乃至基端部よりも前記静止側円輪部側に位置させ、前記補助シールリップの先端縁を前記回転側円輪部の先端部の軸方向側面に、全周に亙って摺接若しくは近接対向させた、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したシールリング付転がり軸受。

請求項9

前記弾性材の一部が前記静止側円筒部の内外両周面のうちで前記静止側軌道輪と反対側の周面を覆う状態で設けられており、この周面を覆った前記弾性材のうちで、前記回転側円輪部の先端部を挟んで前記静止側円輪部と反対側部分に、この部分から前記回転側円筒部に向け径方向に突出する係止リップを、円周方向に関して間欠的に設け、この係止リップの先端部と前記回転側円輪部の先端部とを軸方向に関して互いに重畳させて、前記スリンガと前記シールリングとの分離防止を図った、請求項8に記載したシールリング付転がり軸受。

請求項10

前記回転側軌道輪が径方向内側に存在する内径側軌道輪であり、前記静止側軌道輪が径方向外側に存在する外径側軌道輪であり、前記補助シールリップが、先端縁に向かう程直径が大きくなる方向に傾斜しており、この補助シールリップの先端縁が前記回転側円輪部の軸方向側面に、全周に亙り非接触状態で近接対向しており、これら補助シールリップの先端縁と前記回転側円輪部の軸方向側面との間にラビリンスシールが、全周に亙って設けられている、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項11

前記補助シールリップのうちの少なくとも中間部乃至先端縁部分の形状が部分円すい筒状である、請求項10に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項12

前記補助シールリップが、外周面が凹面である断面円弧状であり、この補助シールリップの先端部のうちで前記回転側円輪部の軸方向側面と対向する部分の接線方向が、この軸方向側面と平行である、請求項10に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項13

前記補助シールリップが、部分円すい筒状の中間部と、この中間部の先端縁から径方向外方に折れ曲がった円輪状の鍔部とから成るものであり、この鍔部と前記回転側円輪部の軸方向側面とが全周に亙って近接対向している、請求項10に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項14

前記補助シールリップの先端縁が前記回転側円輪部の軸方向側面に摺接しており、この先端縁のうちで少なくともこの軸方向側面に摺接する部分の周方向に関する形状が凹凸形状であって、前記先端縁がこの軸方向側面に、周方向に関して間欠的に摺接している、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項15

前記回転側円輪部の軸方向両側面のうちで前記静止側円輪部と対向する面と反対側の面に、高分子材料中磁性粉を分散させて全体を円輪状として成る永久磁石製エンコーダ添着し、このエンコーダの周縁を前記静止側円筒部の周面に対向させて、当該部分にラビリンスシールを設けた、請求項1〜14のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項16

前記エンコーダを構成する高分子材料の一部により、前記回転側円輪部の先端側周縁を越えて前記静止側円輪部の側に向け全周に亙って突出する突条を形成し、この突条の周面と前記静止側円筒部の周面との間部分を含めて、前記ラビリンスシールとした、請求項15に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項17

前記回転側軌道輪が径方向内側に存在する内径側軌道輪であり、前記静止側軌道輪が径方向外側に存在する外径側軌道輪であり、前記エンコーダの外周面のうちで外径が最も大きい部分が、前記係止リップを挟んで前記回転側円輪部と軸方向に関して反対側に存在する、前記請求項9を引用した請求項15に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

請求項18

前記エンコーダの外周面のうちで外径が最も大きい部分を、この外周面の軸方向中間部のうちの軸方向内側寄り部分に設けている、請求項15〜17のうちの何れか1項に記載した組み合わせシールリング付転がり軸受。

技術分野

0001

本発明は、例えば自動車車輪懸架装置に対して回転自在に支持する為の転がり軸受ユニットのうち、回転側軌道輪静止側軌道輪との互いに対向する周面同士の間に存在して複数個転動体を設置した軸受内部空間の端部開口を、スリンガシールリングとから成る組み合わせシールリングにより塞いで成る、組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの改良に関する。具体的には、前記スリンガと前記シールリングとの間に存在するシール内部空間に入り込む異物の量を抑える事により、前記組み合わせシールリングによるシール性を、長期間に亙って良好に維持できる構造の実現を図るものである。

背景技術

0002

自動車の車輪等を懸架装置に対して回転自在に支持する為の転がり軸受ユニットとして、例えば特許文献1には、図18に示す様な車輪支持用転がり軸受ユニットの構造が記載されている。この図18に示した転がり軸受ユニット1は、静止側軌道輪である外輪2と回転側軌道輪であるハブ3とを互いに同心に配置している。そして、この外輪2の内周面に設けた、それぞれが静止側軌道である複列外輪軌道4、4と、前記ハブ3の外周面に設けた、それぞれが回転側軌道である複列の内輪軌道5、5との間に、それぞれが転動体である玉6、6を、両列毎に複数個ずつ配置している。これら各玉6、6は、それぞれ保持器7、7により、転動自在に保持している。この様な構成により、前記外輪2の内径側に前記ハブ3を、回転自在に支持している。前記懸架装置に対し前記車輪等を回転自在に支持するには、前記外輪2の外周面に設けた静止側フランジ8を前記懸架装置に対しねじ止め固定すると共に、前記ハブ3の軸方向外端部(軸方向に関して外とは、車両への組み付け状態でこの車両の幅方向外側となる、各図の左側を言う。これに対して、この車両の幅方向内側となる、各図の右側を、軸方向に関して内と言う。)外周面に形成した回転側フランジ9に、前記車輪及びディスクロータ等の制動用回転体をねじ止め固定する。

0003

前記外輪2の内周面と前記ハブ3の外周面との間で前記各玉6、6を設置した軸受内部空間10の両端開口は、それぞれシールリング11と組み合わせシールリング12とにより、全周に亙り塞いでいる。このうち、前記軸受内部空間10の軸方向外端側開口を塞ぐシールリング11は、金属板製の芯金13により、ゴムの如きエラストマー製弾性材14を補強して、全体を円環状に構成して成る。又、この弾性材14は、複数本(図示の例では3本)のシールリップ15a、15b、15cを有する。そして、このうちの芯金13を前記外輪2の内周面の軸方向外端部に締り嵌めで内嵌した状態で、前記各シールリップ15a、15b、15cの先端縁を前記回転側フランジ9の軸方向内側面又は前記ハブ3の中間部外周面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。

0004

又、前記組み合わせシールリング12は、スリンガ16とシールリング17とを組み合わせて成る。このうちのスリンガ16は、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成したもので、回転側円筒部18と、この回転側円筒部18の軸方向内端縁から径方向外方に折れ曲がった回転側円輪部19とから成る。この様なスリンガ16は、前記回転側円筒部18を前記ハブ3(ハブ本体と共にこのハブ3を構成する内輪)の軸方向内端部に締り嵌めで外嵌する事により、このハブ3に対し固定している。又、前記シールリング17は、金属板製の芯金20と弾性材21とを備える。この弾性材21は、複数本(図示の例では3本)のシールリップ22a、22b、22cを備える。又、前記芯金20は、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成したもので、静止側円筒部23と、この静止側円筒部23の軸方向外端縁から径方向内方に折れ曲がった静止側円輪部24とから成る。この様な芯金20を備えた前記シールリング17は、前記静止側円筒部23を前記外輪2の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌する事により、この外輪2に固定している。又、この状態で、前記シールリップ22aの先端縁を前記回転側円輪部19の軸方向外側面に、前記各シールリップ22b、22cの先端縁を前記回転側円筒部18の外周面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。

0005

尚、上述の様な組み合わせシールリング12を構成するスリンガ16の回転側円輪部19の軸方向両側面のうち、前記回転側円筒部18の折れ曲がり方向と逆側の面(軸方向内側面)に、図19の(A)に示す様に、円輪状エンコーダ25を、全周に亙り添着固定する場合もある。このエンコーダ25は、ゴム、合成樹脂等の高分子材料中磁性粉を分散させて全体を円輪状とした、ゴム磁石プラスチック磁石等の永久磁石製で、軸方向に着磁している。着磁方向は、円周方向に関して、交互に、且つ、等間隔で変化させている。従って、被検出面である、前記エンコーダ25の軸方向内側面には、S極とN極とが、円周方向に関して、交互に、且つ、等間隔で配置されている。この様なエンコーダ25の被検出面には、図示しない回転検出センサの検出部を対向させて、前記ハブ3と共に回転する車輪の回転速度を測定可能とする。そして、測定した、車輪の回転速度を表す信号を、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステムTCS)等、車両の走行安定化装置の制御に利用する。この様な回転速度検出装置の構造及び作用に就いては、従来から周知であるし、本発明の要旨とも関係しない為、図示並びに詳しい説明は省略する。

0006

これに対して、車輪の回転速度を検出する必要がない場合、或いは、別部分でこの回転速度を検出できる場合には、図19の(B)に示す様に、前記スリンガ16にエンコーダを設ける事はない。
何れにしても、前記軸受内部空間10の軸方向両端開口を前記シールリング11と前記組み合わせシールリング12とにより、それぞれ全周に亙り塞ぐ事で、前記軸受内部空間10内に存在するグリース漏洩防止と、外部空間に存在する水分や塵芥等の異物がこの軸受内部空間10内に侵入する事の防止とを図っている。

0007

前記車輪支持用の転がり転がり軸受ユニット1の耐久性を確保する為には、前記シールリング11及び前記組み合わせシールリング12のシール性を確保する事が重要である。一方、これらシールリング11及び組み合わせシールリング12は、使用時に泥水等がかかる、厳しい条件で使用される。特に、このうちの組み合わせシールリング12の場合には、前記スリンガ16と前記シールリング17とに囲まれたシール内部空間26内に入り込んだ泥水の水分が蒸発し、固形分()だけがこのシール内部空間26内に溜まる可能性がある。図18、19に示した従来構造の場合、このシール内部空間26のうち、最も外径側に存在するシールリップ22aよりも更に径方向外寄り部分に存在してラビリンスシール27を介して外部空間と連通した外部寄り空間28の容積が大きい為、この外部寄り空間28内に溜まる固形分の量が多くなり易い。そして、この外部寄り空間28内に溜まった固形分は、前記最も外径側に存在するシールリップ22aにも付着し、このシールリップ22aの動き阻害する可能性がある。この結果、このシールリップ22aの先端縁の一部が前記スリンガ16の回転側円輪部19の軸方向外側面から浮き上がり、当該部分を通じて前記泥水等の異物が、前記シール内部空間26の更に奥にまで入り込む可能性がある。この様な現象は、水分の蒸発により凝縮し易い粘土質の土を含む泥水に於いて特に著しくなる。

0008

前記ラビリンスシール27の隙間寸法(径方向に関する幅寸法)を小さくすれば、前記外部寄り空間28内に入り込む泥水等の異物を少なくできるが、この隙間寸法を小さくする事には限度がある。即ち、前記ラビリンスシール27の隙間寸法を極端に小さくすると、車両の旋回走行時に加わるモーメント荷重等により、前記外輪2と前記ハブ3とが相対的に傾いてラビリンスシール27の距離が縮まり、前記回転側円輪部19の端縁と前記静止側円筒部23の内周面とが激しく(強く)接触する可能性がある。この為、前記図18、19に示した従来構造では、前記ラビリンスシール27の隙間寸法を極端に小さくする事は困難である。

0009

組み合わせシールリングのシール性を向上させる為の構造として、特許文献2には、外輪に外嵌した第二のシールリングを構成する第二のシールリップの先端縁を、スリンガの回転側円輪部のうちで、シールリングと反対側の側面に、全周に亙り摺接させた構造が記載されている。この様な構造によれば、シール内部空間内への異物の侵入防止を十分に図れるが、部品点数が増えてコストが嵩む。又、前記第二のシールリングを設ける部分の設置スペースが嵩み、組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに隣接して設ける、他の物品との干渉防止の為、設計の自由度が限られる可能性がある。更に、前記第二のシールリップとして、組み合わせシールリング側に元々設けられているシールリップと同等の剛性を有するものを、この元々設けられているシールリップに足す状態で設ける為、摺接部が増えて回転抵抗(動トルク)が増大すると言った不利益もある。

先行技術

0010

特開2007−85478号公報
特開2008−151311号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、上述の様な事情に鑑み、転がり軸受ユニットを構成する静止側、回転側両軌道輪同士の間に存在する軸受内部空間の端部開口を塞ぐ、組み合わせシールリングを構成するスリンガとシールリングとの間のシール内部空間内への異物の侵入を抑えられる構造を実現して、このシールリングに設けたシールリップの動きを確保し、長期間に亙り優れたシール性能を維持できる構造を実現すべく発明したものである。

課題を解決するための手段

0012

本発明の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットは、回転側軌道輪及び静止側軌道輪と、複数個の転動体と、組み合わせシールリングとを備える。
このうちの前記回転側軌道輪及び静止側軌道輪は、互いに同心に配置された状態で相対回転する。
又、前記各転動体は、これら回転側軌道輪及び静止側軌道輪の互いに対向する周面にそれぞれ設けられた、回転側軌道と静止側軌道との間に、転動自在に設けられている。
又、前記組み合わせシールリングは、前記回転側軌道輪と前記静止側軌道輪との互いに対向する周面同士の間に存在する軸受内部空間の端部開口を塞ぐもので、スリンガ及びシールリングから成る。
このうちのスリンガは、前記回転側軌道輪の周面の一部で前記静止側軌道輪の周面に対向する部分に嵌合固定されたもので、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成しており、回転側円筒部と、この回転側円筒部の軸方向端縁から前記静止側軌道輪に向けて径方向に折れ曲がった回転側円輪部とから成る。そして、前記回転側円筒部を前記回転側軌道輪の周面に嵌合する事で、この回転側軌道輪に固定している。
又、前記シールリングは、前記静止側軌道輪の一部で前記スリンガに対向する部分に嵌合固定されたもので、前記静止側軌道輪に嵌合固定される芯金と、この芯金に基端部を支持された、複数本のシールリップを有する弾性材とを備える。このうちの芯金は、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成しており、静止側円筒部と、この静止側円筒部の軸方向端縁から前記回転側軌道輪に向けて径方向に折れ曲がった静止側円輪部とから成る。そして、前記静止側円筒部を前記静止側軌道輪の周面に嵌合する事でこの静止側軌道輪に固定しており、前記各シールリップの先端部を、前記スリンガの表面に全周に亙り摺接させている。
更に、前記回転側円輪部の先端側周縁(径方向に関して前記回転側円筒部と反対側の周縁)と前記静止側円筒部の周面との間にラビリンスシールを設けている。

0013

特に、本発明の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに於いては、前記弾性材の基部で前記各シールリップよりも前記静止側円筒部に寄った部分に、これら各シールリップのうちで、少なくとも前記ラビリンスシールに最も近いシールリップである外部空間寄りシールリップよりも剛性が低い補助シールリップを、前記弾性材と一体に設けている。そして、この補助シールリップの先端縁を前記回転側円輪部の軸方向側面に、全周に亙って摺接若しくは近接対向させている。

0014

上述の様な本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記静止側円筒部のうちで前記静止側円輪部を設けた側の周面を前記弾性材により覆う。そして、この弾性材のうちでこの静止側円輪部の軸方向側面を覆う部分の内外両周縁部と、前記周面を覆った部分及び前記補助シールリップの基部とを、断面形状が四分の一円弧状の曲面により滑らかに連続させる。

0015

或いは、請求項3に記載した発明の様に、前記シールリングと前記スリンガとを組み合わせ、前記外部空間寄りシールリップの先端部を前記回転側円輪部の軸方向側面に弾性的に当接させた状態で、この外部空間寄りシールリップの先端縁を前記補助シールリップの片側周面に近接対向させる。近接対向させる程度は、前記ラビリンスシールを通じて入り込み、この補助シールリップの他側周面を押圧する流体によりこの補助シールリップが、径方向に反転しない(径方向にめくれない)程度とする。

0016

或いは、例えば請求項4に記載した発明の様に、前記弾性材の一部で前記静止側円筒部の周面と前記静止側円輪部の軸方向側面とにより径方向片側と軸方向片側とを仕切られた部分に、径方向及び軸方向の厚さ寸法が他の部分の厚さ寸法よりも大きくなった厚肉部を設ける。そして、この厚肉部の軸方向端面のうちで径方向に関して前記各シールリップ寄り部分に、前記補助シールリップの基端部を連続させる。
この様な請求項4に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、前記厚肉部の径方向中間部の円周方向複数箇所に、それぞれがこの厚肉部の軸方向端面に開口する凹部を形成する。そして、前記補助シールリップの基端部を、この厚肉部の軸方向端面のうちで、これら各凹部よりも前記各シールリップ寄り部分に位置させる。

0017

或いは、本発明を実施する場合に、例えば請求項6に記載した発明の様に、前記静止側円輪部を、径方向に関して最も前記静止側円筒部寄りの基端側円輪部と、この基端側円輪部の先端側周縁から径方向に連続して、先端側に向かう程前記回転側円輪部から遠ざかる方向に傾斜した部分円すい状の傾斜部と、この傾斜部の先端側周縁から径方向に連続した、前記基端側円輪部と平行な先端側円輪部とを備えた段付形状とする。そして、前記補助シールリップの基端部を、前記基端側円輪部の先端側部分に位置させる。
或いは、請求項7に記載した発明の様に、前記静止側円輪部の径方向中間部に、前記回転側円輪部に向けて軸方向に突出する突条を全周に亙って形成する。そして、前記補助シールリップの基端部を、この突条の先端部分に位置させる。

0018

或いは、請求項8に記載した発明の様に、前記回転側円輪部の径方向中間部先端寄り部分を、この回転側円輪部の厚さ方向に関し、全周に亙り曲げ形成する事により、前記回転側円輪部の先端部を中間部乃至基端部よりも前記静止側円輪部側に位置させる。そして、前記補助シールリップの先端縁を前記回転側円輪部の先端部の軸方向側面に、全周に亙って摺接若しくは近接対向させる。

0019

この様な請求項8に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項9に記載した発明の様に、前記弾性材の一部を、前記静止側円筒部の内外両周面のうちで前記静止側軌道輪と反対側の周面を覆う状態で設ける。又、この周面を覆った前記弾性材のうちで、前記回転側円輪部の先端部を挟んで前記静止側円輪部と反対側部分に、この部分から前記回転側円筒部に向け径方向に突出する係止リップを、円周方向に関して間欠的に設ける。更に、この係止リップの先端部と前記回転側円輪部の先端部とを軸方向に関して互いに重畳させる。そして、前記スリンガと前記シールリングとの分離防止を図る。

0020

又、本発明を実施する場合に、例えば請求項10に記載した発明の様に、前記回転側軌道輪を径方向内側に存在する内径側軌道輪とし、前記静止側軌道輪を径方向外側に存在する外径側軌道輪とする。又、前記補助シールリップを、先端縁に向かう程直径が大きくなる方向に傾斜した形状とする。そして、この補助シールリップの先端縁を前記回転側円輪部の軸方向側面に、全周に亙り非接触状態で近接対向させて、これら補助シールリップの先端縁と前記回転側円輪部の軸方向側面との間にラビリンスシールを、全周に亙って設ける。

0021

この様な請求項10に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項11に記載した発明の様に、前記補助シールリップのうちの少なくとも中間部乃至先端縁部分の形状を部分円すい筒状とする。
或いは、請求項12に記載した発明の様に、前記補助シールリップを、外周面が凹面である断面円弧状とする。そして、この補助シールリップの先端部のうちで前記回転側円輪部の軸方向側面と対向する部分の接線方向を、この軸方向側面と平行にする。
或いは、請求項13に記載した発明の様に、前記補助シールリップを、部分円すい筒状の中間部と、この中間部の先端縁から径方向外方に折れ曲がった円輪状の鍔部とから成るものとする。そして、この鍔部と前記回転側円輪部の軸方向側面とを全周に亙って近接対向させる。

0022

又、本発明を実施する場合に、例えば請求項14に記載した発明の様に、前記補助シールリップの先端縁を前記回転側円輪部の軸方向側面に摺接させる。又、この先端縁のうちで少なくともこの軸方向側面に摺接する部分の周方向に関する形状を凹凸形状とする。そして、前記先端縁をこの軸方向側面に、周方向に関して間欠的に摺接させる。

0023

又、本発明を実施する場合に、例えば請求項15に記載した発明の様に、前記回転側円輪部の軸方向両側面のうちで前記静止側円輪部と対向する面と反対側の面に、高分子材料中に磁性粉を分散させて全体を円輪状として成る永久磁石製のエンコーダを添着する。そして、このエンコーダの周縁を前記静止側円筒部の周面に対向させて、当該部分にラビリンスシールを設ける。
この様な請求項15に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項16に記載した発明の様に、前記エンコーダを構成する高分子材料の一部により、前記回転側円輪部の先端側周縁を越えて前記静止側円輪部の側に向け全周に亙り突出する突条を形成する。そして、この突条の周面と前記静止側円筒部の周面との間部分を含めて、前記ラビリンスシールとする。
更に、前記請求項9を引用した前記請求項15に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項17に記載した発明の様に、前記回転側軌道輪を径方向内側に存在する内径側軌道輪とし、前記静止側軌道輪を径方向外側に存在する外径側軌道輪とする。そして、前記エンコーダの外周面のうちで外径が最も大きい部分を、前記係止リップを挟んで前記回転側円輪部と軸方向に関して反対側に存在させる。
或いは、請求項18に記載した発明の様に、前記エンコーダのうちで外径が最も大きい部分を、このエンコーダの外周面の軸方向中間部のうちの軸方向内側寄り部分に設ける。

発明の効果

0024

上述の様に構成する本発明の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットによれば、組み合わせシールリングを構成するスリンガとシールリングとの間に存在するシール内部空間のうち、外部空間寄りシールリップに隣接する部分(前述の図18〜19に示した外部寄り空間28)への、泥水等の異物の侵入を効果的に防止できる。即ち、本発明の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの場合には、ラビリンスシールを介して前記外部空間と連通する外部寄り空間が、補助シールリップにより、径方向に関して2分割される。そして、前記外部空間寄りシールリップと前記ラビリンスシールとの間に、前記補助シールリップが存在する状態となる。

0025

この結果、前記外部空間寄りシールリップにまで達する泥水等の異物の量を僅少にし、この外部空間寄りシールリップに多量の固形分が付着して、この外部空間寄りシールリップの動きが損なわれる事を防止できる。この結果、長期間に亙り良好なシール性能を発揮させて、組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの耐久性を確保できる。
又、前記補助シールリップは、各シールリップよりも剛性が低い為、仮にこの補助シールリップの先端縁が前記スリンガの回転側円輪部と擦れ合っても、擦れ合い部に作用する摩擦力は低く抑えられる。この為、前記補助シールリップを設ける事に伴う、シールリング付転がり軸受ユニットの回転抵抗の増大は、極く僅少に抑えられる。

0026

尚、前記ラビリンスシールを通過した泥水等の異物が前記補助シールリップに付着する事は、或る程度避けられない。但し、前記ラビリンスシールを通過する事で勢いを弱められた異物が、前記補助シールリップを弾性変形させて前記外部空間寄りシールリップにまで達する事は殆どない。従って、この補助シールリップを通過して前記外部空間寄りシールリップにまで達する異物の量は極く僅少に抑えられる。即ち、前記ラビリンスシールを通過する泥水等の異物の侵入速度や勢いが高い場合であっても、この異物がその勢いのまま前記補助シールリップを直撃する事はない。従って、この補助シールリップに異物が付着して、この補助シールリップによるシール性が低下しても、依然として前記外部空間寄りシールリップに達する異物の量を僅少に抑えられる。この為、この外部空間寄りシールリップに、この外部空間寄りシールリップのシール性を低下させる程に多量の異物が付着するまでには、相当の時間がかかる様になる。この結果、組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの耐久性を十分に向上させる事ができる。

図面の簡単な説明

0027

本発明の実施の形態の第1例を、各シールリップを自由状態として示す、組み合わせシールリングの部分断面図。
同じく、各シールリップをスリンガとの組み合わせに伴って弾性変形させた状態で示す部分断面図
本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の図。
同第3例を示す、図1と同様の図。
同第4例を示す、図1と同様の図。
同第5例を示す、図1と同様の図。
同第6例を示す、図1と同様の図。
同第7例を示す、図1と同様の図。
同第8例を示す、図1と同様の図。
同第9例を示す、図1と同様の図。
同第10例を示す、図1と同様の図。
同第11例を示す、図1と同様の図。
同第12例を示す、図1と同様の図。
同第13例を示す、図1と同様の図。
同第14例を示す、図1と同様の図。
同第15例を示す、図1と同様の図。
補助シールリップの先端縁に形成する凹凸形状の6例を示す、この先端縁の部分拡大図
従来から知られている組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。
同じく組み合わせシールリングの2例を示す、図18のX部拡大図。

実施例

0028

[実施の形態の第1例]
図1は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて本発明の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの特徴は、シールリングを構成する弾性材に、この弾性材に設けた複数本のシールリップに加えて、これら各シールリップよりも剛性が低い補助シールリップを設ける事により、組み合わせシールリングのシール内部空間内への異物の侵入を抑え、前記各シールリップのうちの外部空間寄りシールリップへの異物の付着を抑え、前記組み合わせシールリングのシール性能を長期間に亙って良好に保つ為の構造にある。その他の部分の構成及び作用に就いては、前述の図18に示した転がり軸受ユニット1を含め、例えば懸架装置に対して車輪を回転自在に支持する為、従来から広く知られている各種転がり軸受ユニットと同様であるから、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。

0029

本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12aは、スリンガ16を構成する回転側円輪部19の外周縁と、シールリング17aの芯金20aを構成する静止側円筒部23の内周面を覆った弾性材21aの一部内周面との間に、ラビリンスシール27aを設けている。又、この弾性材21aの一部で、前記静止側円筒部23の内周面と、この静止側円筒部23と共に前記芯金20aを構成する静止側円輪部24の軸方向内側面の外径側半部とにより、径方向外側と軸方向外側とを仕切られた部分に、径方向及び軸方向の厚さ寸法が他の部分の厚さ寸法よりも大きくなった厚肉部29を設けている。前記弾性材21aのうちで、この厚肉部29の軸方向内端面である円輪状の段差面30と、前記静止側円筒部23の内周面の先端寄り部分(軸方向内半部)を覆う部分とを、断面形状が四分の一円弧状である外径側曲面31(隅R)により、滑らかに連続させている。この外径側曲面31の断面形状の曲率半径R1は、前記ラビリンスシール27aの径方向に関する幅寸法W以上(R1≧W)としている。これにより、前記ラビリンスシール27aを通じて次述する補助シールリップ32の外径側に存在する空間部分に入り込んだ異物を、前記ラビリンスシール27aの側に還流させ易くしている。

0030

又、前記段差面30の径方向内端部から前記回転側円輪部19に向け、補助シールリップ32を延出(各シールリップ22a〜22cと共に前記弾性材21aに一体に形成)している。又、前記補助シールリップ32は、前記段差面30を基端として軸方向内方に向かう程直径が大きくなる方向に、末広がりに傾斜して延びる部分円すい筒状である。この様な補助シールリップ32の基端部外周面と前記段差面30とに関しても、断面形状が四分の一円弧状の内径側曲面33により、滑らかに連続させている。この内径側曲面33の断面形状の曲率半径R2は、前記補助シールリップ32の基端部に加わる応力を抑えつつ、この補助シールリップ32を適度に撓み易くする面から、更には、前記ラビリンスシール27aを通じて前記補助シールリップ32の外径側に存在する空間部分に入り込んだ異物をこのラビリンスシール27aの側に還流させ易くする面から、適切に規制している。この為に、前記内径側曲面33の断面形状の曲率半径R2を、前記補助シールリップ32の基端部の厚さTと同じか、この厚さTよりも少しだけ大きく(R2≧T)している。

0031

上述の様な補助シールリップ32は、この補助シールリップ32の内径側に存在する、サイドリップと呼ばれる、特許請求の範囲に記載した外部空間寄りシールリップであるシールリップ22aに異物が付着するのを抑える役目を有するものであり、高度のシール性を要求されない。むしろ、前記補助シールリップ32を設ける事で、前記組み合わせシールリング12aを組み込んだシールリング付転がり軸受ユニットの回転抵抗(動トルク)が大きくなるのを抑える事が重要である。この為に、本例の場合には、次の(1)〜(3)の様な工夫により、前記補助シールリップ32を設けた事に基づく摩擦抵抗の増大を抑えている。

0032

(1) 前記補助シールリップ32の断面形状を、先端縁に向かう程厚さ寸法が小さくなる、くさび状としている。
この様にする事で、前記補助シールリップ32の先端部の弾性を低く抑え、前記摩擦抵抗が大きくならない様にしている。
(2) 前記補助シールリップ32の厚さ寸法を、前記シールリップ22aの厚さ寸法よりも十分に小さくしている。具体的には、前記補助シールリップ32のうちで最も厚い部分である基端部の厚さ寸法を、前記シールリップ22aのうちで最も薄い部分である基端部の厚さ寸法の1/2以下、より好ましくは1/3以下、但し、成形性を考慮して1/5以上としている。
この様にする事で、前記補助シールリップ32全体の弾性を低く抑え、前記摩擦抵抗が大きくならない様にしている。
(3) 前記シールリング17aと前記スリンガ16とを組み合わせた状態で、前記補助シールリップ32の締め代を、前記シールリップ22aの締め代よりも十分に小さくしている。具体的には、図1に示した自由状態で、前記補助シールリップ32の軸方向高さ(前記回転側円輪部19に向けての軸方向突出量)を、前記シールリップ22aの軸方向高さよりも十分に小さくしている。
この様にする事で、前記シールリング17aと前記スリンガ16とを組み合わせた状態で、前記補助シールリップ32の弾性変形量(軸方向圧縮量)を、前記シールリップ22aの弾性変形量よりも十分に小さくして、前記補助シールリップ32の先端縁と前記回転側円輪部19の軸方向外側面との摺接部の面圧を抑え、前記摩擦抵抗が大きくならない様にしている。
尚、先に述べた様に、前記補助シールリップ32には高度のシール性を要求しない為、車両の旋回走行等に伴って前記シールリング17aの中心軸と前記スリンガ16の中心軸とが傾斜した状態で、前記補助シールリップ32の先端縁が前記回転側円輪部19の軸方向外側面から僅かに浮き上がっても(締め代がになったり、僅かに隙間が空いても)良い。又、例えば半浮動式懸架装置(非独立懸架装置)で、しかも舵角が付与される事がない後輪回転支持する部分(リジッドリアアクスル)に組み込む車輪支持用転がり軸受ユニットの様に、旋回走行時にもシールリングの中心軸とスリンガの中心軸とが殆ど傾斜しない様な場合には、補助シールリップの先端縁を回転側円輪部の軸方向外側面に、全周に亙り微小隙間を介して対向させても良い。

0033

何れにしても、前記シールリップ22aよりも更に径方向外寄り部分に存在してラビリンスシール27aを介して外部空間と連通した外部寄り空間28aを前記補助シールリップ32により、径方向に関して2分割している。そして、前記シールリップ22aと前記ラビリンスシール27aとの間に、前記補助シールリップ32が存在する状態としている。言い換えれば、前記外部寄り空間28aの径方向外端部で前記ラビリンスシール27aと連通する部分に、前記段差面30と前記補助シールリップ32とにより軸方向外端部と内径側とを仕切られた開口寄り小空間34を設けている。この開口寄り小空間34の軸方向外端部の内面を構成する、前記段差面30の内外両周縁部は、それぞれ前記内径側、外径側両曲面33、31により、前記開口寄り小空間34の内外両周面と滑らかに連続させている。更に、このうちの内径側曲面33から連続する、前記補助シールリップ32の外周面は、先端に向かう程前記ラビリンスシール27aに向かう方向に傾斜している。この様な構成により、このラビリンスシール27aから前記開口寄り小空間34内に、勢い良く吹き込まれた異物の流れを変換し、このラビリンスシール27aに向けて還流する様にしている。

0034

上述の様に構成する組み合わせシールリング12aを組み込んだ、本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットによれば、前記スリンガ16と前記シールリング17aとの間に存在するシール内部空間26aへの、泥水等の異物の侵入を効果的に防止できる。特に、本例の構造によれば、前記各シールリップ22a〜22cのうちで、最も前記ラビリンスシール27aに近い部分に存在するシールリップ22aの外周面に異物が付着し、このシールリップ22aの挙動が損なわれ、このシールリップ22aのシール性能が低下するのを防止できる。即ち、本例の構造によれば、前記ラビリンスシール27aと、前記開口寄り小空間34の軸方向外端面及び内周面を仕切る、前記段差面30及び前記補助シールリップ32により、前記外部寄り空間28aのうちで、この補助シールリップ32よりも内径側に存在する反開口寄り小空間35内にまで異物が入り込む事を抑えられる。以下、この点に就いて説明する。

0035

前記ラビリンスシール27aを泥水等の異物が、軸方向に勢い良く通過して、前記開口寄り小空間34内に入り込んだ場合であっても、前記異物の勢いはこの開口寄り小空間34内で弱められて、前記補助シールリップ32の外周面を直撃する事はない。即ち、前記ラビリンスシール27aから前記開口寄り小空間34内に勢い良く入り込んだ異物は、前記外径側曲面31と前記段差面30と前記内径側曲面33とに沿って流れ、その勢いを弱められてから、前記補助シールリップ32の外周面に達する。この為、この補助シールリップ32が、前記ラビリンスシール27aから前記開口寄り小空間34内に勢い良く入り込んだ異物によって変形する事を抑えられる。

0036

しかも本例の場合には、図2に示した使用状態で、前記シールリップ22aの先端部を前記補助シールリップ32の内周面に近接対向させているので、前記補助シールリップ32の外周面に多少の圧力が加わった場合でも、この補助シールリップ32が内径側に反転する(めくれる)様に変形する事はない。即ち、前記ラビリンスシール27aを通過して侵入した泥水等によって、前記開口寄り小空間34内の圧力が上昇した場合、前記補助シールリップ32が内径側に変形しようとするが、前記シールリップ22aの先端部が補助シールリップ32の内周面に接触する事によりこの補助シールリップ32を支承して、この補助シールリップ32の変形を防止する。これにより、この補助シールリップ32のシール性能を安定した状態に維持できる。

0037

上述の様に、前記開口寄り小空間34内に入り込んだ異物に拘らず、前記補助シールリップ32が径方向内方に大きく変形する事はないので、この異物がこの補助シールリップ32を通過して、前記反開口寄り小空間35内にまで入り込む事はない。言い換えれば、前記開口寄り小空間34内に入り込んだ異物は、この開口寄り小空間34内に止まる。更に、前記外径側曲面31と前記段差面30と前記内径側曲面33とに案内されて前記補助シールリップ32の外周面に達した異物は、この補助シールリップ32の外周面を前記ラビリンスシール27aに向けて径方向外方に流れ、このラビリンスシール27aを通じて外部空間に排出される。この間、前記異物(水分を多く含む泥水)が前記開口寄り小空間34内を洗浄するので、この開口寄り小空間34内に固形物堆積される事が防止される。この為、前記シールリップ22aに多量の固形分が付着してこのシールリップ22aの動きが損なわれる事を防止できる。この結果、前記補助シールリップ32による、前記反開口寄り小空間35側への異物侵入防止効果、延いては、前記シールリップ22aへの異物付着防止効果を、長期間に亙り良好に維持できて、前記組み合わせシールリング12aを組み込んだ転がり軸受ユニットの耐久性を確保できる。

0038

又、車輪を支持する組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに於いて、車両の悪路走行時或いは旋回走行時には、前記シールリング17aを内嵌固定した外輪と前記スリンガ16を外嵌固定したハブとの相対変位に基づき、これらシールリング17aとスリンガ16とが相対的に変位し、前記開口寄り小空間34の容積が増減する。本例の場合、この開口寄り小空間34の容積が、前記反開口寄り小空間35の容積よりも小さく、しかも揺動中心となる外輪2とハブ3との相対変位の中心O(図18参照)からの距離も長いので、前記相対変位に伴う、この開口寄り小空間34の体積変化率が大きい。この為、この体積変化によるポンピング作用を大きくできて、この開口寄り小空間34内に堆積した異物を外部空間に、効果的に排出できる。この様なポンピング作用の際、前記補助シールリップ32が接触式シールリップの場合は、前記反開口寄り小空間35内に密封された空気がこの補助シールリップ32を支承するので、前記開口寄り小空間34内に堆積した異物が前記反開口寄り小空間35内に侵入する事はない。又、前記補助シールリップ32が微小隙間を持つ非接触式シールリップの場合にも、前記反開口寄り小空間35内に存在する空気が、前記補助シールリップ32の先端部から径方向外方に流出する為、前記開口寄り小空間34に堆積した異物が前記反開口寄り小空間35内部に侵入する事はない。

0039

又、前記弾性材21aの厚肉部29の内周面で前記反開口寄り小空間35の外径側を仕切る部分は、前記補助シールリップ32に向け、軸方向内方に向かうに従い大径となる、部分円すい状の凹面としている。この為、仮に泥水等の異物が、前記補助シールリップ32の先端縁と前記スリンガ16の軸方向内側面との間を通過して、前記反開口寄り小空間35内に侵入した場合、この異物は、前記厚肉部29の内周面に沿って、前記補助シールリップ32と前記スリンガ16との摺接部或いは近接対向部に導かれる。そして、この補助シールリップ32は、締め代が小さく薄肉であると共に、先端縁に向かう程径方向外方に向かう方向に傾斜しているので、前記反開口寄り小空間35から前記開口寄り小空間34へ向かう流体等をき止めるシール効果は弱い。この為、前記厚肉部29の内周面に沿って前記補助シールリップ32の内周面にまで導かれた前記異物は、前記補助シールリップ32と前記スリンガ16との摺接部或いは近接対向部を、径方向内方から径方向外方に通過して、前記開口寄り小空間34に送り出され、更に前記ラビリンスシール27aを通過して、前記外部空間に排出される。

0040

以上に述べた通り本例の構造は、前記補助シールリップ32を設ける事により、前記シールリップ22aの外周面にまで達してこのシールリップ22aの外周面に付着したままとなる異物を極く僅少に抑えられる。この様な作用・効果を得る為に設けた前記補助シールリップ32は、厚さが小さく、締め代も僅少乃至は零である。この為、この補助シールリップ32の追加に伴う、組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの回転トルクの増加は、零乃至は僅少である。

0041

尚、前記回転側円輪部19の外周縁と前記静止側円筒部23の内周面との間に設けた、前記ラビリンスシール27aの径方向に関する幅寸法Wは、設計上想定される前記外輪とハブとの相対傾き最大値に於いて、僅かに接触する様に設定する。前記静止側円筒部23の内周面は前記弾性材21aにより被覆しているので、この様な設定を行っても、前記組み合わせシールリング12aに重大な損傷が発生する事はない。そして、前記幅寸法Wを最小限に設定する事により、前記ラビリンスシール27aのシール性能を良好にし、前記開口寄り小空間34への異物侵入を最小限に抑制できる。

0042

[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1〜4、15に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、スリンガ16を構成する回転側円輪部19の軸方向内側面に、ゴム、合成樹脂等の高分子材料中に磁性粉を分散させて全体を円輪状として成る永久磁石製のエンコーダ25aを、全周に亙り添着している。このエンコーダ25aは、前記回転側円輪部19の先端側周縁(外周縁)を覆う様に形成し、シールリング17aの芯金20aを構成する静止側円筒部23の内周面(に被覆した弾性材21aの一部)との間に、ラビリンスシール27aを構成している。又、前記シールリング17aの弾性材21aを構成するエラストマーとして、ワックス成分を含み、撥水性の良好なものを使用している。

0043

この様な本例の組み合わせシールリング12bの構造によれば、ラビリンスシール27aの軸方向の長さを、前記エンコーダ25aの厚さ分だけ幅広くできるので、シール効果を高める事ができる。更に、剪断面である前記回転側円輪部19の先端側周縁(外周縁)を前記エンコーダ25aにより覆い、表面粗さを向上させて滑らかな表面としているので、ラビリンスシール27aの内面部分に泥が引っかかり堆積する事を防止できる。又、前記エンコーダ25aを前記回転側円輪部19の軸方向内側面に射出成形により形成する際に、この回転側円輪部19の軸方向外側面を基準面(金型の底面を押し当てる面)とする事ができる。従って、補助シールリップ32及びシールリップ22aが摺接する、この軸方向外側面に、前記エンコーダ25aを構成する高分子材料が付着するのを防止できる。又、弾性材21aの撥水性が良好である為、開口寄り小空間34の内面を含め、外部寄り空間28aをこの弾性材21aの滑らかな表面で構成する事で、前記補助シールリップ32及び前記シールリップ22aの表面に異物が堆積する事を、より十分に抑えられる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0044

[実施の形態の第3例]
図4は、請求項1〜4、15、16に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合も、スリンガ16を構成する回転側円輪部19の軸方向内側面に永久磁石製のエンコーダ25bを、全周に亙り添着している。本例の場合には、このエンコーダ25bを構成する高分子材料の一部を、前記回転側円輪部19の外周縁を越えて、シールリング17aの芯金20aを構成する静止側円輪部24の側に向け全周に亙り突出させて、環状の突条36を形成している。この突条36の内周面は、先端縁に向かう程(軸方向外側程)内径が大きくなる方向に傾斜した、部分円すい面状の傾斜面37としている。そして、この突条36の外周面と前記静止側円筒部23の内周面との間部分を含めて、ラビリンスシール27bとしている。又、本例の構造の場合には、前記シールリング17aを構成する弾性材21aの一部で、前記芯金20aを構成する静止側円筒部23の内周面を覆い、前記エンコーダ25bの外端縁及び前記突条36の外周面と近接対向して前記ラビリンスシール27bを形成する部分を、前記静止側円輪部24側に向かう程内径が小さくなる方向に傾斜した、部分円すい面状の傾斜面38としている。

0045

上述の様な本例の組み合わせシールリング12cの構造によれば、前記ラビリンスシール27bの軸方向の長さを、上述した実施の形態の第2例に比べて、前記突条36の軸方向に関する高さ分だけ更に幅広くできるので、シール効果をより高める事ができる。更に、前記突条36は、補助シールリップ32と前記回転側円輪部19の軸方向外側面との摺接部若しくは近接対向部を覆う様に突出しているので、車輪が跳ね上げた泥水等の飛沫が、この摺接部乃至は近接対向部に勢い良くぶつかる事を、より確実に防止できる。

0046

又、前記静止側円筒部23の内周面を前記傾斜面38とし、前記突条36の内周面も前記傾斜面37とする事で、開口寄り小空間34の内面に泥等の異物が堆積する事を、より効果的に防止できる。即ち、前記突条36の内周面の傾斜面37に付着した異物は前記スリンガ16の回転に基づく遠心力により、前記弾性材21aの一部の傾斜面38に付着した異物は、この遠心力により送り出される異物に引かれる様にして、何れも前記ラビリンスシール27bを通じて外部空間に排出される傾向になり、上述の様に異物の堆積防止を図れる。

0047

更に、前記エンコーダ25bを構成する高分子材料として、撥水性が高いポリ四フッ化エチレン樹脂PTFE)等のフッ素樹脂ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、変性ポリアミド樹脂等を使用すれば、泥等の異物の堆積防止効果をより高められる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第2例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0048

[実施の形態の第4例]
図5は、請求項1〜3、6、15に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12dの場合には、シールリング17bを構成する静止側円輪部24aを、互いに同心に配置された、基端側円輪部39と、外径側傾斜部40と、先端側円輪部41と、内径側傾斜部42とから成る、段付形状としている。このうちの基端側円輪部39は、最も外径寄りに存在し、静止側円筒部23aの軸方向外端部から径方向内方に向け、直角に折れ曲がっている。又、前記外径側傾斜部40は、特許請求の範囲に記載した傾斜部に対応する部分で、前記基端側円輪部39の先端側周縁である内周縁から径方向内方に連続して、先端側である内周縁側に向かう程軸方向外方に向かう方向に傾斜している。又、前記先端側円輪部41は、前記外径側傾斜部40の内周縁から径方向内方に連続した部分で、前記基端側円輪部39と平行である。更に、前記内径側傾斜部42は、各シールリップ22a、22b、22cの基端部を支持すべく、前記先端側円輪部41の内周縁から径方向内方に連続した部分で、先端側である内周縁側に向かう程軸方向内方に向かう方向に傾斜している。

0049

そして、弾性材21cの一部に形成した補助シールリップ32の基端部を、前記基端側円輪部39の内周縁部(先端側部分)に位置させている。そして、前記弾性材21cのうちで前記補助シールリップ32の基端部が連続している部分の厚さ寸法を、この補助シールリップ32の基端部分の厚さ寸法とほぼ一致させ(大きな方を基準として差を40%以内、好ましくは20%以内に収め)ている。これにより、前記補助シールリップ32の先端縁と、スリンガ16を構成する回転側円輪部19の軸方向外側面との間のシール性の向上を図っている。即ち、前記弾性材21cのうちで前記補助シールリップ32の基端部が連続している部分の厚さ寸法を、前述した実施の形態の第1〜3例の場合よりも小さくして(厚肉部29を無くして)いる。そして、前記弾性材21cの射出成形時に、前記補助シールリップ32の基端部が連続している部分の収縮量を抑えて、射出成形後、この補助シールリップ32の形状の歪みを可及的僅少に抑える様にしている。

0050

即ち、前記弾性材21cを構成するゴム材料は、射出成形後に1.2〜3.5%程度収縮する、所謂引けが発生する。この為、前記第1〜3例の様に、前記補助シールリップ32の基端部を厚肉部29部分に位置させると、この厚肉部29の引けの影響で、この補助シールリップ32の形状が歪む可能性がある。そして、歪んだ場合には、この補助シールリップ32の先端縁と、スリンガ16の回転側円輪部19の軸方向外側面との係合部の状態が不安定になり、この係合部のシール性が不安定になり易い。具体的には、前記シールリング17bの中心軸に対する前記補助シールリップ32の傾斜角度が小さくなり(補助シールリップ32が立ち)、この補助シールリップ32の先端縁が大きく折れ曲がった状態で回転側円輪部19の軸方向外側面と広い面積で接触する、所謂腹当たりの状態になり易く、安定したシール性能を得難くなる。又、単純に前記厚肉部29を無くし、その分補助シールリップを長くすると、この補助シールリップの剛性が過度に低下して、やはり安定したシール性能を得難くなる。しかも、開口寄り小空間34の容積が大きくなって、前述した、ポンプ作用による異物排出効果が低下する。尚、前記補助シールリップを長くした分、必要な剛性を確保すべくこの補助シールリップの厚さを大きくすると、この補助シールリップの先端縁と回転側円輪部の軸方向外側面との係合部の面圧が上昇して、組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットの動トルクが大きくなる。

0051

これに対して本例の構造によれば、前記基端側円輪部39が前記先端側円輪部41よりも軸方向内側(前記回転側円輪部19に寄った側)に存在する。そして、この分だけ、各シールリップ22a、22b、22cの寸法及び形状を変えずに(前述した実施の形態の第1〜3例と同じにしたまま)、前記弾性材21cのうちで前記補助シールリップ32の基端部が連続している部分の厚さ寸法を小さくできる。この結果、この部分に生じる引けの程度を低減して、前記補助シールリップ32の形状の歪みを低減し、この補助シールリップ32の先端縁と、スリンガ16の回転側円輪部19の軸方向外側面との係合部の状態を安定させて、この係合部のシール性を良好にできる。

0052

又、本例の構造によれば、前記静止側円筒部23aの軸方向寸法(幅)を小さくできる分、この静止側円筒部23aの剛性を高くできる。そして、前記シール材21cの射出成形時に、この静止側円筒部23aに座屈等の弾性変形を生じ難くできて、このシール材21cのうちで、この静止側円筒部23aの軸方向内半部を内外両周面から囲む部分を、安定して成形できる。
尚、前記先端側円輪部41の外径は、シールリップ22aの自由状態での外径よりも大きくしている。そして、前記シール材21cの射出成形時に、芯金20bの軸方向内側面の円周方向複数箇所を金型のキャビティ内面に向け、図示しない抑えピンにより抑え付ける様にしている。そして、この内面からの前記芯金20bの浮き上がりを防止し、前記各シールリップ22a、22b、22cを精度良く射出成形できる様にしている。図5に示した小凹部43は、前記抑えピンの先端部を押し付けた痕である。但し、この小凹部43の底部は、前記シール材21cの一部により覆われている。即ち、このシール材21cを射出成形する過程で、前記抑えピンの先端面と前記芯金20bの軸方向内側面との間に、加圧されたゴム材料が入り込む。この為、この芯金20bの軸方向内側面が露出する事はなく、この芯金20bの防錆を図れる。
又、本例の構造では、前記基端側円輪部39の軸方向内側面の軸方向位置を、前述した実施の形態の第1〜3例での、厚肉部29の軸方向内端面の軸方向位置(図1〜4参照)とほぼ一致させている。但し、これら両軸方向位置は、必ずしも一致させる必要はない。前記補助シールリップ32に要求される可撓性、剛性等の性能に応じて適宜調節できる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第2例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0053

[実施の形態の第5例]
図6は、請求項1〜3、7、15に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12eの場合には、弾性材21dと共にシールリング17cを構成する、芯金20cの静止側円輪部24bの径方向中間部に、突条44を形成している。この突条44は、断面形状が台形で、スリンガ16の回転側円輪部19に向け軸方向内方に突出する状態で、全周に亙り形成している。そして、補助シールリップ32の基端部を、前記突条44の先端部分に位置させている。本例の場合には、この様な構成により、前記弾性材21dの一部で前記補助シールリップ32の基端部の軸方向外方に位置する部分の厚さを、この補助シールリップ32の基端部の厚さとほぼ同じとしている。尚、前記突条44は、断面L字形の中間素材図1〜4に記載した芯金20aとほぼ同形状の物)を造った後、この中間素材の平板部(円輪部)を、パンチとダイスとの間で強く挟持して塑性変形させる(張り出し加工する)事により造る。

0054

上述の様な本例の構造の場合には、芯金20cの外周縁部に存在する静止側円筒部23の軸方向寸法(幅)を十分に確保して、外輪に対する前記芯金20cの嵌合強度確保と嵌合後の姿勢安定化とを図りつつ、前記補助シールリップ32の変形防止を図れる。
又、本例の構造の場合も、抑えピンによりキャビティ内面からの前記芯金20cの浮き上がりを防止すべく、前記突条44の内径をシールリップ22aの自由状態での外径よりも大きくしている。
更に、図示の例では、前記弾性材21dの一部で前記静止側円輪部24bの軸方向外側面の径方向中間部に、突条46を形成している。この突条46は、前記組み合わせシールリング12eを軸方向に重ね合わせて梱包棒巻き包装)した状態で、エンコーダ25aの被検出面(エンコーダ25aを設ける場合)或いはスリンガ16を構成する回転側円輪部19の軸方向内側面(エンコーダを設けない場合)と接触する。そして、前記被検出面が傷むのを防止したり、隣り合う組み合わせシールリング12eのシールリング17cとスリンガ16とが貼り付く事を防止する。
尚、本例の構造を実施する場合に、前記芯金20cの内径側端部に、上述した実施の形態の第4例の如き内径側傾斜部42(図5参照)を設ける事もできる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第2例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0055

[実施の形態の第6例]
図7は、請求項1〜5、15に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12fの場合には、弾性材21eの一部に設けた厚肉部29aの径方向中間部の円周方向複数箇所に、それぞれがこの厚肉部29aの軸方向内端面に開口する凹部45を形成している。円周方向に関してこれら各凹部45同士の間部分、並びに、これら各凹部45よりも径方向内方に位置する、前記厚肉部29aの径方向内端部の厚さ寸法は、補助シールリップ32の基端部の厚さ寸法とほぼ同じとしている。そして、この補助シールリップ32の基端部を、前記厚肉部29aの軸方向内端面のうちの径方向内端部に位置させている。

0056

この様な本例の場合も、前記弾性材21eの射出成形後に生じる引けに伴う、前記補助シールリップ32の変形を防止して、シール性の確保を図れる。
又、本例の場合には、前記各凹部45を設ける分、前記補助シールリップ32とラビリンスシール27aとの間に存在する、開口寄り小空間34aの容積を大きくできる。この為、前述したポンプ作用による異物排出効果が低下する反面、前記ラビリンスシール27aを通過して前記開口寄り小空間34a内に入り込んだ異物の勢いを弱める効果が大きくなる。この結果、この異物が前記補助シールリップ32の先端縁と回転側円輪部19の軸方向外側面との係合部を通過するのを抑える効果が大きくなる。
尚、本例の場合には、前記各凹部45の奥面部分で、抑えピンにより芯金20の静止側円輪部24を、キャビティ内面に抑え付ける様にしている。
その他の部分の構成及び作用は、前述の実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0057

[実施の形態の第7例]
図8は、請求項1、2、8に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12gを構成するシールリング17dの場合も、前述の図5〜6に示した実施の形態の第4〜5例の場合と同様に、弾性材21fのうちで補助シールリップ32の基端部が連続している部分の厚さ寸法を小さくしている。そして、この補助シールリップ32の形状の歪みを可及的僅少に抑えられる様にしている。但し、本例の場合には、前記実施の形態の第4〜5例の場合とは異なり、前述の図1〜4に示した実施の形態の第1〜3例の場合と同形状の芯金20aを使用し、且つ、前記補助シールリップ32の全長を適正値に規制している。

0058

この為に本例の場合には、スリンガ16aの回転側円輪部19aの径方向中間部先端寄り部分を、この回転側円輪部19aの厚さ方向に関し、全周に亙り曲げ形成している。本例の場合には、この回転側円輪部19aの径方向中間部外径寄り部分を芯金20aの静止側円輪部24に向け、90度未満折り曲げる事で傾斜部47とし、更にこの傾斜部47から径方向外方に連続する状態で、先端側平板部48を設けている。従って、この先端側平板部48は、前記回転側円輪部19aのうちの中間部乃至基端部よりも、前記静止側円輪部24に寄った部分に位置している(この中間部乃至基端部に対し、この静止側円輪部24側にオフセットしている)。そして、前記補助シールリップ32の先端縁を前記先端側平板部48の軸方向側面に、全周に亙って摺接若しくは近接対向させている。この先端側平板部48をオフセットした事に伴い、前記回転側円輪部19a(前記先端側平板部48)の外周縁と、静止側円筒部23の内周面を覆った弾性材21fの一部内周面との間に設けたラビリンスシール27aは、前述した実施の形態の第1例の場合と比較して、軸方向外側に位置する。この為、このラビリンスシール27a部分に異物が達しにくくして、このラビリンスシール27a内への異物侵入の防止効果をより向上させる事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、前記実施の形態の第4〜5例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0059

[実施の形態の第8例]
図9も、請求項1、2、8に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12hを構成するスリンガ16aの場合には、回転側円輪部19bの径方向中間部外径寄り部分を芯金20aの静止側円輪部24に向け、直角に折り曲げる事で短円筒状の段部49とし、更にこの段部49の先端縁を径方向外方に向け直角に折り曲げる事で、先端側平板部48を設けている。そして、補助シールリップ32の先端縁をこの先端側平板部48の軸方向側面に、全周に亙って摺接若しくは近接対向させている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第7例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0060

[実施の形態の第9例]
図10は、請求項1、2、8、9に対応する、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12iを構成するシールリング17dの場合には、弾性材21gの一部で、芯金20aの静止側円筒部23の内周面の覆う部分のうち、この静止側円筒部23の先端寄り部分の内径側部分に係止リップ50を、径方向内方に突出する状態で、円周方向に関して間欠的に設けている。従って、この係止リップ50は、スリンガ16aの回転側円輪部19bを挟んで、前記芯金20aの静止側円輪部24と、軸方向に関して反対側に存在する。又、前記係止リップ50の内径は、前記回転側円輪部19bの外径よりも小さい。従って、これら係止リップ50の先端部と回転側円輪部19bの先端部とは、軸方向に関して互いに重畳している。そして、これら係止リップ50の先端部と回転側円輪部19bの先端部との係合に基づき、所定部分への組み付け以前の状態でも、組み合わせシールリング12iを構成する、前記スリンガ16aと前記シールリング17dとの分離防止を図っている。前記係止リップ50は円周方向に関して間欠的に設けているので、適度の弾性を有するし、開口寄り小空間34内に入り込んだ異物の排出を妨げる事はない。
その他の部分の構成及び作用は、上述の実施の形態の第8例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0061

[実施の形態の第10例]
図11は、請求項1、2、8、15、18に対応する、本発明の実施の形態の第10例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12jを構成するスリンガ16aの場合には、回転側円輪部19aの軸方向内側面に、永久磁石製のエンコーダ25bを、全周に亙り添着している。又、このエンコーダ25bの外周面のうちで外径が最も大きい部分を、この外周面の軸方向中間部の軸方向内側寄り部分に設けている。この為、前記エンコーダ25bの軸方向内側面に付着した泥水等の異物が、ハブ3(図18参照)の回転に基づく遠心力により、前記エンコーダ25bの外周縁部に移動した後にラビリンスシール27a内に侵入するのを防止できる。
このエンコーダ25bの性状、このエンコーダ25bを設ける事による作用・効果は、前述の図3に示した実施の形態の第2例と同様であり、その他の部分の構成及び作用は、前述の図8に示した実施の形態の第7例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0062

[実施の形態の第11例]
図12は、請求項1、2、8、9、15、17に対応する、本発明の実施の形態の第11例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12kを構成するスリンガ16aの場合には、回転側円輪部19aの軸方向内側面に添着した永久磁石製のエンコーダ25cの外周面のうちで外径が最も大きい部分を、係止リップ50を挟んで回転側円輪部19aと軸方向に関して反対側に存在させている。
この様な構成を有する本例の構造によれば、前記エンコーダ25cに付着した状態で、このエンコーダ25cの回転に基づく遠心力によりこのエンコーダ25cの最大外径部に移動した異物が、前記係止リップ50の内側(開口寄り小空間34b内)に取り込まれずに、外部空間に排出される。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第10例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0063

[実施の形態の第12例]
図13は、請求項1〜4、10、11に対応する、本発明の実施の形態の第12例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12mを構成するシールリング17eの場合には、補助シールリップ32aの基端部の形状を円筒状とすると共に、中間部乃至先端縁部分の形状を部分円すい筒状としている。従って、前記補助シールリップ32aの中間部乃至先端縁部分は、この先端縁に向かう程直径が大きくなる方向に傾斜している。そして、前記補助シールリップ32aの先端縁を回転側円輪部19の軸方向側面に、全周に亙り非接触状態で近接対向させている。この構造により、前記補助シールリップ32aの先端縁と前記回転側円輪部19の軸方向外側面との間にラビリンスシールを、全周に亙って設けている。

0064

この様な本例の構造によれば、通常状態では、前記補助シールリップ32aの先端縁と前記回転側円輪部19の軸方向外側面とが擦れ合う事を防止できて、この補助シールリップ32aを設ける事に伴う動トルクの上昇を抑えられる。これに対して、ラビリンスシール27aから開口寄り小空間34に泥水等の異物が入り込むと、前記補助シールリップ32aが、この異物に押されて径方向内方に弾性変形する。そして、この補助シールリップ32aの先端縁が前記回転側円輪部19の軸方向外側面と、全周若しくは異物が存在する部分で摺接する。この結果、この異物が前記補助シールリップ32aよりも内径側に存在する反開口寄り小空間35にまで入り込む事はない。又、この様にして前記補助シールリップ32aの外周面部分に堰き止められた異物は、この補助シールリップ32aの外周面の傾斜に沿って流れると共に、前記回転側円輪部19の回転に伴って惹起される空気の流れに引っ張られて(スリンガ16の振り切り効果により)、前記ラビリンスシール27aから外部空間に排出される。
その他の部分の構成及び作用は、前述の図3に示した実施の形態の第2例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0065

[実施の形態の第13例]
図14は、請求項1〜4、10、12に対応する、本発明の実施の形態の第13例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12nを構成するシールリング17fの場合には、補助シールリップ32bを、外周面が凹面である断面円弧状としている。そして、この補助シールリップ32bの先端部のうちで、スリンガ16の回転側円輪部19の軸方向外側面と対向する部分の接線方向を、この軸方向外側面と平行にした状態でこの軸方向外側面に全周に亙って近接対向させている。

0066

この様な本例の構造によれば、前記補助シールリップ32bの全長を上述した実施の形態の第12例の場合よりも長くできる。又、この補助シールリップ32bの先端縁の直径が基端部の直径よりも大きくなる程度をより大きくできるので、この補助シールリップ32bの剛性を適度に低くできる。そして、開口寄り小空間34内に侵入した異物により前記補助シールリップ32bを撓み易くできる。即ち、この開口寄り小空間34内の圧力上昇が少ない状態で、この補助シールリップ32bの先端を前記軸方向外側面に摺接させ易くできる。この結果、この開口寄り小空間34内に侵入した異物が反開口寄り小空間35内にまで入り込むのを阻止する効果をより高くできる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第12例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0067

[実施の形態の第14例]
図15は、請求項1〜4、10、13に対応する、本発明の実施の形態の第14例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12pを構成するシールリング17gの場合には、補助シールリップ32cを、部分円すい筒状の中間部の先端縁から径方向外方に折れ曲がった円輪状の鍔部51を備えるものとしている。そして、この鍔部51と回転側円輪部19の軸方向外側面とを、全周に亙って近接対向させている。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第13例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0068

[実施の形態の第15例]
図16〜17は、請求項1〜4、14、15に対応する、本発明の実施の形態の第15例を示している。本例の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットに組み込む組み合わせシールリング12qを構成するシールリング17hの場合には、補助シールリップ32dの先端縁52のうちで、スリンガ16の回転側円輪部19の軸方向外側面に摺接する部分の周方向に関する形状を、凹凸形状としている。そして、前記先端縁52を前記軸方向外側面に、周方向に関して間欠的に摺接させている。

0069

前記先端縁52の凹凸形状は特に問わない。例えば、図17の(A)に示す様な、矩形の凹部と突部とを交互に連続させる形状、(B)に示す様なサインカーブ状波形形状、(C)に示す様な先端縁52のうちで前記軸方向片側面と摺接する片端縁にのみ欠肉部を間欠的に形成した形状、(D)に示す様な片端縁の形状のみを波形とした形状、(E)に示す様なハイポサイクロイド曲線形状、(F)に示す様なエピサイクロイド曲線形状等を採用できる。(D)、(E)、(F)に示した形状は、前記先端縁52全体を当該形状にしても、前記軸方向片側面と摺接する片端縁のみを当該形状としても良い。何れの形状を採用した場合でも、前記先端縁52のうちの各凸部のみが前記回転側円輪部19の軸方向外側面と摺接し、各凹部とこの軸方向外側面との間には多数の微小隙間が、円周方向に関して間欠的に存在する状態となる。

0070

この様な構成を採用する事により本例の構造の場合には、仮に反開口寄り小空間35内に泥水等の異物が入り込んだ場合でも、この異物を排出し易い。即ち、例えば前述の図3に示した実施の形態の第2例では、補助シールリップ32が回転側円輪部19の軸方向外側面に軽く摺接している。従って、反開口寄り小空間35内に泥水等の異物が入り込む可能性を否定できず、仮に入り込んだ場合には外部に排出し難い。これに対して本例の場合には、前記先端縁52を凹凸形状にする事により、この先端縁52と前記軸方向外側面との間に多数の微小通路を設けられる。そして、これら各微小通路を通じて、前記反開口寄り小空間35内に入り込んだ異物を、前記回転側円輪部19の回転に伴う振り切り効果との兼ね合いで、外部空間に排出できる。この為、長期間に亙る使用によっても、前記反開口寄り小空間35内に多量の異物が溜まる事を防止できて、組み合わせシールリング12qの機能を長期間に亙り維持できる。
その他の部分の構成及び作用は、例えば前記実施の形態の第2例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。

0071

尚、前記先端縁52のうちで、前記回転側円輪部19の軸方向外側面に摺接する部分を、必ずしも、射出成形時に、周方向に関する形状を凹凸形状とする必要はない。即ち、前記補助シールリップ32を含め、弾性材21hを、ニトリルゴム等の水に対して若干(5%程度)の膨潤性を有する材料製とし、前記先端縁52を極く薄く形成する。そして、この先端縁52に付着した水分により、この先端縁52を膨潤させる事で、この先端縁52を凹凸形状とする事もできる。又、前記弾性材21hを膨潤性を有する材料製とすれば、この先端縁52に水分が付着すると、この先端縁52が膨張し、前記回転側円輪部19の軸方向外側面との間の締め代が大きくなるか、或いは、隙間が小さくなって、異物侵入の防止効果をより向上できる。一方、乾燥状態では、前記先端縁52が収縮する事で、前記締め代が小さくなるか、或いは、隙間が大きくなって、前記補助シールリップ32dによる摺動抵抗を小さくできる。

0072

本発明の組み合わせシールリング付転がり軸受ユニットは、自動車の車輪を懸架装置に対し支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットとして実施する事が、その作用・効果を十分に得る面からは最も好ましい。但し、異物の侵入防止を図る必要がある用途であれば、車輪支持用転がり軸受ユニットに限らずに実施できる。
又、車輪支持用転がり軸受ユニットに適用する場合でも、例えば半浮動式懸架装置に組み込む車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、軸方向内側のシール手段だけでなく軸方向外側のシール手段も、組み合わせシールリングとする場合がある。この様な場合には、車輪支持用転がり軸受ユニットの軸方向外側にも、必要に応じて、本発明の特徴とする組み合わせシールリングを組み込む。この場合には、当該組み合わせシールリングに関する軸方向の内外が、先の説明とは逆になる。
又、例えば前述の図5〜6に示した実施の形態の第4〜5例の構造、或いは、図8〜12に示した実施の形態の第7〜11例の何れかの構造と、前述の図13〜17に示した実施の形態の第12〜15例の何れかの構造とを組み合わせる事もできる。
更には、本発明を、外輪回転型のシールリング付転がり軸受ユニットに適用する事もできる。この場合には、使用時に回転する外径側軌道輪部材にスリンガを、使用時にも回転しない内径側軌道輪部材にシールリングを、それぞれ嵌合固定する。従って、径方向に関する内外が、図示の実施の形態の各例と逆になる。

0073

1転がり軸受ユニット
2外輪
3 ハブ
4外輪軌道
5内輪軌道
6 玉
7保持器
8静止側フランジ
9回転側フランジ
10軸受内部空間
11シールリング
12、12a〜12k、12m〜12q組み合わせシールリング
13芯金
14弾性材
15a、15b、15cシールリップ
16、16aスリンガ
17、17a〜17h シールリング
18 回転側円筒部
19、19a、19b 回転側円輪部
20、20a、20b、20c 芯金
21、21a〜21h 弾性材
22a、22b、22c シールリップ
23、23a静止側円筒部
24、24a、24b 静止側円輪部
25、25a、25b、25cエンコーダ
26、26aシール内部空間
27、27a、27bラビリンスシール
28、28a 外部寄り空間
29、29a厚肉部
30段差面
31外径側曲面
32、32a、32b、32c、32d補助シールリップ
33内径側曲面
34、34a、34b 開口寄り小空間
35 反開口寄り小空間
36突条
37 傾斜面
38 傾斜面
39基端側円輪部
40 外径側傾斜部
41 先端側円輪部
42 内径側傾斜部
43 小凹部
44 突条
45 凹部
46 突条
47 傾斜部
48 先端側平板部
49 段部
50係止リップ
51 鍔部
52 先端縁

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